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mintsの実務解説 弁護士向けQ&A―電子申立て・証拠提出・送達・障害対応(AI作成)

◯本ブログ記事はAIを利用して草案を作成した上で,裁判所が公表又は提供する一次資料及び現行法令との照合を行ったものです。mintsの画面及び運用は更新されることがあるため,実際の申立てに当たっては,裁判所ウェブサイト及びmints内の最新情報も確認してください。個別事件の提出先,ファイル種別又は緊急時の取扱いに疑問がある場合は,担当書記官に確認する必要があります。
◯以下の記事も参照してください。
・ (AI作成)システムとしてのmintsの論評~UI/UXデザイン,フロントエンドエンジニアリング及び情報アーキテクチャ(IA)の視点から~
・ (AI作成)mints操作マニュアル~当事者ユーザ編~の解説
・ (AIリライト)最高裁判所が開発しているmints,RoootS及びTreeeS

第1 本記事の前提と3つの文書の役割分担

1 本記事が依拠する3つの文書

本記事は,次の3つの文書を基にしている。いずれも最高裁判所が公表又は提供する一次資料である。役割が異なるので,まず各文書の性格を押さえておきたい。

(1) 準備の手引

正式名称は「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」である。最高裁判所事務総局民事局が作成した。令和8年6月19日版を用いる。全49頁。改正民訴法の全面施行後に,訴えの提起から執行までの手続がどう流れるかを,根拠条文とともに示している。いわば「制度と手続の地図」である。準備の手引は随時改訂されており,令和8年5月15日版からの主な変更点は,全面施行後の記載への更新,当事者多数の場合のmints入力上の留意事項の追加(12頁),新規申立てフォーム上の入力等の方法の整理(13頁),文書等にマスキングをする際の留意点の追加(39頁)及び各種申立て等の提出場所の一部修正(40頁・41頁)である。本記事も,この令和8年6月19日版の内容に沿って記載している。

(2) mints Q&A

mintsのトップ画面右下のチャットボットに登録された質問と回答を一覧にしたものである。令和8年4月時点の回答を一覧化したPDFを,同年6月10日にダウンロードした。全15頁。現場でつまずきやすい点が具体的にまとめられている。旧法適用事件向けの回答には【旧】,新法適用事件向けの回答には【新】の表示がある。いわば「公式のFAQ集」である。

(3) 操作マニュアル(当事者ユーザ編)

正式名称は「民事裁判書類電子提出システム操作マニュアル〜当事者ユーザ編〜」である。2.3版(令和8年7月15日改訂)を用いる。本編92頁に別紙5種。2.3版の改訂内容は,公式の改訂履歴上「軽微な修正」とされている。サインアップから提出までの画面操作の手順を,図とともに説明している。いわば「画面操作の手順書」である。

2 3つの文書の役割分担

3つの文書は,問いの種類によって使い分けると分かりやすい。整理すると次のとおりである。

  • 「なぜ・いつ・どの条文に基づくのか」を知りたいときは,準備の手引を見る。制度趣旨と根拠条文が書いてある。
  • 「実務でこの場合どうするのか」を知りたいときは,Q&Aを見る。具体的な疑問への回答が並んでいる。
  • 「画面でどう操作するのか」を知りたいときは,操作マニュアルを見る。ボタンの位置や入力欄が示されている。

同じ事項でも,3つの文書は切り口が違う。例えばファイル形式の話題なら,準備の手引は制度上の位置づけ(28頁)を,Q&Aは可否の結論(7頁)を,操作マニュアルはアップロード画面の使い方(64頁以下)を説明する。本記事では,回答ごとにどの文書の何頁に基づくかを明示する。

3 本記事の役割(操作マニュアル解説記事との分担)

当ブログには,操作マニュアルそのものを章立てに沿って解説した記事が「(AI作成)mints操作マニュアル~当事者ユーザ編~の解説」として存在する。そちらは画面操作の流れを追う記事である。
本記事は,それと役割を分ける。
本記事の主眼は,弁護士が実務で抱きそうな疑問への回答である。画面の操作手順は最小限にとどめ,3つの文書を横断して「結局どうなるのか」を示すことに重点を置く。

4 一次資料の入手先・公式動画・各種書式のダウンロード

「準備の手引」,関連書式及び公式動画は,裁判所ウェブサイトの「改正民訴法等に関する参考資料」に掲載されている。操作マニュアルはmints公式サイトで公開されている。これに対し,本記事で用いるQ&Aは,mintsトップ画面右下のチャットボットから令和8年6月10日にダウンロードした版であり,取得後に回答が更新されている可能性がある。したがって,準備の手引及び操作マニュアルはそれぞれの公式掲載先で最新版を確認し,Q&Aについてはmints内の最新回答も確認する必要がある。以下では,本文で触れた書式と,本記事を補う公式動画の入手先をまとめておく。

(1) 公式の説明動画

裁判所は,文書とは別に,操作を動画で説明する次の3系統を公開している。画面操作でつまずいたときは,該当する動画を見るのが早い。

(2) 各種書式のダウンロード

本文で触れた届出書・申請書・作成ツールは,いずれも上記参考資料ページからダウンロードできる。主なものは次のとおりである。

5 主要な数値のクイックリファレンス

mintsの実務では,桁数・人数・期間などの数値が随所に出てくる。混同しやすいものを一覧にしておく(詳細と根拠は各章を参照)。

項目数値・期間
補助者の登録上限(弁護士1人につき)5名
1人の職員が持てる補助者アカウント上限10個
当事者・代理人の合計人数の閾値10名以内=フォーム入力/10名超=CSV一括/200名超=当事者目録をPDFで添付
mintsのID14桁
招待キー・事件アクセスキー各12桁(半角英数字)
法人番号(国税庁)/会社法人等番号(登記簿)13桁/12桁(別体系。登記簿の12桁をそのまま入れるとエラー)
二要素認証の確認コードの有効期限発行後180秒
招待キーの有効期限招待メール記載=7日/書面記載=50日
手数料納付のリマインド期限の14日前・7日前・2日前・1日前・当日
一時保存データの保持最終保存から1か月
システム送達の効力(通知発出からの経過)1週間
郵便費用相当額(訴え提起・手数料に加算)インターネット申立て=1400円/書面申立て=2500円
被告が複数のときの加算(2人目以降1人につき)2000円
日本銀行納付を選べる手数料額100万円超
1回にアップロードできる容量最大200MB
「記録」にアップロードできるPDFの用紙サイズA4又はA3(両サイズの混在可)/「記録外」にアップロードするPDFは用紙サイズの制限なし

6 提出前チェックリスト

提出ボタンを押す前に,次の8点を上から順に確認する。

  • ① 新法適用事件か旧法適用事件か,現在mintsを利用できる手続か。
  • ② 提出先の裁判所,事件番号,新規申立てフォーム又は係属事件の記録一覧の別に誤りがないか。
  • ③ 当事者及び代理人の表示,住所,人数並びにCSV一括提出の要否に誤りがないか。
  • ④ 書面の種類と提出場所が合っているか,「記録」と「記録外」を取り違えていないか。
  • ⑤ ファイル形式,容量,ファイル名及びPDFの用紙サイズを確認し,提出するファイルを実際に開いたか。
  • ⑥ 申立手数料,郵便費用相当額及び納付方法を確認したか。
  • ⑦ 秘匿情報,閲覧制限,マスキング及び関連付けられた当事者の閲覧範囲を確認したか。
  • ⑧ システム送達の届出,提出期限,受付又はタイムスタンプ及び提出後のデータ保存方法を確認したか。

7 裁判所別の運用案内も確認する

mintsの制度及び基本操作は全国共通であるが,各裁判所又は専門部が,事件類型に応じた個別の運用案内を公表し,又は当事者に個別の指示をすることがある。申立て前には,裁判所ウェブサイトの共通資料だけでなく,提出先又は係属裁判所のウェブサイト及び事件係属部からの指示も確認する必要がある。

例えば,知的財産高等裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用について」は,令和8年5月20日以前に申し立てられた事件と同月21日以降に申し立てられた事件の取扱い,受領書面の提出方法,マスキング文書及び閲覧制限対象ファイルの提出場所等を具体的に案内している。

裁判所別の案内又は事件係属部の指示が本記事の一般的な説明より具体的である場合は,最新の個別案内又は指示に従い,不明点は担当書記官に確認する必要がある。


第2 mintsの基本と適用範囲

1 mintsとは何か

mintsは「民事裁判書類電子提出システム」である。「ミンツ」と読む(Q&A15頁)。根拠は民訴法第132条の10である(操作マニュアル1頁)。

従来,書面の提出は持参・郵便・ファクシミリで行ってきた。mintsは,これをインターネットによるオンライン提出に切り替える基盤である。裁判所職員と当事者・代理人が,同一の電磁的訴訟記録を共有する(操作マニュアル1頁)。

もっとも,mintsは最初から義務的な制度として導入されたわけではない。令和4年改正の全面施行前,2022年後半以降のmintsは,当事者双方に訴訟代理人(弁護士等)が選任されており,かつ当事者双方がmintsの利用を希望する事件に限り,任意に利用できる制度であった。
この任意利用の段階を経て,令和8年5月21日から,訴訟代理人に電子申立てを義務付ける現在の制度に移行した(後記第4参照)。

したがって,「mintsは双方の同意がないと使えないシステムだ」という理解を持っている弁護士がいれば,令和8年5月21日以降はその理解が当てはまらなくなっている点に注意されたい。

2 全面デジタル化の時期

改正民訴法の全面施行に合わせて,手続が段階的にデジタル化される。全面施行日は令和8年5月21日である(令和4年改正民訴法附則第1条,同日を定める令和7年政令第414号)。時期は2段階に分かれる(準備の手引45頁)。

(1) 令和8年5月21日から始まる手続

令和8年5月21日から,次の手続が全面デジタル化される。
民事・行政訴訟事件(控訴・上告等を含む),督促事件,手形・小切手事件,少額訴訟事件,再審事件,人身保護事件である。
加えて民事雑事件(移送,除斥又は忌避,訴訟救助,閲覧等制限・秘匿,文書提出命令,証拠保全の各申立て等)も対象となる(準備の手引45頁)。
利用できる裁判所は,最高裁判所及び全ての高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所である。家庭裁判所では利用できない(Q&A14頁)。

(2) 令和10年6月までに対象となる予定の手続

令和10年6月までに,次の手続がオンライン申立て等の対象となる予定である。
人事訴訟手続,家事事件手続,民事保全事件,破産・再生・更生事件,不動産・債権・動産等の強制執行・担保権実行事件,非訟事件,調停事件,発信者情報開示命令事件,仲裁関係事件,労働審判事件,DV保護命令申立て事件等である(準備の手引45頁)。
これらの手続は,全面デジタル化の開始前にはmintsを利用することができず,従来どおり書面で申し立てる必要がある。開始前にmintsで提出しても適式な申立てとして扱われないおそれがあるため,「将来デジタル化される手続」と「現在mintsで提出できる手続」とを区別しなければならない。

3 旧法適用事件と新法適用事件の区別

(1) 区別の基準

新法適用事件か旧法適用事件かは,「訴えの提起・事件の開始の日」で区別する(準備の手引42頁)。
新法適用事件とは,施行日以後に提起された訴えに係る事件,又は施行日以後に開始される民事訴訟に関する事件である。
旧法適用事件とは,施行日前に提起された訴えに係る事件,又は施行日前に開始された民事訴訟に関する事件(訴えに係る事件を除く。)である。電子申立ての義務が課されるかどうかが変わるので,最初に区別を確認したい。

