その他役所関係

任期満了により衆議院議員が失職した場合における,参議院の緊急集会の開催の可否

1 総論
(1) 憲法54条2項は,「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」と定めています。
(2) 任期満了により衆議院議員が失職したことを受けて昭和51年12月5日,第34回衆議院議員総選挙が実施されたものの,日本国憲法下では,それ以外に任期満了により衆議院議員が失職した事例はありません。

2 政府答弁
(1) 横畠裕介内閣法制局長官は,平成30年2月6日の衆議院予算委員会において以下の答弁をしています。
   参議院の緊急集会についてでございますけれども、憲法第五十四条第二項は、「衆議院が解散されたときは、」と冒頭に規定しております関係で、任期満了により衆議院議員がいなくなったという場合にこの緊急集会が開けるのかという論点が確かにございます。
   この点につきましては、昭和五十一年に、必ずしも大災害という前提ではございませんけれども、内閣法制局において検討したことがございます。
   そのときは、1参議院の緊急集会の制度は、極めて特殊な場合の変則的、異例の措置であって、解散という予期しない事態の場合に限って、特に明文の規定をもって認めたものであり、それ自体としても抑制的に運用されるべきものであるため、消極的に解すべきであるという見解、2解散による選挙と任期満了による選挙の間に根本的な差異があるとは考えられず、解散の場合の条件よりも厳格に考えるべきであるが、真に国政上の緊急の必要があるときは、憲法第五十四条第二項の類推適用が許されるという見解の両論がありましたが、結論を得るに至っておりません。
   いずれにせよ、この問題につきましては、憲法上の国会の権能に関する重要な事柄でございますので、国会で御議論をいただくのが適当であると考えます。
(2) 参議院議員蓮舫君提出災害対策としての選挙制度の在り方等に関する質問に対する答弁書(平成28年3月18日付)には以下の記載があります。
   御指摘の「過去の検討状況及び過去の答弁等」を網羅的にお答えすることは困難であるが、旧憲法調査会法(昭和三十一年法律第百四十号)第一条の規定により内閣に置かれた憲法調査会の昭和三十四年七月二十二日及び九月二十三日に開催された第二委員会において、衆議院議員の任期満了による総選挙は、原則的には任期満了以前に行われるが、常会の会期が衆議院議員の任期満了によって終了するような場合には、総選挙は任期満了後に行われることになり、このあとの場合に何らかの緊急事態が発生したときには、衆議院解散の場合と同じく、緊急集会的制度が必要なのではないかという指摘がされたことがあると承知している。
   また、衆議院議員の任期満了による総選挙が行われた昭和五十一年には、内閣法制局において検討したことがあるが、結論を得るに至っていないものと承知している。

3 最高裁大法廷判決における反対意見
(1) 最高裁大法廷平成30年12月19日判決における山本庸幸裁判官(元 内閣法制局長官)の反対意見には以下の記載があります。
① 私は,現在の国政選挙の選挙制度において法の下の平等を貫くためには,一票の価値の較差など生じさせることなく,どの選挙区においても投票の価値を比較すれば1.0となるのが原則であると考える。その意味において,これは国政選挙における唯一かつ絶対的な基準といって差し支えない。ただし,人口の急激な移動や技術的理由などの区割りの都合によっては1~2割程度の一票の価値の較差が生ずるのはやむを得ないと考えるが,それでもその場合に許容されるのは,せいぜい2割程度の較差にとどまるべきであり,これ以上の一票の価値の較差が生ずるような選挙制度は法の下の平等の規定に反し,違憲かつ無効であると考える。
② 仮にこれらの議員(山中注:一票の価値が0.8以上の選挙区から選出された議員及び訴訟の対象とされなかった選挙区がある場合にあってはその選挙区から選出された議員)によっては院の構成ができないときは,衆議院が解散されたとき(憲法54条)に準じて,内閣が求めて参議院の緊急集会を開催し,同緊急集会においてその新しい選挙区の区割り等を定める法律を定め,これに基づいて次の衆議院議員選挙を行うべきものと解される。
(2) 選挙無効の判決により多数の衆議院議員が失職した結果,衆議院の構成ができなくなるという事態を憲法が想定しているとは思えませんから,このような事態が生じた場合,任期満了により衆議院議員が失職した場合以上に参議院の緊急集会を開催できる法的根拠はない気がします。

4 明治憲法下における任期満了総選挙
(1) 明治憲法下における衆議院議員総選挙は23回ありましたところ,そのうち,任期満了によるものは4回であり,以下の日付で実施されました(Wikipediaの衆議院議員総選挙参照)。
1902年8月10日(第7回)1908年5月15日(第10回)1912年5月15日(第11回)1942年4月30日(第21回)
(2) 1924年5月10日の第15回総選挙は,1924年1月31日の解散を受けて実施されたものですが,関東大震災の影響により選挙人名簿の作成が遅れた結果,タイミング的には任期満了総選挙となりました。

