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弁護士・弁護士会

弁護士が依頼者の本人確認を行う場合―対象業務・確認方法・記録保存・令和9年見直し(AI作成)

目次第1 弁護士の本人確認はすべての相談で一律ではない1 犯罪収益移転防止法12条と日弁連会規が根拠になる2 すべての法律相談が対象になるわけではない3 本人確認とマネー・ローンダリング対策を分けない第2 本人特定事項等の確認が必要になる主な業務1 200万円以上の資産管理行為等2 特定の取引等の準備又は実行3 疑わしい態様は対象を広げる第3 確認する事項1 自然人の依頼者2 法人又は団体の依頼者3 実質的支配者第4 現在の確認方法1 対面での自然人確認2 非対面・オンラインでの自然人確認3 法人確認と依頼権限第5 確認記録と取引記録1 確認記録を作る2 取引記録も別に作る3 保存期間は終了後5年間である第6 疑わしい取引への対応1 弁護士に金融機関と同じ届出義務をそのまま課す制度ではない2 依頼前と受任後で対応を分ける第7 令和9年4月1日の本人確認方法見直しとの関係1 犯罪収益移転防止法施行規則の本人確認方法が変わる2 弁護士業務への具体的反映は日弁連規程・規則を確認する3 今から準備する事項第8 法律事務所の確認表1 受任・業務開始時2 記録・保存時3 年次点検第9 出典・確認範囲1 法令及び日弁連公開規程2 令和9年見直しの公開資料3 確認できない事項
第1 弁護士の本人確認はすべての相談で一律ではない
1 犯罪収益移転防止法12条と日弁連会規が根拠になる

犯罪による収益の移転防止に関する法律12条は,弁護士等の本人特定事項の確認,確認記録・取引記録の作成保存等に相当する措置について,特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるとする。
現在の具体的な義務は,日弁連の「依頼者の本人特定事項等の確認及び記録保存等に関する規程」及び同規則によって確認する必要がある。
金融機関等に適用される犯罪収益移転防止法の本人確認方法を,そのまま弁護士の全業務へ当てはめるものではない。

2 すべての法律相談が対象になるわけではない

本人特定事項等の確認が必要になるのは,規程が定める資産管理行為等又は特定の取引等の準備・実行を行う場面である。
単に初回相談を受けたという理由だけで,同規程上の詳細な確認義務が常に発生するわけではない。
ただし,利益相反確認,連絡先確認,委任契約,弁護士職務基本規程その他の理由から,対象業務以外でも依頼者情報を確認することはある。

3 本人確認とマネー・ローンダリング対策を分けない

本人確認書類を取得するだけでは十分でない。
依頼の目的,職業又は事業内容,実質的支配者,資金・資産の流れ及び不自然な点を確認し,必要に応じて依頼を受けないこと又は辞任することまで含む仕組みである。

第2 本人特定事項等の確認が必要になる主な業務
1 200万円以上の資産管理行為等

法律事務に関連して,依頼者の金融機関口座を管理する場合又は依頼者から若しくは依頼者のために合計200万円以上の金員,有価証券その他の資産を預かり,若しくは管理する場合が対象になる。
送金を伴う預り金も含まれる。
もっとも,裁判所等への予納・供託,裁判手続等による弁済金・和解金の受領,刑事事件の被害弁償金の預託,報酬・費用の前受けその他規程が列挙する場合には適用除外があるので,条文に即して確認する。

2 特定の取引等の準備又は実行

主な対象は,次のとおりである。
①不動産の売買。
②会社設立又は経営を目的とする出資その他の資金拠出。
③会社の組織変更,合併,会社分割,株式交換,株式移転又は目的変更。
④会社の業務執行者又は代表者の選任。
⑤会社以外の法人,組合,匿名組合,投資事業有限責任組合その他の団体の設立又は合併。
⑥団体の目的変更又は業務執行者・代表者の選任。
⑦信託の設定,併合,分割,目的変更又は受託者変更。
⑧会社の買収又は売却。

3 疑わしい態様は対象を広げる

取引資産が犯罪収益である疑いがある場合,依頼者が犯罪収益の隠匿等を行っている疑いがある場合又は同種の取引と著しく異なる態様で行われる場合も,規程上の確認対象になる。

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こども性暴力防止法の施行と弁護士の役割―事業者側助言・こども側代理・聴き取りの注意点(AI作成)

目次第1 こども性暴力防止法とこの記事の結論1 令和8年12月25日から施行される2 弁護士の役割は一つではない3 公開資料だけを根拠とする第2 事業者側弁護士が最初に整理する事項1 法の対象と事業者の区分を確認する2 初動を「聴き取り」だけにしない3 担当者,指揮系統及び記録を決める第3 こどもへの聴き取りに先立つ安全確保1 現在の危険から離す2 医療と証拠保全を遅らせない3 外部機関との役割分担を決める第4 こどもへの聴き取りの注意点1 聴き取りの目的を限定する2 誘導を避け,自由な説明を尊重する3 聴取回数と参加者を絞る4 録音・録画は目的と負担を確認する第5 事業者側弁護士とこども側弁護士の役割分担1 事業者側弁護士の役割2 こども側弁護士の役割3 必要に応じて代理人を分ける第6 情報管理,労務対応及び説明1 情報共有は必要性と権限で判断する2 安全確保と懲戒判断を分ける3 こども・保護者への説明事項を記録する第7 弁護士が使う初動確認表1 事業者側の確認事項2 こども側の確認事項第8 出典・確認範囲1 法令及びこども家庭庁資料2 確認していない事項
第1 こども性暴力防止法とこの記事の結論
1 令和8年12月25日から施行される

こども性暴力防止法の正式名称は,「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」であり,令和6年法律第69号として公布された。
同法は,令和8年12月25日から施行される。
学校設置者等には法定の措置が義務付けられ,学習塾等の民間教育保育等事業者については,認定を受けた事業者に同等の措置が求められる仕組みである。

2 弁護士の役割は一つではない

性暴力の疑いが生じた場面で,弁護士は,事業者側で初動,調査,安全確保,関係機関との連携及び労務対応を助言する場合と,こども又は保護者の側で権利擁護,意思確認,被害申告及び支援機関との連携を担う場合がある。
事業者側の事実確認と,こどもの安全・回復のための支援は,目的も担当者も一致するとは限らない。
同じ弁護士が双方の立場を曖昧に担当すると,利益相反や,こどもが事業者の調査へ協力することを当然視する危険が生じるので,受任主体,依頼目的,情報共有の範囲及び意思決定者を最初に明確にする必要がある。

3 公開資料だけを根拠とする

本記事は,令和8年9月20日現在の法令,こども家庭庁の指針,Q&A及び公開研修資料に基づく。
個別の被害事案や関係者名は扱わず,公開資料から一般化できる実務上の確認事項だけを記載する。
個別案件では,対象事業,施行時期,所管行政庁,警察・児童相談所への連絡,労働法上の措置及び証拠保全を,最新の公式資料と当該事案の事情に即して確認する必要がある。

第2 事業者側弁護士が最初に整理する事項
1 法の対象と事業者の区分を確認する

最初に,事業者が学校設置者等に当たるのか,民間教育保育等事業者に当たるのか,後者であれば認定を受けているのか又は受ける予定があるのかを確認する。
同じ法人が複数の事業を行う場合,施設又はサービスごとに法の対象範囲が異なることがあるので,法人名だけで判断しない。
従事者の職名ではなく,実際に児童等へ提供する役務,接触の態様及び法令上の区分を確認する。

2 初動を「聴き取り」だけにしない

こども家庭庁の公開資料は,こどもへの聴き取りに先立ち,警察への通報・相談,所管行政庁への相談及び専門家への相談を検討するよう求めている。
したがって,事業者が最初に行うべき作業は,詳しい供述を直ちに取り切ることではない。
①現在も接触の危険があるか,②緊急の医療が必要か,③証拠が失われるおそれがあるか,④警察,児童相談所又は所管行政庁へいつ連絡するか,⑤誰がこどもと保護者へ説明するかを先に整理する。

3 担当者,指揮系統及び記録を決める

事業者内部では,安全確保,関係機関への連絡,こども・保護者対応,従事者対応,労務判断及び広報対応の担当を分ける。
弁護士は,誰が最終判断を行うのか,どの情報を誰へ共有するのか,時刻を含む初動記録を誰が作成するのかを確認する。
関係者が独自に繰り返し質問すると,こどもの負担を増やし,記憶や供述の評価を難しくすることがあるので,連絡経路を一本化する必要がある。

第3 こどもへの聴き取りに先立つ安全確保
1 現在の危険から離す

性暴力の疑いが具体化した場合は,こどもと加害が疑われる従事者との接触を止める必要性を検討する。

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Google Maps・Google Earth・Street Viewを資料・ブログ・動画で使う条件-印刷,埋込み,スクリーンショット及び広告(AI作成)

目次第1 結論1 三つの製品を同じルールで扱わない2 迷ったときの安全な順序第2 最初に確認する法的な層1 日本の著作権法とGoogleの利用条件を分ける2 Googleの「fair use」という説明を日本法の引用と混同しない3 利用時点の版と証拠を保存する第3 媒体別の早見整理1 印刷資料2 ウェブサイト及びアプリ3 デジタル広告及びSNS4 テレビ,映画及びオンライン動画第4 Google Mapsの具体的な使い方1 法律事務所内の検討資料及び依頼者向け資料2 事務所案内,セミナーチラシ及び名刺3 スクリーンショットへの書込み第5 Google Earth及び衛星画像の注意点1 研究・教育と営業・販売促進を分ける2 衛星表示をGoogle Mapsの通常地図と同一視しない3 3Dモデルその他の派生利用をしない第6 Street Viewの注意点1 印刷及びスクリーンショットは禁止されている2 ウェブでは埋込み又はAPIを使う3 人物・住居・車両等のプライバシーを別に確認する第7 裁判資料及び法律事務所での利用例1 準備書面・証拠説明資料へ場所を示す場合2 講演資料及び配布レジュメ3 法律事務所ブログ及びSNS第8 帰属表示と画像加工1 表示中のGoogle及び第三者提供者を残す2 切除・隠蔽・末尾への移動をしない3 APIでは新しいGoogle Maps表示要件を確認する第9 掲載・配布前のチェックリスト1 対象と媒体2 取得・加工・帰属表示3 内容の正確性と第三者権利第10 確認結果の位置付け1 確認できたこと2 確認していないこと第11 関連する山中弁護士ブログの記事1 リンク・埋込みと著作権2 資料作成一般の権利処理第12 出典1 Googleの公式条件2 日本法の一次資料・公的資料
第1 結論
1 三つの製品を同じルールで扱わない

Google Maps,Google Earth及びStreet Viewは,いずれも地理情報を表示するサービスであるが,Googleが公表する利用条件は同じではない.
弁護士が準備書面,証拠説明資料,依頼者向け資料,講演資料,ブログ,SNS又は動画で地図画像を使うときは,①製品,②通常地図・航空写真・衛星画像・Street Viewの別,③印刷・ウェブ・動画等の媒体,④商業又は販売促進目的,⑤埋込み・リンク・スクリーンショット・APIの別,⑥表示される帰属表示を固定して判断する必要がある.

Googleの現行Geo Guidelinesを大づかみに整理すると,Google Mapsは一定の印刷,ウェブ埋込み及び非販売促進のオンライン動画で利用しやすい一方,Google Earthは商業又は販売促進目的での利用が強く制限され,Street Viewは印刷利用及びスクリーンショットの切出しが認められていない.
「Googleの地図だから使える」,「出典を書けば足りる」,「裁判資料だから自由に使える」という一括判断はできない.

2 迷ったときの安全な順序

場所又は経路を知らせるだけなら,第一にGoogle Mapsへの通常のリンク又はGoogleが提供する埋込み機能を検討する.
紙面では短縮リンク又はQRコードでGoogle Mapsの場所へ誘導する方法も,Googleが許容例として挙げている.

画像が本当に必要な場合は,Google Mapsの通常地図を基本とし,利用目的に必要な範囲でスクリーンショット又はGoogle提供機能を使い,画面に表示されたGoogle及び第三者データ提供者の帰属表示を残す.
Google Earth又は衛星画像は商業・販売促進用途かを先に確認し,Street Viewは画像を切り出さず,ウェブでは埋込み又はAPI,映像では端末上の製品をそのまま操作する場面に限定する.

本記事は令和8年9月16日現在のGoogle公式ページ及び日本の著作権法を基準にしている.
Googleの規約及びガイドラインは変更され得るため,実際の利用直前に対象製品,媒体及び表示中の帰属表示を再確認する必要がある.

第2 最初に確認する法的な層
1 日本の著作権法とGoogleの利用条件を分ける

著作権法10条1項6号は,地図及び学術的な性質を有する図面,図表,模型その他の図形の著作物を例示している.
地理上の位置,道路の存在,距離その他の事実それ自体と,情報の取捨選択,縮尺,記号,配色,注記,写真又は画像の表現は分けて考える必要がある.

スクリーンショットの保存又は印刷は複製権,ブログ掲載は公衆送信権,加工又は大幅な描き替えは翻案権又は同一性保持権との関係が問題となり得る.
引用その他の権利制限が成立する場合はあるが,画像を装飾又はアイキャッチとして置くことは,説明・批評・検証のための引用であるとの説明が難しい.

これに対し,GoogleのGeo Guidelines,Google Maps追加利用規約,Google Earth追加利用規約及びGoogle Maps Platformの規約・技術文書は,Googleが提供する製品を利用する際の許諾・契約・運用条件である.
日本法上の権利制限規定とGoogleの条件は別の層であり,一方の確認だけで他方の問題がなくなるわけではない.

2 Googleの「fair use」という説明を日本法の引用と混同しない

GoogleのGeo Guidelinesは,米国法上のfair useその他の各国の類似概念により利用できる場合があると説明し,Google自身はfair useに該当するか判断できないとしている.
日本で利用する場合は,この記載自体が著作権法32条の引用を認めるものではない.

引用を根拠とするときは,公表された著作物であること,公正な慣行に合致すること,引用目的上正当な範囲であること,本文と引用部分を明確に区別すること,自分の説明が実質的な本体であること及び著作権法48条による出所明示を確認する.
契約への同意,APIの利用条件,技術的制限及び帰属表示は,法定引用とは別に検討する.

3 利用時点の版と証拠を保存する

令和8年9月16日確認時点で,Google Maps End User Additional Terms of Serviceは令和8年1月27日最終更新,Google Earth End User Additional Terms of Serviceは令和7年6月4日最終更新と表示されている.
Geo Guidelinesには媒体別の具体例があり,Google Maps Platformのサービス別条件及びAPIの表示要件は別ページで更新されている.

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BUSINESSぷららのメール提供終了後の対応―個人向けぷららとの違い,旧メール保存及び独自ドメイン移行(AI作成)

目次第1 令和8年9月時点では「終了後」の確認が必要である第2 BUSINESSぷららと個人向けぷららを分ける第3 旧メールを失わないために先に保全する1 「件名が見える」と「本文が保存されている」は違う2 探索する保存場所を整理する3 Thunderbirdではバックアップと復元を別に確認する第4 同じメールアドレスを使えるか1 提供元のドメインを使うアドレス2 自分で管理権限を持つ独自ドメイン第5 新しい送受信経路の選び方と検収1 受信できても,正しいアドレスで返信できるとは限らない2 切替後の確認表第6 法律事務所で忘れやすい連絡先変更第7 出典
第1 令和8年9月時点では「終了後」の確認が必要である

BUSINESSぷららの公式案内では,メールサービスの提供終了日は令和8年8月31日であり,9月1日以降,顧客ごとに順次送受信が停止するとされている。
本記事の確認基準日は令和8年9月15日であり,これから終了前の準備をすれば間に合うという前提は採らない。
一方,すべての契約が9月1日の同時刻に停止したという意味でもないため,自分の契約と現時点の状態を確認する必要がある。

最初に行うべきことは,①対象契約の特定,②端末等に残る旧メールの保全,③現在の送受信状況の確認,④今後使用するアドレスと受入先の確保,⑤連絡先変更の周知である。
新しいメールソフトを入れるだけで,終了したメールサーバーや過去メールが復活するわけではない。
本記事は一般的な整理であり,特定の事務所の契約・端末設定・保存状況を確認した結果ではない。
出典:BUSINESSぷらら・メールサービス提供終了のお知らせ。

第2 BUSINESSぷららと個人向けぷららを分ける

確認対象
公表されている内容
利用者が確認すること

BUSINESSぷらら
対象メールサービスの提供終了
契約名,対象サービス,送受信停止状況,既存データ

個人向けぷらら
メールサーバー更改と,IMAP・Webメール等の変更
契約に適用される設定案内と,旧メールの移行状況

法律事務所で使っているからという用途だけで,BUSINESSぷららの契約であるとは判断できない。
請求書,契約名,サービスID及び管理画面の案内を照合し,対象の通知を選ぶ。
メールアドレスの文字列だけで全契約条件を推定することも避ける。

個人向けぷららの更改案内では,POP利用には更改による影響がない一方,IMAP・Webメールには変更があり,過去メールは自動では移行されないと説明されている。
過去メールの移行申込みは令和8年5月31日,旧サーバーの利用は6月30日という期限が案内されているため,9月時点で同じ申込手順を新たに実行できるとは扱わない。
未移行分の取扱いは,残存コピーの有無と提供元の回答を確認する問題である。
出典:ぷらら・メールサーバー更改の案内。

第3 旧メールを失わないために先に保全する
1 「件名が見える」と「本文が保存されている」は違う

メールソフトに古いメールの一覧が残っていても,本文・添付ファイルまで端末に保存されているとは限らない。
IMAPではヘッダーのみ取得されている場合があり,サーバーが停止した後に未取得の本文を読み出そうとしても,端末内の情報だけでは復元できないことがある。
下位フォルダーや保存期間・サイズによる同期対象の制限も確認する。
出典:Mozilla・IMAP同期。

そのため,確認前に古いアカウントを削除したり,現用プロファイルを新設定で上書きしたりしない。
メールソフトを終了し,既存の保存領域を保全した上で,別コピーを使って本文・添付の閲覧を試す。
保全コピーには依頼者情報や認証関係情報が含まれ得るため,誰でも見られる共有先へ置かず,アクセス権と暗号化を検討する。

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法律事務所が「業務分野+地名」で上位表示を狙う場合にサブドメインは有益か(AI作成)

目次第1 結論と対象範囲第2 URL構造だけでは順位上の優位を説明できない1 サブドメインとサブディレクトリ2 ドメイン名とURL内の検索語3 検索結果の掲載枠第3 地域名・業務分野ページを量産する場合の境界1 誘導ページの不正使用2 大量生成されたコンテンツ3 固有情報のある地域ページ第4 地図検索は自然検索と分けて考える1 関連性・距離・知名度2 ビジネスプロフィールの拠点と専門分野第5 サブドメインが合理的になり得る条件1 独立した名称・読者・サービス2 独立した運営・システム3 既存の専門サイト第6 新設前に行う実装と計測1 既存サイト内の分野ページ2 地域情報と内部リンク3 計測と投資判断第7 出典・参考資料1 Googleが公表する検索技術資料2 Googleが運営サービスについて公表するポリシー及びヘルプ
第1 結論と対象範囲

本記事は,同じ法律事務所が「相続 弁護士 大阪」などの業務分野と地名を含む検索で上位表示を狙う場合に,業務分野及び地名ごとのサブドメインを作ることが有益かを検討するものである。
調査の基準日は令和8年9月15日であり,日本向けのGoogle自然検索とGoogleマップ等のローカル検索を対象とする。
結論として,同じ事務所,同じ担当体制及び同じ相談導線で運営するのであれば,業務分野と地名の組合せごとにサブドメインを新設するより,既存サイト内の分野ページと必要な地域情報を充実させる方法を第一候補とするのが合理的である。
ただし,この結論は,サブディレクトリなら必ず上位表示されることや,既存の専門サブドメインを直ちに統合すべきことを意味しない。

第2 URL構造だけでは順位上の優位を説明できない
1 サブドメインとサブディレクトリ

サブドメインは「souzoku.example.com」のようにルートドメインの前へ名称を置く構成であり,サブディレクトリは「example.com/souzoku/」のように同じサイトの下へパスを設ける構成である。
Googleのクロールとインデックス登録に関するFAQは,サブフォルダとサブドメインについて,整理及び管理しやすい方を選ぶよう説明しており,英語版はインデックス登録とランキングの観点で一方を優先しない旨を示している。
したがって,URL構造をサブドメインへ変えること自体を,上位表示の理由として扱うことはできない。