(2) みなし提起の注意点

注意したいのは,「みなし提起」の場合である。判定は,現実の訴え提起がいつかで行う。例を2つ挙げる(準備の手引42頁)。

ア 施行前に支払督促を申し立て,施行後に督促異議があった場合である。みなし提起の時点(督促申立て時)が施行前なので,旧法適用となる(民訴法第395条)。

イ 施行前に民事調停を申し立て,施行後に不成立となり,2週間以内に訴えを提起した場合である。現実の訴え提起が施行後なので,新法適用となる(民事調停法第19条)。

(3) 併合・反訴の扱い

施行前に提起された旧法事件と,施行後の新法事件を弁論併合すると,併合時から事件全体が旧法適用となる(準備の手引44頁)。

また,旧法適用事件への反訴・独立当事者参加は,要件を満たす限り,その提起時から旧法適用事件となる。この場合は書面による申立てが必要である。手数料は収入印紙で納付し,郵便費用を予納する(準備の手引44頁)。

4 申立て前の手続選択フロー

実務では,画面操作に入る前に,次の順序で提出方法を決めると誤りが少ない。

① 訴えの提起又は事件開始の日を確認し,新法適用事件か旧法適用事件かを判定する。控訴・抗告,反訴,独立当事者参加,支払督促からの移行又は調停不成立後の提訴では,基準となる時点に特則があるため,前記3を確認する。

② 当該手続が現時点で全面デジタル化の対象かを確認する。令和10年6月までに開始予定の手続は,開始前には原則としてmintsを利用せず,従来の書面手続による。

③ 提出者が電子申立て義務を負う者かを確認する。弁護士等の委任を受けた訴訟代理人は原則として電子申立て義務を負うが,法令上の例外事由があるときは書面提出の余地がある。

④ 新規事件の申立てか,立件後の事件への提出かを区別する。前者は新規申立てフォーム,後者は事件情報の記録一覧を用いる。

⑤ 期限の切迫,仮の救済,秘匿情報又はシステム障害の有無を確認する。緊急性がある場合は,mintsへの入力だけで完結すると考えず,担当裁判所に連絡して提出方法及び必要な補充措置を確認する。

⑥ 提出後に相手方から閲覧される範囲を確認し,秘匿事項届出書面,マスキング前の資料又は事件と無関係な資料が混入していないかを最終確認する。


第3 利用を始める前の準備

1 利用環境

mintsを安定して使うには,一定の環境が必要である。操作マニュアル2.3版が掲げるOSはWindows 10又はWindows 11である。ブラウザは同版上,Microsoft Edge 110又はGoogle Chrome 110である。Internet Explorerは対象外である。
通信はTLS1.2以上が必須である。電子証明書の取得は不要である(以上,操作マニュアル2頁)。本人確認は二要素認証で行う。
もっとも,mintsの動作対象であることと,OS提供元のセキュリティサポートが継続していることは別である。Windows 10の標準サポートは令和7年10月14日に終了しているため,原則としてWindows 11又は適切な延長セキュリティ更新の管理下にある端末を用いるのが安全である。

利用時間にも注意したい。原則は24時間365日である。
ただし,毎月最終土曜の午前2時から午前10時までは,定期メンテナンスで利用できない(mintsトップ画面,操作マニュアル5頁,Q&A15頁)。
また,mintsはシステムの仕様上,海外サーバからアクセスすることができない。海外出張・旅行中にシステム送達が予定される場合は,出国前に受訴裁判所へ相談し,別の送達受取人の届出又は出力書面による送達を申し出ることを検討する。補助者が閲覧又はダウンロードすると送達の効力が生じるため,補助者に対応を依頼する場合は,連絡・報告の手順と期限計算の担当者をあらかじめ定めておく必要がある。

2 アカウント登録と本人確認

(1) 識別符号と暗証符号

サインインにはアカウントが必要である。アカウントは,識別符号と暗証符号で構成される。識別符号はサインイン用のメールアドレスである。
暗証符号はサインイン用のパスワードである(識別符号規則第1条から第3条まで,改正民訴規則第52条の9第2項。準備の手引7頁)。

(2) 士業者の本人確認資料

ア 士業者のアカウント取得には,本人確認と士業者であることの証明が必要である(識別符号規則第1条第2項,第2条第1項)。

具体的には,アカウント設定画面からPDFで資料をアップロードする。資料は,所属する会(日弁連・単位会や日司連等)の身分証明書と,単位会発行の印鑑証明書である。審査が完了するとアカウントが付与される(以上,準備の手引8頁)。
なお,本人確認資料その他をアップロードする際に,マイナンバーカードをmintsにアップロードしてはならない(mintsトップ画面の注意書き)。

イ 施行前に取得したアカウントは,施行後もそのまま使える(準備の手引7頁)。

(3) 登録後に変更できない項目

登録した氏名・生年月日・住所は,登録後に自分で編集できない(操作マニュアル11頁,Q&A3頁)。

変更が必要なら,係属中の事件がある場合は当該事件の係属裁判所に問い合わせる。係属中の事件がない場合は,裁判所ウェブサイトの親ユーザ用又は補助者ユーザ用の変更登録申請フォームから届け出る。変更事項によっては,証明書類のアップロードが必要になる(裁判所「mintsについて」,「mintsアカウント登録ガイド~アカウント情報変更編~」1頁・2頁)。初期入力のミスに注意したい。

住所欄には,事務所の住所を入力する。末尾に「(送達場所)」と明記する。この情報は新規申立てフォームに自動反映される(操作マニュアル11頁,Q&A2頁,準備の手引12頁)。

(4) 懲戒処分を受けた場合の取扱い

弁護士等が懲戒処分を受けた場合,mintsアカウントの扱いにも影響が及ぶ。

除名処分,退会処分,破産手続開始決定又は請求による登録抹消を受けたときは,アカウントが削除される(再登録すれば,改めてアカウント付与の届出をすることができる)。
これに対し,業務停止処分を受けたときは,アカウントは削除されず利用停止にとどまる。
業務停止期間が経過すれば,裁判所所定の操作により再び利用できるようになる(以上,準備の手引7頁・8頁)。

3 二要素認証

サインインのたびに二要素認証を行う(Q&A3頁)。手順は2段階である。
まず登録メールアドレスに確認コードが届く。確認コードの有効期限は発行後180秒である(操作マニュアル10頁)。
次に電話認証を行う。SMSでのコード受信か,自動音声の電話着信かを選ぶ。国コードは「日本+81」のみで,海外からの受信拒否設定は解除しておく(操作マニュアル11頁・12頁)。固定電話も使える。
IP電話は,シャープボタンの押下が求められる関係で,機種によって認証できないことがある(以上,Q&A2頁・3頁)。

4 補助者の設定

事務所職員を「補助者」として設定できる。弁護士(親ユーザ)1人につき,最大5名まで登録できる(準備の手引9頁,Q&A13頁)。逆に,1人の事務所職員が複数の弁護士(親ユーザ)の補助者を兼ねることもできる。
この場合,職員は,弁護士ごとに別のメールアドレスで補助者アカウントを作成する必要があり,1人の職員が保有できる補助者アカウントの上限は10個である(Q&A13頁)。手順は次のとおりである。

まず職員自身がサインアップする。次に,自分のアカウント設定画面に表示される14桁のIDを弁護士に伝える(mintsのIDは14桁である。Q&A4頁)。弁護士が,アカウント設定画面の補助者ID欄にそのIDを入力する(準備の手引9頁)。

補助者の操作は,法的には親ユーザである弁護士が行ったものとみなされる(準備の手引9頁)。ここに注意点がある。補助者が書類を閲覧・ダウンロードした場合も,弁護士本人が閲覧・ダウンロードしたものとして扱われる(Q&A12頁)。後述するとおり,これは送達の効力発生に直結する。補助者の登録名は,氏「補助者●●××」,名「弁護士△△○○」と登録する(準備の手引9頁)。

5 主要な画面の構成(スクリーンショットに代えて)

mintsの画面は文字情報が多く,初めて触れると入力欄の意味や画面の切替えで迷いやすい。本記事は画面写真を載せていないので,実際に操作した経験に基づき,主要画面の構成を文章で示しておく。実際の画面写真は操作マニュアル(画面写真を多数掲載)や二弁フロンティア2025年12月号を,操作の流れは前記第1の4の公式動画を参照されたい。

(1) サインイン後のトップ(ホーム)

上部のメニューは,ホーム/新規申立一覧/事件一覧/手数料納付情報一覧/招待キー入力/事件アクセスキー入力/アカウント設定/マニュアル/チャットボットで構成される。ホーム画面は「重要なお知らせ」と「新着情報」の2つの一覧からなり,送達の通知,納付情報の登録通知,相手方や裁判所によるアップロードの通知は,いずれもここに表示される。メール配信が止まっている期間も,この画面で把握できる。

(2) 新規申立てフォーム(訴え提起の入口)

訴え提起は「新規申立一覧」から「新規作成」で開く。フォームは次の要素からなる。

  • 入力者の肩書=代理人/サポータ/本人。申立種別=訴え提起/控訴/上告・上告受理/支払督促/その他。
  • タブは4つ=①当事者・代理人情報 ②申立内容 ③添付書類 ④参考事項。
  • 当事者欄=「提起側・相手側」の別,属性(下記8種),肩書(自由入力),氏名(氏名の間に全角スペースを入れる),住所・電話・法人番号・代表者,「システム送達を受ける旨の届出」のトグル,追加/複製/削除。
  • 属性の8種=本人(個人)/本人(法人)/代理人(個人)/代理人(法人)/サポータ(個人)/サポータ(法人)/送達受取人(個人)/送達受取人(法人)。
  • 「申立内容」タブ=事件種別(通常/行政/医療/労働/交通/建築/商事/知的財産),「被告の数」欄(当事者欄とは別物。前記第5の4参照),申立ての趣旨(上限400字),理由(上限10000字)。
  • 上部ボタン=保存/申立ダウンロード/プレビュー/提出。「提出」は取り返しがつかないので,押す前に内容を確認する。

(3) 事件情報(記録一覧)画面

立件・関連付けの後に現れる画面である。上部に「提出ファイル選択」(提出期限のないスロットと,期限のあるスロット)があり,その下に3つのタブ=記録一覧/記録外一覧/関連事件一覧が並ぶ。記録一覧の列は,種別/番号/ファイル名/肩書/アップロード者/アップロード日/ステータス/陳述提出/備考である。画面下部のボタンは,受領書作成/ダウンロード/一つのファイルにしてダウンロード/一括印刷である。

ステータスの「全員閲覧済」の「全員」は,その事件にmintsで関連付けられている利用者だけを指す。相手方が招待キーで関連付いていなければ,相手方は「全員」に含まれない。各ステータスをクリックすると,誰がいつ閲覧したかのアクセス状況が開くので,送達や直送の効力を判断するときは,この実体を必ず確認する。

(4) 手数料納付情報一覧

列は,裁判所/事件番号/納付義務者/手数料/納付期限/納付日/納付番号/収納機関番号/確認番号/種別である。裁判所のペイジー収納機関番号は「00100」(全裁判所共通)である。納付日が表示されれば納付は完了している。

(5) 2つのキー入力画面(混同に注意)

「招待キー入力」画面は,被告代理人が事件に関連付くための画面である(半角英数字12桁)。これに対し「事件アクセスキー入力」画面は,文書送付嘱託の嘱託先など第三者が一時的にファイルをアップロードするための画面である(同じく12桁)。両者は目的が異なるので取り違えない。


