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弁護士報酬・費用保険

弁護士報酬の請求と懲戒――時間制報酬・過大請求・預り金からの控除をめぐる懲戒例と日弁連の取消裁決(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 報酬に関する規律1 弁護士法による懲戒2 弁護士職務基本規程3 弁護士の報酬に関する規程第3 報酬の請求が懲戒の対象とされた例1 時間制報酬2 適正かつ妥当な額を超える報酬3 預り金や受領金からの控除4 受任時の説明と委任契約書5 詐欺被害の回復事件の着手金第4 日弁連が処分を取り消し,又は変更した例1 審級ごとに算出した報酬の合算請求2 目的未達の満額請求と審査請求後の和解3 未払報酬と預り金の相殺4 過大報酬とされた着手金と破産申立ての報酬5 法テラスを利用しなかったこと6 異議の申出を受けて処分を重くした例7 裁決等から読み取れること第5 懲戒手続と報酬の清算1 懲戒は報酬の返還を命じる手続ではない2 紛議調停第6 受任時と請求時に確認しておくこと1 依頼者の立場から2 弁護士の立場から第7 関連記事第8 出典1 日弁連の会規2 法令3 懲戒処分及び裁決の公告
第1 この記事の対象と結論

本記事は,弁護士が依頼者に報酬を請求し,又は受領した行為が懲戒の対象となった例と,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)が弁護士会の懲戒処分を取り消し,又は変更した例を,日弁連の機関誌『自由と正義』に掲載された懲戒処分の公告及び裁決の公告に基づいて整理するものである。
本記事の法令及び会規は令和8年9月13日現在のものである。
公告は処分又は裁決の理由の要旨を記載したものにとどまるため,本記事の記述も公告の記載の範囲に限られる。
個々の弁護士の氏名は,本記事の目的との関係で必要がないため記載しない。

結論は次の4点である。
①報酬をめぐる懲戒例では,額が高いことに加えて,受任時に報酬を説明していない,委任契約書を作成していない,依頼者の了解なく預り金や受領金から報酬を差し引いた,時間制報酬で見込み時間の説明が足りないといった事情が重なっていることが多い。
②他方で,報酬の額が適正かつ妥当な範囲を超えることを主な理由として,弁護士職務基本規程24条違反とされた例もある。
③日弁連は,報酬をめぐる紛争が実質的には依頼者と弁護士の間の民事上の紛争であることや,審査請求後の和解等を考慮して,弁護士会の処分を取り消し,又は軽くした例がある一方で,懲戒請求者の異議の申出を受けて,弁護士会の処分を重くした例もある。
④懲戒は弁護士に報酬の返還を命じる手続ではないため,金銭の清算を求めるには,弁護士会の紛議調停や民事訴訟による必要がある。

第2 報酬に関する規律
1 弁護士法による懲戒

弁護士法56条1項は,弁護士及び弁護士法人は,同法又は所属弁護士会若しくは日弁連の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し,「その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。」と定めている。
懲戒は所属弁護士会が行い(同条2項),弁護士に対する懲戒の種類は,戒告,2年以内の業務の停止,退会命令及び除名の4種である(同法57条1項)。
弁護士会の懲戒処分について審査請求があったときは,日弁連は,日弁連の懲戒委員会に事案の審査を求め,その議決に基づいて裁決をしなければならない(同法59条1項)。

後記の公告例の多くは,弁護士職務基本規程や弁護士の報酬に関する規程の条項に違反するとした上で,その行為が弁護士法56条1項の品位を失うべき非行に当たるとしている。
規程の条項を挙げずに,同項の非行に当たるとだけ記載した公告もある。

2 弁護士職務基本規程
(1) 報酬の額に関する規律

弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)24条は,「弁護士は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして、適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。」と定める。
同規程5条は,「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」と定めており,後記の時間制報酬の例には同条違反とされたものがある。

(2) 受任時の説明と委任契約書

同規程29条1項は,「弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。」と定める。
同規程30条1項は,「弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。」と定め,ただし書で,委任契約書を作成することに困難な事由があるときは,その事由がやんだ後に作成するとしている。
同条2項は,受任する事件が法律相談,簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは,委任契約書の作成を要しないとしている。

(3) 預り金と委任の終了

同規程38条は,事件に関して依頼者等から金員を預かったときは,自己の金員と区別し,預り金であることを明確にする方法で保管し,その状況を記録しなければならないと定める。
同規程45条は,「弁護士は、委任の終了に当たり、委任契約に従い、金銭を清算した上、預り金及び預り品を遅滞なく返還しなければならない。」と定める。

3 弁護士の報酬に関する規程

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遺産分割事件の弁護士報酬――旧日弁連基準の「争いのない部分は3分の1」と相当報酬額の裁判例(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 旧日弁連報酬等基準規程の「3分の1」の定め1 遺産分割請求事件の経済的利益2 表形式の転載にみられる「範囲又は」との違い3 計算例4 減額義務と協議による増額の定め第3 旧規程廃止後の規律1 弁護士の報酬に関する規程2 受任時の説明と委任契約書3 民法の委任の報酬と中途終了第4 報酬額の定めがない場合の相当報酬額第5 相続関係事件の報酬をめぐる裁判例1 東京地裁平成30年3月26日判決2 東京地裁令和5年9月26日判決3 東京地裁令和5年2月22日判決4 これらの裁判例から読み取れること第6 委任契約の際に確認しておくこと1 経済的利益の算定方法2 中途終了と手続の移行3 紛議調停と懲戒請求第7 関連記事第8 出典1 日弁連の会規2 法令3 裁判例4 統計
第1 この記事の対象と結論

本記事は,遺産分割事件を弁護士に依頼する場合の着手金・報酬金の算定について,平成16年3月31日に廃止された日弁連の報酬等基準規程(以下「旧規程」という。)が定めていた「争いのない部分は3分の1」の扱いを,規程の文言,現行の会規及び裁判例に基づいて整理するものである。
本記事の法令及び会規は令和8年9月12日現在のものであり,裁判例は裁判所ウェブサイト及び判例秘書で確認した範囲に限っている。

結論は次の3点である。
①旧規程14条1項13号は,分割の対象となる財産の範囲及び相続分の双方について争いのない部分に限り,経済的利益を相続分の時価相当額の3分の1とすると定めていた。
②旧規程は廃止されたが,報酬額の合意がはっきりしない事件では,裁判所が旧規程や単位弁護士会の旧会規を相当報酬額の目安として参照した例がある。
③報酬をめぐる紛争を避けるには,委任契約の段階で,当該事件の経済的利益の算定方法(3分の1の扱いを含む。)と中途終了時の清算方法を書面で具体的に定めておくことが考えられる。

