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mintsの実務解説 弁護士向けQ&A―電子申立て・証拠提出・送達・障害対応(AI作成)

第1 本記事の前提と3つの文書の役割分担

1 本記事が依拠する3つの文書

本記事は,次の3つの文書を基にしている。いずれも最高裁判所が公表又は提供する一次資料である。役割が異なるので,まず各文書の性格を押さえておきたい。

(1) 準備の手引

正式名称は「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」である。最高裁判所事務総局民事局が作成した。令和8年6月19日版を用いる。全49頁。改正民訴法の全面施行後に,訴えの提起から執行までの手続がどう流れるかを,根拠条文とともに示している。いわば「制度と手続の地図」である。準備の手引は随時改訂されており,令和8年5月15日版からの主な変更点は,全面施行後の記載への更新,当事者多数の場合のmints入力上の留意事項の追加(12頁),新規申立てフォーム上の入力等の方法の整理(13頁),文書等にマスキングをする際の留意点の追加(39頁)及び各種申立て等の提出場所の一部修正(40頁・41頁)である。本記事も,この令和8年6月19日版の内容に沿って記載している。

(2) mints Q&A

mintsのトップ画面右下のチャットボットに登録された質問と回答を一覧にしたものである。令和8年4月時点の回答を一覧化したPDFを,同年6月10日にダウンロードした。全15頁。現場でつまずきやすい点が具体的にまとめられている。旧法適用事件向けの回答には【旧】,新法適用事件向けの回答には【新】の表示がある。いわば「公式のFAQ集」である。

(3) 操作マニュアル(当事者ユーザ編)

正式名称は「民事裁判書類電子提出システム操作マニュアル〜当事者ユーザ編〜」である。2.3版(令和8年7月15日改訂)を用いる。本編92頁に別紙5種。2.3版の改訂内容は,公式の改訂履歴上「軽微な修正」とされている。サインアップから提出までの画面操作の手順を,図とともに説明している。いわば「画面操作の手順書」である。

2 3つの文書の役割分担

3つの文書は,問いの種類によって使い分けると分かりやすい。整理すると次のとおりである。

  • 「なぜ・いつ・どの条文に基づくのか」を知りたいときは,準備の手引を見る。制度趣旨と根拠条文が書いてある。
  • 「実務でこの場合どうするのか」を知りたいときは,Q&Aを見る。具体的な疑問への回答が並んでいる。
  • 「画面でどう操作するのか」を知りたいときは,操作マニュアルを見る。ボタンの位置や入力欄が示されている。

同じ事項でも,3つの文書は切り口が違う。例えばファイル形式の話題なら,準備の手引は制度上の位置づけ(28頁)を,Q&Aは可否の結論(7頁)を,操作マニュアルはアップロード画面の使い方(64頁以下)を説明する。本記事では,回答ごとにどの文書の何頁に基づくかを明示する。

3 本記事の役割(操作マニュアル解説記事との分担)

本記事は,mintsの全体像,適用範囲,利用準備,訴え提起,提出可能なファイル及び手数料を説明するとともに,個別論点の記事へ案内する総合記事である。

① 画面上のクリック,入力,アップロード,ダウンロード,印刷及びエラー対応は,mints操作マニュアル~当事者ユーザ編~の解説が扱う。

② 証拠を提出する経路,電子証拠説明書,標目欄,証拠原本その他の証拠法上・立証実務上の問題は,mints後の証拠説明書が扱う。

③ システム送達,電子化された債務名義,当事者間秘匿,システム障害及びウェブ尋問は,本記事からリンクする各分割記事が扱う。

4 一次資料の入手先・公式動画・各種書式のダウンロード

「準備の手引」,関連書式及び公式動画は,裁判所ウェブサイトの「改正民訴法等に関する参考資料」に掲載されている。操作マニュアルはmints公式サイトで公開されている。これに対し,本記事で用いるQ&Aは,mintsトップ画面右下のチャットボットから令和8年6月10日にダウンロードした版であり,取得後に回答が更新されている可能性がある。したがって,準備の手引及び操作マニュアルはそれぞれの公式掲載先で最新版を確認し,Q&Aについてはmints内の最新回答も確認する必要がある。以下では,本文で触れた書式と,本記事を補う公式動画の入手先をまとめておく。

(1) 公式の説明動画

裁判所は,文書とは別に,操作を動画で説明する次の3系統を公開している。画面操作でつまずいたときは,該当する動画を見るのが早い。

(2) 各種書式のダウンロード

本文で触れた届出書・申請書・作成ツールは,いずれも上記参考資料ページからダウンロードできる。主なものは次のとおりである。

5 主要な数値のクイックリファレンス

mintsの実務では,桁数・人数・期間などの数値が随所に出てくる。混同しやすいものを一覧にしておく(詳細と根拠は各章を参照)。

項目数値・期間
補助者の登録上限(弁護士1人につき)5名
1人の職員が持てる補助者アカウント上限10個
当事者・代理人の合計人数の閾値10名以内=フォーム入力/10名超=CSV一括/200名超=当事者目録をPDFで添付
mintsのID14桁
招待キー・事件アクセスキー各12桁(半角英数字)
法人番号(国税庁)/会社法人等番号(登記簿)13桁/12桁(別体系。登記簿の12桁をそのまま入れるとエラー)
二要素認証の確認コードの有効期限発行後180秒
招待キーの有効期限招待メール記載=7日/書面記載=50日
手数料納付のリマインド期限の14日前・7日前・2日前・1日前・当日
一時保存データの保持最終保存から1か月
システム送達の効力(通知発出からの経過)1週間
郵便費用相当額(訴え提起・手数料に加算)インターネット申立て=1400円/書面申立て=2500円
被告が複数のときの加算(2人目以降1人につき)2000円
日本銀行納付を選べる手数料額100万円超
1回にアップロードできる容量最大200MB
「記録」にアップロードできるPDFの用紙サイズA4又はA3(両サイズの混在可)/「記録外」にアップロードするPDFは用紙サイズの制限なし

6 提出前チェックリスト

提出ボタンを押す前に,次の8点を上から順に確認する。

  • ① 新法適用事件か旧法適用事件か,現在mintsを利用できる手続か。
  • ② 提出先の裁判所,事件番号,新規申立てフォーム又は係属事件の記録一覧の別に誤りがないか。
  • ③ 当事者及び代理人の表示,住所,人数並びにCSV一括提出の要否に誤りがないか。
  • ④ 書面の種類と提出場所が合っているか,「記録」と「記録外」を取り違えていないか。
  • ⑤ ファイル形式,容量,ファイル名及びPDFの用紙サイズを確認し,提出するファイルを実際に開いたか。
  • ⑥ 申立手数料,郵便費用相当額及び納付方法を確認したか。
  • ⑦ 秘匿情報,閲覧制限,マスキング及び関連付けられた当事者の閲覧範囲を確認したか。
  • ⑧ システム送達の届出,提出期限,受付又はタイムスタンプ及び提出後のデータ保存方法を確認したか。