第4 弁護士の電子申立て義務

1 義務の内容と根拠

弁護士等の訴訟代理人には,電子申立ての義務がある(改正民訴法第132条の11第1項)。義務があるにもかかわらず書面で訴えを提起すると,原則として,その訴えは不適法なものとなる(以上,準備の手引10頁)。まずこの原則を押さえたい。

2 例外事由

(1) 例外が認められる場合

例外として書面提出が許されるのは,「裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由」がある場合である(改正民訴法第132条の11第3項)。書面で提出するときは,例外事由がある旨とその具体的内容を記載した書面を添付する(改正民訴規則第52条の14)。例外事由の立証責任は,書面提出をする側にある。

例外が認められる典型は2つある。1つは,専ら裁判所側の事情でシステムが使えない場合である。これは基本的に公知の事実として扱われ,特段の立証は不要である。もう1つは,大規模な通信障害である。この場合は,通信事業者に障害が発生したことと,代理人がその事業者を利用していることの立証が必要である(以上,準備の手引10頁)。

(2) 例外が否定される場合

例外が否定される典型は,代理人の側のPC・周辺機器の故障である。改正法は,代理人がPC等を準備・管理することを前提としている。そのため,他の端末・回線や裁判所設置端末の利用といった代替手段をとることが求められる。代替手段を尽くせる以上,例外が認められる場合は限られる(以上,準備の手引11頁)。

3 申立てができないときの代替手段

(1) 障害発生時の代替措置の順次実行

自分のPCで申立てができず,原因が分からないときがある。時効完成や控訴期間満了が迫る場合には,次の代替策を順に試す(準備の手引11頁)。

ア まず確認する。インターネット接続とサインインの可否を確認する。PC・ルーター等の設定を確認し,再起動で改善するかを見る。

イ 事務所内の他の端末・回線を使う。他のPCやタブレットを使う。スマートフォンのテザリングで接続する。

ウ 裁判所設置端末を使う(開庁時間中のみ)。訴状等を記録したUSBメモリを持参し,裁判所設置端末で電子申立てをする。

(2) 例外事由認定のための客観的疎明

これらを尽くしてもできなかった場合は,その状況を陳述書等の証拠で裏付ける。サインインできない画面の動画やスクリーンショットが考えられる。そうすることで,例外事由が認められることもある(準備の手引11頁)。

(3) 不変期間徒過における訴訟行為の追完

これらを尽くしても控訴期間等の不変期間を徒過してしまった場合には,例外事由による書面受理とは別に,訴訟行為の追完(民訴法第97条)による救済の余地が残されている。
改正法は,追完をすることができる「その責めに帰することができない事由」の例示として「裁判所の使用に係る電子計算機の故障」との文言を加えており,裁判所の使用するサーバの故障により不変期間を遵守することができなかった場合には,追完をすることができることを明確にしている。

もっとも,インターネットの使用を義務付けられている訴訟代理人等にとっては,書面の提出による申立て等は救済的に認められるものにすぎず,あくまでも例外的なものであることからすると,書面の提出をすることができたことのみをもって,追完を否定すべきではないと解されている。

(4) システム障害等における時効の完成猶予

時効の完成猶予との関係では,改正法は特段のルールを設けていないが,裁判所のシステムの故障により長期間にわたって手続をすることができない事態が生じた場合には,天災その他避けることのできない事変による時効の完成猶予を定める民法第161条により対応することが考えられるとされている。


第5 訴えの提起

1 新規申立てフォームの流れ

(1) 申立ての開始とフォームの基本構成

訴えの提起は,新規申立てフォームから行う(準備の手引3頁,操作マニュアル30頁)。「新規申立一覧」画面から「新規作成」を選ぶ。
フォームは,当事者・代理人情報,申立内容,添付書類,参考事項のタブで構成される。

(2) 申立ての趣旨・理由の入力とタブ文字混入への注意

「申立内容」タブでは,申立ての趣旨(上限400字)と理由(上限10000字)を直接入力できるほか,これらを記載したPDFを「添付書類」として提出することもできる。長文や体裁を整えたいものはPDFで出すのが確実である。
なお,趣旨・理由の欄にタブ文字が混入すると「使用できない文字が含まれています」とのエラーになるので,ワープロソフトから貼り付けるときは注意する。

(3) セッションタイムアウトへの対策と一時保存

入力中の放置はタイムアウトを招く。データが失われるので,こまめに「保存」を押す。
一時保存データは,最終保存から1か月間保持される(Q&A5頁)。

(4) 委任状や資格証明書等の添付書類の提出

「添付書類」タブには,委任状や資格証明書等のPDFファイルをアップロードする。訴額の算定が困難な事案では,訴額計算資料もここに添付できる。

(5) 不動産事件における登記事項証明書の特則

不動産に関する事件では,訴状に登記事項証明書を添付しなければならないのが原則である(改正民訴規則第55条第1項)が,申立ての趣旨及び理由を記載したPDFに不動産識別事項(不動産番号(半角),管轄登記所(例えば,「東京法務局品川出張所」等))をあわせて記載して提出すれば,登記事項証明書の添付を省略できる(令和8年5月21日以降)。
もっとも,訴訟準備のためにあらかじめ登記事項証明書を取得している場合は,従前どおり「添付書類」として提出することもできる。フェーズ3開始時点で添付を省略できるのは,不動産の登記事項証明書のみである点に注意したい(以上,準備の手引12頁)。

(6) 証拠提出の適切なタイミング

証拠は,この「添付書類」タブには添付しない。提出後に事件が立件され,原告訴訟代理人が事件情報に関連付けられた後,別途,記録一覧画面からアップロードする(準備の手引12頁)。
「提出」ボタンを押すと,訴えの提起が完了する。その後,裁判所が事件を立件し,事件情報に原告訴訟代理人を関連付ける。この関連付けの後に,記録一覧画面から証拠説明書,書証の画像情報及び電磁的記録の複製等をアップロードする。新規申立てフォームで入力し,又は添付書類として提出した申立ての趣旨及び理由のデータを,訴状として再度アップロードする手続ではない(準備の手引3頁・12頁)。

(7) 法人番号入力時のエラー回避

別の弁護士の報告でも,提出準備20分のうち約半分を法人番号の確認に費やしたとされている。原因は,法人番号(国税庁が指定する13桁の番号)と,登記簿に記載されている会社法人等番号(法務局が管理する12桁の番号)とを混同し,12桁の番号をそのまま入力してエラーになったことにあるという(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」)。
法人番号の確認方法は後記2(5)で改めて述べる。

(8) 当事者情報の事前準備とファイル名の制限

別の弁護士の同じ報告では,当事者情報は事前にエクセルで準備しておくとよいとされている(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」)。
入力の際は,氏名・住所等の英数字を全角で,郵便番号・電話番号・法人番号等を半角で入力するという表記ルールがある(Q&A1頁)ためで,当事者情報CSVファイルの作成ツール(後記3(2)参照)を使う場合も同様である。

加えて,令和8年5月21日付の個別の体験報告では,「申立ての趣旨及び理由」というファイル名で保存時にエラーとなり,「申立の趣旨理由」と短くすると保存できたとされている。操作マニュアル2.3版6頁によれば,アップロードするPDFのファイル名は拡張子を含めて100文字以内であり,全角・半角のいずれも1文字として数える。「申立ての趣旨及び理由」は100文字未満であるため,前記体験報告のエラー原因が文字数であったとは確認できない。ファイル名は証拠番号・書面名が分かる範囲で簡潔にし,エラーが出たときはファイルを1件ずつ追加して原因を切り分け,解消しなければチャットボット又は問合せ窓口に確認するのが安全である。

2 原告及びその代理人(提起側)の情報の入力

「当事者・代理人情報」タブには,被告だけでなく,原告本人及び原告訴訟代理人の情報も入力する。原告側は「提起側」として入力し,被告(相手側)と区別される。

被告は原告側がデータを入力すれば足りるのに対し,原告及びその代理人は,自らmintsアカウントを保有して電子申立てを行う主体である点で立場が異なる。

(1) 原告本人は「提起側」を選んで入力する

原告本人の情報も,被告と同じく「当事者・代理人情報」タブに1件ずつ入力する(操作マニュアル53頁)。まず「提起側・相手側の選択」で「提起側」を選ぶ。原告が提起側,被告が相手側である。

次に「属性」を選び,個人なら「本人(個人)」,法人なら「本人(法人)」を選ぶ。属性の選択肢は,「本人」「代理人」「サポータ」「送達受取人」の別と「個人」「法人」の別を組み合わせた8種類である。当事者本人は「本人(個人)」又は「本人(法人)」を選ぶ。
なお,「サポータ」とは,申立てをしようとする者からの依頼を受けてシステムへの入力を行う第三者をいう(改正民訴規則第52条の11第1項ただし書)。本人に代わって電子申立て等の画面操作をすることはできるが,訴訟行為をすることはできない(Q&A12頁)。

(2) 原告代理人は「入力者の情報呼出」で自動入力できる

入力者である訴訟代理人自身の情報は,「入力者の情報呼出」を使うとアカウント登録情報から自動入力される。
ただし,アカウントに自宅住所を登録していると,自宅住所が呼び出される。そこで,アカウント登録時に「住所」として事務所住所(末尾に「(送達場所)」を付す)を登録しておきたい(準備の手引12頁)。
氏名・生年月日・住所はアカウント登録後に編集できないので,登録の段階で確認しておく必要がある。

(3) 「システム送達を受ける旨の届出」はオンのままにする

弁護士には,システム送達を受ける旨の届出が義務付けられている(改正民訴法第132条の11第2項)。そのため,新規申立てフォームの「システム送達を受ける旨の届出」ボタンは,オンのままにしておく(準備の手引12頁)。これをオフにすると,後に改めて届出をしなければならない。
届出を欠くと,関連付けが解除されることがあるほか,書記官が閲覧・ダウンロードできる措置を講じた時から1週間でシステム送達の効力が生じてしまう(改正民訴法第109条の4)。

(4) 原告代理人が複数(共同受任)のとき

訴状に表示したい共同代理人の氏名は,入力者である代理人とあわせてフォームに入力する。委任状記載の全員を入力する必要はない。代理人を含む当事者の合計が10名を超えるときは,CSVファイルで一括提出する。
入力者以外の代理人は,関連付けの後,各自で速やかにシステム送達を受ける旨の届出を提出しなければならない。システム入力者が他人の届出トグルをオンにしても,その代理人が届出をしたことにはならない。入力の詳細は,後記5を参照されたい。

(5) 原告が法人又は国であるとき

原告が法人なら,属性を「本人(法人)」にし,法人番号(13桁)を入力する。

ここで注意したいのは,「法人番号」と「会社法人等番号」の違いである。法人番号は国税庁が指定する13桁の番号であるのに対し,登記簿に記載されている番号は法務局が管理する12桁の「会社法人等番号」であり,両者は別の番号体系である。
登記簿の12桁番号をそのまま入力するとエラーになるため,法人番号は国税庁法人番号公表サイトで,当該法人の名称から検索して確認するのが確実である(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」参照)。
法人番号が指定されていない法人は,「0000000000000」(ゼロ13桁)を入れる。原告が国であるときは,本人(法人)を選び,名称「国」,法人番号「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者「法務大臣」等を入力する。

