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令和8年4月の裁判所の早期退職募集実施要項2通を読む―裁判官6人・一般職29人の募集,認定の順位,応募の締切及び退職手当の割増し(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 対象とする資料

本記事は,最高裁判所が令和8年4月に作成した次の2通の「早期退職希望者の募集実施要項」を読み,国家公務員退職手当法及び同法施行令の規定と照らし合わせて整理するものである。
①早期退職希望者の募集実施要項(令和8年4月28日付の最高裁判所長官の文書)(以下「裁判官向け要項」という。全4頁)
②早期退職希望者の募集実施要項(一般職向け)(令和8年4月24日付の最高裁判所人事局長の文書)(以下「一般職向け要項」という。全5頁)

いずれも各頁の冒頭に「機密性2」の表示があり,問合せ先の電話番号の部分は空欄で読めない。
それ以外の募集の対象,人数,期間,手続等は読むことができる。
法令の条文は,令和8年10月5日にe-Gov法令検索(法令API)で取得した現行の本文によっている。

2 結論の要旨

裁判官向け要項は,下級裁判所の裁判官(簡易裁判所判事を除く。)で50歳以上65歳未満の者と,簡易裁判所判事で55歳以上70歳未満の者を対象に,6人を募集し,令和8年9月1日から同年10月31日までの間に退職させるものである。
一般職向け要項は,裁判官及び裁判官の秘書官以外の職員を対象に,指定職及び行政職俸給表(一)7級以上の職員17人と,それ以外の職員12人を募集し,令和8年7月25日から同月31日までの間に退職させるものである。

応募は,所属庁の長又は受付担当が受信し又は受領した日時で有効性が判断され,郵便の消印は基準にならない。
応募者が募集人数を超えたときの認定の順位は,裁判官向けでは在職期間の長さが先に来るのに対し,一般職向けでは定年までの残りの年数の少なさが先に来る。
認定を受けて退職すべき期日に退職した場合の退職手当は,勤続25年以上なら定年退職と同じ割合で計算され(国家公務員退職手当法5条1項6号),一定の要件の下で退職日の俸給月額が割り増される(同法5条の3)。

第2 早期退職募集の法的な仕組み

1 根拠規定と募集の2類型

国家公務員退職手当法(以下「法」という。)8条の2第1項は,各省各庁の長等(財政法20条2項に規定する各省各庁の長及びこれらの委任を受けた者等)は,定年前に退職する意思を有する職員の募集を行うことができると定める。
募集には,職員の年齢別構成の適正化を図ることを目的とする募集(同項1号)と,組織の改廃又は官署若しくは事務所の移転を円滑に実施することを目的とする募集(同項2号)の2類型がある。
裁判官向け要項と一般職向け要項は,いずれも冒頭で,国家公務員退職手当法「第8条の2第1項第1号の規定により」募集を行うと述べており,年齢別構成の適正化を目的とする1号の募集である。
裁判官向けは最高裁判所長官,一般職向けは最高裁判所事務総局人事局長の名義である。

2 対象となる年齢の下限

法8条の2第1項1号の募集の対象は,「第五条の三の政令で定める年齢以上の年齢である職員」である。
国家公務員退職手当法施行令(以下「施行令」という。)5条の3第3項の本則は,この年齢を「退職の日において定められているその者に係る定年から二十年を減じた年齢」とする。
もっとも,施行令附則4項は,当分の間,この「二十年」を「十五年」と読み替えている。

裁判官の定年は,最高裁判所及び簡易裁判所の裁判官が70歳,その他の裁判官が65歳である(裁判所法50条)。
定年から15年を引くと,下級裁判所の裁判官(簡易裁判所判事を除く。)は50歳,簡易裁判所判事は55歳となり,裁判官向け要項の対象年齢の下限と一致する。
本記事では,裁判官向け要項の「50歳以上」「55歳以上」は,この政令の年齢をそのまま用いたものと考えられると整理する。

3 募集実施要項の記載事項

法8条の2第2項は,募集を行うに当たり,1号・2号の別,認定を受けた場合に退職すべき期日又は期間,募集をする人数及び募集の期間その他政令で定める事項を記載した要項(募集実施要項)を,募集の対象となるべき職員に周知しなければならないと定める。
施行令9条の5第1項は,政令で定める記載事項として,募集の対象となるべき職員の範囲,説明会の予定,応募及び応募の取下げの手続,認定の通知の予定時期,募集に関する問合せの連絡先等を掲げている。
同条2項は,対象職員の範囲に含まれる職員の数を,募集をする人数に1を加えた人数以上にしなければならないとし,同条3項は,募集の期間について開始及び終了の年月日時を明らかにしなければならないとする。
裁判官向け要項と一般職向け要項が,募集の期間を「午前8時30分から」「午後5時まで」と時刻まで書き,認定の通知の時期(「7月下旬」「6月中旬」)と問合せ先を記載しているのは,これらの規定に対応している。

