メインコンテンツへスキップ

後遺障害の認定・立証

後遺障害14級9号でも画像所見はあるのか―レントゲン・CT・MRIの異常と12級13号との違い(AI作成)

目次

第1 結論

第2 「画像に写る」という言葉を四つに分ける

1 現在の所見があること
2 時間の経過による変化があること
3 事故による変化であること
4 現在の症状の原因となっていること

第3 レントゲン・CT・MRIで分かること

1 レントゲン
2 CT
3 MRI

第4 14級9号でも画像所見があり得る場面

1 骨折は癒合したが疼痛が残る場合
2 軽度の変形又は関節面の不整が残る場合
3 固定材料が残っている場合
4 加齢性又は事故前からの変性所見がある場合

第5 画像に異常が乏しくても症状が否定されるわけではないこと

(続きを読む...)後遺障害14級9号でも画像所見はあるのか―レントゲン・CT・MRIの異常と12級13号との違い(AI作成)

可動域制限の後遺障害等級-四肢関節の8級・10級・12級と認定要件(AI作成)

目次第1 結論と対象範囲第2 対象となる関節と等級1 上肢の3大関節2 下肢の3大関節3 自賠責で用いられる認定基準第3 8級の「関節の用を廃したもの」1 強直又はこれに近い状態2 弛緩性麻痺による運動障害3 人工関節又は人工骨頭第4 10級及び12級の可動域基準1 2分の1以下と4分の3以下2 複数の主要運動がある関節3 人工関節の10級第5 他動値,自動値及び健側比較1 他動運動による測定が原則であること2 自動値を参照する例外3 健側にも障害がある場合第6 主要運動と参考運動1 主要運動による判定2 四肢6関節の測定方向3 参考運動を考慮する範囲第7 測定値と原因資料の確認1 測定方法と代償運動2 可動域制限の原因3 画像所見と角度測定の役割4 抜釘予定と廃用性の制限第8 認定資料を確認する順序1 低負担で確認できる資料2 測定値が一致しない場合3 数値が基準を超える場合第9 可動域制限を検討した裁判例1 神戸地方裁判所尼崎支部平成14年1月30日判決2 判決の射程第10 関節別の記事と診断書の確認1 肩・肘・手関節2 股・膝・足関節3 拘縮と後遺障害診断書第11 出典・参考資料1 法令・告示2 所管行政機関の運用資料3 医学関係学会の測定資料4 裁判例
第1 結論と対象範囲

四肢の関節に可動域制限が残った場合,後遺障害等級は,原則として他動運動による可動域を健側と比較し,8級の「関節の用を廃したもの」,10級の「関節の機能に著しい障害を残すもの」又は12級の「関節の機能に障害を残すもの」に該当するかを判定する。
目安は,8級では強直又はこれに近い状態,10級では主要運動の可動域が健側の2分の1以下,12級では4分の3以下であるが,人工関節の有無,原因となる器質的・機能的障害,主要運動と参考運動の関係も確認対象となる。

本記事は,肩・肘・手・股・膝・足の各関節に共通する等級認定の枠組みを,令和8年9月13日現在の法令及び公表資料に基づいて説明するものである。
個々の関節の測定方向及び認定例は,後記の関連記事で補足する。

第2 対象となる関節と等級
1 上肢の3大関節

上肢の3大関節は,肩関節,肘関節及び手関節である。
自動車損害賠償保障法施行令別表第二では,上肢の1関節について,用を廃したものが8級6号,機能に著しい障害を残すものが10級10号,機能に障害を残すものが12級6号とされている。

2 下肢の3大関節

下肢の3大関節は,股関節,膝関節及び足関節である。
同別表では,下肢の1関節について,用を廃したものが8級7号,機能に著しい障害を残すものが10級11号,機能に障害を残すものが12級7号とされている。

3 自賠責で用いられる認定基準

自賠責保険・共済の支払基準は,後遺障害の等級認定について,原則として労災保険の障害等級認定基準に準じて行うとしている。
そのため,等級表の文言だけでなく,厚生労働省が公表する関節機能障害の認定及び測定の取扱いを併せて確認することになる。