5 関連記事
   「最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧」も参照してください。

日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令

1 ポツダム緊急勅令及びポツダム命令
(1) ポツダム緊急勅令とは,緊急勅令(明治憲法8条1項)として制定された,「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(昭和20年9月20日勅令第542号)をいい,その本文は以下のとおりです。
   政府ハ「ポツダム宣言」ノ受諾ニ伴ヒ聯合國最高司令官ノ爲ス要求ニ係ル事項ヲ實施スル爲特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ爲シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得
(2)ア ポツダム緊急勅令は,昭和20年12月,明治憲法8条2項に基づき帝国議会の承諾を得ています。
   そのため,旧憲法下の法律としての効力を有していましたし,ポツダム緊急勅令に基づくポツダム命令も,日本国憲法の施行及び日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(昭和22年4月18日法律第72号)により失効することはないとされました(「昭和二十三年政令第二百一号の効力について」(昭和23年9月3日閣議決定)参照)。
イ ポツダム命令の総数は526件であって(Wikipediaの「ポツダム命令」参照),例えば,出入国管理令(昭和26年10月4日政令第319号。現在の出入国管理及び難民認定法)はポツダム命令の一種です(ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律(昭和27年4月28日法律第126号)1条及び4条参照)。
(3)ア ポツダム命令は,ポツダム緊急勅令に基づいて制定された命令であって,勅令,閣令又は省令という形式を取っていました(昭和二十年勅令第五百四十二号(「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件)施行ニ関スル件(昭和20年9月20日勅令第543号))。
   なお,閣令とは,明治憲法時代に内閣総理大臣が発した命令をいいます。
イ 昭和22年5月3日の日本国憲法施行後は,政令(いわゆるポツダム政令),総理庁令・法務府令及び省令という形式に変更されました(日本國憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令(昭和22年5月3日政令第14号)2項)。
   なお,総理庁令は,行政官庁法(昭和22年4月18日公布の法律第69号)6条に基づくものであって,国家行政組織法(昭和23年7月10日法律第120号)が施行された昭和24年6月1日以降は総理府令がこれに当たるものとなりました。
(4) ポツダム命令は,日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有していました(最高裁大法廷昭和28年4月8日判決)。
(5)ア ポツダム緊急勅令は,日本国との平和条約が発効した昭和27年4月28日に廃止されました。
イ ポツダム命令は,別に法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合,昭和27年4月28日から起算して180日間に限り,法律としての効力を有するものとされました。
ウ ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律(昭和27年4月11日法律第81号)が根拠法です。
(6) 判例時報1472号(平成5年12月21日号)の「ポツダム緊急勅令・ポツダム命令」(重要法令関係慣用語の解説132)が非常に参考になります。

2 占領期間中の法的効力に関する判例
(1) 最高裁大法廷昭和25年2月1日判決(昭和21年から昭和27年に実施された公職追放に関する裁判例です。)は,以下の判示をしています。
   追放は、前示一九四六年一月四日の覚書(山中注:昭和21年1月4日附連合国最高司令官覚書「公務従事ニ適シナイ者ノ公職カラノ除去ニ関スル件」のこと。)を履行するために行われる特別な行政処分であつて、日本国憲法の枠外にある冷厳な処分であるから、これが手続一切はその初頭たると中途たると結果たるとを問わずすべて日本の裁判所の権限外であり、従つて、その手続の結果追放処分が行われたときは、その処分の根拠が真実であるか又は充分であるか等処分の根拠の有無を審理することは日本の裁判所の権限内にないものと解すべきである。
(2)ア 最高裁大法廷昭和28年4月8日判決(政令第201号違反事件に関する判例です。)は,以下の判示をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 連合国の管理下にあつた当時にあつては、日本国の統治の権限は、一般には憲法によつて行われているが、連合国最高司令官が降伏条項を実施するため適当と認める措置をとる関係においては、その権力によつて制限を受ける法律状態におかれているものと言わねばならぬ。すなわち、連合国最高司令官は、降伏条項を実施するためには、日本国憲法にかかわりなく法律上全く自由に自ら適当と認める措置をとり、日本官庁の職員に対し指令を発してこれを遵守実施せしめることを得るのである。
② かかる基本関係に基き前記勅令第五四二号、すなわち「政府ハポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ聯合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為、特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得」といふ緊急勅令が、降伏文書調印後間もなき昭和二〇年九月二〇日に制定された。この勅令は前記基本関係に基き、連合国最高司令官の為す要求に係る事項を実施する必要上制定されたものであるから、
日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有するものと認めなければならない。
イ 政令第201号事件(別名は,「国鉄弘前機関区事件」です。)というのは,昭和23年7月31日政令第201号1条1項の「公務員は、何人といえども同盟罷業又は怠業的行為をなし、その他国又は地方公共団体の業務の運営能率を阻害する争議行為をとってはならない」に違反するということで起訴された事件です。
(3) 最高裁大法廷昭和35年4月18日決定(昭和24年から昭和25年に実施されたレッドパージに関する裁判例です。)は,以下の判示をしています。
   平和条約発効前においては、わが国の国家機関及び国民は、連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実且つ迅速に服従する義務を有し(昭和二〇年九月二日降伏文書五項、同日連合国最高司令官指令一号一二項)、わが国の法令は右指示に牴触する限りにおいてその適用を排除されるものであることは、当法廷の判例とするところである昭和二六年(ク)一一四号、同二七年四月二日大法廷決定、民集六巻四号三八七頁参照)。

3 占領期間終了後の法的効力に関する判例
(1)ア 最高裁大法廷昭和28年7月22日判決は,いわゆる「アカハタ及びその後継紙、同類紙の発行停止に関する指令」(1ヶ月間の発行停止を指示したのが昭和25年6月26日付(朝鮮戦争発生の翌日です。)であり,無期限の発行停止を指示したのが同年7月18日付です。)についての昭和25年政令第325号違反被告事件について,10人の多数意見により免訴判決を出しました。
イ 6人の意見(真野毅,小谷勝重,島保,藤田八郎,谷村唯一郎及び入江俊郎の意見)は,政令第325号は,占領状態の継続及び最高司令官の存続を前提とするものであるから,昭和27年4月28日の平和条約発効と同時にその効力を失い,「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」に当たるし,政令第325号の効力を維持する法律は,既に失効した政令第325号の罰則を事後的に復活させている点で憲法39条に違反するとするものでした。
   4人の意見(井上登,栗山茂,河村又介及び小林俊三の意見)は,政令第325号は,アカハタ等についてあらかじめ全面的にその発行を禁止するものである点で明らかに憲法21条に違反するから,昭和27年4月28日の平和条約発効と同時にその効力を失い,「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」に当たるし,政令第325号の効力を維持する法律はその内容からして憲法21条に違反するとするものでした。
   4人の反対意見(田中耕太郎,霜山精一,斎藤悠輔及び本村善太郎の反対意見)は,「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」とは,犯罪後の法令により,既に発生,成立した刑罰権を特に廃止する国家意思の発現があったときをいうところ,本件では大赦令の対象となったわけではないし,政令第325号の効力を維持する法律まで制定されたわけであるから,「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。」に当たらないし,政令第325号の合憲性の判断をすべきではないということで,上告棄却とすべきとしました。
イ アカハタは,昭和41年2月1日に「赤旗」となり,平成9年4月1日に「しんぶん赤旗」となりました。
ウ 政令第325号の正式名称は,占領目的阻害行為処罰令(昭和25年11月1日政令第325号)であり,その前身は,聯合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令(昭和21年6月12日勅令第311号)です。
エ 政令第325号の効力を維持する法律の正式名称は,ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関係諸命令の措置に関する法律(昭和27年5月7日法律第137号)です。
(2) 最高裁大法廷昭和28年7月22日判決はなぜか裁判所HPに載っていないものの,同趣旨の判断をした最高裁大法廷昭和28年12月16日判決及び最高裁大法廷昭和30年4月27日は裁判所HPに載っています。

