日弁連関係

(AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補及び松田純一候補の政策と,日弁連の2025年度会務執行方針との徹底比較

本ブログ記事は専らAIで作成したものです。
◯2026年の日弁連会長選挙については以下の三つの記事を作成しています。
① (AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補(東弁39期)と松田純一候補(東弁45期)の徹底比較
② (AI作成)2026年の日弁連会長選挙の選挙公報の徹底比較(39期東弁の矢吹公敏候補 対 45期東弁の松田純一候補)
③ (AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補及び松田純一候補の政策と,日弁連の2025年度会務執行方針との徹底比較

目次

第1 はじめに
1 本記事の目的と視座
(1) 日弁連会長選挙の重要性
(2) 比較対象とする3つの文書

2 全体像の概観
(1) 2025年度会務執行方針の基調
(2) 矢吹公敏候補の政策の基調
(3) 松田純一候補の政策の基調

第2 根本哲学と会員への向き合い方
1 「社会正義」対「会員の幸福」対「現場の危機感」
(1) 現執行部の「公共性」と「経済的リアリズム」の併存
(2) 矢吹候補の「弁護士になってよかった」という実利重視
(3) 松田候補の「地域の声」と「生活防衛」

2 スローガンから読み解くメッセージ
(1) 矢吹候補の「47000人のために」
(2) 松田候補の「弁護士と司法の未来を創る」

第3 経済基盤の強化と業務支援策
1 法テラス・報酬問題へのアプローチ
(1) 現執行部の「協議・適正化」路線
(2) 矢吹候補の「予算拡大」と「申請簡素化」
(3) 松田候補の「国費化要求」と「具体的数値目標」

2 弁護士費用保険(LAC)と新規分野
(1) LACに対する不満の汲み上げ
(2) 中小企業支援と国際業務

3 社会保障と福祉厚生
(1) 矢吹候補の「弁護士国保全国化」構想
(2) 松田候補の「若手チャレンジ基金」拡充への注力

第4 組織改革と地方・地域司法
1 中央と地方の関係性
(1) 現執行部の「資産形成支援」という実利
(2) 矢吹候補の「統治構造改革」と「総次長室改革」
(3) 松田候補の「インフラ防衛」と「新ゼロ・ワン問題」

2 司法過疎対策と裁判所支部
(1) 人的配置の最適化
(2) 裁判官常駐化への要求

第5 法曹養成制度と司法改革の行方
1 現行制度への評価とスタンス
(1) 現執行部の「回復基調」という現状肯定
(2) 矢吹候補の「制度リセット」と「再議論」
(3) 松田候補の「予備校化懸念」と「多様性確保」

2 谷間世代問題等の未解決課題
(1) 不公平感の解消という視点
(2) 財政支援と給費制の理念

第6 デジタル化・AIへの対応
1 推進か警戒か
(1) 現執行部の「業務拡大」と「コスト削減」志向に加えられた「思考」の重視
(2) 矢吹候補の「収益化」と「ガイドライン」の両輪
(3) 松田候補の「ユーザー視点での選別」と「習熟」

2 刑事手続のIT化
(1) 弁護権の拡充と効率化の狭間
(2) オンライン接見の実現

第7 人権擁護活動と社会課題
1 重点課題への取り組み
(1) 矢吹候補の「独立人権委員会」と「死刑廃止プロセス」
(2) 松田候補の「犯罪被害者庁」と「DEIの深化」

2 政治との距離感と立法活動
(1) 立法提言の実現力
(2) 行政連携の強化

第8 総括と結論
1 3つの路線の比較総括
(1) 「着実な実利と防衛」の現執行部
(2) 「実利・構造改革」の矢吹候補
(3) 「現場・危機突破」の松田候補

2 実現へのハードルと政治力

3 会員が選択すべき未来の姿


第1 はじめに

1 本記事の目的と視座

(1) 日弁連会長選挙の重要性

来る2026年度の日弁連会長選挙は,法曹界にとって極めて重要な分岐点となります。長引く法曹養成制度の迷走,デジタル化の急速な波,そして弁護士の経済的基盤の揺らぎなど,我々を取り巻く環境は激変しています。この状況下で,次のリーダーを誰にするかは,単なる人事の問題ではなく,今後数年間の日弁連の「在り方」そのものを決定づける選択となります。

(2) 比較対象とする3つの文書

本記事では,日弁連の政策に精通した実務家の視点から,以下の3つの文書を徹底的に比較分析します。

ア 現執行部の「2025年度会務執行方針」(以下「現行方針」といいます。)

イ 矢吹公敏候補の選挙公報及び政策資料(以下「矢吹公約」といいます。)

ウ 松田純一候補の選挙公報及び政策資料(以下「松田公約」といいます。)

これらを並列させることで,現状の延長線上に未来を描くのか,それとも構造的な変革を求めるのか,あるいは現場の危機感に基づき闘う姿勢を強めるのか,それぞれの立ち位置を浮き彫りにします。

2 全体像の概観

(1) 2025年度会務執行方針の基調

現行方針は,いわば「王道」の文書です。「市民の人権」「立憲主義」「平和」を最上位概念に据え,日弁連が社会的な責務を果たすことを主眼としています。

もっとも,会員への支援がおろそかにされているわけではありません。
今の物価高や業務量の増大が会員に「大きな経済的負担」を強いている現状を直視し,報酬適正化を「急務」と断言するなど,現状に対する強い危機感が随所に滲んでいます。

解決策の提示スタイルとしては,全体としては既存の路線を安定的に継続・発展させようとする,手堅く官僚的かつ優等生的なトーンに見えます。
しかし,その行間には「法律援助事業の国費・公費化」を既に決議していることや,「女性の収入が男性の約3分の2である」という不都合な真実を直視する記述が含まれており,さらには報酬適正化を「急務」と断じ、業務妨害には「到底許すことはできません」と憤るなど、見かけの穏当さとは裏腹に,実は極めて熱量の高い闘争心とドラスティックな方針転換を内包した文書であることは見逃せません。

(2) 矢吹公敏候補の政策の基調

矢吹公約は,「47000人のために」というスローガンに象徴されるように,明確に「会員ファースト」を打ち出しています。
「弁護士になってよかった」と思える職業環境を取り戻すことを主目的に掲げ,そのために組織構造や経済的待遇を抜本的に変えようとする「構造改革派」の色彩が濃厚です。

(3) 松田純一候補の政策の基調

松田公約は,「地域の声に寄り添い」とし,地方や現場の弁護士が抱える「食えない」「忙しい」「制度に振り回されている」という悲鳴に近い声を代弁しています。
国や裁判所主導の改革に対する警戒感が強く,会員の生活を守るために闘う「現場防衛派」あるいは「労働組合的」な熱量を帯びています。

第2 根本哲学と会員への向き合い方

1 「社会正義」対「会員の幸福」対「現場の危機感」

(1) 現執行部の「公共性」と「経済的リアリズム」の併存

現行方針において,日弁連の存在意義は「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」に置かれています。一見すると理念先行に見えますが,その実,会員の経済的基盤に対する危機感は極めて具体的です。
現行方針は,「現行の制度は民事法律扶助制度の担い手となる弁護士に大きな経済的負担を強いており」,報酬の適正化は「急務」であると断言しています。
これは単なる「公共性の維持」という文脈を超え,担い手の生存戦略としての側面を色濃く反映しています。

特筆すべきは,ジェンダー平等の文脈において,「女性の収入・所得の平均値は男性の約3分の2という状況」という衝撃的な数値をあえて明記し,この「収入・所得の格差解消」を不可欠な取組と位置づけている点です。
抽象的な「平等」の理念にとどまらず,具体的な「経済格差」を直視し,その是正を会務の重要課題に据えている点は,現執行部が持つ高度なリアリズムを示しており,この点は正当に評価されるべきでしょう。

(2) 矢吹候補の「弁護士になってよかった」という実利重視

矢吹公約の最大の特徴は,「弁護士になってよかった」という感情的な充足感と,それを支える経済的な豊かさを真正面から肯定している点です。

ア ギルドとしての性質の回帰

矢吹候補は,日弁連が人権団体であると同時に,会員の権益を守る職能団体(ギルド)であることを隠しません。
47,000人の会員全員が共通して持てるものは「人権」という抽象的な理念よりも,「弁護士としての誇りと安心できる生活」であると喝破しており,これは経済的な閉塞感を感じている層への強烈なメッセージとなっています。

イ 所得向上の目的化

従来の執行部方針では「業務基盤の強化」といった表現でオブラートに包まれていた「金銭的な問題」について,矢吹候補は「会員の所得を向上させる」と直球の表現を用いています。
これを政策の柱の一つに据えたことは,日弁連の政策史において画期的な転換点と言えるでしょう。

(3) 松田候補の「地域の声」と「生活防衛」

松田候補の視点は,東京の会議室ではなく,地方の裁判所支部や中小規模の事務所に置かれています。

ア 現場からのボトムアップ

松田公約では,「地域」「現場」「足で稼いだ声」が強調されます。現行方針が上からの「あるべき論」であるのに対し,松田候補は下からの「悲痛な叫び」を政策の原動力としています。

イ 生活防衛としての経済基盤

松田候補も経済基盤の確立を訴えますが,矢吹候補の「所得向上」がポジティブな成長戦略のニュアンスを持つのに対し,松田候補のそれは「このままでは地域司法が崩壊する」「弁護士が生活できなくなる」という危機感に基づいた「経済的基盤の確立」や「生活防衛」に近いトーンを持っています。

2 スローガンから読み解くメッセージ

(1) 矢吹候補の「47000人のために」

この数字は,日弁連会員の総数を指します。特定のリベラル派や活動家層だけでなく,企業内弁護士,ビジネスロイヤー,若手,地方会員など,あらゆる属性の会員を包摂し,そのすべてに利益を還元するという「全会員への利益供与」を約束するものです。

(2) 松田候補の「弁護士と司法の未来を創る」

「未来チャート」という言葉を使い,閉塞感のある現状を打破し,夢を描ける将来像を提示しようとしています。しかし,その根底にあるのは,現状のままでは未来がないという強い危機意識です。「地域の声に寄り添い」という枕詞が示す通り,中央のエリートではなく,草の根の会員と共に歩む姿勢を鮮明にしています。

第3 経済基盤の強化と業務支援策

1 法テラス・報酬問題へのアプローチ

(1) 現執行部の「協議・適正化」路線

現行方針における法テラス報酬への言及は,現状の報酬水準が会員に過度な負担を強いており,「担い手確保に困難を来している」との切実な現状認識を示し,報酬の適正化は「急務」であると明記しています。
特筆すべきは,現行方針において既に「法律援助事業を国費・公費化する」ことが明確に決議済みであると明記されている点です。これは単なる努力目標ではなく,総会決議を経た組織としての確定事項です。

また,障がい者支援についても「国費・公費化の実現に向けた取組も推進」すると明記されており,現執行部においても「国費化」は既に規定路線として動き出している事実は正しく評価されるべきでしょう。
現行方針は,報酬適正化について「本制度が持続可能な制度となるよう、報酬を適正化することは急務です」と明記しており,その認識は切迫しています。
その実現手段として「協議」という言葉が散見されますが,これは主に「法テラス手続のデジタル化」の文脈で用いられているものです。
報酬問題や公費化については,既に総会決議を経た事項として,実現可能性を見据えた上での戦略的かつ粘り強い交渉を前提としていると見るべきでしょう。
目標は高く掲げつつも,手法としては着実な改善を目指す姿勢です。

(2) 矢吹候補の「予算拡大」と「申請簡素化」

矢吹候補は,より具体的かつ攻撃的です。

ア 数値への言及

「裁判所歳出予算は国家予算の0.3%内外」という具体的な数字を挙げ,このパイ自体を拡大する必要性を説いています。既存の予算内での配分変更ではなく,法務省予算そのものの規模拡大を政治的に要求する姿勢です。

イ 実務的負担の軽減

「申請手続の簡素化」を明記している点は,現場の実務家にとって非常に重要です。報酬が低いだけでなく,書類作成の手間が膨大であるという現場の「不採算感」を正確に把握しています。

(3) 松田候補の「国費化要求」と「具体的数値目標」

松田候補のアプローチは,さらに現場の痛みに即しています。

ア 最低ラインの提示

特筆すべきは,「離婚事件の代理援助着手金が20万円(税別)を下回らないものとすべく」という,極めて具体的な金額目標を掲げている点です。抽象的な「適正化」ではなく,具体的な金額をコミットメントとして提示することは,会員に対する強い約束となります。

イ 公費化の徹底

現行方針でも「国費・公費化」は掲げられていますが,松田候補はその範囲と要求の強度が異なります。犯罪被害者支援だけでなく,子ども,高齢者,障がい者,外国人等の援助についても「国費・公費化」を徹底して求めていくと明記しており,現執行部が「協議」のテーブルで目指すものを,松田候補は「要求」として突きつける姿勢において,弁護士のボランティア精神(プロボノ)に依存する構造からの脱却をより鮮明にしています。

2 弁護士費用保険(LAC)と新規分野

(1) LACに対する不満の汲み上げ

ア 矢吹候補の視点

矢吹候補は,LACについて「労力に見合わない案件がある」「保険会社の応対が良くない」という,会員間でのリアルな不満を率直に指摘しています。その上で,これらを解決して利用を推進すると述べており,単なる制度礼賛ではなく,ユーザー(弁護士)視点での制度改善(UI/UXの改善)を志向しています。

イ 現行方針との対比

現行方針が「制度の周知・広報」にに加え,「適正な報酬の確保」といった制度運営の安定に重きを置くのに対し,矢吹候補は「使い勝手の悪さ」という実務上の根本原因にメスを入れようとしています。

(2) 中小企業支援と国際業務

松田候補は,中小企業支援を「日本の屋台骨を支える」ものとして重視し,ひまわりほっとダイヤル等の普及を掲げます。また,矢吹候補は国際カルテル事件等の経験を踏まえ,ビジネスロー分野における会員の職域拡大,特にAIなどの先端分野で「稼げる」体制作りを意識しています。

3 社会保障と福祉厚生

(1) 矢吹候補の「弁護士国保全国化」構想

これは矢吹公約における最大の目玉政策の一つであり,他の候補者や現行方針には見られない独自性があります。

ア 地域間格差の是正

現在,弁護士国民健康保険は東京,千葉,神奈川,埼玉の会員のみが恩恵を受けています。これを全国化し,地方会員も加入できるようにするという提案は,地方会員にとって直接的な経済的メリット(保険料の低減や給付の充実)をもたらす最強の「実利」政策です。

イ 実現へのハードルと本気度

制度設計の難易度は高いものの,これを公約の筆頭近くに掲げること自体が,矢吹候補の「会員の生活を守る」という決意の表れと言えます。

(2) 松田候補の「若手チャレンジ基金」拡充への注力

現行方針においても「若手チャレンジ基金など日弁連が用意している様々な若手支援策についても、これまで以上に充実させ」ると明記されていますが,松田候補は,これをさらに推し進め,若手や谷間世代への支援として,基金の充実を掲げます。
これはセーフティネットとしての機能を重視するものであり,経済的弱者への配慮が行き届いています。

第4 組織改革と地方・地域司法

1 中央と地方の関係性

(1) 現執行部の「資産形成支援」という実利

現行方針における地方対策は,「支援」という言葉の響き以上に踏み込んだ内容となっています。
小規模会と大規模会の会費負担格差の是正に加え,「弁護士会館の購入・維持管理費用等」を補助対象に加える規則改正を行ったことは特筆に値します。
これは従来の運営費補助の枠を超え,地方会にとっての資産形成(BS)に直結する「巨大な実利」の供与です。
これを単なるパターナリズム(温情主義)と捉えるのは早計であり,地方会の存続基盤そのものを財政面から支えようとする,極めて実務的かつ強力な経済支援策と言えます。

(2) 矢吹候補の「統治構造改革」と「総次長室改革」

矢吹候補は,この構造自体を変革しようとしています。

ア 権限の地方分散

「52単位会のすべてを回り,会員から意見を聞く」というドブ板的な行動に加え,「総次長室の改革(地方からの採用拡充)」を掲げています。これは,日弁連の意思決定の中枢に地方の論理を組み込もうとする試みであり,中央集権的な体質の打破を意図しています。

イ 会費の平準化

各単位会の会費負担のバラつきを是正し,全国一律の負担を目指す提案は,会費が高い小規模会の会員にとって切実な願いに応えるものです。

(3) 松田候補の「インフラ防衛」と「新ゼロ・ワン問題」

松田候補にとって,地方は「改革の対象」ではなく「守るべき故郷」です。

ア 新ゼロ・ワン問題への危機感

かつての司法過疎(弁護士がいない)ではなく,新規登録者が来ないという「新ゼロ・ワン問題」に対し,強い危機感を表明しています。

イ 司法インフラの維持

裁判所の支部から裁判官がいなくなる,合議体が組めないといった事態に対し,これを「司法インフラの崩壊」と捉え,国に対して強く是正を求める姿勢です。

もっとも、現行方針においても、家事事件の増加に対し「人的・物的基盤が十分ではありません」と危機感を示し、体制強化を求めていく姿勢は示されています。
松田候補は、この認識をさらに一歩進め、現場の「崩壊」という強い言葉で危機感を増幅させ、闘う姿勢を鮮明にしている点に特徴があります。

2 司法過疎対策と裁判所支部

(1) 人的配置の最適化

矢吹候補は,会員が全国的に適正に再配置される仕組み作りを提唱しています。これは市場原理任せではなく,日弁連が積極的に介入して会員の偏在を是正しようとする強いリーダーシップを感じさせます。

(2) 裁判官常駐化への要求

松田候補は,裁判所支部機能の強化を強く訴えます。デジタル化で裁判所に行かなくて済むようになることよりも,地域に司法の拠点(裁判官)が存在し続けることの重要性を説いています。

第5 法曹養成制度と司法改革の行方

1 現行制度への評価とスタンス

(1) 現執行部の「回復基調」という現状肯定

現行方針では,法科大学院制度改革(3+2や在学中受験)により,志願者数が回復傾向にあるとポジティブに評価しています。
基本的には現行制度の枠組みを維持し,その中で広報や魅力発信を強化するという「微修正」路線です。

(2) 矢吹候補の「制度リセット」と「再議論」

矢吹候補は,この点において最もラディカルです。

ア 2001年改革の総括

「2001年の司法改革審議会意見書をもとにした法曹養成制度は岐路にある」と明言し,現状の制度が限界に達しているとの認識を示しています。

イ 司法改革審議会の再立ち上げ

「司法改革審議会を再度立ち上げて……大きな議論を開始する」という提案は,法科大学院制度や予備試験の在り方を含め,制度を一度「更地」にして設計し直すことも辞さないという覚悟を示しています。これは,現行制度のパッチワーク的な修正に疲弊した会員や法曹志望者にとって,大きな希望となる可能性があります。

(3) 松田候補の「予備校化懸念」と「多様性確保」

松田候補は,現行の「在学中受験」等の改革がもたらす副作用に敏感です。

ア 教育の形骸化への懸念

法科大学院の学修が司法試験科目偏重となり,本来の理念であるプロセス教育が損なわれていること,また社会人経験者が法曹になりにくくなっている現状に対し,強い懸念を表明しています。

イ 多様性の喪失

法曹の多様性が失われることは,市民社会の多様なニーズに応えられなくなることを意味するため,多様なバックグラウンドを持つ人材が参入できる制度への回帰を志向しています。

2 谷間世代問題等の未解決課題

(1) 不公平感の解消という視点

矢吹候補は,給費制廃止期間に修習を行った「谷間世代」の問題を,単なる経済支援の問題ではなく,「会員間の不公平感」の問題として捉えています。
組織の一体性を保つために,この「棘」を抜く必要があるという認識です。

(2) 財政支援と給費制の理念

現行方針においても,実は「国から交付金を得て基金を作り支援金を支給する制度」の検討が明記されており,給付型支援に向けた具体的な一歩が踏み出されています。
松田候補はこれに加え,若手チャレンジ基金等を通じた支援を継続しつつ,より強力に政府による財政的支援の途を模索するとしています。
両候補とも,この問題を「終わったこと」にはせず,継続課題として取り組む姿勢を見せています。

第6 デジタル化・AIへの対応

1 推進か警戒か

(1) 現執行部の「業務拡大」と「コスト削減」志向に加えられた「思考」の重視

現行方針は,デジタル化への「習熟」を促すだけでなく,これを好機と捉える姿勢を明確にしています。
もっとも、単なる効率化一辺倒ではありません。方針の冒頭において「弁護士がAI技術を利活用したとしても……弁護士も思考することを止めてはいけない」と警鐘を鳴らしており、AI時代における弁護士の職能的価値(人間の役割)を死守する姿勢も示しています。
その上で、「法律事務の効率化や業務拡大に資する情報を会員に広く発信」すると宣言しており,デジタル化を「業務拡大(=収益増)」につなげる意図は明白です。

また,「生成AIの利活用等に関する弁護士向けガイドラインの作成も検討」していることが明記されており,体制整備においても先手を打っています。

さらには,デジタル化による事務効率化が進む中で、あくまで「市民の裁判を受ける権利の保障」の観点から「高額な提訴手数料は……見直されるべき」と,国に対してコスト(印紙代等)の減額を要求している点も見逃せません。
単なるシステムへの追随ではなく,権利保障の実質化と会員や市民の経済的メリットを両立させようとするしたたかさを備えています。

(2) 矢吹候補の「収益化」への特化

矢吹候補は,AIやITを単なる事務効率化にとどまらず,「収益向上のツール」として積極的に活用する姿勢を明確に打ち出しています。

ア 収益増への意識的な取組

「収益性の高い案件も増加している」との認識の下,AI等の先端技術を活用して「収益を増やす意識的な取組」が必要であると提言しており,現行方針にある「業務拡大」の側面をより先鋭化させ,攻めの姿勢を鮮明にしています。

イ ガイドラインの活用と実践

前述の通りガイドラインの策定自体は現執行部も検討していますが,矢吹候補はそれを前提として「安全に会員に提供」し,具体的な収益化につなげる実践フェーズへの移行を強調している点に独自性があります。

ウ 民事裁判IT化へのサポート

2026年の完全義務化に向け,会内サポート体制の構築を約束しており,IT弱者となる会員を出さないための実務的な配慮がなされています。

(3) 松田候補の「ユーザー視点での選別」と「習熟」

松田候補のスタンスは,単なる「抵抗」ではなく,利便性と権利保障の観点からの「選別」と「習熟」です。

ア システムへの習熟と価値の再定義

松田候補もまた,新しい裁判システムに各弁護士が「習熟」できるよう支援する必要性を説いています。その上で,生成AIの進化により,弁護士業務が代替されることへの懸念を隠しません。
「人間(弁護士)が行うべきこと」を明確にし,弁護士の価値を再定義するという,職域防衛の色彩が強い主張を展開しています。

イ システムへの不信感と選別

国や裁判所が主導するシステム開発に対し,ユーザーである弁護士の使い勝手や権利保障が蔑ろにされているのではないかという不信感を露わにしています。
一方で,後述するようにオンライン接見の実現は強く求めており,「弁護士に不利なIT(捜査機関や裁判所の便宜優先の制度)に対しては徹底して改善を求め,有利なIT(オンライン接見等)は強力に推進する」という,是々非々の選別を行おうとしています。

2 刑事手続のIT化

(1) 「権利侵害」への徹底抗戦

この点においては,現執行部と松田候補の間に方向性の違いはほぼありません。
現行方針は,刑事デジタル法案に対し,「プライバシー権を始めとする憲法上の権利を著しく侵害する危険」や,電磁的記録提供命令が「自己負罪拒否特権との関係で問題を内包」していると指摘し,極めて強い言葉で警鐘を鳴らしています。

その上で松田候補は,「捜査機関や裁判所の便宜」という観点が前面に出されていることをより厳しく批判し,現場の弁護士が抱く肌感覚としての危機感を代弁する「言葉の熱量」において独自色を出しています。
両者とも,効率化の名の下に防御権が侵害されることは断じて許さないという点では完全に一致しており,強固なスクラムを組んでいると言えます。

(2) オンライン接見の実現

両候補ともオンライン接見の実現を掲げていますが,松田候補はこれを「弁護士過疎地では喫緊の課題」と位置づけ,地方の実情とリンクさせて強く求めています。
矢吹候補も「早急に実現」としており,この点では両者の方向性は一致していますが,松田候補の方がより「権利闘争」としての側面を強調しています。

なお,現執行部もオンライン接見について「弁護人の援助を受ける権利の内容をIT技術の発展に合わせて実質化」すべきとし,「権利化の実現に向けて」取り組むと明記しています。
明確に「権利」という強い言葉を用いて主張しており,松田候補と同様に,これを単なる要望ではなく闘争課題として位置づけている点は正当に評価されるべきでしょう。

第7 人権擁護活動と社会課題

1 重点課題への取り組み

(1) 矢吹候補の「独立人権委員会」と「死刑廃止プロセス」

矢吹候補の人権政策は,具体的かつロードマップ志向です。

ア 政府から独立した人権委員会

現行方針でも「パリ原則に基づく政府から独立した人権機関の設置」は強く求められていますが,矢吹候補はこれに加え,ウィシュマさん事件やジャニーズ問題などを例に挙げながら,世界に誇れる人権国家を目指すというビジョンを鮮明にしています。

イ 死刑廃止への具体的プロセス

単に「廃止を目指す」だけでなく,「執行を5年程度停止」→「犯罪率の検証」→「廃止」という具体的な手順を示している点は,実務家らしい現実的なアプローチと言えます。

(2) 松田候補の「犯罪被害者庁」と「DEIの深化」

松田候補は,より包括的で新しい人権概念を取り入れています。

ア 犯罪被害者庁の設置

犯罪被害者支援を法務省の外局レベルではなく,専門の「庁」として設置することを提言しています。これは行政機構の改革にまで踏み込む大胆な提案です。

イ DEI(多様性・公平性・包摂性)

従来の「男女共同参画」という枠組みを超え,LGBTQ+,障がい,民族,そして「育児・介護」まで含めた包括的な公平性を掲げています。特にケア労働(育児・介護)を担う会員への配慮を含めている点は,現代的な視点と言えます。