2 ドメイン名とURL内の検索語

Googleのランキングシステムの説明には,ドメイン名が検索語と完全に一致する場合の評価が過大にならないようにする仕組みが含まれている。
SEOスターターガイドも,ドメイン名又はURLパスへキーワードを入れることだけのランキング効果はほとんどないと説明している。
「osaka-souzoku」などの語をサブドメイン名へ入れることは,読者に内容を伝える命名にはなり得るが,その文字列だけで順位が上がるとはいえない。

3 検索結果の掲載枠

Googleは,検索結果のサイト多様性を確保する仕組みについて,通常はサブドメインをルートドメインと同じサイトの一部として扱う一方,関連性がある場合には別サイトとして扱うこともあると説明している。
このため,サブドメインを複数作れば,その数だけ独立した検索結果の掲載枠を得られるという前提は置けない。
もっとも,この説明は検索結果の多様性に関するものであり,Googleのすべての機能で常に同一サイトとして扱われるという意味でもない。

第3 地域名・業務分野ページを量産する場合の境界
1 誘導ページの不正使用

Googleのスパムポリシーは,類似する検索語句で上位表示するために複数のサイト又はページを作り,有用性の低い中間ページから最終的なページへ誘導する行為を,誘導ページの不正使用として挙げている。
地域や都市を対象とするドメイン又はページを複数作り,一つのページへ誘導する例も明記されている。
したがって,地名だけを差し替えた入口を多数作り,どの入口からも同じ説明又は相談フォームへ送る設計は,ページ単位で読者に与える価値を点検する必要がある。

2 大量生成されたコンテンツ

同じポリシーは,検索順位の操作を主な目的として,独自性又は利用者への価値が乏しいページを大量に生成する行為も対象としている。
制作方法は問われず,生成AIを使用したことだけで違反になるわけでもないため,問題は各ページの目的と内容である。
業務分野と地名の全組合せを先に作る方法では,実際の相談条件や地域固有情報を説明できないページまで生じないかを確認する必要がある。

3 固有情報のある地域ページ

地域ページを作る場合は,実在する事務所の所在地,対象地域からの来所方法,面談又はオンライン相談の条件,担当者,費用及び受任できる事件の範囲など,そのページで相談先を判断するための情報を掲載することが考えられる。

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法律事務所で「自走できる人」をどう採用するか-職務要件・構造化面接・試用期間評価への落とし込み(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 「自走」を独断や無確認と混同しない1 自分で進める作業と確認を要する事項を分ける2 法律実務における「結果」を定義する第3 抽象的な人物ラベルを観察可能な行動へ変換する1 「評論家」を問題発見後の行動に分解する2 「前の職場ではこうだった」を適応行動に分解する3 「仕組みがない」を仕組み化の初動に分解する4 「確認が多い」を確認の質に分解する第4 構造化面接で確認する1 全候補者に共通する中核質問を用意する2 自走と確認の境界を尋ねる質問3 問題指摘と改善行動を尋ねる質問4 前職の方法を適応させた経験を尋ねる質問5 評価記録は事実と印象を分ける第5 公正採用と取得情報の限界1 職務遂行に必要な適性・能力を基準にする2 職務と関係のない事項を尋ねない3 障害を推測せず合理的配慮と職務遂行能力を区別する4 AI又は適性検査のスコアを結論にしない第6 採用面接と試用期間をつなぐ1 採用時の期待を入社後の評価項目にする2 行動と影響を記録する3 本採用拒否は新規の不採用ではない第7 法律事務所の採用チェックリスト1 募集前2 面接時3 採否決定時4 入所後第8 既存記事との関係第9 『ベンチャーの作法』及びX投稿の位置付け第10 出典・参考資料1 法令・行政資料2 書籍・公開資料
第1 この記事の対象と結論

本記事は,法律事務所が弁護士又は事務職員を採用する際に,「自走できる人」,「確認が多い人」,「評論家」,「前職の方法に固執する人」といった抽象的な人物評価を,職務要件,面接質問及び試用期間中の評価へ落とし込む方法を整理するものである。
基準日は令和8年9月15日である。

結論として,「自走できる人」とは,何でも独断で進める人ではない。
法律事務所における自走とは,依頼者の利益,守秘義務,期限及び弁護士の監督を守りながら,自分で進めてよい可逆的な作業を進め,重要な判断だけを必要な材料とともに適時に上げ,最後まで確認して完了させる行動を意味する。

抽象的な人物像だけで採否を決めると,面接者の好悪を職務能力と取り違えやすく,応募者間の比較も難しくなる。
採用前に職務と権限の境界を定め,全候補者に共通する中核質問と評価尺度を準備し,回答中の具体的な事実を記録する必要がある。

第2 「自走」を独断や無確認と混同しない
1 自分で進める作業と確認を要する事項を分ける

法律事務所の業務には,資料の所在確認,文書の並べ替え,時系列表の下書き,法令・裁判例の検索及び誤記候補の抽出のように,通常は結果を読み戻して修正できる作業がある。
他方,裁判所又は相手方への提出・送信,依頼者への確定的な法的助言,期限の設定又は変更,守秘情報の外部サービスへの入力,原本の廃棄,データの上書き及び事件方針の変更は,弁護士その他の権限者による判断を要する。

採用面接で確認すべきなのは,「上司に質問しないか」ではなく,候補者が両者をどのような基準で区別し,不明点をどの時点で,どの資料と選択肢を添えて確認したかである。
確認回数の多寡だけでは,慎重さ,経験不足,指示の不明確さ又は合理的配慮の必要性を区別できない。

2 法律実務における「結果」を定義する

法律実務では,短時間に大量の文書を作成しただけでは結果を出したことにならない。
依頼者の正当な利益を守り,法令及び職業倫理に反せず,期限と守秘を守り,一次資料及び証拠に遡って検証でき,反対材料を落とさず,提出物又は保存物を読み戻せる状態にして初めて成果となる。

したがって,営業件数,処理速度又は売上だけを「結果」として示す質問は十分でない。
候補者が品質,期限,リスク及び関係者への影響をどのように両立させたかを確認する必要がある。

第3 抽象的な人物ラベルを観察可能な行動へ変換する
1 「評論家」を問題発見後の行動に分解する

問題点を発見して指摘する能力は,法律実務に必要である。
問題なのは批判それ自体ではなく,根拠を確認せず,影響を整理せず,自分の権限内でできる改善又は次の一手を示さないまま,仕事を止める行動である。

評価項目は,①問題を具体的事実に結び付けたか,②放置した場合の影響を説明したか,③最小限の改善案又は調査方法を示したか,④自分でできる範囲を実行したか,⑤結果を確認したか,に分けることができる。

2 「前の職場ではこうだった」を適応行動に分解する

前職で得た知識や成功例を説明すること自体は,消極評価の理由にならない。
確認すべきなのは,候補者が過去の方法をそのまま押し付けたか,現在の組織の規模,使用システム,依頼者層,権限及びリスクに合わせて検証し,残す部分と変える部分を区別したかである。

法律事務所でも,過去の事件,書式又は作業手順は出発点として有用であるが,現行法,手続段階,本件資料及び依頼者の目的に適合するかを確認しなければならない。

3 「仕組みがない」を仕組み化の初動に分解する

小規模な法律事務所では,大企業と同じマニュアル,専門部署又は教育制度が存在しないことがある。

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弁護士の預り金口座に対する差押えと信託財産性-最高裁令和8年1月20日判決(AI作成)

目次第1 最高裁令和8年1月20日判決の位置付け1 判決の書誌2 職務上の分別管理と信託法上の効果は別問題である第2 事案の概要1 預り金口座と差押え2 信託契約の終了等に関する争い第3 原審と最高裁多数意見1 原審の判断2 信託目的について具体的な主張が必要であること3 分別管理だけでは足りないこと第4 判断基準時1 事実審口頭弁論終結時が基準となる2 差押え後の事情も審理対象となる第5 補足意見及び個別意見1 秘密保持義務と主張立証2 個別意見が示した信託成立の考え方第6 預り金規程と法律事務所の実務1 令和8年6月1日施行の改正規程2 日常管理で保存すべき事項3 口座名義だけに依存しない第7 差押えを受けた場合の対応1 確認する事項2 守秘義務に配慮した証拠提出第8 本判決の射程と未確認事項1 本判決が確定した事項2 差戻審及び判例評釈第9 関連記事1 本ブログの関連記事第10 出典1 判決及び法令2 弁護士職務規程
第1 最高裁令和8年1月20日判決の位置付け
1 判決の書誌

最高裁令和8年1月20日第三小法廷判決(令和5年(受)第2245号・第三者異議事件)は,弁護士名義の預り金口座に対する差押えについて,預金債権が信託財産に属するかが争われた事件である。
最高裁は原判決を破棄し,事件を東京高等裁判所に差し戻した。

本判決の要点は,①弁護士が依頼者から預かった金員であること及び分別管理していることだけで,信託目的の合意が具体的に主張されたことにはならないこと,②信託財産該当性は事実審の口頭弁論終結時を基準として判断されることにある。

2 職務上の分別管理と信託法上の効果は別問題である

弁護士職務基本規程38条及び日本弁護士連合会の預り金等の取扱いに関する規程は,依頼者等から預かった金員の目的外使用を防ぎ,弁護士の固有財産と区別して管理するための職務上の規律を定めている。

これに対し,預金債権が信託法上の信託財産に属し,弁護士個人の債権者による強制執行に対抗できるかは,信託契約の成立要件及び信託財産の帰属を検討する私法上の問題である。
職務規程を遵守していることは重要な事情であるが,それだけで第三者との関係でも当然に信託財産となるわけではない。

第2 事案の概要
1 預り金口座と差押え

原審が確定した事実によれば,被上告人である弁護士は,職務に関して預かり保管する金員を管理するため,「預かり金口 弁護士X」名義の普通預金口座を開設していた。
上告人は,この弁護士に対する婚姻費用分担金の支払を命ずる審判を債務名義として,弁護士が銀行に対して有する預金債権を2回差し押さえた。

差押え時における預金債権の全部は依頼者からの預り金を原資とし,弁護士報酬の振込口座等とは分けて管理されていた。
弁護士は,預り金を信託財産とする信託契約が成立しており,信託法23条5項に基づき強制執行は許されないと主張して第三者異議の訴えを提起した。

2 信託契約の終了等に関する争い

上告人は,信託契約の具体的内容が主張されていないと争った。
また,差押え後に弁護士が業務停止2月の懲戒処分を受けたことなどにより,仮に信託契約が成立していても終了し,預金債権が弁護士の固有財産になっているとも主張した。

したがって,本件では,差押え時に預り金のみが入金され分別管理されていたという事実だけでなく,信託契約の成否と,差押え後の事情をどの時点まで考慮するかが問題となった。

第3 原審と最高裁多数意見
1 原審の判断

原審は,依頼者からの預り金が弁護士の固有財産から分別して管理されている限り,預り金を信託財産とする信託契約が成立していたと評価した。
また,信託財産該当性を差押え時点で判断すべきものとし,その後に信託契約が終了したとしても結論を左右しないとして,弁護士の請求を認容した。

2 信託目的について具体的な主張が必要であること

最高裁多数意見は,信託契約の成立には,特定の財産を一定の目的に従って管理又は処分するという信託目的についての合意が必要であることを前提とした。
そして,民事訴訟で財産が信託財産に属するかが問題となる場合,信託目的の合意の成立が事案に応じて具体的に主張されなければならないとした。

本件の弁護士は,依頼者からの預り金は当然に信託財産となるため,信託契約の具体的内容を主張する必要はないと主張していた。
最高裁は,本件の主張及び訴訟経過の下では,信託目的についての合意が成立したとの主張があるとはいえないと判断した。

3 分別管理だけでは足りないこと

(続きを読む...)弁護士の預り金口座に対する差押えと信託財産性-最高裁令和8年1月20日判決(AI作成)

弁護士報酬の請求と懲戒――時間制報酬・過大請求・預り金からの控除をめぐる懲戒例と日弁連の取消裁決(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 報酬に関する規律1 弁護士法による懲戒2 弁護士職務基本規程3 弁護士の報酬に関する規程第3 報酬の請求が懲戒の対象とされた例1 時間制報酬2 適正かつ妥当な額を超える報酬3 預り金や受領金からの控除4 受任時の説明と委任契約書5 詐欺被害の回復事件の着手金第4 日弁連が処分を取り消し,又は変更した例1 審級ごとに算出した報酬の合算請求2 目的未達の満額請求と審査請求後の和解3 未払報酬と預り金の相殺4 過大報酬とされた着手金と破産申立ての報酬5 法テラスを利用しなかったこと6 異議の申出を受けて処分を重くした例7 裁決等から読み取れること第5 懲戒手続と報酬の清算1 懲戒は報酬の返還を命じる手続ではない2 紛議調停第6 受任時と請求時に確認しておくこと1 依頼者の立場から2 弁護士の立場から第7 関連記事第8 出典1 日弁連の会規2 法令3 懲戒処分及び裁決の公告
第1 この記事の対象と結論

本記事は,弁護士が依頼者に報酬を請求し,又は受領した行為が懲戒の対象となった例と,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)が弁護士会の懲戒処分を取り消し,又は変更した例を,日弁連の機関誌『自由と正義』に掲載された懲戒処分の公告及び裁決の公告に基づいて整理するものである。
本記事の法令及び会規は令和8年9月13日現在のものである。
公告は処分又は裁決の理由の要旨を記載したものにとどまるため,本記事の記述も公告の記載の範囲に限られる。
個々の弁護士の氏名は,本記事の目的との関係で必要がないため記載しない。

結論は次の4点である。
①報酬をめぐる懲戒例では,額が高いことに加えて,受任時に報酬を説明していない,委任契約書を作成していない,依頼者の了解なく預り金や受領金から報酬を差し引いた,時間制報酬で見込み時間の説明が足りないといった事情が重なっていることが多い。
②他方で,報酬の額が適正かつ妥当な範囲を超えることを主な理由として,弁護士職務基本規程24条違反とされた例もある。
③日弁連は,報酬をめぐる紛争が実質的には依頼者と弁護士の間の民事上の紛争であることや,審査請求後の和解等を考慮して,弁護士会の処分を取り消し,又は軽くした例がある一方で,懲戒請求者の異議の申出を受けて,弁護士会の処分を重くした例もある。
④懲戒は弁護士に報酬の返還を命じる手続ではないため,金銭の清算を求めるには,弁護士会の紛議調停や民事訴訟による必要がある。

第2 報酬に関する規律
1 弁護士法による懲戒

弁護士法56条1項は,弁護士及び弁護士法人は,同法又は所属弁護士会若しくは日弁連の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し,「その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。」と定めている。
懲戒は所属弁護士会が行い(同条2項),弁護士に対する懲戒の種類は,戒告,2年以内の業務の停止,退会命令及び除名の4種である(同法57条1項)。
弁護士会の懲戒処分について審査請求があったときは,日弁連は,日弁連の懲戒委員会に事案の審査を求め,その議決に基づいて裁決をしなければならない(同法59条1項)。

後記の公告例の多くは,弁護士職務基本規程や弁護士の報酬に関する規程の条項に違反するとした上で,その行為が弁護士法56条1項の品位を失うべき非行に当たるとしている。
規程の条項を挙げずに,同項の非行に当たるとだけ記載した公告もある。

2 弁護士職務基本規程
(1) 報酬の額に関する規律

弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)24条は,「弁護士は、経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして、適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。」と定める。
同規程5条は,「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。」と定めており,後記の時間制報酬の例には同条違反とされたものがある。

(2) 受任時の説明と委任契約書

同規程29条1項は,「弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。」と定める。
同規程30条1項は,「弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。」と定め,ただし書で,委任契約書を作成することに困難な事由があるときは,その事由がやんだ後に作成するとしている。
同条2項は,受任する事件が法律相談,簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは,委任契約書の作成を要しないとしている。

(3) 預り金と委任の終了

同規程38条は,事件に関して依頼者等から金員を預かったときは,自己の金員と区別し,預り金であることを明確にする方法で保管し,その状況を記録しなければならないと定める。
同規程45条は,「弁護士は、委任の終了に当たり、委任契約に従い、金銭を清算した上、預り金及び預り品を遅滞なく返還しなければならない。」と定める。

3 弁護士の報酬に関する規程

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法律事務所がランサムウェアに感染したときの期限管理―メール不達による期間徒過と知財高裁平成31年3月18日判決(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論の要旨1 本記事が扱う場面2 結論の要旨第2 知財高裁平成31年3月18日判決1 事案2 原審の判断3 控訴審の判断第3 現在の特許手続では基準が変わっている1 特許法48条の3第5項の改正2 適用の時期第4 民事訴訟の期限との関係1 訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)2 オンライン申立ての義務の例外(民事訴訟法132条の11第3項)3 システム送達の効力発生第5 ランサムウェア被害を受けた事務所の期限管理1 最初に確かめること2 平時に決めておくこと3 情報が漏えいした場合第6 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 規程
第1 本記事の対象と結論の要旨
1 本記事が扱う場面

本記事は,法律事務所や特許事務所がランサムウェアに感染し,又はメールサーバーが止まって,依頼者や相手方からの連絡を受け取れなかった場合に,手続の期間を守れなかったことが救済されるかを,裁判例と条文に沿って説明するものである。
中心となる裁判例は,代理人の事務所がランサムウェアに感染してメールを受信できず,特許の出願審査請求の期間を徒過した事案について,救済を否定した知的財産高等裁判所平成31年3月18日判決である。
本記事の記載は,令和8年9月13日時点の法令,裁判例及び公表資料に基づく。

2 結論の要旨

①知財高裁平成31年3月18日判決は,仮にランサムウェア感染によってメールを受信できなかったとしても,事務所は受信できなかった可能性のある期間について依頼者側に確認すべきであったとして,特許法(当時)の「正当な理由」を否定した。
②特許の出願審査請求については,令和3年の特許法改正により,令和5年4月1日以後に取り下げたものとみなされた出願から,救済の基準が「故意」でないかどうかに改められているため,同判決の結論をそのまま現在の特許手続に当てはめることはできない。
③民事訴訟では,不変期間を守れなかった場合の訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)や,オンライン申立ての義務の例外(同法132条の11第3項)は,「その責めに帰することができない事由」があることを要件としており,事務所側のシステム被害が当然にこれに当たるとはいえないと考えられる。
最高裁は,訴訟代理人やその事務所の者の事情で不変期間を守れなかった場合について,追完を認めていない。
④事務所がランサムウェア被害やメール障害を受けたときは,受信できなかった可能性のある期間を特定し,その間に連絡があり得た相手に確認することが,期限を守るための最初の作業になる。

第2 知財高裁平成31年3月18日判決
1 事案
(1) 出願審査請求の期間の徒過

イタリアに住所を有する大学(在外者)の特許出願について,日本の特許管理人として選任された弁理士の所属する国内の特許事務所(判決は「本件国内事務所」と呼ぶ。)が手続を担当し,現地の代理人事務所(「本件現地事務所」)が出願人との連絡を担当していた。
本件現地事務所は,平成28年4月1日,本件国内事務所に対し,出願審査の請求をするよう指示する電子メールを送信した。
しかし,本件国内事務所は,出願審査請求期間(平成28年5月2日まで)内に請求をせず,特許出願は取り下げたものとみなされた(特許法48条の3第4項)。

(2) ランサムウェア感染の主張

出願人は,本件国内事務所の所内のサーバー及びメールサーバーが平成28年3月28日から同年4月4日までの間,ランサムウェアへの感染により使用できない状況になっており,指示のメールを受信できなかったと主張し,期間内に請求をすることができなかったことについて特許法48条の3第5項の「正当な理由」があるとして,出願審査の請求をした。
特許庁長官がこの請求を却下したため,出願人が却下処分の取消しを求めた。

2 原審の判断

原審の東京地方裁判所平成30年8月30日判決は,「正当な理由」があるときとは,特段の事情のない限り,出願人として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず出願審査請求期間の徒過に至ったときをいうとした。
その上で,本件国内事務所の関連会社のサーバーでランサムウェアの感染が問題になったことは認められるとしても,主張された期間に本件国内事務所の所内のサーバー等が使用できない状況になっていたと認めるに足りる的確な証拠はないとした。
さらに,仮に主張どおりの状況があったとしても,サーバーが使用できるようになった時点から期間の終期まで1か月弱あった以上,本件国内事務所は指示のメールが送られていないかを本件現地事務所に確認すべきであり,その時間的な猶予は十分にあったとして,請求を棄却した。

3 控訴審の判断
(1) 電子メールの特性

知財高裁は,原審の判断を維持して控訴を棄却した。
判決は,「電子メールは,相手方への到達が保証されておらず,かつ,送信者が他の手段によることなく相手方への到達を確認することが困難な連絡手段であることは周知の事実である。」と述べている。
その上で,出願審査請求の指示のメールを送った後に到達を確認する手順を踏まない運用は,電子メールの特性を考慮した期間徒過防止の措置を何ら講じていないものであり,本件国内事務所も本件現地事務所も相当な注意を尽くしていたとは認められないとした。