なお,国・地方公共団体を当事者とする事件については,郵便番号・所在地・電話番号は当該団体のホームページ等で確認し,法人番号は同じく国税庁法人番号公表サイトで確認するよう,裁判所自身も注意を促している(最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」1頁)。
原告の氏名に使えない文字(外字)があるときは,正字に置き換える。置換が難しければ,カタカナで入力したうえで,手書きしたもののPDFを「添付書類」として提出する(以上,Q&A5頁,操作マニュアル6頁)。

(6) 弁護士法人・司法書士法人で受任した場合

弁護士法人や司法書士法人として受任する場合も,弁護士法人等自体がmintsのアカウントを持つのではなく,所属する各弁護士・各司法書士が個人としてアカウントを作成し,利用する。属性は「代理人(法人)」ではなく「代理人(個人)」を選ぶ。

訴状等において法人受任である旨を明記したいときは,肩書欄で「原告代理人」を選んだ上で,手入力で文言を追加し,「(法人受任)原告代理人」とする方法が考えられる(以上,Q&A4頁・14頁)。

3 被告(相手方)の情報の入力

(1) 被告を1件ずつ入力する手順

被告の情報は,この「当事者・代理人情報」タブに入力する。訴状本文を別に作るのではない。フォームの当事者入力欄で,1件ずつ次のとおり入力する(操作マニュアル53頁)。

ア 「提起側・相手側の選択」で「相手側」を選ぶ。原告が提起側,被告が相手側である。

イ 「属性」を選ぶ。個人なら「本人(個人)」,会社なら「本人(法人)」である。

ウ 「肩書」に「被告」と入力する。肩書は自由入力の欄である。

エ 被告の氏名・住所を入力する。

被告が複数いれば,同じ要領で2人目以降を追加する。なお,被告本人のmintsアカウントは不要である。原告側が被告の氏名・住所をデータとして入力すればよい。被告は送達を受け,代理人が就いた段階で,その代理人が招待キーで事件に関連付ける(準備の手引4頁・20頁)。

(2) 10名以内・10名超・200名超

当事者と代理人の合計が10名以内なら,フォームに直接入力する。10名を超えるなら,11名目以降をフォームに入力できないため,当事者情報CSVファイルで一括提出する。CSVの作成ツールが用意されている(以上,Q&A4頁,準備の手引12頁)。もっとも,当事者と代理人の合計が200名を超える場合は,CSVファイルによる一括提出でも足りない。この場合は,入力者である原告代理人(又は原告本人)1名の情報のみをフォームに入力し,その余の当事者を一覧にした当事者目録をPDF化して「添付書類」タブから提出する取扱いになる(準備の手引12頁)。大人数の共同訴訟・集団訴訟を担当する際は,10名・200名という2つの閾値を意識しておきたい。

(3) 法人又は国を被告とする場合

被告が法人なら,属性を「本人(法人)」にし,法人番号を入力する。法人番号の意味(会社法人等番号との違い)と確認方法(国税庁法人番号公表サイト)は,前記2(5)を参照されたい。法人番号が指定されていない法人は,「0000000000000」(ゼロ13桁)を入れる。
国を被告とする場合は,本人(法人)を選び,名称「国」,法人番号「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者「法務大臣」等を入力する(以上,Q&A5頁)。

(4) 行政訴訟の被告と処分行政庁の書き方

ア 抗告訴訟の被告適格と原則的なmints入力

取消訴訟などの抗告訴訟では,被告の書き方に注意が要る。被告となるのは,処分をした行政庁そのものではない。その行政庁が所属する国又は公共団体である(行政事件訴訟法第11条第1項)。

したがって,mintsの「当事者・代理人情報」タブで被告として入力するのも,国又は公共団体である。国が被告なら,前記(3)のとおり名称「国」・代表者「法務大臣」等を入力する。○○県が被告なら,属性を「本人(法人)」とし,名称「○○県」・代表者「○○県知事」と入力する。

処分をした行政庁(処分行政庁)は,訴状に記載しなければならない(行政事件訴訟法第11条第4項)。例えば,被告を「国」,代表者を「法務大臣」と記載した上で,法定記載事項として「処分行政庁 ○○国税局長」と記載する。処分行政庁そのものは当事者ではない。
そのため,当事者として別に入力するのではなく,国又は公共団体とは区別された訴状の法定記載事項として明確にする。mintsの「当事者・代理人情報」タブには国又は公共団体を入力し,処分・裁決行政庁は「申立ての理由」欄及び添付する申立ての趣旨・理由のPDFで明らかにする。

イ 例外的な当事者入力類型

もっとも,行政事件の被告類型は,国・地方公共団体(長が代表者)の2類型に尽きるものではない。裁判所が公表する留意事項では,次のような類型も挙げられている(最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」1頁・2頁)。

① 地方公共団体で長以外の者が代表者となる場合である。属性は「本人(法人)」とし,名称は地方公共団体名,法人番号は当該地方公共団体の法人番号を入力する(確認方法は前記2(5)参照)。代表者肩書は直接入力し(代表者が委員会等の組織であるときは,当該組織の代表者の肩書まで入力する),代表者氏名は申立て時点の代表者の氏名を入力する(代表者が組織であるときは,当該組織の代表者の氏名を入力する)。
例えば,被告が○○県で,代表者が○○県公安委員会(委員長△△△△)であるときは,代表者肩書欄に「○○県代表者○○県公安委員会代表者委員長」,代表者氏名欄に「△△△△」と入力する。

② 特許庁長官・海難審判所長等が当事者となる場合である。この類型は,当該行政庁の長自体を当事者として扱う特則によるものであり,属性は「本人(法人)」ではなく「本人(個人)」を選び,氏名又は名称欄に当事者名(例えば「特許庁長官」)を入力する。

③ 公正取引委員会など,合議制の行政庁が当事者となる場合である。属性は「本人(法人)」とし,氏名又は名称欄に当事者名を,法人番号欄に当該組織の法人番号を入力する。合議制の行政庁については法人番号が付与されていないこともあり,その場合は「0000000000000」と入力する。代表者肩書は直接入力し,代表者氏名には申立て時点の代表者の氏名を入力する。

④ 住民訴訟(地方自治法第242条の2第1項第1号・第3号・第4号)で執行機関又は職員が当事者となる場合である。属性は「本人(個人)」とし,氏名又は名称欄に当事者名を入力する。

ウ 例外類型における共通の確認事項

①から④までのいずれの類型でも,郵便番号・住所又は所在地・電話番号は,当事者又は当事者が所属する組織のホームページ等で確認する。法人番号がある類型(①・③)については,国税庁法人番号公表サイトで確認する(前記2(5)参照。法人番号が付与されていない場合もあるので留意する。)。

(5) 使えない文字(外字)があるとき

被告の氏名に,システムで使えない文字(外字)があることがある。使用できる文字はJIS X 0213が基本である(操作マニュアル6頁)。使えない文字は正字に置き換える。置換が難しければ,カタカナで入力したうえで,手書きしたもののPDFを「添付書類」として提出する(Q&A5頁)。

(6) 被告本人の情報と,相手方代理人となる見込みのある者の情報は別

混同しやすい点を整理する。被告本人の氏名・住所は,この「当事者・代理人情報」タブに入力する。これに対し,「参考事項」タブには,相手方代理人となる可能性がある者についての情報を入力する。
氏名に加え,事務所や電話番号など,裁判所が本人に連絡をする際に必要と思われる事項を記載する(改正民訴規則第55条の2。準備の手引3頁・12頁,東弁リブラ2026年3月号「いよいよ民事裁判が電子化―「mints」利用義務化を前に―」17頁)。

条文上,届出の対象として明記されているのは,被告から委任を受けて当該訴えに係る法律関係について弁護士法第3条第1項所定の法律事務を行っていた者を原告訴訟代理人が知っているときである。その者が被告の訴訟代理人にならないことが明らかな場合その他届け出ることに支障がある場合は,届け出る必要はない(同条ただし書)。

入力された情報をもとに裁判所が本人へ連絡し,相手方代理人になるかどうかを確認する。相手方代理人になるとの回答が得られれば,訴状等の送達はシステム送達の方法で実施されることが見込まれ,その場合は出力書面の提出も不要になる。相手方代理人になる場合には,速やかに委任状を準備しておきたい。この情報は相手方には開示されない。

4 手数料の自動計算と訴額の入力

被告の数と訴額を入力すると,手数料の概算が自動計算される。もっとも,この「申立内容」タブの「被告の数」は手数料計算のための数であって,前記3の「当事者・代理人情報」タブで被告を1件ずつ入力することとは別である。被告の数を入れただけでは被告は当事者として登録されないから,被告は必ず「当事者・代理人情報」タブで入力する。被告の数欄だけが埋まっていると,被告の入力漏れに気づかないまま提起してしまいやすい。

なお,行政事件では,被告が同じ国又は地方公共団体でありながら,請求によって代表者が異なる場合がある(例えば,同じ○○県を被告としつつ,一部の請求では知事,別の請求では公安委員会が代表者となる場合)。
この場合,前記3(4)のとおり「当事者・代理人情報」タブでは代表者ごとに分けて記載することになるが,「被告の数」欄は代表者の別で区別せず,被告(国・地方公共団体)そのものの数として数える(最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」3頁)。

訴額の入力には独自のルールがある。単位は「万円」である。1万円未満は切り上げる。例えば,43万2100円なら「44」と入力する。100万5000円なら「101」と入力する。正確な手数料額は,提出後に裁判所から通知される納付情報で確認する(以上,準備の手引12頁)。

5 共同受任の場合の留意点

共同受任の場合は,入力の留意点が3つある(準備の手引13頁・14頁)。

ア 訴状に表示したい共同代理人の氏名を,フォームに入力する。委任状記載の全員を入力する必要はない。10名を超えるときはCSVで提出する。

イ 訴状には記載するが関連付けを希望しない代理人がいる場合,又は代理人が10名を超える場合は,「電子情報処理組織の使用を担当する訴訟代理人の届出」を添付する(改正民訴規則第52条の13。準備の手引13頁)。

ウ 入力者以外の代理人は,関連付けの後,各自で速やかにシステム送達を受ける旨の届出を提出する。システム入力者が他人の届出トグルをオンにしても,その代理人が届出をしたことにはならない。届出を怠ると,関連付けが解除されることがある(以上,準備の手引13頁)。

エ 当事者情報CSVファイルを提出した入力者は,システム送達届出のトグルをオンにできない。ただし,「電子情報処理組織の使用を担当する訴訟代理人の届出」に自己の氏名及びmints IDを記載した場合は,同届出を入力者自身のシステム送達を受ける旨の届出と兼ねることができる(準備の手引13頁)。

6 提出後に誤り又は脱漏を発見した場合の訂正(訴状訂正)

前記1のとおり,「提出」ボタンを押すと訴えの提起が完了し,裁判所が事件を立件する。一度提出を確定すると,提出した内容を当事者の側で直接修正することはできない。立件後に,当事者の表示の脱漏や記載の誤りに気づいた場合は,次の方法で訂正する。

(1) 当事者は自分で削除・訂正できない

いったん提出したファイルは,当事者が自分で削除することができない。ファイルの種別を誤って選択した場合であっても,当事者の側では変更できない。いずれの場合も,当該事件を担当する裁判所書記官に連絡することとされている(Q&A9頁)。

(2) 訴状訂正申立書を「記録一覧」から提出する

訂正は,「訴状訂正申立書」と題する書面(PDF。用紙はA4又はA3)を作成し,当該事件の「記録一覧」のアップロード画面から提出して行う。すでに立件された事件への書面提出は,新規申立てフォームではなく,この「記録一覧」のアップロード画面から行うものとされている(準備の手引3頁)。

