メインコンテンツへスキップ

相続放棄・相続債務

被相続人の未納の国税は相続人がどう引き継ぐか―国税通則法5条の相続分による承継,遺産分割との関係,納付責任額,限定承認・相続放棄及び大阪国税局の承継マニュアル(AI作成)

目次第1 この記事の対象1 対象と基準日2 大阪国税局の「相続による納税義務の承継マニュアル」3 関連記事第2 相続人が引き継ぐ国税1 引き継ぐのは三種類の国税と滞納処分費2 誰が引き継ぐか第3 相続人が2人以上いるときの承継税額1 法定相続分・代襲相続分・指定相続分だけで按分する2 遺産分割は承継税額を変えない3 遺言による相続分の指定と遺留分第4 納付責任額1 相続で得た財産が承継税額より多い相続人の責任2 マニュアルの計算例3 他の相続人が納めた場合の納付責任4 相続税の連帯納付義務とは別の制度第5 限定承認・相続放棄・相続人不存在1 限定承認2 相続放棄3 相続人不存在・全員の相続放棄第6 相続財産に対する滞納処分1 単純承認をした相続人の固有財産2 遺産分割前の相続財産3 差押えの後の遺産分割第7 相続人の調査と通知1 国税側の相続人調査2 相続人への通知第8 マニュアルを読むときに注意する点1 令和3年7月以後の改正等2 表記の誤り等第9 相続人の側の実務の手順第10 出典1 法令2 通達3 裁判例4 公的資料第11 今後掘り下げる事項
第1 この記事の対象
1 対象と基準日

本記事は,被相続人が納めていなかった国税(所得税,消費税等)を相続人がどのように引き継ぐかについて,国税通則法5条の仕組み,相続人が2人以上いる場合の承継税額と納付責任額の計算,遺産分割・遺言との関係,限定承認・相続放棄・相続人不存在の場合の扱い及び相続財産への滞納処分を整理するものである。
令和8年10月1日時点で,国税通則法,国税徴収法,民法等の条文,国税庁の法令解釈通達,税務大学校の公表資料及び裁判例を確認して作成した。

2 大阪国税局の「相続による納税義務の承継マニュアル」

本記事の出発点は,大阪国税局徴収部徴収課が令和3年7月に作成した「相続による納税義務の承継マニュアル」である。
本ブログに掲載しているPDFは,表紙・凡例・目次を含めて46枚,本文の印字頁は1頁~42頁である。
第1章(相続の意義と効果),第2章(相続による納税義務の承継),第3章(具体的な相続人調査方法)及び第4章(納税義務の承継手続)から成り,徴収職員が滞納者の死亡を把握した後に相続人を調べ,承継税額と納付責任額を計算し,相続人に通知するまでの手順を説明している。

(1) 開示されていない部分

第3章の相続開始の事実の把握と相続人等の把握の手順(20頁~21頁),相続人等の調査の具体的な流れの一部(27頁~28頁),外国籍の被相続人の相続人調査フロー(18頁),被相続人について納税の猶予等を行っている場合等の取扱い(39頁)及び承継手続の具体的な流れ(42頁)等は黒塗りである。
本記事では,黒塗りの部分の内容を推測しない。

(2) 資料の性質

このマニュアルは国税局内部の事務の手引であり,法令解釈通達そのものではない。
本記事では,マニュアルの記載を国税通則法基本通達(徴収部関係)及び国税徴収法基本通達の現在の本文と照合し,食い違う点や令和3年7月以後の改正で読み替えが要る点を第8で挙げた。

3 関連記事

相続人のあることが明らかでない場合の税金は「相続財産清算人と税金―滞納国税の承継と差押え,清算人の報酬との優劣,準確定申告,固定資産税及び特別縁故者の相続税」で,限定承認をした場合のみなし譲渡所得等は「限定承認と税金――みなし譲渡,準確定申告,相続税及び住民税」で整理している。
被相続人の死亡年分の所得税の申告は「準確定申告-4か月の期限・必要書類・書き方・e-Taxと相続税」で,生前贈与と国税徴収法39条の第二次納税義務は「相続放棄と生前贈与スキームの限界」で扱っている。

