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司法試験・司法修習

司法試験の国際公法―令和6年~令和8年の過去問・答案と論点別ガイド(AI作成)

目次

第1 国際公法の過去問を探すときの入口第2 令和6年~令和8年の年度別一覧第3 論点別に過去問と個別解説を読む1 条約法―署名,留保,解釈宣言,脱退2 国家承認,自決権,国連の紛争解決3 海洋法―公海衝突,領海,国際海峡4 国家責任,武力行使,不干渉原則5 外交的保護,犯罪人引渡し,外交官の免除6 難民と国際司法裁判所の管轄権第4 答案と評価項目の使い方1 問題文を読んで自分の答案を作る2 5段階の重みを公式の点数に換算しない3 3年分の論点を出題範囲全体とみなさない第5 年度別の選択科目記事と公式資料
第1 国際公法の過去問を探すときの入口

司法試験で国際公法を学ぶ場合の正式な選択科目名は「国際関係法(公法系)」である。本記事は,令和6年~令和8年の第1問・第2問について,ブログに掲載した答案と評価項目の解説を,年度別・論点別に探せるよう整理したものである。
国際公法の意味,国際私法との違い,条約・慣習国際法の基本は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いを参照。全科目の年度別の入口は,司法試験の過去問・参考答案一覧にある。
問題文は法務省の公式資料で確認する。ブログの答案,評価項目及び5段階の重み付けは,学習のための独自の整理であり,公式の採点基準・配点・予測得点を示すものではない。

第2 令和6年~令和8年の年度別一覧
年度・問題主な論点答案・解説令和6年・第1問国家承認・自決権・国連の紛争解決模範解答・評価項目令和6年・第2問公海衝突・武力の威嚇・国家責任模範解答・評価項目令和7年・第1問条約の署名・留保・脱退模範解答・評価項目令和7年・第2問国際海峡・国家責任・ITLOS管轄権模範解答・評価項目令和8年・第1問外交的保護・犯罪人引渡し・外交官免除参考答案・評価項目令和8年・第2問難民・武器供与・ICJ管轄権参考答案・評価項目

令和6年と令和7年の記事は,公表された出題の趣旨・採点実感との対応を示している。令和8年の記事は,令和8年9月30日の作成時点で,それらを読まずに問題文と法的資料から作成した参考答案である。各記事の確認範囲と作成時点を確認して読む必要がある。
公式問題PDF:令和6年・選択科目,令和7年・選択科目,令和8年・選択科目

第3 論点別に過去問と個別解説を読む
1 条約法―署名,留保,解釈宣言,脱退

条約法の基本問題をまとめて検討するには,令和7年・第1問が入口となる。署名と条約に拘束されることへの同意を分け,声明の名称だけでなく,法的効果に着目して留保か解釈宣言かを考える。脱退については,条約の規定とウィーン条約法条約上の要件を確認する。
条約と慣習国際法を区別する問題は,令和8年・第2問及びICJ選択条項受諾宣言と留保にもつながる。まず条約上の請求を特定し,別に慣習国際法上の請求が成り立つかを検討する。

2 国家承認,自決権,国連の紛争解決

令和6年・第1問では,国家成立・国家承認と自決権を区別し,安全保障理事会の表決や国連内で利用できる紛争解決の経路を検討する。制度名を並べるだけでなく,当事者,権限,手続上の条件を問題文の事実に対応させることが大切である。

3 海洋法―公海衝突,領海,国際海峡

令和6年・第2問では公海上の衝突後の刑事管轄,令和7年・第2問では海峡の通航制度が問題となる。いずれも,海域,船舶の種類,関係国の条約締約国性を整理してから,適用される規則を確かめる。
個別解説:日本の領海,直線基線,国際海峡の通航制度。
基線の引き方,領海の幅,海峡の通航制度は互いに関連するが,それぞれの判断条件を順に確認する必要がある。

4 国家責任,武力行使,不干渉原則

令和6年・第2問,令和7年・第2問,令和8年・第2問が関連する。適用法,国家への行為の帰属,義務違反,違反後の救済を分けて答案を組み立てる。
武器供与の評価については,ニカラグア事件も参照。反政府勢力の行為が国家に帰属するかという問題と,援助国自身の支援行為が義務違反となるかという問題を混同しないことが必要である。

5 外交的保護,犯罪人引渡し,外交官の免除

令和8年・第1問が関連する。同じ国際的な個人の問題でも,外交的保護を行う国の資格,犯罪人引渡しの義務の根拠,外交官の裁判権免除は別の制度である。
個別解説:外交的保護,犯罪人引渡し,外交官の民事裁判権免除。
国内裁判との接点を確認する場合は,外国国家を被告とする民事訴訟も参照。

6 難民と国際司法裁判所の管轄権

令和8年・第2問では,難民該当性,武器供与の国際法上の評価,ICJの管轄権がそれぞれ問われる。
個別解説:難民条約上の難民,ICJ選択条項受諾宣言と留保。実体法上の義務違反があるかと,裁判所がその請求を審理できるかを分けて検討する。

第4 答案と評価項目の使い方

(続きを読む...)司法試験の国際公法―令和6年~令和8年の過去問・答案と論点別ガイド(AI作成)

令和9年(2027年)司法試験の日程―出願受付・試験日・合格発表の予定(AI作成)

目次

第1 令和9年司法試験の日程の要点第2 出願受付から合格発表までの実施予定第3 試験日の科目と試験時間1 論文式試験2 短答式試験第4 試験地と未公表事項の確認先1 試験地は原則全国47都道府県2 令和9年の年度別ページを確認する3 前年の手続情報を読むときの注意第5 関連記事第6 出典及び確認状態
第1 令和9年司法試験の日程の要点

令和9年(2027年)司法試験の試験日は,7月14日(水),15日(木),17日(土)及び18日(日)の4日間である。7月16日(金)は,公表された試験期日に含まれていない。
司法試験委員会の令和8年8月5日決定「令和9年司法試験の実施日程等について」は,試験科目・試験時間と,出願から合格発表までの実施予定表を公表している。

このページは同決定の1頁・2頁を基に,日程を整理したものである。出願の開始・終了時刻,納付方法,受験手数料,具体的な会場及び当日の集合時刻は,この日程資料だけでは確定できない。令和8年の受験案内の条件を令和9年へ流用せず,令和9年の試験公告・受験案内で確認する必要がある。
受験資格,5年間の受験期間及び試験科目の制度は,司法試験とはで説明している。

第2 出願受付から合格発表までの実施予定
事項公表された期日試験公告令和8年12月18日(金)電子出願受付令和9年3月8日(月)~4月1日(木)受験願書交付令和9年3月8日(月)~3月25日(木)郵送出願受付令和9年3月18日(木)~4月1日(木)試験実施令和9年7月14日(水)・15日(木)・17日(土)・18日(日)短答式試験成績発表令和9年8月5日(木)合格発表令和9年11月10日(水)

以上は,日程資料2頁の「令和9年司法試験実施予定表」に記載された予定である。電子出願と郵送出願では受付開始日が異なり,願書の交付終了日と出願受付終了日も異なる。
出願受付の最終日だけをカレンダーに登録するのではなく,利用する出願方法の受付開始日,必要書類を用意する時期及び受験案内で定められる手数料納付期限を分けて確認する。

第3 試験日の科目と試験時間
1 論文式試験
日付科目と試験時間7月14日(水)選択科目(3時間),公法系科目第1問(2時間),公法系科目第2問(2時間)7月15日(木)民事系科目第1問・第2問・第3問(各2時間)7月17日(土)刑事系科目第1問・第2問(各2時間)

上表の時間は各科目の試験時間であり,集合・受付終了・開始・休憩の時刻を示すものではない。当日の時刻表が公表されたときは,受験票と受験案内も併せて確認する。
練習問題と参考答案は,司法試験の過去問・参考答案一覧から年度・科目別に探すことができる。

2 短答式試験

7月18日(日)は短答式試験であり,憲法50分,民法75分及び刑法50分が公表されている。
短答式試験の成績発表と司法試験の最終合格発表は別である。合格判定の仕組みは,司法試験の合格点・採点・成績通知を参照されたい。

第4 試験地と未公表事項の確認先
1 試験地は原則全国47都道府県

日程資料1頁は,試験地を「原則全国47都道府県」としている。これは具体的な試験会場の名称・所在地又は受験者への割当てを示すものではない。
希望地の指定方法,具体的な会場及び会場決定の通知方法は,当該年度の案内によって確認する必要がある。会場名が分かる前に,前年の所在地を令和9年の受験会場と決めつけない。

2 令和9年の年度別ページを確認する

令和8年10月11日に確認した法務省「令和9年司法試験の実施について」には,「実施日程」のPDFが掲載されている。出願の詳細を定める受験案内や具体的な会場案内は,この確認時点では掲載されていない。
確認する資料は,①試験公告,②受験案内,③試験会場,④CBTの操作・受験上の注意及び⑤受験票に関する案内である。掲載後は年度,資料の更新日及び対象試験が司法試験であることを確認する。
予備試験は別の試験であり,その出願期間・試験日をこの日程と混同しない。

3 前年の手続情報を読むときの注意

司法試験のCBTとオンライン手続は,令和8年の出願・操作・持込品などを整理している。手続の種類を把握する参考にはなるが,令和9年の具体的条件が同じであることを保証するものではない。
CBTの画面仕様,紙の法文の扱い,端末障害時の手順及び特別措置も,受験年度の案内で確認する。

第5 関連記事

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司法試験の合格率・合格者数の推移―令和4年~令和7年と受験資格別の比較(AI作成)

目次

第1 最新の最終合格率と数字の読み方第2 令和4年~令和7年の合格者数と合格率第3 法科大学院修了・在学中受験・予備試験の比較1 令和7年の受験資格別2 令和5年・令和6年の受験資格別第4 合格率から進路を考えるときの注意点1 予備試験合格者の司法試験合格率と予備試験の合格率は違う2 単年度の合格率と修了後の累積合格率は違う3 合格者数と司法修習生採用者数は違う第5 令和8年の短答式結果と最終合格率の区別第6 関連記事第7 出典及び確認範囲1 全体の受験者数・合格者数2 受験資格別の人数と令和8年の短答式結果3 計算と確認時点
第1 最新の最終合格率と数字の読み方

令和7年(2025年)司法試験の受験者は3837人,最終合格者は1581人であり,受験者を分母とする合格率は41・20%である。法務省が公表した受験者数には途中欠席者も含まれる。
令和8年10月11日現在,令和8年司法試験は短答式の結果まで公表されている。令和8年の短答式で必要な成績を得た者の割合を,最終合格率として表示しない。

このページでは,令和4年~令和7年の全体の推移と,令和5年~令和7年の三つの受験資格別の人数・割合を整理する。各表の合格率は「最終合格者数÷受験者数×100」で計算し,小数第3位を四捨五入した値である。
受験資格の要件と受験期間は,司法試験とはで説明している。

第2 令和4年~令和7年の合格者数と合格率
年度受験者数最終合格者数合格率令和7年3,837人1,581人41.20%令和6年3,779人1,592人42.13%令和5年3,928人1,781人45.34%令和4年3,082人1,403人45.52%

令和7年の最終合格者数は,令和6年より11人少ない1581人である。合格率は42・13%から41・20%へ変化している。
ただし,合格率は合格者数だけでなく受験者数によっても変わる。受験者の資格構成や受験回数が異なり,在学中受験が始まった令和5年をまたぐ比較でもあるため,この表だけで試験の難易度が変化したと断定しない。
出典は,法務省の令和5年・令和6年・令和7年の採点結果1頁にある人数表である。令和4年の人数は令和5年資料の前年欄で確認した。

第3 法科大学院修了・在学中受験・予備試験の比較
1 令和7年の受験資格別
受験資格受験者数最終合格者数合格率法科大学院修了2,013人441人21.91%法科大学院在学中1,352人712人52.66%予備試験合格472人428人90.68%

3経路の受験者数を足すと3837人,最終合格者数を足すと1581人となり,第2の全体の数と一致する。法科大学院修了者と在学中受験者をまとめた合格率と,在学中受験者だけの合格率は異なる。
資格別の分類は,当該司法試験の受験資格に基づく分類である。例えば,予備試験合格資格で受験した者の中にも法科大学院の在学生又は修了者が含まれ得るため,「予備試験合格者」を法科大学院と無関係な人だけの集団と読まない。

2 令和5年・令和6年の受験資格別
年度・受験資格受験者数最終合格者数合格率令和6年・法科大学院修了2,072人471人22.73%令和6年・法科大学院在学中1,232人680人55.19%令和6年・予備試験合格475人441人92.84%令和5年・法科大学院修了2,505人817人32.61%令和5年・法科大学院在学中1,070人637人59.53%令和5年・予備試験合格353人327人92.63%

令和5年から,法科大学院在学中の所定要件を満たす者にも司法試験の受験資格が認められた。在学中受験者と修了者は,修了時点や受験回数等の構成が異なるため,単年度の割合を教育課程そのものの効果と同一視しない。
未修者と既修者を比較する場合も,受験資格,受験年度及び分母をそろえる必要がある。詳しくは,法学未修者の司法試験合格率を参照されたい。

第4 合格率から進路を考えるときの注意点
1 予備試験合格者の司法試験合格率と予備試験の合格率は違う

令和7年の90・68%は,予備試験合格資格で司法試験を受験した472人のうち,428人が司法試験に最終合格したという割合である。予備試験を受け始めた人全体の割合ではない。
予備試験合格という前段階の選抜を通過した集団であるため,この数字だけから,予備試験ルートの方が短期間又は少ない学習負担で法曹へ進めると結論付けることはできない。
制度と年間日程は,予備試験とはで確認できる。

2 単年度の合格率と修了後の累積合格率は違う

このページは,各年度に受験した人を分母とする単年度の合格率を示している。特定の年度の入学者又は修了者が,その後の受験可能期間中に何人合格したかという累積合格率ではない。
学校を比較する場合は,単年度の合格率,修了後の累積合格率,途中退学や留年,受験資格の認定及び学習・費用の条件を分けて確認する。同じ「合格率」という名称でも分母が違う資料を並べない。

3 合格者数と司法修習生採用者数は違う

司法試験に合格した後,司法修習生になるためには別途採用選考の申込みが必要である。司法試験合格者数と,同じ時期の司法修習生採用者数を同じ人数として扱わない。

(続きを読む...)司法試験の合格率・合格者数の推移―令和4年~令和7年と受験資格別の比較(AI作成)

司法試験の過去問・参考答案一覧―令和元年~令和8年の年度別・科目別ガイド(AI作成)

目次

第1 過去問と答案を探すときの入口1 公式資料とブログの答案を区別する2 年度と科目から2段階で探す第2 主要7科目の年度別一覧第3 選択科目8科目の年度別一覧第4 参考答案を使った復習方法1 読む前に自分の答案又は構成を書き残す2 設問への応答,理由付け,当てはめを分けて点検する3 5段階の重みを得点に換算しない4 不足した一段落を書き直す第5 公式問題・短答式正解・出題趣旨・採点実感の探し方1 法務省の資料を年度別に探す2 制度と合格判定を確認する第6 出典及び確認範囲
第1 過去問と答案を探すときの入口

司法試験の過去問を復習するときは,まず公式の問題文を取り出し,自分で答案を書いた後に,出題の趣旨・採点実感と参考答案を照合する。
このページは,山中弁護士ブログで公開している令和元年~令和8年の主要7科目と,令和6年~令和8年の選択科目8科目について,年度別の一覧記事への入口をまとめたものである。短答式の問題と正解,それ以前の年度及び予備試験の公式資料は,第5の資料案内から探すことができる。

試験制度から調べたい場合は,司法試験とは―受験資格・受験期間・試験科目・合格判定・合格後の流れを先に参照されたい。

1 公式資料とブログの答案を区別する

法務省が公表する問題,出題の趣旨及び採点実感と,このブログが独自に作成した答案・評価項目は別の資料である。ブログの「模範解答」という題名も,法務省の公式答案又は唯一の正解という意味ではない。
令和8年の一覧は参考答案と予想される評価項目を扱う。各記事の出典欄で,公式資料を読んだ範囲,問題文・法令・判例から予想した範囲及び確認時点を確かめてから使う必要がある。

2 年度と科目から2段階で探す

第2又は第3で年度を選び,リンク先の科目一覧から個別記事へ進む。個別記事では問題の概要,評価項目,答案,解説及び出典を確認できる。
一覧に掲載していない年度・科目について,記事がないことや未作成であることを一律に示すものではない。ここでは,下表の公開一覧を案内する。

第2 主要7科目の年度別一覧

主要7科目は,憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法である。年度別一覧から,必要な科目の答案と解説へ進むことができる。

年度ブログ内の案内一覧の位置付け令和8年主要7科目の一覧参考答案・予想評価項目令和7年主要7科目の一覧模範解答・評価項目令和6年主要7科目の一覧模範解答・評価項目令和5年主要7科目の一覧模範解答・評価項目令和4年主要7科目の一覧模範解答・評価項目令和3年主要7科目の一覧模範解答・評価項目令和2年主要7科目の一覧模範解答・評価項目令和元年主要7科目の一覧模範解答・評価項目

公法系第1問は憲法,第2問は行政法,民事系第1問は民法,第2問は商法,第3問は民事訴訟法,刑事系第1問は刑法,第2問は刑事訴訟法に対応する。
過去問を年度順に解く場合も,苦手な科目を複数年度で比べる場合も,個別記事の冒頭で対象年度と問題番号を確認する。

第3 選択科目8科目の年度別一覧

各年度の一覧は,倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系)をまとめている。

国際関係法(公法系・国際公法)を年度別・論点別に探す場合は,司法試験の国際公法―過去問・答案と論点別ガイドを参照。国際私法との違いや法源から確認する場合は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いと基本事項に進める。

年度ブログ内の案内一覧の位置付け令和8年選択科目8科目の一覧参考答案令和7年選択科目8科目の一覧模範解答・評価項目令和6年選択科目8科目の一覧模範解答・評価項目

主要7科目の一覧には選択科目の答案は含まれないため,選択科目はこの表から探す。選択科目の学習に使うときは,各科目の第1問・第2問と設問ごとの指定を確認する。
評価項目数や重みの合計は,科目選択の有利不利又は学習時間を示す数値ではない。

第4 参考答案を使った復習方法
1 読む前に自分の答案又は構成を書き残す

公式問題文だけを読んで,指定された立場,検討対象,除外事項及び設問ごとの結論を整理する。時間を測って答案を書いた場合は所要時間を,構成だけを作った場合はその範囲を記録する。
最初から参考答案の順序をなぞると,自分で論点や事実を選べたのかを確認しにくくなる。比較するために,修正前の答案は残しておく。

2 設問への応答,理由付け,当てはめを分けて点検する

最初に設問へ直接答えているかを確認し,次に法的な判断枠組み,問題文の事実の評価及び結論への接続を確認する。結論が参考答案と異なる場合も,立場,理由付け及び事実評価が整合しているかを読む。
公式の採点実感が指摘する誤りと,自分の答案のどの記載が対応するかを具体的に記録し,「論点を知っていた」という評価だけで終わらせない。

3 5段階の重みを得点に換算しない

(続きを読む...)司法試験の過去問・参考答案一覧―令和元年~令和8年の年度別・科目別ガイド(AI作成)

司法研修所の寮ガイド―いずみ寮・ひかり寮の部屋,寮費,持ち物と生活(AI作成)

目次

第1 司法研修所の寮を利用する前に確認すること1 いずみ寮・ひかり寮と修習の段階2 入寮希望者全員が必ず入れるとは限らない第2 部屋と備品―持参する物を決めるための確認表1 いずみ寮とひかり寮の建物2 部屋にある物と,自分で用意する物第3 寮費と申込み―金額だけでなく対象期間を確認する1 寮費は期・修習の段階・対象期間と一緒に読む2 第80期の採用選考日程と入寮申込期限は別第4 寮での生活―食事・洗濯・通信・持込みの制限1 食事と洗濯2 インターネットは無料Wi-Fiと決めつけない3 上履き・門限・電気製品第5 入寮当日と荷物―許可通知書で配達日・宛名・入口を確認する1 発送前の確認2 通所時と入寮時では入口の確認が異なる第6 寮と給付金―住居費と引越し費用を分けて考える第7 よくある確認事項1 入寮は義務か2 寮費だけで食費や通信費も賄えるか3 持ち物リストはどの資料を見ればよいか第8 参照資料と関連記事

司法研修所のいずみ寮・ひかり寮で暮らす準備は,部屋の備品を確認し,自分で用意する物を決め,入寮許可通知書に従って寮費の支払いと荷物の発送を進める順序で考えると分かりやすい。

本記事は,主に第78期集合修習に関する令和7年9月8日付の入寮許可通知書と別紙に基づき,寮の部屋,設備,持ち物,食事,洗濯,通信を整理する。これは当時の案内であり,第79期・第80期の寮費,申込期限,部屋の割当て,設備や生活上の条件が同じであることを示すものではない。入寮する期の案内と,自分宛ての許可通知書を優先して確認する。

第1 司法研修所の寮を利用する前に確認すること
1 いずみ寮・ひかり寮と修習の段階

司法研修所の寮は,埼玉県和光市南二丁目3番8号にあるいずみ寮A棟・B棟とひかり寮である。導入修習の入寮申込みと,集合修習の入寮・退寮手続は区別する。実務修習地での賃貸住宅探しとは,確認する資料も異なる。

導入修習の手続は導入修習の入寮申込み,集合修習の期別資料は集合修習の入寮・退寮手続を参照する。賃貸・実家との比較は司法修習の住まい選びにまとめている。

2 入寮希望者全員が必ず入れるとは限らない

第78期の令和7年7月10日付入寮申込み案内は,入寮希望の有無を全員に回答するよう求め,定員を上回った場合には通所圏外からの希望者を優先し,通所圏内でも所要時間の長い者から順に許可し,抽選となる場合があるとしている。希望を出した段階と,入寮が許可された段階を区別する必要がある。

同じ第78期でも,7月10日付の案内はひかり寮を男女いずれの利用もあり得る施設としていた一方,9月8日付の別紙は女性用としている。寮棟の用途や割当てを,古い体験談や別の期の案内だけで判断しないことが大切である。

第2 部屋と備品―持参する物を決めるための確認表
1 いずみ寮とひかり寮の建物

第78期の令和7年9月8日付案内では,いずみ寮はA棟・B棟とも7階建てで,A棟が男性用,B棟が女性用,ひかり寮は3階建ての女性用とされている。いずれもエレベーターがある。これは当該案内時点の区分であり,入寮者が自由に寮棟を選べるという意味ではない。

2 部屋にある物と,自分で用意する物

同案内は,居室を1人部屋で約18平方メートル(ベランダを含む。)とし,次の設備・備品を挙げている。

項目案内に記載された設備・備品準備のポイント勉強・収納机,椅子,本棚,電気スタンド,クローゼット・押入れ学習道具や衣類を持参する。収納用品は部屋の寸法を確認してから選ぶ。空調・冷蔵エアコン,縦横約50センチの小型冷蔵庫大型家電を当然に必要と考えず,設置済みの設備を確認する。浴室・トイレトイレ付きユニットバス。温水洗浄便座はない。トイレットペーパー,シャンプー,リンスは備え付けではないとされる。タオル等の日用品も用意する。寝具ベッド,マットレス,枕,掛け布団,ベッドパット案内にはリネン類の週1回の交換も記載されている。自分で用意する寝具の範囲は当該期の案内で確認する。電話・通信内線電話,無線LANルーターインターネット接続は個別契約・有料とされる。ルーターの設置と無料通信の提供は別である。テレビ備え付けのテレビはない。必要性と搬入条件を検討する。

トイレットペーパー等の「備え付けではない物」は資料に明記されている。これに対し,ハンガー,延長コード,掃除用品等を準備するかは,生活の仕方,最新の設備案内,持込みの制限を確認して判断する。資料に記載がない物を「必須の指定持参物」とは扱わない。

第3 寮費と申込み―金額だけでなく対象期間を確認する
1 寮費は期・修習の段階・対象期間と一緒に読む

第78期の令和7年9月8日付入寮許可通知書には,寮費30,600円と,9月30日を振込期限とする記載がある。通知書本文の入寮日は11月20日であり,これらはその通知書の対象となる入寮についての金額・日程である。30,600円を現在の一律料金や月額家賃として紹介するのは適切でない。

なお,公開PDFのファイル名には「78期B班」とあるが,本文には上記の入寮日が記載されている。金額や日程を使うときはファイル名だけで対象を判断せず,本文を確認する必要がある。

過去の導入修習の寮費と集合修習の寮費を混ぜず,許可通知書で対象期間,納付額,振込期限,振込名義を確認する。期別の資料と詳しい手続は,導入修習の入寮申込み及び集合修習の入寮・退寮手続を参照する。

2 第80期の採用選考日程と入寮申込期限は別

裁判所の第80期司法修習生採用選考要項は採用選考の案内である。採用選考の申込期限を,そのまま寮の申込期限として扱わない。本記事で参照した資料から,第80期の寮費や入寮申込期限は確認できないため,対象期の入寮案内を別に確認する必要がある。

第4 寮での生活―食事・洗濯・通信・持込みの制限
1 食事と洗濯

第78期の令和7年9月8日付案内には,電子レンジ,オーブントースター,冷蔵庫を備えた給湯室がいずみ寮の各階に,ひかり寮では1階にあると記載されている。ランドリーは各階にあるが,洗剤は用意されていない。

食堂の記載もあるが,その記載だけで現在の営業日,営業時間,献立,価格,弁当販売の有無は分からない。入寮前に当該期の案内を確認し,初日や休日の食事をどうするか考えておく。過去の契約・販売資料は司法研修所の食堂・弁当販売資料を参照する。

2 インターネットは無料Wi-Fiと決めつけない

同案内は,居室に無線LANルーターが設置され,通信には各自が業者と個別に有料契約をする必要があるとしている。現在の契約先,料金,利用開始までの時間,通信速度はこの資料では確認できない。オンラインでの連絡や学習に使う予定があれば,入寮する期の説明に従い,開通手続とそれまでの通信手段を確認する。

(続きを読む...)司法研修所の寮ガイド―いずみ寮・ひかり寮の部屋,寮費,持ち物と生活(AI作成)

司法修習生の履歴書・志望動機・面接準備―社会人経験と修習経験の伝え方(AI作成)

目次

第1 応募書類は募集要項から逆算して準備する1 本記事の対象と資料の読み方2 履歴書が必要か,専用フォームで足りるかを確認する3 提出物を一つの確認表にする第2 履歴書と職務経歴書に書く事実を整理する1 学歴・職歴・資格の年月をそろえる2 社会人経験は担当・行動・結果を分ける3 新卒型の応募者は実際の活動から説明する第3 志望動機は応募先の業務と自分の経験を結び付ける1 なぜ弁護士か,なぜその事務所かを分ける2 架空の例で具体化の方法を確認する3 理由を聞かれたときの説明を準備する第4 修習経験は秘密を出さずに学びを説明する1 事件の内容と自分の学習過程を分ける2 生成AIへの入力と提出前の確認第5 面接は提出書類の説明と条件確認を準備する1 説明する項目を短く整理する2 応募者から確認する事項を用意する3 修習との重複,連絡及び面接方法を確認する第6 提出前の確認順序第7 出典・参考資料
第1 応募書類は募集要項から逆算して準備する
1 本記事の対象と資料の読み方

本記事は,司法修習生又は司法修習予定者が法律事務所への応募書類を作成し,面接に備える際の確認順序を説明するものである。
最高裁判所への司法修習生採用選考の申込みとは別の手続であり,企業,法テラス,判事補又は検事の選考に同じ書式をそのまま使うことを勧めるものではない。

公開資料の確認日は令和8年10月10日である。
以下では,個別事務所の公表した応募条件と,書類を整理するための本記事の提案を区別する。例文は架空のものであり,実際の応募者の経歴,特定の事務所の採点基準又は採用を保証する文章ではない。

就職活動を始める時期,修習時間中の面接及び進路別の条件確認は,司法修習中の就職活動を参照されたい。
制度全体は,司法修習生とはで説明している。

2 履歴書が必要か,専用フォームで足りるかを確認する

RITA総合法律事務所の採用情報は,司法修習生の応募について,写真付きの様式自由の履歴書,司法試験成績通知書の写し,予備試験合格者の予備試験成績通知書の写し,自己PR・志望動機等を掲げている。
他方,同ページの職務経歴書の指定は,アソシエイト・中途採用等の別区分にある。社会人経験がある司法修習生にも必ず職務経歴書の提出が求められる,という一般的な条件を示すものではない。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所の司法修習生予定者向け案内は,令和8年に司法試験を受験した者の個別事務所訪問について,応募フォームと,顔写真,大学専門学部・法科大学院の成績証明書,該当者の予備試験成績通知書等を指定している。
応募時点で成績証明書等を提出することが難しい場合の扱いも示している。これは当該訪問募集の条件であり,他の事務所にも同じ扱いがあるとは限らない。

したがって,履歴書,職務経歴書,エントリーシート及び成績資料の要否は,応募先と募集区分ごとに確認する必要がある。
指定書式,記入欄又は字数があるときはその指定を優先し,別紙を追加する前に,添付が認められるかを確認するとよい。

3 提出物を一つの確認表にする
確認項目応募前に記録する内容対象者司法試験年度,修習期,修習予定者か修習中の者か書式専用フォーム,履歴書の様式,写真,字数,ファイル形式・容量成績資料等どの試験・学校の資料が必要か,原本か写しか,未取得の場合の扱い提出経路・期限フォーム,メール,郵送の別,必着・消印有効,追加提出の期限受領と連絡送信完了表示,受領メール,面接連絡の方法,問い合わせ先

募集ページは変更されることがあるため,確認日とURLを記録し,応募時点の募集要項を保存する方法が有用である。
写真や成績資料を含む添付ファイルは,宛先と募集主体を照合してから送信する。提出物の不足に気付いた場合は,独自に期限を延ばしたことにせず,公表された問い合わせ方法で確認する必要がある。

第2 履歴書と職務経歴書に書く事実を整理する
1 学歴・職歴・資格の年月をそろえる

履歴書では,所属,入学・卒業・修了・退職の年月及び資格の取得・登録状況を,確認できる資料と対応させる。
入学と編入,卒業と修了,資格取得と登録,司法試験合格と司法修習生採用は別の出来事であるため,実際の状態に合う言葉を用いる必要がある。

採用前は「司法修習予定」,修習中は実際の修習状況を記載し,まだ得ていない合格,登録又は資格を取得済みのものとして記載しない。
年月の表記は応募書式に合わせて統一し,履歴書,フォーム,志望動機及び面接で説明する経歴の間に食い違いがないかを確認するとよい。

2 社会人経験は担当・行動・結果を分ける

社会人経験を示す際は,会社名や役職だけで終えず,自分の担当範囲,直面した課題,取った行動及び確認できる結果を分けて整理する方法が考えられる。
組織全体の成果を本人一人の成果に置き換えず,交渉の主担当,資料作成の担当又は補助など,自分が果たした役割を正確に記載する。

例えば,営業経験を持つ架空の応募者であれば,「対人能力がある」という評価だけでなく,「顧客の要望を聞き取り,契約条件と納期を関係部署に確認し,説明資料にまとめる担当をしていた」という行動を示すことができる。

(続きを読む...)司法修習生の履歴書・志望動機・面接準備―社会人経験と修習経験の伝え方(AI作成)

令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象第2 16記事の一覧第3 科目別の概要と重み5の事項1 倒産法2 租税法3 経済法4 知的財産法5 労働法6 環境法7 国際関係法(公法系・国際公法)8 国際関係法(私法系)第4 16記事に共通する作り方1 評価項目の抜き出し方2 5段階の重み付け3 模範解答と解説第5 重みの分布の比較第6 関連記事第7 出典1 公式資料2 確認状態
第1 この記事の対象

この一覧の使い方
科目別のリンクから個別記事へ進み,問題文の設問に対応する評価項目,答案,解説及び出典を確認する。別年度との比較や他の科目を探すときは,司法試験の過去問・参考答案一覧を参照されたい。試験制度と受験資格は,司法試験とはで説明している。

令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目について,第1問・第2問を別々に扱う16記事を一覧にする。
対象は倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系)である。
主要7科目及び短答式試験は対象に含めない。

令和8年10月10日時点の公開子記事の評価表に基づく総項目数は661項目,重み5は180項目である。
評価項目と重みは各記事の独自分析であり,法務省の公式採点基準・項目別配点ではない。
まず一覧から問題を選び,概要・設問の指定・重み5の事項を確認した上で,子記事の評価表,答案及び解説を読む構成である。

第2 16記事の一覧
科目・問題主な論点評価項目重み5倒産法第1問役員責任の保全・査定,破産者の情報収集,相当価格・廉価処分の否認40項目10項目倒産法第2問再生計画案の決議,届出・自認債権の扱い,継続的売買契約の解除38項目8項目租税法第1問譲渡所得,解除後の更正の請求,違約金の一時所得,貸倒損失56項目19項目租税法第2問学資金と源泉徴収,誤徴収の回収,減価償却,会員権の取得費・損益通算60項目18項目経済法第1問メーカー・卸業者の相互拘束,非当事者,離脱・終期,課徴金34項目8項目経済法第2問参入妨害,地域市場,不公正な取引方法,排除型私的独占40項目11項目知的財産法第1問技術的範囲と出願経過,無効の抗弁,新規性喪失の例外,数量制限41項目14項目知的財産法第2問建築の著作物,絵はがきの自由利用,絵画の写り込み,同一性保持権40項目7項目労働法第1問管理監督者,賞与の支給日在籍要件,退職金の不支給・一部減額32項目12項目労働法第2問団交拒否・不誠実団交,チェック・オフ,ユニオン・ショップ,救済命令40項目12項目環境法第1問地域脱炭素化促進事業の特例,情報的・経済的手法,公害調停31項目12項目環境法第2問廃棄物分類と許可,既存業者の原告適格,欠格要件,通知・措置命令42項目14項目国際関係法(公法系)第1問尚早の国家承認,自決原則,安保理の棄権,拒否権後の救済経路38項目11項目国際関係法(公法系)第2問公海衝突の刑事管轄,慣習国際法,不干渉・武力の威嚇,国家責任35項目5項目国際関係法(私法系)第1問営業所の業務関連性,契約準拠法,外国の期間制限,仲裁合意51項目8項目国際関係法(私法系)第2問養子縁組の分配的適用・反致,保護要件と公序,録画遺言,遺留分43項目11項目

評価項目の細かさは問題ごとに異なる。
項目数の大小から科目の難易度,公式配点又は合格可能性を推計するものではない。

第3 科目別の概要と重み5の事項

以下の番号は,子記事の現在の公開評価表の通し番号であり,子記事ごとに1から始まる。
項目本文に示された必須・高評価・負例・許容分岐及び適用条件は,重みと別の区分として読む。
根拠の頁・箇所は各子記事の評価表で確認できる。

1 倒産法
(1) 第1問

子供服店を営むA社と役員Bの破産を素材に,Dによる役員責任の保全・査定,Bの資産情報の収集及び事業譲渡の否認を検討する。
相当価格の譲渡は161条,廉価譲渡は160条1項1号を主ルートとする。

問題文の指定に従い,法令の基準時は令和6年1月1日である。
子記事の答案は両譲渡の否認を肯定するが,相当価格の譲渡についての結論を公式の唯一指定結論とは扱わない。

重み5は10項目であり,現在の公開表では次の事項である。

①番号1:【必須】Dが177条1項に基づくBの財産の保全処分を裁判所へ申し立てられることを示す。

②番号3:【高評価】保全の必要性を,B自身の預金の隠匿・費消による回収困難のおそれに結び付ける。

③番号5:【必須】Dが178条1項に基づく役員責任査定を裁判所へ申し立てられることを示す。

④番号6:【必須】査定の趣旨を,通常訴訟より簡易迅速な決定手続による債務名義取得として説明する。

⑤番号11:【必須】B個人が40条1項1号の破産者として必要な説明をする義務を負うことを示す。

⑥番号15:【必須】裁判所が81条1項に基づきB宛て郵便物等をDへ配達する旨を嘱託できることを示す。

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令和6年司法試験環境法第2問の模範解答・評価項目―42項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問12 設問2⑴3 設問2⑵4 設問35 設問4⑴6 設問4⑵7 答案全体8 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和6年司法試験・環境法第2問の模範解答と評価項目を,公式資料と当時の法令・判例に基づいて整理する。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和6年司法試験の環境法第2問について,法務省の出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した42評価項目と,2500字以内の模範解答を示す。重み5は14項目,重みの合計は169である。法務省の公式採点基準・配点・予測得点ではない。

本問の中心は,廃棄物の分類と許可の範囲,一般廃棄物処理業の計画許可・既存業者の原告適格,実質役員の欠格要件,適正処理困難通知から管理票交付者の措置義務及び行政命令への接続である。原告適格は判例に沿って肯定する構成を採る。許容される別構成や補強の省略も評価表に含めるため,全42行を全答案への累積要求とするものではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

各行は一つの判定対象に分け,必須・高評価・負例・許容分岐を重みと別に表示する。負例は避けるべき記述,許容分岐は条件に応じた評価上の取扱いである。判例名の省略や任意の補強の省略を,それだけで欠落と評価しない。頁はPDFの物理頁を示す。「記載なし」は対象範囲を実読した結果であり,未読を意味しない。公式の語句を必要最小限掲げ,基準への言い換えと重み付けは本記事の分析である。

2 5段階の重み付けの基準

①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。全件を「高く評価」と読み替えない。
③重み3:一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れる事項。今回は該当0件であり,段階ごとの件数を割り当てていない。

第3 本問の概要

甲社はカマボコ工場の製造残渣及び社員食堂の調理くず・残飯の処理をC社へ委託しようとしている。C社の既存許可は金属くずと廃プラスチック類の2品目に限られる。社員食堂の収集運搬の許可を新たに得たC社に対し,同じB市で同種の許可を有する乙社は取消訴訟を検討する。C社に実質的影響力を持つGは私的傷害で逮捕・勾留中である。さらにC社の施設が故障し,搬入を続けた結果,保管上限を超え,道路へ廃プラスチック類が崩落する。

設問1は委託違法の理由,設問2は許可制度の比較と原告適格,設問3は現在の欠格要件への非該当理由,設問4はC社・甲社の対応と甲社への行政措置を問う。廃掃法上の権限は全てB市長にあるとの問題文の前提に従う。原告適格の設問では本案の許可違法や国家賠償まで論じない。

第4 評価項目と重み
1 設問1
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】製造残渣を,製造原料に係る固形状不要物として産業廃棄物に分類する。
条件:全答案5物理34頁・環境法 第2問 設問1
「魚の残渣や野菜くずが産業廃棄物に該当」物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「魚の残渣や野菜くずが産業廃棄物に該当」
2【必須】社員食堂の調理くず・残飯は産業廃棄物に当たらず一般廃棄物とする。
条件:全答案5物理34頁・環境法 第2問 設問1
「一般廃棄物となる点」物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「一般廃棄物となること」
3【必須】産業廃棄物は委託対象品目の処理業許可を有する業者に委託すべきことを説明する。
条件:全答案5物理34頁・環境法 第2問 設問1
「委託に係る品目についての処理業許可」物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「委託品目の許可を持つ者」
4【必須】C社の2品目の許可に製造残渣が含まれないことを当てはめる。
条件:全答案4物理34頁・環境法 第2問 設問1
「C社はそれには当たらない」物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「C社は当該許可を有していない」
5【負例】魚の残渣が廃棄物かという抽象的検討だけに終始しない。
条件:全答案:当該負例がないこと2記載なし物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「廃棄物に該当するかの検討に終始」
6【許容分岐】社員食堂の分類を設問2で記述した場合も内容の充足を認める。
条件:分類を設問2へ配置した答案のみ2記載なし物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「これを記述した答案に対しても得点を付与」

2 設問2⑴
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
7【必須】産業廃棄物は基本的に排出事業者が処理責任を負うと説明する。
条件:全答案4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「処理責任が基本的に排」物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「責任が基本的に排出事業者」
8【必須】産業廃棄物処理業の許可を警察許可と位置付ける。
条件:全答案:名称に加え性質を説明4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「いわゆる警察許可」物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「許可は警察許可」
9【必須】一般廃棄物の処理責任は市町村にあると説明する。
条件:全答案4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「処理責任が市町村」物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「理の責任が市町村」
10【必須】一般廃棄物処理業許可が市町村による処理を補完する制度であると説明する。
条件:全答案4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵(⑴の制度比較を補強)
「補完的性質」物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「市町村の事務について例外的」
11【必須】市町村による収集運搬が困難という7条5項1号の基準を示す。
条件:全答案4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「市町村による収集運搬が困難」物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「市町村による収集運搬が困難」

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令和6年司法試験倒産法第2問の模範解答・評価項目―38項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1⑴2 設問1⑵3 設問1⑶4 設問1⑷5 設問2⑴6 設問2⑵7 答案全体8 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和6年司法試験・倒産法第2問について,法務省公式資料から独自に整理した38の評価項目と5段階の重み付け,約2100字の模範解答を示す。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験の出題の趣旨に対応する倒産法第2問である。再生計画案の決議と再生債権の確定,継続的売買契約の法定解除を扱う。Bの議決権額は510万円,Cは2億8000万円である。自認された799人にも議決権はなく,Dには権利変更後の弁済時期の劣後がある。違約金条項については,本件の法定解除に適用されないとの構成を採る。

公式資料から独自に抽出した評価単位は38項目であり,重み5は8項目である。重み5の番号は1・8・16・21・22・28・29・36である。法務省の公式採点基準又は項目別配点ではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

一項目につき一つの判定対象に分けた。出題の趣旨から設問構造と条文連鎖を,採点実感から評価の深度と誤りの回避を抽出した。必須・高評価・負例・許容分岐は重みと別の区分である。負例は誤った記載を避けるための項目であり,その誤りの文言を書くことを要求するものではない。番号32は不適用説を採る場合の分岐であり,全ての答案へ同じ結論を強制するものではない。

根拠欄はPDFの物理頁と該当小問を示す。「記載なし」は本問関連範囲を実読した結果,その具体的指摘がないことを意味する。制度趣旨などの一般記載からの推論は「間接」と区別する。条文の手続期間など,公式に個別評価として示されていない補足は評価項目の数へ追加していない。

2 5段階の重み付けの基準

重み5=採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格。
重み4=出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
重み3=一方が明示する中核の理由付け。
重み2=一方が軽い表現で触れる補強又は典型的な誤り。
重み1=一方が控えめに触れる事項。

本問の重み4は「両資料で取り上げた」という基準であり,全てを「高く評価された」と表示するものではない。重み5でも,許容分岐や条件付きの検討を全答案の必須事項に変更しない。

第3 本問の概要

A社は令和5年2月1日に再生手続開始を申し立て,同月10日に開始決定を受けた。レストラン事業から撤退し,ワイン事業に集中する方針である。設問1では,可決要件,Bの開始前後の遅延損害金,Cのユーロ建て債権,前払代金を返還されない顧客の債権が問題となる。

顧客1000人のうち200人は届け出たが,800人は届け出ていない。A社が認否書に記載したのは799人であり,Dだけ転記漏れがある。設問2は独立した事例であり,Eとの野菜の継続的売買契約に,1年前の解除予告と不足期間に応じた違約金(即時解除では1200万円)が定められていた。監督委員の同意を得たA社の即時解除後,Eは違約金を届け出たが,A社が否認した。Eには損害が生じない見込みという仮定を維持し,公序良俗違反は検討しない。

第4 評価項目と重み1 設問1⑴番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1人数要件と議決権額要件の双方を満たす必要があると説明する。
必須/両者由来524頁・設問1⑴
「双方が必要とされていること」3頁・設問1⑴
「各要件が「いずれも」必要」2頭数の分母を集会出席者又は書面等投票者に限定する。
必須/両者由来424頁・設問1⑴
「条文に則して正確に可決要件の内容を説明」3頁・設問1⑴
「母数が債権者集会に出席し又は書面等投票をしたものに限る」3頭数要件を当該分母の過半数の同意と説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑴
「条文に則して正確に可決要件の内容を説明」3頁・設問1⑴
「条文に即した丁寧な説明」4大口債権者だけで決めず小口債権者の意思を反映する頭数要件の趣旨を説明する。
高評価/両者由来424頁・設問1⑴
「頭数要件についてはその趣旨を踏まえつつ」3頁・設問1⑴
「頭数要件の趣旨を説明」5金額要件を全議決権者の議決権総額の2分の1以上の同意と説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑴
「議決権額要件と頭数要件」3頁・設問1⑴
「条文の知識を問う」2 設問1⑵番号評価項目重み出題の趣旨採点実感6開始前の元本・損害金の議決権を87条1項4号の債権額として扱う。
必須/両者由来424頁・設問1⑵
「第87条第1項第4号」3頁・設問1⑵
「第87条第1項第4号」7開始後損害金も84条2項2号の再生債権であると分類する。
必須/両者由来424頁・設問1⑵
「第84条第2項第2号」3頁・設問1⑵
「第84条第2項第2号」8開始後損害金の議決権を87条2項により排除する。
必須/両者由来524頁・設問1⑵
「議決権を有しない旨」3頁・設問1⑵
「議決権を有しないこと」9Bの議決権額を開始前元本500万円+損害金10万円=510万円と算定する。
必須/両者由来424頁・設問1⑵
「それぞれの事例に正確に適用」3頁・設問1⑵
「具体的な議決権額を検討」3 設問1⑶番号評価項目重み出題の趣旨採点実感10外貨建て金銭債権へ87条1項3号ニを適用する。
必須/両者由来424頁・設問1⑶
「第3号」3頁・設問1⑶
「第3号ニ」11議決権の換算基準を再生手続開始時とする。
必須/両者由来424頁・設問1⑶
「それぞれの事例に正確に適用」3頁・設問1⑶
「評価基準時という問題を設定」12Cの議決権額を200万ユーロ×140円=2億8000万円と算定する。
必須/両者由来424頁・設問1⑶
「それぞれの事例に正確に適用」3頁・設問1⑶
「具体的な議決権額を検討」13明文がある換算基準時を円安の利益衡量で自由に変更しない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)3頁・設問1⑶
「明文の規定があるにもかかわらず」4 設問1⑷番号評価項目重み出題の趣旨採点実感14自認記載済み799人と記載漏れDの権利変更を分けて説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑷
「顧客Dの債権に分けた上で」4頁・設問1⑷
「799人とDとを対比」15知っている未届出債権を101条3項に基づき自認記載する義務を説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑷
「自認義務があったにもかかわらず」4頁・設問1⑷
「第101条第3項」16自認された799人にも議決権がないことを説明する。
必須/両者由来524頁・設問1⑷
「議決権を有しないこと」4頁・設問1⑷
「自認債権に議決権がないこと」17799人は投票可・Dだけ不可という区別をしない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)4頁・設問1⑷
「799人に議決権を認めてDに議決権を認めない」18157条1項により自認債権の変更対象と変更後内容を再生計画に定めると説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑷
「第157条第1項」4頁・設問1⑷
「第157条第1項」19799人の権利が認可確定により179条1項に従って変更されると説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑷
「第179条第1項」4頁・設問1⑷
「第179条」20799人は債権が確定した場合に変更後の権利を行使できると説明する。
必須/両者由来424頁・設問1⑷
「権利変更がされた権利の行使」4頁・設問1⑷
「第179条」21Dの債権も181条1項3号により156条の一般的基準に従って変更されると説明する。
必須/両者由来524頁・設問1⑷
「第181条第1項第3号」4頁・設問1⑷
「第156条、第181条第1項第3号」22Dの変更後権利へ181条2項の弁済時期の劣後を適用する。
必須/両者由来524頁・設問1⑷
「権利行使の時期的劣後」4頁・設問1⑷
「弁済に関する時期的劣後」5 設問2⑴番号評価項目重み出題の趣旨採点実感23A社の否認に対してEが105条1項本文の再生債権査定を申し立てると説明する。
必須/両者由来424頁・設問2⑴
「第105条第1項本文」4頁・設問2⑴
「第105条第1項」24査定に不服があれば106条1項の異議の訴えを提起すると説明する。
必須/両者由来424頁・設問2⑴
「第106条第1項」4頁・設問2⑴
「第106条第1項」25債権確定訴訟の判決が111条1項により全再生債権者へ効力を持つと説明する。
必須/両者由来424頁・設問2⑴
「第111条第1項、第2項」4頁・設問2⑴
「第111条第1項、第2項」26異議訴訟の不提起又は却下の場合,査定裁判が111条2項により全再生債権者へ確定判決同様の効力を持つと説明する。
必須/両者由来424頁・設問2⑴
「第111条第1項、第2項」4頁・設問2⑴
「第111条第1項、第2項」27102条1項による他債権への調査異議をE自身の否認解消手続と取り違えない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)4頁・設問2⑴
「第102条第1項」6 設問2⑵番号評価項目重み出題の趣旨採点実感28本件を双方未履行双務契約の49条1項に基づく解除の問題と位置付ける。
必須/両者由来525頁・設問2⑵
「双方未履行双務契約」4頁・設問2⑵
「第49条第1項」2949条1項の特別な解除選択権を,円滑迅速な契約整理と事業維持再生の趣旨から説明する。
必須/両者由来525頁・設問2⑵
「契約関係を円滑・迅速に整理」4頁・設問2⑵
「同条項の趣旨」30本件の1年前予告・不足期間に比例する違約金という条項内容を具体的に評価する。
必須/両者由来425頁・設問2⑵
「本件違約金条項の内容」4頁・設問2⑵
「本件違約金条項の適否の検討」31Eに損害が生じない見込みという事実を条項適用判断で評価する。
必須/出題の趣旨由来325頁・設問2⑵
「Eには損害が生じない見込みである」記載なし(具体的記載。一般的弊害記述は間接)32不適用の構成を採る場合,条項が解除選択権を事実上制限することを説明する。
許容分岐/両者由来。不適用説を採る場合の検討。425頁・設問2⑵
「解除選択の権限を事実上制限」4頁・設問2⑵
「再生手続上の弊害」331条の目的・権利濫用という抽象論だけで条項適用を否定しない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)4頁・設問2⑵
「抽象的な説明をするだけ」34契約自由という抽象論だけで条項適用を肯定しない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)4頁・設問2⑵
「契約自由の原則を指摘するだけ」3549条5項・破産法54条1項の実損害賠償との均衡を踏まえ,他の再生債権者との衡平を検討する。
必須/出題の趣旨由来325頁・設問2⑵
「他の再生債権者との間の衡平を害する」記載なし(具体的記載。一般的弊害記述は間接)36条項が有効か・解除可能かだけで止めず,本件解除に違約金条項が適用されるかを結論づける。
必須/両者由来525頁・設問2⑵
「同条項の適用の有無」4頁・設問2⑵
「適用されるか否かを解答しないと」3749条の解除問題を落とし,開始前原因の債権かという検討だけに終始しない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)4頁・設問2⑵
「開始前の原因に基づいた請求権に該当するかを専ら検討」7 答案全体番号評価項目重み出題の趣旨採点実感38直接根拠の条・項・号を正確に示し,論点名の列挙で終わらない。
負例/採点実感由来2記載なし(関連範囲実読)1頁・答案全体
「条文番号の摘示が不十分、不正確」8 重みの分布

重み1は0項目,2は7項目,3は2項目,4は21項目,5は8項目である。総数N=38,重みの単純合計W=144である。件数や合計から公式得点,合格可能性又は難易度を推計しない。

番号1:人数要件と議決権額要件の双方を満たす必要があると説明する。
二つの多数要件の累積は,可決判断の入口そのものであり,一方だけでは小問に答えられないため,答案の骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号8:開始後損害金の議決権を87条2項により排除する。
再生債権該当性と議決権の有無を分けることが,開始後損害金を含める誤答と正しい議決権額を分けるため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号16:自認された799人にも議決権がないことを説明する。
自認による債権の把握と手続参加の届出を区別しなければ,799人の議決権という直接の問いに答えられないため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号21:Dの債権も181条1項3号により156条の一般的基準に従って変更されると説明する。
認否書から漏れたDの債権へ181条の別ルートを適用することが,799人との法的扱いの区別を決めるため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号22:Dの変更後権利へ181条2項の弁済時期の劣後を適用する。
Dの権利変更だけでなく弁済時期の劣後まで閉じることが,認可確定後の取扱いという問いへの直接の効果であるため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号28:本件を双方未履行双務契約の49条1項に基づく解除の問題と位置付ける。
約定解除や一般的な倒産解除条項の有効性に移る前に,49条の双方未履行双務契約を主ルートへ置くことが設問全体の法的構造を決めるため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号29:49条1項の特別な解除選択権を,円滑迅速な契約整理と事業維持再生の趣旨から説明する。
条項適用の結論を理由付けるには,通常の解除と異なる特別な選択権の趣旨が不可欠であり,採点実感も十分な趣旨理解からの論述を求めるため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

