第1 第80期日程の対象と資料上の留保
1 この記事が扱う資料と時点
本記事は,「第80期 修習日程」(教官会議資料2)を基に,第80期司法修習の導入修習,分野別実務修習,選択型実務修習,集合修習及び自由研究日を一覧化するものである。日程表の全セルと注記を画像で照合し,生成AIを用いて暦日及び第77期から第79期までの日程との整合を検算した。
同日程表には「【機密性2】」との表示があるが,作成日,発出者,宛先又は通知番号を記載した鑑文は付いていない。また,最高裁判所の令和8年度司法修習生採用選考ページは,申込方法及び申込期間等を令和8年9月中旬頃に掲載予定としているだけであり,第80期の具体的な修習日程を掲載していない。そのため,本記事は日程表の記載内容を正確に整理する一方,最高裁判所ウェブサイトで公表済みの確定日程であるとは扱わない。
2 日程表記載事項と予測の区別
導入修習から令和10年2月25日の自由研究日までの日付は,第80期日程表に記載された事項である。これに対し,二回試験の実施日,科目順,会場,不合格発表日,司法修習終了日,新人弁護士の一斉登録日及び各実務修習地の班分けは,同日程表だけでは確定しない。本記事では,これらを第79期までの資料から合理的に予測できる事項と,現段階では予測できない事項に分ける。
第2 第80期司法修習の日程
1 導入修習から自由研究日まで
第80期日程表に記載された日程は,次のとおりである。A班とB班は,導入修習及び四つの分野別実務修習を同じ日程で行い,その後の集合修習と選択型実務修習の順序を入れ替える。
| 修習区分 | A班 | B班 | 実日数 |
|---|---|---|---|
| 導入修習 | 令和9年3月19日(金)~4月9日(金) | 同左 | 15日 |
| 移動日 | 4月10日(土)~4月12日(月) | 同左 | 3日 |
| 第1クール | 4月13日(火)~6月8日(火) | 同左 | 37日 |
| 第2クール | 6月9日(水)~8月1日(日) | 同左 | 37日 |
| 第3クール | 8月2日(月)~9月26日(日) | 同左 | 37日 |
| 第4クール | 9月27日(月)~11月18日(木) | 同左 | 37日 |
| 分野別実務修習後の前半 | 移動日:11月19日(金)~11月21日(日)/集合修習:11月22日(月)~令和10年1月7日(金) | 選択型実務修習:令和9年11月19日(金)~令和10年1月7日(金) | A班の集合修習30日/B班の選択型実務修習31日 |
| 中間の移動日 | 令和10年1月8日(土)~1月10日(月) | 1月8日(土)~1月11日(火) | A班3日/B班4日 |
| 分野別実務修習後の後半 | 選択型実務修習:1月11日(火)~2月24日(木) | 集合修習:1月12日(水)~2月24日(木) | A班の選択型実務修習31日/B班の集合修習30日 |
| 自由研究日 | 2月25日(金) | 同左 | 日数記載なし |
日程表末尾には,A班の選択型実務修習及びB班の集合修習のカリキュラム終了後,5科目の筆記考試が行われる予定であると記載されている。もっとも,その日付,科目順及び会場は記載されていない。
2 修習実日数の検算
日程表の実日数を合計すると,導入修習15日,四つの分野別実務修習148日,集合修習30日及び選択型実務修習31日の合計224日となる。自由研究日は別掲されているため,これを含めた掲記日は225日であり,移動日は修習実日数に含まれない。
各実日数は,土曜日,日曜日及び国民の祝日に加え,年末年始について12月29日から翌年1月3日までを除くと一致する。もっとも,これは日程表の数値を暦上検算した結果であり,個々の修習日について休日を定める直接の根拠を示すものではない。
3 四つのクールと修習分野
最高裁判所の「司法修習の概要」によれば,分野別実務修習は,民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の4分野について,それぞれ約2か月実施される。第80期日程表の第1クールから第4クールまではこの4分野に対応するが,同表は各クールにどの分野を割り当てるかを示していないため,個々の司法修習生のローテーションは別資料による確認が必要である。
