メインコンテンツへスキップ

婚姻費用

医師など高収入共働き夫婦の離婚実務―婚姻費用,養育費,財産分与,医療法人及び監護の整理(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 高収入共働きの離婚が複雑になる理由2 結論第2 最初に四つの時点を固定する1 別居開始時2 財産形成の基準時3 婚姻費用・養育費の収入基準年4 離婚成立と請求期限第3 婚姻費用と養育費の収入評価1 給与収入の合算2 事業所得と経費3 高額所得と算定表の範囲4 教育費・住宅費・特別費用第4 財産分与の資産一覧1 個人名義の金融資産2 不動産と住宅ローン3 医療機器,診療所及び事業資産第5 医療法人・関係会社と個人財産の区別1 法人財産はそのまま夫婦の財産ではない2 医療法人の類型を確認する3 家族労働と役員報酬第6 子の監護と勤務体制1 勤務表を具体化する2 監護と収入の二重計上を避ける3 子を情報の運び手にしない第7 資料保全と開示の実務1 収入資料2 資産・負債・法人資料第8 合意書・調停条項の確認1 支払条項2 財産分与と税・法人手続第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令2 裁判所の資料
第1 本記事の対象と結論
1 高収入共働きの離婚が複雑になる理由

医師,歯科医師,経営者,士業その他の専門職同士の共働き夫婦では,両方に高い収入があるため争点が少ないように見える。実際には,給与収入と事業収入の併存,日当直・スポット勤務の変動,当直回数の変化,可変給与,法人からの報酬,留保金,非上場株式,退職金,借入金,教育費,夜間・休日勤務と監護の分担等が重なる。

2 結論

この類型では,「高収入者だから算定表より高くなる」又は「共働きだから生活費は各自負担である」と単純化しないことが重要である。①現在の生活費の分担,②子の居所・監護・医療・教育,③収入の評価,④婚姻中に形成された財産,⑤個人と会社・医療法人の財産の区別,⑥将来のキャリアと監護体制を別々の表にし,その後に相互の影響を確認する。

第2 最初に四つの時点を固定する
1 別居開始時

婚姻費用,住宅ローン,子の居所,生活費の支払及び面会交流について,別居を開始した日の前後で事実関係が大きく変わる。別居日だけでなく,合意の有無,住所の変更,子の引渡し,鍵と財産の移動及び生活費の支払開始日を時系列にする。

2 財産形成の基準時

財産分与では,夫婦の協力による財産形成が実質的に終了した時点が問題となる。長期別居の後に大きな収入,株式価値の変動,施設の開業,借入又は資産移転があると,「どの時点の財産が分与対象か」と「いつの価値で評価するか」を分けて検討する必要がある。

3 婚姻費用・養育費の収入基準年

確定申告書や源泉徴収票は過去一年間の収入を示すが,当直回数,勤務先,雇用形態又は休業の変化がある場合,過去一年だけで将来の基礎収入を評価できないことがある。数年分の収入及び最近の勤務実態を並べ,一時的な要因と継続的な変化を分ける。

4 離婚成立と請求期限

婚姻費用は婚姻中の生活保持の問題であり,離婚後の養育費とは別である。財産分与は離婚後に請求期間があるため,調停,裁判又は公正証書で合意する場合に,未解決の財産が残っていないかを確認する。

第3 婚姻費用と養育費の収入評価
1 給与収入の合算

複数の病院・クリニックから給与を得ている場合,主たる勤務先の源泉徴収票だけでは収入の全体が分からない。住民税課税証明書,確定申告書,青色申告決算書,支払調書,給与明細,賞与明細及び当直・非常勤先の支払記録を総合する。

2 事業所得と経費

開業医,個人事業主又は自営業者では,売上ではなく事業上の必要経費を控除した所得が出発点となる。ただし,税務上の経費が生活費分担の計算で常に全額控除されるとは限らない。減価償却,事業専従者給与,親族・関係会社への支払,家事関連費との按分及び一時的な投資を個別に見る。

3 高額所得と算定表の範囲

裁判所が公表する養育費・婚姻費用算定表は,父母又は夫婦の収入と子の人数・年齢に応じた標準額を迅速に把握するための道具である。収入が表の上限を大きく超える場合,上限値を用いるか,標準算定方式を応用するか,実際の生活状況や貯蓄部分をどう評価するかが問題となる。自動的な答えはなく,個別事情と最新の裁判実務を確認する必要がある。