7 裁判所別の運用案内も確認する

mintsの制度及び基本操作は全国共通であるが,各裁判所又は専門部が,事件類型に応じた個別の運用案内を公表し,又は当事者に個別の指示をすることがある。申立て前には,裁判所ウェブサイトの共通資料だけでなく,提出先又は係属裁判所のウェブサイト及び事件係属部からの指示も確認する必要がある。

例えば,知的財産高等裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)の利用について」は,令和8年5月20日以前に申し立てられた事件と同月21日以降に申し立てられた事件の取扱い,受領書面の提出方法,マスキング文書及び閲覧制限対象ファイルの提出場所等を具体的に案内している。

裁判所別の案内又は事件係属部の指示が本記事の一般的な説明より具体的である場合は,最新の個別案内又は指示に従い,不明点は担当書記官に確認する必要がある。


第2 mintsの基本と適用範囲

1 mintsとは何か

mintsは「民事裁判書類電子提出システム」である。「ミンツ」と読む(Q&A15頁)。根拠は民訴法第132条の10である(操作マニュアル1頁)。

従来,書面の提出は持参・郵便・ファクシミリで行ってきた。mintsは,これをインターネットによるオンライン提出に切り替える基盤である。裁判所職員と当事者・代理人が,同一の電磁的訴訟記録を共有する(操作マニュアル1頁)。

もっとも,mintsは最初から義務的な制度として導入されたわけではない。令和4年改正の全面施行前,2022年後半以降のmintsは,当事者双方に訴訟代理人(弁護士等)が選任されており,かつ当事者双方がmintsの利用を希望する事件に限り,任意に利用できる制度であった。
この任意利用の段階を経て,令和8年5月21日から,訴訟代理人に電子申立てを義務付ける現在の制度に移行した(後記第4参照)。

したがって,「mintsは双方の同意がないと使えないシステムだ」という理解を持っている弁護士がいれば,令和8年5月21日以降はその理解が当てはまらなくなっている点に注意されたい。

2 全面デジタル化の時期

改正民訴法の全面施行に合わせて,手続が段階的にデジタル化される。全面施行日は令和8年5月21日である(令和4年改正民訴法附則第1条,同日を定める令和7年政令第414号)。時期は2段階に分かれる(準備の手引45頁)。

(1) 令和8年5月21日から始まる手続

令和8年5月21日から,次の手続が全面デジタル化される。
民事・行政訴訟事件(控訴・上告等を含む),督促事件,手形・小切手事件,少額訴訟事件,再審事件,人身保護事件である。
加えて民事雑事件(移送,除斥又は忌避,訴訟救助,閲覧等制限・秘匿,文書提出命令,証拠保全の各申立て等)も対象となる(準備の手引45頁)。
利用できる裁判所は,最高裁判所及び全ての高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所である。家庭裁判所では利用できない(Q&A14頁)。

(2) 令和10年6月までに対象となる予定の手続

令和10年6月までに,次の手続がオンライン申立て等の対象となる予定である。
人事訴訟手続,家事事件手続,民事保全事件,破産・再生・更生事件,不動産・債権・動産等の強制執行・担保権実行事件,非訟事件,調停事件,発信者情報開示命令事件,仲裁関係事件,労働審判事件,DV保護命令申立て事件等である(準備の手引45頁)。
これらの手続は,全面デジタル化の開始前にはmintsを利用することができず,従来どおり書面で申し立てる必要がある。開始前にmintsで提出しても適式な申立てとして扱われないおそれがあるため,「将来デジタル化される手続」と「現在mintsで提出できる手続」とを区別しなければならない。

3 旧法適用事件と新法適用事件の区別

(1) 区別の基準

新法適用事件か旧法適用事件かは,「訴えの提起・事件の開始の日」で区別する(準備の手引42頁)。
新法適用事件とは,施行日以後に提起された訴えに係る事件,又は施行日以後に開始される民事訴訟に関する事件である。
旧法適用事件とは,施行日前に提起された訴えに係る事件,又は施行日前に開始された民事訴訟に関する事件(訴えに係る事件を除く。)である。電子申立ての義務が課されるかどうかが変わるので,最初に区別を確認したい。

(2) みなし提起の注意点

注意したいのは,「みなし提起」の場合である。判定は,現実の訴え提起がいつかで行う。例を2つ挙げる(準備の手引42頁)。

ア 施行前に支払督促を申し立て,施行後に督促異議があった場合である。みなし提起の時点(督促申立て時)が施行前なので,旧法適用となる(民訴法第395条)。

イ 施行前に民事調停を申し立て,施行後に不成立となり,2週間以内に訴えを提起した場合である。現実の訴え提起が施行後なので,新法適用となる(民事調停法第19条)。

(3) 併合・反訴の扱い

施行前に提起された旧法事件と,施行後の新法事件を弁論併合すると,併合時から事件全体が旧法適用となる(準備の手引44頁)。

また,旧法適用事件への反訴・独立当事者参加は,要件を満たす限り,その提起時から旧法適用事件となる。この場合は書面による申立てが必要である。手数料は収入印紙で納付し,郵便費用を予納する(準備の手引44頁)。

4 申立て前の手続選択フロー

実務では,画面操作に入る前に,次の順序で提出方法を決めると誤りが少ない。

① 訴えの提起又は事件開始の日を確認し,新法適用事件か旧法適用事件かを判定する。控訴・抗告,反訴,独立当事者参加,支払督促からの移行又は調停不成立後の提訴では,基準となる時点に特則があるため,前記3を確認する。

② 当該手続が現時点で全面デジタル化の対象かを確認する。令和10年6月までに開始予定の手続は,開始前には原則としてmintsを利用せず,従来の書面手続による。

③ 提出者が電子申立て義務を負う者かを確認する。弁護士等の委任を受けた訴訟代理人は原則として電子申立て義務を負うが,法令上の例外事由があるときは書面提出の余地がある。

④ 新規事件の申立てか,立件後の事件への提出かを区別する。前者は新規申立てフォーム,後者は事件情報の記録一覧を用いる。

⑤ 期限の切迫,仮の救済,秘匿情報又はシステム障害の有無を確認する。緊急性がある場合は,mintsへの入力だけで完結すると考えず,担当裁判所に連絡して提出方法及び必要な補充措置を確認する。

