第1 結論
1 GビズIDメンバーは職員本人のアカウントである
GビズIDメンバーは,GビズIDプライム利用者が所属職員へ権限を付与して作成するアカウントである。法律事務所内で一つの共用IDを使う仕組みではない。
2 広いシステム権限と訴訟代理権は別である
最高裁判所提供資料上,TreeeSへGビズID連携する場合,メンバーは弁護士に代わって提出・記録閲覧等を行える設計が示されている。しかし,アカウント権限を付与されても,職員が訴訟代理人になるわけではない。
第2 作成とサービス権限
1 プライム側の操作
GビズIDプライム又は管理権限を持つ者がメンバーを作成し,利用可能な行政サービスを設定する。TreeeSを利用できるサービスとして許可されているかを確認する。
2 メンバー本人の操作
招待を受けた職員は,自分のメールアドレス,認証方法及び登録情報を用いて手続きを完了する。パスワードや認証端末を他の職員と共有しない。
第3 TreeeSでできること
1 提出と記録閲覧
最高裁判所提供資料では,GビズIDメンバーが弁護士に代わり,書面提出及び訴訟記録の閲覧を行えると説明されている。対象事件及び操作範囲は本番のサービス権限と事件画面で確認する。
2 送達・直送書面
資料には,メンバーが受送達書面を閲覧できる旨の説明もある。最初に閲覧したメンバーの氏名が送達状況画面へ表示されるとされるため,受信担当と閲覧時刻を管理する。
3 本人の最終責任
職員が操作できても,提出内容,事件,期限及び代理権の確認は別である。事務所内で弁護士の承認を経る段階を定め,承認者と送信者を記録する。
第4 メールアドレスの設計
1 一人一アドレス
操作履歴と本人を対応させるため,職員ごとのメールアドレスを用いる。同じメールアドレスを複数人で利用しない。
2 複数弁護士を補助する場合
TreeeS資料には,同じメンバー用メールアドレスを複数の弁護士のGビズIDプライムへ紐づけられないとの説明がある。弁護士ごとに別アドレスが必要となる場合の命名,受信先及び退職時の停止方法を先に決める。
第5 有効期限と異動・退職
1 GビズIDの有効期限
デジタル庁の現行案内では,GビズIDプライム及びメンバーの有効期間は原則2年3か月である。プライムが期限切れになると,紐づくメンバーの行政サービスログインにも制限が生じ得る。
2 二重の棚卸し
職員の担当変更又は退職時は,GビズID側のメンバー・サービス権限と,TreeeS事件側の関連付け・送達受取人等を別々に確認する。片方だけを停止して終えない。
第6 サポーターとの違い
1 アカウントと事件上の役割
GビズIDメンバーは組織に所属する職員のアカウントであり,サポーターは個別事件で提出を補助する役割である。同じ種類の区分ではない。
2 GビズID非連携の場合
非連携方式では,職員自身のTreeeS個人アカウントを個別事件のサポーター等として関連付ける方法が示されている。詳しくは,TreeeSで事務職員ができることを参照されたい。
第7 出典と限界
1 確認した一次資料
GビズID利用規約,GビズIDメンバー編マニュアル,アカウントの有効期限及び最高裁判所提供のTreeeSアカウント資料を確認した。
2 未確認事項
TreeeS本番サービスのGビズID権限設定,複数弁護士に対するメールアドレスの最終仕様,操作履歴の範囲及び退職者の一括解除は未確認である。判例秘書の個別判決本文による裏付けもない。