第1 結論の要旨と本記事の対象
1 本記事の対象と基準日
(1) 対象とする制度と基準日
本記事は,交通事故その他の事故で顔,頭又は首に傷あとが残った場合に,自賠責保険と労災保険でどの後遺障害等級に当たるか,その等級が損害賠償の場面でどのように扱われるかを整理するものである。
自賠法施行令と労災保険法施行規則(以下「労災則」という。)の条文は令和8年9月17日にe-Gov法令検索で確認し,通達,支払基準及び裁判例も同日に原文を確認した。
裁判例は,第8の3及び第9の5を除き,裁判所ウェブサイトに判決全文が掲載されたものに限って取り上げている。
第8の3及び第9の5では,公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(いわゆる赤い本)の2026年版が紹介する裁判例を,同書の紹介の形で取り上げている。
(2) 事故日によって等級表が異なること
顔や首の傷あとの等級は,平成22年6月10日以後に発生した事故と,それより前の事故とで適用される等級表が異なる。
本記事は平成22年6月10日以後の事故に適用される現行の等級表を中心に説明し,それより前の事故の扱いは第5で説明する。
2 結論の要旨
(1) 等級と大きさの基準
顔,頭及び首の傷あとは,自賠法施行令別表第二の「外貌」の醜状として,7級12号,9級16号又は12級14号のいずれかに当たるかが判断される。
自賠責保険の支払基準は等級の認定を労災の認定基準に準じて行うとしており,労災の通達は,顔面部の長さ3センチメートル以上の線状痕を12級,長さ5センチメートル以上の線状痕を9級,鶏卵大面以上の瘢痕を7級とするなど,部位ごとに大きさの基準を定めている。
いずれの等級でも,傷あとが人目につく程度以上であることが要件であり,眉毛や頭髪に隠れる部分は除かれる。
(2) 損害賠償の場面での扱い
自賠責保険の支払基準は,等級ごとに後遺障害慰謝料の額と労働能力喪失率を定めている。
これに対し,訴訟では,顔の傷あとが労働能力に影響するかどうかが争われ,裁判所ウェブサイトに掲載された裁判例を確認した範囲では,接客業や年少者の事案で逸失利益を認めたもの,減収がないことや傷あとの程度から逸失利益を認めず慰謝料で考慮したものの双方がある。
赤い本2026年版が紹介する裁判例でも,接客業や対人業務の被害者で比較的高い労働能力喪失率が認められる一方,化粧等で目立たなくできる場合や男性の12級の事案では低い率にとどまるものが多い。
第8及び第9で説明する。
第2 「外貌」の範囲と三つの等級の大きさ基準
1 等級表の文言と認定基準の位置付け
(1) 自賠法施行令別表第二の三つの号
自賠法施行令別表第二は,7級12号を「外貌に著しい醜状を残すもの」,9級16号を「外貌に相当程度の醜状を残すもの」,12級14号を「外貌に醜状を残すもの」と定めている。
各等級の保険金額は,7級が1051万円,9級が616万円,12級が224万円である。
等級表の条文には傷あとの大きさは書かれておらず,大きさの基準は次に述べる認定基準によって定まる。
(2) 労災の認定基準に準じて認定されること
自賠責保険の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)第3は,「等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。」と定めている。
そのため,顔や首の傷あとの大きさの基準は,厚生労働省の「外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準について」(平成23年2月1日基発0201第2号)の別紙によって確認することになる。
労災則別表第一では,外貌の相当程度の醜状は9級の11の2であり,自賠責の9級16号と号数が異なるが,7級12号と12級14号は号数が一致する。
号数の違いは,後遺障害等級の号数の読み方で説明している。
2 「外貌」の範囲
(1) 頭部・顔面部・頸部
平成23年の認定基準は,外貌を「頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分」と定めている。
顔だけでなく,頭と首の傷あとも外貌の醜状として扱われる。
(2) 腕と脚の傷あとは別の号で扱われること
上肢と下肢の傷あとは外貌に含まれず,自賠法施行令別表第二は,14級4号を「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」,14級5号を「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」と定めている。
腕や脚,胸や背中の傷あとの扱いは第6で説明する。
3 部位と等級ごとの大きさの基準
(1) 大きさの基準の一覧
平成23年の認定基準が定める大きさの基準を部位と等級ごとにまとめると,次のとおりである。
表の基準は,いずれも「原則として」の基準であり,人目につく程度以上であることが加わる。
| 部位 | 7級12号(著しい醜状) | 9級16号(相当程度の醜状) | 12級14号(醜状) |
|---|---|---|---|
| 頭部 | てのひら大以上の瘢痕又は頭蓋骨のてのひら大以上の欠損 | 定めなし | 鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損 |
| 顔面部 | 鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没 | 長さ5センチメートル以上の線状痕 | 10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕 |
| 頸部 | てのひら大以上の瘢痕 | 定めなし | 鶏卵大面以上の瘢痕 |
(2) 頭部と頸部には9級の定めも線状痕の基準もないこと
9級の相当程度の醜状は,認定基準上,「顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕」に限られており,頭部と頸部については定めがない。
頭部と頸部の12級も,鶏卵大面以上の瘢痕(頭部は頭蓋骨の欠損を含む。)が基準であり,線状痕の長さによる基準は置かれていない。
そのため,頭や首の5センチメートルの線状の傷あとが,顔面部と同じように9級に当たるとはいえない。
(3) てのひら大・鶏卵大面・10円銅貨大の意味
認定基準は,てのひら大について「指の部分は含まない。」と括弧書きで定めている。
他方,誰のてのひらを基準とするかは認定基準の本文に書かれておらず,鶏卵大面と10円銅貨大についても,センチメートル等による数値の定義は置かれていない。
瘢痕と線状痕の区別についても,認定基準に定義はない。
第3 人目につく程度,隠れる部分,複数の傷及び色の変化
1 「人目につく程度以上」の要件
(1) すべての等級に共通する要件
認定基準は,7級,9級及び12級のいずれについても,大きさの基準に当たる場合で「人目につく程度以上のもの」をいうとしている。
そのため,大きさの基準を満たすことだけで等級が決まるわけではなく,傷あとの位置や目立ち方も判断の対象となる。
