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TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備(AI作成)

第1 TreeeSとは何か―読み方と基本的な役割

TreeeSの読み方は「ツリーズ」である。
利用者向けの電子提出・電子記録管理を担い,裁判所内部の事件管理システムRoootSと連携する,最高裁判所が開発中のシステムである。
調達資料では,RoootSやe法廷との連携を含む「3つのe」を実現するシステム群の総称として用いる場合もある。

令和8年10月28日に確認した裁判所「TreeeSについて」は,令和9年1月4日から,名古屋地方裁判所(支部を含む。)及びその管内の簡易裁判所,名古屋高等裁判所本庁並びに最高裁判所へTreeeSを先行導入すると案内している。
対象事件とmintsを引き続き使う場合は,後記第3の2及びTreeeSはいつからどの裁判所で使うのかで説明する。

TreeeSを扱う際は,①現行法で確定している事項,②裁判所の公開調達資料に記載された将来仕様・運用予定,③本番導入後に確認すべき事項を分ける必要がある。本記事は総合案内として各論点の位置付けを示し,操作及び事務所運用の詳細は個別記事へ案内する。

知りたい事項から読む場合は,次の個別記事を利用されたい。
①入口と研修対象:TreeeSのログインと研修環境。
②登録前の判断:アカウント登録とGビズID。
③職員の役割:事務職員,サポーター及び送達受取人。
④操作の入口:当事者用操作マニュアルの読み方。
⑤事務所全体の準備:導入準備チェックリスト。
⑥利用条件と免責:TreeeS利用規約を読む。

第2 TreeeS,RoootS及びmintsの違い

1 TreeeSには狭い意味と広い意味がある

令和8年6月9日付の最高裁判所調達仕様書は,TreeeSを「e提出・e記録管理システム」,RoootSを「e事件管理システム」と定義している。
同仕様書によれば,TreeeSのe提出は,利用者が最初にアクセスするユーザポータル,裁判資料の電子提出,手数料の電子納付及び外部システムとの連携等を担い,e記録管理は,電子記録の整理・保管,アクセス権限の管理並びに利用者による検索・閲覧・複写を担う。
これに対し,RoootSは,事件番号,事件名,担当部,担当裁判官・書記官,当事者及び期日等の事件情報を裁判所職員が管理するシステムである。

もっとも,令和7年7月2日付の最高裁判所調達仕様書は,TreeeSを,RoootS,e提出・e記録管理システム及びe法廷のウェブ会議アプリケーションとの連携機能等を含む「3つのe」を実現するシステム群の総称とも定義している。
このため,資料によって,TreeeSが利用者向けのe提出・e記録管理部分を指す場合と,RoootS等まで含むシステム群全体を指す場合がある。
個別資料を読むときは,資料中の定義を確認しなければならない。

2 mintsとTreeeSの比較

項目mintsTreeeS
令和8年10月3日に確認した状態民事訴訟の電子申立て,書類の受領,電子記録の閲覧等に現に使用されている令和9年1月からの限定地域での先行導入が予定されている
利用者向けの位置付け裁判所が現在案内している電子提出システムユーザポータル,e提出及びe記録管理を備える次期システムとして開発されている
裁判所内部の事件管理mintsとは別にRoootSが用いられるRoootSと機能的に連携する設計である
アカウント現行の裁判所案内とmintsマニュアルに従う暫定マニュアルVer.2.0にユーザ登録・本人資格確認の手順がある。本番での受付開始・最終条件は正式案内で確認する
今後の時期TreeeSへの切替えが行われるまでは対象事件で使用される令和9年1月4日に最高裁・名古屋地区で先行導入する予定であり,全庁導入は令和9年度中を目指す。具体的な対象庁とmintsを使い続ける場合は,第3の2を参照されたい。

現在のmintsは,単なるファイル転送の仕組みではない。
裁判所の現行案内は,mintsについて,書類の提出,裁判所からの書類の受領,システム送達及び電子記録の閲覧等に使用するシステムとして説明している。
TreeeSとの差は,現在のmintsに何もできないという点ではなく,TreeeSがRoootSと連携する利用者向けのユーザポータル及び電子記録管理を含む目標システムとして設計されている点にある。