2 政治との距離感と立法活動

(1) 立法提言の実現力

両候補とも,選択的夫婦別姓や再審法改正など,政治的なアプローチが必要な課題に取り組む姿勢は共通しています。矢吹候補は「日弁連政治連盟」での経験を踏まえ,政治力を活用して成果を得ることを強調しています。

(2) 行政連携の強化

現行方針においても「自治体等向けの窓口を設置」し,「お品書き」を作成するなど連携強化が進められていますが,松田候補は,これを現場レベルでさらに深化させ,自治体との連携協定や災害時の対応などを通じ,行政と顔の見える関係を構築することを重視しています。
これは地域密着型の弁護士ならではの現場感覚に根ざした発想です。

第8 総括と結論

1 3つの路線の比較総括

(1) 「着実な実利と防衛」の現執行部

現行方針は,一見すると巨大組織を運営するための抑制的な文書に見えます。
しかし,その細部を読み解けば,決して単なる「建前」の羅列ではありません。
既に決議済みの「法律援助事業の国費・公費化」や,「国からの交付金を得て基金を作り支援金を支給する制度」の検討に加え,前述した「会館購入費用の補助」や「提訴手数料の見直し」など,会員の経済的利益に直結する具体的かつ実利的な施策が随所に埋め込まれています。
また,業務妨害に対しては「到底許すことはできません」と憤り,人質司法には「世論喚起を含めた運動」を宣言するなど,要所で見せる闘争心は鮮烈です。
スローガン先行型の派手さはありませんが,既存の枠組みの中で最大限の実利(果実)をもぎ取りつつ,強固な論理で防衛線を張るその姿勢は,「静かなる闘志」を秘めた現実的かつ実務的なアプローチと評すべきでしょう。

(2) 「実利・構造改革」の矢吹候補

矢吹候補は,日弁連を「会員のための互助組織」として再定義しようとしています。
47,000人の会員が経済的に潤い,制度的な不公平(国保や会費)を是正し,弁護士という職業の魅力を取り戻すための「構造改革」を提示しています。
これは,長年の閉塞感に苦しむ会員にとって,極めて合理的な選択肢となります。

(3) 「現場・危機突破」の松田候補

松田候補は,日弁連を「会員を守る闘う組織」にしようとしています。
国や権力による一方的な制度変更に抗い,地方の司法インフラを死守し,最低報酬の確保を叫ぶ姿は,現場で汗をかく会員の共感を呼ぶでしょう。
これは,日弁連に「強さ」と「優しさ」を求める会員にとっての希望となります。

2 実現へのハードルと政治力

両候補とも魅力的な政策を掲げていますが,ここで冷静な視点も必要です。
矢吹候補の掲げる「弁護士国保の全国化」や,松田候補の「犯罪被害者庁の設置」「法テラス報酬の大幅増額(国費化)」は,いずれも立法措置や巨額の国家予算を必要とする大型政策です。これらは日弁連会長の号令だけで実現できるものではなく,政治や財務省とのハードな折衝が不可欠となります。
したがって,掲げられた「夢」や「未来」が画餅に帰さないためには,その候補者にどれだけの「政治的交渉力」や「実現へのロードマップ」が備わっているかという視点も,投票行動において重要な鍵となるでしょう。

3 会員が選択すべき未来の姿

結局のところ,問われているのは「日弁連は何のために存在するのか」という問いへの答えです。

「崇高な人権団体」としての矜持を保ちつつ微修正を続けるのか(現執行部路線)。

「会員の生活と幸福」を第一義とする強力な職能団体へと舵を切るのか(矢吹路線)。

「地方と現場の砦」として,権力主導の改革を選別し,現場の実利を守り抜く防波堤となるのか(松田路線)。

今回の選挙は,単なる政策の優劣ではなく,会員一人ひとりが自らの職業観と日弁連への期待を投影する投票となるでしょう。詳細な政策比較と,それを実現しうる「力」の有無を見極めていただきたいと思います。

(AI作成)2026年の日弁連会長選挙の選挙公報の徹底比較(39期東弁の矢吹公敏候補 対 45期東弁の松田純一候補)

本ブログ記事は専らAIで作成したものです。
◯日弁連HPの「令和8年度同9年度日弁連会長選挙 選挙公報」に両候補の選挙公報が載っています。
◯2026年の日弁連会長選挙については以下の三つの記事を作成しています。
① (AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補(東弁39期)と松田純一候補(東弁45期)の徹底比較
② (AI作成)2026年の日弁連会長選挙の選挙公報の徹底比較(39期東弁の矢吹公敏候補 対 45期東弁の松田純一候補)
③ (AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補及び松田純一候補の政策と,日弁連の2025年度会務執行方針との徹底比較

目次

第1 はじめに
1 本記事の目的と視座
2 両候補の基本属性とスローガンの対比
(1) 矢吹公敏候補(39期・東弁)の基本姿勢
(2) 松田純一候補(45期・東弁)の基本姿勢

第2 経済基盤と業務領域に関する政策の徹底比較
1 弁護士報酬と公費・国費拡大へのアプローチ
(1) 矢吹候補:報酬増額と手続簡素化の両立
(2) 松田候補:具体的数値目標と社会保障的観点

2 隣接士業および職域防衛に関するスタンス
(1) 矢吹候補:家事代理権付与への明確な反対
(2) 松田候補:役割分担と連携の模索

3 新たな業務領域の開拓
(1) 矢吹候補:企業不祥事・高収益分野への誘導
(2) 松田候補:ビジネスと人権・環境・消費者問題

第3 日弁連組織改革と会員負担の在り方
1 会費と財政負担の公平性
(1) 矢吹候補:全国レベルでの会費平準化
(2) 松田候補:小規模単位会への財政・システム支援

2 地方の声と組織運営
(1) 矢吹候補:全単位会訪問によるボトムアップ
(2) 松田候補:司法過疎対策とDEIの推進

第4 若手支援といわゆる「谷間世代」問題
1 「谷間世代」への救済措置
(1) 矢吹候補:不公平是正に向けた解決の明言
(2) 松田候補:基金の充実と政府支援の要請

2 若手弁護士の育成と支援
(1) 矢吹候補:OJTと事務所経営支援
(2) 松田候補:マッチングと公設事務所の活用

第5 人権課題・憲法問題・司法制度改革
1 死刑制度および刑事司法
(1) 矢吹候補:執行停止から廃止へのロードマップ
(2) 松田候補:えん罪根絶と公的検討の場の設置

2 憲法と平和主義
(1) 矢吹候補:国際的視点と平和的生存権
(2) 松田候補:立憲主義の堅持と積極的発信

3 多様性と社会的包摂
(1) 矢吹候補:独立した人権委員会の設置
(2) 松田候補:多文化共生と困難を抱える人への支援

第6 結論:投票における判断の座標軸
1 「会員の生活と防衛」か「社会インフラとしての司法」か
2 おわりに

第1 はじめに

1 本記事の目的と視座

令和8年度・9年度の日本弁護士連合会(日弁連)会長選挙が公示され,東京弁護士会所属の矢吹公敏候補(39期)と松田純一候補(45期)による一騎打ちの構図となりました。本記事では,両候補から提出された選挙公報を精査し,単なる公約の羅列にとどまらず,その背後にある「哲学の違い」「解決手法の差異」を浮き彫りにします。

弁護士人口が4万7000人を超え,経済的格差や世代間対立,職域の飽和感が漂う現在の法曹界において,次期リーダーがどこに舵を切ろうとしているのか。実務家としての視点から,両候補の政策を徹底的に比較分析します。

2 両候補者の基本属性とスローガンの対比

(1) 矢吹公敏候補(39期・東弁)の基本姿勢

矢吹候補は,「“弁護士になってよかった”この思いをともに!」をメインスローガンに掲げています。1987年登録のベテランであり,日弁連副会長及び東京弁護士会会長を歴任した実績を持ちます。

公報全体を貫くトーンは,「会員の生活向上」と「現場の苦悩への寄り添い」です。4万7000人の会員一人一人が主役であるとし,弁護士自治を基盤としつつも,まずは会員が安心して業務に取り組める「所得」と「やりがい」の確保を最優先課題としています。いわば,「闘う職能団体」としての側面を強く打ち出しているのが特徴です。

(2) 松田純一候補(45期・東弁)の基本姿勢

対する松田候補は,「地域の声に寄り添い 弁護士と司法の未来を創る」を掲げます。1993年登録のベテランであり,こちらも日弁連副会長及び東京弁護士会会長を歴任した実績を持ちます。山形県新庄市出身であることを強調し,地方の実情に明るいことをアピールしています。

松田候補のアプローチは,「司法インフラの整備」と「社会的使命の遂行」により,結果として弁護士の職域と地位を向上させるという,正統派かつ王道的なスタイルです。個人の尊厳や立憲主義といった理念を前面に出しつつ,それを実務に落とし込むための「公費化」や「制度改革」を訴えています。

第2 経済基盤と業務領域に関する政策の徹底比較

1 弁護士報酬と公費・国費拡大へのアプローチ

(1) 矢吹候補:報酬増額と手続簡素化の両立

経済問題について,矢吹候補は極めて具体的かつ切実な会員の声に応答しようとしています。法テラスの報酬引き上げについては,「継続的な努力」が必要としつつ,裁判所予算や法務省予算(民事扶助)の規模拡大を求めています。

特筆すべきは,「手続の煩雑さ」への言及です。単価の低さだけでなく,申請業務にかかるコスト(時間的・精神的負担)を問題視し,法テラスとの交渉による「申請手続の簡素化」を公約しています。これは,多忙な現場の実務家にとって非常に響くポイントでしょう。また,LAC(弁護士費用保険)についても,労力に見合わない案件の存在や保険会社の対応の不備を指摘し,改善を明言しています。

(2) 松田候補:具体的数値目標と社会保障的観点

松田候補もまた,経済基盤の確立を重要課題としていますが,その手法は「社会保障の拡充」という文脈で語られます。具体的には,子どもの代理人活動や障がい者支援などの「公費・国費化」を強く推進しています。

注目すべきは,選挙公報の中で「離婚調停の着手金(20万円確保)」や「関連事件の減額見直し」といった具体的な数値や運用に踏み込んで言及している点です。これは,法テラス利用事件における低廉な報酬基準が若手弁護士の疲弊を招いている現状を正確に把握し,その是正をピンポイントで狙った政策といえます。理念先行と思われがちな松田候補ですが,報酬基準に関しては極めて実務的な提案を行っています。

2 隣接士業および職域防衛に関するスタンス

(1) 矢吹候補:家事代理権付与への明確な反対

職域問題において,両候補の違いが最も鮮明に出ているのがこの点です。矢吹候補は,「司法書士法改正(家事代理権問題)への反対」という項目を設け,司法書士への家事代理権付与に対して明確にNOを突きつけています。

「非紛争事案を含めて,家事事件の代理は弁護士が担うことが適当」と言い切り,弁護士の担い手不足を理由とした職域開放論を封じるため,弁護士側の負担減・収益増を図るとしています。職域浸食に危機感を抱く層にとっては,非常に頼もしい姿勢と映るでしょう。

(2) 松田候補:役割分担と連携の模索

一方,松田候補はこの点について,直接的な対決姿勢よりも「連携」や「専門性」を強調しています。「弁護士と司法書士等の役割分担」という表現を用いずとも,行間からは,他士業との摩擦を避けつつ,弁護士ならではの高付加価値サービス(例えば,複雑な法的判断を要する案件や,人権・環境問題など)に注力することで差別化を図ろうとする意図が読み取れます。

ただし,非弁行為や不当な勧誘(ネット上の集客代行など)に対しては厳正に対処する姿勢を示しており,無原則な開放を容認しているわけではありません。

3 新たな業務領域の開拓

(1) 矢吹候補:企業不祥事・高収益分野への誘導

 矢吹候補は,会員の所得向上のための方策として,従来の民事・家事だけでなく,「収益性の高い案件」へのアクセスを重視しています。具体的には,企業不祥事やホワイトカラークライムといった刑事分野,あるいはコンプライアンス関連業務などを挙げ,これらを一部の専門事務所だけでなく,広く会員が担当できるようにするための研修拡大を提唱しています。これは,パイの奪い合いではなく,高単価市場への参入障壁を下げるというアプローチです。

(2) 松田候補:ビジネスと人権・環境・消費者問題

松田候補は,「ビジネスと人権」や「SDGs」の推進を掲げ,企業活動における人権配慮(サプライチェーン管理等)の分野で弁護士が中核的役割を担うことを目指しています。

また,インターネット上の誹謗中傷やダークパターン(不当な勧誘デザイン),PFAS汚染などの環境問題など,現代的な社会課題に対応するための法整備と弁護士の関与を訴えています。これらは,社会正義の実現と新たな職域開拓をリンクさせた政策といえます。

第3 日弁連組織改革と会員負担の在り方

1 会費と財政負担の公平性

(1) 矢吹候補:全国レベルでの会費平準化

矢吹候補の政策で目を引くのが,「会員の財政的負担の平準化」です。現在,所属する単位会によって会費額には大きな差がありますが,矢吹候補は「全国の会員が同程度の会費負担をする仕組みを作るべき」と提言しています。

これは,会費が高い地域の会員にとっては歓迎すべき提案ですが,実現には小規模単位会への助成見直しなど,痛みを伴う調整が必要となるでしょう。矢吹候補は,あえてこの困難な課題に切り込み,全国的な公平性を重視する姿勢を示しています。

(2) 松田候補:小規模単位会への財政・システム支援

松田候補は,いわゆる「ゼロ・ワン地域」や小規模単位会が抱える事務負担・財政難に対して,日弁連が積極的に支援を行うことを強調しています。

会費の全国一律化という抜本的改革よりは,現行の単位会自治を尊重しつつ,ITシステムやAIの活用,あるいは財政支援によって地域格差を是正しようとするアプローチです。既存の秩序を維持しながら,弱者を支えるというスタンスが見て取れます。

2 地方の声と組織運営

(1) 矢吹候補:全単位会訪問によるボトムアップ

矢吹候補は,「会長権限を持った後,52単位会のすべてを回り,会員から意見を聞く」と公約しています。また,日弁連事務方(総次長室)への地方採用枠の拡充など,東京・大阪中心になりがちな日弁連の意思決定プロセスを変革しようとしています。

これは,「現場の声を聞く」という姿勢の表れであり,地方会員の疎外感を解消しようとする意図が強く感じられます。

(2) 松田候補:司法過疎対策とDEIの推進

松田候補は,自身の出身地である山形県新庄市の例を引きながら,「司法をすべての地域から」というビジョンを掲げます。

組織運営においては,DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を重視し,女性,若手,組織内弁護士など,多様な背景を持つ会員が意思決定に参加できる体制構築を目指しています。地方の声だけでなく,「多様な属性の声」を組織に反映させようとする点が特徴です。

第4 若手支援といわゆる「谷間世代」問題

1 「谷間世代」への救済措置

(1) 矢吹候補:不公平是正に向けた解決の明言

給費制廃止から貸与制へ移行した期間に司法修習を受けた,いわゆる「谷間世代」の問題について,矢吹候補は「解決する」と明言しています。

約1万人に及ぶ会員が抱える不公平感は,弁護士会の一体感を阻害する要因であるとし,これを政治的に解決することに強い意欲を示しています。具体的な財源や手法までは公報からは読み取れませんが,強いリーダーシップでの解決を示唆しています。

(2) 松田候補:基金の充実と政府支援の要請

松田候補もこの問題に触れていますが,表現はやや慎重です。「若手チャレンジ基金」の充実や,政府に対する支援要請といった言葉が並びます。

不公平の是正は必要としつつも,日弁連内部での対立を避け,外部(国)からの支援獲得や,若手全体の底上げ策の中に位置づけている印象を受けます。

2 若手弁護士の育成と支援

(1) 矢吹候補:OJTと事務所経営支援

矢吹候補は,事務所経営への具体的な助言(場所,雇用,IT,備品購入まで!)を行うことで,会員の収入増を図るとしています。

また,経験不足を補うための研修(OJT)を充実させ,即戦力として活躍できるようなバックアップ体制を提案しています。

(2) 松田候補:マッチングと公設事務所の活用

松田候補は,地域と新人弁護士のマッチングや,ひまわり基金法律事務所等への赴任支援など,公的なルートを通じた若手支援を重視しています。

また,奨学金返済の負担軽減など,経済的なセーフティネットの構築にも言及しており,若手が安心して公益活動に取り組める環境作りを目指しています。

第5 人権課題・憲法問題・司法制度改革

1 死刑制度および刑事司法

(1) 矢吹候補:執行停止から廃止へのロードマップ

死刑制度について,矢吹候補は「全面的に支持する(廃止を)」と明言し,踏み込んだ提案をしています。「5年程度の執行停止」→「犯罪率の検証」→「廃止」という具体的なプロセスを提示しており,抽象論にとどまらない現実的な廃止論を展開しています。

袴田事件を引用し,えん罪の回復不可能性を強調する点は両候補に共通しますが,矢吹候補の方がより行程表を明確にしている印象です。

(2) 松田候補:えん罪根絶と公的検討の場の設置

松田候補は,えん罪被害者の救済を最重要課題の一つとし,再審法改正への取り組みを強調しています。

死刑制度に関しては,世界の潮流を踏まえつつ,国会や内閣の下に「公的な検討の場(会議体)」を設置することを求めています。即時の廃止を訴えつつも,まずは議論のテーブルを公的に作ることを優先する,合意形成重視の姿勢です。

2 憲法と平和主義

(1) 矢吹候補:国際的視点と平和的生存権

矢吹候補は,憲法9条や緊急事態条項の問題に対し,「平和的生存権」の視点から取り組む決意を示しています。

特徴的なのは,国際政治情勢(ウクライナ,ガザ,米国大統領選など)への言及が多く,日本の立ち位置を国際的な文脈の中で捉えている点です。「世界に誇れる国」となるために人権基準を高めるべきという論法をとります。

(2) 松田候補:立憲主義の堅持と積極的発信

松田候補は,「個人の尊厳」と「立憲主義」を公約の柱に据えています。安保法制や改憲論議に対しては,法の支配を揺るがすものとして毅然と対応する姿勢を鮮明にしています。

また,広島・長崎での平和宣言など,日弁連が歴史的に行ってきた平和活動を継承し,排外主義の広がりに対して警鐘を鳴らすなど,リベラルな価値観の守護者としての役割を重視しています。

3 多様性と社会的包摂

(1) 矢吹候補:独立した人権委員会の設置

 国内人権機関の不在を指摘し,政府から独立した人権委員会の早期設置を求めています。入管施設での死亡事件やジャニーズ問題などを例に挙げ,第三者機関による監視と救済の必要性を訴えています。

(2) 松田候補:多文化共生と困難を抱える人への支援

松田候補は,多文化共生社会の実現に向け,外国人の人権問題やヘイトスピーチ対策に注力しています。

また,高齢者,障がい者,LGBTQ+,貧困層など,社会的弱者の権利擁護を網羅的に掲げ,それらを「公費」で支える仕組み(リーガル・エイドの拡充)とセットで提案している点が特徴です。

第6 結論:投票における判断の座標軸

1 「会員の生活と防衛」か「社会インフラとしての司法」か

 以上,両候補の選挙公報を詳細に比較してきました。両者とも,人権擁護や法の支配といった弁護士の基本使命については揺るぎない信念を持っていますが,その実現手法と優先順位には明確な違いがあります。

 矢吹候補に投票する意義は,「弁護士の生活と職域を守り抜く強いリーダーシップ」を求める点にあります。家事代理権問題への断固たる姿勢,会費の平準化,谷間世代問題の解決,そして具体的かつ戦略的な報酬増額策は,現在の閉塞感を打破したいと願う会員にとって強力な選択肢となります。地方会員や若手・中堅層の「痛み」に直接応える政策群といえます。

 松田候補に投票する意義は,「司法を社会インフラとして強固にし,職域を公的に拡大する」点にあります。目先の利益誘導ではなく,子どもや障がい者,消費者といった市民のための制度を拡充し,そこに公費を投入させることで,結果として弁護士の経済基盤を安定させるという「急がば回れ」の王道を行くものです。憲法価値の擁護や多様性の尊重といった,日弁連の理想を体現する政策群といえます。

2 おわりに

2026年,日弁連は大きな岐路に立っています。弁護士自治を維持しつつ,いかにして会員の経済的基盤を確保し,かつ社会的信頼を維持していくか。

「4万7000人のための闘う日弁連」を目指す矢吹候補か,「市民と共に司法の未来を創る日弁連」を目指す松田候補か。先生方におかれましては,ご自身の業務環境や,弁護士という職業に抱く理想と照らし合わせ,熟慮の上で一票を投じられることを切に願います。

本記事が,その判断の一助となれば幸いです。

(AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補(東弁39期)と松田純一候補(東弁45期)の徹底比較

本ブログ記事は専らAIで作成したものです。
◯以下の資料を主たる情報源としています。
(矢吹公敏候補)
 日本弁護士会会長候補 矢吹公敏ホームページ
→ 「電話はしません」という記事があります。
② 東京弁護士会前年度会長 矢吹公敏 会員東弁リブラ2022年7-8月号
(松田純一候補)
① 日本弁護士連合会会長選挙候補者 松田純一 公式ホームページ
② 東京弁護士会前年度会長 松田純一 会員東弁リブラ2024年7-8月号
◯2026年の日弁連会長選挙については以下の三つの記事を作成しています。
① (AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補(東弁39期)と松田純一候補(東弁45期)の徹底比較
② (AI作成)2026年の日弁連会長選挙の選挙公報の徹底比較(39期東弁の矢吹公敏候補 対 45期東弁の松田純一候補)
③ (AI作成)2026年の日弁連会長選挙における矢吹公敏候補及び松田純一候補の政策と,日弁連の2025年度会務執行方針との徹底比較

目次

第1 はじめに:令和8年度日弁連会長選挙の歴史的意義
1 4万7000人時代の分岐点
2 本記事の目的と視座

第2 候補者の基本的立ち位置とキャリアの比較分析
1 矢吹候補:国際派・政策通の重鎮
2 松田候補:現場主義・未来志向の熱血漢
3 両候補が醸し出す「カラー」の違い

第3 【経済政策】「稼げる弁護士」をどう作るか?
1 矢吹候補の戦略:ビジネスローと公的支援のハイブリッド
2 松田候補の戦略:中小企業支援と若手・セーフティネット重視

第4 日弁連改革と地方・若手への視点
1 矢吹候補:構造改革と意見集約のシステム化
2 松田候補:対話とエンパワーメント

第5 司法制度改革・人権課題・デジタル化へのスタンス
1 再審法・死刑制度・憲法問題
2 デジタル化・AIへの対応における温度差

第6 【広報分析】資料の裏に隠された両候補の真の狙い
1 「読む」矢吹対「感じる」松田
2 松田候補に見る「HP」と「政策要綱」の二重構造

第7 弁護士自治の未来像と選挙戦術の深層
1 弁護士自治:信頼か独立か
2 組織票の「地上戦」対ゲリラ戦の「空中戦」

第8 結論:有権者はどちらを選ぶべきか
1 「システムと実利の矢吹」を選ぶべき会員層
2 「共感と安心の松田」を選ぶべき会員層
3 最終的な判断のためのチェックリスト

第1 はじめに:令和8年度日弁連会長選挙の歴史的意義

1 4万7000人時代の分岐点

弁護士人口が4万7000人を超え,司法の在り方や弁護士の経済基盤が大きく揺れ動く現在,令和8年度(2026年度)日本弁護士連合会(日弁連)会長選挙は,法曹界の未来を決定づける極めて重要な分岐点となります。
弁護士自治が崩壊の危機に瀕していると言われる昨今,この選挙は単なる会長選びではなく,日弁連という組織が生き残れるかどうかの生存競争の始まりであると言っても過言ではありません。

次期会長に求められる資質は,巨大組織を統率する「強力なリーダーシップ」か,それとも疲弊する現場を包摂する「現場への共感力」か。有権者である会員一人ひとりが,自身の置かれた環境と法曹界の未来像をどう描くかによって,その選択は大きく分かれることになります。

2 本記事の目的と視座

(1) 本記事では,いずれも東京弁護士会・法友会の出身である39期の矢吹公敏(やぶき きみとし)氏と45期の松田純一(まつだ・じゅんいち)氏について,両候補の選挙運動ホームページ,及び両候補が代表を務めていた政策提言団体(矢吹候補につきこれからの弁護士の未来研究会,松田候補につき明日の弁護士と司法を語り、未来を創る会)の政策資料に基づき,徹底的に比較・分析を行います。
単なる経歴の羅列にとどまらず,両候補が描く「弁護士像」の違い,地方会への具体的アプローチ,そして経済的基盤への考え方まで,可能な限り詳細に深掘りして解説します。

(2) 矢吹候補は,令和7年6月に法友会は脱退しており無派閥での立候補です(選挙運動HPの「47000人分の1としての矜持」参照)。

第2 候補者の基本的立ち位置とキャリアの比較分析

1 矢吹候補:国際派・政策通の重鎮

矢吹公敏候補(39期)は昭和31年8月22日生まれであり,東京大学法学部卒業後,米国コロンビア・ロースクール(LL.M)を経て,国際的なビジネスローや独占禁止法分野で活躍してきた「エリート実務家」の側面が強い人物です。
日弁連副会長(2021年度)及び東京弁護士会会長(2021年度)を歴任し,国際活動・国際戦略に関する協議会議長を務めるなど,日弁連の国際戦略の中枢を担ってきました。

特筆すべきは,その圧倒的な「実行力」です。彼は東京弁護士会会長時代を振り返り,「年度末までに完了できなくても、取組みをスタートしたものも含めるのであれば、9割は何らかの形で実施した」と自己評価しています。彼のキャッチフレーズ「47000人のために」は,全会員の総力を結集させるという組織論的なアプローチを感じさせると同時に,計画した政策を確実に遂行する実務家としての自信が裏打ちされています。