(2) 眉毛や頭髪に隠れる部分
認定基準は,瘢痕,線状痕及び組織陥没のうち眉毛,頭髪等に隠れる部分は醜状として取り扱わないとしている。
その例として,眉毛の走行に一致して3.5センチメートルの縫合創痕があり,そのうち1.5センチメートルが眉毛に隠れている場合は,顔面に残った線状痕は2センチメートルとなり,外貌の醜状に当たらないとしている。
頭皮の傷あとについて,神戸地方裁判所平成14年10月8日判決(平成12年(ワ)第291号)は,学校の部活動中の事故による縫合跡について,「それが外見上醜状を呈していると認めるに足りる証拠はないから,これを後遺障害と認めることはできない。」としている。
同判決は,頭髪に隠れる部分についての認定基準との関係には触れておらず,外見上醜状を呈していることの証拠がないことを理由としている。
2 複数の傷あとの合算
(1) 相隣接する傷あとの合算
認定基準は,「2個以上の瘢痕又は線状痕が相隣接し、又は相まって1個の瘢痕又は線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、それらの面積、長さ等を合算して等級を認定すること。」と定めている。
例えば顔面に2センチメートルの線状痕が二つ並んでいる場合に,合算して3センチメートル以上として扱われるかどうかは,二つの傷あとが相隣接し,又は相まって1個の線状痕と同程度以上の醜状を呈するといえるかによることになる。
(2) 傷あとの間の距離
認定基準は,相隣接するといえる距離を数値で定めていない。
損害保険料率算出機構が平成28年に作成した「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」の書式は,外貌について,近接した距離(おおむね1センチメートル以内)に複数の傷痕が残っている場合に,傷痕の間の距離も示すよう医師に求めている。
この書式については,第7の1で説明する。
3 瘢痕・線状痕・組織陥没と色の変化
(1) 線状痕を瘢痕として評価した裁判例
福岡地方裁判所令和4年1月31日判決(平成31年(ワ)第301号)は,刃物で切り付けられた事件の被害者の頭部(毛髪部位)の長さ5センチメートルと前額部から頬部にかけての長さ12センチメートル(いずれも幅2ミリメートル)の瘢痕(線状痕)について,頭部及び顔面の長大な範囲に及び一見して明らかに人目につくとして,「実質的には鶏卵大面以上の瘢痕に準ずるものと評価できる」とし,7級12号に当たるとした。
控訴審の福岡高等裁判所令和5年5月26日判決(令和4年(ネ)第227号)では,控訴人らは,顔面の線状痕は長さ5センチメートル以上であっても相当程度の醜状にとどまると主張したが,同判決は,顔面の縫合部分の周囲で広く皮膚の色が変わっていることを指摘し,「瘢痕の程度を前記縫合部分の長さと幅あるいはそれらの積(面積)だけで判断することは相当ではない」として7級12号の判断を維持した。
これは襲撃事件の被害者が損害賠償を求めた民事訴訟であり,訴訟前の等級の判断も自賠責保険ではなく犯罪被害者等給付金の裁定によるものである。
(2) 組織陥没
顔面部の組織陥没は,10円銅貨大以上であれば7級12号の基準に当たり,顔面部の瘢痕の7級の基準(鶏卵大面以上)よりも小さな面積で7級となる。
12級の基準には組織陥没が挙げられていないが,東京地方裁判所平成20年9月25日判決(平成17年(ワ)第7727号)は,美容整形手術後の左下顎部の陥凹変形を「10円銅貨程度の瘢痕」とし,「後遺障害等級12級程度の女子の外貌醜状に該当するものと認められる。」としている。
(3) 火傷による色の変化
認定基準は,火傷が治った後の黒褐色の変色や色素脱失による白斑等で,永久的に残ると認められ,かつ,人目につく程度以上のものを,12級の単なる醜状として扱うとしている。
その場合でも,範囲が12級の大きさの基準(顔面部であれば10円銅貨大以上の瘢痕等)に当たることが前提とされている。
第4 耳・鼻・まぶたの欠損,顔面神経麻痺,眼球の亡失及び頭蓋骨の欠損
1 耳介・鼻・まぶたの欠損
(1) 欠損障害の等級と醜状の等級の上位による認定
認定基準は,まぶた(眼瞼),耳介及び鼻の欠損について,欠損障害として定められている等級と外貌の醜状の等級のうち,いずれか上位の等級により認定するとしている。
欠損障害と醜状障害を併合して等級を繰り上げるのではなく,どちらか高い方の等級による点に注意を要する。
(2) 耳介と鼻の欠損の程度
認定基準は,耳介軟骨部の2分の1以上を欠損した場合を著しい醜状(7級),その一部を欠損した場合を単なる醜状(12級)とし,鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損した場合を著しい醜状,その一部又は鼻翼を欠損した場合を単なる醜状としている。
昭和50年9月30日基発第565号別冊の障害等級認定基準は,耳介の大部分の欠損は耳の障害としては12級に当たるが醜状障害としては7級に当たるので7級で認定する例と,鼻を欠損しその機能に著しい障害を残す場合は鼻の障害としては9級に当たるが醜状障害として7級で認定する例を挙げている。
同じ認定基準は,鼻の欠損を外貌の醜状としてとらえる場合に鼻以外の顔面にも瘢痕等があるときは,鼻の欠損と顔面の瘢痕等を併せて単なる醜状か著しい醜状かを判断するとしている。
2 顔面神経麻痺と頭蓋骨の欠損
(1) 口のゆがみと閉瞼不能
認定基準は,顔面神経麻痺は神経系統の機能の障害であるが,その結果として現れる口のゆがみは単なる醜状(12級)として,閉瞼不能はまぶたの障害として取り扱うとしている。
顔面神経麻痺で口がゆがんだ場合は,傷あとがなくても外貌の醜状として12級に当たるかが検討されることになる。
(2) 頭蓋骨の欠損と神経症状
頭蓋骨のてのひら大以上の欠損は,それだけで頭部の7級12号の基準に当たる。
認定基準は,頭蓋骨のてのひら大以上の欠損により頭部の陥没が認められ,それによる脳の圧迫により神経症状がある場合は,外貌の醜状障害の等級と神経障害の等級のうちいずれか上位の等級により認定するとしている。
3 外貌の醜状どうしの関係と他の障害との併合
(1) 外貌の中の複数の醜状は併合しないこと
基発第565号別冊の障害系列表は,頭部,顔面及び頸部の醜状障害を一つの系列としている。
そのため,顔の傷あとと首の傷あとがそれぞれ12級の基準に当たる場合でも,併合して等級を繰り上げるのではなく,外貌全体として一つの等級を認定することになると考えられる。
その際,第3の2の合算の定めにより,より上位の等級に当たるかが検討される。
(2) 眼球の亡失や他の部位の醜状との併合
認定基準は,外傷や火傷による眼球の亡失により眼部周囲や顔面に組織陥没や瘢痕等が生じた場合は,眼球亡失の等級と醜状障害の等級を併合するとし,1眼及び眉毛を亡失し(8級),その周囲の組織陥没が著しい(7級)場合は併合5級とする例を挙げている。
外貌の醜状と腕や脚の露出面の醜状,外貌の醜状と露出面以外の醜状も併合するとされ,頭部に12級,背部に12級相当の醜状がある場合は併合11級とする例が示されている。
自賠責保険での併合の金額の計算は,前記の号数の記事の併合と加重の基本で説明している。
