目次
第1 企業情報の不開示には二つの類型がある第2 「社外秘」の表示と任意提供情報を区別する第3 意見書を求められる場合第4 反対意見書で示す事項第5 部分開示と第三者意見第6 反対したのに開示すると通知された場合第7 出典と関連する記事
行政機関に提出した資料に「社外秘」「非公表」と表示していても,それだけで情報公開請求に対して当然に不開示となるわけではない。
反対に,行政機関へ提出したからといって,企業の未公表情報がすべて開示されるわけでもない。
資料に著作物が含まれる場合も,行政機関が開示できるかという問題と,開示を受けた人がウェブ転載・出版などに利用できるかという問題は分けて考える必要がある。
外務省の公式Q&A・Q46も,開示文書の出版・引用には著作権法の定めに従う必要があると説明している。
開示後の利用については,情報公開で取得した文書の利用目的と再利用に関する記事を参照されたい。
判断の中心は,情報公開法が定める不開示情報に当たるかどうかである。
第三者の意見聴取では,問題となる記載と法の要件を対応させて説明することが重要になる。
本記事は,国の行政機関に対する情報公開法上の請求を対象とする。
第1 企業情報の不開示には二つの類型がある
情報公開法5条2号は,法人その他の団体に関する情報及び事業を営む個人の事業情報について,主に次の二つの類型を定めている。
ただし,国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人は,同号の法人等から除かれている。
一つ目は,公にすることで,当該法人等又は個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報である(同号イ)。
非公表かどうかだけでなく,公にした場合にどのような正当な利益が害されるおそれがあるかが問題となる。
二つ目は,行政機関の要請を受け,公にしないとの条件で任意に提供された情報であって,法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他当該条件を付することが当該情報の性質,当時の状況等に照らして合理的であると認められるものである(同号ロ)。
単に提出者が秘密扱いを希望した,という事情だけで足りる規定ではない。
なお,同号は,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にする必要があると認められる情報を除外している。
不開示情報の類型だけを読み,この例外を落としてはならない。
第2 「社外秘」の表示と任意提供情報を区別する
同号イを主張する場合は,例えば,資料のどの記載から未公表の原価,取引条件又は技術情報等が分かり,それが競争相手等に知られるとどのような不利益につながるのかを具体化する。
ただし,これらの例に当たれば常に不開示になるという意味ではない。
同号ロを主張する場合は,行政機関からの要請,任意の提供,非公表の条件及びその合理性を分けて説明する。
提出時の依頼文,条件を確認した連絡,情報の管理状況等が,事情を示す資料になり得る。
法令に基づく提出義務がある報告と,行政機関の要請に応じた任意の情報提供を,同じものとして扱うことはできない。
任意提供の類型に当たらなくても,同号イその他の不開示情報に当たるかは,別に検討される。
また,「営業秘密」という言葉だけを挙げて結論を出さず,情報公開法5条2号のどの要件を問題とするのかを示す必要がある。
第3 意見書を求められる場合
情報公開法13条1項は,対象文書に第三者情報があるとき,行政機関の長が当該第三者に意見書提出の機会を与えることができる旨を定めている。
企業名が記載されていれば,必ず意見照会があるとまでは規定していない。