政策の記述も論理的かつ網羅的であり,日弁連という巨大組織をシステムとして機能させようとする「統治者」としての視点が色濃く反映されています。
もっとも,彼が徹底して効率化やシステム化にこだわるのは,それが「4万7000人の生活と誇りを守る」ための最良の手段であると信じているからに他なりません。その冷徹にも見える合理性の裏側には,会員の窮状をシステムで救おうとする,ある種のパターナリズムにも似た深い愛着(組織愛)が流れていることを見落とすべきではないでしょう。

2 松田候補:現場主義・未来志向の熱血漢

松田純一候補(45期)は昭和35年5月4日生まれであり,慶應義塾大学法学部出身です。山形県の農村で育ち,「世のため人のため」という農民運動家の親族の影響を受けて弁護士を志したという,土着的な原風景を持っています。
彼もまた日弁連副会長(2023年度)及び東京弁護士会会長(2023年度)を歴任していますが,特筆すべきは「現場主義」へのこだわりです。203ある支部の半数以上に足を運び,地域の声を聴いたというエピソードは,彼の「地域の声に寄り添い」というスローガンに強い説得力を与えています。

もっとも,彼は単なる熱血漢ではありません。彼は東京弁護士会会長時代を振り返り,「直感的な判断力は1日で鍛えられるものではないので、適正な判断ができるのかというプレッシャーは相当にありました」「致命的な迷惑を掛けずに卒業して、本当にほっとしました」と吐露する繊細な責任感の持ち主でもあります。
「夢」や「未来チャート」といった情緒的な言葉を多用しつつも,その根底にある謙虚さと誠実さで,若手や地方会員の不安に寄り添う「伴走者」としてのリーダー像を打ち出している点が特徴的です。

3 両候補が醸し出す「カラー」の違い

両候補の対比は,「システム(仕組み)で解決する矢吹」対「ヒューマン(対話)で解決する松田」という構図で捉えることができます。
矢吹候補が,自身のバックグラウンドを生かし,国際標準や論理的な制度設計で組織を牽引しようとするのに対し,松田候補は,自身の苦労体験や地方の実情に根ざした「肌感覚」と「熱量」で会員を巻き込もうとしています。
この「カラー」の違いは,具体的な政策の端々に表れています。

第3 【経済政策】「稼げる弁護士」をどう作るか? ビジネスローの矢吹対マチ弁支援の松田

会員にとって最大の関心事である経済問題へのアプローチには,両者の明確な違いが見て取れます。

1 矢吹候補の戦略:ビジネスローと公的支援のハイブリッド

(1) 職域の高付加価値化と「聖域なきコストカット」

矢吹候補は,「会員の所得を向上させる」ことを政策の2本目の柱として明記しており,極めて具体的です。ここで見逃せないのが,彼のコスト管理能力です。
東弁会長時代,OAのセキュリティシステムの見直し等により「機能を維持した上で2022年度の支出予定を1/4位に削減」し,結果として「次年度へ引き継ぐべき繰越金が10億円を下回らない」という盤石な財政基盤を築き上げました。

こうした「無駄を徹底的に省く」手腕と,刑事事件における「ホワイトカラークライム」等の収益性の高い分野への参入促進や,AI・IT分野,企業の不祥事対応といった先端・専門分野での収益拡大を掲げている点を合わせると,弁護士の職域を「高付加価値化」しつつ足元の財政も固めるという,極めて現実的な戦略と言えます。
ただし,この強力な削減マインドが,委員会活動費や補助金の過度なカット(外科手術の副作用)につながらないか,注視する必要はあるでしょう。

(2) 弁護士国民健康保険の全国化という「実利」とハードル

一方で,法テラス報酬の増額に加え,「弁護士国民健康保険の全国化」に言及している点は見逃せません。現在は東京都など一部地域に限られている国保組合のメリットを全国に広げようとするこの提案は,地方会員や若手にとって,手取り収入に直結する切実な問題に対する「手堅い実利」の提示であり,大きな訴求力を持ちます。

もっとも,その実現には,昭和33年以降,国保組合の新規設立を原則認めていない厚生労働省の基本方針(「国民健康保険組合設立の認可について」(昭和38年4月22日付の厚生省保険局長通知)のほか,厚労省HPの「国民健康保険組合について」2ページ参照)の転換に加え,地域住民との公平性を重視する各自治体との極めて高い壁が存在します。高所得層が地域国保から抜けることによる財政悪化(いわゆるクリームスキミング)への懸念を払拭することは容易ではありません。
これは「東京の既得権益を地方へ」という魅力的なトップダウンの発想ですが,「国保の都道府県単位化(広域化)」という国の大きな流れに逆行するものであり,制度設計と調整には10年単位の時間を要する可能性もあり,任期中に実現できるか否かは未知数です。

画期的な公約である反面,立法事実に匹敵する強力なロジックと相当な政治力が必要となる,極めて難易度の高い挑戦であることも付言しておきます。

2 松田候補の戦略:中小企業支援と若手・セーフティネット重視

(1)  「マチ弁」の現場に即した報酬改善と活動領域の拡大

松田候補は、「弁護士の社会的・経済的基盤の確立」を主要な展望の一つに掲げています 。 彼は、弁護士のプレゼンスと経済的基盤を強化するために、既存の業務にとどまらず、中小企業支援(ひまわりほっとダイヤルの活用や事業承継・再生等)や、行政連携・国際業務といった「未開拓の分野への挑戦」を積極的に支援する姿勢を打ち出しています 。

特筆すべきは、民事法律扶助(法テラス)の改善に関し、非常に具体的な数値目標を掲げている点です。松田候補は、現状の報酬が業務量に見合っていないとし、特に離婚調停事件の代理援助における着手金について「20万円(税別)を下回らないものとすべく、取組みを進めます」と明言しています 。
家事事件等の市民に身近な事件を主戦場とする多くの一般民事弁護士にとって、この数値目標は現場の実情と疲弊感を正確に捉えたものと言えます。

ただし、松田候補自身も、各種法的援助事業や犯罪被害者支援等の分野で「国費・公費化」を求めていく方針を示しており 、これらの実現には財布の紐を握る財務省を含む政府との厳しい予算折衝が必須となります。
国の予算配分ロジック,とりわけEBPM(証拠に基づく政策立案)の壁は極めて厳格であり,単に現場の窮状を訴えるだけでは門前払いされかねません。また,現在の民事法律扶助は原則として利用者が返済する「償還制(ローン)」であるため,報酬増額はそのまま「貧困にある依頼者の返済負担増」に直結するというジレンマがあります。これを解消して「20万円」を実現するには,制度を「給付型」へ抜本改革するか,あるいは事務負担のDX化や過疎地対応といったバーター条件を飲む覚悟が必要となります。
「20万円」という数字は現場にとって涙が出るほど魅力的ですが,これらの構造的問題をクリアできる確たる財源の見通しなき公約を実現できなかった場合,この公約は単なる「努力目標」に終わるリスクがあります。
松田候補の手腕は,夢を語るだけでなく,この複雑な連立方程式を解き,財務省を説得し,実利をもぎ取れるかどうかに懸かっています。

(2) 業務妨害対策と「弁護士が十全に役割を果たせる」環境

さらに、松田候補は「弁護士が十全にその役割を果たすために」という項目の中で、「弁護士業務妨害の根絶」を政策に掲げています 。 具体的には、離婚事件や刑事事件等において、相手方のみならず依頼者からのハラスメントや、昨今急増しているSNSを利用した誹謗中傷などの被害が深刻であると指摘しています 。
彼は、こうした妨害によって弁護活動が萎縮すれば、最終的には「依頼者の権利擁護にも支障をきたす」として、市民への攻撃と同義であると警鐘を鳴らしています 。これに対し、対策ノウハウの提供や警察との連携強化を通じて、不当な妨害を根絶する姿勢を鮮明にしています 。
これは、「稼ぐ」以前の「安全に働く」という基盤を保障するものであり、現場の痛みを知る松田候補ならではの重点政策と言えます。

第4 日弁連改革と地方・若手への視点

「4万7000人」という巨大組織をどう運営するか。ここにも両者の哲学の違いが現れます。

1 矢吹候補:構造改革と意見集約のシステム化

矢吹候補は,「会長権限を持った後,52単位会のすべてを回り,会員から意見を聞く」としつつも,組織改革として「次長室の改革(地方からの採用拡充)」や「理事会の意思決定能力の強化」を挙げています。
彼の改革は精神論にとどまりません。東弁会長時代には,「様々な立場の方が理事者になりやすい環境を作る」ために電子決裁をトップダウンで導入し,「週1日は在宅でもできる」体制を構築しました。
これは,日弁連の中枢機構を機能的に再編し,地方の声を制度的に吸い上げる仕組みを作ろうとするものであり,ITによる「場所にとらわれない会務」の実現を予感させます。

また,各単位会の会費の平準化や,小規模単位会への助成見直しにも言及しており,財政面からの組織再編を視野に入れていることがうかがえます。 さらに,司法過疎問題に対しては,「会員が全国的に適正に再配置される仕組み作り」を掲げています。
新規登録者だけでなく,弁護士経験を持った会員の地方会への登録変更(Iターン・Uターン)を促進するという提案は,即戦力を求める地方にとっても現実的な処方箋となり得ます。

グローバルな視点が強みである一方,その「エリート性」ゆえに,地方の小規模会や庶民的なマチ弁の実感とどこまでリンクできるかが課題となります。ただし,グローバル化による海外法曹との競争激化は,回り回って国内の法的サービスの質や単価にも影響を与えるため,矢吹候補の視点は,長期的に見れば国内市場の防衛策とも言える側面があります。

2 松田候補:対話とエンパワーメント

松田候補のアプローチは,より人間的でウェットです。「若手弁護士サポートセンター」での活動実績を背景に,若手への就業・独立支援を厚く語ります。 彼は「新ゼロ・ワン問題」(新規登録者がいない地域)に対し,司法過疎地に赴く弁護士の育成や経済的支援を掲げ,地方の疲弊に直接的な支援を行おうとしています。
また,弁護士会運営における「DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)」の推進を掲げ,女性や若手,組織内弁護士がもっと会務に参加できる環境作りを目指しています。

松田候補は,会派に代わる中間団体の重要性を痛感しており,「委員会、法律研究部、同好会、新入会員研修などいろいろな中間団体的なコミュニティーがあって、先輩から後輩に経験を伝える。そんな縦横のコミュニティーを豊富にしたい」と語っています。
これは,組織のフラット化が進む中で希薄になりがちな「若手の育成機能」を,新たな形で再生させようとする試みです。

地方会の負担軽減策として,「弁護士会業務のIT化,OA構築のためのシステム提供」を掲げている点も特徴的です。
各単位会が独自に行うには負担が大きいシステム開発を日弁連が肩代わりするという発想は,事務局体制の脆弱な小規模会にとって即効性のある支援となります。

第5 司法制度改革・人権課題・デジタル化へのスタンス

1 再審法・死刑制度

両候補とも,再審法改正(証拠開示の制度化や検察官抗告の禁止など)や,選択的夫婦別姓制度の早期実現については極めて熱心であり,この点は日弁連としての揺るぎないコンセンサスであると言えます。

一方で,死刑制度の廃止に向けたアプローチには,両者の個性が反映された微妙なニュアンスの違いが見受けられます。

矢吹候補は,ウェブサイトの政策において「死刑廃止を全面的に支持」すると明言されています。その上で,国際的な潮流や冤罪のリスクを踏まえ,「死刑の執行を5年程度停止したのち,犯罪率の検証を行った上で死刑を廃止する」という,モラトリアム期間を設けた具体的かつ段階的な工程表を提示されている点が特徴的です。

対して松田候補は,日弁連が呼びかけた「日本の死刑制度について考える懇話会」の提言を重視されています。死刑制度の存廃に関する議論を深めるため,国会や内閣の下に公的な検討組織を設置させることを喫緊の課題として掲げておられます。情報の開示と対話を重ねることで,世論の理解を得ながら進めようとする姿勢が読み取れます。

2 デジタル化・AIへの対応における視座の違い

2026年からの民事裁判手続のIT化完全実施等を控え,デジタル化への向き合い方にもそれぞれの哲学が現れています。

矢吹候補は,東京弁護士会会長時代の実績として,令和3年2月の選挙後の3月に事務局に対して電子決裁の導入を「とにかく4月1日からやる」と期限を切ってトップダウンで指示し,既存のグループウェア(サイボウズ社のGaroon等)を活用することで迅速に実現した経験をお持ちです。
「方法は分からなかったが,局次長の提案を採用して進めた」というエピソードは,多少の現場の混乱を厭わずとも結果を出す,CEO型のリーダーシップを示しています。
この経験に基づき,今回の選挙においても,AI等の先端技術についてはガイドラインを策定して安全性を確保しつつ,業務効率化や収益向上のために迅速に実装していくという,スピード感と実利を重視した「実行力」のアプローチをとられています。

対して松田候補は,東京弁護士会会長時代のリブラインタビューにおいて,システム開発における「疎結合(そけつごう)」という専門的な概念を提唱されていたことが印象的です。これは,巨大なシステムが一つの業者や技術に依存してブラックボックス化(ベンダーロックイン)してしまうリスクを避けるため,パーツごとに独立させ,時代に合わせて柔軟に入れ替え可能にするという「建築家」のような慎重な設計思想です。
「外注でブラックボックス化し,ロックされちゃったシステムになると困る」という発言は,システム開発の失敗リスクを熟知している証左です。これは単に「慎重で遅い」ということではありません。特定の技術やベンダーに依存せず,時代の変化に合わせて柔軟に中身を入れ替えられるようにするという,現代のシステム設計において主流となりつつある「持続可能性」を重視した,極めてアーキテクト(設計者)的な思想と言えます。

総じて拝見しますと,矢吹候補は「走りながら直すアジャイルなスピード重視の実装」であり,松田候補は「将来の拡張性と持続可能性を見据えた堅牢な設計」であると言えます。
これは,日弁連という組織をどのように運営していくかという,ガバナンスに対する視点の興味深い対比であると言えるでしょう。

第6 【広報分析】資料の裏に隠された両候補の真の狙い

ここで,少し視点を変えて,両候補(特に松田陣営)の広報戦略・資料の作り方から見える「戦略的な意図」について分析します。

1 「読む」矢吹対「感じる」松田

提供された資料やウェブサイトの構成を見ると,両者のコミュニケーションスタイルの違いは明白です。

矢吹候補の広報は,テキストベースで政策を詳細に語り,自身の論文や経歴を羅列する「読む」スタイルが基本ですが,実はSNS活用にも積極的です。
彼は東京弁護士会会長時代を振り返り,「会員に対して何を理事者がしているのかを伝達するのが私たちの義務」,「東弁公式Twitterで会長矢吹のつぶやきを出しましょうと提案されたので、それはいいと思って時々載せました」と語るように,閉ざされた理事者室を開放しようとする柔軟性も持ち合わせています。

対して松田候補の広報は,動画メッセージや「松田代表のイメージ(お酒好き,グルメ等)」といった親しみやすいコンテンツを配置し,視覚的・情緒的に訴える「見る/感じる」スタイルです。これは若手や無党派層への心理的ハードルを下げる効果があります。

2 松田候補に見る「HP」と「政策要綱」の二重構造

特に興味深いのは,松田候補の「公式ホームページ(HP)」と,その支持母体(創る会)が作成した「政策要綱」の使い分けです。

HPでは,「地域の声に寄り添い」「夢」といった柔らかな言葉を前面に出しています。
彼は東弁会長時代,役員に虹をイメージした担当カラーを割り振り,「執行部として、役員として一体感を持つこともできた」と語っており,視覚的な演出によって組織の結束を高める手法に長けています。こうした「話のわかる先輩」「共感できるリーダー」というイメージを徹底しています。
ここでは政治的に先鋭化した表現は抑えられ,ウィングを広げる工夫がなされています。

しかし,一転して「政策要綱」を見ると,そこには「国内人権機関の設置」「個人通報制度」「敵基地攻撃能力議論の違憲性」といった,日弁連が直面するハードな政治的・社会的課題に対する極めて具体的かつ踏み込んだ記述が並んでいました。また,民事法律扶助の具体的な金額目標など,実務的な詳細も網羅されていました。
この「HPのソフトな印象」と「要綱のハードな中身」のハイブリッド戦略こそが,幅広い支持層を獲得しようとする松田陣営の巧妙な点です。有権者は,HPで「人物」を見て,要綱で「覚悟」を測ることが求められているのです。

第7 弁護士自治の未来像と選挙戦術の深層

1 弁護士自治:信頼か独立か

日弁連会長選挙の底流には常に「弁護士自治(自律権)をどう守るか」というテーマがあります。
矢吹候補のような国際派・政策通は,弁護士自治を守るためには「社会(特に経済界や政府)から信頼される組織であること」を重視し,ガバナンス強化に向かいます。
対して松田候補のような在野派・現場派は,弁護士自治を「権力からの独立」という文脈で捉え,政府介入や裁判所の官僚統制への対抗を重視します。

2 組織票の「地上戦」対ゲリラ戦の「空中戦」

選挙戦術の観点からも,興味深い対比が見られます。
伝統的な主流派の支持を固め,組織の論理で票を積み上げる「地上戦」を展開する矢吹候補に対し,松田候補はSNSでの発信や全国行脚による個別の対話を組み合わせた「空中戦×ゲリラ戦」で,既存の組織票の切り崩しを図っています。

第8 結論:有権者はどちらを選ぶべきか

以上の分析から,本選挙は,「システムと実利の矢吹」対「共感と安心の松田」という構図であることが明らかとなりました。

1 「システムと実利の矢吹」を選ぶべき会員層

(1) 「今の会費は高すぎる,不公平だ」と考える会員

会費平準化や小規模会助成の見直しにより,構造的な負担軽減が期待できます。

(2) 「職域を守り,拡大してほしい」と願う会員

司法書士への家事代理権付与阻止や,ビジネスロー・AI分野への進出,弁護士国保の全国化など,制度的な利益誘導を重視する方に適しています。

(3) 「強い日弁連」を求める会員

国際経験豊富で,政府や他士業と論理的に渡り合えるトップダウン型のリーダーシップを望むなら,矢吹候補が適任でしょう。

2 「共感と安心の松田」を選ぶべき会員層

(1) 「地方の実情を東京は分かっていない」と不満を持つ会員

自ら現場を回り,地方の痛みを肌感覚で理解している松田候補の姿勢は,信頼に足るものでしょう。

(2) 「日々の業務の単価を上げてほしい」と切望する会員

離婚事件の着手金20万円確保など,マチ弁の収益構造に直結する具体的な改善案は魅力的です。

(3) 「ボトムアップ型の運営」を好む会員

トップダウンではなく,会員一人ひとりの意見を吸い上げ,対話を重ねながら進めていくスタイルに共感するなら,松田候補が適任です。

3 最終的な判断のためのチェックリスト

最後に,投票に迷った際の指針として,ご自身の価値観や置かれた状況に照らし合わせた「判断基準」を提示して本稿を閉じます。

(1) ご自身の「懐事情」と「期待する成果」

ア 「構造改革によるコスト削減と,ビジネスロー等の職域拡大(パイの拡大)で豊かになりたい」 → 矢吹候補(高付加価値化とコストカットの実績)
イ  「公的資金の注入や報酬基準の適正化によって,足元の事件単価を確実に底上げしてほしい」→ 松田候補(着手金20万円確保への挑戦)

(2) 日弁連に対する「不満」の質

ア 「動きが遅い,決まらない,何をしているか分からない」 → 矢吹候補(政策の遂行力・CEO型)
イ 「地方や現場の実情を無視した決定が上から降りてくる」 → 松田候補(全国行脚の傾聴力・親分型)

(3) 好みの「リーダー像」

ア 「多少強引でも,論理的でスマートに改革を進めるエリート」 → 矢吹候補
イ 「泥臭くても,飲みニケーションで意見を吸い上げる熱血漢」 → 松田候補

「希望」を設計し,システムで解決する矢吹候補か。「夢」を描き,人間力で突破しようとする松田候補か。
提示された政策メニューの「価格」や「見栄え」だけに目を奪われてはいけません。その公約を実現するための「財源」や「政治的プロセス」を誰がどう担うのか。実現可能性が乏しい「夢」をあたかも選択可能な「メニュー」として提示されていないか。
先生方の賢明な選択の一助となれば幸いです。

2024年の日弁連会長選挙

目次
第1 2024年の日弁連会長選挙の立候補者,及び公示日直前まで活動していた政策提言団体
1 2024年の日弁連会長選挙の立候補者(届出順)
2 公示日の前日まで活動していた政策提言団体
第2 2024年の日弁連会長選挙の立候補者の概要
1 渕上玲子弁護士の経歴
2 及川智志弁護士の経歴
第3 2人の立候補者に関するメモ書き
第4 関連記事その他

第1 2024年の日弁連会長選挙の立候補者,及び公示日直前まで活動していた政策提言団体
1 2024年の日弁連会長選挙の立候補者
(1) 2024年2月9日(金)投開票予定の日弁連会長選挙の立候補者の修習期及び所属弁護士会並びに選挙運動用ウェブサイト(氏名にリンクを張っています。)は届出順に,以下のとおりです参照)。
① 渕上玲子弁護士(35期・東京弁護士会)
② 及川智志弁護士(51期・千葉県弁護士会)
(2) 日弁連HPの「令和6年度同7年度日弁連会長選挙 選挙公報」に,渕上玲子会員の選挙公報,及び及川智志会員の選挙公報が載っています。
2 公示日の前日まで活動していた政策提言団体
・ 2024年1月9日(公示日の前日)までの間,以下の政策提言団体が活動していました(「日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)」参照)。
① つなぐ。未来の会
・ 代表者は渕上玲子弁護士でした。
② ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会(略称は「変えよう!会」)
・ 代表者は及川智志弁護士でした。
3 選挙結果
・ 渕上玲子候補の得票数は1万1110票・獲得会は45会,及川智志候補の得票数は3905票・獲得会は7会であり,渕上玲子候補が当選しました(日弁連HPの「令和6年度同7年度日本弁護士連合会会長選挙 開票速報」参照)。

第2 2024年の日弁連会長選挙の立候補者の概要
   元号か西暦かについては,立候補者の選挙運動用ウェブサイトの記載にあわせています。
1 渕上玲子弁護士の経歴
(1) 「経歴」の記載
1977年
一橋大学法学部卒業
1983年
弁護士登録(東京弁護士会・35 期)
2017年
日弁連副会長、東京弁護士会会長
2020年・2021年
日弁連事務総長
[日弁連]
日弁連公設事務所・法律相談センター副委員長、
総合法律支援本部副本部長ほか
[東 弁]
東日本大震災対策本部長、
男女共同参画推進本部本部長代行ほか
[その他]
東京都震災復興検討会議委員、
司法試験委員会幹事ほか
(2) 選挙公報記載の委員会歴
・ 選挙用HP記載のものと同じです。


2 及川智志弁護士の経歴
(1) 「会社員を経て弁護士へ」の記載
1965年5月26日、宮城県石巻市生まれ。小学生のときに父が経営していた水産加工会社が倒産して夜逃げ、東京、静岡と引っ越しを繰り返しました。静岡県清水市(当時)の清水東高校を1984年に卒業。早稲田大学法学部を1988年に卒業後、丸井に就職し、紳士服売り場を担当しました。その後転職し業界紙(化学)の記者を経験。言いたいことが言える仕事に就きたいと考え司法試験にチャレンジ、1996年に合格、1999年弁護士登録(51期、千葉県弁護士会)。
(2) 「流されず、あきらめず、千葉県弁護士会長として」の記載
司法改革の波に流されず、決してあきらめたり,弁護士会という組織に絶望したりせず,法曹界を健全にするために粘り強く活動してきました。

2017年度に千葉県弁護士会会長を務めました。会長時代は,副会長に支えられ会内合意に努め,意見書や声明を26本出しました。会長を務めた翌年は日弁連理事に就任し、日弁連理事会での議論を活発に行いました。日弁連の力と良心を感じ,批判ばかりする対象ではないと考え直しました。

●座右の銘は「なんとかなる」。

●「先生」と呼ばれると「先生はやめてください」と必ず言います。

●現在,弁護士1人・事務局2人の事務所を営んでいます。

●腹筋50回と腕立て伏せ50回が日課です。

●家族は妻と猫(4歳の女の子)1匹。
(3) 選挙公報記載の委員会歴
ア 日弁連関係
総合法律支援本部,法曹人口問題政策会議,多重債務問題検討WG,公害対策・環境保全委員会,弁護士職務の適正化に関する委員会,民事司法改革総合推進本部など
イ 千葉県弁護士会関係
公害防止・環境保全委員会,社会福祉委員会,消費者問題委員会,精神保健福祉委員会,法曹人口・法曹養成や日本司法支援センター関連の委員会など



第3 2人の立候補者に関するメモ書き
1(1) 及川智志弁護士は,2020年及び2022年の日弁連会長選挙にも立候補しましたところ,令和3年6月11日の定時総会において以下の発言をしています(リンク先45頁及び46頁参照)。
    私は2020年の選挙に立候補させていただいた。でも、何かすごい制約があるなというのを肌で感じた。選挙に何千万もかかるぞと言われたが、結局、私の選挙では皆さん戦っていただいた方の努力で800万円で何とか収めた。
だけどやはりお金かかり過ぎだなと思う。800万円のうち300万円が納付金であった。取られっきりであり、それはちょっとあんまりではないのかなと思う。