第3 8級の「関節の用を廃したもの」
1 強直又はこれに近い状態

関節が強直したものは,「関節の用を廃したもの」に含まれる。
強直には,関節が完全に動かない場合のほか,健側の可動域の約10%以下に制限された状態が含まれ,可動域が10度以下であるときは一律にこれに近い状態として取り扱われる。

2 弛緩性麻痺による運動障害

関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態も,「関節の用を廃したもの」に含まれる。
この場合は他動値だけでは麻痺による使用不能を表せないため,自動運動の可動域も判断資料となる。

3 人工関節又は人工骨頭

人工関節又は人工骨頭を挿入置換した関節について,その可動域が健側の2分の1以下に制限されている場合も,「関節の用を廃したもの」に含まれる。
人工関節を挿入した事実だけで8級になるわけではなく,可動域制限の程度を併せて確認する必要がある。

第4 10級及び12級の可動域基準
1 2分の1以下と4分の3以下

関節の主要運動の可動域が健側の可動域の2分の1以下に制限されているものは,原則として10級の「著しい障害」に当たる。
主要運動の可動域が健側の4分の3以下に制限されているものは,原則として12級の「障害」に当たる。

(続きを読む...)可動域制限の後遺障害等級-四肢関節の8級・10級・12級と認定要件(AI作成)

交通事故後の筋力低下と後遺障害――MMT,大腿周径,ハンドヘルドダイナモメーター及びサイベックスの役割と限界(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論第2 4種類の評価方法が測るもの1 徒手筋力検査(MMT)2 大腿周径3 ハンドヘルドダイナモメーター4 サイベックス・バイオデックス等の等速性筋力測定第3 筋力測定値を左右する要因1 疼痛,恐怖及び努力量2 可動域及び測定条件3 健側を基準とする場合の限界第4 後遺障害等級との関係1 筋力低下率から等級を直接決める基準はないこと2 動揺関節との関係3 関節可動域制限との関係4 末梢神経障害との関係第5 複数の傷害がある場合の因果関係第6 筋力検査の実施が有用な場合第7 検査を追加しないことが合理的な場合第8 検査報告書に残したい事項第9 後遺障害申請に向けた確認順序第10 関連する記事第11 出典・参考資料1 法令・行政資料2 医学文献
第1 この記事の対象と結論

交通事故後の診療では,筋力を確認する方法として,徒手筋力検査(MMT),大腿周径の測定,ハンドヘルドダイナモメーター及びサイベックス・バイオデックス等の等速性筋力測定装置が用いられることがある。
これらは同じ「筋力検査」と呼ばれることがあるが,測っている対象,数値の精度及び後遺障害等級認定における役割は同じではない。

結論として,筋力検査は,筋力低下の存在及び程度,リハビリテーションの経過並びに日常生活・就労上の支障を客観化する補助資料となり得る。
しかし,自賠責保険の公表された認定基準には,「患側筋力が健側の何%以下なら何級」という数値基準はなく,筋力測定値だけから動揺関節,可動域制限又は神経障害の等級を決めることはできない。

検査を追加するかどうかは,①どの障害を証明しようとしているのか,②既存の診察・画像・リハビリテーション記録では何が不足しているのか,③検査結果によって治療又は法的評価が変わるのか,④安全かつ再現可能な条件で実施できるのか,という順序で検討する必要がある。

第2 4種類の評価方法が測るもの
1 徒手筋力検査(MMT)

徒手筋力検査は,検者が患者の運動を観察し,重力に抗して動かせるか,さらに徒手抵抗に抗して動かせるかを段階的に評価する検査である。
診察室や病室で反復して実施でき,神経障害や廃用による筋力低下のスクリーニング及び経過観察に適している。

他方,MMTは段階評価であり,特に重力に抗して十分に動かせる患者同士の細かな筋力差を数量化することには限界がある。
検者が加える抵抗,患者の疼痛及び努力量の影響も受けるため,可能であれば検査した筋群,肢位,疼痛の有無及び左右の値を記録することが望ましい。

2 大腿周径

大腿周径は,大腿部の一定位置を巻尺で測り,左右差や経時的変化から筋萎縮の程度を推測する方法である。
簡便であり,長期間の免荷,固定又は使用減少に伴う廃用性萎縮を示す資料となり得る。