4 教育費・住宅費・特別費用

私立学校,学習塾,留学,医学部等への進学,習い事,高額の医療費又は住居費は,標準的な生活費にどこまで含まれるかが問題となる。婚姻中の合意,従前の支出,子の意向と適性,父母の収入・資産及び今後の支払能力を資料で示す。

第4 財産分与の資産一覧
1 個人名義の金融資産

預貯金,株式,投資信託,外貨,暗号資産,保険の解約返戻金,確定拠出年金,企業年金,職員共済,退職金見込額及び従業員持株会等を一覧にする。婚姻前財産,相続・贈与で取得した財産及びそれらの代償財産は,婚姻中に両方で形成した財産と区別する。

2 不動産と住宅ローン

登記名義,取得時期,頭金の原資,現在価値,ローン残高,団体信用生命保険,事業での利用,売却可能性及び離婚後の居住者を整理する。所有名義とローンの債務者を分け,財産分与の合意だけで金融機関に対する債務者が当然に変わらないことに注意する。

3 医療機器,診療所及び事業資産

(続きを読む...)医師など高収入共働き夫婦の離婚実務―婚姻費用,養育費,財産分与,医療法人及び監護の整理(AI作成)

給与収入が低くても金融資産が多い場合の婚姻費用・養育費-配当・売却益・含み益・元本の扱い(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と調査基準日2 金融資産を算定へ反映する基本的な考え方第2 算定表と資産の関係1 算定表の出発点は双方の年収である2 婚姻費用では民法が資産を明示している3 資産と収入を分けて主張する第3 配当・利息・投資信託の分配金1 継続する株式配当2 特有財産から生じた収益3 利息及び投資信託の分配金第4 株式等の実現益と含み益1 売却代金と売却益を区別する2 一時的な実現益3 反復継続する売買益4 未実現の含み益第5 金融資産の元本と本来得られる収入1 元本取崩しの原則と例外2 受給できるのに受給していない収入3 一人会社の内部留保と私的支出4 金融資産を考慮する三つの段階第6 婚姻費用と養育費で同じ結論になるとは限らない1 共通する出発点2 婚姻費用における資産3 養育費における資産第7 資料収集と主張の組み立て1 まず集める資料2 複数年の集計と二重評価の防止3 相手方が保有する資料の取得4 主張の順序と追加調査の停止基準第8 関連する山中弁護士ブログの記事1 算定表及び高額所得者2 算定結果が不自然な場合3 変動収入・投資信託分配金・非給与所得の換算4 一人会社の役員報酬・貸付金と非課税世帯第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 裁判所の司法研究及び説明資料4 法務省委託の調査研究報告書5 投資信託の分配金に関する公表資料
第1 この記事の対象と結論
1 対象と調査基準日
(1) 低所得・高資産の事案

本記事は,給与収入は低いものの,多額の株式,投資信託,債券又は預貯金を有する当事者について,婚姻費用又は養育費を算定するときに何を収入として扱うかを説明するものである。
金融資産から生じる配当・利息,売却によって確定した利益,売却前の含み益及び金融資産の元本は,それぞれ性質が異なるため,分けて検討する必要がある。

(2) 高額所得者の記事との違い

本記事の調査基準日は令和8年9月14日であり,同日現在の法令,裁判所公表資料及び確認できた裁判例を対象としている。
現実の年間収入が算定表の上限を超える場合は「高額所得者の婚姻費用(AI作成)」及び「養育費算定表の上限を超える高額所得者の計算方法-年収2000万円超の裁判例と実務(AI作成)」が扱う問題であり,本記事の低所得・高資産の問題とは区別される。

2 金融資産を算定へ反映する基本的な考え方
(1) 収入となるもの

現実に反復継続して受け取る配当は,算定の基礎となる収入へ含められることがある。
株式等の売却益は,売却代金全額ではなく,取得費及び手数料等を踏まえた損益を確認した上で,一時的な資産処分か,給与に代わる継続的な収益かを検討することになる。

(2) 直ちに年収とならないもの

含み益は売却前の評価差額であり,金融資産の元本は配当等を生み出す資産そのものであるから,いずれも配当と同じ意味での年間収入ではない。
本記事で確認した裁判例及び裁判所公表資料には,金融資産の時価へ一定の期待利回り又は取崩率を掛け,その金額を一律に年収とする標準的な算定式は示されていない。

第2 算定表と資産の関係
1 算定表の出発点は双方の年収である

裁判所の「養育費・婚姻費用算定表について(説明)」によれば,算定表は,縦軸を義務者の年収,横軸を権利者の年収とし,子の人数及び年齢等に応じた標準額を示すものである。
給与所得者については源泉徴収票の「支払金額」を,自営業者については確定申告書の「課税される所得金額」に実際には支出されていない控除等を加えた額を,それぞれ年収認定の出発点としている。