(2) 2022年以降の日弁連会長選挙については,最多票を得た弁護士会があること,又は得票数が有効投票総数の3%以上であることを条件として,300万円の納付金のうち,200万円を返還してもらえるようになりました。
2(1) 東京弁護士会の会派でいえば,渕上玲子弁護士は法曹親和会出身です(法曹親和会HPの「平成20年度 副幹事長(東京法曹会幹事長) 渕上玲子 就任挨拶」参照)。
(2) ちなみに,小林元治 令和4年度同5年度日弁連会長は法友会出身です(白い雲ブログの「春秋会―法友会 懇談会」参照)。
3(1) 東弁リブラ2018年7月号「東京弁護士会 前年度会長 渕上玲子会員」が載っています。
(2)ア 10期の井田恵子弁護士(東京弁護士会)以来の,女性としては2人目となる日弁連事務総長であり(「日弁連の歴代会長及び事務総長」参照),直接選挙が始まった昭和50年度の日弁連会長選挙以来の,女性としては始めてとなる日弁連会長候補者です(弁護士ドットコムニュースの「日弁連会長選、2人が立候補 初の女性候補も」参照)。
イ NHKの「日弁連の事務総長 新型コロナに感染 職員など40人が検査受ける」(2020年7月20日付)には以下の記載があります。
日弁連=日本弁護士連合会で事務局トップの事務総長を務める弁護士が、新型コロナウイルスに感染したことが分かりました。
日弁連によりますと、事務総長を務める渕上玲子弁護士は今月16日に発熱などの体調不良を感じ、17日に医療機関で抗原検査を受けて陽性となり、感染が確認されました。
4 弁護士武本夕香子HP「会内民主主義の危機(2)~新型コロナ法テラス特措法~」(2020年7月5日付)が載っています。


第4 関連記事その他
1(1) 「フルカラー図解 地方選挙必勝の手引―2019年統一地方選挙対応」157頁には「ホームページのメニューで、最もアクセスが多いのはプロフィールページ(プロフィールページへのアクセス数は政策ページの2倍~3倍)」とか,「有権者からすればこの候補者がどんな人なのか、なぜ選挙に立候補するのかということに最も関心がある」などと書いてあります。
(2) 「地方選挙実践マニュアル-第2次改訂版」211頁には「選挙前にマスコミ等が行う世論(情勢)調査を見ると、候補者の投票基準で、「政策で選ぶ」が過半数を超えますが、投票日の出口調査で聴いてもらうと「政策で選ぶ」と答える人はほとんどおらず、「あの人感じがいい(悪い)から」というように、好感度(嫌悪度)で選ぶ人が多数を占めているのです。」と書いてあります。
3 以下の記事も参照してください。
・ 日弁連会長選挙
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
・ 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
・ 日弁連会長選挙の公聴会
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移

2022年の日弁連会長選挙の立候補者

目次
第1 2022年の日弁連会長選挙の立候補者,及び公示日直前まで活動していた政策提言団体
1 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
2 公示日の前日まで活動していた政策提言団体
第2 2022年の日弁連会長選挙の立候補者の概要
1 及川智志弁護士の経歴
2 小林元治弁護士の経歴
3 髙中正彦弁護士の経歴
第3 3人の立候補者に関するメモ書き
第4 関連記事その他

第1 2022年の日弁連会長選挙の立候補者,及び公示日直前まで活動していた政策提言団体
1 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
(1) 2022年2月4日(金)投開票予定の日弁連会長選挙の立候補者の修習期及び所属弁護士会並びに選挙運動用ウェブサイト(氏名にリンクを張っています。)はあいうえお順に,以下のとおりです参照)。
① 及川智志弁護士(51期・千葉県弁護士会)
② 小林元治弁護士(33期・東京弁護士会)
③ 髙中正彦弁護士(31期・東京弁護士会)
(2) 日弁連HPの「令和4年度同5年度日弁連会長選挙 選挙公報」に,及川智志会員の選挙公報小林元治会員の選挙公報及び髙中正彦会員の選挙公報が載っています。
2 公示日の前日まで活動していた政策提言団体

・ 2022年1月4日(公示日の前日)までの間,以下の政策提言団体が活動していました(「日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)」参照)。
① ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会(略称は「変えよう!会」)
・ 代表者は及川智志弁護士でした。
② 魅力ある司法を実現する会
・ 代表者は小林元治弁護士でした。
③ 政策グループ「これからの弁護士の話をしよう」(略称は「これ弁」)
・ 代表者は髙中正彦弁護士でした。


第2 2022年の日弁連会長選挙の立候補者の概要
   元号か西暦かについては,立候補者の選挙運動用ウェブサイトの記載にあわせています。
1 及川智志弁護士の経歴
(1) 「略歴」の記載
    1965年5月26日、宮城県石巻市生まれ。小学生のときに父が経営していた水産加工会社が倒産して夜逃げ、東京、静岡と引っ越しを繰り返しました。静岡県清水市(当時)の清水東高校を1984年に卒業。早稲田大学法学部を1988年に卒業後、丸井に就職し、紳士服売り場を担当しました。その後転職し業界紙(化学)の記者を経験。言いたいことが言える仕事に就きたいと考え司法試験にチャレンジ、1996年に合格、1999年弁護士登録(51期、千葉県弁護士会)。
(2) 「流されず、あきらめず、千葉県弁護士会長として」の記載
    司法改革の波に流されず、決してあきらめたり,弁護士会という組織に絶望したりせず,法曹界を健全にするために粘り強く活動してきました。
    2017年度に千葉県弁護士会会長を務めました。会長時代は,副会長に支えられ会内合意に努め,意見書や声明を26本出しました。会長を務めた翌年は日弁連理事に就任し、日弁連理事会での議論を活発に行いました。日弁連の力と良心を感じ,批判ばかりする対象ではないと考え直しました。
●座右の銘は「なんとかなる」。
●「先生」と呼ばれると「先生はやめてください」と必ず言います。
●現在,弁護士1人・事務局2人の事務所を営んでいます。
●腹筋50回と腕立て伏せ50回が日課です。
●家族は妻と猫(4歳の女の子)1匹
(3) 選挙公報記載の委員会歴
ア 日弁連関係
総合法律支援本部,法曹人口問題政策会議,多重債務問題検討WG,公害対策・環境保全委員会など
イ 千葉県弁護士会関係
公害防止・環境保全委員会,社会福祉委員会,消費者問題委員会,法曹人口・法曹養成や日本司法支援センター関連の委員会など


2 小林元治弁護士の経歴
(1) 略歴
昭和27年,岡山県苫田郡(現・津山市)加茂町で生まれる
昭和39年,岡山県・加茂小学校河井分校卒業
昭和42年,岡山県・矢筈中学校卒業
昭和45年,岡山県立津山高校卒業
昭和51年,中央大学法学部法律学科卒業
昭和56年,弁護士登録(東京弁護士会入会)
(2) 経歴等
ア 東京弁護士会
会長,副会長,常議員(2回)
民事司法改革実現本部長代行等
イ 日本弁護士連合会
副会長,常務理事,代議員
法律扶助制度改革推進本部事務局次長
司法改革実現本部事務局次長
日本司法支援センター推進本部事務局長
行政訴訟センター副委員長
立法対策センター事務局長
民事司法改革推進本部事務局長
民事司法改革総合推進本部本部長代行等
ウ 官公庁その他
法務省法律扶助制度研究会幹事
東京都公害監視委員会委員
(社)東京青年会議所理事長
民事司法を利用しやすくする懇談会事務局長等
(3) 著書・論文等
「貸金業規制法」(勁草書房)
「宅地建物取引業務の実務」(新日本法規)
「権利能力なき社団の登記能力」
~「現代判例民法学の課題(森泉章教授還暦記念論文集)」(法学書院)所収
「法テラスへの期待と課題」(ジュリスト 2008.7.15)
「立法対策センター」(NBL 2008.11.15)
「法律援助立法をめぐる主要論点」(日本弁護士連合会 自由と正義48巻9号 1997.9)
「法律扶助立法を間近にして」 (同 自由と正義50巻6号 1999.6)
「スタッフ弁護士の役割と養成」 (同 自由と正義58巻4号 2007.4)
「実務シリーズ No.186 こんなときどうする?社長の法律相談Q30」(2016年、SMBCコンサルティング株式会社、共著)
「実務シリーズ No.231 (改正民法対応)不動産賃貸借の実務ポイント」(2020年、SMBCコンサルティング株式会社、共著)
3 髙中正彦弁護士の経歴
(1) 略歴
1951年8月6日,千葉県茂原市生まれ
1970年3月,千葉県立東葛飾高校卒業
1974年3月,早稲田大学法学部卒業
1977年4月,司法研修所入所(31期)
1979年4月,弁護士登録(東京弁護士会入会)
2014年4月,日弁連副会長・東京弁護士会会長
(2) 日弁連の主要委員会歴
調査室室長
業際・非弁・非弁提携問題等対策本部本部長代行
会則会規改正ワーキンググループ座長
弁護士制度改革推進本部本部長代行
弁護士職務の適正化に関する委員会委員長
弁護士倫理委員会委員長ほか
(3) 官公署その他関係
法務省・民事訴訟費用制度研究会委員
法務省日弁連・外国弁護士制度研究会委員
全国弁護士協同組合連合会副理事長ほか
(4) 主要著書
弁護士法概説〔第5版〕(三省堂)
法曹倫理(民事法研究会)
判例弁護過誤(弘文堂)
弁護士の失敗学
弁護士の周辺学
弁護士の経験学
弁護士の現場力-民事訴訟編
弁護士の現場力-家事調停編(共著・ぎょうせい)
新時代の弁護士倫理(共編・有斐閣)ほか

第3 3人の立候補者に関するメモ書き
1(1) 及川智志弁護士は,2020年の日弁連会長選挙にも立候補しました(「2020年の日弁連会長選挙の立候補者参照)ところ,令和3年6月11日の定時総会において以下の発言をしています(リンク先45頁及び46頁参照)。
    私は2020年の選挙に立候補させていただいた。でも、何かすごい制約があるなというのを肌で感じた。選挙に何千万もかかるぞと言われたが、結局、私の選挙では皆さん戦っていただいた方の努力で800万円で何とか収めた。
    だけどやはりお金かかり過ぎだなと思う。800万円のうち300万円が納付金であった。
取られっきりであり、それはちょっとあんまりではないのかなと思う。

(2) 2022年以降の日弁連会長選挙については,最多票を得た弁護士会があること,又は得票数が有効投票総数の3%以上であることを条件として,300万円の納付金のうち,200万円を返還してもらえるようになりました。
2 東京弁護士会の会派でいえば,髙中正彦弁護士は法曹親和会出身であり(法曹親和会HPの「平成22年度 幹事長 高中正彦 退任挨拶」参照),小林元治弁護士は法友会出身です(白い雲ブログの「春秋会―法友会 懇談会」参照)。
3 東弁リブラ2015年7月号「東京弁護士会 前年度会長 髙中正彦会員」が載っていて,東弁リブラ2017年7月号「東京弁護士会 前年度会長 小林元治会員」が載っています。
4 小林元治弁護士は東京青年会議所(JCI東京)の第42代理事長(平成3年度)でした(小林・福井法律事務所HP「小林元治 Motoji Kobayashi」のほか,JCI東京HP「歴代理事長総覧」参照)。
5(1) 平成29年3月3日開催の日弁連の臨時総会において、東京弁護士会経由で提出された委任状の一部に,受任者欄が書きかえられていたものがあったという問題に関して,小林元治平成28年度東京弁護士会会長は,3ヶ月分の報酬の返納を行いました(東弁HPの「日本弁護士連合会臨時総会に提出した委任状に関する会長談話(その2)-調査結果を受けて-」(2017年3月30日付)参照)。
(2) 河野真樹の弁護士観察日記に「懲戒請求に発展した委任状変造問題」が載っています。


第4 関連記事その他
1 及川智志弁護士及び髙中正彦弁護士が代表をしていた政策提言団体については,Youtubeの公式動画チャンネルがありません。
2(1) 「フルカラー図解 地方選挙必勝の手引―2019年統一地方選挙対応」157頁には「ホームページのメニューで、最もアクセスが多いのはプロフィールページ(プロフィールページへのアクセス数は政策ページの2倍~3倍)」とか,「有権者からすればこの候補者がどんな人なのか、なぜ選挙に立候補するのかということに最も関心がある」などと書いてあります。
(2) 「地方選挙実践マニュアル-第2次改訂版」211頁には「選挙前にマスコミ等が行う世論(情勢)調査を見ると、候補者の投票基準で、「政策で選ぶ」が過半数を超えますが、投票日の出口調査で聴いてもらうと「政策で選ぶ」と答える人はほとんどおらず、「あの人感じがいい(悪い)から」というように、好感度(嫌悪度)で選ぶ人が多数を占めているのです。」と書いてあります。
3 以下の記事も参照してください。
・ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 日弁連会長選挙
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
・ 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
・ 日弁連会長選挙の公聴会
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移

2022年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子

目次
第1 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
第2 選挙運動用ウェブサイトに掲載されている,立候補者の政策の骨子
1 及川智志の政策骨子
2 小林元治の政策(5つの重要課題)
3 高山正彦の政策(3つのAction)
第3 弁護士職務基本規程の改正問題
第4 令和6年の施行が予定されている弁護士情報セキュリティ規程(案)
1 総論
2 本件規程案の骨子
3 本件規程案によって弁護士が新たに負う義務(例示です。)
4 守秘義務の実質的な拡大に直ちにつながるものではないこと
5 その他
第5 関連記事その他

第1 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2022年2月4日(金)投開票予定の日弁連会長選挙の立候補者の修習期及び所属弁護士会並びに選挙運動用ウェブサイト(氏名にリンクを張っています。)はあいうえお順に,以下のとおりです参照)。
① 及川智志弁護士(51期・千葉県弁護士会)
② 小林元治弁護士(33期・東京弁護士会)
③ 髙中正彦弁護士(31期・東京弁護士会)


第2 選挙運動用ウェブサイトに掲載されている,立候補者の政策の骨子
1 及川智志の政策骨子
・ 政策概要からリンクを貼られている政策骨子は以下のとおりです。
(1) 弁護士がその使命を全うできるよう弁護士の生活を守る
・ 司法試験合格者数を年間1000人以下に(弁護士人口増の緩和)
・ 民事法律扶助報酬の引き上げと弁護士の負担軽減
・ 国選報酬の引き上げと負担軽減
・ 会費減額(支出の見直し)
・ 弁護士の就労環境の改善
(2) 法曹養成制度を改革し,未来を託する人材を確保する
・ 司法試験合格者数を年間1000人以下に(弁護士人口増の緩和)
・ 誰でも受験できる司法試験に(法科大学院を要件としない制度に)
・ 「谷間世代」への一律給付と給費生の完全復活の実現
(3) 日弁連の会務運営を会員の手に取り戻す
・ 理事会の形骸化を是正する
・ 単位会・委員会(対策本部)を尊重するボトムアップの運営にする
・ 多すぎる会務による地方会への加重負担の是正と小規模単位会への補助の拡充
・ 総会のあり方を改善する
(4) 弁護士の使命を全うする
・ 憲法の改悪に反対する
・ 法テラスを改革し,償還減免を拡充する
・ 男女共同参画を推進し,多様な弁護士が活躍しやすくする
・ 若手弁護士の支援
・ 非弁対策の強化
・ 国選弁護のさらなる拡充
・ えん罪をただす再審の法整備を
・ 貧困問題対策のさらなる拡充
・ 消費者問題対策のさらなる発展
・ 災害対策・被災者支援活動のさらなる充実
・ カジノ解禁反対
・ 福島第一原発事故に基づく損害の完全賠償請求
・ 原子力発電所の廃止
・ 日弁連はいつも人権擁護活動の中心であるべき


2 小林元治の政策(5つの重要課題)
(1) 立憲主義・平和主義と基本的人権の擁護
・ 立憲主義・平和主義の堅持
・ 基本的人権の擁護
→ 子どもの権利,災害対策・復興支援,ビジネスと人権,高齢者・障害者の権利,犯罪被害者の権利,貧困・労働問題への取組,消費者の権利,外国人の権利,ヘイト・スピーチやSNS上の誹謗中傷への対応,性の平等と多様性を尊重する社会の実現,死刑制度廃止と刑罰制度改革の実現に向けた取組,国内人権機関の設置と個人通報制度の導入,法教育の充実
(2) 弁護士自治を基盤とする弁護士会の組織力と弁護士の一体感の向上
・ 弁護士自治について会員の関心・理解を高める
・ 業際・非弁・非弁提携問題対策
・ 弁護士職務適正化,不祥事対策
・ 濫用的懲戒請求への対応
・ 地域の実情を踏まえた弁護士会運営(中小規模弁護士会への更なる支援を含む)
・ 法曹養成と法曹志望者増加の取組、司法試験合格者数
・ 組織内弁護士
・ 広報の充実
・ 日弁連のIT化
・ 日弁連の財務
(3) 若手,女性弁護士の活躍機会のさらなる拡充
・ 弁護士の活動領域拡大
・ ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・ 若手弁護士の支援
・ 貸与制世代へ支援
・ 研修の充実
(4) 会員の業務・経済基盤の拡充と民事司法改革
・ 法テラス報酬の改善,弁護士費用保険の拡大
・ 証拠及び情報収集手続の拡充,損害賠償制度の改善
・ 裁判手続のIT化・本人サポートの充実
・ 裁判所等の基盤整備
・ ADR(裁判外紛争処理手続),ODR(Online Dispute Resolution)
・ 国際化等への対応
・ 中小企業支援
・ 自治体連携
・ 司法分野でのIT化,AIの実用化への対応
(5) 刑事司法制度の改革
・ えん罪防止のための刑事訴訟法改正等
・ いわゆる再審法の改正
・ 弁護活動の充実
・ 更生支援・再犯防止の取組


3 高山正彦の政策(3つのAction)
Action1 拡げる
(1) 弁護士の活動領域をさらに拡げる
・ 活動領域をどう拡大していくか
・ 活動領域拡大のためのスキルをどう高めるか
・ 弁護士費用保険をどう拡充していくか
・ 法テラスの低額報酬をどう高めていくか
(2) 身近で利用しやすい司法を実現し,司法の要領を拡げる
・ 裁判のIT化の課題をどう捉えるか
・ 民事裁判のIT化がもたらす負の問題をどう克服するか
・ 民事司法改革実現のための諸課題をどう克服するか
・ 刑事司法改革をどう実現するか
(3) 弁護士の原点である人権擁護活動をさらに拡充させる
・ 人権擁護活動をどう拡充させていくか
・ 人権問題の国際化にどう対応するか
・ 予期せぬ災害にどう向き合うか
Action2 支える
(1) 若手弁護士を支援し,男女共同参画を支える
・ 若手弁護士をどう支援していくか
・ 若手弁護士の悩みにどう寄り添うか
・ 男女共同参画をどう支えていくか
(2) 時代を担う法曹の養成を支え,谷間世代に寄り添う
・ 法曹養成制度をどう構築し,どう支えていくか
・ 法曹志望者の減少をどう克服するか
・ 司法試験合格者数をどう考えるか
・ いわゆる谷間世代にどう寄り添うか
(3) 会費負担を軽減するとともに,小規模弁護士会を力強く支える
・ 日弁連会費の負担をどう軽減していくか
・ 小規模弁護士会をどう支援するか
Action3 守る
(1) 憲法の恒久平和主義を守り抜く
・ 憲法改正論議をどう捉えどう行動するか
(2) 隣接士業の権限逸脱と狡猾な非弁に厳しく対峙する
・ 隣接士業の権限逸脱行為と権限拡張運動にどう対峙するか
・ 狡猾な非弁にどう厳しく対峙するか
(3) 理不尽な業務妨害を撃退し,弁護士自治を守り抜く
・ 濫用的懲戒請求と理不尽な業務妨害をどう撃退するか
・ 弁護士自治をどう守り抜くか
・ 不祥事をどう根絶し,市民の信頼を堅持するか


第3 弁護士職務基本規程の改正問題
1(1) 日弁連弁護士倫理委員会は,平成29年から令和元年11月にかけて3回,弁護士職務基本規程の改正案について全国の単位弁護士会及び日弁連の関連委員会等に意見照会をしましたところ,一部の単位弁護士会から強い反対意見(守秘義務の改正に対するものが特に強かったです。)が出たこともあり,弁護士職務基本規程の改正は見送られました(法曹親和会HP「(3) 弁護士倫理をめぐる近時の動き」(リンク先3頁ないし6頁)。なお,改正案の問題点を指摘したものとして自由法曹団HP「自由法曹団を壊滅させる職務基本規程改正に反対します」参照)。
(2) 改正案の根拠として,「医師が医師としての知識,経験に基づく診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合の刑法134条1項の「人の秘密」には,鑑定対象者本人の秘密のほか,同鑑定を行う過程で知り得た鑑定対象者本人以外の者の秘密も含まれる。」と判示した最高裁平成24年2月13日決定が取り上げられていました。
2 令和4年1月10日現在,小林元治公式ホームページのQ&Aには以下の記載があります。
Q.11 弁護士職務基本規程については、最近、数度にわたり、違法行為抑止義務や破産管財人等についての利益相反禁止規定の増加といった大幅な義務強化が企図され、単位会や委員会に意見照会がなされたものの、反対にあって撤回されていますが、これらの点についてはどう考えますか。
A.11 私は、日弁連としては、会員や単位会の意思に反して弁護士の義務を加重させてはならないと考えています。会内でよく議論をして多くの会員や単位会の意見を聞いて、その改正が必要かどうかを見定める必要があると考えています。


第4 令和6年の施行が予定されている弁護士情報セキュリティ規程(案)
1 総論

(1) 令和3年12月2日付で,日弁連から全国の弁護士会宛に,「弁護士情報セキュリティ規程(案)」について(意見照会)(以下「本件規程案」といいます。)が届いていて,回答期限は令和4年1月31日となっています。
(2) 本件規程案は,情報セキュリティに関して弁護士等が遵守すべき通則的な規範を定めようとするものです(1条参照)。
(3) 本件規程案の施行は令和6年を予定しています。
2 本件規程案の骨子
(1) 本件規程案2条(定義)は以下のとおりです。
① この規程において「情報セキュリティ」とは、次に掲げる特性が維持された状態をいう。
一 機密性 情報に関して、アクセスを認められた者だけがアクセスできる特性をいう。
二 完全性 情報が破壊、改ざん又は消去されていない特性をいう。
三 可用性 情報へのアクセスを認められた者が、必要時に中断されることなく、情報にアクセスできる特性をいう。
② この規程において「取扱情報」とは、弁護士等がその職務上取り扱う情報(紙、電磁的記録等その保管媒体を問わない。)のうち、前項に掲げる特性をいずれも維持する必要がないことが明らかな情報以外の情報をいう。
(2)ア 本件規程案3条は,個々の弁護士等において,自らの業務の実情を踏まえた具体的対策指針として「基本的な取扱方法」を策定することを求めています。
イ 本件規程案は,弁護士業務一般に通用する抽象化された基本的義務として,安全管理措置(4条),情報のライフサイクル管理(5条),点検及び改善(6条),漏えい等事故が発生した場合の対応(7条)を定めています。


3 本件規程案によって弁護士が新たに負う義務(例示です。)
(1) 依頼者への報告に重大な支障が生じる可能性があること
・ 例えば,大阪弁護士会の弁護士会照会の場合,照会手続規則8条2項(本会及び照会申出会員は、公務所等の報告の取扱いについては、個人情報の保護に十分注意しなければならない。)に基づき,回答書やそのコピーを不用意に依頼者に渡さないように配慮してくれと要請されています。
    そのため,本件規程案が成立した場合,弁護士が所持するすべての事件記録について弁護士会照会の回答文書と同じような規制がかかる可能性があるため,依頼者への報告に重大な支障が生じる可能性があります。
(2) 基本的な取扱方法の策定及び遵守義務
ア 規程案3条に基づき,弁護士は,安全管理措置の具体的内容,情報のライフサイクル管理の方法,点検及び改善の方法,漏えい等事故が発生した場合の対応の方法に配慮した,取扱情報の情報セキュリティを確保するための基本的な取扱方法を定めなければならなくなります。
イ 日弁連が別途,「基本的な取扱方法」のモデルを提供することが想定されていますところ,意見照会では以下の内容が記載されているため,これらのいずれかの義務に違反して漏洩事故等が発生した場合,直ちに懲戒される可能性が出てくることとなります。
① 安全管理措置の具体的内容
・ セキュリティ対策の組織体制の確立,ヒューマンエラーを防止するための措置,区域制限や遮蔽など物理的側面からの措置,電子機器や通信設備等への技術的措置
② 情報のライフサイクル管理の方法
・ 取得方法又は利用機器に応じて必要な対策を講じる,保管中の漏えい・改ざん及び紛失の防止措置を講じる,誤送信防止やマスキング等の措置を講じる,情報搬出や複製の際の漏えい・紛失防止措置を講じる,誤廃棄を防止しつつ媒体に応じて適切な廃棄方法を選択する
③ 点検及び改善の方法
・ 点検を通じたセキュリティ対策のアップデート
④ 漏えい等事故が発生した場合の対応の方法
・ 漏えい・改ざん・使用不能が発生した場合のリスクマネジメント体制の構築
ウ 令和4年1月10日現在,日弁連の会員専用サイトへのログイン画面は二段階認証ですらないところ,CANONサイバーセキュリティ情報局HP「二要素認証と二段階認証の違いを理解していますか?」には「相次ぐ不正ログインなどへの対策として、認証のプロセスを強化する動きが進んでいる。そこで採用が広がっているのが、複数の方法を用いた認証であり、「二段階認証」、「二要素認証」、「多要素認証」などと呼ばれる。」と書いてあります。
エ 令和4年1月10日現在,日弁連の弁護士情報セキュリティガイドラインは平成31年1月17日改訂のものであって(第二東京弁護士会電子情報・ネットワーク法研究会HP「オンライン研修会のお知らせ」に載っています。),新型コロナウイルス感染症に対応するためのリモートワークを考慮したものとは全くなっていないため,例えば,「第8 情報の持ち出し・複製」の「1 持ち出し」には以下の記載があります。
    弁護士は,事件記録等及び可搬電子媒体(データを収納したものに限る。以下この項において同じ。)をみだりに法律事務所の外に持ち出さないこと。むを得ず法律事務所の外に事件記録等又は可搬電子媒体を持ち出すときは,事件記録等については第1号に掲げる措置を,可搬電子媒体については次に掲げる措置を講じること。
(1) 紛失・盗難防止
(2) データの暗号化
(3) パスワードの漏えい防止


