その他裁判所関係

海外送達

0 はじめに
   私は,海外送達に関する業務は一切取り扱っていませんから,本記載に関する相談にはお答えできないのであって,本記事の記載は,最高裁判所作成の資料を利用した,単なるメモ書きにすぎません。

1 総論
(1) 外国在住者に対する訴状等の送達方法については,最高裁判所作成の資料である「送達嘱託手続に関する関係書類の送付経路図」で始まる資料を参照してください。
   民訴条約は,1954年3月1日に作成された,民事訴訟手続に関する条約(昭和45年6月5日条約第6号)のことであり,送達条約は,1965年11月15日にハーグで作成された,民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約(昭和45年6月5日条約第7号)のことです。
(2) 最高裁判所作成の資料である「アメリカ合衆国・大韓民国・ブラジル連邦共和国・シンガポール共和国への送達嘱託フローチャート」を見れば,送達嘱託の流れがわかります。
(3) 外国在住者に対して強制執行をしたい場合,少なくとも,訴状等の送達,判決書の送達及び差押命令の送達が必要となりますから,3回は送達する必要がある気がします。
   そのため,民事訴訟法3条の3に基づき,日本に国際裁判管轄がある場合であっても,送達にかかる時間を考えた場合,差押財産が存在する海外の裁判所に直接,訴訟提起した方がいいのかもしれません。
(4) 最高裁判所作成の資料である,「送達嘱託記載例」を掲載しています。
(5) 国名呼称につき,日経スタイルHPの「グルジアはジョージアが正しい?国名呼称の不思議」が参考になります。
(6) 訴訟当事者に判決の内容が了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続は民訴法118条3号にいう公の秩序に反します(最高裁平成31年1月18日判決)。

2 領事送達,中央当局送達,指定当局送達,管轄裁判所送達及び公示送達
(1) 領事送達
ア 領事送達の根拠は以下の3種類です。
① 領事条約
   日本は,アメリカ合衆国及び英国と領事条約を締結していますところ,領事条約では,領事官は,派遣国の裁判所のために,裁判上の文書を送達することができる旨が定められています(日米領事条約17条1項(e)号(i),日英領事条約25条)。
   そのため,アメリカ合衆国又は英国に在住する者に対しては,日本人であると外国人であるとを問わず,また,送達すべき文書が民事又は商事に関する文書であるか否かを問わず,当該国に駐在する日本の領事館に嘱託して送達をすることができます。
② 民訴条約及び送達条約
・   民訴条約及び送達条約では,各締約国は外国にいる者に対する直接の送達を自国の外交官又は領事官(以下「在外領事等」といいます。)に行わせる権能を有する旨を定めています(民訴条約6条1項3号,送達条約8条1項)。
   そのため,これらの条約の締結国に在住する者に対しては,当該国に駐在する日本の在外領事等に嘱託して送達をすることができます。
   ただし,その国が,嘱託国の国民以外の者に対する領事送達を拒否しているときは,日本人に対してだけ領事送達をすることができます(民訴条約6条2項,送達条約8条2項)。
・ 民訴条約又は送達条約に基づき送達することができる文書は,民事又は商事に関する文書に限られています(民訴条約1条1項,送達条約1条1項)。
③ 個別の応諾
・   国家間において条約等の合意がなくても,相手国が,我が国の在外領事等によるその国に在住する者に対する送達を応諾する場合には,当該国に在住する者に対し,当該国に駐在する我が国の在外領事等に嘱託して送達をすることができます。
   この場合,受送達者は日本人に限られることが多いです。
・ 領事送達は,強制によらないものに限られます(送達条約8条1項ただし書)から,受領拒否のおそれがある場合は利用できません。
(2) 中央当局送達
ア   中央当局送達は,送達条約により認められた送達方法であり,受送達者が在住する国が送達条約の締約国である場合に行うことができます。
   中央当局は,送達の要請を受理し,かつ,処理する責任を負う当局のことであり,各締約国によって指定されています。
イ 送達することができる文書は民事又は商事に関する文書に限られます(送達条約1条1項)。
ウ ルートの選択の目安につき,中央当局送達は,受送達者が日本人であると外国人であるとを問わず実施することができ,また,任意交付の方法による場合を除き,受送達者が受領を拒んでも送達の効力が認められる場合があります。
   しかし,領事送達に比べ時間がかかることも多く,また,送達方法として任意交付以外の方法を希望した場合には受送達者が日本語を解するときでも一般に訳文の添付が求められます。
   そのため,中央当局送達は,外国人に対し領事送達の方法によることができない場合,または受送達者が受領を拒む恐れがある場合に利用することが考えられます。
(3) 指定当局送達
ア 指定当局送達は,民訴条約による送達の原則的形態でありますものの,民訴条約及び送達条約の両条約締約国については送達条約が優先し,中央当局送達によることができません(送達条約22条)。
   そのため,指定当局送達は,送達条約に加入していない国に在住する受送達者に対して行うこととなります。
イ 送達することができる文書は民事又は商事に関する文書に限られます(民訴条約1条1項)。
ウ ルートの選択の目安については,中央当局送達と同じです。
(4) 管轄裁判所送達
ア 管轄裁判所送達の根拠は以下の2種類です。
① 二国間共助取決め
   日本が受送達者の在住する国との間で司法共助の取決めを締結している場合,その取決めに基づき当該国の裁判所に嘱託して送達することができます。
② 個別の応諾
   二国間共助取決めがなくても,受送達者が在住する国が応諾する場合,当該国の裁判所に嘱託して送達することができます。
イ ブラジルは,領事送達を拒否しているうえ,民訴条約や送達条約にも加入っしていないので,ブラジルに在住する者に対して送達を行う方法は,二国間共助の取決め等に本地て,管轄裁判所送達を行うこととなります。
(5) 公示送達
ア 民事訴訟法110条は,一定の要件の下に,外国に在住する者に対して公示送達を行うことを認めています。
イ   受訴裁判所において,民事訴訟法110条1項4号の「外国の管轄官庁に嘱託を発した日」を確認したい場合の取扱いは以下のとおりです。
・ 外国の管轄官庁に嘱託を発した日について,最高裁判所民事局長等が外務省等に送達嘱託の手続をした日と解する場合,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係に電話をして,最高裁判所が外務省等に発出した日付を確認し,確認した結果について,電話聴取書に残す等の方法が考えられます。
・ 外務省→在外日本国大使館→外国の外務省へと送付される場合(管轄裁判所送達の場合等)について,外国の管轄官庁に嘱託を発した日を,実際に在外日本国大使館から外国の外務省(管轄官庁)に送付した日と解する場合,外務省にその日付を確認するため,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係に連絡します。
   外務省から問い合わせ等があるので,公示送達を実施した場合,最高裁判所の国際司法共助事務の担当係あてに電話等で連絡しておきます。
・ ブラジル連邦共和国のように送達実施までの通常の方法で約14か月かかる国に対しては,その点の配慮を行う必要があります。
ウ 民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律(昭和45年6月5日法律第115号)28条は,「外国においてすべき送達条約第十五条第一項の文書の送達については、同条第二項(a)、(b)及び(c)に掲げる要件が満たされたときに限り、民事訴訟法第百十条の規定により公示送達をすることができる。」と定めています。
エ 台湾や北朝鮮等国交のない国に在住する者に対して文書を送達する場合,公示送達によらざるを得ません。
   なお,外国に在住する者に対して工事送達を行った場合,民事訴訟規則46条2項後段により,公示送達があったことを受送達者に通知することができます(通知は,日本語による文書を普通郵便で送付することなどが考えられます。)。
オ 外国においてすべき送達についてした公示送達は,掲示を始めた日から6週間を経過することによって,その効力を生じます(民事訴訟法112条2項)。

3 個別の国ごとの所要期間等
(1)   最高裁判所作成の以下の資料を見れば,それぞれの国における送達方法がわかります。領事送達,中央当局送達及び管轄裁判所送達の3種類になっています。
① アメリカ合衆国
→ 領事送達の期間は3か月,中央当局送達の期間は5か月,管轄裁判所送達は先例なし。
② 英国
→ 領事送達の期間は3か月,中央当局送達の期間は4か月,管轄裁判所送達は先例なし。
③ オーストラリア連邦
→ 領事送達の期間は4か月,中央当局送達は先例なし,管轄裁判所送達は9か月
④ カナダ
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は5か月,管轄裁判所送達は7か月
⑤ シンガポール共和国
→ 領事送達は4か月,管轄裁判所送達は4か月
⑥ 大韓民国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は4か月,管轄裁判所送達は6か月
⑦ 中華人民共和国(香港,マカオを含む。)
→ 中国(香港,マカオを除く)の場合,領事送達は4か月,中央当局送達は6か月,管轄裁判所送達は4か月
香港の場合,領事送達は4か月,中央当局送達は5か月,管轄裁判所送達は先例なし。
   マカオの場合,領事送達は3か月,中央当局送達及び管轄裁判所送達は先例なし。
⑧ ドイツ連邦共和国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は4か月,管轄裁判所送達は8か月
⑨ ニュージーランド
→ 領事送達は4か月,管轄裁判所送達は9か月
⑩ フィリピン共和国
→ 領事送達は3か月,管轄裁判所送達は7か月
⑪ ブラジル連邦共和国
→ 管轄裁判所送達は14か月
⑫ フランス共和国
→ 領事送達は4か月,中央当局送達は7か月,管轄裁判所相殺は6か月
⑬ ロシア連邦
→ 領事送達は5か月,中央当局送達は13か月,管轄裁判所送達は先例なし。
(2) 期間については,過去の例において最高裁判所が外務省に通知した日から最高裁判所が嘱託庁に送達結果を通知するまでの平均所要期間が記載されているものの,同一国に対し,同一ルートで嘱託しても期間にかなりの差が出ることがあるそうです。
   また,嘱託庁(多分,受訴裁判所のことと思います。)と最高裁判所との間のやり取りでも時間がかかる気がします。