⑥ 提出後に相手方から閲覧される範囲を確認し,秘匿事項届出書面,マスキング前の資料又は事件と無関係な資料が混入していないかを最終確認する。


第3 利用を始める前の準備

1 利用環境

mintsを安定して使うには,一定の環境が必要である。操作マニュアル2.3版が掲げるOSはWindows 10又はWindows 11である。ブラウザは同版上,Microsoft Edge 110又はGoogle Chrome 110である。Internet Explorerは対象外である。
通信はTLS1.2以上が必須である。電子証明書の取得は不要である(以上,操作マニュアル2頁)。本人確認は二要素認証で行う。
もっとも,mintsの動作対象であることと,OS提供元のセキュリティサポートが継続していることは別である。Windows 10の標準サポートは令和7年10月14日に終了しているため,原則としてWindows 11又は適切な延長セキュリティ更新の管理下にある端末を用いるのが安全である。

利用時間にも注意したい。原則は24時間365日である。
ただし,毎月最終土曜の午前2時から午前10時までは,定期メンテナンスで利用できない(mintsトップ画面,操作マニュアル5頁,Q&A15頁)。
また,mintsはシステムの仕様上,海外サーバからアクセスすることができない。海外出張・旅行中にシステム送達が予定される場合は,出国前に受訴裁判所へ相談し,別の送達受取人の届出又は出力書面による送達を申し出ることを検討する。補助者が閲覧又はダウンロードすると送達の効力が生じるため,補助者に対応を依頼する場合は,連絡・報告の手順と期限計算の担当者をあらかじめ定めておく必要がある。

2 アカウント登録と本人確認

(1) 識別符号と暗証符号

サインインにはアカウントが必要である。アカウントは,識別符号と暗証符号で構成される。識別符号はサインイン用のメールアドレスである。
暗証符号はサインイン用のパスワードである(識別符号規則第1条から第3条まで,改正民訴規則第52条の9第2項。準備の手引7頁)。

(2) 士業者の本人確認資料

ア 士業者のアカウント取得には,本人確認と士業者であることの証明が必要である(識別符号規則第1条第2項,第2条第1項)。

具体的には,アカウント設定画面からPDFで資料をアップロードする。資料は,所属する会(日弁連・単位会や日司連等)の身分証明書と,単位会発行の印鑑証明書であり,いずれも士業者登録番号が記載され,かつ有効期限内のもの(有効期限の定めのないものは発行日から6か月以内のもの)に限られる。審査が完了するとアカウントが付与される(以上,準備の手引8頁,裁判所「mintsアカウント登録ガイド~士業者編~」2頁)。登録の届出から実際に電子申立てができるようになるまでは,招待メールが送信されるまでに3開庁日程度,本人確認資料の審査が完了するまでに更に3開庁日程度がそれぞれ目安とされており,合計で1〜2週間程度を要することが多い(裁判所「mintsアカウント登録ガイド~士業者編~」2頁)。
なお,本人確認資料その他をアップロードする際に,マイナンバーカードをmintsにアップロードしてはならない(mintsトップ画面の注意書き)。

イ 施行前に取得したアカウントは,施行後もそのまま使える(準備の手引7頁)。

(3) 登録後に変更できない項目

登録した氏名・生年月日・住所は,登録後に自分で編集できない(操作マニュアル11頁,Q&A3頁)。

変更が必要なら,係属中の事件がある場合は当該事件の係属裁判所に問い合わせる。係属中の事件がない場合は,裁判所ウェブサイトの親ユーザ用又は補助者ユーザ用の変更登録申請フォームから届け出る。変更事項によっては,証明書類のアップロードが必要になる(裁判所「mintsについて」,「mintsアカウント登録ガイド~アカウント情報変更編~」1頁・2頁)。初期入力のミスに注意したい。

住所欄には,事務所の住所を入力する。末尾に「(送達場所)」と明記する。この情報は新規申立てフォームに自動反映される(操作マニュアル11頁,Q&A2頁,準備の手引12頁)。

(4) 懲戒処分を受けた場合の取扱い

弁護士等が懲戒処分を受けた場合,mintsアカウントの扱いにも影響が及ぶ。

除名処分,退会処分,破産手続開始決定又は請求による登録抹消を受けたときは,アカウントが削除される(再登録すれば,改めてアカウント付与の届出をすることができる)。
これに対し,業務停止処分を受けたときは,アカウントは削除されず利用停止にとどまる。
業務停止期間が経過すれば,裁判所所定の操作により再び利用できるようになる(以上,準備の手引7頁・8頁)。

3 二要素認証

サインインのたびに二要素認証を行う(Q&A3頁)。手順は2段階である。
まず登録メールアドレスに確認コードが届く。確認コードの有効期限は発行後180秒である(操作マニュアル10頁)。
次に電話認証を行う。SMSでのコード受信か,自動音声の電話着信かを選ぶ。国コードは「日本+81」のみで,海外からの受信拒否設定は解除しておく(操作マニュアル11頁・12頁)。固定電話も使える。
IP電話は,シャープボタンの押下が求められる関係で,機種によって認証できないことがある(以上,Q&A2頁・3頁)。

4 補助者の設定

事務所職員を「補助者」として設定できる。補助者アカウントは,識別符号規則に基づく通常のアカウントとは異なる特殊な位置付けのアカウントであり,本人確認資料の提出は不要である(準備の手引9頁,裁判所「mintsアカウント登録ガイド~士業者編~」4頁)。弁護士(親ユーザ)1人につき,最大5名まで登録できる(準備の手引9頁,Q&A13頁)。逆に,1人の事務所職員が複数の弁護士(親ユーザ)の補助者を兼ねることもできる。
この場合,職員は,弁護士ごとに別のメールアドレスで補助者アカウントを作成する必要があり,1人の職員が保有できる補助者アカウントの上限は10個である(Q&A13頁)。手順は次のとおりである。

まず職員自身がサインアップする。次に,自分のアカウント設定画面に表示される14桁のIDを弁護士に伝える(mintsのIDは14桁である。Q&A4頁)。弁護士が,アカウント設定画面の補助者ID欄にそのIDを入力する(準備の手引9頁)。

補助者の操作は,法的には親ユーザである弁護士が行ったものとみなされる(準備の手引9頁)。ここに注意点がある。補助者が書類を閲覧・ダウンロードした場合も,弁護士本人が閲覧・ダウンロードしたものとして扱われる(Q&A12頁)。後述するとおり,これは送達の効力発生に直結する。補助者の登録名は,氏「補助者●●××」,名「弁護士△△○○」と登録する(準備の手引9頁)。

