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労働者派遣・職業紹介

派遣元・派遣先管理台帳の不備-指導,改善命令,事業停止,許可取消し及び罰則(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 管理台帳に関する違反の範囲1 派遣元管理台帳2 派遣先管理台帳3 作成義務の例外を誤らない第3 指導・助言,報告及び立入検査1 指導・助言は派遣元と派遣先の双方が対象となる2 報告徴収と立入検査3 行政調査時に提出する資料第4 派遣元事業主に対する行政処分1 改善命令2 事業停止命令3 許可取消し4 処分命令違反には別の罰則がある第5 派遣先管理台帳の不備に対する効果1 派遣先にも指導・助言と罰則がある2 勧告・公表の対象条文を区別する3 派遣元への影響を分けて考える第6 刑事罰と両罰規定1 30万円以下の罰金2 両罰規定第7 不備が見つかったときの是正手順1 原記録を保全して対象を確定する2 補正記録を別に残す3 派遣元・派遣先間で差異を照合する4 再発防止策を運用に組み込む第8 関連記事第9 出典1 法令2 厚生労働省資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,派遣元管理台帳又は派遣先管理台帳について,未作成,記載漏れ,保存期間不足又は派遣元への通知漏れが判明した場合の行政上・刑事上の効果と,実務上の是正手順を説明するものである。
令和8年9月10日現在の労働者派遣法及び厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の令和8年7月31日適用版を基礎とする。

厚生労働省は同年10月1日適用版の業務取扱要領も公表しているため,同日以後の調査又は処分では適用版を改めて確認する必要がある。
本記事でいう「不備」には,単なる誤字だけでなく,法定事項の全部又は一部を作成・記載しないこと,所定期間保存しないこと及び派遣先が所定事項を派遣元へ通知しないことを含む。

2 結論

派遣元管理台帳の作成・記載・保存義務違反と,派遣先管理台帳の作成・記載・保存・通知義務違反は,いずれも30万円以下の罰金の対象となり得る。
法人等の従業者が業務に関して違反行為をした場合は,行為者だけでなく法人等にも罰金刑を科す両罰規定がある。

行政対応は一律ではない。
厚生労働大臣又は都道府県労働局長による指導・助言は派遣元及び派遣先の双方を対象とし得るが,改善命令,事業停止命令及び許可取消しは,派遣元事業主の事業運営又は許可に対する制度である。
したがって,派遣先管理台帳の一つの記載漏れが直ちに派遣元の許可取消し又は派遣先の事業停止になる,という関係にはない。

不備を発見したときは,事実に反する作成日を記載して遡及的に整った外観を作らず,原記録を保存した上で,判明日,対象者,対象期間,確認資料,補正内容,補正者及び再発防止策を記録することが重要である。

第2 管理台帳に関する違反の範囲
1 派遣元管理台帳

労働者派遣法37条は,派遣元事業主に対し,事業所ごとに派遣元管理台帳を作成し,派遣労働者ごとに法定事項を記載することを求めている。
同条2項は,対象となる労働者派遣の終了日から3年間の保存を求めている。

違反となり得るのは,台帳を一切作成しない場合だけではない。
対象者又は派遣期間が欠けている,法定事項の一部を記載していない,出来事の都度記載すべき苦情処理や教育訓練等を記録していない,派遣終了後3年を経過する前に廃棄した,必要な電磁的記録を表示・出力できないなど,作成・記載・保存義務を実質的に果たしていない場合も問題となる。

2 派遣先管理台帳

労働者派遣法42条は,派遣先に対し,就業場所ごとに派遣先管理台帳を作成し,派遣労働者ごとに法定事項を記載し,3年間保存することを求めている。
派遣先は,日ごとの始業・終業時刻,休憩時間,実際に従事した業務,責任の程度及び就業場所等の所定事項を,原則として1か月ごとに1回以上派遣元へ通知する必要もある。

個別派遣契約に記載された予定をそのまま転記するだけでは,日々の就業実績を記録したことにならない。
勤怠,入退館記録,業務日報又は請求明細と異なる定型値を記載し続けている場合は,形式上欄が埋まっていても,実態を正確に記録しているかを確認する必要がある。

3 作成義務の例外を誤らない

労働者派遣法施行規則35条3項は,派遣先の事業所等における派遣労働者数と派遣先が雇用する労働者数の合計が5人以下である場合について,派遣先管理台帳の作成・記載義務の例外を定めている。
「派遣労働者が5人以下」であれば常に作成不要という基準ではない。

例外に該当すると判断した場合は,事業所等の範囲,判定時点,派遣労働者数,派遣先雇用労働者数及び合計人数を記録する。
台帳作成の例外に該当しても,労働時間管理,苦情処理,契約遵守その他の義務が当然に消滅するものではない。

第3 指導・助言,報告及び立入検査
1 指導・助言は派遣元と派遣先の双方が対象となる

労働者派遣法48条1項により,厚生労働大臣は,労働者派遣事業の適正な運営又は適正な派遣就業を確保するために必要があると認めるとき,労働者派遣をする事業主及び派遣を受ける者に対して指導・助言をすることができる。
この権限は,原則として都道府県労働局長が行使する。

厚生労働省の業務取扱要領は,違法行為が軽微である場合に直ちに行政処分又は司法処分を行わず自主的改善を促す場面のほか,法の趣旨に反する行為の改善や違法行為の予防にも指導・助言を用いると説明している。
したがって,指導を受けたことと,刑罰又は許可取消しを受けたことは同じではない。

2 報告徴収と立入検査

労働者派遣法50条により,厚生労働大臣は必要な限度で,派遣元及び派遣先に必要事項の報告を求めることができる。
同法51条1項による立入検査では,関係者への質問や帳簿・書類その他の物件の検査が行われ得る。

業務取扱要領は,検査対象となる重要書類の例として,派遣元管理台帳,派遣先管理台帳及び労働者派遣契約を明示している。
報告をしない,又は虚偽の報告をすること,立入検査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は質問に答弁せず若しくは虚偽の陳述をすることは,台帳の元の不備とは別の罰則対象となり得る。