第2 旧日弁連報酬等基準規程の「3分の1」の定め
1 遺産分割請求事件の経済的利益

旧規程(平成7年9月11日会規第38号)は,平成7年10月1日から平成16年3月31日まで適用されていた規程である。
旧規程は,民事事件の着手金及び報酬金を経済的利益の額を基準として算定するものとし(17条1項),経済的利益の算定方法を14条1項各号で事件の類型ごとに定めていた。

遺産分割請求事件についての同項13号は,次のとおりである。
「遺産分割請求事件は、対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の三分の一の額」

本文は相続分の時価相当額を原則とし,ただし書は,遺産の範囲と相続分の双方に争いがない部分に限って,これを3分の1に圧縮する構造である。
範囲と相続分に争いがなければ,主な争点は遺産の分け方の調整にとどまるため,相続分の全額を経済的利益とすると紛争の実態に比して過大になるという考え方によるものと考えられる。
本記事が引用する旧規程の条文は,当ブログに掲載した日弁連の,報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)(制定時の条文)による。

2 表形式の転載にみられる「範囲又は」との違い

インターネット上には,旧規程の内容を表形式にまとめた「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」という資料が複数の法律事務所のウェブサイトに掲載されており,その中には,遺産分割請求事件のただし書を「範囲又は相続分についての争いのない部分」と記載するものがある。
しかし,旧規程の文言は「範囲及び相続分について争いのない部分」であり,後記の東京地裁平成30年3月26日判決も,旧規程を,範囲及び相続分の双方に争いがない部分を3分の1とする定めとして扱っている。

「及び」と「又は」とでは,3分の1が及ぶ範囲が異なり得る。
「範囲及び相続分」であれば,遺産の範囲と相続分のいずれかに争いがある部分には3分の1は及ばない。
これに対して「範囲又は相続分」と読むと,一方にだけ争いがない部分まで3分の1とする余地が生じ,経済的利益が小さく算定される方向にずれる。
なお,直前の14条1項12号(共有物分割請求事件)は,持分の時価の3分の1を原則とし,「分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分」を例外とする逆向きの構造の規定であり,「又は」の文言はこちらに現れる。

3 計算例

旧規程17条1項の報酬金の料率は,経済的利益の額のうち300万円以下の部分が16%,300万円を超え3000万円以下の部分が10%,3000万円を超え3億円以下の部分が6%,3億円を超える部分が4%であった。
以下は,依頼者の法定相続分の時価相当額が6000万円で,遺産の範囲にも相続分にも争いがなく,遺産の分け方だけが問題となった事件で,依頼者が相続分どおりの遺産を取得したと仮定した本記事の計算例である。

相続分の時価相当額6000万円をそのまま経済的利益とすると,報酬金の標準額は498万円(300万円×16%+2700万円×10%+3000万円×6%)となる。
13号ただし書により3分の1の2000万円を経済的利益とすると,報酬金の標準額は218万円(300万円×16%+1700万円×10%)となる。
いずれも消費税相当額を含まない額である(旧規程10条)。

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弁護士費用保険・特約をめぐる主要裁判例-同意・現実の支出・返金・直接請求(AI作成)

第1 対象と結論1 本記事が扱う裁判例2 結論の要旨第2 確認した裁判例の一覧1 論点別の対応2 一覧を読む際の留意点第3 保険者の同意・現実の支出・LAC基準1 東京地裁平成28年10月27日判決とその控訴審(1) 同意と現実の支出(2) LAC基準の位置付け2 福岡高裁令和元年11月27日判決(1) 不同意が常に有効とは限らないこと(2) 当該事件で逸脱又は濫用が否定された理由第4 返金後の費用負担と弁護士からの直接請求1 東京地裁令和4年8月9日判決(1) いったん支払っただけでは足りない場合2 東京地裁令和5年2月8日判決(1) 債権者代位による請求が不適法とされた事例第5 補償対象と費用発生時期1 大阪地裁令和元年5月23日判決(1) 当該免責条項の「労働災害」2 東京地裁令和5年7月19日判決(1) 問題事象と法律事件の発生(2) 各費用を負担した時期第6 裁判例を実務で使うための確認順序1 最初に適用約款を固定する2 同意・支払・返金を時系列化する3 四つの法律関係を区別する第7 関連記事第8 出典1 法令2 裁判例3 職能団体の分科会資料及び学術文献

第1 対象と結論

1 本記事が扱う裁判例

本記事は,弁護士費用保険及び自動車保険の弁護士費用特約について,保険金請求の成否を左右した主要裁判例を論点別に整理するものである。
調査の基準日は令和8年9月7日であり,日本弁護士連合会第24回弁護士業務改革シンポジウム第4分科会報告書の資料5「弁護士費用保険と弁護士選任権―現状の課題と展望」に収録された別表を調査の入口とした。

同別表は,令和8年8月現在の裁判例26件を掲げるが,別表自体は判決全文ではない。
本記事では,そのうち令和8年9月6日までに判例秘書で判決全文を確認した6件を中心とし,東京地裁平成28年10月27日判決の控訴審及び上告経過は公開された判例研究で補った。

残る20件は判決全文の確認が完了していないため,本記事は裁判例の網羅記事ではない。
また,資料5は分科会報告書に収録された山下典孝氏の報告資料であり,その裁判例一覧を日弁連全体の公式な法解釈として扱うものではない。

2 結論の要旨

確認した裁判例からは,弁護士費用保険金の請求では,少なくとも,①事故又は法律問題が補償対象に入るか,②保険者の同意又は承認を得たか,③被保険者が費用を現実に負担したか,④返金後にも最終的な費用負担が残るか,⑤保険金請求権を誰が行使するか,⑥費用が保険期間内に発生したかを分けて検討する必要があるといえる。
ただし,各判決は特定の約款文言と事実関係を前提としており,「弁護士費用特約なら常に同じ結論になる」という一般法理を示したものではない。