番号36:条項が有効か・解除可能かだけで止めず,本件解除に違約金条項が適用されるかを結論づける。
条項の一般的有効性や解除の可否だけでは違約金請求への回答が閉じず,本件解除への適用の判断が設問の終点となるため,骨格とした。 適用対象は本問の対応する小問であり,違約金条項について特定の結論だけを全答案へ強制するものではない。

第5 模範解答1 答案の前提と表記

法令は問題文の指定に従い,令和6年1月1日現在の施行法を基準とする。試験日は令和6年7月10日である。答案は空白・改行を除いて2076字であり,1→(1)の階層で設問1・2を独立に処理する。違約金条項は本件の法定解除に適用しないとの見解を採り,Eの反論と他債権者との衡平を検討する。判例原文に基づく「判例同旨」等の表示は用いていない。

2 答案

1 設問1

(1) ⑴について

民事再生法(以下「法」という。)172条の3第1項により,可決には,①債権者集会に出席し又は書面等投票をした議決権者の過半数の同意と,②議決権者の議決権総額の2分の1以上を有する者の同意の双方が必要である。人数の分母は実際の参加者であるが,金額の分母は参加者だけでなく議決権者全体の議決権総額である。金額要件に加えて頭数要件を置くのは,大口債権者だけで計画を決定することを防ぎ,小口債権者の意思も反映させるためである。

(2) ⑵について

Bの売掛金500万円と開始前日までの遅延損害金10万円は,開始前の原因に基づく再生債権であり(法84条1項),法87条1項4号により合計510万円の議決権を有する。

開始後の遅延損害金も再生債権ではあるが(法84条2項2号),法87条2項により議決権を有しない。A社が届出内容を認め,他の届出再生債権者も異議を述べていないため,議決権額は510万円で確定する(法104条1項)。

(3) ⑶について

外国通貨で額を定めた債権の議決権は,開始時の評価額による(法87条1項3号ニ)。Cは200万ユーロ×140円=2億8000万円の議決権を有し,異議がないのでこの額が確定する(法104条1項)。その後の円安で議決権額は増加しない。これは議決権算定であり,債権自体を円建てへ変更するものではない。

(4) ⑷について

再生手続参加には届出を要する(法94条1項)。800人は届出をしておらず,自認された799人にも議決権はなく(法104条1項括弧書き),800人はいずれも再生計画案の決議で議決権を行使できず,可決要件の人数及び議決権総額にも算入されない。

A社は知っている未届出債権を認否書に記載する義務を負う(法101条3項)。799人について,計画には変更する権利と一般的基準に従った変更後の内容を定める(法156条,157条1項)。その権利は認可決定の確定により再生計画に従って変更され,債権が確定した場合は変更後の権利を行使できる(法179条1項・2項)。残額は法178条の免責に服する。

Dの債権も,A社が知りながら記載しなかった債権として,認可確定により法156条の一般的基準に従い変更される(法181条1項3号)。ただし,変更後の権利は,計画の弁済期間満了まで弁済・受領等による消滅が禁止される。期間満了前に計画弁済が完了又は計画が取り消された場合はその時までであり,免除は除かれる(同条2項)。Dの債権が単に全額免責されるわけではない。

2 設問2

(1) ⑴について

A社が認めないEの債権は異議等のある再生債権である。開始時の係属訴訟や執行力ある債務名義等は示されていないため,Eは,債権調査期間の末日から1月の不変期間内に,A社を相手方として再生裁判所に再生債権査定を申し立てる(法105条1項・2項)。他の届出再生債権者にも異議があれば,その全員を相手方とする。査定に不服があれば,送達から1月の不変期間内に,異議者等の全員を被告として再生裁判所に異議の訴えを提起できる(法106条1項・2項・4項)。債権確定訴訟の判決は再生債権者全員に効力を有する(法111条1項)。異議の訴えが期間内に提起されず又は却下された場合,査定裁判は全再生債権者に対し確定判決と同一の効力を有する(同条2項)。

(2) ⑵について

本件は有機野菜の継続供給と買取りを内容とし,開始時に双方の履行が未完了の双務契約である。A社は法49条1項により解除を選択できる。監督委員の同意も得ており,事業再生方針に沿った解除は有効である。

Eは,即時解除という条項の要件を満たし,違約金は損害賠償額の予定と推定されるから(民法420条3項),実際の損害がなくても1200万円を請求できると主張する。法49条5項が準用する破産法54条1項も,解除に伴う損害賠償を再生債権として認めている。

これに対しA社は,約定解除に関する予告期間の拘束は法49条の法定解除権を制限できず,その不足期間を金銭に置き換えた本件条項も適用されないと反論する。

法49条は,契約関係を円滑・迅速に整理して事業の維持再生を図るための,法律上特別な選択権を与える一方,相手方の損害は再生債権として調整する制度である。したがって解除の自由からあらゆる賠償約定の無効を導くことはできない。しかし本件条項は予告不足期間に比例する額を定め,1年前の予告を金銭的に担保するものであり,法定解除にも適用するとその行使を事実上制約する。Eは生産物を容易に他へ販売でき,損害も生じない見込みである。実損害があれば法49条5項・破産法54条1項によって再生債権として補償されるが,本件で実損害賠償が認められないのに定額の違約金だけを認めることは,他の再生債権者との衡平も害する。こうした条項内容と事情から,本件の法定解除には適用されないと解する。

よって,本件違約金条項は本件解除に適用されず,1200万円の請求権は認められない。別途の実損害賠償も,設問上の無損害の前提では認められない。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1) 答案と評価項目の対応

設問1(1)は番号1~5,(2)は6~9,(3)は10~13,(4)は14~22に対応する。設問2(1)は23~27,(2)は28~37に対応し,番号38は答案全体の条文精度を点検する。負例は対応する段落で回避している。

(2) 可決要件と議決権額

頭数は実際に集会へ出席し又は投票した者を分母とする過半数,金額は全議決権総額の半分以上である。Bの開始後損害金は再生債権に含まれるが,議決権の対象にはならない。Cの開始時換算は明文の効果であり,円安を理由に別の基準時を作らない。

(3) 自認債権と記載漏れ

799人とDとの違いは,投票権の有無ではない。双方とも議決権を行使できない。他方,799人は計画に個別の変更内容を定め,確定した債権に基づく変更後権利を行使する。Dの権利も一般的基準に従って変更されるが,弁済時期に劣後がある。自認漏れを全額免責と説明してはならない。

(4) 査定から効力まで

Eが他人の債権に対して調査異議を述べる手続と,自分の否認債権を確定する査定申立てを分ける。査定・異議の訴えという入口だけで終わらず,民事再生法111条1項・2項が定める再生債権者全員への効力まで説明する。

(5) 違約金条項の適用

公式出題趣旨は,不適用という「方向性」を例示している。条項の有効性一般と,本件の49条1項による法定解除への適用を分けることが重要である。予告期間を金銭的に担保する条項が解除選択を事実上制限する点と,実損害のないEに違約金だけを与えることによる他債権者との不均衡を具体化する。民法420条3項を踏まえたEの反論は本記事の一次法令による補足であり,公式に示された独立評価項目ではない。

(6) 答案の弱点と扱わなかった事項

直接対応する判決原文を確認していないため,不適用構成を確立判例の結論としては表示しない。別の結論を採る場合も,49条の制度趣旨と本件条項・無損害の事実を踏まえた具体的理由が必要である。公序良俗違反,架空の係属訴訟又は債務名義の存在を前提とする手続は扱っていない。

第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

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主要7科目の各問題
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同年度のハブ記事
令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)
令和6年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)

2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事

①米国のチャプター11と日本の民事再生手続の徹底比較(AI作成)。後年の実務比較記事であり,本問の基準時の法状態を変更する根拠には用いていない。

②民事再生の債権届出を忘れたら―自認,議決権,失権と記載漏れ,弁護士・税理士が確認する期限と資料(AI作成)。現行法による実務解説であり,本問の基準時の法状態を変更する根拠には用いていない。
③法人の貸倒損失の計上基準―法人税・消費税(AI作成)。再生計画による債権の切捨てと残存債権の貸倒処理を区別するための参考記事である。

第7 出典及び確認状態1 公式資料

①令和6年司法試験論文式試験問題・選択科目(倒産法第2問:4~5頁)。
②令和6年司法試験論文式試験問題出題の趣旨(倒産法第2問:24~25頁)。
③令和6年司法試験の採点実感・選択科目(倒産法総論1頁の関連部分,第2問3~4頁)。
④令和6年司法試験の実施日程等について。

2 法令

①民事再生法(49・84・87・101・104~106・111・156・157・172条の3・179・181条等)。
②破産法(54条1項)。
③民法(420条)。各法令はe-Govの法令本文取得機能で令和6年1月1日施行版を確認した。リンク先で現行法が表示される場合は,同時点の履歴に切り替えて参照されたい。

3 裁判例

本問の違約金条項に直接対応する判決原文は本記事の根拠として用いていない。公式説明の方向性と条文・事実からの解釈を,独立に確認した判例の判断と混同しない。

4 確認状態

問題文と上記の公式該当範囲を実読し,法令の当時版と照合した。評価項目は公式資料が述べる内容からの独自抽出であり,重みと答案の解釈は本記事の分析である。

問題文5頁の違約金額は1200万円である。一方,取得した出題趣旨25頁には3000万円という表記があり,数値が一致しない。本記事は問題文の1200万円に従う。公式の訂正状況は未確認である(Unknown)。この不整合は条項適用をめぐる法律構成の説明を変えるものではない。

令和6年度司法試験租税法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1――学資金と源泉徴収2 設問2――誤徴収額の回収3 設問3――機械の減価償却4 設問4――相続と名義書換料5 設問5――ゴルフ会員権の損益通算6 答案全体7 設問2の補充的な許容分岐8 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

本記事は,令和6年司法試験租税法第2問の模範解答と,法務省の出題の趣旨・採点実感から抽出した60の評価項目を示すものである。学資金の非課税,誤徴収額の回収,機械の減価償却,ゴルフ会員権の取得費及び損益通算を,条文と事実を結び付けて検討する。

第1 この記事の対象と結論

対象は,令和6年司法試験論文式試験問題〔選択科目・租税法第2問〕である。出題の趣旨及び採点実感〔選択科目〕を参照し,評価項目を答案から充足の有無を判断できる形にした。法務省の公式採点基準又は配点表ではない。

本答案は,設問1では免除益を給与所得と把握した上で学資金として非課税とし,設問2ではB法人の国への還付請求とAのB法人への給与請求を分ける。設問3では令和元年末の取得を否定して減価償却費の損金算入を否定する。設問4では名義書換料の取得費算入を認め,設問5では娯楽目的の資産に係る譲渡損失の給与所得との通算を否定する。

評価項目は60項目,重み5は18項目である。重み5の番号は1・4・7・8・12・13・17・18・19・27・29・37・39・41・48・49・51・52であり,条文の入口,二重括弧,源泉徴収と申告納税の別個性,取得・所有の私法評価,取得費及び損益通算の趣旨・当てはめが中心となる。第4に全項目,第5に2,293字の答案と解説を置く。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一項目につき一つの判定対象を置き,通し番号を記事全体で連続させた。「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は重みと別の区分である。負例は典型的な誤りを避けるための指標であり,記載量を増やすための要求ではない。許容分岐はその構成を採る場合に限って適用され,互いに異なる構成を全部書く必要はない。53は発展的な視点で,全答案への必須要求ではない。

両資料の頁はPDFの1頁目から数えた頁である。引用は対応箇所を見つけるための短い抜粋であり,行末の改行・空白を除いて表示した。「記載なし」は本問の関連範囲を読んだ結果である。包括的な設問説明だけを根拠とする部分は,具体的な要件等を直接述べた採点実感と区別して理解する必要がある。内部の追跡IDは公開番号1~60とそれぞれR1~R60で対応する。

2 5段階の重み付けの基準

重み5は採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格,4は出題の趣旨が検討を求め採点実感も要件・適用又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項,3は一方が明示する中核の理由付け,2は一方が触れた補強又は典型的な誤り,1は控えめに触れた事項とする。重み4をすべて「高く評価した」と読み替えない。重みの合計は独自の整理値で,得点・合格可能性・科目間の難易度を示さない。

第3 本問の概要

設問1・2は,医学部在学中に全額授業料に用いた300万円の貸与型奨学金が,B法人の病院で5年間常勤医師として勤務したAについて令和2年3月末に免除された事案である。通常の給与に加えて免除益を受けたAに対する源泉徴収の適否と,違法な徴収を前提とする税額相当額の回収・令和2年分の確定申告との関係を問う。

設問3は,D社がE社へ製作を委託した機械乙について,検収時に引渡し・所有権移転・代金支払をする合意の下,令和元年11月から試運転を兼ねた生産を行ったが不具合が続き,令和2年1月末に検収を終えた事案である。問われるのは令和元年事業年度の減価償却費の全部又は一部の損金算入である。

設問4・5は,令和3年に父Cから丙ゴルフ会員権を単純承認により相続したAが名義書換料を払い,令和5年12月に損失を出して譲渡した事案である。Cは月二,三回趣味で,Aは毎月一回程度利用し,Aには値上がり及び節税への関心もある。名義書換料を無視する60条の読み方と,給与所得からの損失控除の可否・趣旨を分けて検討する。

試験実施日は令和6年7月10日であるが,本問は令和6年1月1日現在施行の法令を用い,租税特別措置法を除くと指定する。この指定を優先する。設問2は回収の法律関係を問うもので,訴訟類型を列挙する問題ではない。設問1の適否は設問2では違法という仮定に切り替える。

第4 評価項目と重み
1 設問1――学資金と源泉徴収
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1所得税法183条1項を源泉徴収の判断の出発点に置く。
〔必須〕527頁〔設問1〕
「183条第1項)を把握し、その要」10頁〔設問1〕
「第183条第1項であり、特に所得税法」2常勤医師としての継続勤務に対する免除益を給与所得と評価する。
〔必須〕427頁〔設問1〕
「給与等(所得税法第28条第1項)の支」10頁〔設問1〕
「従属的・非独立的な就労の対価と言える」3返還免除による経済的利益を給付の対象として把握する。
〔必須〕427頁〔設問1〕
「債務免除に係る経済的利益が給与等」10頁〔設問1〕
「債務の免除による経済的利益の供与を、」4免除益について所得税法9条1項15号の非課税を検討する。
〔必須〕527頁〔設問1〕
「第9条第1項第15号)の検討を経なけ」10頁〔設問1〕
「非課税とされる学資金(所得税法第9条」5全額を授業料に充当した貸与型奨学金の免除を学資の給付と同視する。
〔必須〕427頁〔設問1〕
「学資金として非課税扱いを受けうるか(」(間接)10頁〔設問1〕
「全額が授業料に充当された貸与型の」6給与その他対価の性質を有する学資は原則として非課税の対象外であると読む。
〔必須〕427頁〔設問1〕
「括弧書きが重なり読みづらいが、租税法」(間接)10頁〔設問1〕
「給与その他対価の性質を有するもの」は」7内側の括弧により,通常給与への加算給付を除外の例外として読む。
〔必須〕527頁〔設問1〕
「括弧書きが重なり読みづらいが、租税法」10頁〔設問1〕
「通常の給与に加算して受けるもの」で、」8使用人本人への給付が役員等の列挙項目に当たらないことを当てはめる。
〔必須〕527頁〔設問1〕
「要件を充足するかを考える必要がある。」(間接)10頁〔設問1〕
「同号に列挙された項目」9非課税の免除益が183条1項の徴収対象の給与等に当たらないと接続する。
〔必須〕3記載なし10頁〔設問1〕
「非課税所得だから」10勤務条件による利益を,対価性がないというだけで一時所得としない。
〔負例〕2記載なし10頁〔設問1〕
「対価性を狭く解し、問題文の債務免除に」11賞与該当性や186条の検討を本論の中心にしない。
〔負例〕2記載なし10頁〔設問1〕
「第186条参照)に専ら焦点を当てて論」
2 設問2――誤徴収額の回収
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感12Bの源泉徴収義務とAの申告納税義務が別個であると説明する。
〔必須〕527頁〔設問2〕
「別個に存在するというべきであるから、」10頁〔設問2〕
「別個に存在し、国と源泉徴収義務者」13国・BとB・Aの法律関係をそれぞれ分ける。
〔必須〕527頁〔設問2〕
「国とB法人の法律関係(B法人の納税義」10頁〔設問2〕
「国と源泉徴収義務者(B法人)の法律関」14Bが国税通則法56条に基づき国に誤納金の還付を請求できると説明する。
〔必須〕427頁〔設問2〕
「法的根拠と共に問うている。最判平成4」(間接)11頁〔設問2〕
「国税通則法第56条の「過誤納金」とし」15源泉納付には納税申告書がないため,Bによる更正の請求を認めない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問2〕
「納税申告書(国税通則法第2条第6号)」16本件でBの回収根拠を56条に代えて専ら民法の不当利得としない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問2〕
「敢えて民法を根拠にすべき事情は見出せ」17Aが確定申告の税額控除で誤徴収額を国から直接回収できないと説明する。
〔必須〕527頁〔設問2〕
「確定申告で申告納税額から誤納金相」11頁〔設問2〕
「過大徴収税額の控除を通じ、国との間で」18所得税法120条1項4号を,正当に徴収された又はされるべき税額に限定して解釈する。
〔高評価〕527頁〔設問2〕
「判例はあるものの、その規範を踏まえた」(間接)11頁〔設問2〕
「第120条第1項第4号)の解釈に言及」19AがBに対して未払給与の一部債務不履行による支払を請求できると説明する。
〔必須〕527頁〔設問2〕
「法的根拠と共に問うている。最判平成4」(間接)11頁〔設問2〕
「債務不履行を主張し得る。」20Aの給与請求はBが国から還付を受ける前にもできると説明する。
〔高評価〕3記載なし11頁〔設問2〕
「国から還付を受けるまでもなく給与未払」21回収する対象を免除益300万円自体と取り違えない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問2〕
「債務免除益自体であると誤解したもの、」22源泉徴収の適否を繰り返すだけで,回収の主張への解答を済ませない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問2〕
「重ねて主張するものや、取り戻す対象」23年末調整の精算可否だけを論じて確定申告との関係を置き換えない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問2〕
「年末調整による精算の可否を論じるもの」24設問が求めない訴訟類型の列挙に分量を割かない。
〔負例〕2記載なし10頁〔設問2〕
「訴訟類型を解答させることは意図されて」
3 設問3――機械の減価償却
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感25機械乙と法人税法2条23号・施行令13条3号の減価償却資産を対応させる。
〔必須〕427頁〔設問3〕
「減価償却資産該当性やその「取得」、あ」11頁〔設問3〕
「第13条第3号)に該当することを指摘」26会計上の減価償却費を法人税法22条3項2号の費用として出発する。
〔必須〕3記載なし11頁〔設問3〕
「第22条第3項第2号の費用に該当する」27減価償却に係る別段の定めとして法人税法31条1項を適用する。
〔必須〕527頁〔設問3〕
「第31条第1項では、損金経理要件を通」11頁〔設問3〕
「第31条第1項)を巡る解釈適用上」28本件の会計計上が損金経理要件を満たすことを確認する。
〔必須〕427頁〔設問3〕
「損金経理要件を通じて会社法会計と」(間接)11頁〔設問3〕
「損金経理要件を満たし、不具合が続き引」29年度末に有する・取得するという要件を,引渡しや所有権移転の私法評価と結び付ける。
〔高評価〕527頁〔設問3〕
「私法上の評価を踏まえてその充足の有無」11頁〔設問3〕
「所有権移転や引渡があった時に初めて満」30令和元年末の試運転・不具合と翌年1月末の検収を,要件充足時期へ当てはめる。
〔必須〕427頁〔設問3〕
「基礎となる取引に係る私法上の評価を踏」(間接)11頁〔設問3〕
「不具合が続き引渡と所有権移転が未」31会計上の費用計上から,公正処理基準だけで同年度の損金算入を肯定しない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問3〕
「直ちに公正処理基準に依拠し、会社法」32会社法会計と法人税所得計算を二重計上と誤解して算入を否定しない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問3〕
「二重計上で認められない旨を指摘する答」33令和2年に算入されると述べるだけで,令和元年の可否への解答を済ませない。
〔負例〕2記載なし11頁〔設問3〕
「令和2年事業年度の損金に算入されると」34事業供用を否定する構成では,現実の生産使用との整合と資産該当性否定の効果を説明する。
〔許容分岐〕
別構成を採用した場合のみ(本答案は非採用)327頁〔設問3〕
「減価償却資産該当性やその「取得」、あ」(間接)11頁〔設問3〕
「論旨に一貫性があれば、このような筋の」35減価償却費を原価と構成する場合は,会計計上と公正処理基準に整合する理由を述べる。
〔許容分岐〕
別構成を採用した場合のみ(本答案は非採用)3記載なし12頁〔設問3〕
「原価(法人税法第23条第1項第1」36所得税法と法人税法の条文を混同しない。
〔負例〕2記載なし12頁〔設問3〕
「所得税法と法人税法を混同するものや、」
4 設問4――相続と名義書換料
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感37丙会員権を資産と評価し,第三者への譲渡損失が譲渡所得上のものと確認する。
〔高評価〕527頁〔設問4〕
「譲渡所得の計算に係る基礎と、相続税と」(間接)12頁〔設問4〕
「ゴルフ会員権が資産に該当し、その譲渡」38所得税法38条1項の取得費に取得付随費用が含まれると説明する。
〔必須〕427頁〔設問4〕
「付随費用」12頁〔設問4〕
「付随費用を含む)に変容が生じるのかを」39所得税法60条1項1号の所有継続擬制と取得費の引継ぎを問題にする。
〔必須〕527頁〔設問4〕
「第60条第1項第1号の文言と趣旨」12頁〔設問4〕
「第60条第1項第1号)に関連し、相続」4060条の趣旨を相続時の増加益課税の繰延べと説明する。
〔必須〕427頁〔設問4〕
「課税の繰延べにあり、その譲渡に際し、」12頁〔設問4〕
「条文の趣旨」41相続前後の増加益の合計を超えて所得を把握しないという趣旨から付随費用を控除する。
〔必須〕527頁〔設問4〕
「各増加益を合わせたものを超えて所得と」12頁〔設問4〕
「判例に則して精緻に検討できていた」42名義書換料を取得付随費用へ当てはめ,無視する解釈を否定する。
〔必須〕427頁〔設問4〕
「名義書替料が取得費(所得税法第38条」12頁〔設問4〕
「相続人の手元で生じる付随費用の扱」43判例・趣旨を考慮せず,Aの字義的解釈をそのまま採用しない。
〔負例〕2記載なし12頁〔設問4〕
「字義どおりの解釈を単に受け入れて逆の」44名義書換料を譲渡費用と構成する場合は,取得費に当たらない理由を先に説明する。
〔許容分岐〕
別構成を採用した場合のみ(本答案は非採用)3記載なし12頁〔設問4〕
「取得費に当たらない旨の説明を経なけれ」45取得費の解釈への回答を,設問5の損益通算の可否に置き換えない。
〔負例〕2記載なし12頁〔設問4〕
「設問5の解答との重複ないし混乱が見ら」46事案の分析だけで終えず,Aの解釈に問題があるかの判断を示す。
〔負例〕2記載なし12頁〔設問4〕
「結論が不明の答案や、損益通算に関する」
5 設問5――ゴルフ会員権の損益通算
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感47丙会員権の損失が譲渡所得に係るものであり,69条1項では原則通算対象と確認する。
〔必須〕427頁〔設問5〕
「第69条第1項から、問題文の譲渡」12頁〔設問5〕
「譲渡所得上の損失に当たることの確認を」4869条2項から62条1項・施行令178条1項2号へ条文連鎖をたどる。
〔必須〕527頁〔設問5〕
「第62条第1項・同法施行令第178条」12頁〔設問5〕
「第178条第1項第」2号)に」49消費支出の性格又は帰属所得の非課税との見合いから,損失を担税力の減殺要素にしない理由を示す。
〔高評価〕527頁〔設問5〕
「その趣旨を理解した上で導ける力が試」(間接)12頁〔設問5〕
「消費支出としての性格に照らし、あ」50主として趣味・娯楽等の目的で所有する資産という要件を解釈する。
〔必須〕427頁〔設問5〕
「主として趣味、娯楽・・の目的で所有す」12頁〔設問5〕
「主として趣味、娯楽(中略)の目的で所」51複合目的の主目的を判断する客観的要素と,それを重視する理由を示す。
〔高評価〕527頁〔設問5〕
「公平な税務執行の要請から、客観的要素」13頁〔設問5〕
「どのような要素に着目して主たる所有目」52Aの値上がり・節税への関心と,優先利用権・毎月の利用を比較して当てはめる。
〔高評価〕527頁〔設問5〕
「客観的要素を重視した当てはめが意」(間接)13頁〔設問5〕
「客観的な事実を黙過してよいと考えるな」53所有継続擬制との関係で,相続前のCの所有目的を考慮する余地を検討する。
〔高評価〕
発展的視点(全答案の必須ではない)3記載なし13頁〔設問5〕
「相続前の所有目的」54Aの値上がり期待だけから,客観的利用を無視して投資目的と判定しない。
〔負例〕2記載なし13頁〔設問5〕
「値上がり期待という主観に単純に導かれ」55生活に通常必要でない資産と認定しながら通算できると結論付けない。
〔負例〕2記載なし13頁〔設問5〕
「矛盾を含む答案も散見された。いま1つ」56給与所得が損失の発生源でないことを理由に,通算の相手にもなれないと誤解しない。
〔負例〕2記載なし13頁〔設問5〕
「損失の通算相手とはなりえない旨述べて」
6 答案全体
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感57抽象的な規範と具体的な事実との対応を明示する。
〔高評価〕326頁〔答案全体〕
「事案に適切に当てはめる」14頁〔答案全体〕
「課税要件事実を抽出」58自明な事柄への冗長な説明で,問われる事項の論述を圧迫しない。
〔負例〕2記載なし14頁〔答案全体〕
「本末転倒である。時間制限の中で、何が」59判読でき,文意を読み取れる表現で答案を記述する。
〔高評価〕1記載なし14頁〔答案全体〕
「文意を読み取れる程度には丁寧な筆記」

(続きを読む...)令和6年度司法試験租税法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和6年司法試験・国際公法第2問―公海衝突・武力の威嚇・国家責任と模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1―公海衝突と刑事管轄2 設問2―不干渉・武力の威嚇3 設問3―判決後の国家責任4 答案全体5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問と関連する記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 条約・国際法資料3 裁判例4 確認状態

本記事は,司法試験の国際公法(正式科目名「国際関係法(公法系)」)の令和6年・第2問を扱う。主な論点は,公海衝突・武力の威嚇・国家責任である。模範解答,評価項目と重み付け,設問別の解説を掲載している。年度をまたいで論点を復習する場合は,司法試験の国際公法―過去問・答案と論点別ガイドを参照。分野の基本は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いと基本事項で説明している。

令和6年司法試験の国際関係法(公法系)第2問について,公海衝突後の刑事管轄,不干渉・武力の威嚇,判決後の国家責任を整理し,模範解答と35の評価項目を示します。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験・選択科目問題の42頁です。以下の評価表は法務省の出題の趣旨と採点実感から独自に抽出した評価単位であり,公式採点基準・配点・予測得点ではありません。

本問では,B国が海洋法条約の非当事国であることから慣習国際法への主張を構成し,A国の行為がそもそも違反でないとの反論を主位に置き,ICJの違反認定後に求める具体的救済まで示します。35項目のうち重み5は5件(番号1・4・12・17・23)です。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

一項目に一つの判定対象を置き,番号は記事全体で連続させています。「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は重みと別の区分です。負例は避けるべき記載を意味し,高評価・条件付き分岐を全答案への累積要求とはしません。公式資料の頁数はPDFの頁番号です。関連範囲を実読した上で,記載なしと間接的な根拠を区別しています。

2 5段階の重み付けの基準

重み5=評価の分かれ目又は答案の骨格。4=出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。3=一方が明示する中核の理由付け。2=軽い補強又は典型的な誤り。1=控えめな言及。本記事の重み4は「全件を高く評価した」という意味ではありません。

第3 本問の概要

公海上でA国船α号とB国船β号が衝突し,B国民8人が死亡しました。B国は上陸後のA国籍船長Xを逮捕・起訴し,拘禁刑を言い渡します。A国は抗議とODA停止に加え「必要な全ての手段」を用いると伝え,B国は不干渉・武力の威嚇違反を主張します。A国は軍事大国ですが,両国関係は従前良好でした。A国のみが海洋法条約の当事国です。

設問1はA国の違反主張の根拠,設問2はA国の反論,設問3はB国の違反をICJが認定した後の責任交渉です。付託合意は違反の有無だけをICJに判断させるものであり,国家責任上の救済を命じる判決を求める設問ではありません。

第4 評価項目と重み1 設問1―公海衝突と刑事管轄番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1公海衝突に関する船長等の刑事手続を旗国又は本人の国籍国に限る97条1項の規律を示す。
〔必須〕537頁・国際公法第2問・設問1。公海上の船舶につき衝突その他に関する記述。39頁・3(2)第2問。旗国又は船長が属する国に関する記述。2α号の旗国とXの国籍国が共にA国であり,規律に従えばB国に管轄がないことを当てはめる。
〔必須〕437頁・国際公法第2問・設問1。A国の当局のみがとるに関する記述。間接(39頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。本問ではA国に関する記述。3B国が条約非当事国であるため,条約違反を直接主張できないと説明する。
〔必須〕437頁・国際公法第2問・設問1。条約の当事国ではないに関する記述。39頁・3(2)第2問。同条約は適用されないに関する記述。497条1項と同内容の慣習国際法への違反をA国の主張として構成する。
〔必須〕537頁・国際公法第2問・設問1。そのような慣習国際法に関する記述。39頁・3(2)第2問。慣習国際法に基礎付けてに関する記述。5ローチュス号判決では加害船旗国の排他的管轄を認めず,被害船旗国の管轄を許したと説明する。
〔必須〕437頁・国際公法第2問・設問1。被害船の旗国に関する記述。39頁・3(2)第2問。刑事管轄権の行使が国際法上認められるに関する記述。61958年公海条約に同様の規定が採られたことを歴史的展開の一段として示す。
〔高評価〕337頁・国際公法第2問・設問1。1958年の公海に関する条約に関する記述。記載なし7ローチュス号判決後の条約規則の慣習法化によって現在の制限を主張する。
〔必須〕437頁・国際公法第2問・設問1。この条約規則が慣習国際法化に関する記述。39頁・3(2)第2問。その歴史的展開に関する記述。8公海の自由・旗国主義の一般論だけで済ませず,衝突事件の97条1項を検討する。
〔負例〕2記載なし39頁・3(2)第2問。第92条第1項に関する記述。2 設問2―不干渉・武力の威嚇番号評価項目重み出題の趣旨採点実感9国家間の不干渉義務を慣習国際法上の原則として位置付ける。
〔必須〕437頁・国際公法第2問・設問2。不干渉義務が慣習国際法上存在に関する記述。間接(39頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。国連憲章には直接的には定められていないに関する記述。10憲章2条7項は国連に対する規定であり,国家間の不干渉義務を直接定める規定としない。
〔負例〕437頁・国際公法第2問・設問2。干渉する権限を国に関する記述。40頁・3(2)第2問。この規定が国家間の不干渉原則を定めているに関する記述。11憲章2条7項や国内管轄事項を巡る議論を,国家間の不干渉原則を理解する参考に用いる。
〔高評価〕
2条7項を理解の参考に使う高評価枝。全答案への累積要求ではない。3記載なし40頁・3(2)第2問。この規定を巡る議論を参考に関する記述。12不干渉の対象を,国家主権に基づき自由に決定できる国内管轄事項に限定する。
〔必須〕537頁・国際公法第2問・設問2。国家主権の原則によりに関する記述。間接(39頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。国家間の不干渉原則の内容に関する記述。13私人の逮捕・起訴は一般に国内事項でも,国際法に違反する管轄行使の自由はないと反論する。
〔必須〕337頁・国際公法第2問・設問2。管轄権行使をする自由を国は有しに関する記述。記載なし14違法な干渉には強制又はその威嚇を背景とする命令的介入が必要と説明する。
〔必須〕438頁・国際公法第2問・設問2。命令的な介入に関する記述。間接(39頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。不干渉原則の内容に関する記述。15仮に国内事項であっても,外務大臣の批判・抗議にとどまる行為は命令的干渉でないと当てはめる。
〔必須〕437頁・国際公法第2問・設問2。仮に国内管轄事項に当たるとしてもに関する記述。間接(40頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。本問の事実関係への適切な当てはめに関する記述。16ニカラグア判決が当該経済援助停止・禁輸を不干渉違反としなかったことを反論の手掛かりとする。
〔高評価〕338頁・国際公法第2問・設問2。経済援助の停止や禁輸措置に関する記述。記載なし17軍事大国の外務大臣による「必要な全ての手段」という発言が武力による威嚇となるかを争点化する。
〔必須〕538頁・国際公法第2問・設問2。武力による威嚇に関する記述。間接(40頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。第2条第4項のあり得る解釈に関する記述。18従前の良好な関係を踏まえ,軍事大国の発言だけで直ちに武力の威嚇とはいえないと反論する。
〔必須〕338頁・国際公法第2問・設問2。全般的にに関する記述。記載なし19安保理の第7章に基づく授権の実行と,個別加盟国の発言を同一視しない。
〔高評価〕338頁・国際公法第2問・設問2。国連の安保理が国連憲章第7章に関する記述。記載なし20forceを経済的圧力まで含める広義説を想定し,軍事力に限る解釈から反論する。
〔許容分岐〕
経済圧力を含む広義解釈を想定する場合。338頁・国際公法第2問・設問2。経済的圧力を含むというに関する記述。記載なし21対抗措置を援用する場合,まず自国行為の適法を主張し,仮に義務違反とされる場合の予備的正当化と明記する。
〔負例〕
対抗措置を論ずる場合。3記載なし40頁・3(2)第2問。留保を付けずに対抗に関する記述。22対抗措置は憲章上の武力による威嚇・行使禁止の違反を正当化しないと説明する。
〔負例〕
対抗措置を論ずる場合。3記載なし40頁・3(2)第2問。対抗措置として正当化されないに関する記述。3 設問3―判決後の国家責任番号評価項目重み出題の趣旨採点実感23B国の違反認定が既にされている前提を保ち,判決後の国家責任上の請求内容を答える。
〔必須〕538頁・国際公法第2問・設問3。拘禁刑に関する記述。40頁・3(2)第2問。問題設定から外れたに関する記述。24ホルジョウ工場判決と国家責任条文に反映された賠償原則を用いて具体的救済を構成する。
〔必須〕438頁・国際公法第2問・設問3。ホルジョウ工場事件本案判決に関する記述。40頁・3(2)第2問。ホルジョウ工場事件本案判決に関する記述。25拘禁刑に処されたXの釈放をB国に求める。
〔必須〕438頁・国際公法第2問・設問3。Xの釈放を求めることができるに関する記述。間接(40頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。具体的な事案への当てはめに関する記述。26釈放を原状回復,違法行為の中止又は双方として位置付け,採用する定義に整合させる。
〔許容分岐〕
釈放の法的性質を位置付ける場合(代替構成)。338頁・国際公法第2問・設問3。その両者の性格に関する記述。記載なし27Xの経済的損失は釈放だけでは回復されないと具体的に説明する。
〔必須〕338頁・国際公法第2問・設問3。Xの釈放によっては償われないに関する記述。記載なし28原状回復で補えないXの経済的損失について金銭賠償を求める。
〔必須〕438頁・国際公法第2問・設問3。B国に金銭賠償に関する記述。間接(40頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。原状回復や金銭賠償に関する記述。29Xの損害に関する金銭請求を,自国民のための外交的保護と位置付ける。
〔必須〕338頁・国際公法第2問・設問3。自国民のために外交的保護に関する記述。記載なし30外交的保護には国内救済完了が問題となり,本問では完了の有無が不明と指摘する。
〔必須〕338頁・国際公法第2問・設問3。国内救済が尽くされているかに関する記述。記載なし31国家の非物質的損害の賠償形態として満足を検討する。
〔必須〕438頁・国際公法第2問・設問3。満足の一形態に関する記述。間接(40頁・3(2)第2問の関係規範・具体的当てはめの総括)。満足(サティスフに関する記述。32満足の具体例として遺憾表明又は公式の陳謝をB国に求める。
〔必須〕338頁・国際公法第2問・設問3。遺憾の意の表明や公式の陳謝に関する記述。記載なし33ICJの違反認定後は,特段の事情なしにB国の違反の自認を重ねて要求しない。
〔負例〕438頁・国際公法第2問・設問3。特段の事情がなければ適切に関する記述。40頁・3(2)第2問。違反の自認を本問の事実関係に関する記述。34判決後に国家責任成立のためB国への行為帰属を再論証しない。
〔負例〕3記載なし40頁・3(2)第2問。行為の帰属に関する記述。35憲章94条1項・ICJ規程59条による判決の履行義務・当事国間の拘束力を前提として扱う。
〔必須〕3記載なし40頁・3(2)第2問。ICJの判決の拘束力に関する記述。4 答案全体

一般的な指摘として,採点実感38頁の採点方針と40~41頁の総括は,全設問への応答,条文・重要判例の正確な理解,事実への当てはめ,論理的な構成・理由付けを求めています。これらは上の35項目と別に扱い,重みの件数へ混ぜていません。

5 重みの分布

重み1=0件,2=1件,3=16件,4=13件,5=5件。合計N=35件,重み合計W=127です。重み合計から公式得点や合格可能性を推計することはできません。

番号1:公海衝突に関する船長等の刑事手続を旗国又は本人の国籍国に限る97条1項の規律を示す。 この項目が当該設問の主ルートを決めるため重み5としました。

番号4:97条1項と同内容の慣習国際法への違反をA国の主張として構成する。 この項目が当該設問の主ルートを決めるため重み5としました。

番号12:不干渉の対象を,国家主権に基づき自由に決定できる国内管轄事項に限定する。 この項目が当該設問の主ルートを決めるため重み5としました。

番号17:軍事大国の外務大臣による「必要な全ての手段」という発言が武力による威嚇となるかを争点化する。 この項目が当該設問の主ルートを決めるため重み5としました。

番号23:B国の違反認定が既にされている前提を保ち,判決後の国家責任上の請求内容を答える。 違反認定後という前提を守ることが救済論の骨格です。

第5 模範解答1 答案の前提と表記

試験実施日は令和6年7月10日,出題法令の基準日は同年1月1日です。後発の法改正・判例を本件の法状態へ取り込んでいません。問題文の「拘禁刑」は外国での処罰を表す与件として用います。答案は空白・改行を除いて2156字です。一次法源の独立確認と公式解説に示された判例の説明を区別する詳細は第7に記します。

2 答案

1 設問1
(1) 国連海洋法条約97条1項は,公海上の船舶衝突について船長等の刑事責任が問われるとき,旗国又は本人の国籍国においてのみ刑事手続をとれると定める。α号の旗国及び船長Xの国籍国は共にA国であり,同規律によればB国に管轄はない。しかし,B国は同条約の非当事国である。条約は第三国の同意なく義務を課さないから,A国はB国の条約違反を直接主張できない。
(2) そこで,同項の内容が慣習国際法となってB国も拘束すると主張する。慣習法には一般慣行と法的確信を要し,条約規則が慣習法を反映し,又はその後慣習法化する場合には,非当事国も拘束される。
 ローチュス号事件判決は,公海衝突事故について加害船旗国の排他的刑事管轄を認める禁止規則はないとして,被害船旗国にも管轄を認めた。したがって,B国は自国船上で自国民8人が死亡したことを根拠に管轄を主張し得る。Xの逮捕も上陸後の領域内執行であり,他国領域への無断執行ではない。
 しかし,同判決は批判を受け,1958年公海条約11条1項に旗国又は本人の国籍国に刑事手続を限る規定が採られ,国連海洋法条約97条1項もこれを引き継いだ。A国は,この歴史的展開とその規則の広範な受容・実行を踏まえ,現在は同内容の慣習法が成立していると主張できる。この特別な制限が成立していれば,B国は被害船旗国であることやXの上陸を理由に回避できず,逮捕・起訴は国際法違反となる。

2 設問2
(1) 国家間の不干渉原則は慣習国際法上の義務であり,友好関係原則宣言やニカラグア判決にも表れている。憲章2条7項は国連の干渉を制限する規定であって,国家間の義務を直接定めるものではないが,国内管轄事項の理解の参考となる。
 不干渉原則は,国家が主権に基づき自由に決定できる事項への強制又はその威嚇を背景とする命令的介入を禁止する。私人の逮捕・起訴は一般に国内事項でも,国際法違反の管轄行使をする自由まで含まれない。A国は国際義務の遵守を求めたのであり,国内専属事項への介入ではないと反論できる。
 また,仮に国内事項でも,単なる批判・外交的抗議は命令的介入ではない。ニカラグア判決が当該事案の経済援助停止・禁輸を不干渉違反としなかったことも手掛かりに,ODA停止も本件では違法な強制に達しないと主張できる。ただし,あらゆる経済圧力が常に適法という意味ではない。
(2) 憲章2条4項のforceを軍事力と解するなら,批判やODA停止自体は武力ではない。B国が経済的圧力も含む広義説を採るとしても,A国は同条4項のforceを41条のarmed force等との体系から軍事力に限定すべきと反論できる。
 「必要な全ての手段」という語は安保理の第7章に基づく授権では武力を含む実行があるが,個別加盟国の発言をその授権と同一視できない。従前の両国関係が全般的に良好であり,発言がODA停止と併せてされたことから,A国は外交・経済上の適法な手段を意味し,軍事大国であることだけで武力の威嚇とはならないと主張できる。もっとも,軍事的優位と発言の文脈から武力行使の意思が伝達されたと評価されれば,反論には限界がある。違反是正という目的だけでは違法な武力行使やその威嚇は許されない。
(3) A国はまず自国行為の適法を主張すべきである。援助継続の国際義務がなければ停止は適法な報復となる。仮に義務違反とされる場合に限り,予備的に対抗措置として正当化を主張できる。B国の先行違反に対し,責任履行を促す一時的措置であること,比例性,事前の履行要求・通告・交渉の申出等が必要であり,単なる懲罰は許されない。さらに国家責任条文50条1項により,対抗措置は武力による威嚇・行使禁止への違反を正当化できない。

3 設問3
(1) ICJが既にB国の違反を認定したことを前提とする。憲章94条1項による判決履行義務とICJ規程59条による当事国間の拘束力があるため,B国への行為帰属や違反の成立を判決後に再論証する必要はない。付託合意は違反認定のみを求めたので,以下は給付判決の請求ではなく,判決後の交渉で求める措置である。
(2) ホルジョウ工場判決に示され,国家責任条文に反映された完全賠償の原則に従い,A国はB国に原状回復,金銭賠償及び満足を,必要に応じ組み合わせて求められる。
 まず,拘禁刑に処されたXの釈放を求められる。釈放は違法な拘禁の中止であり,違反前の状態を回復する点で原状回復とも捉えられる。原状回復は物理的不能や金銭賠償に比して著しく不均衡な負担となる場合に限界がある。
 Xの経済的損失は釈放だけでは償われないから,違法な拘禁による収入喪失等の金銭評価可能な損害について,因果関係と損害を示して金銭賠償を請求できる。この請求は自国民のための外交的保護となる。ただし,国内救済の完了が必要となるところ,利用可能で実効的な救済を尽くしたかは問題文から明らかでなく,無条件に要件充足とはできない。
(3) 原状回復・金銭賠償で回復されない非物質的損害について,満足として遺憾表明や公式の陳謝を求め得る。他方,ICJの違反認定自体が満足となり得るため,特段の事情なくB国に違反の自認を重ねて要求するのは適切でない。満足は損害に比例し,B国を屈辱化する形態をとれない。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1) 答案と評価項目の対応

設問1の番号1~8は答案1,設問2の番号9~22は答案2,設問3の番号23~35は答案3に対応します。重み5の番号1・4は97条の特別規律と慣習法への切替え,12は国内管轄事項,17は発言の威嚇評価,23は判決後という前提の保持で回収しています。

(2) 非当事国と歴史的展開

97条を引用しただけでは足りません。条約非当事国を直接拘束しないことを示し,同内容の慣習法という法源へ移ります。ローチュス号判決から1958年公海条約,国連海洋法条約へ至る変化を説明します。条約の反復だけで慣習性が自動成立するという断定は避けます。

(3) 不干渉と武力の威嚇

憲章2条7項の主体は国連です。国家間の慣習法上の不干渉義務と混同しません。A国の反論は,国内事項に当たらず,仮に当たっても命令的介入ではないという順序で構成します。対抗措置を論ずる場合は,適法主張を主位とし,仮に義務違反とされた場合の予備的説明に限ります。武力による威嚇は禁止義務の例外にはなりません。

(4) 判決後の救済

釈放の性質は中止・原状回復・双方の構成が許容されます。経済損失は釈放だけでは回復しません。金銭請求は外交的保護であり,国内救済が尽くされた事実は与えられていません。謝罪等の満足は検討できますが,ICJ認定後に違反の自認を機械的に重ねて要求したり,行為帰属を再論証したりする記載は避けます。

(5) 答案の弱点と扱わなかった事項

本答案はA国の主張・反論を示すもので,97条相当規則の慣習性や発言の評価について唯一の結論を強制しません。外交的保護の国内救済経過と援助継続義務は与件から確定できず,必要な箇所を条件付きにしています。再発防止保証や対抗措置の全手続,衝突過失・B国被害者の請求は,中心的な答案要求を圧迫しないよう広く展開していません。

第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

1 令和6年度司法試験・主要7科目の模範解答
2 令和6年度司法試験公法系第1問の模範解答・評価項目
3 令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

同年度の関連する選択科目の解答:
令和6年司法試験・国際公法第1問―国家承認・自決権・国連の紛争解決と模範解答(AI作成)
令和6年度司法試験国際関係法(私法系)第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した51項目と5段階の重み付け(AI作成)
令和6年司法試験国際私法第2問の模範解答と評価項目―公式資料から抽出した43項目と5段階の重み付け(AI作成)
令和6年度司法試験租税法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した56項目と5段階の重み付け(AI作成)
令和6年度司法試験租税法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)

2 本問と関連する記事

設問1の背景にある公海と他の海域の違い,旗国の管轄権と条約・慣習国際法の区別は,国連海洋法条約の全体像と主要条文の読み方から復習できる。後年の一般解説は学習の補助であり,本問当時の法状態を示す根拠とは区別する。

外交的保護―国籍継続・国内救済完了。後年の記事は学習の補助として紹介するもので,本問当時の法状態の根拠にはしません。

第7 出典及び確認状態1 公式資料

法務省・令和6年司法試験問題(選択科目PDF42頁)。
同・出題の趣旨(PDF37頁第2問から38頁同問末尾)。
同・採点実感(選択科目PDF38頁科目総論,39頁3⑵から41頁末尾)。同じ文書の別問題の内容は本問の答案根拠に用いていません。

2 条約・国際法資料

国連海洋法条約97条1項(PDF44頁)。1958年公海条約11条1項。条約法条約34~38条。国家責任条文30~37・44・49~53条。ICJ規程59条。国家責任条文は条約そのものではなく,国際法委員会による法典化・漸進的発達の成果です。

3 裁判例

ローチュス号判決,ニカラグア判決,ホルジョウ工場判決の本問における位置付けは,法務省の該当解説を確認しています。裁判所サイトで原判決の取得に到達できなかったため,原判決全文を独立に確認したという表示はしていません。賠償形態等の規範は国家責任条文の原文と別に照合しています。

4 確認状態

Confirmed:問題文,公式資料の上記実読範囲,条約・国家責任条文等の確認済み原文。Source statement:公式解説が述べる判例の意味と評価の記載。Inference:評価項目の原子化,重み,採用した答案構成。Unknown:原判決全文の未到達範囲,Xの国内救済経過,ODA継続義務。本記事の評価表はこれらを区別した独自分析です。

本問の論点別解説:ニカラグア事件とは|反政府勢力への武器供与・武力行使・不干渉原則,ICJ選択条項受諾宣言とは|相互主義・留保・条約法と慣習国際法。

令和6年司法試験知的財産法第2問の模範解答・評価項目―40項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問12 設問2⑴3 設問2⑵4 設問35 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和6年司法試験の知的財産法第2問について,公式の出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み,模範解答を掲載します。評価表と答案は記事独自の分析であり,法務省の公式採点基準ではありません。

第1 この記事の対象と結論

本問は,建築の著作物の保護と自由利用,絵画の写り込み,建築物の同一性保持権を扱います。公式問題(PDF22頁)を対象とし,設問1,設問2の二つの小問,設問3を順に検討します。

採用答案では,店舗の部分改築はBの複製権を侵害する一方,建物の写真による絵はがきの印刷・販売は46条により許されるとします。絵画αについては30条の2を認め,Cの販売差止めを否定します。屋根の撤去は同一性保持権の例外を検討した上で,Bとの関係で信義に反する改変として工事の予防請求を認める構成を採ります。特に設問3では,実用目的との調整を説明することが重要であり,この結論が公式の唯一指定結論であるとはしていません。

評価項目は40件,重み5は7件です。番号2・7・13・16・22・37・39に対応し,詳しくは重みの分布と枠外解説で説明します。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

一つの行を一つの判定対象に分け,答案だけから記載の有無を判断できる形にしました。「必須」「高評価」「負例」と重みは別の区分です。高評価項目を全答案の必須条件としたり,条件付きの主張を累積的に要求したりする趣旨ではありません。

頁はPDFの物理頁です。出題の趣旨の第2問は30頁,採点実感の本問は主に22~24頁にあります。表の引用は短い原文の抜粋です。「記載なし」は本問の関連範囲を実読した結果,その粒度の独立した明示がないという意味です。評価項目は公式資料の説明から独自に抽出したもので,項目数や重みを実際の得点へ換算できません。

2 5段階の重み付けの基準

重み5=採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格。
重み4=出題の趣旨が検討を求め,採点方針・採点実感も評価又は具体的な不足・誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
重み3=どちらか一方が明示する中核の理由付け。
重み2=一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
重み1=一方が控えめに触れる事項。

本記事の重み4では「高く評価された事項」と「不足・誤りの指摘を通じて取り上げられた事項」を区別して確認しています。各段階に件数を割り当てることはしていません。

第3 本問の概要

A市は,誰でも自由に入れる公園に,Bが斬新な屋根と外壁を設計した図書館を建築しました。ホールの奥には,独特の色彩でA山を描いたCの絵画αが展示されています。Dは店舗を図書館と同じ形に部分改築し,図書館を正面から撮影した絵はがきβも印刷・販売しました。建物は画面の5分の3ほどを占め,絵画は小さいものの代表作と分かる程度に写っています。入口の扉は開館時間中常に開いています。

建築10年後,市長の嗜好を理由に,屋根の突出部分だけを撤去する計画が立てられました。設問1はBの著作権侵害,設問2⑴はBの請求と妥当性,⑵はCとDの攻撃防御,設問3はBの工事阻止の請求と妥当性を問います。

