第1 この記事の対象と結論
1 令和8年7月2日発行の当事者用操作マニュアル
最高裁判所は,民事裁判手続のデジタル化に伴う新システムTreeeS(ツリーズ)について,「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行,全134頁のPDF)を作成している。
このマニュアルは,TreeeSの研修環境のトップ画面にあるヘッダーの「マニュアル」から取得することができる(令和8年9月19日確認)。
本記事は,このマニュアルを通読し,弁護士・訴訟代理人及び法律事務所の事務職員が実務でつまずきやすい点を,マニュアルの頁を示して整理するものである。
結論として,マニュアルから読み取れる実務上の要点は,次のとおりである。
①係属中の事件に書面を出すときは,事件詳細画面の[事件の申立て・書面の提出]から入る(資料上6頁・16頁)。
②提出書面一覧と受信一覧は,いずれも30日を経過すると表示されなくなる(資料上13頁・14頁)。
③手数料を印刷した帳票で納付するときは,コンビニ設置の共用ATMを使うことができない(資料上26頁・28頁)。
④システム送達は,受信一覧のデータ名を開いた時点で送達送付状況確認画面に「送達済み」のレコードが表示される一方,法律上は,開かなくても一定の期間の経過で効力を生ずる(資料上128頁,民事訴訟法109条の3)。
⑤電子署名付きのデータは,PDFを結合せず,詳細情報も含めずにダウンロードしないと,電子署名を検証できなくなるおそれがある(資料上94頁~95頁)。
2 基準日と資料の限界
本記事の操作説明は,令和8年9月19日に確認した研修用操作マニュアルを基にしている。
古い資料で追加予定とされた時期が到来しても,章の追加や最終手順の確定を推測しない。利用時には最新版の発行日,対象者及び研修用・本番用の別を確認する。
現在の電子申立ての案内は,裁判所の民事裁判手続デジタル化ページで確認する。研修画面へのアクセスを正式提出と扱わない。
以下,マニュアルの頁は,マニュアルの下部に印刷された頁番号(資料上の頁)で示す。
表紙と目次の2頁があるため,PDFの頁番号は資料上の頁に2を加えた数になる。
本記事は2026年7月2日発行の版を説明する。令和8年10月頃に追加予定とされたユーザ登録の章については,予定時期が到来しただけで配布済みと判断せず,利用時に発行日・改訂日と追加資料を確認する。研修用と本番用も区別する。公式入口と認証画面の注意は,TreeeSのログインと研修環境を参照されたい。
第2 マニュアルの構成とログイン
1 全7章の構成
マニュアルは,次の7章で構成されている(資料上の目次)。
| 章 | 表題 | 資料上の頁 |
|---|---|---|
| 1 | ユーザ登録(令和8年10月頃追加予定) | 1頁 |
| 2 | ユーザポータル | 2頁~14頁 |
| 3 | フォーム提出 | 15頁~73頁 |
| 4 | 電子記録の閲覧・複写(ダウンロード) | 74頁~107頁 |
| 5 | 手数料/保管金の管理 | 108頁~116頁 |
| 6 | 招待キー | 117頁~124頁 |
| 7 | システム送達・システム直送 | 125頁~132頁 |
資料上の132頁のうち約7割(93頁)が,「フォーム提出」と「電子記録の閲覧・複写」に充てられている。
弁護士が最初に読むべき部分は,第3章の3.1(提出の流れ)と3.3(係属中の事件への提出),第4章の4.5(ダウンロード),第7章(システム送達)である。
2 ログインの注意
ログインIDはメールアドレスであり,GビズIDでログインする場合は,ログイン画面の下部の「GビズIDでログイン」を使う(資料上3頁)。
マニュアルは,ログイン画面をブックマークしてそこから開くとログインできず,TreeeSのトップ画面からやり直す必要があると注意している(資料上3頁)。
二要素認証は,携帯電話に送信されるコードを入力する方法と,登録した電話番号にかかってくる自動音声の電話で「#」を押す方法の2つがある(資料上4頁)。
事務所で複数人が認証用の電話を共用する場合は,誰の電話に認証が届くかを事前に決めておく必要がある。
3 ユーザポータルが起点になる
ログインすると,ユーザポータル画面が表示される(資料上5頁)。
ユーザポータルには,次回期日が近い事件(最大2件),直近で保存した書面(最大2件),受信・提出・通知の各タブ(最大4件)が表示される(資料上6頁~9頁)。