国家公務員の懲戒に関する人事院規則及び人事院事務総長通達

   人事院規則12-0(職員の懲戒)は太字表記とし,これに対応する人事院規則12-0(職員の懲戒)の運用について(昭和32年6月1日付の人事院事務総長通達)の記載をその直後に載せています(令和2年5月27日現在の内容です。)。

(総則)
第一条 職員の懲戒は、官職の職務と責任の特殊性に基いて法附則第十三条の規定により法律又は規則をもつて別段の定をした場合を除き、この規則の定めるところによる。

(停職)
第二条 停職の期間は、一日以上一年以下とする。
第2条関係
停職の期間計算は、暦日計算による。

(減給)
第三条 減給は、一年以下の期間、俸給の月額の五分の一以下に相当する額を、給与から減ずるものとする。
第3条関係
1 減給は、休職、病気休暇等のため、俸給を減ぜられている場合でも、本来受けるべき俸給の月額(俸給の調整額を含む。)を基礎として計算した額を、給与から減ずるものとする。
2 減給は、職員が本来受けるべき俸給を変更するものではないから、俸給を計算の基礎とする手当等に影響を及ぼすものではない。
3 減給の期間は月単位で表示し、その効力発生の日の直後の俸給の支給定日(効力発生の日と俸給の支給定日とが同日の場合は、次の俸給の支給定日)から、減給期間として示された月数に応じ、各俸給の支給定日ごとに減給分を差し引くこととする。
月2回払の場合 減給の割合による額の2分の1
月1回払の場合 減給の割合による額
4 減給期間中に昇給・昇格・休職その他俸給が変更した場合にも、減給の計算については、減給発令時の俸給を基礎とする。
5 減給期間中に離職する場合には、最終の俸給の支給定日の減給の額をもって打ち切るものとする。
6 減給に際し、支給される給与(俸給の支給定日に支給されるべき給与の総額をいう。以下同じ。)がない場合には、当該支給定日に減ずる減給分は打ち切るものとする。また、支給される給与の額が当該俸給の支給定日に減ずる減給の額にみたないときは、支給される給与の額をもって、当該支給定日に減ずる減給分は打ち切るものとする。

(戒告)
第四条 戒告は、職員が法第八十二条第一項各号のいずれかに該当する場合において、その責任を確認し、及びその将来を戒めるものとする。

(懲戒の手続)
第五条 懲戒処分は、職員に文書を交付して行わなければならない。
2 前項の文書の交付は、これを受けるべき者の所在を知ることができない場合においては、その内容を官報に掲載することをもつてこれに替えることができるものとし、掲載された日から二週間を経過したときに文書の交付があつたものとみなす。
3 第一項の文書に記載すべき事項は、人事院が定める。
第5条関係
1 懲戒処分の効力は、懲戒処分書を職員に交付したときに発生する。
2 期間を限って雇用される職員の停職および減給は、現に任用されている期間内に限られる。
3 本条に定める文書(以下「懲戒処分書」という。)の様式は、任命権者(任命権の委任が行われた場合には、その委任を受けた者。以下同じ。)の定めるところによる。
4 懲戒処分書には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 「懲戒処分書」の文字
二 懲戒処分に係る職員の占める官職の組織上の名称、職務の級又はその他の公の名称
三 懲戒処分に係る職員の氏名
四 懲戒処分の内容
五 懲戒処分を発令した日付
六 「任命権者」の文字及び任命権者の組織上の名称
七 任命権者の氏名及び官印
5 前項第四号により、懲戒処分の内容を記入するについては、当該懲戒処分に応じて次の各号に掲げる事項を記入するものとする。
一 免職する場合
「甲(根拠法令の条項を表示する。以下同じ。)により、懲戒処分として免職する。」
二 停職する場合
「甲により、懲戒処分として、月(日)間停職する。」
三 減給する場合
「甲により、懲戒処分として、月間俸給の月額の 分の一を減給する。」
四 戒告する場合
「甲により、懲戒処分として戒告する。」

(他の任命権者に対する通知)
第六条 任命権者を異にする官職に併任されている職員について懲戒処分を行つた場合においては、当該処分を行つた任命権者は、他の任命権者にその旨を通知しなければならない。

(処分説明書の写の提出)
第七条 任命権者は、懲戒処分を行つたときは、法第八十九条第一項に規定する説明書の写一通を人事院に提出しなければならない。
第7条関係
処分説明書の写の提出は、当該処分の発令の日から1ヶ月以内とする。