3 行政調査時に提出する資料

台帳だけを切り離して提出すると,作成単位,更新時期及び実績との一致を説明できないことがある。
対象期間の基本契約,個別契約,派遣元から派遣先への通知,勤怠,派遣元への月次通知,請求書,苦情記録,変更契約及び訂正履歴をそろえ,どの資料から各記載を確認できるかを示す。

欠落がある場合は,不存在を隠すために資料を作り替えず,欠落期間,原因,代替資料の有無及び現在の補正状況を説明する。
提出した版,提出日,提出先及び説明内容を記録し,後の説明と矛盾しないようにする。

第4 派遣元事業主に対する行政処分

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派遣先が確認する労働者派遣契約書のチェックポイント-基本契約,個別契約,期間満了,中途解約及び直接雇用

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 契約審査を始める前にそろえる書類1 締結済みの基本契約2 対象期間の個別契約及び変更契約3 法定通知,管理台帳及び実績資料4 直接雇用を検討するときの追加資料第3 基本契約のチェックポイント1 契約当事者,許可及び適用範囲2 基本契約と個別契約の優先関係3 契約期間,更新及び解約4 派遣料金,請求及び不就労時間5 安全衛生,苦情及び損害賠償6 秘密保持,個人情報及び成果物7 直接雇用,職業紹介及び紹介手数料第4 個別契約の法定事項を確認する1 業務内容及び責任の程度2 就業場所,組織単位及び指揮命令者3 派遣期間,就業日及び就業時間4 安全衛生及び苦情処理5 中途解除時の雇用安定措置6 直接雇用に関する紛争防止措置7 派遣元・派遣先責任者その他の事項第5 期間満了及び更新のチェックポイント1 四つの終了日を分ける2 更新の意思決定及び書面化3 期間制限及び抵触日の確認4 期間満了後の処理第6 中途解約及び欠員補充のチェックポイント1 誰の事情で何を終了するかを特定する2 退職と個別契約の終了を同一視しない3 派遣先都合の中途解除4 費用負担及び終了合意第7 直接雇用を検討するときのチェックポイント1 派遣元との雇用関係終了後の雇用制限2 雇用関係継続中の採用3 事前通知,職業紹介及び手数料4 通常派遣から紹介予定派遣への変更5 直接雇用前の最終確認第8 派遣先用の最終チェックリスト1 契約締結前2 更新・期間満了前3 中途解約・交代時4 直接雇用時第9 関連記事第10 出典1 法令2 厚生労働省資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,労働者派遣を受け入れる企業が,派遣元から提示された基本契約及び個別契約を確認する際の実務上のチェックポイントを説明するものである。
令和8年9月10日現在の労働者派遣法,同法施行規則,厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の令和8年7月31日適用版及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」を基礎とする。
厚生労働省は令和8年10月1日適用版の業務取扱要領も公表しているため,同日以後に契約を締結又は更新する場合は,適用版を改めて確認する必要がある。

2 結論

派遣先が確認すべき「労働者派遣契約書」は一通ではない。
継続取引の共通条件を定める基本契約と,具体的な業務,責任の程度,就業場所,組織単位,派遣期間及び就業時間等を定める個別契約を分け,両者の優先関係及び変更方法まで確認する必要がある。

契約開始時だけでなく,期間満了前,中途解約を検討するとき及び派遣労働者の直接雇用を検討するときにも,読み直すべき条項が異なる。
特に,①基本契約の有効期間,②個別契約の派遣期間,③派遣労働者と派遣元との雇用期間,④実際の派遣就業期間並びに⑤派遣先との直接雇用の開始日は,別の日付として管理すべきである。

派遣労働者が派遣元を退職し,又は派遣先での就業を終えたことだけで,派遣元と派遣先との個別契約が当然に終了するとは限らない。
また,派遣元との雇用関係終了後の雇用禁止と,適法な職業紹介に基づく紹介手数料又は派遣先都合の中途解約に伴う費用負担は,別の問題として検討する必要がある。

第2 契約審査を始める前にそろえる書類
1 締結済みの基本契約

最初に,派遣元と派遣先との間で現在有効な基本契約を特定する。
雛形,修正履歴付きの交渉稿,社内承認前のクリーン版及び署名欄が空白の最終案は,契約内容の候補又は交渉経過を示すにとどまり,その文面で契約が成立したことを単独では証明しない。

書面契約であれば契約日,署名又は記名押印,別紙及び覚書を確認し,電子契約であれば締結完了証明書,署名者,締結日時及び原本データを確認する。
商号変更,合併,会社分割又は事業譲渡があった場合は,旧商号と現商号の法人の同一性,契約上の地位の承継,通知先及び振込先も確認する。

2 対象期間の個別契約及び変更契約

次に,受入れを検討する派遣就業に対応する個別契約を特定する。
同じ派遣元との取引でも,業務,就業場所,組織単位,派遣期間又は人数が異なれば,確認すべき個別契約も異なる。

「直近」「最新版」等のファイル名だけで現行契約と決めず,契約期間,更新契約,注文書,覚書及び変更合意を時系列に並べる。
派遣期間の延長,業務又は就業場所の変更,指揮命令者の変更及び人数の変更が,元の個別契約の訂正で処理されたのか,新たな個別契約又は変更契約で処理されたのかを確認する。

3 法定通知,管理台帳及び実績資料

個別契約は予定された就業条件を示す書類であり,実際に誰が,いつ,どの業務に従事したかは,派遣元から派遣先への通知,派遣先管理台帳,勤怠記録及び請求書と照合する必要がある。
個別契約に人数だけが記載され,派遣労働者の氏名が記載されていないこともあるため,労働者派遣法35条の通知によって対象者を確認する。

派遣先管理台帳では,就業日,始業・終業時刻,休憩時間,実際の業務,責任の程度,就業場所,苦情処理等を確認する。
契約書と台帳又は勤怠記録が異なる場合は,直ちに契約書又は台帳の一方を正しいと決めず,変更合意,残業,休日就業,応援勤務,記載漏れその他の原因を調査する。