3 mintsからの移行を項目ごとに確認する

mintsとTreeeSはいずれもフォームを用いるが,利用者が最初に見る画面,事件への入り方,提出・受信・記録閲覧,費用納付及び権限管理の動線は異なる。
以下は,令和8年10月30日現在の公式マニュアルに現れる操作画面を,利用目的ごとに比較したものである。

比較の基準版は,mintsの「民事裁判書類電子提出システム操作マニュアル(当事者ユーザ編)2.3版(令和8年7月15日改訂)」と,TreeeSの「当事者用操作マニュアルVer.2.0(令和8年8月31日発行)」である。
TreeeS側は先行導入前の暫定版であり,本番画面,最終的なファイル容量,障害時の挙動及び導入後の実務差を確認したものではない。
令和9年1月4日の先行導入後も,先行導入庁に対する新規手続はTreeeS,先行導入庁以外と既存mints事件の上訴はmintsという併存が予定されている。

作業mintsの操作画面TreeeSの操作画面
最初に見る画面ホームと左側メニューから,新規申立て,イベント一覧,費用情報及びキー入力等へ移る。ユーザポータルに期日,最近保存した書面,新規申立て・書面提出,受信一覧,提出書面一覧及び通知一覧を集約する。
ログインと利用者mints固有の利用者登録を行い,親ユーザと補助者の関係で事務所内の操作を分担する。メールアドレス・パスワード又はGビズIDでログインし,メンバー,サポーター及びシステム送達受取人等の役割を用いる。
新規申立て左側メニューの新規申立て一覧から申立てを作成する。ユーザポータルの新規申立て・書面提出から手続に応じたフォームを選択する。
下書きと同時提出新規申立てを保存して後から再開できる。確認画面から書証等を続けて同時提出できるが,一時保存すると同時提出できない旨の警告が表示される。
継続事件への提出イベント情報画面から記録ファイルを提出する。事件詳細画面から準備書面,書証その他の専用フォーム又は汎用フォームへ入る。
書証と証拠説明書別途作成した証拠説明書を記録ファイルとして提出する。書証フォームの入力内容から証拠説明書の帳票を生成する。
事件記録の見方イベント情報画面の記録,記録外,関連イベント等のタブとアクセス状況を中心に確認する。事件詳細画面で訴訟記録一覧,証拠一覧及び記録外一覧等を分けて確認する。
受信・提出・通知ホームのお知らせ,新着情報及びイベントを中心に確認する。ユーザポータルの受信一覧,提出書面一覧及び通知一覧で確認し,提出・受信の一覧表示は30日である。
送達・直送記録一覧等のアクセス状況と通知を用いて確認する。受信一覧とシステム送達・システム直送画面を用い,システム送達受取人の役割を設ける。
手数料・保管金費用情報で裁判所の登録情報を確認し,Pay-easy等で納付する。フォーム提出後にヘッダー又は事件単位の手数料・保管金一覧で確認し,外部納付画面へ移る。
招待キー等招待キーとイベントアクセスキーを別の入口で入力する。招待キーと代理人,サポーター又はシステム送達受取人等の役割を組み合わせる。
ファイル形式・容量マニュアルがアップロードできる形式と上限を具体的に示す。フォームごとに形式を示すが,Ver.2.0では容量が「調整中」とされる箇所がある。
ダウンロード等単一又は複数ファイルのダウンロード,結合及び印刷等を行う。選択ダウンロード,PDF結合及び詳細情報の付加等を行うが,電子署名を検証する場合は個別取得が必要である。

マニュアル上の主な該当箇所は,mintsがホーム,新規申立て,イベント,記録ファイル提出,アクセス状況,費用情報,招待キー,ダウンロード及び補助者管理に関する各章,TreeeSがユーザポータル,新規申立て・書面提出,事件詳細,証拠説明書帳票,受信・提出・通知一覧,手数料・保管金,招待キー,システム送達・直送,ダウンロード並びにメンバー・サポーター管理に関する各章である。