第2 相続人が引き継ぐ国税
1 引き継ぐのは三種類の国税と滞納処分費

相続(包括遺贈を含む。)があった場合には,相続人(包括受遺者を含む。)又は民法951条の相続財産法人は,被相続人に課されるべき,又は被相続人が納付し,若しくは徴収されるべき国税(滞納処分費を含む。)を納める義務を承継する(国税通則法5条1項前段)。
相続税と違って財産を取得したことに課される税ではなく,被相続人が負っていた租税債務そのものを引き継ぐ制度である。
国税通則法基本通達(徴収部関係)は,三つの国税を次のように説明している(第5条関係4~6)。
①「課されるべき国税」は,相続開始の時において,被相続人について納付義務は成立しているが,納付すべき税額が確定していない国税である(例えば,死亡した年の所得税で申告がされていないもの)。
②「納付すべき国税」は,相続開始の時において,納付すべき税額が確定している国税である(例えば,申告済みで未納の所得税や,決定・更正を受けた税額)。
③「徴収されるべき国税」は,被相続人が源泉徴収義務者として徴収すべきであった源泉所得税等で,相続開始時までに徴収がされていないものである。

(1) 税務上の地位も引き継ぐ

承継によって,相続人は,被相続人の国税について申告,申請又は不服申立て等をする主体となり,税務署長がする更正・決定,納税の告知,督促,滞納処分及び還付の相手方となる(マニュアル14頁)。
被相続人に対して既にされていた納期限の延長,延納,納税の猶予,換価の猶予,滞納処分の停止,物納の許可,これらの申請及び担保の提供も,相続人はその状態のまま国税を承継する(国税通則法基本通達(徴収部関係)第5条関係7)。

(2) 被相続人が連帯納付義務者・第二次納税義務者であった場合

(続きを読む...)被相続人の未納の国税は相続人がどう引き継ぐか―国税通則法5条の相続分による承継,遺産分割との関係,納付責任額,限定承認・相続放棄及び大阪国税局の承継マニュアル(AI作成)

限定承認の手続と換価―申述,公告・催告,弁済の順序,競売・価額弁済及び無剰余取消し(AI作成)

目次第1 この記事の対象1 対象と基準日2 関連記事第2 限定承認とは1 限定承認の効果2 共同相続人全員でする必要がある3 限定承認を選ぶかどうか第3 限定承認の申述1 申述の期間2 申述先・費用・必要書類3 財産目録4 相続人が数人ある場合の相続財産清算人第4 相続債権者及び受遺者への公告・催告1 公告2 個別の催告3 公告・催告を怠った場合第5 弁済の順序1 申出期間の満了前2 申出期間の満了後3 受遺者は相続債権者の後4 申出をしなかった者5 不当な弁済の責任6 限定承認中の訴訟と強制執行第6 相続財産の換価1 換価は競売による2 鑑定人の評価による価額弁済3 剰余の見込みがない場合の競売の取消し4 競売によらずに売却した場合第7 限定承認の後に注意すべきこと1 財産の隠匿・消費2 死因贈与を受けていた相続人3 税金第8 出典1 法令2 裁判例3 公的資料
第1 この記事の対象
1 対象と基準日

本記事は,相続によって得た財産の限度でだけ被相続人の債務及び遺贈を弁済する限定承認(民法922条)について,申述から,相続債権者及び受遺者への公告・催告,弁済の順序,相続財産の換価(競売と鑑定人の評価による価額弁済)までの手続を整理するものである。
令和8年9月19日時点の民法,家事事件手続法,民事執行法,裁判所ウェブサイトの「相続の限定承認の申述」の案内,名古屋家庭裁判所の限定承認の申述に関する案内,令和7年司法統計年報並びに裁判例を確認して作成した。
申述先の家庭裁判所の運用や必要書類は変わることがあるため,実際の手続では申述先の案内を確認する必要がある。

2 関連記事

限定承認をした場合の所得税(みなし譲渡),準確定申告,相続税及び住民税は,「限定承認と税金」で整理している。
熟慮期間の起算点と伸長は「相続放棄の3か月はいつからか」で,限定承認後の財産の処分等が問題となる法定単純承認は「相続の法定単純承認(民法921条)の実務」で整理している。
相続人がいない場合に相続財産清算人がする換価の競売と任意売却の比較は,「相続財産清算人による不動産の任意売却」で整理している。