4 直接雇用を検討するときの追加資料

派遣先が派遣労働者の直接雇用を検討するときは,基本契約及び個別契約だけでは足りない。
①派遣元と派遣労働者との労働契約の種類及び終了日,②就業条件明示書,③職業紹介契約及び手数料表,④直接雇用に関する覚書,⑤派遣元の有料職業紹介事業の許可又は届出の状況並びに⑥採用提案及び本人の応募の経緯を確認する。

派遣元との雇用関係が終了する日,個別契約が終了する日及び派遣先での就業開始日は同一とは限らない。
口頭の了解だけで進めず,各日付と必要な通知・合意を書面又は電子メールで確認する。

第3 基本契約のチェックポイント
1 契約当事者,許可及び適用範囲

基本契約の当事者名,本店所在地,代表者及び通知先が現在の法人情報と一致するかを確認する。
派遣元については労働者派遣事業の許可番号を確認し,直接雇用に伴う職業紹介を予定する場合は有料職業紹介事業の許可又は届出を別に確認する。

基本契約が,どの事業所,部門,関連会社及び個別契約に適用されるかも確認する。
グループ会社を一括して「派遣先」と扱う条項がある場合は,各法人が契約当事者となるのか,単に利用可能な事業所を示すのかを明確にする。

2 基本契約と個別契約の優先関係

基本契約の一般条項と個別契約の就業条件が矛盾した場合に,どちらを優先するかを確認する。
個別契約を優先する条項があっても,労働者派遣法26条及び同法施行規則22条の必要事項を欠くことが許されるわけではない。

注文書,電子メール又は業務システム上の操作で契約を変更できる範囲も確認する。
契約変更は書面による当事者双方の合意に限ると定めている場合,現場担当者間の口頭了解だけでは変更の効力が争われるおそれがある。

3 契約期間,更新及び解約

基本契約の始期・終期,自動更新の有無,更新拒絶の通知期限及び基本契約全体を終了させる解約条項を確認する。
基本契約の有効期間と個別契約の派遣期間は別であり,基本契約が終了しても既存の個別契約にどこまで条項が残るか,又は個別契約が終了しても基本契約が継続するかを確認する。

(続きを読む...)派遣先が確認する労働者派遣契約書のチェックポイント-基本契約,個別契約,期間満了,中途解約及び直接雇用

派遣元・派遣先管理台帳-法定記載事項,通知及び保存期間(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 二つの管理台帳の役割1 派遣元管理台帳2 派遣先管理台帳3 個別契約及び通知書との違い第3 派遣元管理台帳の作成単位と記載時期1 事業所ごと・労働者ごとに作成する2 原則として派遣前に記載する事項3 出来事の都度記載する事項第4 派遣元管理台帳の法定記載事項1 本人・雇用区分及び派遣先2 派遣期間・就業条件及び実績3 苦情・紹介予定派遣及び責任者4 例外業務・社会保険・教育訓練・雇用安定措置第5 派遣先管理台帳の作成単位と例外1 事業所等ごと・労働者ごとに作成する2 小規模事業所等の作成不要の場合第6 派遣先管理台帳の法定記載事項1 本人・派遣元及び雇用区分2 就業実績,業務及び場所3 苦情・紹介予定派遣・教育訓練及び責任者4 期間制限の例外及び社会保険第7 派遣先から派遣元への通知1 定期通知の対象事項2 通知の頻度と方法3 通知内容の照合第8 保存期間と電磁的保存1 保存期間は3年間である2 派遣元管理台帳の起算日に関する注意3 電磁的記録による作成・保存第9 点検方法と証拠上の限界1 対象者と期間を合わせて照合する2 台帳だけでは証明できない事項3 社内点検用チェックリスト第10 関連記事第11 出典1 法令2 厚生労働省資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳について,作成主体,作成単位,法定記載事項,記載時期,派遣元への通知,保存期間及び電磁的保存の方法を説明するものである。
令和8年9月10日現在の労働者派遣法,同法施行規則及び厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の令和8年7月31日適用版を基礎とする。

2 結論

派遣元管理台帳は派遣元が雇用管理のために作成し,派遣先管理台帳は派遣先が就業実態を把握して派遣元へ通知するために作成する。
両者は記載事項が重なるが同じ帳票ではなく,一方の写しを保存するだけでは,他方の法定義務を当然に履行したことにはならない。

保存期間はいずれも3年間であり,原則として対象となる労働者派遣の終了日が起算点となる。
派遣先は,就業日,始業・終業時刻,休憩時間,業務及び就業場所等の所定事項を,原則として1か月ごとに1回以上派遣元へ通知し,派遣元から請求されたときは遅滞なく通知する。

第2 二つの管理台帳の役割
1 派遣元管理台帳

労働者派遣法37条は,派遣元事業主に対し,派遣就業について派遣元管理台帳を作成し,派遣労働者ごとに法定事項を記載することを求める。
厚生労働省の業務取扱要領は,派遣元管理台帳を,派遣元が派遣労働者の雇用主として適正な雇用管理を行うためのものと説明している。

予定された派遣条件だけでなく,苦情処理,教育訓練,キャリアコンサルティング及び雇用安定措置も記録する。
派遣先から通知された就業実績が予定と異なる場合は,通知を受ける都度,異なる実績を記載する必要がある。

2 派遣先管理台帳

労働者派遣法42条は,派遣先に対し,派遣就業について派遣先管理台帳を作成し,派遣労働者ごとに法定事項を記載することを求める。
同要領は,派遣先管理台帳の目的を,就業日・労働時間等の実態を的確に把握するとともに,記載内容を派遣元へ通知し,派遣元の適正な雇用管理に役立てることとしている。

派遣先管理台帳は,個別派遣契約に記載された予定を転記するだけの書類ではない。
実際の就業日,始業・終業時刻,休憩時間及び従事した業務等を記録する必要がある。

3 個別契約及び通知書との違い

個別派遣契約は,派遣元・派遣先が具体的な派遣の予定条件を定める契約である。
派遣元から派遣先への労働者派遣法35条の通知は,その条件の下で実際に派遣される労働者の氏名,有期・無期の別及び社会保険等の加入状況等を知らせるものである。