第5 平成22年6月10日を境にした改正と京都地裁判決
1 改正前の等級と改正の内容
(1) 改正前の男女別の等級
国土交通省の資料によれば,平成22年6月9日以前に発生した事故に適用される改正前の自賠法施行令別表第二は,外貌の醜状を男女で区別し,次のとおり定めていた。
改正前は9級に外貌の号がなく,9級16号は外貌とは別の障害(生殖器の障害)の号であった。
| 程度 | 改正前(女子) | 改正前(男子) | 改正後(男女共通) |
|---|---|---|---|
| 著しい醜状 | 7級12号 | 12級14号 | 7級12号 |
| 相当程度の醜状 | 定めなし | 定めなし | 9級16号 |
| 醜状 | 12級15号 | 14級10号 | 12級14号 |
表の改正前の号数は,平成16年7月1日から平成22年6月9日までに発生した事故のものである。
平成16年6月30日以前の事故の号数はさらに異なり,古い判決を読むときの号数の読替えは,後遺障害等級の号数の読み方の第4の3で説明している。
(2) 自賠責は事故日,労災は支給事由で適用が決まること
自賠責保険では,平成23年政令第116号(平成23年5月2日公布)の附則が,「改正後の自動車損害賠償保障法施行令の規定は、平成二十二年六月十日以後に発生した自動車の運行による事故について適用する。」と定めている。
公布の日より前に発生した事故にもさかのぼって適用される点に特徴がある。
労災保険では,平成23年厚生労働省令第13号(平成23年2月1日公布・施行)の附則3条3項が,改正前の男子の外貌の醜状の号に該当する障害について,平成22年6月10日前に障害補償給付等に関する決定を受けた者に係るものを除き,支給事由が生じた日から改正後の別表第一を適用するとしている。
自賠責保険が事故日を基準とするのに対し,労災保険は支給事由と支給決定の時期を基準としている。
2 京都地方裁判所平成22年5月27日判決
(1) 事案と結論
京都地方裁判所平成22年5月27日判決(平成20年(行ウ)第39号)は,業務中の事故で顔から首や胸腹部等に熱傷の瘢痕が残った男性労働者が,障害補償給付の支給処分の取消しを求めた行政訴訟である。
当時の労災則の障害等級表は,外ぼうに著しい醜状を残すものを女子は7級,男子は12級としており,同判決は,障害等級表のうち外ぼうの醜状障害について男女に差を設けている部分は憲法14条1項に違反するとして,処分を取り消した。
(2) 判示の構成
同判決は,男女で差を設けた策定理由(女性の就労実態や外ぼうに関する精神的苦痛)について,「本件差別的取扱いについて,その策定理由に根拠がないとはいえない。」としている。
そのうえで,著しい外ぼうの醜状について5級もの差(女子の7級は年金,男子の12級は一時金)を設けていることについて,「上記の大きな差をいささかでも合理的に説明できる根拠は見当たらず」としている。
他方で,同判決は,「男女に差が設けられていること自体が直ちに違憲であるともいえない」とも述べており,男女を同じ等級にすべきか,どの等級に合わせるべきかといった是正の方向までは判断していない。
(3) 判決の確定と等級表の改正
厚生労働省の平成22年6月10日付けの報道発表資料(インターネットアーカイブの保存版)は,控訴期限の同日に国として控訴を行わないこととし,違憲とされた障害等級表を見直すとしている。
国土交通省の資料は,同判決が同年6月10日に確定したと記載しており,その後,労災則は平成23年2月に,自賠法施行令は同年5月に改正された。
3 改正前の事故についての裁判例
(1) 改正前の等級表を前提とした判断
秋田地方裁判所平成22年12月14日判決(平成21年(ワ)第354号)は,平成18年7月30日に発生した交通事故で,前額中央に2.5センチメートル×2.5センチメートルの陥没痕が残った52歳の男性(銀行の課長職)について,自賠責保険で男子の外貌の醜状(14級10号)とされた事案である。
原告は,男女差は平等原則に違反するから女子と同じ12級で評価すべきであると主張したが,同判決は,その主張の当否にかかわらず,「原告Aの外貌醜状障害が労働能力に与える影響は差程とは思われず」として,右足関節の障害等と合わせた労働能力喪失率を14%にとどめた。
(2) 京都地裁判決との関係についての判示
同判決は,京都地裁判決について,「本件で問題となっている14級と12級の2級の差については何ら言及するものではない」と指摘し,「労災障害等級表や後遺障害別等級表の今後の見直しは上記認定に影響するものではない」としている。
改正前の事故について,交渉や訴訟では現行の基準に基づいて損害を算定すべきであるとする実務書の見解(アディーレ法律事務所編『申請事例からみる交通事故後遺障害の等級認定』406頁)もあるが,この判決は改正前の等級表と個別の事情を前提に判断している。
第6 腕・脚の傷あとと胸・背中の傷あと
1 労災の認定基準
(1) 露出面の範囲と等級
平成23年の認定基準は,上肢の露出面を「ひじ関節以下(手部を含む。)」,下肢の露出面を「ひざ関節以下(足背部を含む。)」と定めている。
露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すものは14級(自賠責では14級4号・5号)であり,両上肢又は両下肢の露出面の2分の1程度以上に醜状を残すものは12級を準用するとされている。
(2) 露出面以外の傷あと
露出面以外の傷あとは等級表に定めがなく,認定基準は,両上腕又は両大腿のほとんど全域,胸部又は腹部の各全域,背部及び臀部の全面積の2分の1程度をこえるものは12級,上腕又は大腿のほとんど全域,胸部又は腹部の各部の2分の1程度,背部及び臀部の全面積の4分の1程度をこえるものは14級を準用するとしている。
外貌の醜状がてのひら大や鶏卵大面といった大きさで判断されるのに対し,露出面以外の傷あとは,部位の全域又は全面積に占める割合で判断される。
2 自賠責保険の運用と裁判例
(1) 実務書が記載する自賠責保険の運用
自賠法施行令と支払基準には露出面の定義がなく,国土交通省や損害保険料率算出機構の公表資料にも露出面の範囲の記載は見当たらない。
損害保険料率算出機構の認定理由を多数転載した前記の実務書(同書403頁~404頁)は,自賠責保険では上肢の露出面を上腕(肩関節以下)から指先まで,下肢の露出面を大腿(股関節以下)から足の背までとしており,労災の基準と異なるとしている。
同書は,上肢又は下肢にてのひらの大きさの3倍程度以上の瘢痕を残すものを12級相当とする運用も記載しており,同書430頁に転載された認定理由には,右下腿と右大腿の瘢痕を合計して別表第二備考6により12級相当としたものがある。
これらは公表された基準文書ではなく実務書の整理と個別の認定例であるから,自賠責保険の認定の見通しを立てる際の参考資料として扱うことになる。
(2) 日常露出しない部位の傷あとと裁判例
東京地方裁判所平成18年6月23日判決(平成16年(ワ)第11608号)は,乳がんの誤診による乳房切除の医療事故の事案で,左胸部の約12センチメートルの醜状痕について,「後遺症と認めるべき醜状痕は、特段の事情がない限り日常露出する部分の醜状に限られるとみるべきであって」として後遺症と認めなかった。