4 守秘義務の実質的な拡大に直ちにつながるものではないこと
・ 令和4年1月20日の日弁連理事会において,弁護士業務における情報セキュリティに関するワーキンググループ座長は以下のとおり説明していました(日弁連理事会報告11頁及び12頁)から,守秘義務の実質的な拡大に直ちにつながるものではないとのことです。
    この間の経緯の中で一点説明したい。この規程が制定されると弁護団の活動に重大な支障が生じるというような懸念が一部で言われている。会員用ウェブサイトに掲載された11月理事会の議事概要に,私の発言として,「機密性とは,権限がない者は見られない状態になっていることである。事務所内の人のみが見ることができることを想定している。」と記載されてしまっていることがその原因であると思われる。しかし,11月理事会での実際の発言は,「事務所の中の人しか見られません,ということは,これは事務所の中の人がアクセスを認められているということですけれども,紙であろうが電子であろうがその情報を見てもいい,見ることを想定している人,それ以外の人が見られるような状態になっていないことを裏から言っている」というものである。例として,弁護士が「事務所の人にのみアクセスを認める」と決めた情報については,事務所以外の人がアクセスできる状態にはしないということを説明しただけであり,どんな情報も事務所から一切外に出してはいけないとは言っていない。11月理事会の議事概要の記載は不正確であり,「事務所内の人のみが見ることができることを想定している」という一文は削除すべき文章であるので,今回の議事概要にその旨残すこととする。理事の皆様の周囲でこの点について、これによる誤解に基づく指摘がある場合には御説明をお願いしたい。また,11月の議事概要は今回の議事概要とセットでお読みいただくようお願いしたい。個々の弁護士や弁護団が社会への問題提起等のために,当事者名をマスクして訴訟記録の一部を公開したり,自分の体験などをSNSやマスコミを通じて情報発信したりすることはそれなりに広く行われていると思うが,こうして発信されている情報は,そもそも弁護士が外部の人にアクセスを認めた情報に対して外部の人がアクセスしているというだけなのであるから,機密性の問題は何も生じない。この規程は,あくまでも,自分がアクセスを認めていない人がアクセスできるような状態にしないことを求めているにすぎない。したがって,この規程の制定によって弁護団活動やその他の弁護士による情報発信に重大な制約がもたらされるなどというのは完全な誤解であるということを強調しておきたい。
5 その他
(1) 東弁リブラ2016年1月号に「弁護士の情報セキュリティ」が載っていて,東弁リブラ2022年1月・2月合併号「いまだから知っておきたい,2020年改正個人情報保護法-2022年4月1日全面施行-」が載っています。
(2) 事実の報道の自由は、表現の自由を定めた憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもありません(レペタ訴訟に関する最高裁大法廷平成元年3月8日判決)。
(3) 解説弁護士職務基本規程(第3版)58頁には以下の記載がありますところ,私は個別の守秘義務を負っていない会務活動を通じて本件規程案を知りました。
    弁護士会の会務活動で知り得た秘密も、弁護士法3条の職務とは関係ないので「職務上知り得た秘密」にはあたらない(前掲大阪高判平成19・2・28参照)。ただ、この場合であっても、当該委員会にかかる会規等に秘密保持義務が定められていれば、当該会規等の違反となり、それが弁護士の非行にあたる場合には、懲戒処分の対象となる。



第5 関連記事その他
1(1) 公益財団法人明るい選挙推進協会HP「調査研究事業(意識調査)」(衆院選)に載ってある「第48回衆議院議員総選挙全国意識調査(発行 平成30年7月)」63頁によれば,政治・選挙に関する情報源につき,テレビが62.7%,新聞が19.3%,インターネットが12.7%となっていますところ,「フルカラー図解 地方選挙必勝の手引―2019年統一地方選挙対応」153頁には以下の記載があります。
    衆議院総選挙に関する調査のため報道量の多いテレビが情報源として圧倒的な回答を得ていますが、新聞が19.3%であることを考えると、テレビの報道がほとんどない地方選挙においてインターネットが無視できないものになっていることはご理解いただけるかと思います。特に、18歳~49歳までの有権者は、 新聞よりもインターネットで政治・選挙情報に触れているという傾向がはっきりと出ていますので、 若年層の有権者へのアピールという点からもネット戦は重要です。
(2) 公益財団法人明るい選挙推進協会HP「調査研究事業(意識調査)」(参院選)に載ってある「第25回参議院議員通常総選挙全国意識調査(発行 令和2年3月)」62頁によれば,政治・選挙に関する情報源につき,テレビが59.8%,新聞が20.0%,インターネットが13.9%となっています。
(3) 個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限りません(最高裁平成22年3月15日決定参照)。
2 以下の記事も参照してください。
・ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 日弁連会長選挙
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
・ 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
→ 2022年以降の日弁連会長選挙については,最多票を得た弁護士会があること,又は得票数が有効投票総数の3%以上であることを条件として,300万円の納付金のうち,200万円を返還してもらえるようになりました。
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移

日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)

目次
1 平成19年5月25日の定期総会における改正(会長選挙規程52条及び56条3項)
2 平成20年5月30日の定期総会における改正(会長選挙規程56条2項,56条の2及び58条)
3 平成23年5月27日の定期総会における改正(会長選挙規程7条等)
4 平成27年5月29日の定期総会における改正(会長選挙規程56条の2,56条の3及び58条)
5 平成29年3月3日の臨時総会における改正(会長選挙規程27条の2,38条,50条,51条,53条,56条の2,56条の3及び58条)
6 令和3年6月11日の定時総会における改正(会長選挙規程26条,34条,35条,52条,56条及び58条)
7 令和5年6月16日の定期総会における改正(会長選挙規程6条3項,6条の2,11条,13条,17条及び35条)
8 令和7年6月13日の定期総会における改正(会長選挙規程26条,27条,34条,51条及び56条の3)
9 関連記事その他

* 改正条文は主なものだけを記載しています。

1 平成19年5月25日の定期総会における改正(会長選挙規程52条及び56条3項)
① 選挙公報の発送期限の変更
・ 改正前の発送期限は投票日の15日前でしたが,改正後は投票日の12日前となりました。
② 選挙公報の日弁連会員専用サイトへの掲載
③ 選挙郵便はがきへの証印の廃止
・ ポスターへの証印制度は維持されました。

2 平成20年5月30日の定期総会における改正(会長選挙規程56条2項,56条の2及び58条)
① 選挙郵便はがきの枚数の変更
・ 改正前は選挙権を有する会員数の5倍以下でしたが,改正後は選挙権を有する会員数の3倍以下となりました。
② 日弁連会員専用サイトを利用した選挙運動の解禁
・ 平成27年5月29日定期総会決議に基づき,日弁連会員専用サイトを利用した選挙運動は廃止されました。
③ 候補者及び会員のウェブサイトによる選挙運動の禁止
・ 平成27年5月29日定期総会決議及び平成29年3月3日臨時総会決議により全面的に解禁されました。

3 平成23年5月27日の定期総会における改正(会長選挙規程7条等)
    選挙管理委員会の委員数の変更(会長選挙規程7条1項の改正前は14人でしたが,改正後は14人以上25人以内となりました。)等がありました。

4 平成27年5月29日の定期総会における改正(会長選挙規程56条の2,56条の3及び58条)
(1) 以下の改正がありました。
① 候補者私設のウェブサイトによる選挙運動の解禁
・ 公職選挙法の一部を改正する法律(平成25年4月26日法律第10号)に基づき,公職選挙においてインターネット選挙運動が解禁されたことを考慮して,改正されました。
・ 選挙運動期間中に限り開設できることとされました(この点に関する規制は現在でも同じです。)。
・ 閲覧者による書き込み,及び他のウェブサイトへのリンクは禁止されたままでしたが,平成29年3月3日臨時総会決議により解禁されました。
② 候補者の電子メールによる選挙運動の解禁
・ 候補者が当該会員に事前に選挙運動用メール送信の可否を問い合わせ,了解した者にのみ送信できるものとされていました。
(2)ア 候補者以外の弁護士がHPやブログで日弁連会長選挙を取り上げることができないことについては批判が出ていた(河野真樹の弁護士観察日記ブログ「おかしなネット日弁連会長選挙」参照)こともあり,平成29年3月3日の臨時総会における改正で,候補者以外の弁護士もHPやブログで日弁連会長選挙を取り上げられるようになりました。
イ 宮武嶺のエブリワンブログ「日弁連選挙管理委員会が削除させた、日弁連会長候補と稲田自民党政調会長に関する当ブログの記事はこれだ!」が載っています。

5 平成29年3月3日の臨時総会における改正(会長選挙規程27条の2,38条,50条,51条,53条,56条の2,56条の3及び58条)
(1) 以下の改正がありました。
① 候補者の死亡又は被選挙権の喪失に伴う投票日の延期
・ 補充立候補届出期間経過後に,候補者の死亡又は被選挙権の喪失により候補者が一人となった場合,投票日を延期して,立候補届出の期間を改めて設けられるようになりました。
② 公聴会の実施箇所数の見直し
・ 改正前は9箇所で公聴会を実施することとなっていました(運用上は沖縄を含めた10箇所)が,改正後は7箇所で公聴会を実施することとなりました。
・ 平成30年度同31年度日弁連会長選挙の場合,公聴会の開催場所は7箇所でした。
・ 公聴会につき,テレビ会議システムを利用して質問できる副会場が設置されるようになりました。
③ 候補者による選挙運動用ウェブサイトの運用緩和
・ 会員が候補者の選挙運動用ウェブサイトに問い合わせをすることは可能となりました。
・ 掲示板のように他の閲覧者にも見えるような形をとることはできません。
④ 候補者以外の会員によるウェブサイトの利用の運用緩和
・ 候補者以外の会員は,選挙運動用ウェブサイト「以外の」ウェブサイトへ文書・図画等を掲載したり,選挙運動用ウェブサイト「以外の」ウェブサイトに選挙運動用ウェブサイトをリンク先として表示したり,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用して選挙運動をしたりできるようになりました。
・ 会員の会長選挙への関心を高め,投票率の向上を図る必要がある中,ウェブサイトにおける会員の自由な発言を妨げることは時流に反している面があることにかんがみ,解禁されました。
・ 事実と異なる情報を掲載することは禁止されており,警告等の措置の対象となります。
⑤ 候補者による選挙運動用電子メールの運用緩和
・ 選挙運動用電子メールを送るための候補者からのあらかじめのメールの確認が不要となりました。
・ 送信先の会員から停止の意思表示があった場合,選挙運動用電子メールを送信してはなりません。
(2)ア 候補者は,①複数の選挙運動用ウェブサイトを開設してはいけませんし,②日弁連,裁判所,法務省その他の公的機関ウェブサイトへのリンクしか設定できませんし,③投票日の前日までしか更新できませんし,④投票日の午後12時までに閉鎖しなければなりません(日弁連の会長選挙施行細則43条の3)。
イ フェイスブックやツイッターなどのSNS,Youtubeやニコニコ動画等の動画共有サービス,Ustreamやニコニコ動画の生放送等の動画中継サイトは,私設のウェブサイトではありませんから,選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできません。
ウ 「◯◯を考える会」等のHPを,会長選の公示後,選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできません。

6 令和3年6月11日の定期総会における改正(会長選挙規程26条,34条,35条,52条,56条及び58条)
(1) 以下の改正がありました。
① 郵便投票遅配時の救済措置の設定
・ 選挙管理委員会の判断により,投票日当日の開票開始までに弁護士会に到着したものについては救済できるようになりました。
② 選挙公報の発行時期の見直し及びそれに伴う立候補届出期間の短縮
・ 立候補届出期間を2日間短縮して3日以内とすることで,選挙公報の作業工程を前倒しし,その分早期に発行できることとなりました。
③ 納付金制度の見直し
・ 最多票を得た弁護士会があること,又は得票数が有効投票総数の3%以上であることを条件として,300万円の納付金のうち,200万円を返還してもらえるようになりました。
④ 文書による選挙運動としてのファクシミリ利用の解禁
・ 費用が廉価でより多くの情報を盛り込めるファクシミリの利用が認められることとなりました。
⑤ 禁止事項の見直し
・ 選挙運動期間中は,会員以外の者から選挙運動費用の寄付を受けることを禁止されました。
(2)ア 候補者からのファクシミリを受信したくないという会員は,送信停止の連絡をすれば,ファクシミリによる書面の送付を停止してもらえます。
イ 及川智志弁護士(千葉県弁護士会)は,令和3年6月11日の定時総会において以下の発言をしています(リンク先45頁及び46頁参照)。
    私は2020年の選挙に立候補させていただいた。でも、何かすごい制約があるなというのを肌で感じた。選挙に何千万もかかるぞと言われたが、結局、私の選挙では皆さん戦っていただいた方の努力で800万円で何とか収めた。
だけどやはりお金かかり過ぎだなと思う。800万円のうち300万円が納付金であった。
取られっきりであり、それはちょっとあんまりではないのかなと思う。それを変えていただけるということで選挙管理委員会から照会が来たときに本当に嬉しかった。見ていてくださったんだなと思って。
今日の提案理由にも、選挙が活性化して、投票率が上がったということについて、評価されていたので、本当に嬉しいなと率直に思っている。

7 令和5年6月16日の定期総会における改正(会長選挙規程6条3項,6条の2,11条,13条,17条及び35条)
① 通信システムを利用した選挙管理委員会への出席
② 会長選挙施行に関する通知事務の安定化
・ 選挙人の基準日を公示日から15日前に改めるとともに,通知日を公示日に固定せずに,公示後速やかに選挙人に通知することとなりました。
・ 令和6年度同7年度日弁連会長選挙の場合,選挙人名簿作成日は令和5年12月26日(火)となります。
③ 開票立会人に係る規定の見直し
④ 費用(納付金)の納付方法,返還対象者及び返還時期の見直し
・ 会長選挙の納付金300万円(会長選挙規程35条1項)について銀行振込による納付が認められることとなりました。
⑤ 納付金の全額返還
・ 費用を納付した人が立候補の届出をしなかったり,選挙の全部が無効となったりした場合,納付金が全額返還されることとなりました。

8 令和7年6月13日の定期総会における改正(会長選挙規程26条,27条,34条,51条及び56条の3)
① 郵便投票制度の見直し
・ 令和6年能登半島地震のような天災その他避けることができない事故が発生した場合,会員が指定した場所へ郵便投票の投票用紙を送付できるようになりました。
② 立候補届出期間の短縮
・ 立候補届出期間が公示日だけになりました。
③ 公聴会の配信方法の変更
・ 日弁連が運営するテレビ会議全国網システムからズームに変わりました。
④ 候補者以外の会員による電子メールを用いた選挙運動の解禁
・ 選挙運動に関するメールと判別できる記載を行うことや,送信停止の請求を可能とすることなどが要件とされました。
⑤ 選挙運動における包括的禁止規定の追加
・ ウェブサイト,SNS又は電子メールを利用して,他人の名誉を傷つけ,又は弁護士の名誉若しくは品位を害する情報発信を禁ずる規定が新設されました。

9 関連記事その他
(1) しらかば法律事務所HPの「第74回 約700人の弁護士が旭川に集結」(2016年5月)には「定期総会の開催は毎年1回で、年ごとの開催地は一定のパターンに沿って決定されます。まず、東京と東京以外の地域で交互に開催されます。東京以外での開催は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の各弁護士連合会の持ち回りです。」と書いてありますところ,コロナ前は偶数年に地方で開催されていて,コロナ後は奇数年に地方で開催されています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 日弁連会長選挙
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制

日弁連事務局

目次
1 総論
2 日弁連事務局職員の任免等
3 日弁連事務局職員の職務
4 日弁連事務局の組織
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1 総論
(1) 日弁連事務局の根拠法規は以下のとおりです。
① 日弁連会則82条の3
② 事務局職制(昭和24年10月16日会規第1号)
③ 事務局職制に関する規則(平成4年12月18日規則第53号)
(2) 日弁連HPの「日弁連の機構・財政」に公式の説明が載っています。
(3) 日弁連事務局出身の事務次長については,「日弁連の事務総長及び事務次長」を参照してください。
(4) 令和2年7月現在の日弁連事務局の連絡先は以下のとおりです(日弁連HPの「アクセス」参照)。
〒100-0013
東京都千代田区霞が関1丁目1番3号 弁護士会館15階
TEL 03-3580-9841(代表)
FAX 03-3580-2866

2 日弁連事務局職員の任免等
(1) 日弁連事務局職員の任免は会長が行います(事務局職制4条)。
(2) 日弁連事務局の部長,課長,課長補佐及び主任への任命は,会長の同意を得て事務総長が行います(事務局職制に関する規則3条1項,4条1項,5条1項及び6条1項)。
(3) 日弁連事務総長は,相当の理由があるときは,会長の同意を得て,部長,課長,課長補佐又は主任の職を解くことができます(事務局職制に関する規則8条)。

3 日弁連事務局職員の職務
(1) 日弁連事務局の部長は,上司の命を受けて,以下の職務を行います(事務局職制に関する規則3条2項)。
① 日弁連の会務に関する企画及び立案
② 日弁連の会務に関する対外的折衝
③ 日弁連内の各機関等との連絡及び調整
④ 部内の各課の連絡及び調整
⑤ 部に所属する課長及び課員の指導監督
⑥ 他の部との連絡及び調整
(2) 日弁連事務局の課長は,上司の命を受けて,以下の職務を行います(事務局職制に関する規則4条2項)。
① 日弁連の会務に関する企画及び立案
② 各課との連絡及び調整
③ 課務の掌理
④ 課員の指導及び監督
(3) 日弁連事務局の課長補佐は,課長を補佐し,又は課長の命を受け,若しくは課長に事故があるときは,その職務を代理します(事務局職制に関する規則5条2項)。
(4) 日弁連事務局の主任は,上司の命を受けて,以下の職務を行います(事務局職制に関する規則6条2項)。
① 課員に対する業務指導及び援助
② 所管業務及び関連業務に関する課長への助言及び協力
(5) 日弁連事務局の課員は,上司の命を受けて,担当事務を行います(事務局職制に関する規則7条)。
(6) 日弁連事務局の部長,課長,課長補佐及び主任の任免基準,資格及び任免手続,並びに各課の所管事項は,事務総長が定めます(事務局職制に関する規則9条及び11条)。

4 日弁連事務局の組織
(1) 日弁連事務局には,総務部,審査部,法制部,人権部,業務部及び企画部があり,令和元年4月現在の課は以下のとおりです。
総務部:総務課,情報システム・施設管理課,経理課及び人事課
審査部:審査第一課,審査第二課及び審査第三課
法制部:法制第一課及び法制第二課
人権部:人権第一課及び人権第二課
業務部:業務第一課,業務第二課及び業務第三課
企画部:企画課,広報課及び国際課
(2) 事務局職制に関する規則10条1項ないし7項で,部及び課が定められています。
(3)ア 弁護士白書2018年版158頁「日弁連の機構」によれば,平成30年10月1日現在,事務局職員は171人です。
イ 昭和24年9月1日の日弁連設立当時,日弁連事務局は,日弁連事務次長1人以下11名だけでした。

5 関連記事
・ 日弁連の組織
・ 弁護士会館
・ 日弁連の事務総長及び事務次長
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 日弁連役員に関する記事の一覧

日弁連の代議員会

目次
1 総論
2 代議員会の代理数及び代議員の選任割合
3 日弁連役員の選任方法
4 代議員会の議事
5 代議員の職務
6 代議員会に関する平成21年及び平成23年の改正
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1 総論
(1)ア 日弁連の代議員会は,副会長,理事及び監事並びに選挙管理委員会の委員の選任,会則・会規の規定又は総会・理事会の決議により代議員会に付し,あるいは特に委任するとされた事項等を審議します(日弁連会則42条)。
イ 平成23年2月9日臨時総会決議に基づき,日弁連会則改正に関する事項及び特別会費徴収に関する事項が代議員会の付議事項から除外されました。
(2) 日弁連の代議員会は毎年3月前半の金曜日,弁護士会館2階講堂「クレオ」において招集されるのが例となっていて(役員選任規程3条参照),その際,副会長,理事及び監事並びに選挙管理委員会の委員を選任しています。
(3) 平成23年3月11日(金)に開催された平成23年度代議員会の終了後に,東日本大震災が発生しました。

2 代議員会の代理数及び代議員の選任割合
(1) 代議員会の代理数
ア 代議員は最大で5人の代議員を代理することができます(日弁連会則52条2項)。
イ 出席した代議員が,代議員会の約1週間前に送付される「参考資料」に基づく役員選任に賛成する投票をしなかった場合,代理人数のカードは0人のものにされることがあるみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~3」(2020年3月16日付)参照)。
ウ 令和2年度代議員会では,午後1時30分時点で,本人出席240名,代理出席(委任状を出した人)326名だったみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~7」(2020年3月25日付)参照)。
(2) 代議員の選任割合
ア 日弁連の代議員会は,各弁護士会からそれぞれ3人及びその選任する年の1月1日現在において所属する弁護士である会員が100人以下のときは1人,100人を超えるときはその100人に達するごとに1人ずつ(その最終の100人に達しない部分については1人を加える。)の割合による人数で選任された代議員によって構成されています(日弁連会則43条)。
イ 2020年3月13日(金)の令和2年度代議員会の場合,代議員の総数は604人だったみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~4」(2020年3月17日付)参照)。
ウ 代議員の選任については各弁護士会に一任されているのであって,その選出方法には選挙及び理事者指名があります。
エ 大阪弁護士会の場合,弁護士会の方で会派等への割当を通じて定足数どおりの代議員立候補者を確保し,それがそのまま選任されており,日弁連の代議員会で何らかの活動をするつもりで代議員に立候補している会員はあまりいないというのが,平成22年度当時の実態でした(平成23年2月9日臨時総会の松本岳会員(平成23年度大弁副会長)の発言(PDF32頁)参照)。

3 日弁連役員の選任方法
(1)ア 日弁連の役員のうち,副会長,理事及び監事は,代議員会における選挙によって選出されるのが原則です(役員選任規程4条1項)。
イ 日弁連の会長は,昭和49年度までは代議員会によって選出され,昭和50年度以降は日弁連会員の直接選挙によって選出されています(「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」参照)。
(2)ア 代議員会において出席代議員の3分の2以上の同意がある場合,他の方法により役員を選出することができます(役員選任規程5条1項)。
イ 実際の運用では,「選挙によらない方法による選任を求める動議」というのが出て,それが承認された後,各地の弁護士会連合会が事前に推薦している役員が、事前に配布された一覧表のとおり選任されるということになっているみたいです。
ウ 令和2年度代議員会では,事前配布資料に記載されている副会長候補者は,一般代議員の席ではなく,議長席に向かって左側に,議場の出口に向けて並べられている席に座っていたみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~6」(2020年3月23日付)参照)。
(3) いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)には以下の記載があります。
   自由に質疑ができるわけですから、代議員会に出席できる代議員の人は、役員人事に疑問があれば思い切り良くあれこれと聞いてみたらいいんじゃないかと思います。

4 代議員会の議事
(1)ア 代議員会に付する議案は,文書により,会日の1週間前までに到達するよう,代議員に通知しなければなりません(議事規程26条本文)。
イ 実際の運用では,代議員会開催日時の大体1週間くらい前に,「参考資料送付書」というものが日弁連事務総長からファックスで送られてきて,そこには,日弁連の副会長候補者リスト,理事候補者リスト,監事候補者リスト,及び(隔年で)選挙管理委員会委員候補者リスト(「選挙によらないで選任されるようになった場合の参考資料」という注意書きのあるもの)が含まれているみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~2」(2020年3月10日付)参照)。
(2)ア 代議員会の議長及び副議長は,代議員会において互選されるのが原則でありますものの(日弁連会則48条1項),出席した代議員の過半数の同意がある場合,その他の方法により議長及び副議長を選任することができます(議事規程23条3項)。
イ 実際の運用では,「会則では議長・副議長は代議員が互選するとあるが、~~なので、例年どおり会長に指名してもらうという方法で議長・副議長を選任されたい」という動議が採択された後,日弁連会長が議長及び副議長を指名するみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~5」(2020年3月18日付)参照)。
(3)ア 出席した代議員は,議題について自由に質疑をすることができます(議事規程32条1項)。
    そのため,代議員に選任されていれば,平の会員でも会長に質問ができることとなります。
イ 会議において発言しようとする代議員は,起立して議長と呼び,自己の氏名を告げ,議長の許可を得た後,発言することができます議事規程36条1項)。
ウ 代議員が議長の許可を受けないで発言し,その他代議員会の秩序を乱し,又は弁護士の品位を傷つける行為があったときは,議長は,これを制止し,又は発言を取り消させます(議事規程38条前段)。
    仮に代議員がその命に従わないとき,議長は,代議員会の議事が終わるまで発言を禁止し,又は退場を命ずることができます(議事規程38条後段)。
(4) 代議員会は毎年,1時間前後で終了しているみたいです(いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)参照)。
(5) 日弁連の会員は,代議員会の議事録を閲覧し,かつ,謄写することができます議事規程41条3項)。


5 代議員の職務
(1) 代議員は,代議員会に自ら出席しない場合,代理人によってその議決権を行使することができます(日弁連会則52条1項)。
(2) 代議員になった場合,代議員会への出席のいかんにかかわらず委任状は提出しろといわれるみたいです(弁護士坂野真一のブログの「日弁連代議員会はこんな感じ~2」(2020年3月10日付)参照)。
(3) いわぽんブログの「日弁連代議員会」(2020年3月18日付)には以下の記載があります。
   具体的にいえば、多くの代議員は委任状にハンコを押せば1年間通じてのお仕事は終わってしまいます。それで済まない場合も、年1回の代議員会の日に霞ヶ関の弁護士会館へ行くことは要しますが、それにしたって1時間くらい座っていればお仕事は終わってしまうというのが、ほとんどの場合かと思います。