これに対し,管理台帳は継続的な記録であり,日々の実績,苦情及び措置等が後から追加される。
個別契約,法35条の通知及び両管理台帳を対象者・期間ごとに照合することで,予定と実績の差が分かる。

第3 派遣元管理台帳の作成単位と記載時期
1 事業所ごと・労働者ごとに作成する

派遣元管理台帳は,派遣元事業主の事業所ごとに作成し,派遣労働者ごとに記録する。
厚生労働省の業務取扱要領は,雇用管理を円滑に行うため,有期雇用労働者と無期雇用労働者に分けて作成するものとしている。

労働基準法上の労働者名簿又は賃金台帳と合わせて調製することはできる。
もっとも,各帳票の法定記載事項及び保存期間が満たされていることを確認し,名称を統合したことだけで履行済みと判断しない。

2 原則として派遣前に記載する事項

派遣元管理台帳は,記載事項が確定する都度記載する。
苦情処理,教育訓練,キャリアコンサルティング,雇用安定措置の希望聴取及び実施内容を除く基本的な事項は,労働者派遣をする際にはあらかじめ記載しておく必要がある。

後から一括して台帳を作る運用では,派遣開始時点の契約,通知及び雇用状況を正確に再現できないおそれがある。
個別契約及び法35条の通知を起点として台帳を作成し,変更が生じる都度履歴を残す。

3 出来事の都度記載する事項

苦情の申出及び処理はその都度,教育訓練及びキャリアコンサルティングは実施の都度,雇用安定措置は希望の聴取又は措置実施の都度記載する。
派遣先から就業実績の通知を受け,予定された就業時間等と異なるときは,通知を受ける都度,その実績を記載する。

単に最新値で上書きすると,いつ,なぜ変更されたか分からなくなる。
変更前の値,変更日,根拠となる通知及び入力者を追跡できる形で管理することが望ましい。

第4 派遣元管理台帳の法定記載事項
1 本人・雇用区分及び派遣先

派遣元管理台帳の記載事項は,労働者派遣法37条1項及び同法施行規則31条に定められている。
本人及び雇用区分に関する事項は,①派遣労働者の氏名,②協定対象派遣労働者であるか否か,③無期雇用又は有期雇用の別及び有期の場合の労働契約期間並びに④60歳以上の者であるか否かである。

(続きを読む...)派遣元・派遣先管理台帳-法定記載事項,通知及び保存期間(AI作成)

派遣労働者の退職・欠員補充・労働者派遣契約の途中解除(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 最初に分ける四つの日付と三つの契約1 四つの日付2 三つの契約3 法26条上の労働者派遣契約第3 派遣労働者が退職するとき1 無期労働契約2 有期労働契約3 派遣先は退職日を決める当事者ではない第4 退職しても個別派遣契約が当然終了しない理由1 個別契約は通常,派遣人数と就業条件を定める2 個人の派遣就業終了と会社間契約の終了3 解除は将来に向かって効力を生ずる第5 欠員補充の判断と手続1 最初に基本契約と個別契約を読む2 派遣元から連絡する事項3 派遣先が補充を不要とするとき第6 派遣先都合による個別契約の途中解除1 契約で定めるべき雇用安定措置2 事前申入れは一律に30日前ではない3 新たな就業機会と費用負担4 解除理由の明示第7 派遣元側の雇用処理1 派遣契約終了と解雇は別である2 雇用安定措置第8 証拠化と実務手順1 取得する資料2 時系列表を作る3 終了合意に記載する事項第9 関連記事第10 出典1 法令2 厚生労働省資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,派遣就業中の労働者が退職する場合に,派遣元と派遣労働者との労働契約,派遣元と派遣先との個別派遣契約,欠員補充及び契約途中の解除をどのように区別して処理すべきかを説明するものである。
令和8年9月10日現在の民法,労働基準法,労働契約法,労働者派遣法及び厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の令和8年7月31日適用版を基礎とする。

2 結論

派遣労働者の退職,その労働者の派遣就業の終了及び派遣元・派遣先間の個別派遣契約の終了は,同じ出来事ではない。
派遣労働者が派遣元を退職しても,個別派遣契約が当然に消滅するとは限らず,派遣元が代替労働者を派遣するのか,派遣先が欠員補充を不要とするのか,個別派遣契約を合意解除するのかを別に決める必要がある。

派遣先の都合で契約期間満了前に個別派遣契約を解除するときは,労働者派遣法29条の2及び派遣先指針に基づく雇用安定措置が問題となる。
他方,派遣労働者自身の退職を契機として契約を終了する場合は,派遣先都合の解除と機械的に同一視せず,退職の原因,代替派遣の可否及び当事者間の合意を確認する。

第2 最初に分ける四つの日付と三つの契約
1 四つの日付

最初に,①派遣元へ退職を申し出た日,②派遣元との雇用契約が終了する日,③派遣先での最終就業日及び④個別派遣契約が終了する日を分ける。
派遣先がその労働者を直接雇用するときは,⑤直接雇用の開始日も加え,日付の前後関係を一覧表にする。

退職申出日と雇用終了日は同日とは限らず,最終就業日と雇用終了日も一致するとは限らない。
有給休暇の取得,貸与品の返却,引継ぎ,社会保険及び雇用保険の手続がある場合は,最後に出勤した日だけで雇用終了日を決めない。

2 三つの契約

確認する契約は,①派遣元と派遣労働者との労働契約,②派遣元と派遣先との基本契約及び③具体的な派遣期間・人数・就業条件を定める個別派遣契約である。
派遣先が直接雇用する場合は,④派遣先と労働者との新しい労働契約及び⑤職業紹介又は紹介手数料に関する合意も加わる。

各契約は当事者が異なる。
一つの契約が終了したことから,他の契約も当然に終了したと推論せず,各契約の期間,解除条項,更新条項,欠員補充条項及び変更方法を確認する。