第2 確認した裁判例の一覧

1 論点別の対応

主な論点裁判例本記事で確認した結論保険者の同意,現実の支出及びLAC基準東京地裁平成28年10月27日判決・平成28年(ワ)第10728号,東京高裁平成29年4月27日判決・平成28年(ネ)第5242号当該約款では同意と現実の支出が請求権発生の要件であり,LAC基準は弁護士報酬そのものではなく保険金支払の基準であるとされた。同意拒絶が裁量権の逸脱又は濫用となる余地福岡高裁令和元年11月27日判決・令和元年(ネ)第462号例外の余地を認めたが,当該事案では不同意を不合理とはしなかった。通勤災害に関する免責大阪地裁令和元年5月23日判決・平成30年(ワ)第7687号当該免責条項の「労働災害」には通勤災害も含まれるとされた。弁護士費用の全額返金東京地裁令和4年8月9日判決・令和4年(レ)第198号支払額と同額の返金を受け,最終的な費用負担が残らない部分について保険金請求を否定した。弁護士による債権者代位東京地裁令和5年2月8日判決・令和4年(ワ)第15286号依頼者の無資力の主張立証がなく,債権者代位による訴えは不適法とされた。問題事象の発生及び費用発生時期東京地裁令和5年7月19日判決・令和4年(ワ)第29168号事情聴取・弁明の段階では約款上の問題事象等に直面したといえず,契約失効後に負担した費用も対象外とされた。

2 一覧を読む際の留意点

裁判所ウェブサイトの裁判例検索は,すべての裁判例を掲載しているわけではない旨を明記している。
本記事で扱う各判決は裁判所ウェブサイト未掲載であるが,未掲載であることは判決の不存在を意味しないため,出典欄には裁判所名,裁判年月日,事件番号,掲載誌又は判例秘書文献番号を示した。

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弁護士費用保険の保険金が減額・不払いになったとき-再査定・日弁連ADR・そんぽADR・消滅時効(AI作成)

目次

第1 結論-理由を分解し,時効を止めずに進める1 最初に行うべきこと2 再査定,ADR及び時効管理は別々の作業である第2 減額・不払いの理由を六つに分ける1 補償義務の有無2 免責事由3 対象費目4 必要性及び相当性5 事前同意及び選任手続6 金額の算定第3 再査定を求める方法1 資料を一式そろえる2 書面で回答を求める項目3 再査定申出の骨格第4 日弁連ADRとそんぽADRの違い1 比較表第5 日弁連の弁護士費用保険ADR1 対象となる紛争2 申立人と受任弁護士の制限3 和解あっせん,裁定及び見解表明4 手数料5 時効完成猶予の扱い第6 そんぽADRセンター1 利用できる相手方と申立人2 苦情解決手続と紛争解決手続3 和解案と特別調停案4 時効完成猶予は限定的である第7 消滅時効を管理する1 3年の起算点を一律に事故日にしない2 再査定中であることだけに依存しない3 管理表の最低項目第8 ADR申立書に添付する資料1 共通する提出パケット2 ADRを選ぶ前の確認第9 実務上の留意点1 保険金と弁護士報酬を混同しない2 確認した裁判例の範囲第10 まとめ1 実行順序第11 出典1 法令及び行政資料2 日弁連の資料3 そんぽADRセンター等の資料
第1 結論-理由を分解し,時効を止めずに進める
1 最初に行うべきこと

弁護士費用保険又は弁護士費用特約の保険金が減額され,又は支払われなかった場合,最初に確認すべきものは,事故時に適用される約款,不払い又は減額の根拠条項,保険会社が認定した事実及び計算過程である。
単に「LAC基準に合わない」「必要性がない」などの結論だけを争うのではなく,①補償義務,②免責,③対象費目,④必要性・相当性,⑤事前同意,⑥金額計算のどこで見解が分かれたのかを特定する必要がある。

2 再査定,ADR及び時効管理は別々の作業である

保険会社への再査定の申出,日弁連の弁護士費用保険ADR及びそんぽADRセンターは,目的,申立人,対象となる保険会社,手続の効果及び費用が異なる。
特に,ADRを申し立てたというだけで,常に消滅時効の完成が猶予されるわけではない。

保険法95条1項は,保険給付を請求する権利について,権利を行使することができる時から3年間行使しないときは時効によって消滅すると定める。
したがって,再査定やADRを進める場合も,別に起算点,完成予定日及び完成猶予・更新事由を管理する必要がある。

第2 減額・不払いの理由を六つに分ける
1 補償義務の有無

対象事故,対象となる法的手続,被保険者の範囲,保険期間又は支払事由の発生時期が約款の補償要件を満たすかという争いである。
この争いでは,商品名や一般的な「弁護士費用特約」のイメージではなく,当該事故に適用される約款本文を基礎にする。

2 免責事由

故意,契約締結前から存在した紛争,家族間紛争その他の免責条項に該当するかという争いである。
保険会社に対しては,適用した免責条項と,その条項に該当すると認定した具体的事実を対応させた説明を求める。

3 対象費目

着手金,報酬金,時間制報酬,法律相談料,日当,実費,鑑定費又は資料取得費が,約款のどの費目に該当するかという争いである。
同じ請求書に記載された金額でも,費目ごとに補償要件,事前同意の要否及び上限が異なることがあるため,一括して扱わない方がよい。

4 必要性及び相当性

費用の種類自体は補償対象でも,事件との関連性,必要性,相当性,重複又は代替可能性が争われる場合がある。
この場合は,費用ごとに,対象となる争点,行った作業,作業量,立証趣旨及び他の資料では代替できない理由を示す。

5 事前同意及び選任手続

弁護士への委任,費用の支出又は報酬額について,約款所定の事前同意を得ているかという争いである。
弁護士を自分で選べることと,その弁護士に支払う費用が全額保険金になることは別問題であり,詳細は「弁護士費用保険で弁護士を自分で選べるか」で整理している。

6 金額の算定

補償対象であること自体に争いがなくても,経済的利益,時間単価,作業時間,着手金と報酬金の算定基礎,既払額又は上限額により減額される場合がある。
この場合は,保険会社の計算式を入手し,入力値と計算方法を分けて確認する。

第3 再査定を求める方法
1 資料を一式そろえる

再査定の前に,次の資料を時系列順にそろえる。
① 保険証券及び契約内容が分かる資料
② 事故時に適用される約款及び特約
③ 弁護士との委任契約書,報酬説明書及び変更合意
④ 保険会社へ提出した事前承認申請,見積書及び請求書
⑤ 保険会社の承認,不承認又は減額回答
⑥ 作業記録,領収書,送金記録及び資料の立証趣旨
⑦ 保険会社との電話,電子メール及び面談の記録

適用約款が不明なままでは,どの事実が必要かも定まらない。
保険始期日だけでなく,事故日,紛争発生日,弁護士選任日,費用発生日及び請求日を並べ,当該商品に適用される版を確認する。