4 応募できない者

法8条の2第3項は,次の者を除く職員が,募集の期間中いつでも応募し,退職すべき期日が到来するまでの間いつでも応募の取下げを行うことができると定める。
①法2条2項により職員とみなされる者
②臨時的に任用される職員その他の法律により任期を定めて任用される者
③退職すべき期日又は退職すべき期間の末日が到来するまでに定年に達する者
④国家公務員法82条の規定による懲戒処分(故意又は重大な過失によらないで管理又は監督に係る職務を怠った場合における懲戒処分を除く。施行令9条の6)又はこれに準ずる処分を,募集の開始の日において受けている者又は募集の期間中に受けた者

裁判官向け要項は,注1で,国家公務員退職手当法上,裁判官について「懲戒処分に準ずる処分」とは裁判官分限法2条に規定する懲戒をいうものと解されていると説明している。
裁判官分限法2条は,「裁判官の懲戒は、戒告又は一万円以下の過料とする。」と定める。
法文上の基準時は「募集の開始の日において受けている」又は「募集の期間中に受けた」であり,過去に一度でも懲戒を受けたことがあれば常に応募できなくなるという書き方にはなっていない。

5 認定,不認定,失効及び退職すべき期日の変更

各省各庁の長等は,応募者について,次のいずれかに当たる場合を除き,応募による退職が予定されている職員である旨の認定をするものとされている(法8条の2第5項)。
①応募が募集実施要項又は同条3項の規定に適合しない場合
②応募後に懲戒処分又はこれに準ずる処分を受けた場合
③処分を受けるべき行為をしたことを疑うに足りる相当な理由がある場合その他認定を行うことが公務に対する国民の信頼を確保する上で支障を生ずると認める場合
④引き続き職務に従事させることが公務の能率的運営を確保し,又は長期的な人事管理を計画的に推進するために特に必要であると認める場合

ただし,これらに当たらない応募者の数が募集をする人数を超える場合,あらかじめ認定の数を制限する方法を定めて募集実施要項と併せて周知していたときは,その方法に従って,超える分の応募者について認定をしないことができる(同項ただし書)。
認定をし,又はしない旨の決定は,遅滞なく書面で通知され,認定をしない場合はその理由も示される(同条6項)。
要項に退職すべき期間を記載した場合には,認定後遅滞なく,その期間内のいずれかの日が退職すべき期日として定められ,書面で通知される(同条7項)。

認定を受けた応募者が,退職すべき期日の前に退職し,又はその期日に退職しなかったとき,懲戒処分(懲戒免職の処分等を除く。)又はこれに準ずる処分を受けたとき,応募を取り下げたとき等には,認定は効力を失う(同条8項)。
また,認定後に生じた事情により,退職すべき期日に退職させると公務の能率的運営の確保に著しい支障を及ぼすと認める場合には,本人にその旨と理由を明示し,書面による同意を得たときに限り,必要な限度で期日を繰り上げ,又は繰り下げることができる(施行令9条の8第1項)。
両要項の末尾の注も,この繰上げ・繰下げを同じ要件で記載している。

第3 裁判官向けの募集実施要項(令和8年4月28日付)

1 主な内容

項目裁判官向け要項の記載
募集の対象下級裁判所の裁判官(簡易裁判所判事を除く。)で令和8年10月31日現在の年齢が50歳以上65歳未満の者,簡易裁判所判事で同日現在の年齢が55歳以上70歳未満の者
募集人数6人
募集の期間令和8年5月11日(月)午前8時30分から同年7月14日(火)午後5時まで(約2か月間)
退職すべき期間令和8年9月1日(火)から同年10月31日(土)まで
認定の通知令和8年7月下旬に,認定をし,又は認定をしない旨の通知書を交付
応募の取下げ退職すべき期日が到来するまでの間いつでも可能(応募取下げ申請書・別記様式第二)
問合せ先最高裁判所事務総局人事局任用課(実施係)

2 提出先と提出方法

応募しようとする裁判官は,応募申請書(別記様式第一)に必要事項を記入し,募集の期間内に所属庁の長に提出する。
簡易裁判所の裁判官は,その所在地を管轄する地方裁判所の長に,高等裁判所の裁判官は事務局長に提出する。
提出方法は,電子メール,持参又は郵便である。