4 外務省HPに「外国の裁判所が日本に裁判文書の送達及び証拠調べを要請する方法」が載っています。

転勤した際,裁判所共済組合に提出する書類等

1 平成29年4月3日付の裁判所共済組合最高裁判所支部のお知らせによれば,転入者及び新採用者は,裁判所共済組合に対し,以下の書類のうちの該当書類を提出する必要があります。
① 被扶養者申告書
② 被扶養者申告書(取消)
③ 長期組合員資格取得届
④ 長期組合員資格変更届
⑤ 国民年金第3号被保険者住所変更届
⑥ 児童手当・特例給付認定請求書
⑦ 財形貯蓄変更申込書(「年金」・「住宅」)
⑧ 財形貯蓄変更申込書(「一般」)
⑨ 旧組合員証・旧組合員被扶養者証・旧限度額適用認定証・旧高齢者受給者証
⑩ (確定拠出年金)第2号加入者に係る事業主の証明申請書

2 平成29年8月22日付の司法行政文書不開示通知書によれば,裁判所の新規採用職員が裁判所の共済組合に加入する際,どのような書類を裁判所が作成することになっているかが分かる文書は存在しません。

最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達

1 最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達は以下のとおりです。
① 最高裁判所事務総局規則(昭和22年12月1日最高裁判所規則第10号)
② 最高裁判所事務総局分課規程(昭和22年12月1日最高裁判所規程第5号)
③ 最高裁判所事務総局等の組織について(平成元年3月22日付の最高裁判所事務総長通達)
④ 最高裁判所事務総局等職制規程(昭和43年4月20日最高裁判所規程第2号)
⑤ 職制の実施について(平成4年7月20日付の最高裁判所事務総長通達)

2(1) 最高裁判所事務総局の職員(裁判所法53条2項)としての事務次長,審議官,家庭審議官,局長,課長,参事官,局付及び課付は本来,裁判所事務官又は裁判所技官を以て充てることになっています(最高裁判所事務総局規則(昭和22年12月1日最高裁判所規則第10号)3条1項,3条の2第1項,3条の3第1項,4条1項,5条1項,6条の2第2項,7条2項)。
(2) 運用上,司法行政上の職務に関する規則(昭和25年1月17日最高裁判所規則第3号)1項に基づき,局長ポストの全部,課長ポストの相当部分が判事を以て充てられています。
   ただし,2人の審議官のうちの1人は裁判所事務官出身者であり,家庭審議官は家庭裁判所調査官出身者を以て充てられています。
(3) 最高裁判所事務総長(裁判所法53条1項)は常に裁判所事務官です(平成30年度(最情)答申第83号(平成31年3月15日答申))。

3 以下の記事も参照してください。
① 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)
 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
 裁判所の指定職職員
 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)

最高裁判所事務総局情報政策課

1 「裁判所の情報化と情報セキュリティについて」(平成29年2月16日)によれば,以下のとおりです。
(1) 情報政策課は平成16年12月までは総務局制度調査室でした。
   しかし,局課の枠組みを超えた,オール裁判所の視点での検討が必要となりましたから,どこの局にも属さない事務総長直属の課として,平成17年1月に設置されました。

(2)ア 平成28年4月1日現在,情報政策課の職員が59人です。
   内訳は,裁判官2人,一般職55人及び民間人2人(CIO補佐官及びCIO補佐官補助者)です。
イ   CIO(Chief Information Officerの略称)は,組織内の情報システムや情報の流通を統轄し,組織の情報戦略を総括する担当責任者です。
   裁判所では,情報政策課長がCIOです。
(3) 情報政策課長の下に以下のポストがあります。
① 参事官(裁判官1人,一般職1人)
→ 参事官ポストの裁判官は平成29年4月1日,情報セキュリティ室長となりました。
② 審査官(庶務主任),課長補佐3人,専門官5人
③ 庶務係,情報企画第一係,情報企画第二係,情報基盤管理係,情報セキュリティ係,情報処理第一係,情報処理第二係,統計情報係及び統計システム係

2 「最高裁判所事務総局情報政策課事務分掌(平成31年4月1日現在)」を掲載しています。

3(1) 「裁判所の現状と課題~情報政策の観点から~」(平成29年4月18日)を掲載しています。
(2) 裁判所の情報化の流れは以下のとおりです。
平成16年度
・ 情報政策課の設立
平成17年度
・ 全国職員からの意見聴取・情報課戦略計画策定
平成18年度
・ MINTASの開発開始
平成19年度
・ 情報セキュリティポリシーの策定
・ 職員ポータルサイトの運用開始
・ Internet Explorer,Outlook Expressの全国展開完了
平成20年度
・ MINTASの地裁への導入展開開始
・ KEITASの開発開始
平成23年度
・ MINTASの地裁への全国展開完了
・ KEITASの地裁への導入展開開始
・ 情報化戦略計画の改定
平成24年度
・ 高地家裁における情報化担当部署の整備
・ システムの全体最適化計画の策定
・ 最高裁判所データセンタへのサーバ移転計画の実行
・ MINTASの高裁への導入展開開始
・ KEITASの地裁への全国展開完了
平成25年度
・ システムの全体最適化計画の実行
・ 最高裁判所データセンタの運用開始
・ MINTASの高裁への全国展開完了
平成26年度
・ 情報セキュリティポリシーの改定
・ MINTASの家事分野対応改修
平成27年度
・ 情報セキュリティポリシーの改定
・ MINTASの家裁への全国展開完了
平成28年度
・ システムの全体最適化計画の改定
・ 職員貸与パソコン及び共用パソコンの一斉更新

4 「最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)」も参照してください。

保釈保証金の没取

1 保釈保証金の没取
(1) 被告人が逃亡したり,罪証隠滅を図ったり,保釈条件に違反したりした場合,裁判所は保釈を取り消したり(刑訴法96条1項),保釈保証金の全部又は一部を没収したりできます(刑訴法96条2項)。
(2) 保釈保証金の「没収」は,刑訴法96条2項の「没取」のことです。

2 保釈保証金の没取金額の推移
(1) 保釈保証金の没取金額の推移は以下のとおりです。
平成29年度:1億9120万円
平成28年度:1億1370万円
平成27年度:1億2055万円
平成26年度:  8120万円
平成25年度:  7580万円
(2) 元データは以下のとおりです。
・ 令和元年6月14日付の開示文書
→ 平成25年度から平成29年度までの金額が載っています。
・ 各庁ごとの保釈保証金の没取金(平成29年度分)
・ 各庁ごとの保釈保証金の没取金(平成28年度分)
・ 各庁ごとの保釈保証金の没取金(平成27年度分)
(3) 日本保釈支援協会HP「保釈に関する数値データ」が載っています。

3 被告人の保釈に関する統計
・ 勾留された被告人の保釈の取消しに関する統計(平成30年分)
・ 被告人の保釈に関する人員数-全裁判所及び裁判所種別(平成14年~平成30年)

4 出国確認の留保,及び国外逃亡被疑者等の追跡
(1) 外国人が国外に出国する場合,入国審査官から出国の確認を受けなければならず,出国の確認を受けなければ出国できません(入管法25条)。
(2)ア 長期3年以上の罪で訴追されていたり,勾留状等が発せられたりしている場合,24時間以内で出国確認を留保されます(入管法25条の2)。
イ 外国人被告人の出国確認留保の通知に係る事務の取扱いについて(平成12年8月28日付の最高裁判所刑事局長,家庭局長通達)を掲載しています。
(3)ア 41期の島田一 東京地裁14刑部総括は,平成31年3月5日,保釈金10億円でカルロス・ゴーンの保釈を許可し,同年4月25日,保釈金5億円で被告人カルロス・ゴーンの保釈を再び許可しました(外部HPの「保釈をめぐる事件経過一覧」参照)。
イ カルロス・ゴーンは,保釈条件に違反して国籍国であるレバノンに出国していたことが令和元年12月31日に発覚しました。
   そのため,同日付で15億円の保釈保証金が没取されました。
ウ カルロス・ゴーンの国外出国に対する高野隆弁護士のコメントが,同人のブログの「彼が見たもの」(2020年1月4日付)に載っています。
(4) igaki.workブログ「カルロス・ゴーン氏が逃げた理由、日本の刑事司法の10個の闇。」(2020年1月5日付)が載っています。
(5) 令和元年警察白書の「第2部 本編」→「第4章 組織犯罪対策」→「第3節 来日外国人犯罪対策」→「第3項 国際組織犯罪に対処するための取組」には,「国外逃亡被疑者等の追跡」として以下の記載があります。
   国外逃亡被疑者等の数の推移は、図表4-18のとおりである。
   警察では、被疑者が国外に逃亡するおそれがある場合には、出入国在留管理庁に手配するなどして、出国前の検挙に努めている。また、被疑者が国外に逃亡した場合には、関係国の捜査機関との捜査協力を通じ、被疑者の所在確認等を行っており、所在が確認された場合には、犯罪人引渡条約(注2)等に基づき被疑者の引渡しを受けるなどして、確実な検挙に努めている。
   このような取組の結果、平成30年中は、出国直前の外国人被疑者17人のほか、国外逃亡被疑者113人(うち外国人64人)を検挙した。
   このほか、事案に応じ、国外逃亡被疑者等が日本国内で行った犯罪に関する資料等を逃亡先国の捜査機関に提供するなどして、逃亡先国における国外犯処罰規定の適用を促し、犯罪者の「逃げ得」を許さないための取組を進めている。

5 保釈者等の視察に関する犯罪捜査規範の条文
第十七章 保釈者等の視察
(保釈者等の視察)
第二百五十三条 警察署長は、検察官から、その管轄区域内に居住する者について、保釈し、又は勾留の執行を停止した者の通知を受けたときは、その者に係る事件の捜査に従事した警察官その他適当な警察官を指定して、その行動を視察させなければならない。
2 前項に規定する視察は、一月につき、少なくとも一回行うものとする。
(事故通知)
第二百五十四条 前条に規定する視察に当たり、その者について次の各号の一に該当する理由があるときは、これを前条に規定する通知をした検察官に速やかに通知しなければならない。
一 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
二 罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
四 住居、旅行、治療等に関する制限その他保釈又は勾留の執行停止について裁判所又は裁判官の定めた条件に違反したとき。
五 その他特に検察官に通知する必要があると認められる理由があるとき。
(視察上の注意)
第二百五十五条 第二百五十三条(保釈者等の視察)に規定する視察は、穏当適切な方法により行うものとし、視察中の者又はその家族の名誉及び信用を不当に害することのないように注意しなければならない。
(視察簿)
第二百五十六条 第二百五十三条(保釈者等の視察)に規定する視察を行つたときは、視察簿(別記様式第二十四号)により、これを明らかにしておかなければならない。