第4 評価項目と重み1 設問1番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1〔必須〕著作物の定義を2条1項1号に基づいて示す。4PDF 30頁,知的財産法第2問 2(総論1を併せて参照)。
「建築物としてのA図書館の著作物性」PDF 24頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「同法第2条第1項第1号を挙げない答案」2〔高評価〕建築の鑑賞性と実用性を区別し,保護に値する美的創作性の判断基準を示す。5PDF 30頁,知的財産法第2問 2(総論1を併せて参照)。
「建築の著作物の著作物性の判断基準」PDF 22頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「A図書館が観賞性と実用性を併有」3〔必須〕屋根の突出・曲面と連続する外壁を創作的表現として評価する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 2(総論1を併せて参照)。
「建築物としてのA図書館の著作物性」PDF 22頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「事案に即した当てはめ」4〔必須〕Bが創作者で著作者となり,2条1項2号・17条1項により著作権を享有する旨を示す。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 22頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「その著作権のBへの帰属」5〔必須〕Dの部分改築を,創作的表現の有形的再製として複製権の対象に位置付ける。4PDF 30頁,知的財産法第2問 2(総論1を併せて参照)。
「複製権(法第21条)侵害の成否」PDF 22頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「改築行為の複製該当性」6〔必須〕建築の著作物には46条柱書の自由利用が原則適用されることを示す。4PDF 30頁,知的財産法第2問 2(総論1を併せて参照)。
「権利制限(法第46条)」PDF 22・24頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「同法第46条柱書」7〔高評価〕建築による複製は46条2号により自由利用から除外されると本件改築に当てはめる。5PDF 30頁,知的財産法第2問 2(総論1を併せて参照)。
「公開の美術の著作物等の利用」PDF 22頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「建築の著作物を建築により複製」8〔負例〕10条1項5号だけを著作物性の根拠とし,2条1項1号を落とす誤りを避ける。2関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 24頁,2⑵採点方針・ア/3⑵採点実感。
「同法第2条第1項第1号を挙げない答案」2 設問2⑴番号評価項目重み出題の趣旨採点実感9〔必須〕絵はがきの印刷を21条の複製という法定利用行為として特定する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「複製権(法第21条)」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「絵はがきβの印刷が複製権」10〔必須〕販売を公衆への譲渡として26条の2第1項に接続する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「譲渡権(法第26条の2第1項)」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「その販売が譲渡権」11〔必須〕112条1項により絵はがきの印刷停止を請求候補として特定する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「停止請求(法第112条第1項)」PDF 22・24頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「絵はがきβの印刷・販売の停止請求」12〔必須〕112条1項により絵はがきの販売停止を請求候補として特定する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「停止請求(法第112条第1項)」PDF 22・24頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「絵はがきβの印刷・販売の停止請求」13〔高評価〕112条2項の在庫廃棄請求を印刷・販売の停止と区別する。5PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「廃棄請求(同条第2項)」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「その在庫の廃棄請求」14〔必須〕民法709条に基づく損害賠償請求を差止めとは別に挙げる。4PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「損害賠償請求(民法第709条)」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「損害賠償請求(民法第709条)」15〔必須〕建築の写真による複製・販売について46条の適用を検討する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「これらの請求の妥当性の問題」PDF 22・24頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「公開の美術の著作物等の利用に係る権利制限」16〔高評価〕46条4号が美術の著作物のみを掲げ,建築を掲げない文言差を説明する。5PDF 30頁,知的財産法第2問 3(総論1を併せて参照)。
「権利制限(法第46条)」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「建築の著作物を挙げていないこと」17〔負例〕より事案に適する権利制限の検討を引用32条より優先する。2関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 24頁,2⑵採点方針・イ小問⑴/3⑵採点実感。
「そちらの検討を優先するべきである」3 設問2⑵番号評価項目重み出題の趣旨採点実感18〔必須〕αの独特の色彩による山の描写を,2条1項1号の著作物として評価する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「絵画αが著作物に該当」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「絵画αが著作物」19〔必須〕Cが絵画の創作者として2条1項2号・17条1項により著作権者となる旨を示す。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「Cがその著作権者」20〔必須〕Cは撮影・印刷をαの複製権侵害と主張する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「複製権及び譲渡権の侵害」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「著作物の類似性の否定」21〔必須〕CはDの絵はがき販売をαの複製物の譲渡として主張する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「複製権及び譲渡権の侵害」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「Dの行為が絵画αの複製物の譲渡」22〔必須〕C側の複製・譲渡主張とD側の抗弁を別々の攻撃防御として配置する。5PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「これに対抗するDの主張」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「これに対抗するDの主張」23〔必須〕Dの主張として,本質的特徴の直接感得ができず類似性を欠くという反論を明示する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「著作物の類似性」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「著作物の類似性の否定」24〔必須〕小さく写ることと独特の色彩による識別可能性を用いて類似性否定の妥当性を判断する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「本問の事実関係を踏まえて検討」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「本問の事実関係を踏まえて適切に検討」25〔必須〕30条の2の付随対象著作物という権利制限をDの抗弁として特定する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「付随対象著作物の利用」PDF 22・24頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「付随対象著作物の利用に係る権利制限」26〔高評価〕写り込みの軽微性を,割合・再製精度等に照らして検討する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「本問の事実関係を踏まえて検討」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「軽微性や正当範囲」27〔高評価〕30条の2第1項の正当な範囲を,利益目的・分離困難性の程度・作品の役割等から検討する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「本問の事実関係を踏まえて検討」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「軽微性や正当範囲」28〔高評価〕付随利用の各要件を図書館主体・小さな絵画・開放された扉等の本件事実へ当てはめる。4PDF 30頁,知的財産法第2問 4(総論1を併せて参照)。
「これらの主張の妥当性の問題」PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「それぞれ本問の事実関係を」29〔必須〕Dの別の主張として46条の公開美術の自由利用を検討する。
46条の別抗弁を検討する場合。適用否定でも理由があれば充足。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 22・24頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「公開の美術の著作物等の利用に係る権利制限」30〔高評価〕46条柱書の屋外恒常設置という要件を4号と区別する。
46条の別抗弁を検討する場合。適用否定でも理由があれば充足。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「屋外恒常設置に当たるか」31〔高評価〕館内壁面と開館中常時開放された扉の事情を,屋外恒常設置該当性の解釈・当てはめに使う。
46条の別抗弁を検討する場合。適用否定でも理由があれば充足。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「屋外恒常設置に当たるか」32〔高評価〕46条4号の専ら美術の複製物の販売を目的としたかを,建物主体・絵画の小ささから判断する。
46条の別抗弁を検討する場合。適用否定でも理由があれば充足。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 22頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的」33〔負例〕30条の2のどの要件を論じているか不明瞭な記載を避ける。2関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 24頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「条文のどの要件について述べているのかが不明瞭」34〔負例〕46条柱書・4号を検討せず当然に自由利用とする処理を避ける。2関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 24頁,2⑵採点方針・イ小問⑵/3⑵採点実感。
「当然に同条の適用がある旨」4 設問3番号評価項目重み出題の趣旨採点実感35〔必須〕A図書館の著作者Bに著作者人格権が帰属することを明示する。3関連範囲実読。この粒度の独立明示なし。PDF 24頁,2⑵採点方針・ウ/3⑵採点実感。
「A図書館の著作者人格権がBに帰属」36〔必須〕突出する屋根の撤去を20条1項のBの意に反する改変として論じる。4PDF 30頁,知的財産法第2問 5(総論1を併せて参照)。
「同一性保持権侵害の成否」PDF 22・24頁,2⑵採点方針・ウ/3⑵採点実感。
「同一性保持権」37〔必須〕未着工の撤去工事について,112条1項の侵害予防請求として中止を求める。5PDF 30頁,知的財産法第2問 5(総論1を併せて参照)。
「撤去工事の予防請求」PDF 24頁,2⑵採点方針・ウ/3⑵採点実感。
「侵害行為の「予防」請求」38〔必須〕20条2項2号の建築物の増改築等による改変という例外を検討する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 5(総論1を併せて参照)。
「第2項第2号該当性」PDF 22頁,2⑵採点方針・ウ/3⑵採点実感。
「改変が建築物の増改築等」39〔高評価〕建築物の実用目的と人格的利益の調整という例外の趣旨を示す。5PDF 30頁,知的財産法第2問 5(総論1を併せて参照)。
「第2項第2号該当性」PDF 23頁,2⑵採点方針・ウ/3⑵採点実感。
「的との調整という同号の趣旨」40〔高評価〕市長の嗜好による屋根の一部撤去を,実用面との関係と改変内容から具体的に評価する。4PDF 30頁,知的財産法第2問 5(総論1を併せて参照)。
「本問の事実関係を踏まえて検討」PDF 24頁,2⑵採点方針・ウ/3⑵採点実感。
「実用面とは無関係なものである点」5 答案全体

権利の発生,著作者性・帰属,対象行為と支分権,権利制限,請求の具体的内容を順に示し,事実がどの要件を支えるかを論じます。これは全体の読み方であり,新たな重み付き項目へ加算していません。

6 重みの分布

重み1は0件,2は4件,3は7件,4は22件,5は7件です。総項目数N=40,重みの単純合計W=152です。これらは難易度,公式配点,合格可能性を示す数字ではありません。

番号2:建築の鑑賞性と実用性を区別し,保護に値する美的創作性の判断基準を示す。 鑑賞性と実用性の区別は良好・優秀の評価分岐。
番号7:建築による複製は46条2号により自由利用から除外されると本件改築に当てはめる。 建築による複製の認識は良好・優秀の評価分岐。
番号13:112条2項の在庫廃棄請求を印刷・販売の停止と区別する。 在庫廃棄と停止の区別は良好・優秀の評価分岐。
番号16:46条4号が美術の著作物のみを掲げ,建築を掲げない文言差を説明する。 美術と建築の文言差は評価分岐であり,実感は誤りも指摘。
番号22:C側の複製・譲渡主張とD側の抗弁を別々の攻撃防御として配置する。 C/Dの攻撃防御は設問が指定する骨格。
番号37:未着工の撤去工事について,112条1項の侵害予防請求として中止を求める。 未着工の侵害予防という法的段階と請求類型は骨格。
番号39:建築物の実用目的と人格的利益の調整という例外の趣旨を示す。 実用目的との調整と丁寧な当てはめは良好・優秀の評価分岐。

第5 模範解答1 答案の前提と表記

選択科目の試験日は令和6年7月10日です。出題法令は同年1月1日現在に施行されている法令を基準とし,判例は試験日以前のものを用いています。答案は空白・改行を除いて2099字で,2500字以内です。法は著作権法を指します。建物の所有と著作者の権利を区別し,設問3は原則的な改変許容に信義の限界を認める構成で統一しています。

2 答案

1 設問1

(1) A図書館は,曲面状の屋根が右上方に伸び,端部が大きく突出し,外壁も屋根と連続した曲面をなす。これは市の発展というBの思想を個性的な造形として表現したものであり,通常の実用的建物の形状を超え,実用性とは別に美的鑑賞の対象となる造形芸術性を有するから,建築の著作物である(著作権法2条1項1号,10条1項5号)。創作者Bが著作者であり,著作権を享有する(2条1項2号,17条1項)。

(2) 複製とは既存の著作物に依拠し,その創作的表現を有形的に再製することである(2条1項15号,21条)。全部を再現する必要はなく,創作的な部分の再製でも足りる。DはA図書館を参考に,特徴的な屋根及び外壁と同じ形に店舗を改築しており,Bの創作的表現を建築によって再製している。改築が建物の一部でも複製に当たる。

(3) 46条は建築の著作物の利用を原則自由とするが,建築による複製は同条2号の除外に当たる。したがって,Dの行為はBの複製権を侵害する。

2 設問2

(1) 小問⑴

ア 撮影及び印刷は複製,販売は複製物の公衆への譲渡である。Bは複製権及び譲渡権(26条の2第1項)を根拠に,Dへ印刷・販売の停止及び絵はがきβの在庫の廃棄を請求し得る(112条1項,2項)。故意又は過失,損害及び因果関係があれば民法709条による損害賠償も考えられる。

イ 写真からは屋根と外壁の特徴が明瞭に判別でき,創作的表現の再製に当たる。しかし,46条は建築の著作物を方法を問わず利用できるとし,写真による複製・販売は2号に当たらない。4号は専ら「美術の著作物」の複製物を販売する場合であり,別類型の建築の著作物には及ばない。建物が画面の5分の3を占め,絵はがき販売により収益を得てもこの結論は変わらず,Bの上記請求は認められない。

(2) 小問⑵

ア 絵画αは独特の色彩によるA山の描写に創作性がある美術の著作物である(2条1項1号,10条1項4号)。創作者Cが著作者として著作権を享有する(2条1項2号,17条1項)。Cは,独特の色彩が再現された撮影・印刷が複製権を侵害すると主張する。Dは,αが小さく写るだけで表現上の本質的特徴を直接感得できないと反論し得る。しかし,Cの代表作と分かる独特の色彩が残っており,創作的表現の同一性を認めるべきである。CはDの販売が譲渡権を侵害するとして,112条1項による販売差止めを主張すべきである。

イ Dは46条による自由利用を主張し得る。Cは,αが玄関ホール奥の屋内にあり,45条2項の屋外の場所に恒常的に設置された原作品ではないと反論できる。扉が開館時間中常に開き,外から見えるとしても,設置場所を要求する文言からは屋外設置に当たらないと解する。46条は適用されない。これに対し,公衆に継続して公開される状態を重視して屋外設置と同視する解釈では,絵はがきの主題が建物でαは小さな背景であることから,専ら美術の複製物の販売を目的とする4号に当たらず,自由利用となり得る。

ウ Dは更に30条の2による付随対象著作物の利用を主張できる。主たる撮影対象は画面の5分の3を占める図書館で,αは奥に小さく写るだけであり,撮影対象に付随する。独特の色彩が判別できることは複製の成立を基礎付けるが,画面に占める割合,再製の精度及び役割を総合すると軽微な構成部分といえる。

 正当な範囲かは,αの利用から利益を得る目的,分離困難性の程度,αの役割等によって判断する。Dは販売益を得るが,建物の外観を正面から示す撮影に付随し,α自体を鑑賞させて収益を得る利用とはいい難い。扉が常に開く状況とαの小ささも併せれば正当な範囲である。分離困難性は独立の必須要件ではない。

 また,αの鑑賞用複製物に代替する態様ではなく,Cの利益を不当に害するとは認め難い。撮影時の利用は同条1項で,その写真に基づく印刷・販売は作成伝達物の利用に伴う利用として2項で許され,2項ただし書にも当たらない。よって,Cの販売差止請求は認められない。

3 設問3

(1) A図書館の創作者Bには,著作者人格権である同一性保持権が帰属する(2条1項2号,17条1項)。Bは屋根の切除が同一性保持権(20条1項)を侵害するおそれがあるとして,112条1項による工事の予防を請求し得る。特徴的な突出部分の撤去はBの意に反する著作物の改変である。

(2) A市は建築物の改築等に当たるとして20条2項2号を主張できる。同号は所有者の経済的利用と著作者の人格的利益を調整するものであり,必要な増改築に限るという明文はない。他方,所有者による一切の改変を無条件に許すと著作者の利益が空洞化するから,著作者との関係で信義に反する特段の事情がある改変には及ばないと解する。

 本件では,建築後10年というだけで老朽化や安全上の必要性を補うことはできず,市長が奇抜と考えたことだけを理由に,市の発展を表す最も特徴的な屋根の突出部を撤去する。Bの創作意図を直接損なう恣意的な改変であり,信義に反する特段の事情を認めるべきである。20条2項4号のやむを得ない改変ともいえず,工事の差止めが認められる。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1) 答案と評価項目の対応

設問1は番号1~8,設問2⑴は9~17,設問2⑵は18~34,設問3は35~40に対応します。負例は誤った処理を避けるための項目であり,その誤記を答案へ書くことを求めるものではありません。

(2) 建築の保護と絵はがき

番号2・7は,実用的な建物のありふれた形状と創作的造形を区別し,その表現を建築によって再製したことを論じる点です。写真による複製と混同してはいけません。番号13では停止と在庫廃棄,番号16では「美術」と「建築」の法文上の区別をそれぞれ明示します。

(3) 絵画の写り込みと攻撃防御

番号22はC・D両者の主張を回収する骨格です。Dの類似性否定は,その結論を採らなくても,独立の主張として示してから評価します。小さいことは複製を当然に否定する理由にはなりませんが,写り込みの軽微性・正当な範囲の判断では重要です。30条の2第1項の各要件と,印刷・販売についての同条2項は区別しました。同条各項ただし書の不当な利益侵害も検討していますが,公式に独立の評価事項として挙げられたものとは区別した補足です。

46条については,αの屋内設置という文言上の障害を示す構成を採り,外から恒常的に見える状態を重視する解釈も検討しました。4号の「専ら」の判断は,屋外恒常設置の要件とは別です。両解釈の相違は示しつつ,付随対象著作物の抗弁を独立に判断するのが本答案です。

(4) 同一性保持権と工事の予防

番号37は既にされた侵害の停止ではなく,計画中の工事の予防です。番号39は実用目的との調整であり,市長の好みという目的と,創作的な屋根の突出部を切るという内容を具体的に評価します。改変の必要性に言及しただけで20条2項2号を当然に排除するのではなく,原則許容と信義の限界を分けています。

(5) 答案の弱点と扱わなかった事項

設問3の信義に反する特段の事情の認定は,裁判例の法理を本問へ当てはめた独自の評価です。部分撤去を認める結論を採る場合も,実用性と人格的利益の関係を丁寧に論じる必要があります。建築後10年という与件だけから,危険や老朽化を補ってはいません。全部滅失との違い,翻案権,名誉・声望を害する利用は中核の請求をぼかさないため詳論していません。

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第7 出典及び確認状態1 公式資料

①令和6年司法試験論文式問題・選択科目(知的財産法第2問,22頁)
②令和6年司法試験論文式試験出題趣旨(30頁第2問)
③令和6年司法試験の採点実感・選択科目(知的財産法の本問は主に22~24頁)
④令和6年司法試験の実施について(出題法令の基準時)

2 法令

①著作権法(令和6年1月1日施行版):2条,10条,17条,20条,21条,26条の2,30条の2,45条,46条,112条。
②民法:1条2項,709条。
③文化庁・令和2年著作権法改正(写り込み規定の見直し)

3 裁判例

①大阪高裁・平成15年(ネ)第3575号判決:一般住宅の建築著作物性に関する判示の8~9頁を確認。住宅事案の法理を図書館へ無条件に移すものではありません。
②大阪地裁平成25年9月6日決定・平成25年(ヨ)第20003号:庭園への20条2項2号の類推,改変と信義の限界に関する23~26頁を確認。本問は建築物への直接適用です。

4 確認状態

法務省の問題・出題の趣旨・採点実感は公式PDF正本を確認しました。出題の趣旨は知的財産法第2問の全記載,採点実感は本問の採点方針・実感と関連する科目総論・末尾注記を読んでいます。別科目・第1問の評価内容は本記事へ使用していません。

法令の文言及び上記裁判例の実読部分は一次資料確認済み(Confirmed),公式が述べた評価事項は資料記載(Source statement),本答案の個別事実への評価は独自推論(Inference)です。本問と完全に同型の確定裁判例,具体的な公式配点,契約による権利処理の詳細は未確認(Unknown)であり,推測で補っていません。

令和6年司法試験・国際公法第1問―国家承認・自決権・国連の紛争解決と模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1:国家承認と自決権2 設問2:主権平等と安保理の表決3 設問3:国連内の問題解決手段4 答案全体5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

本記事は,司法試験の国際公法(正式科目名「国際関係法(公法系)」)の令和6年・第1問を扱う。主な論点は,国家承認・自決権・国連の紛争解決である。模範解答,評価項目と重み付け,設問別の解説を掲載している。年度をまたいで論点を復習する場合は,司法試験の国際公法―過去問・答案と論点別ガイドを参照。分野の基本は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いと基本事項で説明している。

令和6年司法試験の国際公法第1問を,国家承認・自決権,安保理の表決,国連内の紛争解決という三つの視点から検討します。公式資料に対応する評価項目と,2500字以内の完成答案を掲載します。

第1 この記事の対象と結論

対象は国際関係法(公法系)第1問です。法務省の問題PDF,出題の趣旨,採点実感に基づき,判定対象を38項目に整理しました。重みは独自の1~5段階であり,公式配点・公式採点基準ではありません。

結論は,B国の国家承認には尚早の承認という反論が可能で,自決原則もP州の当然の分離独立を基礎付けないこと,A国の棄権義務は第6章等と第7章とで異なること,C国の拒否権後も総会・ICJ争訟・事務総長という複数の経路が残ることです。

重み5は11項目(番号4・5・11・15・18・19・21・24・27・29・35)です。国家成立と尚早承認,内外的自決,機関の任務に応じた平等,章別の棄権,総会の手続と勧告の効力,ICJの争訟と同意管轄,事務総長への働きかけが答案の骨格となります。第5に答案全文と解説を置きました。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は一つの判定対象を一行にし,答案に必要な内容を具体化しました。「必須」「高評価」「許容分岐」は重みと別の分類です。高評価は答案を深める事項であり,全ての答案に累積要求する意味ではありません。番号30~33の管轄根拠と番号38の合意による裁定は条件付きの分岐で,根拠なく全部の成立を仮定しません。

頁はPDFファイルの先頭から数えた頁です。出題趣旨の第1問は35~37頁,採点実感の第1問は38~39頁です。表の「記載なし」はこの関連範囲を読んだ結果,「間接」は関連記述からの推論を意味します。根拠欄の短い語句は定位のための引用で,評価項目全文が公式の逐語記述であるという意味ではありません。

2 5段階の重み付けの基準

重み5=評価の分かれ目又は答案の骨格,4=出題趣旨が検討を求め採点実感も取り上げた事項,3=一方が明示する中核の理由付け,2=一方の軽い補強又は典型的な誤り,1=控えめな言及です。本問の重み4は,両資料が取り上げたことを基準とし,全てが「高く評価された」とは扱いません。重み5は各項目が法的構成・手続・効果の骨格に当たるため付けています。段階ごとの件数は割り当てていません。

第3 本問の概要

A国のP州ではβ系住民が多数を占めます。知事Xがα教のQ寺院を閉鎖し,大統領Yが信教の自由を理由にXを解任して非常事態を宣言すると,武装した支持派はP共和国の独立を宣言しました。A国軍との戦闘中にB国が独立を支持して国家承認を行い,後にB国軍が介入して支持派が実効支配を確立します。承認時と軍事介入後の状況を分ける必要があります。

設問1はA国の反論を求めます。設問2ではA国だけが安保理理事国であることと,紛争当事国の棄権義務を検討します。設問3はC国の拒否権により平和の破壊の認定案が否決された後,A国が国連内で採れる手段を問います。A国と支持7か国は計8か国で,安保理の9票と区別します。ICJの管轄受諾や付託合意は与件から確認できません。

第4 評価項目と重み
1 設問1:国家承認と自決権
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1新しい政治的集団の国際法上の地位を確認し,既存国家との法的関係を明確にするため国家承認制度が必要となることを説明する。
【必須】3PDF 35頁(第1問・設問1)
必要とされる理由PDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。2国家成立の事実と承認の法的効果を区別し,採用する承認理論を明示する。
【高評価】3PDF 35頁(第1問・設問1)
国家承認の法的効果PDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。3国家承認が政策判断を含む裁量行為か,要件充足時の法的義務かを区別する。
【高評価】3PDF 35頁(第1問・設問1)
国家承認は法的義務であるのかPDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。4承認時点のP共和国について国家成立要件,特に独立した実効的政府の存在を検討する。
【必須】5PDF 35頁(第1問・設問1)
国家承認の要件PDF 38頁(3⑴)
国際法上の要件を満たさない5国家成立要件を満たさない集団への尚早の承認を,A国に対する違法な干渉として構成する。
【必須】5PDF 35頁(第1問・設問1)
尚早の承認PDF 38頁(3⑴)
尚早の承認6自決権を人民が政治的地位等を自由に決定する権利として定義する。
【必須】3PDF 35頁(第1問・設問1)
自決権の定義PDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。7人民の同権及び自決の原則の条約上の根拠として国連憲章1条2項を示す。
【必須】3PDF 35頁(第1問・設問1)
憲章第1条第2項PDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。8自決権の慣習国際法上の地位を説明する。
【高評価】3PDF 35頁(第1問・設問1)
慣習国際法上確立しているかPDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。9自決権の対世的な権利・義務としての性質を説明する。
【高評価】4PDF 35頁(第1問・設問1)
法的性質の理解PDF 38頁(3⑴)
対世的権利10自決権の主体である人民の範囲を検討し,β系住民の民族・宗教・国籍等の事情を評価する。
【必須】3PDF 35頁(第1問・設問1)
自決権を有する主体PDF 38頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。11植民地独立等の外的自決と国内の政治的地位に関する内的自決を区別する。
【必須】5PDF 35頁(第1問・設問1)
外的自決の場合PDF 38頁(3⑴)
内的自決との区別12本件を植民地独立等の外的自決と区別し,A国からの分離を正当な自決権行使とするB国の理由に反論する。
【必須】4PDF 35頁(第1問・設問1)
外的自決に該当するものではないPDF 38頁(3⑴)
外的自決に該当しない13自決権の性質と射程の説明を,主要な国連実行又は関連ICJ先例で裏付ける。
【高評価】4PDF 35頁(第1問・設問1)
代表的な国際判例PDF 38頁(3⑴)
重要な先例
2 設問2:主権平等と安保理の表決
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感14主権平等原則の明文根拠として国連憲章2条1項を挙げる。
【必須】4PDF 35頁(第1問・設問2)
国連憲章第2条第1項PDF 38頁(3⑴)
国連憲章第2条第1項15主権平等を形式的な同一投票権に限定せず,加盟国の責任・義務と各機関の任務に即した実質的平等として説明する。
【必須】5PDF 35・36頁(第1問・設問2)
実質的な意味での加盟国間の平等PDF 39頁(3⑴)
主権平等原則に反するとは解されていない16安保理が国際の平和及び安全の維持に主要な責任を負うことを,憲章24条1項により説明する。
【必須】4PDF 36頁(第1問・設問2)
主要な責任PDF 39頁(3⑴)
主要な責任17非手続事項には常任理事国の同意を含む9理事国の賛成が必要となることを,憲章27条3項により説明する。
【必須】4PDF 36頁(第1問・設問2)
9理事国の賛成投票PDF 38頁(3⑴)
国連憲章第27条第3項18第6章及び52条3項による決定では,紛争当事国に27条3項ただし書の棄権義務が及ぶと示す。
【必須】5PDF 36頁(第1問・設問2)
投票を棄権する法的義務PDF 38・39頁(3⑴)
投票を棄権する法的義務19第7章による決定には当該棄権義務が及ばないと反対解釈し,A国に一律の棄権を求める主張を退ける。
【必須】5PDF 36頁(第1問・設問2)
投票を棄権する義務はないPDF 39頁(3⑴)
投票を棄権する義務はない20第7章の案件で当事国たる常任理事国も投票する国連実行を挙げ,主権平等原則との関係を説明する。
【高評価】4PDF 36頁(第1問・設問2)
実際に投票を行っているPDF 39頁(3⑴)
実際に投票を行っている
3 設問3:国連内の問題解決手段
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感21常任理事国の拒否権で安保理が機能しない場合,平和のための結集決議による緊急特別総会を提案する。
【必須】5PDF 36頁(第1問・設問3)
国連の緊急特別集会の招集PDF 39頁(3⑴)
国連の緊急特別総会の招集22結集決議による総会の勧告対象には集団的措置が含まれ,平和の破壊又は侵略の場合の兵力使用も決議文上示されることを説明する。
【高評価】4PDF 36頁(第1問・設問3)
兵力を派遣することもできるPDF 39頁(3⑴)
兵力を派遣することもできる23公式資料が示す試験当時の実行として,結集決議に基づく集団的措置の決定例がないとの説明に言及する。
【高評価】4PDF 36頁(第1問・設問3)
集団的措置が決定された例はなくPDF 39頁(3⑴)
集団的措置が決定された事例はない24総会の集団的措置に関する決議は勧告的効力にとどまり,加盟国の参加を法的に義務付けないことを明示する。
【必須】5PDF 36頁(第1問・設問3)
参加を法的に義務付けるものではないPDF 39頁(3⑴)
間接:関連する総会又は事務総長の説明。25スエズ動乱で結集決議が援用され緊急特別総会とUNEFⅠにつながった実行を,総会経路の説明に用いる。
【高評価】2PDF 36頁(第1問・設問3)
第2次中東戦争PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。262022年のウクライナ侵略で緊急特別総会が招集され非難決議が採択された実行を,総会経路の説明に用いる。
【高評価】2PDF 36頁(第1問・設問3)
2022年のロシアPDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。27A国がB国を被告としてICJに提訴する司法的救済を検討する。
【必須】5PDF 36頁(第1問・設問3)
B国を被告PDF 39頁(3⑴)
B国を被告28ICJが国連の主要な司法機関であることを憲章92条により示す。
【必須】3PDF 36頁(第1問・設問3)
国際連合の主要な司法機関PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。29提訴にはICJ規程36条のいずれかの管轄根拠とB国の管轄同意が必要であり,国連加盟のみで管轄は生じないと説明する。
【必須】5PDF 36頁(第1問・設問3)
裁判管轄権の根拠PDF 39頁(3⑴)
裁判管轄権の根拠30ICJ規程36条1項前段の合意付託による管轄を,両国の合意を要する経路として示す。
【許容分岐】3PDF 36頁(第1問・設問3)
合意付託PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。31ICJ規程36条1項後段の裁判条項又は裁判条約の有無と適用範囲を確認する経路を示す。
【許容分岐】3PDF 36頁(第1問・設問3)
裁判条項PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。32ICJ規程36条2項の強制的管轄権受諾宣言による管轄を,相互の受諾と留保の範囲に即して示す。
【許容分岐】3PDF 37頁(第1問・設問3)
強制的管轄権受諾宣言PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。33既存管轄根拠が不明な場合,B国の応訴管轄の受諾を求める経路を示す。
【許容分岐】3PDF 37頁(第1問・設問3)
応訴管轄PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。34ICJの管轄権とは別に原告適格等の受理可能性を検討し,A国の直接被害に即して説明する。
【高評価】4PDF 37頁(第1問・設問3)
原告適格PDF 39頁(3⑴)
受理可能性に関する要件35国連事務総長への付託又は注意喚起という救済経路を提示する。
【必須】5PDF 37頁(第1問・設問3)
事務総長への付託ないしは注意喚起PDF 39頁(3⑴)
事務総長への付託ないしは注意喚起36事務総長が憲章99条により平和及び安全への脅威について安保理の注意を促せることを説明する。
【高評価】3PDF 37頁(第1問・設問3)
国連憲章第99条PDF 39頁(3⑴)
間接:関連する総会又は事務総長の説明。37事務総長による紛争解決に向けた調停等の役割を説明する。
【高評価】3PDF 37頁(第1問・設問3)
紛争解決に向けた調停PDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。38事務総長が場合によって拘束力ある裁定を行う手段にも言及する。
【許容分岐】3PDF 37頁(第1問・設問3)
法的拘束力を持つPDF 39頁(3⑴)
記載なし:関連範囲を実読。
4 答案全体

採点実感は,論点全体について正確な規範と理由を示し,事実に即して論証することを求めています。結論だけの答案や不十分な理由付けを避ける必要があります。これは全体の一般的な指摘として扱い,上の38項目に別の重み付き行を重複追加していません。

5 重みの分布

表の実際の行から集計すると,重み1=0件,2=2件,3=15件,4=10件,5=11件です。総数N=38,重み合計W=144です。これは内容整理の指標であり,公式の50点を配分したものではありません。

番号4:承認時点のP共和国について国家成立要件,特に独立した実効的政府の存在を検討する。
番号5:国家成立要件を満たさない集団への尚早の承認を,A国に対する違法な干渉として構成する。
番号11:植民地独立等の外的自決と国内の政治的地位に関する内的自決を区別する。
番号15:主権平等を形式的な同一投票権に限定せず,加盟国の責任・義務と各機関の任務に即した実質的平等として説明する。
番号18:第6章及び52条3項による決定では,紛争当事国に27条3項ただし書の棄権義務が及ぶと示す。
番号19:第7章による決定には当該棄権義務が及ばないと反対解釈し,A国に一律の棄権を求める主張を退ける。
番号21:常任理事国の拒否権で安保理が機能しない場合,平和のための結集決議による緊急特別総会を提案する。
番号24:総会の集団的措置に関する決議は勧告的効力にとどまり,加盟国の参加を法的に義務付けないことを明示する。
番号27:A国がB国を被告としてICJに提訴する司法的救済を検討する。
番号29:提訴にはICJ規程36条のいずれかの管轄根拠とB国の管轄同意が必要であり,国連加盟のみで管轄は生じないと説明する。
番号35:国連事務総長への付託又は注意喚起という救済経路を提示する。

上記の重み5は本問の骨格に関する項目です。条件付き管轄の根拠を認めない場合でも,番号29は同意と根拠の確認を行えば対応し,実際に管轄が成立すると断定する必要はありません。

第5 模範解答

(続きを読む...)令和6年司法試験・国際公法第1問―国家承認・自決権・国連の紛争解決と模範解答(AI作成)

令和6年度司法試験労働法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した32項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1の評価項目2 設問2の評価項目3 設問3の評価項目4 答案全体5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令・行政一次資料3 裁判例4 確認状態

管理監督者,賞与の在籍要件,退職金不支給を,契約上の根拠から法的効果までつなげて解く。32項目の独自評価表と2206字の模範答案を示す。

第1 この記事の対象と結論

本記事は令和6年司法試験の労働法第1問を対象とする。公式問題PDF(24〜25頁)の3つの請求について,管理監督者該当性,賞与の支給日在籍要件,懲戒解雇時の退職金不支給を検討する。

採用する答案では,法定時間外の割増賃金請求を認め,7月分の賞与請求を否定する。退職金全額不支給は許されないが,相当な一部減額は許されるため,全額請求はその限度でのみ認める。結論そのものを法務省が唯一の正解として指定したという意味ではない。

評価項目は32項目,重み5は12項目である。重要なのは,スタッフ職の職務・待遇を分けること,賞与と退職金の契約上の根拠を確定すること,退職金の本件での性格と職務外行為の背信性を評価し,一部減額の余地まで示すことである。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

以下は公式資料から独自に抽出した評価単位であり,法務省の公式採点基準・配点ではない。一項目につき一つの判定対象を置き,必須,高評価,負例の回避,許容分岐を区別する。重み5の高評価事項や,先例を選択する場合の条件付き事項を全答案への累積要求にはしない。

頁はリンク先の合冊PDFの頁を指す。出題の趣旨は30〜31頁,採点実感は26〜28頁の第1問部分を用いる。「間接」は公式の一般的な当てはめ要求を本問の事実へ展開した独自の判定基準である。「記載なし」は関連部分を読んだ範囲での確認であり,未読や未到達を意味しない。引用は短い語句に限る。

2 5段階の重み付けの基準重み判断基準5採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの。4出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。3一方が明示する中核の理由付け。2一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。1一方が控えめに触れるだけの事項。

本問の重み4は「高く評価した」という表現に限らず,評価や誤りの指摘を通じて取り上げた箇所も対象とする。段階ごとの件数の割当ては行わない。項目数や重みの合計から得点・難易度・合格可能性は推計しない。

第3 本問の概要

Xは投資信託運用会社Y社で31年以上勤務する上位スタッフ職で,重要なレポート業務を担う。年収は1200万円超で上位6%だが,経営方針や人事・労働条件の決定には関与しない。月8日程度の業務期間は社内就業に拘束され,それ以外は出退勤が比較的自由である。

7月31日退職を承認され,7月10日の賞与と退職金の支給見込みを伝えられた後,5月中旬に飲酒運転・信号無視の人身事故を起こした。2人は軽傷で,Xは実名報道された。5月31日の通知により6月末日付けで懲戒解雇され,賞与と退職金は不支給となった。

設問は割増賃金,賞与,退職金全額の各請求の成否を問う。Xが懲戒解雇を承服している前提を守り,解雇無効や地位確認を主題にしない。実名報道から会社名の報道や具体的損害を補充しない。

第4 評価項目と重み1 設問1の評価項目番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1法定労働時間を超える就労を労基法32条の問題として特定する。
区分:必須4PDF30頁・労働法第1問:法定労働時間(労働基準法第32条)PDF26頁・3⑴第1問について:法定労働時間(労働基準法第32条)2管理監督者でなければ労基法37条に基づく割増賃金請求が生じると示す。
区分:必須5PDF30頁・労働法第1問:割増賃金(同法第37条)PDF26頁・3⑴第1問について:割増賃金(労働基準法第37条)3適用除外の根拠を労基法41条2号と正確に示す。
区分:必須4PDF30頁・労働法第1問:同法第41条第2号PDF26頁・3⑴第1問について:同号の摘示がなかった答案4労働時間等の保護を必要としない実態を持つため規制を除外するという趣旨から規範を導く。
区分:必須5記載なし(関連範囲実読)PDF27頁・3⑴第1問について:の趣旨に遡って適切な規範を定立5経営者との一体性を基準とし,肩書ではなく実態で判断する。
区分:必須4PDF30頁・労働法第1問:経営者と一体の立場にある者PDF26頁・3⑴第1問について:名称にとらわれず、実態に即して6職務内容・権限・責任と企業全体の重要事項への関与を判断要素にする。
区分:必須4PDF30頁・労働法第1問:職務内容、権限及び責任の重要性PDF26頁・3⑴第1問について:企業全体の重要事項への関与7勤務態様が労働時間規制になじむかを判断要素にする。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:等に対する規制になじまないものかPDF26頁・3⑴第1問について:勤務態様が労働時間規制8賃金等が管理監督者の地位にふさわしい処遇かを判断要素にする。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:管理監督者の地位にふさわしい処遇PDF26頁・3⑴第1問について:管理監督者の地位にふさわしい処遇9スタッフ職では管理監督者と同格以上の待遇上の位置付けを検討する。
区分:高評価5PDF31頁・労働法第1問:管理職者と同格以上に位置付けられる者PDF27頁・3⑴第1問について:管理職者と同格以上に位置づけられる者10スタッフ職が経営上の重要事項の企画立案等を担当するかを検討する。
区分:高評価5PDF31頁・労働法第1問:経営上の重要事項に関する企画立案等PDF27頁・3⑴第1問について:経営上の重要事項に関する企画立案等11レポート業務の重要性と経営方針・人事等への不関与を対比して職務・権限を評価する。
区分:必須4間接・PDF31頁・労働法第1問:本問の事実関係を的確に当てはめ間接・PDF27頁・3⑴第1問について:的確に事例を当てはめ12月8日程度の勤務拘束とそれ以外の出退勤自由を両方評価する。
区分:必須4間接・PDF31頁・労働法第1問:本問の事実関係を的確に当てはめ間接・PDF27頁・3⑴第1問について:的確に事例を当てはめ13年収・社内順位・ライン管理職との待遇比較を実態判断へ結び付ける。
区分:必須4間接・PDF31頁・労働法第1問:本問の事実関係を的確に当てはめ間接・PDF27頁・3⑴第1問について:的確に事例を当てはめ14条文と事実の引写しだけで結論を出さない。
区分:負例2記載なし(関連範囲実読)PDF27頁・3⑴第1問について:単に条文の文言と事例を引き写して結論を得ようとする2 設問2の評価項目番号評価項目重み出題の趣旨採点実感15賞与の根拠を合理的・周知された就業規則の契約内容化(労契法7条)から説明する。
区分:必須5PDF31頁・労働法第1問:労働契約法第7条参照PDF27頁・3⑴第1問について:まず就業規則を検討すること16就業規則50条の支給日在籍と対象期間勤務という累積要件を特定する。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:賞与支給日に在籍し、かつ、評価対象期間に勤務PDF27頁・3⑴第1問について:賞与支給日に在籍し、かつ、評価対象期間に勤務17Xは対象期間勤務済みだが7月10日に不在籍という要件との対応を示す。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:評価対象期間中に勤務していたが賞与支給日に在籍していなかったPDF27頁・3⑴第1問について:評価対象期間中に勤務していたが賞与支給日に在籍していなかった18支給日在籍要件の合理性を賞与の性格・支給制度の目的から検討する。
区分:必須5PDF31頁・労働法第1問:支給日在籍要件は適法かPDF27頁・3⑴第1問について:支給日在籍要件の合理性を論ずる必要19大和銀行判決の在籍要件を合理的とする事例判断を規範の参考にする。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:大和銀行事件PDF27頁・3⑴第1問について:大和銀行事件20私傷病死亡の例外事例と懲戒解雇を区別し,在籍要件の本件への適用を検討する。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:懲戒解雇された者に対する適用の当否PDF27頁・3⑴第1問について:懲戒解雇された者に対する適用の当否21在籍要件の合理性を検討せず50条但書のやむを得ない事由だけで処理しない。
区分:負例2記載なし(関連範囲実読)PDF27頁・3⑴第1問について:「やむを得ない事由」の問題であるとして論述22解雇承服の前提を維持し懲戒権濫用論に終始しない。
区分:負例2記載なし(関連範囲実読)PDF27頁・3⑴第1問について:懲戒権の濫用に関する論証に終始3 設問3の評価項目番号評価項目重み出題の趣旨採点実感23退職金請求も合理的・周知された就業規則の契約内容化(労契法7条)から説明する。
区分:必須5PDF31頁・労働法第1問:賞与と退職金の法的根拠は何かPDF28頁・3⑴第1問について:労働契約法第7条に触れることなく2454条の全部又は一部不支給の定めを特定し,規定の合理性と個別適用を区別する。
区分:必須5PDF31頁・労働法第1問:このような規定の合理性と適用の当否PDF28頁・3⑴第1問について:同規定の合理性と本事例への適用の当否25功労報償性を踏まえて支給制限条項の合理性を説明する。
区分:必須4PDF31頁・労働法第1問:退職金規則を合理性がないとはいえないPDF28頁・3⑴第1問について:不支給規定の合理性26基本給と勤続年数で額が定まる本件退職金の後払い性を具体的に分析する。
区分:高評価5間接・PDF31頁・労働法第1問:本問の事実関係を的確に当てはめた論述間接・PDF28頁・3⑴第1問について:本事例における退職金の性格をも分析27全額不支給の限定的解釈と,長年の勤続の功を抹消する重大な背信性の基準を示す。
区分:必須5間接・PDF31頁・労働法第1問:強度な背信性間接・PDF28頁・3⑴第1問について:就業規則の合理的解釈28飲酒人身事故が職務外の非違行為であることに着目して背信性を評価する。
区分:高評価5PDF31頁・労働法第1問:職務外の非違行為PDF28頁・3⑴第1問について:職務外の非違行為であるので、この点に着目29事故の危険性・軽傷・実名報道・勤続と職務上の貢献を規範に沿って総合評価する。
区分:必須4間接・PDF31頁・労働法第1問:本問の事実関係を的確に当てはめた論述間接・PDF28頁・3⑴第1問について:事例から的確に拾い上げ、適切に評価30全額不支給が許されなくても一部減額・一定割合の支給を検討する。
区分:必須5PDF31頁・労働法第1問:常に退職金の全額を支給すべきであるとはいえないPDF28頁・3⑴第1問について:常に退職金の全額を支給すべきであるとはいえない31三晃社判決は転職時の減額規定についての事例判断であると位置付ける。
区分:許容分岐
条件:転職時の減額先例を引いて支給制限の合理性を補強する場合3PDF31頁・労働法第1問:三晃社事件PDF28頁・3⑴第1問について:三晃社事件32公務員の退職手当全部不支給判例を参照する場合,行政裁量審査と民間契約解釈を区別する。
区分:許容分岐
条件:公務員判例を引く場合3PDF31頁・労働法第1問:公務員の事案であるが記載なし(関連範囲実読)4 答案全体

重みを付けない一般的な指摘として,基本条文を正確に示し,規範の趣旨・射程から有意な事実を評価して,一貫した結論へ進むことが求められる。採点実感2及び4〜6は,知識の暗記だけでなく,事例分析と緻密な当てはめを重視する。これらは32項目の分布に加算しない。

5 重みの分布

重み1:0項目,重み2:3項目,重み3:2項目,重み4:15項目,重み5:12項目。総項目数N=32,重み合計W=132である。

重み5の全項目は,2番(管理監督者でなければ労基法37条に基づく割増賃金請求が生じると示す。),4番(労働時間等の保護を必要としない実態を持つため規制を除外するという趣旨から規範を導く。),9番(スタッフ職では管理監督者と同格以上の待遇上の位置付けを検討する。),10番(スタッフ職が経営上の重要事項の企画立案等を担当するかを検討する。),15番(賞与の根拠を合理的・周知された就業規則の契約内容化(労契法7条)から説明する。),18番(支給日在籍要件の合理性を賞与の性格・支給制度の目的から検討する。),23番(退職金請求も合理的・周知された就業規則の契約内容化(労契法7条)から説明する。),24番(54条の全部又は一部不支給の定めを特定し,規定の合理性と個別適用を区別する。),26番(基本給と勤続年数で額が定まる本件退職金の後払い性を具体的に分析する。),27番(全額不支給の限定的解釈と,長年の勤続の功を抹消する重大な背信性の基準を示す。),28番(飲酒人身事故が職務外の非違行為であることに着目して背信性を評価する。),30番(全額不支給が許されなくても一部減額・一定割合の支給を検討する。)である。9・10・26・28番は高評価の区分であり,必須区分と同一視しない。31・32番の先例比較は,その先例を援用する場合の許容分岐である。

第5 模範解答1 答案の前提と表記

試験日は令和6年7月10日である。法令は当該試験の出題基準である令和6年1月1日施行法を基礎とし,判例・行政解釈は試験日以前のものを用いる。答案は空白・改行を除く文字数で2206字。「1→(1)」の順で,問題提起,規範,当てはめ,結論を示す。参照する最高裁・下級審例の確認範囲は第7に区別して記す。

2 答案

1 法定時間外労働の割増賃金
(1) Xは所定の8時間を超えて就労しており,労働基準法(以下「労基法」という。)32条2項の1日8時間を超える部分について,同法37条1項に基づく割増賃金を請求できるのが原則である。Y社はXを管理監督者として扱うため,同法41条2号による適用除外が問題となる。
(2) 労働時間等の規制は労働者の健康と生活を保護するが,経営者と一体の地位にあり,時間規制になじまない働き方をし,相応の待遇を受ける者は同じ規制による保護の必要性が乏しいため,適用が除外される。管理監督者は,労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあり,労働時間規制の枠を超えて活動することが要請される者をいう。名称ではなく,職務内容,責任・権限,勤務態様及び待遇の実態によって判断する。スタッフ職も,管理監督者と同格以上の待遇上の位置付けがあり,経営上の重要事項の企画立案等を担当すれば該当し得る。部下の不存在だけで否定すべきではない。
Xのレポート精査等は高度の専門性があり,投資家の判断とY社の主要収益に影響する重要な仕事である。また,年収1200万円超は上位6%で,ライン副部長の平均を超え,職位にふさわしい厚い待遇といえる。レポート業務のない期間には出退勤の自由があり,遅刻・早退の控除もない。これらは該当性を肯定する事情である。
しかし,Xは管理者ミーティングに参加せず,営業方針,予算,組織・人事制度及び労働条件の決定にも関与しない。専門的なレポート業務の重要性と経営者との一体性は同じではなく,経営上の重要事項の企画立案等を担当するスタッフとも異なる。また,月8日程度は少なくとも所定時間内の社内就業が要求され,多くの日は午後7時30分過ぎまで働く。業務の繁閑による一部の自由があるだけで,時間規制になじまない裁量が十分あるとはいえない。
(3) 厚い待遇を考慮しても,権限と勤務の実態から管理監督者には当たらないと解する。よって,法定時間を超えて労働した時間について割増賃金請求は認められる。

2 令和6年7月分の賞与
(1) 周知された就業規則50条は,評価対象期間に勤務したことに加え,支給日の在籍を要求する。合理的な同規則は労働契約の内容となる(労働契約法7条)。Xは前年10月1日から当年3月31日まで勤務したが,6月30日に解雇され,7月10日には在籍していない。
(2) 賞与には賃金の後払いのほか,功労報償,利益分配,将来の勤務への奨励の性格がある。対象期間の労働だけで具体的請求権が当然発生するとはいえず,支給基準の明確性や将来の勤務確保からも,支給日在籍要件には合理性がある。大和銀行事件最高裁判決も事例判断として同要件の合理性を認めている。
確かに,Xは任意退職日を7月31日とし,評価対象期間を勤務し,支給見込額も連絡されていた。解雇では退職時期を選べないため,要件の適用に疑問を呈し得る。しかし,Xは自らの飲酒人身事故による懲戒解雇を承服しており,会社が賞与を免れるため退職日を操作した事実はない。私傷病で支給日前に死亡した者に賞与を認めた下級審例はあるが,本件ではX自身の重大な非違行為が雇用終了をもたらした。死亡や会社都合の整理解雇と異なり,本件の在籍要件適用が不合理とはいえない。
(3) 5月上旬の連絡も見込みの通知であり,在籍要件を外して無条件に支払う個別合意ではない。したがって,賞与請求は認められない。

3 退職金全額の請求
(1) 周知され合理的な就業規則は労働契約の内容となる(労働契約法7条)。就業規則54条本文及び55条により,退職・解雇時には基本給と勤続年数に応じた退職金の請求権が生じる。他方,54条但書は懲戒解雇者への全部又は一部の不支給を許す。懲戒解雇を承服していても,不支給の有効性は別に検討する必要がある。
(2) 退職金には功労報償のほか,賃金の後払いと退職後の生活保障の性格がある。不支給条項の合理性は認められるが,給与と勤続年数で支給条件が明確な本件では後払いの性格が強い。したがって,全額不支給は永年の勤続の功を抹消するほど重大な不信行為がある場合に限られ,該当しなくても相当な一部減額を許し得るものと限定的に解する。
(3) 飲酒して赤信号を無視し,2台を巻き込んで2名を負傷させた行為は危険かつ重大である。実名報道されており,投資家の信頼に支えられるY社の信用に悪影響を与え得る。高待遇の専門職であることもXの責任を重くする。
しかし,負傷は軽傷にとどまり,業務上の横領・背任のような会社への直接の背信行為ではない。会社名の報道や重大な現実損害は問題文から確認できず,これらを当然の前提にはできない。他方,Xは31年以上勤続し,重要なレポート業務を担っていた。退職金を開業資金及び当面の生活費に予定していたことも,制度の生活保障の側面と対応する。これらを総合すると,勤続の功を全て抹消するほどの背信性があるとまではいえず,全額不支給は許されない。
(4) もっとも,本件の重大な非違行為は功労報償の減額を合理化する。全額不支給が無効でも当然に全額請求が認められるわけではない。54条但書に基づく相当な一部減額は許され,Xの請求は減額後の退職金の限度で認められる。割合を確定する資料はなく,具体額は断定しない。支払期限は56条により支給事由発生から1か月以内である。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1) 答案と評価項目の対応

答案1は1〜14番,答案2は15〜22番,答案3は23〜30番に対応する。31・32番は採用しない参照分岐であり,答案へ無理に先例名を追加しない。

(2) スタッフ職の実態を分けて評価する

9・10番では,部下がいないという一点で非該当としない。重要な専門業務,厚い待遇,出退勤の一部自由は肯定事情であるが,経営上の重要事項の企画立案への関与と勤務期間中の拘束を別に検討する。4番の除外趣旨から,3つの考慮要素がなぜ必要かを説明する。

(3) 賞与は要件の合理性と適用を分ける

15番で契約上の根拠を確定し,16・17番で在籍要件の不充足を指摘する。18〜20番では在籍要件の合理性と懲戒解雇への適用を別段階にする。私傷病死亡例は要件の機械的適用に対する比較例であり,本件の結論をそのまま決めるものではない。50条但書や解雇無効論だけで終えることは21・22番の負例に当たる。

(4) 退職金は全額不支給と全額支給の間を検討する

23・24番の根拠と規定解釈を飛ばして,退職金の一般的性格だけで条項を無効としない。26番では55条の算定方法から後払い性を説明し,28番では職務外行為であることの意味を評価する。30番が示すように,全額不支給が許されないことから全額支給へ直結させない。三晃社の転職減額例や公務員の支給制限処分を援用するなら,31・32番の事例・制度差を説明する。

(5) 答案の限界と扱わなかった事項

具体的な時間外労働の総時間,基礎賃金,退職金減額の割合は問題文だけでは確定できない。見込額を確定した支払合意と扱わず,一部減額の割合を捏造しない。時効・付加金や解雇無効訴訟の詳細は3請求の中核を圧迫するため扱わない。異なる結論を採る場合も規範と当てはめを一貫させる必要がある。

第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

1 令和6年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)
2 令和6年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)
3 令和6年度司法試験公法系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)
4 令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

令和6年司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)
令和6年度司法試験租税法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した56項目と5段階の重み付け(AI作成)
令和6年度司法試験倒産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

2 本問と関連する山中弁護士ブログの記事

高年収の専門職・スタッフ職は管理監督者か―残業代請求で確認する権限・勤怠裁量・待遇(AI作成)

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関連記事は読者の追加理解のための案内であり,後年の記事を試験当時の法状態の根拠に用いない。

第7 出典及び確認状態1 公式資料

令和6年司法試験・選択科目問題(PDF24〜25頁),令和6年司法試験論文式試験出題の趣旨(PDF30頁の労働法見出し以降〜31頁第1問),令和6年司法試験の採点実感・選択科目(PDF26〜28頁第1問,30〜31頁の科目共通評価・末尾)。第2問の内容は本記事の判断に用いていない。

令和6年司法試験の実施日程,令和6年司法試験の実施・法令出題基準

2 法令・行政一次資料

労働基準法原文(32・37・41条),労働契約法(7条),労働契約法施行通達(7条の説明)。現行ページの改正履歴を確認し,試験後の改正で当時の答案要求を変えない。

労働政策審議会・第66回資料(管理監督者の解釈例規)の管理監督者節を確認した。昭和63年3月14日基発150号のスタッフ職取扱いと,一般労働者より厚遇であっても実態を欠く者は含まれないという区別を用いる。

3 裁判例

裁判所公開の退職金請求判決原文の第3・1(3)(PDF4〜6頁)で,後払い性,全額不支給の限定と一定割合の支給を確認した。個別事例の支給割合は本問へ移植しない。

大和銀行事件(最判昭和57年10月7日),医療法人佐藤循環器科内科事件(松山地判令和4年11月2日),三晃社事件(最判昭和52年8月9日)及び宮城県・県教委事件(最判令和5年6月27日)は,公式趣旨・採点実感の紹介とその範囲に基づく位置付けであり,各判決原文を独立に全文確認したものではない。

