メインコンテンツへスキップ

公証人・公正証書

融資実行前の公正証書で差押えできるか―諾成的消費貸借と追加証書(AI作成)

目次

第1 契約の成立と執行証書の効力を分ける第2 書面による消費貸借は交付前にも成立する第3 分割貸付に関する行政先例第4 現在の公証実務の案内第5 分割実行では交付済み額と予定額を管理する第6 公証役場への相談前に用意する資料第7 電子公正証書でも請求の範囲を先に確認する第8 出典
第1 契約の成立と執行証書の効力を分ける

融資の前に契約を公正証書にしておけば,後日返済が滞ったときに,その証書だけで直ちに差押えができるとは限らない。書面による消費貸借契約が成立することと,その公正証書が返還請求の強制執行に使えることは,分けて確認する必要がある。

一部だけを先に貸し付け,残額は工事の進捗等に応じて交付する契約では,契約書の貸付予定総額と,公正証書作成時に実際に交付された額を混同しないことが重要である。

本記事は貸金返還請求についての公正証書を扱い,未交付額の取扱いと,実行後の証書整備を整理する。

第2 書面による消費貸借は交付前にも成立する

民法587条の2第1項は,書面でする消費貸借について,一方が金銭等の引渡しを約し,相手方が受け取った物と同種・同品質・同数量の物の返還を約することで効力を生ずると定めている。同条4項は,契約内容を記録した電磁的記録についても書面による場合と同様に扱う。

現行法上,「まだ金銭を渡していないから,書面で合意しても消費貸借契約は一切成立しない」と説明するのは正確ではない。他方,契約が成立することから,未交付の金額について直ちに貸金返還の強制執行ができるという結論が当然に導かれるわけでもない。

民事執行法22条5号は,一定額の金銭の支払等を目的とする請求について作成された公正証書で,債務者が直ちに強制執行に服する旨を陳述したものを債務名義としている。契約の成立要件と,この執行証書の要件とは,検討の対象が異なる。

第3 分割貸付に関する行政先例

法務省民事局の『公証人法関係 解説・先例集(三訂版)先例編』(平成18年3月)には,昭和32年6月6日民事甲1067号通達に係る分割貸付の照会・回答が収録されている。

照会の事案は,船舶建造資金の貸付総額1000万円のうち,最初の250万円を契約時に交付し,残りの750万円を起工・進水・竣工の各時点に分けて交付するというものであった。将来の交付予定額についても,当初の公正証書により執行できるかが問題になっている。

収録された回答は,既に金銭の授受がある部分は執行証書となり得るが,未授受の部分については,公正証書作成当時に返還請求権が現存しないとして,両者を分けた。また,後の貸付について,執行認諾を伴う追加の公正証書を作成する取扱いを示している。

ただし,この回答は昭和32年のものである。そこで用いられた消費貸借の成立に関する説明を,民法587条の2のある現行法へそのまま移してはならない。現在の契約成立と執行実務は,それぞれ現在の資料で確かめる必要がある。

第4 現在の公証実務の案内

日本公証人連合会の「金銭消費貸借」Q2は,諾成的消費貸借の公正証書について,貸金返還請求権の執行力は認められないとの実務上の見解を示し,金銭を受け取った後に公正証書を作成するよう案内している。

これは公証実務の団体が示す案内として参照すべき資料である。同案内にある裁判所の見解についての説明を,特定の最高裁判決の判示と同じものとして紹介することはしない。

実務上は,融資前の公正証書だけで実行後の返還請求まで処理できると見込まず,貸付の時期と証書の作成時期を公証役場へ伝え,金銭交付後にどの証書を整えるかをあらかじめ相談することが適切である。

第5 分割実行では交付済み額と予定額を管理する

分割貸付では,貸付予定総額,各回の予定日・予定額,各回の実際の交付日・交付額,既存の証書が扱う範囲を別々に整理するとよい。予定が変更されたときは,実際の入出金と証書の対象を照合する。

例えば,総額1000万円の契約で初回250万円だけを交付した段階と,追加の250万円を交付した段階とでは,交付済み額が異なる。これは整理のための例であり,総額の記載や執行認諾文言があるだけで,未交付額も同様に執行できることを意味しない。