手や足の関節付近の広い瘢痕の等級と裁判例は,手関節のデグロービング損傷と後遺障害等級認定及び足関節のデグロービング損傷と後遺障害等級認定で扱っている。
第7 認定手続と準備
1 後遺障害診断書と傷痕等に関する所見
(1) 後遺障害診断書の醜状障害欄
損害保険会社が掲載する自賠責保険後遺障害診断書の様式(自賠調18号様式)には,「⑦醜状障害(採皮痕を含む)」の欄があり,外ぼう(頭部・顔面部・頸部),上肢,下肢及びその他の区分を選んだうえで,大きさや形態等を図示する形式になっている。
耳介の欠損については,2分の1以上か未満かを選び,同じ⑦欄に図示する形式である。
診断書の作成時期と記載項目の全体は,交通事故の後遺障害診断書で説明している。
(2) 「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」の書式
日本医師会の平成28年5月18日付けの通知によれば,後遺障害診断書の醜状障害欄は小さく十分な記載が難しい場合があることから,損害保険料率算出機構が「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」の書式を作成し,平成28年10月以降,保険会社又は被害者を通じて医療機関に記入を依頼する運用が全国で始まった。
同書式の記入要領は,瘢痕,線状痕,組織陥没等の形態を具体的に記載して計測値を図示すること,外貌で近接した複数の傷痕の間の距離を示すこと,可能であれば写真を添付し,写真の裏面に撮影者の記名,資格及び捺印をすることを求めている。
本記事の調査では平成28年当時の書式と記入要領を確認しており,現在の書式が同じであるかは確認できていない。
2 面接調査と写真
(1) 面接調査
損害保険料率算出機構の認定理由を転載した前記の実務書には,醜状障害について自賠責損害調査事務所が面接調査を行い,その結果に基づいて傷あとの部位,形態や色素沈着の程度を確認して等級を判断した認定理由が多数掲載されている(同書644頁ほか)。
他方,損害保険料率算出機構の公式ウェブページと冊子「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」には,醜状障害の面接調査についての記載は見当たらない。
面接の結果で等級が判断される運用があることからすると,傷あとがどの位置から見て目立つか,髪や眉毛で隠れるかといった点は,面接の時点の状態で評価されることになると考えられる。
(2) 写真と計測値
後遺障害診断書に記載された大きさが,そのまま採用されるとは限らない。
東京地方裁判所平成19年3月8日判決(平成17年(ワ)第26111号)は,美容医療の施術による左頬の瘢痕について,後遺障害診断書の25ミリメートル×7ミリメートルという記載を,時期の異なる写真を比較したうえで採用せず,瘢痕の大きさは20ミリメートル×5ミリメートルを下回り,「近くでよく見ればそれと分かるという程度のもの」として,14級に相当する程度とした。
計測の時点,計測方法及び写真の撮影時期をそろえて記録しておくことは,こうした食い違いを避けるために役立つと考えられる。
3 傷あとの変化と認定結果への不服
(1) 傷あとの変化と症状固定の時期
傷あとは,時間の経過や治療によって大きさや色が変わることがある。
仙台地方裁判所平成29年9月28日判決(平成28年(ワ)第405号)は,美容外科手術による顎下から頸部の線条の手術痕(約4センチメートルと約5センチメートル)について,その後の写真では隆起や引きつれが小さくなり改善傾向にあるとして,「現時点における原告の症状を,後遺障害と評価することはできない」とした。
もっとも,同判決は,「手術痕の存在によって,接客業に就きにくくなるなど就職において不利益を被った」こと等を考慮して慰謝料100万円を認めている。
症状固定の時期は主治医の判断によるが,傷あとの後遺障害診断書は,傷あとの状態がそれ以上変わらなくなった時点で作成されることが前提になると考えられる。
(2) 認定結果に不服がある場合
自賠責保険の認定結果に不服がある場合の異議申立ての方法は,自賠責保険の後遺障害等級認定への異議申立てで説明している。
訴訟では,自賠責保険の認定がそのまま裁判所の判断になるわけではなく,奈良地方裁判所葛城支部平成13年12月25日判決(平成13年(ワ)第168号)は,既存の傷あとと同じ系列だから新たな後遺障害にならないとの被告の主張に対し,「上記は自賠責保険の認定基準にすぎないのであって,それに裁判所が拘束されるいわれはなく」としている。
第8 後遺障害慰謝料と労働能力喪失率
1 自賠責保険の支払基準
(1) 慰謝料の額と労働能力喪失率
自賠責保険の支払基準は,令和2年4月1日以後に発生した事故について,外貌の醜状の各等級の後遺障害慰謝料の額と労働能力喪失率を次のとおり定めている。
| 等級 | 保険金額(自賠法施行令別表第二) | 後遺障害慰謝料(支払基準) | 労働能力喪失率(支払基準別表Ⅰ) |
|---|---|---|---|
| 7級12号 | 1051万円 | 419万円 | 56/100 |
| 9級16号 | 616万円 | 249万円 | 35/100 |
| 12級14号 | 224万円 | 94万円 | 14/100 |
支払基準第1の1は,保険金の支払を自賠法施行令に定める保険金額を限度として行うとしており,保険金額は,逸失利益と慰謝料等から成る後遺障害による損害について自賠責保険から支払われる額の上限となる。
支払基準の全文と改正の経緯は,自賠責保険の支払基準で扱っている。
(2) 支払基準には外貌醜状を理由とする逸失利益の制限がないこと
支払基準と自賠法施行令には,外貌の醜状を理由に逸失利益を否定し又は制限する定めはなく,支払基準は等級に応じた労働能力喪失率表によって逸失利益を算定する仕組みになっている。
これに対し,訴訟では,傷あとが実際に労働能力に影響するかが個別に争われる(第9)。
2 訴訟で用いられる慰謝料の基準
(1) 赤い本と大阪地裁基準の額
訴訟で用いられる基準として,『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(いわゆる赤い本)と大阪地裁民事交通訴訟研究会編『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準』がある。
本記事で確認した版の後遺障害慰謝料の基準額は,次のとおりである。
| 等級 | 赤い本2026年版(基準編223頁) | 大阪地裁基準第4版(11頁) |
|---|---|---|
| 7級 | 1000万円 | 1030万円 |
| 9級 | 690万円 | 670万円 |
| 12級 | 290万円 | 280万円 |
いずれも支払基準の額を大きく上回る。
赤い本2026年版は,改正前の男子の醜状(14級10号)等に当たる14級の基準額を110万円としている。
三つの算定基準の関係は,交通事故の慰謝料の種類と三つの算定基準で説明している。
(2) 外貌醜状の慰謝料の加算と事故日の注意