第4 弁護士の電子申立て義務と例外

弁護士等の訴訟代理人には,電子申立ての義務がある(改正民訴法第132条の11第1項)。

もっとも,裁判所側のシステム障害その他の例外事由がある場合には,書面による申立てが認められることがある。

例外事由,代替端末,期限切迫時の提出,不変期間徒過後の追完及び時効の完成猶予については,mintsで電子申立てができない場合の対応―システム障害・期限切迫・代替提出を参照されたい。

第5 訴えの提起

1 新規申立てフォームの流れ

(1) 申立ての開始とフォームの基本構成

訴えの提起は,新規申立てフォームから行う(準備の手引3頁,操作マニュアル30頁)。「新規申立一覧」画面から「新規作成」を選ぶ。
フォームは,当事者・代理人情報,申立内容,添付書類,参考事項のタブで構成される。

(2) 申立ての趣旨・理由の入力とタブ文字混入への注意

「申立内容」タブでは,申立ての趣旨(上限400字)と理由(上限10000字)を直接入力できるほか,これらを記載したPDFを「添付書類」として提出することもできる。長文や体裁を整えたいものはPDFで出すのが確実である。
なお,趣旨・理由の欄にタブ文字が混入すると「使用できない文字が含まれています」とのエラーになるので,ワープロソフトから貼り付けるときは注意する。

(3) セッションタイムアウトへの対策と一時保存

入力中の放置はタイムアウトを招く。データが失われるので,こまめに「保存」を押す。
一時保存データは,最終保存から1か月間保持される(Q&A5頁)。

(4) 委任状や資格証明書等の添付書類の提出

「添付書類」タブには,委任状や資格証明書等のPDFファイルをアップロードする。訴額の算定が困難な事案では,訴額計算資料もここに添付できる。

(5) 不動産事件における登記事項証明書の特則

不動産に関する事件では,訴状に登記事項証明書を添付しなければならないのが原則である(改正民訴規則第55条第1項)が,申立ての趣旨及び理由を記載したPDFに不動産識別事項(不動産番号(半角),管轄登記所(例えば,「東京法務局品川出張所」等))をあわせて記載して提出すれば,登記事項証明書の添付を省略できる(令和8年5月21日以降)。
もっとも,訴訟準備のためにあらかじめ登記事項証明書を取得している場合は,従前どおり「添付書類」として提出することもできる。フェーズ3開始時点で添付を省略できるのは,不動産の登記事項証明書のみである点に注意したい(以上,準備の手引12頁)。

(6) 証拠提出の適切なタイミング

証拠は,この「添付書類」タブには添付しない。提出後に事件が立件され,原告訴訟代理人が事件情報に関連付けられた後,別途,記録一覧画面からアップロードする(準備の手引12頁)。
「提出」ボタンを押すと,訴えの提起が完了する。その後,裁判所が事件を立件し,事件情報に原告訴訟代理人を関連付ける。この関連付けの後に,記録一覧画面から証拠説明書,書証の画像情報及び電磁的記録の複製等をアップロードする。新規申立てフォームで入力し,又は添付書類として提出した申立ての趣旨及び理由のデータを,訴状として再度アップロードする手続ではない(準備の手引3頁・12頁)。

(7) 法人番号入力時のエラー回避

別の弁護士の報告でも,提出準備20分のうち約半分を法人番号の確認に費やしたとされている。原因は,法人番号(国税庁が指定する13桁の番号)と,登記簿に記載されている会社法人等番号(法務局が管理する12桁の番号)とを混同し,12桁の番号をそのまま入力してエラーになったことにあるという(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」)。
法人番号の確認方法は後記2(5)で改めて述べる。

(8) 当事者情報の事前準備とファイル名の制限

別の弁護士の同じ報告では,当事者情報は事前にエクセルで準備しておくとよいとされている(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」)。
入力の際は,氏名・住所等の英数字を全角で,郵便番号・電話番号・法人番号等を半角で入力するという表記ルールがある(Q&A1頁)ためで,当事者情報CSVファイルの作成ツール(後記3(2)参照)を使う場合も同様である。

加えて,令和8年5月21日付の個別の体験報告では,「申立ての趣旨及び理由」というファイル名で保存時にエラーとなり,「申立の趣旨理由」と短くすると保存できたとされている。操作マニュアル2.3版6頁によれば,アップロードするPDFのファイル名は拡張子を含めて100文字以内であり,全角・半角のいずれも1文字として数える。「申立ての趣旨及び理由」は100文字未満であるため,前記体験報告のエラー原因が文字数であったとは確認できない。ファイル名は証拠番号・書面名が分かる範囲で簡潔にし,エラーが出たときはファイルを1件ずつ追加して原因を切り分け,解消しなければチャットボット又は問合せ窓口に確認するのが安全である。

2 原告及びその代理人(提起側)の情報の入力

「当事者・代理人情報」タブには,被告だけでなく,原告本人及び原告訴訟代理人の情報も入力する。原告側は「提起側」として入力し,被告(相手側)と区別される。

被告は原告側がデータを入力すれば足りるのに対し,原告及びその代理人は,自らmintsアカウントを保有して電子申立てを行う主体である点で立場が異なる。

(1) 原告本人は「提起側」を選んで入力する

原告本人の情報も,被告と同じく「当事者・代理人情報」タブに1件ずつ入力する(操作マニュアル53頁)。まず「提起側・相手側の選択」で「提起側」を選ぶ。原告が提起側,被告が相手側である。

次に「属性」を選び,個人なら「本人(個人)」,法人なら「本人(法人)」を選ぶ。属性の選択肢は,「本人」「代理人」「サポータ」「送達受取人」の別と「個人」「法人」の別を組み合わせた8種類である。当事者本人は「本人(個人)」又は「本人(法人)」を選ぶ。
なお,「サポータ」とは,申立てをしようとする者からの依頼を受けてシステムへの入力を行う第三者をいう(改正民訴規則第52条の11第1項ただし書)。本人に代わって電子申立て等の画面操作をすることはできるが,訴訟行為をすることはできない(Q&A12頁)。

(2) 原告代理人は「入力者の情報呼出」で自動入力できる

入力者である訴訟代理人自身の情報は,「入力者の情報呼出」を使うとアカウント登録情報から自動入力される。
ただし,アカウントに自宅住所を登録していると,自宅住所が呼び出される。そこで,アカウント登録時に「住所」として事務所住所(末尾に「(送達場所)」を付す)を登録しておきたい(準備の手引12頁)。
氏名・生年月日・住所はアカウント登録後に編集できないので,登録の段階で確認しておく必要がある。