ユーザポータルの提出書面一覧及び受信一覧における30日という表示期間は,画面上の一覧表示に関する説明であり,法令上の保存期間を示すものではない。

mintsのイベント情報とTreeeSの事件詳細では,事件への入口だけでなく,記録,証拠,記録外,関連事件及びアクセス状況の表示単位も異なる。
また,親・補助者と,メンバー・サポーター・システム送達受取人では役割の分け方が異なり,招待キー又はイベントアクセスキーの用途を同じものとして扱うことはできない。

ファイル容量について,mintsの上限をTreeeSに転用することはできない。
TreeeS Ver.2.0で容量が「調整中」とされた箇所は,最終値の公表を待つ必要がある。
TreeeSで電子署名を検証する必要がある場合は,PDF結合又は詳細情報の付加をせず,対象ファイルを個別にダウンロードする。

TreeeSで訴状と書証を同時提出する場合も,書証を訴状フォームの添付資料欄へ入れる操作ではない。
提出前の確認画面に表示されたリンクから書証フォームへ進む必要があり,同時提出の対象として画面に表示されない書面は別々に提出する。
また,同時提出しようとするフォームを一時保存すると同時提出できなくなると案内されているため,入力担当と確認担当の作業を途中で分ける場合には注意する(資料上72頁・99頁)。

書証フォームから自動で証拠説明書が作られても,内容の確認は必要である。
提出前に生成された帳票を開き,証拠番号,証拠の表示,作成者及び立証趣旨を照合する。
原本・写し等の区分や翻訳文の入力は,TreeeSでの書証の提出で説明する。

書面の提出完了と手数料の納付完了も別に確認する。
TreeeSのマニュアルは,手数料が納付済みの場合は「納付日」が表示され,未納付の場合は同欄に「-」が表示されると説明している(資料上174頁)。
事務所の確認表も,書面の受付結果と納付結果を分けて記録するとよい。

アカウントの引継ぎは,以上の書面提出の操作とは別の問題である。
mintsと同一メールアドレスを用いる登録経路の説明から,ID・パスワード,補助者設定又は事件データの自動移行までは確認できない。
登録方法はTreeeSのアカウント登録を参照し,係属事件の提出先やmintsとの併存期間は担当裁判所の正式案内で確認する。

第3 TreeeSの導入時期と対象裁判所

1 令和8年5月21日の全面施行はmintsで始まった

民事訴訟法等の一部を改正する法律の全面施行日は,令和8年5月21日である。
同日以後,弁護士等の所定の訴訟代理人には電子申立てが義務付けられ,裁判所は電子申立てに用いるシステムとしてmintsを案内している。
現行mintsの対象事件,旧法事件,対象外手続及び具体的な操作は,別稿の「mintsを利用できる裁判所と対象事件」及び「mints(ミンツ)とは―料金・対象事件・登録・ログイン・提出・送達の実務Q&A」を参照されたい。

2 令和9年1月4日の先行導入

裁判所「TreeeSについて」は,令和9年1月4日からの先行導入庁を,①名古屋地方裁判所本庁及び支部,②同地裁管内の簡易裁判所,③名古屋高等裁判所本庁,④最高裁判所と案内している(令和8年10月28日確認)。

同日以降,これらの先行導入庁に対し,システムを用いて新たな訴えの提起や支払督促のほか,少額訴訟,手形小切手訴訟,人身保護事件等,令和8年5月21日以降にmintsで扱うこととなった事件の申立てをする場合には,TreeeSを利用するとの案内である。

一方,先行導入時点でmintsで取り扱われている事件に対する上訴の申立ては,引き続きmintsで行う。
また,先行導入庁以外の裁判所で手続を行う場合も,引き続きmintsを利用するとの案内である。
裁判所名と暦日だけで一律に切り替えず,事件と申立ての種類を確認する必要がある。