2 書面で回答を求める項目

再査定の申出では,少なくとも次の事項を項目別に尋ねる。
① 適用約款の名称,版及び条項
② 支払対象と認めた費目及び認めなかった費目
③ 各結論の前提となった認定事実
④ 金額の算定式,単価,作業時間,経済的利益及び控除額
⑤ 不足している資料と,提出した場合に再検討される事項
⑥ 争いのない部分を先に支払うことの可否
⑦ 再査定を担当する部門及び社外専門家の関与の有無
⑧ 利用できる苦情窓口及びADR

金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅱ-4-4-3は,支払査定後に苦情があった場合の再度の事実確認,算定根拠の説明及び不払時の根拠条項を含む説明に着目している。
また,日本損害保険協会の「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」は,支払額に異議がある場合の説明・再調査や,不払時の根拠条項・認定事実の説明,外部専門家を含む再検証の仕組みを掲げている。

もっとも,監督指針は保険会社の態勢に関する監督上の着眼点であり,同ガイドラインは損害保険業界の自主的な指針である。
これらは,再査定で確認すべき事項を示す重要な資料であるが,個別約款にない補償義務を当然に発生させるものではない。

3 再査定申出の骨格

再査定の申出は,次のように,争点,約款,事実及び資料を一対一で対応させるとよい。

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弁護士費用保険におけるAI利用-保険金査定・法律相談・弁護士紹介・利益相反(AI作成)

第1 対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 AIによる保険金査定1 AIが支援しやすい処理2 人が実質的に判断すべき処理3 説明,再審査及び監査ログ第3 AIによる法律情報と法律相談1 一般情報と個別法律判断を分ける2 免責表示だけでは決まらない3 消費者向け保険相談への適用限界第4 AIによる弁護士の検索,推薦及び紹介1 検索条件の提示と特定事件の取次ぎ2 「最適な弁護士」の目的関数3 自己選任と保険金給付は別問題である第5 利益相反を三つの関係に分ける1 保険会社と被保険者2 弁護士と依頼者3 AI事業者と複数の利用者第6 個人情報,秘密及びセキュリティ1 入力資料の性質2 委託と第三者提供を混同しない3 弁護士が入力する場合の秘密保持第7 導入・監査のチェックリスト1 導入前2 個別判断時3 継続監査第8 現時点の限界第9 関連記事第10 出典1 法令2 行政機関の監督指針及びガイドライン3 職能団体の公開資料
第1 対象と結論

1 本記事の対象

本記事は,弁護士費用保険にAIを利用する場面を,①保険金査定,②法律情報・法律相談,③弁護士の検索・推薦・紹介,④利益相反,⑤個人情報・秘密管理に分け,令和8年9月6日現在の公開資料に基づいて整理するものである。
生成AIを用いて資料を収集・照合したが,条文はe-Gov法令検索で,行政資料及び講演資料は公表元の本文で確認した。

対象は,日本の保険会社又はその委託先がAIを用いる一般的な制度設計である。
個別商品の補償範囲,特定の保険金請求の可否,特定のAIサービスの適法性及び個々の弁護士の利益相反は,約款,委任契約,サービス設計及び実際の運用によって異なるため,本記事だけでは判断できない。

2 結論

AIは,請求資料の読取り,約款との照合,対象費目の分類,計算,類似案件の検索及び説明案の作成に利用できる。
しかし,因果関係,約款の解釈,例外事情,不払理由,個別紛争への法律判断及び特定弁護士への取次ぎは,別の法的・職業倫理上の問題を含むため,同じ自動処理の延長として扱うべきではない。

本記事では,実務上必要な統制を,①AIが扱った入力,②参照した約款・法令・資料の版,③AIの出力と不確実性,④人が行った採否及び理由,⑤被保険者への説明と再審査という五つを連結して記録する仕組みと整理する。
これは一つの法令が一律に定めた五要件ではなく,金融庁の監督指針,政府のAI事業者ガイドライン及び後記の日弁連分科会資料を組み合わせた実務上の整理である。

第2 AIによる保険金査定

1 AIが支援しやすい処理

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウム第4分科会資料のうち,SOMPOの担当部署が作成した資料は,損傷箇所・程度の推定,見積りの妥当性確認及び非定型事案の抽出をAIが支援し得る処理として掲げている(同資料PDF44頁)。
同資料は日弁連の統一見解又は弁護士費用保険に限定した実証研究ではないが,機械処理と人の判断を分ける設計例として参考になる。

弁護士費用保険でも,請求書から費目と金額を抽出すること,適用約款の候補を探すこと,限度額及び既払額を計算すること,必要書類の欠落を示すことは,AI又はルールエンジンによる支援になじみやすい。
もっとも,AIが読み取った事実と,約款上の評価を分け,原資料へ戻れるようにしなければならない。

2 人が実質的に判断すべき処理

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弁護士費用保険で弁護士を自分で選べるか-自己選任・保険者の同意・費用負担・利益相反(AI作成)

第1 結論-自己選任と保険金支払は別問題である1 自分で探した弁護士を選任することはできる2 日本では商品・約款ごとの確認が必要である第2 自己選任の前に確認すべき事項1 適用約款を特定する2 「同意」の対象を曖昧にしない3 委任前に書面又は電子メールで確認する第3 弁護士費用の負担範囲1 四つの法律関係を分けて考える2 LAC基準と委任契約上の報酬は同一ではない3 返金と直接払いにも注意が必要である第4 保険者と被保険者の利益が対立するとき1 通常は被保険者が弁護士の依頼者である2 利益相反が表面化しやすい場面3 情報提供と守秘義務を区別する第5 LACによる紹介,自己選任及び非弁提携1 紹介案件と選任済み案件2 紹介料又はあっせん対価の問題第6 不同意,減額又は不払となった場合の対応1 理由と根拠を文書で確認する2 相談機関とADR3 保険金請求権の消滅時効第7 EUの弁護士選択の自由との違い1 EUでは指令が自由選択権を明記する2 自由選択は費用の全額補償を意味しない3 EU法を日本の契約へ直接適用することはできない第8 自己選任時の確認事項第9 関連記事第10 出典1 法令及び会規2 裁判例3 弁護士会及び業界団体の資料4 外国法及び外国裁判例
第1 結論-自己選任と保険金支払は別問題である
1 自分で探した弁護士を選任することはできる