提出の際は,ファイルの種別を選択する。種別の選択肢は,「主張」「証拠」「証拠説明書」「関連事件の申立て」「その他」である。もっとも,準備の手引40頁・41頁の提出場所対応表には,「訴状訂正」の明示がない。訴えの変更の申立ては「主張」,更正決定の申立書は「その他」とされており,訂正の内容によって評価が分かれ得る。そのため,訴状訂正申立書を提出する前に,担当書記官へ提出場所及びファイル種別を確認するのが安全である(準備の手引40頁・41頁)。

(3) 行政訴訟における被告の表示の補正を例として

訴状訂正が必要になる典型例が,行政事件訴訟における被告の表示である。

ア 被告は処分行政庁ではなく国又は公共団体である。前記3(4)のとおり,取消訴訟等の被告は,処分をした行政庁そのものではなく,その行政庁が所属する国又は公共団体である(行政事件訴訟法第11条第1項)。
例えば,国の行政庁がした処分を争う訴訟の被告は,その行政庁ではなく「国」となる。当事者の表示にこの被告を記載していなかったときは,訴状訂正によって補う。

イ 本システムにおける「国」の入力方法は,前記3(3)のとおりである。国を当事者とするときは,属性を「本人(法人)」とし,名称を「国」,法人番号を「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者を「法務大臣」と入力する(Q&A5頁)。
処分をした行政庁は当事者ではないため,当事者としては入力せず,訴状の被告の表示に「処分行政庁 ○○」と記載する(行政事件訴訟法第11条第4項)。

ウ 立件後の当事者の登録は裁判所書記官が行う。立件後に被告(国)を当事者として記録に登録する処理は,裁判所書記官が行う。
そのため,訴状訂正申立書の提出とあわせて,担当書記官に被告の当事者登録を依頼するのが確実である。

7 行政事件における「申立内容」タブ・「添付書類」タブの留意点

前記3(4)で述べた被告の表示・処分行政庁の記載のほか,行政事件では「申立内容」タブ・「添付書類」タブの入力にも,通常訴訟にはない留意点がある。以下は,最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」3頁による。

(1) 「事件種別」欄

「申立内容」タブの「事件種別」欄は,行政事件(国家賠償請求事件を併合提起するものを含む。)であれば「行政」を選ぶ。国家賠償請求事件のみを提起するときは「通常」を選ぶ。

(2) 「申立ての趣旨」欄・「申立ての理由」欄

既にされた処分・裁決の取消し等を求める行政訴訟の場合は,処分の通知書などを参考に,処分日,処分をした行政庁,処分を受けた者,処分の名称,処分を特定する番号等を「申立ての趣旨」欄に記載する。非申請型の義務付けの訴え,差止めの訴えの場合は,処分をする行政庁,処分を受けることになる者,処分の根拠規定,処分の内容等を同欄に記載する。
「申立ての理由」欄では,前記3(4)の処分・裁決行政庁(行政事件訴訟法第11条第4項)が明確になるように記載する。両欄を入力した後,処分通知書等の表示と照合し,処分日,処分名,処分番号,処分行政庁及び処分の名宛人に食い違いがないかを確認する。

(3) 仮の救済の申立て(執行停止など)を同時にする場合の添付書類

仮の救済の申立てを本案の訴えと同時にする場合,「添付書類」タブには,申立書・仮の救済申立て事件の委任状などだけでなく,疎明資料・疎明資料説明書もアップロードする(本案事件の証拠等は,事件との関連付け後に記録一覧画面からアップロードする。前記1参照)。
申立書のファイル名は,仮の救済申立てをしていることが明確に分かる名称(例えば「執行停止申立書」)にするよう注意したい。
1週間以内に申立てを認める決定がないと申立ての利益がなくなると考えられるなど,特に急ぐべき事情があるときは,mintsによる申立てに加えて,申立先の裁判所へ個別に連絡することも検討したい(申立書には,処分予定日など,急ぐべき事情の具体的な説明を記載する。)。
この点は,実際に執行停止事件をmintsで申し立てた弁護士の報告でも,通常訴訟とは異なり疎明資料を最初から提出する取扱いである旨が確認されている(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」)。

第6 提出できるファイルの形式

1 記録と記録外の二層構造

(1) 提出先によるファイル形式の区別

mintsのファイル形式は,提出先によって異なる。2つの層がある(Q&A7頁,準備の手引28頁)。

1つ目は「記録」である。これは主張・証拠・証拠説明書・関連事件の申立て・その他である。受け付ける形式は,PDF・MP3・MP4・JPEG・PNGである。

2つ目は「記録外」である。これは上記の形式に加えて,Word(docx),Excel(xlsx),PowerPoint(pptx)を受け付ける。記録外は,正式な訴訟記録には含まれない。和解条項のドラフト案など,共有が必要な情報をやり取りする場である。用済み後に廃棄されることが予定されている。

(2) 提出不可能な形式と参照権限の範囲

(1)で述べた形式以外のものは提出できない(Q&A7頁)。
アップロードした書面は,記録・記録外を問わず,当該事件に関連付けられた全ての当事者及び事件が係属する部の職員(裁判官を含む。)が参照可能である。
特定の相手方当事者のみ,又は裁判所限りを宛先とする書面をアップロードすることはできない(Q&A8頁)。

(3) 一括アップロードの容量制限

一度にアップロードできる容量は最大200MBである。これを超えるときは,複数回に分けてアップロードする(Q&A9頁)。

2 エクセルファイルは提出できるか

(1) エクセルファイルの受付区分

エクセルファイルは「記録外」でしか受け付けられない。「記録」には提出できない(Q&A7頁)。つまりエクセルは,訴訟記録になる形では出せない。

(2) 訴え提起段階における制限と実務上の対応

訴え提起の段階では,記録外の置き場すら存在しない。記録外タブは,立件と関連付けの後に現れる事件情報画面の機能だからである(準備の手引3頁・12頁,Q&A6頁)。したがって,申立ての段階でのエクセル提出はできない。実務では,提出書類を全てPDF化する。計算書や損害額一覧表をエクセルで作っても,提出時はPDFに変換する。

(3) PDF変換時における用紙サイズの区別

「記録」にアップロードできるPDFの用紙サイズはA4又はA3に限られる(Q&A7頁,操作マニュアル2.3版66頁)。両サイズが混在するPDFもアップロードできる。これに対し,「記録外」にアップロードするPDFには,用紙サイズの制限がない。

「記録」にアップロードする場合,mintsは用紙サイズをページ単位で判定するため,見た目はA4でも,実体がレターサイズ(215.9×279.4mm)であるなど,A4・A3以外のサイズだと受け付けられないことがある。

A4(210×297mm)又はA3(297×420mm)であることを,ページごとに実測して確認するのが確実である。

(4) 用紙の向きに関する取扱い

ここで問題になるのは用紙の「サイズ」であって「向き」ではない。縦向き・横向きのいずれでもアップロードできる(向きについては後記第11の3を参照)。

3 訴え提起の段階で証拠説明書は提出するか

これも誤解されやすい点である。証拠説明書は,提出する。ただし提出のしかたに注意がある。

証拠説明書は,新規申立てフォームに添付するのではない(Q&A6頁)。フォームで訴えを提起した後,裁判所が立件し,原告代理人を関連付ける。その後,記録一覧画面へPDFでアップロードする(準備の手引3頁・12頁)。証拠も同じ流れである。「証拠説明書を出さない」のではない。

「申立てフォームには付けず,立件の直後に記録一覧へ出す」というだけである。証拠説明書は「記録」に属するので,形式はPDFである(準備の手引28頁)。

第7 手数料の電子納付

1 ペイジーによる納付

(1) 申立手数料と郵便費用の一本化及びその額

申立手数料は,郵便費用と一本化された(改正費用法第8条第1項,改正費用規則第4条の2。準備の手引15頁)。郵便費用相当額として手数料に加算される額は,訴えの提起の場合,書面による申立てのときは2500円,インターネットによる申立てのときは1400円である。
インターネットによる場合の方が低額とされているのは,一般に,インターネットにより訴えの提起等をする場合には,書面による場合よりも必要となる郵便費用が低廉なものとなることが想定されるためである。

(2) ペイジー(Pay-easy)による納付手続の流れ

納付はペイジー(Pay-easy)による現金納付である。流れは次のとおりである(準備の手引16頁,操作マニュアル56頁・57頁)。
まずフォームで概算を把握する。次に裁判所が納付情報を登録し,通知メールが届く。「手数料納付情報一覧」で収納機関番号・納付番号・確認番号を確認する。これをATM又はインターネットバンキングに入力して納付する。「納付日」が反映されれば完了である。なお,郵便費用を別に納める必要はない(準備の手引16頁,Q&A6頁)。

(3) キャッシュレス決済導入の見送りと高額手数料の特例

納付方法としてペイジーのほかにクレジットカード・電子マネー・コンビニ決済等のキャッシュレス決済を導入すべきとの意見もあったが,消費者保護のための仕組みの構築,複数の納付方法を導入する場合のシステム構築費用や運営費用の増大といった課題が指摘され,これらの導入は将来の課題とされている。
もっとも,手数料の額が100万円を超える場合は,ペイジーのほか,日本銀行への納付(日銀納付)によることもできる。

(4) 手数料額早見表と訴額に応じた取扱い

訴額から手数料額の見当をつけたいときは,手数料額早見表が参考になる。例えば,訴額100万円の訴えを提起する場合,書面による申立てなら12,500円であるのに対し,電子申立てなら11,400円である。被告が複数のときは,2人目以降1人につき2,000円が加算される。もっとも,訴額が1億円を超える高額な訴えは早見表の対象外であり,各裁判所の窓口に個別に照会する必要がある。

2 収入印紙は使えるか

収入印紙では納付できない。例外事由に当たらないのに収入印紙を提出しても,手数料の納付とは認められない(準備の手引15頁,Q&A7頁)。
例外は,書面で申立てができる場合で,やむを得ない事由があるときである。この場合に限り,訴状等に収入印紙を貼って納める(改正費用法第8条第1項ただし書。準備の手引15頁)。

3 納付期限のリマインド

mintsには,納付期限のリマインド機能がある。リマインドメールは,期限の14日前・7日前・2日前・1日前・当日の計5回,自動送信される。ホーム画面の「重要なお知らせ」にも表示される。
期限を過ぎると,その納付情報に基づく納付はできなくなる(以上,操作マニュアル57頁)。


第8 証拠の提出

1 書証の画像情報と原本の扱い

改正法の下では,書証の写しに代わる画像情報(PDF)をmintsにアップロードして提出する(改正民訴規則第137条)。
もっとも,書証の取調べは原本・正本・認証謄本でなければならない(民訴法第219条,民訴規則第143条)。この規律は変わらない。
そのため,原本性が問題になりうるもの(契約書等)は,期日に原本を持参する必要がある(以上,準備の手引24頁)。

2 証拠説明書の作成

(1) 証拠説明書は,電子証拠説明書と兼ねて作成し,電子提出する。標目欄の書き方は,証拠が「もともと紙か,もともとデータか」と「原本確認が必要か」との組合せで分かれる。
もっとも,原本確認の要否は慎重に判断したい。相手方が成立の真正を争うなど原本の取調べが必要とされるときは,裁判長の訴訟指揮により,書証(原本)としての提出を求められることがあるからである(以上,準備の手引27頁)。