4 確認状態

問題文・公式資料の上記範囲,行政一次資料及び退職金判決の判断部分は実読した。公式が述べた内容と,本記事が定めた評価単位・重み・事実評価は区別される。個別の先例原文が独立に確認できていない範囲と,具体的請求額・減額割合は未確定であり,その限界から結論を唯一解としない。

令和6年度司法試験倒産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問12 設問23 設問3①4 設問3②5 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 基準時の法令3 裁判例及び確認状態

令和6年司法試験・倒産法第1問について,役員責任の保全と査定,破産者の情報収集,相当価格・廉価での財産処分の否認を整理する。40の評価項目と5段階の重みを示し,2500字以内の完成答案を掲載する。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験の論文式試験・選択科目「倒産法」第1問である。試験日は令和6年7月10日であるが,問題文の指定に従い,法令の基準時は令和6年1月1日とする。

設問1は役員責任の保全処分と査定,設問2は説明義務・重要財産開示・業務及び財産の検査・郵便物の回送等,設問3は①相当価格での処分に関する161条,②廉価処分に関する160条1項1号が主ルートとなる。完成答案は両譲渡の否認を肯定するが,①の結論を公式が唯一指定したものとは扱わない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

評価項目は,出題の趣旨と採点実感の対象範囲から独自に抽出したものであり,法務省の公式採点基準ではない。通し番号は記事全体で1から40までとする。必須・高評価・負例・許容分岐を区別し,区分と重みは独立して判断する。条件付きの別構成を全答案の累積要求にしない。「記載なし」は関連範囲を実読した結果であり,「間接」は関連記述からの推論である。根拠欄はPDFの通し頁と該当箇所を示した要約である。

2 5段階の重み付けの基準重み判断基準5採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの4出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項3どちらか一方が明示する中核の理由付け2一方が軽い表現で触れる補強,又は典型的な誤り1一方が控えめに触れる事項

本問の重み4は,出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項とした。「高く評価」と明記された場合に限る基準ではない。重み5も高評価の事項と答案の骨格を区別し,一律に必須へ格上げしない。重みは本記事の分析用であり,公式配点ではない。

第3 本問の概要

A社は子供服の小売店10店舗を営んでいたが,債務超過と資金難の中で4店舗の事業を譲渡し,他の6店舗を閉店して事業を停止した。設問1では,BがA社から弟へ独断で1000万円を貸し付け,返済が見込めなくなった事実を基に,Dによる役員責任の追及手続を問う。設問2は,連帯保証債務を負うB自身にも破産開始決定があり,財産隠匿と多額の遊興費の情報がある場合に,Dと裁判所がBの資産情報を収集する制度を問う。設問3①は,価値4000万円の4店舗の事業をE社へ同額で譲渡し,代金全額を取締役Fの期限到来済みの借入金へ弁済した場合,②は同じ4店舗の事業をG社へ譲渡し,1000万円の代金に加えHへの3000万円の債務引受けを行った場合である。

第4 評価項目と重み1 設問1番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1【必須】Dが177条1項に基づくBの財産の保全処分を裁判所へ申し立てられることを示す。5PDF23頁・第1問「役員の財産に対する」。PDF1頁・3⑴「保全処分の申立て」。2【必須】保全の趣旨を,役員に対する損害賠償請求権の回収の実効性確保として説明する。4PDF23頁・第1問「それぞれの制度趣旨」。PDF2頁・3⑴「回収の実効性を確保する」。3【高評価】保全の必要性を,B自身の預金の隠匿・費消による回収困難のおそれに結び付ける。5PDF23頁・第1問「要件等の説明」。PDF1頁・3⑴「Bが預金を費消するおそれ」。4【高評価】保全対象をBのE銀行に対する預金債権として具体化する。3関連範囲に記載なし。PDF1頁・3⑴「保全対象となる財産(銀行預金)」。5【必須】Dが178条1項に基づく役員責任査定を裁判所へ申し立てられることを示す。5PDF23頁・第1問「役員の責任の査定の申立て」。PDF1頁・3⑴「役員の責任の査定の申立て」。6【必須】査定の趣旨を,通常訴訟より簡易迅速な決定手続による債務名義取得として説明する。5PDF23頁・第1問「それぞれの制度趣旨」。PDF2頁・3⑴「簡易迅速に債務名義を取得する」。7【高評価】Bによる危機下の弟への独断貸付けと回収不能を,役員責任の要件に当てはめる。4PDF23頁・第1問「忠実義務違反に当たる行為」。PDF1頁・3⑴「事実を各要件に当てはめ」。8【高評価】査定申立ての原因事実について178条2項の疎明が必要であることを示す。2関連範囲に記載なし。PDF1頁・3⑴「その原因となる事実を疎明」。9【負例】申立ての疎明だけで役員責任査定決定をしてよいと誤解しない。2関連範囲に記載なし。PDF1頁・3⑴「疎明があれば役員責任査定決定」。10【負例】Dが保全処分・責任査定の裁判を自ら行えると記述しない。2関連範囲に記載なし。PDF1頁・3⑴「申立てと判断の主体を峻別せず」。2 設問2番号評価項目重み出題の趣旨採点実感11【必須】B個人が40条1項1号の破産者として必要な説明をする義務を負うことを示す。5PDF23頁・第1問「説明義務」。PDF2頁・3⑴「破産者の説明義務」。12【必須】41条に基づき,開始後遅滞なく重要財産の内容を書面で裁判所へ提出する義務を説明する。4PDF23頁・第1問「重要財産開示義務」。PDF2頁・3⑴「重要財産開示義務」。13【必須】Dが83条1項前段に基づきBへ破産に関する必要な説明を求められることを示す。4PDF23頁・第1問「説明を求めることができる」。PDF2頁・3⑴「第83条第1項前段」。14【必須】Dが83条1項後段に基づき財団に関する帳簿・書類その他の物件を検査できることを示す。4PDF23頁・第1問「物件を検査することができる」。PDF2頁・3⑴「管財人の調査権」。15【必須】裁判所が81条1項に基づきB宛て郵便物等をDへ配達する旨を嘱託できることを示す。5PDF23頁・第1問「郵便物等を破産管財人に」。PDF2頁・3⑴「郵便物の管理を摘示できた答案」。16【高評価】40条1項のBの義務と83条1項前段のDの権限を対応する規律として区別する。4PDF23頁・第1問「破産者の説明義務に基づき」。PDF2頁・3⑴「義務と破産管財人の権限とで分けて」。17【高評価】重要財産開示・郵便物管理における裁判所と,説明請求・検査をするDの主体を区別する。4PDF23頁・第1問「裁判所は」。PDF2頁・3⑴「管財人と裁判所とを区別」。18【負例】Bの個人破産をA社の破産と混同して40条1項3号を適用しない。2関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「第40条第1項第3号」。19【負例】情報収集を問う設問に153条以下の換価の規律だけで答えない。2関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「第153条以下の規律」。3 設問3①番号評価項目重み出題の趣旨採点実感20【必須】4000万円の価値に同額の金銭対価を得た処分として161条1項を選択する。5PDF24頁・第1問「相当な対価を取得」。PDF2頁・3⑴「相当の対価を得てした財産の処分行為」。21【高評価】161条が160条1項の特則として,実質的減少防止と受益者保護のため厳格な要件を置く趣旨を説明する。3関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「受益者の利益を不当に害しない」。22【必須】161条1項1号の隠匿等処分の現実的危険を,事業から金銭への種類変更から客観的に判断する。4PDF24頁・第1問「第161条第1項各号」。PDF2頁・3⑴「財産の種類の変更によって客観的に」。23【高評価】譲渡時の債務超過を実質的危機時期の事情として危険の判断に用いる。3関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「実質的危機時期(債務超過)」。24【負例】第1号の客観的危険の認定に,実際のFへの弁済を必須要件として要求しない。2関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「実際の用途(Fへ弁済したこと)」。25【必須】期限到来済みの本旨弁済をする意思は原則として隠匿等処分意思と同視できないことを検討する。5PDF24頁・第1問「通常、隠匿等の処分をする意思には含まれない」。PDF2頁・3⑴「本旨弁済の意思は原則として」。26【高評価】FがA社の取締役という内部者である事情を,通常の本旨弁済と比較して第2号の意思判断に反映する。4PDF24頁・第1問「債権者が破産会社の取締役」。PDF2頁・3⑴「弁済の相手方が内部者たるF」。27【必須】A社・E社の代表者が同一のBであることから,161条1項3号のE社の知情を検討する。4PDF24頁・第1問「第161条第1項各号」。PDF2頁・3⑴「A社とE社の代表者が同一」。28【負例】E社の知情について161条2項1号・2号を安易に類推適用しない。2関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「上記のような類推適用は適切ではない」。29【負例】否認対象を事業譲渡に保ち,Fへの偏頗弁済自体の否認へ答案を置き換えない。2関連範囲に記載なし。PDF2頁・3⑴「問題文の指示と異なる行為」。4 設問3②番号評価項目重み出題の趣旨採点実感30【必須】廉価譲渡として160条1項1号の要件を主位的に検討する。5PDF24頁・第1問「第160条第1項第1号」。PDF3頁・3⑴「廉価で売却されているから」。31【必須】4000万円の事業価値に対し,責任財産に流入した金銭が1000万円であるという実質的減少を説明する。4PDF24頁・第1問「財産の実質的減少を伴うか」。PDF3頁・3⑴「財産減少があったことを指摘」。32【高評価】金銭対価と3000万円の債務引受けを合わせれば総体として減少がないとの反論を示す。4PDF24頁・第1問「総体としては財産に減少はない」。PDF3頁・3⑴「総体としては財産減少がない」。33【必須】H以外の債権者の引当財産が減少するため,債務引受けによって詐害性が否定されないと説明する。5PDF24頁・第1問「債務引受けの対象とならなかった」。PDF3頁・3⑴「H以外の債権者にとっては」。34【高評価】譲渡時の債務超過を,実質的危機時期における詐害行為の判断に用いる。3関連範囲に記載なし。PDF3頁・3⑴「それが実質的危機時期になされたか」。35【必須】A社が危機下の譲渡を自ら行った事情から,破産者の詐害意思を検討する。4PDF24頁・第1問「第160条第1項第1号」。PDF3頁・3⑴「当該行為を自ら行った破産者」。36【必須】G社が債務超過・資金難・事業停止の説明を受けた事情から,受益者の悪意を検討する。4PDF24頁・第1問「第160条第1項第1号」。PDF3頁・3⑴「破産者から説明を受けていた受益者」。37【許容分岐】他の債権者の引当財産の減少を論じる範囲では,免責的・重畳的債務引受けを区別しなくてもよい。(適用条件:160条の詐害性を他の債権者の共同担保から判断する場合。独立の加点要求ではない。)2関連範囲に記載なし。PDF3頁・3⑴「区別する必要はない」。38【負例】閉店・事業停止予定の説明だけで,支払不能を外部へ表示した支払停止と認定しない。2関連範囲に記載なし。PDF3頁・3⑴「支払不能の旨を外部に表示した」。39【許容分岐】161条の構成を採るなら,対価が共同担保へ流入せず他の債権者の責任財産が減少する点を丁寧に処理する。(適用条件:②を161条の問題として構成する場合。)3関連範囲に記載なし。PDF3頁・3⑴「丁寧に論じなければ説得的ではない」。40【許容分岐】162条の構成を検討するなら,譲渡当時に支払不能・支払停止を認める事実がないことを処理する。(適用条件:②を162条の問題として構成する場合。)3関連範囲に記載なし。PDF3頁・3⑴「支払不能又は支払停止に当たる事実」。5 答案全体

一般的な指摘として,根拠条文を正確に摘示し,規範・具体的事実・法的効果を結び付ける。これは独立した重みなしの注意事項であり,40項目の件数及び重み合計に含めない。

6 重みの分布

重み1=0項目,重み2=10項目,重み3=6項目,重み4=14項目,重み5=10項目。合計40項目,重み合計144。

重み5の10項目は,番号1(Bの財産の保全処分申立て),3(B自身の預金についての保全の必要性・高評価),5(役員責任査定の申立て),6(査定の簡易迅速な手続と債務名義取得),11(B個人の説明義務),15(裁判所によるB宛て郵便物等の回送嘱託),20(相当価格の処分に161条を選択),25(本旨弁済意思の原則を検討),30(廉価処分に160条1項1号を選択),33(H以外の共同担保減少)である。番号3を除く各項目は主ルートの骨格に当たり,番号3は具体的な必要性の評価が評価の分かれ目となる事項である。全項目の適用対象は本問の全答案だが,高評価と必須の区分は維持する。

第5 模範解答1 答案の前提と表記

以下の条文は,会社法と明記したものを除き破産法である。問題文指定の基準時の法令を用いる。答案本文は見出し・改行を含め2342字(Unicodeコードポイントで計算)である。設問3①は,本旨弁済意思に関する原則を示した上で内部者Fへの弁済目的等から否認を肯定する立場を採る。

2 答案

第1 設問1
1 Bは,既に債務超過に陥っていたA社から,資金繰りに窮する弟へ独断で1000万円を貸し付けさせた。A社と弟の資金事情から回収可能性を慎重に検討すべき状況で独断の貸付けを行い,A社に回収不能の損害を与えたとして,忠実義務違反による任務懈怠に基づく損害賠償責任が問題となる(会社法355条,423条1項)。DはA社に帰属するこの請求権を破産財団のために行使する。
2 Dは破産裁判所に,Bの財産に対する保全処分を申し立てられる(破産法177条1項。以下,条文は同法)。A社は法人で開始決定を受け,Bはその取締役である。必要性は,Bが自己の財産を隠匿・費消し,損害賠償請求権の回収が困難になるおそれをいう。BのE銀行に対する預金債権を対象とし,Bが預金を引き出して費消するおそれが認められれば保全を求める。A社の財産の散逸を防ぐ手続とは区別する。趣旨は役員責任の回収の実効性を確保し,総債権者の利益を保護する点にある。
3 Dは,役員責任査定も申し立てられる(178条1項)。本件貸付けと回収不能等の原因事実を疎明する必要がある(同条2項)。ただし,これは申立てについての規律であり,疎明のみで損害賠償責任を認定してよいものではない。裁判所が必要性及び責任の成立を審理し,Bを審尋した上で理由を付した決定をする(179条)。通常訴訟より簡易迅速な決定手続で債務名義を取得し,財団を充実させる制度である。裁判をするのはDではなく裁判所である。
 査定決定に不服があれば,送達から1月の不変期間内に異議の訴えを提起できる(180条1項)。期間内に訴えがなく,又は却下された場合,決定は給付を命ずる確定判決と同一の効力を有する(181条)。

第2 設問2
1 B自身の破産について,Dは,Bに破産に関する必要な説明を求められ(83条1項前段),Bはこれに応じる義務を負う(40条1項1号)。隠匿が疑われる財産の所在,遊興費の支出と原資,預貯金や財産移転の状況等を具体的に説明させる。「資産がない」との回答だけで必要な説明を尽くしたとはいえない。Dは破産財団に関する帳簿,書類その他の物件を検査できる(83条1項後段)。説明義務と調査権限を対応させ,BがA社の取締役であることを理由に40条1項3号を適用しない。
2 Bは,開始決定後遅滞なく,不動産,現金,有価証券,預貯金その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出する義務を負う(41条)。裁判所は,この義務に基づき書面提出を求め,Dはその情報を財産調査に用いる。
3 裁判所は,Dの職務遂行に必要と認めるとき,B宛ての郵便物等をDへ配達すべき旨を信書送達事業者へ嘱託できる(81条1項)。Dはこれを開いて見ることができ(82条1項),金融機関等との通信から資産の手掛かりを得る。嘱託主体は裁判所,受領・開披主体はDである。Bは閲覧又は財団に関しない郵便物の交付を求められる(同条2項)。これらは情報収集の手段であり,財産の換価手続とは異なる。

第3 設問3
1 ①について
(1) 事業価値4000万円に対して同額の金銭を取得しており,161条1項を検討する。同条は160条1項の特則である。相当対価を得る取引では責任財産は直ちに減少しないため,受益者の利益を不当に害さず,換価後の財産の散逸による実質的減少を防ぐために厳格な要件を置く。
(2) 第1号について,事業を流動性の高い金銭へ換えると隠匿・費消等が容易になる。A社は既に債務超過にあり,資金難のまま事業を停止している。この実質的危機時期の現金化は,隠匿等処分の現実的危険を生じさせる。これは種類の変更から客観的に判断し,実際にFへ弁済したことを必須要件とはしない。
(3) 第2号について,Fへの借入金は期限到来済みであり,本旨弁済をする意思は原則として隠匿等処分意思と同視できない。通常の債務弁済まで当然に含めると,偏頗行為否認の規律との区別を失うからである。
 しかし,FはA社の取締役という内部者である。A社が事業を停止し,他の債権者への弁済も見込めない局面で,代金全額を同日にFへ優先的に移す行為は,通常の取引債権者への弁済とは異なる。本件では内部者のために責任財産を散逸させる処分として隠匿等処分に含めるべきであり,同日全額弁済から譲渡時にその意思があったと推認する。
(4) BはA社及びE社双方の代表者であり,E社もこの意思を知っていたと認められる(第3号)。161条2項の悪意推定を類推する必要はない。よってDはE社に対し事業譲渡を否認できる。Fへの弁済自体の否認は本問の対象ではない。
2 ②について
(1) A社が取得した金銭は1000万円であり,廉価譲渡として160条1項1号を検討する。事業譲渡自体は,担保供与又は債務消滅行為ではない。
(2) 債務引受額3000万円を加えると総体として財産減少がないようにも見える。しかし,H以外の債権者にとって,4000万円の引当財産が1000万円に減る。債務引受けによるHの利益は,共同担保への相当対価の流入に代わらず,詐害性を否定しない。この判断に債務引受けの免責的・重畳的の区別は不要である。債務超過という実質的危機時期の処分であり,破産債権者を害する。
(3) A社は自ら危機下で譲渡しており,詐害意思を有する。G社も債務超過,資金難及び事業停止の説明を受けており,債権者を害することを知らなかったとはいえない。したがってDはG社に対し事業譲渡を否認できる。閉店・事業停止の予定の説明だけでは,支払不能の対外的表示である支払停止とはいえず,同項2号を根拠にはしない。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1)保全と査定の役割を分ける

保全はB自身の預金の費消等による回収困難を防ぎ,査定は簡易迅速な決定手続により役員責任の債務名義を得る。A社の資金流出だけでBの財産についての保全の必要性を認定しない。178条2項の疎明は申立ての規律であり,責任認定全体を疎明だけで済ませるものではない。

(2)情報を得る相手と権限の主体

Bには個人破産の説明義務と重要財産開示義務がある。DがBへ説明を求め,財団に関する帳簿・書類等を検査する権限は83条1項による。郵便物の回送嘱託は裁判所の措置であり,Dが自ら郵便局へ嘱託する制度ではない。義務の相手方と権限行使主体を対応させ,A社の破産でのBの取締役としての義務と混同しない。

(3)相当価格の処分と本旨弁済

161条1項1号の客観的な隠匿等のおそれと,2号のA社の意思,3号のE社の認識は区別する。実際の代金使途だけで1号を満たすとはいえない。本旨弁済意思は原則として隠匿等の意思に当たらないという出題の趣旨・採点実感の記述を示し,Fが取締役である事実を評価する。否認を否定する立場も,規範と事実評価が一貫していれば排除されない。E社の悪意は,共通代表者Bの実際の認識で検討し,161条2項の推定を安易に類推しない。

(4)債務引受けを含む対価と共同担保

3000万円の債務引受けを考慮すると資産と負債が同額減るという反論はある。しかし,H以外の債権者にとって,価値4000万円の4店舗の事業が現金1000万円へ変われば共同担保が減少する。G社の悪意はA社からの説明等で判断する。店舗閉鎖を当然に支払停止とすることはできない。

(5)完成答案までの補正と確認の限界

事前答案では,保全・査定,主体別の情報収集及び共同担保の減少を復元できた一方,本旨弁済の原則,161条の客観的要件と主観的要件の区別,債務引受けを含む反論が不足していた。初期の資料探索で主担当が対象年の校正記録の一部に接触したため,それを証拠から隔離し,その内容を共有しない別担当が問題文と一次資料から事前答案を作成・固定した。主担当自身の完全未読を意味するものではない。判決原文は独立確認できていないため,公式資料の命題を裁判例確認済みとは表示しない。

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第7 出典及び確認状態1 公式資料

1 法務省・令和6年司法試験論文式試験問題集[選択科目](倒産法第1問:2~3頁)
2 法務省・令和6年司法試験論文式試験出題の趣旨(倒産法第1問:23~24頁)
3 法務省・令和6年司法試験の採点実感[選択科目](倒産法総論及び第1問:1~3頁)

出題の趣旨は23頁の倒産法見出しから24頁の第2問見出しの前まで,採点実感は1頁の総論・第1問部分,2頁全部,3頁の第2問見出しの前までを読んだ。各頁の抽出文字数を点検し,対象範囲の引用語句を抽出本文と照合した。採点実感の設問3①第1号の箇所には160条とあるが,文脈と基準時法令から161条を指す誤記と推認した。公式原文の記載とこの推論を区別する。

2 基準時の法令

1 破産法(基準時に適用される改正版)
2 会社法(基準時に適用される改正版)

e-Gov法令APIで改正版本文を取得し,本問で用いる条文を確認した。破産法の保全・査定,情報収集及び否認の各条文と,会社法の忠実義務・取締役の損害賠償責任を確認した。

3 裁判例及び確認状態

本問に直接対応する判決原文の独立確認は未了(Unknown)である。判例秘書は未検索であり,検索で原文が見つからなかったことを判例の不存在の根拠にしない。公式資料が述べる本旨弁済の原則はSource statement,条文の確認はConfirmed,本件への具体的適用と肯定結論はInferenceとして区別した。

令和6年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した41項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付け第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1⑴2 設問1⑵3 設問1⑶4 設問25 答案全体に関する一般的な指摘6 重みの分布第5 模範解答1 前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問に関連するブログ記事第7 出典及び確認状態1 法務省の公式資料2 法令・裁判例3 確認状態と残る留意点

令和6年司法試験の知的財産法第1問について,2500字以内の模範解答と,法務省の出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した41項目を示します。技術的範囲と発明の要旨の区別,自己公表の例外手続,数量制限違反と消尽の接続が中心です。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験・知的財産法第1問です。設問1ではXの技術的範囲に関する主張を認めず,Y1の無効の抗弁を検討します。設問2は設問1と独立しており,反論を示した上で数量超過分の販売停止を肯定する構成を採ります。

本記事の評価表は,法務省の公式採点基準や配点表ではありません。肯定説・否定説が許容される場面では,結論を揃えることよりも理由と法的効果を一貫させることを重視します。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

番号は記事全体で1〜41の通し番号です。各行を一つの判定対象に分け,「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」と適用条件を示しました。条件付きの分岐を全答案への累積要求にはしません。引用の頁はPDFの通し頁です。「間接」は関連記述からの推論,「記載なし」は本問の関連範囲を実読した結果を意味します。

2 5段階の重み付け

重み5は採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの,4は出題の趣旨が検討を求め採点実感も取り上げた事項,3はどちらか一方が明示する中核の理由付け,2は一方が軽い表現で触れる補強又は典型的な誤り,1は一方が控えめに触れるだけの事項です。

重み4の「取り上げた」には具体的な誤りの指摘を含み,すべてを「高く評価された事項」とはしません。区分と重みは別の軸であり,高評価や負例でも重み5になり得ます。重みの総和166は独自指標で,公式得点ではありません。

第3 本問の概要

設問1では,AとBからなる合金の特許について,請求項の上位概念B,実施例α(Aとb1),不適当とされたβ(Aとb2),拒絶理由への意見書が与えられています。⑴は均等論を除く技術的範囲,⑵は訂正を考慮しない無効の抗弁,⑶は出願9か月前にXが自己公表した場合の主張と手続を問います。

設問2では,通常実施権者Y2が許諾上限10万トンを製造・販売した後,追加2万トンをY3へ販売します。Y3は許諾の存在を知っていますが数量制限を知らず,正規品と超過品の識別は困難です。契約は解除されていません。Xの販売停止請求,Y3の反論,自説の理由を検討し,独占禁止法の問題は扱いません。

第4 評価項目と重み1 設問1⑴番号評価項目重み出題の趣旨採点実感170条1項により請求項の記載を出発点に技術的範囲を判断する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が原則の提示を求める。4PDF29頁・2。「特許請求の範囲の記載に基づいて確定す」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑴。「特許請求の範囲の記載に基づいて確定するこ」(直接)2明細書・意見書と文言のずれを踏まえ,Bの文言どおり範囲を確定できるかを問題にする。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:単なる文言対比で終わらない問題設定が答案骨格。5PDF29頁・2。「意見書の内容などの本問の事実関係に照らして」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑴。「文言通り確
定してよいかという問題の所在」(直接)3拒絶理由に対して提出した意見書を出願経過として参酌する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:採点実感が一応の水準の分岐点とし,明細書だけの答案を批判。5PDF29頁・2。「出願経過に
おいてXが提出した意見書」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑴。「Xの意見書という出願経過の参酌」(直接)4出願経過参酌を,信義則・禁反言等の法的根拠によって正当化する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:条文上の根拠のない参酌に根拠を示すことを良好・優秀の分岐点とする。5関連範囲を実読:記載なしPDF21頁・2⑴ア・小問⑴。「出願経過の参酌については、条文上の根拠がない」(直接)5Bはb1であるとの従前の主張とβへの現在の権利行使の矛盾を具体的に評価する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が意見書内容を本問へ当てはめることを求める。4PDF29頁・2。「意見書の内容などの本問の事実関係」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑴。「その
根拠を示した上で、本問に当てはめ」(直接)6出願経過参酌を技術的範囲の限定又は独立の権利行使阻止抗弁として一貫して位置付ける。
区分:許容分岐。適用条件:参酌を採る場合。二構成の累積必須ではない。
重みの理由:採点実感が二つの構成を明示的に許容。3関連範囲を実読:記載なしPDF21頁・2⑴ア・小問⑴。「特許発明
の技術的範囲を限定するもの、又は」(直接)2 設問1⑵番号評価項目重み出題の趣旨採点実感7無効抗弁では技術的範囲の属否と区別して発明の要旨を認定する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料の中核で,採点実感が多くの答案の混同を指摘。5PDF29頁・3。「発明の要旨を認定する必要」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「発明の要旨を認定する必要」(直接)8リパーゼ判決を踏まえ,特段の事情のない限り請求項に基づく要旨認定を示す。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が判例に基づく原則を求める。4PDF29頁・3。「最判平成3年3月8日民集45巻3号123頁」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「特段の事情のない限り、特許請求の範囲」(直接)9技術的意義の一義的不明確さや明らかな誤記など,参酌が許される特段の事情を具体化する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:採点実感だけが詳細な特段事情の検討を高評価事項として明示。3関連範囲を実読:記載なしPDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「明細書の参酌が許される特段の事情を詳しく」(直接)10本件のBの記載を評価し,実施例αやb1以外不適当との記載だけで要旨をb1に限定しない。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が判例を本件事実へ適用して要旨を認定することを要求。具体的結論は原文判例で独立確認。4PDF29頁・3。「本件発明の要旨を認定した上で」(間接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「本問の事実関係に照らして発明の要旨を認定」(間接)116か月前のβ論文を要旨A及びBと対比し,29条1項3号の新規性欠如を主張・評価する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:新規性の具体的対比が無効抗弁の骨格。5PDF29頁・3。「新規性喪失(法第29条第1項第
3号)」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「6か月前に公表された論文に基づく新規性喪失」(直接)12新規性欠如を123条1項2号の無効理由に接続する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:採点実感が中核の条文連鎖を明記。3関連範囲を実読:記載なしPDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「同法123条第1項第2号」(直接)13無効にされるべき特許であることから104条の3第1項によるXの権利行使制限へ結び付ける。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:要旨・無効理由から抗弁の法的効果までが答案骨格。5PDF29頁・3。「無効の抗弁(法第104条の3第1項)」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「同法第104条の3第1項」(直接)1436条6項1号のサポート要件違反を,本件の明細書と請求項の広さのずれに即して検討する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:出題趣旨が検討を求め,採点実感が良好・優秀事項として取り上げる。4PDF29頁・3。「サポート要件違反(法第36条第6項第1号)」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「サ
ポート要件(同法第36条第6項第1号)違反」(直接)1536条4項1号の実施可能要件について,当業者による実施の可能性を独立して検討する。
区分:高評価。適用条件:発展事項。サポート違反との累積必須ではない。
重みの理由:採点実感が明示する発展的な別記載要件。3関連範囲を実読:記載なしPDF21頁・2⑴ア・小問⑵。「実施可能要件(同条第4項第1号)違反」(直接)16本件記載要件の問題を,Bの意味が不明であるという明確性違反だけで処理しない。
区分:負例。適用条件:全答案
重みの理由:採点実感が典型的な記載要件の取り違えを指摘。2関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴ア。「明確性要件違反を
挙げるものが比較的多く」(直接)1770条の技術的範囲解釈をそのまま無効判断の要旨認定へ流用しない。
区分:負例。適用条件:全答案
重みの理由:明確な制度分類の混同が無効抗弁全体を崩すため骨格に当たる。5関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴ア。「ではなく「発明の要旨認定」であること」(直接)3 設問1⑶番号評価項目重み出題の趣旨採点実感18Xの9か月前の自己論文に対して30条2項の新規性喪失の例外を主張する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が自己公表例外を求める。4PDF29頁・4。「新規性喪失の例外(法第30
条第2項)」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑶。「法第30条第2項」(直接)19自己公表から1年以内の出願という30条2項の条件を9か月の事実へ適用する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料の30条2項適用要求を要件単位へ展開。1年は当時条文で独立確認。4PDF29頁・4。「新規性喪失の例外(法第30
条第2項)」(間接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑶。「9か月前の論文発表に対する新規性喪失の例外」(間接)20例外適用を求める旨の書面を出願と同時に提出する必要を示す。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が出願時の30条3項手続を要求。提出時期は条文独立確認。4PDF29頁・4。「書面の提出(同条第3項)」(間接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑶。「本件出願時の手続」(間接)21公開が例外対象であることの証明書を出願日から30日以内に提出する必要を示す。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が30条3項の書面提出を要求。証明期限は条文独立確認。4PDF29頁・4。「書面の提出(同条第3項)」(間接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑶。「書面の提出(同条第3項)」(間接)2230条の効果は対象公表を新規性・進歩性判断から除くことであり,出願日の遡及ではないと説明する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:採点実感が見落としの多い効果の理解を明示する重要分岐点。5関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴ア。「その効
果は出願日を遡及させるものではない」(直接)239か月前の自己公表への例外適用と分けて,6か月前のβ論文による新規性欠如が残るかを検討する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:効果を追加先行技術へ戻す比較が設問⑶の骨格で,採点実感は良好・優秀事項とする。5PDF29頁・4。「差異が生じることがあるか」(直接)PDF21頁・2⑴ア・小問⑶。「6か月前の論文発表による新規性喪失の有無」(直接)4 設問2番号評価項目重み出題の趣旨採点実感24Y3の販売が2条3項1号・68条の業としての実施に当たることを示す。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料がXの請求の入口を要求。4PDF29頁・5。「業としての実施(法
第2条第3項第1号、第68条)」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「業としての実施(同法第2条」(直接)25X側の立論として,最高数量を超えたY2の製造が許諾範囲外の特許権侵害になることを示す。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:数量制限の効力が両対立構成を分ける中心軸。5PDF29頁・5。「最高数量制限に違反して
製造する行為は本件特許権を侵害」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「最高数量制限に違反して製造す」(直接)26X側の立論として,超過製品のY3による販売も侵害となるという効果を導く。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料がY2製造からY3販売への接続を明記。4PDF29頁・5。「Y3による販売行為も侵害に当たる」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「Y3による販売行為も侵害に当たる」(直接)27Xの請求を100条1項に基づく販売停止として特定する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が直接救済の条文を要求。4PDF29頁・5。「法第100条第1項」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「同法第100条第1項」(直接)28Y3の反論として,最高数量制限違反は債務不履行にとどまるという構成を明示する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:対立の核心の主張で,単なる消尽の一般論では代替できない。5PDF29頁・5。「最高数量制限違反は債務不履行にとど」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「最高数量制限違反は債務不履行にとど」(直接)29Y3の反論として,債権的制限ならY2の製造は特許権侵害に該当しないと説明する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が債務不履行説から消尽への媒介を求める。4PDF29頁・5。「Y2の製造行為は侵害に該当しない」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「Y2
の製造行為は特許権侵害に該当しない」(直接)30Y3の反論として,適法な通常実施権者Y2からの譲渡で消尽することを述べる。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が許諾・譲渡・消尽の接続を要求。4PDF29頁・5。「通常実施権者Y2による譲渡により特許権」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「通常実施権者Y2による譲渡により特許権は消」(直接)31Y3の反論として,消尽によりXの販売停止請求を認めないという結論を導く。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が否定説の法的効果までを要求。4PDF30頁・5。「販売停止請求は認められない」(直接)PDF21頁・2⑴イ。「販売停止請求は認められない」(直接)32消尽の根拠として,製品の自由な流通・取引の安全を説明する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:消尽の二根拠の一つであり設問2の利益調整の骨格。5関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴イ。「消尽の2つの根拠」(間接)33消尽の根拠として,特許権者の対価確保の機会と二重利得防止を説明する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:消尽のもう一つの根拠で数量制限の利益との調整に不可欠。5関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴イ。「消尽の2つの根拠」(間接)34Y3が数量制限を知らなかったことを,取引の安全・権利者利益との関係で評価する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が善意という具体的事実の当てはめを要求。4PDF30頁・5。「最高数量制限についてのY3の善意」(直接)PDF22頁・2⑴イ。「最高数量制限についてのY3の善意」(直接)35正規数量内製品と超過製品の区別困難性を,第三者の負担と数量管理利益との関係で評価する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:両資料が区別困難性の実質評価を要求。4PDF30頁・5。「Y2製
品の区別困難性」(直接)PDF22頁・2⑴イ。「Y2製品
の区別困難性」(直接)36数量制限違反を実施料不払い等と比較し,特許権侵害とする又はしない理由を示す。
区分:高評価。適用条件:自説で数量制限の性質を説明する際の発展比較。
重みの理由:採点実感が数量制限の性質を詳しく説明するための具体的対比を明示。3関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴イ。「例えば実施料不払いについては債務
不履行にとどまる」(直接)37特許権者の利益と取引の安全のどちらを重視するかを,具体的な理由とともに選択する。
区分:必須。適用条件:全答案
重みの理由:利益調整と理由付けが設問2の最終答案骨格。5PDF30頁・5。「自説を、その論拠を示しつつ、説得的」(直接)PDF23頁・3⑴イ。「特許権者の利益と取引の安」(直接)38自説と異なる立場の強い理由を示した上で,その立場を採らない理由を反論する。
区分:高評価。適用条件:全答案
重みの理由:出題趣旨の反論を踏まえた自説要求に対応し,採点実感が高評価事項を明記。4PDF30頁・5。「自説を、その論拠を示しつつ、説得的」(間接)PDF22頁・2⑴イ。「自説と異なる立場への反論も示した上」(直接)39販売停止請求を肯定・否定のいずれにする場合も,採った構成と理由を一貫させる。
区分:許容分岐。適用条件:採用する一方の結論。双方の結論を同時要求しない。
重みの理由:採点実感が結論の両許容を明示。3関連範囲を実読:記載なしPDF22頁・2⑴イ。「販売停止請求の肯定又は否定のいずれであってもよい」(直接)40否定説を採る場合,Y2への債務不履行責任追及などXの利益保護策を無視しない。
区分:負例。適用条件:販売停止請求を否定する枝だけ。
重みの理由:採点実感が否定説の典型的な説明不足を指摘。2関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴イ。「Y2に対す
る債務不履行責任の追及」(直接)41消尽を否定した上で侵害を否定する場合は,別の法的根拠を示し,事実の列挙だけで結論を出さない。
区分:負例。適用条件:数量違反の侵害・消尽否定を維持しつつ停止を否定する枝だけ。
重みの理由:採点実感が否定結論への法的橋渡し欠落を批判。2関連範囲を実読:記載なしPDF23頁・3⑴イ。「消尽に代わる何らの法的根拠を示さず」(直接)5 答案全体に関する一般的な指摘

以下は重みを付していない一般的な指摘であり,41項目の集計には含めません。条文の適用場面を示し,規範,具体的事実,評価,法的効果をつなぎます。主体を入れ替えず,設問2で要求されたY3の反論を,自説の結論だけで代替しないようにします。

6 重みの分布

実際の評価表の各行を集計すると,重み1=0項目,2=3項目,3=6項目,4=18項目,5=14項目です。N=0+3+6+18+14=41。W=0+2×3+3×6+4×18+5×14=166です。

第5 模範解答1 前提と表記

問題文の事実を前提とし,法令は試験の公式基準である令和6年1月1日,判例等は試験実施日である同年7月10日までを基準とします。答案中の条文は特許法です。設問1⑴は出願経過を技術的範囲の限定に位置付け,設問2は請求肯定説を採ります。完成答案は空白・改行を除いて2275字です。

2 答案

1 設問1

(1) Xの主張の当否

 技術的範囲は特許請求の範囲に基づき定める(特許法70条1項。以下条文は同法)。物質Bはb2を含む上位概念であり,文言上Y1製品はこれを充足する。しかし,明細書及び出願経過に照らして,文言どおり確定してよいかが問題となる。

 70条2項により,明細書の記載等を考慮して用語の意義を解釈する。本件発明は強度を維持し曲げ加工性を向上させるもので,明細書はαのみを実施例とし,βは曲げ加工性が低下するため,b1以外のBは不適当と明記する。

 さらに,Xはβの先行論文による拒絶理由に対し,Bはb1を意味すると意見書で主張して特許を得た。出願経過の参酌に直接の明文はないが,特許取得の際に権利範囲を限定する説明をした者が,侵害訴訟ではそれと矛盾する解釈をすることは,第三者の予測可能性を害する。信義則・禁反言の観点から出願経過を参酌して範囲を限定すべきである。

 明細書の記載と上記説明を併せれば,Bをb1に限定して解すべきであり,b2を用いたY1製品は技術的範囲に属さない。補正されなかったことだけでこの参酌が排除されるわけではなく,Xの主張は認められない。

(2) Y1の無効の抗弁

 ア 新規性欠如

 104条の3第1項の判断では,侵害場面の技術的範囲と区別して発明の要旨を認定する。リパーゼ判決(最判平成3年3月8日)は,特段の事情のない限り請求項に基づき要旨を認定し,技術的意義を一義的に理解できない,明らかな誤記がある等の特段の事情がある場合に限り,詳細な説明の参酌を認める。

 Bは上位概念として明確で誤記もなく,αだけが実施例で,b1以外は不適当と記載されたことは上記特段の事情に当たらない。意見書によって請求項が補正されたわけでもない。したがって,要旨はA及びBからなる合金であり,設問⑴の限定を当然に移すことはできない。

(続きを読む...)令和6年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した41項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和6年度司法試験租税法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した56項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1:手付金と譲渡所得の計算2 設問2:解除・原状回復と更正の請求3 設問3:違約金の所得分類・年分4 設問4:事業上の貸倒損失5 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問と関連する記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和6年司法試験の租税法第1問について,完成答案と,公式資料から独自に抽出した56の評価項目を示す。重みは1~5の5段階であり,法務省の公式採点基準・配点ではない。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験論文式試験・選択科目の租税法第1問(問題PDF8~9頁,配点40点)である。本問では,令和5年分の譲渡所得は350万円,解除と現実の原状回復後はその課税要件事実が遡及的に消滅し,通常の更正の請求を行う。違約金300万円は令和6年分の一時所得,Bの貸倒損失2000万円は令和5年分事業所得の必要経費とする答案を示す。

評価項目は56項目,重みの合計は219,重み5は19項目である。重み5のうち番号54は高評価事項であり,全答案に必須とする趣旨ではない。許容分岐は選んだ構成に限って評価する。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

一つの項目に一つの判定対象を置き,必須・高評価・負例・許容分岐を区別した。負例は明確な誤りや不要な記載を避けるための項目である。表の番号は記事全体で連続し,資料の頁はPDFの物理頁を表す。「記載なし」は第1問に関する範囲を読んだ結果,「間接」は関連する記載から導いた推論である。短い語句を除き,項目本文は独自に具体化したものである。

2 5段階の重み付けの基準

重み5=採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの。重み4=出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。重み3=どちらか一方が明示する中核の理由付け。重み2=一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。重み1=一方が控えめに触れるだけの事項。

重み4を「両資料が高く評価したもの」に限定する基準は採っていない。根拠欄の取り上げ方に従って判断し,段階別の件数は割り当てていない。項目数や重みの合計は,公式得点や合格可能性を意味しない。

第3 本問の概要

Aは平成29年に3000万円で取得した居宅用地を,令和4年12月,時価4000万円のところBへ3500万円で売る契約をし,解約手付と違約手付を兼ねる300万円を受領した。令和5年3月1日に現金2700万円の支払を受け,手付を代金に充当して土地・登記書類を引き渡したが,残代金500万円は未払となった。令和6年4月10日に債務不履行解除し,土地を取り戻して,受領済み3000万円から違約金300万円を控除した2700万円を4月20日に返した。返還時の土地時価は4100万円である。

Bの卸売業に係るCへの売掛債権2000万円は,令和4年分の事業収入に計上済みである。Cは令和5年3月に破産手続開始決定を受け,同年12月15日の終結により全額回収不能が確定した。設問は①令和5年の譲渡所得の計算(譲渡費用100万円),②解除後の計算と更正請求,③違約金の所得分類・年分,④貸倒損失の処理を問う。租税特別措置法は考慮せず,法令は令和6年1月1日施行版による。

第4 評価項目と重み1 設問1:手付金と譲渡所得の計算番号評価項目重み出題の趣旨採点実感133条3項の総収入金額・取得費・譲渡費用・特別控除の計算構造から検討する。
必須526頁・設問1:「譲渡所得金額算定の条文」5頁・設問1:「解答の出発点」236条1項の「収入すべき金額」を権利確定主義によって解釈する。
必須526頁・設問1:「判例が権利確定主義を採用」5頁・設問1:「権利確定主義」3収入金額とその帰属年を一体で特定する。
必須426頁・設問1:「令和5年分のAの譲渡所得」6頁・設問1:「その年度帰属と不可分の概念」4譲渡における権利確定を売主の全債務履行・同時履行の抗弁消滅に具体化する。
必須526頁・設問1:「土地の譲渡の場合に何をもって権利確定」6頁・設問1:「同時履行の抗弁権の消滅」5解約手付・違約手付を兼ねる300万円の私法上の性質を踏まえる。
必須526頁・設問1:「解約手付と違約手付を兼ねる」6頁・設問1:「手付金の民法上の性質」6民法557条1項による売主の手付倍返しの可能性を検討する。
高評価3記載なし(倍返しの具体的記載。関連範囲実読)6頁・設問1:「民法第557条第1項」7手付金の令和4年の受領だけでは確定取得しないと理由付ける。
必須426頁・設問1:「どの時点で権利確定」6頁・設問1:「いまだ権利確定せず」8令和5年の履行・代金充当により手付金を同年の総収入に含める。
必須526頁・設問1:「手付金300万円の扱い」6頁・設問1:「手付が売買代金に充当」9現金2700万円・手付300万円・未収500万円を合わせて総収入3500万円とする。
必須426頁・設問1:「総収入金額に算入される金額」6頁・設問1:「3500万円とするのが正答」10未払500万円を未収であることだけで収入から除外しない。
負例426頁・設問1:「総収入金額に算入される金額」5頁・設問1:「代金債権500万円」11令和6年の解除を期限内申告時の令和5年課税へ先取りしない。
負例425頁・設問1:「期限内申告」6頁・設問1:「までの事実に基づいて処理」12資産時価4000万円をそのまま総収入金額にしない。
負例2記載なし(許可関連範囲実読)5頁・設問1:「時価4000万」13契約成立又は支払期限の到来だけで権利確定と決めない。
負例2記載なし(許可関連範囲実読)6頁・設問1:「契約が成立したことや代金支払期限が到来したことだけ」14取得費3000万円を控除する。
必須426頁・設問1:「譲渡所得金額算定の条文」6頁・設問1:「取得費」15譲渡費用100万円を控除する。
必須426頁・設問1:「譲渡所得金額算定の条文」6頁・設問1:「譲渡費用100万円」1633条4項の特別控除50万円を控除する。
必須426頁・設問1:「第4項」6頁・設問1:「譲渡所得の特別控除額」17保有期間5年超から33条3項2号の長期譲渡所得とする。
必須426頁・設問1:「保有期間」6頁・設問1:「所有期間5年超」18令和4年計上の別構成を採るなら,手付の性質・所得類型・控除・設問3との整合を論証する。
許容分岐(当該構成採用時のみ)3記載なし(許可関連範囲実読)6頁・設問1:「相応の点数を与えた」19譲渡所得と指定されているのに定義・性質の検討を機械的に展開しない。
負例225頁・設問1:「論じる必要はない」5頁・設問1:「説得力を低下させかね」20権利確定主義を「権利発生主義」と取り違えない。
負例2記載なし(許可関連範囲実読)5頁・設問1:「発生主義」2 設問2:解除・原状回復と更正の請求番号評価項目重み出題の趣旨採点実感21債務不履行解除を合意解除と取り違えない。
負例326頁・設問2:「合意解除ではないことに注意」記載なし(許可関連範囲実読)22解除によって売買契約の法的基礎が遡及的に失われることを示す。
必須526頁・設問2:「売買契約が遡及的に消滅」7頁・設問2:「法的根拠の遡及的消滅」23解除だけで足りず,現金返還と土地回復という現実の原状回復を必要とする。
必須526頁・設問2:「双方が満足される」7頁・設問2:「2つがそろってはじめて」24原状回復前は経済的成果が残り得るという管理支配上の問題を指摘する。
高評価3記載なし(許可関連範囲実読)7頁・設問2:「税額の遡及的変更には不十分」25私法の変動から資産譲渡・収入の課税要件事実の消滅へ架橋する。
必須526頁・設問2:「課税要件事実が遡及的」7頁・設問2:「課税要件事実が遡及的にな」26300万円を代金返還と違約金交付に法的に分解する。
必須426頁・設問2:「原状回復された上での違約金」7頁・設問2:「改めて違約金として交付」27申告済みという23条1項柱書の入口要件を確認する。
必須426頁・設問2:「同項柱書の他の要件」7頁・設問2:「Aが令和5年の期限内に」2823条1項1号の計算が法規に従わなくなったという要件に当てはめる。
必須526頁・設問2:「国税に関する法律の規定に従つていなかつた」7頁・設問2:「国税に関する法律の規定に従っていなかった」29税額過大という23条1項1号の要件に当てはめる。
必須526頁・設問2:「同項柱書の他の要件」7頁・設問2:「税額」30税務署長へ23条1項の更正請求を求める。
必須426頁・設問2:「国税通則法第23条第1項第1号」7頁・設問2:「更正の請求」31通常の更正請求は法定申告期限から5年以内であると特定する。
必須426頁・設問2:「同項柱書の他の要件」7頁・設問2:「法定申告期限から5年以内」3223条2項柱書括弧書きから本件の2月特例を排除する。
高評価3記載なし(許可関連範囲実読)8頁・設問2:「同条第2項は適用できず」33契約存続中の回収不能特例である所得税法64条1項・152条を本件解除に適用しない。
負例526頁・設問2:間接。「課税要件事実が遡及的」7頁・設問2:「これは誤りである」3423条2項は課税関係安定のための通常請求期間の延長であり,期間内の請求を狭めないと説明する。
高評価2記載なし(許可関連範囲実読)8頁・設問2:「ここま」3 設問3:違約金の所得分類・年分番号評価項目重み出題の趣旨採点実感35違約金という名目だけで9条1項18号の非課税としない。
負例2記載なし(許可関連範囲実読)8頁・設問3:「名目ではなく」36非課税を検討する場合,受領者の損害とその填補・純資産の増加を具体的に検討する。
高評価3記載なし(許可関連範囲実読)8頁・設問3:「受領者における損害の発生とその填補」37代金の原状回復と別の違約金取得から譲渡所得該当性を否定する。
必須526頁・設問3:「譲渡所得」8頁・設問3:「返還される一方で」3834条の位置に従い他の所得類型を除外してから一時・雑所得を判定する。
必須426頁・設問3:「一時所得(所得税法第34条)の条文の位置」8頁・設問3:「他のいずれの所得類型にも当たらない」39単発の売買の解除による非継続的・偶発的収入であると当てはめる。
必須426頁・設問3:「偶発性(非継続性)」8頁・設問3:「単発の売買契約」40労務・役務又は資産譲渡の対価でないと当てはめる。
必須426頁・設問3:「非対価性」8頁・設問3:「労務や」41一時所得についても36条1項の権利確定を用いて帰属年を論証する。
必須526頁・設問3:「権利確定がどの年に」9頁・設問3:「年度帰属は権利確定主義が基準」42令和6年の解除・原状回復後の違約金の取得を理由に令和6年分とする。
必須426頁・設問3:「令和6年4月」9頁・設問3:「令和6年」43令和5年9月帰属を採るなら,残代金による履行完了を望んでいた意思との整合を論証する。
許容分岐(当該構成採用時のみ)3記載なし(許可関連範囲実読)9頁・設問3:「当事者の意思解釈として合理的か」44令和4年12月帰属を採るなら,令和5年の代金充当・設問1の処理との整合を論証する。
許容分岐(当該構成採用時のみ)3記載なし(許可関連範囲実読)9頁・設問3:「手付金300万円が代金の一部として」45解除後も代金の一部だったことだけから違約金を譲渡所得としない。
負例226頁・設問3:「原状回復された上での違約金」8頁・設問3:「法的に成り立」4 設問4:事業上の貸倒損失番号評価項目重み出題の趣旨採点実感46貸倒損失を所得税法51条2項の問題として処理する。
必須526頁・設問4:「所得税法第51条第2項」9頁・設問4:「所得税法第51条第2項」47Bの債権が事業遂行上生じた売掛金であると当てはめる。
必須526頁・設問4:「本件Bの債権」9頁・設問4:「事業の遂行上生じた売掛金」48貸倒れの基準として金銭債権全額の回収不能を定立する。
必須526頁・設問4:「「債権の貸倒れ」の意義」9頁・設問4:「金銭債権の」49全額回収不能が客観的に明らかであるという基準を定立する。
必須526頁・設問4:「「債権の貸倒れ」の意義」9頁・設問4:「全額の回収不能が客観的に明らか」50令和5年12月15日の破産終結・全額回収不能確定を基準に当てはめる。
必須426頁・設問4:「本問への当てはめ」9頁・設問4:「令和5年12月15日」512000万円を令和5年分事業所得の必要経費に算入する。
必須526頁・設問4:「事業所得者の貸倒損失」9頁・設問4:「確定した年度の事業所得の必要経費」52貸倒引当金(52条)と確定した貸倒損失を混同しない。
負例2記載なし(許可関連範囲実読)9頁・設問4:「異なる制度」53過去年分の所得計算の遡及修正と当年必要経費処理を区別する。
必須426頁・設問4:「譲渡所得との違い」9頁・設問4:「過去年度の所得計算をやり直す」54反復継続する事業所得では貸倒年の費用として調整する制度趣旨を説明する。
高評価526頁・設問4:「反復継続的な所得」9頁・設問4:「反復継続する事業所得の性質」5 答案全体番号評価項目重み出題の趣旨採点実感55民法上の法律関係を分析して課税要件事実へ接続する。
必須425頁・答案全体:「課税対象の私法的要素」5頁・答案全体:「民法の基本的」56根拠条文を挙げてその要件を事実に適用する。
必須425頁・答案全体:「条文の要件を正確に読解」5頁・答案全体:「条文の正確な読解」6 重みの分布

重み1:0項目,重み2:8項目,重み3:8項目,重み4:21項目,重み5:19項目。総数N=56,重み合計W=219(0+2×8+3×8+4×21+5×19)。

重み5の事項は次のとおりである。以下の番号は公開表の番号である。高評価事項は優秀な答案の理由付け,負例は誤り回避の監査として位置付け,重み5というだけで全てを累積的な必須記載にしない。