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弁護士情報セキュリティ規程とは―全7条の内容,基本的な取扱方法及び漏えい等事故の対応(AI作成)

目次第1 本記事の対象第2 制定と施行1 制定と施行の日2 規程の名宛人3 規程に違反した場合第3 「情報セキュリティ」と「取扱情報」の定義(2条)1 機密性・完全性・可用性2 取扱情報(1) 紙の記録も含まれる(2) 除かれる情報第4 基本的な取扱方法の策定(3条)1 危険の把握と策定の義務(1) 危険を把握する努力義務(3条1項)(2) 基本的な取扱方法を定める義務(3条2項)2 配慮すべき4つの事項(3条3項)3 策定の実務(1) 日本弁護士連合会のサンプル(2) 書き込んでおくとよい事項4 AIエージェントを使う場合の記載事項5 OS組込みAIとBYODの記載事項6 生成AIの許可サービス台帳と入力情報区分第5 安全管理措置と事務職員等(4条)1 4つの安全管理措置(1) 規程4条1項の定め(2) 個人情報保護法の安全管理措置との重なり2 事務職員や司法修習生3 研鑽と教育第6 情報のライフサイクル管理と点検・改善(5条・6条)1 作成から廃棄まで(5条)2 点検と改善(6条)第7 漏えい等事故が起きたとき(7条)1 規程7条の定め2 個人情報保護法による報告と本人通知(1) 個人情報保護委員会への報告と本人への通知(2) 依頼者から取扱いの委託を受けた個人データ3 依頼者への報告4 mintsへの誤提出5 生成AI事故の記録票第8 秘密保持義務との関係1 弁護士法23条と弁護士職務基本規程23条2 機密性以外の要素第9 出典・参考資料1 規程・会規2 法令3 日本弁護士連合会・弁護士会の機関紙誌4 生成AIの行政ガイドライン
第1 本記事の対象

本記事は,日本弁護士連合会の弁護士情報セキュリティ規程(令和4年6月10日会規第117号)について,全7条の内容,各弁護士に策定が求められる「基本的な取扱方法」及び情報の漏えい等の事故が起きた場合の対応を,条文に沿って説明するものである。
あわせて,弁護士法23条の秘密保持義務,弁護士職務基本規程及び個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)との関係を整理する。
本記事の記載は,令和8年9月13日時点で確認できた規程の原文,法令及び公表資料に基づく。

規程の条文は,日本弁護士連合会のウェブサイトで公開されている。
他方,日弁連新聞第601号によれば,日本弁護士連合会は「解説 弁護士情報セキュリティ規程」及び「情報セキュリティを確保するための基本的な取扱方法について」(いずれも2023年3月)等を作成し,会員専用サイトで基本的な取扱方法の例を提供している。
本記事は,これらの会員向け資料の内容には依拠していない。

第2 制定と施行
1 制定と施行の日

規程は,令和4年6月10日の日本弁護士連合会の定期総会で可決された。
日弁連新聞第580号は,討論では規程による義務化への疑問や時期尚早との反対意見が出された一方で,情報セキュリティの確保に組織を挙げて取り組むべきであるとの賛成意見が出され,採決の結果,賛成多数で可決されたと報じている。

規程の附則は,「この規程は、成立の日から起算して二年を超えない範囲内において理事会で定める日から施行する。」と定めている。
令和6年1月19日の理事会決議により,規程は令和6年6月1日から施行された。

2 規程の名宛人

規程1条は,目的について「この規程は、弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人(以下「弁護士等」という。)がその職務上取り扱う情報の情報セキュリティを確保するために必要な事項を定めることを目的とする。」と定めている。
義務を負うのは法律事務所ではなく,個々の弁護士等である。
法律事務所の規模は,後述の3条2項において,定める内容を左右する考慮要素として現れる。

3 規程に違反した場合

規程自体には,違反した場合の効果を定める条文はない。
日弁連新聞第601号は,基本的な取扱方法を施行日までに策定することが義務とされており,策定していなければ会規違反になると説明している。

弁護士法56条1項は,弁護士が日本弁護士連合会の会則に違反したことを懲戒事由の一つとしている。
そして,日本弁護士連合会会則29条1項は,「弁護士は、所属弁護士会及び本会の会則、会規及び規則を守らなければならない。」と定めている。
したがって,会規である規程に違反することは,会則29条1項の違反として,弁護士法56条1項の懲戒事由に当たり得ると考えられる。
もっとも,懲戒をするのは所属弁護士会であり(同条2項),実際に懲戒の対象となるかは違反の内容や程度によって判断されることになる。
規程違反を理由とする懲戒の公表例は,本記事では確認していない。

第3 「情報セキュリティ」と「取扱情報」の定義(2条)
1 機密性・完全性・可用性

規程2条1項は,「この規程において「情報セキュリティ」とは、次に掲げる特性が維持された状態をいう。」とし,次の3つを挙げている。
①機密性:「情報に関して、アクセスを認められた者だけがアクセスできる特性をいう。」

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弁護士が事件の依頼を断るときの通知義務―弁護士法29条・職務基本規程34条とAIによる問い合わせの一次判定(AI作成)

目次第1 本記事の対象1 扱う問い2 結論の要旨第2 受任の諾否の通知を定める規定1 弁護士法29条(依頼不承諾の通知義務)2 弁護士職務基本規程34条(受任の諾否の通知)3 刑事事件の弁護人選任の申出と不受任の通知第3 通知義務の中身1 義務の趣旨2 通知すべき内容と方法3 面識のない者からの依頼第4 受任するかどうかの自由とその例外1 弁護士は依頼を受ける義務を負わない2 弁護士会や官公署から委嘱された事項第5 断る連絡を急ぐべき理由1 期間制限が迫っている相談2 断るときに添えると役立つ事項第6 問い合わせをAIで一次判定する場合1 AIの判定は対応の順番を決める道具にとどめる2 問い合わせ内容を外部のAIに送るときの守秘義務と個人情報3 事務職員に連絡を任せる場合4 電話や電子メールで受任する場合の広告の表示事項5 受付から諾否通知までを状態で管理する第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 職能団体の規程3 所管行政機関の資料4 文献
第1 本記事の対象
1 扱う問い

本記事は,弁護士が事件の依頼を受けたときに,受けるか断るかを依頼者へ知らせる義務(受任の諾否の通知)を扱う。
根拠は,弁護士法29条と弁護士職務基本規程34条の二つである。
あわせて,法律事務所がウェブサイトやメールの問い合わせをAI(人工知能)で一次判定する場合に,この義務との関係で何に気を付けるべきかを整理する。
法令及び規程の内容は,令和8年9月13日時点で確認したものである。

2 結論の要旨

弁護士は事件の依頼を受ける義務を負わないが,受けないときは,速やかにその旨を依頼者に知らせなければならない。
日本弁護士連合会の解説書は,知らせる内容は受けるか断るかだけで足り,理由を述べる必要はなく,方法も書面に限られないと説明している。
AIによる判定は対応の順番を決める道具にとどめ,断る判断とその連絡は弁護士の責任で行う形にしておくのが安全だと考えられる。

第2 受任の諾否の通知を定める規定
1 弁護士法29条(依頼不承諾の通知義務)

弁護士法29条は,「弁護士は、事件の依頼を承諾しないときは、依頼者に、すみやかに、その旨を通知しなければならない。」と定める。
法律が直接定める義務であり,同法56条1項は,弁護士がこの法律に違反したときを懲戒の事由の一つとしている。

2 弁護士職務基本規程34条(受任の諾否の通知)
(1) 条文の内容

弁護士職務基本規程34条は,「弁護士は、事件の依頼があったときは、速やかに、その諾否を依頼者に通知しなければならない。」と定める。
弁護士法29条が承諾しない場合の通知を定めるのに対し,34条は「諾否」,つまり受ける場合も含めて通知を求めている。
『解説弁護士職務基本規程 第3版』は,34条は旧弁護士倫理21条とほぼ同じ規定であり,弁護士法29条に沿ったものだと説明している(115頁)。

(2) 努力目標ではなく義務として定められていること

弁護士職務基本規程82条2項は,同規程のうち行動指針又は努力目標として解釈適用すべき条項を列挙している。
34条はこの列挙に含まれていないから,努力目標ではなく,義務を定めた規定として扱われる。
同じ受任時の規律でも,33条(法律扶助制度等の説明)は列挙に含まれており,扱いが異なる。

(3) 弁護士法人にも準用されること

弁護士職務基本規程69条は,第1章から第3章まで(一部の条項を除く。)の規定を弁護士法人に準用している。
34条は第3章第3節の規定であり,除外されていないから,弁護士法人が依頼を受けた場合にも同じ規律が及ぶ。

3 刑事事件の弁護人選任の申出と不受任の通知

刑事事件では,被告人又は被疑者が弁護士会に対して弁護人の選任を申し出る制度がある(刑事訴訟法31条の2第1項)。
弁護士会は,申出を受けたときは速やかに弁護人となろうとする者を紹介しなければならず,そのような者がいないときや,紹介した弁護士が選任の申込みを拒んだときは,申出をした者に速やかにその旨を通知しなければならない(同条2項・3項)。

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弁護士に対する業務妨害と対策――日弁連の宣言,濫用的懲戒請求,国選弁護人の解任及び法律事務所のカスハラ対策(AI作成)

目次第1 本記事の対象と基準日第2 日弁連の宣言と会長声明に見る業務妨害の現状1 令和7年12月5日の臨時総会宣言2 提案理由が挙げる妨害の態様3 令和6年12月19日の会長声明と日弁連のアンケート調査4 雑誌の会員アンケートに見る被害の頻度第3 業務妨害に当たり得る行為と刑事・民事の責任1 刑法上の犯罪2 民事上の損害賠償責任3 弁護士に不満がある場合に弁護士会が設けている手続第4 濫用的懲戒請求と不法行為1 懲戒請求は何人もできる2 違法な懲戒請求の判断基準3 大量懲戒請求をめぐる損害賠償請求訴訟第5 国選弁護人の解任1 被告人の暴行・脅迫等を理由とする解任2 辞任の申出と解任の裁判第6 法律事務所のカスハラ対策1 令和8年10月1日施行の労働施策総合推進法33条2 法律事務所に当てはめた場合第7 弁護士と法律事務所が取り得る対策1 弁護士会の委員会への相談2 1人で対応しない第8 出典1 法令及び法令に基づく指針2 裁判例3 日弁連の総会宣言,総会報告及び会長声明4 弁護士会の委員会紹介及び市民向け案内5 雑誌
第1 本記事の対象と基準日

本記事は,弁護士及び法律事務所に対する業務妨害について,日弁連の総会宣言と会長声明,弁護士会の委員会紹介,法令及び裁判例という公開資料から,現状と対策を整理するものである。
想定する読者は,弁護士及び司法修習生と,弁護士に事件を依頼している市民である。
後者については,相手方の代理人弁護士に向けた行為がどこから犯罪又は不法行為になり得るかという観点を含めている。

本記事の基準日は令和8年9月12日である。
法令は同日現在の条文をe-Gov法令検索で確認し,令和8年10月1日に施行される改正後の労働施策総合推進法については,施行後の条文を確認した。

個別の事案で犯罪又は不法行為が成立するかは具体的な事実によって決まるため,本記事は判断の枠組みと公的資料の記載を示すにとどめる。
インターネット上の投稿の削除請求や発信者情報開示の手続は扱わない。
日弁連及び弁護士会が会員向けに作成している業務妨害対策の資料についても,その内容は扱わない。

第2 日弁連の宣言と会長声明に見る業務妨害の現状
1 令和7年12月5日の臨時総会宣言

日弁連は,2025年(令和7年)12月5日の臨時総会で,「坂本堤弁護士一家遺体発見から30年の節目に、弁護士業務妨害を許さず、その対策に積極的に取り組む宣言」を採択した。
同日の臨時総会報告によれば,この宣言案は第4号議案として上程され,挙手による採決の結果,賛成多数で可決された。

宣言の提案理由によれば,坂本堤弁護士は,オウム真理教の出家信者らの救出活動等に取り組む中で,1989年に教団により妻子と共に殺害された。
日弁連は,この事件を契機として1996年6月に弁護士業務妨害対策委員会を設置し,その後,全ての弁護士会に同委員会又はそれに相当する組織が設置されたとされている。

宣言本文は,同委員会を通じて,妨害実態の調査・情報収集・分析,妨害行為の原因及び対策の研究,会員への情報共有と周知・啓発を行うとともに,「警察との連携強化等の活動をより一層徹底する」とする。
あわせて,妨害を受けた弁護士に対する各弁護士会の支援活動をサポートするとしている。

2 提案理由が挙げる妨害の態様

宣言の提案理由は,弁護士の殺害にまでは至らない場合でも,次のような妨害が多いとする。
①弁護士や事務職員への暴行・傷害
②脅迫・強要
③法律事務所を突然訪問しての業務妨害
④頻繁な架電,郵便物の送付及びメールの送信等による妨害
⑤濫用的懲戒請求
⑥濫用的訴訟提起による妨害

提案理由は,共同親権等に関する法改正について情報発信を行っている弁護士に対する激しい妨害行為も数多く報告されているとする。
さらに,SNSやGoogleマップ等の口コミ・レビュー機能を有するサイトへの書き込みによる誹謗中傷等により,弁護士の名誉やプライバシー権が侵害される事案も発生しているとしている。

殺害に至った事件として,提案理由は,坂本事件のほかに,2010年6月に横浜で離婚事件の相手方から弁護士が殺害された事件と,同年11月に秋田で財産分与請求事件の元相手方から弁護士が殺害された事件を挙げている。
日弁連の弁護士業務妨害対策委員会の紹介ページも,2010年6月2日に横浜弁護士会(現在の神奈川県弁護士会)所属の弁護士が,同年11月4日に秋田弁護士会所属の弁護士が殺害されたと記載している。

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遺産分割事件の弁護士報酬――旧日弁連基準の「争いのない部分は3分の1」と相当報酬額の裁判例(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 旧日弁連報酬等基準規程の「3分の1」の定め1 遺産分割請求事件の経済的利益2 表形式の転載にみられる「範囲又は」との違い3 計算例4 減額義務と協議による増額の定め第3 旧規程廃止後の規律1 弁護士の報酬に関する規程2 受任時の説明と委任契約書3 民法の委任の報酬と中途終了第4 報酬額の定めがない場合の相当報酬額第5 相続関係事件の報酬をめぐる裁判例1 東京地裁平成30年3月26日判決2 東京地裁令和5年9月26日判決3 東京地裁令和5年2月22日判決4 これらの裁判例から読み取れること第6 委任契約の際に確認しておくこと1 経済的利益の算定方法2 中途終了と手続の移行3 紛議調停と懲戒請求第7 関連記事第8 出典1 日弁連の会規2 法令3 裁判例4 統計
第1 この記事の対象と結論

本記事は,遺産分割事件を弁護士に依頼する場合の着手金・報酬金の算定について,平成16年3月31日に廃止された日弁連の報酬等基準規程(以下「旧規程」という。)が定めていた「争いのない部分は3分の1」の扱いを,規程の文言,現行の会規及び裁判例に基づいて整理するものである。
本記事の法令及び会規は令和8年9月12日現在のものであり,裁判例は裁判所ウェブサイト及び判例秘書で確認した範囲に限っている。

結論は次の3点である。
①旧規程14条1項13号は,分割の対象となる財産の範囲及び相続分の双方について争いのない部分に限り,経済的利益を相続分の時価相当額の3分の1とすると定めていた。
②旧規程は廃止されたが,報酬額の合意がはっきりしない事件では,裁判所が旧規程や単位弁護士会の旧会規を相当報酬額の目安として参照した例がある。
③報酬をめぐる紛争を避けるには,委任契約の段階で,当該事件の経済的利益の算定方法(3分の1の扱いを含む。)と中途終了時の清算方法を書面で具体的に定めておくことが考えられる。

第2 旧日弁連報酬等基準規程の「3分の1」の定め
1 遺産分割請求事件の経済的利益

旧規程(平成7年9月11日会規第38号)は,平成7年10月1日から平成16年3月31日まで適用されていた規程である。
旧規程は,民事事件の着手金及び報酬金を経済的利益の額を基準として算定するものとし(17条1項),経済的利益の算定方法を14条1項各号で事件の類型ごとに定めていた。

遺産分割請求事件についての同項13号は,次のとおりである。
「遺産分割請求事件は、対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の三分の一の額」

本文は相続分の時価相当額を原則とし,ただし書は,遺産の範囲と相続分の双方に争いがない部分に限って,これを3分の1に圧縮する構造である。
範囲と相続分に争いがなければ,主な争点は遺産の分け方の調整にとどまるため,相続分の全額を経済的利益とすると紛争の実態に比して過大になるという考え方によるものと考えられる。
本記事が引用する旧規程の条文は,当ブログに掲載した日弁連の,報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号)(制定時の条文)による。

2 表形式の転載にみられる「範囲又は」との違い

インターネット上には,旧規程の内容を表形式にまとめた「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」という資料が複数の法律事務所のウェブサイトに掲載されており,その中には,遺産分割請求事件のただし書を「範囲又は相続分についての争いのない部分」と記載するものがある。
しかし,旧規程の文言は「範囲及び相続分について争いのない部分」であり,後記の東京地裁平成30年3月26日判決も,旧規程を,範囲及び相続分の双方に争いがない部分を3分の1とする定めとして扱っている。

「及び」と「又は」とでは,3分の1が及ぶ範囲が異なり得る。
「範囲及び相続分」であれば,遺産の範囲と相続分のいずれかに争いがある部分には3分の1は及ばない。
これに対して「範囲又は相続分」と読むと,一方にだけ争いがない部分まで3分の1とする余地が生じ,経済的利益が小さく算定される方向にずれる。
なお,直前の14条1項12号(共有物分割請求事件)は,持分の時価の3分の1を原則とし,「分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分」を例外とする逆向きの構造の規定であり,「又は」の文言はこちらに現れる。

3 計算例

旧規程17条1項の報酬金の料率は,経済的利益の額のうち300万円以下の部分が16%,300万円を超え3000万円以下の部分が10%,3000万円を超え3億円以下の部分が6%,3億円を超える部分が4%であった。
以下は,依頼者の法定相続分の時価相当額が6000万円で,遺産の範囲にも相続分にも争いがなく,遺産の分け方だけが問題となった事件で,依頼者が相続分どおりの遺産を取得したと仮定した本記事の計算例である。

相続分の時価相当額6000万円をそのまま経済的利益とすると,報酬金の標準額は498万円(300万円×16%+2700万円×10%+3000万円×6%)となる。
13号ただし書により3分の1の2000万円を経済的利益とすると,報酬金の標準額は218万円(300万円×16%+1700万円×10%)となる。
いずれも消費税相当額を含まない額である(旧規程10条)。

(続きを読む...)遺産分割事件の弁護士報酬――旧日弁連基準の「争いのない部分は3分の1」と相当報酬額の裁判例(AI作成)

取締役責任調査委員会の委員弁護士は後続訴訟を代理できるか-最高裁令和4年6月27日決定と弁護士法25条(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論1 扱う問題と基準日2 最高裁の結論第2 取締役責任調査委員会と後続訴訟1 二つの委員会は別の組織である2 事情聴取前の説明と訴訟代理第3 弁護士法25条2号及び4号が類推適用されなかった理由1 2号の信頼関係に基づく協議ではないこと2 4号の公務員又は裁判官に類する立場ではないこと3 弁護士法25条の拡張・類推は抑制されること第4 第三者委員会の委員について同じ結論になるとは限らない1 日弁連ガイドライン型の第三者委員会との違い2 事情聴取時の説明が異なる場合第5 訴訟行為の排除と職務倫理は別に検討する1 弁護士職務基本規程違反だけでは排除できないこと2 秘密保持及び利益相反の確認第6 受任前に確認する資料と停止基準1 最初に確認する資料2 追加確認又は受任停止が必要となる場合3 法律事務所内の確認第7 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 職能団体の規程・ガイドライン4 文献
第1 この記事の対象と結論
1 扱う問題と基準日

この記事は,取締役責任調査委員会の委員であった弁護士が,調査対象となった取締役に対する会社側の損害賠償請求訴訟を代理できるかを扱う。
中心となる裁判例は,最高裁令和4年6月27日第一小法廷決定(令和4年(許)第3号,集民268号323頁)であり,法令及び規程は令和8年9月9日現在の内容を確認した。

この問題では,①弁護士法25条により職務を行うことが禁止されるか,②相手方が裁判所に訴訟行為の排除を求められるか,③弁護士職務基本規程,秘密保持及び調査の信用性の面から受任が適切かを区別する必要がある。
最高裁決定が直接判断したのは,本件の具体的事情の下で①及び②に関する弁護士法25条2号及び4号の類推適用を認められるかという点である。