振込記録や受領書は,交付の事実・日付・金額を確かめるために保管する。他方,それらを持参すれば,当初の証書の未交付部分が当然に執行証書へ変わると考えてはならない。追加証書の要否と記載内容は,実行済みの貸付と当初の証書を公証人に示して確認する。

第6 公証役場への相談前に用意する資料

相談時には,契約案又は既存の公正証書,貸付日程表,交付済み額の資料,返済条件をまとめる。貸主・借主,元本,返済期日,分割返済の各回,利息・遅延損害金及び保証の有無が,資料間で一致しているかも確かめる。

まだ交付していない金額を,既に受領した金額として記載する案は避ける。予定日と実行日を区別し,実行の変更・中止があったときに,どの記載を見直すかを確認しておく。

代理人による手続を予定する場合も,借入れの合意,公正証書の作成及び強制執行認諾について,誰のどの権限を確認する必要があるかを公証役場へ相談する。契約書・委任状・受領資料を一体で点検することが,後の食い違いを防ぐために役立つ。

第7 電子公正証書でも請求の範囲を先に確認する

電子公正証書を利用する場合にも,作成媒体と,どの請求について執行できるかという問題を分けて考える。正本に相当する書面等,執行文及び送達に関する手続を整える前提として,対象の返還請求が執行証書でカバーされているかを確認する。

裁判所の債権執行の案内は,公証人が作成した電子の債務名義について,記録事項記載書面,執行文及び送達証明に関する提出方法を示している。具体的な申立資料は,電子公正証書を債務名義として強制執行する方法を参照されたい。

和解金等の債務名義化については,裁判外の和解契約書・合意書の作り方も参考になる。ただし,貸付の交付時期が問題となる場面を,既存債務の支払合意と同一に扱わない。

(続きを読む...)融資実行前の公正証書で差押えできるか―諾成的消費貸借と追加証書(AI作成)

公証人とは―仕事内容・資格・年収の見方と公証役場の利用方法(AI作成)

目次

第1 公証人とは1 公証人は公務員なのか2 公証役場の書記も公証人と同じ身分なのか第2 公証人はどのような仕事をするのか1 公正証書の作成2 私署証書・定款の認証3 確定日付の付与第3 公証人になれる人は誰か1 法曹有資格者と学識経験を有する者の任命2 人数・前職・応募状況を調べるには第4 公証人の年収はどのように考えるべきか第5 公証人と司法書士・弁護士の違い1 役割の違い2 遺言・相続・離婚で迷う場合第6 公証役場を利用するには1 公証役場を探して,目的と必要資料を確認する2 住所地以外の公証役場や,出張・リモート方式を利用できるか3 相談料・作成費用はいくらか,誰が払うか第7 出典・参考資料
第1 公証人とは

公証人は,法務大臣に任命され,公正証書の作成,私署証書や定款の認証,確定日付の付与などを行う法律の専門家である。
当事者の合意や意思を法的に明確な形で残し,将来の紛争を予防する役割を担う。
公証人が仕事をする事務所を「公証役場」という。
遺言を公正証書にしたい人,養育費などの合意を証書に残したい人,会社設立のために定款認証を受けたい人などが利用する。

1 公証人は公務員なのか

公証人は国家公務員法上の公務員ではないが,国の公証作用を担う実質的な公務員である。
法務大臣が任命し,法務局又は地方法務局に所属する一方,国庫から給与や諸手当が支給される仕組みではない。
このため,「公務を行うか」という問題と,「国から給与を受ける国家公務員か」という問題を分ける必要がある。

2 公証役場の書記も公証人と同じ身分なのか

公証人本人と,公証人が雇用する書記・事務補助者とは区別する必要がある。
公証人法24条は,所属法務局等の長の認可を受けて書記を置き,執務を補助させることを認めている。
法務省の公募案内も,書記の人件費を公証人が手数料収入から負担すると説明している。
公証役場で働いているというだけで,公証人として任命されたことや,国から給与を受ける職員であることを意味するわけではない。
なお,公証人法8条には一定の場合に法務事務官が公証人の職務を行う制度があるため,個別の身分を確認するときは,公証人・書記・法務事務官を混同しないことが必要である。

身分と雇用についての根拠は,公証人法7条・8条・10条・11条・24条及び法務省の公募案内7「公証人の職務内容等」である。
原資料のURLは第7に掲載している。

第2 公証人はどのような仕事をするのか
1 公正証書の作成

公正証書は,公証人が権限に基づいて作成する公文書である。
遺言のほか,金銭の貸借,離婚に伴う養育費・財産分与,任意後見契約など,目的に応じて作成する。
合意内容を書面にしたい場合でも,公証人が相手に合意を強制したり,争いのある条件を一方的に決めたりする手続ではない。