第2 限定承認とは
1 限定承認の効果

相続人は,相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して,相続の承認をすることができる(民法922条)。
相続人が限定承認をしたときは,その被相続人に対して有した権利義務は,消滅しなかったものとみなされる(民法925条)。
そのため,相続人が被相続人に対して貸金債権を持っていた場合でも,混同によって消滅せず,相続債権者の一人として清算に加わることになる。

裁判所の案内は,限定承認を,被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐものと説明している。

2 共同相続人全員でする必要がある

相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみすることができる(民法923条)。
相続の放棄をした者は,その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされるから(民法939条),放棄をした者を除いた残りの相続人全員で限定承認をすることになる。
相続財産の処分は単純承認とみなされるから(民法921条1号),共同相続人の一人がこれに当たる行為をすると,全員でする限定承認の前提が崩れるおそれがある。
限定承認を検討する段階では,相続人全員が相続財産の処分を控える必要がある。

3 限定承認を選ぶかどうか

限定承認をすると,相続債権者への公告・催告,財産の換価,按分による弁済といった清算の手続を相続人自身が担うことになる。
また,限定承認に係る相続によって譲渡所得の基因となる資産等が移転した場合には,その時の価額で譲渡があったものとみなされ(所得税法59条1項1号),被相続人の所得税の問題が生じる(前記「限定承認と税金」参照)。
債務超過が明らかな場合は相続放棄が,財産が債務を明らかに上回る場合は単純承認が選ばれるのが通常であり,限定承認は,債務の全容が分からない場合や,自宅等の特定の財産を残したい場合に検討される。

令和7年司法統計年報(家事編)第2表によれば,全家庭裁判所における相続の限定承認の申述受理事件の新受件数は,平成17年の995件,平成27年の759件,令和元年の656件と推移し,令和7年は637件であった。
同じ年の相続の放棄の申述の受理事件は32万3524件であり,限定承認は相続放棄に比べて極めて少ない。
名古屋家庭裁判所の案内は,限定承認後の清算手続には原則として家庭裁判所が関与しないとし,必要があれば弁護士等の専門家に相談するよう勧めている。

第3 限定承認の申述
1 申述の期間

(続きを読む...)限定承認の手続と換価―申述,公告・催告,弁済の順序,競売・価額弁済及び無剰余取消し(AI作成)

相続開始後の預貯金の払戻しと法定単純承認-相続放棄を検討するときの判断と対応(AI作成)

第1 預貯金を引き出した後でも相続放棄を検討できるか第2 払戻しが相続財産の「処分」になる場合1 債権を取り立てて自分のものとして受け取る行為2 死亡の認識と借金の認識は異なる第3 引き出した現金を使わず保管していた場合第4 葬儀費用と債務の支払をどう分けるか1 葬儀費用・仏壇・墓石に関する大阪高裁決定2 借金返済・生活費・立替金の取戻し第5 預貯金の仮払い制度と相続放棄1 銀行への単独払戻請求とATM出金の違い2 家庭裁判所による預貯金の仮取得第6 既に払戻しをした人が確認する資料と対応1 取引ごとに日付・原資・使途を記録する2 返金した場合と相続放棄後の保管第7 出典1 法令2 裁判例3 行政裁決4 裁判所の手続案内5 文献
第1 預貯金を引き出した後でも相続放棄を検討できるか

相続開始後に預貯金を払い戻した場合,相続放棄ができるかは,払戻しの方法,現金の保管・使途及び放棄との前後関係によって異なる。
相続財産を自分のものとして取得・処分したと評価されれば,民法921条の法定単純承認が問題となる一方,保存行為は除かれており,葬儀費用への支出について処分に当たらないとした裁判例もある。
本記事は,令和8年9月4日現在の法令を基準に,既に払戻しをした人が,相続放棄の可否を検討するための判断材料と初期対応を整理する。

先に確認するのは,承認・放棄を選ぶ熟慮期間である。
民法915条・938条によれば,相続放棄は,原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に,家庭裁判所へ申述して行う。
払戻しの評価や財産調査に時間を要し,期間内に判断できない場合は,期限前に相続の承認又は放棄の期間の伸長を検討する。

第2 払戻しが相続財産の「処分」になる場合
1 債権を取り立てて自分のものとして受け取る行為

民法921条1号は,相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときに,単純承認をしたものとみなす一方,保存行為等を除外している。
単純承認の効果は,引き出した金額だけに責任を負うというものではなく,被相続人の権利義務を無限に承継することである(民法920条)。

