第1 司法修習は何時から何時までか
司法修習の1日のスケジュールは,導入修習・集合修習・実務修習という課程の違いに加え,その日の科目や配属先によって異なる。
例えば,第78期の導入修習日程予定表には9時50分から17時までの即日起案の日があり,集合修習日程予定表の標準欄は9時50分から16時35分までとなっている。
ただし,集合修習の初日には9時10分頃からのオリエンテーションも記載されているため,講義の開始時刻だけを見て登庁・集合時刻を決めることはできない(第78期導入修習日程予定表・PDF1頁,第78期集合修習日程予定表・PDF1頁~2頁)。
本記事は2026年8月30日現在の公開資料を基に,一日の時間配分と,自分の予定を確認する際の注意点を説明するものである。
以下の具体的な時間割は第78期の予定資料に基づく例であり,第79期・第80期の当日の確定日程や,全国の全配属先に共通する登退庁時刻を示すものではない。
修習開始から終了までの年間の流れや,期別の日付を確認したい場合は,司法修習の年間スケジュールを参照されたい。
第2 導入修習の一日―講義・演習の日と即日起案の日
1 講義・演習の日の例
第78期導入修習の2025年3月21日・A班について,日程予定表の時刻と科目を読み直すと,次のとおりである(日程予定表・PDF1頁の3月21日A班欄)。
| 時刻 | 予定表に記載された内容 |
|---|---|
| 9時50分~10時05分 | 事務連絡(1限の冒頭) |
| 10時05分~11時55分 | 刑裁講義(事前課題解説等) |
| 12時55分~14時45分 | 検察導入講義 |
| 15時00分~16時50分 | 刑弁演習1(起訴前弁護) |
1限全体は9時50分~11時55分であり,最初の15分間を含めて全て講義が行われるという読み方にはならない。
11時55分~12時55分と14時45分~15時00分は時間枠の間隔であるが,この表の該当欄には「昼休み」「休憩」といった名称までは記載されていない。
昼食や移動の見通しを立てる際の参考にはなるものの,その間の過ごし方や集合の指示は別途確認する必要がある。
また,同じ3月21日でもB班の科目配置は異なるため,日付だけでなく自分の班の欄を見ることが必要である。
2 即日起案の日の例
同じ第78期導入修習でも,2025年3月25日のA班・B班には,次の即日起案が予定されていた(日程予定表・PDF1頁の3月25日欄,導入修習A班週間日程表・PDF2頁)。
| 時刻 | 予定表に記載された内容 |
|---|---|
| 9時50分~12時50分 | 民裁即日起案(180分) |
| 14時00分~17時00分 | 刑裁即日起案(180分) |
この日は午前・午後にそれぞれ3時間の起案枠があり,前記の講義・演習の日とは科目の区切りも終了時刻も異なる。
したがって,「導入修習は毎日同じ時間割」「起案は必ず同じ長さ」と考えず,その日に指定された科目と時間を確認するのが適切である。
導入修習の目的や制度上の位置付けについては,導入修習とはで説明している。
第3 集合修習の一日―標準の時間枠と初日・起案日の注意点
1 第78期予定表の標準の時間枠
第78期集合修習日程予定表のA班・B班の表頭には,次の時間枠が示されている(日程予定表・PDF1頁~2頁)。
| 区分 | 表頭の時間枠 |
|---|---|
| 1限 | 9時50分~11時40分 |
| 2限 | 12時40分~14時30分 |
| 3限 | 14時45分~16時35分 |
もっとも,この資料には予定であって確定日程ではない旨が明記されており,表頭だけから毎日の登庁時刻・退庁時刻を確定することはできない。
初日のオリエンテーションは,A班の11月21日,B班の1月14日とも,1限開始前の9時10分頃からとされている。
このように,標準欄より早い予定が注記されていることがあるため,本文の時間欄と注記を併せて読む必要がある。
2 起案日と講評日は分けて確認する
集合修習では,民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護の5科目を扱い,修習用の事件記録を用いた起案や,その添削・講評,修習生相互の討論が行われる(裁判所「司法修習の概要」3(4))。
第78期B班の週間日程表では,2026年1月16日の「民裁起案1(即日)」が1限~3限に配置されている(週間日程表・PDF1頁)。
ただし,1限~3限という割当だけで,答案作成の厳密な開始・終了時刻や途中の取扱いまで分かるわけではないため,起案要領や当日の指示を確認する必要がある。
また,同じB班の日程予定表には,1月29日に「民裁起案1講評」が置かれており,起案したその日のうちに必ず講評まで終わるという構成ではない(日程予定表・PDF2頁)。
集合修習の目的や5科目の位置付けについては,集合修習とはを参照されたい。
第4 実務修習の一日―民事裁判・刑事裁判・検察・弁護の違い
1 修習先ごとの内容の違い
分野別実務修習は,民事裁判・刑事裁判・検察・弁護の4分野について,実際の事件の取扱いを実務家の指導の下で学ぶものである(裁判所「司法修習の概要」3(2))。
同資料の説明を一日の予定という観点から整理すると,次のようになる。
| 修習分野 | 予定に入る活動 | 当日の確認の着眼点 |
|---|---|---|
| 民事裁判修習 | 法廷傍聴,事件記録の検討,裁判官との意見交換,検討結果の文書報告と講評 | 傍聴する期日と,記録検討・報告の予定を分けて確認する。 |