番号1:33条3項の総収入金額・取得費・譲渡費用・特別控除の計算構造から検討する。(必須。本件の主ルート)番号2:36条1項の「収入すべき金額」を権利確定主義によって解釈する。(必須。本件の主ルート)番号4:譲渡における権利確定を売主の全債務履行・同時履行の抗弁消滅に具体化する。(必須。本件の主ルート)番号5:解約手付・違約手付を兼ねる300万円の私法上の性質を踏まえる。(必須。本件の主ルート)番号8:令和5年の履行・代金充当により手付金を同年の総収入に含める。(必須。本件の主ルート)番号22:解除によって売買契約の法的基礎が遡及的に失われることを示す。(必須。本件の主ルート)番号23:解除だけで足りず,現金返還と土地回復という現実の原状回復を必要とする。(必須。本件の主ルート)番号25:私法の変動から資産譲渡・収入の課税要件事実の消滅へ架橋する。(必須。本件の主ルート)番号28:23条1項1号の計算が法規に従わなくなったという要件に当てはめる。(必須。本件の主ルート)番号29:税額過大という23条1項1号の要件に当てはめる。(必須。本件の主ルート)番号33:契約存続中の回収不能特例である所得税法64条1項・152条を本件解除に適用しない。(負例。本件解除の処理における誤り回避)番号37:代金の原状回復と別の違約金取得から譲渡所得該当性を否定する。(必須。本件の主ルート)番号41:一時所得についても36条1項の権利確定を用いて帰属年を論証する。(必須。本件の主ルート)番号46:貸倒損失を所得税法51条2項の問題として処理する。(必須。本件の主ルート)番号47:Bの債権が事業遂行上生じた売掛金であると当てはめる。(必須。本件の主ルート)番号48:貸倒れの基準として金銭債権全額の回収不能を定立する。(必須。本件の主ルート)番号49:全額回収不能が客観的に明らかであるという基準を定立する。(必須。本件の主ルート)番号51:2000万円を令和5年分事業所得の必要経費に算入する。(必須。本件の主ルート)番号54:反復継続する事業所得では貸倒年の費用として調整する制度趣旨を説明する。(高評価。理由付けを深める場合の高評価事項)第5 模範解答1 答案の前提と表記

法令基準日は問題文指定の令和6年1月1日,試験実施日は同年7月10日である。答案は標準的な権利確定構成を採り,手付金を令和5年の譲渡対価へ,違約金を令和6年の一時所得へ分類する。答案本文は改行・空白を除いて2,269字(含めて2,310字)で,選択科目1問当たり2,500字の目安内である。所得税法33条の譲渡所得金額350万円と,22条2項2号による総所得算入額175万円は区別し,設問の求める前者を中心に書く。

2 答案

1 設問1
(1) 所得税法33条3項・4項により,譲渡所得は,その年の総収入金額から取得費及び譲渡費用を引き,特別控除額を控除して算出する。本件では,手付金及び未払代金を含む総収入金額の認識が問題となる。
(2) 同法36条1項の「収入すべき金額」は,現実の受領額ではなく,収入の原因となる権利が確定した金額をいう。これは,受領まで課税を待つと納税者の恣意により課税の公平が害されることを防ぐ権利確定主義である。
売買では,売主が契約上の給付を全て履行し,買主の同時履行の抗弁が消滅して代金を確定的に請求できることが基準となる。単なる契約成立や支払期日の到来だけで判断すべきではない。
(3) 本件手付金は解約手付と違約手付を兼ねる。令和4年12月の交付時には,Aも,Bの履行着手前であれば倍額を現実に提供して解除できる(民法557条1項)。手付の授受は売主の履行着手自体ではなく,履行完了・代金充当又は解除のいずれになるか未確定であり,300万円を譲渡対価として確定取得したとはいえない。
令和5年3月1日,Aは土地を引き渡し,登記手続に必要な書類を交付して売主の給付を完了し,手付金を代金に充当した。したがって,現金2700万円,充当した手付金300万円及び確定した未払代金債権500万円を合わせ,3500万円全額を令和5年分の総収入金額に算入する。権利確定主義による以上,未収500万円を除外しない。時価4000万円に置き換える理由もない。
設問1は期限内申告を問うから,法定申告期限の令和6年3月15日までの事実を基礎とし,後の解除を先取りしない。
(4) 取得費3000万円(同法38条1項)及び譲渡費用100万円を控除した譲渡益は400万円である。平成29年10月1日から令和5年3月1日まで5年を超えるから,33条3項2号の長期譲渡所得となる。他の資産の譲渡はないので,同条4項の特別控除50万円を控除し,譲渡所得の金額は350万円となる。

2 設問2
(1) 債務不履行解除により売買契約は遡及的に消滅し,代金債権の根拠も失われる。ただし,法的根拠の消滅だけでは,受領済み代金をAが管理支配する経済的成果が残り得る。
本件では,Aは現実に土地を取り戻し,原状回復として受領済み代金を返還している。300万円の控除も,法的には代金3000万円を返還した上で,別途違約金300万円を取得したものと評価する。この解除と現実の原状回復の双方によって,令和5年の「資産の譲渡」とそれによる「収入すべき金額」を基礎付けた課税要件事実が遡及的に消滅し,本件譲渡所得はなかったものとなる。返還時の土地時価4100万円による新たな売買ではない。
(2) Aは納税申告書を提出済みであり,この課税要件事実の消滅により,申告書の課税標準・税額の計算が国税に関する法律の規定に従わなくなり,納付すべき税額が過大となる。よって国税通則法23条1項1号に基づき,法定申告期限から5年以内に,税務署長へ令和5年分の減額更正を請求できる。
同条2項柱書括弧書きは,後発的事由に係る期間の満了が1項の通常期間の満了後に到来する場合に限定する。本件解除は通常の5年の期間内であるから,同条2項3号・同法施行令6条1項2号による2月の特例は適用されない。
また,契約自体が存続するのに代金が回収不能となる場面ではないから,所得税法64条1項・152条による特例でもない。

3 設問3
(1) 違約金は,損害賠償金という名目だけで所得税法9条1項18号の非課税にはならない。同法施行令30条の損害の発生とその填補を検討すべきところ,土地は返還され,時価も4100万円であり,本件300万円は資産に加えられた損害を埋めるだけの金額とはいえない。
(2) 前述のとおり譲渡対価は原状回復により返還され,300万円は別の違約金として取得されたから,譲渡所得ではない。他の所得類型にも当たらない。単発の売買の債務不履行解除による一時の収入であり,営利目的の継続的行為によらず,労務その他の役務又は資産譲渡の対価でもないから,同法34条1項の一時所得となる。
(3) 一時所得の帰属年も権利確定主義による。令和4年の手付受領は,令和5年に代金へ充当された。令和5年9月の支払期限徒過時にも,Aは残代金請求による売買の完了を求めていた。令和6年4月10日の解除及びその後の原状回復・精算によって,代金とは別に違約金を取得することが確定したから,令和6年分の一時所得である(同法36条1項)。

4 設問4
(1) 所得税法51条2項は,事業遂行上生じた売掛金等の貸倒れによる損失を,損失発生年の事業所得等の必要経費に算入する。Bの債権は卸売業による商品納入の売掛金であり,この事業関連性を満たす。
(2) 貸倒れには,金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかなことを要する。債務者の資産・支払能力,回収費用等を社会通念に従い総合判断する(法人税についての最判平成16年12月24日参照)。本件は,令和5年12月15日のCの破産終結により全額回収不能が確定しており,この基準を満たす。よって2000万円を令和5年分の事業所得の必要経費に算入する。将来の損失の見積りを扱う52条の貸倒引当金ではない。
(3) 反復継続する事業所得では,過去の収入を遡って取り消すより,継続する事業の貸倒年の経費として調整する。他方,単発の譲渡はその課税要件事実の消滅を元の年へ反映する。したがって,Bの令和4年分の事業収入2000万円の計上は維持される。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1) 答案と評価項目の対応

設問1の答案(1)~(4)が番号1~20,設問2が番号21~34,設問3が番号35~45,設問4が番号46~54に対応する。番号55・56は答案全体の私法と課税要件の接続・条文適用を評価する。負例は回避し,条件付きの番号18・43・44は本答案の構成では採用していない。

(2) 手付金の民法上の性質を所得認識へ接続する

番号4~8は,権利確定という名称から一段深める部分である。売主の給付完了・同時履行の抗弁消滅と,解約手付の倍返しの可能性を具体化する。採点実感は,説得的な理由がある場合に限り令和4年に手付を計上し令和5年の総収入を3200万円とする筋も許容している(番号18)。その場合は,令和4年の所得分類・取得費控除・後の代金充当・設問3との整合まで説明する必要がある。管理支配基準を挙げるだけで足りるわけではない。

(3) 解除と現実の原状回復を分ける

番号22~29では,解除で私法的根拠が失われても,受領した金銭の経済的成果が残る限り直ちに課税が消えるとはいえないことを押さえる。現実の原状回復を経て課税要件事実が消滅し,申告計算が法規に従わなくなり税額が過大となる,という順で通常の更正請求へ接続する。番号33の64条・152条は,存続する代金債権の回収不能と本件解除を区別するための負例である。

(4) 違約金の分類と年分を別々に論証する

番号37~42は,代金返還と独立した違約金取得を踏まえ,譲渡所得を除外して非継続・非対価の要件を当てはめる。令和5年9月又は令和4年12月の帰属を説得的に論じた一部の答案も評価されたと採点実感は述べている(番号43・44)。本答案は,Aが履行完了をなお求めていたこと,手付が代金に充当されたことから,令和6年の確定取得を採る。

(5) 貸倒損失の基準と年度調整の理由

番号48~50は,全額回収不能・客観的明白性という基準を先に置き,破産終結と全額回収不能の確定を当てはめる部分である。興銀判決は法人税の判決なので,Bへ法人税法を直接適用するのではなく,所得税法51条2項の貸倒れ概念の解釈に共通する基準として参照する。番号54の反復継続性の制度趣旨は高評価事項である。

(6) 答案の弱点と扱わなかった事項

本答案は手付の令和4年計上・違約金の別年帰属を採用していないため,その枝の完全な計算は枠外で位置付けている。違約金の所得金額の計算,株式譲渡の課税,相続税・贈与税,申告後の不服申立ての詳細は設問外である。法定申告期限を基準にした事実選択と,所得分類・年分・計算の各段階を優先する。

第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

1 令和6年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)
2 令和6年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)
3 令和6年度司法試験公法系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)
4 令和6年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した52項目と5段階の重み付け(AI作成)
5 令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)
6 令和6年度司法試験租税法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した60項目と5段階の重み付け(AI作成)
7 令和6年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した64項目と5段階の重み付け(AI作成)
8 令和6年度司法試験民事系第3問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した55項目と5段階の重み付け(AI作成)
9 令和6年度司法試験刑事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した51項目と5段階の重み付け(AI作成)
10 令和6年度司法試験刑事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した28項目と5段階の重み付け(AI作成)

その他の選択科目の各答案:
知的財産法第1問の模範解答・評価項目
知的財産法第2問の模範解答・評価項目
環境法第1問の模範解答・評価項目
環境法第2問の模範解答・評価項目
経済法第2問の模範解答・評価項目
経済法第1問の模範解答・評価項目
国際公法第1問の模範解答・評価項目
国際関係法(公法系)第2問の模範解答・評価項目
国際関係法(私法系)第1問の模範解答・評価項目
国際私法第2問の模範解答・評価項目
労働法第1問の模範解答・評価項目
労働法第2問の模範解答・評価項目
倒産法第1問の模範解答・評価項目
倒産法第2問の模範解答・評価項目

2 本問と関連する記事

投資詐欺・金銭不祥事の被害と税務―損失,返金・自主補償,利息及び貸倒れの区別(AI作成)

売買契約を解除した後の所得税―原状回復,未収代金の貸倒れ,違約金と更正の請求

関連実務記事は後年の紹介であり,本答案の基準時の法状態を改める根拠には用いていない。

第7 出典及び確認状態1 公式資料

① 法務省・令和6年司法試験問題:選択科目PDF8~9頁の租税法第1問。
② 令和6年司法試験論文式試験出題の趣旨:41頁中25~26頁の租税法第1問。
③ 令和6年司法試験の採点実感(選択科目):48頁中5~10頁の租税法第1問と関連総論。
④ 令和6年司法試験の実施日程等。

2 法令

所得税法(令和6年1月1日時点の施行版)
所得税法施行令(令和6年1月1日時点の施行版)
国税通則法施行令(令和6年1月1日時点の施行版)
民法(令和6年1月1日時点の施行版)
国税通則法(令和6年1月1日時点の施行版)

所得税法33・34・36・38・51・64・152条,所得税法施行令30・274条,国税通則法23条,同施行令6条,民法545・557条等の原文を確認した。行政解釈として所得税基本通達36-12・36-13も参照した。

3 裁判例

① 最判昭和53年2月24日第二小法廷(昭和50年(行ツ)123):原文7頁を確認。権利確定と,係争中でも経済的成果を取得した場合の所得実現。
② 最判平成16年12月24日第二小法廷(平成14年(行ヒ)147,興銀事件):事案と理由4の貸倒れ基準・当てはめを確認。

4 確認状態

公式資料の第1問に関する記載と法令原文は確認済みである。表の重み,評価単位の切り方,法源から本件への当てはめは記事独自の分析である。東京高判昭和61年7月3日は採点実感が紹介する裁判例であるが,その原文は未確認である。更正請求の期間は当時の条文原文から説明する。

採点実感9頁には違約金の権利確定時期を「令和6年3月」とする記載があるが,問題文の解除通知日は4月10日,精算日は4月20日である。本答案は問題文の事実に従い,令和6年分という年分を採用する。後発判例を試験当時の法源として遡って用いていない。

令和6年司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 団交拒否・不誠実団交(労組法7条2号)2 支配介入(労組法7条3号)3 答案全体に関する一般的な指摘4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

本記事は,令和6年司法試験の労働法第2問について,法務省の出題の趣旨及び採点実感から独自に抽出した40の評価項目と,2,329字の模範解答を示す。評価項目と1~5の重みは法務省の公式採点基準又は配点ではない。法令は令和6年1月1日の施行法を,判例は試験実施日である同年7月10日までのものを基準とする。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験論文式試験問題(選択科目)の労働法第2問(PDF26~27頁)である。手当廃止・チェック・オフについての団交拒否と不誠実団交を労組法7条2号で,別組合との二つの協定による支配介入を同条3号で検討し,労働委員会への救済申立てと予想される命令を論ずる。

本答案は両号の不当労働行為を認め,2号では誠実交渉命令と再発防止の文書交付・掲示,3号ではポスト・ノーティス又は文書交付を求める構成を採る。ただし,公式資料が結論を一律に指定しているという意味ではない。チェック・オフに関する3号の否定構成も,交渉経緯を掘り下げた理由付けがあれば許容される。

40項目のうち重み5は12項目である。団交義務と実施・合意の義務,賃金控除協定の締結主体と便益を受ける組合,協定の民事上の効力と組織への事実上の作用,回復すべき状態と合意を直接命ずることを区別するのが答案の中心となる。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一つの行につき一つの判定対象を置き,「必須/高評価/負例/許容分岐」の区分を評価項目欄に示した。負例は避けるべき記載を表し,許容分岐はその構成を採る場合だけ適用する。全項目を全答案へ累積的に要求するものではない。

根拠欄の頁は各PDFの頁数である。「記載なし」は本問の関連範囲を実読した上での表示,「間接」は公式の一般記述から当該基準への具体化が本記事の推論となる表示である。表に掲げる短い語句は引用箇所を探すための手掛かりであり,その語句だけを公式の判断内容全体と扱わない。

2 5段階の重み付けの基準

①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項。

本問では,重み4をすべて「高く評価された事項」と表現せず,両資料が取り上げた事項として付した。重み5のうち,規範・主体・救済の骨格に属する項目と,当てはめの評価を分ける項目は,第4の4で区別する。各段階への件数の割当ては行っていない。

第3 本問の概要

Y社は従業員約200名の食品製造会社で,月額3万円の業務手当を令和6年4月に廃止する方針を示した。地域合同労組のX組合はY社の労働者25名を組織し,手当廃止とチェック・オフについて団交を申し入れた。5回の交渉で,Y社は業績の概要1枚を示すのみで,削減効果や他の改善努力を説明せず,少数組合のチェック・オフは法律上困難と述べた。就業規則を変更して廃止を実施し,第6回の団交後は交渉を拒否した。

その後,150名を組織する企業内組合Aが結成され,手当廃止を受け入れた。Y社はAを歓迎し,最初の団交でチェック・オフ協定とユニオン・ショップ協定を締結した。協定内容は,従業員が持ち帰れるニューズレターで周知された。Y社はX組合に解雇意思はないと回答したが,X組合員10名がAへ移籍した。

設問はX組合の立場で,労組法7条2号と3号を分け,主張,求める救済及び労働委員会が発する命令を論ずるものである。労組法5条1項の資格要件は満たすとの仮定がある。手当廃止の私法上の有効性や個別の解雇無効請求を独立の主題としない。

第4 評価項目と重み
1 団交拒否・不誠実団交(労組法7条2号)
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感17条2号と3号を分け,両交渉事項・両協定を検討する。(必須)532頁 〔労働法第2問〕「2つの交渉事項」28頁 3⑵「2つの交渉事項」
2義務的団交事項を労働条件・待遇及び労使関係の運営事項で使用者が処分可能なものと示す。(必須)3間接:32頁 〔労働法第2問〕「義務的団交事項」28頁 3⑵「義務的団交事項の意義」
3業務手当の廃止が義務的団交事項であると確認する。(必須)432頁 〔労働法第2問〕「いずれも」28頁 3⑵「いずれも義務的団交事項」
4チェック・オフを団体的労使関係の運営事項として義務的団交事項とする。(必須)432頁 〔労働法第2問〕「義務的団交事項」28頁 3⑵「団体的労使関係の運営」
5実施の任意性や労基法24条の問題だけから義務的団交事項該当性を否定しない。(負例) 適用条件:全答案・該当誤記回避2記載なし(対象本問範囲実読)28頁 3⑵「これを否定」
6義務的団交事項の前提論に分量を割き過ぎて誠実性の検討を圧迫しない。(負例) 適用条件:全答案・分量監査2記載なし(対象本問範囲実読)28頁 3⑵「多くのスペースを割きすぎ」
7必要な論拠の説明と裏付け資料提示を含む誠実交渉義務を定立する。(必須)532頁 〔労働法第2問〕「その裏付けとなる資料を提示」29頁 3⑵「その存在と内容」
8誠実な交渉を尽くした膠着状態なら打切りに正当理由があり得るという判断枠組みを示す。(必須) 適用条件:団交打切りの評価332頁 〔労働法第2問〕「膠着状態に陥った場合」記載なし(対象本問範囲実読)
9計6回という回数だけで誠実に交渉したと認定せず実質を評価する。(必須)432頁 〔労働法第2問〕「計6回」28頁 3⑵「計6回の団体交渉」
10廃止の必要性の説明・資料提示の十分さを中心に評価する。(必須)532頁 〔労働法第2問〕「資料の提出」29頁 3⑵「十分な資料の提出」
11非公表を理由とする拒否,概要1枚,削減効果・他の改善努力の説明欠如を必要性判断につなげる。(高評価) 適用条件:全答案・公式要請を問題文事実で具体化4間接:32頁 〔労働法第2問〕「説明の十分さ」間接:29頁 3⑵「本件における当てはめ」

(続きを読む...)令和6年司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和6年度司法試験国際関係法(私法系)第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した51項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1小問1⑴2 設問1小問1⑵3 設問1小問24 設問25 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

国際裁判管轄と契約準拠法,消滅時効の性質決定,仲裁合意の準拠法を,公式資料から抽出した51項目と2327字の答案で整理する。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験の国際関係法(私法系)第1問である。公式資料の本問関連範囲から独自に抽出した評価単位は51項目,重み5は8項目である。これは法務省の公式採点基準・項目別配点ではない。

本答案は,営業所業務との具体的関連性を要するとして日本の国際裁判管轄を否定し,準拠法の選択がない契約について日本法を採用する。消滅時効は債権の問題と性質決定して甲国法を適用し,Yの期間経過の主張を認める。設問2は却下という与件を守り,仲裁合意について甲国法の黙示選択を認定した判断過程を説明する。

重み5は,業務関連性の基準と理由(番号5・6),最密接関係地法の決定と推定の検証(番号14・23),消滅時効の性質決定(番号24),仲裁合意の効力に適用する法・主契約との区別・黙示の法選択(番号32・33・36)である。番号5・6は高評価の論述であり,重み5だから全答案に同じ内容を累積要求するという意味ではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一つの評価項目には一つの判定対象を置く。「必須」「高評価」「負例(誤りの回避)」「許容分岐」は重みと区別する。適用条件がある行は,その立場・議論を採る場合に限り評価する。全ての許容構成を一答案へ書く必要はない。表の番号は記事全体で連続する。

根拠欄の頁はPDFの通し頁であり,出題の趣旨は38~40頁,採点実感は42~44頁と科目総論47~48頁を用いる。根拠の短い語句は抽出原文との機械照合を行った。「記載なし」は本問関連範囲を読んだ結果であり,未閲覧という意味ではない。評価基準の具体化や重み自体は本記事の分析である。番号18の高評価区分は発展的検討を示す本記事の整理であり,公式が「高く評価」と明記した事項とは区別する。

2 5段階の重み付けの基準

①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項。本問では,積極的な評価だけでなく具体的な誤りの指摘も含む基準を採る。
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れる事項。

各段階の件数を先に割り当てず,公式資料の本文から項目ごとに判断した。重みの合計は公式得点や合格可能性を意味しない。

第3 本問の概要

日本法人Xは衣料品の製造販売を行い,日本以外に営業所を持たない。甲国法人Yは甲国に本店,日本に営業所を持つが,国内財産はごく少額である。甲国の見本市でY代表者Aが勧誘し,甲国での交渉後,Y本店でXがYの仕様に従い日本で衣料品を製作・販売する契約を締結した。引渡日は2020年5月25日,代金支払期日は翌月末である。

設問1小問1は,準拠法の合意が調わず,両債務の履行地を甲国とする場合の管轄と準拠法を問う。小問2は甲国法の選択・支払地日本を前提に,2023年8月10日の提訴に対する甲国法の3年期間制限を問う。両小問は独立する。

設問2は,主契約の甲国法条項と乙国仲裁地の合意がある中で,XがY代表者Aへ欺罔の不法行為を理由に請求した訴えの却下過程を問う。甲・乙いずれの法でも契約関連の不法行為は仲裁の対象になるが,代表者へ効力が及ぶのは甲国法だけである。設問1と設問2は独立し,国際物品売買契約に関する国際連合条約の適用は除外される。

第4 評価項目と重み
1 設問1小問1⑴
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1【必須】Yの主たる営業所は甲国にあるため民訴法3条の2による日本の管轄を否定する。4PDF38–39頁・設問1小問1⑴:被告住所地PDF43頁・3⑴ア:民訴法第3条の2や第3条の3第1号,第3号等では日本2【必須】代金債務の合意履行地が甲国なので履行地管轄を否定する。4PDF38–39頁・設問1小問1⑴:債務履行地PDF43頁・3⑴ア:第3条の3第1号,第3号等では日本3【必須】国内財産の価額がごく少額であり財産所在地管轄の除外に当たるとする。4PDF39頁・設問1小問1⑴:財産所在地PDF43頁・3⑴ア:第3条の3第1号,第3号等では日本4【必須】民訴法3条の3第4号を日本営業所の存在と訴えとの業務関連性の二要件に分ける。4PDF39頁・設問1小問1⑴:の2点が日本に営業所所在地に基づく国際裁判管轄PDF42頁・3⑴ア:業務関連性5【高評価】業務関連性について抽象的関連性説と具体的関連性説の対立を認識し,採る基準を明示する。5PDF39頁・設問1小問1⑴:業務関連性が抽象的で足りるか,具体的である必要があるかPDF42頁・3⑴ア:抽象的なもので足りるか,具体的な関連性が必要か6【高評価】業務関連性の自説を応訴予測可能性など制度趣旨に即して理由付ける。5PDF39頁・設問1小問1⑴:基準と理由を示した上でPDF42頁・3⑴ア:自説の理由付けを説得的に論じた答案7【必須】採用する関連性の基準に,本件の甲国勧誘・交渉・本店契約等を当てはめる。4PDF39頁・設問1小問1⑴:日本所在営業所と訴え1との間の業務関連性PDF42頁・3⑴ア:本問の事実関係に照らして検討8【負例】具体的関連性を必要とする場合に事実検証をせず関連性を肯定しない。 適用条件:具体的関連性説を採る場合。2記載なしPDF42頁・3⑴ア:具体的な関連性が必要としつつも9【負例】4号を否定しながら同じ事実で5号だけを肯定する矛盾を避ける。2記載なしPDF42–43頁・3⑴ア:両号についての基本的な理解を欠く10【許容分岐】5号を主に使う構成も,国内業務と訴えとの関連性を検討すれば許容される。 適用条件:5号を主ルートとする場合。2記載なしPDF43頁・3⑴ア:主として第5号の検討11【必須】国内管轄を肯定した場合は,甲国集中の事実を踏まえ民訴法3条の9の特別の事情を検討する。 適用条件:日本の管轄を4号又は5号で肯定する構成を採る場合。4PDF39頁・設問1小問1⑴:民訴法第3条の9に基づいた丁寧な検討PDF43頁・3⑴ア:民訴法第3条の9に基づく特別の事情12【負例】住所地・履行地・財産所在地の明白な否定は簡潔に処理し,中核を圧迫しない。2記載なしPDF43頁・3⑴ア:これらについては簡潔な指摘で十分
2 設問1小問1⑵
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感13【負例】法選択合意の不成立という与件に反して黙示の選択を認定しない。2記載なしPDF43頁・3⑴ア:黙示での準拠法合意を認めた答案14【必須】当事者の法選択がない契約の効力を通則法8条1項の最密接関係地法に連結する。5PDF39頁・設問1小問1⑵:第8条第1項により最密接関係地法PDF43頁・3⑴ア:契約の準拠法の決定に関する基本的な理解15【必須】8条2項を1項の最密接関係地の推定規定と扱い,別々の準拠法を出さない。4PDF39頁・設問1小問1⑵:最密接関係地と推定されるPDF43頁・3⑴ア:第2項との関係性についての理解16【必須】特徴的給付を契約の性質を特徴付ける給付と説明し,通常の対価である金銭支払と区別する。4PDF39頁・設問1小問1⑵:一般的には売主が特徴的給付者PDF43頁・3⑴ア:特徴的給付の意義を明らかにしない17【必須】通常の販売契約では売主Xの製作・引渡給付が特徴的給付に当たると論じる。4PDF39頁・設問1小問1⑵:売主が特徴的給付者PDF43頁・3⑴ア:特徴的給付を行う者をX18【高評価】買主の指示・主導による製作取引では通常売買と同じ特徴的給付処理でよいか検討する。 適用条件:買主仕様で製作する本問の契約。4PDF39頁・設問1小問1⑵:一般的な売買契約における場合と同じ処理で足りるかPDF43頁・3⑴ア:買主が主導権を握って売主に製作をさせ19【必須】Xの本件事業所が日本だけにあることから日本法を最密接関係地法と推定する。4PDF39頁・設問1小問1⑵:日本を最密接関係地と推定した場合PDF43頁・3⑴ア:日本を一旦最密接関係地として推定20【必須】甲国で契約締結交渉が行われた事実を最密接関係地の検証に用いる。4PDF39頁・設問1小問1⑵:契約締結過程での交渉が甲国PDF43頁・3⑴ア:設例の事実関係も踏まえ21【必須】両当事者の契約履行が甲国となる事実を最密接関係地の検証に用いる。4PDF39頁・設問1小問1⑵:契約の履行は全て甲国PDF43頁・3⑴ア:設例の事実関係も踏まえ22【必須】契約締結地が甲国である事実を最密接関係地の検証に用いる。4PDF39頁・設問1小問1⑵:契約締結地も甲国PDF43頁・3⑴ア:設例の事実関係も踏まえ23【必須】日本法の推定を機械的に確定せず,甲国接点との比較から推定が覆るか理由を示す。5PDF39頁・設問1小問1⑵:最密接関係地が日本かどうかの丁寧な検討PDF43頁・3⑴ア:機械的に推定を覆す事情がない
3 設問1小問2
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感24【必須】外国の3年期間を債権の運命か訴訟手続かという性質決定から検討する。5PDF39頁・設問1小問2:債権の運命の問題PDF43頁・3⑴イ:債権の問題と法性決定するか,手続の問題25【必須】時間経過による債権の権利行使制限という機能から,債権準拠法による実体事項と理由付ける。4PDF39頁・設問1小問2:債権の準拠法によるべきとの見解PDF43頁・3⑴イ:理由を全く示さず26【許容分岐】期間を手続事項として法廷地法を選ぶなら通説と異なる説得的理由を示す。 適用条件:期間を手続事項とする立場を採る場合。3PDF39頁・設問1小問2:後者の見解に立つ場合には特に説得的な理由記載なし27【必須】実体事項との性質決定を受け,通則法7条の当事者選択から甲国法を適用する。4PDF39頁・設問1小問2:甲国法によるとした場合PDF43頁・3⑴イ:法性決定を行い,甲国法の適用まで28【必須】甲国法適用を採る場合に与えられた3年期間を事実へ適用しYの主張の成否を示す。3記載なしPDF43頁・3⑴イ:準拠法を判断し,結論を検討するべき29【負例】公序を検討するなら単なる3年と5年の長短だけで公序違反としない。 適用条件:公序を検討する場合。2PDF39頁・設問1小問2:公序違反とはならないPDF43頁・3⑴イ:単なる期間の長短だけでは30【負例】外国の出訴期限を日本にない制度とだけ述べて公序違反とする誤りを避ける。 適用条件:日本にない制度との公序主張を扱う場合。2記載なしPDF43頁・3⑴イ:日本にはない制度であるとして31【許容分岐】公序を扱う場合は通則法42条の適用結果を検討し,3年の制限だけでは排除しない。 適用条件:甲国法適用について公序を論じる場合。3PDF39頁・設問1小問2:通則法第42条の公序を検討することも考えられよう記載なし
4 設問2
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感32【必須】代表者Aへの人的範囲を仲裁合意の効力の問題としてその準拠法により判断する。5PDF39頁・設問2:仲裁合意の準拠法によって判断PDF43頁・3⑴ウ:仲裁合意の準拠法の理解33【必須】主契約と仲裁合意の準拠法を別個に検討し,主契約法を直結させない。5PDF39頁・設問2:仲裁合意の準拠法の決定をいかにすべきかPDF44頁・3⑴ウ:仲裁合意の準拠法と主契約の準拠法とは別異34【許容分岐】私法上の合意として通則法7条を使う立場を明示し,合意性から理由を述べる。 適用条件:契約準拠法と同様に通則法で決める立場を採る場合。3PDF39–40頁・設問2:紛争解決にかかる私法上の合意の一種記載なし35【許容分岐】取消し・執行段階と同様に仲裁法44条1項2号・45条2項2号を根拠にする立場も明示できる。 適用条件:取消し・執行との統一的処理を採る場合。3PDF39–40頁・設問2:仲裁判断の取消し・執行において記載なし36【必須】主契約の甲国法の明示選択から仲裁合意について甲国法の黙示選択を認定する橋を示す。5PDF39頁・設問2:黙示の準拠法合意がされていたPDF44頁・3⑴ウ:仲裁合意の準拠法もそれに従う黙示の合意37【必須】甲国法によれば法人の仲裁合意が代表者Aへ及ぶことを示す。4PDF40頁・設問2:甲国法によればAの主張が認められるPDF43–44頁・3⑴ウ:仲裁合意の主観的範囲38【負例】仲裁法3条2項・14条1項だけで仲裁合意の準拠法を説明しない。2記載なしPDF44頁・3⑴ウ:第3条第2項や第14条第1項のみを根拠39【負例】Aへの仲裁合意の効力を法人の従属法の問題と取り違えない。2記載なしPDF44頁・3⑴ウ:法人の従属法として40【負例】Aへの仲裁合意の効力を不法行為の準拠法の問題と取り違えない。2記載なしPDF44頁・3⑴ウ:不法行為の準拠法の問題として41【負例】Aへの仲裁合意の効力を国際裁判管轄の問題と取り違えない。2記載なしPDF44頁・3⑴ウ:国際裁判管轄の問題として42【負例】乙国仲裁地法を機械的に適用して与件の却下と矛盾する結論を出さない。2記載なしPDF44頁・3⑴ウ:裁判所が甲国法を準拠法として判断した
5 答案全体
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感43【必須】必要な法律・法源を選び,争いのある解釈について理由ある規範を定立する。3記載なしPDF42頁・2/5:条文や制度の趣旨を踏まえた解釈44【必須】定立した規範へ必要な与件事実を過不足なく当てはめる。3記載なしPDF42頁・2/5:問題文中から必要な事実を過不足なく45【高評価】結論まで論理の飛躍がない明瞭な論述をする。3記載なしPDF42頁・2/5:検討過程に論理の飛躍がなく46【許容分岐】学説が分かれる場合は選択した結論自体を必須事項にせず,自説の論拠と一貫性を評価する。 適用条件:見解が分かれる争点。3記載なしPDF42頁・2/5:結論それ自体によって得点に差を設けることはせず47【負例】条文の枝番号・項・号を正確に引用する。2記載なしPDF47頁・2/5:条文の項,号,枝番号を誤記48【必須】準拠法選択規則に進む前に対象法律関係を性質決定する。3記載なしPDF47頁・2/5:そのために性質決定を行うことを要する49【負例】関連条文を十分検討せず明文規定がないとして条理へ飛ばない。2記載なしPDF47頁・2/5:規定がないと安易に論じる50【負例】争点と無関係な法廷地法一般論を長く書かず,具体的規定の適用から処理する。2記載なしPDF47頁・2/5:題意と無関係の論述は不要51【負例】明確な規定を単純に適用できる箇所で逐一制度趣旨を説明して分量を使わない。2記載なしPDF47–48頁・2/5:明確な内容の規定を事案に単純に当てはめて
6 重みの分布

重み1:0項目,重み2:16項目,重み3:10項目,重み4:17項目,重み5:8項目。総項目数は51,重み合計は170である。区分・適用条件による分岐を含む一覧であり,全51項目を一答案への累積要求とはしない。

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令和6年司法試験国際私法第2問の模範解答と評価項目―公式資料から抽出した43項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1・小問12 設問1・小問2⑴3 設問1・小問2⑵4 設問2・小問15 設問2・小問26 答案全体7 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

渉外養子縁組・録画遺言・共同預金を素材に,性質決定と準拠法の指定,外国法の適用を段階別に整理する。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和6年司法試験の国際関係法(私法系)第2問を対象とする。公式資料から独自に抽出した43項目を5段階で重み付けし,2,500字以内の模範解答を示す。法務省の公式採点基準・項目別配点ではない。

答案は,養親子関係ごとの分配的適用,甲国からの隠れた反致の肯定,乙国からの反致の否定を採る。甲国の報告主体は日本の手続で代行し,Fを第三者に含めた上で具体的適用結果を公序により排除する。録画遺言は丙国法により方式上有効であり,Cの遺留分請求の準拠法は甲国法となる。解釈の許容分岐は枠外の解説で示す。

重み5は11項目である。番号2:AC間・BC間の法律関係に分けて分配的に準拠法を決める/番号6:甲国法①を,国際裁判管轄と法廷地法適用を結合する規定と分析する/番号11:両養親子関係に養子Cの乙国法上の保護要件を追加適用する/番号12:乙国法からの反致を検討し,不成立であることを示す/番号17:甲国公認ソーシャルワーカーという報告主体の部分を手続問題と区別する/番号19:家庭裁判所調査官の報告が甲国の報告要件と実質的に同等であると理由付ける/番号21:通則法31条1項後段の「第三者」の範囲について規範を先に示す/番号28:録画による遺言の可否を遺言の方式と性質決定する/番号29:遺言方式法2条の選択的連結により一つの連結法への適合で足りると示す/番号34:遺留分の最低保障という趣旨を示して相続と性質決定する/番号37:共同預金が丙国法上遺産外でも,その処分による遺留分侵害は相続として扱う理由を示す。番号17・19は高評価の深度に関する事項であり,重み5の全項目を全答案に一律の累積要件とするものではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一つの項目は一つの判定対象とし,必須・高評価・負例・許容分岐を重みから分けた。番号は記事全体で連続する。「記載なし」は本問の関連範囲を実読した結果を意味する。根拠は合冊PDFの物理頁と見出しによる。代替説の項目は採用条件を示し,相互に排他的な構成を全て要求しない。公式の短い引用は内部の照合に用い,表ではその意味を要約した。

2 5段階の重み付けの基準

5=採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格。
4=出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
3=一方が明示する中核の理由付け。
2=一方の補強又は典型的な誤り。
1=一方が控えめに触れる事項。重み4を「高く評価した事項」に限定する基準ではない。各段階の件数割当ては行わず,重み合計を公式得点に換算しない。

第3 本問の概要

日本人Aと甲国人Bは日本で暮らす夫婦であり,乙国人Dの5歳の子Cを実親との親族関係が断絶する養子に迎えようとしている。設問1では,各養親の本国法とCの本国法,甲国の管轄一体型の規定,6か月の試験養育と報告,Aの前婚の12歳の子Fの同意が問題となる。Fは10年間Eと暮らしAとの交流がなく,Eが伝達を拒んだため同意を得られていない。

設問2では有効な縁組成立後,Bが死亡する。丙国法を選択した共同預金口座へBが7000万円を送金し,丙国法上は死亡後Aの資産となる。Bは丙国のホテルで,日本の不動産2000万円をA,日本の預金1000万円をCに相続させる遺言を録画した。Cが遺留分侵害額請求をする。管轄,縁組の有効成立,Fの嫡出性は所与であり,指定された小問では反致がない。小問同士は独立しており,遺留分額の計算を求める問題ではない。

第4 評価項目と重み
1 設問1・小問1
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1養子縁組の成立と性質決定し,通則法31条1項前段を用いる
【必須】440頁・設問1小問1:養子縁組の成立と性質決定し,通則法31条1項前段を用いる44~45頁・3⑵ア:養子縁組の成立と性質決定し,通則法31条1項前段を用いる2AC間・BC間の法律関係に分けて分配的に準拠法を決める
【必須】540頁・設問1小問1:AC間・BC間の法律関係に分けて分配的に準拠法を決める44~45頁・3⑵ア:AC間・BC間の法律関係に分けて分配的に準拠法を決める3AC間に日本法,BC間に甲国法を原則として指定する
【必須】440頁・設問1小問1:AC間に日本法,BC間に甲国法を原則として指定する44~45頁・3⑵ア:AC間に日本法,BC間に甲国法を原則として指定する4異国籍夫婦の共同縁組について準拠法決定に議論があることを認識して理由を示す
【高評価】340頁・設問1小問1:異国籍夫婦の共同縁組について準拠法決定に議論があることを認識して理由を示す44~45頁・3⑵ア:異国籍夫婦の共同縁組について準拠法決定に議論があることを認識して理由を示す5準拠法一本化説を採用する場合,分配的処理に代わる説得的な論証をする
【許容分岐】適用条件:夫婦共同縁組の準拠法一本化説を採用した場合3記載なし(本問関連範囲)44~45頁・3⑵ア:準拠法一本化説を採用する場合,分配的処理に代わる説得的な論証をする6甲国法①を,国際裁判管轄と法廷地法適用を結合する規定と分析する
【必須】540頁・設問1小問1:甲国法①を,国際裁判管轄と法廷地法適用を結合する規定と分析する44~45頁・3⑵ア:甲国法①を,国際裁判管轄と法廷地法適用を結合する規定と分析する7甲国法は養子の常居所に基づく管轄の下で法廷地法として適用されると説明する
【必須】440頁・設問1小問1:甲国法は養子の常居所に基づく管轄の下で法廷地法として適用されると説明する44~45頁・3⑵ア:甲国法は養子の常居所に基づく管轄の下で法廷地法として適用されると説明する8甲国法①から養子の常居所地法を指定する双方的抵触規則を導けるか検討する
【必須】440頁・設問1小問1:甲国法①から養子の常居所地法を指定する双方的抵触規則を導けるか検討する44~45頁・3⑵ア:甲国法①から養子の常居所地法を指定する双方的抵触規則を導けるか検討する9隠れた反致の自説を国際的判決調和等の観点から理由付ける
【高評価】340頁・設問1小問1:隠れた反致の自説を国際的判決調和等の観点から理由付ける44~45頁・3⑵ア:隠れた反致の自説を国際的判決調和等の観点から理由付ける10隠れた反致の肯否に応じ,甲国法の実質要件の要否まで示す
【必須】440頁・設問1小問1:隠れた反致の肯否に応じ,甲国法の実質要件の要否まで示す44~45頁・3⑵ア:隠れた反致の肯否に応じ,甲国法の実質要件の要否まで示す11両養親子関係に養子Cの乙国法上の保護要件を追加適用する
【必須】540頁・設問1小問1:両養親子関係に養子Cの乙国法上の保護要件を追加適用する44~45頁・3⑵ア:両養親子関係に養子Cの乙国法上の保護要件を追加適用する12乙国法からの反致を検討し,不成立であることを示す
【必須】540頁・設問1小問1:乙国法からの反致を検討し,不成立であることを示す44~45頁・3⑵ア:乙国法からの反致を検討し,不成立であることを示す13セーフガードを反致対象とする場合も,乙国の同型規則が同じ保護要件を残すと論じる
【許容分岐】適用条件:セーフガードを反致対象とする説を採用した場合3記載なし(本問関連範囲)44~45頁・3⑵ア:セーフガードを反致対象とする場合も,乙国の同型規則が同じ保護要件を残すと論じる14小問1では成立要件の実質的充足を本格的に論じるなど,準拠法の決定から逸脱しない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)44~45頁・3⑵ア:小問1では成立要件の実質的充足を本格的に論じるなど,準拠法の決定から逸脱しない
2 設問1・小問2⑴
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感15小問2の反致不成立を保存し,BC間には甲国法が適用されるとする
【必須】440頁・設問1小問2⑴:小問2の反致不成立を保存し,BC間には甲国法が適用されるとする45頁・3⑵イ⑴:小問2の反致不成立を保存し,BC間には甲国法が適用されるとする16甲国法②の6か月以上の同居・試験養育等の実体要件を満たす必要を示す
【必須】440頁・設問1小問2⑴:甲国法②の6か月以上の同居・試験養育等の実体要件を満たす必要を示す45頁・3⑵イ⑴:甲国法②の6か月以上の同居・試験養育等の実体要件を満たす必要を示す17甲国公認ソーシャルワーカーという報告主体の部分を手続問題と区別する
【高評価】5記載なし(本問関連範囲)45頁・3⑵イ⑴:甲国公認ソーシャルワーカーという報告主体の部分を手続問題と区別する18日本法の民法817条の8の監護要件を具体的な対応規定として示す
【必須】440頁・設問1小問2⑴:日本法の民法817条の8の監護要件を具体的な対応規定として示す45頁・3⑵イ⑴:日本法の民法817条の8の監護要件を具体的な対応規定として示す19家庭裁判所調査官の報告が甲国の報告要件と実質的に同等であると理由付ける
【高評価】540頁・設問1小問2⑴:家庭裁判所調査官の報告が甲国の報告要件と実質的に同等であると理由付ける45頁・3⑵イ⑴:家庭裁判所調査官の報告が甲国の報告要件と実質的に同等であると理由付ける20手続は法廷地法によるとの一般論だけで甲国法②全体を不要としない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)45頁・3⑵イ⑴:手続は法廷地法によるとの一般論だけで甲国法②全体を不要としない
3 設問1・小問2⑵
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感21通則法31条1項後段の「第三者」の範囲について規範を先に示す
【必須】540~41頁・設問1小問2⑵:通則法31条1項後段の「第三者」の範囲について規範を先に示す45~46頁・3⑵イ⑵:通則法31条1項後段の「第三者」の範囲について規範を先に示す22Fを第三者に含める立場では,文言等からその範囲を理由付ける
【許容分岐】適用条件:第三者の無限定説を採用した場合440~41頁・設問1小問2⑵:Fを第三者に含める立場では,文言等からその範囲を理由付ける45~46頁・3⑵イ⑵:Fを第三者に含める立場では,文言等からその範囲を理由付ける23Fを第三者から除く立場では,縁組以前の身分関係等の限定基準を理由付ける
【許容分岐】適用条件:第三者の限定説を採用した場合440~41頁・設問1小問2⑵:Fを第三者から除く立場では,縁組以前の身分関係等の限定基準を理由付ける45~46頁・3⑵イ⑵:Fを第三者から除く立場では,縁組以前の身分関係等の限定基準を理由付ける24自説に即してFがAの12歳の嫡出子であることを当てはめる
【必須】440~41頁・設問1小問2⑵:自説に即してFがAの12歳の嫡出子であることを当てはめる45~46頁・3⑵イ⑵:自説に即してFがAの12歳の嫡出子であることを当てはめる25Fを第三者に含める場合,乙国法適用による縁組不成立の公序違反を検討する
【許容分岐】適用条件:Fを第三者に含める場合440~41頁・設問1小問2⑵:Fを第三者に含める場合,乙国法適用による縁組不成立の公序違反を検討する45~46頁・3⑵イ⑵:Fを第三者に含める場合,乙国法適用による縁組不成立の公序違反を検討する26第三者の解釈と,その規定を適用した結果の公序違反を分ける
【必須】440~41頁・設問1小問2⑵:第三者の解釈と,その規定を適用した結果の公序違反を分ける45~46頁・3⑵イ⑵:第三者の解釈と,その規定を適用した結果の公序違反を分ける27第三者の規範を示さず事実列挙だけで同意の要否を決めない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)45~46頁・3⑵イ⑵:第三者の規範を示さず事実列挙だけで同意の要否を決めない
4 設問2・小問1
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感28録画による遺言の可否を遺言の方式と性質決定する
【必須】541頁・設問2小問1:録画による遺言の可否を遺言の方式と性質決定する46頁・3⑵ウ:録画による遺言の可否を遺言の方式と性質決定する29遺言方式法2条の選択的連結により一つの連結法への適合で足りると示す
【必須】541頁・設問2小問1:遺言方式法2条の選択的連結により一つの連結法への適合で足りると示す46頁・3⑵ウ:遺言方式法2条の選択的連結により一つの連結法への適合で足りると示す30方式法2条1号で行為地丙国法を指定する
【必須】441頁・設問2小問1:方式法2条1号で行為地丙国法を指定する46頁・3⑵ウ:方式法2条1号で行為地丙国法を指定する31B及び証人Rの口述を丙国法⑤の方式要件に対応させる
【必須】341頁・設問2小問1:B及び証人Rの口述を丙国法⑤の方式要件に対応させる記載なし(本問関連範囲)32甲国法④の不適合だけで無効とせず,録画遺言が方式上有効と結論する
【必須】441頁・設問2小問1:甲国法④の不適合だけで無効とせず,録画遺言が方式上有効と結論する46頁・3⑵ウ:甲国法④の不適合だけで無効とせず,録画遺言が方式上有効と結論する33録画という方式の問題を通則法37条の成立・効力で処理しない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)46頁・3⑵ウ:録画という方式の問題を通則法37条の成立・効力で処理しない
5 設問2・小問2
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感34遺留分の最低保障という趣旨を示して相続と性質決定する
【必須】541頁・設問2小問2:遺留分の最低保障という趣旨を示して相続と性質決定する46~47頁・3⑵エ:遺留分の最低保障という趣旨を示して相続と性質決定する35通則法36条によりBの本国法である甲国法を指定する
【必須】441頁・設問2小問2:通則法36条によりBの本国法である甲国法を指定する46~47頁・3⑵エ:通則法36条によりBの本国法である甲国法を指定する36共同預金について,契約準拠法丙国法による帰属と遺産外の扱いを検討の前提にする
【必須】441頁・設問2小問2:共同預金について,契約準拠法丙国法による帰属と遺産外の扱いを検討の前提にする46~47頁・3⑵エ:共同預金について,契約準拠法丙国法による帰属と遺産外の扱いを検討の前提にする37共同預金が丙国法上遺産外でも,その処分による遺留分侵害は相続として扱う理由を示す
【必須】541頁・設問2小問2:共同預金が丙国法上遺産外でも,その処分による遺留分侵害は相続として扱う理由を示す46~47頁・3⑵エ:共同預金が丙国法上遺産外でも,その処分による遺留分侵害は相続として扱う理由を示す38遺留分に明文規定がないとして条理へ直行しない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)46~47頁・3⑵エ:遺留分に明文規定がないとして条理へ直行しない39遺留分侵害額請求を通則法37条の遺言効力として処理しない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)46~47頁・3⑵エ:遺留分侵害額請求を通則法37条の遺言効力として処理しない40甲国法の具体的内容がないのに公序違反として日本法を適用しない
【負例】2記載なし(本問関連範囲)46~47頁・3⑵エ:甲国法の具体的内容がないのに公序違反として日本法を適用しない
6 答案全体
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感41条・項・号を正確に特定して適用する
【負例】2記載なし(本問関連範囲)47~48頁・5⑴~⑷及び42頁2:条・項・号を正確に特定して適用する42争いのある解釈では理由付きの規範を示してから事実を評価する
【高評価】3記載なし(本問関連範囲)47~48頁・5⑴~⑷及び42頁2:争いのある解釈では理由付きの規範を示してから事実を評価する43明白な事項は簡潔にし,具体的争点に紙幅を配分する
【負例】2記載なし(本問関連範囲)47~48頁・5⑴~⑷及び42頁2:明白な事項は簡潔にし,具体的争点に紙幅を配分する
7 重みの分布

総項目数43,重み5:11,4:17,3:6,2:9,1:0。重みの単純合計は159であり,配点ではない。重み5の番号は2・6・11・12・17・19・21・28・29・34・37。各項目の条件は表の該当行による。

第5 模範解答

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令和6年司法試験経済法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した34項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 共同性・メーカー及び販売業者2 相互拘束・Y社の関与3 市場画定と競争制限効果4 違反行為の終期5 Y社の課徴金6 答案全体7 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和6年司法試験経済法第1問の入札談合について,メーカー・卸業者・販売業者の役割を分けて検討します。公式の出題の趣旨・採点実感に基づく34項目の評価表と,2500字以内の模範解答を掲載します。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験・経済法第1問です。メーカー9社と卸業者Yの不当な取引制限,販売業者9社の非当事者性,X2の離脱と取決め全体の終期,Yの課徴金を検討します。答案ではYの課徴金を1億5000万円と算定します。

評価項目は34項目。重み5は8項目で,番号1・5・10・11・16・29・30・31です。第4の表で根拠を確認し,第5の答案と解説を対応させて読めます。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一項目につき一つの判定対象とし,公式資料の記述を答案で判定できる内容へ分解しました。表中の「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は独自の区分です。この一覧は法務省の公式採点基準ではなく,項目別配点や合格可能性を示しません。頁はPDF先頭から数えた物理頁です。

「直接」は関連する記述があるもの,「間接」は関連記述からの推論,「記載なし」は第1問の関連範囲を実読して直接の記載を認めなかったものです。負例は誤りの回避として扱い,肯定項目と重複加点しません。番号12の許容分岐は相互拘束の解釈を選ぶ場合に限り,複数構成を全答案へ累積要求しません。

2 5段階の重み付けの基準

重みは本記事の分析によるものであり,法務省の配点ではありません。
①5:評価の分かれ目,又は答案の骨格そのもの。
②4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。全てを「高く評価された事項」とは扱いません。
③3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④2:一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
⑤1:一方が控えめに触れるだけの事項。区分と重みは独立して判定します。

第3 本問の概要

メーカー9社はYを通じて55団体向け甲製品の供給予定者と入札価格を決定し,指名資格を持つ販売業者へ指定価格で入札させます。落札後の取引には必ずYが入り,卸売りの利益を確保します。200件中180件で予定者が供給し,残り20件はアウトサイダーの価格を見誤った事案です。

X2は令和5年10月13日に独自価格で落札し,同年12月7日に他社とYへ取決めから離脱する意思を表明しました。令和6年6月28日の立入検査後にYは調整を停止しています。各社の独占禁止法違反,終期,Yへの具体的な課徴金額が問いです。Yが中小卸売業者ではないことは設問の前提として扱います。

