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TreeeSでの書証の提出―証拠説明書の自動作成,証拠番号,原本・写しの選択及び翻訳文(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 TreeeSでは書証フォームへの入力から証拠説明書が作られる

最高裁判所が令和9年1月から先行導入を予定している新システムTreeeS(ツリーズ)では,書証は「書証フォーム」から提出する。
最高裁判所「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行)によれば,証拠をアップロードし,各行に情報を追加することで証拠説明書の帳票が作成され,別途証拠説明書を作成して提出する必要はない(資料上58頁)。
本記事は,このマニュアルの「3.3.1 書証を提出する」(資料上58頁~62頁)と「4.7 証拠一覧画面」(資料上101頁~107頁)を中心に,TreeeSでの書証の提出方法と,その前提となる民事訴訟規則の定めを整理するものである。

結論として,TreeeSでの書証の提出で押さえるべき点は,次のとおりである。
①書証は,事件詳細画面の[書証提出]から入り,訴状フォームの添付資料欄には上げない(資料上51頁・58頁)。
②証拠番号は「甲001」「甲012-2」「乙A001」の形で入力し,英数字とハイフンは半角で入力する(資料上60頁)。
③「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」のいずれを選ぶかで,期日に現物を持参するかどうかが変わる(資料上61頁)。
④外国語の文書は,取調べを求める部分の翻訳文を「関連データ」として添付する(資料上62頁,民事訴訟規則138条1項)。
⑤証拠一覧画面は,当事者が入力した証拠説明書の項目と,裁判所職員が入力する採否等が一体になった画面である(資料上79頁・103頁)。

2 基準日と資料の限界

本記事は,令和8年9月19日を基準日とする。
マニュアルは,TreeeSの研修環境のトップ画面にあるヘッダーの「マニュアル」から取得したものであり,先行導入までに改訂される可能性がある。
現在の民事訴訟の電子提出はmintsで行うものであり,mintsでの証拠説明書の作り方は「mintsの証拠説明書の作り方・提出方法-標目・原本・写し・記録外データ」で説明している。
マニュアルの頁は,マニュアルの下部に印刷された頁番号(資料上の頁)で示し,PDFの頁番号は資料上の頁に2を加えた数になる。

第2 書証の申出と証拠説明書に関する規則

1 写しと証拠説明書の提出

民事訴訟規則137条1項は,文書を提出して書証の申出をするときは,「当該申出をする時までに、その写しを提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書を提出しなければならない。」と定めている。
同条3項は,文書の写しの提出に代えて,最高裁判所の細則で定めるところにより,文書の画像情報を電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法で提出することができるとしている。
同条4項は,民事訴訟法132条の11第1項及び第3項を写しの提出に準用しているので,委任を受けた訴訟代理人は,写しを電子情報処理組織を使用して提出することになる。

2 原本の提出と外国語文書の訳文

民事訴訟規則143条1項は,「文書の提出又は送付は、原本、正本又は認証のある謄本でしなければならない。」と定めている。
写しの電子提出は,書証の申出の時までに写しを出す手続であり,取調べの対象となる文書そのものの提出とは区別される。
TreeeSの書証フォームで「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」を選ばせるのは,この区別を画面上で明らかにするためと考えられる。

民事訴訟規則138条1項は,外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは,「取調べを求める部分についてその文書の訳文を添付しなければならない。」と定めている。
相手方は,訳文の正確性について意見があるときは,意見を記載した書面を裁判所に提出しなければならない(同条2項)。

3 電磁的記録の証拠調べ

電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べは,民事訴訟法231条の2以下に定められている。
同条2項は,その提出を,記録媒体を提出する方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行うとしている。
TreeeSのマニュアルは,電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出をする場合には,書証フォームで「原本」を選択した上,「補足事項」欄に「電磁的記録」と入力するとしている(資料上62頁)。

第3 書証フォームの入り方と入力の流れ

1 事件詳細画面の[書証提出]から入る

書証を提出したい事件の事件詳細画面で[書証提出]をクリックし,画面の表示に従って書証を提出する(資料上58頁)。
事件詳細画面から申立て画面に移動して[書証・準文書の写し及び証拠説明書]を選択することもできる(資料上58頁)。
事件詳細画面から入ると,書証を提出したい事件の情報と当事者情報が既に入力されている(資料上59頁)。
事件詳細画面を経由せずに申立て画面から書証フォームに移動した場合は,事件の特定欄が空欄になるので,自分で入力しなければならない(資料上59頁)。

訴状と同時に書証を提出する場合は,訴状フォームの提出前の確認画面に表示されるリンクから書証フォームに移る(資料上24頁)。
訴状フォームの添付資料欄は,調停不成立証明書や固定資産評価証明書等のための欄であり,書証をここにアップロードしてはならない(資料上51頁)。
同時提出しようとするフォームを一時保存すると,同時提出ができなくなる(資料上24頁)。

