第1 結論
1 「30日」は一つの法定期間ではない
TreeeS資料では,下書き,提出書面一覧及び受信一覧について30日という表示又は保持期間が示されている。しかし,これらは同じ法的意味を持つ期間ではない。
2 送達効・上訴期間・記録保存と分ける
受信一覧からファイルが見えなくなる時期と,システム送達の効力が生じる時期,上訴期間及び裁判所の訴訟記録保存期間は別である。「30日以内なら期限に間に合う」といった理解をしない。
第2 下書きの30日
1 一時保存の期限
TreeeS操作資料では,申立て又は書面提出フォームの一時保存について,保存日から30日という期限が示されている。下書きは裁判所への提出ではなく,期限経過前に正式送信しなければならない。
2 件数上限
下書きには件数上限も設定されるとの説明がある。重要書面の唯一の原本を下書き画面に置かず,Word・PDF等の作成原稿を事件フォルダで管理する。
第3 提出書面一覧の30日
1 提出結果の確認画面
提出書面一覧は,利用者が送信した書面,対象事件及び受付結果を確認するための画面である。資料上の表示期間が経過すれば,一覧から確認できなくなる可能性がある。
2 提出証拠の保存
提出直後に,提出日時,受付結果,提出ファイル,裁判所,事件番号及び提出者を保存する。通知メールだけでなく,受付画面又は一覧の表示も保存する。
第4 受信一覧の30日
1 システム送達・直送のファイル
TreeeS資料上,システム送達又はシステム直送で受信したファイルは,受信一覧から30日間アクセスできるとされる。期間内に事件フォルダへ保存する。
2 閲覧・ダウンロードは送達効に影響する
民事訴訟法109条の3によれば,閲覧又は端末への記録は,通知発信から1週間経過するより前に送達効を生じさせ得る。保存作業の担当者と実行時刻を記録する。
第5 訴訟記録一覧との違い
1 事件記録の閲覧
当事者・代理人は,資料上,事件の訴訟記録一覧から記録を閲覧できると説明されている。受信一覧又は提出書面一覧の30日と,事件記録へのアクセスを混同しない。
2 法的な保存期間
裁判所が訴訟記録を保存する期間は,法令・規程及び事件類型により判断される。TreeeS画面の30日から裁判所の保存期間を導くことはできない。
第6 事務所の保存手順
1 毎回保存するもの
①提出前の最終PDF,②提出結果,③受付時刻,④納付情報,⑤受信ファイル,⑥閲覧・ダウンロード時刻,⑦送達状況を事件単位で保存する。
2 ファイル名と台帳
ファイル名には事件,日付,書面名及び版を含め,提出台帳・受信台帳と対応させる。TreeeSの一覧が消えた後も,どのファイルをいつ提出又は受信したか説明できるようにする。
第7 関連記事と出典
1 関連記事
TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方は各画面の位置を扱い,mintsにおける裁判記録の保存期間は画面表示と法的保存の違いを考える参考になる。
2 出典と限界
民事訴訟法109条の3及びTreeeS操作マニュアル(当事者用)を確認した。30日の起算時刻,休日・障害時の扱い,削除後の復旧及び本番表示は未確認であり,判例秘書の個別判決本文も確認していない。