第3 A班とB班の順序及び実務修習地の予測
1 集合修習と選択型実務修習の順序
A班は,分野別実務修習の後に司法研修所で集合修習を行い,その後に選択型実務修習を行う。B班は,分野別実務修習に続けて選択型実務修習を行い,その後に司法研修所で集合修習を行う。この順序の違いに対応して,A班には集合修習の前後に各3日の移動日があり,B班には選択型実務修習と集合修習の間に4日の移動日がある。
2 第79期の運用を前提とした班別修習地
最高裁判所「第79期司法修習生採用選考申込手続の手引」2頁は,東京,立川,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,奈良,大津及び和歌山の各実務修習地について,先に集合修習,後に選択型実務修習を行う区分としている。それ以外の実務修習地は,先に選択型実務修習,後に集合修習を行う区分である。
この運用が第80期にも維持される場合,A班は東京,立川,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,奈良,大津及び和歌山となり,B班はその他の実務修習地となる可能性が高い。ただし,第80期日程表自体には修習地の一覧がなく,第80期の採用選考申込手引等が公表されるまでは予測にとどまる。クラス数,組番号及び個々の司法修習生の所属クラスは,過去期から特定できない。
第4 司法修習の日程の制度上の位置付け
1 司法修習を終えるための要件
裁判所法67条1項は,司法修習生が少なくとも1年間修習をした後,試験に合格したときに司法修習を終えると定める。同条3項は,修習及び試験に関する事項を最高裁判所が定めるとしている。日程表に記載された最後の日は自由研究日であり,考試日及び司法修習終了日は別に定まるため,導入修習初日から自由研究日までの期間だけを同項の「少なくとも1年間」と比較することはできない。
2 導入修習,実務修習及び集合修習
最高裁判所の制度説明によれば,司法修習は,司法研修所での導入修習,各実務修習地での分野別実務修習,選択型実務修習及び司法研修所での集合修習という順に進む。集合修習では,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護及び刑事弁護の5科目について指導が行われ,選択型実務修習と集合修習を終えた後,修習期間の最後に司法修習生考試が実施される。
第5 二回試験及び一斉登録の日程予測
1 二回試験は令和10年2月28日から3月3日までと予測されること
第77期は,令和7年2月27日(木)に最後のカリキュラムを終え,翌28日(金)の自由研究日と週末を挟んで,同年3月3日(月)から7日(金)まで二回試験を実施した。第78期も,令和8年2月26日(木)に最後のカリキュラムを終え,翌27日(金)の自由研究日と週末を挟んで,同年3月2日(月)から6日(金)まで実施した。第79期司法修習の日程も,同じ曜日配置から令和9年3月1日(月)から5日(金)までと予測している。
第80期は,令和10年2月24日(木)に最後のカリキュラムが終わり,翌25日(金)が自由研究日である。その後の26日(土)及び27日(日)を挟むため,二回試験は同月28日(月)から3月3日(金)までの5日間となる可能性が高い。
| 事項 | 第80期の予測 | 根拠と限界 |
|---|---|---|
| 二回試験 | 令和10年2月28日(月)~3月3日(金) | 第77期及び第78期と同じ「木曜にカリキュラム終了,金曜に自由研究日,週末後の月曜から5日間」という配置である。日程表には試験日自体の記載がない。 |
| 不合格発表 | 3月21日(火) | 第77期及び第78期は試験最終日の18日後の火曜日であった。同じ間隔が維持されることを前提とする。 |