(3) 「システム送達を受ける旨の届出」はオンのままにする

弁護士には,システム送達を受ける旨の届出が義務付けられている(改正民訴法第132条の11第2項)。そのため,新規申立てフォームの「システム送達を受ける旨の届出」ボタンは,オンのままにしておく(準備の手引12頁)。これをオフにすると,後に改めて届出をしなければならない。
届出を欠くと,関連付けが解除されることがあるほか,書記官が閲覧・ダウンロードできる措置を講じた時から1週間でシステム送達の効力が生じてしまう(改正民訴法第109条の4)。

(4) 原告代理人が複数(共同受任)のとき

訴状に表示したい共同代理人の氏名は,入力者である代理人とあわせてフォームに入力する。委任状記載の全員を入力する必要はない。代理人を含む当事者の合計が10名を超えるときは,CSVファイルで一括提出する。
入力者以外の代理人は,関連付けの後,各自で速やかにシステム送達を受ける旨の届出を提出しなければならない。システム入力者が他人の届出トグルをオンにしても,その代理人が届出をしたことにはならない。入力の詳細は,後記5を参照されたい。

(5) 原告が法人又は国であるとき

原告が法人なら,属性を「本人(法人)」にし,法人番号(13桁)を入力する。

ここで注意したいのは,「法人番号」と「会社法人等番号」の違いである。法人番号は国税庁が指定する13桁の番号であるのに対し,登記簿に記載されている番号は法務局が管理する12桁の「会社法人等番号」であり,両者は別の番号体系である。
登記簿の12桁番号をそのまま入力するとエラーになるため,法人番号は国税庁法人番号公表サイトで,当該法人の名称から検索して確認するのが確実である(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」参照)。
法人番号が指定されていない法人は,「0000000000000」(ゼロ13桁)を入れる。原告が国であるときは,本人(法人)を選び,名称「国」,法人番号「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者「法務大臣」等を入力する。

なお,国・地方公共団体を当事者とする事件については,郵便番号・所在地・電話番号は当該団体のホームページ等で確認し,法人番号は同じく国税庁法人番号公表サイトで確認するよう,裁判所自身も注意を促している(最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」1頁)。
原告の氏名に使えない文字(外字)があるときは,正字に置き換える。置換が難しければ,カタカナで入力したうえで,手書きしたもののPDFを「添付書類」として提出する(以上,Q&A5頁,操作マニュアル6頁)。

(6) 弁護士法人・司法書士法人で受任した場合

弁護士法人や司法書士法人として受任する場合も,弁護士法人等自体がmintsのアカウントを持つのではなく,所属する各弁護士・各司法書士が個人としてアカウントを作成し,利用する。属性は「代理人(法人)」ではなく「代理人(個人)」を選ぶ。

訴状等において法人受任である旨を明記したいときは,肩書欄で「原告代理人」を選んだ上で,手入力で文言を追加し,「(法人受任)原告代理人」とする方法が考えられる(以上,Q&A4頁・14頁)。

3 被告(相手方)の情報の入力

(1) 被告を1件ずつ入力する手順

被告の情報は,この「当事者・代理人情報」タブに入力する。訴状本文を別に作るのではない。フォームの当事者入力欄で,1件ずつ次のとおり入力する(操作マニュアル53頁)。

ア 「提起側・相手側の選択」で「相手側」を選ぶ。原告が提起側,被告が相手側である。

イ 「属性」を選ぶ。個人なら「本人(個人)」,会社なら「本人(法人)」である。

ウ 「肩書」に「被告」と入力する。肩書は自由入力の欄である。

エ 被告の氏名・住所を入力する。

被告が複数いれば,同じ要領で2人目以降を追加する。なお,被告本人のmintsアカウントは不要である。原告側が被告の氏名・住所をデータとして入力すればよい。被告は送達を受け,代理人が就いた段階で,その代理人が招待キーで事件に関連付ける(準備の手引4頁・20頁)。

(2) 10名以内・10名超・200名超

当事者と代理人の合計が10名以内なら,フォームに直接入力する。10名を超えるなら,11名目以降をフォームに入力できないため,当事者情報CSVファイルで一括提出する。CSVの作成ツールが用意されている(以上,Q&A4頁,準備の手引12頁)。もっとも,当事者と代理人の合計が200名を超える場合は,CSVファイルによる一括提出でも足りない。この場合は,入力者である原告代理人(又は原告本人)1名の情報のみをフォームに入力し,その余の当事者を一覧にした当事者目録をPDF化して「添付書類」タブから提出する取扱いになる(準備の手引12頁)。大人数の共同訴訟・集団訴訟を担当する際は,10名・200名という2つの閾値を意識しておきたい。

(3) 法人又は国を被告とする場合

被告が法人なら,属性を「本人(法人)」にし,法人番号を入力する。法人番号の意味(会社法人等番号との違い)と確認方法(国税庁法人番号公表サイト)は,前記2(5)を参照されたい。法人番号が指定されていない法人は,「0000000000000」(ゼロ13桁)を入れる。
国を被告とする場合は,本人(法人)を選び,名称「国」,法人番号「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者「法務大臣」等を入力する(以上,Q&A5頁)。

(4) 行政訴訟の被告と処分行政庁の書き方

ア 抗告訴訟の被告適格と原則的なmints入力

取消訴訟などの抗告訴訟では,被告の書き方に注意が要る。被告となるのは,処分をした行政庁そのものではない。その行政庁が所属する国又は公共団体である(行政事件訴訟法第11条第1項)。

したがって,mintsの「当事者・代理人情報」タブで被告として入力するのも,国又は公共団体である。国が被告なら,前記(3)のとおり名称「国」・代表者「法務大臣」等を入力する。○○県が被告なら,属性を「本人(法人)」とし,名称「○○県」・代表者「○○県知事」と入力する。

処分をした行政庁(処分行政庁)は,訴状に記載しなければならない(行政事件訴訟法第11条第4項)。例えば,被告を「国」,代表者を「法務大臣」と記載した上で,法定記載事項として「処分行政庁 ○○国税局長」と記載する。処分行政庁そのものは当事者ではない。
そのため,当事者として別に入力するのではなく,国又は公共団体とは区別された訴状の法定記載事項として明確にする。mintsの「当事者・代理人情報」タブには国又は公共団体を入力し,処分・裁決行政庁は「申立ての理由」欄及び添付する申立ての趣旨・理由のPDFで明らかにする。

イ 例外的な当事者入力類型

もっとも,行政事件の被告類型は,国・地方公共団体(長が代表者)の2類型に尽きるものではない。裁判所が公表する留意事項では,次のような類型も挙げられている(最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」1頁・2頁)。