第4 評価項目と重み
1 共同性・メーカー及び販売業者
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1本件取決めを2条6項の不当な取引制限として分類し,3条後段へ接続する。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「同法第3条に違反するか」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「適切に適用条文を選択していた」2「共同して」を基本合意・意思の連絡として定義する。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「談合の基本合意(意思の連絡)」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「「共同して」の意義に係る規範の定立」3メーカー間の直接交渉がなくても,共通の取決めとYを介した実施から意思の連絡を論証する。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「本件取決めを中心に」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「相互間では価格調整の意思連絡を行わない」4指名資格がないメーカーについて,販売業者への指示を通じて価格・供給を決める主体として評価する。
[必須]3間接:28頁/経済法・第1問
「特にメーカー9社とY社の各行為」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「メーカー9社の指示に従」5販売業者は本件取決めの当事者でないことを踏まえ,その意思の連絡を認定できない理由を示す。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「販売業者9社の各行為」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「基本合意の当事者には当たらな」6販売業者の営業活動の不存在とメーカーの指示に従う入札を,当事者性の判断に用いる。
[高評価]3記載なし(第1問関連範囲を実読)直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「特に営業活動をしておらず」7販売業者が一定率のマージンを受けるにとどまる関係を,当事者性の判断に用いる。
[高評価]3記載なし(第1問関連範囲を実読)直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「一定率のマージンを受領していた」8具体的事実による論証なしに販売業者との黙示の意思連絡を認めない。
[負例]2記載なし(第1問関連範囲を実読)直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「具体的な事実に基づく論証をしない」
2 相互拘束・Y社の関与
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感9「相互にその事業活動を拘束」の意味を示してから当てはめる。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「その意義と解釈を明らかにした上で」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「意義に係る規範の定立」10メーカー各社がYの指示価格に従うことで,相互に自主的事業活動を制約する構造を説明する。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「本問の事実関係を当てはめて」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「本来自由に行われるべき事業活動を相互に拘束」11Yが必ず卸取引に入る合意を分析し,Yとメーカー間の相互拘束を説明する。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「特にメーカー9社とY社による本件取決め」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「取引に必ず入ることを確保」12相互拘束には複数の解釈があり得ることを保ち,採用する立場の規範とYの評価を一貫させる。
[許容分岐]3直接:28頁/経済法・第1問
「複数の解釈があり得る」記載なし(第1問関連範囲を実読)
3 市場画定と競争制限効果
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感13通常の市場画定では需要者から見た需要代替性を基本とする旨を示す。
[高評価]3直接:28頁/経済法・第1問
「需要者から見た需要代替性」記載なし(第1問関連範囲を実読)14専ら競争制限を目的又は効果とする入札談合の市場を,基本合意の対象取引と影響範囲から画定する。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「基本合意が対象としている取引」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「本件取決めの対象となる地理的範囲」1555団体が指名競争入札で発注する甲製品の供給市場を,本件の検討市場とする。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「甲製品の供給市場」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「甲製品の供給市場」16競争の実質的制限を,市場支配力の形成・維持・強化又は価格等を自由に左右できる状態として定義する。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「市場支配力の形成、維持・強化」直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「「競争の実質的制限」の意義」17入札談合に即して,合意当事者が落札者・落札価格を左右できる力を形成したかを評価する。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「落札者及び落札価格」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「価格支配力が形成されていた」18メーカー9社の高いシェアを市場支配力の判断に用い,問題文の「合計約9割」を保持する。
[高評価]3記載なし(第1問関連範囲を実読)直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「メーカー9社のシェアが9割を超える」19200件中180件で予定者が供給した実績を,合意の実効性の判断に用いる。
[必須]4間接:28頁/経済法・第1問
「的確に本問の事実関係を当」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「供給予定者が180件を落」2020件のアウトサイダー落札はYの価格見誤りによることを踏まえ,外部牽制による市場支配力の否定に対処する。
[必須]4間接:28頁/経済法・第1問
「的確に本問の事実関係を当」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「アウトサイダーの入札価格を見誤った」21「公共の利益に反して」の要件を処理し,競争制限の目的・効果しか持たない本件を評価する。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「競争制限の目的又は効果しか持たない」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「「公共の利益に反して」の要件」
4 違反行為の終期
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感22基本合意の拘束力の解消と競争制限的活動の停止を,共同行為の終期の規範として示す。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「基本合意に基づく拘束力が解消されて」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「基本合意からの離脱及びその終了」23X2の令和5年10月13日の独自応札だけで直ちに離脱を認めない。
[負例]2記載なし(第1問関連範囲を実読)直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「独自の判断で入札した時点で離脱」24X2が他のメーカーとYへ明確に表明して以後不参加となった令和5年12月7日を離脱時期とする理由を示す。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「X2による本件取決めからの離脱」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「明確に離脱の意思表示をした時点」25X2の離脱が残りの基本合意の拘束力に及ぼす影響を区別して評価する。
[高評価]3直接:28頁/経済法・第1問
「拘束力にどのような影響を及ぼしたか」記載なし(第1問関連範囲を実読)26令和6年6月28日の立入検査後にYが取決めに基づく行為をしなくなった事実を終期判断に用いる。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「当該共同行為の終期を明らかにする」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「立入検査を契機として」27調整の中核であるYの行為停止により本件の合意拘束が解消されたことを説明し,残りの共同行為の終期を示す。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「基本合意に基づく拘束力が解消されて」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「共同行為が終了した」
5 Y社の課徴金
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感28Yの課徴金の有無を,不当な取引制限の成立とは別の法的効果として検討する。
[必須]3直接:28頁/経済法・第1問
「課徴金の有無及び金額」直接:15頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「Y社に対する課徴金」297条の3第2項3号ロの「違反行為の実行としての事業活動について指定」の要件を示す。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「第7条の3第2項第3号」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「第7条の3第2項第3号ロ」30Yの指定行為が180件の供給調整を「容易にすべき重要なもの」に当たることを当てはめる。
[必須]5直接:28頁/経済法・第1問
「容易にすべき重要なもの」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「容易にすべき重要なもの」31直接のメーカー間交渉を避ける談合の仕組みを,Yの情報集約・落札者と価格の指示が支える中核的役割として評価する。
[高評価]5直接:28頁/経済法・第1問
「談合情報を集約するとともに」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「入札談合が成立する仕組みをY社が支えている」32主導的関与の評価を1.5倍の割増へ接続する。
[必須]4直接:28頁/経済法・第1問
「主導的事業者としてのY社に対する課徴金」直接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「1.5を乗じる」33Yの売上10億円,10%の基本率及び1.5倍を明示し,1億5000万円を算式で導く。
[必須]3間接:28頁/経済法・第1問
「課徴金額を具体的に示す」間接:17頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「課徴金の算定」
6 答案全体
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感34Yの行為を私的独占とだけ捉えて,本件の共同の取決めの検討を置き換えない。
[負例]2記載なし(第1問関連範囲を実読)直接:16頁/第2・採点方針1/第3・採点実感1
「私的独占と捉えるものがあった。」

一般的な指摘:規範・事実評価・結論を主体ごとに結び付け,個別の離脱と取決め全体の消滅を混同しないこと,課徴金を具体的な金額まで算定することが大切です。一般的な文章作法に独立の重みを付けて集計へ混ぜていません。

7 重みの分布

重み5=8項目,4=14項目,3=9項目,2=3項目,1=0項目。総項目数N=34,重み合計W=129です。件数の割当てはせず,各行から集計しています。

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令和6年司法試験経済法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 主体・市場画定2 行為(a)3 行為(b)4 行為(c)5 排除型私的独占6 答案全体7 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

放射性医薬品の供給を利用した競争者排除を,市場・行為・効果の順に整理する。三行為の評価表と完成答案を対応させ,αと新型γに生じる影響を分けて解説する。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和6年司法試験の経済法第2問について,法務省の公式資料から独自に抽出した40の評価項目と,2500字以内の模範解答を示す。評価項目及び重みは法務省の公式採点基準・配点ではない。

本問の中心は,放射性医薬品αの既存供給者X社が,新規参入したY社に対して行った三つの妨害である。本答案は南関東・近畿の各α市場における排除型私的独占を主として論じ,(a)(b)の不公正な取引方法と,(c)の新型γ取引への妨害を別個に検討する。

重み5は11項目である。両規制の検討(番号2),地域市場(6),流通経路・顧客の封鎖(12・19),異なる商品間の競争関係(23),競争手段の不公正さ(26),排除の規範とγからαへの因果経路(28・31),総合評価(32),競争の実質的制限(33),論述の完結と配分(36)を重視する。総合評価などの高評価項目を全答案の必須要件へ一律に格上げするものではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一つの項目を一つの判定対象とし,必須・高評価・負例・許容分岐を重みと別に表示する。許容分岐は適切な一つの構成を選び理由を示せばよく,全ての構成を並べる必要はない。負例は避けるべき記述であり,取引拒絶を採らない答案に番号21の検討を加える必要はない。

出題の趣旨は合冊PDF28頁末尾~29頁の経済法第2問,採点実感は選択科目PDF15~16頁の関連採点方針及び18~20頁の第2問を根拠とする。頁はPDFの一から数えた頁数である。「記載なし」は当該関連範囲を読んだ結果を,「間接」は一般的記述を本問の要件・事実へ具体化した推論を表す。表の短い根拠語句以外は記事の言葉で整理した。

2 5段階の重み付けの基準

①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項。
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽く触れる補強,又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れる事項。

本記事の重み4は,採点実感が高く評価した場合だけでなく,評価や具体的な不足・誤りの指摘を通じて取り上げた場合も含む。重み5は骨格に当たる理由を第1及び第5で示す。件数の割当てや旧3段階からの換算は行っていない。

第3 本問の概要

αはβ検査に必要な放射性医薬品で,使用可能時間が短く安定製造が難しい。X社は最初に商品化し,12地域の製造拠点からZを通じ全国一律価格で供給していた。Y社は同じ12地域に参入し,南関東・近畿では安価なαを販売し,新型自動投与装置γの供給により需要拡大も目指した。

X社は,(a)地域別価格でY社製品を扱えばZへの供給を止めると通知し,(b)Y社から購入した医療機関への供給停止を通知し,(c)検査も根拠もなく新型γではX社製αを使えないと説明した。Y社は高費用の直接販売を強いられ,多くの医療機関が購入を断念し,新型γの導入も妨げられた。設問はX社の行為の独占禁止法上の問題点を中立的に検討するものである。

第4 評価項目と重み
1 主体・市場画定
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1X社が事業者に当たることを製造販売の事実と結び付ける。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)18頁・経済法 第3 2 第2問:「事業者」2私的独占と不公正な取引方法の両規制を検討する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)528頁・経済法 第2問:私的独占該当性が問題15頁・経済法 第2 採点方針:私的独占3採用類型の行為要件と効果要件を区別して規範を立てる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:排除行為についての基本的な理解15頁・経済法 第2 採点方針:行為要件及び効果要件4αの需要代替性から商品範囲を論じる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)4間接(一般的市場画定要求を具体化):29頁・経済法 第2問:需要の代替性と供給の代替性間接(明示評価の具体化):18頁・経済法 第3 2 第2問:市場画定の基本的な考え方5他の供給者の製造転換・自家製造を供給代替性として評価する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)4間接(一般的市場画定要求を具体化):29頁・経済法 第2問:供給の代替性間接(明示評価の具体化):18頁・経済法 第3 2 第2問:市場画定の基本的な考え方6短い利用可能時間と同じ12地域の拠点から二地域の各市場を画定する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:一定の取引分野を画定18頁・経済法 第3 2 第2問:同じ12の地域に分割7配送範囲の制約を検討せず全国市場と結論しない。
【負例】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)2記載なし(関連範囲を実読)18頁・経済法 第3 2 第2問:市場の地理的範囲を日本全国などと安易に8従来唯一・供給の定評・購入者の依存からX社の有力性を示す。
【高評価】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)19頁・経済法 第3 2 第2問:X社が有力な事業者であること
2 行為(a)
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感9拘束条件付取引の「拘束する条件」の意義を示す。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)18頁・経済法 第3 2 第2問:拘束する条件を10供給停止の通知がZのY社製品取扱いを事実上制限したと当てはめる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:市場閉鎖効果分析間接(明示評価の具体化):18頁・経済法 第3 2 第2問:一定の当てはめ11拘束条件付取引又は適切な取引拒絶等の類型を理由を付けて選ぶ。
【許容分岐】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:拘束条件付取引若しくは間接の取引拒絶18頁・経済法 第3 2 第2問:拘束条件付取引12Z経由の供給断念と高費用の直接供給への移行を競争上の不利益と評価する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:市場閉鎖効果19頁・経済法 第3 2 第2問:より費用のかかる自社供給を余儀なくされたこと13X社の有力性と流通経路喪失を市場閉鎖・自由競争減殺へつなぐ。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:公正競争阻害性19頁・経済法 第3 2 第2問:自由競争が減殺された状況14全国一律価格による公平配分の主張を理由を付けて否定する。
【高評価】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)19頁・経済法 第3 2 第2問:正当化事由に当たらない理由
3 行為(b)
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感15排他条件の意義を契約条項以外の実効的制限も含めて示す。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)18頁・経済法 第3 2 第2問:条件として16医療機関が間接取引先である点を「相手方」の解釈に結び付ける。
【高評価】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)18頁・経済法 第3 2 第2問:各医療機関は、X社の間接の取引先17供給停止の威嚇と安定供給への懸念を事実上の購入制限へつなぐ。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:市場閉鎖効果間接(購入断念の因果を問題文から具体化):19頁・経済法 第3 2 第2問:行為(b)18排他条件付・拘束条件付・単独拒絶のいずれかを整合的に当てはめる。
【許容分岐】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:どちらで構成しても良い18頁・経済法 第3 2 第2問:排他条件付取引を検討対象とした答案と同様に評価19多くの医療機関の購入断念を取引機会喪失の事実として使う。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:排除効果を有するか否か19頁・経済法 第3 2 第2問:購入することを断念するものも多かったこと20有力なX社による顧客封鎖が市場閉鎖・自由競争減殺を生むと論じる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:公正競争阻害性19頁・経済法 第3 2 第2問:自由競争が減殺された状況21共同性を認定せず共同拒絶の一般指定1項を適用しない。
【負例】
適用:取引拒絶の構成を採用する場合2記載なし(関連範囲を実読)18頁・経済法 第3 2 第2問:競争者と共同して
4 行為(c)
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感22行為(c)を一般指定14項の取引妨害として特定する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:取引妨害が成立するか否か18頁・経済法 第3 2 第2問:取引妨害(一般指定第14項)23X社がγを販売しなくてもαで競争するY社が競争関係のある事業者であると理由付ける。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:取引妨害についての基本的な条文理解19頁・経済法 第3 2 第2問:X社がγの販売を行っていない24説明による新型γの導入断念をγ取引の契約成立妨害へ当てはめる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)329頁・経済法 第2問:γの取引の妨害間接(明示評価の具体化):19頁・経済法 第3 2 第2問:行為要件を丁寧に当てはめている25新型γとY社製αの販売低下を自由競争減殺のおそれと評価する。
【高評価】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)19頁・経済法 第3 2 第2問:競争者排除型の自由競争減殺効果26未検査・根拠欠如を競争手段の不公正さとして独立に評価する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)5記載なし(関連範囲を実読)19頁・経済法 第3 2 第2問:競争手段の不公正さ27γ取引の侵害をα市場の私的独占の検討に吸収せず別個に論じる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)329頁・経済法 第2問:私的独占では補足できない法益侵害記載なし(関連範囲を実読)
5 排除型私的独占
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感28人為性と参入・事業活動困難化を含む排除の規範を示す。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:排除行為についての基本的な理解19頁・経済法 第3 2 第2問:「排除」の意義29(a)の流通経路妨害をαの排除効果として分析する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:(a)~(c)の各行為が排除効果19頁・経済法 第3 2 第2問:不公正な取引方法の該当性についての検討部分を引用30(b)の顧客封鎖をαの排除効果として分析する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:(a)~(c)の各行為が排除効果19頁・経済法 第3 2 第2問:不公正な取引方法の該当性についての検討部分を引用31γ導入の妨害からαの需要拡大・販売促進阻害への因果経路を示す。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:γに対する妨害がαにおける排除19頁・経済法 第3 2 第2問:排除効果を総合的に評価32三行為の排除効果を総合的に評価する。
【高評価】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:競争の実質的制限をもたらす程度16頁・経済法 第2 採点方針:総合的に評価できている33市場支配力の形成・維持・強化として実質的制限の規範を示す。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:競争の実質的制限19頁・経済法 第3 2 第2問:「競争を実質的制限」の意義34Y社の牽制力低下と参入障壁をX社の支配力維持に結び付ける。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:競争の実質的制限間接(明示評価の具体化):20頁・経済法 第3 2 第2問:相応に論述35公共の利益要件を競争制限・正当化と関係付けて検討する。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)329頁・経済法 第2問:公共の利益要件の評価記載なし(関連範囲を実読)
6 答案全体
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感36(a)(b)に偏らず(c)と私的独占の検討を完結させる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)529頁・経済法 第2問:私的独占でも説明したように19頁・経済法 第3 2 第2問:バランスを欠いた答案37条文・規範を挙げるだけでなく問題文の具体的事実を当てはめる。
【必須】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)429頁・経済法 第2問:排除的行為の基本的分析能力15頁・経済法 第2 採点方針:具体的な事実関係を丹念に検討38分析の因果関係を論理的で説得的な文章にする。
【高評価】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)3記載なし(関連範囲を実読)20頁・経済法 第3 2 第2問:論理的、説得的に論述する能力39細かな指針知識の列挙を中心的な法解釈・当てはめの代わりにしない。
【負例】
適用:全答案(許容分岐は選択肢のいずれか一つで充足)2記載なし(関連範囲を実読)15頁・経済法 第2 採点方針:細かい知識を求めることはしていない40両規制の検討順は自由であり,反対の構成順を不適切と排除しない。
【許容分岐】
適用:別の構成順を評価する場合328頁・経済法 第2問:どちらの構成であっても記載なし(関連範囲を実読)
7 重みの分布

(続きを読む...)令和6年司法試験経済法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和6年司法試験環境法第1問の模範解答・評価項目―31項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1⑴2 設問1⑵3 設問2⑴4 設問2⑵5 設問36 答案全体7 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和6年司法試験・環境法第1問について,法務省の出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した31の評価項目と,2,170字の模範解答を示す。重みは1~5の5段階である。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和6年司法試験論文式試験・環境法第1問です。地域脱炭素化促進事業の認定・特例,排出量削減の情報的手法と排出量取引,地球温暖化に関する公害調停の対象範囲を扱います。評価項目は31項目,重み5は12項目であり,法務省の公式採点基準・配点ではありません。

設問1では事業計画の認定を通じた森林法・自然公園法・環境影響評価法の特例を,設問2では情報の公表とクレジット取引による削減誘因を,設問3では法定の公害と温暖化の機序の違いを説明します。模範解答は第5に掲載し,補足と別の構成の扱いは枠外で説明します。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方

一項目につき一つの判定対象を設け,答案に何を書けば満たすかを具体化しました。「必須」は本問の中核,「高評価」は総合的な充実,「負例」は誤りの回避,「許容分岐」は当該構成を採った場合の評価です。重みと区分は別であり,条件付き項目を全答案への累積要求にはしません。

根拠欄はPDFの物理頁と該当見出しを示します。「記載なし」は本問の関連範囲を実読した結果,「間接」は関連記述からの整理です。法令や判決だけで補った事項は,公式に独立項目として記載されたものと区別します。

2 5段階の重み付けの基準

5=採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格。
4=出題の趣旨が検討を求め,採点実感も具体的説明・評価・誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
3=どちらか一方が明示する中核の理由付け。
2=一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
1=一方が控えめに触れる事項。

本記事の重み4は「両資料が取り上げる」基準を採用しており,全項目を公式が高く評価したという意味ではありません。件数の割当てや旧方式からの一律換算はしていません。重み合計は記事独自の整理値です。

第3 本問の概要

甲社は,A県B町のC国定公園の普通地域にある所有地で,出力6万キロワットの風力発電事業を計画しています。土地は地域森林計画の対象民有林で,施設整備には森林法上の開発許可,自然公園法上の届出,電気事業法上の工事計画認可が必要です。B町は計画策定市町村で,設置予定地を促進区域に指定しています。地方公共団体実行計画協議会は組織されていません。

設問1は甲社の認定申請手続と規制緩和,設問2は特定排出者への情報的手法及び地方公共団体の排出量取引,設問3は企業の二酸化炭素排出抑制を求める公害調停が対象外となる理由を問います。取消訴訟の一般的訴訟要件や気候訴訟のあらゆる救済の成否を論ずる問題ではありません。

第4 評価項目と重み1 設問1⑴番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1風力が再生可能エネルギーであることを本件施設に結び付ける。
区分:必須4PDF33頁・設問1⑴。明示。「風力発電事業」PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「風力が再生可能エネルギー」2省令2条1号の再生可能エネルギー発電施設に該当すると説明する。
区分:必須4PDF33頁・設問1⑴。明示。「省令の第2条第1号」PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「省令第2条第1号」3温対法2条6項の地域脱炭素化促進事業として位置付ける。
区分:必須4PDF33頁・設問1⑴。明示。「温対法第2条第6項」PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「温対法第2条第6項」4事業計画を作成し,温対法22条の2第1項に基づき認定を申請する。
区分:必須5PDF33頁・設問1⑴。明示。「認定申請」PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「地域脱炭素化促進事業計画を作成」5申請先を計画策定市町村であるB町(町長)と特定する。
区分:必須4PDF33頁・設問1⑴。明示。「B町長」PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「計画策定市町村」2 設問1⑵番号評価項目重み出題の趣旨採点実感622条の2第3項の認定と認定計画に従う行為を特例の前提とする。
区分:必須5PDF33頁・設問1⑵。明示。「認定地域脱炭」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「当該認定地域脱炭素化促進事業計画に従って」7森林法10条の2第1項の開発許可という本来の規制を示す。
区分:必須4PDF33頁・設問1⑵。明示。「森林法」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「森林法第10条の2第1項」8温対法22条の6第1項により開発許可があったものとみなされると示す。
区分:必須5PDF33頁・設問1⑵。明示。「みなし許可」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「温対法第22条の6第1項」9普通地域の自然公園法33条1項の届出という本来の規制を示す。
区分:必須4PDF33頁・設問1⑵。明示。「自然公園法」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「自然公園法第33条第1項」10温対法22条の8第2項により自然公園法の関係規定が不適用になると示す。
区分:必須5PDF33頁・設問1⑵。明示。「関係規定の不適用」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「温対法第22条の8第2項」11出力6万kWを資料の閾値に当てはめ第一種事業と判定する。
区分:必須5PDF33頁・設問1⑵。間接(関連記述を法源・与件で具体化)。「環境影響評価法」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「第1種事業に該当」12温対法22条の11により計画段階配慮手続が適用除外されると示す。
区分:必須5PDF33頁・設問1⑵。間接(関連記述を法源・与件で具体化)。「特例措置」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「計画段階配慮手続」3 設問2⑴番号評価項目重み出題の趣旨採点実感13特定排出者の算定排出量報告義務を温対法26条に結び付ける。
区分:必須5PDF33頁・設問2⑴。明示。「温対法第26条」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「温対法第26条」14報告された事項が温対法29条により公表されると示す。
区分:必須4PDF33頁・設問2⑴。明示。「報告事項の公表」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「報告された事項を公表」15情報を用いる手続的誘導を実体的基準の遵守を強制する伝統的規制と比較する。
区分:必須5PDF33頁・設問2⑴。明示。「手続的アプロー」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「伝統的な規制手法との対比」16市場による評価を介して一層の排出削減を誘導する効果を説明する。
区分:必須4PDF33頁・設問2⑴。明示。「排出抑制状況を市場に評価」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「一層の排」4 設問2⑵番号評価項目重み出題の趣旨採点実感17東京都条例を例に事業者への二酸化炭素排出量の削減義務を示す。
区分:必須4PDF33頁・設問2⑵。明示。「削減を義務付ける」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「削減を義務付ける」18クレジット購入により削減義務を履行できると説明する。
区分:必須5PDF34頁・設問2⑵。明示。「クレジットの購入」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「クレジットの購入」19義務量を超える削減をクレジット化できると説明する。
区分:必須4PDF34頁・設問2⑵。明示。「義務量以上の削減」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「義務量以上の削減」20クレジット化により義務達成後も継続的な削減誘因が働くと説明する。
区分:必須4PDF34頁・設問2⑵。明示。「継続的な削減イン」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「継続的な削減インセンティブ」21排出量取引の経済的手法を自力での基準達成を強制する従来規制と比較する。
区分:必須5PDF34頁・設問2⑵。明示。「伝統的な規制手法と対比」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「経済的手法の特徴」5 設問3番号評価項目重み出題の趣旨採点実感22公害紛争処理法2条から環境基本法2条3項への定義の接続を示す。
区分:必須4PDF34頁・設問3。明示。「公害紛争処理法」PDF33頁・第1問⑴・⑵。明示。「「公害」の定義」23相当範囲の大気汚染等による健康・生活環境被害という公害の定義を示す。
区分:必須5PDF34頁・設問3。明示。「公害に該当しない」PDF34頁・第1問・各水準の答案。明示。「「公害」の定義を示しつつ」24温暖化を地球環境保全と位置付け,従来の公害対策との制度的相違を説明する。
区分:必須4PDF34頁・設問3。間接(関連記述を法源・与件で具体化)。「地球温暖化の問題」PDF33頁・第1問⑴・⑵。間接(定義・制度比較の記述)。「制度の経緯とその特徴」25本件CO2大量排出による温暖化が法定の大気汚染に該当しない理由を示す。
区分:必須5PDF34頁・設問3。明示。「「大気の汚染」ではない」PDF34頁・第1問・各水準の答案。明示。「論理的に説明」26公害被害に係る民事紛争という調停の対象要件に該当しないと説明する。
区分:必須4PDF34頁・設問3。間接(関連記述を法源・与件で具体化)。「調停」PDF33頁・第1問⑴・⑵。間接(定義・制度比較の記述)。「公害紛争処理法」6 答案全体番号評価項目重み出題の趣旨採点実感27適用条項の誤記・取り違えを避ける。
区分:負例2記載なし(第1問関連範囲実読)PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「適用条項の指摘」28配付資料を具体的な法解釈・適用に用いる。
区分:必須3記載なし(第1問関連範囲実読)PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「与えられた資料を丁寧に読み解いて」29規範から事実評価・効果への説明に論理的な飛躍を残さない。
区分:必須3記載なし(第1問関連範囲実読)PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「論理的に記述」30複数の考え方がある部分で特定結論との一致だけを評価せず筋の通った構成を認める。
区分:許容分岐
条件:問題の当該部分に複数構成を示す場合。単一構成答案に累積要求しない。3記載なし(第1問関連範囲実読)PDF32頁・採点方針又は第1問⑴。明示。「筋の通っ」31各設問の中核事項をバランスよく記載する。
区分:高評価3記載なし(第1問関連範囲実読)PDF34頁・第1問・各水準の答案。明示。「バランスの良い記載」7 重みの分布

重み5:12項目/4:14項目/3:4項目/2:1項目/1:0項目。総項目数N=31,重み合計W=130です。

重み5の全12項目は次のとおりです。これらは本問の主ルートを示す項目で,表の通し番号から確認できます。

番号4:事業計画を作成し,温対法22条の2第1項に基づき認定を申請する。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:申請手続そのものが小問の骨格。番号6:22条の2第3項の認定と認定計画に従う行為を特例の前提とする。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:認定と特例の架橋が答案の骨格。番号8:温対法22条の6第1項により開発許可があったものとみなされると示す。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:許可擬制の直接効果が骨格。番号10:温対法22条の8第2項により自然公園法の関係規定が不適用になると示す。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:不適用の法的効果が骨格。番号11:出力6万kWを資料の閾値に当てはめ第一種事業と判定する。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:数値と環境影響評価法の入口が骨格。番号12:温対法22条の11により計画段階配慮手続が適用除外されると示す。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:免除する段階の限定が骨格。番号13:特定排出者の算定排出量報告義務を温対法26条に結び付ける。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:情報制度の法定義務が骨格。番号15:情報を用いる手続的誘導を実体的基準の遵守を強制する伝統的規制と比較する。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:比較軸が小問の骨格。番号18:クレジット購入により削減義務を履行できると説明する。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:自力遵守からの変更が制度の骨格・評価の分かれ目。番号21:排出量取引の経済的手法を自力での基準達成を強制する従来規制と比較する。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:比較と制度変化が採点実感の評価の分かれ目。番号23:相当範囲の大気汚染等による健康・生活環境被害という公害の定義を示す。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:対象範囲判断の法的骨格。番号25:本件CO2大量排出による温暖化が法定の大気汚染に該当しない理由を示す。 適用条件:当該設問を説明する答案。位置付け:定義を当てはめる理由が優秀答案の骨格。

一般的な指摘:設問ごとに読みやすく改行し,条文・規範・事実・効果をつなぐ。補足(公式に独立項目として記載なし):協議会不存在と県知事同意の区別,森林審議会の意見聴取,県基準の存在条件,自然公園法33条2項の不適用,アセス全体と工事認可の維持,情報誘因の限界及び費用効率は法令・一次資料を踏まえた補足です。これらには独立の重みを付していません。

第5 模範解答1 答案の前提と表記

選択科目の試験日は令和6年7月10日です。法令は公式の出題法令基準に従い,原則として令和6年1月1日施行法を用い,判例は試験日前のものを参照しています。以下の答案は空白・改行を除き2,170字で,1問2,500字の目安以内です。番号は「1→(1)→ア」の順とし,「以上」までが答案本文です。

2 答案

1 設問1

(1)甲社は,温対法22条の2第1項に基づき地域脱炭素化促進事業計画を作成し,計画策定市町村であるB町に認定を申請することが考えられる。

風力は再生可能エネルギーであり,風力発電施設は温対法2条6項及び資料の省令2条1号の地域脱炭素化促進施設に当たる。ただし,施設整備だけでなく,地域の脱炭素化のための取組を一体的に行い,地域の環境保全並びに経済及び社会の持続的発展に資する取組を併せて行う事業とする必要がある。計画には,目標・期間,施設の種類・規模,土地,資金及びこれらの取組等を記載する(22条の2第2項)。

B町の実行計画に適合し,事業が円滑かつ確実に実施される見込みがあること等が認定要件である(同条3項)。促進区域内であることを踏まえ,町の計画で定めた条件を満たす計画にする。協議会が組織されていないので,協議会の協議を経る必要はない。もっとも,認定に必要な行政機関との協議・同意は別問題である。

(2)ア 森林法10条の2第1項の許可を要する開発行為及び国定公園の普通地域における自然公園法33条1項の届出対象行為なので,B町は認定前にA県知事に協議し,同意を得る必要がある(温対法22条の2第4項2号・6号)。森林法関係では,許可要件を満たすと認める場合に知事が同意し,その前に都道府県森林審議会の意見を聴く(同条5項2号,11項2号)。したがって,認定制度は環境保全の実体的審査を全面的に免除するものではない。

認定を受け,認定計画に従って対象民有林で施設整備を行う場合,森林法の開発許可があったものとみなされる(22条の6第1項)。また,国定公園内で認定計画に従って整備する場合,自然公園法33条1項の届出及び同条2項の措置命令の規定が適用されない(22条の8第2項)。普通地域の届出を「許可があったものとみなす」とするのではない。これにより関係手続が一括化される。

イ 出力6万キロワットは資料の5万キロワット以上の基準を満たし,環境影響評価法の第一種事業に当たる。認定事業者が認定計画に従って施設を整備し,かつ,A県が温対法21条6項の基準を定めている場合,同法22条の11により環境影響評価法第2章第1節の計画段階配慮事項に係る手続が適用されない。促進区域の設定・計画認定で環境保全に配慮する仕組みがあるためである。ただし,県の基準の有無は与件だけでは確定できず,特例は条件付きである。方法書以下の環境影響評価手続全体が免除されるわけではない。電気事業法47条1項の工事計画の認可も,温対法の認定によって当然に代替されない。

2 設問2

(1)温対法は,特定排出者に排出量を算定させ,毎年度事業所管大臣に報告する義務を課し(26条),環境大臣・経済産業大臣が通知された事項を記録・公表する仕組みを採用する(28・29条)。これは情報的手法である。削減量や削減技術を行政が命じ,違反を制裁で抑止する直接規制と異なり,情報の開示を通じて自主的な削減を促す。算定・報告は法的義務だが,個別の排出量削減自体を直接強制する制度ではない。

排出量の把握により事業者が対策の立案と効果の検証を行える。公表により他者との比較が可能になり,消費者・投資家等の評価や社会的圧力が削減の誘因となる。国民の理解・取組の気運も高められる。事業者が事情に応じた手段を選択できる反面,情報への反応に依存するため,一定量の削減が必ず達成される保証はない。

(2)東京都等が採用する総量削減義務と排出量取引制度,すなわちキャップ・アンド・トレードである。対象事業者に排出量の削減義務を設定し,自力での削減が困難な場合はクレジットの購入による義務履行を認める。義務量を超えて削減した部分はクレジット化して売却できるため,義務達成後も継続的に削減する誘因が働く。削減義務は直接に課す一方,各事業者が自ら削減するか他者の削減量を取得するかを選べる点で,一律の基準遵守だけを求める規制を修正している。削減費用の低い者が多く削減し,高い者が購入することで,所定の削減を全体としてより少ない費用で達成することが期待される。義務・上限の設定という規制的手法と,価格を通じた経済的誘因とを組み合わせた仕組みである。

3 設問3

公害紛争処理法26条1項の調停は,公害に係る被害についての民事上の紛争を対象とする。同法2条が引用する環境基本法2条3項の公害は,事業活動等に伴う相当範囲の大気汚染等の典型7公害により,人の健康又は生活環境に被害が生ずることをいう。

他方,地球全体の温暖化に係る環境保全は,同条2項の地球環境保全に位置付けられる。国際協調と社会全体の取組を要する問題であり,従来の地域的な公害対策に係る制度・規律は維持しつつ,別の施策体系で対応する趣旨である。

二酸化炭素の排出が人の健康や生活環境を害する大気汚染に当然に当たるとはいえない。本件で問題となるのは,排出物質の影響が及ぶ相当範囲で大気の状態を悪化させるという機序ではなく,地球全体での二酸化炭素濃度の変化を介した温暖化である。したがって,大気汚染等の法定の公害による被害についての紛争に該当せず,調停の対象とならない。地球温暖化の被害の重要性を否定するものでも,あらゆる民事的救済が不可能と判断するものでもない。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説(1)答案と評価項目の対応

答案1(1)は番号1~5,1(2)アは6~10,1(2)イは11・12,答案2(1)は13~16,2(2)は17~21,答案3は22~26に対応します。番号27・28・29・31は答案全体で確認します。番号30は競合構成を実際に採用する場面の条件付き方針であり,本答案に複数説を追加することを求めません。

(2)認定と三つの特例

番号8の許可擬制と番号10の規定不適用を区別します。本件は国定公園の普通地域であるため,自然公園法20条の特別地域の許可ではありません。協議会がないことは,県知事との協議・同意まで不要にするものではありません。番号12の特例は配慮書段階に限られ,方法書以下の手続全体の免除ではありません。A県の基準の存在は問題文だけでは不明なので,条件付きで説明します。

環境省の試験前手引きは,大規模な発電事業の早期計画段階では配慮書特例のための認定と,評価書確定後の変更認定で申請するワンストップ特例とを分ける運用を示しています。本答案の特例説明は認定計画遵守を前提とする法定効果の整理です。工事認可や残るアセス手続を先取りして免除する趣旨ではありません。

(3)情報と排出量取引の誘因

番号15・16では,情報の報告が義務であることと削減そのものを直接強制しないことを分けます。番号18・21では,自ら基準を達成することだけを強制する規制と,クレジットを買うことによる履行を比較します。番号19・20は売手の立場です。義務量を超える削減を売却できるから,義務達成後も削減誘因が続くという接続を落とさないことが大切です。

(4)公害調停の射程

番号23・25は,環境問題一般と法定の公害の範囲を分ける項目です。東京地裁平成26年9月10日判決の裁判所判断を踏まえ,地球全体の濃度変化を介する温暖化の機序と,大気汚染等の法定概念とを比較します。単に二酸化炭素が無毒であるからとする説明や,地球環境保全に分類されるものはすべて公害になり得ないという一般化にはしません。

(5)答案の弱点と扱わなかった事項

県知事同意や森林審議会などは制度理解の補足であり,限られた時間には評価表の中核事項を先に書くことが適切です。情報的手法の限界や費用効率にも独立の公式配点はありません。採点実感は,複数の考え方がある部分では特定結論との一致よりも筋の通った記述を重視すると述べています。本記事も理由付けの一貫性を評価します。気候訴訟の差止め・損害賠償全般の可否は扱っていません。

第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

①令和6年度司法試験・主要7科目の模範解答一覧(選択科目は含まれません)
②令和6年度司法試験公法系第2問の模範解答・評価項目
③ 令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)
④ 令和6年司法試験環境法第2問の模範解答・評価項目―42項目と5段階の重み付け(AI作成)

2 本問と関連する山中弁護士ブログの記事

①地域脱炭素化促進事業のワンストップ特例―温対法・森林法・自然公園法・環境影響評価法の条文連鎖(AI作成)

②自然公園法上の不許可・条件付許可と損失補償―取消訴訟と補償請求を分ける(AI作成)

第7 出典及び確認状態1 公式資料

①令和6年司法試験論文式試験問題・選択科目:PDF30~33頁(環境法第1問・資料)。
②令和6年司法試験論文式試験問題出題趣旨:PDF33頁の環境法第1問開始から34頁の第2問開始直前。
③令和6年司法試験の採点実感・選択科目:PDF32頁の環境法総論と第1問,33頁,34頁の第2問開始直前,37頁の今後の出題・教育に関する総論。第2問の内容は本記事の評価項目へ使用していません。
④令和6年司法試験の実施について:出題法令の基準日。

2 法令

①地球温暖化対策の推進に関する法律(令和5年4月1日施行版):2条,21条,22条~22条の11,26~29条等。
②環境基本法(令和3年9月1日施行版):2条及び地球環境保全に関する規定。
③森林法・自然公園法・電気事業法・環境影響評価法施行令・公害紛争処理法は問題資料及び特例の参照条項を照合しました。
④環境省・地域脱炭素化促進事業のFAQ(令和5年1月20日):問30。
⑤環境省・地方公共団体実行計画策定・実施マニュアル(地域脱炭素化促進事業編,令和6年4月):PDF196頁(本文185頁)の特例運用。
⑥東京都環境局・総量削減義務と排出量取引制度の概要:試験前から存在する制度の沿革・基本構造。後発の制度改正は本答案に取り込んでいません。

3 裁判例

東京地裁平成26年9月10日判決(平成24年(行ウ)第322号等,各生活環境被害調停申請却下決定取消請求事件):PDF1~3頁と61~66頁の裁判所判断を確認しました。公害の対象範囲に関する理由と,一部の原告適格に関する訴え却下の理由は区別しています。

4 確認状態

問題文,旧版法令及び判決の上記範囲は原文を確認しました。公式資料の記述と,そこから独自に整理した評価項目・重み・答案は区別しています。A県の促進区域設定基準が実際に定められているかは問題文から確定できず,アセス特例の説明は条件付きです。実際の事業計画の認定要件充足も設問から確定できません。評価項目は法務省の公式採点基準・項目別配点又は得点予測ではありません。

令和7年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象第2 16記事の一覧第3 各問題の概要と重み5の事項1 倒産法2 租税法3 経済法4 知的財産法5 労働法6 環境法7 国際関係法(公法系・国際公法)8 国際関係法(私法系)第4 16記事に共通する作り方1 評価項目の抽出2 5段階の重み付け3 模範解答と解説第5 重みの分布の比較第6 関連記事第7 出典1 公式資料2 確認状態
第1 この記事の対象

この一覧の使い方
科目別のリンクから個別記事へ進み,問題文の設問に対応する評価項目,答案,解説及び出典を確認する。別年度との比較や他の科目を探すときは,司法試験の過去問・参考答案一覧を参照されたい。試験制度と受験資格は,司法試験とはで説明している。

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目8科目(倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系))の第1問と第2問,計16問について,山中弁護士ブログに掲載した模範解答の記事16本を一覧にして案内するものである。
受験者が選択するのは,この8科目のうち1科目である。
16本の記事は,いずれも法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答と,出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を示している。

16本で抽出した評価項目は合計463項目であり,そのうち重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは94項目である。
評価項目と重みは,各記事が公式資料から独自に抽出したものであり,法務省の採点基準や配点ではない。
第2の一覧表で科目と問題を選び,第3で各問題の概要と重み5の事項を確かめてから個別の記事を読むと,どこで答案の差がついたのかをつかみやすい。

主要7科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法)の論文式試験と短答式試験は,本記事の対象としていない。
本記事の記載は,令和8年10月9日時点で公開している16本の記事の内容に基づく。

第2 16記事の一覧
科目・問題主な論点評価項目重み5倒産法第1問破産手続開始時に係属する訴訟の中断と受継,和解後の弁済の否認,遺産分割合意の否認と価額償還38項目6項目倒産法第2問DIP型の再生手続と公平誠実義務,管理命令,再生手続廃止後の破産手続への移行,再度の再生手続開始の申立て28項目3項目租税法第1問水没した自家用車の損失と雑損控除,定住奨励金の所得分類,無届けの民泊の所得分類,必要経費33項目9項目租税法第2問債務確定と寄附金,早期予約販売の益金算入時期,ギフト券・株主優待の所得区分と年度帰属,確定申告の要否43項目9項目経済法第1問事業者団体の決定(独占禁止法8条4号・1号),特例取引の禁止,割増料金の基準料金25項目5項目経済法第2問拘束条件付取引,市場画定,市場閉鎖効果,正当化事由25項目4項目知的財産法第1問特許法の試験研究の例外,並行輸入,リサーチツール,存続期間経過後の譲渡の申出25項目7項目知的財産法第2問要約の掲載と公衆送信権・引用,公開の演説の利用,同一性保持権,名誉回復等の措置35項目8項目労働法第1問競業避止の合意,退職金支給制限条項,産前産後休業・育児休業後の降格24項目8項目労働法第2問ピケッティングと戒告処分,現場監督者の発言と支配介入,弁当代の支給,救済命令の限界33項目4項目環境法第1問土壌汚染対策法の届出・区域の指定・規制,自然由来の汚染,掘削除去費用の請求26項目7項目環境法第2問環境影響評価法の第二種事業の判定,条例による項目の追加と手続の拡充,景観利益と原告適格28項目4項目国際関係法(公法系)第1問署名国の義務,留保と解釈宣言,脱退規定のない条約からの脱退19項目7項目国際関係法(公法系)第2問海峡の通航権,機雷による損害と国家責任,国際海洋法裁判所の管轄権22項目4項目国際関係法(私法系)第1問外国の裁判所を指定した管轄合意,労働契約の準拠法と強行規定,使用者責任の準拠法30項目4項目国際関係法(私法系)第2問失踪宣告の管轄・準拠法・効力の範囲,失踪宣告の取消し,外国の失踪宣告の承認と婚姻の解消29項目5項目

評価項目の数と重みは,各記事の独自の分析によるものであり,法務省の配点ではない。

第3 各問題の概要と重み5の事項

以下の番号は,各記事の評価表の現在の通し番号である。
番号は記事ごとに1から始まるので,個別の記事の評価表で同じ番号の項目を確かめることができる。

1 倒産法
(1) 第1問

本問は,架空の投資話で借入れをした会社員Aの個人の破産事件を素材に,破産手続開始の決定の時に係属していた二つの訴訟(Bに対する不法行為に基づく損害賠償請求訴訟と,Eに対する名誉毀損による慰謝料請求訴訟)の取扱い(設問1)と,破産管財人による否認権の行使(設問2)を問うものである。
設問2⑴は,任意整理の和解契約の成立後にAが知人Cにだけ支払った弁済を否認できるかを,Cの反論を踏まえて問い,設問2⑵は,弟Dに兄の遺産を取得させた遺産分割合意の否認を前提に,Dに価額償還として請求できる額を問う。
問題文は,令和7年1月1日現在で施行されている法令に基づいて答えるよう指示しており,設問2⑵では附帯請求を考慮しなくてよいとされている。
設問2⑴については,記事によれば,出題の趣旨がいずれの結論もあり得るとしている。

重み5は6項目である。
①番号2:損害賠償請求訴訟が「破産財団に関する訴訟手続」に当たり,開始決定により中断すること(破産法44条1項)
②番号3:損害賠償請求権は破産債権ではないから,破産管財人が受継できること(同条2項前段)
③番号8:慰謝料請求訴訟は「破産財団に関する訴訟手続」に当たらず,中断しないこと
④番号14:受任通知は申立て前1年以内のものではないから,支払不能は推定されないこと(同法162条3項括弧書き)
⑤番号15:Cへの弁済は申立ての日から1年以上前の行為であるから,支払停止を理由として否認できないこと(同法166条)
⑥番号16:以上から,支払停止によらず支払不能そのもの及び支払不能についての悪意を検討する必要があるという構造を整理すること

(続きを読む...)令和7年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

令和7年度司法試験知的財産法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した35項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(Aの主張)2 設問1(Bの反論とその妥当性)3 設問2(著作者人格権に基づく請求)4 答案全体5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の知的財産法第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,政治家を目指すAが駅前広場で披露した文章Pと,その様子を編集した動画Qを素材として,文章Pを要約した文章P’をブログに掲載した個人ブロガーBに対する削除請求(設問1)と,動画Qの映像をゆがんで表示させる再生ソフトRを公開し,その利用を呼びかけたプログラマーCに対する著作者人格権に基づく請求(設問2)を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は35項目である。
重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,番号1・3・7・11・20・21・25・29の8項目であり,その内容は次のとおりである。
①設問1・2の権利の発生・帰属の主張(番号1・20)
②28条を介した公衆送信権の侵害の主張(番号3)
③類似性がないとの反論(番号7)
④要約引用を容認すべき理由の説明(番号11)
⑤同一性保持権の侵害を理由とする請求の構成(番号21)
⑥名誉回復等の措置の検討(番号25)
⑦最高裁平成13年2月13日判決【ときめきメモリアル事件】を踏まえた検討(番号29)

答案の結論は,設問1では,P’の掲載は公開の演説の利用(40条1項)及び引用(32条1項)として適法であり,削除請求は認められない,というものである。
設問2では,Cに対し,損害賠償と名誉回復等の措置は請求でき,差止めは書き込みの削除に限り認められる,というものである。
第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で約2,400字に収め,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(知的財産法〔第2問〕の部分)又は採点実感(知的財産法の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し番号で示した。
出題の趣旨の「(2)」「(3)」は〔第2問〕の段落番号2・3を,採点実感の「2⑵ア」は「2 採点方針」の「⑵ 第2問」の「ア 設問1」を,「3⑵イ」は「3 採点実感」の「⑵ 第2問」の「イ 設問2」を,「3⑶」は「全体を通しての感想」を,「5」は「今後の法科大学院教育に求めるもの」を指す。
一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
「記載なし」は,その資料の知的財産法第2問に関する部分を全部読んだ上で,該当する記述がなかったことを意味する。

採点実感が不十分な答案として指摘した事項のうち,独立の注意点は「〜しない」の形の項目にした(番号5・6・13・16・32・33・35)。
公式資料は,設問1の反論の当否や設問2の各請求の可否について結論を一つに定めていないため,結論そのものではなく,理由を示して検討したかを項目にした。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
①重み5:採点実感が「相当低い評価」「僅か」「ごく少数」「限られており」等と,評価の分かれ目として取り上げた事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた(言及の多少や不足を指摘した)事項

(続きを読む...)令和7年度司法試験知的財産法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した35項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和7年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した25項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問⑴(行為①:試験又は研究のためにする実施)2 設問⑵(行為②:並行輸入とリサーチツール)3 設問⑶(行為③:存続期間経過後に譲渡を行う旨の申出)4 答案全体5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の知的財産法第1問(特許法)を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
本問は,農薬の特許権者Xが,①後発品の農薬登録のための試験用の生産(行為①),②A国で子会社が販売した検査・実験装置の輸入と使用(行為②)及び③存続期間経過後に販売する旨の存続期間中の申出(行為③)について,損害賠償を請求する事案で,Xの主張,相手方の反論及びその妥当性を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は25項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,最判平成11年4月16日(膵臓疾患治療剤事件)を踏まえた試験研究の反論,存続期間制度の趣旨からの妥当性の検討,最判平成9年7月1日(BBS事件)を踏まえた並行輸入の反論,製品への明確な表示の要件の検討,リサーチツールへの特許法69条1項の適用の検討,存続期間経過後の譲渡が適法であることを根拠とする反論及び譲渡等の申出が独立の実施行為とされている理由を踏まえた検討の7項目である。

模範解答の結論は,設問⑴(行為①)は特許法69条1項により特許権の効力が及ばずXの請求は認められない,設問⑵(行為②)はBBS事件の枠組みにより特許権を行使できずXの請求は認められない,設問⑶(行為③)は存続期間中の譲渡等の申出として侵害に当たりXは損害賠償を請求できる,というものである。
設問⑶の結論は出題の趣旨が指定しておらず,反対の結論もあり得る(第5の3で説明する)。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(知的財産法第1問の部分)又は採点実感(知的財産法の第1問の部分と,第1問・第2問に共通する全体の感想)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し番号(採点実感の「2⑴ア」は「2 採点方針」の「⑴第1問」の「ア 設問の⑴」を,「3⑴イ」は「3 採点実感」の「⑴第1問」の「イ 設問の⑵」を指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,出題の趣旨の「妥当性を具体的に検討することが求められる」等の一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。
採点実感が誤りとして挙げた事項は,「〜しない」の形の項目にして,同じ5段階の中で重みを付けた。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
①重み5:答案の骨格そのもの,又は採点実感が「一応の水準」「良好」「優秀」の分かれ目とし,若しくは「ごく僅か」と述べた事項
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項(本記事では,採点実感が「良好」「優秀」の要素又は不足の指摘として取り上げ,出題の趣旨が妥当性の具体的な検討として間接に求める事項も含めた)
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

農薬の製造販売業者Xは,農薬取締法の審査・登録を要する農薬の発明について特許権(本件特許権1)を有し,その実施品である農薬Pを製造販売している。
また,Xは,農薬の作物残留試験に用いる検査・実験装置の発明について日本の特許権(本件特許権2)と対応するA国特許権を有し,その実施品である装置Qを,A国の子会社Zに許諾してA国でのみ製造販売させている。
Zは,Xの指示で,全製品のA国外への無断輸出及びA国外での無断使用を禁じる旨を,製品それ自体には表示せず,自社のウェブサイトにだけ掲載した。

Y1は,農薬Pと有効成分等が全て同じ農薬Rを本件特許権1の存続期間経過後に製造販売する計画の下,登録に必要な試験のため存続期間中に農薬Rを生産し(行為①),その作物残留試験を研究所Y2に依頼した。
Y2は,A国でZから購入した者から転得した装置Qを日本に輸入し,農薬Rの作物残留試験に使用した(行為②)。
Y1は,農薬Rの登録を受けた後,販売のための製造は開始しないまま,農薬Pを購入している業者に対し,存続期間経過後に農薬Rを販売する旨を存続期間中に申し出た(行為③)。

設問は,Xが行為①〜③についてそれぞれ損害賠償を請求する場合のXの主張,Y1又はY2の反論及びそれらの妥当性を問うものであり,損害額と農薬取締法固有の問題は論じる必要がないとしている。

第4 評価項目と重み

(続きを読む...)令和7年度司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した25項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和7年度司法試験国際関係法(私法系)第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した30項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 〔設問1〕〔小問1〕(国際裁判管轄)2 〔設問1〕〔小問2〕(労働契約の準拠法と強行規定)3 〔設問2〕(使用者責任の準拠法)4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の国際関係法(私法系)第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
評価項目と重みは公式資料から本記事が独自に抽出・評価したものであり,法務省の採点基準や配点ではない。

本問は,甲国法人Y社に雇われ,入社1年後から日本で働いている甲国人Xが,乙国への出張中の交通事故について損害賠償を求める事案であり,〔設問1〕では,外国の裁判所を専属的に指定した管轄合意(①条項)がある場合の日本の国際裁判管轄権と,準拠法を甲国法とする合意(②条項)がある場合の労働契約法5条の適用の可否を,〔設問2〕では,乙国で起きた交通事故についての使用者責任の準拠法を問うている。
答案の結論は,〔設問1〕〔小問1〕では①条項は民事訴訟法3条の7第6項により効力がなく,日本の国際裁判管轄権が認められる,〔小問2〕では法の適用に関する通則法12条1項により労働契約法5条も適用されるからY社の主張は認められない,〔設問2〕では乙国法が適用され,同法22条により日本法も累積的に適用される,というものである(〔設問2〕の結論は,公式資料が結論を指定していない許容分岐である)。

公式資料から抽出できた評価項目は30項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,〔小問1〕で管轄合意の効力と管轄原因の2点を論じること,〔小問2〕で労務提供地の変更と短期出張中の出来事を踏まえて労務提供地を解釈すること,〔設問2〕で通則法17条の「結果」の意味を理由付けして示すこと及び規範を示さずに事情を羅列しないことの4項目である。
第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で,2,500字以内にまとめて示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。
法令は試験の実施日(令和7年7月16日)当時のものによっている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(国際関係法(私法系)第1問の部分)又は採点実感(同)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し(採点実感の「3⑴ア」は「3 採点実感等」の「⑴[第1問]について」のアを指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」と表示した。
「記載なし」は,両資料の第1問に関する部分を全て読んだ上で記載がなかったことを示す。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。
採点実感が誤りや無用な論述として指摘した事項は,「〜しない」の形の項目(番号9〜11・22・29)にした。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
①重み5:採点実感が「それほど多くはなかった」「かなり見られた」「多くの答案は…羅列…にとどまっていた」等と指摘して評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの

②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項(多くの答案の到達や不足として取り上げた場合を含む。)