源泉徴収票又は所得証明書だけでは,申告不要又は非課税の配当,証券口座内で受け取った分配金及び株式等の譲渡損益を把握できないことがある。
金融資産が問題となる事案では,税務書類に加えて証券会社の資料及び生活口座への入出金を確認する必要がある。

2 婚姻費用では民法が資産を明示している

民法760条は,夫婦が「その資産,収入その他一切の事情を考慮して」婚姻から生ずる費用を分担すると定めている。
したがって,婚姻費用では資産も考慮事情となるが,この条文から資産時価の一定割合を算定表の年収欄へ入力する計算方法が当然に導かれるわけではない。

3 資産と収入を分けて主張する

金融資産に関する主張は,①通常の年間収入となる配当・利息,②継続性の評価を要する実現益,③未実現の含み益,④元本,⑤本来受け取ることができる収入の順に分けると,争点を明確にできる。
資産を保有しているという一事だけで年収を決めるのではなく,どの金額がいつ現金化され,生活費へ充てられていたかを示す必要がある。

第3 配当・利息・投資信託の分配金
1 継続する株式配当

(続きを読む...)給与収入が低くても金融資産が多い場合の婚姻費用・養育費-配当・売却益・含み益・元本の扱い(AI作成)

配当・年金・投資利益を婚姻費用・養育費の給与年収へ換算する方法-職業費の二重控除を防ぐ(AI作成)

目次第1 非給与所得を換算する必要がある理由1 算定表の給与欄と自営業欄は同じ金額を意味しない2 換算は所得の実質をそろえる作業である第2 令和元年版標準算定方式の構造1 基礎収入2 職業費3 税引前額を出発点とする第3 株式配当を給与収入へ換算した裁判例1 東京家庭裁判所令和元年9月6日審判2 具体的な計算式3 保有株数減少後の換算4 特有財産からの配当第4 給与を事業所得型へ換算して合算した裁判例1 福岡家庭裁判所令和4年9月13日審判2 具体的な計算式3 この方法の意味第5 三つの換算方法1 非給与所得を給与収入へ換算する方法2 給与を事業所得型へ換算する方法3 所得類型ごとに基礎収入を計算して合算する方法第6 所得別の注意点1 株式配当2 投資信託の分配金3 年金4 不動産所得5 証券売買益及び暗号資産所得第7 換算で生じやすい誤り1 税引後入金額をそのまま使う2 すべてを給与額へ単純加算する3 事業所得から職業費を二重控除する4 古い裁判例の係数をそのまま使う第8 計算書の作り方1 所得ごとの台帳2 複数案を示す場合3 端数処理第9 提出資料1 給与及び年金2 配当及び投資利益3 事業及び不動産第10 関連する山中弁護士ブログの記事1 算定表及び給与収入2 金融資産及び事業所得第11 出典・参考資料1 裁判所公表資料2 裁判例
第1 非給与所得を換算する必要がある理由
1 算定表の給与欄と自営業欄は同じ金額を意味しない
(1) 対象と調査基準日

本記事は令和8年9月14日を調査基準日とし,令和元年版の標準算定方式及び判例秘書で全文確認した裁判例を基礎として,給与,配当,年金及び投資利益を同じ算定で扱う場合の換算方法を説明する。
裁判例が用いた係数の再現と,別の年収帯又は事案へ応用するときの限界を区別する。

(2) 給与欄へ単純加算する問題

婚姻費用及び養育費の算定表には,給与所得者の年収目盛りと自営業者の年収目盛りがある。
給与収入には通常,勤務のための被服費,交通費,交際費等の職業費が必要であるのに対し,株式配当,預金利息又は年金の受給には同じ意味での職業費を要しない。
このため,給与収入と配当等を額面のまま足し,合計額を給与年収欄へ入れると,配当等からも給与所得者の職業費相当額を控除する結果となることがある。
反対に,必要経費を控除する前の売上高を自営業収入へ加えると,実際の支払能力を過大に認定することになる。

2 換算は所得の実質をそろえる作業である

換算の目的は,税務上の所得区分を変更することではなく,異なる所得から生活費へ回すことのできる基礎収入を同じ物差しで比較することにある。
給与所得,事業所得,配当,年金及び投資利益のどれについても,公租公課,職業費及び特別経費をどの段階で控除済みかを確認する必要がある。
本記事で示す裁判例の係数は,各決定時の算定方式及び当該年収帯に基づくものである。
別の年収帯又は令和元年版算定表へ係数だけを機械的に移植することは適切ではない。