3 法26条上の労働者派遣契約

厚生労働省の業務取扱要領は,継続的な基本契約と,個々の就業条件を定める個別契約を併用する方式では,労働者派遣法26条の「労働者派遣契約」は後者の個別契約であると説明している。
したがって,中途解除時の法定措置を検討するときは,基本契約の解約日だけでなく,対象となる個別派遣契約の期間及び終了処理を特定する必要がある。

第3 派遣労働者が退職するとき
1 無期労働契約

期間の定めのない雇用について,民法627条1項は,各当事者がいつでも解約を申し入れることができ,原則として申入れの日から2週間を経過することにより雇用が終了すると定める。
もっとも,就業規則又は労働契約に退職手続が定められていることがあるため,派遣労働者は派遣先だけに退職意思を伝えるのではなく,雇用主である派遣元に明確に申し出て,受領日及び退職日を記録する必要がある。

「法律上は必ず1か月前」と一律に説明することは正確ではない。
1か月前という期間が,派遣元の就業規則,派遣元・派遣先間の中途解除条項又は基本契約の更新拒絶条項のいずれに書かれているかを確認する。

2 有期労働契約

期間の定めのある雇用では,民法628条により,やむを得ない事由があるときは期間途中でも直ちに解除できるが,その事由が一方当事者の過失により生じた場合には損害賠償の問題が生じ得る。
労働契約法17条1項は,使用者が有期労働契約の期間途中で労働者を解雇するには,やむを得ない事由を要すると定める。

労働基準法137条は,一定の事業の完了に必要な期間を定める契約等の例外を除き,1年を超える有期労働契約を締結した労働者について,契約初日から1年経過後は使用者へ申し出ることにより退職できる旨を定める。
契約期間,開始日,同法14条1項の例外該当性及び退職理由を確認せず,「有期だから辞められない」又は「いつでも即日退職できる」と決めない。

3 派遣先は退職日を決める当事者ではない

派遣労働者の雇用主は派遣元である。
派遣先は本人の転職意思を尊重しつつも,派遣元への退職申出を代行したり,派遣元との雇用終了前の就労を当然の前提として採用日を決めたりしない。

直接雇用を予定するときは,派遣元との雇用終了日,個別派遣契約の終了日又は合意解除日,職業紹介手続及び直接雇用開始日を相互に整合させる。
形式上別の求人へ応募させても,実際の採用提案及び交渉経過が消えるわけではない。

第4 退職しても個別派遣契約が当然終了しない理由
1 個別契約は通常,派遣人数と就業条件を定める

労働者派遣法26条は,派遣契約の締結に際し,業務内容,就業場所,指揮命令者,派遣期間,就業日及び就業時間等を定め,内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めることを求めている。
紹介予定派遣を除く通常の派遣では,派遣先は契約締結に際して派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めなければならない。

個別契約が一人の派遣を予定していても,契約上の給付が特定の個人だけによる履行なのか,同等の要件を満たす代替労働者によって履行できるのかは,契約文言及び業務の性質による。
対象労働者の退職だけで契約終了と決めず,派遣人数,資格・技能,交代手続及び派遣先の受入条件を読む。

(続きを読む...)派遣労働者の退職・欠員補充・労働者派遣契約の途中解除(AI作成)

労働者派遣契約書と管理台帳の確認方法-基本契約・個別契約・通知書の違い(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 最初に区別すべき六種類の書類1 基本契約2 個別契約3 派遣元と派遣労働者との労働契約及び就業条件の明示4 派遣元から派遣先への通知5 派遣元管理台帳6 派遣先管理台帳第3 契約書を読む順序1 締結済み文書と交渉資料を分ける2 当事者と許可・商号を確認する3 基本契約と個別契約の優先関係を確認する4 日付を一枚の表にする第4 個別契約で確認する法定事項1 業務,責任及び就業場所2 指揮命令,派遣期間及び就業時間3 安全衛生,苦情処理及び契約解除時の雇用安定4 派遣終了後の直接雇用をめぐる紛争防止措置第5 管理台帳と通知の照合1 予定と実績を分ける2 有期・無期及び期間制限を照合する3 保存期間と起算日4 台帳から分かることと分からないこと第6 中途終了,交代及び直接雇用1 派遣労働者の退職と個別契約の終了2 直接雇用を検討するときの資料3 一般派遣と紹介予定派遣第7 実務用チェックリスト1 契約書の確認2 帳票及び実態の確認3 文書の形式及び管理第8 関連記事第9 出典1 法令2 厚生労働省資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,派遣先又は派遣元が労働者派遣に関する契約書及び帳票を確認する際に,どの書類を,どの順序で,何のために読むべきかを説明するものである。
令和8年9月10日現在の労働者派遣法,同法施行規則及び厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の令和8年7月31日適用版を基礎とする。
厚生労働省は令和8年10月1日適用版も公表しているため,同日以後は適用版を再確認する必要がある。

2 結論

労働者派遣に関する書類は,一通の「派遣契約書」だけでは完結しない。
①派遣元と派遣先との基本契約,②個々の派遣についての個別契約,③派遣元と派遣労働者との労働契約及び就業条件明示書,④派遣元から派遣先への通知,⑤派遣元管理台帳並びに⑥派遣先管理台帳を,当事者,対象期間及び作成目的を分けて確認する必要がある。

基本契約は継続的な取引条件を定めることが多いが,労働者派遣法26条の意味で中心となるのは,具体的な就業条件を定める個別契約である。
管理台帳は,実際の派遣就業及び雇用管理の記録として重要であるが,基本契約の締結,個別契約の変更又は派遣労働者の退職を単独で証明する書類ではない。

第2 最初に区別すべき六種類の書類
1 基本契約

基本契約は,派遣元と派遣先が継続して取引する場合に,共通して適用する派遣料金の決定方法,秘密保持,損害賠償,契約期間,更新,中途解除,直接雇用時の取扱い等を定める契約であることが多い。
もっとも,労働者派遣法が「基本契約」という名称の契約を必須としているわけではない。
厚生労働省の業務取扱要領は,基本契約と個別契約を締結する方式では,法26条の意味における労働者派遣契約は,具体的な就業条件を定める個別契約であると説明している。