 代議員会に関する平成21年及び平成23年の改正
(1) 代議員会に関する平成21年12月の改正(代議員会の代理数変更及び代議員の選任割合変更)
ア 平成21年12月4日臨時総会決議に基づき,以下の事項が改正されました。
① 代議員会の代理数変更
   代議員会において出席代議員が行使できる代理権は,日弁連の創立以来,3人とされていたものの,平成22年1月1日以降,5人に変更されました。
② 代議員の選任割合変更
   代議員の選任割合は,日弁連の創立以来,弁護士会ごとに,所属する弁護士会員50人に達するごとに1人ずつ及び最終の50人に達しない部分につき1人を選任することとされていたものの,平成22年12月31日以降,上記「50人」の部分を「100人」に変更されました。
イ 田中等 日弁連副会長は,平成21年12月4日臨時総会において以下のとおり趣旨説明をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。なお,第2号議案は日弁連総会の代理数変更であり,第3号議案は代議員会の代理数変更であり,第4号議案は代議員の選任割合変更です。)。
① 近時、会員数が増加する中で日弁連の会務運営にできる限り多くの会員の意思を反映させていくことの重要性が高まっている。他方、日弁連の総会、代議員会開催に伴う弁護士会の事務上、財政上の負担も増加傾向にある。
   第2号議案から第5号議案は、会員数の増加に対応して、できる限り多くの会員の意思を反映して会務の運営方針等を決するとともに、弁護士会の負担の軽減を図るものである。
② まず第2号議案と第3号議案について、現在、出席者が代理できる数は総会では30人、代議員会では3人となっている。これは日弁連の創立当初から改正されていない。その一方で会員数は6,000名規模から2万7,000名規模へと拡大している。
   会員数が増大しても会務運営にはより多くの会員の意思を反映させるべきである。本人出席が一番望ましいが、出席できないこともある。他方、会員数が増大した結果、日弁連の総会、代議員会開催に伴う弁護士会の事務上、財政上の負担が増加している。現状では本人出席を確保せねばならず、また代理出席のために出席する会員の旅費を負担しているような状況である。
   一人が代理できる数を増やすことによってこれらの負担を軽減し、より多くの会員の意思を会務運営に反映させるのが適当である。
   そこで代理数を総会では50人へ、代議員会では5人へと改正することを提案するものである。
③ 次に第4号議案について、現在、代議員の選任割合は、所属する弁護士会員が50人以下のときは1人、これを超えるときは50人に達するごとに1人、最後の50人に達しない部分について1人としている。
   この規定も日弁連創立当初から改正されていない。そのため代議員の数は当初は288名だったが、平成21年度には724名に及んでいる。最近5年間で約150名も増加している。これに伴い弁護士会の事務上、財政上の負担も増加している。
   そこでこの負担を軽減するため、選任割合を変更することが適切である。変更した場合、資料5によれば代議員数は453名に減る。そこで選任割合を50人ごとに1人から100人ごとに1人へと改正することを提案するものである。
(2) 代議員会に関する平成23年2月の改正(代議員会の審議事項の縮小)
ア 日弁連会則改正に関する事項及び特別会費徴収に関する事項は代議員会の付議事項と定められていたものの,平成23年2月9日臨時総会決議に基づき,平成23年4月1日以降,これらの事項は代議員会の付議事項から除外されました。
イ 江藤洋一 日弁連副会長は,平成23年2月9日臨時総会において以下の趣旨説明をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。なお,第5号議案は会則改正手続変更であり,第6号議案は特別会費徴収手続変更です。)。
① この第5号議案、6号議案は、会則改正及び特別会費徴収の要件から代議員会における可決の削除を提案するものである。
   これまで代議員会のあり方に関しては、総会との審議事項との重複感が強く、屋上屋を架すものであって不要であるとの意見がある一方で、慎重審議に資する、小規模弁護士会の意見の尊重、執行部に対するチェック機能、大規模弁護士会に対する牽制等を理由に必要であるとの意見もあった。
   これに対し不要論からは、必要論はいずれも理事会、総会における充実した審議を行うことで十分足りており、あえて代議員会で議論するまでもないとの再反論があった。平成21年度に弁護士会に照会を行ったところ、過半数の28会が賛成したものの、反対会も15会あるという意見分布であった。
   日弁連機構改革委員会は、昨年3月9日に答申を行い、代議員会廃止論が多数を占め、その他の委員のうち半数は権限縮小を主張し、現状を肯定する委員は1人もいなかった。
   同答申は、各弁護士会への照会を求めており、宇都宮執行部も各弁護士会に対し意見照会を行ったところ、賛成の弁護士会が42会にのぼり、反対は6会にとどまった。また、一昨年度反対しながら今回賛成に回った弁護士会は9会に及んだ。
   このように、大方の弁護士会及び会員の賛同を得られたものと考えている。
② 他方、反対の意見をどのように受け止めるかにつき、若干述べる。
   まず、慎重審議という点は、理事会、総会により十分慎重な審議が行われており、あえてこれに代議員会を重ねる必要はないと考える。
   次に、小規模弁護士会の意見尊重という点は、おそらくは、小規模弁護士会においては、その会員数が日弁連の全会員数に占める割合よりも、当該会の代議員数が全代議員数に占める割合のほうが大きいということを根拠にした意見であろうと伺っている。
   しかしながら、その割合の違いはわずかにコンマ数%にすぎず、果たして小規模弁護士会の意見尊重といえるほどのものか疑問である。加えて、全国比の大小をいうと、代議員数よりも理事会における理事数のほうが更に小規模弁護士会に有利に割り振られており、現在行われているように理事会の審議を慎重に行うことによって、小規模弁護士会の意見は十分に尊重されると考えている。
   さらに、執行部に対するチェック機能という意見もあった。いまだ執行部が種々のチェック機能を無視したという話は聞いていないし、代議員会の決議要件を削除したからといって、そのチェック機能が低下するとは考えていない。
   また、大規模弁護士会に対する牽制については、先ほどの小規模弁護士会の意見尊重ということと裏腹の関係にあり、そのまま当てはまると考える。
③ 以上のとおり、会則改正と特別会費徴収の要件から代議員会の決議を削除することに何の支障もなく、かえって関連委員会、各弁護士会、理事会、総会における審議を実質的に深めるためにも、本議案を承認いただきたく提案する。
(3) 日弁連七十年「Ⅲ 日弁連の組織運営にかかわる諸問題への取組」が参考になります。

7 関連記事
・ 日弁連の会長及び副会長
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
・ 日弁連の総会,代議員会,人権擁護大会,弁護士業務改革シンポジウム,司法シンポジウム及び国選弁護シンポジウム
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・ 日弁連の理事会及び常務理事会
・ 日弁連の女性副会長
・ 弁護士会館
・ 日弁連役員に関する記事の一覧

日弁連の令和2年度役員就任公告

○令和2年4月1日付の官報公告の本文は以下のとおりです。

日本弁護士連合会令和2年度役員が下記のとおり就任したので公告する。
令和2年4月1日     日本弁護士連合会

会 長
荒   中(仙  台)
副会長
冨田 秀実(東  京) 寺前  隆(第一東京)
岡田 理樹(第二東京) 延命 政之(神奈川県)
關本 喜文(山 梨 県) 川下  清(大  阪)
白浜 徹朗(京  都) 山下 勇樹(愛 知 県)
西村 依子(金  沢) 舩木 孝和(広  島)
上田 英友(福 岡 県) 鎌田 健司(仙  台)
狩野 節子(秋  田) 大川 哲也(札  幌)
五葉 明徳(愛  媛)
理 事
伊藤 茂昭(東  京) 緒方 孝則(東  京)
秋田  徹(東  京) 山内 一浩(東  京)
木村 英明(東  京) 田中みどり(東  京)
米田 龍玄(東  京) 吉岡  剛(東  京)
三原 秀哲(第一東京) 長尾  亮(第一東京)
相原 佳子(第一東京) 芳仲美惠子(第一東京)
日下部真治(第二東京) 緑川 由香(第二東京)
藤井 麻莉(第二東京) 剱持 京助(神奈川県)
野崎  正(埼  玉) 真田 範行(千 葉 県)
小沼 典彦(茨 城 県) 澤田 雄二(栃 木 県)
久保田寿栄(群  馬) 白井 正人(静 岡 県)
深澤  勲(山 梨 県) 中嶌 知文(長 野 県)
水内 基成(新 潟 県) 田中  宏(大  阪)
三木 秀夫(大  阪) 澤田 有紀(大  阪)
櫛田 和代(大  阪) 日下部和弘(京  都)
道上  明(兵 庫 県) 友廣 隆宣(兵 庫 県)
宮坂 光行(奈  良) 西川真美子(滋  賀)
山崎 和成(和 歌 山) 井口 浩治(愛 知 県)
竹内 裕美(愛 知 県) 中西 正洋(三  重)
山田  徹(岐 阜 県) 八木  宏(福  井)
宮西  香(金  沢) 西川 浩夫(富 山 県)
足立 修一(広  島) 上田 和義(山 口 県)
猪木 健二(岡  山) 野口 浩一(鳥 取 県)
鳥居 竜一(島 根 県) 多川 一成(福 岡 県)
上地 和久(福 岡 県) 富永 洋一(佐 賀 県)
中西 祥之(長 崎 県) 吉田 祐治(大 分 県)
鹿瀬島正剛(熊 本 県) 新倉 哲朗(鹿児島県)
成見 暁子(宮 崎 県) 村上 尚子(沖  縄)
十河  弘(仙  台) 槇  裕康(福 島 県)
阿部 定治(山 形 県) 大和久政也(岩  手)
山口 謙治(秋  田) 竹中  孝(青 森 県)
樋川 恒一(札  幌) 砂子 章彦(札  幌)
堀田 剛史(函  館) 林  孝幸(旭  川)
岩田 圭只(釧  路) 徳田 陽一(香 川 県)
志摩 恭臣(徳  島) 松本 隆之(高  知)
森本 明宏(愛  媛)
監 事
加納小百合(東  京) 長沢美智子(第二東京)
海老原夕美(埼  玉) 三野 岳彦(京  都)
浅井 直美(岐 阜 県)

日弁連会長選挙の公聴会

目次
1 日弁連会長選挙の公聴会のルール
2 令和6年1月10日(水)に公示された令和6年度同7年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
3 過去の公聴会の日程
◯令和 4年1月 5日(水)に公示された令和4年度同5年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
◯令和 2年1月 8日(水)に公示された令和2年度同3年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
◯平成30年1月10日(水)に公示された平成30年度同31年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
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1 日弁連会長選挙の公聴会のルール
(1) 日弁連会長選挙の公聴会は7箇所で実施されている他(会長選挙規程51条1項及び3項),3箇所の副会場でテレビ会議システムを利用して実施されています。
(2) 公聴会の実際の運営は司会者が行いますところ,司会者は,日弁連選挙管理委員会があらかじめ日弁連選挙管理委員会委員の中から指名します。
(3) 特定候補者に対する嫌がらせ又は特定候補者支援を目的とした偏った質問は厳に慎み,司会者も,事前に質問事項に目を通しておくなどして,質問に公平を期すよう十分配慮することが求められています。
(4) 1回の公聴会の実施時間は,出席する候補者の数によるものの,3時間程度が予定されています。
(5)ア 公聴会の進行の順序は以下のとおりです(会長選挙規程51条2項及び会長選挙施行細則34条3項)。
① 候補者の抱負及び所見の発表並びに補佐人1名の推薦演説
② あらかじめ届け出られた質問事項に基づく質問とこれに対する答弁
③ 再質問及び関連質問とこれに対する答弁
④ 司会者が特に認めた②及び③以外の質問とこれに対する答弁
⑤ 候補者の最終演説
イ 副会場は,テレビ会議システムにより,公聴会会場とつながれています。
ウ 補佐人の推薦演説及び候補者の抱負・所見の発表の時間は,1人の候補者につき,その補佐人の推薦演説時間と合わせて35分以内とされています。
    ただし,候補者が3名以上の場合,これよりも短縮されます。
(6)ア 公聴会において質問を希望する会員は,当該公聴会期日の2日前の午後5時までに,答弁を求める候補者の氏名,質問事項の要旨,自己の氏名及び所属弁護士会を,公聴会開催地の弁護士会気付でその選挙管理責任者に書面で届け出る必要があります(会長選挙施行細則37条1項)。
イ 候補者は,この質問事項を閲覧・謄写することができます(会長選挙施行細則37条3項)。
(7)ア 少なくとも近畿地区の公聴会では,選挙公報(会長選挙規程52条及び会長選挙施行細則39条)が参加者に配布されていますし,令和6年1月26日の公聴会の場合,質問要約も配布されました。
イ 公聴会会場においては,公聴会として定められた行為のほか,いかなる選挙運動も行うことが禁じられています(会長選挙施行細則38条)。
(8) 日弁連選挙管理委員会では,最初に開催される地区の公聴会の模様を撮影し,その映像を日弁連HPの会員専用サイトに当選者決定まで掲載しています。

2 令和6年1月10日(水)に公示された令和6年度同7年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
① 1月19日(金)午後1時~
・ 北海道区域の公聴会(札幌弁護士会館5階大会議室)
② 1月22日(月)午後1時~
・ 中部区域の公聴会(愛知県弁護士会館5階ホール)
③ 1月24日(水)午後1時~
・ 九州区域の公聴会(福岡県弁護士会館2階大ホール)
→ 副会場は沖縄弁護士会館4階大会議室
④ 1月26日(金)午後1時~
・ 近畿区域の公聴会(大阪弁護士会館2階201~204会議室)
⑤ 1月29日(月)午後1時~
・ 四国区域の公聴会(高知弁護士会館3階会議室)
⑥ 1月31日(水)午後1時~
・ 東北区域の公聴会(仙台弁護士会館4階大会議室)
⑦ 2月 3日(土)午後1時~
・ 関東区域の公聴会(弁護士会館2階講堂)
→ 副会場は神奈川県弁護士会館5階大会議室


3 過去の公聴会の日程
◯令和4年1月5日(水)に公示された令和4年度同5年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
① 1月14日(金)午後1時~
・ 東北区域の公聴会(仙台弁護士会館4階大会議室)
② 1月15日(土)午後1時~
・ 北海道区域の公聴会(札幌弁護士会館5階大会議室)
③ 1月17日(月)午後1時~
・ 中部区域の公聴会(愛知県弁護士会館5階ホール)
④ 1月20日(木)午後1時~
・ 近畿区域の公聴会(大阪弁護士会館2階201~204会議室)
⑤ 1月21日(金)午後1時~
・ 九州区域の公聴会(福岡県弁護士会館2階大ホール)
→ 副会場は沖縄弁護士会館4階大会議室
⑥ 1月24日(月)午後1時~
・ 中国区域の公聴会(広島弁護士会館3階ホール)
→ 四国区域の副会場は愛媛弁護士会
⑦ 1月29日(土)午後1時~
・ 関東区域の公聴会(弁護士会館2階講堂)
→ 副会場は神奈川県弁護士会館5階大会議室
* 新型コロナウイルス感染症の感染が急拡大している状況に鑑み,令和4年1月29日(土)の関東地区公聴会を除く6か所の公聴会について,立候補者及び東京(隣接県を含む。)の補佐人等は,東京の弁護士会館からテレビ会議全国網システムを利用して公聴会に出席することとなりました。


◯令和2年1月8日(水)に公示された令和2年度同3年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
① 1月20日(月)午後1時~
・ 東北区域の公聴会(仙台弁護士会館4階大会議室)
② 1月22日(水)午後1時~
・ 中部区域の公聴会(愛知県弁護士会館5階ホール)
③ 1月23日(木)午後1時~
・ 近畿区域の公聴会(大阪弁護士会館2階201~204会議室)
④ 1月25日(土)午後1時~
・ 北海道区域の公聴会(札幌弁護士会館5階大会議室ABC)
⑤ 1月27日(月)午後1時~
・ 四国区域の公聴会(香川県弁護士会館5階大会議室)
→ 中国区域の副会場は広島弁護士会館2階大会議室A
⑥ 1月28日(火)午後1時~
・ 九州区域の公聴会(福岡県弁護士会館2階大ホール)
→ 副会場は沖縄弁護士会館4階大会議室
⑦ 2月1日(土)午後1時~
・ 関東区域の公聴会(弁護士会館2階講堂)
→ 副会場は神奈川県弁護士会館5階大会議室
◯平成30年1月10日(水)に公示された平成30年度同31年度日弁連会長選挙の公聴会の日程
① 1月22日(月)午後1時~
・ 東北区域の公聴会(仙台弁護士会館4階大会議室)
② 1月25日(水)午後1時~
・ 中部区域の公聴会(KKRホテル名古屋4階「福寿の間」)
③ 1月26日(金)午後1時~
・ 近畿区域の公聴会(大阪弁護士会館2階202~204会議室)
④ 1月27日(土)午後1時~
・ 北海道区域の公聴会(札幌弁護士会館5階大会議室ABC)
⑤ 1月29日(月)午後1時~
・ 中国区域の公聴会(広島弁護士会館2階大会議室A)
→ 四国区域の副会場は徳島弁護士会館3階中会議室
⑥ 1月31日(水)午後1時~
・ 九州区域の公聴会(福岡県弁護士会館3階ホール)
→ 副会場は沖縄弁護士会館4階大会議室
⑦ 2月3日(土)午後1時~
・ 関東区域の公聴会(弁護士会館2階講堂)
→ 副会場は神奈川県弁護士会館5階大会議室

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・ 日弁連会長選挙
・ 日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
・ 日弁連役員に関する記事の一覧

日弁連会長選挙の不在者投票及び郵便投票

目次
1 総論
2 不在者投票
3 郵便投票
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1 総論
(1) 日弁連会長選挙において選挙権を有する会員は,選挙の公示の日の十日前(令和4年度同5年度日弁連会長選挙の場合,令和3年12月26日(日))において日弁連の弁護士名簿に登録されている会員です(会長選挙規程11条)。
(2)ア 選挙権を有する会員は,原則として,投票所である弁護士会館又は各弁護士会事務所(会長選挙規程22条)において,投票日の午前9時30分から午後4時までの間に(会長選挙規程23条),単記無記名の投票をできます(会長選挙規程20条参照)。
   ただし,例外として,不在者投票又は郵便投票により投票することができます。
イ 投票日における投票,不在者投票及び郵便投票はまとめて,午後4時の投票終了直後に開票され(会長選挙規程28条),おおむね午後6時から午後7時までの間に日弁連HPにおいて仮集計が発表されます。
(3)ア 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の場合,通常選挙における郵便投票請求期間は1月15日(水)から同月28日(火)までであり,不在者投票期間は2月3日(月)から同月6日(木)まででした。
イ 令和4年度同5年度日弁連会長選挙の場合,通常選挙における郵便投票請求期間は1月8日(土)から同月25日(火)までであり,不在者投票期間は1月31日(月)から2月3日(木)まででした。

2 不在者投票
(1) 選挙権を有する会員は,やむを得ない用務又は事故のため,投票日に自ら投票所に赴き投票することができない場合,投票日の5日前から投票日の前日までの各日(ただし,土日祝日を除く。)の正午から午後1時までの間,日弁連選挙管理委員会が定める不在者投票書において不在者投票をすることができます(会長選挙規程25条1項及び2項)。
(2) 不在者投票をしようとする会員は,選挙管理責任者宛の不在者投票届出書にその理由等を記入した上で,自ら不在者投票書の選挙管理者にこれを提出して,不在者投票の届出をします(会長選挙規程25条4項)。
   そして,理由があると認められた場合,選挙管理者から投票用紙の交付を受けて,その場で候補者の氏名を記載し,これを直接,投票箱に投函します(会長選挙規程25条4項)。
(3) 通常選挙における不在者投票届出書の書式は,公示日の日付で作成され,1月中旬に届く日弁連選挙管理委員会の通知(会長選挙規程19条)に含まれています。

3 郵便投票
(1)ア 遠隔,長期疾病等の理由により,投票日に自ら投票所に赴き投票することが著しく困難である会員は,5日間の立候補期間(会長選挙規程34条)経過後,投票日の10日前までに限り,郵便投票を請求することができます(会長選挙規程26条1項)。
イ 令和4年度同5年度日弁連会長選挙の場合,令和4年1月25日(火)が郵便投票請求の締切でした。
(2)ア 郵便投票をしようとする会員は,郵便投票請求書にその理由等を記入した上で,自己の所属する弁護士会気付で,同会の選挙管理責任者に対して持参,郵便,信書便,ファクシミリ送信(消印等は有効です。)により行います。
   そして,理由があると認められた場合,選挙管理責任者から簡易書留等により,請求した会員の法律事務所宛に,投票用紙及び所定の封筒が発送されます(会長選挙規程26条3項)。
イ 投票用紙及び所定の封筒を受領した会員は,投票用紙に候補者の氏名を記載し,これを内封筒に入れて密封し,更にその内封筒を外封筒に入れ同じく密封した上で,外封筒裏面に法律事務所の所在場所又は自宅住所及び氏名を記載して,投票日の前日の午後5時までに必着するよう,所属弁護士会気付で同会の選挙管理責任者に対して郵便又は信書便により送付して行います(会長選挙規程26条4項)。
(3) 通常選挙における郵便投票請求書の書式は,公示日の日付で作成され,1月中旬に届く日弁連選挙管理委員会の通知(会長選挙規程19条)に含まれています。
(4) 日弁連HPの「全国の弁護士会・弁護士会連合会」に,全国の弁護士会の住所,電話番号及びファックス番号が載っています。

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・ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 2022年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子
・ 日弁連会長選挙
・ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
・ 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
・ 日弁連会長選挙の公聴会
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
・ 日弁連役員に関する記事の一覧

日弁連会長選挙の再投票及び再選挙

目次
第1 再投票の取扱い

1 再投票
2 再投票と通常選挙の相違点
3 新しい日弁連役員の就任時期
第2 再選挙の取扱い
1 再選挙
2 新しい日弁連役員の就任時期
第3 再選挙の再投票の取扱い
1 再選挙の再投票
2 新しい日弁連役員の就任時期
第4 18弁護士会で最多票を得ていなければならないとされた経緯
第5 平成24年度における,会長選挙規程の改正案(3分の1条項の廃止)の検討状況

第6 会長の選挙,再投票,再選挙及びその他の役員の選任に関する日弁連会則の条文
第7 日弁連会長選挙における再投票の実例
第8 日弁連会長選挙における再選挙の実例
第9の1 令和2年度同3年度日弁連会長選挙における最多得票者の変化
第9の2 平成24年度同25年度日弁連会長選挙における最多得票者の変化

第10 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の日程
第11 関連記事

第1 再投票の取扱い
1 再投票
(1) 日弁連会長選挙において投票による最多得票者が当選者となるには,弁護士会の総数の三分の一を超える弁護士会(つまり,18弁護士会)において、それぞれ最多票を得ていなければなりません(日弁連会則61条2項)。
(2) 2月上旬の選挙において当選者が決まらなかった場合,得票の多い候補者2人について,3月中旬に再投票が行われます(日弁連会則61条の2,会長選挙規程50条参照)。
(3) 再投票の場合であっても,投票による最多得票者が当選者となるには,18弁護士会において、それぞれ最多票を得ていなければなりません(日弁連会則61条の2第2項・61条2項及び3項)。
   そのため,再投票で必ず当選者が決まるというわけではありませんから,「決選投票」という表現は正しくありません。
2 再投票と通常選挙の相違点
(1) 再投票は,以下の点で,2月上旬の通常選挙と異なります。
① 候補者が2人に限られること(日弁連会則61条の2第1項)。
→ 通常選挙の場合,候補者の人数の制限はありません。
② 選挙運動期間は20日間であること(会長選挙規程50条1項後段)。
→ 通常選挙の場合,選挙運動期間は30日間です(会長選挙規程19条参照)。
③ 立候補の手続及びその旨の弁護士会への通知は行わないこと(会長選挙規程50条1項前段)。
→ 通常選挙の場合,立候補の届出を受理した上で(会長選挙規程34条),候補者の氏名及び所属弁護士会を書く弁護士会に通知します(会長選挙規程37条1項)。
④ 現金300万円の納付は行わないこと(会長選挙規程50条1項後段)。
→ 通常選挙の場合,現金300万円を日弁連に納付する必要があります(会長選挙規程35条1項)。
⑤ 補充立候補の受付は行わないこと(会長選挙規程50条1項後段)。
→ 通常選挙の場合,候補者が2人以上ある場合において,立候補届出の期間経過後に死亡した候補者があるときは,投票日の10日前までに限り,補充立候補の受付が行われます(会長選挙規程38条1項)。
⑥ 選挙公報は発行しないこと(会長選挙規程50条1項後段)。
→ 通常選挙の場合,投票日の12日前までに選挙公報が有権者に発送されます(会長選挙規程52条1項)。
⑦ 公聴会は開催しないこと(会長選挙規程50条1項後段)。
→ 通常選挙の場合,全国7箇所で公聴会が開催されます(会長選挙規程51条1項及び3項)。
⑧ 郵便はがきの発送可能枚数の上限は有権者数と同じであること(会長選挙規程50条1項後段)。
→ 通常選挙の場合,郵便はがきの発送可能枚数の上限は有権者数の3倍です(会長選挙規程56条2項)。
(2) 一般の会員と関係のある部分は赤文字表記にしています。
3 新しい日弁連役員の就任時期
(1) 再投票によって当選者が決まった場合,4月1日付で当選者が日弁連会長に就任し,かつ,新しい日弁連事務総長が任命されます。
(2) 日弁連のその他の役員である,副会長,理事及び監事については,日弁連会長選挙とは全く別に,毎年3月の日弁連代議員会(日弁連会則42条)で選出されています(日弁連会則61条の4第1項及び役員選任規程2条)。
   そのため,日弁連のその他の役員は4月1日付で就任します(日弁連会則62条)。