幹部裁判官の定年予定日

1 幹部裁判官の定年予定日は以下のとおりです。
・ 令和 元年10月 2日時点のもの
・ 平成31年 1月 1日時点のもの
・ 平成30年 1月29日時点のもの
・ 平成29年 7月14日時点のもの
・ 平成29年 1月 1日時点のもの

2(1) 最高裁判所裁判官の定年は70歳であり(憲法79条5項,裁判所法50条),高等裁判所,地方裁判所及び家庭裁判所の裁判官の定年は65歳であり,簡易裁判所判事の定年は70歳です(憲法80条1項ただし書,裁判所法50条)。
(2) 一般職の国家公務員について60歳定年制が導入されたのは昭和60年3月31日です(「国家公務員の定年引上げをめぐる議論」4頁参照)。

定期的に更新している記事

   この記事は,私の更新メモを兼ねた記事です。

1 毎月更新している記事
(1) 司法行政関係
・ 最高裁判所裁判官会議の議事録
・ 最高裁判所事務総局会議の議事録
・ 裁判所ウェブサイト運用支援報告書(平成27年1月以降の分)
・ 最高裁判所家庭局News
・ 裁判官の退官情報
・ 叙位の対象となった裁判官(平成31年1月以降の分)
(2) 裁判関係
・ 最高裁の既済事件一覧表(民事)
・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
・ 最高裁判所の口頭弁論期日で配布された,傍聴人の皆様へ

2 複数の時期に更新している記事
(1) 春の更新
ア 裁判所関係
・ 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)
・ 勲章受章者名簿(裁判官,簡裁判事,一般職,弁護士及び調停委員)
・ 裁判所の協議会等開催計画
・ 高等裁判所長官事務打合せ
・ 高等裁判所事務局長事務打合せ
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
・ 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
イ 司法修習関係
・ 司法修習等の日程
・ 司法修習期間中の就職説明会の日程(69期以降)
・ 司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿
 実務修習結果簿
(2) 夏の更新
ア 裁判所関係
・ 裁判官の号別在職状況等
・ 裁判所の指定職職員の名簿(一般職)
・ 東京地裁裁判官会議の概況説明資料
・ 保釈保証金の没取
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
イ 司法修習関係
・ 司法修習等の日程
・ 司法研修所の食堂及び西館の弁当販売に関する文書
・ 全国一斉検察起案
(3) 秋の更新

ア 裁判所関係
・ 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧
・ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
・ 勲章受章者名簿(裁判官,簡裁判事,一般職,弁護士及び調停委員)
・ 簡易裁判所判事選考委員会(第2回)議事録(平成19年度以降)
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
イ 司法修習関係
・ 司法修習等の日程
・ 司法修習生の修習事務に関する内部文書
・ 司法研修所の食堂及び西館の弁当販売に関する文書
(4) 冬の更新

ア 裁判所関係
・ 裁判官の号別在職状況等
・ 東京地裁裁判官会議の概況説明資料
・ 裁判所の協議会等開催計画
・ 高等裁判所長官事務打合せ
・ 高等裁判所事務局長事務打合せ
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
イ 司法修習関係
・ 司法修習等の日程
・ 司法修習期間中の就職説明会の日程(69期以降)
・ 司法修習生の修習事務に関する内部文書
・ 司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿
・ 全国一斉検察起案
・ 実務修習結果簿
(5) その他随時更新
ア 裁判所関係
(最高裁判所関係)
・ 最高裁判所第一小法廷の裁判官(着任順)
・ 最高裁判所第二小法廷の裁判官(長官以外は着任順)
・ 最高裁判所第三小法廷の裁判官(着任順)
・ 最高裁判所長官任命の閣議書
・ 最高裁判所判事任命の閣議書
・ 高輪1期以降の,裁判官出身の最高裁判所判事
・ 歴代の女性最高裁判所判事一覧
・ 歴代の女性高裁長官一覧
・ 最高裁判所大法廷の判決及び決定の一覧

(その他関係)
・ 歴代の幹部裁判官の名簿(「サイトマップ」参照)
・ 高裁長官人事のスケジュール
・ 裁判所の所持品検査
・ 全国の下級裁判所における所持品検査の実施状況
・ 東京地裁の歴代の第一所長代行
・ 大阪地裁の歴代の所長代行者,上席裁判官,大阪簡裁司掌裁判官等
イ 日弁連関係

・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)

・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 
死刑執行に反対する日弁連の会長声明等
ウ その他関係
・ 国会制定法律の一覧へのリンク
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3 特定の時期にだけ更新している記事
(1) 春の更新
ア 裁判所関係
・ 最高裁判所が作成している,高裁長官・地家裁所長等名簿
・ 最高裁判所が作成している,下級裁判所幹部職員名簿
・ 最高裁判所が作成している,首席家裁調査官等名簿
・ 最高裁判所調査官
・ 裁判所調査官
・ 判事補及び検事の弁護士職務経験制度
・ 裁判官の民間企業長期研修等の名簿
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 女性判事及び女性判事補の人数及び割合の推移
イ 司法修習関係
・ 司法研修所の職員配置図,各施設の配置及び平成24年8月当時の門限
ウ 日弁連関係
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
→ 各弁連管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長を含む。
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
・ 弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)
・ 弁護士の社会保険
エ 法務省関係
・ 法務省の定員に関する訓令及び通達
・ 法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)
・ 弁護士資格認定制度に基づく認定者数の推移
 法務総合研究所
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ア 裁判所関係
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イ 司法修習関係
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・ 司法修習の場所とクラスの対応関係(67期以降)
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・ 修習専念資金の貸与申請状況
・ 司法研修所弁護教官の任期,給料等
・ 導入修習期間中の入寮手続及び退寮手続に関する文書
・ 導入修習初日の配布物
・ 導入修習の日程予定表及び週間日程表
・ 導入修習カリキュラムの概要
・ 導入修習チェックシート
(司法修習2年目)
・ 集合修習カリキュラムの概要
・ 司法修習生応試心得(65期以降)
・ 65期以降の二回試験の日程等 
・ 65期以降の二回試験の試験科目の順番
・ 65期二回試験以降の事務委託に関する契約書,及び67期二回試験の不祥事
・ 司法修習生考試の会場借用等業務に関する賃貸借契約書(新梅田研修センター)
・ 64期二回試験以降の司法修習生考試委員会議事録等
・ 司法修習生考試委員会委員名簿(65期二回試験以降)
・ 司法修習生考試担当者名簿(65期二回試験以降)
・ 二回試験の科目別不合格者数
・ 二回試験再受験者の不合格率の推移
・ 60期以降の二回試験の不合格者数及び不合格率(再受験者を除く。)
・ 二回試験の推定応試者数
・ 弁護士登録番号と修習期の対応関係
ウ 司法修習生の任官・任検関係
・ 新任判事補研修の資料
・ 新任判事補の採用内定通知から辞令交付式までの日程
・ 新任判事補任命の閣議決定及び官報掲載の日付
・ 現行60期以降の,検事任官者に関する法務省のプレスリリース
・ 新60期以降の,新任検事辞令交付式及び判事補の採用内定の発令日
・ 検事の研修日程
エ 法務省関係
・ 恩赦の件数及び無期刑受刑者の仮釈放
オ 国会関係
・ 政策担当秘書関係の文書
・ 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等

4 定期的に作成している記事
(1) 裁判所関係
・ 修習期順の現職裁判官の名簿
・ ポスト順の現職裁判官の名簿
・ 幹部裁判官の定年予定日
・ 令和元年4月1日付の裁判官人事(着任先のポスト順)
・ 出向裁判官の名簿(令和◯年12月1日時点)
(2) 司法修習関係
・ 第◯◯期司法修習開始前の日程
・ 第◯◯期司法修習の日程
・ 第◯◯期司法修習の問研起案の日程
・ 第◯◯期司法修習生向けの,弁護士会の就職説明会等の日程
(3) 日弁連関係
・ 令和◯年度の日弁連理事

愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)の事前漏えい疑惑に関する国会答弁

愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決(最高裁大法廷平成9年4月2日判決)に関しては,その評議内容に関する記事が平成9年2月9日の朝日新聞及び共同通信配信地方紙に掲載されましたところ,この問題に関する平成9年3月25日の参議院予算委員会における国会答弁は以下のとおりです(野間赳は,愛媛県選出の参議院議員(自民党)であり,18期の涌井紀夫裁判官は最高裁判所総務局長でした。)。

