第1 結論
1 「30日」は一つの法定期間ではない
TreeeSのVer.2.0は,提出書面一覧を提出日から30日経過後に削除し,受信一覧を受信日から30日経過後に表示しなくなると説明している。
下書きについては,Ver.2.0資料上70頁の保存書面一覧の画面例に,「一時保存した情報の保存期限は保存年月日から30日です。」との表示がある。
同頁の本文には,保存できる件数の上限が個人ユーザ30件,法人ユーザ及び士業者ユーザ各100件と記載されている。
保存期限と件数上限は別の事項である。
2 送達効・上訴期間・記録保存と分ける
受信一覧からファイルが見えなくなる時期と,システム送達の効力が生じる時期,上訴期間及び裁判所の訴訟記録保存期間は別である。「30日以内なら期限に間に合う」といった理解をしない。
第2 下書きの保存と件数上限
1 下書きは提出ではない
フォームの[下書き保存]は入力中の書面を保存する操作であり,裁判所への提出ではない。
Ver.2.0資料上68~70頁は保存書面の確認・編集を説明しており,同70頁の画面例は保存年月日から30日という期限を表示している。
提出書面一覧の提出日から30日,受信一覧の受信日から30日という各説明とは,対象と起算日を分けて確認する。
下書きの保存期限が到来する前に,書面の内容と提出要否を確認するとよい。
正式な提出期限は,画面の下書き保存と別に管理する。
2 件数上限
Ver.2.0資料上70頁は,下書きの上限を個人ユーザ30件,法人ユーザ100件,士業者ユーザ100件と説明している。
これは日数ではなく件数である。
重要書面の唯一の原本を下書き画面に置かず,作成原稿を事件フォルダで管理する。
第3 提出書面一覧の30日
1 提出結果の確認画面
提出書面一覧は,ログインユーザが提出したファイルをフォーム単位で一覧表示する画面である。
Ver.2.0資料上58頁は,提出日から30日経過後に提出一覧画面から削除されると注意している。
同画面から取得するPDFの末尾には提出日時・受付番号等の詳細情報が付加されるため,提出直後に保存する。
2 提出証拠の保存
提出直後に,提出日時,受付結果,提出ファイル,裁判所,事件番号及び提出者を保存する。通知メールだけでなく,受付画面又は一覧の表示も保存する。
第4 受信一覧の30日
1 システム送達・直送のファイル
Ver.2.0資料上60頁は,受信日から30日経過後に受信一覧へ表示されなくなると説明している。
対象ファイルは期間内に事件フォルダへ保存し,受信一覧の表示と事件記録自体へのアクセスを混同しない。
2 閲覧・ダウンロードは送達効に影響する
民事訴訟法109条の3によれば,閲覧又は端末への記録は,通知発信から1週間経過するより前に送達効を生じさせ得る。保存作業の担当者と実行時刻を記録する。
第5 訴訟記録一覧との違い
1 事件記録の閲覧
当事者・代理人は,資料上,事件の訴訟記録一覧から記録を閲覧できると説明されている。受信一覧又は提出書面一覧の30日と,事件記録へのアクセスを混同しない。
2 法的な保存期間
裁判所が訴訟記録を保存する期間は,法令・規程及び事件類型により判断される。TreeeS画面の30日から裁判所の保存期間を導くことはできない。
第6 事務所の保存手順
1 毎回保存するもの
①提出前の最終PDF,②提出結果,③受付時刻,④納付情報,⑤受信ファイル,⑥閲覧・ダウンロード時刻,⑦送達状況を事件単位で保存する。
2 ファイル名と台帳
ファイル名には事件,日付,書面名及び版を含め,提出台帳・受信台帳と対応させる。TreeeSの一覧が消えた後も,どのファイルをいつ提出又は受信したか説明できるようにする。
一覧の保存期間と電子記録管理の違いは,TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備で整理している。
第7 関連記事と出典
1 関連記事
TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方は各画面の位置を扱い,mintsにおける裁判記録の保存期間は画面表示と法的保存の違いを考える参考になる。
2 出典と限界
出典は,最高裁判所「当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行,暫定版)」資料上58・59・60・68・69・70頁(研修環境のトップ画面の「マニュアル」から取得,令和8年10月16日確認)である。
PDFの物理頁は資料上の頁に4を加えた数であり,本番利用時には公式案内と対象版を確認する。
下書きの保存期限の表示は,裁判所公開の当事者用操作マニュアルVer.2.0資料上70頁(PDF74頁)の保存書面一覧の画面例を令和8年10月28日に確認した。