① 地方公共団体で長以外の者が代表者となる場合である。属性は「本人(法人)」とし,名称は地方公共団体名,法人番号は当該地方公共団体の法人番号を入力する(確認方法は前記2(5)参照)。代表者肩書は直接入力し(代表者が委員会等の組織であるときは,当該組織の代表者の肩書まで入力する),代表者氏名は申立て時点の代表者の氏名を入力する(代表者が組織であるときは,当該組織の代表者の氏名を入力する)。
例えば,被告が○○県で,代表者が○○県公安委員会(委員長△△△△)であるときは,代表者肩書欄に「○○県代表者○○県公安委員会代表者委員長」,代表者氏名欄に「△△△△」と入力する。

② 特許庁長官・海難審判所長等が当事者となる場合である。この類型は,当該行政庁の長自体を当事者として扱う特則によるものであり,属性は「本人(法人)」ではなく「本人(個人)」を選び,氏名又は名称欄に当事者名(例えば「特許庁長官」)を入力する。

③ 公正取引委員会など,合議制の行政庁が当事者となる場合である。属性は「本人(法人)」とし,氏名又は名称欄に当事者名を,法人番号欄に当該組織の法人番号を入力する。合議制の行政庁については法人番号が付与されていないこともあり,その場合は「0000000000000」と入力する。代表者肩書は直接入力し,代表者氏名には申立て時点の代表者の氏名を入力する。

④ 住民訴訟(地方自治法第242条の2第1項第1号・第3号・第4号)で執行機関又は職員が当事者となる場合である。属性は「本人(個人)」とし,氏名又は名称欄に当事者名を入力する。

ウ 例外類型における共通の確認事項

①から④までのいずれの類型でも,郵便番号・住所又は所在地・電話番号は,当事者又は当事者が所属する組織のホームページ等で確認する。法人番号がある類型(①・③)については,国税庁法人番号公表サイトで確認する(前記2(5)参照。法人番号が付与されていない場合もあるので留意する。)。

(5) 使えない文字(外字)があるとき

被告の氏名に,システムで使えない文字(外字)があることがある。使用できる文字はJIS X 0213が基本である(操作マニュアル6頁)。使えない文字は正字に置き換える。置換が難しければ,カタカナで入力したうえで,手書きしたもののPDFを「添付書類」として提出する(Q&A5頁)。

(6) 被告本人の情報と,相手方代理人となる見込みのある者の情報は別

混同しやすい点を整理する。被告本人の氏名・住所は,この「当事者・代理人情報」タブに入力する。これに対し,「参考事項」タブには,相手方代理人となる可能性がある者についての情報を入力する。
氏名に加え,事務所や電話番号など,裁判所が本人に連絡をする際に必要と思われる事項を記載する(改正民訴規則第55条の2。準備の手引3頁・12頁,東弁リブラ2026年3月号「いよいよ民事裁判が電子化―「mints」利用義務化を前に―」17頁)。

条文上,届出の対象として明記されているのは,被告から委任を受けて当該訴えに係る法律関係について弁護士法第3条第1項所定の法律事務を行っていた者を原告訴訟代理人が知っているときである。その者が被告の訴訟代理人にならないことが明らかな場合その他届け出ることに支障がある場合は,届け出る必要はない(同条ただし書)。

入力された情報をもとに裁判所が本人へ連絡し,相手方代理人になるかどうかを確認する。相手方代理人になるとの回答が得られれば,訴状等の送達はシステム送達の方法で実施されることが見込まれ,その場合は出力書面の提出も不要になる。相手方代理人になる場合には,速やかに委任状を準備しておきたい。この情報は相手方には開示されない。

4 手数料の自動計算と訴額の入力

被告の数と訴額を入力すると,手数料の概算が自動計算される。もっとも,この「申立内容」タブの「被告の数」は手数料計算のための数であって,前記3の「当事者・代理人情報」タブで被告を1件ずつ入力することとは別である。被告の数を入れただけでは被告は当事者として登録されないから,被告は必ず「当事者・代理人情報」タブで入力する。被告の数欄だけが埋まっていると,被告の入力漏れに気づかないまま提起してしまいやすい。

なお,行政事件では,被告が同じ国又は地方公共団体でありながら,請求によって代表者が異なる場合がある(例えば,同じ○○県を被告としつつ,一部の請求では知事,別の請求では公安委員会が代表者となる場合)。
この場合,前記3(4)のとおり「当事者・代理人情報」タブでは代表者ごとに分けて記載することになるが,「被告の数」欄は代表者の別で区別せず,被告(国・地方公共団体)そのものの数として数える(最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」3頁)。

訴額の入力には独自のルールがある。単位は「万円」である。1万円未満は切り上げる。例えば,43万2100円なら「44」と入力する。100万5000円なら「101」と入力する。正確な手数料額は,提出後に裁判所から通知される納付情報で確認する(以上,準備の手引12頁)。

5 共同受任の場合の留意点

共同受任の場合は,入力の留意点が3つある(準備の手引13頁・14頁)。

ア 訴状に表示したい共同代理人の氏名を,フォームに入力する。委任状記載の全員を入力する必要はない。10名を超えるときはCSVで提出する。

イ 訴状には記載するが関連付けを希望しない代理人がいる場合,又は代理人が10名を超える場合は,「電子情報処理組織の使用を担当する訴訟代理人の届出」を添付する(改正民訴規則第52条の13。準備の手引13頁)。

ウ 入力者以外の代理人は,関連付けの後,各自で速やかにシステム送達を受ける旨の届出を提出する。システム入力者が他人の届出トグルをオンにしても,その代理人が届出をしたことにはならない。届出を怠ると,関連付けが解除されることがある(以上,準備の手引13頁)。

エ 当事者情報CSVファイルを提出した入力者は,システム送達届出のトグルをオンにできない。ただし,「電子情報処理組織の使用を担当する訴訟代理人の届出」に自己の氏名及びmints IDを記載した場合は,同届出を入力者自身のシステム送達を受ける旨の届出と兼ねることができる(準備の手引13頁)。

6 提出後に誤り又は脱漏を発見した場合の訂正(訴状訂正)

前記1のとおり,「提出」ボタンを押すと訴えの提起が完了し,裁判所が事件を立件する。一度提出を確定すると,提出した内容を当事者の側で直接修正することはできない。立件後に,当事者の表示の脱漏や記載の誤りに気づいた場合は,次の方法で訂正する。

(1) 当事者は自分で削除・訂正できない

いったん提出したファイルは,当事者が自分で削除することができない。ファイルの種別を誤って選択した場合であっても,当事者の側では変更できない。いずれの場合も,当該事件を担当する裁判所書記官に連絡することとされている(Q&A9頁)。