もっとも,周径は筋力そのものを測る検査ではない。
測定位置,巻尺の張力,浮腫,皮下脂肪,受傷前の左右差及び測定者の違いによって値が変わり得るほか,周径差と大腿四頭筋の筋力差が常に一致するわけでもない。
したがって,「膝蓋骨上縁から何センチメートル近位」などの測定位置,測定日及び左右の実測値を併記する必要がある。

3 ハンドヘルドダイナモメーター

ハンドヘルドダイナモメーターは,小型の測定器を用いて等尺性筋力を数値化する方法である。
MMTより細かな差を記録でき,等速性筋力測定装置より導入しやすい利点がある。

ただし,検者が測定器を固定する力,固定用ベルトの有無,関節角度及び測定手順によって結果が変わり得る。
同じ方法で複数回測定して平均値を用いるなど,測定条件をそろえることが重要である。

4 サイベックス・バイオデックス等の等速性筋力測定

サイベックス又はバイオデックスは,あらかじめ設定した角速度で関節を動かし,膝伸展筋群及び膝屈曲筋群等の筋機能を定量する装置である。
代表的な指標には,ピークトルク,体重で補正したピークトルク,総仕事量,平均パワー,疲労の程度及び屈筋と伸筋の比率がある。

等速性筋力測定は,左右差及びリハビリテーションの経過を数量化する点で有用である。
一方,測定装置,角速度,収縮様式,関節可動域及び測定回数が異なれば数値を単純に比較できず,同じ装置を用いた再検査でも一定の測定変動が生じる。

サイベックス等は筋が発揮した力を測る装置であって,靱帯の緩み又は脛骨の前後移動量を直接測る装置ではない。

(続きを読む...)交通事故後の筋力低下と後遺障害――MMT,大腿周径,ハンドヘルドダイナモメーター及びサイベックスの役割と限界(AI作成)

交通事故の後遺障害診断書――症状固定後の作成,記載項目,必要資料及び認定申請(AI作成)

第1 後遺障害診断書の役割

1 この記事が扱う範囲
2 後遺障害の認定と診断書の関係
3 診断書だけで等級が決まるわけではないこと

第2 いつ,誰に,どの様式で作成を依頼するか

1 症状固定後に作成を依頼すること
2 治療を担当した医師に依頼すること
3 複数の診療科又は医療機関を受診した場合
4 提出先から現在の様式を入手すること

第3 作成を依頼する前に整理する資料

1 残っている症状を部位と場面に分けること
2 傷病名,治療経過及び画像を時系列で確認すること
3 既に実施した検査を先に確認すること

第4 記載欄ごとの確認事項

1 日付,治療期間及び傷病名
2 既存障害
3 自覚症状
4 他覚症状及び検査結果
5 障害内容の増悪・緩解の見通し
6 障害別の専用欄

(続きを読む...)交通事故の後遺障害診断書――症状固定後の作成,記載項目,必要資料及び認定申請(AI作成)

交通事故の靱帯損傷と後遺障害等級-膝・足首・肘・手首の認定経路と必要資料(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論

1 靱帯断裂と後遺障害等級は同じではない
2 最初に分ける三つの認定経路

第2 動揺関節の相当等級

1 下肢の動揺関節
2 上肢の動揺関節
3 固定装具の使用と医学的必要性
4 ミリメートル値だけで等級を決めない

第3 膝・足首・肘・手首で確認する機能

1 膝の十字靱帯及び側副靱帯
2 足関節外側靱帯及び遠位脛腓靱帯
3 肘の内側及び外側側副靱帯
4 手根骨間靱帯及びTFCC

第4 後遺障害申請で揃える資料

1 事故直後から治療中の記録
2 構造損傷と機能障害を示す検査
3 症状固定時の後遺障害診断書
4 固定装具と生活・仕事の資料

(続きを読む...)交通事故の靱帯損傷と後遺障害等級-膝・足首・肘・手首の認定経路と必要資料(AI作成)

交通事故の後遺障害診断書で神経伝導検査・針筋電図が必要となるケース(AI作成)