○野間赳君 先般三月十一日の当予算委員会におきまして、愛媛県玉ぐし料訴訟の報道に関しましての質問をいたしました。また、三月十八日には我が党の先輩であります板垣先生からもこの件につきましての質問がなされたのであります。
   最高裁からは、漏えい疑惑につきまして厳格な調査をした、漏えいはなかったと繰り返しの答弁がなされてまいりました。念には念を入れて調査をして、調査結果は間違っていなかったと断言をなされておられるのであります。
   その後、私も先日来の新聞記事を幾度となく読んでみました。しかし、どうしても予測、予想で書ける記事ではないように思えてならないのであります。そこで、本日改めて時間をちょうだいいたしましてこの問題につきまして再び質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、最高裁が行った調査につきましてお伺いをいたします。
   先日、私の質問に対しましての答弁、内部の関係者ということになりますと、本件の合議に直接関与しております十五名の裁判官を含めまして、さらにその合議の内容を審議用の資料を通じて間接的にでも知り得る可能性にあります調査官であるとか、またあるいは裁判官の秘書官であるとか書記官、事務官等々、人数にいたしまして合計で五十名弱の者について調査を行ったということでありました。
   調査の中身そのものは無論明らかにできないということでありましたが、厳格に十分念を入れて調査をされたと、こういうことでございましたので、一体どのような方法、手段で調査をなされたものか、お伺いをいたしたいと思います。
   直接に面接でおやりになられたのか、電話であったとか具体的にお願いをいたします。調査はどのような機関で何人ぐらいで行われたのか、まずお伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 調査の方法でございますが、まずその対象者をどうするかという問題がございまして、私どもの方ではこの事件の合議の内容を直接間接に知る可能性のある者をできるだけ広く調査の対象にいたしまして調査をしたつもりでございます。
   もちろん、事件の合議の内容を直接知っておりますのは十五名の裁判官でございますけれども、実は調査官というのがございまして、これは事件のいろんな法律問題等の調査を担当いたしますので、審議の経過で裁判官の指示に従いましていろいろ調査をしたりいたしますので、その過程で間接的にと申しますか審議の内容に触れる機会がございます。
   それから、裁判官の秘書官というのは裁判官の手元にある資料すべてについて目にする機会がございますので、こういう裁判官の秘書官も調査の対象にいたしました。
   それから、事件の進行手続をいろいろ管理しております書記官というのも、これまたさらに間接的な形ではございますけれども合議の内容等を一部知り得る可能性もございますし、また事件用の書類の作成に関与します事務官等の中にも、そういう間接的な意味で部分的に審議の内容等を知り得る可能性がある者がございます。
   こういった者をできるだけ広く調査の対象に含めまして、総計で言いますと、委員今御指摘ございましたように、五十名弱の者を調査の対象として選んだわけでございます。
   実は、この調査の具体的な方法、内容になってまいりますと、特にこの事件の審理を担当しております裁判官についてどういう調査をどういう方法で行ったかということになってまいりますと、これは事件の合議内容そのものともう非常に密接に関連してまいります。まさに秘密そのものという事項になりますので、なかなかそこまで申し上げることが難しいわけでございますけれども、要するにそういう事件の合議の内容を直接間接に知り得る可能性のある者一人一人につきまして、その合議の秘密というものを外部に漏らした事実がないかどうかということを十分念を入れまして確認しております。
   調査の方法でございますが、例えば書面等によりまして通り一遍の調査をしたというものではございませんで、いろんな調査方法あるいは確認方法を講じまして、いろんな角度から総合的に事実関係を確認いたしまして、内部の者から合議の秘密が漏えいされたという事実は認められないという、そういう結論に達したわけでございます。
○野間赳君 また、先般の板垣先生の質問に対しましては、私どもの方、内部の者、それから報道機関側双方についても十分念を入れて調査をしたというお答えでございました。
   朝日新聞、共同通信につきましての調査はどのような調査であったのか、これも具体的にお答えをいただきたいと思います。厳格な調査であれば、記事を書かれた、執筆した記者についても直接調査をなされたのかどうか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 報道機関側に対しましては、裁判所担当の記者というのがございますので、その記者を呼びまして直接本人から、これは一度だけではございませんで、繰り返し取材経過等について釈明を聴取するという、そういう措置を講じております。その結果、記者の側からも、本件の報道が裁判所の内部からの秘密の漏えいによるものではないんだという、そういう釈明を受けておるわけでございます。
○野間赳君 ここに「編集週報」の写しがあるわけでありますが、これは共同通信社の社内報であります。加盟社のトップしか見られない資料であるということであります。第二ハ六二号、一九九七年二月十五日に発行されました社会部の一部のものであります。
   これをちょっと読ませていただきます。六行目ぐらいになるわけでありますが、「愛媛玉ぐし料訴訟で社会部は八日夜、近く予想される最高裁大法廷の判決内容を予測する特ダネ記事を出稿した。」、こういうふうに書いております。
   八日の夜といいますと、新聞が出ましたのが二月九日、前の晩ということであります。こういうふうな新聞が出ましたのが二月九日、これは愛媛新聞でありますが、無論、全国共同通信の配信によります十二社また朝日新聞、こういうことで二月九日に出た記事であります。その前日のことがこのように、今私が申し上げましたように書かれておるということであります。
   続きまして、
   玉ぐし料の公費支出は政教分離の原則に反し違憲の判断を示す見通しとなったという内容で、地元の愛媛新聞など十二紙が一面トップで掲載したのをはじめ加盟社の紙面で大きく扱われた。
わが社だけかと思っていたら敵もさるもの全国紙A紙がほぼ同様の内容を九日付朝刊に打ってきた。
   こういうこと。今私が申し上げましたようにA紙、これは全国紙で出たのは朝日新聞だけでありますから朝日新聞と特定ができるものであります。きょうから四十五日前の記事であります。無論、裁判はこれからという段階の今日の状況でございます。
   しかし社会部の記事は「宗教行事そのものへの支出と言え、過去に社会的儀礼として合憲判断が出た神道式地鎮祭とは同じに扱えない」などとする違憲論が「靖国神社が戦没者慰霊の中心的施設で社会的儀礼の性格が強い」との合憲論を上回った審理経過に踏み込んでいる。
   こういうことも書かれております。無論、審理経過、合議という表に出ちゃならぬ問題がこういうふうなことで書かれておるのであります。
また政教分離をめぐる過去の裁判で国や自治体と宗教とのかかわりがどの程度なら許されるかの基準となっている「目的効果基準」の審理経過ここも審理経過が出てきております。非公開のものが出てきておる。
   についても触れ、はるかに詳しい内容の記事となっている。
   ということがこの社内報に示されております。
   また、
   社会部の予測記事通りなら愛媛玉ぐし料訴訟は最高裁として初の違憲判断を示す画期的な判決となる。
   判決は従軍慰安婦、南京虐殺事件などにかかわる太平洋戦争の戦争責任論に通じる意味を持つ。アジアの国々も注目しているのではないか。だから前例のない特ダネ記事などとはしゃぐ気は毛頭ない。
   「抗議電話が多数かかった」などとして案の定最高裁から厳しいおしかりを受けた。
   おとがめを受けた、そういうことがここに書かれておるのであります。大変なことであります。これが二月十五日付の共同通信社の「編集週報」ということであります。
   以上の中で疑問に思うことが数点私はございます。推測、予測の記事と言いながら、特だね記事、また前例のない特だね記事であることをはっきりとここで述べておるわけであります。普通、特だねというのはスクープの記事というのが我々の常識的な理解であるわけでありますが、特別な情報を入手してということでなかろうかと私も思うわけであります。また、前例のない特だね記事と述べておりますように、単なる言われております予測記事でない、ここが異なるものであると私は思います。
   また、審理経過に踏み込んでおるということもここで述べております。審理経過に触れという表現もされております。審理経過は非公開であるべき合議の中身そのものを指すものでございます。それが出たものでありますから、これは私は大変重要なことであると思います。
   そして、最後に私が読みました「案の定最高裁から厳しいおしかりを受けた。」、おとがめを受けたとございます。本当に推測の記事であればこのような言い方をしません。秘密情報を入手した上でのトップニュースでありますから最高裁のおしかりを受けたということでありましょう。この問題を     私は、この社内報から新しくきょう指摘させていただきます。
   これらにつきましてどのように思われますか、お尋ねをするわけでありますが、幾ら最高裁が漏えいの事実はなかったということを言われましても、共同通信側では秘密情報を入手していると等しいのではないか。
   前回に質問をいたしました記事の内容で、あなた自身のお口から、
   これはあたかも合議の内容自体を具体的に報ずるというそういう形の記事になっておりますので、これをお読みになった方の立場からいたしますと、これは裁判所の合議の秘密が内部から漏れてそれが記事になったんじゃないか、そういうふうなお感じをお持ちになるというのは当然であるという面があろうかと思います。
とあなたは御答弁をなされたのであります。
   このような状況からして、漏えいがあったと見るのがもう自然的、常識的であると私は思います。いかがでしょうか。また、予測であればあれほど踏み込んだ記事が書けると思うか、お伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 御紹介のありました「編集週報」という記事の書かれました根拠等を承知しておりませんので、その記事の内容について御意見等を申し上げる立場にないわけでございますが、委員御指摘になりましたとおり、その記事の構成自体は非常に合議の内容に踏み込んだような記事になっておりまして、これを読みます読者あるいは国民の立場からいたしますと、あたかも合議の秘密が何らかの形で漏えいされたのではないか、そういう疑念を抱かせるような記事になっていることはそのとおりでございます。
   まさに、その点が私ども裁判所の立場からいたしますと、裁判に対する国民の信頼という観点からいたしまして非常に遺憾な記事であるということで、共同通信に対しては厳重に抗議をしたわけでございます。
○野間赳君 また、事務総長によります記者会見をして報道機関側に厳重に注意をしたということでありますが、どのような抗議をどのような形で行ったのか、お伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 先ほど来申し上げておりますような調査をいたしまして、その結果、裁判所内部の者からその合議の秘密が漏えいされたという、そういう事実は認められなかったと。また他方、報道機関の側からも、この記事といいますのは内部の者からの秘密の漏えいに基づいて掲載した記事ではないんだと、あくまで外部のいろんな関係者の取材でありますとかこれまでの判例、学説等の取材、そういうものに基づいて判決の予測をした記事であるという、こういう釈明があったわけでございます。
   ただ、それにいたしましても、裁判所の立場からいたしますと、この記事というのはあたかもその合議の秘密が漏えいされたかのような記事になっておりまして、国民に対しては、合議の秘密が漏えいされたんじゃないか、あるいはこういう報道自体がこの事件の合議に影響を与えるんじゃないか、こういうふうな疑念を抱かせる内容の記事になっておりまして、裁判の公平に対する国民の信頼を失わせる、おそれがある、そういう非常に遺憾な記事であると、その点につきまして報道機関に抗議をしたわけでございます。
○野間赳君 どのような抗議をなされたのか、具体的にもう一度お尋ねをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 事務総長が朝日新聞と共同通信の両社の編集の責任者を呼びまして、それで書面をもちまして、今言いましたように、このような報道が合議の秘密が漏えいされたのではないかという疑念、あるいは合議に影響を与えるのではないかという疑念を国民に抱かせ、裁判の公平に対する国民の信頼を失わせるおそれがある非常に遺憾な記事であるということを記載しました書面を交付いたしまして抗議しております。
○野間赳君 お聞きのようなことでありますが、国民の中からも最高裁に対して秘密漏えいの疑惑を指摘する声が私のところにもたくさん参っております。最高裁に対しましても真相究明の要望や抗議があるようにも聞き及んでおりますが、その実情はいかがなことになっておりますのか、お尋ねをいたします。
   最高裁では、信頼回復のため二月十九日に事務総長の記者会見を行ったと言われますが、その後国民からの反応がどのように変わってきたか、お尋ねをいたします。
   また、要望、抗議の件数など把握をなされておりましたらお示しをいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 本件の報道がございまして以降、最高裁に全国から電話や書面等でいろんな抗議の意思表示が寄せられております。
 三月二十四日の時点の合計で言いますと、電話等は、余り正確な数字ではございませんが、百数十件ございましたし、書面によるものでは五百件余りのものが出ております。また、三月三日付では大学教授等二十名の方の連名で、真相究明するよう要望するという要望書が提出されましたし、また三月十八日付では、八十名余りの学者等の方の最高裁判決報道の真相究明を求める会という、そういう名前で同じような趣旨の要望書が提出されております。
○野間赳君 大変な数であると思います。議論を通じましても秘密の漏えいの疑惑はぬぐい去ることができないのであります。それどころか、ますます疑惑は深まるように思われます。
   最高裁は、何としてもこのような漏えい疑惑を晴らし、国民の司法に対する信頼回復に努めていかなければならないと私は思います。そのためにも、もっと国民に十分納得のできるような再調査をしていただきたい、はっきりさせるべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 最高裁といたしましては、先ほど来申し上げておりますような方法で十分念を入れた調査を行いました上で、今回の報道に関しまして裁判所の部内から合議の秘密が漏えいしたという、そういう事実は認められないという結論を得まして、国民の司法に対する信頼を確保するという、そういう見地からこの事実関係を記者会見を開きまして事務総長からも明らかにしております。また、報道機関に対しても厳重に抗議するという措置をとったわけでございます。私ども十分念を入れた慎重な調査を行った結果に基づいてこういう措置をとったつもりでございますので、これ以上何か新たな対応を行うということは考えておりません。
○野間赳君 国民の公平な裁判を受ける権利は憲法が保障する最も重要な権利の一つであります。そして、裁判が公平に行われればこそ、国民は裁判の内容に幾ら不服があろうともそれに服さなければならないのであります。残念ながら、本件では公平の中にも公平であるべき最高裁に秘密漏えいという疑惑が持たれているのでありまして、現状のままではとても公平な裁判とは言えないのではないでしょうか。国民の疑惑は解消されず、一層深まるばかりであります。国民の支持は決して得られるものではないと思います。
   再度お伺いをいたします。
   信頼回復のため、新たに調査をするなり措置をとるなり、国民にわかりやすい対応をされるお考えはないかどうか、最後にお伺いをいたします。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 繰り返しになりますが、私どもの方では十分念を入れて慎重な調査を行いました結果に基づいて、その調査結果を記者会見の席で一般にも明らかにしておりますし、報道機関に対しましても厳重な抗議の措置をとっておりますので、これ以上新たな対応を行うということは考えておりません。
   ただ、最高裁としましても、もとより今回の報道によっていささかも影響されるものではございませんで、今後とも中立公正な裁判に向けて力を尽くしていく所存でありますことは、二月十九日の事務総長の声明にもあるとおりでございます。
○委員長(大河原太一郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
○委員長(大河原太一郎君) 速記を起こして。
○野間赳君 この問題は、私が今申し上げてきましたように、まだまだ疑惑が晴れないものがあります。国民の信頼の回復のためにも再度厳格な調査を求めるものであります。
   そのことにつきましては委員長に取り計らいを一任させていただきますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○委員長(大河原太一郎君) 野間君のただいまの申し出につきましては、後刻、理事会において協議をいたします。
○野間赳君 そういうことで大きく失墜をいたしました最高裁の権威を回復して国民の司法に対する信頼を再び取り戻すためには、まず最高裁自身が国民の疑惑をはっきりと晴らすことでなかろうかと思います。それによって初めて公平な裁判が実現するということを強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