応募の有効性は,所属庁の長において受信し又は受領した日時で判断される。
電子メールについては,所属庁の長が受信した日時と送信に用いたパソコン端末上の送信日時が異なることがあるとして注意を促している。
郵便は消印有効ではないと明記されているので,締切の直前に郵送するのは危険である。

3 応募者が募集人数を超えた場合の認定の順位

不認定事由に当たらない応募者が6人を超えた場合は,次の順に認定する。
①常時勤務に服することを要する国家公務員としての引き続いた在職期間(法7条の2第3項に規定する公庫等職員としての在職期間を含む。)の長い者から順に認定する。
②在職期間が同じ者がいて①で決まらないときは,定年の年齢から退職すべき期間の末日(令和8年10月31日)現在の満年齢(月単位まで)を引いた年月数の少ない者から順に認定する。
③①・②でも同順位の者がいるときは,同順位者の全員を認定し,又は全員を認定しない結果,認定する人数が募集人数を上回り,又は下回ることがある。

さらに,予算の執行状況により,認定する人数が募集人数を上回ることがあり,その場合も同じ順位で認定するとされている。
在職期間が先に来るため,官職を移る際に在職期間が途切れたことがあるかどうかが,順位に影響し得る。

第4 一般職向けの募集実施要項(令和8年4月24日付)

1 主な内容

項目一般職向け要項の記載
募集の対象(1)指定職俸給表,行政職俸給表(一),行政職俸給表(二)の適用を受ける技能職員(自動車運転手・電話交換手・汽かん士)又は医療職俸給表(三)の適用を受ける職員(看護師)のうち,昭和41年8月1日から昭和49年8月1日までの間に生まれた者
募集の対象(2)行政職俸給表(二)の適用を受ける労務職員(守衛・庁務員)のうち,昭和38年8月1日から昭和48年8月1日までの間に生まれた者
募集の対象(3)医療職俸給表(一)の適用を受ける職員(医師)のうち,昭和36年8月1日から昭和46年8月1日までの間に生まれた者
募集人数対象(1)のうち指定職俸給表の適用を受ける職員及び行政職俸給表(一)の職務の級7級以上の職員17人,それ以外の職員12人
募集の期間令和8年5月11日(月)午前8時30分から同月29日(金)午後5時まで(約3週間)
退職すべき期間令和8年7月25日(土)から同月31日(金)まで
認定の通知令和8年6月中旬に,所属庁(簡易裁判所又は検察審査会に勤務する職員は,所在地を管轄する地方裁判所)を通じて通知書を交付
問合せ先最高裁判所事務総局人事局総務課(退職給与係)

俸給表は,裁判所職員臨時措置法において準用する一般職の職員の給与に関する法律の別表で定められた俸給表を意味するとされている(注2)。
応募できない者として,対象(1)の職員で退職すべき期間の末日(令和8年7月31日)までに年齢62年に達する者,対象(2)の職員で同日までに年齢63年に達する者,対象(3)の職員で同日までに年齢65年に達する者等が掲げられている(注1)。

2 受付担当と提出方法

提出先は,所属庁が最高裁判所である場合は,裁判部,事務総局及び最高裁判所図書館では庶務主任,司法研修所及び裁判所職員総合研修所では総務課長である。
所属庁が下級裁判所である場合は,所属庁の総務課長(人事課の置かれている庁では人事課長)である。
提出方法は,電子メール等の電磁的送付方法,持参又は郵便であり,受付担当が受信し又は受領した日時で有効性が判断され,郵便の消印は基準にならない点は裁判官向け要項と同じである。

3 応募者が募集人数を超えた場合の認定の順位

一般職向け要項では,17人の区分と12人の区分ごとに,次の順で認定する。
①対象(1)の職員は年齢62年,対象(2)の職員は年齢63年,対象(3)の職員は年齢65年から,退職すべき期間の末日が属する年度の3月31日(令和9年3月31日)における満年齢を引いた年数の少ない者から順に認定する。
②①の年数が同じ者の中では,常時勤務に服することを要する国家公務員としての引き続いた在職期間の長い者から順に認定する。
③同順位者の扱いと,予算の執行状況により募集人数を上回ることがある点は,裁判官向け要項と同じである。

裁判官向け要項とは①と②の順序が逆であり,一般職では定年に近い者が優先される。

第5 前回の要項との比較

1 裁判官向け

前年同時期の令和7年4月24日付の裁判官向け要項と比べると,募集人数(6人),対象の括り方,提出先,認定の順位の定め方は同じであり,日付が1年ずつ繰り下がっている。
募集の期間は令和7年5月12日から同年7月15日までだったものが令和8年5月11日から同年7月14日までに,退職すべき期間は令和7年9月1日から同年10月31日までだったものが令和8年9月1日から同年10月31日までになった。