第1 結論

1 後遺障害診断書の一律の必要検査ではない
2 実施判断の全体像

第2 神経伝導検査と針筋電図検査の役割

1 神経伝導検査が示すもの
2 針筋電図検査が示すもの
3 両検査は相互補完的である

第3 両検査の実施が医学的に要請される具体的ケース

1 神経根・神経叢・単神経の局在鑑別が必要な場合
2 他覚的な運動麻痺等が持続する場合
3 画像・診察・事故態様が一致しない場合
4 重症度・予後・手術時期を判断する場合
5 既往症又は既存の絞扼性障害との鑑別が必要な場合

第4 神経伝導検査を先行し,針筋電図を追加するケース

1 限局性の絞扼・圧迫性ニューロパチー
2 感覚障害が中心である場合
3 神経根症を疑う場合はNCSだけで終えない

(続きを読む...)交通事故の後遺障害診断書で神経伝導検査・針筋電図が必要となるケース(AI作成)

交通事故による偽関節(骨癒合不全)の後遺障害等級――7級・8級・12級を分ける硬性補装具の要否と立証資料(AI作成)

第1 この記事の対象と,偽関節の等級を決める規範

1 対象と射程

2 等級表における偽関節の位置と給付の断層

3 自賠責が労災の障害等級認定基準に従う根拠

第2 認定基準の構造――上肢と下肢で階梯が違う

1 上肢の三階梯

2 下肢には「時々硬性補装具」の階梯がない

3 腓骨だけが12級8号にとどまる理由

4 平成16年7月1日より前に支給事由が生じた事案

5 長管骨以外の骨に偽関節が残った場合

第3 「常に硬性補装具を必要とする」の判断

1 「常に」「時々」を判定する公式の方法は定められていない

(続きを読む...)交通事故による偽関節(骨癒合不全)の後遺障害等級――7級・8級・12級を分ける硬性補装具の要否と立証資料(AI作成)

骨折後の骨髄炎と症状固定――労災の慢性化膿性骨髄炎アフターケア,後遺障害等級及び交通事故での取扱い(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 対象と時点
2 骨髄炎が症状固定の局面で問題になる理由

第2 労災保険における治ゆ(症状固定)

1 通達が定める2要件
2 症状固定として取り扱わない場合
3 治ゆした後に使える3つの制度

第3 慢性化膿性骨髄炎に係るアフターケア

1 制度の根拠と位置付け
2 対象者と措置範囲
3 手帳の有効期間と再発との関係

第4 再発したときの給付の切替え

1 再発の3要件
2 障害(補償)年金の失権と療養期間の通算
3 治ゆに至らないまま長期化した場合

第5 骨髄炎の後遺障害等級

(続きを読む...)骨折後の骨髄炎と症状固定――労災の慢性化膿性骨髄炎アフターケア,後遺障害等級及び交通事故での取扱い(AI作成)

交通事故後の人工関節置換術と後遺障害等級――上肢・下肢の8級・10級,事故起因性及び遅発性置換(AI作成)

第1 本記事は人工関節全般と事故起因性を扱う

1 人工骨頭に特化した記事との範囲の違い

2 等級判断と損害評価は三段階に分ける

第2 8級と10級を分ける現行基準

1 自賠責と労災認定基準の関係

2 一関節を置換した場合の等級

3 平成16年改正で一律8級から二段階評価へ変わった

4 可動域は他動値と比較対象を確認する

第3 事故と置換術との因果関係

1 事故直後に置換する場合

2 事故から時間を置いて置換する場合

3 既往性関節症がある場合

(続きを読む...)交通事故後の人工関節置換術と後遺障害等級――上肢・下肢の8級・10級,事故起因性及び遅発性置換(AI作成)

交通事故による異所性骨化の後遺障害等級――画像所見,可動域制限及び立証上の注意点(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご依頼・ご相談は「交通事故のお問い合わせ」から可能です。

