◯ 本記事は、77期新任判事補研修の「令状事務の留意点」設問を素材として、AIが裁判官、弁護人及び準抗告裁判所の立場から検討例を作成したものである。
◯ 以下の回答、準抗告申立書及び決定は、実在の裁判官、弁護人又は裁判所が作成したものではない。
◯ 本記事は、令和8年8月21日現在の法令及び裁判例に基づく。
◯ 令和8年5月21日に電磁的記録提供命令に関する改正刑訴法が施行されたため、それ以前の令状執務資料は、現行法と抵触しない範囲で沿革資料として参照する必要がある。
第1 本記事で扱う設問と判断の前提
1 設問1
設問1は、捜索差押許可状において、捜索すべき場所を「○○ホテル内のA室、B室その他差し押さえるべき物件が存在すると思料される場所」と記載し、差し押さえるべき物を「覚醒剤、注射器その他本件に関連すると思料される一切の物」と記載することの可否を問うものである。
場所の特定と物件の特定は、同じ結論になるとは限らない。
2 設問2
設問2は、被疑者が17歳の被害者のスカート内をスマートフォンで撮影しようとし、犯行発覚後に同端末を地面にたたき付けて損壊させたとされる事案について、勾留の可否及び被害者の個人特定事項の取扱いを問うものである。
公開記事から確認できる事実は限られている。
そこで、本記事では、端末破壊以外に、未収集証拠、別端末、クラウドアカウント、共犯者、画像共有先又は被害者への具体的接触可能性を示す資料が提出されていない場合を基本的な前提とする。
そのような資料が実際の記録に存在する場合、勾留に関する結論は変わり得る。
3 令和8年改正後の三つの制度
デジタル証拠を扱う場合、少なくとも次の制度を区別する必要がある。
①刑訴法218条2項及び219条2項に基づき、差し押さえる電子計算機から電気通信回線で接続された記録媒体にアクセスし、令状で特定された範囲の電磁的記録を差押端末等に複写する処分
②刑訴法218条1項及び219条1項に基づき、電磁的記録の保管者又は利用権限者に、特定された電磁的記録を指定された方法で提供するよう命ずる電磁的記録提供命令
③刑訴法197条3項及び4項に基づき、差押え又は電磁的記録提供命令に備えて、通信履歴の電磁的記録を消去しないよう求める保全要請
電磁的記録提供命令は、旧記録命令付差押えの単なる改称ではない。
令和8年3月23日付け法務省刑事局長依命通達は、これを新たな強制処分と明記している。
第2 設問1に対するAI裁判官の回答
1 結論
捜索場所について、「A室、B室」に続けて、同じホテル内の「その他差し押さえるべき物件が存在すると思料される場所」を加えることは認めるべきでない。
どの場所を捜索するかの決定を執行時の捜査官に委ね、独立した管理権を有する第三者の客室等に捜索範囲を広げるおそれがあるからである。
これに対し、差し押さえるべき物を「覚醒剤、注射器その他本件に関連すると思料される一切の物」と記載することが、文言だけから当然に違法になるわけではない。
令状記載全体から、「本件」が何を指すか、例示された物の種類と被疑事実の関係及び対象範囲を客観的に画定できるかを審査すべきである。
もっとも、対象の外延が事実上無限定となる場合は、より具体的な例示又は種類による限定を求める必要がある。
2 捜索すべき場所
(1) 令状による事前審査
刑事訴訟法219条1項は、捜索差押許可状に捜索すべき場所等を記載することを求めている。
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