令和8年2月27日付通知に記載された「令和9年1月」という先行導入方針と,その後の公式ページで案内された具体的な日付・対象庁を区別する。
移送事件の記録引継ぎや個別の提出経路は,担当裁判所の案内も確認する。

3 全庁導入は令和9年度中の目標である

同通知は,全庁導入について令和9年度中を目指す方針に変更はないとしている。
令和8年6月9日付の調達仕様書も,令和8年度中に一部の裁判所で運用を開始し,令和9年度中に全国の裁判所で運用を開始する予定であると記載する。
もっとも,裁判所ごとの導入順序及び全国一斉切替日を示す公開日程表は,今回確認した資料には含まれていない。

4 民事訴訟以外への拡張は別の日程である

TreeeS及びRoootSについては,家事事件,人事訴訟その他の手続に対応するための第3次開発も進められている。
令和8年6月9日付の調達仕様書は,家事事件等の機能改修や法人ベース・レジストリ連携の本番反映を令和10年3月に想定している。
ただし,これは調達上の開発・リリース想定であり,個々の手続の法施行日,利用開始日及び対象事件を一律に確定するものではない。法令の全面施行期限と開発工程の違いは,TreeeSは家事・倒産・民事執行でいつ使えるかを参照されたい。

導入時期,対象裁判所,旧法事件,新法事件,mints事件及び移送事件の判定は,TreeeSはいつからどの裁判所で使うのかを参照されたい。令和9年度中という記載は全国導入の目標であり,個々の裁判所の確定稼働日を示すものではない。

第4 TreeeSに変わっても適用される現行法の基本

1 法律が定めるのは電子情報処理組織であり,TreeeSという製品名ではない

民事訴訟法は,電子申立て,電子記録の閲覧等及び電子情報処理組織による送達の要件と効果を定めているが,「TreeeS」という名称を法定しているわけではない。
TreeeS又はmintsは,法令上の電子情報処理組織を実装するシステムの名称である。
したがって,システムが切り替わっても,提出の到達時期,電子申立て義務及び送達の効力は,その時点で適用される法令によって判断することになる。

2 電子申立ての到達時期と弁護士の義務

民事訴訟法132条の10第3項は,電子情報処理組織を使用する申立て等について,申立て等に係る事項が裁判所のファイルに記録された時に到達したものとみなす。
送信ボタンを押した時刻,事務所内でPDFを完成した時刻又はメール通知を受けた時刻が,当然に法定の到達時期になるわけではない。
提出期限がある場合は,システム上の受付結果を確認し,事務所の事件記録へ保存する運用が必要である。

同法132条の11第1項は,委任を受けた訴訟代理人である弁護士等について,担当事件の申立て等を電子情報処理組織により行うことを原則として義務付けている。
同条3項は,裁判所の電子計算機の故障その他その者の責めに帰することができない事由により電子申立てができない場合を例外としている。
TreeeSの画面に接続できない場合でも,直ちに自己判断で紙提出へ切り替えるのではなく,障害情報,発生時刻,エラー表示,裁判所への連絡及び代替提出の根拠を記録すべきである。

3 システム送達は通知メールを開かなければ効力が生じない制度ではない

民事訴訟法109条の3第1項によれば,電子情報処理組織による送達は,①送達すべき内容を表示したものを閲覧した時,②当該内容を端末のファイルに記録した時,又は③通知が発せられた日から1週間を経過した時のうち,最も早い時に効力を生ずる。
同条2項は,受送達者の責めに帰することができない事由によって閲覧又は記録ができない期間を,この1週間に算入しないとしている。
したがって,mintsからTreeeSへ変わっても,通知メールだけを期限管理の起点とせず,システム上の送達対象,閲覧・記録時刻及び法定期間を区別して管理する必要がある。

民事訴訟法109条の4は,電子情報処理組織による送達を受ける旨の届出義務がある者が届出をしていない場合でも,所定の方法による送達を可能とし,その場合には通常の通知を要しないと定めている。
届出を失念すれば送達されないという理解は危険である。