(2) 訴状訂正申立書を「記録一覧」から提出する

訂正は,「訴状訂正申立書」と題する書面(PDF。用紙はA4又はA3)を作成し,当該事件の「記録一覧」のアップロード画面から提出して行う。すでに立件された事件への書面提出は,新規申立てフォームではなく,この「記録一覧」のアップロード画面から行うものとされている(準備の手引3頁)。

提出の際は,ファイルの種別を選択する。種別の選択肢は,「主張」「証拠」「証拠説明書」「関連事件の申立て」「その他」である。もっとも,準備の手引40頁・41頁の提出場所対応表には,「訴状訂正」の明示がない。訴えの変更の申立ては「主張」,更正決定の申立書は「その他」とされており,訂正の内容によって評価が分かれ得る。そのため,訴状訂正申立書を提出する前に,担当書記官へ提出場所及びファイル種別を確認するのが安全である(準備の手引40頁・41頁)。

(3) 行政訴訟における被告の表示の補正を例として

訴状訂正が必要になる典型例が,行政事件訴訟における被告の表示である。

ア 被告は処分行政庁ではなく国又は公共団体である。前記3(4)のとおり,取消訴訟等の被告は,処分をした行政庁そのものではなく,その行政庁が所属する国又は公共団体である(行政事件訴訟法第11条第1項)。
例えば,国の行政庁がした処分を争う訴訟の被告は,その行政庁ではなく「国」となる。当事者の表示にこの被告を記載していなかったときは,訴状訂正によって補う。

イ 本システムにおける「国」の入力方法は,前記3(3)のとおりである。国を当事者とするときは,属性を「本人(法人)」とし,名称を「国」,法人番号を「1000012030001」(法務省の法人番号),代表者を「法務大臣」と入力する(Q&A5頁)。
処分をした行政庁は当事者ではないため,当事者としては入力せず,訴状の被告の表示に「処分行政庁 ○○」と記載する(行政事件訴訟法第11条第4項)。

ウ 立件後の当事者の登録は裁判所書記官が行う。立件後に被告(国)を当事者として記録に登録する処理は,裁判所書記官が行う。
そのため,訴状訂正申立書の提出とあわせて,担当書記官に被告の当事者登録を依頼するのが確実である。

7 行政事件における「申立内容」タブ・「添付書類」タブの留意点

前記3(4)で述べた被告の表示・処分行政庁の記載のほか,行政事件では「申立内容」タブ・「添付書類」タブの入力にも,通常訴訟にはない留意点がある。以下は,最高裁判所事務総局行政局・民事局「国・地方公共団体等を当事者とする事件のmints入力時(新規申立て)の留意事項について」3頁による。

(1) 「事件種別」欄

「申立内容」タブの「事件種別」欄は,行政事件(国家賠償請求事件を併合提起するものを含む。)であれば「行政」を選ぶ。国家賠償請求事件のみを提起するときは「通常」を選ぶ。

(2) 「申立ての趣旨」欄・「申立ての理由」欄

既にされた処分・裁決の取消し等を求める行政訴訟の場合は,処分の通知書などを参考に,処分日,処分をした行政庁,処分を受けた者,処分の名称,処分を特定する番号等を「申立ての趣旨」欄に記載する。非申請型の義務付けの訴え,差止めの訴えの場合は,処分をする行政庁,処分を受けることになる者,処分の根拠規定,処分の内容等を同欄に記載する。
「申立ての理由」欄では,前記3(4)の処分・裁決行政庁(行政事件訴訟法第11条第4項)が明確になるように記載する。両欄を入力した後,処分通知書等の表示と照合し,処分日,処分名,処分番号,処分行政庁及び処分の名宛人に食い違いがないかを確認する。

(3) 仮の救済の申立て(執行停止など)を同時にする場合の添付書類

仮の救済の申立てを本案の訴えと同時にする場合,「添付書類」タブには,申立書・仮の救済申立て事件の委任状などだけでなく,疎明資料・疎明資料説明書もアップロードする(本案事件の証拠等は,事件との関連付け後に記録一覧画面からアップロードする。前記1参照)。
申立書のファイル名は,仮の救済申立てをしていることが明確に分かる名称(例えば「執行停止申立書」)にするよう注意したい。
1週間以内に申立てを認める決定がないと申立ての利益がなくなると考えられるなど,特に急ぐべき事情があるときは,mintsによる申立てに加えて,申立先の裁判所へ個別に連絡することも検討したい(申立書には,処分予定日など,急ぐべき事情の具体的な説明を記載する。)。
この点は,実際に執行停止事件をmintsで申し立てた弁護士の報告でも,通常訴訟とは異なり疎明資料を最初から提出する取扱いである旨が確認されている(note投稿者koichi_kodama氏「ネットで提訴してみた~mintsによる訴訟提起の体験メモ」)。

第6 提出できるファイルの形式

1 記録と記録外の二層構造

(1) 提出先によるファイル形式の区別

mintsのファイル形式は,提出先によって異なる。2つの層がある(Q&A7頁,準備の手引28頁)。

1つ目は「記録」である。これは主張・証拠・証拠説明書・関連事件の申立て・その他である。受け付ける形式は,PDF・MP3・MP4・JPEG・PNGである。

2つ目は「記録外」である。これは上記の形式に加えて,Word(docx),Excel(xlsx),PowerPoint(pptx)を受け付ける。記録外は,正式な訴訟記録には含まれない。和解条項のドラフト案など,共有が必要な情報をやり取りする場である。用済み後に廃棄されることが予定されている。

(2) 提出不可能な形式と参照権限の範囲

(1)で述べた形式以外のものは提出できない(Q&A7頁)。
アップロードした書面は,記録・記録外を問わず,当該事件に関連付けられた全ての当事者及び事件が係属する部の職員(裁判官を含む。)が参照可能である。
特定の相手方当事者のみ,又は裁判所限りを宛先とする書面をアップロードすることはできない(Q&A8頁)。

(3) 一括アップロードの容量制限

一度にアップロードできる容量は最大200MBである。これを超えるときは,複数回に分けてアップロードする(Q&A9頁)。

2 エクセルファイルは提出できるか

(1) エクセルファイルの受付区分

エクセルファイルは「記録外」でしか受け付けられない。「記録」には提出できない(Q&A7頁)。つまりエクセルは,訴訟記録になる形では出せない。

(2) 訴え提起段階における制限と実務上の対応

訴え提起の段階では,記録外の置き場すら存在しない。記録外タブは,立件と関連付けの後に現れる事件情報画面の機能だからである(準備の手引3頁・12頁,Q&A6頁)。したがって,申立ての段階でのエクセル提出はできない。実務では,提出書類を全てPDF化する。計算書や損害額一覧表をエクセルで作っても,提出時はPDFに変換する。