(刑事裁判所に係属する間の懲戒手続)
第八条 任命権者は、懲戒に付せられるべき事件が刑事裁判所に係属する間に、同一事件について懲戒手続を進めようとする場合において、職員本人が、公判廷において(当該公判廷における職員本人の供述があるまでの間は、任命権者に対して)、懲戒処分の対象とする事実で公訴事実に該当するものが存すると認めているとき(第一審の判決があつた後にあつては、当該判決(控訴審の判決があつた後は当該控訴審の判決)により懲戒処分の対象とする事実で公訴事実に該当するものが存すると認められているときに限る。)は、法第八十五条の人事院の承認があつたものとして取り扱うことができる。
2 任命権者は、前項の規定により懲戒手続を進め、懲戒処分を行つた場合には、当該懲戒処分について前条の規定により処分説明書の写を人事院に提出する際に、前項に該当することを確認した資料の写を併せて提出するものとする。
第8条関係
任命権者が本条第2項の規定により処分説明書の写に併せて提出する資料は、次のとおりとする。
一 起訴状の写
二 任命権者が作成した公判廷における傍聴記録で職員本人の供述を記したもの(当該供述があるまでの間は任命権者に対する職員本人の供述調書又は自認書)の写
三 判決書又は任命権者が作成した公判定における傍聴記録で判決の内容を記したものの写(判決があった場合に限る。)
四 その他関係する資料

(国の事務又は事業と密接な関連を有する業務を行う法人)
第九条 (省略)

* 関係する国家公務員法の条文は以下のとおりです。
(刑事裁判との関係)
第八十五条 懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない。
(職員の意に反する降給等の処分に関する説明書の交付)
第八十九条 職員に対し、その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行わうとするときは、その処分を行う者は、その職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
○2 職員が前項に規定するいちじるしく不利益な処分を受けたと思料する場合には、同項の説明書の交付を請求することができる。
○3 第一項の説明書には、当該処分につき、人事院に対して審査請求をすることができる旨及び審査請求をすることができる期間を記載しなければならない。

国税庁長官及び東京国税局長の事務引継資料(令和元年7月頃の文書)

1 令和2年4月10日付の国税庁長官の開示決定通知書によって開示された,国税庁長官の引継資料を以下のとおり掲載しています。
・ 長官官房
   総務課人事課会計課企画課及び参事官国際業務課及び相互協議室厚生管理官,監察官室及び税務相談官
・ 課税部
   課税総括課消費税室審理室個人課税課資産課税課法人課税課酒税課鑑定企画官
・ 徴収部(管理運営課及び徴収課)
・ 調査査察部(調査課及び査察課)
・ 税務大学校の概要
・ 国税不服審判所の概要

2(1) 東京国税局の局長事務引継書(令和元年7月)を掲載しています。
   中身としては,重要事項総務部関係課税第一部関係課税第二部関係徴収部関係及び査察部関係からなります。
(2) 東京国税局の局長及び総務部長 挨拶回り先名簿(令和元年7月18日現在)を掲載しています。

新型コロナウイルス感染症に準用されている検疫法の条文

検疫法34条及び36条の6に基づき制定された,
   新型コロナウィルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として定める等の政令(令和2年2月13日政令第28号)(ただし,リンク先は制定当時の条文です。)によれば,
   令和2年2月14日以降,新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)(以下「新型コロナウィルス」といいます。)について準用されている検疫法の条文は以下のとおりです。
○新型コロナウイルス感染症は,無症状病原体保有者であっても患者とみなす(検疫法2条の2第3項の準用)という点では一類感染症と同じ扱いであるのに対し,隔離及び停留はやむを得ない理由がないときであっても宿泊施設又は船舶で行える(検疫法15条及び16条2項の準用)という点では二類感染症と同じ扱いであるという意味では,患者に不利な準用方法となっています。