2 最高裁の結論

最高裁は,本件の取締役責任調査委員会が会社の委託を受けて取締役の責任を調査する組織であり,調査対象者には事情聴取の結果が後の責任追及訴訟で証拠として用いられる可能性が示されていたことを重視した。
その上で,同委員会の委員であった弁護士が会社の訴訟代理人となることについて,弁護士法25条2号又は4号を類推適用して訴訟行為から排除することはできないと判断した。

ただし,この決定は,調査委員会の委員であった弁護士が常に後続訴訟を代理できるとしたものではない。
委員会の目的,委嘱者,調査対象者に対する説明,取得した秘密情報,委員会が公表した独立性の内容及び後続訴訟の依頼者を個別に確認する必要がある。

第2 取締役責任調査委員会と後続訴訟
1 二つの委員会は別の組織である

本件会社では,役員らによる金品受領問題について,最初に,日本弁護士連合会の第三者委員会ガイドラインに準拠する第三者委員会が設置された。
その後,会社は,取締役であった者が会社法423条1項により会社に対する損害賠償責任を負うかを調査・検討するため,太田洋弁護士及び木目田裕弁護士を含む4名の外部弁護士に委員を委嘱し,別の取締役責任調査委員会を設置した。

会社は,取締役責任調査委員会について,独立性を確保した利害関係のない立場にある社外弁護士から成る委員会であると公表していた。
もっとも,委員会が会社から委嘱を受けて取締役の会社に対する責任を調査する組織であることと,委員が会社から離れた紛争解決者であることとは同じではない。

2 事情聴取前の説明と訴訟代理

委員会が調査対象者に送付した事情聴取の依頼文書には,聴取結果が会社による責任追及訴訟で証拠として用いられる可能性がある旨が記載されていた。
委員会は事情聴取を経て取締役であった者らの責任を認める内容の報告書を提出し,会社は,委員であった弁護士2名を訴訟代理人として損害賠償請求訴訟を提起した。

取締役であった者らは,委員であった弁護士の訴訟行為が弁護士法25条2号及び4号の趣旨に反すると主張し,訴訟行為の排除を申し立てた。
大阪高裁令和3年12月22日決定(令和3年(ラ)第580号)は排除を認めたが,最高裁は原決定を破棄し,申立てを却下した原々決定に対する抗告を棄却した。

第3 弁護士法25条2号及び4号が類推適用されなかった理由
1 2号の信頼関係に基づく協議ではないこと

弁護士法25条2号は,相手方から協議を受けた事件のうち,協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められる事件について,弁護士が職務を行うことを禁止している。
本件では,調査対象者が委員である弁護士に法的な解決を求めて相談したのではなく,会社のために行われる責任調査に応じて回答していた。

最高裁は,委員会の名称及び設置目的に加え,聴取結果が後続訴訟の証拠となり得る旨の事前説明を考慮し,調査対象者も委員会が会社のために調査をしていることを認識していたと判断した。
そのため,事情聴取に対する回答を,弁護士に法的解決を求めるための信頼関係に基づく協議と同視しなかった。

2 4号の公務員又は裁判官に類する立場ではないこと

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弁護士費用保険・特約をめぐる主要裁判例-同意・現実の支出・返金・直接請求(AI作成)

第1 対象と結論1 本記事が扱う裁判例2 結論の要旨第2 確認した裁判例の一覧1 論点別の対応2 一覧を読む際の留意点第3 保険者の同意・現実の支出・LAC基準1 東京地裁平成28年10月27日判決とその控訴審(1) 同意と現実の支出(2) LAC基準の位置付け2 福岡高裁令和元年11月27日判決(1) 不同意が常に有効とは限らないこと(2) 当該事件で逸脱又は濫用が否定された理由第4 返金後の費用負担と弁護士からの直接請求1 東京地裁令和4年8月9日判決(1) いったん支払っただけでは足りない場合2 東京地裁令和5年2月8日判決(1) 債権者代位による請求が不適法とされた事例第5 補償対象と費用発生時期1 大阪地裁令和元年5月23日判決(1) 当該免責条項の「労働災害」2 東京地裁令和5年7月19日判決(1) 問題事象と法律事件の発生(2) 各費用を負担した時期第6 裁判例を実務で使うための確認順序1 最初に適用約款を固定する2 同意・支払・返金を時系列化する3 四つの法律関係を区別する第7 関連記事第8 出典1 法令2 裁判例3 職能団体の分科会資料及び学術文献

第1 対象と結論

1 本記事が扱う裁判例

本記事は,弁護士費用保険及び自動車保険の弁護士費用特約について,保険金請求の成否を左右した主要裁判例を論点別に整理するものである。
調査の基準日は令和8年9月7日であり,日本弁護士連合会第24回弁護士業務改革シンポジウム第4分科会報告書の資料5「弁護士費用保険と弁護士選任権―現状の課題と展望」に収録された別表を調査の入口とした。

同別表は,令和8年8月現在の裁判例26件を掲げるが,別表自体は判決全文ではない。
本記事では,そのうち令和8年9月6日までに判例秘書で判決全文を確認した6件を中心とし,東京地裁平成28年10月27日判決の控訴審及び上告経過は公開された判例研究で補った。

残る20件は判決全文の確認が完了していないため,本記事は裁判例の網羅記事ではない。
また,資料5は分科会報告書に収録された山下典孝氏の報告資料であり,その裁判例一覧を日弁連全体の公式な法解釈として扱うものではない。

2 結論の要旨

確認した裁判例からは,弁護士費用保険金の請求では,少なくとも,①事故又は法律問題が補償対象に入るか,②保険者の同意又は承認を得たか,③被保険者が費用を現実に負担したか,④返金後にも最終的な費用負担が残るか,⑤保険金請求権を誰が行使するか,⑥費用が保険期間内に発生したかを分けて検討する必要があるといえる。
ただし,各判決は特定の約款文言と事実関係を前提としており,「弁護士費用特約なら常に同じ結論になる」という一般法理を示したものではない。

第2 確認した裁判例の一覧

1 論点別の対応

主な論点裁判例本記事で確認した結論保険者の同意,現実の支出及びLAC基準東京地裁平成28年10月27日判決・平成28年(ワ)第10728号,東京高裁平成29年4月27日判決・平成28年(ネ)第5242号当該約款では同意と現実の支出が請求権発生の要件であり,LAC基準は弁護士報酬そのものではなく保険金支払の基準であるとされた。同意拒絶が裁量権の逸脱又は濫用となる余地福岡高裁令和元年11月27日判決・令和元年(ネ)第462号例外の余地を認めたが,当該事案では不同意を不合理とはしなかった。通勤災害に関する免責大阪地裁令和元年5月23日判決・平成30年(ワ)第7687号当該免責条項の「労働災害」には通勤災害も含まれるとされた。弁護士費用の全額返金東京地裁令和4年8月9日判決・令和4年(レ)第198号支払額と同額の返金を受け,最終的な費用負担が残らない部分について保険金請求を否定した。弁護士による債権者代位東京地裁令和5年2月8日判決・令和4年(ワ)第15286号依頼者の無資力の主張立証がなく,債権者代位による訴えは不適法とされた。問題事象の発生及び費用発生時期東京地裁令和5年7月19日判決・令和4年(ワ)第29168号事情聴取・弁明の段階では約款上の問題事象等に直面したといえず,契約失効後に負担した費用も対象外とされた。

2 一覧を読む際の留意点

裁判所ウェブサイトの裁判例検索は,すべての裁判例を掲載しているわけではない旨を明記している。
本記事で扱う各判決は裁判所ウェブサイト未掲載であるが,未掲載であることは判決の不存在を意味しないため,出典欄には裁判所名,裁判年月日,事件番号,掲載誌又は判例秘書文献番号を示した。

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弁護士費用保険の保険金が減額・不払いになったとき-再査定・日弁連ADR・そんぽADR・消滅時効(AI作成)

目次

第1 結論-理由を分解し,時効を止めずに進める1 最初に行うべきこと2 再査定,ADR及び時効管理は別々の作業である第2 減額・不払いの理由を六つに分ける1 補償義務の有無2 免責事由3 対象費目4 必要性及び相当性5 事前同意及び選任手続6 金額の算定第3 再査定を求める方法1 資料を一式そろえる2 書面で回答を求める項目3 再査定申出の骨格第4 日弁連ADRとそんぽADRの違い1 比較表第5 日弁連の弁護士費用保険ADR1 対象となる紛争2 申立人と受任弁護士の制限3 和解あっせん,裁定及び見解表明4 手数料5 時効完成猶予の扱い第6 そんぽADRセンター1 利用できる相手方と申立人2 苦情解決手続と紛争解決手続3 和解案と特別調停案4 時効完成猶予は限定的である第7 消滅時効を管理する1 3年の起算点を一律に事故日にしない2 再査定中であることだけに依存しない3 管理表の最低項目第8 ADR申立書に添付する資料1 共通する提出パケット2 ADRを選ぶ前の確認第9 実務上の留意点1 保険金と弁護士報酬を混同しない2 確認した裁判例の範囲第10 まとめ1 実行順序第11 出典1 法令及び行政資料2 日弁連の資料3 そんぽADRセンター等の資料
第1 結論-理由を分解し,時効を止めずに進める
1 最初に行うべきこと

弁護士費用保険又は弁護士費用特約の保険金が減額され,又は支払われなかった場合,最初に確認すべきものは,事故時に適用される約款,不払い又は減額の根拠条項,保険会社が認定した事実及び計算過程である。
単に「LAC基準に合わない」「必要性がない」などの結論だけを争うのではなく,①補償義務,②免責,③対象費目,④必要性・相当性,⑤事前同意,⑥金額計算のどこで見解が分かれたのかを特定する必要がある。

2 再査定,ADR及び時効管理は別々の作業である

保険会社への再査定の申出,日弁連の弁護士費用保険ADR及びそんぽADRセンターは,目的,申立人,対象となる保険会社,手続の効果及び費用が異なる。
特に,ADRを申し立てたというだけで,常に消滅時効の完成が猶予されるわけではない。

保険法95条1項は,保険給付を請求する権利について,権利を行使することができる時から3年間行使しないときは時効によって消滅すると定める。
したがって,再査定やADRを進める場合も,別に起算点,完成予定日及び完成猶予・更新事由を管理する必要がある。

第2 減額・不払いの理由を六つに分ける
1 補償義務の有無

対象事故,対象となる法的手続,被保険者の範囲,保険期間又は支払事由の発生時期が約款の補償要件を満たすかという争いである。
この争いでは,商品名や一般的な「弁護士費用特約」のイメージではなく,当該事故に適用される約款本文を基礎にする。

2 免責事由

故意,契約締結前から存在した紛争,家族間紛争その他の免責条項に該当するかという争いである。
保険会社に対しては,適用した免責条項と,その条項に該当すると認定した具体的事実を対応させた説明を求める。

3 対象費目

着手金,報酬金,時間制報酬,法律相談料,日当,実費,鑑定費又は資料取得費が,約款のどの費目に該当するかという争いである。
同じ請求書に記載された金額でも,費目ごとに補償要件,事前同意の要否及び上限が異なることがあるため,一括して扱わない方がよい。

4 必要性及び相当性

費用の種類自体は補償対象でも,事件との関連性,必要性,相当性,重複又は代替可能性が争われる場合がある。
この場合は,費用ごとに,対象となる争点,行った作業,作業量,立証趣旨及び他の資料では代替できない理由を示す。

5 事前同意及び選任手続

弁護士への委任,費用の支出又は報酬額について,約款所定の事前同意を得ているかという争いである。
弁護士を自分で選べることと,その弁護士に支払う費用が全額保険金になることは別問題であり,詳細は「弁護士費用保険で弁護士を自分で選べるか」で整理している。

6 金額の算定

補償対象であること自体に争いがなくても,経済的利益,時間単価,作業時間,着手金と報酬金の算定基礎,既払額又は上限額により減額される場合がある。
この場合は,保険会社の計算式を入手し,入力値と計算方法を分けて確認する。

第3 再査定を求める方法
1 資料を一式そろえる

再査定の前に,次の資料を時系列順にそろえる。
① 保険証券及び契約内容が分かる資料
② 事故時に適用される約款及び特約
③ 弁護士との委任契約書,報酬説明書及び変更合意
④ 保険会社へ提出した事前承認申請,見積書及び請求書
⑤ 保険会社の承認,不承認又は減額回答
⑥ 作業記録,領収書,送金記録及び資料の立証趣旨
⑦ 保険会社との電話,電子メール及び面談の記録

適用約款が不明なままでは,どの事実が必要かも定まらない。
保険始期日だけでなく,事故日,紛争発生日,弁護士選任日,費用発生日及び請求日を並べ,当該商品に適用される版を確認する。

2 書面で回答を求める項目

再査定の申出では,少なくとも次の事項を項目別に尋ねる。
① 適用約款の名称,版及び条項
② 支払対象と認めた費目及び認めなかった費目
③ 各結論の前提となった認定事実
④ 金額の算定式,単価,作業時間,経済的利益及び控除額
⑤ 不足している資料と,提出した場合に再検討される事項
⑥ 争いのない部分を先に支払うことの可否
⑦ 再査定を担当する部門及び社外専門家の関与の有無
⑧ 利用できる苦情窓口及びADR

金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅱ-4-4-3は,支払査定後に苦情があった場合の再度の事実確認,算定根拠の説明及び不払時の根拠条項を含む説明に着目している。
また,日本損害保険協会の「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」は,支払額に異議がある場合の説明・再調査や,不払時の根拠条項・認定事実の説明,外部専門家を含む再検証の仕組みを掲げている。

もっとも,監督指針は保険会社の態勢に関する監督上の着眼点であり,同ガイドラインは損害保険業界の自主的な指針である。
これらは,再査定で確認すべき事項を示す重要な資料であるが,個別約款にない補償義務を当然に発生させるものではない。

3 再査定申出の骨格

再査定の申出は,次のように,争点,約款,事実及び資料を一対一で対応させるとよい。

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弁護士費用保険におけるAI利用-保険金査定・法律相談・弁護士紹介・利益相反(AI作成)

第1 対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 AIによる保険金査定1 AIが支援しやすい処理2 人が実質的に判断すべき処理3 説明,再審査及び監査ログ第3 AIによる法律情報と法律相談1 一般情報と個別法律判断を分ける2 免責表示だけでは決まらない3 消費者向け保険相談への適用限界第4 AIによる弁護士の検索,推薦及び紹介1 検索条件の提示と特定事件の取次ぎ2 「最適な弁護士」の目的関数3 自己選任と保険金給付は別問題である第5 利益相反を三つの関係に分ける1 保険会社と被保険者2 弁護士と依頼者3 AI事業者と複数の利用者第6 個人情報,秘密及びセキュリティ1 入力資料の性質2 委託と第三者提供を混同しない3 弁護士が入力する場合の秘密保持第7 導入・監査のチェックリスト1 導入前2 個別判断時3 継続監査第8 現時点の限界第9 関連記事第10 出典1 法令2 行政機関の監督指針及びガイドライン3 職能団体の公開資料
第1 対象と結論

1 本記事の対象

本記事は,弁護士費用保険にAIを利用する場面を,①保険金査定,②法律情報・法律相談,③弁護士の検索・推薦・紹介,④利益相反,⑤個人情報・秘密管理に分け,令和8年9月6日現在の公開資料に基づいて整理するものである。
生成AIを用いて資料を収集・照合したが,条文はe-Gov法令検索で,行政資料及び講演資料は公表元の本文で確認した。

対象は,日本の保険会社又はその委託先がAIを用いる一般的な制度設計である。
個別商品の補償範囲,特定の保険金請求の可否,特定のAIサービスの適法性及び個々の弁護士の利益相反は,約款,委任契約,サービス設計及び実際の運用によって異なるため,本記事だけでは判断できない。

2 結論

AIは,請求資料の読取り,約款との照合,対象費目の分類,計算,類似案件の検索及び説明案の作成に利用できる。
しかし,因果関係,約款の解釈,例外事情,不払理由,個別紛争への法律判断及び特定弁護士への取次ぎは,別の法的・職業倫理上の問題を含むため,同じ自動処理の延長として扱うべきではない。

本記事では,実務上必要な統制を,①AIが扱った入力,②参照した約款・法令・資料の版,③AIの出力と不確実性,④人が行った採否及び理由,⑤被保険者への説明と再審査という五つを連結して記録する仕組みと整理する。
これは一つの法令が一律に定めた五要件ではなく,金融庁の監督指針,政府のAI事業者ガイドライン及び後記の日弁連分科会資料を組み合わせた実務上の整理である。

第2 AIによる保険金査定

1 AIが支援しやすい処理

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウム第4分科会資料のうち,SOMPOの担当部署が作成した資料は,損傷箇所・程度の推定,見積りの妥当性確認及び非定型事案の抽出をAIが支援し得る処理として掲げている(同資料PDF44頁)。
同資料は日弁連の統一見解又は弁護士費用保険に限定した実証研究ではないが,機械処理と人の判断を分ける設計例として参考になる。

弁護士費用保険でも,請求書から費目と金額を抽出すること,適用約款の候補を探すこと,限度額及び既払額を計算すること,必要書類の欠落を示すことは,AI又はルールエンジンによる支援になじみやすい。
もっとも,AIが読み取った事実と,約款上の評価を分け,原資料へ戻れるようにしなければならない。

2 人が実質的に判断すべき処理

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弁護士費用保険で弁護士を自分で選べるか-自己選任・保険者の同意・費用負担・利益相反(AI作成)

第1 結論-自己選任と保険金支払は別問題である1 自分で探した弁護士を選任することはできる2 日本では商品・約款ごとの確認が必要である第2 自己選任の前に確認すべき事項1 適用約款を特定する2 「同意」の対象を曖昧にしない3 委任前に書面又は電子メールで確認する第3 弁護士費用の負担範囲1 四つの法律関係を分けて考える2 LAC基準と委任契約上の報酬は同一ではない3 返金と直接払いにも注意が必要である第4 保険者と被保険者の利益が対立するとき1 通常は被保険者が弁護士の依頼者である2 利益相反が表面化しやすい場面3 情報提供と守秘義務を区別する第5 LACによる紹介,自己選任及び非弁提携1 紹介案件と選任済み案件2 紹介料又はあっせん対価の問題第6 不同意,減額又は不払となった場合の対応1 理由と根拠を文書で確認する2 相談機関とADR3 保険金請求権の消滅時効第7 EUの弁護士選択の自由との違い1 EUでは指令が自由選択権を明記する2 自由選択は費用の全額補償を意味しない3 EU法を日本の契約へ直接適用することはできない第8 自己選任時の確認事項第9 関連記事第10 出典1 法令及び会規2 裁判例3 弁護士会及び業界団体の資料4 外国法及び外国裁判例
第1 結論-自己選任と保険金支払は別問題である
1 自分で探した弁護士を選任することはできる

弁護士費用保険を利用する場合であっても,被保険者が自分で探した弁護士と委任契約を締結することはできる。
東京弁護士会LAC運営委員会の解説も,保険会社等から弁護士会へ紹介依頼が来る「紹介案件」と,被保険者等が既に弁護士を選んでいる「選任済み案件」を区別している。
したがって,LACの制度実務上も,保険会社又は弁護士会の紹介によらない案件が想定されている。

ただし,自分で弁護士を選任できることと,その弁護士に支払う費用が保険金の対象となることは別問題である。
保険金支払の可否及び範囲は,事故日,原因事実又は契約始期に応じて適用される約款,保険者の事前同意又は承認の有無,費用の算定基準及び支払限度額によって決まる。

2 日本では商品・約款ごとの確認が必要である

2026年9月6日までに確認した日本の法令及び公表資料の範囲では,EU法のように弁護士費用保険一般について弁護士選択の自由を明記した法定の一般条項は確認できない。
そのため,日本で「どの弁護士でも自由に選べ,その費用は必ず全額支払われる」と一般化することはできない。

日本損害保険協会の損害保険Q&Aは,典型的な自動車保険について,弁護士費用特約の対象を保険会社の承認を得て支出した費用と説明し,保険会社の同意を得ずに支出した弁護士費用等は支払対象とならない場合があるとしている。
これは個別約款そのものではないため,実際の契約では保険証券,重要事項説明書及び適用約款を確認する必要がある。

第2 自己選任の前に確認すべき事項
1 適用約款を特定する

同じ保険会社の商品でも,契約時期,補償対象,事故の種類及び特約の改定によって約款が異なることがある。
まず,保険会社に事故受付番号を確認し,どの年度又は版の約款が適用されるかを文書で特定する必要がある。