文言上の違いとして,令和7年4月24日付の要項と直前の令和8年2月4日付の要項は,応募申請書を「国家公務員退職手当法の規定による早期退職希望者の募集及び認定の制度に係る書面の様式等を定める内閣官房令(平成25年総務省令第58号。以下「内閣官房令」という。)別記様式第一」と表記していた。
令和8年4月28日付の要項は,これを単に「別記様式第一」と表記し,応募取下げ申請書も「別記様式第二」としている。
手続の中身に変更があったことを示す記載はない。

2 一般職向け

令和7年4月24日付の一般職向け要項と比べると,次の点が変わっている。
①対象(1)は,令和7年は行政職俸給表(二)の適用を受ける労務職員(守衛・庁務員)又は医療職俸給表(一)の適用を受ける職員(医師)以外の職員のうち昭和40年8月1日から昭和50年8月1日までの間に生まれた者だったが,令和8年は適用される俸給表と職種を列挙する書き方になり,生年の範囲も昭和41年8月1日から昭和49年8月1日までに狭まった。
②対象(2)は昭和37年8月1日から昭和47年8月1日までの間に生まれた者から,昭和38年8月1日から昭和48年8月1日までの間に生まれた者に,対象(3)は昭和35年8月1日から昭和45年8月1日までの間に生まれた者から,昭和36年8月1日から昭和46年8月1日までの間に生まれた者に,それぞれ1年繰り下がった。
③募集人数は,指定職及び行政職俸給表(一)7級以上の区分が20人から17人に,それ以外の区分が15人から12人に減った。
④認定の通知の時期は,「令和7年6月下旬」から「令和8年6月中旬」に早まった。
⑤応募申請書等の表記から内閣官房令の名称が消えた点は,裁判官向け要項と同じである。

退職すべき期間(7月25日から同月31日まで),認定の順位の定め方,応募できない者の年齢(62年・63年・65年)は令和7年と同じである。

第6 退職手当との関係

1 支給率(法5条1項6号)

法5条1項6号は,25年以上勤続し,法8条の2第1項1号に係る認定を受けて退職すべき期日に退職した者を,25年以上勤続後の定年退職者等と同じ規定で退職手当の基本額を計算する者に含めている。
その割合は,勤続期間の区分ごとに,1年以上10年以下の期間は1年につき100分の150,11年以上25年以下の期間は1年につき100分の165,26年以上34年以下の期間は1年につき100分の180,35年以上の期間は1年につき100分の105である(同条3項)。
これに対し,勤続25年未満の者は同項6号に当たらないので,同号の規定によって定年退職と同じ扱いになるわけではない。

2 定年前早期退職特例(法5条の3)

法5条の3は,法4条1項3号及び5条1項(1号を除く。)に規定する者のうち,定年に達する日から政令で定める一定の期間前までに退職し,勤続期間が20年以上で,かつ,年齢が政令で定める年齢以上の者について,退職日俸給月額を割り増して基本額を計算する特例である。
読替え後の退職日俸給月額は,退職日俸給月額に,「退職の日において定められているその者に係る定年と退職の日におけるその者の年齢との差に相当する年数一年につき」,政令で定める割合を乗じて得た額を加えたものになる。

施行令5条の3は,次のとおり定めている。
①一定の期間は6月とする(2項)。
②年齢は定年から20年を減じた年齢とする(3項。前記第2の2のとおり,附則4項により当分の間は15年)。
③割合は,退職日俸給月額が指定職俸給表4号俸の額に相当する額以上の職員は100分の1,同表1号俸の額に相当する額以上4号俸の額に相当する額未満の職員は100分の2,それ以外の職員は100分の3(定年との差が1年の職員は100分の2)とする(4項)。
④退職日俸給月額又は特定減額前俸給月額が指定職俸給表6号俸の額に相当する額以上の者等は,特例の対象から除かれる(法5条の3,施行令5条の3第1項)。

募集実施要項自体には,退職手当の額や割増しの割合は書かれていない。
個別の退職手当額は,勤続期間,退職日俸給月額,定年との差の年数のほか,調整額等を含めて計算する必要がある。

