目次第1 本記事の対象と資料1 対象とした資料2 日付の読み方第2 部の構成1 9庁の部の構成2 兼務の裁判官だけで構成される部3 特別部第3 専門部・集中部1 集中部を置くのは東京高裁と大阪高裁だけ2 その他の高裁第4 配点の方法1 受理の順番による配点2 記録の量の量り方3 刑事控訴の「否認事件」第5 新しい事件類型への対応1 緊急を要する親権行使者の指定の抗告事件2 その他第6 支部と代行・填補の裁判官第7 長官に差し支えがあるときの代理順序1 9庁の代理順序2 東京高裁の代表常置委員・大阪高裁の上席裁判官との関係第8 実務上の留意点第9 関連記事第10 出典1 開示文書2 法令(e-Gov法令検索で確認)
第1 本記事の対象と資料
1 対象とした資料
本記事は,全国の高等裁判所8庁と知的財産高等裁判所が定めた令和8年度の裁判官の配置,事務分配,代理順序,開廷日割等を定めた文書を読み比べ,各高裁で控訴事件や抗告事件がどの部へどのように配られるのか,長官に差し支えがあるときに誰が代理するのかを整理するものである。
対象の文書は,司法行政文書の開示を受けたものであり,次のとおり本ブログに掲載している。
なお,大阪高裁の令和6年度の同種の文書には,「平成6年7月22日付け総一第182号に基づく報告」として,大阪高等裁判所長官から最高裁判所事務総局総務局長に送付した旨の送付書が付いていた。
東京高裁,知財高裁,大阪高裁,名古屋高裁,広島高裁
福岡高裁,仙台高裁,札幌高裁,高松高裁
9通とも,黒塗り(不開示部分)はない。
各文書の配置表には,裁判官の修習期,部総括判事であること,上席裁判官等の肩書は書かれていない。
各部の筆頭の裁判官に「裁判長」と付記されているか(東京高裁及び知財高裁では「総」の印),部の掲載順が示されているだけである。
2 日付の読み方
ファイル名の「令和8年4月15日現在」は,開示請求の文言に合わせて付けた日付であり,各文書の施行日や基準日ではない。
各文書の日付は,次のとおり庁ごとに違う。
高裁文書上の日付東京令和8年1月1日施行,同年3月22日施行の改正あり。配置表は令和8年4月1日現在知財令和8年1月1日施行。配置表は令和8年4月1日現在,所長の代理順序の指名は同年1月1日現在大阪令和7年12月19日決定,令和8年1月1日施行。改正の附則が10個あり,最後は同年4月7日施行名古屋施行日として令和8年1月1日から同年4月1日まで7つの日付を列挙広島令和7年12月12日決定。改正2回で,最後は令和8年4月1日施行福岡表題の右上に「(令和8.4.1)」とあるだけ仙台「(令和8年4月1日現在)」の時点版。附則なし札幌札幌高等裁判所規程第7号(令和7年12月12日)。令和8年3月13日付けの改正4本で,最後は同年4月8日施行高松令和7年12月15日決定。令和8年3月10日付けの改正3本で,最後は同年4月1日施行
いずれも「令和8年度」と題しながら暦年の1月1日から施行し,1月から4月にかけての人事異動に合わせて附則を足して差し替える形を取っている。
もっとも,改正の附則には施行日が並ぶだけで,どの改正で何が変わったかは書かれていない。
したがって,配置表は各文書の最後の施行日の時点の配置を示すものとして読むほかなく,年度途中の異動(令和8年4月以降の異動)は反映されていない。
第2 部の構成
1 9庁の部の構成
各高裁の部の構成は次のとおりである。
高裁本庁の部支部東京民事部20(第3・第6・第13・第18民事部は欠番),刑事部12,特別部5なし知財通常部4,特別部(いわゆる大合議)なし大阪民事部14,刑事部6,特別部なし名古屋民事部4,刑事部2,特別部金沢支部(民事・刑事の2部)広島第1部(刑事),第2部・第3部(民事),第4部,特別部岡山支部(2部),松江支部(部なし)福岡民事部5,刑事部3,特別部宮崎支部・那覇支部(各2部)仙台民事部3,刑事部2,特別部秋田支部札幌民事部3,刑事部1,特別部なし高松第1部(刑事),第2部・第4部(民事),第3部,特別部なし
部の数が少ない高裁では,刑事部が1つしかないために,刑事部の裁判官に対する除斥・忌避の申立てや刑事の差戻事件を民事部に配る定めが置かれている(札幌高裁,仙台高裁)。
宮崎支部でも,刑事訴訟法428条の異議の申立てに関する事件を民事部に配っている。
2 兼務の裁判官だけで構成される部
他の部の裁判官の兼務だけで構成される部が,次のとおり5庁にある。
① 東京高裁の第7刑事部・第9刑事部(全員が第10刑事部の裁判官の兼務。附則で当分の間,控訴事件等の分配を停止している)
② 広島高裁の第4部(第3部の裁判官2人と第2部の裁判官1人の兼務。開廷日は「随時」)
③ 高松高裁の第3部(第1部の裁判官4人全員の兼務。開廷日割にも夏期休廷の表にも現れない)
④ 札幌高裁の第1民事部(本務の判事1人と,第3民事部の裁判官4人の兼務。開廷日割に現れない)
(続きを読む...)高等裁判所の事務分配の比較(令和8年度)―集中部,記録の量による配点,兼務だけの部及び長官の代理順序(AI作成)