*1 18期の涌井紀夫裁判官は,平成9年3月28日の参議院予算委員会において以下の答弁をしています。
(山中注:愛媛玉ぐし訴訟大法廷判決の事前漏えい疑惑に関しては,)関係の職員全部について調査をいたしまして、その結果、内部から秘密が漏えいされた事実は認められないという結論になったわけでございます。
   その後、今御指摘のございましたような「編集週報」の記事も見ましたので、この「編集週報」の執筆者である共同通信社の社会部長にも事実を確認いたしましたが、この記事も内部からの秘密の漏えいということを書いた記事ではないという、そういう説明を受けております。
   国民新聞につきましても、そこで指摘されました裁判官につきまして再度事実を確認しておりますけれども、この裁判官を通じて秘密が漏れたという事実は認められませんでしたので、国民新聞に対しましても書面によりまして抗議をしております。
   確認を要する事実が出てきました際にはきちんとこういう対応をしてきておりますので、今後ともさらに確認を要するような事実が出てきました場合にはきちんとした対処をしていきたい、かように考えております。
*2 以下の記事も参照してください。
① 昭和24年7月16日発生の最高裁判所誤判事件に関する最高裁大法廷昭和25年6月24日決定
② 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容

最高裁判所大法廷の判決及び決定の一覧

平成31年→令和元年の最高裁判所大法廷の判決及び決定(0本)
平成30年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
平成30年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
平成29年の最高裁判所大法廷の判決(5本。ただし,実質4本)
平成28年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
平成27年の最高裁判所大法廷の判決(5本,ただし,実質4本)
平成26年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
平成25年の最高裁判所大法廷の判決・決定(3本。ただし,実質2本)
平成24年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
平成23年の最高裁判所大法廷の判決・決定(4本。ただし,実質3本)
平成22年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成21年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成20年の最高裁判所大法廷の判決(3本。ただし,実質2本)
平成19年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
平成18年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成17年の最高裁判所大法廷の判決(3本)
平成16年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成15年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
平成14年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
平成13年の最高裁判所大法廷の判決・決定(2本)

平成31年→令和元年の最高裁判所大法廷の判決及び決定
なし。

平成30年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)

最高裁大法廷平成30年12月19日判決及び最高裁大法廷平成30年12月19日判決の判示事項
平成29年10月22日施行の衆議院議員総選挙当時,公職選挙法13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったということはできず,上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない 。

平成30年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
最高裁大法廷平成30年10月17日決定の裁判要旨
1 裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいう。
2 裁判官がインターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワーク上で投稿をした行為は,次の(1)~(3)など判示の事情の下においては,裁判所法49条にいう「品位を辱める行状」に当たる。
(1) 当該投稿は,これをした者が裁判官の職にあることが広く知られている状況の下で行われた。
(2) 当該投稿は,判決が確定した当該裁判官の担当外の民事訴訟事件に関し,その内容を十分に検討した形跡を示さず,表面的な情報のみを掲げて,私人である当該訴訟の原告が訴えを提起したことが不当であるとする一方的な評価を不特定多数の閲覧者に公然と伝えるものであった。
(3) 当該投稿は,上記原告が訴訟を提起したことを揶揄するものともとれるその表現振りとあいまって,同人の感情を傷つけるものであった。
 (2につき補足意見がある。)

平成29年の最高裁判所大法廷の判決(5本。ただし,実質4本)
最高裁大法廷平成29年12月6日判決の裁判要旨
1 放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には,その者に対して承諾の意思表示を命ずる判決の確定によって受信契約が成立する
2 放送法64条1項は,同法に定められた日本放送協会の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法13条,21条,29条に違反しない
3 受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する
4 受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効は,受信契約成立時から進行する
最高裁大法廷平成29年11月29日判決の判決文抜粋
   刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。
最高裁大法廷平成29年9月27日判決及び最高裁大法廷平成29年9月27日判決の裁判要旨
    平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙当時,平成27年法律第60号による改正後の公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,上記規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。
 (意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成29年3月15日判決の裁判要旨
   車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であり,令状がなければ行うことができない強制の処分である。

平成28年の最高裁判所大法廷の決定(1本)
最高裁大法廷平成28年12月19日決定の裁判要旨
   共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。
(補足意見及び意見がある。)。

平成27年の最高裁判所大法廷の判決(5本,ただし,実質4本)
最高裁大法廷平成27年12月16日判決の裁判要旨
1 民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は,憲法14条1項,24条2項に違反しない。
2 民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反するに至っていた。
3 法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして,例外的に,その立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがある。
4 平成20年当時において国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことは,(1)同項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分が合理性を欠くに至ったのが昭和22年民法改正後の医療や科学技術の発達及び社会状況の変化等によるものであり,(2)平成7年には国会が同条を改廃しなかったことにつき直ちにその立法不作為が違法となる例外的な場合に当たると解する余地のないことは明らかであるとの最高裁判所第三小法廷の判断が示され,(3)その後も上記部分について違憲の問題が生ずるとの司法判断がされてこなかったなど判示の事情の下では,上記部分が違憲であることが国会にとって明白であったということは困難であり,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。
(1につき補足意見,1,2につき補足意見及び意見,1~4につき補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成27年12月16日判決の裁判要旨
1 民法750条は,憲法13条に違反しない。
2 民法750条は,憲法14条1項に違反しない。
3 民法750条は,憲法24条に違反しない。
(3につき補足意見,意見,反対意見がある。)
最高裁大法廷平成27年11月25日判決及び最高裁大法廷平成27年11月25日判決の裁判要旨
   平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
 (補足意見,意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成27年3月4日判決の裁判要旨
1 被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,損害賠償額を算定するに当たり,上記の遺族補償年金につき,その塡補の対象となる被扶養利益の喪失による損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する逸失利益等の消極損害の元本との間で,損益相殺的な調整を行うべきである。
2 被害者が不法行為によって死亡した場合において,その損害賠償請求権を取得した相続人が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受け,又は支給を受けることが確定したときは,制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り,その塡補の対象となる損害は不法行為の時に塡補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが相当である。

平成26年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
最高裁大法廷平成26年11月26日判決及び最高裁大法廷平成26年11月26日判決の裁判要旨
   平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時において,公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,選挙区間における投票価値の不均衡は平成24年法律第94号による改正後も違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったが,上記選挙までの間に更に上記規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)

平成25年の最高裁判所大法廷の判決・決定(3本。ただし,実質2本)
最高裁大法廷平成25年11月20日判決及び最高裁大法廷平成25年11月20日判決の裁判要旨
   平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法(平成24年法律第95号による改正前のもの)13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
 (意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成25年9月4日決定の裁判要旨
1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。
2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。
 (1,2につき補足意見がある。)