| 司法修習終了 | 3月22日(水) | 不合格発表翌日の水曜日に考試結果が報告され,修習終了日となる近時の運用を前提とする。 |
| 新人弁護士の一斉登録 | 3月23日(木) | 修習終了日の翌日に一斉登録を行う近時の運用を前提とする。 |
以上の日付は,司法修習生考試委員会,司法研修所,最高裁判所又は日本弁護士連合会が公表した第80期の確定日程ではない。災害,感染症,試験会場,最高裁判所裁判官会議又は登録事務の都合によって変更され得る。
2 科目順及び会場は予測できないこと
「65期以降の二回試験の日程等」によれば,第77期の科目順は刑事弁護,検察,民事裁判,民事弁護,刑事裁判であったのに対し,第78期は刑事裁判,検察,民事裁判,民事弁護,刑事弁護であった。近接する2期でも科目順が異なるため,第80期も5科目を各1日実施すると見込まれるものの,各日の科目を合理的に特定することはできない。
また,第77期は司法研修所及び新梅田研修センター,第78期は司法研修所及びマイドームおおさかで実施されており,関西会場の施設が変更されている。第80期も司法研修所と関西圏の外部会場を用いる可能性はあるが,具体的な施設名は後日の考試実施決定を待つ必要がある。
第6 第79期日程との主な相違
第79期の修習日程原資料と比較すると,第80期は全体として1日から2日早い配置となっている。第80期の導入修習の実日数が第79期より1日少ないのは,期間中の令和9年3月22日が振替休日となるためである。
| 区分 | 第79期 | 第80期 | 主な相違 |
|---|---|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日~4月10日(16日) | 令和9年3月19日~4月9日(15日) | 第80期は振替休日を含み,実日数が1日少ない。 |
| 第4クール終了 | 令和8年11月20日 | 令和9年11月18日 | 第80期が2日早い。 |
| 最後のカリキュラム終了 | 令和9年2月25日 | 令和10年2月24日 | 第80期が1日早い。 |
| 自由研究日 | 令和9年2月26日 | 令和10年2月25日 | 第80期が1日早い。 |
第79期原資料には令和7年4月30日付け司法研修所事務局長文書が付いているのに対し,第80期日程表には鑑文が付いていない。この資料形式の違いが,第80期の日程を公表済みの確定日程として扱わない理由である。
第7 今後確認すべき公表資料
第80期の日程を確定する上で,今後確認すべき資料は,①第80期修習日程の鑑文付き通知,②第80期司法修習生採用選考要項及び申込手続の手引,③A班及びB班に属する実務修習地の一覧,④司法修習生考試委員会による考試の日時,場所及び科目の決定,⑤日本弁護士連合会による一斉登録日程である。
第77期の考試実施日は令和6年9月5日付け,第78期の考試実施日は令和7年9月24日付けの各考試委員会委員長文書で定められた。この時期が踏襲されれば,第80期の考試日,科目順及び会場は令和9年9月頃に決定又は通知される可能性があるが,これも過去期からの予測である。
出典・参考資料
1 法令
①裁判所法(昭和22年法律第59号)66条・67条(e-Gov法令検索,令和8年8月20日確認)
②裁判所の休日に関する法律(昭和63年法律第93号)1条1項(e-Gov法令検索,令和8年8月20日確認)
2 公的資料及び原資料
①「第80期 修習日程」(教官会議資料2,【機密性2】,1頁。原資料を確認。鑑文及び公開URLなし)
②最高裁判所「司法修習の概要」(令和8年8月20日確認)
③最高裁判所「司法修習生採用選考」(令和8年8月20日確認)
④最高裁判所「第79期司法修習生採用選考申込手続の手引」2頁(PDF2頁)
⑤令和7年4月30日付け司法研修所事務局長「第79期司法修習生の修習日程」1頁~2頁(PDF1頁~2頁)
⑥令和6年5月1日付け司法研修所事務局長「第78期修習日程」1頁~2頁(PDF1頁~2頁)
⑦令和7年9月24日付け司法修習生考試委員会委員長「第78期司法修習生考試の実施日時,場所及び科目」(原資料を確認。公開URLなし)