③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け

④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項

⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

必須の事項,高く評価される事項,誤りの回避及び許容される別の構成は,重みとは別の区分であり,重み5の事項でも全ての答案に同じ形で求められるとは限らない。
例えば,番号8は管轄原因を先に論じる答案についての事項であり,番号28は〔設問2〕の例外条項を趣旨から解釈する答案についての事項である。

第3 本問の概要

甲国人Xは,甲国法人Y社と労働契約を結び,その契約書には,①一切の紛争を甲国の裁判所だけで解決する旨の条項(①条項)と,②準拠法を甲国法とする旨の条項(②条項)があった。
Xは,入社後は甲国のY社の主たる営業所から日本法人A社のシステムの業務に遠隔で従事していたが,入社1年後にY社の命令で日本に赴任し,以後7年間ほど日本で生活しながら,A社の日本のシステムの保守等に従事し,A社乙国支店のシステムの保守にも日本から遠隔で従事して,年に数度,短期間で甲国や乙国に出張していた。
給与は甲国の銀行のX名義の口座に振り込まれていた。

連日の深夜勤務の後,Y社の命令で深夜便により乙国へ出張したXは,乙国の空港からA社乙国支店に向かう途中で交通事故に遭って大けがをし,乙国の病院で応急処置を受けた後,自らの希望で日本の病院で手術と治療を受けた。

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令和7年度司法試験経済法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した25項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 適用条文の選択と行為主体2 行為要件(拘束)3 効果要件(公正競争阻害性)4 市場画定5 市場閉鎖効果の当てはめ6 私的独占との関係7 正当化事由8 答案全体9 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目である経済法の第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
評価項目は公式資料から本記事が独自に抽出したものであり,法務省の採点基準や配点ではない。
法令等は,試験が実施された令和7年7月16日当時のものを基準としている。

本問は,甲地域の農家のほとんどを組合員とするX農業協同組合(以下「X農協」という。)が,農業用設備βの調達資金を低金利で融資するに当たり,組合員が生産する農産品αの80パーセントまでをX農協に出荷することを条件とする計画について,独占禁止法上の評価を問うものである。
問題の中心は,この計画を拘束条件付取引(一般指定12項)として捉え,「拘束」の有無,市場の画定,市場閉鎖効果の有無及びX農協が主張するフリーライド防止の正当化事由を,問題文の事実に即して検討することにある。

公式資料から抽出できた評価項目は25項目である。
重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,拘束条件付取引を中心に据えた検討(番号1),市場閉鎖効果の前提としての市場画定(番号9),商系業者の集荷に影響が出る作用機序(Theory of harm)の明示(番号18)及び80パーセントの系統出荷の義務付けの相当性の具体的な検討(番号23)の4項目である。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。
結論は,本問の計画は,実施されれば拘束条件付取引として独占禁止法19条に違反するというものである。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(経済法第2問の部分)又は採点実感(経済法の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,頁と見出し番号(採点実感の「第3の2⑷ウ」は,「第3 採点実感等」の「2 第2問」の「⑷ 効果要件について」のウを指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
「記載なし」は,その資料の経済法第2問に関する部分を全て読んだ上での表示である。

公式資料の文章は,根拠となる記述の中心部分だけを短く引用し,その他は趣旨を要約して示している。
「〜しない」の形の項目(番号25)は,採点実感が評価を下げる理由として挙げた誤りを,避けるべき事項として示したものである。
番号25は特定の論点ではなく答案の組立て全体に関わるため,「答案全体」の表に置いた。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:答案の骨格そのもの,又は採点実感が「優秀」「良好」「一応の水準」「不良」の区分の分かれ目とした事項
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は不足の指摘を通じて取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

本問では重み1に当たる項目はなかった。
出題の趣旨又は採点実感が別の構成を許容する事項(番号2・20)は,その構成を採る答案にだけ当てはまる項目であり,全ての答案に求められる事項ではない。

第3 本問の概要

X農協は,甲地域の農家のほとんどを組合員とし,組合員からαの販売委託を受けて,農業協同組合の連合組織を通じて全国へ販売している。

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令和7年度司法試験労働法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した24項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(退職金の半額の返還請求)2 設問2(役職手当の支払請求)3 答案全体4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目(労働法)第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,退職後1年間の競業避止を定めた労働契約上の条項に違反して同業他社に就職した労働者に対し,会社が退職金の半額を不当利得として返還請求できるか(設問1)と,産前産後休業及び育児休業から復職する際に役職を外され役職手当を支給されなくなった労働者が,役職手当の支払を請求できるか(設問2)を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は24項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,設問1の2つの論点(競業避止の合意と退職金支給制限条項)の区別,競業避止の合意の有効性の具体的な判断枠組み,退職金の功労報償的性格の具体的な検討,均等法9条3項・育児介護休業法10条による検討,両規定の強行規定性,最高裁判例の例外⑴の考慮要素を含めた提示,例外⑵の提示及び両方向の事実の総合評価の8項目である。

第5の模範解答は,設問1について退職金の半額(175万円)の返還請求を認め,設問2について令和5年4月から令和6年3月までの月15万円の役職手当の支払請求を認める結論を採っている。
答案は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(労働法第1問の部分)又は採点実感(労働法の科目総論及び「第1問について」の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と設問で示した(採点実感の「3⑴」は「3 採点実感等」の「⑴ 第1問について」を指す。)。
一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。

採点実感が不十分な答案として指摘した事項は,正しい書き方の項目の裏返しであればその項目にまとめ,独立の注意点であれば「〜しない」の形の項目にした(番号3・10・23)。
結論が複数あり得る論点は,結論ではなく検討の有無を項目にした。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
項目数や重みの合計は,得点,合格可能性又は科目間の難易度を示すものでもない。

①重み5:採点実感が「高い評価」と「低い評価」を分けた事項,「大多数」「ほぼ存在しなかった」等と明言した事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も高く評価し,又は不足・誤りの指摘を通じて取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け又は当てはめ,若しくは評価を大きく下げる誤りとして指摘された事項
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

Y社はバイアウト投資事業を営む会社であり,Xは平成24年4月に期間の定めなく雇用された女性労働者である。
XとY社との労働契約には,退職後1年間,Y社の事前の同意なくバイアウト投資事業を営む他社に就職せず,同事業の業務に従事しないとの条項(本件条項)があった。
Y社の就業規則には,退職金を「退職時の基本給×勤続年数に応じて逓増する支給率」で算定する定めと,本件条項に違反した者には退職金の半額を支給しないとの条項(退職金支給制限条項)があった。

Xは投資部門のグループの長(マネジャー)として月例賃金85万円(うち役職手当15万円)を受けていたが,産前産後休業及び1年間の育児休業から令和5年4月に復職する際,ディレクターAから,育児をしながらのマネジャー業務は困難であり,1年を超えるブランクがあり,後任のBがマネジャーに就いていることを理由にアソシエイトとしての復職を告げられた。
Aは復帰の見通しに言及せず,Xは到底納得できなかったが,交渉の精神的負担への不安からやむなく受け入れ,役職手当は0円となった。

Xは令和6年3月末に退職して退職金350万円を受け取り,同年4月から同業のC社で投資案件を担当した。

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令和7年度司法試験倒産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した38項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1⑴(損害賠償請求訴訟)2 設問1⑵(名誉毀損による慰謝料請求訴訟)3 設問2⑴(Cに対する支払の否認)4 設問2⑵(遺産分割合意の否認と価額償還)5 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目(倒産法)第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,個人の破産事件を素材に,破産手続開始の決定の時に係属していた二つの訴訟(不法行為に基づく損害賠償請求訴訟と名誉毀損による慰謝料請求訴訟)の取扱いと,破産管財人による否認権の行使(和解契約後の一部の債権者への弁済と,遺産分割合意)を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は38項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,損害賠償請求訴訟が破産財団に関する訴訟として中断すること,破産管財人がこれを受け継ぐことができること,慰謝料請求訴訟が中断しないこと,受任通知が申立て前1年以内のものでないため支払不能が推定されないこと(破産法162条3項),申立ての日から1年以上前の弁済は支払停止を理由として否認できないこと(同法166条)及びその結果として支払不能と悪意を直接検討するという構造の整理の6項目である。

模範解答の結論は,①損害賠償請求訴訟は中断し,破産管財人が受け継ぐことができる,②慰謝料請求訴訟は中断しない,③令和5年4月以降のCへの支払は否認できるが,同年3月以前の支払は否認できない,④Dに価額償還として請求できる額は,Dが預金を生活費に充てた場合は160万円,浪費した場合は150万円である,というものである。
設問2⑴については,出題の趣旨がいずれの結論もあり得るとしており,第5の解説で別の考え方も示した。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で2,500字以下に収め,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。
評価項目と重みは本記事が公式資料から独自に抽出したものであり,法務省の公式の採点基準や配点ではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(倒産法第1問の部分)又は採点実感(倒産法の第1問の部分と,第1問・第2問に共通する部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し(出題の趣旨は「〔設問1〕」「〔設問2〕」,採点実感は「2 採点方針」と「3 採点実感等」の「⑴第1問」の「ア」「イ(ア)」「イ(イ)」)で示した。
一方の資料の該当範囲を読んで記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。

採点実感が典型的な誤りとして指摘した事項は,「〜しない」という形の評価項目として表に含めた。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「採点の主眼」とし,又は「高評価につながった」と明言した事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も同じ事項を取り上げた事項(高く評価したと明言した場合に限らず,説明すべき事項として指摘した場合を含む。)
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

本問では,重み1に当たる項目はなかった。

第3 本問の概要

会社員Aは,令和4年4月,Bの架空の投資話を信じて消費者金融2社(各200万円)と知人C(300万円)から合計700万円を借り入れてBの指定口座に振り込み,同年5月13日,兄の遺産である土地と預金20万円の全てを弟Dに取得させる遺産分割合意をした。
Aは,同年6月に同僚EからSNS上で誹謗中傷を受けて転職し,返済を怠ったため,同年9月5日に弁護士Fが任意整理の受任通知を送付し,同年11月に各債権者との間で月2万円ずつの分割弁済の和解契約(期限の利益喪失条項付き)を締結した。
Aは,令和5年1月から3月までは受診を控えるなどして約定どおり支払ったが,休職で月額収入が3分の2に減り,同年4月以降は消費者金融2社に支払わず,Cにだけ同年9月まで隔月で支払った。
弁護士Fも体調を崩して申立てが遅れ,Aは令和6年11月12日に破産手続開始の申立てをし,同月20日に破産手続開始の決定がされて,破産管財人Xが選任された。

設問1は,開始決定時に係属していたAのBに対する損害賠償請求訴訟とAのEに対する慰謝料請求訴訟(いずれも口頭弁論は終結していない。)がどのように取り扱われるかを問う。

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令和7年司法試験・国際公法第1問―条約の署名・留保・脱退と模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(A国の署名と大統領の通告)2 設問2(B国の声明とC国の異議)3 設問3(D国の自由権規約からの脱退)4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 条約3 国際機関の文書4 確認状態

本記事は,司法試験の国際公法(正式科目名「国際関係法(公法系)」)の令和7年・第1問を扱う。主な論点は,条約の署名・留保・脱退である。模範解答,評価項目と重み付け,設問別の解説を掲載している。年度をまたいで論点を復習する場合は,司法試験の国際公法―過去問・答案と論点別ガイドを参照。分野の基本は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いと基本事項で説明している。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の国際関係法(公法系)第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)と市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)を素材として,条約への署名の意義,留保と解釈宣言の区別及び脱退規定のない条約からの脱退という,条約法の基本問題を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は19項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,署名国が条約法条約18条の義務を負うこと,大統領の通告がその義務を終了させる効果を持つこと,B国の声明を条約法条約2条1項(d)の留保の定義に照らして性質決定すること,19条(c)の趣旨及び目的との両立性が基準となること,C国の異議が両立しないとの主張に基づくこと,脱退は条約又は条約法条約の適用によってのみ行えること(42条2項)及び56条1項の二つの例外が基準となることの7項目である。

模範解答の結論は,設問1ではA国の通告が署名国としての義務を終了させるもの,設問2ではC国が声明を自由権規約の趣旨及び目的と両立しない留保と主張したもの,設問3ではD国の一方的な脱退は認められないというものである。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で,2,500字以下にまとめて示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(国際関係法(公法系)第1問の部分)又は採点実感(同科目の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と設問の別(採点実感の「3⑴」は「3 採点実感等」の「⑴ 第1問」を指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」と表示した。

公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

採点実感が不十分とした答案(大統領の通告が18条にいう「条約の当事国とならない意図を明らかにする」ものであると述べるにとどまる答案)は,番号5の正しい書き方の裏返しであるため,独立の項目にせず番号5にまとめた。

これらの評価項目は,法務省の公式の採点基準や配点ではなく,公表された資料から本記事が独自に抽出したものである。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「評価に差がつく」「評価に差が付く」と明言した事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も「確認する必要」「求められる」「優れた答案」等として取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

本問では,A国が両規約に署名したものの,国内法の整備を行わず批准もしないまま,憲法上の条約締結権者である大統領が「もはや…当事国となる意図はない」と国際連合事務総長に通告した。

B国は,公務員に結社の自由や団結権を認めない国内法制度を有していることから,両規約の批准の際に,社会権規約8条2項を想起し,自由権規約22条2項の「軍隊及び警察の構成員」を「軍隊若しくは警察の構成員又は公務員」と解釈する旨の声明を付し,C国がこれに異議を申し立てた。

D国及びE国は自由権規約41条の宣言を行っており,E国がD国の義務不履行を人権委員会に通報したところ,D国の野党の党首が,宣言の撤回と自由権規約からの脱退を主張するようになった。

A国〜E国はいずれも条約法に関するウィーン条約(条約法条約)の当事国であり,B国〜E国は,自国について同条約が効力を生じた後に両規約を批准している。

設問は,A国の大統領の通告の国際法上の意義(設問1),C国の異議が基づく国際法上の主張(設問2)及びD国の自由権規約からの脱退の可否(設問3)を問うものであり,配点は第1問全体で50点である(設問ごとの配点は示されていない)。

第4 評価項目と重み
1 設問1(A国の署名と大統領の通告)

(続きを読む...)令和7年司法試験・国際公法第1問―条約の署名・留保・脱退と模範解答(AI作成)

令和7年度司法試験経済法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した25項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問⑴(幹事会の決定による特例取引の禁止)2 設問⑵(総会の決定による各基準料金の設定)3 答案全体4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の経済法第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,建築資材Aの製造販売業者を会員とする県内唯一の団体であるX協会が,⑴幹事会の決定により,乙市内の建築現場を運搬先とする特例取引を一切禁止したこと,⑵総会の決定により,過小積載及び不使用返送の際の割増料金の基準料金を従来の平均の10パーセント増しと定めたことについて,それぞれ全会員に遵守させている行為の独占禁止法上の問題点を検討させるものである。
出題の趣旨は,⑴を独占禁止法8条4号(構成事業者の機能又は活動の不当な制限)の問題,⑵を同条1号(一定の取引分野における競争の実質的制限)の問題としており,本記事の模範解答も,⑴は8条4号に,⑵は8条1号に違反するとの結論を採っている。

公式資料から抽出できた評価項目は25項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,幹事会の決定を事実上のX協会の決定とみること,⑴で8条4号を,⑵で8条1号を検討の中心に選ぶこと,⑴で会員の合算市場シェアが約90パーセントであることや乙市が県庁所在地であること等の事実を丁寧に拾うこと,及び⑵で割増料金がAの販売代金とは別に請求されてきた点に着目して市場を画定することの5項目である。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(経済法第1問の部分)又は採点実感(経済法の第1問の部分と総論)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し番号(採点実感の「3・1⑶ア」は「第3 採点実感等」の「1 第1問」の⑶アを指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

採点実感が不十分な答案として指摘した事項は,正しい書き方の項目の裏返しであればその項目にまとめ,独立の注意点は「〜しない」の形の項目(番号25)にした。
また,採点実感が「相応に評価」するとした別の構成(⑴で8条1号又は5号を検討する構成)は,許容される構成として番号15に置いた。
この一覧は,公式資料から本記事が独自に抽出したものであり,法務省の公式の採点基準ではない。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:出題の趣旨が「特に」と掲げ又は採点実感が評価の段階(優秀・良好・一応の水準・不良)を分ける基準とした事項,採点実感が「限られていた」「少なくなかった」として答案の差を示した事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた(高く評価した,又は不足を指摘した)事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項(許容される別の構成を含む)

第3 本問の概要

X協会は,甲県に所在する建築資材Aの製造販売業者を会員として設立された県内唯一の法人であり,甲県内のAの製造販売業者のほとんどが会員で,会員の合算市場シェア(売上額に基づく割合)は約90パーセントである。
定款上は総会が決定機関であるが,次回の定時総会までに決定すべき事項は,会長と有力会員4社から成る幹事会が事実上決定し,会員がこれに従い,次回の定時総会で追認する運用が慣行となっている。
Aは製造時からの時間の経過に応じて品質が劣化するため,製造販売業者は,各都道府県の範囲内で建築現場に最も近い自社工場から供給しており,Aに代替する建築資材はない。

設問⑴では,製造販売業者や需要者の団体等から成る組織が品質基準を定め,工場から建築現場までの基準運搬時間を定める一方,需要者との事前協議により品質管理条件を付して基準運搬時間を超える特例取引も認めている。
乙市(甲県の県庁所在地)の建築需要の高まりを背景に,基準運搬時間を超える場所にしか工場を持たない会員が特例取引により乙市の需要者へAを安値で販売することが多く生じたところ,幹事会は,令和7年5月1日,品質劣化の回避と合格標章への信頼の維持を理由に,乙市内の建築現場を運搬先に指定する需要者との特例取引を一切禁止する旨決定し,全会員に遵守させている。

設問⑵では,過小積載及び不使用返送の際に,大多数の会員がAの販売代金とは別に従量制の割増料金を請求してきたところ,建築需要の低迷で過小積載等が常態化し,会員から参考となる基準料金の明示を求められた協会が,令和7年6月2日の総会で,各基準料金を従来の各割増料金の平均に10パーセントを上乗せした額とする旨決定し,全会員に遵守させている。
その結果,甲県の各割増料金は決定前に比べて約10パーセント高止まりしている。

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令和7年度司法試験環境法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した28項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(第二種事業の判定とその導入理由)2 設問2⑴(人工的環境要素と条例による横出し)3 設問2⑵(意見の取扱いと公聴会の義務付け)4 設問3(Cの原告適格)5 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令等3 裁判例4 確認状態

令和7年司法試験の論文式試験の選択科目[環境法]〔第2問〕(太陽光発電施設の設置工事の事業と環境影響評価)について,法務省の出題の趣旨と採点実感から評価項目を抽出し,5段階で重み付けした上で,模範解答と解説を示す。
評価項目と重みは本記事が独自に作成したものであり,法務省の採点基準や配点ではない。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目[環境法]〔第2問〕(配点50点)を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
試験は令和7年7月16日に実施されたので,法令と判例はその時点のものを前提にしている。

本問は,太陽光発電事業者Aが甲川沿いの土地に太陽光発電施設乙を設置する事業を題材に,環境影響評価法(以下「法」という。)の第二種事業の判定(スクリーニング)とその導入目的(設問1),法に基づく環境影響評価の項目と条例による横出し・手続の上乗せの可否(設問2),景観の保全を理由に施設の設置許可の取消しを求める住民Cの原告適格(設問3)を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は28項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,項目の選定の指針が環境基本法14条各号の確保を旨とすること(法11条4項)の指摘,公衆参加の拡充という観点による補強,景観利益に関する最高裁平成18年3月30日判決(国立マンション事件)等への言及,及び同判決の示した要件への当てはめの4項目である。

模範解答の結論は,設問1⑴が法4条3項による判定,設問2⑴後段が「法に抵触する」,設問2⑵後段が「法に抵触しない」,設問3が「Cは原告適格を有する」である。
設問2の2つの後段について,出題の趣旨と採点実感は,抵触する・しないのいずれの結論もあり得るとしているので,結論そのものは評価項目にしていない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(環境法〔第2問〕の部分)又は採点実感(環境法の【第2問】の部分と,両問に共通する採点方針)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
番号は記事全体で通しにしている。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,法務省掲載のPDFの頁で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,関連する記述から推し量ったものは「間接」と表示した。
「記載なし」は,その資料の本問に関する部分を全部読んだ上で記載が無かったことを意味する。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

採る結論によって求められる理由付けには,評価項目の欄の冒頭に「(許容分岐)」と付けた。
避けるべき誤りは「〜しない」の形の項目として示した。
重み5の項目も,全ての答案に必須という意味ではない。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
本問では,採点実感が「少数にとどまった」「ごく少数」「思いのほか少なく」と述べた事項を評価の分かれ目として重み5とし,出題の趣旨が解答として求め,採点実感も期待した解答として取り上げ又は不足を指摘した事項を重み4とした。

①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

太陽光発電事業者Aは,B県の甲川沿いに所有する本件土地に太陽光発電施設乙を設置する事業(乙事業)を計画している。

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令和7年度司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した33項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 ①Cに対する戒告処分2 ②Aによる意見表明3 ③本件弁当代の支給4 救済命令の内容と限界5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例・労働委員会命令4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の労働法第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
評価項目と重みは公式資料から本記事が独自に抽出・付与したものであり,法務省の採点基準や配点ではない。
法令と判例は,試験の実施日(令和7年7月16日)当時のものを基準としている。

本問は,冬季一時金をめぐるストライキに関連して,①ストライキを指揮した組合委員長に対する戒告処分,②現場監督者による組合批判の発言,③ストライキ当日に深夜まで勤務した従業員への「弁当代」の支給について,労働組合が労働委員会に救済を申し立てる場合の主張・求める救済と,労働委員会が発する命令を論じさせるものである。

公式資料から抽出できた評価項目は33項目である。
重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,ピケッティングの状況の分析・評価,「使用者の意を体して」の意味の理解(使用者の反組合的態度が前提となること),弁当代の支給についての不利益取扱いと支配介入の両面からの検討,及び組合員への金銭の支払まで命じ得るかという救済命令の限界の4項目である。

模範解答の結論は,①の戒告処分は不利益取扱い(労働組合法7条1号)及び支配介入(同条3号)に当たり,②の発言はY社に帰責される支配介入に当たり,③の弁当代の支給は支配介入には当たるが不利益取扱いには当たらず,組合員への支払命令は救済命令の限界を超える,というものである。
③の不利益取扱いの成否と支払命令の可否は,労働委員会の命令例でも結論が分かれており,第5の3で別の結論の命令例も紹介する。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。
公式資料が挙げる裁判例のうち1件(東京地裁昭和41年2月26日決定)は,裁判所ウェブサイトに掲載がなく,本記事では判示を確認できていない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(労働法第2問の部分)又は採点実感(労働法の総論及び第2問の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,法務省が公表したPDFの頁と見出しで示した。
採点実感の「3⑵」は「3 採点実感等」の「⑵ 第2問について」を指し,その中の①②③は設問の①②③に関する段落を指す。
一方の資料に記載がない場合は,関連する範囲を読んだ上で「記載なし」と表示し,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。

公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。
「〜しない」の形の項目は,採点実感が典型的な誤りとして指摘した事項である。
結論が分かれ得る論点は,結論ではなく検討の有無を項目にした。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「評価に差がつく」「評価に大きな差がつく」「評価の差につながっている」「ごく少数にとどまった」等と述べた事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた(できていた答案・できていなかった答案を指摘した)事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

菓子・米飯・総菜を製造販売するY社(従業員約400名)には,組合員80名のX組合がある。

(続きを読む...)令和7年度司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した33項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和7年度司法試験倒産法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した28項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1⑴(DIP型の趣旨と公平誠実義務)2 設問1⑵(管理命令)3 設問2(破産手続への移行)4 設問3(再度の再生手続開始の申立て)5 答案全体6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の倒産法第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,資金繰りに窮した運送会社A社の再生手続(監督命令が発せられた,いわゆるDIP型の手続)を素材として,スポンサーの選定に不服を持つ再生債権者からの管理命令の申立て(設問1),再生計画案の否決による再生手続廃止の決定後の破産手続への移行(設問2),及び廃止後の再度の再生手続開始の申立て(設問3)を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は28項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,スポンサー選定における公平誠実義務の具体的内容の指摘(番号5),再度の申立てが否決された再生計画案の問題点を改善した上でされたことの評価(番号23),及び再生計画案の可決の見込みがないことが明らかとはいえないことの検討(番号26)の3項目である。

答案の結論は,設問1⑵では管理命令の申立てを却下すべきであり,設問3では再生手続開始の決定をすることができる,というものである。
第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で約2,400字に収め,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(倒産法第2問の部分)又は採点実感(倒産法の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し番号(採点実感の「3⑵イ」は「3 採点実感等」の「⑵ 第2問」の「イ 設問2」を指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」と表示した。
「記載なし」は,その資料の倒産法第2問に関する部分を全部読んだ上で,該当する記述がなかったことを意味する。

採点実感が不十分な答案として指摘した事項のうち,独立の注意点は「〜しない」の形の項目にした(番号4・11・22・28)。
設問1⑵と設問3の結論は,公式資料が「例えば…との解答が考えられる」として示したものであり,唯一の正答とはされていないため,結論そのものではなく,理由と一貫した結論を導いているかを項目にした(番号10・27)。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。
①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項(設問の指定と採点実感の「高評価につながった」等が重なるもの),又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も採点の主眼・解答例・評価の記述で取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け,又は評価を大きく下げる誤り
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項(「言及している答案」「丁寧である」等),又は典型的な誤りとして指摘された事項(「散見された」等)
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

A社は,運送業の収益悪化で資金繰りに窮し,公租公課も滞納したため,スポンサー候補のB社から意向表明書を受けた上で再生手続開始の申立てをし,監督命令を受けた。
A社は,債権者説明会でB社をスポンサーとする方針を説明し,監督委員の同意を得てB社から3000万円を借り入れ(本件借入れ),再生手続開始の決定を受けた。

B社の条件は,譲渡価格1億3000万円,全従業員の雇用継続,既存取引先との取引継続であった。
これに対し,再生債権者のノンバンクC社(再生債権比率15%)が紹介したD社の条件は,譲渡価格1億5000万円,80%程度の従業員の雇用継続,既存取引先との取引継続は保証しない,というものであった。
A社は,B社の信用補完と本件借入れが事業継続に寄与しているとして,B社への計画外の事業譲渡の許可を申し立てたが,E銀行(再生債権比率30%)など多くの債権者が異議を述べなかった一方,C社やF銀行(同25%)など5社が反対したため,申立てを取り下げた。

その後,B社への事業譲渡を内容とする再生計画案は,書面投票でC社・F銀行の反対と一部の棄権により否決され,令和7年3月28日に再生手続廃止の決定がされた。
A社は,B社と協議して譲渡価格を1億5000万円に引き上げ,債権者説明会を開いた上で,同年4月4日に再度の再生手続開始の申立てをしたが,C社は,否決されたのになおB社をスポンサーとする再度の申立ては不当であると主張している。

(続きを読む...)令和7年度司法試験倒産法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した28項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和7年司法試験・国際公法第2問―国際海峡・国家責任・ITLOS管轄権と模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(X海峡の通航権)2 設問2(B国によるA国の責任追及)3 設問3(国際海洋法裁判所の管轄権)4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

本記事は,司法試験の国際公法(正式科目名「国際関係法(公法系)」)の令和7年・第2問を扱う。主な論点は,国際海峡・国家責任・ITLOS管轄権である。模範解答,評価項目と重み付け,設問別の解説を掲載している。年度をまたいで論点を復習する場合は,司法試験の国際公法―過去問・答案と論点別ガイドを参照。分野の基本は,国際公法とは―国際法・国際私法との違いと基本事項で説明している。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目「国際関係法(公法系)」の第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
問題文は令和7年司法試験論文式試験問題(選択科目)の35頁にある。

本問は,A国が領有するX島と本土との間の海峡(X海峡)を舞台に,国連海洋法条約上の通航権(設問1),国連海洋法条約の非締約国であるB国の軍艦の触雷による損害についてのA国の国家責任(設問2),締約国であるC国が国際海洋法裁判所に付託した場合の管轄権(設問3)を問うものである。
出題の趣旨によれば,海洋法,国家責任法及び慣習国際法と条約との関係という国際法の基本的分野の知識と理解を確認する問題である。

結論は,次のとおりである。
①設問1:X海峡は37条の国際海峡に当たるが,島の海側に同様に便利な航路があるため38条1項ただし書により通過通航は認められず,45条1項⒜の無害通航が適用され,その無害通航は同条2項により停止できない。
②設問2:A国が機雷を設置した証拠はないから,設置自体の責任は追及できない。B国は,ICJのコルフ海峡事件判決にならい,慣習国際法に基づき,A国が機雷の敷設を知りながら通告・警告をしなかった不作為の責任を追及することになる。
③設問3:両国とも国際海洋法裁判所を選択しているから,選択の相違は管轄権を否定する根拠にならない。A国は,C国自身が軍事的活動に関する紛争を除外する宣言をしていることから,298条3項によりC国はA国の同意なしに本件を付託できないと主張することになる。

公式資料から抽出できた評価項目は22項目である。
そのうち重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,45条2項の停止の禁止(番号6),A国の通告・公表義務と警告義務の指摘(番号10),その不作為の当てはめ(番号11)及び298条3項(番号19)の4項目である。
第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(国際関係法(公法系)〔第2問〕の部分)又は採点実感(国際関係法(公法系)の「3 採点実感等」のうち第2問の部分である「⑵」)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出しで示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
「記載なし」は,その資料の第2問に関する部分を全て読んだ上で該当する記述がなかったことを意味する。

公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。
番号15と番号21は,公式資料が誤り又は不十分な答案として挙げた事項を「〜しない」の形にした項目である。
番号12と番号13は,義務の根拠についての選択肢であり,いずれか一方を満たせば足りる。

採点実感の「⑶ 答案の水準と評価」と「4 法科大学院教育に求めるもの」は,第1問と第2問に共通する一般的な記述であり,本問の設問に結び付く具体的な指摘を含まないため,独立の評価項目にしていない(そのため「答案全体」の表は置いていない)。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「極めて少数」「一部の答案のみ」「少数の優れた答案」等と述べて評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

(続きを読む...)令和7年司法試験・国際公法第2問―国際海峡・国家責任・ITLOS管轄権と模範解答(AI作成)

令和7年度司法試験租税法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した33項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(自家用車の水没による損失)2 設問2(定住奨励金の所得分類)3 設問3(無届けの民泊の収入)4 設問4(三つの支出の必要経費該当性)5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の租税法第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,会社員Aについて,豪雨で水没した自家用の軽自動車の損失(設問1),移住先の市から毎年交付される定住奨励金(設問2),無届けで営んだ民泊の収入(設問3)及び民泊に関する三つの支出(設問4)の所得税法上の扱いを問うものである。
解答は,令和7年1月1日現在において施行されている法令に基づき,租税特別措置法の適用は考慮しないとされている。

公式資料から抽出できた評価項目は33項目である。
重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の段階を分けた事項)に当たるのは,所得税法62条1項と雑損控除の分岐(番号1),施行令178条1項による「生活に通常必要でない資産」の意義の確定(番号7),本件車両の使用態様の説得的な当てはめ(番号12),「一時の所得」の立ち入った検討(番号17),三つの所得分類の検討(番号22),社会通念上の事業性の当てはめ(番号25),必要経費の要件と当てはめ(番号28),罰金を不算入とする明文規定(番号31)及びそれが「別段の定め」であること(番号32)の9項目である。

第5の模範解答は,本件車両を「生活に通常必要な動産」として雑損控除の対象とし,本件奨励金を雑所得,民泊の所得を業務に係る雑所得とし,祈祷料と罰金は必要経費に算入されず,古井戸の解体・撤去費用は必要経費に算入されるとした。
答案は論文式答案で広く使われてきた型で2,500字以下に収め,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(租税法第1問の部分)又は採点実感(同)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,各PDFの印字頁で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」(該当部分を全て読んだ結果である。),一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

採点実感が誤りとして指摘した事項は,正しい書き方の項目の裏返しであればその項目にまとめ,独立の注意点であれば「~しない」の形の項目とした(番号5・21・26・33)。
公式資料が両論を許容している結論(設問1で本件車両が「生活に通常必要でない資産」に当たるか,設問3で事業所得か雑所得か)は,結論そのものを項目にせず,検討の有無と当てはめの質を項目にした。

この一覧は法務省の公式の採点基準ではなく,公式資料から本記事が独自に抽出したものである。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「不良」「一応の水準」「良好」「優秀」の段階を分けた事項,「答案間で差が付いた」とした事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け又は当てはめ(両資料が触れていても,採点実感が「細かなことではあるが」「問題なく処理できる」とした事項を含む。)
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

中心市街地の賃貸住宅に住み,駅に近く交通の便の良い場所で暮らす会社員Aは,令和元年10月に軽自動車(本件車両)を購入し,趣味の旅行やドライブ,子どもの習い事への送迎,週末の大型スーパーへの買い出しに使い,定期券代の支給を受けて電車で通勤しながら,週に1,2回は資料が多いときに本件車両で通勤していた。
令和2年5月,本件車両は豪雨で水没して故障し,車両保険に加入していなかったAは廃車とした(設問1)。

Aは,令和2年10月にR市内の新築の土地付き住宅を購入して移住し,R市定住条例に基づき,取得した年の翌年以降,毎年申請して5年間に限り交付される定住奨励金(5年以内に転出すると返還を求められる場合がある。)の交付を受けている(設問2)。

Aは,令和5年1月に近隣の別荘を購入し,住宅宿泊事業法の届出をせずに(発覚すればすぐ廃業するつもりで)同年3月から民泊を始め,送迎や寝具のクリーニング等のサービスも自ら提供し,令和5年及び6年に給与収入の4分の1程度の200万円前後の収入を得て遊興費に充てていた(設問3)。
問題文は,無届けの民泊が旅館業法に抵触し刑事罰の対象となることを前提とし,その余の住宅宿泊事業法及び旅館業法の知識は要しないとしている。

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令和7年度司法試験租税法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した43項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1(販売促進費の損金算入時期と寄附金該当性)2 設問2(早期予約販売に係る益金算入時期)3 設問3(ギフト券の利益の所得区分と年度帰属)4 設問4(株主優待の所得区分,年度帰属及び確定申告の要否)5 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の租税法第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,ホテルを経営する上場会社が行った懸賞キャンペーン(旅行ギフト券),早期予約販売及び株主優待を素材として,法人税法上の損金・益金の帰属年度と寄附金該当性,所得税法上の所得区分と年度帰属,及び給与所得者の確定申告の要否を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は43項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,債務確定の3要件による判断(番号4),金額の合理的な算定可能性による損金算入の否定(番号5),法人税法22条の2第1項による益金算入時期の判断(番号15),返還されない1500万円部分への着目(番号19),ギフト券の利益の年度帰属(番号27),非対価性・非継続性による一時所得の判定(番号31),一時所得の検討を経た雑所得の判定(番号40),設問3との条件の違いを踏まえた宿泊券の年度帰属(番号42)及び所得税法121条1項1号による確定申告の要否の判断(番号43)の9項目である。

模範解答の結論は,設問1は1000万円を令和5事業年度の損金に算入できず寄附金にも当たらない,設問2は返還されない1500万円を令和6事業年度の益金とし残りの6000万円を宿泊のあった令和7事業年度の益金とする,設問3は令和6年分の一時所得であり社外取締役の場合も変わらない,設問4は令和7年分の雑所得であり確定申告は要しない,というものである。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(租税法第2問の部分)又は採点実感(租税法の採点方針のうち第2問の部分及び「3 採点実感等」の〔第2問〕の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し(採点実感の「<設問1>」等)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
「〜しない」の形の項目は,採点実感が誤りとして指摘した答案の型であり,答案でその誤りをしないことによって満たすものである。
「(許容分岐)」と付けた項目は,公式資料が許容する複数の構成のうちの一つであり,全ての答案に求められるものではない。

公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「一応の水準」「良好」「優秀」等の評価の段階と結び付けた事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け(採点実感が「不良」につながるとした誤りを含む。)
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

本問の上場会社A社(事業年度は暦年)は,ホテルの売上を増やすため,第一に,ホームページのアンケートの回答者から抽選で10組に海外旅行のギフト券(旅行会社B社から1組100万円で購入)を贈呈するキャンペーンを行い,令和5事業年度の決算で1000万円を販売促進費に計上したが,ギフト券の最終価格は実費や為替レートに応じて増減し,対象期間満了時に精算され,未使用分の対価は全額A社に返還される約定であった。
第二に,宿泊予定日の半年前から1か月前までにネット予約とカード払を済ませると通常料金を25%値引きし,キャンセル時は支払額の20%をキャンセル料として差し引いて返還する早期予約販売を設け,令和7年中の宿泊分として令和6事業年度末までに7500万円を受領したが,同年度の決算で収益に計上しなかった。
第三に,株主に持株数に応じた段階ごとに譲渡自由な宿泊券を付与する株主優待を導入し,給与所得者である株主Dは令和7年中に時価20万円の宿泊券を受け取った(宿泊は令和8年の予定)。

設問は,1000万円の令和5事業年度の損金算入の可否(寄附金該当性を含む。),7500万円の令和6・令和7事業年度の扱い,当選者Cがギフト券から受けた利益(価額100万円)の年分と所得の種類(Cが社外取締役であった場合を含む。),Dの宿泊券の利益の年分と所得の種類(配当所得該当性を含む。)及び令和7年分の確定申告の要否を問うものである。

解答に当たっては,租税特別措置法の適用は考慮せず,令和7年1月1日現在において施行されている法令によるものとされ,設問2では消費者契約法を考慮する必要はないとされている。

第4 評価項目と重み
1 設問1(販売促進費の損金算入時期と寄附金該当性)
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1販売促進費(1000万円)が法人税法22条3項各号の原価・費用・損失のうち「費用」(同項2号)に当たることをまず示す(基準が異なるため)328頁(設問1は法人税法上の費用に係る損金算入時期を問う)9頁(<設問1>:原価・費用・損失のいずれに当たるかをまず示す必要)2原価(22条3項1号)との区別を掘り下げて論じない1記載なし9頁(<設問1>:原価との区別を掘り下げることまでは求めていない)3費用の損金算入時期は,公正処理基準(22条4項)に従いつつ,事業年度末までに債務の確定しないものを除く(債務確定基準,22条3項2号括弧書)ことを押さえる428頁(債務確定基準の解釈と適用,企業会計と法人税法の関係)9頁(<設問1>:公正処理基準に従いつつ債務確定基準をまず押さえる)4債務確定の3要件(債務の成立・給付原因事実の発生・金額の合理的算定可能性。法人税基本通達2-2-12参照)を示し,これに照らして結論を導く528頁(債務確定基準の解釈と適用)9頁(<設問1>:3要件に照らして結論を導けば概して「一応の水準」)5中心論点として,最終価格が実費・為替で増減し対象期間満了時に精算され未使用分は全額返還されることから,令和5事業年度末に金額を合理的に算定できず債務が確定しないとして,同年度の損金算入を否定する(この論点を見落とすと「不良」)528頁(金額の合理的な算定可能性の欠如により損金算入を否定する筋を念頭に置く)9頁(<設問1>:中心的な問い。否定する答案はおおむね「良好」以上,見落としは「不良」)6(許容分岐)令和5事業年度での金額の合理的算定可能性(債務の確定)を肯定する構成も,問題文の事実に適切に当てはめれば説得力に応じて評価される228頁(ベースの裁判例は厳格に過ぎるとの批判も可能)9頁(<設問1>:肯定する答案も説得力に応じて評価)7(許容分岐)支出済みの対価には債務確定は元来問題とならないとした上で,公正処理基準(22条4項)に従い同様の結論を導く構成も評価される228頁(支出済みの費用に債務確定基準は適合しないとの批判も可能)9頁(<設問1>:公正処理基準で同じ結論を導く答案は思慮深い検討)8益金の算入時期に関する問いと誤解・混乱しない3記載なし9頁(<設問1>:益金の問いとの誤解・混乱は「不良」につながりがち)9当選者へのギフト券の贈与が,法人税法37条7項の「資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」として寄附金に当たるかを問題とする428頁(ギフト券の贈与という側面から寄附金該当性も問題となる)9頁(<設問1>:ほとんどの答案が出題意図を踏まえて検討)10寄附金該当性の判断基準として,対価性の有無や,通常の経済的取引として是認できる合理的理由(経済的合理性)の有無を示して検討する428頁(経済的合理性や対価性に鑑みる)9頁(<設問1>:対価性,経済取引として是認できる合理的理由)1137条7項括弧書が明示的に除外する「広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用」に当たるかを検討する3間接(28頁:条文に問題文の条件を当てはめる)9頁(<設問1>:括弧書の明示的な除外費目への該当性)12問題文の事情(売上増加の方針,HPアクセス・ネット予約の促進,顧客情報の収集,不特定多数・抽選)を当てはめ,寄附金に該当しない旨を説明する428頁(寄附金に該当しない旨を説明できるか)9頁(<設問1>:大半の答案が非該当を説明できた)13旅行会社に支払った対価(旅行代金・手数料)の寄附金該当性を検討しない(取引対価の正常性を問う事情はない)2記載なし9頁(<設問1>:旅行会社への対価の検討は的を射ない)14債務の確定がないことを理由に経済的合理性を欠く(寄附金に該当する)としない(両者は直接関係しない)2記載なし9頁(<設問1>:債務の確定と経済的合理性は直接関係しない)

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令和7年度司法試験環境法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した26項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 小問⑴(土地の形質の変更の届出とその理由)2 小問⑵(区域の指定)3 小問⑶(形質変更時要届出区域の規制)4 小問⑷(自然由来の場合の違いとその理由)5 小問⑸(掘削除去費用の請求)6 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目(環境法)第1問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,砒素を使用していた貯木場の跡地に大規模なトラックターミナルを建設しようとする土地所有者Xを題材に,土壌汚染対策法の形質変更時の届出・調査,形質変更時要届出区域の指定とその規制,自然由来の汚染の場合の規制の違い,及び汚染原因者に対する民法709条に基づく掘削除去費用の請求の範囲を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は26項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,届出制度の理由としての土地の広さ(番号2),計画変更命令(番号10),汚染土壌処理業者への委託義務(番号12),自然由来の汚染が「公害」に当たらないこと(番号18),法8条が直接は適用されないこと(番号23),法8条の趣旨の及ぼし方(番号24)及び健康被害のおそれが低いという本件の事実(番号25)の7項目である。

模範解答の結論は,小問⑴が法4条1項の届出,小問⑵が形質変更時要届出区域の指定,小問⑶が法12条(届出・計画変更命令)と法16条以下(搬出の届出・処理委託・管理票)の規制,小問⑷が法18条1項2号による処理委託義務の免除,小問⑸が掘削除去費用の全額は請求できないというものである。
第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(選択科目の環境法〔第1問〕の部分)又は採点実感(環境法の【第1問】の部分)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。
法務省の公式の採点基準ではなく,公式資料から本記事が独自に抽出したものである。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と小問の番号(採点実感の「3」は「3 採点実感」の【第1問】の部分を指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」,一般的な記述から導いたものは「間接」と表示した。
「記載なし」は,両資料の該当部分を全て読んだ上でのものである。

公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。
採点方針のうち両問に共通する一般的な記述(事実に基づくこと,体系的理解に基づくこと,論理的に記述すること等)は,独立の評価項目にせず,番号20の根拠として示した。

番号16と番号17は,小問⑷でどちらの緩和を挙げるかによって一方だけが問題となる項目(許容分岐)であり,全ての答案に両方を求めるものではない。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「記述できていない答案も多く見受けられた」「期待されたが、少数であった」等として評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項

第3 本問の概要

A県の甲土地は,過去に貯木場として使われ,その事業で使われていた砒素が土壌内に放置されたまま整地され,現在は運送事業者Xが事業場として使っている。
Xは,地上5階のトラックターミナルを建設するため,5000平方メートルの掘削工事や地盤改良のための土砂の搬出・搬入を予定し,建設に先立つ調査で環境基準を超える砒素が検出され,A県知事は甲土地を土壌汚染対策法に基づく区域に指定した。
甲土地内に井戸はなく,周辺でも地下水を飲用している状況は確認されていない。

小問⑴は調査のきっかけとなった届出とその理由,小問⑵は健康被害のおそれの政令基準に該当しない場合の区域の指定,小問⑶はその区域でXの工事に課される規制,小問⑷は汚染が自然由来であった場合の規制の違いとその理由,小問⑸は,Xが他の対策方法を検討せずに自主的に掘削除去をした場合に,汚染原因者Yに対して民法709条に基づき掘削除去費用の全額を請求できるかを問う。
各小問は独立したものとされ,小問⑸では不法行為責任を問うことができることが前提とされ,時効には触れなくてよいとされている。
問題文の資料として,土壌汚染対策法施行規則22条(法4条1項の届出の対象となる規模を3000平方メートルとする規定)が示されている。

(続きを読む...)令和7年度司法試験環境法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した26項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和7年度司法試験国際関係法(私法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した29項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1⑴(失踪宣告の国際裁判管轄)2 設問1⑵(死亡擬制の準拠法)3 設問1⑶(死亡擬制の効力の及ぶ範囲)4 設問2小問1(失踪宣告の取消し)5 設問2小問2⑴(外国失踪宣告の承認と民事訴訟法118条)6 設問2小問2⑵(婚姻の解消)7 答案全体8 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態
第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和7年司法試験の論文式試験のうち,選択科目の国際関係法(私法系)第2問を対象として,法務省が公表した「出題の趣旨」及び「採点実感」から答案の評価項目を抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。

本問は,甲国籍の女性Aが甲国で行方不明となった事案について,日本の裁判所がする失踪宣告の国際裁判管轄と準拠法及びその効力の及ぶ範囲(設問1),日本でされた失踪宣告の取消しの国際裁判管轄と準拠法(設問2小問1),並びに甲国でされた失踪宣告の日本での承認と婚姻の解消(設問2小問2)を問うものである。

公式資料から抽出できた評価項目は29項目であり,重み5(答案の骨格又は採点実感が評価の分かれ目とした事項)に当たるのは,不動産ア・イ・ウを財産ごとに区別した法の適用に関する通則法6条2項の当てはめ,失踪宣告の取消しの管轄を認めた後の特別の事情(家事事件手続法3条の14)の検討,家事事件手続法79条の2による民事訴訟法118条の準用の指摘,同条2号が失踪宣告の性質に反する理由,及び婚姻の解消の性質決定(婚姻の効力か離婚か)の5項目である。

第5の模範解答は,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で,2,500字以下に収めて示し,その後に出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説を付けている。

本記事の評価項目と重みは,公式資料の記述から本記事が独自に抽出・設定したものであり,法務省の公式の採点基準や配点ではない。
また,法令は試験の実施日(令和7年7月16日)当時のものを前提としている。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

評価項目は,本問の出題の趣旨(国際関係法(私法系)〔第2問〕の部分)又は採点実感(同)の記述から抜き出したものに限り,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形に言い換えた。

各項目には,出題の趣旨と採点実感のどこに根拠があるかを,PDFの頁と見出し(採点実感の「3⑵ア」は「3 採点実感等」の「⑵[第2問]について」のアを指す。)で示し,一方の資料に記載がない場合は「記載なし」と表示した。

公式資料の文章は,評価の強さを示す短い語句を除いて引用せず,根拠となる記述の趣旨を要約して示している。

採点実感が不十分な答案として指摘した事項のうち,独立の注意点となるものは「〜しない」の形の項目(番号6・8・14・23・28)とし,同じ5段階の中で重みを付けた。
番号29は,採点実感が答案全体の注意として述べ,本問の〔設問2〕〔小問2〕を例に挙げた事項であるため,「答案全体」の表に置いた。

2 5段階の重み付けの基準

重みは,公式資料の書きぶりの強さから本記事が付けたものであり,法務省の配点ではない。

①重み5:採点実感が「優秀」と判断した,漏れた答案が「非常に多かった」「かなりの数に上った」等と述べた事項,又は答案の骨格そのもの
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け又は当てはめ,又は評価を下げる誤りとして指摘された事項
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項,又は許容される扱い

結論が複数あり得る論点(不動産イに効力が及ぶか,婚姻の解消を婚姻の効力と離婚のどちらと性質決定するか)は,結論ではなく検討の有無を項目にした。
採点実感も,学説が分かれている論点については,結論それ自体によって得点に差を設けず,自説の論拠と論理的な展開を基本として採点したとしている(41頁2)。

第3 本問の概要

甲国籍のA(父Bは甲国籍で死亡,母Cは日本国籍で甲国在住)は,日本国籍のDと甲国で婚姻した。
問題文は甲国法として,失踪宣告の管轄(最後に生存が確認された時点で甲国民又は甲国に常居所),準拠法(その時点の本国法),要件(10年の生死不明)及び効果(最後の生存確認から5年経過時に死亡とみなす)の4か条を与え,各設問は独立した問いで,反致は検討しなくてよいとしている。

設問1では,Aが甲国でCと暮らし,Dが日本で暮らす中で,子E(日本・甲国の重国籍)の出生から1年後にAが甲国内で行方不明となり,12年後にCが死亡した。
CはAに不動産ア(日本所在)・不動産イ(甲国所在)を譲渡しており,不動産ウ(日本所在)はCに残っていた。
Dの申立てにより日本の裁判所がAの失踪宣告をしたことを前提に,⑴管轄を認めた判断の過程,⑵死亡が擬制される時点,⑶不動産ア・イ・ウのそれぞれに死亡擬制の効力が及ぶかが問われている。

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司法修習生が見た裁判・検察・弁護の現場―第53期の体験記から現在の司法修習を考える(AI作成)

目次

第1 この記事の結論第2 本書と第53期司法修習の位置付け1 本書が作られた経緯2 第53期当時と現在の司法修習の違い第3 裁判修習で見たもの1 裁判官室に出入りする検察官2 勾留・保釈と「人質司法」3 迅速な事件処理と充実した審理4 合議,心証形成及び裁判官の組織5 裁判官によるハラスメントと申告6 裁判官の市民的自由第4 検察修習で見たもの1 司法修習生による取調べ2 供述調書は誰の言葉か3 勾留請求とえん罪への問題意識4 検察官との人間関係と組織第5 弁護修習で見たもの第6 検事任官選考と「女性枠」問題第7 座談会で繰り返された問題1 「事件の筋」と事実認定2 指導と評価による萎縮3 組織の論理と個人の判断第8 現在の司法修習生が本書から学べること1 「実務はこうしている」で検討を終えない2 観察した事実と自分の評価を分ける3 守秘義務と制度批判を両立させる4 現在の制度は現在の資料で確認する第9 まとめ第10 参考資料
第1 この記事の結論

司法修習生は,裁判官,検察官及び弁護士の仕事を外から見学するだけでなく,指導を受けながら実際の事件を素材とする修習を行う。そのため,法曹三者の仕事の進め方,組織の慣行及び当事者との接し方を,同じ時期に比較して見ることができる立場にある。

『司法修習生が見た裁判のウラ側―修習生もびっくり!司法の現場から―』(司法の現実に驚いた53期修習生の会編,現代人文社,2001年)は,第53期司法修習生が実務修習で見聞きした出来事を集めた体験記である。本書は,裁判官室と検察官の関係,勾留・保釈,刑事裁判の進行,合議,取調べと供述調書,国選弁護,検事任官選考等について,公式の制度説明だけでは分からない疑問を具体的に記録している。

ただし,本書が扱うのは主として1999年から2000年頃の実務であり,匿名の体験記を中心とする。個々の記述を現在の裁判所,検察庁又は弁護士会の一般的運用として扱うことはできない。本記事では,本書が記録した当時の体験,本書の編者らによる評価及び現在の公式制度を区別する。

第2 本書と第53期司法修習の位置付け
1 本書が作られた経緯

本書の編者らは,司法試験の学習で理解していた憲法・刑事訴訟法上の原則と,実務修習中に目にした運用との間に隔たりがあるのではないかという疑問から,体験談を集めたと説明している(同書2頁から5頁)。

その一方で,あとがきでは,掲載した事例が全ての実務庁又は全ての実務家に共通するものではなく,多くの優れた実務家から指導を受けたことも明記している。また,個別事件の当事者のプライバシー及び法曹との信頼関係を守りながら,一般化して検討できる制度上の問題を取り上げたとしている(同書206頁及び207頁)。

したがって,本書の価値は,個々の経験だけから司法実務全体を断定できることではない。法曹になる前の司法修習生が何に違和感を持ち,法曹組織の内側と市民から見える姿との間にどのような隔たりを感じたかを記録した点にある。

2 第53期当時と現在の司法修習の違い

第53期の司法修習は,1999年4月から2000年10月までの1年6か月であった。司法研修所での前期修習3か月,実務修習12か月及び後期修習3か月からなり,実務修習では民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の各分野を3か月ずつ修習した(同書8頁から10頁)。