第2 令和元年版標準算定方式の構造
1 基礎収入

基礎収入は,総収入から公租公課,職業費及び特別経費に相当する標準的な割合を控除し,生活費へ配分できる部分として推計される金額である。
令和元年版の基礎収入割合は,給与所得者について総収入の38%から54%,自営業者について48%から61%であり,収入帯によって異なる。
給与所得者と自営業者の割合が異なるのは,確定申告上の事業所得では一定の必要経費が既に控除されている一方,給与の支払金額からは職業費が控除されていないことなどによる。

2 職業費

職業費とは,給与所得者が就労のために通常必要とする被服費,交通費,通信費,交際費等を統計的に推計したものである。
当事者が現実に同額を支出したことを前提とする実額控除ではない。
配当又は年金に給与所得者と同じ職業費は通常必要ない。
したがって,これらを給与収入相当額へ換算するときは,職業費が不要であることを反映する必要がある。

3 税引前額を出発点とする

配当又は利息が源泉徴収されている場合,預金又は証券口座への入金額は税引後額である。
算定表の給与年収が所得税等を控除する前の支払金額を用いることとの整合上,原則として税引前の配当又は利息額を確認する。
年間取引報告書,配当金計算書又は支払通知書により,税引前額,源泉徴収税額及び実受取額を分ける。

(続きを読む...)配当・年金・投資利益を婚姻費用・養育費の給与年収へ換算する方法-職業費の二重控除を防ぐ(AI作成)

投資信託の普通分配金・特別分配金は婚姻費用・養育費の収入になるか-元本払戻金と二重計上(AI作成)

目次第1 投資信託の分配金に関する結論1 普通分配金と特別分配金を分ける2 同じ分配金でも投資家ごとに区分が異なる第2 普通分配金と元本払戻金の仕組み1 普通分配金2 元本払戻金(特別分配金)3 個別元本が変動する場合第3 国税庁及び資産運用業協会の説明1 国税庁の取扱い2 資産運用業協会の説明第4 普通分配金と特別分配金を扱った裁判例1 東京高等裁判所平成27年1月26日判決2 家事事件への射程3 家事事件の直接裁判例の確認状況第5 婚姻費用・養育費での具体的な処理1 普通分配金を収入へ算入する場合2 元本払戻金を所得へ算入しない場合3 元本取崩しとして別枠で考慮する場合第6 再投資型及び分配金なし型の投資信託1 普通分配金を再投資した場合2 分配金なし型の含み益第7 上場投資信託等との違い1 すべての商品に同じ区分があるわけではない2 外国投資信託及び外貨建て商品第8 必要資料1 最低限確認する資料2 一覧表の作り方第9 主張書面での整理1 普通分配金を算入する側2 元本払戻金であると反論する側3 共通する注意第10 関連する山中弁護士ブログの記事1 金融資産全体の扱い2 算定表への換算第11 出典・参考資料1 所管行政機関及び業界団体の資料2 裁判例
第1 投資信託の分配金に関する結論
1 普通分配金と特別分配金を分ける
(1) 対象と調査基準日

本記事は令和8年9月14日を調査基準日とし,追加型株式投資信託の普通分配金及び元本払戻金(特別分配金)を婚姻費用・養育費で区別する方法を扱う。
商品性及び税務上の区分は国税庁及び資産運用業協会の公表資料で確認し,家事事件への接続は判例秘書で確認した裁判例の射程を超えない範囲に限定する。

(2) 分配金の算定上の区分

投資信託の分配金には,課税対象となる普通分配金と,元本の一部払戻しに相当する元本払戻金(特別分配金)がある。
婚姻費用又は養育費では,分配金の受取総額をそのまま年間収入とせず,分配金計算書により両者を区別する必要がある。
普通分配金は,現実に受領し,今後も反復継続すると見込まれる場合,配当又は利息に近い非稼働所得として収入算入を検討する。
元本払戻金は投資元本の返還であるから,原則として年間所得へ機械的に加算せず,資産の取崩しとして別に検討する。

2 同じ分配金でも投資家ごとに区分が異なる

普通分配金と元本払戻金の区分は,ファンド全体で一律に決まるものではない。
同じファンドから同じ日に同じ金額の分配を受けても,投資家ごとの購入価額である個別元本が異なれば,ある投資家には全額が普通分配金となり,別の投資家には一部又は全部が元本払戻金となることがある。
商品名,分配率又は運用報告書だけでは個人の区分を確定できない。
販売会社が発行する分配金計算書及び個別元本の記録を確認する必要がある。