平成24年の最高裁判所大法廷の判決(2本。ただし,実質1本)
最高裁大法廷平成24年10月17日判決及び最高裁大法廷平成24年10月17日判決の裁判要旨
   公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で,平成22年7月11日施行の参議院議員通常選挙当時,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたが,上記選挙までの間に上記規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,上記規定が憲法14条1項等に違反するに至っていたということはできない。
 (補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成23年の最高裁判所大法廷の判決・決定(4本。ただし,実質3本)
最高裁大法廷平成23年11月16日判決の裁判要旨
1 憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねている。
2 裁判員制度は,憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項に違反しない。
3 裁判員制度は,憲法76条3項に違反しない。
4 裁判員制度は,憲法76条2項に違反しない。
5 裁判員の職務等は,憲法18条後段が禁ずる「苦役」に当たらない。
最高裁大法廷平成23年5月31日決定の裁判要旨
   最高裁判所長官が,裁判員制度の実施に係る司法行政事務に関与したからといって,同制度の憲法適合性を争点とする事件について,「不公平な裁判をする虞」があるということはできない。
最高裁大法廷平成23年3月23日判決及び最高裁大法廷平成23年3月23日判決の裁判要旨
    平成21年8月30日施行の総選挙当時において,衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準のうち,同条2項のいわゆる1人別枠方式に係る部分は,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っており,同基準に従って平成14年に改定された公職選挙法13条1項,別表第1の定める選挙区割りも,憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたが,いずれも憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記各規定が憲法14条1項等に違反するものということはできない。
 (補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成22年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成22年1月20日判決の裁判要旨
1 市が連合町内会に対し市有地を無償で建物(地域の集会場等であるが,その内部に祠が設置され,外壁に神社の表示が設けられている。),鳥居及び地神宮の敷地としての利用に供している行為は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記行為がもともとは小学校敷地の拡張に協力した地元住民に報いるという世俗的,公共的な目的から始まったものであるとしても,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものであって,憲法89条,20条1項後段に違反する。
(1) 鳥居,地神宮,神社と表示された建物入口から祠に至る上記各物件は,一体として神道の神社施設に当たるもので,そこで行われている諸行事も,このような施設の性格に沿って宗教的行事として行われている。
(2) 上記各物件を管理し,祭事を行っている氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を連合町内会に支払うほかは,上記各物件の設置に通常必要とされる対価を支払うことなく,その設置に伴う便益を長期間にわたり継続的に享受しており,前記行為は,その直接の効果として,宗教団体である氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にするものである。
2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断には,違法がある。
(1) 上記神社施設を直ちに撤去させるべきものとすることは,氏子集団の同施設を利用した宗教的活動を著しく困難なものにし,その構成員の信教の自由に重大な不利益を及ぼすものとなる。
(2) 神社施設の撤去及び土地明渡請求以外に,例えば土地の譲与,有償譲渡又は適正な対価による貸付け等,上記行為の違憲性を解消するための他の手段があり得ることは,当事者の主張の有無にかかわらず明らかである。
(3) 原審は,当事者がほぼ共通する他の住民訴訟の審理を通じて,上記行為の違憲性を解消するための他の手段が存在する可能性があり,市長がこうした手段を講ずる場合があることを職務上知っていた。
 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成22年1月20日判決の裁判要旨
   市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことは,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,憲法20条3項,89条に違反しない。
(1) 上記神社施設は明らかに神道の神社施設であり,そこでは神道の方式にのっとった宗教的行事が行われており,上記のような市有地の提供行為をそのまま継続することは,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されるおそれがあった。
(2) 上記譲与は,市が,監査委員の指摘を考慮し,上記(1)のような憲法の趣旨に適合しないおそれのある状態を是正解消するために行ったものである。
(3) 上記市有地は,もともと上記町内会の前身の団体から戦前に小学校の教員住宅用地として寄附されたが,戦後,上記教員住宅の取壊しに伴いその用途が廃止されたものである。

平成21年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成21年11月18日判決の裁判要旨
   地方自治法施行令115条,113条,108条2項及び109条の各規定のうち,公職選挙法89条1項を準用することにより,公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は,その資格制限が解職の請求手続にまで及ぼされる限りで,同法中の選挙に関する規定を解職の投票に準用する地方自治法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え,無効である。
 (補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成21年9月30日判決の裁判要旨
   公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成19年7月29日施行の参議院議員通常選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)

平成20年の最高裁判所大法廷の判決(3本。ただし,実質2本)
最高裁大法廷平成20年9月10日判決の裁判要旨
   市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
 (補足意見及び意見がある。)
最高裁大法廷平成20年6月4日判決の裁判要旨
 1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも上告人らが国籍取得届を提出した平成17年当時において,憲法14条1項に違反していたものである。
 2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,国籍法3条1項所定の国籍取得の要件のうち,日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている部分,すなわち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた要件が満たされるときは,国籍法3条1項に基づいて日本国籍を取得する。
 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成20年6月4日判決の裁判要旨
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも上告人が国籍取得届を提出した平成15年当時において,憲法14条1項に違反していたものである。
2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,国籍法3条1項所定の国籍取得の要件のうち,日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている部分,すなわち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた要件が満たされるときは,国籍法3条1項に基づいて日本国籍を取得する。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成19年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
最高裁大法廷平成19年6月13日判決の裁判要旨
1 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条のいわゆる1人別枠方式を含む衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの基準を定める規定は,憲法14条1項に違反するものとはいえず,平成14年法律第95号による公職選挙法の改正により上記基準に従って改定された同法13条1項,別表第1の上記区割りを定める規定は,その改定当時においても,平成17年9月11日施行の衆議院議員選挙当時においても,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
2 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に政見放送その他の選挙運動を認める公職選挙法の規定は,候補者届出政党に所属する候補者とこれに所属しない候補者との間に選挙運動の上で差異を生ずるものであるが,その差異が合理性を有するとは考えられない程度に達しているとまで断ずることはできず,憲法14条1項に違反するとはいえない。
 (1につき補足意見,意見及び反対意見,2につき意見及び反対意見がある。)

平成18年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成18年10月4日判決の裁判要旨
   公職選挙法(平成18年法律第52号による改正前のもの)14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成16年7月11日施行の参議院議員選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成18年3月1日判決の裁判要旨
1 市町村が行う国民健康保険の保険料については,これに憲法84条の規定が直接に適用されることはないが,同条の趣旨が及ぶと解すべきであるところ,国民健康保険法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要がある。
2 旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)が,8条(平成6年旭川市条例第29号による改正前のもの及び平成10年旭川市条例第41号による改正前のもの)において,国民健康保険の保険料率の算定の基礎となる賦課総額の算定基準を定めた上で,12条3項において,旭川市長に対し,保険料率を同基準に基づいて決定して告示の方式により公示することを委任したことは,国民健康保険法81条に違反せず,憲法84条の趣旨に反しない。
3 旭川市長が旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)12条3項の規定に基づき平成6年度から同8年度までの各年度の国民健康保険の保険料率を各年度の賦課期日後に告示したことは,憲法84条の趣旨に反しない。
4 旭川市国民健康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号)19条1項が,当該年において生じた事情の変更に伴い一時的に保険料負担能力の全部又は一部を喪失した者に対して国民健康保険の保険料を減免するにとどめ,恒常的に生活が困窮している状態にある者を保険料の減免の対象としていないことは,国民健康保険法77条の委任の範囲を超えるものではなく,憲法25条,14条に違反しない。
 (1〜3につき補足意見がある。)

平成17年の最高裁判所大法廷の判決(3本)
最高裁大法廷平成17年12月7日判決の裁判要旨
1 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。
2 鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち同事業に係る東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。平成10年東京都条例第107号による改正前のもの)2条5号所定の関係地域内に居住する者は,その住所地が同事業の事業地に近接していること,上記の関係地域が同事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で同事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として同条例13条1項に基づいて定められたことなど判示の事情の下においては,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有する。
3 鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業が鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業と別個の独立したものであること,上記付属街路が鉄道の連続立体交差化に当たり環境に配慮して日照への影響を軽減することを主たる目的として設置されるものであることなど判示の事情の下においては,付属街路の設置を内容とする上記事業の事業地の周辺に居住する住民は,都市計画法(平成11年法律第160号による改正前のもの)59条2項に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟の原告適格を有しない。
 (1,2につき補足意見,3につき補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成17年9月14日判決の裁判要旨
1 平成8年10月20日に施行された衆議院議員の総選挙当時,公職選挙法(平成10年法律第47号による改正前のもの)が,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が国政選挙において投票をするのを全く認めていなかったことは,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
2 公職選挙法附則8項の規定のうち,国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は,遅くとも,本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては,憲法15条1項,3項,43条1項,44条ただし書に違反する。
3 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民が,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができる地位にあることの確認を求める訴えは,公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
4 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民は,次回の衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において,在外選挙人名簿に登録され ていることに基づいて投票をすることができる地位にある。
5 国会議員の立法行為又は立法不作為は,その立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国家賠償法1条1項の適用上,違法の評価を受ける。
6 国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の機会を確保するためには,上記国民に上記選挙権の行使を認める制度を設けるなどの立法措置を執ることが必要不可欠であったにもかかわらず,上記国民の国政選挙における投票を可能にするための法律案が廃案となった後,平成8年10月20日の衆議院議員総選挙の施行に至るまで10年以上の長きにわたって国会が上記投票を可能にするための立法措置を執らなかったことは,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものというべきであり,国は,上記選挙において投票をすることができなかったことにより精神的苦痛を被った上記国民に対し,慰謝料各5000円の支払義務を負う。
 (1,2,4〜6につき,補足意見,反対意見がある。)
最高裁大法廷平成17年1月26日判決の裁判要旨
1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。
 2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

平成16年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成16年1月14日判決の裁判要旨
   公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成13年7月29日施行の参議院議員選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。)
最高裁大法廷平成16年1月14日判決の裁判要旨
   公職選挙法が参議院(比例代表選出)議員選挙につき採用している非拘束名簿式比例代表制は,憲法15条,43条1項に違反するとはいえない。

平成15年の最高裁判所大法廷の判決(1本)
最高裁大法廷平成15年4月23日判決の裁判要旨
1 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは,後行の所有権移転行為について横領罪の成立を肯定することができ,先行の抵当権設定行為が存在することは同罪の成立自体を妨げる事情にはならない。
2 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了した場合において,後行の所有権移転行為のみが横領罪として起訴されたときは,裁判所は,所有権移転の点だけを審判の対象とすべきであり,犯罪の成否を決するに当たり,所有権移転行為に先立って横領罪を構成する抵当権設定行為があったかどうかといった訴因外の事情に立ち入って審理判断すべきではない。