2 個別契約

個別契約は,具体的な労働者派遣について,業務内容,責任の程度,就業場所,組織単位,指揮命令者,派遣期間,就業日及び就業時間等を定める契約である。
同じ基本契約の下でも,派遣労働者,業務,派遣期間又は就業場所が異なれば,確認すべき個別契約も異なる。

「直近」と表示された契約書でも,その後の更新契約又は変更契約が存在することがある。
ファイル名,作成日又はメールの送信日だけで現行版と決めず,契約期間,更新の有無,署名押印又は電子契約記録,後日の覚書及び実際の履行状況を確認する。

3 派遣元と派遣労働者との労働契約及び就業条件の明示

派遣労働者の雇用主は派遣先ではなく派遣元である。
派遣元と派遣労働者との労働契約は,派遣元と派遣先との個別契約とは当事者が異なる。
派遣元は,労働者派遣をしようとするとき,あらかじめ派遣労働者に対し,派遣をする旨,具体的な就業条件及び期間制限に抵触する最初の日等を明示しなければならない(労働者派遣法34条)。

派遣期間と,派遣元との雇用期間は同じとは限らない。
派遣就業が終了しても派遣元との雇用契約が継続する場合があり,反対に,派遣元との雇用契約の終了が企業間の個別契約を当然に消滅させるとも限らない。

4 派遣元から派遣先への通知

派遣元は,労働者派遣をするとき,派遣労働者の氏名,協定対象派遣労働者であるか,有期雇用又は無期雇用の別,60歳以上であるか及び社会保険等の加入状況を派遣先へ通知する(労働者派遣法35条)。
この通知は,個別契約で定めた人数及び就業条件の下で,実際に誰が派遣されるかを派遣先に伝えるものである。

個別契約が「一名」と定めていても,派遣労働者の氏名まで契約本文に記載する方式とは限らない。
個別契約と法35条の通知を組み合わせて,対象者及び期間を確認する。

5 派遣元管理台帳

派遣元管理台帳は,派遣元が,派遣先で就業する派遣労働者の雇用主として適正な雇用管理を行うために,派遣労働者ごとに作成する台帳である(労働者派遣法37条)。
氏名,有期・無期の別,派遣先,派遣期間,実際の就業時間,業務,苦情処理,教育訓練,キャリア・コンサルティング及び雇用安定措置等が記録される。

6 派遣先管理台帳

派遣先管理台帳は,派遣先が,労働日,労働時間その他の派遣就業の実態を把握し,その一部を派遣元に通知して,派遣元の雇用管理に役立てるために作成する台帳である(労働者派遣法42条)。
派遣労働者ごとに,氏名,派遣元,就業日,始業・終業時刻,休憩時間,従事した業務,責任の程度,就業場所,苦情処理等を記載する。

第3 契約書を読む順序
1 締結済み文書と交渉資料を分ける

最初に,署名押印済み契約書又は電子署名・締結ログのある契約と,雛形,修正案,コメント付き交渉稿及び最終案を分ける。
相手方が修正案へ回答したこと,変更履歴を削除したクリーン版が作られたこと,又はファイル名に「最終」とあることだけでは,その文面で契約が成立したことの証明にはならない。

契約書本体のほか,契約締結を示す電子メール,電子契約サービスの完了証明書,署名欄,契約日,別紙及び覚書を確認する。
契約成立が争われる場合は,その後の発注,派遣料金の請求・支払及び同じ条項を前提とした連絡も検討するが,履行事実だけから契約書の全文が合意されたと即断しない。

2 当事者と許可・商号を確認する

派遣元又は派遣先の商号が変更され,合併,会社分割又は事業譲渡が行われていることがある。
旧商号と現商号の法人が同一であるか,契約上の地位が承継されたか,通知先及び振込先が変更されたかを確認する。

派遣元については,労働者派遣事業の許可番号を確認する。
直接雇用時に職業紹介及び紹介手数料が問題となる場合は,有料職業紹介事業の許可,手数料表及び実際の職業紹介行為を別に確認する。

(続きを読む...)労働者派遣契約書と管理台帳の確認方法-基本契約・個別契約・通知書の違い(AI作成)

人材紹介の紹介手数料・違約金-直接採用条項の有効性と条項例(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 紹介手数料と違約金は別の問題である2 結論3 最初に確認する資料第2 紹介手数料の法的な仕組み1 有料職業紹介には原則として許可が必要である2 上限制手数料と届出制手数料3 手数料率の「相場」の見方4 発生時点,算定基礎及び返戻金第3 直接採用・中抜きを対象とする違約金1 条項の目的と限界2 令和7年4月1日以後の明示義務3 公序良俗と損害賠償額の予定4 求職者本人に負担させる条項第4 裁判例から分かること1 派遣先による直接雇用を妨げた事例2 派遣先への紹介手数料請求が認められた事例3 内定承諾後の採用取消しで手数料が認められた事例4 意図的な迂回交渉で違約金が認められた事例5 裁判例の読み方と確認状況第5 労働者派遣からの直接雇用との違い1 雇用関係終了後の雇用制限は禁止されている2 派遣契約に定める紛争防止措置3 通常派遣から紹介予定派遣への変更4 退職・欠員補充・途中解除とは別に整理する第6 紹介手数料・違約金条項の例1 条項例を使う前提2 紹介手数料条項3 直接採用・迂回採用条項4 採用取消し及び返戻金条項5 違約金条項6 派遣契約に置く場合第7 契約審査と紛争対応の実務1 求人企業側の確認事項2 紹介会社側の確認事項3 証拠と消滅時効第8 関連記事第9 主な法令・資料
第1 この記事の対象と結論
1 紹介手数料と違約金は別の問題である
人材紹介会社が求人企業に請求する金銭には,採用が成立したときの紹介手数料と,紹介会社を外した直接採用,虚偽の不採用連絡その他の契約違反に伴う違約金がある。
紹介手数料は職業紹介という役務の対価であり,違約金は契約違反への対応であるから,発生原因も有効性の判断方法も同じではない。