第2 再選挙の取扱い
1 再選挙
(1) 再投票によっても当選者が決まらなかった場合,4月下旬に再選挙が行われます(日弁連会則61条の3参照)。
(2) 再投票は「投票」をやり直すものであるのに対し,再選挙は再投票と異なり,立候補者を募るところから改めて選挙をやり直すものです(会長選挙規程48条2項)し,公聴会も改めて実施されます。
(3) 再選挙の場合であっても,投票による最多得票者が当選者となるには,18弁護士会において、それぞれ最多票を得ていなければなりません(日弁連会則61条の3第2項・61条2項及び3項)。
   そのため,再選挙で必ず当選者が決まるというわけではありません。
2 新しい日弁連役員の就任時期
(1) 再選挙が行われる場合,4月1日以降,新たに日弁連会長が選任されるまでの間,従前の日弁連会長が引き続き職務を行います(日弁連会則63条4項)。
   日弁連事務総長については,日弁連理事会の議を経て日弁連会長が任命するものであり(日弁連会則82条の2第5項),任命時に終期を決めない形で任命されていますから,従前の日弁連事務総長が引き続き職務を行います。
(2) 再選挙によって当選者が決まった場合,日弁連選挙管理委員会による当選者の決定(会長選挙規程39条1項)の公示(会長選挙規程43条)があった日に当選者が日弁連会長に就任し(会長選挙規程44条),再選挙直後の日弁連理事会の議を経て,新しい日弁連会長によって新しい日弁連事務総長が任命されます。
(3) 日弁連のその他の役員である,副会長,理事及び監事については毎年3月の日弁連代議員会で選出されています(日弁連会則61条の4第1項及び役員選任規程2条)。
   そのため,新しい日弁連会長が決まらない場合であっても,日弁連のその他の役員は4月1日付で就任しています(日弁連会則62条)。

第3 再選挙の再投票の取扱い
1 再選挙の再投票
(1) 再選挙によっても当選者が決まらなかった場合,再選挙の再投票が行われます(日弁連会則61条の3第2項及び会長選挙規程48条2項参照)。
(2) 再選挙の再投票の場合であっても,投票による最多得票者が当選者となるには,18弁護士会において、それぞれ最多票を得ていなければなりません(日弁連会則61条の3第2項・61条2項及び3項)。
   そのため,再選挙の再投票で必ず当選者が決まるというわけではありません。
(3) 再選挙の再投票によっても当選者が決まらなかった場合の取扱いは不明です。
2 新しい日弁連役員の就任時期
(1) 再選挙の再投票が行われる場合,新たに日弁連会長が選任されるまでの間,従前の日弁連会長及び日弁連事務総長が引き続き職務を行います
(2) 再選挙の再投票によって当選者が決まった場合,日弁連選挙管理委員会による当選者の決定(会長選挙規程39条1項)の公示(会長選挙規程43条)があった日に当選者が日弁連会長に就任し(会長選挙規程44条),再選挙の再投票直後の日弁連理事会の議を経て,新しい日弁連会長によって新しい日弁連事務総長が任命されます。
(3) 日弁連のその他の役員である,副会長,理事及び監事は4月1日付で既に就任しています。

第4 18弁護士会で最多票を得ていなければならないとされた経緯
1 日弁連会長の直接選挙制度を導入する際,当初は,日弁連会長選挙において投票による最多得票者が当選者となるには,弁護士会の総数の四分の一を超える弁護士会(つまり,14弁護士会)においてそれぞれ最多票を得ていれば足りるとする日弁連会則改正案が検討されていました。
   しかし,当該改正案は昭和47年3月18日の日弁連代議員会で否決されたため,昭和49年1月19日の日弁連臨時代議員会及び同年2月23日の日弁連臨時総会では,弁護士会の総数の三分の一を超える弁護士会(つまり,18弁護士会)においてそれぞれ最多票を得ていなければならないとする日弁連会則改正案が採択されました。
2(1) ちなみに,昭和49年当時,国会議員選挙における議員定数の配分は原則として,立法政策の問題であるというのが最高裁判例でした(最高裁昭和49年4月25日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和39年2月5日判決)。
(2) 一票の格差が本格的に問題視されるようになったのは,最高裁大法廷昭和51年4月14日判決が出た後です(「最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧」参照)。
3 平成24年3月14日の再投票では,最多得票者である山岸憲司候補が14単位会を獲得していますし,令和2年2月7日の選挙では,山岸良太候補が14単位会を獲得しています。
   そのため,仮に当初の日弁連会則改正案が採択されていた場合,両候補の当選がこの時点で決まっていたこととなります。
4 「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」も参照してください。

第5 平成24年度における,会長選挙規程の改正案(3分の1条項の廃止)の検討状況
1 平成24年8月から平成25年1月までの間,日弁連理事会では,日弁連会長に当選するためには18単位会で最多得票を得なければならないという条項(以下「3分の1条項」といいます。)につき,再投票では適用しないとする会長選挙規程の改正案が検討されました。
   その際,候補者の固有名詞を思い描きながら議論することを避けるため,平成25年3月開催の臨時総会における,会長選挙規程の改正が目指されました。
2 日弁連会長が決まらないことの弊害として,以下の事項が当時の日弁連執行部から指摘されていました。
① 次の会長及び事務総長が決まるまでは,新年度の会務執行方針を策定することができない。
② 年度末及び年度初めは通常国会が開催されていて,様々な法案が成立するかどうかの瀬戸際で,組織としてしっかりした体制が必要となるところ,暫定的な会長代行及び事務総長の場合,最高裁判所及び各省庁に相手にされない。
③ 全く同じ要件で選挙を続けることについて,対外的には揶揄されたり,疑問を呈されたりする。
3(1) 日弁連の会長選挙制度に関するワーキンググループは平成24年10月10日付で答申を作成し,日弁連執行部は,同月25日付で,平成25年1月15日を締め切りとして,各単位会に対する意見照会を実施しました。
(2) 当該意見照会では,ワーキンググループの以下の二つの案が示されました。
A案:第1回目の投票においては,現行会規どおり会員の最多得票者が当選者となるためには弁護士会の総数の3分の1を超える弁護士会においてそれぞれ最多票を得ていなければならないものとしつつ,この規定による当選者がなかった場合には,得票の多い候補者2人について再投票を行い,再投票においては最多得票者が当選者となることとする。
B案:第1回目の投票及び再投票は現行会規どおりとし,再投票による当選者がなかった場合には同じ候補者2人について3月中に再々投票を行い,その最多得票者が当選者となるとする規定を新設する。
4 日弁連執行部は,各弁護士会に対する意見照会の結果に基づき,会長選挙規程の改正に必要となる3分の2以上の賛成を得られる状況にはないと判断しました。
   そのため,平成25年1月18日の日弁連理事会において,会長選挙規程の年度内の改正は見送られることとなりました。
5 平成24年度の日弁連会長は山岸憲司弁護士であり,日弁連事務総長は荒中弁護士(令和2年度同3年度日弁連会長)でした。

第6 会長の選挙,再投票,再選挙及びその他の役員の選任に関する日弁連会則の条文
1 会則61条(会長の選挙)
① 会長は、弁護士である会員の投票によって、弁護士である会員の中から、原則として現在の会長の任期が終わる年の二月中に選挙する。ただし、候補者が一人であるときは、投票は行わない。
② 投票による最多得票者が当選者となるには、弁護士会の総数の三分の一を超える弁護士会において、それぞれ最多票を得ていなければならない。
③ 弁護士会における最多票には、二人以上の同点者がある場合を含まない。
2 会則61条の2(再投票)
① 前条の規定による当選者がなかった場合には、得票の多い候補者二人について再投票を行う。
② 前条第二項及び第三項の規定は、再投票について準用する。
3 会則61条の3(再選挙)
① 候補者の死亡等により再投票ができなかった場合又は再投票によっても当選者がなかった場合には、再選挙を行う。
② 第六十一条(第一項中選挙の時期に関する部分を除く。)の規定は、再選挙について準用する。
4 会則61条の4(副会長、理事及び監事の選任)
① 副会長、理事及び監事は、代議員会において、弁護士である会員の中から、毎年三月中に選任する。ただし、同じ弁護士会に所属する会員の中から二人以上の副会長を選任することはできない。
② 前項ただし書の規定にかかわらず、女性が含まれる場合には、同じ弁護士会に所属する会員の中から二人まで副会長を選任することができる。
③ 常務理事は、理事が互選する。

第7 日弁連会長選挙における再投票の実例
1 平成22年度同23年度日弁連会長選挙では,平成22年3月10日の再投票の結果,宇都宮健児候補が当選し,同年4月1日に日弁連会長に就任しました。
2 平成24年度同25年度日弁連会長選挙では,平成24年3月14日の再投票によっても当選者が決まりませんでしたから,宇都宮健児候補(当時の日弁連会長)及び山岸憲司候補との間で同年4月27日に再選挙が実施されることになりました。
3 令和 2年度同 3年度日弁連会長選挙では,令和2年3月11日の再投票の結果,荒中(あらただし)候補が当選し,同年4月1日に日弁連会長に就任しました(「2020年の日弁連会長選挙の立候補者」,及び「2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子」参照)。

第8 日弁連会長選挙における再選挙の実例
1 2012年度の実例
(1) 平成24年度同25年度日弁連会長選挙では,平成24年4月27日の再選挙の結果,山岸憲司弁護士が当選し,日弁連選挙管理委員会による当選者の氏名の公示があった同年5月9日に日弁連会長に就任しました。
   また,会長予定者としての山岸憲司弁護士の提案を受けた平成24年5月1日の日弁連理事会の承認に基づき,荒中弁護士(令和2年度同3年度日弁連会長選挙の立候補者です。)が同月9日に日弁連事務総長に任命されました。
(2) 平成24年4月1日から同年5月8日までの間,宇都宮健児弁護士が引き続き日弁連会長の職務を行っていましたし,同月1日及び2日開催の日弁連理事会において議長をしていました。
2 その後の実例
   まだありません。

第9の1 令和2年度同3年度日弁連会長選挙における最多得票者の変化
1(1) 以下の6単位会では,山岸良太候補が一貫して最多得票者でした。
第二東京,静岡県(関弁連)
大阪,京都(近弁連)
鳥取県(中国弁連)
大分県(九弁連)
(2) 以下の25単位会では,荒中候補が一貫して最多得票者でした。
神奈川県,茨城県,山梨県(関弁連)
兵庫県,滋賀,奈良,和歌山(近弁連)
広島,山口県,島根県(中国弁連)
福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,宮崎県(九弁連)
仙台,福島県,山形県,岩手,秋田,青森県(東北弁連)
札幌,旭川,釧路(道弁連)
徳島(四弁連)
2 通常選挙→再投票を通じて,最多得票者が変化した21単位会は以下のとおりです(山岸→荒の7単位会は赤文字表記です。)。
(1) 関弁連(13単位会からなる弁連)
① 東京
山岸→荒
② 第一東京
山岸→荒
③ 埼玉
及川→山岸
④ 千葉
及川→荒
⑤ 栃木県
荒→山岸
⑥ 群馬
山岸→荒
⑦ 長野県
及川→荒
⑧ 新潟県
山岸→荒
(2) 近弁連(6単位会からなる弁連)
(なし。)
(3) 中部弁連(6単位会からなる弁連)
① 愛知県
川上→荒
② 三重
川上→荒
③ 岐阜県
川上→山岸
④ 福井
川上→荒
⑤ 金沢
川上→荒
⑥ 富山県
川上→荒(仮集計では同点)
(4) 中国弁連(5単位会からなる弁連)
① 岡山
山岸→荒
(5) 九弁連(8単位会からなる弁連)
① 鹿児島県
荒→山岸
② 沖縄
荒→山岸
(6) 東北弁連(6単位会からなる弁連)
(なし。)
(7) 道弁連(4単位会からなる弁連)
① 函館
(同点)→荒
(8) 四弁連(4単位会からなる弁連)
① 香川県
山岸→荒
② 高知
荒→山岸
③ 愛媛
山岸→荒
3 川上明彦候補が所属していた愛知県弁護士会における得票数の変化は以下のとおりです(開票結果ベース)。
荒   中 候補:42票(通常選挙)→659票(再投票)
山岸 良太 候補:36票(通常選挙)→247票(再投票)

第9の2 平成24年度同25年度日弁連会長選挙における最多得票者の変化
1(1) 以下の7単位会では,山岸憲司候補が一貫して最多得票者でした。
東京,第一東京,茨城県(関弁連)
大阪,和歌山(近弁連)
長崎県(九弁連)
徳島(四弁連)
(2) 以下の28単位会では,宇都宮健児候補が一貫して最多得票者でした。
横浜,埼玉,千葉県,栃木県,群馬,山梨県,長野県(関弁連)
京都,兵庫県,奈良,滋賀(近弁連)
愛知県,岐阜県,福井,金沢,富山県(中部弁連)
岡山,島根(中国弁連)
福岡県,佐賀県,長崎県,熊本,鹿児島県(九州弁連)
福島県,山形県,岩手,秋田(東北弁連)
札幌(道弁連)
2 通常選挙→再投票→再選挙を通じて,最多得票者が変化した17単位会の内訳は以下のとおりです(変化の前後を赤文字表記にしています。)
(1) 関弁連(13単位会からなる弁連)
① 第二東京
尾崎→山岸→山岸
② 静岡県
宇都宮→(同点)→宇都宮
③ 新潟県
山岸→宇都宮→山岸
(2) 近弁連(6単位会からなる弁連)
(なし。)
(3) 中部弁連(6単位会からなる弁連)
① 三重
山岸→宇都宮→山岸
(4) 中国弁連(5単位会からなる弁連)
① 広島
宇都宮→宇都宮→山岸
② 山口
宇都宮→山岸→宇都宮
③ 鳥取
尾崎→宇都宮→山岸
(5) 九弁連(8単位会からなる弁連)
① 大分
山岸→宇都宮→(同点)
② 宮崎県
宇都宮→山岸→山岸
③ 沖縄
宇都宮→宇都宮→山岸
(6) 東北弁連(6単位会からなる弁連)
① 仙台
宇都宮→宇都宮→山岸
(7) 道弁連(4単位会からなる弁連)
① 函館
山岸→山岸→宇都宮
② 旭川
宇都宮→山岸→宇都宮
③ 釧路
山岸→宇都宮→山岸
(8) 四弁連(4単位会からなる弁連)
① 香川県
宇都宮→山岸→山岸
② 高知
(同点)→山岸→山岸
③ 愛媛
宇都宮→宇都宮→山岸
3 尾崎純理候補が所属していた第二東京弁護士会における得票数の変化は以下のとおりです。
山岸 憲司 候補:199票(通常選挙)→838票(再投票)→815票(再選挙)

宇都宮健児 候補:410票(通常選挙)→630票(再投票)→580票(再選挙)

第10 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の日程
   令和2年度同3年度日弁連会長選挙の日程は以下のとおりです(令和元年7月11日の第二東京弁護士会の常議員会報告参照)。
・ 1月 8日(水):公示
・ 1月20日(月)~2月1日(土):合計7回の公聴会
・ 2月 3日(月)~2月6日(木):不在者投票
・ 2月 7日(金):投開票
・ 2月20日(木):再投票の公示
・ 3月 6日(金)~3月10日(火):再投票の不在者投票
・ 3月11日(水):再投票→即日開票
・ 4月24日(金):再選挙→即日開票
・ 6月10日(水):再選挙の再投票→即日開票

第11 関連記事
1 従前の日弁連会長選挙の結果の詳細については,以下の記事を参照してください。
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連の会長及び副会長
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 日弁連の事務総長及び事務次長
2 その他については,「日弁連役員に関する記事の一覧」も参照してください。

日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制

目次
第1 事前の選挙運動の禁止

1 会長選挙規程の定め
2 政策提言団体の活動の位置づけ
3 日弁連選挙管理委員会の説明
4 事前の選挙運動に該当するかもしれない事例
5 公職選挙の場合の取扱い
第2 選挙運動用ウェブサイトに対する規制
1 選挙運動用ウェブサイトに対する規制の概要
2 日弁連選挙管理委員会の説明内容
3 候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス
第3 発送する文書に対する規制
1 文書による選挙運動の量的制限
2 支持者間文書の取扱い
3 日弁連選挙管理委員会の説明内容
4 その他
第4 公開質問状に対する規制
第5 会長選挙規程55条ないし58条の条文
1 55条(選挙事務所)
2 56条(文書による選挙運動)
3 56条の2(ウェブサイトによる選挙運動)
4 56条の3(電子メールによる選挙運動)
5 57条(弁護士会等の選挙運動の禁止)
6 58条(禁止事項)
第6 選挙違反に対する警告書を日弁連ウェブサイトへ掲載する適否を判断する際の指針
第7 公職選挙における,言論による選挙運動
1 誰でもできる選挙運動
2 候補者だけができる選挙運動
第8 放送法4条1項の政治的公平の意義
第9 関連記事その他

第1 事前の選挙運動の禁止
1 会長選挙規程の定め
(1)ア 選挙運動用ウェブサイトの開設を含む選挙運動の期間は,立候補の届出が受理された時(つまり,公示日)から投票日の前日までであり(会長選挙規程53条),候補者及びその他の会員が選挙運動の期間外に選挙運動をすること(つまり,事前運動)は禁止されています(会長選挙規程58条1号)。
イ 日弁連会長選挙が再投票となった場合,最初の投票日から再投票の公示日までの間については,選挙運動をすることができません。
2 政策提言団体の活動の位置づけ
(1) 日弁連会長選挙の前年に設立される政策提言団体への賛同を呼びかける行為は,当該団体の単なる広報宣伝活動であって,特定の候補者への賛同を呼びかけているわけではないから,選挙運動には該当しないということになっていると思います。
(2) 政策提言団体の広報宣伝活動において,代表世話人が次期日弁連会長選挙に立候補する予定であるなどと書いてあることはありません。
(3) 日弁連会長選挙の場合,選挙事務所は2箇所以内に制限されている(会長選挙規程55条1項)関係で,政策提言団体は,日弁連会長選挙がある年の前年12月までに,東京及び大阪の2箇所に事務所を設置することが多いです。
3 日弁連選挙管理委員会の説明
(1) 日弁連委員会ニュース(2019年12月1日発行分)の選管ニュースには以下の記載があります。
① 日弁連人権擁護大会の会場前にて「~の会賛同のお願い」と題する文書を不特定多数の会員に配布し、その文中に「次期日弁連会長候補者として代表世話人の一人であるAを推薦しました。」との記述があった例があります。これは単なる「~の会」の広報宣伝活動とは受け取り難く、実質的選挙運動にあたる疑いがある(会規第58条第1号)として、警告が発せられました。
② 支持者や支援者向けのニュースであると銘打っても、文書内容が選挙運動にあたるものであれば、実態として支持者以外に配布されれば選挙違反になる可能性があります。
③ 選挙運動の期間は「立候補の届出が受理された時から投票日の前日」と厳格に定められています(会規第53条)。この期間外の選挙運動は認められておらず、前述の事例のとおり立候補届出前に「立候補者」、「立候補予定者」などの文言を用いることはできません。
(2) 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには以下の記載があります。
■立候補届出前に「選挙準備事務所」の設立が報道された事例
    このような報道を受けて、日弁連事務局が調査に入った事例(会規第55条違反の疑い)や、事実上の「立候補表明」との報道が相次いだ際に当該会員、各弁護士会に自粛を求めた事例(会規第53条違反の疑い)などがあります。
4 事前の選挙運動に該当するかもしれない事例
(1) 吉峯康博弁護士ブログ「日弁連会長選挙(2年に1回)とは?」(平成19年12月21日投稿)には,「『事前活動』は極めて大切です。2年に1回、会員の声・意見等にその土地に出向き直接耳を傾ける大切な機会です。私は22年間『事前活動』にも関与してきました。」と書いてあります。
(2) 平成20年5月30日から平成29年3月3日までの間,日弁連会員がインターネットで選挙運動をすることが禁止されていましたところ,吉峯康博弁護士ブログには,選挙運動の期間かどうかを問わず,宇都宮健児弁護士を応援する記事がたくさん投稿されていた気がします(例えば,「チェンジ 日弁連も?なぜ、私は、日弁連会長に宇都宮健児を推すのか?」(平成21年12月25日投稿))。
(3) 北奥法律事務所HP「次期日弁連会長(たぶん)にボロ負けした若僧が、18年後に一矢報いた?話~第1話~」(2019年6月7日付)には,「先日、次回の日弁連会長選挙に立候補を予定されている山岸良太弁護士が選挙運動の一環として岩手弁護士会の会員を対象に行った懇談会に参加してきました。」と書いてあります。
5 公職選挙の場合の取扱い
(1) 政治活動とは,政治上の目的を持って行われる一切の活動から,選挙運動にわたる行為を除いたものをいいます(千葉県浦安市HPの「選挙運動と政治活動」参照)。
(2)ア 公職選挙法239条1号の罪の構成要件である同法129条にいう選挙運動とは,特定の選挙の施行が予測せられ或は確定的となった場合,特定の人がその選挙に立候補することが確定して居るときは固より,その立候補が予測せられるときにおいても,その選挙につきその人に当選を得しめるため投票を得若しくは得しめる目的を以て,直接または間接に必要かつ有利な周施,勧誘若しくは誘導その他諸般の行為をなすことをいいます(最高裁昭和38年10月22日決定)。
イ 選挙運動・政治活動Q&A(周南市選挙管理委員会が令和2年3月に作成した文書)には以下の記載があります。
【Q1】
    事前運動とは具体的にどのようなものを指すのか。
【A1】
    選挙運動期間外の選挙運動(個々面接や電話による投票依頼など)は事前運動となり、後援会などの政治活動であっても、実態として氏名普及宣伝が主たる目的と認められる行為は、事前運動となり得る。例えば、告示日直前に不特定多数に立候補予定者の氏名が記載された政治活動用ビラや名刺を頒布することや、各戸に訪問することなどは事前運動に該当する恐れがある。その行為が行われた時期、方法、内容、数量等の態様により総合的に判断することになる。


第2 選挙運動用ウェブサイトに対する規制
1 選挙運動用ウェブサイトに対する規制の概要
・ 日弁連の会長選挙施行細則43条の3に基づき,①候補者は複数の選挙運動用ウェブサイトを開設してはいけませんし(2項),②選挙運動用ウェブサイトのアドレスは会長選挙が実施される年の西暦及び自己の氏名を含むものでなければなりませんし(2項),③日弁連,裁判所,法務省その他の公的機関ウェブサイトへのリンクしか設定できませんし(4項),④投票日の前日までしか更新できませんし(5項),⑤投票日の午後12時までに閉鎖しなければなりません(6項)。
2 日弁連選挙管理委員会の説明内容
・ 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには,「ウェブサイトによる選挙運動」として以下の記載があります。
Q4 候補者が利用できるウェブサイトは。
A4 候補者は、選挙運動用フェブサイトのみ利用できます。
Q5 選挙運動用ウェブサイトは、投票日も掲載したままにしておくことが認められているが、投票日の翌日以降も掲載したままにしておいてよいか。
A5 投票日の翌日以降も掲載したままにすることはできません。再投票や再選挙が行われる場合は、その選挙運動期間開始から改めて公開することができます。
Q6 候補者以外の会員が、会員個人のウェブサイトに、選挙運動用ウェブサイトをリンク先として表示することはできるか。
A6 できます。
Q7 選挙運動用ウェブサイトとして,FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使用することや、Youtubeやニコニコ動画などの動画共有サービスや、ニコニコ動画の生放送等動画中継サイトを利用することはできるか。
A7 いずれも私設のウェブサイトに当たらないため、できません。SNSユーザー間でやりとりするメッセージ機能も、同様です。
Q8 選挙運動用ウェブサイトに動画を掲載することはできるか。動画に、候補者以外の者が登場しても良いか
A8 動画の掲載は、できます。候補者以外の者が登場する動画についても、候補者の責任において掲載することができます。ただし、YouTubeなどの動画共有サービスを掲載することはできません(限定公開設定等の場合も含みます。)。
Q9 ポスターやはがきを、選挙運動用ウェブサイトに掲載することはできるか。
A9 できます。
Q10 選挙運動用ウェブサイトのURLを記載した二次元コードを、ポスターやはがきに記載することはできるか。
A10 できます。
Q11 既存の個人や団体のウェブサイトを、公示後も引き続き、選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできるか。
A11 できません。選挙運動用ウェブサイトは、選挙運動期間内に限り開設されるものでなければいけません。
(山中注)「◯◯を考える会」等のHPを,会長選の公示後,選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできないということです。
Q12 選挙運動用ウェブサイト上で、会員の意見を候補者に伝えることは可能か。
A12 候補者だけが読める形であれば、意見の送信は可能です。例えば、候補者を宛先とするメールのフォームが立ち上がるようにしておき、閲覧者から候補者に対して意見を送れるようにすることが考えられます。掲示板のように、他の閲覧者にも見えるような形をとることはできません。
Q13 候補者以外の会員が、FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用することは可能か。
A13 可能です。
3 候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス
(1) 候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレスは,日弁連の会員専用HPに掲載されます(日弁連の会長選挙施行細則43条の3第7項)。
(2)ア 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の場合,候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス(届出順です。)は以下のとおりであって,2020及び自己の氏名が含まれていました。
武内更一候補:takeuchikouichi2020.com
及川智志候補:oikawasatoshi2020.com
荒  中候補:2020aratadashi.com
山岸良太候補:2020yamagishi-ryota.jp
川上明彦候補:kawakami-akihiko2020.com
イ 令和4年度同5年度日弁連会長選挙の場合,候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス(届出順です。)は以下のとおりであって,2022及び自己の氏名が含まれていました。
及川智志候補:oikawasatoshi2022.com
小林元治候補:2022kobayashimotoji.com
髙中正彦候補:2022takanakamasahiko.jp