弁護士費用保険を利用する場合であっても,被保険者が自分で探した弁護士と委任契約を締結することはできる。
東京弁護士会LAC運営委員会の解説も,保険会社等から弁護士会へ紹介依頼が来る「紹介案件」と,被保険者等が既に弁護士を選んでいる「選任済み案件」を区別している。
したがって,LACの制度実務上も,保険会社又は弁護士会の紹介によらない案件が想定されている。

ただし,自分で弁護士を選任できることと,その弁護士に支払う費用が保険金の対象となることは別問題である。
保険金支払の可否及び範囲は,事故日,原因事実又は契約始期に応じて適用される約款,保険者の事前同意又は承認の有無,費用の算定基準及び支払限度額によって決まる。

2 日本では商品・約款ごとの確認が必要である

2026年9月6日までに確認した日本の法令及び公表資料の範囲では,EU法のように弁護士費用保険一般について弁護士選択の自由を明記した法定の一般条項は確認できない。
そのため,日本で「どの弁護士でも自由に選べ,その費用は必ず全額支払われる」と一般化することはできない。

日本損害保険協会の損害保険Q&Aは,典型的な自動車保険について,弁護士費用特約の対象を保険会社の承認を得て支出した費用と説明し,保険会社の同意を得ずに支出した弁護士費用等は支払対象とならない場合があるとしている。
これは個別約款そのものではないため,実際の契約では保険証券,重要事項説明書及び適用約款を確認する必要がある。

第2 自己選任の前に確認すべき事項
1 適用約款を特定する

同じ保険会社の商品でも,契約時期,補償対象,事故の種類及び特約の改定によって約款が異なることがある。
まず,保険会社に事故受付番号を確認し,どの年度又は版の約款が適用されるかを文書で特定する必要がある。

確認対象は,弁護士費用の補償限度額だけではない。
①弁護士の選任に同意が必要か,②委任契約又は費用支出に事前承認が必要か,③着手金,報酬金,時間制報酬,日当,実費及び鑑定費用のどこまでが対象か,④LAC基準その他の算定基準が適用されるか,⑤弁護士へ直接送金するか,被保険者が立替後に請求するかを確認する必要がある。

2 「同意」の対象を曖昧にしない

保険会社が事故の受付又は弁護士への相談を了承しただけで,弁護士の選任,委任契約の内容及び費用額の全てに同意したことになるとは限らない。
福岡高裁令和元年11月27日判決は,当該約款上,弁護士報酬の支払について保険者の同意が原則として必要であるとした上で,交渉上の支払提案が当然に約款上の同意になるとは認めなかった。

同判決は,保険者の不同意が不合理であり,裁量の範囲を逸脱し,又は裁量権を濫用したと評価される場合には,同意がなくても保険金請求が認められる余地を示した。
もっとも,同判決の事案では逸脱又は濫用を否定しており,事前同意がなくても広く請求できると理解すべきではない。

3 委任前に書面又は電子メールで確認する

自己選任を希望する場合は,弁護士名,事件の概要,予定する手続,費用見積り及び委任予定日を保険会社へ伝え,承認の対象と上限を回答してもらうことが望ましい。
電話だけで確認した場合でも,日時,担当者名,質問及び回答を記録し,確認内容を電子メール等で送り返しておくと,後日の認識違いを減らすことができる。

第3 弁護士費用の負担範囲
1 四つの法律関係を分けて考える

自己選任の問題では,①被保険者が弁護士を選ぶこと,②被保険者と弁護士が委任契約を結ぶこと,③保険者が被保険者へ保険金を支払うこと,④保険者が弁護士口座へ直接送金することを区別する必要がある。

(続きを読む...)弁護士費用保険で弁護士を自分で選べるか-自己選任・保険者の同意・費用負担・利益相反(AI作成)

イタリアの弁護士費用保険-補償範囲・弁護士選択・訴訟管理(AI作成)

目次

第1 対象と結論1 調査報告と本記事の範囲2 法的費用保険と賠償責任保険の防御費用は別である第2 イタリア法上の法的費用保険1 民間保険法第173条の定義2 他の保険と組み合わせる場合の別建て3 保険金請求管理の三つの方式第3 弁護士選択の自由1 EU指令第201条と民間保険法第174条2 道路車両に関する例外3 弁護士選択と全額補償は同じではない第4 賠償責任保険の防御費用1 民法第1917条第3項の上限2 訴訟費用を三つに分ける3 保険者指定外の弁護士費用第5 市場と報酬基準1 令和6年の市場規模と個人向け比率2 弁護士報酬基準の令和4年改訂第6 日本の制度と比較するときの視点1 EU法上の権利を日本法へ直接移さない2 契約確認の順序3 関連記事第7 出典1 法令及びEU指令2 裁判例3 統計及び調査報告
第1 対象と結論
1 調査報告と本記事の範囲

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウムは,令和8年9月5日に開催された。
第4分科会の配布資料には,令和7年9月8日から同月12日までに実施されたミラノ及びローマの調査をまとめた「イタリア調査報告―イタリアの弁護士費用保険の現況について」が収録されている。
本記事は,この調査報告を出発点としつつ,令和8年9月6日現在のEU指令,イタリアの法令,破毀院及びEU司法裁判所の公表資料と照合して,制度の骨格を整理するものであり,AIを用いて作成した。

配布資料は,現地訪問で得られた実務情報を含む点で有用である一方,法令の要約には原文と一致しない箇所がある。
そこで,本記事では,法令又は裁判例に関する記述は一次資料を優先し,保険会社の運用に関する記述は配布資料に記載された訪問調査の結果として区別して扱う。

2 法的費用保険と賠償責任保険の防御費用は別である

イタリア法を読む際には,法的費用保険と,賠償責任保険に付随する防御費用とを最初に分ける必要がある。
両者はいずれも弁護士費用に関係するが,根拠条文,保護する利益及び限度額の考え方が異なる。

区分主な根拠基本的な機能法的費用保険EU指令2009/138/EC第198条以下,イタリア民間保険法第173条以下被保険者が権利を主張し,又は防御するための法的費用等を保険者が負担し,又は法的サービスを提供する。賠償責任保険の防御費用イタリア民法第1917条第3項第三者の損害賠償請求に対抗するため,被保険者が負担した費用を一定の範囲で保険者が負担する。

法的費用保険では,弁護士を選ぶ権利と,保険金請求を誰が管理するかが中心的な論点になる。
これに対し,賠償責任保険では,第三者請求への防御費用,敗訴者負担の訴訟費用及び保険者との訴訟費用を混同しないことが実務上重要である。