最高裁昭和37年6月21日第一小法廷判決(昭和36年(オ)第1029号,集民61号305頁)は,相続開始後,相続放棄前に,被相続人の売掛債権の一部3000円を取り立てて収受領得した行為を,相続財産の一部の処分に当たるとした(判決本文・PDF1頁)。
これは預金口座からの払戻しを直接判断した事件ではないが,相続した債権を回収して自分のものとして受け取る行為が問題となることを示している。
条文が「一部」の処分も対象とすることと併せると,少額であるというだけで当然に法定単純承認から除外されるとはいえない。

2 死亡の認識と借金の認識は異なる

最高裁昭和42年4月27日第一小法廷判決(昭和40年(オ)第1348号,民集21巻3号741頁)は,921条1号の適用には,相続人が自己のために相続が開始したことを知りながら処分したか,少なくとも被相続人の死亡を確実に予想しながらあえて処分したことを要するとした(判決本文・PDF1頁~2頁)。
同判決は,行方不明者の死亡をまだ知らなかった段階の財産処分等を扱っており,借金の存在を知らなければ処分してもよいとした判決ではない。

したがって,死亡と自己の相続開始を知って払戻しをした人について,「後から借金が見つかった」という事情だけで処分の問題が消えるとはいえない。
死亡を知った日,債務を知った日及び払戻日を分けることが,判例の要件に即した検討の出発点となる。

第3 引き出した現金を使わず保管していた場合

国税不服審判所令和2年4月17日裁決には,妻名義の口座に振り込まれた被相続人の報酬50万円について,妻が出金しても相続財産の処分に当たらないとした判断がある(公表裁決書抄4(3)ロ)。
入金は生前の契約に基づくもので,妻が故人名義の預金を解約して自分の口座に移した事案ではなかった。
裁決は,入金自体を妻による処分とはせず,出金後も現金を封筒に入れて保管し,一部でも費消した事実が認められないことを踏まえ,出金のみでは処分に当たらないとした。

この裁決は,国税の納付義務の承継をめぐる個別の行政判断であり,あらゆる預金払戻しについて「使わなければ単純承認にならない」とした最高裁判例ではない。
本記事では,入金の原因,誰の口座から出金したか,自己の財産への取込みや費消があったかを分けて確認するための参考事例と位置付ける。
未使用であると説明する場合も,残金の所在と保管経過を,取引履歴等と対応させて示すことが検討の助けとなる。

第4 葬儀費用と債務の支払をどう分けるか
1 葬儀費用・仏壇・墓石に関する大阪高裁決定

大阪高裁平成14年7月3日決定(平成14年(ラ)第408号,家庭裁判月報55巻1号82頁。裁判所HP未掲載。判例秘書により全文確認)は,被相続人名義の貯金を解約し,葬儀費用や仏壇・墓石の購入費に充てた遺族の相続放棄申述を扱った。
同決定は,葬儀の社会的な必要性等を理由に,相続財産から葬儀費用を支出する行為は921条1号の処分に当たらないとした(理由第2・2(1)ア)。

仏壇・墓石については,葬儀費用の支払とはやや異なるとしつつ,相続債務を知らないまま購入した経緯,社会的に不相当に高額とは断定できないこと,費用の不足分を遺族が自己負担したこと等を考慮した。
その上で,貯金を解約して購入費の一部に充てた行為が,明白に相続財産の処分に当たるとは断定できないとした(理由第2・2(1)イ)。
したがって,葬儀・仏壇・墓石という使途を一括し,金額や経緯を問わず安全であると一般化することはできない。

また,同決定は,相続放棄の申述を却下した原審判を取り消して受理したものであり,受理によって放棄の有効性を確定するものではないことも明示している(理由第2・2(3))。
葬儀費用に関する領収書等は,申述時だけでなく,債権者が後の訴訟で放棄の効力を争う場合にも説明できるよう保管しておくのがよい。

2 借金返済・生活費・立替金の取戻し

故人の借金の返済や遺族の生活費への支出まで,前記決定によって一律に保存行為になるわけではない。
払戻金を自分の生活費として費消した場合は,相続財産の処分として問題になるため,支出目的の名称だけでなく,実際の支払先,内容及び原資を確認する。