第1 異所性骨化だけで後遺障害等級が決まるわけではない
第2 事故との因果関係は画像の時系列と発生部位から検討する

1 交通事故後に生じる異所性骨化の類型
2 早期の画像が陰性でも直ちに否定できない
3 画像が直接示す事実と医学的評価を分ける

第3 後遺障害等級は残った機能と症状から評価する

1 関節機能障害として評価する場合
2 可動域は原因を明らかにしてから測定する
3 神経症状として評価する場合
4 変形,瘢痕及び複数障害の扱い

第4 症状固定は骨化の経過と治療可能性を踏まえて判断する

1 骨化の活動性と画像の成熟
2 治療が残っている場合の確認事項

第5 等級申請では低負担の資料から争点を絞る

1 最初にそろえる資料
2 治療医への照会で結論が変わる点を確認する

(続きを読む...)交通事故による異所性骨化の後遺障害等級――画像所見,可動域制限及び立証上の注意点(AI作成)

交通事故によるCRPSの後遺障害等級――診断基準,自賠責の三要件及び裁判例(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご依頼・ご相談は「交通事故のお問い合わせ」から可能です。

第1 本記事の対象と判断の順序

1 四つの判断を分けること
2 肩関節の可動域制限との役割分担

第2 CRPSの医学的な診断

1 CRPS type I及びtype II
2 Budapest臨床診断基準
3 日本版CRPS判定指標の内容と限界
4 画像検査及び生理検査の位置付け
5 徴候の変動と症状固定

第3 自賠責における認定経路と等級

1 労災の障害等級認定基準を参照する構造
2 RSDの慢性期三徴候
3 カウザルギー及びRSDの等級
4 関節機能障害その他の代替評価

第4 事故との因果関係及び立証資料

1 事故直後から症状固定までの時系列

(続きを読む...)交通事故によるCRPSの後遺障害等級――診断基準,自賠責の三要件及び裁判例(AI作成)

拘縮と可動域制限の違い――裁判例,行政通達及び医学の見地から(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご依頼・ご相談は「交通事故のお問い合わせ」から可能です。

第1 拘縮と可動域制限は同じ意味ではない

1 本記事の対象と射程
2 二つの概念の関係

第2 医学における拘縮,強直及び可動域制限

1 標準的な教科書における定義

(1) 関節拘縮と関節強直
(2) 定義は一つに統一されていない

2 拘縮の責任病巣は不動期間により入れ替わる
3 拘縮と区別すべき病態
4 他動運動による測定値がもつ限界

第3 行政通達及び行政実務における拘縮

1 労災保険の障害等級認定基準

(1) 器質的変化と機能的変化の区分
(2) 阻血性拘縮が例示されている理由
(3) 廃用性の機能障害

(続きを読む...)拘縮と可動域制限の違い――裁判例,行政通達及び医学の見地から(AI作成)

動揺関節の立証手段としてのストレスレントゲン撮影(AIリライト)

第1 この記事が扱う範囲第2 動揺関節の等級を定める法令等の構造1 自動車損害賠償保障法施行令別表第二と支払基準2 労働基準局長通達が定める硬性補装具の要否による区分3 認定基準はストレスレントゲン撮影を要件として明記していないこと第3 認定基準にいう「硬性補装具」の意味1 支柱付きの装具を指すとされていること2 医学上の装具の分類との対応第4 ストレスレントゲン撮影の内容と撮影方法1 応力の方向と膝の屈曲角度の対応2 健側との左右差を計測することの意味3 撮影方法による数値の変動と診断上の限界第5 等級評価の対象となる不安定性1 十字靱帯の損傷が中心となること2 筋力低下に起因する不安定性は対象とならないこと第6 手続の選択1 事前認定・被害者請求と異議申立て2 紛争処理機構と訴訟第7 主張立証上の問題と証拠の収集1 立証責任と後遺障害診断書への記載2 撮影の実施をめぐる隘路と被害者側の対応3 動揺性を裏付けるその他の資料第8 自賠責保険及び紛争処理機構の判断にみる考慮要素1 認定理由に示された考慮要素2 紛争処理事例にみる等級の分布第9 裁判例にみる動揺関節の等級判断1 常時硬性補装具を要するとして第8級と判断した例2 第12級7号とされた例3 考慮要素と射程・限界第10 依頼者からの聴取事項と相手方の反論への備え1 依頼者から聴取すべき事項2 相手方から想定される反論第11 確認の手順第12 出典・参考資料1 法令・告示・通達2 裁判例3 文献