① もともと紙媒体で,原本確認が必要なものは,標目欄に「原本」と記載し,書証(原本)として提出する。期日に原本を持参する。例えば契約書である。

② もともと紙媒体であるが,原本確認が不要で,これを電子化(PDF化)して電磁的記録として提出するものは,標目欄に「原本」「写し」のいずれも記載しない。備考欄に「紙を電子化」と記載する。例えば文献の抜粋や内容証明郵便である。

③ もともと紙媒体であるが,システムを利用しない当事者本人が電子化できず,紙媒体のまま書証として提出するものは,標目欄に「写し」と記載する。この場合は備考欄に「紙を電子化」とは記載せず,期日に書証の写しを持参する。

④ もともとデータ形式の証拠は,標目欄に「原本」「写し」の記載は不要である。例えば振込記録や不動産登記情報である。

(2) 作成者欄と作成年月日欄は,電子化や複製を行った者・日付ではなく,もとの資料を基準に記入する。紙を電子化したもの(上記②)について,その紙に記載された内容を立証する趣旨であるときは,もともとの紙媒体の作成者と作成年月日を記入する。
もともとデータ形式のもの(上記④)も,オリジナルデータのコピーを提出するときであっても,オリジナルデータの作成者と作成年月日を記入する(以上,準備の手引27頁)。

3 証拠番号とファイル名のルール

証拠符号は,原告が提出するものには「甲」,被告が提出するものには「乙」,独立当事者参加人等が提出するものには「丙」を用いるのが原則である。被告が複数いる場合は,「乙A」「乙B」のように被告ごとに符号を分ける。

証拠番号とファイル名には,ルールがある(準備の手引29頁)。証拠番号は通し番号で付し,証拠データの右上にも記載する。フォームの証拠番号欄には「甲001」「乙A001」のように半角英数字で入力する。枝番のある複数の領収書を1ファイルで出す場合は,「甲001-1〜20」と入力する。
原則として1つの証拠は1つのファイルで提出する(枝番がある場合を除く)。ファイル名は,証拠番号(半角3桁)に加えて標目どおりに記載する。例えば「甲001 売買契約書原本」である。

4 関連性の明示

証拠の一部だけが要証事実と関連する場合は,関連性を明らかにするよう努める(改正民訴規則第137条の2第2項)。PDF編集ソフトの蛍光ペン機能等を用いる。元の記載が読みにくくならないようにする。
加えて,証拠説明書の備考欄で加筆部分を説明し,どこを加筆したか分かるようにする(以上,準備の手引30頁)。

5 電磁的記録そのものの証拠調べ(音声・動画データ等)

第6章1で「記録」の受付形式にMP3・MP4が含まれると述べたが,これは,録音・録画データそのものを証拠として直接取り調べる新しい証拠調べ類型(電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べ)を前提にしたものである(改正民訴法第231条の2,第231条の3)。
紙の書証を画像化して提出する場合(前記1)とは別の制度であり,対象は電磁的記録の意味内容そのもの(思想内容)であって,文書形式に限らず,音声形式や動画形式のものも含まれる。

提出は,記録媒体に記録して提出する方法のほか,mintsを使用する方法により行うことができる(改正民訴法第231条の2第2項)。書証と同様,電磁的記録の成立の真正(作成名義人の意思に基づいて作成されたこと)を証明しなければならない(改正民訴法第231条の3第1項において準用する民訴法第228条第1項)。
相手方が電磁的記録を保有していて任意に提出しない場合には,文書提出命令に相当する電磁的記録提出命令の申立てによって提出を求めることができる(改正民訴法第231条の2,第231条の3)。

6 相手方が成立の真正・同一性を争う場合への備え

mintsでファイルを提出できることと,その内容が真正に成立したこと,又は取得後に改変されていないことを立証できることは別である。相手方から作成者,作成過程,取得方法又は編集の有無を争われることを想定し,提出用ファイルだけでなく,次の資料を事件終了まで保存しておきたい。

① 電子メール,チャット,ウェブページ等は,表示画面をPDF化したものだけでなく,取得元URL,取得日時,送受信ヘッダー,エクスポートデータその他の元データを保存する。mintsで受け付けない形式の元データは無理に提出形式へ変換して元データを破棄せず,提出用PDFとは別に保管する。

② 音声・動画は,可能な限り取得時の原ファイルを保存し,編集用コピーと区別する。反訳書又は場面一覧をPDFで提出する場合も,反訳書だけで音声・動画そのものに代わるものではないことに注意する。

③ ウェブページ又はSNS投稿は,問題部分だけでなく,投稿者名,URL,投稿日時及び前後の文脈が分かる形でも保存する。削除・変更のおそれが高い場合は,取得時点を記録し,必要に応じて公証,タイムスタンプその他の証拠保全手段を検討する。

④ 蛍光ペン,囲み又はマスキングを施した提出用ファイルとは別に,加工前のクリーンなデータを保存する。加筆した箇所は証拠説明書の備考欄で明らかにする。

⑤ 法定の提出要件ではないが,重要な電磁的記録については,取得直後のハッシュ値を記録しておくと,後日の同一性確認に役立つことがある。

成立の真正又は同一性が争われた場合に備え,作成者,作成に用いた機器・アカウント,作成・送信の経緯,取得後の保管経路,メタデータ,関連する紙資料及び作成・取得に関与した証人を整理する。これらは単にファイルをアップロードするだけでは補えない立証準備である。

7 提出期間徒過時の説明義務

裁判長が準備書面や証拠の提出期間を定めた場合,その期間を徒過して準備書面の提出又は証拠の申出をする当事者は,期間を遵守することができなかった理由を裁判所に説明しなければならない(改正民訴法第162条第2項)。旧法にはこの徒過時の規定がなく,何らの理由もなく提出が遅滞することを抑止する趣旨で新設された。

説明された理由は,時機に後れた攻撃防御方法の却下(民訴法第157条第1項)の適否の判断に際して考慮される。mintsは提出のたびにタイムスタンプを付すため,期限を徒過したかどうかが記録上明確になる。期限が迫っている場合は早めに提出し,やむを得ず遅れるときは,その理由を明らかにできるようにしておきたい。

第9 送達と応訴

1 訴状等の送達方法

電子申立てされた訴状は,電磁的訴訟記録になる。送達方法は2つある(準備の手引17頁)。

(1) 出力書面による送達

原告が,記録一覧画面のデータをダウンロード・印刷して出力書面を作る。これを裁判所に提出する。被告にあらかじめ代理人が就く場合等を除き,訴状の送達はこの方法が多い(改正民訴規則第58条第1項。準備の手引17頁)。

(2) システム送達

被告にあらかじめ代理人が就く場合や,包括届出がある場合に選択されうる。被告が訴状の送達を受ける前に「システム送達を受ける旨の届出」をしている場合は,出力書面によらず,システム送達をすることができる(改正民訴法第109条の2第1項ただし書,改正民訴規則第58条第2項)。届出がある場合は,閲覧・ダウンロードが可能となる措置がとられた旨が,届け出られた電子メールアドレスに通知される(改正民訴法第109条の2第2項・第3項,改正民訴規則第45条の2)。届出義務者が届出をしていない場合の特例は,後記2のとおりである。

なお,訴訟代理人にはシステム送達を受ける旨の届出をする義務がある(改正民訴法第132条の11第2項)。

2 システム送達の効力発生時期

システム送達の効力発生時期は,「システム送達を受ける旨の届出」がある場合と,届出義務者が届出をしていない場合とで,3つ目の起算点が異なる。
届出がある場合は,①送達対象データを閲覧した時,②同データを端末等にダウンロードした時,③閲覧又はダウンロードができる措置をとった旨の通知が発せられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に効力が生じる(改正民訴法第109条の2,第109条の3。準備の手引18頁)。
これに対し,電子申立て等の義務を負う者が届出をしていない場合でもシステム送達は可能であり,裁判所は通知を発することを要しない。この場合は,①閲覧した時,②ダウンロードした時,③閲覧又はダウンロードができる措置がとられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に効力が生じる(改正民訴法第109条の4)。したがって,「通知メールを受信していないから送達の効力は生じない」と考えることはできない。
ただし,送達を受けるべき者がその責めに帰することができない事由により閲覧又はダウンロードをすることができない期間は,この1週間に算入されない(改正民訴法第109条の3第2項)。問題となるのは閲覧又はダウンロードをすることができなかったかどうかであり,単にメールを見落としたことや,通知メールが迷惑メールフォルダに入ったことだけで当然にこの特則が適用されるものではない。長期間にわたりmintsへサインインできない事情が見込まれる場合は,重要書面の送達前に裁判所へ相談する必要がある(準備の手引19頁)。
通知先として届け出た連絡先を変更又は解約するときは,速やかに新たな連絡先を届け出る。補助者が閲覧又はダウンロードした場合も送達の効力が生じるため,担当者間で閲覧時刻,対象ファイル及び期限計算の引継ぎを記録しておくのが安全である。

3 被告代理人の応訴

(1) 招待キーによる事件へのアクセス

被告代理人は,招待キーを使って事件にアクセスする。招待キーは12桁の半角英数字である。裁判所が,被告への送達書類に招待キーを同封する。又はFAX・電子メールで交付する(以上,準備の手引20頁・21頁)。
招待キーには有効期限がある。招待メールに記載して交付されたものは発行日から7日間,書面に記載して交付されたものは発行日から50日間である。
一度使用したキーは再使用できない。有効期限が迫っている場合は,速やかに関連付けの操作をしたい(Q&A12頁)。

(2) 委任状及び答弁書等の提出

被告代理人は,mintsにサインインし,招待キー入力画面で入力する。これで事件情報への関連付けが完了する。
その後,記録一覧のアップロード画面から,委任状とシステム送達を受ける旨の届出(いずれもPDF)をアップロードする。続いて答弁書・証拠をアップロードする(準備の手引20頁)。

(3) システム直送とアクセスキーの区別

被告代理人がアップロードすると,原告代理人に通知される。この通知をもってシステム直送となる(Q&A8頁,準備の手引20頁)。
なお,被告代理人が事件に関連付くための「招待キー」とは別に,文書送付嘱託の嘱託先(金融機関・医療機関等)のような第三者が一時的にファイルをアップロードするための「事件アクセスキー」(いずれも半角英数字12桁)がある。前者は「招待キー入力」画面で,後者は「事件アクセスキー入力」画面で入力するもので,目的が異なる。

4 mintsから届く自動通知メールの実際

mintsを使うと,手続の節目ごとに,送信専用アドレス([email protected])から自動通知メールが届く。届く主なものは次の8種類で,いずれも冒頭に「本メールは、民事裁判書類電子提出システム(mints)からの自動送信メールです。」とあり,宛名・事件の表示・末尾にmintsトップ画面のURL(https://www.mints.courts.go.jp/user/ )と差出部署が入る。事件の表示は,立件前は受付番号(例「〇〇地方裁判所2026-0000000」),立件後は事件番号(例「〇〇地方裁判所令和8年(ワ)第〇号」)で示される。