金銭の支払などについて,一定の要件を満たし,債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述を記載した公正証書は,執行証書となる。
すべての公正証書が,すべての約束について直ちに強制執行できるわけではない。
遺言の方式を詳しく確認したい場合は,公正証書遺言の方式遵守を立証するための方法を参照されたい。

2 私署証書・定款の認証

私署証書の認証は,署名又は記名押印のある私文書について,作成名義人の意思に基づいて作成されたことを公証人が証明するものである。
認証と,公証人自身が公正証書を作成することとは別の手続である。
株式会社などの設立では,定款について公証人の認証を受ける制度がある。

(続きを読む...)公証人とは―仕事内容・資格・年収の見方と公証役場の利用方法(AI作成)

電子公正証書を債務名義として強制執行する方法―公正証書正本情報,執行文,送達及び紙申立て(AI作成)

目次

第1 結論
第2 電子公正証書が執行証書となる要件
第3 原本・記録事項記載書面・公正証書正本情報の違い
第4 執行文
第5 送達と送達証明
第6 現在の債権執行申立て
第7 申立て前チェックリスト
第8 民事執行デジタル化との関係
第9 根拠資料

第1 結論

1 令和7年10月1日以後,公正証書は原則として電磁的記録で作成・保存されます。しかし,電子公正証書を取得したことと,強制執行をオンラインで申し立てられることは別問題です。

2 令和8年9月29日現在,電子公正証書に基づいて債権差押え等を申し立てる場合,裁判所の現行案内は,公証役場から公証人法44条1項2号の書面(記録事項記載書面),執行文及び送達証明書を取得して提出する取扱いを示しています。

3 裁判所が作成した電子判決書・電子調書等では「事件特定情報」を申立書に記載して債務名義正本等の提出を省略できる場合がありますが,公証人が作成した電子公正証書について同じ仕組みをそのまま用いるものではありません。

4 以下は金銭債権について強制執行認諾文言を備えた公正証書を主な対象とする一般的な整理です。条件成就,承継,複数債務者,期限の利益喪失条項等が問題となる事件では,執行文の種類及び必要資料を公証役場・申立先裁判所に個別確認する必要があります。

5 準備は,①公正証書が執行証書の要件を満たすかを確認する,②公証役場で必要な記録事項記載書面と執行文を準備する,③送達と送達証明を確認する,④申立先裁判所の最新書式・必要書類と照合する,という順に整理すると分かりやすくなります。
第3・第4・第5で各書類の違い,第7で申立て前の確認項目を説明しています。

第2 電子公正証書が執行証書となる要件

1 民事執行法22条5号は,金銭の一定額の支払又は代替物・有価証券の一定数量の給付を目的とする請求について作成された公正証書で,債務者が直ちに強制執行に服する旨を陳述したものを債務名義(執行証書)としています。

2 したがって,公正証書であれば常に強制執行できるわけではありません。少なくとも,対象となる給付請求が特定され,債務者の強制執行認諾の陳述が記載又は記録されていることが必要です。

3 電子化によって変わったのは主に作成・保存・提供の媒体です。執行証書となるための実体的要件や,執行文及び送達を要する原則までなくなったわけではありません。

4 貸付前に作成する公正証書では,書面による消費貸借契約の成立と,返還請求についての執行証書の効力を分けて確認する必要があります。
民法587条の2により書面による契約が成立することから,未交付額についての返還請求まで当然に執行できるとはいえません。

(続きを読む...)電子公正証書を債務名義として強制執行する方法―公正証書正本情報,執行文,送達及び紙申立て(AI作成)

公正証書の閲覧・謄本を請求できる「利害関係人」の判断基準と異議申立て(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

第2 「利害関係を有する第三者」の意義

1 条文の文言と趣旨
2 行政先例にみる該当性の判断(昭和36年民事局長回答)
3 行政先例にみる該当性の判断(昭和39年民事局長回答)