2 入力の順序

マニュアルに従うと,書証フォームの入力は次の順序で行う(資料上59頁~62頁)。
①提出者を選択する。
②必要に応じて[証拠説明書の記載例はこちら]で記載例を確認する。
③書証のファイルをアップロードする。
④証拠番号を入力する。
⑤[入力]をクリックし,証拠の表示,立証趣旨,作成年月日,原本/写し/原本に代え写し(画像情報)の別,作成者及び補足事項を入力して[入力完了]をクリックする。
⑥関連データがあれば[関連データ添付]からPDFファイルをアップロードする。
⑦書証が複数あれば③から⑥を繰り返し,[入力確認へ]に進む。

書証としてアップロードできるファイルの拡張子は,.pdf,.mp4,.mp3,.png及び.jpegである(資料上60頁)。
アップロードするファイルにはパスワードを付さない(資料上60頁・62頁)。
入力中に[本事件の証拠一覧を参照する]をクリックすると,作成中のフォームを下書き保存した上で証拠一覧画面に移ることができる(資料上60頁)。

第4 証拠番号の付け方

1 入力の形式

マニュアルは,証拠番号の入力例として「甲001」「甲012-2」「乙A001」を挙げ,英数字と「-」(ハイフン)は半角で入力するよう注意している(資料上60頁)。
入力例は,いずれも数字を3桁で書き,枝番をハイフンで続ける形である。
符号は,原則として,原告提出分を「甲」,被告提出分を「乙」,参加人提出分を「丙」などとする(資料上60頁)。
被告が複数いるときは「乙A」「乙B」などの符号を用いることが多いが,具体的な符号の付け方は担当書記官に問い合わせるよう案内されている(資料上60頁)。

2 mintsとの違い

mintsでは,証拠説明書を当事者がWord等で作成し,PDFにして提出する。
TreeeSでは,書証フォームの各行に入力した内容から証拠説明書の帳票が作られるので,証拠番号は書証フォームの番号欄に入力する値になる。
証拠番号の入力値を誤ると,自動で作られる証拠説明書と証拠一覧の両方に誤りが出るので,提出前の確認画面で証拠説明書の帳票を開いて照合する必要がある(資料上23頁)。
準備書面の本文で証拠を引用するときの表記(「甲1」等)を,書証フォームの入力値に合わせて変える必要があるかどうかについて,マニュアルは何も述べていない。

第5 証拠の表示・立証趣旨・作成年月日・作成者・補足事項

1 証拠の表示

証拠の表示には,文書等に記載されている表題を入力する(資料上61頁)。
表題のない文書等は,文書の形状や内容に応じて書出しの文言により特定して入力する(資料上61頁)。
例として,領収書,売買契約書,封筒,名刺,「●●と題する書面」,音声データ,写真が挙げられている(資料上61頁)。

2 立証趣旨

立証趣旨には,提出する文書等によってどのような事実を立証するのかを具体的に記載する(資料上61頁)。
例として,「被告が令和○年□月△日に原告に対し金銭を支払った事実」が挙げられている(資料上61頁)。

3 作成年月日・作成者・補足事項

作成年月日を特定できない場合は,補足事項欄に「作成年月日は●●頃」「作成年月日不明」などと入力する(資料上61頁)。
作成者の例として,原告,被告及び個人名が挙げられている(資料上62頁)。
写真等を提出する場合は,補足事項欄に撮影対象,撮影時期及び撮影者を記載する(資料上62頁)。

第6 原本・写し・原本に代え写し(画像情報)の選択

1 3つの選択肢

書証フォームでは,「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」のいずれかを選ぶ(資料上61頁)。
マニュアルの説明は,次のとおりである。

選択肢選ぶ場面期日への持参
原本手元に提出する文書等の原本がある場合取調べの対象となる文書等を持参する
写し文書等の写ししか手元になく,写しを原本として提出する場合取調べの対象となる文書等を持参する
原本に代え写し(画像情報)相手方において原本に代えて画像情報(PDF)のみを提出することに異議がなく,原本の存在及びその成立について争いがないことが見込まれる場合で,期日に文書等を持参しない場合持参しない

(資料上61頁)

2 選び方の注意

「原本」又は「写し」を選んだ場合には,取調べの対象となる文書等を期日に持参する(資料上61頁)。
「原本に代え写し(画像情報)」を選ぶのは,相手方に異議がなく,原本の存在及び成立に争いがないことが見込まれる場合に限られる(資料上61頁)。
相手方が成立を争うことが予想される文書について「原本に代え写し(画像情報)」を選ぶと,後で原本の取調べが必要になり,期日に原本を持参していないと取調べができないおそれがある。
電磁的記録の内容について証拠調べを求める場合は,「原本」を選び,補足事項欄に「電磁的記録」と入力する(資料上62頁)。