新型コロナウィルス感染症に準用される検疫法の条文

(疑似症及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第二条の二 前条第一号に掲げる感染症の疑似症を呈している者については、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
(2項の準用はなし。)
3 前条第一号に掲げる感染症の病原体を保有している者であつて当該感染症の症状を呈していないものについては、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
第二章 検疫
(入港等の禁止)
第四条 次に掲げる船舶又は航空機(以下それぞれ「外国から来航した船舶」又は「外国から来航した航空機」という。)の長(長に代つてその職務を行う者を含む。以下同じ。)は、検疫済証又は仮検疫済証の交付(第十七条第二項の通知を含む。第九条を除き、以下同じ。)を受けた後でなければ、当該船舶を国内(本州、北海道、四国及び九州並びに厚生労働省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。以下同じ。)の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させてはならない。ただし、外国から来航した船舶の長が、検疫を受けるため当該船舶を第八条第一項に規定する検疫区域若しくは同条第三項の規定により指示された場所に入れる場合若しくは次条ただし書第一号の確認を受けた者の上陸若しくは同号の確認を受けた物若しくは第十三条の二の指示に係る貨物の陸揚のため当該船舶を港(第八条第一項に規定する検疫区域又は同条第三項の規定により指示された場所を除く。)に入れる場合又は外国から来航した航空機の長が、検疫所長(検疫所の支所又は出張所の長を含む。以下同じ。)の許可を受けて当該航空機を着陸させ、若しくは着水させる場合は、この限りでない。
一 外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶又は航空機
二 航行中に、外国を発航し又は外国に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶又は航空機
(交通等の制限)
第五条 外国から来航した船舶又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。
二 第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。
三 緊急やむを得ないと認められる場合において、検疫所長の許可を受けたとき。
(検疫前の通報)
第六条 検疫を受けようとする船舶等の長は、当該船舶等が検疫港又は検疫飛行場に近づいたときは、適宜の方法で、当該検疫港又は検疫飛行場に置かれている検疫所(検疫所の支所及び出張所を含む。以下同じ。)の長に、検疫感染症の患者又は死者の有無その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
(検疫区域)
第八条 船舶の長は、第十七条第二項の通知を受けた場合を除くほか、検疫を受けようとするときは、当該船舶を検疫区域に入れなければならない。
2 外国から来航した航空機の長は、当該航空機を最初に検疫飛行場に着陸させ、又は着水させたときは、直ちに、当該航空機を検疫区域に入れなければならない。
3 前二項の場合において、天候その他の理由により、検疫所長が、当該船舶等を検疫区域以外の場所に入れるべきことを指示したときは、船舶等の長は、その指示に従わなければならない。
4 第一項及び第二項の検疫区域は、厚生労働大臣が、国土交通大臣と協議して、検疫港又は検疫飛行場ごとに一以上を定め、告示する。
(検疫信号)
第九条 船舶の長は、検疫を受けるため当該船舶を検疫区域又は前条第三項の規定により指示された場所に入れた時から、検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けるまでの間、厚生労働省令の定めるところにより、当該船舶に検疫信号を掲げなければならない。船舶が港内に停泊中に、第十九条第一項の規定により仮検疫済証が失効し、又は同条第二項の規定により仮検疫済証が失効した旨の通知を受けた場合において、その失効又は失効の通知の時から、当該船舶を港外に退去させ、又は更に検疫済証若しくは仮検疫済証の交付を受けるまでの間も、同様とする。
(検疫の開始)
第十条 船舶等が検疫区域又は第八条第三項の規定により指示された場所に入つたときは、検疫所長は、荒天の場合その他やむを得ない事由がある場合を除き、すみやかに、検疫を開始しなければならない。但し、日没後に入つた船舶については、日出まで検疫を開始しないことができる。
(書類の提出及び呈示)
第十一条 検疫を受けるに当つては、船舶等の長は、検疫所長に船舶等の名称又は登録番号、発航地名、寄航地名その他厚生労働省令で定める事項を記載した明告書を提出しなければならない。但し、仮検疫済証の失効後に受ける検疫にあつては、検疫所長から求められた場合に限る。
2 検疫所長は、船舶等の長に対して、第一号から第三号までに掲げる書類の提出並びに第四号及び第五号に掲げる書類の呈示を求めることができる。
一 乗組員名簿
二 乗客名簿
三 積荷目録
四 航海日誌又は航空日誌
五 その他検疫のために必要な書類
(質問)
第十二条 検疫所長は、船舶等に乗つて来た者及び水先人その他船舶等が来航した後これに乗り込んだ者に対して、必要な質問を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
(診察及び検査)
第十三条 検疫所長は、検疫感染症につき、前条に規定する者に対する診察及び船舶等に対する病原体の有無に関する検査を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
2 検疫所長は、前項の検査について必要があると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待つていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾を受けることを要しない。
(陸揚等の指示)
第十三条の二 検疫所長は、船舶等に積載された貨物について当該船舶等において前条第一項の検査を行なうことが困難であると認めるときは、同項の検査を行なうため、当該船舶等の長に対して、当該貨物を検疫所長の指示する場所に陸揚し、又は運び出すべき旨を指示することができる。
(汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等についての措置)
第十四条 検疫所長は、検疫感染症が流行している地域を発航し、又はその地域に寄航して来航した船舶等、航行中に検疫感染症の患者又は死者があつた船舶等、検疫感染症の患者若しくはその死体、又はペスト菌を保有し、若しくは保有しているおそれのあるねずみ族が発見された船舶等、その他検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等について、合理的に必要と判断される限度において、次に掲げる措置の全部又は一部をとることができる。
一 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者を隔離し、又は検疫官をして隔離させること。
二 第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、又は検疫官をして停留させること(外国に当該各号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに限る。)。
三 検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物若しくは場所を消毒し、若しくは検疫官をして消毒させ、又はこれらの物であつて消毒により難いものの廃棄を命ずること。
四 墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)の定めるところに従い、検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある死体(死胎を含む。)の火葬を行うこと。
五 検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物若しくは場所の使用を禁止し、若しくは制限し、又はこれらの物の移動を禁止すること。
六 検疫官その他適当と認める者をして、ねずみ族又は虫類の駆除を行わせること。
七 必要と認める者に対して予防接種を行い、又は検疫官をしてこれを行わせること。
2 検疫所長は、前項第一号から第三号まで又は第六号に掲げる措置をとる必要がある場合において、当該検疫所の設備の不足等のため、これに応ずることができないと認めるときは、当該船舶等の長に対し、その理由を示して他の検疫港又は検疫飛行場に回航すべき旨を指示することができる。
(隔離)
第十五条 前条第一項第一号に規定する隔離は、次の各号に掲げる感染症ごとに、それぞれ当該各号に掲げる医療機関に入院を委託して行う。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、当該各号に掲げる医療機関以外の病院又は診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。
一 第二条第一号に掲げる感染症 特定感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する特定感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)又は第一種感染症指定医療機関(同法に規定する第一種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
二 第二条第二号に掲げる感染症 特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関又は第二種感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する第二種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
2 検疫所長は、前項の措置をとつた場合において、第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該隔離されている者の隔離を解かなければならない。
3 第一項の委託を受けた病院又は診療所の管理者は、前条第一項第一号の規定により隔離されている第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
4 前条第一項第一号の規定により隔離されている者又はその保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)は、検疫所長に対し、当該隔離されている者の隔離を解くことを求めることができる。
5 検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該隔離されている第二条第一号又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
(停留)
第十六条(1項の準用はなし。)
2 第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関若しくは第二種感染症指定医療機関若しくはこれら以外の病院若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものに入院を委託し、又は宿泊施設の管理者の同意を得て宿泊施設内に収容し、若しくは船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができる。
3 前二項の期間は、第二条第一号に掲げる感染症のうちペストについては百四十四時間を超えてはならず、ペスト以外の同号又は同条第二号に掲げる感染症については五百四時間を超えない期間であつて当該感染症ごとにそれぞれの潜伏期間を考慮して政令で定める期間を超えてはならない。
4 検疫所長は、第一項又は第二項の措置をとつた場合において、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該停留されている者の停留を解かなければならない。
5 第一項又は第二項の委託を受けた病院又は診療所の管理者は、第十四条第一項第二号の規定により停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
6 第十四条第一項第二号の規定により停留されている者又はその保護者は、検疫所長に対し、当該停留されている者の停留を解くことを求めることができる。
7 検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
(審査請求の特例)
第十六条の二 第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、当該隔離について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があつたときは、当該審査請求があつた日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る隔離されている者が同号の規定により隔離された日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
4 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は前項の裁決(隔離の期間が三十日を超える者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