第3 遺言公正証書における利害関係人の特則

1 遺言者の生存中の独自請求と任意代理による請求
2 法定後見人からの請求も制限されること

第4 閲覧・謄本の交付を拒否された場合の異議申立て

1 法務局長・地方法務局長への異議申出
2 法務大臣へのさらなる異議申出及び異議申立ての限界

第5 関連記事
出典・参考資料

1 法令・通達

(続きを読む...)公正証書の閲覧・謄本を請求できる「利害関係人」の判断基準と異議申立て(AI作成)

公正証書作成手続のデジタル化-遺言公正証書はウェブ会議で作成できるか(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論1 対象2 調査の基準日及び適用時点3 結論第2 公正証書作成手続のデジタル化1 施行日及び指定公証人2 電磁的記録による作成が原則である3 インターネットによる嘱託4 正本及び謄本に相当するもの第3 遺言公正証書をウェブ会議で作成できるか1 法令上の根拠(1) 口述の聴取(2) 読み聞かせ及び承認(3) 証人の立会い2 施行規則が遺言公正証書を名指しで想定している3 適用が除外されるのは保証意思宣明公正証書だけである4 成年被後見人の遺言は対象外である第4 リモート方式の要件及び手続1 三つの要件2 相当性の判断3 申込み及び本人確認4 必要な機材5 場所の要件第5 証人及び操作を補助する者の取扱い1 証人の欠格事由は民法974条による2 欠格者はパソコンの操作のためにも出席できない3 証人が同席する場合の記載第6 電子データ等による新たな遺言制度との区別第7 参考-遺言公正証書の作成件数第8 出典・参考資料1 法令2 所管行政機関の資料3 日本公証人連合会の資料4 参考文献
第1 この記事の対象と結論
1 対象

この記事は,令和7年10月1日に施行された公正証書の作成手続のデジタル化を扱う。
中心に置くのは,遺言公正証書をウェブ会議(リモート方式)によって作成することができるか,できるとして,どのような要件,手続及び制約があるかである。

公正証書の作成手数料の改定については,別稿の令和7年10月1日施行の公証人手数料令改正で扱っているため,この記事では触れない。
公正証書遺言の「口授」の要件については,公正証書遺言の「口授」とは-要件・判例・無効訴訟の実務を参照されたい。

2 調査の基準日及び適用時点

この記事の調査の基準日は,令和8年9月2日である。
法令は,同日現在のe-Gov法令検索で確認した現行条文による。
公証人法施行規則については,令和8年3月10日施行の現行版のほか,令和7年10月1日施行版も確認した。
法務省が公表する指定公証人一覧は令和8年8月3日現在のものである。

3 結論

遺言公正証書は,ウェブ会議によって作成することができる。
遺言であることを理由に一律に排除されているわけではない。

公証人法上,ウェブ会議による作成が明文で排除されているのは保証意思宣明公正証書だけである(公証人法37条3項)。
これに加えて,公証人法施行規則24条10号は,ウェブ会議の方法によって遺言公正証書を作成する場合に証書へ記載すべき事項を定めている。
すなわち,法令は遺言公正証書をこの方法で作成することを正面から予定している。

もっとも,実際に利用できるかどうかは公証人の個別の判断による。
日本公証人連合会は,遺言のように本人の意思の確認が重要なものについては慎重に判断されるとしている。
また,成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時にする遺言は,書面での作成が前提となるため,デジタル化及びリモート方式の対象外である。

第2 公正証書作成手続のデジタル化
1 施行日及び指定公証人

令和7年10月1日,公正証書の作成手続のデジタル化に関する改正公証人法が施行された。

公証人法及び他の法令により公証人が行うこととされた電磁的記録に関する事務は,法務大臣の指定した公証人(指定公証人)が取り扱い,その指定は告示によって行われる(公証人法7条ノ2)。
したがって,デジタル化された手続を利用できるのは指定公証人の役場に限られる。

法務省が公表する指定公証人の一覧は,「電磁的記録の認証等」に係る指定と「公正証書の作成」に係る指定とを別の欄で表示している。
このうち「公正証書の作成」に係る指定の効力発生日は,東京法務局管内で令和7年10月1日から同年11月28日まで,横浜地方法務局及びさいたま地方法務局管内で同年11月10日,札幌法務局,高松法務局,徳島地方法務局,高知地方法務局及び松山地方法務局管内で同年12月15日というように,役場ごとに定められている。
全国一斉に始まったものではない。