平成14年の最高裁判所大法廷の判決(2本)
最高裁大法廷平成14年9月11日判決の裁判要旨
1 郵便法68条及び73条の規定のうち,書留郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。
2 郵便法68条及び73条の規定のうち,特別送達郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は過失によって損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。
 (1,2につき補足意見及び意見がある。)
最高裁大法廷平成14年2月13日判決の裁判要旨
1 証券取引法164条1項は,上場会社等の役員又は主要株主が同項所定の有価証券等の短期売買取引をして利益を得た場合には,同条8項に規定する内閣府令で定める場合に当たるとき又は類型的にみて取引の態様自体から役員若しくは主要株主がその職務若しくは地位により取得した秘密を不当に利用することが認められないときを除き,当該取引においてその者が秘密を不当に利用したか否か,その取引によって一般投資家の利益が現実に損なわれたか否かを問うことなく,当該上場会社等はその利益を提供すべきことを当該役員又は主要株主に対して請求することができるものとした規定である。
2 証券取引法164条1項は,憲法29条に違反しない。

平成13年の最高裁判所大法廷の判決・決定(2本)
最高裁大法廷平成13年3月30日決定の裁判要旨
   裁判官が,妻に対する被疑事件の捜査が逮捕可能な程度に進行した段階において,事実を確認してこれを認めたならば示談をするようにとの趣旨で検事から捜査情報の開示を受けたのに対し,妻が事実を否認したことから,捜査機関の有する証拠や立論の疑問点,問題点等を記載した書面を作成し,妻及びその弁護に当たる弁護士に交付するなどした行為は,判示の事情の下においては,犯罪の嫌疑を受けた妻を支援,擁護するものとして許容される限界を超えたものであり,裁判所法49条に該当する。
 (反対意見がある。)
最高裁大法廷平成13年3月28日判決の裁判要旨
   小作地に対していわゆる宅地並み課税がされたことによって固定資産税及び都市計画税の額が増加したことを理由として小作料の増額を請求することはできない。
 (補足意見及び反対意見がある。) 

裁判統計報告

1 裁判統計報告に関する以下の文書を掲載しています。掲載文書の基準時は平成26年1月です。
(1) 最高裁判所事務総長通達
①   裁判統計報告について(平成17年1月31日付の最高裁判所事務総長通達)
(2) 最高裁判所事務総局情報政策課長通達
①   裁判統計報告に関する事務の処理について(平成17年1月31日付の最高裁判所事務総局情報政策課長通達)1/2(本文,月報及び年表)
②   裁判統計報告に関する事務の処理について(平成17年1月31日付の最高裁判所事務総局情報政策課長通達)2/2(裁判事件票)
③   裁判所分類符号表
④   民事,刑事事件分類符号表1/2及び2/2
  国名分類符号表

2(1) 統計報告書には,統計月報及び統計年表があります。
(2) 高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所及び簡易裁判所は,その取り扱った事件について,本庁,支部又は出張ごとに統計報告書を作成します。
また,記載の都度,裁判事件票を作成します。

3 「最高裁判所が作成している事件数データ」も参照してください。

最高裁判所が作成している事件数データ

1(1) 以下のデータを掲載しています。
① 平成28年分
・ 平成28年の最高裁の事件数データ
・ 平成28年の高裁,地裁及び家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 平成28年の地裁の本庁及び支部ごとの過払金等の事件数データ
② 平成29年分
・ 平成29年の最高裁の事件数データ
・ 平成29年の高裁,地裁及び家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
③ 平成30年分
・ 平成30年の最高裁の事件数データ
 平成30年の高裁の事件数(民事事件の上告,控訴,抗告及び許可抗告申立て,並びに行政事件の第一審訴訟,控訴及び許可抗告申立て)
・ 平成30年の高裁及び地裁の知的財産権に関する事件数データ
・ 平成30年の地裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 平成30年の医事関係訴訟新受件数(地裁別),及び平成30年の地裁の医事関係訴訟既済件数(診療科目別)
・ 平成30年の家裁の本庁及び支部ごとの事件数データ
・ 平成30年の簡裁の事件数データ(交通事故損害賠償請求訴訟新受件数を含む。)
(2) 平成16年から平成29年までの医事関係訴訟新受件数(地裁別),及び医事関係訴訟既済件数(診療科目別)(平成18年~平成30年3月)を掲載しています。
(3)ア 平成27年,平成28年及び平成29年の簡易裁判所の事件数(通常訴訟,少額訴訟,和解,支払督促,公示催告,保全命令及び民事調停)を掲載しています。
イ 簡易裁判所の交通事故損害賠償請求訴訟新受件数(平成28年~平成29年)を掲載しています。
(4) 知財関係訴訟 知財高裁 統計データ(平成18年から平成30年まで)等を掲載しています。
(5) 調停事件統計資料を以下のとおり掲載しています。
平成28年度平成29年度

2 最高裁については,民事上告,民事上告受理,民事特別抗告及び民事許可抗告,並びに行政上告,行政上告受理,行政特別抗告及び行政許可抗告の事件数が載っています。

3 高裁については,以下の事件数が載ってあります。
① 上告,控訴,抗告,許可抗告申立て(民事事件)
② 第一審訴訟,控訴,許可抗告申立て(行政事件)

4 地裁については,以下の事件数が載っています。
① 通常訴訟(内数として,過払金等,交通事故損害賠償,株主代表訴訟,労働関係訴訟),控訴,保護命令
② 保全命令,強制執行(不動産,債権),不動産担保権実行,破産(内数として,管財事件),小規模個人再生
③ 労働審判
④ 行政第一審訴訟

4 家裁については,以下の事件数が載っています。
① 別表第一審判事件,別表第二審判事件,別表第二調停事件,別表第二以外調停事件
② 別表第一審判事件の内数として,成年後見関係,後見人等に対する報酬の付与,後見等監督処分,子の氏の変更についての許可,相続の放棄の申述の受理
③ 別表第二審判事件の内数として,婚姻費用の分担,子の監護者の指定その他の処分,親権者の指定又は変更,遺産の分割に関する処分など
④ 別表第二調停事件の内数として,婚姻費用の分担,子の監護者の指定その他の処分,親権者の指定又は変更,遺産の分割に関する処分など
⑤ 婚姻中の夫婦間の事件
⑥ 人事訴訟事件,通常訴訟事件

5 「裁判統計報告」も参照してください。

下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等

下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年2月17日付の最高裁判所事務総局広報課長等の事務連絡)は,以下のとおりです。

下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(事務連絡)

   裁判所ウェブサイトの下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準につきまして, 同判例集の意義が社会的に関心の高い裁判例を適時に知ってもらうという速報性にあるとの観点から,別添の選別基準を策定しましたので,平成29年3月1日から,同基準によって掲載裁判例の選別を行ってください。なお,下級裁判所判例集の名称につきましては,その意義が上記のとおり速報性にあることから, 「下級裁判所裁判例速報」に変更することとします。
   おって,下級裁判所判例集に掲載する裁判例における法人等団体名の仮名処理につきましては,今後も,原則として,民事事件については実名で掲載し,刑事事件については仮名処理をしてください(裁判所ウェブサイト上の他の裁判例集(最高裁判所判例集,高等裁判所判例集,行政事件裁判例集,労働事件裁判例集及び知的財産裁判例集)における法人等団体名の仮名処理も今後は同様の基準で行われることとなり,取扱いが統一されます。)。

下級裁判所裁判例速報に掲載する裁判例の選別基準

1 判決及び民事・行政訴訟手続上の決定
(1) 原則
   原則として,判決言渡日(決定告知日)の翌々日までに,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞及び日本経済新聞(以下「日刊紙4紙」という。)のうち2紙(地域面を除く。)に判決等の判断が掲載された事件について,裁判書を下級裁判所裁判例速報に掲載する。
   また, これ以外の場合であっても,各庁の判断で,社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる事件の裁判書を掲載することもできる。
(2) 例外
ア 民事・行政訴訟事件
   以下の事件の裁判書については, (1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項により公開停止とされた事件
(イ) 民事訴訟法第92条第1項により裁判書自体につき秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがされ(当該申立てを却下する裁判が確定している場合を除く。) ,又は実際に閲覧等の制限の裁判がされた事件(部分的に閲覧等制限がされている場合はその部分)
(ウ) 性犯罪及びDV事件等に関する損害賠償請求訴訟等であって,裁判書の記載内容が公にされることにより,加害行為や被害の状況等が明らかとなり,それにより当事者に著しい被害を与える蓋然性があるなど,裁判書を公開すること自体が当事者等に回復困難な被害を与える事件
(エ) その他,上記(ア)から(ウ)までに準ずる事件
イ 刑事訴訟事件
   以下の事件の判決書については, (1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項により公開停止とされた事件
(イ) 性犯罪(起訴罪名は性犯罪ではなくても,実質的に性犯罪と同視できる事件を含む。) ,犯行態様が凄惨な殺人事件など,判決書を公開することにより被害者・遺族などの関係者に大きな精神的被害を与えるおそれがある事件
(ウ) 少年の刑事事件(判決時成人を含む。)
(エ) 名誉毀損罪や秘密漏示罪など,判決書を公開することにより再び被害を生じさせるおそれがある事件
(オ) その他,上記(ア)から(エ)までに準ずる事件
ウ 人事訴訟事件
   人事訴訟事件の判決のうち,附帯処分又は親権者の指定についての申立てが含まれている場合には,(1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
   また,人事訴訟事件の判決のうち,附帯処分又は親権者の指定についての申立てが含まれていないもの.であって, (1)に該当する場合であっても,以下の事件の判決書については,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項又は人事訴訟法第22条第1項により公開停止とされた事件
(イ) 民事訴訟法第92条第1項により判決書自体に限らず秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがされ(当該申立てを却下する裁判が確定している場合を除く。),又は実際に閲覧等の制限の裁判がされた事件
(ウ) その他,上記(ア)又は(イ)に準ずる事件
2 刑事・人事訴訟手続上の決定
   刑事訴訟手続上の決定及び人事訴訟手続上の決定については,掲載対象としない。
3 非公開手続である非訟事件の決定等
(1) 原則
   非訟事件の決定等については,原則として掲載対象としない。
(2) 例外(ただし,家事事件及び少年事件については,適用しない。)
   以下の場合については,例外的に掲載対象とする。また,以下の場合に当たらなくとも,各庁の判断で,社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる事件を掲載することもできる。
ア 民事の非訟事件の決定等(保全処分,執行異議,倒産事件,労働審判事件,行政訴訟における仮の救済の事件等に係る決定等)
   決定等の告知日の翌々日までに, 日刊紙4紙のうち2紙(地域面を除く。)に決定等が掲載され,かつ,その決定等の社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる場合(1(2)ア(ア)から(エ)までに当たる場合を除く。)
イ 刑事の再審請求事件の決定
   決定告知日の翌々日までに, 日刊紙4紙のうち2紙(地域面を除く。) に決定が掲載されたもの (1(2)イ(ア)から(オ)までに当たる場合を除く。 )