確認対象は,弁護士費用の補償限度額だけではない。
①弁護士の選任に同意が必要か,②委任契約又は費用支出に事前承認が必要か,③着手金,報酬金,時間制報酬,日当,実費及び鑑定費用のどこまでが対象か,④LAC基準その他の算定基準が適用されるか,⑤弁護士へ直接送金するか,被保険者が立替後に請求するかを確認する必要がある。

2 「同意」の対象を曖昧にしない

保険会社が事故の受付又は弁護士への相談を了承しただけで,弁護士の選任,委任契約の内容及び費用額の全てに同意したことになるとは限らない。
福岡高裁令和元年11月27日判決は,当該約款上,弁護士報酬の支払について保険者の同意が原則として必要であるとした上で,交渉上の支払提案が当然に約款上の同意になるとは認めなかった。

同判決は,保険者の不同意が不合理であり,裁量の範囲を逸脱し,又は裁量権を濫用したと評価される場合には,同意がなくても保険金請求が認められる余地を示した。
もっとも,同判決の事案では逸脱又は濫用を否定しており,事前同意がなくても広く請求できると理解すべきではない。

3 委任前に書面又は電子メールで確認する

自己選任を希望する場合は,弁護士名,事件の概要,予定する手続,費用見積り及び委任予定日を保険会社へ伝え,承認の対象と上限を回答してもらうことが望ましい。
電話だけで確認した場合でも,日時,担当者名,質問及び回答を記録し,確認内容を電子メール等で送り返しておくと,後日の認識違いを減らすことができる。

第3 弁護士費用の負担範囲
1 四つの法律関係を分けて考える

自己選任の問題では,①被保険者が弁護士を選ぶこと,②被保険者と弁護士が委任契約を結ぶこと,③保険者が被保険者へ保険金を支払うこと,④保険者が弁護士口座へ直接送金することを区別する必要がある。

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法律事務所の退所・分裂-事件,職員,利益相反,預り金及び清算のチェックリスト(AI作成)

第1 この記事の対象と基本的な考え方1 対象と基準日2 最初に五つの台帳へ分ける3 公開された分裂例から分かること第2 共同事務所と弁護士法人を区別する1 名称だけでは法律関係が決まらない2 民法上の組合である場合3 弁護士法人である場合第3 事件と依頼者の移行1 受任主体別の三つの分岐(1) 個人受任(2) 弁護士法人受任(3) 共同受任2 依頼者への説明と意思確認3 事件移行表4 期限事故を防ぐ停止基準第4 利益相反・秘密・事件情報1 退所後も残る規律2 最高裁令和3年4月14日決定3 情報遮断を万能視しない4 コンフリクト・アクセス管理表第5 職員と勤務弁護士1 実際の雇用主を確認する2 事業譲渡として雇用を移す場合3 合併等との違い4 本人の選択と業務継続を両立させる第6 預り金・報酬・未収金1 現行の預り金規程2 三点照合と移動根拠3 報酬等を区分する第7 契約・資産・データ1 契約主体別の一覧2 デジタル権限の切替え3 対外告知第8 弁護士法人の退社・解散・清算1 意思決定と届出を分ける2 退社後に残り得る責任3 解散と清算第9 分裂協議書と実行順序1 最終合意前の暫定管理2 分裂協議書の主要条項3 標準的な実行順序第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 法令に基づく指針4 職能団体の規程5 実務家インタビュー6 関連記事
第1 この記事の対象と基本的な考え方
1 対象と基準日

本記事は,共同法律事務所から一部の弁護士が退所する場合,事務所を複数に分ける場合,弁護士法人の社員が退社する場合又は弁護士法人を解散する場合に,何をどの順序で確認すべきかを整理するものである。
法令及び規程の内容は,令和8年9月6日現在で確認した。

「事務所の分裂」は法律上の一つの制度ではない。
事件の委任契約,職員との労働契約,弁護士間の共同事業契約,弁護士法人の社員関係,賃貸借等の対外契約及び預り金の管理関係が,同じ時期に別々の根拠で動く場面を便宜上まとめた表現である。

2 最初に五つの台帳へ分ける

分裂協議を始めるときは,事務所全体を一つの財産として分けるのではなく,次の五つの台帳へ分ける必要がある。
①事件台帳は,依頼者,受任主体,担当者,相手方,直近の期限,原本及び預り金を記載する。
②人員台帳は,雇用主,契約形態,給与負担,社会保険及び本人の意向を記載する。
③利益相反・情報台帳は,依頼者,相手方,関係会社,過去事件及びアクセス権限を記載する。
④金銭台帳は,預り金,着手金,報酬金,立替金,未収金及び未払金を区分する。
⑤契約・資産台帳は,賃貸借,リース,通信,広告,ドメイン,電話番号,備品,借入れ及び保証を記載する。

内部で決めた売上配分又は担当区分だけでは,依頼者との契約,職員の雇用主,預り金口座の名義又は対外債務者は変わらない。
各台帳には根拠資料の所在,確認者及び確定日を付し,未確認事項を推測で埋めないことが重要である。

3 公開された分裂例から分かること

匿名の実務家インタビューである「法律事務所の分裂について(前編)」及び「法律事務所の分裂について(後編)」には,個人受任を基本としながら職員,勤務弁護士,ウェブサイト及び弁護士法人を共通化していた事務所が,長期の協議を経て複数の事務所へ分かれたとの説明がある。
同記事によれば,職員及び勤務弁護士の帰属にも本人の選択が関わり,分裂後は共通経費を限定して各パートナーが職員等を個別に確保する仕組みに変えたとされる。

これは匿名当事者による一つの実務例の記述であり,記載事実を一次資料で独立に確認したものではない。
もっとも,受任主体と雇用主が一致しないこと,共通経費と事件収支が重なること及び人員配置に本人の意思が関わることを早期に確認すべきであるとの問題提起は,一般的な点検項目として利用できる。

第2 共同事務所と弁護士法人を区別する
1 名称だけでは法律関係が決まらない

「共同法律事務所」という名称だけでは,事務所内部の契約が民法上の組合であるか,単なる経費共同であるか,又は弁護士法人を中心とする組織であるかは決まらない。
契約書,出資・損益分配の方法,意思決定,財産名義,受任名義,請求書,預り金口座,給与支払者及び社会保険手続を照合して,実際の法律関係を確定する必要がある。

確認対象主な根拠資料最初の質問共同事業共同事務所契約,議事録,出資・分配表誰が何を出資し,損益をどう負担するか受任委任契約書,受任通知,請求書依頼者が誰に委任したか雇用労働条件通知書,給与台帳,社会保険資料使用者は誰か資産・債務契約書,登記,請求書,保証書名義人と実際の負担者は誰か預り金口座名義,事件別補助簿,入出金資料誰が誰のために保管しているか
2 民法上の組合である場合

共同事務所の契約が法的に民法上の組合に当たる場合,脱退,除名,組合員の持分計算及び組合の解散・清算について同法678条以下が関係する。
期間を定めない組合の脱退であっても,不利な時期にはやむを得ない事由がない限り脱退できないとされ,脱退者との計算は脱退時の組合財産の状況に従うとされている。

もっとも,共同事務所という表示だけで民法上の組合と断定することはできない。

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イタリアの弁護士費用保険-補償範囲・弁護士選択・訴訟管理(AI作成)

目次

第1 対象と結論1 調査報告と本記事の範囲2 法的費用保険と賠償責任保険の防御費用は別である第2 イタリア法上の法的費用保険1 民間保険法第173条の定義2 他の保険と組み合わせる場合の別建て3 保険金請求管理の三つの方式第3 弁護士選択の自由1 EU指令第201条と民間保険法第174条2 道路車両に関する例外3 弁護士選択と全額補償は同じではない第4 賠償責任保険の防御費用1 民法第1917条第3項の上限2 訴訟費用を三つに分ける3 保険者指定外の弁護士費用第5 市場と報酬基準1 令和6年の市場規模と個人向け比率2 弁護士報酬基準の令和4年改訂第6 日本の制度と比較するときの視点1 EU法上の権利を日本法へ直接移さない2 契約確認の順序3 関連記事第7 出典1 法令及びEU指令2 裁判例3 統計及び調査報告
第1 対象と結論
1 調査報告と本記事の範囲

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウムは,令和8年9月5日に開催された。
第4分科会の配布資料には,令和7年9月8日から同月12日までに実施されたミラノ及びローマの調査をまとめた「イタリア調査報告―イタリアの弁護士費用保険の現況について」が収録されている。
本記事は,この調査報告を出発点としつつ,令和8年9月6日現在のEU指令,イタリアの法令,破毀院及びEU司法裁判所の公表資料と照合して,制度の骨格を整理するものであり,AIを用いて作成した。

配布資料は,現地訪問で得られた実務情報を含む点で有用である一方,法令の要約には原文と一致しない箇所がある。
そこで,本記事では,法令又は裁判例に関する記述は一次資料を優先し,保険会社の運用に関する記述は配布資料に記載された訪問調査の結果として区別して扱う。

2 法的費用保険と賠償責任保険の防御費用は別である

イタリア法を読む際には,法的費用保険と,賠償責任保険に付随する防御費用とを最初に分ける必要がある。
両者はいずれも弁護士費用に関係するが,根拠条文,保護する利益及び限度額の考え方が異なる。

区分主な根拠基本的な機能法的費用保険EU指令2009/138/EC第198条以下,イタリア民間保険法第173条以下被保険者が権利を主張し,又は防御するための法的費用等を保険者が負担し,又は法的サービスを提供する。賠償責任保険の防御費用イタリア民法第1917条第3項第三者の損害賠償請求に対抗するため,被保険者が負担した費用を一定の範囲で保険者が負担する。

法的費用保険では,弁護士を選ぶ権利と,保険金請求を誰が管理するかが中心的な論点になる。
これに対し,賠償責任保険では,第三者請求への防御費用,敗訴者負担の訴訟費用及び保険者との訴訟費用を混同しないことが実務上重要である。

第2 イタリア法上の法的費用保険
1 民間保険法第173条の定義

イタリア民間保険法第173条は,法的費用保険を,保険料の支払と引換えに,司法手続又は裁判外手続において,被保険者の利益を確保するために必要な法的費用若しくは鑑定費用を負担し,又はその他のサービスを提供する契約として定めている。
具体的には,損害賠償請求を行う場面と,民事,刑事又は行政上の請求若しくは非難から防御する場面が含まれる。

この定義から分かるのは,法的費用保険が単なる弁護士報酬の立替制度ではないことである。
裁判外の交渉,専門家費用及び権利保護のためのサービスも,契約内容に応じて対象となり得る。

2 他の保険と組み合わせる場合の別建て

民間保険法第173条第2項は,法的費用の保障を他の保険と組み合わせる場合,保険証券の独立した部分に,保障内容,条件及び対応する保険料を記載するよう求めている。
これは,EU指令2009/138/EC第199条に対応する。

したがって,自動車保険等に法的費用保障が付帯している場合でも,賠償責任保障と法的費用保障を一体のものとして読んではならない。
保険証券では,対象となる紛争,免責事由,保険金額,自己負担,通知義務及び弁護士費用の算定方法を,法的費用保障の条項ごとに確認する必要がある。

3 保険金請求管理の三つの方式

民間保険法第164条は,法的費用保険に固有の利益相反を抑えるため,保険者が採用する管理方式を三つ示している。
その要旨は,①担当者を他部門から分離して保険者自身が管理する方式,②法的に別個の事業体に管理を委ねる方式,③保険事故が発生した時から,被保険者が弁護士その他の有資格者に自己の利益の防御を委ねることができる方式である。

ここでいう管理方式は,保険者の内部統制に関する仕組みである。
後述する司法手続等における弁護士選択の権利とは関係するものの,同じ制度ではないため,契約を検討するときは両者を別々に確認する必要がある。

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法律事務所の案件配分をどう測るか-件数・報酬額・主担当・顧客接点の監査(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 案件数だけでは配分の実態が分からない第3 最小限の案件配分台帳第4 米国のプロセス監査第5 英国・カナダ・オーストラリアの取組第6 法律事務所での監査手順第7 法的評価及び情報管理上の留意点第8 出典
第1 この記事の対象と結論

この記事は,法律事務所における案件配分を,担当件数だけでなく,報酬額,役割,案件難度,顧客接点及び評価への反映に分けて点検する方法を整理するものである。
調査基準日は令和8年9月6日であり,日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウム第8分科会資料並びに米国,英国,カナダ及びオーストラリアの公表資料を参照した。

結論として,案件配分の公平性又は育成効果は,担当件数だけでは判断できない。
高難度案件の主担当,重要顧客との直接接点,法廷又は交渉での中心的役割,報酬の大きい案件及び評価者との共同作業へ参加できるかが,経験,顧客基盤,評価,昇進及び将来の収入へ順次影響し得るからである。

したがって,法律事務所では,個別事件の機密を不必要に集約せず,配分過程に必要な最小限の情報を一定期間記録し,集計し,是正後に再測定する仕組みを設けるのが有用である。
本記事は任意の業務改善方法を示すものであり,日本法上の一律の法的義務又は違法性の判断基準を提示するものではない。

第2 案件数だけでは配分の実態が分からない

同じ10件を担当していても,定型的な補助作業が中心の場合と,高難度案件の主担当として顧客説明,交渉及び最終成果物を担う場合とでは,得られる経験及び将来の顧客基盤が異なる。
件数だけを均等にしても,案件価値,役割及び接点が偏っていれば,育成機会は均等にならない。

案件配分には少なくとも三つの段階がある。
①案件を誰に割り当てるか,②割り当てられた案件で誰が主担当及び顧客窓口を担うか,③得られた成果を評価,昇進及び報酬へどう反映するかである。

配分の入口だけでなく,案件中の役割及び案件後の評価まで追跡する必要がある。
また,育児,介護,時短勤務又は休暇による一時的な稼働制約を,重要案件から恒常的に外す理由へ転化させないよう,復帰後の再配分も点検対象に含めるべきである。

第3 最小限の案件配分台帳

案件配分台帳には,次の項目を記録するのが有用である。
①配分日,②業務分野,③難度区分,④見込報酬額又は価値区分,⑤主担当・共同担当・補助の別,⑥顧客との直接接点の有無,⑦法廷・交渉・会議での役割,⑧配分決定者,⑨配分理由,⑩案件終了後の評価及び報酬への反映である。

台帳の目的は,個々の担当者を順位付けすることではなく,案件配分の過程を検証できる状態にすることである。
自由記載を増やし過ぎると,事件情報及び主観的評価が不必要に蓄積するため,選択式の区分と短い理由欄を中心に設計するのが望ましい。

依頼者名,事件名,健康情報,家族情報その他の機微情報は,集計目的に不可欠でない限り台帳へ入れない。
個別案件を識別する必要がある場合も,限定された管理番号を用い,原事件記録へのアクセス権限と分析用台帳へのアクセス権限を分ける必要がある。

第4 米国のプロセス監査

米国労働統計局の2024年年次表によれば,フルタイムの賃金・給与労働者である弁護士の週当たり収入中央値は,女性が2,296ドル,男性が2,857ドルである。
この数値は自営業者を含まず,経験,勤務先,労働時間その他の要因を調整しない中央値であるため,性別による因果的効果を示すものではない。

NALPの2024年資料によれば,女性はアソシエイトの51.62%を占める一方,エクイティ・パートナーでは24.8%である。
これは各地位に占める構成比であり,特定年の昇進候補者に対する昇進率ではない。

Bias Interruptersは,格差の最終結果だけでなく,案件配分,顧客との接触,評価,昇進及び報酬という過程を測定し,具体的な中断策を導入した後に再測定する方法を提示している。
日本の法律事務所で参考にする場合も,海外の数値目標をそのまま移植するのではなく,自らの案件配分過程を可視化する考え方を取り入れるのが実務的である。

第5 英国・カナダ・オーストラリアの取組

英国のジェンダー賃金格差報告制度は,一定規模以上の雇用主に報告を求める法定制度である。
他方,Bar CouncilのFair Access to Work Guideは,バリスター業務における案件配分を公正にするための実務指針であり,両者は法的性質及び対象が異なる。

カナダ・オンタリオ州法律協会のJusticia Project及び事業開発ガイドは,女性法律家の定着,指導,リーダーシップ及び顧客開拓を支援する職能団体の取組である。
これらは,案件経験だけでなく,顧客関係の形成及び事業開発の機会がキャリアに影響することを示す実務資料である。

オーストラリア法律評議会のNational Model Gender Equitable Briefing Policyは,法令上の強制制度ではなく,賛同者が目標を掲げて報告する任意の制度である。
2024年から2025年の年次報告では,女性が受任したブリーフは32%,報酬は31%となり,両目標へ初めて到達したと報告されている。

もっとも,同報告では報告者数の低下も指摘されている。
目標達成の数値だけで制度全体の浸透又は因果的効果を判断せず,対象範囲及び報告率を併せて確認する必要がある。

第6 法律事務所での監査手順

第1段階では,3か月から6か月程度の基準期間を定め,案件配分台帳を作成する。
既存データが乏しい場合は,最初から精密な評価点を設けるのではなく,件数,価値区分,役割及び顧客接点から始めるのがよい。

第2段階では,担当者の属性又は勤務形態ごとに,件数,主担当率,高価値案件率,顧客接点率及び評価への反映を集計する。
人数が少ない区分では個人が推測されるため,区分の統合又は非公表化が必要である。

第3段階では,差が生じた配分場面を確認し,配分理由の明文化,共同担当の設定,顧客会議への同席,復帰後の優先配分又は配分担当者の複数化など,過程に対応した修正を行う。
結果だけを見て一律に件数を動かすのではなく,どの段階で機会が失われたかを特定する必要がある。

第4段階では,同じ指標を再測定し,案件の質,依頼者サービス及び担当者の負荷に副作用がないかも確認する。
改善策が新たな偏り又は過重負担を生じた場合は,配分基準を再調整する。

第7 法的評価及び情報管理上の留意点

海外の法定開示制度,職能団体の指針及び任意の目標制度は,法的性質が異なる。
日本の法律事務所に当然に適用される義務として紹介してはならず,個別の雇用関係,差別,個人情報及び守秘義務に関する法的評価が必要な場合は,現行法令及び具体的事実を別途確認する必要がある。

案件配分台帳の作成に当たり,依頼者及び事件関係者の情報を分析目的の範囲を超えて複製してはならない。
利用目的,項目,閲覧権限,保存期間及び廃棄方法を事前に定め,集計結果から個人又は事件を再識別できないかも点検する必要がある。

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女性弁護士の収入・働き方・育児-2025年日弁連追加アンケートで分かることと分からないこと(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 2025年追加アンケートの調査設計第3 出産・育児と収入及び働き方第4 法律事務所と企業内弁護士の比較第5 地域・事務所規模・取扱分野第6 因果関係とパネル討議の限界第7 弁護士業務に生かす確認事項第8 出典
第1 この記事の対象と結論

この記事は,日本弁護士連合会が令和8年9月5日に開催した第24回弁護士業務改革シンポジウムの第8分科会資料を基に,女性弁護士の収入,働き方及び出産・育児に関する2025年追加アンケートの読み方を整理するものである。
第8分科会は予定どおり実施されたが,本記事が確認対象とするのは公表された配布資料であり,当日の発言録ではない。

結論として,公表資料は,回答者標本の中で,性別,勤務形態,事務所規模,取扱分野,地域,労働時間,顧問先,経営上の地位及び業務中断等と収入又は所得との間に関連があることを示している。
他方で,回答率は2.9%であり,回答者の自己選択,欠測及び交絡の可能性があるため,表示された割合を弁護士全体の母数値とみなし,又は特定の要因が収入差を生じさせたと断定することはできない。

したがって,本資料は,「女性弁護士は一律に不利である」と結論づけるための資料ではなく,案件配分,顧客関係,休暇前後の引継ぎ,復帰後の担当,評価及び収入をどの順に点検すべきかを示す質問票として用いるのが適切である。

第2 2025年追加アンケートの調査設計

公表資料によれば,2025年追加アンケートの対象者は弁護士45,091人であり,回答者は1,307人,回答率は2.9%である(第8分科会資料5頁~53頁)。
ウェブ方式による任意回答であるため,仕事,収入又は育児に強い関心を持つ者が回答しやすかった可能性と,繁忙又は育児負担のため回答できなかった者がいた可能性の双方がある。

このような調査では,表に記載された回答者数を分母として回答者標本内の割合を計算することはできる。
もっとも,回答しなかった約97%の状況が同じであるとは限らず,単純な回答割合を弁護士全体の割合へそのまま一般化することはできない。

資料中の記述統計は,観測された差の所在を見つけるのに有用である。
しかし,収入,所得及び売上は異なる概念であり,表ごとに対象者,分母,無回答及び集計単位を確認する必要がある。