2 電磁的記録による作成が原則である

公証人は,嘱託があった場合には,電磁的記録をもって公正証書を作成することにつき困難な事情がある場合を除き,電磁的記録によって公正証書を作成する(公証人法36条)。
嘱託人が紙と電磁的記録のいずれかを選択できる制度ではない。

日本公証人連合会は,電磁的記録による作成が困難な事情の例として,①法律上書面で作成することが前提となっている場合(列席者の署名押印が義務づけられている保証意思宣明公正証書及び成年被後見人の遺言公正証書,券面又は付箋への記載が必要な手形・小切手の拒絶証書など),②技術的・物理的に困難な場合(PDF化することが困難な大きな図面を添付する必要があるとき,機材の故障により電磁的記録としての作成ができないときなど)を挙げている。

列席者は,パソコン上でタッチペンを用いて氏名を手書きする電子サインを行い,押印は不要である。
身体の障害等により電子サインができない列席者については,公証人がその旨を記録する(公証人法40条5項,公証人法施行規則27条)。
公証人は,電子サインに加えて,官職証明書に係る電子証明書による電子署名を行う。

3 インターネットによる嘱託

嘱託人は,公正証書の作成を嘱託する場合には,官公署の作成した印鑑に関する証明書又は署名用電子証明書等を提供する方法その他の法務省令で定める方法により,嘱託人が本人であることを明らかにしなければならない(公証人法28条)。
従来の来所及び印鑑証明書による本人確認に加えて,嘱託に係る情報に電子署名をし電子証明書を付してインターネットから送信する方法を利用できるようになった。

4 正本及び謄本に相当するもの

嘱託人,その承継人又は利害関係を有する第三者は,電磁的記録で作成された公正証書について,記録されている事項の全部又は一部を出力した書面の交付の請求又は当該事項を記録した電磁的記録の提供の請求をすることができる(公証人法43条1項2号・3号)。
嘱託人又はその承継人は,公正証書に記録されている事項を記載した書面又は記録した電磁的記録であって,その内容が公正証書の記録事項と同一であることを公証人が法務省令で定める方法により証明したものの交付又は提供の請求をすることができる(公証人法44条1項2号・3号)。

令和7年の法改正により,従来の「正本」及び「謄本」は,書面で作成される公正証書について用いる用語となった。
電磁的記録で作成される公正証書については,従来の正本に相当するものが「公正証書正本情報」(電磁的記録の場合)又は「同一事項証明書面」(書面の場合),従来の謄本に相当するものが「公正証書証明情報」(電磁的記録の場合)又は「全部事項出力書面」(書面の場合)と呼ばれる。
交付を受けた書面の表題がこれらの用語になっている場合,それは当該公正証書が電磁的記録によって作成されたことを意味するのであって,ウェブ会議によって作成されたことを意味するものではない。

第3 遺言公正証書をウェブ会議で作成できるか
1 法令上の根拠

遺言公正証書をウェブ会議で作成できることは,次の三つの規定の組合せから導かれる。

(1) 口述の聴取

公証人は,嘱託人からの申出があり,かつ,当該申出を相当と認めるときは,法務省令で定めるところにより,公証人及び列席者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって,聴取した陳述その他の自己の実験した事実の実験を行うことができる(公証人法37条2項)。
公正証書によって遺言をするには,遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授することを要するところ(民法969条1項2号),この口述の聴取は同項にいう事実の実験に当たる。

(続きを読む...)公正証書作成手続のデジタル化-遺言公正証書はウェブ会議で作成できるか(AI作成)

公正証書遺言の保存期間及び検索方法-必要書類,謄本請求及び手数料(AI作成)

目次

第1 公正証書遺言の保存期間

1 法令上の原則は20年であること
2 遺言公正証書は長期間保存されること
3 原本の二重保存及び電子原本の保存

第2 公正証書遺言を検索できる範囲

1 昭和64年1月1日以後の遺言公正証書が対象であること
2 検索で判明する事項と判明しない事項
3 検索を申し出ることができる者,申出先及び費用

第3 遺言検索の必要書類

1 相続人本人が申し出る場合
2 相続人以外又は代理人が申し出る場合

第4 検索後の謄本請求

1 検索と謄本請求は別の手続であること
2 謄本は郵送でも請求できること
3 令和7年10月1日以後の交付手数料
4 検認の要否と検索制度の限界

(続きを読む...)公正証書遺言の保存期間及び検索方法-必要書類,謄本請求及び手数料(AI作成)