これに対し,裁判所の現在の説明では,司法修習の期間は少なくとも1年間であり,導入修習の後,民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護について各2か月,合計約8か月の分野別実務修習を行い,さらに選択型実務修習及び集合修習をそれぞれ約2か月行う。裁判所「司法修習生」及び司法研修所「司法修習の概要」で現行制度を確認できる。

項目第53期当時現在の公式説明修習期間1年6か月少なくとも1年間司法研修所での修習前期3か月・後期3か月導入約1か月・集合約2か月分野別実務修習4分野を各3か月4分野を各2か月その他の課程現在の選択型実務修習はなかった選択型実務修習を約2か月

本書を読む場合は,この制度上の違いを前提とする必要がある。

第3 裁判修習で見たもの
1 裁判官室に出入りする検察官

本書は,刑事部の裁判官室に検察官が出入りし,係属事件,被告人の前科又は暴力団との関係等について話す場面があったとする複数の体験を掲載している(同書13頁から25頁)。修習生らは,起訴状だけを見て予断なく審理を始めるという起訴状一本主義や,裁判所の公平な外観との関係に疑問を示した。

裁判官と検察官が同じ庁舎又は近接する職場で仕事をし,日常的な接点を持つこと自体から,個別事件について不適切な情報交換があったとはいえない。本書の記述が示す重要な点は,裁判の当事者から見えない場所での接触が,公正さに対する信頼へどのような影響を与えるかという問題である。

2 勾留・保釈と「人質司法」

令状担当裁判官の下で修習した執筆者は,勾留請求が多数認められ,否定された事件でも準抗告による取消しを裁判官が意識しているように見えたと記録している。また,証拠隠滅又は逃亡のおそれを個別具体的に検討せず,罪名や事件類型から広く認めているのではないかという疑問を述べている(同書26頁から35頁)。

これは匿名の観察と評価であり,当時の全ての勾留判断を示す統計ではない。しかし,身体拘束による自白への圧力,裁判官の責任回避及び事件処理上の負担が,勾留・保釈の判断に影響していないかという問題は,本書の中心的な問題提起の一つである。

3 迅速な事件処理と充実した審理

本書は,刑事裁判の冒頭手続で,裁判官が被告人又は弁護人に書証への同意を促したように見えた場面や,情状証人を調べるために続行を求める弁護人と,一回で審理を終えようとする裁判所との緊張を記録している(同書36頁から48頁)。

迅速な裁判は被告人の利益にもなるが,審理の速度を優先するために必要な主張・立証が制限されるのであれば問題となる。本書の修習生らは,事件処理件数だけでなく,個々の被告人に必要な審理が行われたかを検討すべきであると考えた。

4 合議,心証形成及び裁判官の組織

合議事件について,本書には,若い裁判官が判決案を作成し,裁判長の意見が結論又は量刑に強く影響したように見えたとの記述がある。他方,配属部によっては自由に意見を述べることができたとの体験もあり,修習生の見方は一様ではない(同書49頁から51頁及び189頁から195頁)。

また,審理前又は審理の早い段階で結論が固まっているように見えた事件,経験則という言葉によって別の見方が退けられたと感じた場面及び裁判官が組織内の評価を意識しているように見えた場面も記録されている(同書52頁から59頁)。

修習生が合議や裁判官の内心を完全に知ることはできない。しかし,理由を明確にし,異なる見方を検討し,組織内の序列から独立して判断することが,裁判への信頼に不可欠であるとの問題提起として読むことができる。

5 裁判官によるハラスメントと申告

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司法試験短答式の年度別難度を得点分布から比較する方法―受験者の重複,制度改正及び受験ルート(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論
第2 旧司法試験では年度間で受験者が重なること

1 受験回数の上限がなかったこと
2 平成13年度及び平成14年度の初回出願者
3 公表資料からは分からないこと

第3 受験者層と試験制度の主な節目
第4 得点分布から判断できること

1 同じ制度区分内での位置付け
2 平均点以外に見るべき数値

第5 得点分布だけでは判断できないこと

1 問題文固有の難度
2 合格点・合格率の限界

第6 年度横断比較の実務的な手順
第7 弁護士実務及び税理士実務への応用
第8 関連記事
第9 出典

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短答式の民法は旧試験と現行試験でどう変わったか―出題形式・配点・部分点の比較(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 対象とする試験と資料2 本記事の結論3 総論と科目別の記事の分担第2 試験の枠組みの比較1 旧試験は3科目60問を3時間30分で解いた2 現行試験の民法は1時間15分・75点満点である3 比較表第3 出題形式の比較1 旧試験の民法は記述の組合せが中心で,会話・学説の素材が多かった2 現行試験の民法はほぼすべてが記述の組合せである3 問題文の分量第4 配点と部分点の比較1 旧試験は各問1点で部分点が無かった2 現行試験の民法は2点が基本で,3点の問題が1問~3問ある3 民法には部分点が無い4 部分点が無いことの意味第5 合否判定と平均点1 旧試験は3科目の合計点で合否を決めた2 現行試験は科目ごとの最低ラインと合計点の二段階で判定する3 旧試験の民法の平均点4 現行試験の民法の平均点5 比べるときの注意第6 旧試験の過去問を読むときの注意第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 旧司法試験の資料3 現行試験の資料
第1 本記事の対象と結論
1 対象とする試験と資料

本記事は,司法試験の短答式試験のうち民法について,旧司法試験第二次試験(以下「旧試験」という。)と現在の司法試験(以下「現行試験」という。)を,出題形式,配点,部分点,試験時間及び平均点の点から比べるものである。
旧試験は,法務省が問題を公開している平成8年度から平成22年度までの15年度分(民法は各年度の第21問から第40問まで,計300問)を確認した。
現行試験は,短答式が憲法・民法・刑法の3科目で行われるようになった平成27年から令和8年までの12年分(計440問)の問題と,各年の「民法の正解及び配点」及び短答式試験の結果を確認した。
調査の基準日は令和8年10月9日である。
出題形式の分類と問題文の字数は,本記事で問題を機械的に読み取って集計したものであり,法務省が公表した数値ではない。
平均点,配点,最低ライン及び試験時間は,いずれも法務省等の公表資料による。

2 本記事の結論

①旧試験の民法は,3科目60問を3時間30分で解く試験の中の20問であり,各問1点,部分点はなかった。
②現行試験の民法は,1時間15分で36問又は37問を解く75点満点の試験であり,1問2点を基本とし,3点の問題が毎年1問から3問ある。
③現行試験の民法には,憲法・刑法と異なり,部分点が無い。平成27年から令和8年までの「民法の正解及び配点」は,いずれも1問に解答欄が1つで,備考欄に部分点の記載が無い。
④旧試験の民法の約8割(300問中245問)は記述の組合せを選ぶ問題であったが,個数,空欄補充,学生と見解の対応などの型もあり,会話や学説を素材にした問題も多かった。
⑤現行試験の民法は,440問中419問が記述の組合せを選ぶ問題であり,平成30年及び令和2年から令和7年までは全問がこの形であった。
⑥旧試験の民法の平均点は20点満点で8.92点~12.38点(得点率44.6%~61.9%),現行試験の民法の平均点は75点満点で43.8点~57.4点(得点率58.4%~76.5%)であった。

3 総論と科目別の記事の分担

旧試験の短答式試験の3科目に共通する事項(試験の構成,平成8年度から平成22年度までの合格点・合格率,問題・正解・結果の所在)は,旧司法試験の短答式試験―試験の構成,平成8年度から平成22年度までの合格点・合格率及び問題・正解の所在で扱っている。
本記事は民法に固有の事項を扱い,憲法は短答式の憲法は旧試験と現行試験でどう変わったか―出題形式・配点・部分点の比較,刑法は短答式の刑法は旧試験と現行試験でどう変わったか―出題形式・配点・部分点の比較で,同じ観点から比べている。

第2 試験の枠組みの比較
1 旧試験は3科目60問を3時間30分で解いた

法務省の旧司法試験の概要は,旧試験の短答式試験について,「憲法,民法及び刑法について,択一式(マークシート方式)で実施されていました。平成22年においては,試験時間は3時間30分,60問の出題がなされていました。」と説明している。
同じページは3科目を通じた試験時間を示すだけで,民法に何分を使うかは受験者が決めることになっていた。
本記事で確認した平成8年度から平成22年度までの問題は,いずれも3科目が1つにまとめられ,民法は第21問から第40問までの20問であった。

2 現行試験の民法は1時間15分・75点満点である

令和8年司法試験受験案内の時間割では,短答式試験の民法は午前10時から午前11時15分まで(1時間15分)であり,憲法(50分)及び刑法(50分)より長い。
民法の満点は75点であり,憲法及び刑法の50点より大きい。
司法試験考査委員会議の申合せ司法試験の方式・内容等について(令和7年11月26日)は,民法の配点について,「1問2点配点を基本とするが、3点以上配点する問題も出題する。」と定めている。

3 比較表
項目旧試験(平成8年度~平成22年度)現行試験(平成27年~令和8年)民法の問題数20問(3科目で60問)36問又は37問試験時間3科目で3時間30分(平成22年)。科目ごとの時間は示されていない民法は1時間15分(令和8年)民法の満点20点(各問1点。3科目で60点)75点配点各問1点1問2点が基本で,3点の問題が毎年1問~3問解答の形式1から5までの選択肢から1つを選ぶ1から5まで(一部の年の単一選択の問題は1から4まで)の選択肢から1つを選ぶ(解答欄は1問に1つ)部分点無い無い合否判定3科目の合計点で判定民法で満点の40%(30点)以上を取ったうえで,3科目の合計点で判定

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短答式の刑法は旧試験と現行試験でどう変わったか―出題形式・配点・部分点の比較(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 対象と資料2 結論第2 旧司法試験の短答式刑法1 3科目60問の中の20問2 配点は各問1点で部分点はなかった3 合格点の推移4 出題形式の特徴第3 現行司法試験の短答式刑法1 刑法単独の科目として20問・50点2 配点は1問2点・3点・4点3 部分点のルール4 出題形式の特徴第4 旧試験と現行試験の比較1 比較表2 1問の重みと部分点の違い3 解き方の違い4 得点分布から難度を比較する際の限界第5 関連記事第6 出典
第1 本記事の対象と結論
1 対象と資料

本記事は,旧司法試験第二次試験の短答式試験(以下「旧試験」という。)の刑法と,現行の司法試験の短答式試験(以下「現行試験」という。)の刑法とを,出題形式,配点及び部分点の三つの観点から比べるものである。
対象とした年度は,旧試験が平成8年度から平成22年度までの15年度分(刑法の各20問,計300問),現行試験が刑法を単独の科目として出題するようになった平成27年から令和8年までの12年分(各20問,計240問)である。
資料は,法務省ウェブサイトに掲載された各年度の問題,旧試験の「短答式正解等」,現行試験の「正解及び配点」,司法試験の実施日程等及び「旧司法試験の概要」であり,条文はe-Gov法令検索で令和8年10月9日時点の司法試験法を確認した。
出題形式の件数は,本記事の作成に当たり,各年度の刑法の問題文を1問ずつ読み,後記第2の4及び第3の4に記載した基準で機械的に数えた結果である。

2 結論

①旧試験の刑法は,憲法・民法・刑法の3科目60問を通し番号で並べた問題のうちのNo.41からNo.60までの20問であり,各問1点,部分点はなかった。
②現行試験の刑法は,独立の科目として20問・50点満点で出題され,試験時間は50分である(令和2年及び令和8年の実施日程)。
③現行試験の配点は1問2点,3点又は4点であり,5つの記述の正誤をそれぞれ答える問題(配点4点)には,部分点がある(5つの解答欄のうち4つが正しければ2点)。
④現行試験で正しいものを2個選ぶ問題(配点3点)は,順不同で,部分点はない。
⑤旧試験の平成8年度から平成15年度までは,正しい記述や語句の個数・使用回数を答えさせる問題が毎年度4問から13問あったが,平成16年度以降はほとんど出題されなくなった。
⑥旧試験の平成16年度以降は,学生の会話や発言を素材にした学説問題が毎年度12問から17問を占めた。現行試験では,こうした問題は平成27年から令和4年まで2問又は3問であったが,令和5年以降は5問から9問に増えている。

第2 旧司法試験の短答式刑法
1 3科目60問の中の20問

法務省の「旧司法試験の概要」によれば,旧試験の短答式試験は,憲法,民法及び刑法について択一式(マークシート方式)で実施され,平成22年においては,試験時間は3時間30分,出題は60問であった。
問題は3科目を通し番号で並べており,憲法がNo.1からNo.20まで,民法がNo.21からNo.40まで,刑法がNo.41からNo.60までである。
同ページは3科目を通じた試験時間として3時間30分を示しており,科目ごとの試験時間は示していない。
刑法の20問にどれだけの時間を使うかは,受験者が自分で決めることになる。

2 配点は各問1点で部分点はなかった

旧試験の「短答式正解等」は,平成13年度から平成22年度までの正解を掲載しており,多くの年度で,正解の番号に添えて「各問1点,60点満点中46点以上が合格」(平成20年度)のように配点と合格点を示している。
各問は1から5までの番号から一つを選ぶ形式であり,正解の番号を選べば1点,それ以外は0点である。
組合せや個数を答える問題であっても,途中まで正しく考えたことが点数になることはなかった。

3 合格点の推移

「短答式正解等」に記載された合格点(3科目60点満点の合計点)は,次のとおりである。
平成18年度と平成19年度は,正解等のページに配点・合格点の記載がないため,各年度の「短答式試験の結果」のページに記載された合格点(「各問1点で60点満点,46点以上が合格」(平成18年度)等)を示した。
平成12年度以前の正解等は同じページに掲載されておらず,平成8年度以降の全年度の合格点は,後記の関連記事の一覧で扱っている。

年度合格点(60点満点)平成22年度47点平成21年度48点平成20年度46点平成19年度47点平成18年度46点平成17年度42点平成16年度45点平成15年度47点平成14年度41点平成13年度46点

「短答式正解等」の注記は3科目の合計点による合格点だけを示しており,科目ごとの基準点は示していない。

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短答式の憲法は旧試験と現行試験でどう変わったか―出題形式・配点・部分点の比較(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 対象とする試験と資料2 本記事の結論第2 試験の枠組みの比較1 旧試験は3科目60問を3時間30分で解いた2 現行試験は科目ごとに時間を区切る3 比較表第3 出題形式の比較1 旧試験は5つの選択肢から1つを選ぶ形式の中で型が多様だった2 現行試験は3つの記述の正誤を答える形式がほぼすべてである3 問題文の分量は1問あたり半分になった第4 配点と部分点の比較1 旧試験は各問1点で部分点が無かった2 現行試験は2点の問題と3点の問題がある3 部分点の効き方(計算例)第5 合否判定と平均点1 旧試験は3科目の合計点で合否を決めた2 現行試験は科目ごとの最低ラインと合計点の二段階で判定する3 憲法の平均点第6 旧試験の過去問を読むときの注意第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 旧司法試験の資料(法務省)3 現行試験の資料(法務省・司法試験委員会等)
第1 本記事の対象と結論
1 対象とする試験と資料

本記事は,司法試験の短答式試験のうち憲法について,旧司法試験第二次試験(以下「旧試験」という。)と現在の司法試験(以下「現行試験」という。)を,出題形式,配点,部分点,試験時間及び合否判定の仕組みの点から比べるものである。
旧試験は,法務省が問題を公開している平成8年度から平成22年度までの15年度分の問題冊子を確認した。
現行試験は,短答式が憲法・民法・刑法の3科目で行われるようになった平成27年から令和7年までの11年分の問題冊子と,令和8年の受験案内,正解及び配点並びに短答式試験の結果を確認した。
調査の基準日は令和8年10月9日である。

出題形式の分類と問題文の字数は,本記事で問題冊子を機械的に読み取って集計したものであり,法務省が公表した数値ではない。
平均点,合格点,配点及び部分点は,いずれも法務省の公表資料による。

2 本記事の結論

旧試験の短答式は,憲法・民法・刑法の3科目60問を3時間30分で解く試験であり,憲法は20問,各問1点で,部分点はなかった。
現行試験の憲法は,50分で20問を解く50点満点の試験であり,2点の問題が10問,3点の問題が10問という配点が平成27年から令和8年まで続いている。
3点の問題は3つの記述の正誤を一つずつ答える形式で,2問正解すれば部分点1点が付く。

出題形式も大きく変わった。
旧試験の憲法は,5つの選択肢から1つを選ぶ形式の中で,記述の組合せ,個数,空欄補充,並べ替え,会話文への文の挿入など多様な型が出題されていた。
現行試験の憲法は,3つの記述の正誤を答える形式がほぼすべてであり,平成27年から令和7年までの220問に,個数,空欄補充及び並べ替えの問題は無かった。

問題文の分量は,旧試験の憲法が1年度あたり約1万4千字~約2万2千字であったのに対し,現行試験の憲法は約7千字~約1万1千字であり,1問あたりの分量はおおむね半分になった。

第2 試験の枠組みの比較
1 旧試験は3科目60問を3時間30分で解いた

法務省の「旧司法試験の概要」は,旧試験の短答式試験について,「憲法,民法及び刑法について,択一式(マークシート方式)で実施されていました。平成22年においては,試験時間は3時間30分,60問の出題がなされていました。」と説明している。
同じページは,3科目を通じた試験時間を示すだけで,科目ごとの時間を示していない。

本記事で確認した平成8年度から平成22年度までの問題冊子は,いずれも3科目が1冊にまとめられており,憲法が〔No.1〕から〔No.20〕,民法が〔No.21〕から〔No.40〕,刑法が〔No.41〕から〔No.60〕であった。
どの年度も,各問は1から5までの選択肢から1つを選ぶ形式であった。

2 現行試験は科目ごとに時間を区切る

司法試験法3条1項は,短答式試験について,「短答式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。」と定め,その科目として憲法,民法及び刑法を掲げている。

令和8年司法試験受験案内の時間割では,短答式試験は令和8年7月19日に,民法が午前10時から午前11時15分まで(1時間15分),憲法が正午から午後0時50分まで(50分),刑法が午後2時15分から午後3時5分まで(50分)とされていた。
旧試験と異なり,科目ごとに試験時間が区切られているので,憲法の時間を他の科目に回すことはできない。

法務省の「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」は,司法試験について,令和8年試験から短答式試験及び論文式試験のいずれにもCBT試験を導入するとしている。
CBTの操作や持込品は,司法試験のCBTとオンライン手続で扱っている。

3 比較表

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旧司法試験の短答式試験―試験の構成,平成8年度から平成22年度までの合格点・合格率及び問題・正解の所在(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と確認の方法1 対象2 確認の方法と基準日第2 試験の構成1 憲法,民法及び刑法の各20問,計60問2 配点は各問1点,60点満点3 問題文の分量の変化4 試験時間は3科目で3時間30分5 受験資格第3 合格点と合格率の推移1 年度別の一覧2 合格点3 合格率の推移4 合格者の年齢第4 問題・正解・結果の所在1 正解等の公表は平成13年度から始まった2 短答式正解等のページ3 問題と試験結果のページ4 年度別の一覧第5 科目別の概要1 旧試験の科目別の平均点2 現行試験との比較(科目別)3 科目別の記事第6 資料を探すときに間違えやすい点1 リンクが二重になっているページがある2 古い住所のリンクは開かないことがある3 平成17年度以前と平成18年度以降で名称が違う第7 関連記事第8 出典1 法務省HPの一覧のページ2 法務省の発表資料3 得点別人員調4 現行試験の資料
第1 この記事の対象と確認の方法
1 対象

本記事は,旧司法試験(司法試験第二次試験)の短答式試験について,試験全体の構成,合格点及び合格率の推移,並びに法務省HPに残る問題・正解・結果の所在を整理するものである。
対象とする年度は,法務省HPに問題が掲載されている平成8年度から平成22年度までである。
本記事は3科目に共通する事項と,3科目を並べた一覧を扱い,憲法,民法及び刑法の科目ごとの出題形式,配点及び部分点の詳細は,科目別の記事に委ねる(後記第5)。

2 確認の方法と基準日

本記事の内容は,令和8年10月9日に,法務省HPの第二次試験試験問題・試験結果等のページから,「短答式試験問題」,「短答式正解等」及び「試験結果」の各ページと,そこからリンクされた年度別のページ及びPDFを開いて確認したものである。
出願者数,受験者数及び合格者数は,平成22年度の年度別旧司法試験第二次試験出願数及び短答式試験合格者数調による。
試験時間と受験資格は,法務省の旧司法試験の概要による。
問題文の文字数は,本記事で問題のPDFから文字を取り出して数えた値であり,法務省が公表した数値ではない。

第2 試験の構成
1 憲法,民法及び刑法の各20問,計60問

平成8年度から平成22年度までの問題のPDFは,いずれも憲法,民法及び刑法の科目名の見出しの下に,第1問から第60問までを通し番号で載せている。
憲法が第1問から第20問まで,民法が第21問から第40問まで,刑法が第41問から第60問までであり,各科目20問ずつである。
法務省HPでは,各年度の3科目の問題が1つのPDFにまとめて掲載されている。

2 配点は各問1点,60点満点

平成13年度から平成22年度までの各年度の「短答式試験の結果」には,いずれも「各問1点で60点満点」と書かれている。
短答式正解等の各ページにも,平成18年度及び平成19年度を除く8年度分に,同じ趣旨の記載がある。

平成12年度以前については,法務省HPに配点を示した資料は掲載されていない。
問題のPDFには,表紙や注意事項の頁が含まれておらず,配点の記載もない。
ただし,後記第3の得点別人員調では,平成8年度から平成12年度までの短答式試験の得点が60点を最高点として集計されている。

3 問題文の分量の変化

3科目の問題文の文字数(空白と,選択肢の番号だけの行を除いたもの)は,平成8年度が36,515字,平成22年度が53,883字であり,15年間で約1.5倍になった。
特に平成17年度以降は,平成18年度(47,321字)を除き5万字を超えている。
年度別の文字数は,後記第4の4の一覧に載せた。
仮に各年度とも後記4の平成22年の試験時間(210分)であったとして,3科目の文字数を210分で割ると,1分あたり174字(平成8年度)~268字(平成20年度)となる。

4 試験時間は3科目で3時間30分

法務省の旧司法試験の概要は,短答式試験について,「憲法,民法及び刑法について,択一式(マークシート方式)で実施されていました。平成22年においては,試験時間は3時間30分,60問の出題がなされていました。」と説明している。
同じページは3科目を通じた試験時間を示すだけで,科目ごとの時間は示していない。

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令和元年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象第2 7記事の一覧第3 各問題の概要と重み5の事項1 公法系第1問(憲法)2 公法系第2問(行政法)3 民事系第1問(民法)4 民事系第2問(商法)5 民事系第3問(民事訴訟法)6 刑事系第1問(刑法)7 刑事系第2問(刑事訴訟法)第4 7記事に共通する作り方1 評価項目の抽出2 5段階の重み付け3 模範解答と解説第5 重みの分布の比較1 重み5・4・3の分布2 重み2・1,項目数及び重みの合計3 本記事としての整理第6 関連記事第7 出典1 公式資料2 確認状態
第1 この記事の対象

この一覧の使い方
科目別のリンクから個別記事へ進み,問題文の設問に対応する評価項目,答案,解説及び出典を確認する。別年度との比較や他の科目を探すときは,司法試験の過去問・参考答案一覧を参照されたい。試験制度と受験資格は,司法試験とはで説明している。

令和元年司法試験の論文式試験について,選択科目を除く主要7科目7問の模範解答記事を一覧にしたものである。
対象は憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法であり,選択科目と短答式試験は対象に含まれない。

令和8年10月8日時点の7子記事の公開評価表から再集計した評価項目は合計486項目,重み5は合計135項目である。
7記事とも重み1~5の5段階であり,必須,高評価,負例及び許容分岐の区分・適用条件は重みとは別に確認する。

模範解答はAIが作成した答案例であり,法務省の公式解答ではない。
評価項目の切り分けと重みは子記事独自の分析であり,公式採点基準・項目別配点・予測得点を表すものではない。

第2 7記事の一覧
科目主な論点評価項目重み5公法系第1問(憲法)虚偽表現の刑罰規制,選挙時のSNS削除と手続保障6719公法系第2問(行政法)土地収用,違法性の承継,無効確認の補充性,裁量審査7025民事系第1問(民法)建築請負の所有権・工作物責任,将来賃料譲渡,動機の錯誤6823民事系第2問(商法)少数株主の自主招集と提案,買収防衛策,総会決議と取締役責任7419民事系第3問(民事訴訟法)管轄合意・留置,請求追加と自白,死亡した作成者の日記6516刑事系第1問(刑法)カードすり替え,事後強盗の共犯,被救助者への傷害7311刑事系第2問(刑事訴訟法)別件逮捕・勾留,公判前整理手続後の訴因変更6922
第3 各問題の概要と重み5の事項

以下の番号は,各子記事の現在の公開評価表の通し番号である。
項目本文と区分・条件を一件ずつ対応させており,旧IDを推測して補っていない。
根拠資料の頁・節と重みの判断理由は,リンク先の評価表及び重みの分布の説明に示されている。

1 公法系第1問(憲法)

虚偽の情報が店舗への殺到や選挙の公正への懸念を生じさせたことを背景に,A省への立法助言を行う問題である。
措置①の一般的な虚偽表現の禁止・処罰と,措置②の選挙時のSNS上の表現の削除を分け,投稿者とSNS事業者の自由,過剰削除及び削除命令の手続保障を検討する。
法律家として自己の見解と異なる見解への応答を示し,独立行政委員会という制度自体の合憲性は論じない。
国外事業者への適用に必要な法整備は行われる前提である。
子記事の答案は①を現案のままでは違憲とし,②にも実体的要件と手続の修正が必要とするが,これが唯一の指定結論という意味ではない。

重み5は19項目であり,その全事項は次のとおりである。

①番号1:A省への立法助言として自己の見解を軸に論じる。 区分:必須

②番号3:①と②を独立して審査する。 区分:必須

③番号4:①の一般的刑罰規制と②の限定された削除規制の差を示す。 区分:必須

④番号5:保障・制約・審査規範・具体的当てはめの順で合憲性を判断する。 区分:必須

⑤番号9:厳格な審査規範を適用段階で理由なく緩めない。 区分:必須

⑥番号10:自己の立場を明確にして異なる立場へ具体的に応答する。 区分:高評価

⑦番号14:虚偽又は故意を理由に無検討で保障外・低価値としない。 区分:必須

⑧番号20:①はSNSに限られず何人にも適用されると把握する。 区分:必須

(続きを読む...)令和元年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)

令和2年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象第2 7記事の一覧第3 各問題の概要と重み5の事項1 公法系第1問(憲法)2 公法系第2問(行政法)3 民事系第1問(民法)4 民事系第2問(商法)5 民事系第3問(民事訴訟法)6 刑事系第1問(刑法)7 刑事系第2問(刑事訴訟法)第4 7記事に共通する作り方1 評価項目の抽出2 5段階の重み付け3 模範解答と解説第5 重みの分布の比較第6 関連記事第7 出典1 公式資料2 確認状態
第1 この記事の対象

この一覧の使い方
科目別のリンクから個別記事へ進み,問題文の設問に対応する評価項目,答案,解説及び出典を確認する。別年度との比較や他の科目を探すときは,司法試験の過去問・参考答案一覧を参照されたい。試験制度と受験資格は,司法試験とはで説明している。

本記事は,令和2年司法試験論文式試験の主要7科目・7問について,公開済みの模範解答記事を案内するものである。
対象は憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法であり,選択科目・短答式試験・予備試験・旧司法試験は含めない。

令和8年10月8日時点の7子記事の実際の評価表から再計算すると,評価項目は合計440項目,重み5は145項目,重み合計は1702である。
全7科目が1~5の5段階を採用している。
項目数と重みは各記事の独自分析であり,法務省の公式配点・予測得点ではない。

本記事では,各問題の設問指定を確認し,重み5の事項から子記事の評価表と答案へ進むための入口として整理する。
必須・高評価・負例・許容分岐は重みとは別の分類であり,条件付きの別構成を全答案へ累積要求しない。

第2 7記事の一覧
科目主な論点評価項目重み5公法系第1問(憲法)生活路線バス維持の参入規制,渋滞区域への自家用車乗入れ規制57項目19項目公法系第2問(行政法)農用地区域からの除外,計画変更・拒絶の処分性,不作為の違法確認64項目26項目民事系第1問(民法)契約不適合と債権譲渡,法定通行権,地役権の解除,日常家事代理と相続68項目19項目民事系第2問(商法)非公開会社の新株発行無効,種類株式の併合,買取請求・差止め・決議取消し68項目18項目民事系第3問(民事訴訟法)敷金返還の訴えの利益,和解発言の心証資料性,一部取下げと証拠共通59項目23項目刑事系第1問(刑法)債権回収と恐喝,銀行払戻しと横領,早期に発生した死亡と強盗殺人68項目17項目刑事系第2問(刑事訴訟法)任意取調べの限界,自白の証拠能力,類似事実による犯人性立証56項目23項目合計主要7科目・7問440項目145項目
第3 各問題の概要と重み5の事項

以下の「番号」は,各子記事の現在の公開評価表に表示された通し番号である。
数字の字形は本文の表記にそろえているが,番号の値と対象項目は変更していない。
旧IDの併記がない記事は,現在の通し番号だけで示す。
区分・適用条件は各子記事に従い,負例は記載すべき内容ではなく避けるべき誤りとして読む。

1 公法系第1問(憲法)

生活路線バスを維持するための法案について,法律家甲として,規制①と規制②の憲法適合性を検討する問題である。
規制①は,高速路線の運行主体を生活路線の運行事業者に限定し,生活路線への新規参入も制限する。
規制②は,指定された渋滞区域・時間帯における域外からの自家用車乗入れを原則として禁止し,住民・身体障害者の乗車等を除外する。

子記事の答案は規制①を骨子のままでは違憲,規制②を区域・時間・例外の適切な限定を前提に合憲とする。
この結論は設問が指定した唯一解ではなく,自説に必要な反対説への応答を加え,設定した基準と当てはめを一貫させる必要がある。
立案段階の憲法適合性が終点であり,存在しない処分の取消訴訟や補償請求を追加しない。

重み5は19項目であり,全事項は次のとおりである。

①番号2:資料中の具体的事実に法的評価を与える【必須】

②番号3:権利の性質・制約強度・目的を審査基準へ結び付ける【必須】

③番号4:設定した基準を当てはめにも一貫して用いる【必須】

④番号5:規制ごとに憲法適合性の結論を示す【必須】

⑤番号9:高速路線の主体限定を職業への制約として特定する【必須】

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令和元年司法試験刑事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した69項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 評価項目の示し方と重み付けの基準1 評価項目の示し方2 5段階の重み付けの基準第3 本問の概要第4 評価項目と重み1 設問1―別件逮捕・勾留2 設問2―訴因変更の可否及び許否3 答案全体への一般的な指摘4 重みの分布第5 模範解答1 答案の前提と表記2 答案3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説第6 関連記事1 同じ年度の司法試験の別の模範解答2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典及び確認状態1 公式資料2 法令3 裁判例4 確認状態

令和元年司法試験の刑事系第2問を対象に,別件逮捕・勾留と公判前整理手続後の訴因変更を検討する。法務省の問題文,出題の趣旨及び採点実感から,69件の評価項目を独自に抽出した。法務省の公式採点基準・配点を示すものではない。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和元年司法試験論文式試験の刑事系科目第2問(刑事訴訟法)である。試験実施日である令和元年5月18日当時の法状態を基準とする。設問1では身体拘束そのものの適法性と,理論・結論が異なる反対構成,その不採用理由を扱う。設問2では,訴因変更の可否と公判前整理後の許否を分けて扱う。

枠内答案は,別件の拘束要件と独自の捜査を重視して3月20日までの拘束を適法とし,反対説から違法となる理由も示す。訴因変更は基本的事実関係の同一性を認め,変更の契機及び審理計画への影響を検討して許可すべきとする。拘束について適法・違法の一方だけが公式の正解として指定されているわけではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方

一つの番号は,一つの判定対象に対応する。「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は項目の性質を示し,重みとは独立する。負例は誤りを避けているかを判定する。許容分岐は当該構成を採る場合にだけ適用するため,全項目を一つの答案への累積要求として扱わない。番号は全表を通じて連続させる。

出典欄の頁はPDFの頁番号である。表中の説明は引用ではなく要約であり,資料が求める一般枠組みを問題文の具体的事実へ対応させたものも含む。「記載なし」は本問の関連範囲を全部読んだ結果,「間接」は一般枠組みからの対応推論を意味する。両者は未閲覧・原文未取得を意味しない。

2 5段階の重み付けの基準

重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
重み2:一方が軽い表現で触れる補強又は典型的な誤り。
重み1:一方が控えめに触れるだけの事項。

本問では重み4を,両資料が扱う検討対象という意味で用いる。両資料がそろって「高く評価した」と明言したという意味ではない。個別の事実評価が一方にのみ明示され,他方には一般枠組みしかない場合は重み3とした。件数の割当てや旧3段階からの機械換算は行っていない。

第3 本問の概要

強盗致死事件で甲を逮捕する証拠が足りないと考えた警察官は,会社の集金3万円を着服した別件を捜査し,これによる逮捕・勾留中に強盗致死を取り調べた。別件についても,パチンコ店,パソコン,返済先Yの調査が続き,勾留は3月20日まで延長された。付表では横領が7日・20時間,強盗致死が12日・40時間である。

両事件の併合審理について公判前整理手続が行われ,量刑のみが争点とされた。公判で初めて,甲に集金権限がなかったことが社長の証言により明らかになり,検察官が業務上横領から詐欺へ訴因変更を請求した。甲は権限欠如を認め,当事者双方から追加の証拠調べ請求はない。設問2の中心は,既に請求された変更を許可できるかである。

第4 評価項目と重み
1 設問1―別件逮捕・勾留
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感1横領を別件,強盗致死を本件とする別件逮捕・勾留の問題を捉える
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:拘束の問題を取調べの問題から分ける入口。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1・共通)。検討対象・理由付けの根拠。6頁(設問1・共通)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。2身体拘束の適法性の自説の判断基準を明示する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:自説の規範が当てはめを統御する骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1-1)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1-1)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。3採用基準を事件単位の令状審査等の制度的根拠から導く
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:規範を制度から導く論証の骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1-1)。検討対象・理由付けの根拠。8頁(設問1-1)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。4採用理論から違法になる場合の条件を具体化する
区分:必須。由来:両者由来。
適用:全答案・選んだ基準に対応。
重みの理由:拘束違法へ移る条件を説明する骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1-1)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1-1)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。5横領の逮捕について199条1項・2項の根拠を示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1・法定要件)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。6社長とAの供述及び入金帳簿不存在から横領の相当な嫌疑を検討する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・法定要件)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。7被害額・生活及び証拠状況から逮捕の必要性を具体的に検討する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・法定要件)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。8規則143条の3の逮捕必要性に関する考慮枠組みに言及する
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
適用:逮捕必要性の条文展開をする場合。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。318頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)9207条1項による60条1項の準用を明示する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1・法定要件)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。10横領の嫌疑と罪証隠滅又は逃亡の理由及び勾留必要性を個別に検討する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・法定要件)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。11208条2項を摘示して延長のやむを得ない事由を説明する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・法定要件)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。12Yの出張等による聴取待ちが横領捜査の必要と期間内完了困難に結び付くと説明する
区分:必須。由来:出題の趣旨由来。
適用:延長の判断。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・法定要件)。間接:一般枠組みからの対応推論。13I店のカメラ修理による裏付け待ちを延長の必要へ結び付ける
区分:必須。由来:出題の趣旨由来。
適用:延長の判断。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・法定要件)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・法定要件)。間接:一般枠組みからの対応推論。14本件を捨象しても横領が独自に立件・起訴すべき事件か評価する
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
適用:別件の実体・重要性を重視する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1-1)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)15本件逮捕には証拠不足であった請求時の捜査状況を評価する
区分:必須。由来:出題の趣旨由来。
適用:目的又は実質拘束を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。6頁(設問1・事実評価)。間接:一般枠組みからの対応推論。16少額の被害と渋る社長への届出説得を捜査目的の推認へ用いる
区分:必須。由来:出題の趣旨由来。
適用:目的又は実質拘束を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。6頁(設問1・事実評価)。間接:一般枠組みからの対応推論。17Pの他犯罪探索の意図を取り上げる
区分:必須。由来:出題の趣旨由来。
適用:目的又は実質拘束を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。6頁(設問1・事実評価)。間接:一般枠組みからの対応推論。18Rも本件逮捕を視野に並行捜査した意図を独立に評価する
区分:必須。由来:出題の趣旨由来。
適用:目的又は実質拘束を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。6頁(設問1・事実評価)。間接:一般枠組みからの対応推論。19死亡を伴う本件と3万円の別件との重大性の差を評価する
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
適用:目的又は実質拘束を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)20路上ひったくりと集金横領の間に事件として関連性がないことを評価する
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
適用:目的又は実質拘束を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)21横領7日・20時間と強盗12日・40時間の状況を正確に対照する
区分:高評価。由来:両者由来。
適用:両事件の捜査比重を評価する構成。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。419頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・事実評価)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。22本件自白が自発的でなく追及を契機としたことを拘束利用の評価へ結び付ける
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
適用:本件拘束としての実質を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)23横領の弁解・アリバイ・集金自認・金額自認の段階を区別する
区分:高評価。由来:両者由来。
適用:別件捜査の進展を評価する構成。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。419頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・事実評価)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。24パチンコ店,PC,Yの裏付け捜査の継続を具体的に分析する
区分:高評価。由来:両者由来。
適用:別件捜査の進展を評価する構成。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。419頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・事実評価)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。25第三者事情等を踏まえ,別件捜査の遅延が捜査官の懈怠によらないことを評価する
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
適用:別件捜査完了・延長を評価する構成。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。319頁(設問1・事実評価)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)26各事実が自説の基準に対して持つ具体的な意味を述べ結論へ接続する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:事実の列挙から法律評価への分岐。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問1-1)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1-1)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。27自説と理論構成及び結論の双方が異なる反対説を示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:設問が比較を要求する二つの出力の骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問1-2)。検討対象・理由付けの根拠。10頁(設問1-2)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。28反対説の違法判断基準を明示する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:反対説の評価尺度の骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問1-2)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1-2)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。29反対説の基準を本件令状審査の保障等の理論的根拠から導く
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:反対説の根拠を示す比較論証の骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問1-2)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1-2)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。30反対説に対応する具体的事実を選び異なる結論まで論証する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:反対説を実際の異なる結論まで閉じる骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問1-2)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1-2)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。31反対説を採用しない理由を自説の根拠と連動させる
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:自説と反対説の理由を連動させる分岐。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問1-2)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問1-2)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。32事後事情から目的を推認する反対説に,請求時の目的認定困難だけの批判をしない
区分:負例。由来:採点実感由来。
適用:事後事情を用いて目的を認定する反対説。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)10頁(設問1-2)。誤りの指摘。33余罪取調べの適否と身体拘束自体の適否を取り違えない
区分:負例。由来:両者由来。
重みの理由:評価対象となる処分の取り違えを防ぐ骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1・理論監査)。検討対象・理由付けの根拠。8頁(設問1・理論監査)。誤りの指摘。34本件令状審査欠如を当然違法としつつ別件要件だけで当然適法とする無説明な矛盾を避ける
区分:負例。由来:採点実感由来。
適用:両命題を同一の自説で用いる場合。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)8頁(設問1・理論監査)。誤りの指摘。35本件基準説を本件の逮捕・勾留要件充足だけの審査と理解しない
区分:負例。由来:両者由来。
適用:本件基準説を採用又は比較。
重みの理由:本件基準説の基本的意味を保持する骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1・理論監査)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・理論監査)。誤りの指摘。36実体喪失を用いる場合は喪失条件と拘束違法への根拠を説明する
区分:許容分岐。由来:両者由来。
適用:実体喪失を用いる答案。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。418頁(設問1・理論監査)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・理論監査)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。37適法・違法双方を許容し,単一の公式結論を断定しない
区分:許容分岐。由来:採点実感由来。
適用:全答案・結論自体の採点項目ではない。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。3記載なし(関連範囲実読済み)9頁(設問1・結論幅)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。38途中から違法とする場合にはその時点と法的理由を十分に説明する
区分:許容分岐。由来:採点実感由来。
適用:途中違法の結論を採る場合。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。3記載なし(関連範囲実読済み)9頁(設問1・結論幅)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。39逮捕,当初勾留,延長後勾留の法律上の単位で全期間の要件を検討する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:法的処分単位で拘束全期間を評価する骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。518頁(設問1・処分単位)。検討対象・理由付けの根拠。9頁(設問1・処分単位)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。40本件取調べ日だけ違法,別件取調べ日だけ適法という細切れ評価を無理由に行わない
区分:負例。由来:採点実感由来。
適用:日別の適否を論じる場合を含む全答案。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)9頁(設問1・処分単位)。誤りの指摘。
2 設問2―訴因変更の可否及び許否
番号評価項目重み出題の趣旨採点実感41既に請求された訴因変更の可否と公判前整理後の許否を分ける
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:変更の可否と許否を別層にする入口。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。519頁(設問2・入口)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・入口)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。42訴因変更の要否を主題にして可否・許否を薄くしない
区分:負例。由来:採点実感由来。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)10頁(設問2・入口)。誤りの指摘。43312条1項の同一性による変更限界を示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。44本件が単一性ではなく狭義の同一性の問題であると明示する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。8頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。45訴因変更制度の意義から同一性を要求する実質的理由を説明する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:同一性という限界の制度的理由の骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。46一回的処理に着目する場合は別訴を許すこととの関係まで説明する
区分:許容分岐。由来:採点実感由来。
適用:一回的処理・二重処罰回避を根拠とする場合。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。3記載なし(関連範囲実読済み)10頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。47基本的事実関係の同一性を具体的な判断基準として示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。7頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。48非両立性に着目する場合は何が相容れないか説明する
区分:許容分岐。由来:両者由来。
適用:非両立性を補助基準にする場合。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。7頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。49犯行日,同一甲,同一Aとの3万円集金場面の共通性を説明する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。50A方付近とA方という場所の差を消さず近接する取引場面として評価する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。10頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。51保管中領得と騙取で財物の法律的説明が異なっても同一3万円の取得であると説明する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。52X社とAという被害者の差を消さず同一受領事実を基礎に評価する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・可否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。53日時・場所・被害金・被害者が全て同じだという誤記や字面だけの比較を避ける
区分:負例。由来:採点実感由来。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)10頁(設問2・可否)。誤りの指摘。54抽象的な社会通念上同一というラベルだけで当てはめを終えない
区分:負例。由来:両者由来。
重みの理由:同一性のラベルと具体的理解を分ける分岐。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・可否)。検討対象・理由付けの根拠。10頁(設問2・可否)。誤りの指摘。55訴因変更請求の手続段階を直接制限する明文がないことを示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。56316条の32第1項は終了後の証拠調べ請求の制限であると正確に示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。57公判前整理の目的を充実・継続・計画・迅速な審理と争点証拠整理で説明する
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:終了後変更の制限を導く制度的骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。58変更により争点証拠整理・審理計画が無意味化する危険を制度的根拠として示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:整理手続の無意味化を制限根拠へつなぐ骨格。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。59新事実が公判で明らかになることは制度上予定されるため一律禁止しない
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。320頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。記載なし(関連範囲実読済み)60制度趣旨を没却するかという許否基準を示す
区分:必須。由来:両者由来。
重みの理由:公判前整理後の許否判断の規範。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。61整理手続中に検察官が変更必要性を意識する契機があったかを検討する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:変更契機の有無という経緯審査の分岐。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。62社長が捜査時には権限欠如を話さず公判で初めて証言した経緯を評価する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:出題の趣旨が要求又は考慮対象として示し,採点実感も基準・事実評価又は具体的な誤りとして取り上げる。両資料で高評価と明言したとの意味ではない。420頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。63弁護人の整理段階での権限主張の不存在を事前把握可能性へ結び付ける
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。320頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・許否)。間接:一般枠組みからの対応推論。64変更により審理計画がどれほど修正されるかを独立の観点から検討する
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:審理計画の修正幅という影響審査の分岐。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。12頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。65甲自身が集金権限欠如を認めたことを審理への影響へ結び付ける
区分:高評価。由来:出題の趣旨由来。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。320頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。間接:一般枠組みからの対応推論。66双方に追加証拠請求がないことを審理計画への影響へ結び付ける
区分:高評価。由来:両者由来。
重みの理由:追加立証の有無を審理計画へつなぐ重要事実評価の分岐。対応する公式箇所の取り上げ方を根拠とする。520頁(設問2・許否)。検討対象・理由付けの根拠。11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。67被告人個人の防御だけで制度的な計画審理の利益を代用しない
区分:負例。由来:採点実感由来。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)11頁(設問2・許否)。誤りの指摘。68訴因変更を通じて防御機会が与えられることを無視して不意打ちと断定しない
区分:負例。由来:採点実感由来。
重みの理由:採点実感が指摘する典型的な誤りの防止。2記載なし(関連範囲実読済み)11頁(設問2・許否)。誤りの指摘。69316条の32を趣旨参照・類推する場合は訴因変更へ及ぶ理由を説明する
区分:許容分岐。由来:採点実感由来。
適用:316条の32を訴因変更制限の根拠として用いる場合。
重みの理由:一方の公式資料が明示する中核の理由付け又は条件付きの検討。3記載なし(関連範囲実読済み)11頁(設問2・許否)。答案の理解・論証・事実評価に関する記載。
3 答案全体への一般的な指摘

規範・根拠・重要事実・法的効果をつなぎ,問題文の人物と時点を保持する。これらは一般的な答案作法であり,重みを付した69項目の集計には含めない。取調べの適否,拘束の適否,自白の証拠能力を混同せず,訴因変更の要否を可否・許否の代わりに長く論じない。

4 重みの分布

実際の評価表では,重み5が22件,重み4が21件,重み3が19件,重み2が7件,重み1が0件である。総項目数N=69,重み合計W=265となる。これは独自分析の重みであり,公式の得点ではない。

重み5の全項目は次のとおりである。条件付きの規範や反対説の要求は,該当する立場で判定する。

番号1:横領を別件,強盗致死を本件とする別件逮捕・勾留の問題を捉える(適用:全答案)。番号2:身体拘束の適法性の自説の判断基準を明示する(適用:全答案)。番号3:採用基準を事件単位の令状審査等の制度的根拠から導く(適用:全答案)。番号4:採用理論から違法になる場合の条件を具体化する(適用:全答案・選んだ基準に対応)。番号26:各事実が自説の基準に対して持つ具体的な意味を述べ結論へ接続する(適用:全答案)。番号27:自説と理論構成及び結論の双方が異なる反対説を示す(適用:全答案)。番号28:反対説の違法判断基準を明示する(適用:全答案)。番号29:反対説の基準を本件令状審査の保障等の理論的根拠から導く(適用:全答案)。番号30:反対説に対応する具体的事実を選び異なる結論まで論証する(適用:全答案)。番号31:反対説を採用しない理由を自説の根拠と連動させる(適用:全答案)。番号33:余罪取調べの適否と身体拘束自体の適否を取り違えない(適用:全答案)。番号35:本件基準説を本件の逮捕・勾留要件充足だけの審査と理解しない(適用:本件基準説を採用又は比較)。番号39:逮捕,当初勾留,延長後勾留の法律上の単位で全期間の要件を検討する(適用:全答案)。番号41:既に請求された訴因変更の可否と公判前整理後の許否を分ける(適用:全答案)。番号45:訴因変更制度の意義から同一性を要求する実質的理由を説明する(適用:全答案)。番号54:抽象的な社会通念上同一というラベルだけで当てはめを終えない(適用:全答案)。番号57:公判前整理の目的を充実・継続・計画・迅速な審理と争点証拠整理で説明する(適用:全答案)。番号58:変更により争点証拠整理・審理計画が無意味化する危険を制度的根拠として示す(適用:全答案)。番号60:制度趣旨を没却するかという許否基準を示す(適用:全答案)。番号61:整理手続中に検察官が変更必要性を意識する契機があったかを検討する(適用:全答案)。番号64:変更により審理計画がどれほど修正されるかを独立の観点から検討する(適用:全答案)。番号66:双方に追加証拠請求がないことを審理計画への影響へ結び付ける(適用:全答案)。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記

令和元年5月18日当時の刑事訴訟法を用いる。法律の条文は刑事訴訟法,規則は刑事訴訟規則とする。答案は1→(1)→アの階層で示す。枠内は空白・改行を除き5,131字(見出しと「以上」を含む)である。

2 答案

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令和3年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)

目次

第1 この記事の対象第2 7記事の一覧第3 各問題の概要と重み5の事項1 公法系第1問(憲法)2 公法系第2問(行政法)3 民事系第1問(民法)4 民事系第2問(商法)5 民事系第3問(民事訴訟法)6 刑事系第1問(刑法)7 刑事系第2問(刑事訴訟法)第4 7記事に共通する作り方1 評価項目の抽出2 5段階の重み付け3 模範解答と解説第5 重みの分布の比較1 重み5・4・3の分布2 重み2・1,項目数及び重みの合計3 本記事としての整理第6 関連記事第7 出典1 公式資料2 確認状態
第1 この記事の対象

この一覧の使い方
科目別のリンクから個別記事へ進み,問題文の設問に対応する評価項目,答案,解説及び出典を確認する。別年度との比較や他の科目を探すときは,司法試験の過去問・参考答案一覧を参照されたい。試験制度と受験資格は,司法試験とはで説明している。

令和3年度司法試験の論文式試験について,選択科目を除く主要7科目7問の模範解答記事を一覧にしたものである。
対象は憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法であり,選択科目と短答式試験は対象に含まれない。

令和8年10月8日時点の公開子記事に基づき,各評価表の実際の行から集計した評価項目は合計497項目,重み5は合計149項目である。
7記事とも重み1~5の5段階で整理されているが,必須,高評価,負例及び許容分岐の区分と適用条件は重みから独立している。

模範解答はAIが作成した答案例であり,法務省の公式解答ではない。
項目数と重みは子記事独自の分析であり,公式採点基準・項目別配点・予測得点を表すものではない。

第2 7記事の一覧
科目主な論点評価項目重み5公法系第1問(憲法)匿名表現,顔面被覆の禁止,団体観察・活動媒体の報告6819公法系第2問(行政法)屋台営業候補者の不選定,処分性,訴えの利益,裁量・推薦尊重6917民事系第1問(民法)盗品回復・使用利益,講師契約の解除,連帯保証・求償8622民事系第2問(商法)会社の保証,株式引受けの当事者,総会での議決権行使7116民事系第3問(民事訴訟法)引換給付判決,訴訟承継,時機に後れた新主張6335刑事系第1問(刑法)偽装強盗と窃盗,共犯の錯誤,盗品保管,共犯解消・同時傷害8422刑事系第2問(刑事訴訟法)名刺・USBの差押え,2種類のメモの伝聞・非伝聞5618
第3 各問題の概要と重み5の事項

以下の番号は,各子記事の現在の公開評価表の通し番号である。
旧IDを推測して置き換えず,番号と項目本文を一件ずつ対応させている。
各行の区分・条件を含めて読み,根拠資料の頁・節及び重み5とした理由は,リンク先の評価表と分布説明で確認できる。

1 公法系第1問(憲法)

集団行進で顔を隠すことの禁止(規制①)と,団体の観察指定・活動媒体の毎月報告(規制②)に関する立法助言を扱う。
子記事の答案は,平穏な匿名参加や政治的活動まで制約する現案に問題があると評価する構成である。
法律家甲として憲法適合性を検討し,必要に応じ判例・異なる見解に触れるが,文言の明確性と手続の適正は対象から除く。
子記事は合憲・違憲の結論を一つに固定せず,権利の主体,制約,審査の厳格度及び事実評価の整合を求めている。

重み5は19項目であり,その全事項は次のとおりである。

①番号1:匿名による表現も21条1項の一般的な保障に含まれる理由を示す 区分:必須。適用:全答案

②番号2:匿名性が弱い立場の者への社会的圧力による萎縮を防ぐ価値を示す 区分:必須。適用:全答案

③番号8:顔隠し禁止を単なる参加態様の問題だけに還元しない 区分:負例。適用:全答案

④番号11:保護する権利の捉え方と制約の強度を整合させる 区分:必須。適用:全答案

⑤番号15:権利の重要性と制約態様から審査基準を理由付ける 区分:必須。適用:全答案

⑥番号20:個々の行進の危険度を問わない一律禁止の広さを評価する 区分:必須。適用:全答案

⑦番号27:団体指定・観察・報告義務を一体として捉えつつ各制約を識別する 区分:必須。適用:全答案

⑧番号29:団体の表現の自由を媒体上の主義主張の発信として具体化する 区分:必須。適用:全答案

⑨番号30:団体のプライバシーの保護根拠・内容を表現の自由と区別して示す 区分:必須。適用:全答案。個人情報論との実質的関連だけでは部分一致

(続きを読む...)令和3年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)