(3) PDF変換時における用紙サイズの区別

「記録」にアップロードできるPDFの用紙サイズはA4又はA3に限られる(Q&A7頁,操作マニュアル2.3版66頁)。両サイズが混在するPDFもアップロードできる。これに対し,「記録外」にアップロードするPDFには,用紙サイズの制限がない。

「記録」にアップロードする場合,mintsは用紙サイズをページ単位で判定するため,見た目はA4でも,実体がレターサイズ(215.9×279.4mm)であるなど,A4・A3以外のサイズだと受け付けられないことがある。

A4(210×297mm)又はA3(297×420mm)であることを,ページごとに実測して確認するのが確実である。

(4) 用紙の向きに関する取扱い

ここで問題になるのは用紙の「サイズ」であって「向き」ではない。縦向き・横向きのいずれでもアップロードできる(向きについては後記第11の3を参照)。

3 訴え提起の段階で証拠説明書は提出するか

これも誤解されやすい点である。証拠説明書は,提出する。ただし提出のしかたに注意がある。

証拠説明書は,新規申立てフォームに添付するのではない(Q&A6頁)。フォームで訴えを提起した後,裁判所が立件し,原告代理人を関連付ける。その後,記録一覧画面へPDFでアップロードする(準備の手引3頁・12頁)。証拠も同じ流れである。「証拠説明書を出さない」のではない。

「申立てフォームには付けず,立件の直後に記録一覧へ出す」というだけである。証拠説明書は「記録」に属するので,形式はPDFである(準備の手引28頁)。

証拠及び証拠説明書は,新規申立てフォームに添付するのではなく,訴え提起後に裁判所が事件を立件し,原告代理人を関連付けた後,記録一覧から提出する。

証拠を書証として提出するか,電磁的記録として提出するか,証拠説明書の標目欄をどのように記載するか,原本をどのように取り扱うかについては,mints後の証拠説明書を参照されたい。

第7 手数料の電子納付

1 ペイジーによる納付

(1) 申立手数料と郵便費用の一本化及びその額

申立手数料は,郵便費用と一本化された(改正費用法第8条第1項,改正費用規則第4条の2。準備の手引15頁)。郵便費用相当額として手数料に加算される額は,訴えの提起の場合,書面による申立てのときは2500円,インターネットによる申立てのときは1400円である。
インターネットによる場合の方が低額とされているのは,一般に,インターネットにより訴えの提起等をする場合には,書面による場合よりも必要となる郵便費用が低廉なものとなることが想定されるためである。

(2) ペイジー(Pay-easy)による納付手続の流れ

納付はペイジー(Pay-easy)による現金納付である。流れは次のとおりである(準備の手引16頁,操作マニュアル56頁・57頁)。
まずフォームで概算を把握する。次に裁判所が納付情報を登録し,通知メールが届く。「手数料納付情報一覧」で収納機関番号・納付番号・確認番号を確認する。これをATM又はインターネットバンキングに入力して納付する。「納付日」が反映されれば完了である。なお,郵便費用を別に納める必要はない(準備の手引16頁,Q&A6頁)。

(3) キャッシュレス決済導入の見送りと高額手数料の特例

納付方法としてペイジーのほかにクレジットカード・電子マネー・コンビニ決済等のキャッシュレス決済を導入すべきとの意見もあったが,消費者保護のための仕組みの構築,複数の納付方法を導入する場合のシステム構築費用や運営費用の増大といった課題が指摘され,これらの導入は将来の課題とされている。
もっとも,手数料の額が100万円を超える場合は,ペイジーのほか,日本銀行への納付(日銀納付)によることもできる。

(4) 手数料額早見表と訴額に応じた取扱い

訴額から手数料額の見当をつけたいときは,手数料額早見表が参考になる。例えば,訴額100万円の訴えを提起する場合,書面による申立てなら12,500円であるのに対し,電子申立てなら11,400円である。被告が複数のときは,2人目以降1人につき2,000円が加算される。もっとも,訴額が1億円を超える高額な訴えは早見表の対象外であり,各裁判所の窓口に個別に照会する必要がある。

2 収入印紙は使えるか

収入印紙では納付できない。例外事由に当たらないのに収入印紙を提出しても,手数料の納付とは認められない(準備の手引15頁,Q&A7頁)。
例外は,書面で申立てができる場合で,やむを得ない事由があるときである。この場合に限り,訴状等に収入印紙を貼って納める(改正費用法第8条第1項ただし書。準備の手引15頁)。

3 納付期限のリマインド

mintsには,納付期限のリマインド機能がある。リマインドメールは,期限の14日前・7日前・2日前・1日前・当日の計5回,自動送信される。ホーム画面の「重要なお知らせ」にも表示される。
期限を過ぎると,その納付情報に基づく納付はできなくなる(以上,操作マニュアル57頁)。


第8 証拠提出と証拠説明書

証拠提出に関する実務は,mints後の証拠説明書にまとめている。

同記事は,書証と電磁的記録の証拠調べとの区別,電子証拠説明書,標目欄,直送,証拠原本及び提出前の判断手順を扱う。

第9 システム送達・応訴・電子判決書

mintsのシステム送達と期限管理―応訴・通知メール・電子判決書・控訴期間は,送達の効力発生時期,被告代理人の応訴,mintsから届く通知メール,電子判決書及び控訴期間の管理を扱う。

第10 電子化された債務名義・強制執行・当事者間秘匿

電子化された債務名義と強制執行―事件特定情報・執行文・自動車登録・特許権等登録は,記録事項証明,登記申請,事件特定情報,執行文付与,自動車登録及び特許権等登録を扱う。

mintsにおける当事者間秘匿―秘匿事項届出書面・誤提出・PDFのマスキングは,当事者間秘匿の申立て,秘匿事項届出書面,誤提出時の消去及びPDFのマスキングを扱う。

第11 システム障害とウェブ尋問

mintsで電子申立てができない場合の対応―システム障害・期限切迫・代替提出は,電子申立て義務の例外,システム障害,期限切迫時の代替提出及び期間徒過への対応を扱う。

民事訴訟におけるウェブ尋問―実施要件・所在場所・証拠提示・宣誓は,ウェブ尋問の実施要件,証人の所在場所,書証等の提示及び宣誓を扱う。

第12 まとめ

本記事は,mintsを利用する前に確認すべき共通事項と,個別論点の記事を選ぶための入口である。

実際の操作では公式の最新版マニュアルと裁判所の個別案内を確認し,法的効果や期限に関わる場面では,該当する分割記事及び一次資料まで確認されたい。

出典