公正証書遺言の作成手数料-現行額と計算例(AIリライト)

目次

第1 公正証書遺言の費用を構成する項目

1 法定の公証人手数料と別途費用

2 目的の価額と必要資料

第2 目的の価額に応じた基本手数料

1 令和7年10月1日改定後の料金表

2 受益者ごとに算定して合算する方法

3 遺言加算

第3 枚数加算と証明情報の交付費用

1 公正証書の枚数等による加算

2 書面交付と電磁的記録による提供

(続きを読む...)公正証書遺言の作成手数料-現行額と計算例(AIリライト)

公正証書遺言の原本,正本等及び謄本等―電子化後の違いと請求できる人(AI作成)

目次

第1 公正証書遺言の原本

1 令和7年10月1日以後の原本は原則として電磁的記録であること

2 書面で作成される場合及び施行前の原本

3 原本は公証人側で保存されること

第2 原本,正本等及び謄本等の対応関係

第3 公証人法43条の謄本等

1 嘱託人,承継人及び利害関係を有する第三者が請求できること

2 附属書類及び一部の情報も対象となること

3 遺言者の生存中と死亡後の取扱い

第4 公証人法44条の正本等

1 請求できる者は嘱託人又はその承継人であること

2 電磁的原本に対応する書面と公正証書正本情報

(続きを読む...)公正証書遺言の原本,正本等及び謄本等―電子化後の違いと請求できる人(AI作成)

遺言書の付言事項とは―法的効力・書き方・文例と相続トラブルを防ぐ注意点(AIリライト)

目次

第1 付言事項の意味と目的第2 法的な強制力と解釈・証拠としての意味第3 書き方と文例1 家族への感謝を伝える文例2 財産配分の理由を伝える文例3 生前贈与を説明する文例第4 遺留分を請求しないでほしいという付言の限界第5 自書・本文との整合性などの注意点1 自筆証書遺言の一部として書く付言も自書する2 本文との矛盾や一方的な非難を避ける第6 出典及び実務書の記載第7 関連記事

第1 付言事項の意味と目的
本記事は,令和8年10月18日時点の法令及び公表資料に基づき,付言事項の意味,書き方及び記載上の注意点を説明します。

付言事項とは,財産の分け方などの法的な処分とは別に,家族への感謝,遺言を作った経緯,配分の理由や希望を伝える記載です。
相続人にその内容を理解してもらい,遺言の実現を円滑にする役割がありますが,記載すれば必ず紛争を防げるというものではありません。

宇都宮地方法務局の「遺言について」も,感謝の気持ち,遺言書を作成した経緯や想い,遺産分配の理由など,法的に効力を生じない事項を記載できると説明しています。
付言事項を書くこと自体は,遺言書作成の必須条件ではありません。

第2 法的な強制力と解釈・証拠としての意味
「家族で仲良くしてほしい」などの希望を記載しても,その希望だけで相続人に法律上の義務を課すことはできません。
一方で,付言の記載が遺言本文の意味や生前の財産移動を検討する手掛かりになることはあります。
希望に強制力がないことと,記載された事情が解釈や証拠の資料になり得ることは区別する必要があります。

また,「付言事項」という見出しの下にあるから,すべての記載について法的効果を一律に否定できるわけではありません。
例えば,民法903条3項の特別受益の持戻し免除に当たる意思表示かどうかは,記載の内容と事情を確認して判断する問題です。
希望,事実の説明及び法的効果を持たせる意思表示を混在させず,必要な処分は本文で明確にしておくことが大切です。

具体的な遺言解釈の問題は,「任せる」「託す」と書かれた遺言は有効かで説明しています。
付言を不動産の特定や遺言本文の解釈の資料として読む場面は,未登記建物は誰のものかの第6も参照してください。

第3 書き方と文例
付言は本文の末尾にまとめる方法が一般的ですが,前書きに置くこともあります。
どこに置く場合でも,誰にどの財産を取得させるかという本文の処分と,その理由や気持ちを伝える部分を読み分けられるようにします。
次の文例は気持ちや理由を伝えるための例であり,財産の承継先や取得割合を定める本文の代わりになるものではありません。

1 家族への感謝を伝える文例
私の生活を支えてくれた家族の皆さんに感謝しています。

(続きを読む...)遺言書の付言事項とは―法的効力・書き方・文例と相続トラブルを防ぐ注意点(AIリライト)

遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言の取扱い及び公証人の補助参加(AI作成)

目次

第1 遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言

1 公証人の証言の信用性
2 公証人の証言拒絶権
3 公証人に具体的な記憶がない場合の証拠評価

第2 遺言無効確認請求訴訟における公証人の補助参加

1 補助参加の要件及び手続
2 公証人による補助参加の申出を却下した裁判例
3 国家賠償請求及び国から公証人に対する求償
4 公証人の身元保証金

第3 既判力と補助参加の効力を区別する
第4 出典
第5 関連記事

第1 遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言
1 公証人の証言の信用性
遺言無効確認請求訴訟では、公正証書遺言を作成した公証人の証言又は回答書が、口授の有無、作成時の遺言者の状態及び作成手順を認定するための重要な証拠となることがある。

石田明彦ほか「遺言無効確認請求事件の研究(上)」(判例タイムズ1194号44頁、54頁~55頁)は、平成7年以降に大阪地裁民事部が受理し、判決に至った遺言無効確認請求事件等40件を検討している。

(続きを読む...)遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言の取扱い及び公証人の補助参加(AI作成)

公証人の任命状況(Markdown形式)(AI作成)

◯本ブログ記事の元データは「公証人の任命状況(2019年5月1日以降)→公証人への任命直前の,元裁判官,元検事等の経歴を記載したもの」です。
2026年

所属法務局
任命日
期
氏名
最後の職
退官理由
退官日

水戸
2026年10月1日

安藤慎一

横浜
2026年10月1日

杉浦直紀
法務省人権擁護局長

(続きを読む...)公証人の任命状況(Markdown形式)(AI作成)

公証人一覧

1 各資料の基準日時点の公証人一覧を,以下のとおり掲載しています。
 このページに掲載している名簿のうち最も新しいものは,令和7年10月1日現在の名簿です。
 現在の公証役場の所在地・連絡先を調べる場合は,日本公証人連合会の公証役場一覧で確認し,担当者や受付方法は各公証役場に問い合わせてください。
 過去の名簿に載っていることを,現在もその役場に在職していることの証明として扱うことはできません。
平成30年10月1日現在,令和 2年10月1日現在,
令和 3年10月1日現在,令和 4年10月1日現在,
令和 5年 8月1日現在,令和 6年 8月1日現在,
令和 7年10月1日現在,

2 以下の記事も参照してください。
・ 公証人とは―仕事内容・資格・年収の見方と公証役場の利用方法
・ 令和7年10月1日施行の公証人手数料令改正
・ 公証人の任命状況(2019年5月1日以降)→公証人への任命直前の,元裁判官,元検事等の経歴を記載したもの
・ 平成18年度以降の,公証人の任命状況

平成18年度以降の,公証人の任命状況

このページは,法務省作成の公証人の任命統計,公募・応募状況及び過去の国会答弁資料を整理したものです。
掲載する統計・答弁にはそれぞれ基準日があり,現在の在職者数,募集中の採用枠又は現在の平均年収を一律に示すものではありません。
公証人の仕事・身分・相談先の概要は,公証人とは―仕事内容・資格・年収の見方と公証役場の利用方法を参照してください。

目次

1 公証人の任命状況
2 公証人の公募及び応募状況等
3 公証人の採用選考
4 過去の採用状況と法務省の説明
5 民間出身者からの応募が少なかった理由(平成29年の答弁資料)
6 公証人ポストの事実上の任期
7 公証人の手数料収入
8 収支合同の公証役場
9 関連記事その他

* 「公証人の任命状況(2019年5月1日以降)→公証人への任命直前の,元裁判官,元検事等の経歴を記載したもの」,及び「公証人一覧」も参照してください。

1 公証人の任命状況
(1) 法務省民事局総務課公証係作成の「公証人の任命状況」を以下のとおり掲載しています。
・ 平成26年度から令和5年度まで
・ 平成25年度から令和4年度まで
・ 平成24年度から令和3年度まで
・ 平成23年度から令和2年度まで
・ 平成22年度から令和元年度まで
・ 平成21年度から平成30年度まで
* 「公証人の任命状況(平成26年度から令和5年度)及び指定公証人の数」といったファイル名です。

(続きを読む...)平成18年度以降の,公証人の任命状況