目次第1 対象と結論1 検討の対象2 確認できた三つの実例第2 「配置転換」の意味1 裁判所調査官の法的根拠2 民事・刑事・行政の区分3 本記事で用いる「配置転換」第3 民事・行政間の配置変更の実例1 清水知恵子裁判官-行政から民事へ2 池原桃子裁判官-民事から行政へ3 福井章代裁判官-行政上席から民事上席へ第4 資料から分かることと分からないこと1 配置表が示す事実2 配置表だけでは分からない事項3 三例は網羅的な件数ではないこと第5 関連記事1 制度と職務2 年度別の配置表第6 出典・参考資料1 法令2 最高裁判所の事務取扱要領3 最高裁判所各調査官室の配置表4 当ブログの経歴記事
第1 対象と結論
1 検討の対象
本記事は,最高裁判所の裁判所調査官として在職したまま,民事調査官室と行政調査官室との間で担当が変わった実例を扱うものである。
平成27年9月10日,平成28年4月1日,平成29年4月1日,令和2年4月1日及び令和3年4月8日の各配置表並びに当ブログの裁判官経歴記事を,令和8年9月13日に確認した。
最高裁判所調査官への任命及び退任,民事・行政以外の調査官室内の変更並びに上席補佐への指名だけが変わった例は,本記事の対象外である。
2 確認できた三つの実例
確認できたのは,清水知恵子裁判官の行政調査官から民事調査官室上席補佐への変更,池原桃子裁判官の民事調査官から行政調査官への変更及び福井章代裁判官の行政上席調査官から民事上席調査官への変更である。
清水知恵子裁判官及び池原桃子裁判官については,変更の前後に作成された配置表が担当分野の変更を直接示している。
福井章代裁判官については,令和2年4月1日と令和3年4月8日の配置表から前後の担当分野を確認でき,変更日である令和2年6月24日は当ブログの経歴記事で確認できる。
第2 「配置転換」の意味
1 裁判所調査官の法的根拠
裁判所法57条は,最高裁判所,高等裁判所及び地方裁判所に裁判所調査官を置き,裁判官の命を受けて事件の審理及び裁判に関して必要な調査その他の法律で定める事務を担当すると定めている。
本記事でいう最高裁判所調査官は,この裁判所調査官として最高裁判所の事件の調査を担当する者である。
2 民事・刑事・行政の区分
最高裁判所調査官事務取扱要領1項及び2項によれば,調査官及び上席調査官の事務は首席調査官が指定し,担当する事務に応じて民事調査官,刑事調査官又は行政調査官と呼ばれる。
民事調査官は行政事件等を除く民事事件,刑事調査官は刑事事件,行政調査官は行政事件,労働事件,行政処分の違法を理由とする国家賠償請求事件及び裁判官分限事件等の調査に係る事務を担当する。
3 本記事で用いる「配置転換」
本記事の「配置転換」は,最高裁判所調査官という身分を離れずに,配置表上の調査官室又は担当分野が変わることを整理するための表現である。
確認した配置表の表題は「配置の変更」,事務取扱要領の文言は事務の「指定」であり,「配置転換」がこれらの資料上の正式名称であると確認できたわけではない。
したがって,本記事では,人事発令による官職の異動と区別し,担当替え又は調査官室の配置変更という意味で用いる。
第3 民事・行政間の配置変更の実例
1 清水知恵子裁判官-行政から民事へ
平成27年9月10日実施の配置表は,清水知恵子裁判官を行政調査官室に配置している。
これに対し,平成28年4月1日実施の配置表は,同裁判官を民事第三調査官室の上席補佐に配置している。
経歴記事によれば,同裁判官は平成24年4月1日から平成28年3月31日まで最高裁行政調査官,平成28年4月1日から平成29年3月31日まで最高裁民事調査官室上席補佐であった。
したがって,平成28年4月1日に,最高裁判所調査官として在職を続けながら行政分野から民事分野へ担当が変わったことを確認できる。
2 池原桃子裁判官-民事から行政へ
平成28年4月1日実施の配置表は,池原桃子裁判官を民事第二調査官室に配置している。
これに対し,平成29年4月1日実施の配置表は,同裁判官を行政調査官室に配置している。