第2 普通分配金と元本払戻金の仕組み
1 普通分配金

追加型株式投資信託について,分配後の基準価額が投資家の個別元本を下回らない部分は,原則として普通分配金となる。
普通分配金は税法上課税対象とされ,株式投資信託では配当所得として扱われるのが通常である。
普通分配金を現金で受け取らず,自動再投資した場合でも,いったん普通分配金を受領した上で再投資したものとして課税される。
したがって,生活口座への現金入金がないという理由だけで,普通分配金の発生を見落とさないようにする。

2 元本払戻金(特別分配金)

分配後の基準価額が投資家の個別元本を下回る部分に対応する分配は,元本払戻金となる。
これは投資元本の一部返還であるため非課税とされ,受領後の個別元本は元本払戻金相当額だけ減額される。
元本払戻金を再投資する場合も,経済的には元本の一部払戻しを受けた後に新たな口数を購入することになる。
再投資したという事情によって,元本払戻金が収益へ変わるわけではない。

3 個別元本が変動する場合

同じ投資信託を異なる価格で追加購入した場合,個別元本は原則として移動平均により修正される。
相続,贈与,特別分配又は口座移管がある場合も,販売会社の記録上の個別元本を確認する必要がある。

(続きを読む...)投資信託の普通分配金・特別分配金は婚姻費用・養育費の収入になるか-元本払戻金と二重計上(AI作成)

変動する収入を婚姻費用・養育費で何年平均するか-歩合給・事業所得・証券売買益・暗号資産(AI作成)

目次第1 変動収入の平均期間に関する結論1 3年平均又は5年平均という一律のルールはない2 通常の確認順序第2 算定表が前提とする年間収入1 算定表は双方の総収入を出発点とする2 過去の実績と将来予測を区別する第3 期間選択の参考となる裁判例1 反復する暗号資産取引益を算入した審判2 構造変化後の資料から年額を推計した審判3 一時的な株式売却を収入から除外した決定4 現在の保有株数から将来配当を推計した審判第4 平均期間の選び方1 単年度を用いる場合2 3年平均を主位的試算とする場合3 5年平均を併記する場合4 中央値を併記する場合第5 所得類型ごとの調整後年間収入1 給与及び賞与2 事業所得3 証券売買益4 暗号資産取引益第6 具体的な計算方法1 単純平均2 現在の元本規模による補助試算3 感応度表を作る第7 給与収入と変動所得を合算する際の注意1 総収入を単純加算できない場合がある2 同じ利益を二重に評価しない第8 提出資料と主張の組み立て1 共通資料2 高い収入を主張する側3 低い収入を主張する側第9 関連する山中弁護士ブログの記事1 算定表及び給与年収2 金融資産及び事業所得第10 出典・参考資料1 裁判所公表資料2 裁判例
第1 変動収入の平均期間に関する結論
1 3年平均又は5年平均という一律のルールはない
(1) 対象と調査基準日

本記事は令和8年9月14日を調査基準日とし,令和元年版の標準算定方式及び判例秘書で全文確認した裁判例を基礎として,変動収入から現在及び近い将来の年間収入を推計する方法を扱う。
税務上の所得計算そのものではなく,婚姻費用又は養育費の算定に用いる収入期間の選択を対象とする。

(2) 固定的な平均期間の不存在

婚姻費用及び養育費は,父母又は夫婦の現在及び近い将来の収入を基礎として定めるものである。
歩合給,賞与,事業所得,証券売買益又は暗号資産取引益の変動が大きい場合でも,常に過去3年又は5年の平均を採用するという法令又は裁判例上の一律のルールはない。
複数年平均は,単年度の例外的な増減をならし,今後の支払能力を推計するための方法である。
したがって,何年分を使うかは,過去の収入が現在の就労状況,事業規模又は投資規模と同質であるかを確認して決める必要がある。

2 通常の確認順序

まず,直近1年の収入が通常年を代表しているかを確認する。
一時的な賞与,臨時受注,保有資産の一括売却又は相場の急騰等が含まれるときは,直近3年の推移を確認し,必要に応じて5年平均及び中央値も併記する。
他方,転職,退職,休職,事業廃止,投資元本の大幅な増減その他の構造変化がある場合は,古い年度を長く平均するほど現在の稼得能力から離れることがある。
この場合は,構造変化後の12か月又は24か月,直近の給与明細,事業計画,現在の保有資産等を用いて年額を推計することになる。