第3 出産・育児と収入及び働き方

資料番号1は,配偶者の職業,家事及び育児の分担,出産育児に伴う休暇の取得期間,労働時間並びに収入への影響を男女別に集計している(第8分科会資料5頁~53頁)。
回答者標本では,これらの項目について男女差が報告されている。

例えば,配偶者が弁護士である回答者について,「収入が下がった」とした者は女性155人中56人(36.1%)であったのに対し,男性は50人中0人であった。
これは差の大きい集計であるが,無回答の取扱いその他の分母が表だけでは十分に明らかでない箇所もあり,出産又は育児が収入を減少させた因果的効果を直接測定したものではない。

また,資料の設問名は「出産育児に伴う休暇」である。
休暇の法的根拠及び就業上の取扱いが回答者ごとに同一であることは確認できないため,これを法令上の「育児休業」と当然に読み替えてはならない。

実務上は,休暇制度の有無だけでなく,①休暇前に顧客関係を誰へ引き継ぐか,②進行中の案件をどの基準で再配分するか,③復帰後に主担当へ戻れるか,④評価期間をどのように調整するか,⑤収入又は報酬配分へどのように反映するかを確認する必要がある。

第4 法律事務所と企業内弁護士の比較

資料番号2は,法律事務所に所属する弁護士と企業内弁護士の働き方及び経済状態を比較し,事務所規模,労働時間,月額10万円以上の顧問先,経営上の地位及び業務中断等と収入又は所得との関係を検討している(第8分科会資料54頁~66頁)。
この分析からは,「法律事務所」又は「企業内」という勤務形態の名称だけで収入及び働き方が決まるのではなく,各勤務先の規模,地位及び業務設計を見る必要があることが分かる。

法律事務所については,個人の売上,事務所の売上,経費控除後の所得及び報酬分配後の手取りを区別する必要がある。
企業内弁護士についても,給与だけでなく,労働時間,役職,評価,配置,福利厚生及び中断後の処遇を併せて確認しなければならない。

公表資料には分析に用いたすべての回帰表及び欠測処理の詳細が収録されているわけではない。
したがって,勤務形態ごとの平均差が示されていても,勤務形態そのものの効果と断定することはできない。

第5 地域・事務所規模・取扱分野

資料番号3は,地域,取扱分野,事務所規模及び修習期等と収入又は所得との関係を分析している(第8分科会資料67頁~76頁)。
単純集計でみられる東京又は大阪と他地域との差の一部は,事務所規模及び取扱分野等を考慮すると小さくなると報告されている。

この結果は,地域差が全くないことを意味しない。
所在地だけで所得を説明するのではなく,その地域で扱う依頼者層,案件単価,事件数,顧問先,事務所規模,経費,経験及び業務時間を分けて検討すべきことを示している。

また,取扱分野と所得との関連には,案件の需要及び単価だけでなく,その分野を選択できる経歴,紹介経路,事務所内の地位及び長時間労働が影響している可能性がある。
特定分野を選択すれば所得が増えるという職業選択上の因果関係へ直ちに読み替えることはできない。

第6 因果関係とパネル討議の限界

アンケートは,ある時点の回答を中心とする観察調査である。
例えば,長時間労働と高収入に関連があっても,長時間労働が高収入を生んだのか,高収入の案件が長時間労働を必要としたのか,第三の要因が双方に影響したのかは,単純集計だけでは区別できない。

資料番号6(第8分科会資料98頁~101頁)に収録されているのは,パネルディスカッションの登壇者及び討議テーマである。
当日の発言録,合意内容,結論又は具体的提言は収録されていないため,第8分科会が予定どおり実施されたことをもって,パネルが特定の政策を採択したと認定することはできない。

本記事では,配布資料に記載された調査結果を「資料の記載」として扱い,そこから導く実務上の点検項目を「本記事の整理」として区別している。
法令上の義務又は裁判例上の規範を示す記事ではなく,本記事の作成に当たり判例秘書及び裁判所ウェブサイトで裏付けるべき裁判例は用いていない。

第7 弁護士業務に生かす確認事項

個々の法律事務所又は勤務先を点検する場合は,次の事項を記録するのが有用である。
①案件の配分件数及び報酬見込額,②主担当又は補助担当の別,③顧客との直接接点,④困難案件又は高評価案件への参加,⑤休暇前後の引継ぎ,⑥復帰後の案件配分,⑦評価及び昇進,⑧収入又は報酬配分への反映である。

集計は,個人の印象だけでなく,一定期間の実績に基づいて行う必要がある。
他方で,件名,依頼者名及び機微な事件情報を不必要に共有せず,目的に必要な最小限の項目へ限定しなければならない。

家族との時間を確保するための受任・勤務設計については,弁護士が家族との時間を確保するための業務設計-専門分野より重要な8つの確認事項(AI作成)を参照されたい。
収入と依頼者類型,事件価値及び支払原資の関係については,弁護士の財力は依頼人と事件の財力を反映するか(AI作成)を参照されたい。

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事務職員の生成AI利用と弁護士職務基本規程19条-ルールを定めず個人判断に委ねている事務所が最多という調査結果を踏まえて(AI作成)

目次

第1 調査結果-ルールを定めず個人判断に委ねている事務所が最多である1 アンケート調査の概要2 母数が設問ごとに異なる3 使わせている事務所ほどルールがある第2 弁護士職務基本規程19条1 条文2 19条は努力目標ではなく義務規定である3 指導監督の内容第3 生成AIの利用は19条の問題になるか1 生成AIそれ自体は19条の対象ではない2 事務職員に使わせる場合は19条の対象になる3 「秘密を漏らし」への該当性第4 共同事務所の場合-55条は努力目標にとどまる第5 指導監督として何をするか第6 違反事例の調べ方第7 関連記事出典・参考資料
第1 調査結果-ルールを定めず個人判断に委ねている事務所が最多である
1 アンケート調査の概要

2026年9月5日に福岡市で開催された第24回弁護士業務改革シンポジウム第2分科会の配布資料のうち,資料2-1は,日本弁護士連合会弁護士業務改革委員会事務職員関連小委員会による「事務職員と生成AIに関するアンケート調査 報告書」である。
調査は2026年3月23日から同年4月27日までの間に行われ,有効回答は223件である。
配布資料は,日本弁護士連合会のウェブサイトで公開されている。

この調査の対象は「主に事務職員を雇用する会員,または生成AIの利用に関心のある会員」である。
したがって全弁護士の縮図ではなく,生成AIへの関心が高い層に偏った母集団である。
報告書自身がこの限定を明示しているから,引用する際も「事務職員を雇用する会員又は生成AIに関心のある会員223名の回答」という限定を付す必要がある。

事務所における生成AIの導入状況は,弁護士と事務職員がともに利用しているものが26.7パーセント,弁護士のみが利用しているものが43.4パーセント,利用していないものが29.4パーセント,利用を禁止しているものが0.5パーセントである(回答221件)。
事務所の方針については,「ルールを定めておらず個人の判断に委ねている」が31.8パーセントで最多であった(回答151件)。
研修又はガイドラインについては,策定済みが10.1パーセント,検討中が33.1パーセント,予定なしが41.2パーセントである(回答148件)。

2 母数が設問ごとに異なる

この報告書を引用するときに最も注意を要するのは,母数が設問ごとに異なることである。
有効回答223件がそのまま母数になるのは一部の設問だけであり,事務所の方針を尋ねた設問の母数は151件,研修及びガイドラインを尋ねた設問の母数は148件である。
報告書は添付資料2で設問ごとの回答数を開示しているから報告書自体に不備はないが,本文のパーセントだけを取り出して「223名のうち何パーセント」と書けば誤りになる。
本記事では,数値を挙げるときに母数を併記する。

3 使わせている事務所ほどルールがある

クロス集計によれば,事務職員にも使わせている57件では研修又はガイドラインの策定済みが24.6パーセントである一方,弁護士のみが利用している91件では1.1パーセント(1件)にとどまる。
報告書は,ルールを定めていない状態を,判断自体がなされていない状態にあると評価している。

もっとも,報告書は,この状態について弁護士職務基本規程上の評価には触れていない。
規程上どう位置付けられるかは,事務職員に生成AIを使わせるかどうかを決める上で避けられない論点である。
本記事では,この点を同規程19条から検討する。

第2 弁護士職務基本規程19条
1 条文

弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号。改正平成26年12月5日,令和3年6月11日)19条は,次のとおり定める。
日本弁護士連合会のウェブサイトに規程全文のPDFが掲載されており,認証を要せずに参照することができる。

「(事務職員等の指導監督)
第十九条 弁護士は、事務職員、司法修習生その他の自らの職務に関与させた者が、その者の業務に関し違法若しくは不当な行為に及び、又はその法律事務所の業務に関して知り得た秘密を漏らし、若しくは利用することのないように指導及び監督をしなければならない。」

2 19条は努力目標ではなく義務規定である

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弁護士が家族との時間を確保するための業務設計-専門分野より重要な8つの確認事項(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 専門分野の名称だけでは決まらない理由1 2025年日弁連追加アンケートが示す関連第3 専門分野より重要な8つの確認事項1 外部期限の固定度と突発性2 夜間・休日対応の実質的必要性3 依頼者の応答期待4 本人拘束の強さ5 共同処理と代替可能性6 受任量の制御可能性7 繁忙期と収入構造8 長期的な適合性第4 業務分野を比較するときの見方第5 受任の三段階で行う業務設計1 受任前2 受任時3 受任後第6 勤務先又は共同事務所を選ぶときの確認事項1 制度,運用,評価及び収入を分ける2 弁護士会資料を質問票として使う第7 弁護士の職責との関係第8 実行用チェックリスト第9 出典・参考資料1 法令2 職能団体の規程及び正式な指針3 職能団体の委員会資料及び機関誌記事4 その他の公開資料
第1 この記事の対象と結論

この記事は,家族との時間を確保したい弁護士が,専門分野,勤務先又は受任方針を検討する際の確認事項を整理するものである。
調査基準日は令和8年9月6日であり,同日時点の弁護士法,平成26年2月5日改正反映版として法務省に掲載された弁護士職務基本規程,平成31年2月に公表された東京弁護士会のガイドライン及び令和8年9月2日付けの公開回答等を参照した。

結論として,家族との時間を確保できるかどうかは,「企業法務」,「一般民事」,「家事」又は「刑事」といった専門分野の名称だけでは決まらない。
同じ分野でも,期限の突発性,夜間・休日対応の必要性,依頼者の応答期待,本人拘束,代替体制,受任量,収入構造及び長期的な適合性によって,時間の予測可能性は大きく異なるからである。

家族時間の確保と,依頼者に質の高い法的サービスを提供することは,二者択一ではない。
もっとも,受任後に家族の予定を理由として期限管理又は必要な連絡を緩めることはできないため,受任前の選別,受任時の期待調整及び受任後の代替体制を一体として設計する必要がある。

第2 専門分野の名称だけでは決まらない理由

栗原宏幸弁護士は,令和8年9月2日付けのnote質問箱において,大手法律事務所が扱う重要案件ではタイムリーな助言が求められるため,私生活の時間を十分に確保することは容易でないとの趣旨を述べている。
他方で,同回答は,時短勤務又は育児休業の制度を利用する若手弁護士が多く,その利用を否定的に見る雰囲気はないという所属事務所での経験にも言及し,専門分野は,面白さ,達成感及び社会貢献を重視して選ぶべきであるとの意見を示している。

この回答は,大手法律事務所における業務と制度運用を考える出発点になる。
ただし,一人の弁護士による経験及び意見であり,弁護士業界全体の統計,すべての大手法律事務所の制度又は法的義務を証明する資料ではない。

東京弁護士会が平成31年2月に理事者会の承認を受けて公表した「ワークライフバランスガイドライン」は,所属弁護士のライフステージに応じた働き方の尊重,休業及び復帰の支援,制度及び処遇の説明,不利益取扱い等の防止並びにリモートワーク等による業務効率化を掲げている。
同ガイドラインは法令ではなく,東京弁護士会が会員の法律事務所に示した六つの指針であるが,制度の有無だけでなく,説明,運用,復帰後の処遇及び業務体制まで確認すべきことを示している。

1 2025年日弁連追加アンケートが示す関連

日本弁護士連合会の第24回弁護士業務改革シンポジウム第8分科会資料に収録された2025年追加アンケートは,弁護士45,091人を対象とし,1,307人が回答したものであり,回答率は2.9%である(同資料5頁~53頁)。
回答者標本では,家事及び育児の分担,出産育児に伴う休暇の取得期間,労働時間並びに収入の減少について男女差が報告されている。

例えば,配偶者が弁護士である回答者について,「収入が下がった」とした者は女性155人中56人(36.1%)であったのに対し,男性は50人中0人であった。
もっとも,これは回答者標本内の集計であり,無回答の取扱いその他の母数が表だけでは十分に明らかでない箇所もあるため,弁護士全体の割合又は育児が収入を減少させた因果的効果として扱うことはできない。

また,アンケートの設問名は「出産育児に伴う休暇」である。
この語を,法令上の育児休業と当然に同一視してはならない。
実務上は,制度の名称だけでなく,顧客関係の引継ぎ,案件配分,復帰後の担当,評価及び収入への影響を一体として確認する必要がある。

したがって,専門分野を時間の確保しやすさだけで順位付けするのではなく,個々の案件及び事務所について,次の八つの要素を確認するのが適切である。

第3 専門分野より重要な8つの確認事項
1 外部期限の固定度と突発性

最初に確認すべきなのは,仕事量の多寡よりも,自分で時間を動かせる範囲である。
裁判所の期日,法定期限,取引実行日,取締役会日程又は当局対応など,第三者が決める期限が多いほど,家族の予定との衝突が起こりやすい。

①期限は何日前に判明するか。
②期限を動かせる余地があるか。
③突発案件はどの程度の頻度で発生するか。
④突発案件が重なったときに,新規受任又は追加依頼を止められるか。

2 夜間・休日対応の実質的必要性

夜間又は休日の連絡件数だけでなく,応答が翌営業日になった場合に,依頼者の権利又は案件価値が損なわれるかを確認する必要がある。
真に即時対応が必要な案件と,依頼者又は事務所内の慣行によって即時回答が期待されている案件とを区別すべきである。

緊急の定義を決めないまま携帯電話とメールを常時確認する運用は,短い作業時間以上に家族との時間を分断する。
連絡可能時間,緊急窓口及び翌営業日に回す基準まで定めることが重要である。

3 依頼者の応答期待

依頼者が期待する回答時間は,業務分野に当然に付随するものではなく,受任時の説明,担当者の従前の対応及び事務所の方針によっても形成される。
通常相談の回答期限,緊急の定義,夜間・休日の連絡方法及び担当者不在時の連絡先を受任時に明確にすれば,必要な応答と過剰な常時接続を区別しやすい。

確認すべきなのは,平均的な返信速度ではなく,どの事項を,誰が,いつまでに判断しなければならないかである。
依頼者側にも資料提出又は意思決定の期限を説明し,相互の予定を可視化する必要がある。

4 本人拘束の強さ

弁護士本人の出席又は即時判断が不可欠な場面が多いほど,時間の裁量は小さくなる。
期日,接見,現地対応,交渉,会議及び証人尋問について,本人でなければならない場面と,共同担当者,事務職員又はオンライン対応によって分担できる場面とを分けて確認する必要がある。

移動を伴う業務では,執務時間だけでなく,移動時間,待機時間及び予定変更の可能性も見積もるべきである。
オンライン化は移動を減らす手段にはなるが,連絡時間を無制限に広げる運用にすれば,時間の確保にはつながらない。

5 共同処理と代替可能性

複数担当者を形式上置くだけでは,実際の代替体制にはならない。
共同担当者が,経過,次の期限,依頼者の意向及び未処理事項を直ちに把握できるように,記録,予定表,タスクリスト及びエスカレーション基準を共有する必要がある。

代替可能性は,「相談できる人がいるか」ではなく,不在者に追加確認をしなくても必要な初動をとれるかによって点検すべきである。
秘密保持及び利益相反に配慮しつつ,アクセス権限と連絡先を平時に整えておく必要がある。

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弁護士費用保険とLAC制度の違い―ミカタ・自動車保険特約・ADRの課題(AI作成)

目次

第1 LAC制度は弁護士費用保険そのものではない

1 LAC制度の役割
2 紹介案件と選任済み案件
3 LAC基準がすべての商品に共通するわけではない

第2 弁護士保険ミカタは個別の保険商品である

1 ミカタとLAC制度との接点は弁護士紹介等である
2 待機期間と原因事実の発生時期
3 ミカタ自身との紛争等に関する免責
4 基準弁護士費用,事前承認及び直接送金

第3 自動車保険の弁護士費用特約は各社約款を確認する

1 300万円の表示だけでは補償額を決められない
2 保険会社独自基準とLAC利用時の基準を分ける
3 委任前の承認と関連記事

第4 ADRは相手方と争点に応じて選ぶ

1 日弁連の弁護士費用保険ADR

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日弁連の司法シンポジウムの歴史――第1回から第30回までの開催一覧(AI作成)

第1 1973年に始まった司法シンポジウム
第2 第1回から第30回までの開催一覧
第3 開催間隔・開催地・参加方法の変化
1 開催年の並びと直近の間隔
2 地方開催と会場
3 遠隔参加の広がり

第4 テーマからたどる議論の変遷
1 裁判の担い手と弁護士自治――第1回~第9回
2 裁判を受ける権利と市民参加――第10回~第18回
3 弁護士任官と裁判員制度の実践――第19回~第23回
4 震災復興・利用者・司法の基盤――第24回~第28回
5 IT・AIを含む司法の再検討――第29回・第30回

第5 司法改革との接点と成果の継承
1 国会質疑・裁判所の検討資料での利用
2 議論の継続と成果を評価する際の限界

第6 関連記事
第7 出典・参考資料
1 日弁連の開催一覧・開催報告
2 国会会議録・裁判所の資料目録
3 団体の編纂史
4 個人の論評

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日弁連の弁護士業務改革シンポジウムの歴史――1985年の創設から第24回までの全24回一覧(AI作成)

第1 弁護士業務改革シンポジウムとは何か
第2 「弁護士業務対策シンポジウム」から「弁護士業務改革シンポジウム」へ
1 名称の変遷
2 開催頻度の変遷

第3 全24回の一覧
第4 分科会テーマにみる時代ごとの関心の推移
1 市民アクセス期(第1回~第6回,1985年~1989年)
2 弁護士偏在・多様な事務所像期(第7回~第11回,1991年~1999年)
3 IT化・地域展開期(第12回~第17回,2001年~2011年)
4 多様化・専門特化期(第18回~第21回,2013年~2019年)
5 AI・テクノロジー期(第22回~第24回,2022年~2026年)

第5 繰り返し取り上げられてきた分野
1 弁護士費用保険(権利保護保険)
2 民事信託
3 スポーツ・エンターテインメント法務
4 事務職員の活用・育成
5 地方公共団体との連携

第6 直近の第24回と今後
出典

第1 弁護士業務改革シンポジウムとは何か

弁護士業務改革シンポジウムは,日本弁護士連合会(日弁連)が主催する,弁護士業務の改善・改革をテーマとする全国規模のシンポジウムである。
おおむね2年に1度開催されており,弁護士業務改革委員会その他各種委員会の企画により,多数の分科会・ワークショップが行われる。
2026年9月5日開催の第24回(福岡市)まで,1985年の創設から41年間で24回を数える。

主催母体である弁護士業務改革委員会について,日弁連は「弁護士業務の在り方は国民生活にも大きな影響があります」との認識を示した上で,「多角的な視点から弁護士業務をよりよいものにするよう研究し,弁護士業務の改善・改革に取り組んでいます」と説明している。

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第24回弁護士業務改革シンポジウム(2026年9月5日・福岡)の分科会一覧――生成AIをめぐる3企画を中心に(AI作成)

第1 シンポジウムの概要
1 開催日時・場所・テーマ
2 弁護士業務改革シンポジウムとは何か
3 プログラムの構成

第2 生成AIに関する3つの企画
1 第2分科会「業務効率化の最前線:AIが変える弁護士と事務職員の実務」
2 第7分科会「生成AI時代のスポーツ・エンターテインメントとパブリシティ権」
3 ワークショップD「体験しよう!~生成AIを用いた文書作成と工夫~」

第3 その他の分科会
1 第1分科会「民事信託を普段使いから更なる高みへ」
2 第3分科会「弁護士が支援する『食と農』」
3 第4分科会「弁護士費用保険(権利保護保険)の課題」
4 第5分科会「中規模法律事務所の経営課題に切り込む!」
5 第6分科会「地方公共団体における第三者調査委員会の活用について」
6 第8分科会「弁護士業務の多様なキャリアを考える」