通知メールの種類(件名冒頭)いつ届くか来たら何をするか
新規申立てが完了しました新規申立てフォームから提出した直後立件と事件への関連付けを待つ(この時点の表示は受付番号)。特段の操作は不要。
事件当事者設定完了裁判所が立件し,申立人を当事者に関連付けたとき受付番号が正式な事件番号に変わる。サインインし,記録一覧に訴状・証拠・証拠説明書をアップロードする。
ファイルのアップロードが完了しました自分がファイルをアップロードしたとき提出できたことの控え。特段の操作は不要(ファイル名は載らない)。
手数料納付情報が登録されました裁判所が手数料額を確定・登録したとき手数料納付情報一覧でペイジーの収納機関番号・納付番号・確認番号を確認し,速やかに納付する。
裁判所がファイルをアップロードしました裁判所が訴状・呼出状・決定等をアップロードしたとき(=システム送達の通知)サインインして内容を確認する。閲覧・DLしなくても,送信日から1週間の経過で送達の効力が生じる(下記の文面参照)。
ファイルが閲覧・ダウンロードされました自分・相手方・裁判所がファイルを閲覧又はDLしたとき相手方の氏名で届けば,相手方がいつ・どのファイルを見たか(送達・直送の実体)を確認できる。
ファイルが提出されました相手方がファイルを提出したときサインインして確認。改正法施行前の事件は受領書を提出する(記録外・施行後は不要。下記の文面参照)。
受領書が提出されました自分が受領書を提出したとき提出の控え。特段の操作は不要。

このうち実務上おさえておきたいのは,送達の効力に直結する「裁判所がファイルをアップロードしました」(システム送達の通知)と,受領書の要否が分岐する「ファイルが提出されました」の2つである。この2種は実際の文面を掲げておく(事件番号・氏名・ファイル名等は伏せ,本文は原文の表記のままとした)。

システム送達の通知(「裁判所がファイルをアップロードしました」)

裁判所が訴状・期日呼出状・決定等の送達対象ファイルをアップロードすると届く。本文に送達の効力に関する告知が入る点が他と異なり,前記2の効力発生時期(閲覧時・ダウンロード時・通知発出日から1週間の早い時)を実際の文面で確認できる。送達対象のファイル1件ごとに1通届く。

本メールは、民事裁判書類電子提出システム(mints)からの自動送信メールです。

〔肩書〕〔氏名〕 様

〔裁判所名〕〔事件番号〕 に関するお知らせです。

裁判所がシステムにアップロードした以下のファイルについて、あなたが、閲覧・ダウンロードをすることが可能となりましたので、お知らせします。

 ファイル名  〔ファイル名(例:訴状.pdf)〕

mintsにサインインして、ファイルの内容を確認してください。

なお、本メールは、民事訴訟法第109条の2第1項本文に基づき、当該送達対象ファイルにつき、システムによる送達を行うための通知として送信するものとなります。

あなたが当該送達対象ファイルの閲覧・ダウンロードをしなくても、民事訴訟法第109条の3第1項第3号により、本メールの送信日から1週間を経過した時に、当該ファイルにつき、電磁的記録の送達の効力が生じることになりますので、ご注意ください。

mintsトップ画面
https://www.mints.courts.go.jp/user/

※ 本メールアドレスは送信専用のアドレスとなっております。

相手方が提出したときの通知(「ファイルが提出されました」)

相手方がmintsにファイル(答弁書・委任状・システム送達を受ける旨の届出等)を提出すると届く。受領書の要否が,改正法の施行前後及び記録・記録外の別で分かれる旨が明記されている。

本メールは、民事裁判書類電子提出システム(mints)からの自動送信メールです。

〔肩書〕〔氏名〕 様

〔裁判所名〕〔事件番号〕 に関するお知らせです。

〔相手方の肩書・氏名〕からファイル(〔提出ファイル名〕)が提出されました。
mintsにサインインしてファイルを確認し、改正法施行前の事件においては、受領書を提出してください。
なお、記録外の場合及び改正法施行後の事件においては受領書の提出は不要です。

mintsトップ画面
https://www.mints.courts.go.jp/user/

※ 本メールアドレスは送信専用のアドレスとなっております。


第10 判決・執行・秘匿の留意点

1 電子判決書と控訴期間

(1) 判決のシステム送達と控訴期間の進行

電子判決書は,言渡し後速やかにmintsにアップロードされ,システム送達される(改正民訴法第253条,改正民訴規則第157条第3項)。
控訴期間は,閲覧した時・ダウンロードした時・通知発出日から1週間が経過した時のいずれか早い時点から進行する。補助者が閲覧・ダウンロードした時点でも控訴期間が進行する。控訴は,電子判決書等の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(改正民訴法第285条)。もっとも,mintsには具体的な控訴期間の末日を表示する機能がない。閲覧又はダウンロードをした者は,日時を直ちに事件担当者へ報告し,担当弁護士が送達効力発生日と控訴期間末日を計算した上で,別の担当者による再確認を行う運用が安全である(以上,準備の手引35頁,Q&A12頁)。

(2) 事件情報の関連付け解除と判決書等のダウンロード

事件終了後は,事件情報と当事者アカウントの関連付けが解除される。解除後の閲覧には手数料がかかる。電子判決書や和解調書は,関連付けの解除前にダウンロードしておく。
関連付けは,①判決確定日,訴状却下命令・訴え却下判決の確定日,和解に代わる決定の確定日その他の終局事由に応じた日と,②裁判所書記官が当該事件情報に最後に電磁的記録をアップロードした日から1週間が経過した日とのいずれか遅い日以降に,速やかに解除される。単に一つの送達対象がアップロードされた日から1週間が経過すれば直ちに解除されるという意味ではない。控訴を提起すると,確定日前に控訴審へ事件情報が移管され,関連付けが解除されることがある。
特に判決事件では,事件確定日の経過前に関連付けが解除されることもあるため,電子判決書,送達報告書及び記録外領域に提供された記録事項証明は,受領後速やかにダウンロードしておきたい(以上,準備の手引36頁)。

(3) 関連付け解除後の記録閲覧・複写手続

解除後に有料で閲覧・複写する場合,申請権者によって手続が異なる。事件終結後の元当事者は,利害関係を疎明した第三者と同じ取扱いとなり,オンラインで申請し,手数料を納付した上で,裁判所書記官の許可後に自宅等のパソコンから対象記録を閲覧・複写する。
これに対し,利害関係のない第三者は,オンラインで閲覧を申請し,手数料を納付した上で,裁判所書記官の許可後に最寄りの裁判所に来庁し,裁判所のパソコンで閲覧することができるにとどまる(改正民訴法第91条の2,改正民訴規則第33条の3)。
具体的な請求の方法は,後記4を参照されたい。

(4) 登記手続を命ずる判決における記録事項証明の要否

登記手続を命ずる判決(例えば「被告は,原告に対し,別紙不動産目録記載1の不動産につき,所有権移転登記手続をせよ。」との判決)を得て法務局に登記を申請する場合には,別の注意が必要である。
フェーズ3後は債務名義(電子判決書・電子調書等)がデータになるため,システム送達される場合,mintsには電子判決書等がアップロードされた旨の通知が来るだけであり,電子判決書自体をダウンロードしても,これまでの判決書正本(末尾に「これは正本である」との認証文言が付されたもの)に相当するものが交付されるわけではない。
登記申請には,「本電磁的記録(本書面)の内容が,裁判所のファイルに記録されている事項と同一であることを証明する」との文言のある記録事項証明が別途必要である。

(5) 記録事項証明の取得方法と登記申請時の注意点

この記録事項証明は,電子判決書等のシステム送達とは別に,mintsの「記録外」画面へのアップロードにより提供されるので,当該事件が確定するまでの間に速やかにダウンロードしておきたい(申請・手数料は不要)。確定後にダウンロードしていなかった場合は,別途,「記録事項証明の交付(提供)申請書」により申請する必要がある(手数料を要する)。申請書と記載例は,裁判所ウェブサイトに掲載されている。書面による交付の手数料は用紙1枚につき150円,電磁的記録による提供の手数料は1件につき2100円で,ペイジーにより納付する。電磁的記録の提供を受ける場合は,アップロード通知後1週間以内にダウンロードする必要がある。
ここで注意したいのは,mintsからダウンロードした電磁的記録の記録事項証明を,単に紙に印刷しただけのものは,登記申請に使えないという点である。登記官がその真正性を確認できないためである。
電子署名の付された電磁的記録のまま登記申請に用いるか,確定後に書面(記名押印がされたもの)の交付を受けて用いる必要がある。書面による交付を郵送で受けたいときは,返送用の封筒と切手をあらかじめ用意しておきたい。

なお,弁護士等,電子提出が義務付けられている者は,確定後であっても書面により記録事項証明の交付を申請することはできず,mintsの新規申立てフォームで「申立種別:その他」を選択して電子申立てをする必要がある(以上,裁判所ホームページ「フェーズ3後の債務名義による登記申請の留意事項」)。

2 強制執行と事件特定情報

(1) 書面による申立原則と事件特定情報の活用

強制執行は,改正民執法の全面施行(遅くとも令和10年6月)までは,書面による申立てが必要である(準備の手引37頁)。債務名義等に係る電磁的記録がmints上にある場合,「事件特定情報」を書面で提供することで,記録事項証明書の提出を省略できる(改正民執法第18条の2。準備の手引37頁)。

事件特定情報が提供されれば,送達証明書・確定証明書の提出も不要である。事件特定情報とは,係属していた裁判所名・事件番号及び符号である(改正民執規則第15条の2)。これは債務名義・執行文・更正決定ごとに異なる。それぞれの事件特定情報を提供する必要がある(以上,準備の手引38頁)。

(2) 執行文付与等の電子申立て及び手続上の留意点

債務名義等が新法適用事件のものである場合,執行文付与の申立ては電子申立ての義務がある(特例執行文付与申立事件の定義につき令和5年整備法による改正後の民執法附則第5条,電子申立ての義務につき同附則第6条及び第7条。準備の手引37頁)。
執行文付与の手数料は,単純執行文が300円であるのに対し,承継執行文や事実到来執行文は1,500円であり,債務者を追加する場合はこれに1,200円が加算される。

なお,準備の手引には,督促異議の申立て,更正決定の申立て,担保取消しの申立て,控訴に伴う執行停止の申立てを含む約30種類の申立て・書面について,新規申立てフォームと記録一覧のアップロード画面のいずれから提出するかを整理した対応表が掲載されている(準備の手引40頁・41頁)。
特に更正決定の申立書,記録事項証明書等の証明申請書及び執行文付与の申立ては,事件が終結して関連付けが解除される前と後とで提出場所が変わることがあるため,時期を誤らないよう注意されたい。

(3) 電子化された債務名義による自動車登録及び特許権等登録

電子化された債務名義に基づいて自動車登録を申請する場合,当面は書面の記録事項証明書を運輸支局等に持参する必要がある。電磁的記録事項証明書及びその印刷物は利用できず,自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)も利用できない。債務名義がシステム送達され,その主文又は和解条項等に自動車登録手続が含まれる場合は,第一審裁判所の裁判所書記官に書面の記録事項証明の交付を希望する旨を伝えることにより,1回に限って無償で交付を受けられるが,2回目以降は有料である。なお,債務名義が判決である場合は,記録事項証明とは別に,判決の確定証明書(書面)も従前と同様に別途取得する必要がある(要手数料)(以上,裁判所「フェーズ3後の債務名義による自動車登録申請の留意事項」1頁・2頁)。

特許権,実用新案権,意匠権又は商標権の登録申請には,電磁的記録事項証明書又は書面の記録事項証明書を利用できる。ただし,電磁的記録事項証明書を単に印刷した書面では,裁判所書記官による電子署名を確認できないため,登録専門官において真正に成立したものと判断できず,これを提出することはできない。債務名義が判決である場合は,登録手続に際して,判決の確定証明(書面又は電磁的記録)を別途取得する必要がある(以上,裁判所「フェーズ3後の債務名義による特許権等の登録申請の留意事項」1頁・3頁)。