第2 イタリア法上の法的費用保険
1 民間保険法第173条の定義

イタリア民間保険法第173条は,法的費用保険を,保険料の支払と引換えに,司法手続又は裁判外手続において,被保険者の利益を確保するために必要な法的費用若しくは鑑定費用を負担し,又はその他のサービスを提供する契約として定めている。
具体的には,損害賠償請求を行う場面と,民事,刑事又は行政上の請求若しくは非難から防御する場面が含まれる。

この定義から分かるのは,法的費用保険が単なる弁護士報酬の立替制度ではないことである。
裁判外の交渉,専門家費用及び権利保護のためのサービスも,契約内容に応じて対象となり得る。

2 他の保険と組み合わせる場合の別建て

民間保険法第173条第2項は,法的費用の保障を他の保険と組み合わせる場合,保険証券の独立した部分に,保障内容,条件及び対応する保険料を記載するよう求めている。
これは,EU指令2009/138/EC第199条に対応する。

したがって,自動車保険等に法的費用保障が付帯している場合でも,賠償責任保障と法的費用保障を一体のものとして読んではならない。
保険証券では,対象となる紛争,免責事由,保険金額,自己負担,通知義務及び弁護士費用の算定方法を,法的費用保障の条項ごとに確認する必要がある。

3 保険金請求管理の三つの方式

民間保険法第164条は,法的費用保険に固有の利益相反を抑えるため,保険者が採用する管理方式を三つ示している。
その要旨は,①担当者を他部門から分離して保険者自身が管理する方式,②法的に別個の事業体に管理を委ねる方式,③保険事故が発生した時から,被保険者が弁護士その他の有資格者に自己の利益の防御を委ねることができる方式である。

ここでいう管理方式は,保険者の内部統制に関する仕組みである。
後述する司法手続等における弁護士選択の権利とは関係するものの,同じ制度ではないため,契約を検討するときは両者を別々に確認する必要がある。

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弁護士費用保険とLAC制度の違い―ミカタ・自動車保険特約・ADRの課題(AI作成)

目次

第1 LAC制度は弁護士費用保険そのものではない

1 LAC制度の役割
2 紹介案件と選任済み案件
3 LAC基準がすべての商品に共通するわけではない

第2 弁護士保険ミカタは個別の保険商品である

1 ミカタとLAC制度との接点は弁護士紹介等である
2 待機期間と原因事実の発生時期
3 ミカタ自身との紛争等に関する免責
4 基準弁護士費用,事前承認及び直接送金

第3 自動車保険の弁護士費用特約は各社約款を確認する

1 300万円の表示だけでは補償額を決められない
2 保険会社独自基準とLAC利用時の基準を分ける
3 委任前の承認と関連記事

第4 ADRは相手方と争点に応じて選ぶ

1 日弁連の弁護士費用保険ADR

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弁護士費用特約の保険金と源泉徴収――所得税法204条の解釈が分かれる理由(AI作成)

第1 自動車保険の弁護士費用特約と源泉徴収の分岐1 弁護士費用特約とは2 保険会社によって源泉徴収の有無が分かれていること第2 源泉徴収義務の根拠となる規定1 所得税法6条及び204条1項2号2 個人が支払う場合の適用除外と保険会社への不適用第3 実費・立替金の取扱い1 名目ではなく実質で判断される原則2 交通費・宿泊費の直接払いによる除外3 登録免許税・手数料等による除外第4 保険会社は「支払をする者」に当たるか1 委任契約の不存在を理由とする不要説2 支払の実質に着目する必要説3 類似の場面における通達の考え方第5 弁護士法人として受任する場合第6 源泉徴収された場合に弁護士に生じる効果1 確定申告における税額控除2 実務上の対応第7 残された不確実な点出典1 法令2 法令解釈通達3 所管行政機関の解説・Q&A4 文献等
5 裁判例

本稿は,自動車保険等の弁護士費用特約に基づき,保険会社が被保険者の依頼した弁護士へ弁護士報酬及び実費を保険金として支払う場面について,所得税法204条の源泉徴収義務の要否を扱う。
弁護士費用特約の内容,利用できる者及び利用できる手続の一般的な説明は,別稿「弁護士費用特約」(弁護士山中理司の交通事故相談HP)に譲る。

本稿が扱うのは,同特約に基づく保険金の支払実務のうち,保険会社が弁護士へ直接支払う場合の源泉徴収の要否について,保険会社間で対応が分かれている点に限られる。

第1 自動車保険の弁護士費用特約と源泉徴収の分岐

1 弁護士費用特約とは

弁護士費用特約は,自動車保険等の特約であり,被保険者が交通事故の加害者に対する損害賠償請求を弁護士に委任する場合の法律相談費用,弁護士報酬及び実費を,保険会社が保険金として負担するものである。
弁護士費用特約を利用する場合,保険会社が被保険者の依頼した弁護士へ直接,弁護士報酬相当額を支払う運用(以下「代理払い」という。)が広く行われている。

直接払いと初期費用の負担,補償範囲及び支払紛争への対応という制度上の課題は,別稿「弁護士費用保険(権利保護保険)の課題(AI作成)」で扱っている。

2 保険会社によって源泉徴収の有無が分かれていること

代理払いに際して,保険会社が所得税及び復興特別所得税を源泉徴収した上で支払う場合と,源泉徴収をせずに全額を支払う場合とがある。
高松総合法律事務所のブログ記事「弁護士費用補償特約による支払いと源泉徴収」(2018年5月16日公開)は,当時の認識として,東京海上日動火災保険株式会社は源泉徴収をしておらず,その他の保険会社は源泉徴収をしている(源泉徴収を前提とした請求書の作成を求められる)ことを紹介している。
同記事の公開から本稿執筆時点(令和8年8月28日)までに8年余りが経過しており,この記述は各社の現在の取扱いを保証するものではないから,具体的な事案では,当該保険会社に個別に確認する必要がある。
もっとも,この対応の分かれ自体は,所得税法204条の解釈上の一点に起因するものであるから,以下ではその解釈上の問題を整理する。

第2 源泉徴収義務の根拠となる規定

1 所得税法6条及び204条1項2号

源泉徴収義務の一般的な根拠規定は所得税法6条であり,同条は「給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は,この法律により,その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある」と定める。

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被保険者本人が支出した診療録,画像記録その他の資料取得費が弁護士費用特約の「弁護士・損害賠償請求等費用」に当たり得るか(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご依頼・ご相談は「交通事故のお問い合わせ」から可能です。
目次