*1 朝日新聞HPの「ツイッターで不適切投稿 岡口裁判官の懲戒を申し立て」(平成30年7月24日付)には以下の記載があります。
   個人のツイッターで不適切な投稿をしたとして、東京高裁は24日、高裁民事部の岡口基一裁判官(52)について、裁判官分限法に基づき、最高裁に懲戒を申し立てた。高裁への取材でわかった。最高裁が今後、分限裁判を開き、戒告や1万円以下の過料などの懲戒処分にするかどうかを決める。
   岡口裁判官は1994年任官し、2015年4月から現職。自身のツイッターに上半身裸の男性の写真などを投稿したとして、16年に高裁から口頭で厳重注意処分を受けた。今年3月にも、裁判所のウェブサイトに掲載されていた事件の判決文のリンク先を添付して投稿し、遺族側から抗議を受けて文書による厳重注意処分となっていた。ツイッターは現在凍結され、発信できない状態になっている。
*2 平成30年3月15日付の,岡口基一裁判官に対する34期の林道晴東京高裁長官の注意書は以下のとおりです。

*3 以下の文書を掲載しています。
① 行政事件裁判例集への裁判例の提供について(平成31年4月1日付)
② 労働事件裁判例集への裁判例の提供について(平成31年4月1日付)
*4 以下の記事も参照してください。
① 岡口基一裁判官に対する分限裁判
② 下級裁判所裁判例速報に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年12月28日付の最高裁判所広報課長の事務連絡)
③ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容

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岡口基一裁判官が,最高裁大法廷平成30年10月17日決定により戒告処分を受けたこと等について書いてあります。

司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例

目次
1 ブログ記事の記載が守秘義務違反の疑いありとして報道されたこと
2 司法修習生の守秘義務違反の基準がよく分からないこと
3 司法修習生という立場は特別権力関係であるかもしれないこと
4 司法修習生の守秘義務に含まれるかもしれないこと
5 公益通報者保護法と守秘義務
6 その他

1 ブログ記事の記載が守秘義務違反の疑いありとして報道されたこと
(1) 平成20年6月20日付の「「前科43犯ぜひ45目指してほしい」司法修習生軽率ブログ閉鎖」によれば,同月12日に最高裁が長崎地裁に連絡して,同月14日に「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログが閉鎖されたそうです。
   また,企業法務戦士の雑感ブログ「「法曹」「守秘義務」とは何ぞや?」(平成20年6月19日付)によれば,検察修習のほか,刑裁修習に関して,色々と感想を書いていたみたいです。
(2) 平成20年6月19日,「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログに関して,取調べや刑務所内の見学など修習内容をインターネット上のブログに掲載していたとして,長崎地裁が裁判所法に基づく守秘義務違反の疑いもあるとして調べていると報道されました(孫引きですが,外部ブログの「司法修習生。守秘義務違反」参照)。
   問題となったブログの記載の一部を引用すると以下のとおりであり,ブログを書いてから4ヶ月余り後に報道されたようです。

2008-02-15 | 修習
今日,はじめて取調べやりました。
相手は80歳のばあちゃん。
最初はいろいろ話を聞いてたけど,
途中から説教しまくり。おばあちゃん泣きまくり。
おばあちゃん,涙は出てなかったけど。
けど,なんで20代の若造が80歳のばあちゃんを説教してるのか。
それに対してなんで80歳のばあちゃんが泣いて謝ってるのか。
なんとなく,権力というか,自分の力じゃない力を背後に感じた。
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2 司法修習生の守秘義務違反の基準がよく分からないこと
(1) 56期高松修習の人が書いた「司法修習生日記」における「検察修習」とかについては,現在でもインターネット上に存在してますから,検察修習に関するこれらの記載は司法修習生の守秘義務には違反していなかったと思われます。
   しかし,新61期長崎修習の人が書いた「司法修習生のなんとなく日記」が守秘義務に違反するとして不祥事扱いになったのに対し,56期のブログが守秘義務に違反しないと判断する基準はよく分かりません。
(2)ア 新61期長崎修習の人は刑務所内の見学など司法修習の内容をブログに書いたことについても守秘義務違反の疑いがあるとされました。
   しかし,例えば,選択型実務修習における法務行政修習プログラムに関する文書は法務省による情報公開の対象となっています(「法務行政修習プログラム(選択型実務修習)」参照)。
イ 国家公務員法109条12号・100条1項にいう「秘密」とは,非公知の事実であって,実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいい,その判定は,司法判断に服します(最高裁昭和53年5月31日決定)。
   刑務所内の見学の感想は実質的に秘密として保護するに値するものではない気がしますが,司法修習生に課せられた守秘義務はそれだけ重いのかもしれません。

3 司法修習生という立場は特別権力関係であるかもしれないこと
(1)   実際,「やっぱり世界は**しい!」と題するブログ「守秘義務」によれば,司法研修所が動くこと自体が司法修習生にとっては大変な脅威であって,司法修習生という立場は,まさに現代の特別権力関係だそうです。
(2) 最高裁昭和32年5月10日判決は,公務員に対する懲戒処分は,特別権力関係に基づく行政監督権の作用であると判示していました。
(3) 憲法21条所定の言論,出版その他一切の表現の自由は,公共の福祉に反し得ないばかりでなく,自己の自由意思に基ずく特別な公法関係上又は私法関係上の義務によって制限を受けます(最高裁大法廷昭和26年4月4日決定)。
(4) 新61期長崎修習のブログについて守秘義務違反の可能性があると報道されたことから,それ以後,実務修習に関する詳しい記載がインターネット上に出てくることがなくなった気がします。
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4 司法修習生の守秘義務に含まれるかもしれないこと
(1) 平成27年度(行情)答申第135号(平成27年6月17日答申)の12頁及び13頁によれば,検事の弁護士職務経験制度における派遣法律事務所の名称及び検事の外部派遣制度における検事の派遣先法人等の名称は,不開示情報に該当するとのことです。
   そのため,司法修習生が弁護修習先で弁護士職務経験をしている検事と出会った場合,当該検事が所属している法律事務所の名称をブログに記載することについても,慎重になった方がいいのかもしれません。
(2) 平成28年(行情)答申第365号(平成28年9月29日答申)の4頁によれば,検事の修習期については,法務省においてホームページ等で公表している等といった事実もなく,今後その予定もないとのことですし,答申の結論として,検事の修習期については検事総長の修習期も含めて不開示情報に該当するとのことです。
   そのため,司法修習生が指導係検事等の修習期をブログに記載することについても,慎重になった方がいいのかもしれません。
(3) 平成29年6月20日付の東京地検の行政文書開示決定通知書によれば,公判引継事項記載要領及び略式請求メモ(司法修習課控)記載要領の本文は全部,不開示情報に該当します。
   そのため,検察修習の体験談としてこれらの情報に言及した場合,守秘義務に触れるのかもしれません。
(4) 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリストというものが裁判所にはあります(平成27年11月の全司法新聞2229号)ものの,情報公開請求では,その存在は明らかにされていません(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申))。
   そのため,仮に裁判所職員が運営しているHPに記載されている情報であっても,司法修習生がブログに記載することについては慎重になった方がいいのかもしれません。

5 公益通報者保護法と守秘義務
   平成30年3月30日付の内閣答弁書には以下の記載があります。
   公益通報者保護法は、国家公務員法第百条第一項の規定により課される守秘義務を解除するものではないが、公益通報者保護法第二条第三項に規定する通報対象事実(以下「通報対象事実」という。)は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為の事実であり、国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」として保護するに値しないと考えられるため、そもそも、通報対象事実について、一般職の国家公務員が公益通報をしたとしても、同項の規定に違反するものではないと考えられる。

6 その他
(1) ツイッター等のSNSを国家公務員が私的利用する際の注意点については,総務省人事・恩給局の「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」(平成25年6月付)に書いてあります。
(2) 塚原朋一弁護士(元 知財高裁所長)は,昭和58年4月1日から昭和63年3月31日までの最高裁判所調査官時代の思い出として,自由と正義2013年6月号27頁ないし31頁において,最高裁昭和59年5月29日判決に関する審議の経過を詳細に記載しています。
(3) 前田恒彦 元検事によれば,捜査当局は捜査情報をマスコミにリークすることがあるみたいです。
① なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか(1)
② なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか(2)
③ なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか(3)
(4) 「司法修習生に関する規則第3条の「秘密」の具体的内容が書いてある文書」も参照してください。

令和元年度実務協議会(夏季)

1 令和元年7月11日及び同月12日に開催された,令和元年度実務協議会(夏季)の資料を以下のとおり掲載しています。
① 日程表
② 出席者名簿
③ 民事・行政事件の現状と課題
④ 刑事事件の現状と課題
⑤ 参考統計表
⑥ 裁判員裁判の実施状況について(制度施行~平成31年4月末・速報)
⑦ 家庭裁判所の現状と課題
⑧ 最高裁判所経理局作成資料
⑨ 司法研修所関係資料
→ 令和元年度の裁判官の合同研修について(令和元年5月22日付),及び令和元年度裁判官研修実施計画の補足説明(前年度からの主な変更点等)が含まれています。

2 実務協議会というのは,新たに地方裁判所長,家庭裁判所長又は高等裁判所事務局長を命ぜられた者を対象に,年に2回開催されている研修です(「裁判官研修実施計画」参照)。

3 最高裁判所人事局が作成した資料はなぜかありません。


司法研修所関係資料からの抜粋