遺族自身の資金で費用を立て替えた行為と,後から故人の預貯金を引き出して立替額を回収する行為も分けて検討する。
民法921条1号が対象とするのは相続財産の処分であり,後者については遺産からの支出が別に生じるからである。
本記事では,相続放棄を検討する人に対し,借金の返済や立替金の精算を新たに進める前に,債務の根拠と支出の原資を整理することを勧める。

第5 預貯金の仮払い制度と相続放棄
1 銀行への単独払戻請求とATM出金の違い

民法909条の2は,遺産分割前でも,各共同相続人が一定額の預貯金債権を単独で行使できる制度を定めている。
額は,対象となる預貯金の相続開始時の残高に3分の1と法定相続分を乗じて算定し,同一の金融機関に対する行使額の上限は法務省令による150万円である。
150万円は口座ごとに認められる上限ではない。

同条後段は,権利行使した預貯金債権について,その相続人が遺産の一部の分割によって取得したものとみなすと定めている。
この取得の効果もあるため,「仮払い」という呼び名や上限額だけから,相続放棄への影響がないと判断することはできない。

堂薗幹一郎ほか『逐条解説 改正相続法』(商事法務,2024年)85頁~86頁は,同条による権利行使である旨を金融機関に示すことを要し,死亡を秘してATMから預金を引き出す行為は同条による権利行使とはいえないと説明している。
したがって,単に150万円以内を引き出しただけで,法定の払戻制度を利用したことになるわけではない。

2 家庭裁判所による預貯金の仮取得

家事事件手続法200条3項には,遺産分割の審判又は調停が申し立てられている場合に,その申立人又は相手方の申立てにより,家庭裁判所が特定の預貯金債権をその者に仮に取得させる制度もある。
相続債務の弁済,生活費の支弁その他の事情による権利行使の必要性が認められることを要し,他の共同相続人の利益を害するときは認められない。

この条文は,必要な資金を得るための仮取得を認めるものであり,民法921条の適用を除外する規定ではない。
銀行への単独払戻請求と家裁の仮取得のいずれについても,資金を受け取れることと,相続放棄が有効になることを別々に検討することになる。

(続きを読む...)相続開始後の預貯金の払戻しと法定単純承認-相続放棄を検討するときの判断と対応(AI作成)

相続放棄をしても受け取れる権利―保険金・年金・退職金の区別(AI作成)

第1 受け取れる権利と判断の基準
第2 生命保険金

1 受取人固有の死亡保険金
2 入院給付金・返戻金等との違い
3 人身傷害保険の死亡保険金

第3 死亡退職金
第4 未支給年金

1 国民年金・厚生年金
2 旧三共済・農林共済
3 故人口座への入金

第5 遺族年金・死亡一時金・労災給付

1 給付ごとの受給要件
2 死亡一時金と子の年金

第6 埋葬料・葬祭費・香典等
第7 慰謝料・祭祀財産・特定遺贈

1 遺族固有の慰謝料
2 祭祀財産
3 特定遺贈

第8 税金の取扱い
第9 受領前の確認と期限

(続きを読む...)相続放棄をしても受け取れる権利―保険金・年金・退職金の区別(AI作成)

相続放棄の手続を自分でする方法―必要書類・申述書の書き方・受理後の対応(AI作成)

第1 この記事の対象と手続の全体像

1 自分で進めやすい相続放棄

2 最初に確認する三つの事項

第2 3か月の期限と申述前にしてはいけないこと

1 死亡日から一律に3か月ではない

2 遺産の処分を止める

3 調査が終わらないときは期間伸長を申し立てる

第3 誰がどの家庭裁判所へ申述するか

1 申述人と未成年者の利益相反

2 提出先は被相続人の最後の住所地で決まる

第4 相続順位別の必要書類

(続きを読む...)相続放棄の手続を自分でする方法―必要書類・申述書の書き方・受理後の対応(AI作成)

相続放棄の3か月はいつからか――熟慮期間の起算点,伸長及び期限経過後の申述(AI作成)