5 第三項の審査請求(隔離の期間が三十日を超えない者に係るものに限る。)については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。
(検疫済証の交付)
第十七条 検疫所長は、当該船舶等を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、検疫済証を交付しなければならない。
2 検疫所長は、船舶の長が第六条の通報をした上厚生労働省令で定めるところにより厚生労働省令で定める事項を通報した場合において、これらの通報により、当該船舶を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、あらかじめ、当該船舶の長に対して、検疫済証を交付する旨の通知をしなければならない。
(仮検疫済証の交付)
第十八条 検疫所長は、検疫済証を交付することができない場合においても、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、一定の期間を定めて、仮検疫済証を交付することができる。
2 前項の場合において、検疫所長は、検疫感染症(第二条第二号に掲げる感染症を除く。)の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券の提示を求め、当該者の国内における居所、連絡先及び氏名並びに旅行の日程その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、同項の規定により定めた期間内において当該者の体温その他の健康状態について報告を求め、若しくは質問を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。
3 検疫所長は、前項の規定による報告又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、当該者に対し、保健所その他の医療機関において診察を受けるべき旨その他検疫感染症の予防上必要な事項を指示するとともに、当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長とする。第五項及び第二十六条の三において同じ。)に当該指示した事項その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
4 第一項の場合において、検疫所長は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、第二項に規定する旅券の提示を求め、若しくは当該者の国内における居所、連絡先及び氏名並びに旅行の日程その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、又は検疫官をしてこれらを求めさせることができる。
5 検疫所長は、前項の規定により報告された事項を同項に規定する者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。
(仮検疫済証の失効)
第十九条 仮検疫済証の交付を受けた船舶等に、前条第一項の規定により定められた期間内に、検疫感染症の患者又は検疫感染症による死者が発生したときは、当該仮検疫済証は、その効力を失う。この場合においては、当該船舶等の長は、直ちに、その旨を最寄りの検疫所長に通報しなければならない。
2 仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等について更に第十四条第一項各号に掲げる措置をとる必要があると認めたときは、前条第一項の規定により定めた期間内に限り、当該仮検疫済証の効力を失わしめることができる。この場合においては、当該検疫所長は、直ちに、その旨を当該船舶等の長に通知しなければならない。
3 前二項の規定により仮検疫済証が失効した場合において、当該船舶が港内に停泊中であり、又は当該航空機が国内の場所(港の水面を含む。)に停止中であるときは、第一項の通報を受けた検疫所長又は当該仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等の長に対し、当該船舶等を検疫区域若しくはその指示する場所に入れ、又は当該船舶を港外に退去させ、若しくは当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させるべき旨を命ずることができる。
(証明書の交付)
第二十条 検疫所長は、第十四条第一項各号の一に掲げる措置又は同条第二項の指示をした場合において、当該船舶等の長その他の関係者から求められたときは、その旨の証明書を交付しなければならない。
(検疫港以外の港における検疫)
第二十一条 次に掲げる要件のすべてを満たしている船舶の長は、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れることができる。ただし、あらかじめその港の最寄りの検疫所の長の許可を受けた場合に限る。
一 検疫感染症が現に流行し、又は流行するおそれのある地域として厚生労働省令で指定する外国の地域を発航し、又はその地域に寄航して来航したものでないこと。
二 航行中に、前号に規定する外国の地域を発航し又はその地域に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだものでないこと。
三 航行中に検疫感染症の患者が発生しなかつたこと。
四 医師又は外国の法令によりこれに相当する資格を有する者が船医として乗り組んでいること。
五 ねずみ族の駆除が十分に行われた旨又はねずみ族の駆除を行う必要がない状態にあることを確認した旨を証する証明書(検疫所長又は外国のこれに相当する機関が六箇月内に発行したものに限る。)を有すること。
2 船舶の長は、前項ただし書の許可を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項を通報して申請しなければならない。
3 検疫所長は、第一項ただし書の許可の申請を受けたときは、すみやかに、許可するかどうかを決定し、これを当該船舶の長に通知しなければならない。
4 第一項の船舶の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れたときは、直ちに、当該船舶をその港の区域内の検疫所長が指示する場所に入れなければならない。
5 第九条及び第十条の規定は、第一項の船舶が前項の規定により指示された場所に入つた場合に準用する。
6 検疫所長は、第一項の船舶が検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれがあると認めるとき、又は当該船舶を検疫港に回航させた上更に第十三条に規定する診察若しくは検査を行う必要があると認めるときは、当該船舶の長に対し、その理由を示して、その港における検疫を打ち切ることができる。
7 前項の規定により検疫港以外の港における検疫が打ち切られたときは、当該船舶の長は、直ちに、当該船舶を港外に退去させなければならない。
8 第二十条の規定は、検疫所長が第六項の規定により検疫を打ち切つた場合に準用する。
(第四条第二号に該当する船舶等に関する特例)
第二十二条 第四条第二号に該当する船舶又は航空機(同時に同条第一号にも該当する船舶又は航空機を除く。)の長は、当該船舶又は航空機の性能が長距離の航行に堪えないため、又はその他の理由により、検疫港又は検疫飛行場に至ることが困難であるときは、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させることができる。
2 前項の船舶又は航空機の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させたときは、直ちに、最寄りの保健所長に、検疫感染症の患者の有無、第四条第二号に該当するに至つた日時及び場所その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。ただし、当該船舶又は航空機の長が、あらかじめ、最寄りの検疫所長にこれらの事項を通報した場合は、この限りでない。
3 前項の通報を受けた保健所長は、当該船舶又は航空機について、検査、消毒その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
4 第一項の船舶又は航空機については、第五条ただし書第三号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
5 第一項の船舶又は航空機であつて、当該船舶又は航空機を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがない旨の保健所長の確認を受けたものについては、第四条及び第五条の規定を適用しない。
6 第九条及び第十条の規定は第一項の船舶の長が第二項ただし書の通報をした後当該船舶を検疫港以外の港に入れた場合に、同条の規定は第一項の航空機の長が第二項ただし書の通報をした後当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、又は着水させた場合に準用する。
(緊急避難)
第二十三条 検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶等を国内の港に入れ、又は検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させた場合において、その急迫した危難が去つたときは、直ちに、当該船舶を検疫区域若しくは検疫所長の指示する場所に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させなければならない。
2 前項の場合において、やむを得ない理由により当該船舶を検疫区域等に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させることができないときは、船舶等の長は、最寄りの検疫所長、検疫所がないときは保健所長に、検疫感染症の患者の有無、発航地名、寄航地名その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた検疫所長又は保健所長は、当該船舶等について、検査、消毒その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
4 第二項の船舶等については、第五条ただし書第三号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
5 第二項の船舶等であつて、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどない旨の検疫所長又は保健所長の確認を受けたものについては、当該船舶等がその場所にとどまつている限り、第五条の規定を適用しない。
6 前四項の規定は、国内の港以外の海岸において航行不能となつた船舶等について準用する。
7 検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機から離れ、若しくは物を運び出した者があるときは、直ちに、最寄りの保健所長又は市町村長に、検疫感染症の患者の有無その他厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。
(協力の要請)
第二十三条の二 検疫所長は、当該検疫所における検疫業務を円滑に行うため必要があると認めるときは、船舶等の所有者若しくは長又は検疫港若しくは検疫飛行場の管理者に対し、第十二条の規定による質問に関する書類の配付、検疫の手続に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができる。
第四章 雑則
(検疫官)
第二十八条 この法律に規定する事務に従事させるため、厚生労働省に検疫官を置く。
(立入権)
第二十九条 検疫所長及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うため必要があるときは、船舶、航空機又は第二十七条第一項及び第二項に規定する施設、建築物その他の場所に立ち入ることができる。
(権限の解釈)
第三十条 この法律の規定による検疫所長及び検疫官の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(制服の着用及び証票の携帯)
第三十一条 検疫所長及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うときは、制服を着用し、且つ、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
2 検疫所長及び検疫官の服制は、厚生労働大臣が定める。
(実費の徴収)
第三十二条 検疫所長は、左に掲げる場合においては、船舶等の所有者又は長から、政令の定めるところにより、その実費を徴収しなければならない。
一 第十四条第一項第三号、第四号又は第六号に規定する措置をとつたとき。
二 船舶等の乗組員に対して第十四条第一項第一号又は第二号に規定する措置をとつたとき。
2 検疫所長は、前項の規定により実費を負担しなければならない者が、経済的事情により、その実費の全部又は一部を負担することが困難であると認められる場合においては、同項の規定にかかわらず、その全部又は一部を徴収しないことができる。
3 前二項の規定は、第二十二条第三項又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により、検疫所長又は保健所長が必要な措置をとつた場合に準用する。
(費用の支弁及び負担)
第三十三条 第二十二条第三項又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により保健所長がとる措置に要する費用は、当該保健所を設置する都道府県、市又は特別区が支弁し、国庫は、政令の定めるところにより、これを負担しなければならない。
   