4 電子記録の閲覧等も法令に基づく

民事訴訟法91条の2は,訴訟記録等の閲覧,複写及び証明書の交付について,裁判所外の端末から電子情報処理組織を使用する方法を定めている。
ただし,誰がどの範囲を閲覧又は複写できるかは,当事者等の地位,閲覧等の対象及び裁判所の許可の要否によって異なる。
システム上で技術的に表示できることと,法令上の閲覧権限があることを同一視してはならない。

第5 公開仕様から分かるTreeeSの主な機能

1 利用者ポータル,電子提出及び電子納付

令和8年6月9日付の調達仕様書によれば,TreeeSのe提出部分には,利用者が最初にアクセスするユーザポータル,裁判資料の電子提出,手数料の電子納付並びに汎用受付システム及びインターネットバンキング等との外部連携が含まれる。
これはTreeeSが,単に完成済みのPDFを置く場所ではなく,利用者が申立てから納付までの操作を行う入口として設計されていることを示す。

もっとも,公開調達仕様書からは,最終画面の入力項目,添付可能なファイル形式・容量,保存時間,受付結果の表示方法及びエラー時の復旧手順を確定できない。
mintsの数値や操作をTreeeSへそのまま転記してはならない。

2 電子記録の整理,検索,閲覧及び複写

同仕様書によれば,e記録管理部分は,電子化された訴訟記録を整理して保管し,裁判所職員がアクセス権限を管理し,利用者が記録を検索,閲覧及び複写できるようにするサブシステムである。
これにより,提出と閲覧が一つの利用者向け基盤の中で結び付く設計であることが分かる。
ただし,検索項目,表示順序,一括ダウンロード,印刷,アクセス履歴及び閲覧制限資料の具体的な扱いは,正式な利用マニュアルで再確認する必要がある。

3 RoootSとの連携及びe法廷

RoootSは,裁判所職員が事件情報を管理する内部システムであり,TreeeSと機能的に連携する。
利用者がTreeeSへ入力した情報又は提出した資料が裁判所内部でどのように立件・登録されるかを理解するには,TreeeSの受付表示とRoootS上の事件処理を区別する必要がある。
送信,裁判所への到達,立件,事件への関連付け及び裁判官・書記官による確認は,同じ時点を指すとは限らない。

令和7年7月2日付の調達仕様書は,TreeeSを広い意味で用いる場合,e法廷のウェブ会議アプリケーションとの連携機能等を含むとしている。
もっとも,ウェブ会議への参加条件,招待方法及び利用アプリは,手続と時点により異なり得るため,TreeeSの名称だけから特定してはならない。

4 調達仕様書は操作マニュアルではない

調達仕様書には,画面文言,ボタン制御,テスト,改修完了目標及び将来機能が記載される。
そのため,仕様書で「修正する」「想定する」「要検討」とされる事項は,公開時点の設計・改修方針としては重要であるが,本番環境で実装済みであることの証明にはならない。
実際の申立て又は送達に用いるときは,稼働時点の裁判所公式ページ,利用規約,操作マニュアル及び画面表示を優先して確認する必要がある。中核システムの受注者,契約額及び関連調達の範囲は,TreeeSの開発会社と契約額で整理する。

令和8年10月16日に研修環境から取得した当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行,暫定版)は,資料上193頁までの全197PDF頁であり,登録・ユーザ情報管理,準備書面の提出及び関連付いていない事件への提出を説明している。
準備書面は[準備書面作成],書証は[書証提出]の専用入口を利用でき,書証フォームの入力から証拠説明書が作られる。
操作マニュアルの目的別索引及び書証の提出方法を参照されたい。
この版も暫定版であり,研修環境で確認した操作説明と本番実装を区別する。