| 刑事裁判修習 | 法廷傍聴,記録や法廷でのやり取りの検討,裁判官との意見交換,文書報告と講評 | 法廷に出る時間と,事前・事後の検討時間を確認する。 |
| 検察修習 | 指導係検事等の下での証拠収集・取調べ等の学習,処分に関する意見,公判立会の傍聴 | 担当する事件の修習予定と,傍聴・指導の予定を確認する。 |
| 弁護修習 | 法律相談や法廷等への立会い,法律文書の起案と講評,弁護士会活動 | 事務所での作業だけでなく,外出先・集合場所・移動時間も確認する。 |
活動欄は公式説明に基づくものであり,右欄は予定を確認するための着眼点を示したものである。
「午前は必ず傍聴,午後は必ず起案」といった共通の順序や,修習分野ごとの固定の終了時刻を定めた表ではない。
四分野と選択型実務修習の関係については,実務修習とはを参照されたい。
2 終了時刻についての体験記の読み方
NO-LIMITに2023年に公開された,かわしょー吉氏の体験記では,配属事務所のコアタイムは9時30分~17時30分であったと記されている(「現役司法修習生が語る弁護修習のリアル」の「ある弁護修習の一日」部分)。
同記事は,それより長く修習する場合と早く終わる場合の双方に触れ,一日の例の最後には18時までの起案を掲げている。
ただし,例示表には夕方の二つの作業の開始時刻が重なる箇所があるため,表全体を厳密な時間割として再現することは避けるべきである。
一方,平塚健士朗弁護士の2022年公表の第74期体験記には,概ね9時~17時であり,本人は17時以降の修習を強制されたり促されたりしなかったとの記述がある(「現在の司法修習事情①」第2節内「司法修習生の生活」)。
これらは時期や配属先の異なる個人の経験であり,「必ず17時に終わる」「弁護修習は必ず夜まで続く」といういずれの断定の根拠にもならない。
3 選択型実務修習は選択したプログラムを確認する
選択型実務修習では,弁護修習をした事務所をホームグラウンドとしつつ,各地の個別修習プログラム,全国向けのプログラム,自ら開拓する修習先等で学ぶことになる(裁判所「司法修習の概要」3(3))。
したがって,ホームグラウンドの普段の時刻だけで判断せず,選択したプログラムごとの集合場所・開始・終了の案内を確認することが必要である。
第5 登庁・持参資料・終了後の予定を確認する順序
1 日程予定表と週間日程表を併せて読む
予定表で全体の時間配分を確認した後,週間日程表で,その日の科目・持参資料・追加配布資料を確かめるという順序が分かりやすい。
第78期の導入修習A班及び集合修習B班の週間日程表は,「持参資料」欄に加え,当日・Teams配布資料の欄にも持参すべき資料がある旨を説明している(導入修習週間日程表・PDF1頁,集合修習週間日程表・PDF1頁)。
したがって,教材名だけを一度確認して終わりにせず,自分の期の最新版と,その後に届いた資料・指示も照合するのが適切である。
公開資料の所在を確認する際には,導入修習の日程予定表及び週間日程表及び集合修習の日程予定表及び週間日程表を利用できる。
2 前日までに確認しておきたい事項
当日の予定は,次の項目に分けて確認すると,講義の時刻と登庁時刻,起案の終わりと帰宅可能な時刻を混同しにくい。
①自分の期・班・日付が合っているか,予定表の後に変更の連絡がないかを確認する。
②集合場所と指定された集合時刻を確認し,講義開始前のオリエンテーションや事務連絡を見落とさないようにする。
③起案の日は,指定資料,使用できる資料,作成・提出の時刻について,起案要領と当日の指示を確認する。
④実務修習で外出する日は,同行・集合の方法と移動に要する時間を確認する。
⑤終了後に用事を入れる場合は,予定上の最終科目の終了と,その日の指導・連絡が終わる時刻を分けて確かめる。
以上は予定を確認するための整理であり,休憩中の外出,終了後の退庁,又は資料の持出しについて,一律の許可や義務を示すものではない。
判断できない点は,古い体験記や他の班の予定から補うのではなく,司法研修所又は自分の実務修習先の最新の指示を確認することが必要である。
第6 出典
①最高裁判所「司法修習の概要」3(2)~(4)(2026年8月30日確認)。
②「第78期導入修習日程予定表」(教官会議資料4,PDF全1頁,特に3月21日A班・3月25日欄)。
③「第78期A班・B班集合修習日程予定表」(教官会議資料1-1・1-2,PDF1頁~2頁の標準時間欄,初日注記及びB班1月29日欄)。
④「第78期司法修習生の導入修習(A班)の週間日程表」(PDF全6頁のうち,本文で用いた箇所は1頁~2頁)。
⑤「78期B班集合修習の週間日程表」(PDF全8頁のうち,本文で用いた箇所は1頁の説明及び2026年1月16日欄)。
⑥かわしょー吉「現役司法修習生が語る弁護修習のリアル|配属先事務所での修習前半の概要」(NO-LIMIT,2023年3月29日公開・同年4月25日更新,「配属先事務所での修習前半の概要~ある弁護修習の一日」本文及び表末尾,Web記事のため頁番号なし)。
⑦平塚健士朗「現在の司法修習事情①」(小林・弓削田法律事務所,2022年8月19日,第2節内「司法修習生の生活」第2段落,Web記事のため頁番号なし)。
②~⑤は山中弁護士ブログに公開された司法研修所関係資料の写しであり,PDFの頁はファイル先頭から数えた頁である。
⑥・⑦はコロナ禍の修習に言及する個人の体験記であり,現在の全国共通の取扱いを示す資料としては用いていない。