第1 この記事が扱う範囲

本記事が扱う動揺関節は,膝関節における前十字靱帯・後十字靱帯・側副靱帯の損傷等によって生じる関節の不安定性を主に念頭に置く。もっとも,後述する認定基準は上肢・下肢の3大関節に共通して適用されるため,肘関節や足関節の動揺関節にも基本的な枠組みは共通する。靱帯損傷全体の認定経路と必要資料は交通事故の靱帯損傷と後遺障害等級が,膝に固有の診断及び画像所見は交通事故による十字靱帯・側副靱帯損傷の後遺障害が,再建術後の症状固定と残存障害は膝靱帯再建術後の症状固定と後遺障害が,それぞれ担当する。本記事は,動揺性の程度をストレスレントゲン撮影等でどのように客観化するかという立証手段に絞る。

ストレスレントゲン撮影は,動揺関節の等級認定において重要な役割を果たすと説明されることが多い。しかし,後述するとおり,その位置づけは「認定基準が明文で要求する要件」ではなく,「認定基準が定める要件を客観的に裏付けるための証拠方法」である。この区別は,撮影が実施できない場合の対応や,撮影結果の証拠価値をめぐる相手方との争いを検討する際の出発点となる。

本記事では,まず法令及び通達の構造を確認し,次に認定基準にいう「硬性補装具」が何を指すかを整理したうえで,応力を加える方向と膝の屈曲角度との対応関係,等級評価の対象となる不安定性の範囲,自賠責保険及び紛争処理機構の判断にみられる考慮要素,裁判例の順に検討する。

第2 動揺関節の等級を定める法令等の構造
1 自動車損害賠償保障法施行令別表第二と支払基準

自動車損害賠償保障法13条1項は,責任保険の保険金額を政令で定めると規定し,これを受けた自動車損害賠償保障法施行令2条が,後遺障害による損害について別表第一及び別表第二の等級に応ずる金額を定めている。関節の機能障害に関する別表第二の文言は抽象的であり,下肢について「一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの」を第8級(同7号),「一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」を第10級(同11号),「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」を第12級(同7号)と定めるにとどまる。上肢についても同じ構造で第8級6号,第10級10号,第12級6号が置かれている。

別表第二には「動揺関節」という文言は存在しない。動揺関節がこの等級表に取り込まれるのは,別表第二の備考が「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であつて,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とする」と定める相当等級(準用等級)の仕組みを介してである。そして,等級認定の具体的な内容は,自賠責保険の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)第3が「等級の認定は,原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う」と定めていることから,労災保険の障害等級認定基準に委ねられている。

2 労働基準局長通達が定める硬性補装具の要否による区分

労災保険の障害等級認定基準のうち,動揺関節に関する部分を定めているのは,「せき柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準について」(平成16年6月4日基発第0604003号)である。同通達は,下肢の動揺関節について,他動的なものであるか自動的なものであるかを問わず,常に硬性補装具を必要とするものは第8級に準ずる関節の機能障害として,時々硬性補装具を必要とするものは第10級に準ずる関節の機能障害として,重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないものは第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱うものとする。習慣性脱臼及び弾発ひざも第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱われる。

上肢では区分が異なり,常に硬性補装具を必要とするものが第10級,時々硬性補装具を必要とするものが第12級に準ずる関節の機能障害として取り扱われ,下肢のような第8級相当の区分は置かれていない。すなわち,動揺関節の等級を分けるのは動揺の角度や移動量そのものを示す数値基準ではなく,「硬性補装具をどの程度必要とするか」という機能的・臨床的な判断であり,この点が,等級を争う際に何を立証すべきかを規定している。