第6 TreeeSのアカウントとGビズID

弁護士がTreeeSの士業者アカウントを登録する際は,GビズIDを利用するかどうかを決めてから進める必要がある。
Ver.2.0資料上25頁は,士業者がGビズIDを使わずユーザIDを取得した後に,GビズID利用へ切り替えられないと説明している。
同31~33頁には,GビズIDメンバーを用いる法人/士業事務員アカウントの登録方法もある。
登録後に補助体制を考えるのではなく,弁護士本人と職員の利用方法を先に整理する。

弁護士本人の登録,mintsと同じメールアドレス,本人・資格確認,氏名・住所及び二要素認証は,TreeeSのアカウント登録を参照されたい。
事務職員のGビズIDメンバーは,TreeeSでGビズIDメンバーを使う方法で説明する。
いずれも暫定マニュアルの説明と,本番登録時の最終条件を区別する。

第7 弁護士,事務職員及び送達受取人の役割

TreeeSでは,「提出できること」「訴訟記録一覧から記録を閲覧できること」「システム送達を受けること」が別の権限として整理されている。GビズIDメンバーは組織の職員アカウントであり,サポーター及びシステム送達受取人は事件上の役割である。

全体比較は従来のTreeeSで事務職員ができることに残し,サポーターの登録・提出権限はTreeeSのサポーターとはで説明する。

第8 mintsからTreeeSへの移行に備える法律事務所の実務

法律事務所は,事件ごとの提出経路台帳と,人物・アカウントごとの権限台帳を分けて管理する。下書き,送信,システム受領,立件・事件関連付け,手数料納付及び送達効発生も別々に記録する。

具体的な準備項目は,TreeeS導入前に法律事務所が準備することを参照されたい。

提出前の書面作成やPDF出力をAIサービスで支援する場合は,裁判所への提出操作・受領確認と,サービスの契約・情報管理を分けて確認する。公開資料を基にした確認事項は,裁判所への電子提出を支援するAIサービスの導入・検収を参照されたい。

端末・ブラウザ・スマートフォンの表示条件は,TreeeSの動作環境とスマートフォン利用を参照されたい。
提出できない・一覧に見つからない等の症状別の確認は,TreeeSのトラブル時の確認で整理する。

第9 現時点で確認できる事項と確認できない事項

1 公開一次資料で確認できる事項

以下は,令和8年9月22日時点の公開一次資料に基づく整理である。
先行導入日と対象庁については,その後の公式案内を反映した第3の2を参照されたい。
①現在の民事訴訟の電子申立て等にはmintsが用いられていること。
②TreeeSは,利用者向けのe提出・e記録管理を中心とし,RoootSと機能的に連携するシステムとして開発されていること。
③TreeeSを広い意味で用いる資料では,RoootS及びe法廷との連携を含むシステム群の総称とされること。
④令和9年1月に名古屋高裁本庁,名古屋地裁本庁・支部及び同地裁管内の各簡裁で先行導入する方針であること。
⑤全庁導入は令和9年度中を目指していること。
⑥公開調達資料上,TreeeSの独自ユーザID,GビズID利用の選択及びmintsと同じメールアドレスを用いる資格確認経路が設計・改修対象となっていること。
⑦サポーター,送達受取人及び当事者・代理人等は,公開された将来システム要件上,異なる権限の主体として整理されていること。

2 正式な追加資料を待つ事項

先行導入の具体的な日付・対象庁と,mints事件に対する上訴等の取扱いは,令和8年10月28日に確認した裁判所の公式ページで案内されている。
他方,本番ポータルの確定URL,全国の裁判所ごとの導入順序,mintsの終了時期及び事件データの引継ぎ範囲は,本記事で確認した資料だけでは確定できない。
一方,暫定マニュアルには動作環境,利用時間,登録手順,ファイル形式及びダウンロード方法の説明がある。
記載のある事項まで未公表とせず,マニュアルの説明,調達上の予定及び本番運用での確認を分ける。
容量上限等には「調整中」の記載が残る。