第2 算定表が前提とする年間収入
1 算定表は双方の総収入を出発点とする

裁判所の令和元年版算定表は,給与所得者については原則として源泉徴収票の「支払金額」を,自営業者については確定申告書の「課税される所得金額」を出発点とする。
ただし,自営業者については,青色申告特別控除等の現実に支出されていない控除を加算するなど,算定用の総収入へ修正する必要がある。
算定表へ入力するのは過去の税額を確定するための所得ではなく,今後の生活費負担能力を把握するための年間収入である。
このため,課税証明書又は確定申告書の数字が存在するだけで,その年度が当然に採用年度となるわけではない。

2 過去の実績と将来予測を区別する

過去の収入は,現在及び将来の収入を認定するための証拠である。
審理時点で既に退職しているのに退職前の高額給与をそのまま使うことも,反対に,意図的又は一時的な減収をそのまま固定することも適切ではない。
期間選択では,①勤務又は事業の継続性,②報酬又は取引を本人が調整できる程度,③季節変動,④一時的要因,⑤減収時期と申立時期との関係,⑥現在の契約及び保有資産を確認する。

第3 期間選択の参考となる裁判例
1 反復する暗号資産取引益を算入した審判

福岡家庭裁判所令和4年9月13日審判(令和4年(家)第3142号,判例時報2606号85頁,裁判所HP未掲載,判例秘書L07760034)は,令和3年分の確定申告書に暗号資産取引による雑所得443万2423円が記載されていた事案を扱った。
同審判は,暗号資産の売却又は交換を反復し,その都度利益を得ていたことから,その所得を一回的又は偶発的なものではないとして婚姻費用算定の基礎に含めた。

(続きを読む...)変動する収入を婚姻費用・養育費で何年平均するか-歩合給・事業所得・証券売買益・暗号資産(AI作成)

夫婦が子を1人ずつ監護する場合の婚姻費用-子の分属と双方負担の個別計算(AI作成)

第1 子が夫婦双方に分属する場合の結論

1 直接対応する婚姻費用算定表はない

2 標準算定方式へ戻って一度だけ配分する

第2 個別計算に用いる基礎収入と生活費指数

1 最初に夫婦それぞれの基礎収入を求める

2 子の生活費指数は監護世帯ごとに置く

3 二つの世帯の全員を一つの分母に入れる

第3 一般式と支払方向

1 記号と一般式

2 同じ年齢区分の子を1人ずつ監護する場合

3 双方の子の年齢区分が異なる場合

(続きを読む...)夫婦が子を1人ずつ監護する場合の婚姻費用-子の分属と双方負担の個別計算(AI作成)

婚姻費用算定表の結果がおかしいとき-収入・表・年齢・特別事情の確認順序(AI作成)

第1 この記事の対象と確認順序

1 「高すぎる・低すぎる」と感じる原因を分ける

2 算定表の基本的な見方との役割分担

第2 比較している金額をそろえる

1 表の月額,合意額,審判額及び実際の支払額は別である

2 令和8年の2万円及び8万円は算定表の金額ではない

第3 表と子の人数・年齢を確認する

1 婚姻費用は表10から表19までを使う

2 15歳以上の区分と固定額の変更を区別する

第4 収入の入れ方と資料の時点を確認する

1 縦軸と横軸,給与と自営の欄を確認する

(続きを読む...)婚姻費用算定表の結果がおかしいとき-収入・表・年齢・特別事情の確認順序(AI作成)

婚姻費用をすぐに受け取る方法-調停前の処分と審判前の保全処分の違い(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 調停中に生活費を確保する3つの方法
第3 調停前の処分

1 要件と性質
2 内容として婚姻費用の仮払を命じ得ること
3 効果と不服申立て

第4 審判前の保全処分の要件

1 審判又は調停の申立てと疎明
2 急迫の危険の具体例

第5 調停の申立てだけで審判前の保全処分を申し立てられるか
第6 審判前の保全処分の効果,執行及び不服申立て
第7 両制度の使い分け
第8 確認順序
出典

1 法令
2 文献

(続きを読む...)婚姻費用をすぐに受け取る方法-調停前の処分と審判前の保全処分の違い(AI作成)

婚姻費用はいつまで続くか-終期条項の法的性質と同居再開を仮装した支払回避(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 理論上の終期は婚姻の解消
第3 実務における終期条項の定め方とその法的性質
第4 別居状態の解消を仮装した支払回避への対応
第5 未成熟子の監護費用部分を含む場合の調整
第6 養育費の終期との異同
第7 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い

婚姻費用の分担を審判・調停又は当事者間の合意で取り決める場合,その支払義務はいつまで続くのかを扱う。

(続きを読む...)婚姻費用はいつまで続くか-終期条項の法的性質と同居再開を仮装した支払回避(AI作成)