第4 会員限定のワークショップA~C
1 ワークショップA「公益通報の外部窓口を務める弁護士の『ここだけ』の情報交換」
2 ワークショップB「行政事件をやってみよう!」
3 ワークショップC「弁護士過疎地への赴任のススメ」

第5 過去のシンポジウムにみるAIというテーマの位置付け
第6 開催前資料に掲載された大阪弁護士会所属の登壇者
第7 開催後に公表された資料
出典

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弁護士の職務上請求用紙の購入・保管・紛失対応-用紙管理,返還及び懲戒リスク(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 この記事が扱う用紙管理の範囲

2 購入,保管,紛失及び返還の基本線

第2 職務上請求用紙を購入するときの確認事項

1 購入先,価格及び本人確認は所属弁護士会で確認する

2 受領時に管理台帳へ登録する

第3 未使用用紙を保管・持出しするときの管理

1 規則が直接定める禁止事項と管理義務

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弁護士費用特約の保険金と源泉徴収――所得税法204条の解釈が分かれる理由(AI作成)

第1 自動車保険の弁護士費用特約と源泉徴収の分岐1 弁護士費用特約とは2 保険会社によって源泉徴収の有無が分かれていること第2 源泉徴収義務の根拠となる規定1 所得税法6条及び204条1項2号2 個人が支払う場合の適用除外と保険会社への不適用第3 実費・立替金の取扱い1 名目ではなく実質で判断される原則2 交通費・宿泊費の直接払いによる除外3 登録免許税・手数料等による除外第4 保険会社は「支払をする者」に当たるか1 委任契約の不存在を理由とする不要説2 支払の実質に着目する必要説3 類似の場面における通達の考え方第5 弁護士法人として受任する場合第6 源泉徴収された場合に弁護士に生じる効果1 確定申告における税額控除2 実務上の対応第7 残された不確実な点出典1 法令2 法令解釈通達3 所管行政機関の解説・Q&A4 文献等
5 裁判例

本稿は,自動車保険等の弁護士費用特約に基づき,保険会社が被保険者の依頼した弁護士へ弁護士報酬及び実費を保険金として支払う場面について,所得税法204条の源泉徴収義務の要否を扱う。
弁護士費用特約の内容,利用できる者及び利用できる手続の一般的な説明は,別稿「弁護士費用特約」(弁護士山中理司の交通事故相談HP)に譲る。

本稿が扱うのは,同特約に基づく保険金の支払実務のうち,保険会社が弁護士へ直接支払う場合の源泉徴収の要否について,保険会社間で対応が分かれている点に限られる。

第1 自動車保険の弁護士費用特約と源泉徴収の分岐

1 弁護士費用特約とは

弁護士費用特約は,自動車保険等の特約であり,被保険者が交通事故の加害者に対する損害賠償請求を弁護士に委任する場合の法律相談費用,弁護士報酬及び実費を,保険会社が保険金として負担するものである。
弁護士費用特約を利用する場合,保険会社が被保険者の依頼した弁護士へ直接,弁護士報酬相当額を支払う運用(以下「代理払い」という。)が広く行われている。

直接払いと初期費用の負担,補償範囲及び支払紛争への対応という制度上の課題は,別稿「弁護士費用保険(権利保護保険)の課題(AI作成)」で扱っている。

2 保険会社によって源泉徴収の有無が分かれていること

代理払いに際して,保険会社が所得税及び復興特別所得税を源泉徴収した上で支払う場合と,源泉徴収をせずに全額を支払う場合とがある。
高松総合法律事務所のブログ記事「弁護士費用補償特約による支払いと源泉徴収」(2018年5月16日公開)は,当時の認識として,東京海上日動火災保険株式会社は源泉徴収をしておらず,その他の保険会社は源泉徴収をしている(源泉徴収を前提とした請求書の作成を求められる)ことを紹介している。
同記事の公開から本稿執筆時点(令和8年8月28日)までに8年余りが経過しており,この記述は各社の現在の取扱いを保証するものではないから,具体的な事案では,当該保険会社に個別に確認する必要がある。
もっとも,この対応の分かれ自体は,所得税法204条の解釈上の一点に起因するものであるから,以下ではその解釈上の問題を整理する。

第2 源泉徴収義務の根拠となる規定

1 所得税法6条及び204条1項2号

源泉徴収義務の一般的な根拠規定は所得税法6条であり,同条は「給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は,この法律により,その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある」と定める。

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弁護士の財力は依頼人と事件の財力を反映するか(AI作成)

第1 結論

第2 「財力」という言葉には複数の意味がある

1 弁護士の財力
2 依頼人の財力
3 事件の財力

第3 弁護士の所得と依頼者類型に関する公開資料

1 公開統計が測定するのは収入及び所得である
2 依頼者類型と所得との相関
3 相関関係を因果関係へ広げない
4 2025年追加アンケートが示す追加要因

第4 依頼人又は事件の経済力が弁護士所得へ反映する経路

1 経済的利益は報酬を決める要素の一つである
2 事件単価だけでなく件数及び回収可能性も影響する
3 本人以外の支払原資がある

第5 交通事故では賠償原資と弁護士費用原資を分ける

1 加害者側保険は主として賠償金の原資となる
2 被害者側の弁護士費用には別の原資がある

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非弁提携業者による弁護士の取込みから撤収まで(AI作成)

第1 この記事が扱う非弁提携

1 非弁行為と非弁提携の違い
2 本記事でいう「取込み」と「撤収」
3 先に示す結論

第2 弁護士を取り込む入口

1 標的となりやすい状況を探す
2 公益と適法な経営支援の外観を作る
3 収入保証と既成事実を組み合わせる

第3 法律事務所を支配する四つの手段

1 顧客接点の支配
2 人員と事件処理の支配
3 資金の支配
4 情報の支配

第4 弁護士が離脱しにくくなる仕組み

1 止めるほど債務が表面化する
2 アカウントと記録への依存が強まる
3 依頼者保護の責任感が逆に利用される

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AI活用に伴う弁護士法72条見直しの動き――令和8年8月21日の新ガイドラインと判例・行政解釈の到達点(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 見直しの現在地

第2 弁護士法72条の条文と罰則
第3 最高裁判例が示した判断枠組み

1 72条に違反した行為の私法上の効力――平成29年判決
2 ただし書と隣接士業――平成28年判決

第4 法務省の行政解釈

1 令和5年8月のガイドライン
2 グレーゾーン解消制度の回答
3 令和7年8月4日の回答と萎縮

第5 規制改革推進会議の議論と閣議決定

1 令和8年1月9日のワーキング・グループ
2 中間答申
3 令和8年7月21日の規制改革実施計画

第6 法務省のタスクフォースと自由民主党の提言

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弁護士バッジを紛失したときの再交付手続(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 紛失直後にすること

1 所属弁護士会への連絡と再交付申請
2 警察への遺失届又は盗難の申告

第3 官報公告と記章の再交付

1 官報公告と紛失届受理証明書
2 銀製記章と金製記章の再交付費用
3 再交付される記章

第4 紛失した記章が見つかった場合

1 紛失届を取り下げられる期間
2 発見した記章の返還

第5 再交付を待つ間の身分証明

1 記章の携帯と身分証明書による代替
2 紛失届受理証明書の限界

第6 毀損等との区別と災害時の費用免除

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収入印紙と弁護士業務――受取書,契約書及び訴訟費用における取扱い(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 「収入印紙」が示す複数の法律関係2 検討の対象と時点第2 印紙税法における受取書と契約書の扱い1 課税文書と納税義務者2 弁護士が作成する受取書――「営業に関しない受取書」による非課税3 事務所職員が作成する受取書4 弁護士法人が作成する受取書5 委任契約書,訴訟委任状及び顧問契約書の扱い6 電子契約と印紙税7 過怠税及び罰則8 過誤納の還付及び収入印紙の交換第3 平成17年答弁書にみる非課税の位置づけと限界1 弁護士等の受取書が非課税とされている理由2 政府が留保した見直しの可能性第4 訴訟費用としての収入印紙1 印紙税とは別の法体系であること2 令和8年5月21日の民事訴訟IT化全面施行による変化3 訴訟上の救助による猶予4 過納還付及び再使用証明第5 登録免許税及びその他の場面における収入印紙第6 印紙税法の解釈が争われた裁判例1 「受取書」の意義と仮受取書の二重課税2 課税文書該当性は文書の実質で判断される出典・参考資料1 法令2 通達・行政資料3 国会答弁4 裁判例

第1 この記事が扱う対象

1 「収入印紙」が示す複数の法律関係

「収入印紙」という語は,弁護士の実務において複数の異なる法律関係の納付手段を指して用いられる。第一は,印紙税法(昭和42年法律第23号)が定める印紙税を,契約書や受取書などの課税文書に貼り付けて納付する場合である。第二は,民事訴訟費用等に関する法律(昭和46年法律第40号)が定める訴え提起の手数料その他の裁判所手数料を,収入印紙で納付する場合である。第三は,登録免許税法(昭和42年法律第35号)が定める登録免許税を,一定額以下の登記等について収入印紙で納付する場合である。これらは課税又は徴収の根拠法令,納税義務者若しくは納付義務者,及び現在の主たる納付方法がそれぞれ異なり,同じ「収入印紙」という証票を用いる点で共通するにすぎない。なお,収入印紙という証票の様式自体は,印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和23年法律第142号)2条2項に基づき財務大臣が定めている。以下では,このうち弁護士の日常業務に最も関係が深い印紙税法上の取扱いを中心に整理した上で,訴訟費用及び登録免許税における取扱いとの違いを確認する。

2 検討の対象と時点

本記事が対象とするのは,2026年8月現在で確認できる現行の印紙税法及び関連通達の解釈,並びに同時点までに施行された民事訴訟法改正(令和4年法律第48号)による訴訟費用実務の変化である。印紙税の課税文書該当性は,個別の文書の記載内容及び作成の実態によって結論が左右され得るため,具体的な文書が課税文書に当たるかどうかについては,税務署又は税理士に個別に確認することが望ましい。本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり,特定の文書又は事案についての法的助言ではない。

第2 印紙税法における受取書と契約書の扱い

1 課税文書と納税義務者

印紙税法は,同法別表第一の課税物件欄に掲げる文書に印紙税を課すこととしており(同法2条),課税文書の作成者が納税義務者となる(同法3条1項)。一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には,その全員が連帯して納税義務を負う(同条2項)。国税庁の印紙税法基本通達第7節(作成者等)は,委任に基づく代理人が代理人名義で作成する課税文書については,委任者の名義が表示されていても,当該代理人を作成者として扱うとしている(同通達43条1項)。弁護士が依頼者の代理人として文書を作成する場面では,誰が印紙税の納税義務者になるかを判断する上で,この規律を確認する必要がある。

2 弁護士が作成する受取書――「営業に関しない受取書」による非課税

印紙税法別表第一第17号は金銭又は有価証券の受取書を課税文書としているが,同号の非課税物件欄2は「営業に関しない受取書」を非課税としている。国税庁の印紙税法基本通達は,別表第一第17号文書26として,「弁護士,弁理士,公認会計士,計理士,司法書士,行政書士,税理士,中小企業診断士,不動産鑑定士,土地家屋調査士,建築士,設計士,海事代理士,技術士,社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は,営業に関しない受取書として取り扱う」と定めている。国税庁の質疑応答事例「営業の意義」も,商法上の商行為に該当しない医師や弁護士等の行為は「営業」に当たらないと説明している。したがって,弁護士個人が着手金や報酬金を受け取った際に作成する領収書は,記載金額にかかわらず印紙税が課されない。同号の非課税物件欄1は,記載金額が5万円未満の受取書を一般に非課税としているが,弁護士等の受取書はこの金額基準にかかわらず,営業に関しないものとして非課税となる。

3 事務所職員が作成する受取書

弁護士事務所が職員に金銭を貸し付け,職員がその受領に際して受取書を作成する場合にも,同じ非課税の枠組みが適用される。国税庁の質疑応答事例「従業員から交付を受ける受取書」は,「会社と従業員の関係は,消費貸借契約に基づく私法上の関係となり,同一法人内で作成する事務の整理上の文書とは認められませんから不課税文書とはなりません。しかしながら,従業員は,給与所得者であり,印紙税法上の『営業者』には当たりませんので,従業員の作成する受取書は,営業に関しないものとして非課税になります」と説明している(根拠=印紙税法基本通達59条)。同事例は,受取書自体は非課税となる一方,事務所と職員との間で作成する消費貸借契約書や借用証書は第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)に該当し,記載金額が1万円以上であれば課税される旨も注記しており,受取書の非課税と契約書の課税とを混同しないよう注意を要する。

4 弁護士法人が作成する受取書

一方,国税庁の質疑応答事例は,税理士法人が作成する受取書及び監査法人が作成する受取書については,出資者以外の者に対するものは課税されるとしている。その理由として示されているのは,税理士法48条の21第1項及び公認会計士法34条の22第1項が,いずれも会社法621条(利益の配当)の規定を準用しており,社員の利益配当を認める法人は,定款で配当を行わない旨を定めていても,別表第一第17号文書の非課税物件欄2かっこ書にいう「法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができることとなっているもの」に該当し,出資者以外の者に対する受取書は非課税の対象から外れる,というものである。

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弁護士法5条に基づく研修に関する日弁連の報告文書

1 弁護士法5条に基づく研修に関する日弁連の報告文書を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和元年度,令和2年度,令和3年度,令和4年度,
令和5年度,令和6年度,令和7年度,
(平成時代)
平成30年度,
* 「弁護士法第5条の規定による弁護士業務についての研修について(令和7年11月25日付の日弁連会長の報告)」といったファイル名であり,報告事項1ないし報告事項5,及び参考資料を含んだものです。

2 以下の記事も参照してください。
・ 平成16年4月1日創設の,弁護士資格認定制度

弁護士となる資格付与のための指定研修に関する文書

1 弁護士となる資格付与のための指定研修(毎年3月頃の日弁連の文書)を以下のとおり掲載しています(「弁護士法第5条の規定による研修の申請について(令和5年3月8日付の日弁連会長の文書)」といったファイル名です。)。
平成30年度,平成31年度,令和 2年度,
令和 3年度,令和 4年度,令和 5年度,
令和 6年度,令和 7年度,令和 8年度,

2 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士となる資格付与のための指定研修

弁護士と税理士の賠償責任の徹底比較(AI作成)

第1 この記事の対象
第2 出発点は同じ——委任契約上の善管注意義務

1 民法の規律
2 使命規定の違い
3 説明義務を基礎づける規範がどこにあるか

第3 義務違反の認定——弁護士側の到達点

1 最判平成25年4月16日の事案
2 判示——承諾があっても免責されない
3 補足意見が描いた説明・報告義務の全体像
4 射程

第4 義務違反の認定——税理士側に特徴的な類型

1 税制選択上の過誤
2 期限管理という構造

第5 損害と因果関係——最も大きな違い

1 弁護士——仮定的判断の壁
2 税理士——税額差という計算問題
3 更正の請求で取り戻せるかが損害の成否を左右する

(続きを読む...)弁護士と税理士の賠償責任の徹底比較(AI作成)

日弁連「法科大学院を中核とする法曹養成制度の20年」の誤記(AI作成)

日本弁護士連合会が編集する『弁護士白書2025年版』(2026年2月発行)は,特集1として「法科大学院を中核とする法曹養成制度の20年」を収める。制度創設から20年の統計と経過を一覧できる資料であり,弁護士が意見書,講演又は寄稿で法曹養成の現状を論じる際に引用されることが多い。[資1]

もっとも,この特集には,出典として掲げられた原資料の数値と一致しない箇所,政府決定の名称が原文と異なる箇所,及び図表の基準年度が本文と食い違う箇所が含まれている。本記事は,これらを文部科学省及び法務省の原資料と1件ずつ照合して特定し,正しい数値・名称を示すとともに,二次統計を引用するときの確認手順を整理する。特集の意義や制度評価そのものを論じるものではない。

目次

第1 本記事の対象と射程
第2 本件特集の性格と検証の方法

1 弁護士白書と本特集の位置付け
2 検証の枠組み

第3 統計数値の誤記

1 標準修業年限修了率の推移(資料 特1-5-5)

(1) 白書が示す数値とその意味
(2) 文部科学省原資料との相違

2 既修者・未修者別の修了率(資料 特1-5-6-2)

(1) 白書が示す数値とその意味
(2) 文部科学省原資料との相違

3 統計数値を引用する際の留意点

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『日弁連七十年』の誤記――記念誌の法令引用を一次資料で検証する(AI作成)

本記事は,法令の書誌情報(法令名,法律番号,制定年,条番号)や暦の対応関係が,公刊された権威ある文献であっても誤って記載され得ることを,具体例に即して確認するものである。実務家は書面において法令や裁判例を引用するが,二次資料の記載をそのまま引き写す(孫引きする)と,元資料の誤りをそのまま再生産してしまう。

ここでは,日本弁護士連合会の創立70周年記念誌『日弁連七十年』(2019年)の記載のうち,「司法制度改革の課題に関する取組」における法令引用に関する2箇所(78頁及び83頁)を取り上げ,一次資料に照らして正しい内容を確認し,法令引用の検証方法を整理する。
目次

第1 はじめに――対象と射程
第2 成年年齢を定めた太政官布告の年

1 記念誌の記載と内在的な不整合
2 確認できる事実――明治9年(1876年)と現行民法4条

第3 1999年の制定法と2001年の民事訴訟法改正

1 記念誌の記載と複数の不整合
2 確認できる事実――1999年に制定された法律等
3 2001年改正の内容――民事訴訟法220条・223条

第4 実務への示唆――法令引用をどう検証するか

1 法令番号・制定年・法令名の突合
2 改正・廃止による陳腐化への対応
3 書面作成時の確認手順

出典

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訴訟活動における名誉毀損・侮辱と弁護士会の懲戒(AI作成)

この記事は,弁護士が訴訟活動やSNS等で相手方,相手方訴訟代理人又は他の弁護士の名誉を毀損し,若しくは侮辱したことを理由に弁護士会から受けた懲戒処分の実例を,弁護士職務基本規程70条・71条の内容とあわせて場面別に整理したものです。
対象は,日本弁護士連合会の機関誌『自由と正義』の懲戒処分公告で確認できる事例(令和7年〔2025年〕分まで)で,各事例には掲載号・頁と処分の効力発生日を付し,公告に記載された問題の表現をできる限りそのまま示します。

訴訟活動の中でされた表現が,相手方等に対する不法行為(民法709条)や国家賠償として違法になるかどうかは,これとは別の判断枠組みの問題であり,本記事では扱いません。その点は,関連記事「陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例」で整理しています。本記事は,これとは別のレイヤーである弁護士会による懲戒処分に焦点を当てます。

目次

第1 弁護士職務基本規程70条・71条・73条──名誉の尊重と不利益行為の禁止

1 70条(名誉の尊重)の内容と趣旨
2 71条(信義に反する不利益行為の禁止)
3 73条(他の弁護士等との紛議は協議・紛議調停で)
4 「品位を失うべき非行」との実質判断(弁護士法56条1項)

第2 懲戒事例──場面別に見た問題の表現

1 準備書面等で相手方本人を攻撃した例
2 相手方代理人・他の弁護士を攻撃した例
3 メーリングリスト・手紙・文書・メールでの誹謗中傷や威圧
4 SNS・インターネット・記者会見での表現
5 懲戒請求制度の濫用・懲戒請求書での名誉毀損

第3 単位弁護士会と日弁連で判断が分かれた例

1 懲戒請求書の記載を取り消した例
2 準備書面の記載を取り消した例

第4 関連論点・関連記事

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弁護士の「品位を失うべき非行」の不明確性と懲戒制度への批判(AI作成)

この記事は,弁護士の懲戒事由である「品位を失うべき非行」(弁護士法56条1項)という概念が不明確であるという批判と,処分基準の要否をめぐる議論を整理するものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 「品位を失うべき非行」は不明確か(弁護士法人ベリーベスト法律事務所等の意見)
第2 処分基準の要否(行政手続法12条)
第3 明確性の要請と限定解釈
第4 懲戒制度への批判・他士業との比較
第5 関連論点・関連記事
出典

第1 「品位を失うべき非行」は不明確か(弁護士法人ベリーベスト法律事務所等の意見)
非弁提携を理由とする業務停止6月の懲戒処分(弁護士法人ベリーベスト法律事務所,弁護士酒井将及び弁護士浅野健太郎に対するもの)の審査請求事件では,懲戒事由の文言の不明確性が正面から争われました。審査請求書(令和2年6月11日公表)9頁・10頁には,おおむね次の主張があります(書証番号・URLは省略)。
① 「品位」「非行」「非弁提携」といった曖昧な文言の下に広い裁量をそのまま重大な不利益処分(さらには刑事処分)の要件として適用すると,その場その場の恣意的判断に陥りやすい。行政手続法12条は不利益処分の処分基準を設定することを求めており(努力義務だが,多くの行政庁は予測可能性の確保と恣意的判断の抑制のため具体的な処分基準を定めている),弁護士の懲戒処分にもこの考え方を適用すべきである。模範となるのは,点数制をとる交通反則金制度や一級建築士の処分基準である。