TreeeSについて実務判断を行う際は,この記事の基準日後に公開された裁判所の案内,利用規約及び操作マニュアルを確認する必要がある。
制度史及びシステム開発の経緯は,別稿「最高裁判所が開発しているmints,RoootS及びTreeeS」を参照されたい。

当事者用操作マニュアルの読み方は「TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方―提出の入口,30日で消える一覧,手数料の納付及び送達の確認」,TreeeSでの書証の提出方法は「TreeeSでの書証の提出―証拠説明書の自動作成,証拠番号,原本・写しの選択及び翻訳文」で説明している。

TreeeS等に関係する公開調達資料は,当該改修等業務の受注者に裁判所の情報セキュリティ関係通達・対策基準等の遵守を求め,これらが政府統一基準群等に準拠するとした上で,脆弱性診断,監査対応及びサプライチェーン管理等を要求している。もっとも,これらは本番環境での実装結果又はAI活用型攻撃への耐性試験結果そのものではない。mintsとTreeeSの公表根拠を比較した検討は,mints・TreeeSはAIを使うサイバー攻撃から事件記録を守れるかを参照されたい。

第10 出典・参考資料

1 法令

①民事訴訟法91条の2,109条の2から109条の4まで及び132条の10から132条の13まで(e-Gov法令検索,令和8年9月1日現在)。

2 裁判所及び最高裁判所事務総局の資料

①裁判所「民事訴訟」(令和8年9月20日確認)。
②裁判所「民事裁判手続のデジタル化」(令和8年9月20日確認)。
③最高裁判所事務総局経理局長「家事事件手続等のデジタル化に伴うe事件管理システム・e提出・e記録管理システムの改修等業務一式 公募公告及び調達仕様書」(令和7年7月2日付),資料上1頁~3頁・8頁・別紙6「アクタ一覧表」(PDF20頁~22頁・27頁・62頁)。
④最高裁判所事務総局経理局長「e提出・e記録管理システム及びe事件管理システムの追加機能改修業務 公募公告及び調達仕様書」(令和8年4月3日付),資料上2頁・別紙「改修作業一覧」・改修作業一覧補足スライド1~6(PDF19頁・30頁・35頁~40頁)。
⑤最高裁判所事務総局経理局長「後見法改正等に伴うe提出・e記録管理システム及びe事件管理システムの改修業務 公募公告及び調達仕様書」(令和8年6月9日付),資料上2頁~4頁(PDF19頁~21頁)。
⑥最高裁判所事務総局民事局長・行政局長・総務局長及び最高裁判所事務総局デジタル審議官「民事裁判手続等のデジタル化に伴い利用する最高裁判所の新システムTreeeSの先行導入に関する通知」(令和8年2月27日付)。
⑦最高裁判所「当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行,暫定版)」,全197PDF頁,資料上1頁・2頁・47~49頁・58~61頁・106~116頁・126頁・152~156頁・186~193頁(研修環境の「マニュアル」から取得,令和8年10月16日確認)。
⑧研修環境のログイン前のトップ画面(同日確認)。

本記事第2の3及び第6は,令和8年10月22日に,上記⑦のマニュアルの資料上23~33頁・61~76頁・99頁・110~115頁・169~174頁と,裁判所「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年10月2日版)3頁・12頁・16頁を追加照合した。
当該マニュアルは研修環境の「マニュアル」から取得したものであり,本番環境で提出・納付を実施した結果ではない。

裁判所「TreeeSについて」の「1.TreeeSの先行導入のお知らせ」(令和8年10月28日確認)。
先行導入日・対象庁及びmintsを引き続き利用する場合の説明は,同ページによる。

3 デジタル庁のGビズID資料

①デジタル庁「GビズID」(令和8年9月20日確認)。
②デジタル庁「アカウントの有効期限」(令和8年9月20日確認)。
③デジタル庁「GビズIDクイックマニュアル GビズIDメンバー編」5頁~6頁・10頁(令和8年9月20日確認)。

GビズID側の所在地・連絡先住所,申請後の有効化及び期限の管理は,TreeeSの登録前にGビズIDを準備する方法を参照されたい。