第3 発送する文書に対する規制
1 文書による選挙運動の量的制限
(1) 文書による選挙運動は,郵便はがきの発送及びポスターの掲示に限られていましたが,令和3年6月11日の改正により,ファクシミリによる文書の送信が解禁されました(日弁連の会長選挙規程56条1項)。
(2) 郵便はがき及びファクシミリの通数の合計は有権者数の3倍以内に制限されていますし(日弁連の会長選挙規程56条2項),ファクシミリ送信を希望しない会員は送信の停止を求めることができます(日弁連の会長選挙規程56条5項)。
(3) 選挙運動用電子メールについては,本文と添付ファイルを合わせて1通当たり2MB以下にする必要があります(日弁連の会長選挙施行規則43条の3第1項)。
2 支持者間文書の取扱い 
・ 文書による選挙運動に関する基準(令和元年11月の「日弁連会長選挙に関する質問と回答一覧表」24頁及び25頁に含まれている,令和元年7月11日付の日弁連選挙管理委員会の文書)には,「発送する文書について」として以下の記載があります。
(1) 支援者及び運動員同志の間で,並びにこれらの者と候補者の間で発送する文書は,選挙運動に当たらないとする。ただし,次の場合はこの限りでない。
イ  支援者又は運動員を限定せずに文書を発送する場合
ロ  「支援者間文書」等の表示をしていても実態が異なる場合及び実態と異なることが推測される場合
(2) 候補者,支援者及び運動員から,不特定多数の会員等に対して発送する文書は,それが選挙に関わるものである限り,形状及び内容を問わず選挙運動とみなす。
(3) 候補者,支援者及び運動員が不特定多数の会員に対して発送以外の方法で配布する文書は,それが選挙に関わるものである限り,形状及び内容を問わず選挙運動とみなす。
3 日弁連選挙管理委員会の説明内容
(1) 違反となる可能性がある事例
・ 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには,違反となる可能性がある事例として,以下の記載があります。
■支持者間文書を、支持者以外に広めるよう依頼した事例
    支持者間文書である『A選対ニュース』に、「この選対ニュースをできるだけ多くの方々に拡げてください」と記載されていた事例に対し、警告書が発せられました。支持者や支持者向けのニュースであると銘打っていても、文書の内容が選挙運動に当たるものであり、実態としても支持者以外に配布されれば選挙違反になる可能性があります。
    なお、「選挙運動」は、候補者の陣営に加わり、積極的に運動に参加している方でなくても行っているとみなされる場合がありますので注意してください。
■候補者のウェブサイトを紙に印刷して不特定の会員に配布した事例
    規定どおりに設置された選挙運動用ウェブサイトであっても、プリントアウトして配布した場合には文書による選挙運動に該当します。文書による選挙運動は、郵便はがき・ファクシミリの送信及びポスターの掲示に限られます。
■候補者の選挙運動用電子メールを知り合いの会員に転送した事例
    候補者からの選挙運動用電子メールを受信した会員が、知り合いの会員に転送して、「よろしく頼む」と言うことは、電子メールによる選挙運動に該当します。電子メールによる選挙運動は候補者以外には認められていません。候補者でない会員が、「A候補者のウェブサイトを見ていただきたい」と他の会員にメールを送ることも電子メールによる選挙運動に該当するおそれがあります。
(2) 文書による選挙運動に関するQ&A
・ 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには,「文書による選挙運動」として,以下の記載があります。
Q1 郵便はがきやファクシミリを送信するにあたり、どのような手続が必要か。
A1 あらかじめ、選挙管理委員会に対して発送通数等を申告します。その際、見本を添付します。
Q2 ファクシミリの送信枚数に、制限はあるか。
A2 一通当たりA4用紙1頁とします。
Q3 ファクシミリの停止を求めたい場合は、どうすれば良いか。
A3 ファクシミリに記載された候補者又は文書責任者に対し、送信停止を求めることができます。
4 その他
・ 私は,日弁連会長選挙において,いずれかの候補者の支援者又は運動員になったことはありませんが,「支持者間連絡文書」と題する文書がFAXされてくることがあります。

第4 公開質問状に対する規制

1 候補者は,会員から送付された公開質問状に対し,口頭,文書,ウェブサイト上のいずれの方法によって回答することもできます。
2 質問者が候補者の回答を文書や電子メールで配布することは,選挙運動違反に該当するおそれがあるため不可ですが,ウェブサイトで発信することはできます。


第5 会長選挙規程55条ないし58条の条文
1 55条(選挙事務所)

① 候補者は、選挙運動の期間中、委員会の承認を得て二箇所以内の選挙事務所を設けることができる。
② 候補者は、選挙の公正を疑わしめるような場所その他弁護士の名誉と品位を害するおそれのある場所に選挙事務所を設置してはならない。
③ 委員会は、前二項の規定に違反して選挙事務所の設置があると認めるときは、直ちに当該選挙事務所の閉鎖を命ずるものとする。
2 56条(文書による選挙運動)
① 文書による選挙運動は、郵便はがきの発送、ファクシミリによる文書の送信及びポスターの掲示に限るものとする。
② 選挙運動のために発送する郵便はがきの枚数及びファクシミリにより送信する文書(以下「ファクシミリ送信文書」という。)の通数の合計は候補者一人につき選挙権を有する会員の数の三倍以内とし、選挙運動のために掲示するポスターの規格、枚数及び掲示場所は委員会が定める。

③ 前項の郵便はがき及びファクシミリ送信文書には文書責任者の、ポスターには掲示責任者の法律事務所の所在場所又は住所及び氏名を記載し、ポスターにはあらかじめ委員会の証印を受けなければならない。
④ 委員会は、前二項の規定に違反して掲示されたポスターの撤去を命ずることができる。
⑤ ファクシミリ送信文書には、候補者又は文書責任者に対し送信停止を求めることができる旨を表示し、会員から送信停止を求められたときは、当該会員に対してファクシミリによる文書の送信をしてはならない。
3 56条の2(ウェブサイトによる選挙運動)
① 候補者は、ウェブサイトを利用する方法(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百四十二条の三第一項のウェブサイト等を利用する方法のうち、候補者以外の者が文書、図画等を掲載できないものをいう。以下同じ。)により、選挙運動をすることができる。
② 候補者が選挙運動のために利用するウェブサイト(以下「選挙運動用ウェブサイト」という。)は、選挙運動の期間中に限り開設される選挙運動専用のものでなければならない。ただし、投票日の前日までに掲載されたものは、投票日においても、掲載した状態に置いたままにすることができる。
③ 候補者は、選挙運動用ウェブサイトを開設するときは、選挙運動用ウェブサイトに掲載したものの記録を第五十九条に規定する期間が経過した日から三年間保存しなければならない。
④ 委員会は、必要があると認めるときは、候補者に対し、前項の記録の提出を求めることができる。
⑤ 選挙運動用ウェブサイトには、候補者の法律事務所の所在場所若しくは住所又は選挙事務所の所在場所及び候補者又は選挙事務所の電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。以下同じ。)を表示しなければならない。
⑥ 候補者以外の会員は、次に掲げる方法により選挙運動をすることができる。
一 選挙運動用ウェブサイト以外のウェブサイトに文書、図画等を掲載すること。
二 選挙運動用ウェブサイト以外のウェブサイトに選挙運動用ウェブサイトをリンク先として表示すること。
三 ソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用すること。
4 56条の3(電子メールによる選挙運動)
① 候補者は、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号に規定する電子メールをいう。以下同じ。)を利用する方法により、選挙運動をすることができる。
② 候補者は、選挙運動のために利用する電子メール(以下「選挙運動用電子メール」という。)の送信先である会員から、送信停止を求められたときは、当該会員に対して選挙運動用電子メールを送信してはならない。
③ 選挙運動用電子メールには、次に掲げる事項を表示しなければならない。
一 選挙運動用電子メールである旨
二 候補者の法律事務所の所在場所若しくは住所又は選挙事務所の所在場所
三 候補者に対し、選挙運動用電子メールの送信停止を求めることができる旨
四 電子メールの送信により前号に規定する求めを行う際の送信先となる電子メールアドレス

5 57条(弁護士会等の選挙運動の禁止)
弁護士会及び弁護士会連合会は、会合の主催その他の選挙運動をしてはならない。
6 58条(禁止事項)
① 候補者及びその他の会員は、選挙運動として次に掲げる行為をし、又は会員以外の者にこれをさせてはならない。
一 第五十三条に規定する期間外に選挙運動をすること。
二 第五十五条の規定に違反して選挙事務所を設けること。
三 第五十六条の規定に違反して文書による選挙運動をすること。
四 第五十六条の二又は第五十六条の三の規定に違反してウェブサイト又は電子メールを利用する方法による選挙運動をすること。
五 選挙権を有する会員の自宅又は法律事務所を戸別訪問すること。
六 新聞、雑誌その他の出版物に候補者に関する記事又は広告を掲載すること。
七 利益を授受し、又はその約束をすること。
八 供応をし、又はこれを受けること。
九 電報により投票を依頼すること。
十 投票のため乗り物を提供すること。
十一 候補者を誹謗し、その他不正な手段で他人の当選を妨げること。
十二 選挙事務所、弁護士会館、弁護士控室又は法律事務所以外の場所において会合すること。ただし、委員会の許可を得たときは、この限りでない。
十三 ウェブサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス又は電子メールを利用し、事実と異なる情報を発信すること。
② 候補者及びその他の会員は、選挙運動の期間中に、会員以外の者から選挙運動費用の寄附を受けてはならない。


第6 選挙違反に対する警告書を日弁連ウェブサイトへ掲載する適否を判断する際の指針
・ 選挙違反に対する警告書を日弁連ウェブサイトへ掲載する適否を判断する際の指針(令和3年7月9日付の日弁連選挙管理委員会の文書)は以下のとおりです。
1 委員会は,次の場合に,選挙違反に対する警告書の全文を日弁連ウェブサイトの会員専用ページに掲載する。

    その違反が悪質で,警告書の全文を広く選挙権を有する会員に周知することによって,選挙違反を抑止し,また警告書の実効性を確保することが適当であると委員会が判断した場合。

2 掲載する適否の判断は,委員会又は委員会の一任を受けた常任委員会において行う。
3 常任委員会における上記判断につき急速を要する場合は,常任委員会メーリングリスト,ファクシミリ等適宜の方法で意見交換することによって行う。
4 警告書の掲載期間は,当該選挙における当選者確定までとする。

第7 公職選挙における言論による選挙運動
1 誰でもできる選挙運動

(1)ア 選挙犯罪による公民権停止中でない限り,以下の行為については,選挙運動期間中に限り,誰でも自由に行うことができます(京都府HPの「自由にできる選挙運動 [選挙運動のルール ]」参照)。
① 幕間演説(まくまえんぜつ)
映画・演劇等の幕間,青年団・婦人会等の集会や,会社・工場等の休憩時間にそこに集まっている人を対象にして,選挙運動のための演説をすることです。
② 個々面接
・ デパート・電車・バスの中又は道路等でたまたま知人に会ったときなどに,その機会を利用して選挙運動をすることです。
・ 戸別に有権者の家等を訪ねて,選挙運動を行うこと(戸別訪問)は禁止されています。
③ 電話による選挙運動
・ 誰でも自由に行なえます。
イ 選挙運動期間というのは公示日から投票日の前日午後12時までですから,投票日の当日に選挙運動をすることはできません。
(2) 投票を電話により依頼する者及びそのための要員を確保して候補者の支援組織に派遣する者は,いずれも公職選挙法221条1項2号にいう「選挙運動者」に当たります(最高裁平成16年12月21日決定)。
2 候補者だけができる選挙運動
・ 候補者だけができる言論による選挙運動としては,演説会(公職選挙法161条ないし164条の3),街頭演説(公職選挙法164条の5ないし164条の7),連呼行為(公職選挙法140条の2)及び選挙運動放送(政見放送及び経歴放送)があります(高知市HPの「言論による選挙運動について」参照)。

第8 放送法4条1項の政治的公平の意義
1 政治的公平の解釈について(平成28年2月12日付の政府統一見解)の本文は以下のとおりです。
    放送法第4条第1項において、放送事業者は、放送番組の編集に当たって、「政治的に公平であること」や「報道は事実をまげないですること」や「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」等を確保しなければならないとしている。
    この「政治的に公平であること」の解釈は、従来から、「政治的問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであること」としており、その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の「番組全体を見て判断する」としてきたものである。この従来からの解釈については、何ら変更はない。
    その際、「番組全体」を判断するとしても、「番組全体」は「一つ一つの番組の集合体」であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことである。
    総務大臣の見解は、一つの番組のみでも、例えば、
① 選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合
② 国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合
    といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないとの考え方を示し、その旨、回答したところである。
    これは、「番組全体を見て判断する」というこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたもの。
    なお、放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものであり、放送事業者が、自主的、自律的に放送法を遵守していただくものと理解している。
以上
2(1) Wikipediaの「椿事件」には「椿事件(つばきじけん)は、1993年平成5年)に発生した全国朝日放送(愛称および現社名:テレビ朝日)による放送法違反(政治的な偏向報道)が疑われた事件である。当時、テレビ朝日の取締役報道局長であった椿貞良日本民間放送連盟(民放連)会合での発言に端を発したことからこの名で呼ばれる。」と書いてあります。
(2) 日弁連HPに「放送法の「政治的公平性」に関する政府見解の撤回と報道の自由の保障を求める意見書」(平成28年4月14日付)が載っています。

第9 関連記事その他
1 日弁連選挙管理委員会は,選挙運動が会長選挙規程又は会長選挙施行細則に違反する疑いがあるときは,当該候補者,当該選挙責任者その他の関係人から事情を聴取し,その他選挙運動に関する調査を行うことができます(平成12年11月21日改正後の会長選挙施行細則45条)。
2(1) 選挙運動をすることができる期間を規制し事前運動を禁止することは,憲法の保障する表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であるということができるのであって,公職選挙法129条をもって憲法21条に違反するものということはできません(最高裁大法廷昭和44年4月23日判決)。
(2) 奈良地裁令和5年1月18日判決(裁判長は45期の澤田正彦)及び大阪高裁令和5年7月19日判決(担当裁判官は37期の長井秀典38期の杉田友宏及び47期の野口卓志)は,令和3年10月の衆院選公示前に,自らへの投票を呼び掛ける文書を不特定多数の有権者(35箇所)に送ったとして,公選法違反(法定外文書頒布、事前運動)の罪に問われた日本維新の会所属の衆議院議員である前川清成(まえかわきよしげ)に対し,罰金30万円・公民権停止5年の有罪判決となりました。
3 公益社団法人東京広告協会HP「広告法規マニュアル 選挙と広告-インターネット活用編-(2014年3月)」が載っています。
4 以下の記事も参照してください。
(日弁連会長選挙関係)

・ 日弁連会長選挙
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の公聴会
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
(その他)
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 弁護士会の会派

2020年の日弁連会長選挙の立候補者の政策の骨子

目次
第1 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
第2 選挙運動用ウェブサイトに掲載されている,立候補者の政策の骨子
1 武内更一の政策要綱の骨子
2 及川智志の重点政策「概要」の骨子
3 荒中の「政策要綱」の骨子
4 山岸良太の「政策要綱」の骨子
5 川上明彦の「政策紹介」の骨子
第3 弁護士職務基本規程の改正案に対する立候補者の立場の骨子
第4 司法試験合格者数及び法曹養成制度に関する立候補者の立場の骨子
第5 関連記事等

第1 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
1(1) 立候補者の修習期及び所属弁護士会並びに選挙運動用ウェブサイト(氏名にリンクを張っています。)は届出順に,以下のとおりです(日弁連HPの「令和2年度同3年度日弁連会長選挙 選挙公報」参照)。
① 武内更一(38期・東京弁護士会)
② 及川智志(51期・千葉県弁護士会)
③ 荒  中(34期・仙台弁護士会)
④ 山岸良太(32期・第二東京弁護士会)
⑤ 川上明彦(34期・愛知県弁護士会)
(2) 荒候補及び山岸候補の間で,令和2年3月11日(水)に再投票が実施された結果,荒候補が当選しました。
2 過去最高立候補者数であった1986年及び2012年の日弁連会長選挙の立候補者数は4人でしたが,2020年の日弁連会長選挙の立候補者数は5人になりました。
3 「2020年の日弁連会長選挙の立候補者」も参照してください。

 

第2 選挙運動用ウェブサイトに掲載されている,立候補者の政策の骨子
1 武内更一の政策要綱の骨子
・ 貸与金返還請求を撤回させ、給費制を完全復活・遡及適用させよう
・ 弁護士激増政策と法科大学院制度を終わらせよう
・ 法テラスから扶助・国選の運営を取り戻せ
・ 弁護士活動をしばる「職務基本規程」改悪に反対
・ 弁護士自治と強制加入制を堅持しよう
・ 刑事司法大改悪への翼賛を止めよう
・ 憲法9条の破壊と緊急事態条項の新設を阻もう
2 及川智志の重点政策「概要」の骨子
(1) 及川智志でなければできない6つの政策(概要)
① 司法試験の年間合格者は1000人以下
② 誰でも受験できる司法試験にする(法科大学院を要件としない制度に)
③ 給費制の完全復活と「谷間世代」の不公正の是正
④ 立憲主義・恒久平和主義に反する憲法「改正」に反対する
⑤ 日本司法支援センターの報酬見直しと法律援助事業の国費化
⑥ 1人1人の会員が信頼を寄せることができる会務運営
(2) 及川智志の重点政策(概要)
① 弁護士の労働環境の改善
② 男女共同参画の推進
③ 若手弁護士の業務対策の推進
④ 非弁対策の強化
⑤ 憲法違反の悪法廃止、改悪法阻止
⑥ 国選弁護制度のさらなる拡充
⑦ 国選弁護報酬大幅引き上げ
⑧ 貧困問題対策のさらなる拡充
⑨ 消費者問題対策のさらなる発展
⑩ 災害対策・被災者支援活動のさらなる充実
⑪ カジノ解禁反対
⑫ 福島第一原発事故に基づく損害の完全賠償請求
⑬ 原子力発電所の廃止
⑭ 会費減額の検討
⑮ 弁護士偏在対応政策の見直し
⑯ 小規模単位会への補助の拡充
⑰ 地方単位会に過度な負担をかける会務の見直し
⑱ 再審法改正の実現を目指す
3 荒中の「政策要綱」の骨子
(1) 7つの重点政策
① 人権擁護活動をより一層充実させます。
② 国・自治体・法テラス等との連携により、権利擁護活動を持続可能な業務にするための取り組みを強化します。
③ 法の支配を全国津々浦々に行き渡らせるため、司法過疎対策に力を注ぎます。
④ 若手会員の活動を支援します。
⑤ 弁護士自治の堅持と単位会への支援に取り組みます。
⑥ 法曹養成制度改革と法曹人口問題に取り組みます。
⑦ 予算執行が適正であるかを常に見直し、会費の減額も含めて、あり方を検討します。
(2) 政策実現へ向けたアクションプラン
ア 人権擁護活動
① 高齢者・障がい者の権利の拡充
② 災害被災者の権利の確立
③ 被疑者・被告人と弁護人の権利の確立を中心とした刑事司法制度の改革
④ 子どもの権利の拡充
⑤ 犯罪被害者の権利の拡充
⑥ 犯罪加害者家族の権利の確立
⑦ 消費者の権利の拡充
⑧ 労働者・生活困窮者の権利の拡充
⑨ 男女共同参画への対応・性の多様性と平等の保障
⑩ 外国人の権利の拡充
⑪ 患者の権利の確立
⑫ 事業者による法令等の遵守の徹底による権利の実現
⑬ 法教育活動の一層の充実
⑭ 死刑制度廃止に向けて
⑮ 国際水準の人権保障を日本にも
イ 国・自治体等との連携
① 高齢者・障がい者の支援事業との連携等自治体の弱者支援業務との連携の強化
② 大規模災害対応での自治体との連携の強化
③ 児童相談所、学校等との連携の強化
④ DV被害支援事業との連携の強化
⑤ 再犯防止のための地方自治体との連携の強化
⑥ 権利擁護等の活動を支援するための財政的基盤整備
ウ 立憲主義と憲法の基本原理の堅持
エ 司法発展と弁護士業務拡充の取り組み
① 新規の業務、対応不十分な業務への取り組みの強化
② 弁護士費用保険のさらなる充実と適切な運営に向けて
③ 隣接士業との職域明確化等への取り組み
④ 事業者への良質かつ適切なリーガルサービスの提供
⑤ 市民が利用しやすい民事司法の実現
オ 弁護士・弁護士会への信頼を守るための取り組み


4 山岸良太の「政策要綱」の骨子
(1) 立候補にあたり-頼りがいのある司法を築く
・ 憲法・人権・平和で頼りがいのある司法を築く
・ 業務基盤を確立し頼りがいのある司法を築く
(2) 7つの重点政策
① 立憲主義・恒久平和主義を堅持し、弁護士の活動の基盤をゆるぎないものにします
② 弁護士の独立・自治、法律事務の独占を堅持します
③ 弁護士過疎・偏在対策及び中・小規模弁護士会への実効的な支援を実行します
④ 若手弁護士への支援を具体化します
⑤ 弁護士の活動領域と新たな業務の拡大を目指します
⑥ 男女共同参画の更なる推進を~日弁連、弁護士会、弁護士のあらゆる活動場面に男女共同参画の視点を取り込みます
⑦ 法曹養成・法曹人口問題に取り組みます
(3) 持続性をもって発展させる重要政策
① 人権擁護活動をさらに推進します
② 刑事司法改革に強力に取り組みます
③の1  市民のための司法サービスとしての頼りがいのある司法を築く-弁護士の活動領域を拡大します
③の2 頼りがいのある民事司法を築く-民事司法改革への取組みを更に強化します
④ 日弁連・弁護士会から社会に情報を発信し、広報の拡充に努めます
⑤ 弁護士の活動環境(保険・年金)を整備します
 川上明彦の「政策紹介」の骨子
(1) 3×3の重点政策 全体像
・ 合格者数1000人
・ 会員ページの刷新
・ 財政の見直しと10%会費減額
・ 若手活躍のための支援・業務拡大
・ 若手のための広報戦略
・ 法テラス報酬の適正化運動
・ 地方と司法
・ 日弁連行事のICTによる活性化
・ 谷間世代の救済運動の継続
(2) 新しい基礎政策への取り組み
・ 対談 近未来の日弁連と憲法・人権問題を考える
・ 刑事司法を変革する3つの運動
・ 真の男女共同参画を目指して

第3 弁護士職務基本規程の改正案に対する立候補者の立場の骨子
1 オギ法律事務所HP「弁護士職務基本規定改正に関する日本弁護士連合会 会長候補者への公開質問状に対する回答内容」の「問1 職務基本規程改正案の意義と課題について」によれば,以下のとおりです(令和2年1月23日更新)。
① 武内更一候補
・ 法令上の根拠のない義務を新たに弁護士に課すものであり、立法事実もないため、反対。

② 及川智志候補
・ 改正の具体的立法事実が存在しない一方、重大な弊害が想定されるので、反対。
③ 荒中候補
・ 現行職務基本規程が制定されて15年が経過し、弁護士を取り巻く環境は大きく変化して いる。時代に合わせた規程へと改正するという目的は理解できる。ただし、人権擁護活動 に支障を来しかねないので、単位会や会員との意見交換をしながら、十分な検討が必要。
④ 山岸良太候補
・ 改正については、慎重に検討すべき。
⑤ 川上明彦候補
・ 改正に必要な立法事実などが明らかにされた上で、会員の納得の得られる改正案が提示されるべき。
・ 23条2項(依頼者以外の名誉等への配慮規定)の新設は反対。
・ 23条の2(依頼者の秘密の利用)については、現行規程とどの程度違いが出るのか不明であるため、過去の事例などについて一般会員に蓄積内容を説明した上で、意見を聴取すべき。
2 オギ法律事務所HP「弁護士職務基本規程改正に関するQ&A(7月12日現在)」には,2019年7月12日当時の改正案に関するQ&Aが載っています。
3 あらし会HP(代表弁護士は荒中候補)の「【お知らせ】 職務基本規程の改正問題に対するあらし会の考え方について」には以下の記載があります。
 職務基本規程の改正問題、とりわけ守秘義務に関する規定の改正案について、ご質問をいただく機会がありますので、あらし会としての考え方をお知らせします。
 守秘義務に関する規定の改正案については、明確に反対の立場です。
 職務基本規程の改正によって、弁護士の日々の業務や人権擁護活動が制約され、自ら萎縮してしまうようなことがあってはならないと考えておりますし、懲戒請求の濫用についても、現在既に生じている喫緊の課題として、直ちに対策を講じるべきと考えます。

第4 司法試験合格者数及び法曹養成制度に関する立候補者の立場の骨子
1 54期の藤本一郎弁護士が運営している藤本大学HP「2020日弁連会長選挙 公開質問状と回答」には,以下の記載があります(改行を追加しています。)。
① 司法試験合格者数について
・ 適切なまとめになるかどうか分かりませんが、五候補とも、年間合格者数を現状の1500名から増やすべきとのお考えはないように感じました。
   その上で、武内候補、及川候補及び川上候補は、直ちに特定の目標を掲げて減らすとの意図があり(具体的な減員数は、候補により違います。)、山岸候補及び荒候補は、もう少し議論して「検証」してから次の人数目標を決めるべきとの意図があるように感じます(但し、両候補のニュアンスには、減員を感じさせるものがあるようにも感じます。明確には判断できませんでしたが、敢えて山岸候補と荒候補の相違を考えるとすれば、「人口減少を考慮」と「社会の需要等を考慮」だとすれば、前者は、減少しかないのに対し、後者は増加があり得るとすると、山岸候補の方が、より司法試験合格者数の維持に消極的と言うことができるかもしれません。)。
② 法曹養成制度について
・ 適切なまとめになるかどうか分かりませんが、全体的に、武内候補、及川候補及び川上候補は、今回の法科大学院制度改革を否定的に捉え(但し、3人の中でニュアンスが少しずつ異なります。)、法科大学院のプレゼンスを弱める方向に、荒候補及び山岸候補は、今回の法科大学院制度改革を積極的に捉え、ただ、その悪影響を緩和する方向に政策を考えているとまとめることはできるかもしれません。
   この点についての荒候補と山岸候補の相違は、判然としませんでした。
2 藤本大学HP「2020日弁連会長選挙 公開質問状と回答」には,候補者の回答全文が載っています。

第5 関連記事等
1 以下の記事も参照してください。
① 日弁連会長選挙
② 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
③ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
④ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
⑤ 2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
⑥ 2020年の日弁連会長選挙の立候補者
⑦ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
⑧ 日弁連役員に関する記事の一覧
⑨ 日本弁護士国民年金基金
⑩ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
2 32期の山岸良太弁護士は,平成18年度から平成23年度までの間,日本弁護士国民年金基金の資産運用委員長をしていました。


日本弁護士国民年金基金の総括表(平成31年3月22日の第6回財政再計算報告書からの抜粋)