3 当事者間秘匿の申立て

(1) 当事者間秘匿の電子申立て

当事者間秘匿の申立て(改正民訴法第133条第1項)は,原則として電子申立てができる。訴え提起と同時なら新規申立てフォームの添付書類から,訴訟係属中なら記録一覧の「関連事件の申立て」から提出する(以上,準備の手引39頁・40頁)。

(2) 秘匿事項届出書面の取扱いと誤提出時の対応

秘匿事項届出書面(改正民訴法第133条第2項)は,書面(紙媒体)で提出しなければならない。提出後も書面で保管される。FAXによる提出も,mintsへのアップロードもできない(準備の手引39頁,Q&A7頁)。
誤ってmintsにアップロードした場合は,相手方から閲覧可能になりうる。速やかに担当書記官へ連絡し,消去を申し出る(改正民訴規則第33条の5第2項。準備の手引39頁)。

誤ってアップロードした書面の消去は,係属中の事件と無関係な書面や秘匿情報が記載された書面など,誤りが明白な場合に,本人の申出を受けて行われるのが原則である(改正民訴規則第33条の5第2項)。
これに対し,当事者双方が陳述をしていない書面については,当事者全員の同意があり,かつ裁判所が相当と認めるときにも消去が認められる(同条第1項)。裁判所の休日や夜間は消去の対応ができないことにも留意されたい。

(3) 情報のマスキングに関する技術的注意点

秘匿事項に限らず,裁判所に提出する文書等に第三者の氏名や住所等,マスキング(黒塗り)をすべき情報が含まれる場合の技術的な注意点もある。
PDF編集ソフトのマーカー機能(黄色いハイライト等)を用いただけでは,マーカーの下の文字情報が完全には削除されず,相手方がテキストのコピーや検索によって読み取れてしまうことがある。
マスキングをするときは,文字情報そのものを消去する墨消し(黒塗り)機能を用い,提出前に,実際に文字情報が読み取れなくなっているかを確認しておきたい(以上,準備の手引39頁)。

4 記録等の閲覧・複写・謄写の請求

前記1で述べた,元の当事者や第三者による記録の閲覧・複写とは別に,記録の謄写・複製を含めて正式に請求するための書面として「民事事件記録等閲覧・複写・謄写・複製申請書」が用意されている(令和8年5月21日以後に提起された事件用の様式である。)。
この申請書は,オンラインでの申請とペイジーによる手数料納付に対応しており,申請人の資格を,当事者,利害関係を疎明した第三者,補助参加人,それ以外の者の4区分に分けて記載する仕組みになっている。閲覧等の方法についても,申請人自身のパソコンを用いる方法,裁判所に設置された端末を用いる方法,他の裁判所に設置された端末を用いる方法の3通りが用意されている。
閲覧等が制限される部分があるときは,民訴法第92条第1項各号などに定める除外事由に該当するかどうかが審査される。


第11 期日と障害対応

1 期日への出頭

(1) mintsによる期日指定と電子呼出の確認

第1回口頭弁論期日は,訴えの提起後,裁判所が指定する。期日が指定されると,電子呼出状がmintsにアップロードされ,通知メールが届く。これを閲覧又はダウンロードして内容を確認する。
書面手続の時代に必要であった期日請書の提出は不要になる(二弁フロンティア2025年12月号「フェーズ3で訴え提起はこうなる―「mints」の利用義務化―」32頁)。

(2) 期日への出頭方法とウェブ会議の活用

期日への出頭方法は,従前と同様である。弁論期日・弁論準備手続期日・和解期日は,対面でもウェブ会議でもよい。書面による準備手続はウェブ会議のみである。
ウェブ会議は,従前と同様にTeamsを利用する(以上,準備の手引22頁)。

(3) 法廷における電磁的訴訟記録の閲覧と代理人PCの持参

期日で電磁的訴訟記録を見るには,代理人が自分のPC等を持参する。裁判所に代理人用の貸出端末はない。合議法廷では,当事者用ディスプレイに代理人のPCを接続できる。
接続には,HDMI又はUSB−Cに対応したPCが必要である(ケーブルは裁判所が用意する)。法廷ではcourts Wi-Fiで接続する(以上,準備の手引6頁・22頁)。

(4) courts Wi-Fiの運用開始と利用規約上の留意点

courts Wi-Fiは,令和8年2月1日から運用が開始された無償のWi-Fiである。利用目的は,記録の閲覧・電子申立て・準備書面等の提出,ウェブ会議への参加,記録の閲覧・遠隔手続の案内の各場面に限られる。SSIDとパスワードは当日その都度個別に通知される方式であり,接続先にも制限がある。
パスワードを他人に教える等の行為は禁止されており,裁判所の故意又は重過失による場合を除き,接続に伴う損害について裁判所は責任を負わない。運用が事前の通知なく中止されることもあり得るとされている(以上,courts Wi-Fi利用規約)。

(5) 合議法廷における各種ディスプレイ等のIT設備

合議法廷には,証人尋問等で用いる23.8型の証人用ディスプレイ,文書提示・書込み用の15.6型タッチペン対応ディスプレイ,傍聴人向けの65型又は55型の大型ディスプレイ,複数台のカメラが整備されている(準備の手引6頁)。

2 システム障害が生じたとき

mintsに障害が生じたら,速やかに稼働状況を確認する。確認先は,裁判所ウェブサイト「民事裁判手続のデジタル化」の「システムの稼働状況」と,mintsのトップページである。期日がある場合は,事件係属部に連絡する(以上,準備の手引46頁)。

障害発生時も,直ちに全ての手続を紙へ切り替えるのではない。控訴期間又は消滅時効の完成が迫っていない場合など,速やかな申立てを要しないときは,まず裁判所のシステムの復旧を待って電子申立てをする。手数料も,復旧後にペイジーで納付できるため,最初から収入印紙を貼付するのではなく,裁判所の指示を待つ。
これに対し,障害が長期化し,又は期限が切迫している場合は,裁判所側のシステム障害が電子申立て等義務の例外事由に当たり得る。この場合は,裁判所へ連絡した上で,例外事由の具体的内容を記載した書面を添えて書面申立てをする。訴えの提起であれば,被告への送達に必要な訴状副本及び書証の写し等も併せて提出する。手数料を収入印紙で納付するかも,裁判所の指示を確認する。係属中事件の準備書面,答弁書等を書面で提出する場合は,相手方への直送が別途必要となる。手続の種類によって必要書類と相手方への送付方法が異なるため,「障害だから紙で出せば足りる」と一律に判断しないことが重要である(以上,準備の手引46頁・47頁)。

3 よくあるエラーと事務作業

(1) よくあるエラー

ア PDF化の際は,プロパティを削除する。
作成者名や編集時間といったメタデータが残るためである。相手方に不要な情報を与えないようにする(Q&A10頁,操作マニュアル別紙3)。

イ ファイルの向きに注意する。
縦向き・横向きのいずれのPDFでもアップロードできるので,横長に作った文書を縦向きに直す必要はない(操作マニュアル別紙4)。ただし,mintsが付すタイムスタンプを適切な位置に収めるため,内容に合わせた向き(縦置きの内容は縦向き,横置きの内容は横向き。A4は縦置き,A3は横置きが基本形)でアップロードするのが望ましい。向きが内容と食い違うと,タイムスタンプが文字に重なることがある(Q&A10頁,操作マニュアル別紙4)。

ウ エラーが出たら,マニュアルの別紙を参照する。
「クライアント処理が失敗しました(エラー9)」や「サーバ処理が失敗しました(エラー10)」も,原因と対処が示されている。解決しない場合,システムの不具合又は仕様に関する問合せは,問合せフォーム又は電話窓口(050-3310-5500。平日午前8時から午後6時まで)を利用する。裁判手続そのものに関する質問は,最寄り又は事件係属中の裁判所に問い合わせる(以上,Q&A9頁,操作マニュアル7頁・別紙2,裁判所「mintsでお困りの際は」3頁)。

(2) 事務作業

提出書面に押印は不要である。押印した書面をスキャンしてPDFファイルにする必要はない(Q&A9頁)。

4 証人尋問のウェブ実施(ウェブ尋問)

(1) ウェブ尋問の実施要件の拡大

フェーズ3では,証人尋問(人証調べ)をウェブ会議の方法で実施できる場合が広がる。改正前は,証人が遠隔地に居住している場合や,証人が当事者等から圧迫を受けるおそれがある場合に限られていたが,改正民訴法第204条により,これらに加えて,証人の年齢や心身の状態等により出頭が困難な場合,及び当事者に異議がない場合にも,相当と認めるときはウェブ尋問をすることができるようになった。

(2) 証人の所在場所に関する要件

ウェブ尋問をする場合,証人が所在する場所にも要件がある。原則として,当事者本人又はその代理人が在席する場所であってはならず,また,証人の陳述の内容に不当な影響を与えるおそれのある者が在席する場所であってもならない(改正民訴規則第123条第1項)。

(3) 書証等の提示方法

書証等を証人に示す必要があるときは,パソコンの画面を用いて示すことができる(同条第3項)。データで示す場合はTeamsの画面共有を用い,多数の証拠を効率よく示したい場合や弾劾証拠を示す場合は,従来どおり紙媒体を持参する方法も選択できる。

(4) 宣誓手続の変更

宣誓書に署名押印して提出する取扱いは原則として廃止され,証人が宣誓をした事実は,電子調書に記載される(改正民訴規則第112条第3項)。


第12 まとめ

mintsの本格運用は,民事裁判実務の大きな転換点である。本記事では,弁護士が抱きそうな疑問を中心に,3つの文書を横断して整理した。要点を5つにまとめる。

1つ目は,役割分担である。制度と根拠は準備の手引,実務の疑問はQ&A,画面操作は操作マニュアルを見る。問いの種類で文書を使い分けると早い。

2つ目は,電子申立ての義務である。弁護士は原則として電子申立てをする。書面提出は,限られた例外事由がある場合に限られる(準備の手引10頁・11頁)。

3つ目は,ファイル形式である。記録はPDF等に限られる。エクセルは記録外でしか出せず,訴え提起の段階では出せない。提出書類は全てPDF化するのが基本である(Q&A7頁,準備の手引28頁)。

4つ目は,提出前の確認である。新法・旧法,現在mintsを利用できる手続か,新規申立てか係属中事件への提出か,提出場所・ファイル種別,手数料,秘匿情報及びマスキングを順に確認する。提出ボタンを押した後は,当事者側でファイルを削除又は訂正できないことを前提に,PDFを実際に開き,事件名,当事者名,頁数,向き,添付漏れ及びマスキングの有効性を確認する。

5つ目は,提出後と相手方の反論への備えである。受付又はタイムスタンプを確認し,提出ファイル,元データ及び証拠説明書を同じ事件フォルダに保存する。電磁的記録について作成者,取得経緯又は改変の有無を争われる可能性があるときは,元データ,メタデータ,取得日時,保管経路及び関連資料を保存する。システム送達を閲覧又はダウンロードしたときは,その日時と期限計算を担当者間で共有し,判決書等は関連付け解除前にダウンロードする。

細部は今後の運用で固まっていく。本記事の内容も,最新版の文書で随時確認してほしい。とりわけ,Q&Aの取得日後の更新,個別裁判体の提出指示及びシステム障害時の案内は,実際の申立て時点で再確認する必要がある。


出典