赤い本2026年版の基準編223頁は,外貌醜状の傷あとが12級には当たるがより上位の等級には至らない場合でも,症状によっては認定された等級の慰謝料に相当額を加算することがあるとしている。
同書163頁は,逸失利益の「外貌醜状等」の項の冒頭で,平成22年6月9日までの事故と同月10日以降の事故とで等級が異なることに注意を促している。
3 赤い本2026年版が紹介する慰謝料の増額例と通院交通費
(1) 基準額を上回る後遺障害慰謝料を認めた例
赤い本2026年版の基準編223頁以下は,後遺症慰謝料の認定例を等級ごとに紹介しており,外貌醜状の事案では,傷あとの程度のほか,被害者の年齢,治療の経過,将来の希望の断念及び加害者の悪質性を考慮して基準額を上回る額を認めた例がある。
同書230頁は,顔面醜状及び疼痛(7級12号相当)の旅行会社添乗員の女性(症状固定時27歳)について,加害者が酒気帯びで速度超過の上で立ち去ったという悪質性や,高校生の頃から希望していた海外旅行添乗員になることを断念したこと等を斟酌し,後遺障害分1250万円を認めた東京地方裁判所平成20年7月22日判決(交民41巻4号935頁)を紹介している。
同書234頁は,顔面に大きな瘢痕3か所と線状痕2か所が残った(12級14号)症状固定時9歳の女子について,加害者が飲酒の上で居眠り運転をしたことや,被害者が皮膚移植の手術を繰り返したことを考慮し,後遺障害分784万円を認めた大阪地方裁判所平成21年1月30日判決(交民42巻1号101頁)を紹介している。
同書235頁は,左耳の後ろ,左眉の下及び左鼻翼部の瘢痕(12級14号)のほか肩や手足にも瘢痕(等級非該当)が残った事故時8歳の男子について,瘢痕の多さに照らすと精神的苦痛はより大きいとして,後遺障害慰謝料330万円を認めた横浜地方裁判所令和5年11月20日判決(自保ジャーナル2161号26頁)を紹介している。
(2) 等級に当たらない顔の傷あとと慰謝料
同書237頁~239頁は,自賠法上の後遺障害に至らないか該当しない事例を紹介しており,その中には顔の傷あとの事例が複数ある。
同書238頁は,右前頭部の線状痕(等級非該当)のほか神経症状と股関節の機能障害(併合11級)が残った男性会社員(症状固定時32歳)について,顔面の線状痕は労働能力喪失率の算定では考慮できないが,周囲の視線が気になるなど対人関係等に消極的になる可能性は否定できないとして後遺障害慰謝料の増額事由として斟酌し,後遺障害分500万円を認めた横浜地方裁判所平成26年1月31日判決(自保ジャーナル1922号99頁)を紹介している。
同じ頁は,下口唇部外側の長さ1センチメートルの凹凸を伴う線状瘢痕(等級非該当)が残った厨房機器用品の販売等に従事する男性(事故時26歳)について,顔面の正面から一目で判別できる程度に盛り上がり赤く変色していること,接客や営業を行う職に就き精神的苦痛を被っていること等から,後遺障害分60万円を認めた高松高等裁判所平成30年9月6日判決(交民51巻5号1049頁)を紹介している。
他方,同じ頁は,右上瞼外側の約7ミリメートル×1ミリメートル程度の線状痕(等級非該当)が残った病院勤務の女性(事故時24歳)について,顔面の瘢痕であり金銭的慰謝が相当な精神的苦痛は生じたといえるものの,大きさに照らし顕著な精神的苦痛を伴うものとは評価できないとして,後遺障害分を20万円とした大阪地方裁判所令和3年3月9日判決(自保ジャーナル2093号47頁)を紹介している。
赤い本の基準額は等級ごとの目安であり,これらの紹介例からは,顔の傷あとの慰謝料が,等級だけでなく傷あとの数,位置,目立ち方及び被害者の事情によって増減していることがうかがわれる。
(3) 通院のタクシー代
赤い本2026年版の基準編46頁は,通院交通費について,症状などによりタクシー利用が相当とされる場合以外は電車,バスの料金によるとしている。
同頁は,外貌醜状(7級12号)の短大生の女性(症状固定時23歳)について,下肢を負傷したものではなく公共交通機関を利用しての通院が不可能であったわけではないが,顔面を負傷しており人目をはばかる心情も理解できないものではないとして,タクシー代12万円余を認めた大阪地方裁判所平成26年3月27日判決(自保ジャーナル1927号92頁)を紹介している。
顔の傷を理由にタクシーで通院した場合は,傷の部位や通院の時期を踏まえてタクシー利用の相当性を主張することになると考えられる。
第9 逸失利益が争われる理由と裁判例の傾向
1 逸失利益が争われる理由と確認した範囲
(1) 減収がない場合の逸失利益についての最高裁判決
最高裁判所第三小法廷昭和56年12月22日判決(昭和54年(オ)第354号,民集35巻9号1350頁)は,傷あとの事案ではなく,研究所に勤める技官に比較的軽微な後遺症が残ったものの収入が減っていない事案について,「特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。」とした。
同判決は,特段の事情の例として,本人の特別の努力によって減収を免れている場合や,昇給,昇任,転職等に際して不利益な取扱いを受けるおそれがある場合を挙げている。
本記事で確認した裁判所ウェブサイト掲載の外貌醜状の裁判例には,この最高裁判決を引用したものは見当たらなかった。
もっとも,顔の傷あとは手足の機能障害と異なり身体の動きを直接制限しないため,減収の有無や職業への影響が逸失利益の争点になりやすいと考えられる。
減収のない被害者の逸失利益の立証方法は,交通事故の後遺障害逸失利益で説明している。
(2) 外貌醜状と労働能力についての下級審の説示と確認した範囲
福岡地方裁判所平成16年10月25日判決(平成13年(ワ)第413号)は,交通事故で顔面の醜状(7級12号)と高次脳機能障害や咀嚼障害が残った32歳の女性について,「外貌醜状については,一般には労働能力の低下をきたさないとはいうものの」としつつ,醜状の部位が顔面であり接客等で労働能力に影響しないとはいえないことを,他の障害と合わせた労働能力喪失率80%の考慮要素の一つとした。
以下の2から4は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索で「外貌醜状」「醜状」「線状痕」「瘢痕」等の語により令和8年9月17日に検索し,判決全文を確認した裁判例のうち,顔,頭又は首の傷あとについて等級,逸失利益又は慰謝料を判断したものを整理したものである。
判例雑誌や商用データベースにだけ収録された多数の下級審裁判例は含まれておらず,交通事故以外の事件(学校事故,美容医療,暴行等)も含むため,裁判例全体の傾向を示すものではない。
判例雑誌に掲載された交通事故の裁判例については,5で赤い本2026年版の紹介に基づいて補う。
2 逸失利益を認めた裁判例
(1) 接客業の被害者
前記福岡地方裁判所令和4年1月31日判決は,ラウンジ等を経営していた女性について,接客業では容貌や表情が重要な意味を持つことが多く,「その重要性は稼働の態様(従業員か経営者か等)によって異なるものではない」として,股関節の機能障害や精神障害と合わせた併合6級の労働能力喪失率67%を30年間認めた。