② 弁護士法(43条の15,49条の2)は行政手続法の定めのうち行政指導以外を適用除外としているが,それは手続保障が薄くてよいという趣旨ではなく,法律家の団体であればこそ一層充実した権利防御手続を自主的に用意することが期待されているからである。ところが弁護士会は,行政手続(予定される処分の通知,弁明・聴聞の機会の付与)に著しく劣る手続しか用意せず,処分基準も設定していないので,場当たり的・恣意的になりやすい。
この事件については,「非弁提携を理由とする懲戒請求について」と題するウェブサイトに,東京弁護士会懲戒委員会の議決書(令和2年2月28日付)や審査請求書(令和2年6月11日公表)等の文書が掲載されています。
第2 処分基準の要否(行政手続法12条)
行政手続法12条は,処分基準について次のとおり定めています。
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。(1項)/行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。(2項)
弁護士懲戒には行政手続法が直接適用されるわけではありませんが,予測可能性の確保と恣意的判断の抑制という同条の趣旨は,弁護士の懲戒処分についても妥当するのではないか,というのが上記の批判の核心です。
第3 明確性の要請と限定解釈
不明確な要件の解釈については,表現の自由を規制する法律の分野で,限定解釈が許される場合の基準が示されています。最高裁大法廷昭和59年12月12日判決は,表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈が許されるのは,その解釈により規制対象となるものとそうでないものとが明確に区別され,かつ,合憲的に規制し得るもののみが規制対象となることが明らかにされる場合でなければならず,また,一般国民の理解において,具体的場合に当該表現物が規制対象となるかどうかの判断を可能にする基準をその規定から読み取ることができるものでなければならない,としています。

「品位を失うべき非行」という概念の運用にも,同様に,予測可能性を確保する明確な基準が求められる,という視点につながります。
第4 懲戒制度への批判・他士業との比較

判例時報2447号には「弁護士の懲戒処分に対する救済制度の違憲・違法性と是正案の提案(阿部泰隆)」が掲載されており,救済制度の在り方が論じられています。
他士業と比較すると,司法書士の場合は,業務外の違反行為については刑事罰の対象となる行為だけが懲戒処分の対象になるとされています(司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)別表23項参照)。弁護士について,職務外の非行がどこまで懲戒対象となるかという議論の参考になります。

第5 関連論点・関連記事

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弁護士のSNS・ネット表現と懲戒(AI作成)

この記事は,弁護士のSNS・インターネット上の表現をめぐる懲戒として,いわゆる「タヒね」懲戒とその取消し,表現の自由との関係,対象弁護士の日弁連総会における発言を取り上げるものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 「タヒね」懲戒とその取消し
第2 侮辱・名誉毀損の法的責任(概要)
第3 表現の自由と萎縮効果
第4 対象弁護士の日弁連総会における発言
第5 関連論点・関連記事
出典

第1 「タヒね」懲戒とその取消し
令和3年3月1日発効の大阪弁護士会の戒告では,次の行為について,弁護士法56条1項に定める品位を失うべき非行に該当すると判断されました(月刊大阪弁護士会2021年3月号60頁)。
対象会員は,懲戒請求者から国家賠償請求訴訟について委任を受け訴訟代理人として活動していたが,その後辞任を求められ,これを受託して辞任届を提出した。その後,着手金の返還を巡るやりとりのころ,弁護士の肩書きとともに登録氏名及び法律事務所名を表示したツイッターにおいて,「金払わん奴はタヒね」「金払うつもりないなら法律事務所来るな」「弁護士費用を踏み倒すやつはタヒね」等とツイートを行った。
もっとも,この戒告は,被懲戒者の審査請求に基づき,令和4年5月17日付で日弁連により取り消されました(弁護士ドットコムニュース「ツイッターで「タヒね」、弁護士の懲戒取り消す逆転判断 日弁連」(2022年5月26日付)参照)。単位弁護士会の懲戒処分が日弁連で取り消されることがある一例です。
第2 侮辱・名誉毀損の法的責任(概要)
SNS上の暴言は,懲戒とは別に,民事・刑事の責任を生じさせることがあります。要点だけを挙げると,次のとおりです。

事実を摘示しないで公然と人を侮辱した場合,侮辱罪が成立します(刑法231条)。侮辱罪の法定刑は,令和4年の刑法改正で引き上げられ,現在は「1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
インターネットの個人利用者による表現行為であっても,摘示した事実を真実と誤信したことについて,確実な資料・根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しません(最高裁平成22年3月15日決定)。
自己の正当な利益を擁護するためやむをえず他人の名誉を損なう言動をした場合は,その他人が行った言動に対比して,方法・内容において適当と認められる限度を超えない限り,違法性を欠くとされています(最高裁昭和38年4月16日判決参照。学界誌の記事をめぐる民事の名誉毀損の事案です。)。

民事の侮辱(名誉感情の侵害)が違法となる基準や,侮辱罪の法定刑引上げの経緯など,より詳しい整理は,別記事「陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例」の該当箇所を参照してください。
第3 表現の自由と萎縮効果
令和元年9月9日付の東京弁護士会の意見書(「裁判官の市民的自由を萎縮させない対応を求める意見書」)には,次の記載があります。
いかなる表現行為が「許容される限度を逸脱」するのかが示されないでされる制約は,許容される表現行為の予測可能性を奪い,裁判官の表現行為に萎縮的効果を与えるものである。そのことは,一般市民との合理的な差異の不明確性とも相まって,一般市民の表現活動にも予測可能性を奪うおそれがあり,一般市民の表現活動についても萎縮効果を与えることにつながりかねない懸念がある。
表現の自由については,市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)19条が,すべての者が意見を持つ権利と表現の自由についての権利を有するとしつつ,その行使には特別の義務・責任が伴い,法律により,他の者の権利・信用の尊重や公の秩序等の目的のために必要とされる一定の制限を課すことができるとしています。
第4 対象弁護士の日弁連総会における発言
「タヒね」懲戒の対象弁護士は,令和2年9月4日の日弁連定期総会において,新型コロナウイルス感染症に関する宣言・決議の件(第6号議案)に関して,日弁連執行部を強く批判する発言をしました。いわゆる「谷間世代」(貸与金世代)の弁護士の経営の苦しさを踏まえ,弁護士の経営基盤への配慮を欠いたまま「弁護士の使命」を説くだけでは市民への法的サービスは実現できない,という趣旨の発言です。弁護士の懲戒や会務をめぐる会内の意見対立を示す一例として参考になります。
第5 関連論点・関連記事

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弁護士の表現と名誉毀損(AI作成)

この記事は,弁護士の弁護活動に関する発言(テレビでの懲戒請求の呼びかけなど)が名誉毀損として違法になるかの判断枠組みと,名誉毀損が成立しない場合でも弁護士会の懲戒対象となり得ることを,最高裁判例に即して整理したものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 名誉毀損の違法性が阻却される場合(最高裁平成17年6月16日判決)
第2 名誉毀損が成立しなくても弁護士会の懲戒対象となり得る(最高裁平成23年7月15日判決)
第3 弁護士・弁護士会に求められる説明責任(須藤正彦裁判官の補足意見)
第4 関連論点・関連記事
出典

第1 名誉毀損の違法性が阻却される場合(最高裁平成17年6月16日判決)
名誉毀損が成立するかどうかは,表現が「事実の摘示」か「意見・論評の表明」かで枠組みが分かれます。最高裁平成17年6月16日判決は,先例を引用しつつ,一般論として次のとおり判示しています(番号は引用者が付し,接続の語句と先例の表示は省略しています。)。
① 事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。

② ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される。
同じ日付で出された別事件の上告棄却決定(最高裁平成17年6月16日決定)には,名誉毀損の成立を否定すべきとする裁判官島田仁郎の詳細な反対意見が付されています。
第2 名誉毀損が成立しなくても弁護士会の懲戒対象となり得る(最高裁平成23年7月15日判決)
大阪弁護士会に所属しタレント活動もしていた橋下徹弁護士が,平成19年5月27日放送のテレビのトーク番組において,光市母子殺害事件の弁護団を構成する弁護人に対する懲戒請求を呼びかけた行為について,大阪弁護士会は,平成22年9月17日,意見・論評の域を逸脱すること等を理由に2か月間の業務停止処分としました。

しかし,最高裁平成23年7月15日判決は,原審である広島高裁平成21年7月2日判決(平成20年(ネ)第454号)を破棄した上で,橋下徹弁護士の発言は不法行為法上違法とはいえないと判断しました(第1審被告である橋下徹弁護士が最高裁で逆転勝訴しました。)。

このように,弁護士会の懲戒処分の判断と,最高裁判所の不法行為の成否の判断とが一致しない事例があります。名誉毀損(不法行為)が成立しないと評価される表現であっても,弁護士会は,別途,品位を失うべき非行に当たるかを判断します。

最高裁平成23年7月15日判決は,一般論として,刑事事件における弁護人の弁護活動は被告人の言い分を無視して行うことができないことをその本質とするものであって,被告人の言い分や弁護人との接見内容等を知ることができない場合には,憶測等により当該弁護活動を論難することには十分に慎重でなければならない,と判示しています。

なお,前提となった光市母子殺害事件については,最高裁平成24年2月20日判決が,死刑判決を下した広島高裁平成20年4月22日判決を支持しました。
第3 弁護士・弁護士会に求められる説明責任(須藤正彦裁判官の補足意見)
上記の最高裁平成23年7月15日判決の裁判官須藤正彦の補足意見は,弁護士・弁護士会が批判に対して説明を尽くすべき立場にあることを述べています(改行は引用者が付しています。)。
弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。

懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。あるいは,著名事件であるほどにその説明負担が大きくなることはやむを得ないところもあろう。

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不当な懲戒請求と不法行為責任(AI作成)

この記事は,弁護士に対する懲戒請求が「違法な懲戒請求」として不法行為(民法709条)になる場合を,最高裁平成19年4月24日判決に即して整理したものです(2026年7月時点の法令・裁判例に基づきます。)。
目次

第1 懲戒請求は何人でもできる(弁護士法58条1項)
第2 懲戒請求が不法行為となる場合(最高裁平成19年4月24日判決)
第3 田原睦夫裁判官の補足意見
第4 関連論点・関連記事
出典

第1 懲戒請求は何人でもできる(弁護士法58条1項)
弁護士に対する懲戒請求は,誰でもすることができます。
何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。(弁護士法58条1項)
懲戒請求があると,弁護士会は懲戒の手続に付し,まず綱紀委員会が事案を調査します。綱紀委員会が懲戒委員会に審査を求めることを相当と認める議決をした場合に,懲戒委員会の審査に進みます(弁護士法58条2項ないし6項)。この「何人も」という広い請求権があることの意義については,別記事「弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義」で扱っています。
第2 懲戒請求が不法行為となる場合(最高裁平成19年4月24日判決)
懲戒請求が誰でもできるといっても,根拠のない懲戒請求を無限定に許せば,対象とされた弁護士は大きな不利益を受けます。そこで最高裁は,一定の場合に,懲戒請求それ自体が違法な不法行為になるとしています。

最高裁平成19年4月24日判決は,次のように判示しました。すなわち,弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら,又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成する,というものです。

つまり,単に懲戒請求が認められなかったというだけでは違法にはならず,根拠を欠くことを知り,又は容易に知り得たのにあえて請求したなど,制度の趣旨目的に照らして相当性を欠く場合に,はじめて不法行為となります。
第3 田原睦夫裁判官の補足意見
同判決の田原睦夫裁判官の補足意見は,懲戒請求が対象弁護士に与える影響の大きさを具体的に述べています。以下はその要旨です(原文を要約したもので,ナンバリングは引用者が付しています。)。
① 弁護士に対する懲戒は,弁護士としてあるまじき行為を行ったことを意味し,弁護士としての社会的信用を根底から覆しかねないものであるだけに,懲戒事由に該当しない事由に基づくものであっても,懲戒請求がされたという事実が第三者に知れるだけでも,その業務上の信用や社会的信用に大きな影響を与えるおそれがある。虚偽の事由に基づいて懲戒請求をした場合には,虚偽告訴罪(刑法172条)に該当すると解されている。

② 懲戒請求がされると,被請求者は,根拠のない請求であっても,反論・反証活動のために相当なエネルギーを割かれる。加えて,綱紀委員会の調査に付されると手続終了まで他の弁護士会への登録換えや登録取消しの請求ができないと解されており,弁護士の身分に重大な制約が課される。

③ こうした負担の大きさからして,懲戒請求をする者は,被請求者に懲戒事由があることを事実上・法律上裏付ける相当な根拠について調査・検討すべき義務を負うのは当然である。

④ 殊に弁護士が自ら懲戒請求者となり,又はその代理人等として関与する場合には,根拠のない懲戒請求が被請求者に多大な負担を課し,懲戒請求の濫用が弁護士自治という自らの拠って立つ基盤を傷つけかねないことを自覚すべきであって,慎重な対応が求められる。
第4 関連論点・関連記事

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弁護士の守秘義務(AI作成)

弁護士に相談したり事件を依頼したりすると,「話した内容や渡した資料はどこまで秘密として守られるのか」「裁判や捜査,国会の場で弁護士が私のことを話してしまうことはないのか」といった疑問を持たれることがあります。この記事では,弁護士の守秘義務の根拠と範囲,守秘義務が例外的に解除される場合,証言や押収を拒める場面,司法修習生が事件記録に触れること,及び依頼者側でも第三者に見せない方がよい文書について,条文と最高裁判例を確認しながら整理します。条文は令和7年6月1日施行の拘禁刑への一本化を含む現行の内容によります。

目次

第1 弁護士の守秘義務と秘密漏示罪

1 守秘義務の根拠と対象

(1) 二つの根拠と「依頼者」の範囲
(2) 「職務上知り得た秘密」の意味と範囲
(3) 同じ法律事務所の弁護士も義務を負う

2 秘密漏示罪(刑法134条1項)

(1) 罰則の内容
(2) 依頼者本人以外の秘密も対象になり得る

第2 弁護士の証言拒絶権・押収拒絶権等

1 民事裁判での証言拒絶・文書提出拒絶
2 刑事裁判での押収拒絶・証言拒絶
3 依頼者との通信の傍受禁止と秘匿特権
4 国会での証言・書類提出

(1) 証人として呼ばれた場合
(2) 参考人として招致された場合

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被保険者本人が支出した診療録,画像記録その他の資料取得費が弁護士費用特約の「弁護士・損害賠償請求等費用」に当たり得るか(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご依頼・ご相談は「交通事故のお問い合わせ」から可能です。
目次

第1 本記事の射程と結論

1 本記事の対象

(1) 一般論としての検討
(2) 検討対象となる公開約款

2 結論の要点

(1) 本人取得という一事だけでは対象外としにくいこと
(2) 本人取得費用が無条件に補償されるわけではないこと
(3) 見解相違が生じた場合の基本順序

第2 あいおいニッセイ同和損害保険の定義②の解釈

1 約款の構造

(1) 定義①と定義②の役割分担
(2) 本人による手続を予定する除外規定
(3) 第2条(1)の同意要件

2 文理解釈及び体系解釈

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個人情報漏洩に関する弁護士会の懲戒事例(AI作成)

◯本ブログ記事は,2005年4月から2026年3月までの自由と正義の懲戒公告,及び弁護士懲戒事件議決例集第8集ないし第27集に基づき,専らAIで作成したものです。
目次

第1 はじめに——弁護士に課される情報保護の責務

1 なぜ個人情報漏洩が懲戒の重要テーマなのか
2 本稿で扱う「漏洩」の範囲
3 検討の素材と引用の方針

第2 弁護士の情報保護義務を支える法令の体系

1 弁護士法23条——秘密保持義務
2 弁護士職務基本規程の関連条項
3 戸籍・住民票をめぐる法令
4 個人情報保護法と弁護士
5 守秘義務が及ぶ人的範囲

第3 類型1——職務上知り得た秘密の第三者開示

1 秘密保持義務違反の基本構造
2 書面やインターネットで秘密を公開した事例
3 通報者・相談者の情報を漏らした事例
4 相談・聴取で得た情報と立場の利用

第4 類型2——プライバシー情報の暴露とネット公開

1 デジタルタトゥーという新しい危険

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弁護士会館の敷地取得から竣工までの経緯(AI作成)

〇本ブログ記事は,日弁連五十年史に基づき,もっぱらAIで作成したものです。
目次
第1 はじめに

第2 弁護士会館敷地の来歴
1 江戸時代の大岡越前守の屋敷跡
2 1956年の建物買収
3 1973年の敷地払下げ
4 旧会館の規模

第3 日弁連の発足と設立直後の事務所
1 日弁連の発足
2 設立直後の間借り事務所

第4 新会館建設の準備
1 会館建設準備委員会の設置
2 1973年の会館建設委員会の設置

第5 弁護士合同会館敷地等確認書(1987年9月7日)
1 確認書の調印
2 署名者

第6 新会館の建設費試算
1 第二次企画設計(夢の段階)の試算
2 基本設計の合意と現実的試算

第7 建設資金の調達
1 新会館建設準備金制度(特別会費)
2 特定寄付・指定寄付に基づく寄付金

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公文書に関する日弁連の立場等

◯本ブログ記事の内容は,令和8年5月17日までの間,トップページに掲載していたものと同趣旨のものです。

1 公文書に関する日弁連の立場
(1) 「情報主権の確立に関する宣言」(平成2年9月28日付の日弁連人権擁護大会の宣言)には以下の記載があります。
     国が保有している国政関係の諸情報は、本来、主権者たる国民のものである。原則として、すべての国民に対し、それらの情報を知る権利が実質的に保障されていない限り、国民主権は成立しえない。
(2) 日弁連セミナー「公文書管理のあるべき姿~民主主義の根幹を支える基盤~」(平成31年2月22日開催)の案内HPには以下の記載があります。
    公文書は、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」です(公文書管理法1条)。また、公文書は、行政の政策決定過程を明らかにするとともに、それを根拠付けるものです。公文書管理の重要性は、自治体でも変わりません。日弁連は、全国の自治体に対して、公文書管理条例を制定することを求めています。
2 図書館の自由に関する宣言
・ 日本図書館協会HPに載ってある「図書館の自由に関する宣言」の前文には以下の記載があります。
 日本国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である。
   知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由の保障があってこそ表現の自由は成立する。
   知る自由は、また、思想・良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を実現するための基礎的な要件である。それは、憲法が示すように、国民の不断の努力によって保持されなければならない。
3 最高裁大法廷平成元年3月8日判決
・ レペタ訴訟に関する最高裁大法廷平成元年3月8日判決は以下の判示をしています。
    報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供するものであつて、事実の報道の自由は、表現の自由を定めた憲法二一条一項の規定の保障の下にあることはいうまでもなく、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材の自由も、憲法二一条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するものである(最高裁昭和四四年(し)第六八号同年一一月二六日大法廷決定・刑集二三巻一一号一四九〇頁)。

いろいろとライフイベントが発生し、最近自分の趣味や勉強に使える時間が大幅に減ってきた。長時間労働で乗り切るパワープレイが使えなくなってきた。自分の時間を切り売りして業務をする弁護士は、「時間」というものの価値を強烈に意識して高く買ってくれる人に、価値を提供していく必要がありますね

— 都 行志/Miyako Koji (@MiyakoLawyer) September 25, 2022

弁護士やコンサルタントがクライアントに対して建設的な提案をするためにはまず自身の心身の健康を維持しなくてはならない。仕事を詰め込みすぎて余裕を失くしたコンサルタントに良い仕事ができるのか、冷静に考えるべき。睡眠と運動の時間は何よりも最優先で確保、そこを侵食しそうな新件は断る。簡単

— 中尾慎吾 (@Shingo_Nakao) September 3, 2023

「インハウス弁護士の役割は『複数の外部事務所から相見積もりを取ってリーガルフィーを引き下げて予算を節約すること』にあるわけではなく、優秀な外部弁護士との間で『いざという時』には無理を聞いてもらえるような友好な関係を維持することにある」と考えさせられた話 https://t.co/O2ewt7osRR

— カルアパ (@lawyer_alpaca) December 14, 2022

R070225 最高裁の不開示通知書(最高裁の情報公開文書がインターネット上で公開されていることに関して,最高裁に寄せられた苦情の内容が書いてある文書(令和6年中に作成し,又は取得したもの))を添付しています。 pic.twitter.com/e5X4M1I3bu

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) February 28, 2025

(続きを読む...)公文書に関する日弁連の立場等