通知には,アカウントに関するもの,事件に関するもの(アップロード通知,システム送達やシステム直送を受けた際の通知等),手数料に関するもの等がある(資料上11頁)。
事件一覧には「基本事件」だけが表示され,「関連事件」は[詳細]をクリックして確認する(資料上10頁)。
第3 目的別索引
TreeeSで行いたい操作に応じて,次の記事を参照されたい。
- 新たに訴えを提起する場合:TreeeSで訴訟を提起する方法
- 係属中の事件へ準備書面等を提出する場合:TreeeSで係属事件に書面を提出する方法
- 書証を提出する場合:TreeeSでの書証の提出
- 訴訟記録を閲覧又はダウンロードする場合:TreeeSで訴訟記録を閲覧・ダウンロードする方法
- 下書き,提出書面一覧及び受信一覧の30日を確認する場合:TreeeSの下書き・提出書面・受信データはいつ消えるか
- 手数料を納付する場合:TreeeSで手数料を納付する方法
- 招待キーで応訴する場合:TreeeSの招待キーを使う方法
- システム送達と期限を確認する場合:TreeeSのシステム送達と期限管理
- アカウントを登録する場合:TreeeSのアカウント登録
- 事務職員の権限を確認する場合:TreeeSで事務職員ができること
- 法律事務所の導入準備を確認する場合:TreeeS導入前に法律事務所が準備すること
第4 共通の注意事項
TreeeSの操作では,下書き,送信,システム受領,裁判所の立件・事件関連付け,手数料納付及び送達効発生を区別する必要がある。また,「30日」は下書き又は一覧の画面上の保持期間であり,送達効,上訴期間又は訴訟記録の法的保存期間ではない。
本記事及び個別記事は,令和8年9月22日までに確認したTreeeS操作マニュアル(当事者用)並びに裁判所の公開調達資料に基づく。先行導入後の本番画面,障害時運用及び資料改訂は,実際の利用時に再確認する。民事執行・倒産・家事事件等への拡張時期は,TreeeSは家事・倒産・民事執行でいつ使えるかを参照されたい。
第5 マニュアルから確認できないこと
マニュアルからは,次の事項を確認することができない。
①ユーザ登録の手順(「1 ユーザ登録」の章は令和8年10月頃追加予定)。
②GビズIDのメンバーアカウントによる閲覧が,民事訴訟法109条の3第1項1号の閲覧に当たるか。
③mintsで係属している事件をTreeeSへ移すかどうか及びその方法。
④本番環境のURL,利用時間及び先行導入の稼働日。
研修環境のトップ画面にある「はじめて利用する方へ」のPDFは,令和8年9月19日時点では「テストPDF」と表示されるだけの仮のファイルであり,「よくあるお問い合わせ」と「チャットボット」のリンク先も設定されていなかった。
事務職員の関与の方法は,「TreeeSで事務職員ができること-GビズIDメンバー,サポーター及びシステム送達受取人の違い」で説明している。
第6 関連記事
①TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備
②TreeeSで事務職員ができること-GビズIDメンバー,サポーター及びシステム送達受取人の違い
③TreeeSでの書証の提出―証拠説明書の自動作成,証拠番号,原本・写しの選択及び翻訳文
④公示送達のウェブ掲載―令和8年5月21日以後の事件,効力発生時期及び掲載ページの利用条件
⑤mintsマニュアルの読み方と目的別索引-最新版・アクセス記録・補助者の権限
⑥最高裁判所が開発しているmints,RoootS及びTreeeS
⑦TreeeSは家事・倒産・民事執行でいつ使えるか
第7 出典
1 裁判所の資料
①最高裁判所「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行,全134頁),TreeeS研修環境のトップ画面のヘッダー「マニュアル」から取得(令和8年9月19日確認)。
②TreeeS研修環境のトップ画面,アカウント選択画面(画面ID:T.01-02-01)及びログイン画面(画面ID:T.03-01-01)の表示(令和8年9月19日確認)。
2 法令
①民事訴訟法109条の2から109条の4まで,132条の11及び368条(e-Gov法令検索,令和8年9月19日現在)。
②民事訴訟費用等に関する法律3条2項及び8条(e-Gov法令検索,令和8年9月19日現在)。
③裁判所「民事訴訟規則」45条の3,45条の4及び223条(令和8年9月19日確認)。