第1 本記事の射程と結論

1 本記事の対象

(1) 一般論としての検討
(2) 検討対象となる公開約款

2 結論の要点

(1) 本人取得という一事だけでは対象外としにくいこと
(2) 本人取得費用が無条件に補償されるわけではないこと
(3) 見解相違が生じた場合の基本順序

第2 あいおいニッセイ同和損害保険の定義②の解釈

1 約款の構造

(1) 定義①と定義②の役割分担
(2) 本人による手続を予定する除外規定
(3) 第2条(1)の同意要件

2 文理解釈及び体系解釈

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弁護士費用特約(AIリライト)

◯山中弁護士への事件のご依頼・ご相談は「交通事故のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 弁護士費用特約の仕組み

1 弁護士費用特約とは何か
2 最初に確認するのは事故日に適用される約款である
3 保険金額300万円と法律相談費用10万円は一例である
4 補償され得る費用

(1) 相談料,着手金,報酬金及び実費
(2) 上級審,刑事手続及び相談のみの利用

5 利用と等級の取扱い
6 利用の実情

第2 弁護士費用特約を利用できる人

1 記名被保険者とその家族
2 契約自動車の搭乗者,運転者及び所有者
3 自動車保険以外の保険から利用できる場合
4 複数の特約が見つかった場合

第3 補償される事故と対象外になり得る事故

1 自動車事故限定型と日常生活事故型

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弁護士報酬の源泉徴収義務と支払調書(AIリライト)

目次

第1 弁護士報酬を支払うときの基本判断

1 支払者と受領者を確認する

2 源泉徴収の要否の早見表

第2 源泉徴収の対象額と税額計算

1 報酬の名目と実費の取扱い

2 消費税等がある場合

3 税率と手取額契約

第3 源泉所得税の納付と徴収漏れ

1 源泉徴収の時期と納期限

2 納期の特例

3 徴収漏れと求償

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日弁連の,弁護士の報酬に関する規程(平成16年2月26日会規第68号)

日弁連の,弁護士の報酬に関する規程(平成16年2月26日会規第68号)(平成16年4月1日施行)の制定時の条文は以下のとおりです。
(目的)
第一条 この規程は、会則第八十七条第二項及び弁護士法人規程第十九条に基づき、弁護士(弁護士法人を含む。以下同じ。)の報酬に関し必要な事項を定めることを目的とする。
 (弁護士の報酬)
第二条 弁護士の報酬は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なものでなければならない。
* 弁護士報酬と依頼人の支払能力,事件の経済的価値及び保険・民事法律扶助その他の支払原資との関係については,「弁護士の財力は依頼人と事件の財力を反映するか(AI作成)」をご参照ください。
 (報酬基準の作成・備え置き)
第三条 弁護士は、弁護士の報酬に関する基準を作成し、事務所に備え置かなければならない。
2 前項に規定する基準には、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期及びその他弁護士の報酬を算定するために必要な事項を明示しなければならない。
 (報酬見積書)
第四条 弁護士は、法律事務を依頼しようとする者から申し出があったときは、その法律事務の内容に応じた報酬見積書の作成及び交付に努める。
 (報酬の説明・契約書作成)
第五条 弁護士は、法律事務を受任するに際し、弁護士の報酬及びその他の費用について説明しなければならない。
2 弁護士は、法律事務を受任したときは、弁護士の報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。
3 前項の規定にかかわらず、受任した法律事務が、法律相談、簡易な書面の作成、顧問契約等継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。
4 第二項に規定する委任契約書には、受任する法律事務の表示及び範囲、弁護士の報酬の種類、金額、算定方法及び支払時期並びに委任契約が中途で終了した場合の清算方法を記載しなければならない。
 (情報の提供)
第六条 弁護士は、弁護士の報酬に関する自己の情報を開示及び提供するよう努める。

   附 則
1 この規程は、平成十六年四月一日から施行する。

2 この規程の施行の際現に受任している法律事務の弁護士の報酬については、なお従前の例による。

* 日弁連の報酬に関する規程は,以下の4種類です。
① 報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)
・ 昭和24年10月16日から昭和50年 3月31日まで適用されていました。
② 報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)
・ 昭和50年 4月 1日から平成 7年 9月30日まで適用されていました。

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日弁連の,報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)

日弁連の,報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)(平成7年10月1日施行,平成16年3月31日廃止)の制定時の条文は以下のとおりです。
第一章 総 則
(目的)
第一条 この規程は、弁護士法に基づき、弁護士会が定める弁護士の報酬に関する標準を示す規定の基準を定めることを目的とする。
(弁護士会の弁護士報酬規定)
第二条 弁護士会は、この規程を基準とし、所在地域における経済事情その他の地域の特性を考慮して、弁護士の報酬に関する標準を示す規定を適正妥当に定めなければならない。
(弁護士報酬の種類)
第三条 弁護士報酬は、法律相談料、書面による鑑定料、着手金、報酬金、手数料、顧問料及び日当とする。
2 前項の用語の意義は、次表のとおりとする。

法律相談料

依頼者に対して行う法律相談(口頭による鑑定、電話による相談を含む。)の対価をいう。

書面による鑑定料

依頼者に対して行う書面による法律上の判断又は意見の表明の対価をいう。

着手金

事件又は法律事務(以下「事件等」という。)の性質上、委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて、その結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき委任事務処理の対価をいう。

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日弁連の,報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)