本稿は,有料職業紹介事業者と求人企業との契約を中心に,紹介手数料の法的な仕組み,直接採用・中抜き条項の有効性,令和7年4月1日以後の明示義務及び条項例を整理する。
労働者派遣から派遣先が直接雇用する場面は別の法規制があるため,第5節で区別する。
2 結論
紹介手数料率や違約金額には,すべての契約に通用する一律の「相場」や安全圏はない。
紹介手数料は,紹介会社が選択して届け出た手数料制度,求人企業へ明示した手数料表,契約上の発生時点及び算定基礎に従って判断する。

直接採用・中抜きへの違約金条項も当然に無効ではないが,紹介会社の正当な利益を守る範囲を超え,長期間又は広範囲に転職を妨げる内容や,労働者派遣法が禁止する,派遣元との雇用関係終了後の直接雇用制限を金銭で実現する内容は,無効となる可能性がある。
反対に,紹介を受けた求人企業が紹介会社を意図的に外し,本来の手数料を免れようとした場面では,契約条項に基づく請求が認められた裁判例がある。

したがって,金額だけでなく,対象となる候補者,禁止行為,対象期間,関係会社の範囲,発生要件,算定式,除外事由及び契約申込み時の明示方法を具体化する必要がある。
令和7年4月1日以後に求人企業から職業紹介の申込みを受ける場合,違約金等を定めている紹介会社は,その内容を求人企業に誤解が生じないよう明示しなければならない。
3 最初に確認する資料
紛争の結論は,基本契約だけでは決まらない。
基本契約,個別の求人申込書,手数料表,返戻金制度,利用規約,申込画面と同意記録,候補者を紹介したメール,面接記録,採否連絡,内定通知書,労働条件通知書,紹介会社と候補者との契約並びに実際の入社日を一式で確認する。

ウェブサイトの規約を使う場合は,申込当時の規約本文と版,求人企業が確認できた画面,チェック操作,送信日時及び改定履歴を保存する。
単にウェブサイトのトップページへのリンクを示しただけでは,金額や発生条件について十分な明示があったかが争われやすくなる。
第2 紹介手数料の法的な仕組み
1 有料職業紹介には原則として許可が必要である
職業安定法4条1項は,職業紹介を,求人及び求職の申込みを受け,求人者と求職者との間の雇用関係の成立をあっせんすることと定義している。
この有料職業紹介事業を行うには,原則として厚生労働大臣の許可が必要である。

事業者が用いる名称ではなく,実際に雇用成立へ向けたあっせんをしたかで判断される。
業務委託,採用支援又は情報提供という名称であっても,求人者と求職者の意思疎通を加工し,雇用成立を実質的に仲介して対価を受ける仕組みであれば,職業紹介事業の規制を検討する必要がある。

(続きを読む...)人材紹介の紹介手数料・違約金-直接採用条項の有効性と条項例(AI作成)

派遣社員の直接雇用-雇用禁止条項,紹介手数料及び紹介予定派遣(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論

1 対象と基準日
2 結論

第2 区別すべき四つの法律関係

1 派遣元と派遣労働者との労働契約
2 派遣元と派遣先との派遣契約
3 派遣先と派遣労働者との直接雇用契約
4 職業紹介と紹介手数料

第3 雇用禁止条項と労働者派遣法33条

1 派遣元との雇用関係が終了した後
2 派遣元との雇用関係が終了する前
3 「正当な理由」の範囲

第4 派遣労働者の退職と派遣契約

1 労働契約の種類と退職できる時期
2 派遣労働者の退職と個別派遣契約の終了
3 契約成立日と就業開始日

(続きを読む...)派遣社員の直接雇用-雇用禁止条項,紹介手数料及び紹介予定派遣(AI作成)

職業安定法と採用活動-職業紹介,求人情報,社員紹介及び公正採用選考(AIリライト)

目次

第1 この記事の対象と基準日1 この記事で扱う事項2 最初に区別すべき三つの場面第2 職業紹介の定義及び許可・届出1 職業紹介の定義2 有料職業紹介及び無料職業紹介3 職業紹介に関する最高裁判例第3 募集情報等提供及び求人情報の表示1 募集情報等提供事業2 求人情報の的確な表示3 令和6年4月から追加された明示事項4 令和7年4月からの金銭等の提供及び利用料金の表示5 インターネット上の募集広告に表示する事項第4 社員紹介制度1 社員紹介と職業紹介事業の区別2 紹介した社員に対する報奨3 中間搾取の禁止との関係第5 公正な採用選考1 適性及び能力に基づく選考2 性別,年齢及び障害に関する規制3 履歴書様式及び採用時の質問第6 応募者の個人情報1 職業安定法上の取扱い2 要配慮個人情報及び第三者提供3 身元調査,SNS及びAIを利用した選考第7 出典1 法令及び省令2 裁判例3 法令に基づく指針4 所管行政機関の解説及び資料5 文献及び関連記事
第1 この記事の対象と基準日
1 この記事で扱う事項

この記事では,採用活動のうち,職業紹介と募集情報等提供の区別,求人情報の表示,社員紹介制度,公正な採用選考及び応募者の個人情報の取扱いを説明する。
法令及び行政資料は令和8年9月2日現在の内容に基づく。
募集後の面接,健康情報,内定,試用期間及び本採用拒否については,「中途採用における使用者側の留意点――募集・選考・内定・試用期間の実務(AI作成)」で詳しく説明している。

2 最初に区別すべき三つの場面

採用に関するサービスは,①求人者と求職者との雇用関係の成立をあっせんする職業紹介,②求人情報又は求職者情報を提供する募集情報等提供,③使用者が自ら労働者を募集する直接募集に大別できる。
名称が求人サイト,スカウト又は社員紹介であるかではなく,誰が,どの情報を,どのように選別,加工又は伝達し,雇用関係の成立にどこまで関与するかを確認する必要がある。