第7 関連データと翻訳文

書証ファイルに関連データを添付して提出すると,ファイル詳細画面と電子ビューワ画面で,書証と関連データがタブで表示される(資料上62頁)。
マニュアルは,外国語で作成された文書を証拠として提出するときは,取調べを求める部分の翻訳文を関連データとして提出するよう注意している(資料上62頁)。
これは,民事訴訟規則138条1項の訳文の添付を,TreeeSの画面上で行う方法である。
関連データのダウンロードはタブごとの個別の処理になり,タブ表示されている他のデータをダウンロードするときは,タブを切り替えてから[データダウンロード]をクリックする(資料上92頁)。

第8 証拠一覧画面と自動で作られる証拠説明書

1 証拠一覧画面の構成

証拠一覧画面には,書証アップロードフォームから提出されたファイル等,証拠として取り扱われるファイルが表示される(資料上79頁)。
提出者が書証フォームで入力した証拠の表示や立証趣旨のほか,職員が入力する証拠の採否等が併せて表示され,マニュアルは「証拠説明書と書証目録が一体化したイメージ」と説明している(資料上79頁)。
「採否の裁判期日等」から「備考」までの項目は,職員だけが入力できる(資料上103頁)。

証拠一覧画面に行が作られるのは,①当事者が証拠関係フォーム(書証アップロードフォーム,人証申出フォーム,証拠申出)から提出した場合,②職員が証拠関係ファイルをアップロードした場合,③職員が証拠一覧画面で手動登録した場合の3つである(資料上101頁)。

2 証拠説明書のPDF

書証フォームから提出すると,証拠説明書のPDFが自動で作られ,証拠一覧画面では書証とは別に証拠説明書を示す行が追加される(資料上102頁)。
人証申出フォーム等から提出した場合も証拠申出書のPDFが自動で作られるが,証拠申出書を示す行は追加されない(資料上102頁)。
証拠一覧の表示順は,提出者等,証拠種類,証拠番号,申出日,事件番号の順に並べ替えられる(資料上106頁)。
証拠一覧はPDFとCSVで出力できるが,訴訟記録一覧と異なり,「紙記録」「閲覧制限」などのシール表示は出力されない(資料上107頁)。
初期表示では関連事件の証拠は表示されないので,関連事件の証拠を見るときは[事件選択]で事件を選ぶ(資料上105頁・107頁)。

第9 人証申出書も帳票が自動で作られる

人証申出書は,事件詳細画面から申立て画面に移り,「分類別で探す」の「答弁書・準備書面・証拠・法定審理期間訴訟・閲覧制限関係」にある「証人尋問・当事者尋問の申出書(証拠申出書)」から提出する(資料上63頁~65頁)。
各行に情報を追加することで人証申出書の帳票が作られ,別途人証申出書を作成して提出する必要はない(資料上63頁)。
行はCSVファイルのアップロードで追加することもできる(資料上67頁)。
証拠の表示には「証人 ●● ●●」「原告代表者」「被告本人」などと入力し,名字と名前の間には全角スペースを入れる(資料上68頁)。
同行か呼出かを選び,呼出を選ぶ場合は住所を必ず入力し,尋問予定時間を入力して尋問事項書を添付する(資料上68頁)。

第10 提出前に確認すること

TreeeSで書証を提出する前に,次の点を確認しておく必要がある。
①事件詳細画面の[書証提出]から入り,事件の特定欄が自動で入力されていること。
②証拠番号が半角の英数字で,3桁と枝番のハイフンの形になっていること。
③「原本」「写し」「原本に代え写し(画像情報)」の選択が,相手方の意見と期日への持参の予定に合っていること。
④外国語の文書に,取調べを求める部分の翻訳文を関連データとして添付していること。
⑤ファイルにパスワードを付していないこと。
⑥提出前の確認画面で,自動で作られた証拠説明書の帳票を開き,証拠番号,標目,作成者及び立証趣旨を確認したこと。
⑦秘匿事項・第三者への閲覧制限事項・マイナンバーが記載されていないことを確認したこと(資料上24頁)。

TreeeSの画面全体の読み方は「TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方―提出の入口,30日で消える一覧,手数料の納付及び送達の確認」で説明している。

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第12 出典

1 裁判所の資料

①最高裁判所「TreeeS操作マニュアル 当事者用」(2026年7月2日発行,全134頁),TreeeS研修環境のトップ画面のヘッダー「マニュアル」から取得(令和8年9月19日確認)。

2 法令

民事訴訟法132条の11及び231条の2(e-Gov法令検索,令和8年9月19日現在)。
②裁判所「民事訴訟規則」137条,138条及び143条(令和8年9月19日確認)。