(省令委任)
第四十一条 この法律で政令に委任するものを除く外、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

*0 罰則について定める検疫法35条ないし40条は,新型コロナウイルス感染症について政令で準用することはできません(検疫法34条参照)。
   ただし,検体採取,採取後の指定した場所での追加の問診等,検査の結果の伝達までの一連の行為は検疫法13条の診察として実施されますから,検査の結果が判明する前に,待機要請に従わず,航空機及び検疫場所を離れた者については,同条に基づく診察を忌避した者として同条違反となり,検疫法36 条の罰則(6月以下の懲役又は50 万円以下の罰金)の対象となりえます(令和2年3月22日付の厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡)。
   
*1 検疫法施行令の一部を改正する政令(令和2年1月28日政令第11号)及び検疫法の一部を改正する政令の一部を改正する政令(令和2年1月31日政令第23号)に基づき,令和2年2月1日,新型コロナウイルス感染症は指定感染症となりました(検疫法2条3号・検疫法施行令1条)。
   そのため,検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けている場合等を除き,検疫済証又は仮検査済証の交付を受けない限り,外国から来航した船舶から上陸し,又は外国から来航した航空機の検疫場所から離れることができなくなりました。
   ただし,新型コロナウイルス感染症は検疫法2条1項1号又2号の感染症ではありませんでしたから,法的に隔離又は停留を行うことができなかった(検疫法14条1項1号及び2号参照)のであって,法的に隔離又は停留を行うためには検疫法34条の感染症の種類として定める必要がありました。

*2 新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者の停留は336時間(14日間)を超えることはできません(新型コロナウィルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として定める等の政令(令和2年2月13日政令第28号)3条の表法16条3項の項)。

*3 新型コロナウィルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として定める等の政令(令和2年2月13日政令第28号)が施行された令和2年2月14日以降,新型コロナウイルス感染症は,無症状病原体保有者であっても患者とみなされますし,隔離及び停留はやむを得ない理由がないときであっても宿泊施設又は船舶で行えるようになりました。