無職・退職・休職と潜在的稼働能力(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 実収入原則とその例外
第3 潜在的稼働能力を認定するための判断枠組み
第4 収入を推認する際に考慮される要素
第5 退職から再就職までの移行期間
第6 健康上・監護上の事情をどう評価するか
第7 既に相応の努力をして稼働している場合の限界
第8 自己都合による転職・退職の扱い

1 自己研鑽等を理由とする転職は容認されにくい
2 資格取得等,正当な理由がある場合は容認され得る
3 資産収入があることを理由に稼働しない場合

第9 親族企業等で給与額に本人の意向が影響する場合
第10 強制執行を免れる目的で退職した例
第11 賃金センサスの使い方
第12 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献

(続きを読む...)無職・退職・休職と潜在的稼働能力(AI作成)

家庭内別居・同居中の婚姻費用(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 婚姻費用は同居中でも請求できる
第3 家庭内別居の判断・立証
第4 計算上の課題

1 住居費の二重計上問題
2 光熱費等,同居ゆえに分離しにくい費目

第5 終期の実務上の表現
第6 有責性・請求開始時期との関係
第7 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 関連記事

第1 この記事が扱う場面

(続きを読む...)家庭内別居・同居中の婚姻費用(AI作成)

高額所得者の婚姻費用(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 標準算定方式の上限額
第3 上限を超える場合の算定方法の全体像
第4 上限額をそのまま採用する方法
第5 基礎収入の割合を修正する方法・貯蓄率を控除する方法

1 基礎収入の割合を修正する方法
2 貯蓄率を控除する方法

第6 同居中の生活レベル等から算定する方法
第7 収入水準に応じた使い分け
第8 婚姻費用の月額に上限があるかという論点
第9 養育費との違い
第10 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

(続きを読む...)高額所得者の婚姻費用(AI作成)

婚姻費用に私立学校・大学の学費と高額医療費を加算できるか-特別費用の分担方法(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 標準算定方式に既に含まれている範囲
第3 特別費用を義務者に分担させるための要件
第4 超過分の分担方法をめぐる2つの考え方
第5 私立小中高等学校・幼稚園・塾の費用

1 基本的な考え方と按分の実例
2 高等学校等就学支援金の扱い

第6 大学の学費

1 未成熟子として扱われる期間
2 奨学金・アルバイト収入との関係
3 義務者が私立進学を承諾していない場合の扱い

第7 医科・歯科大学の学費と扶養義務の限界
第8 高額医療費

1 標準額を超える部分の按分
2 減額事情としても主張され得ること

(続きを読む...)婚姻費用に私立学校・大学の学費と高額医療費を加算できるか-特別費用の分担方法(AI作成)

不貞・無断別居をした配偶者は婚姻費用を請求できるか-有責性と子の生活費(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 「有責配偶者からの離婚請求」とは別の問題である

第2 婚姻費用分担義務は有責性を要件としていない
第3 破綻自体を減額事由とする考え方とこれに対する疑問
第4 現在の実務の到達点:信義則・権利濫用による制限
第5 「無断で家を出た」ことは当然に有責性を意味しない

1 同居義務と別居の「正当な理由」
2 別居原因の実質を検討した裁判例

第6 不貞が問題となった裁判例の類型
第7 有責性が認められた場合の制限の程度

1 請求者本人の生活費部分を全部否定した例
2 権利濫用とまでは言えないが減額にとどめた例

第8 夫婦双方に責任がある場合の割合的減額
第9 未成熟子の監護費用相当部分は原則として維持される
第10 有責性の主張立証と審理の程度
第11 請求する側・請求される側の確認順序
出典

(続きを読む...)不貞・無断別居をした配偶者は婚姻費用を請求できるか-有責性と子の生活費(AI作成)

婚姻費用が支払われない場合-履行勧告・給与差押え・令和8年の先取特権(AI作成)

第1 本記事の対象と読み方

1 対象とする場面
2 本記事で扱わない事項

第2 取決めの形式によって利用できる制度が異なる
第3 履行勧告

1 要件と申出の方法
2 効果と限界

第4 履行命令

1 要件
2 効果と限界

第5 金額を決める段階の情報開示命令と,履行がない段階の対応は別の問題

1 家事事件手続法152条の2は審判・調停の手続の中で使う制度である
2 金額が決まった後,履行がない場合の財産調査

第6 通常の強制執行(債務名義に基づく差押え)

1 基本的な仕組み

(続きを読む...)婚姻費用が支払われない場合-履行勧告・給与差押え・令和8年の先取特権(AI作成)