控訴審の前記福岡高等裁判所令和5年5月26日判決は,顔面の傷あとがあることを理由に7級の一般的な労働能力喪失率より低いと評価することはできないとし,被害者の年齢(襲撃時35歳)等から他の職業に就くことには一定の困難が伴うとして,「転職の可能性をもって前記説示は左右されない」とした。
横浜地方裁判所令和7年4月25日判決(令和5年(ワ)第3101号)は,暴行を受けて右眉部に2センチメートルの膨隆,右上まぶたに2センチメートルの陥没及び斜鼻が残った飲食店経営の女性について,「これらは後遺障害等級12級14号の「外貌に醜状を残すもの」に相当する後遺障害であると認めるのが相当である」とした。
そのうえで,客から瘢痕について言及される等の業務上の支障を認めつつ,後遺障害の内容や程度等に照らして労働能力喪失率を原告の主張を下回る10%とし,症状固定時の年齢(59歳)から期間を10年とした。
(2) 年少者と他の重い後遺障害との併存
大分地方裁判所平成26年6月30日判決(平成25年(ワ)第347号)は,学校の体育館での事故で前額部に瘢痕が残った中学1年の女子について,「原告の外貌に相当程度の醜状を残すもの」と認め,「原告の労働能力喪失率は35%とするのが相当である。」として,男女計の全年齢平均賃金を基礎に18歳から67歳までの逸失利益を認めた。
もっとも,同判決は,職業や減収の見込み等の個別の検討を示さずに35%としており,年少者の顔の傷あとについて一般に労働能力喪失率表どおりの率が認められることを示したものとまではいえない。
前記福岡地方裁判所平成16年10月25日判決は,顔面の醜状を高次脳機能障害や咀嚼障害と合わせて評価したものであり,顔の傷あと単独の労働能力喪失率を示したものではない。
3 逸失利益を否定又は限定した裁判例
(1) 減収がない場合と対人業務でない職業
前記奈良地方裁判所葛城支部平成13年12月25日判決は,交通事故で左頬や唇の周囲に線状瘢痕が残った特別養護老人ホームの寮母の女性について,改正前の女子の7級12号に当たるとしながら,「そもそも現実に減収が生じておらず,本件の醜状痕が将来の労働能力に影響を与えるものであるかどうか判然としない」などとして逸失利益を認めず,後遺障害慰謝料1100万円の算定で補完的に考慮した。
ただし,この事案の被害者には以前の事故による顔面の7級12号の傷あとがあり,逸失利益の理由には,今回の傷あとによる影響と既存の傷あとによる影響を区別できないことも挙げられている。
赤い本2026年版の基準編239頁も,既存障害のある被害者の慰謝料の事例としてこの判決(判時1789号103頁)を取り上げ,逸失利益が認められない点を考慮し,前の顔面醜状は減額要素とはならないとして1100万円を認めたものと紹介している。
既存の傷あとがある被害者の逸失利益について,赤い本2024年版(講演録編)所収の東京地方裁判所民事第27部の裁判官の講演は,既存障害が外貌醜状や歯牙障害等で被害者の労働能力に影響を及ぼすものとは認められない場合には,そもそも既存障害を考慮すべきではなく,現在の後遺障害の労働能力喪失率から既存障害の喪失率を差し引く方式(引き算方式)を用いる前提を欠くとしている(同書62頁)。
これによれば,以前の事故による顔の傷あとがあることだけを理由に,今回の事故による逸失利益を機械的に減らすことはできないことになる。
大阪高等裁判所平成13年11月28日判決(平成13年(ネ)第708号)は,交通事故で顔面に3センチメートル,2センチメートル及び1.5センチメートルの瘢痕拘縮が残った専業主婦について,「瘢痕拘縮の程度及び控訴人Aは専業主婦であることに照らすと」として瘢痕拘縮による労働能力の喪失を認めず,慰謝料で考慮した。
前記秋田地方裁判所平成22年12月14日判決も,銀行の課長職の男性の前額の陥没痕について,労働能力に与える影響は大きくないとして,他の障害と合わせた労働能力喪失率に醜状の分を上乗せしなかった(第5の3)。
(2) 傷あとが小さい又は程度が軽い場合
広島高等裁判所松江支部平成15年10月24日判決(平成15年(ネ)第42号)は,犬にかまれて上唇に7ミリメートル×7ミリメートル大の瘢痕が残った10歳の女児について,後遺障害の残存を認めて後遺障害慰謝料60万円を認めたが,「その部位・程度からみて,これが労働能力に影響を与えると認めるのは困難であるから」として逸失利益を認めなかった。
その原審は,顔面部の12級の基準(10円硬貨大以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕)に照らし,この瘢痕は12級にも14級にも当たらないとしていた。
前記東京地方裁判所平成20年9月25日判決は,下顎部の10円銅貨程度の陥凹瘢痕を12級程度の女子の外貌醜状に当たるとしながら,「労働能力喪失をもたらす内容程度の後遺障害とは認められない。」として逸失利益を認めず,後遺症慰謝料200万円を認めた。
4 慰謝料での考慮と裁判例の整理
(1) 逸失利益を認めない代わりに慰謝料で考慮する構成
逸失利益を認めなかった裁判例の多くは,傷あとによる不利益を後遺障害慰謝料の算定で考慮している。
前記奈良地方裁判所葛城支部判決は,「上記醜状痕によって被る不利益は慰謝料算定にあたって補完的に斟酌するのが相当である。」としており,前記大阪高等裁判所判決も瘢痕拘縮を慰謝料で斟酌するとしている。
等級に至らない傷あとについても,前記仙台地方裁判所判決は就職上の不利益を考慮して慰謝料を認めている。
逸失利益を請求するかどうか,請求する場合にどの程度の率を主張するかは,職業,年齢,減収の有無,傷あとの部位と大きさを踏まえ,慰謝料での考慮と合わせて検討することになる。
(2) 裁判例の整理表
本記事で取り上げた顔,頭及び首の傷あとの裁判例を整理すると,次のとおりである。
| 裁判例 | 事案の種類・被害者 | 傷あと・等級の扱い | 逸失利益 | 慰謝料での扱い |
|---|---|---|---|---|
| 大阪高判平成13年11月28日 | 交通事故・専業主婦 | 顔面の瘢痕拘縮(等級を示さず) | 瘢痕拘縮分は否定 | 慰謝料で斟酌 |
| 奈良地葛城支判平成13年12月25日 | 交通事故・寮母 | 顔面の線状瘢痕・7級12号(改正前女子) | 否定 | 慰謝料1100万円で補完的に斟酌 |
| 広島高松江支判平成15年10月24日 | 犬咬傷・10歳女児 | 上唇の7ミリメートル×7ミリメートルの瘢痕 | 否定 | 後遺障害慰謝料60万円 |
| 福岡地判平成16年10月25日 | 交通事故・32歳女性 | 顔面醜状7級12号を含む併合4級 | 他障害と合わせ80% | 特記なし |
| 東京地判平成19年3月8日 | 美容医療 | 左頬の瘢痕・14級相当 | 請求なし | 後遺症慰謝料100万円 |
| 東京地判平成20年9月25日 | 美容医療 | 下顎部の陥凹・12級程度 | 否定 | 後遺症慰謝料200万円 |
| 秋田地判平成22年12月14日 | 交通事故・52歳男性 | 前額の陥没痕・14級10号(改正前男子) | 他障害と合わせ14% | 特記なし |
| 大分地判平成26年6月30日 | 学校事故・中学1年女子 | 前額部瘢痕・相当程度の醜状 | 35% | 後遺障害慰謝料690万円(争いなし) |