日弁連の,報酬等基準規程(昭和50年3月20日会規第20号)(昭和50年4月1日施行,平成7年9月30日廃止)の制定時の条文は以下のとおりです。
  第一章 総 則
(趣旨)
第一条 弁護士会が定める弁護士報酬等に関する規定は、この規程を基準とし、その弁護士会の所在地域における事情を考慮して、適正妥当に定められなければならない。
(弁護士報酬の種類と支払時期)
第二条 弁護士報酬は、手数料(着手金)、謝金、法律相談料、鑑定料、顧問料及び日当とする。
2 第三章の民事事件及び第四章の刑事事件の手数料は、事件の依頼を受けたとき、謝金は、依頼の目的を達したとき、法律相談料、鑑定料、書類作成手数料、会社設立等手数料、登記登録等手数料、顧問料及び日当は、依頼者との協議により定められたときに、それぞれ支払いを受けるものとする。
(事件の個数と報酬)
第三条 手数料及び謝金は、一件ごとに定めるものとし、裁判上の事件は審級ごとに、裁判外の事件は当初依頼を受けた事務の範囲をもつて一件とする。
2 同一弁護士が上訴審を通じて民事事件を受任したときの謝金は、最終審の謝金のみを受けるものとする。ただし、依頼者との協議によりこれと異なる定めをしたときは、この限りでない。
(報酬等の増減額)
第四条 依頼者が貧困であるとき又は特別の事情があるときは、第二章ないし第六章の規定にかかわらず、弁護士報酬等を減額又は免除することができる。
2 依頼を受けた事件が特に重大若しくは複雑なとき、審理若しくは処理が著しく長期に亘るとき又は受任後同様の事情が生じたときは、第二章及び第三章の規定にかかわらず、弁護士報酬を公正かつ妥当な範囲内で増額することができる。
3 事件の経済的価額以外に、依頼者の受ける利益を加味することが相当な場合は、前項に準ずる。
(解任の場合の報酬等)
第五条 依頼者が、弁護士の責に帰することのできない事由で弁護士を解任したとき、弁護士の同意なく依頼事件を終結させたとき又は故意若しくは重大な過失で依頼事件の処理を不能にしたときは、弁護士は、その弁護士報酬等の全額を請求することができる。
(事件処理の中止等)
第六条 依頼者が、手数料又は事件処理に必要な費用を支払わないときは、弁護士は、事件に着手せず又はその処理を中止することができる。ただし、この場合には、あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
(報酬の相殺等)
第七条 依頼者が、手数料、謝金又は立替費用等を支払わないときは、弁護士は、依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引渡さないでおくことができる。ただし、この場合には、すみやかに依頼者にその旨を通知しなければならない。
(報酬契約書の作成)
第八条 弁護士は、事件を受任したときは、すみやかに報酬契約書を作成するよう努めなければならない。
2 報酬契約書には、事件の表示、受任の範囲、弁護士報酬等の金額又はその算定方法並びにその支払の時期、その他特約事項を記載するものとする。
(規定の遵守及び宣伝等の禁止)
第九条 弁護士は、所属弁護士会の定める報酬規定を遵守し、その最低額未満をもつて事件を取扱う旨の表示又は宣伝をしてはならない。

  第二章 法律相談料等
(法律相談料等)
第十条 法律相談料及び鑑定料は、次のとおりとする。
一、法律相談(口頭による鑑定、電話による相談を含む。)一時間以内は五、〇〇〇円以上とし、一時間を超えたときは、右の基準により加算する。

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日弁連の,報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)

日弁連の,報酬等基準規程(昭和24年10月16日会規第7号)(昭和24年10月16日施行,昭和50年3月31日廃止)の制定時の条文は以下のとおりです(「手数料」は着手金のことであり,「謝金」は成功報酬金のことです。)。
第一條 弁護士の受くべき報酬は、第三條に定める額を標準として地方の事情、事件の難易軽重、依頼者の社会的地位及び資力並びにその受ける利益等を参酌し、適正妥当と認められる金額でなければならない。
第二條 報酬は、手数料、謝金、鑑定料及び顧問料とする。
2 手数料は、事件の依頼を受けたとき、謝金は、依頼の目的を達したとき、鑑定料は、鑑定を終えたとき、顧問料は依頼者との合意により定められた時期に支拂を受けるものとする。
第三條 報酬は、依頼を受けた事件の種類により、左に掲げる標準に従つて定るものとする。
一 民事又は商事に関する事件であつて目的の価額を算定することができるものについては、手数料及び謝金は、それぞれ、目的の価額が十万円以下のものは、その百分の三十以下の金額とし、十万円を越えるものは、そのうち十万円にあたる部分につきその百分の三十以下、十万円を越える部分につき百分の二十以下としてこれを合算した金額とする。但し、手数料及び謝金の金額を合計して目的の価額の百分の五十を越えてはならない。
二 人事事件、非訟事件その他民事又は商事に関する事件であつて目的の価額を算定することができないものについては、事件処理の結果依頼者の受くべき経済上その他の利益を標準とし、前号に準じて手数料及び謝金の金額を定める。
三 仮差押事件、仮処分事件若しくはその異議事件の手数料及び謝金又は証拠保全事件の手数料は、依頼者との合意により、その本案事件の手数料又は謝金に包含させ、又はこれと別に定めることができる。
本案事件と別に定める場合においては、その金額は、前二号の定める標準の二分の一以下とする。
四 破産事件、和議事件、強制執行事件、競売事件及び個人財産又は、法人の整理事件の手数料及び謝金は、第一号の定める標準の二分の一以下の金額とする。但し、整理事件が訴訟、調停、破産、和議その他の裁判上の手続を伴う場合においては、依頼者との合意に基き、その整理事件に対する報酬とは別に、この規程の定める標準により、当該裁判上の手続に対する手数料及び謝金の金額を定めることができる。
五 会社の設立、合併、資本増加、資本減少又は清算に関する手続の依頼を受けた場合における手数料及び謝金は、それぞれ、拂込資本金額、増加若しくは減少した拂込資本金額又は解散当時の会社財産の金額を標準とし、その百分の五以下の金額とする。
六 行政訴訟事件及び特許法第百二十八條の二(実用新案法第二十六條、意匠法第二十五條又は商標法第二十四條の規定により準用する場合を含む。)の規定による訴訟事件の手数料及び謝金については、第二号の規定を準用し、訴願事件の手数料及び謝金は、行政訴訟事件について定めることのできる手数料及び謝金の二分の一以下の金額とする。
七 刑事事件の手数料及び謝金
(一)簡易裁判所係属事件
手数料 三千円以上
謝金
イ 無罪若しくは免訴の言渡を受け、又は公訴が棄却されたときは、三千円以上
ロ 刑の執行猶予の言渡を受けたときは、二千円以上
ハ 罰金を求刑され、判決において科料の言渡を受けたときは千円以上
ニ その他判決における刑の言渡が求刑より著しく軽くなつたときは千円以上
(二)地方裁判所及び高等裁判所係属事件
手数料 五千円以上
謝金
イ 無罪若しくは免訴の言渡を受け、又は公訴が棄却されたときは、五千円以上
ロ 執行猶予の言渡を受けたとき若しくは体刑を求刑され、判決において罰金又は科料の言渡を受けたときは、三千円以上
ハ 罰金を求刑され、判決において科料の言渡を受けたときは、二千円以上
ニ その他判決における刑の言渡が求刑より著しく軽くなつたときは、二千円以上
(三)上告事件
手数料 五千円以上
謝金

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