3 認定基準はストレスレントゲン撮影を要件として明記していないこと

前記通達の本文には,ストレスレントゲン撮影を実施すべきこと,あるいは健側との差を何ミリメートル以上とすべきこと等の撮影方法・数値基準は定められていない。労災保険の障害認定実務を体系的に解説する資料においても,動揺関節の項目は硬性補装具の要否による区分を掲げるにとどまり,ストレスレントゲン撮影という語は用いられていない。したがって,ストレスレントゲン撮影は,認定基準が要求する法的要件そのものではなく,硬性補装具を必要とする程度の関節動揺性が存在することを客観的に裏付けるために実務が用いる証拠方法と位置づけられる。

もっとも,証拠方法にすぎないとはいえ,実務上はその有無が結論を大きく左右する。交通事故の後遺障害を扱う実務書には,動揺関節について「等級認定申請の際,ストレスXPの添付は必須である」とするもの,「ストレス撮影で動揺が立証されない限り,第12級以上の認定はなされない」とするものがあり,撮影がなければ動揺関節の主張は事実上取り上げられないという理解が共有されている。認定基準上の位置づけと実務上の重みとが異なることが,この論点の分かりにくさの一因である。

第3 認定基準にいう「硬性補装具」の意味
1 支柱付きの装具を指すとされていること

前記のとおり等級を分けるのは硬性補装具の要否であるから,何が硬性補装具に当たるかは,等級の当てはめを左右する。実務書には,損害保険料率算出機構の調査事務所が想定する硬性補装具は金属の支柱の入ったブレースであり,膝関節を固定していてもサポーターの類は硬性補装具として説明しない旨を明示して注意を促すものがある。別の実務書も,「硬性補装具」という語は一般にはプラスチック製のものなどを広く含むが,後遺障害の要件としての硬性補装具は一般的な定義に比してやや要件が厳しいとして,同じ方向の注意を促している。

この点は,装具の費用という別の局面にも波及する。下肢の硬性補装具は荷重を受けるため,常用した場合の耐用年数は数年程度とされており,将来の買替えを要することが指摘されている。装具の必要性に関する記録は,等級の当てはめを基礎づけると同時に,将来の装具費用を基礎づける資料にもなる。

2 医学上の装具の分類との対応

硬性と軟性の区別は,賠償実務のための便宜的な区分ではなく,医学上の装具分類にも対応している。整形外科の保存療法に関する実務書は,膝装具を用途別に整理し,前十字靱帯用装具には手術後に装着する治療用の硬性装具と社会復帰後に保護のために用いる軟性装具とがあること,内側・外側側副靱帯用装具は内外側に支柱が付いていること,側副靱帯が不安定な膝関節や関節内骨折後で骨癒合が不完全な症例には両側に支柱の付いた硬性膝装具が用いられることを述べており,膝蓋骨制動サポーターはこれらとは別の項目として扱われている。同書は,膝の支持性の補強に用いられるものとして,支柱付き膝装具とサポーター様軟性装具とを並べて掲げてもいる。

したがって,主治医に装具を処方してもらう場面では,採型して製作する支柱付きの装具であるのか,既製の軟性のものであるのかを区別して確認する実益がある。もっとも,後述する紛争処理事例には,自覚症状として「サポーターなしで軽度不安定感あり」との記載がある事案で第12級7号とされたものがあり,診療録上の語の選択だけで結論が決まるわけではない。区別が意味を持つのは,常時又は時々の装着を要件とする上位等級を主張する局面である。

第4 ストレスレントゲン撮影の内容と撮影方法
1 応力の方向と膝の屈曲角度の対応

ストレスレントゲン撮影は,動揺が疑われる関節に徒手又は器具によって一定方向の力(応力)を加えた状態でレントゲン撮影を行い,骨と骨のずれの程度を健側と患側とで対比して計測する検査である。ここで見落とされやすいのは,応力を加える方向によって評価される靱帯が異なり,かつ,方向ごとに撮影時の膝の屈曲角度が異なるという点である。

応力の方向主として評価される靱帯撮影時の膝の屈曲角度内反・外反(側方)外側側副靱帯・内側側副靱帯伸展位及び屈曲30度前後前方(脛骨を前方へ)前十字靱帯屈曲15度から25度前後(ラックマン肢位)後方(脛骨を後方へ)後十字靱帯屈曲90度前後

(続きを読む...)動揺関節の立証手段としてのストレスレントゲン撮影(AIリライト)