第2 職業紹介の定義及び許可・届出
1 職業紹介の定義

職業安定法4条1項は,職業紹介を,求人及び求職の申込みを受け,求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることと定義している。
単に求人情報を掲載するだけの場合と異なり,事業者が求人者又は求職者を選別し,両者の意思疎通を中継し,又は採用条件の調整に関与する場合は,職業紹介に該当する可能性がある。

厚生労働省の「職業紹介事業と募集情報等提供事業の区分」は,提供する情報を事業者の判断で選別すること,求人者又は求職者に応じて情報を加工すること及び意思疎通の内容を加工することなどを区分上の考慮要素として示している。
検索条件に従った機械的な絞込み又は利用者の閲覧履歴に基づく表示が直ちに職業紹介となるわけではないが,サービスの実態を個別に確認する必要がある。

2 有料職業紹介及び無料職業紹介

有料職業紹介事業を行うには,職業安定法30条に基づく厚生労働大臣の許可が必要である。
無料職業紹介事業についても同法33条の許可が原則であるが,学校等は33条の2,特別の法律により設立された法人等は33条の3,地方公共団体は29条に,届出等の特則が設けられている。33条の4は,公共職業安定所が学校等による職業紹介を援助する旨の規定である。

したがって,無償であれば常に許可又は届出が不要になるわけではない。
サービスの反復継続性,利用料その他の対価,事業者の関与方法及び適用される主体別の特則を確認する必要がある。

有料職業紹介の許可や届出手数料表があることと,特定の求人者に手数料の支払義務があることは別である。手数料に関する規制(職業安定法32条の3)及び明示義務(32条の13)を踏まえ,個別契約の料率,算定基礎,対象となる採用及び支払条件を確認する。手数料表の上限が,そのまま合意した料率になるわけではない。

派遣先が派遣労働者を直接雇用する場合の紹介手数料及びその他の費用については,派遣社員の直接雇用-雇用禁止条項,紹介手数料及び紹介予定派遣(AI作成)で説明している。

有料職業紹介における紹介手数料,直接採用・中抜き時の違約金,令和7年4月以後の明示義務及び条項例については,人材紹介の紹介手数料・違約金-直接採用条項の有効性と条項例(AI作成)で説明している。

3 職業紹介に関する最高裁判例

最高裁昭和29年3月11日判決(昭和27年(あ)第3626号,刑集8巻3号240頁)は,職業安定法上の雇用関係について,必ずしも民法上の雇用契約に限られないとの趣旨を示した。
職業紹介に該当するかを契約の名目だけで判断できないことを示す判例である。

最高裁平成6年4月22日判決(平成3年(オ)第1943号,民集48巻3号944頁)は,求人企業から依頼を受けて対象者を探索し,転職を勧誘して雇用関係の成立をあっせんするいわゆるスカウト行為が職業紹介に含まれ得ることを前提として,手数料に関する契約の効力を判断した。
同判決が参照した当時の定義規定は旧5条1項であり,現行法では4条1項に置かれている。

第3 募集情報等提供及び求人情報の表示
1 募集情報等提供事業

募集情報等提供とは,求人情報又は求職者情報を労働者になろうとする者又は求人者等に提供する事業であり,令和4年10月施行の改正職業安定法により規律が整備された。
求職者に関する情報を収集して募集情報等を提供する特定募集情報等提供事業者は,職業安定法43条の2に基づく届出を要する。

特定募集情報等提供事業者には,労働者になろうとする者への金銭等の提供に関する規制,事業概況報告,事業情報の公開,苦情処理及び個人情報の適正な管理等が課される。
制度の全体像及び届出様式は,厚生労働省の「募集情報等提供事業」で確認できる。

2 求人情報の的確な表示

職業安定法5条の4は,求人者,職業紹介事業者及び募集情報等提供事業者等に対し,求人等に関する情報について虚偽又は誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めている。
また,正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならない。

求人を終了したのに掲載を続けること,実際の業務と著しく異なる名称を用いること,又は固定残業代を基本給と区別せずに表示することは,応募者に誤解を生じさせる原因となる。
求人情報の掲載後も,募集の終了,労働条件の変更及び求人者からの訂正依頼を反映する運用が必要である。

3 令和6年4月から追加された明示事項

令和6年4月1日から,求人時に明示すべき労働条件として,①従事すべき業務の変更の範囲,②就業場所の変更の範囲及び③有期労働契約を更新する場合の基準が追加された。
更新上限がある場合は,通算契約期間又は更新回数の上限も明示する必要がある。

厚生労働省の「令和6年4月より,募集時等に明示すべき事項が追加されます」には,求人票の記載例が掲載されている。
求人広告,職業紹介事業者への求人申込み及び自社ウェブサイトの募集要項を同じ基準で点検するのが実務上有用である。

4 令和7年4月からの金銭等の提供及び利用料金の表示

(続きを読む...)職業安定法と採用活動-職業紹介,求人情報,社員紹介及び公正採用選考(AIリライト)

労働者派遣法の基本-禁止業務,期間制限,派遣契約及び違法派遣(AIリライト)

第1 労働者派遣法の対象と基本構造

1 この記事の対象と基準日
2 派遣元,派遣先及び派遣労働者の関係
3 労働者供給,請負及び在籍型出向との違い

第2 労働者派遣法の沿革

1 制定から対象業務の原則自由化まで
2 平成15年,平成24年及び平成27年改正
3 令和2年以降の均等・均衡待遇

第3 禁止又は制限される労働者派遣

1 港湾運送業務,建設業務及び警備業務
2 病院等における医療関係業務
3 日雇派遣
4 労働争議中の派遣及び有害業務

第4 労働者派遣契約

1 法定の記載事項
2 基本契約と個別契約
3 派遣労働者を特定する行為
4 中途解除と費用負担

(続きを読む...)労働者派遣法の基本-禁止業務,期間制限,派遣契約及び違法派遣(AIリライト)