第1 相続放棄の「3か月」の意味

1 死亡日から一律に3か月ではない

2 本記事の対象

第2 原則的な起算点

1 死亡と自己の相続人性を知った時

2 後順位相続人

3 共同相続人ごとの個別計算

第3 3か月の計算方法

1 初日不算入と暦による計算

2 期限管理に必要な日付

第4 相続財産を後から知った場合

(続きを読む...)相続放棄の3か月はいつからか――熟慮期間の起算点,伸長及び期限経過後の申述(AI作成)

限定承認と税金――みなし譲渡,準確定申告,相続税及び住民税(AI作成)

第1 限定承認の税務を理解するための基本構造

1 限定承認が制限するのは相続債務の責任である

2 税金を三つの層に分ける

第2 民法上の手続と税務申告の期限

1 限定承認は共同相続人全員で行う

2 3か月,4か月及び10か月を別々に管理する

第3 死亡時のみなし譲渡所得課税

1 課税対象は相続財産全部ではない

2 課税時点は限定承認申述の受理日ではなく相続開始時である

3 財産超過でもみなし譲渡課税は適用される

4 相続開始時の時価を相続税評価額で代用しない

(続きを読む...)限定承認と税金――みなし譲渡,準確定申告,相続税及び住民税(AI作成)

遺品整理業者の許可・選び方と相続放棄・残置物処理の注意点(AI作成)

第1 遺品整理業者に一つの包括免許はない
1 名称ではなく実際の作業で規制が決まる
2 許可・権限の早見表
3 民間資格は法令上の許可を代替しない

第2 家庭ごみの運搬には市町村の一般廃棄物許可が必要である
1 家庭の遺品は通常,一般廃棄物となる
2 依頼者と許可業者の直接契約を確認する
3 「全部買取」でも実態が不要物なら廃棄物になり得る
4 家電と内装撤去は別工程として扱う

第3 買取と訪問契約には別の消費者保護規制がある
1 買取には古物商許可と処分権限の確認が必要である
2 自宅での買取は訪問購入となり得る
3 見積りのための訪問と契約締結の依頼は同じではない
4 免責条項と解約料にも限界がある

第4 遺品を処分できる者と相続放棄のリスク
1 共同相続人の一人だけで全部を処分できるとは限らない
2 相続放棄を考える者は売却・持帰り・費用充当を止める
3 裁判例は物の価値と行為の範囲を個別に見ている
4 緊急時は保存と記録を優先する

第5 賃貸住宅の残置物を家主が直ちに処分することはできない
1 残置物条項があっても自力救済は許されない
2 モデル契約は入居者の生前の委任を前提とする

第6 特殊清掃は免許名より安全管理の実質を見る

(続きを読む...)遺品整理業者の許可・選び方と相続放棄・残置物処理の注意点(AI作成)

相続放棄と生前贈与スキームの限界(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 本記事の対象と結論の要旨

1 問題の所在
2 結論の要旨——「相続放棄の脚」と「生前贈与の脚」
3 前提となる制度の骨格

第2 相続放棄それ自体は債権者に覆されにくい

1 相続放棄は詐害行為取消権の対象とならない
2 相続放棄の効力は登記なくして生ずる
3 遺産分割協議との違い

第3 攻撃はもっぱら生前贈与に向かう

1 詐害行為取消権
2 破産手続における否認権
3 国税徴収法39条の第二次納税義務
4 贈与が完成していないという問題(名義預金)

第4 負担からの解放という目的の限界

(続きを読む...)相続放棄と生前贈与スキームの限界(AI作成)

相続の法定単純承認(民法921条)の実務――処分・熟慮期間の徒過・背信的行為の要件と主張立証(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

目次

第1 法定単純承認の意義と本記事の検討範囲

1 3類型と単純承認の効果
2 実務上の意味と本記事の範囲

第2 相続財産の処分(921条1号)

1 処分に当たるための主観的要件
2 「処分」の範囲と保存行為・短期賃貸借の除外
3 実務上問題となる支出・行為

(1) 葬儀費用・墓石・仏壇の負担
(2) 預貯金の払戻しと相続債務の弁済
(3) 遺産分割協議への関与

第3 熟慮期間の徒過(921条2号)

1 熟慮期間の起算点と繰下げ
2 再転相続における起算点
3 徒過後の錯誤による救済

(続きを読む...)相続の法定単純承認(民法921条)の実務――処分・熟慮期間の徒過・背信的行為の要件と主張立証(AI作成)