| 仙台地判平成29年9月28日 | 美容医療 | 頸部の手術痕・後遺障害と評価せず | 請求なし | 就職上の不利益を考慮し100万円 |
| 福岡地判令和4年1月31日・福岡高判令和5年5月26日 | 襲撃事件・接客業の女性 | 顔面の瘢痕・7級12号を含む併合6級 | 併合6級で67%・30年 | 後遺障害慰謝料1180万円 |
| 横浜地判令和7年4月25日 | 暴行事件・飲食店経営の女性 | 右眉・まぶた等・12級14号相当 | 10%・10年 | 後遺障害慰謝料320万円 |
表の改正前の号数は各判決の記載による。
上訴の有無と上訴審の結論は,福岡地方裁判所令和4年1月31日判決に対する控訴が棄却されたことを除き,本記事では確認できていない。
5 赤い本2026年版が紹介する裁判例の傾向
(1) 「外貌醜状等」の項の構成
赤い本2026年版の基準編163頁~170頁の「外貌醜状等」の項は,7級,9級,12級,14級,非該当及び男性の事例に分けて,外貌醜状を含む後遺障害について労働能力の喪失を認めた裁判例を紹介しており,同書2011年版下巻39頁及び2020年版下巻47頁の講演の参照も求めている。
紹介された裁判例の労働能力喪失率には幅があり,顔の傷あとで7級とされた事案でも,単独の7級12号で10%にとどめたものから,他の後遺障害と併合された事案で79%を認めたものまであり,顔の傷あとで12級とされた事案ではおおむね5%から20%である。
以下は同書の紹介に基づく整理であり,いずれの裁判例も裁判所HP未掲載であり,判決全文は確認していない。
(2) 接客業・対人業務の被害者
接客を伴う職業の被害者では,比較的高い率が認められている。
同書163頁は,右顔面の変形・醜形(7級)のほか味覚低下,複視,感音難聴等が残った寿司職人の女性(症状固定時31歳)について36年間56%を認めた東京地方裁判所平成6年12月27日判決(交民27巻6号1892頁)と,顔面醜状(7級)の女性(症状固定時25歳)について,アルバイトとはいえ接客業に就いていたこと等から42年間30%を認めた大阪地方裁判所平成17年9月21日判決(交民38巻5号1291頁)を紹介している。
同書165頁は,空港ラウンジで接客業に従事する契約社員の女性(症状固定時33歳)の,化粧を施しても正面から見てそれと分かる右頬から右耳殻に至る長さ9センチメートルの線状痕等(9級16号)について,事故前の実収入を基礎に34年間35%を認めた名古屋地方裁判所平成26年5月28日判決(交民47巻3号693頁)を紹介している。
同書167頁は,宿泊施設の仲居の女性(症状固定時21歳)の口唇下部の線状瘢痕(12級14号)等(併合11級)について,線状瘢痕が一見して分かり化粧や髪型によって目立たなくすることも容易でないこと,接客業の継続が困難になったこと等から,46年間20%を認めた京都地方裁判所令和3年5月14日判決(自保ジャーナル2101号55頁)を紹介している。
(3) 減収がない場合と目立たなくできる場合
減収がない事案でも,労働能力の喪失を認めた例がある。
同書165頁は,一家の支柱である介護士の女性(症状固定時44歳)の外貌醜状(旧基準7級12号)等について,事故後の減収はないが,前額部の醜状痕を始終人目を気にして労働効率等に悪影響が及んでおり,就労への影響を抑えるために日々相当程度の努力を重ねていること,今後転職する場合には不利益が考えられること等から,23年間20%を認めた神戸地方裁判所平成25年11月28日判決(交民46巻6号1534頁)を紹介している。
他方,傷あとを目立たなくできることや現実の不利益がないことを理由に,率を低くした例もある。
同書165頁は,介護職員の女性(症状固定時54歳)の前額部左の15センチメートル×2ミリメートルの瘢痕等(7級12号)について,円滑な意思疎通の上で支障が生じうるが,減収がなく,化粧や髪型等によってある程度目立たなくすることができることに照らし,13年間10%を認めた東京地方裁判所平成28年1月25日判決(自保ジャーナル1969号54頁)を紹介している。
同書164頁は,高校生の女性(事故時17歳)の左眉周辺の線状痕と下顎部の瘢痕(7級12号)等(併合6級)について,7級の外貌醜状としては比較的軽度であり,化粧品販売会社に美容部員として採用され特段の不利益を被ったことはうかがわれないが,就職活動で具体的に不利益な影響を生じた可能性も小さいとはいえないこと等から,46年間12%を認めた名古屋地方裁判所平成25年1月24日判決(交民46巻1号116頁)を紹介している。
(4) 年少者と学生
年少者では,18歳から67歳までの期間について労働能力の喪失を認める例が紹介されているが,率は事案により異なる。
同書166頁は,事故時2歳の女児の顔面傷痕(12級14号)について,賃金センサスの全労働者全年齢平均を基礎に18歳から67歳まで14%を認めた福井地方裁判所敦賀支部平成14年5月17日判決(交民35巻3号686頁)を紹介し,同書170頁も,症状固定時10歳の小学生の顔面醜状(12級14号)について18歳から67歳まで14%を認めた前記横浜地方裁判所令和5年11月20日判決を紹介している。
他方,同書166頁は,小学生の女子(症状固定時12歳)の顔面線状痕・陥没痕(12級15号)について,今後の進路や職業の選択等で不利益な扱いを受ける蓋然性を否定できず,醜状痕を気にして消極的になる可能性も考慮して,49年間5%を認めた名古屋地方裁判所平成24年11月27日判決(交民45巻6号1370頁)を紹介している。
同じ頁は,保育士を希望する大学生の女性(症状固定時19歳)の口唇部の10円銅貨大以上の瘢痕(12級15号)について,子どもに接する仕事であり就職が制限される蓋然性があるとして,大学卒業から制限の蓋然性が高い40歳まで14%を認め,それ以降の不利益は慰謝料で考慮するとした名古屋地方裁判所平成25年7月5日判決(自保ジャーナル1908号73頁)を紹介している。
12級15号は,第5の1の表のとおり,改正前の女子の外貌の醜状の号である。
(5) 男性の被害者
同書は,平成22年6月10日以後の事故について男女の区別がなくなった後も「男性の事例」を別に掲げており,男性でも労働能力の喪失を認めた例が紹介されている。
同書169頁は,自動車運転手の男性(症状固定時41歳)の口唇部挫創後瘢痕(9級16号)について,長さ5センチメートル以上の人目に付く程度の線状痕であり,初対面に近い顧客との折衝に消極的になっていること,社内の評判が落ちて将来の昇進や転職に影響する可能性を否定できないこと等から,27年間35%を認めたさいたま地方裁判所平成27年4月16日判決(自保ジャーナル1950号84頁)を紹介している。
同書168頁は,作業療法士の男性(症状固定時29歳)の顔面おとがい部の長さ5センチメートル以上の線状痕(12級13号)と歯牙障害(併合10級)について,事故後の年収が事故時を上回っているものの,職場への遠慮等から無理をして職責をこなしていたこと等から,外貌醜状による労働能力の喪失も認められるとして,38年間15%を認めた横浜地方裁判所平成24年1月26日判決(自保ジャーナル1876号65頁)を紹介している。
他方,12級の男性の事例では,低い率にとどめたものが多い。