3 一般職と裁判官とで定年の読み方が違うこと

一般職の職員の定年は段階的に引き上げられている。
法附則16項は,当分の間,法5条の3の適用について,「定年」を,一般の職員は60歳,法附則12項各号に掲げる者は各号に定める年齢等と読み替えており,施行令附則3項は,これらの職員で定年が引き上げられた者について,「六月」を「零月」とし,定年との差が1年の場合も100分の3とする読替えをしている。
内閣人事局の「早期退職募集制度について」も,令和5年4月1日以降,当分の間,引上げ前の定年から15年以内の年齢から引上げ前の定年に達する日前までの職員が特例措置の対象であり,改正前の定年に達する日前までの残年数が1年の者(局長又は審議官クラスを除く。)の割増率は3%と説明している。

これに対し,裁判官は法附則14項4号に掲げられており,法附則16項の読替えの対象として列挙された者に当たらない。
本記事では,裁判官については,定年(65歳又は70歳)をそのまま用い,「6月」前までの退職と,定年との差が1年の場合の100分の2がそのまま適用されると読んでいる。
内閣人事局の説明も,定年が引き上がっていない退職者を特例措置の対象から除いている。

第7 相談を受けたときの確認事項

裁判所の職員又はその家族から早期退職への応募について相談を受けたときは,次の点を確認する。
①応募の締切は到達基準であり,電子メールは受信側の日時,郵便は受領の日時で判断され,消印は基準にならない。
②応募の時点で応募できない者に当たらないか(定年到達の時期,懲戒処分等の有無)を,募集の開始の日と募集の期間を基準に確かめる。
③応募者が募集人数を超えた場合の順位は,裁判官は在職期間,一般職は定年までの年数が先に来るので,自分がどの区分でどの位置にいるかの見当を付ける。
④応募の取下げは,退職すべき期日が到来するまでいつでもでき,所定の申請書を応募と同じ方法で提出する。
⑤認定後の期日の繰上げ又は繰下げは,本人の書面による同意が要件であり,同意しなければ期日は動かない(施行令9条の8第1項)。
⑥退職すべき期日の前に退職したり,その期日に退職しなかったりすると,認定は効力を失う(法8条の2第8項3号)。
⑦退職手当の割増しは,勤続20年以上,定年の6月前までの退職,年齢要件を満たし,指定職俸給表6号俸相当額以上でない場合に限られ,割合は俸給月額の水準によって100分の1から100分の3まで異なる。

応募及び応募の取下げは職員の自発的な意思に委ねられ,各省各庁の長等はこれらを強制してはならない(法8条の2第4項)。
地方公務員の事案であるが,市教育委員会の担当者が退職勧奨に応じないことを表明した教員に対し,短期間内に多数回,長時間にわたり執拗に退職を勧奨するなどした事実関係の下で,退職勧奨行為が違法とされた例がある(最高裁昭和55年7月10日判決・集民130号131頁)。
民間企業の選択定年制では,使用者の承認によって退職の効果が生ずるとされ,承認するかどうかに特段の制限がない事情の下で,承認されなかった従業員には選択定年制による退職の効果が生じないとされた例がある(最高裁平成19年1月18日判決・集民223号5頁)。
この判例は,選択定年制・早期退職優遇制度の申出を会社は承認しないことができるか―最高裁平成19年1月18日判決と割増退職金で紹介している。
これに対し,国家公務員の早期退職募集では,法8条の2第5項が不認定の事由と人数を超える場合の制限の方法を定め,同条6項が不認定の理由を書面で通知することを求めている点で,法令上の枠組みが異なる。

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第9 出典

1 法令

①国家公務員退職手当法5条・5条の3・8条の2・附則14項・16項(e-Gov法令検索)
②国家公務員退職手当法施行令5条の3・9条の5・9条の6・9条の8・附則3項・4項(e-Gov法令検索)
③裁判官分限法2条(e-Gov法令検索)
④裁判所法50条(e-Gov法令検索)

2 募集実施要項

①早期退職希望者の募集実施要項(令和8年4月28日付の最高裁判所長官の文書)
②早期退職希望者の募集実施要項(一般職向け)(令和8年4月24日付の最高裁判所人事局長の文書)
③早期退職希望者の募集実施要項(令和8年2月4日付の最高裁判所長官の文書)
④早期退職希望者の募集実施要項(令和7年4月24日付の最高裁判所長官の文書)
⑤早期退職希望者の募集実施要項(一般職向け)(令和7年4月24日付の最高裁判所人事局長の文書)

3 内閣人事局の資料

①内閣官房内閣人事局「早期退職募集制度について」
②内閣官房内閣人事局が公表した令和7年度分の募集実施要項(最高裁判所)

4 裁判例

①最高裁昭和55年7月10日判決(昭和52年(オ)第405号)
②最高裁平成19年1月18日判決(平成16年(受)第380号)