一度決まった婚姻費用は増額・減額できるか-事情変更・申立時期・必要資料(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と読み方
第2 増減額の法的根拠
第3 「事情変更」と認められるための3つの要件
第4 収入の増減が事情変更となるか

1 増減の程度
2 意図的な収入操作が疑われる場合

第5 退職・転職・失業した場合

1 退職と事情変更
2 退職後の収入認定

第6 子の成長・進学・教育費

1 年齢の上昇それ自体
2 進学・私立学校の学費
3 高額な医療費

第7 再婚をした場合

1 事情変更と信義則
2 予測可能性の時間的な目安
3 実子の誕生は別に扱われる

(続きを読む...)一度決まった婚姻費用は増額・減額できるか-事情変更・申立時期・必要資料(AI作成)

別居中の婚姻費用と住宅ローン-誰が住み,誰が返済するかで変わる計算方法(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と読み方
第2 住宅ローンの支払には「住居費」と「資産形成」という二つの性質がある

1 二つの側面
2 別居時に住んでいない側にとっては,専ら資産形成の費用になる

第3 原則:住宅ローンは婚姻費用の計算に影響しない

1 なぜ全額を差し引いてもらえないのか
2 住宅がオーバーローン(債務超過)の状態でも結論は変わらない

第4 例外:「二重負担」になっている場合だけ調整される

1 二重負担とは何か
2 調整方法の基本形――権利者の標準的住居関係費相当額を控除する
3 控除額には上限がある
4 控除の基準を義務者側の収入に置いた例もある

第5 誰が住み,誰が返済しているかで整理する9つの型
第6 有責配偶者が住宅ローンを払っている場合
第7 権利者に収入がない場合の考え方

1 権利者に現実の収入がなければ,二重負担の調整の前提を欠くことがある
2 権利者に収入がない場合,逆に義務者の負担が増える方向に働く場面もある

(続きを読む...)別居中の婚姻費用と住宅ローン-誰が住み,誰が返済するかで変わる計算方法(AI作成)

相手が収入資料を出さない場合の婚姻費用-収入の推計・情報開示命令・必要資料(AI作成)

第1 相手方が収入資料を出さなくても婚姻費用は判断できる

1 資料不提出だけで審理は止まらない

2 最初に区別する三つの収入問題

3 収入資料が揃う前でも請求できる

第2 給与・事業・年金等の必要資料

1 給与所得者

2 自営業者・法人経営者

3 年金・給付・無収入

4 資料の対象年と現在性

第3 収入を明らかにする四つの手続

1 当事者への情報開示命令

2 勤務先等への調査嘱託・報告要求

(続きを読む...)相手が収入資料を出さない場合の婚姻費用-収入の推計・情報開示命令・必要資料(AI作成)

別居中の生活費(婚姻費用)はいつから請求できるか-請求方法・必要書類・調停・審判(AI作成)

第1 別居中の婚姻費用と請求の始期

1 別居しても婚姻費用の分担義務は消えない
2 家庭裁判所の実務では明確に請求した時が中心となる
3 別居日まで遡るかは個別事情によって決まる

第2 最初に行う請求と証拠の残し方

1 本人間の請求は調停申立ての法律上の前提ではない
2 請求書面には対象,始期,金額及び支払方法を書く
3 請求を繰り返すより申立てへ移る基準を決める

第3 申立てに必要な書類と資料

1 裁判所へ提出する基本書類
2 始期,収入及び既払額を示す資料
3 相手方が収入資料を出さない場合

第4 婚姻費用分担調停の申立て

1 申立人,管轄,費用及び申立方法
2 調停では収入,始期,金額及び支払方法を話し合う
3 調停成立後は調停調書に基づく履行確保が可能となる

(続きを読む...)別居中の生活費(婚姻費用)はいつから請求できるか-請求方法・必要書類・調停・審判(AI作成)

婚姻費用算定表の見方,計算方法と特別事情(AI作成)

第1 この記事が扱う婚姻費用算定表

1 現行の標準は令和元年版である

2 算定表は法令でも自動計算機でもない

第2 婚姻費用の法的根拠と養育費との違い

1 民法760条が定める分担義務

2 子の年齢区分は終期を定める基準ではない

3 話合いがまとまらない場合の手続

第3 表10~19の選び方

1 子の人数と年齢に対応する10種類

2 表を選ぶ前に扶養関係を確定する

第4 年収を入れて算定表を読む方法

(続きを読む...)婚姻費用算定表の見方,計算方法と特別事情(AI作成)