同書169頁は,舞台俳優を目指し衣料品店の準社員として働く男性(症状固定時25歳)の下顎部正面の挫創治癒痕(12級14号)について,舞台活動では外見の均整も重要な要素であることは否定し難いとして,67歳まで5%を認めた東京高等裁判所平成28年12月27日判決(交民49巻6号1335頁)を紹介している。
同書169頁~170頁は,配達業務等に従事する男性(症状固定時37歳)の左眼下部と左頬の線状痕(12級14号)について,転職活動で接客や営業の仕事を避けるようになっていること等から,30年間7%を認めた神戸地方裁判所令和2年6月11日判決(交民53巻3号642頁)を紹介している。
(6) 頭部の傷あと
同書168頁は,頭部の3か所の線状瘢痕(12級13号)と歯牙障害(併合11級)が残った男性(症状固定時23歳・職業不明)について,対人面接が重要な職種によっては就労の機会を制限され,労働の意欲を低下させるとして,44年間5%を認めた東京高等裁判所平成14年6月18日判決(交民35巻3号631頁)を紹介している。
同書169頁は,交通誘導警備員の男性(症状固定時66歳)の頭蓋骨欠損による左額部から左頭部の組織陥没(12級14号)について,肉体労働への就労は極めて危険で,陥没が正面から見ても顕著であること等から,単に外貌醜状にとどまらず就労に大きな制約を受けているとして10級に相当するとし,6年間27%を認めた上で既往症を理由に30%の素因減額をした神戸地方裁判所平成26年11月26日判決(交民47巻6号1430頁)を紹介している。
(7) 紹介例からうかがわれる傾向
これらの紹介例からは,①接客業や対人業務に就いている被害者や,昇進・転職への影響が具体的に認定された被害者では比較的高い率が認められていること,②減収がなくても就労上の努力や将来の不利益が認定されれば逸失利益が認められることがある一方,化粧や髪型で目立たなくできる場合などは率や期間が抑えられていること,③年少者では18歳から67歳までの期間が認められた例があるが率は5%から14%と事案により異なること,④男性でも労働能力の喪失が認められているが,12級では5%から15%程度の低い率にとどまる例が多いことがうかがわれる。
これらは赤い本が選んで紹介した労働能力の喪失を認めた例であり,逸失利益を否定した裁判例の数や割合を示すものではない。
第10 出典
1 法令
①e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」(別表第二及び平成23年政令第116号附則を確認),令和8年9月17日閲覧。
②e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」(別表第一及び平成23年厚生労働省令第13号附則3条を確認),令和8年9月17日閲覧。
2 告示・通達・所管行政機関の資料
①国土交通省掲載「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」,平成13年金融庁・国土交通省告示第1号,第3。
②国土交通省掲載「労働能力喪失率表」(支払基準別表Ⅰ)。
③厚生労働省「外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準について」,平成23年2月1日基発0201第2号。
④厚生労働省「障害等級認定基準について」,昭和50年9月30日基発第565号別冊(障害系列表,耳及び鼻の項)。
⑤国土交通省「自動車損害賠償保障法施行令の一部を改正する政令の公布について」及び添付資料「外貌醜状に関する後遺障害等級の改正」。
⑥厚生労働省「5月27日の京都地方裁判所の判決への国の対応について」,平成22年6月10日報道発表資料(インターネットアーカイブ保存版)。
3 団体の文書・様式
①日本医師会「「交通事故受傷後の傷痕等に関する所見」新設にあたってのお願い」,平成28年5月18日(損害保険料率算出機構の依頼文,書式及び記入要領を添付。富山県医師会掲載)。
②損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」及び冊子「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」。
③自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(自賠調18号様式),損害保険会社掲載の様式。
4 裁判例
①最高裁判所第三小法廷昭和56年12月22日判決・昭和54年(オ)第354号,民集35巻9号1350頁。
②大阪高等裁判所平成13年11月28日判決・平成13年(ネ)第708号,裁判所ウェブサイト。
③奈良地方裁判所葛城支部平成13年12月25日判決・平成13年(ワ)第168号,裁判所ウェブサイト。
④神戸地方裁判所平成14年10月8日判決・平成12年(ワ)第291号,裁判所ウェブサイト。
⑤広島高等裁判所松江支部平成15年10月24日判決・平成15年(ネ)第42号,裁判所ウェブサイト。
⑥福岡地方裁判所平成16年10月25日判決・平成13年(ワ)第413号,裁判所ウェブサイト。
⑦東京地方裁判所平成18年6月23日判決・平成16年(ワ)第11608号,裁判所ウェブサイト。
⑧東京地方裁判所平成19年3月8日判決・平成17年(ワ)第26111号,裁判所ウェブサイト。
⑨東京地方裁判所平成20年9月25日判決・平成17年(ワ)第7727号,裁判所ウェブサイト。
⑩京都地方裁判所平成22年5月27日判決・平成20年(行ウ)第39号,裁判所ウェブサイト。
⑪秋田地方裁判所平成22年12月14日判決・平成21年(ワ)第354号,裁判所ウェブサイト。
⑫大分地方裁判所平成26年6月30日判決・平成25年(ワ)第347号,裁判所ウェブサイト。
⑬仙台地方裁判所平成29年9月28日判決・平成28年(ワ)第405号,裁判所ウェブサイト。
⑭福岡地方裁判所令和4年1月31日判決・平成31年(ワ)第301号,裁判所ウェブサイト。
⑮福岡高等裁判所令和5年5月26日判決・令和4年(ネ)第227号,裁判所ウェブサイト。
⑯横浜地方裁判所令和7年4月25日判決・令和5年(ワ)第3101号,裁判所ウェブサイト。
第8の3及び第9の5で赤い本の紹介により取り上げた裁判例は,裁判所HP未掲載であるため,ここには掲げず,本文に掲載誌を記載した。
5 書籍
①アディーレ法律事務所編『申請事例からみる交通事故後遺障害の等級認定』(中央経済社,2022年)403頁~406頁,430頁及び644頁。
②公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2026年版』46頁,163頁~170頁,223頁,230頁,234頁~235頁及び237頁~239頁。
③公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 下巻(講演録編)2024年版』62頁。
④大阪地裁民事交通訴訟研究会編『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準〈第4版〉』(判例タイムズ社)11頁。