*4 湖北省に在留する方々の帰国のために合計5回のチャーター便が武漢空港に派遣され,令和2年1月29日から同年2月17日にかけて羽田空港に到着しました。

*5 令和2年2月3日夜から横浜港大黒埠頭に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号の場合,同日から翌日にかけて検疫官による健康診断が行われ,2月5日早朝から船内での行動が制限されるようになり,WHOの健康観察期間が終了した2月19日から21日にかけて陰性と判定された乗客の下船が行われました。

*6 検疫所長は,新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し,旅券の提示を求めるほか,当該者の国内における居所及び連絡先,氏名,年齢,性別,国籍,職業並びに旅行の日程並びに当該者が新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したことが疑われる場所について報告を求め,又は検疫官をしてこれらを求めさせることができます(検疫法18条2項・検疫法施行規則6条の2)。
   また,検疫所長は,新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないもののうち,検疫法18条2項の規定による報告又は質問の結果,健康状態に異状を生じた者を確認したときは,当該者に対し,保健所その他の医療機関において診察を受けるべき旨その他新型コロナウイルス感染症の予防上必要な事項を指示するとともに,当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市に当該指示した事項その他の厚生労働省令で定める事項(当該者の国内における居所及び連絡先、氏名、年齢、性別、国籍、職業並びに旅行の日程並びに当該者が検疫感染症の病原体に感染したことが疑われる場所)を通知しなければなりません(検疫法18条3項・検疫法施行規則6条の3)。
   さらに,検疫所長は,新型コロナウィルス感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものから報告された事項を都道府県知事に通知しなければなりません(検疫法18条5項)。

*7 「新型コロナウイルス感染症発生国からの入国者に対する検疫対応について(流行地域の追加)(令和2年4月2日付の厚生労働省健康局結核感染症課等の事務連絡)」を掲載しています。

新型コロナウィルス感染症に準用されている感染症法,感染症法施行令及び感染症法施行規則の条文

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」といいます。)6条8項,7条1項及び66条に基づき制定された,
   新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年1月28日政令第11号)(ただし,リンク先は制定当時の条文です。)によれば,
   令和2年3月27日以降,新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)(以下「新型コロナウィルス」といいます。)について準用されている感染症法の条文は以下のとおりです(令和2年2月1日から施行されている条文は黒文字表記であり,2月14日から施行されている条文は赤文字表記であり,3月27日から施行されている条文は橙文字表記です。
○新型コロナウイルス感染症は一類感染症と似たような扱いです(一類感染症に関する8条3項,32条及び33条が準用されています。)。)。

新型コロナウィルス感染症に準用される感染症法の条文

(疑似症患者及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第八条 一類感染症の疑似症患者又は二類感染症のうち政令で定めるものの疑似症患者については、それぞれ一類感染症の患者又は二類感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
(2項の準用はなし。)
3 一類感染症の無症状病原体保有者又は新型インフルエンザ等感染症の無症状病原体保有者については、それぞれ一類感染症の患者又は新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
   

(医師の届出)
第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、その管轄する区域外に居住する者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、その者の居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
   
(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第十五条 都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
3 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第一項の規定による必要な調査として当該職員に次の各号に掲げる者に対し当該各号に定める検体若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせ、又は第一号から第三号までに掲げる者の保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該各号に定める検体を提出し、若しくは当該各号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを求めさせることができる。
一 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 当該者の検体
四 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者 当該動物又はその死体の検体
七 第一号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体
十 第四号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体   

(情報の公表)
第十六条 厚生労働大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該感染症の予防及び治療に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により積極的に公表しなければならない。
2 前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。
   
(協力の要請)
第十六条の二 厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、感染症の患者の病状、数その他感染症の発生及びまん延の状況を勘案して、当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を定め、医師その他の医療関係者に対し、当該措置の実施に対する必要な協力を求めることができる。
   
第四章 就業制限その他の措置
(検体の採取等)
第十六条の三 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第一号に掲げる者に対し同号に定める検体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告し、又はその保護者に対し当該検体を提出し、若しくは同号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを勧告することができる。ただし、都道府県知事がその行おうとする勧告に係る当該検体(その行おうとする勧告に係る当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を含む。以下この項において同じ。)を所持している者からその行おうとする勧告に係る当該検体を入手することができると認められる場合においては、この限りでない。
2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第一号に掲げる者に対し同号に定める検体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを勧告し、又はその保護者に対し当該検体を提出し、若しくは同号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを勧告することができる。ただし、厚生労働大臣がその行おうとする勧告に係る当該検体(その行おうとする勧告に係る当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を含む。以下この項において同じ。)を所持している者からその行おうとする勧告に係る当該検体を入手することができると認められる場合においては、この限りでない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該職員に当該勧告に係る第十五条第三項第一号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
4 厚生労働大臣は、第二項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該職員に当該勧告に係る第十五条第三項第一号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
5 都道府県知事は、第一項の規定による検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は第三項の規定による検体の採取の措置を実施する場合には、同時に、当該勧告を受け、又は当該措置を実施される者に対し、当該勧告をし、又は当該措置を実施する理由その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は検体の採取の措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
6 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該検体の提出若しくは採取の勧告又は検体の採取の措置の後相当の期間内に、当該勧告を受け、又は当該措置を実施された者に対し、同項の理由その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。
7 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならない。
8 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
9 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体の一部の提出を求めることができる。
10 都道府県知事は、第一項の規定により検体の提出若しくは採取の勧告をし、第三項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させ、又は第七項の規定により検体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。
11 第五項及び第六項の規定は、厚生労働大臣が第二項の規定により検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は第四項の規定により当該職員に検体の採取の措置を実施させる場合について準用する。
   
(健康診断)
第十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し当該感染症にかかっているかどうかに関する医師の健康診断を受け、又はその保護者に対し当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に健康診断を受けさせるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者について、当該職員に健康診断を行わせることができる。
   
(就業制限)
第十八条 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。
2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。
3 前項の規定の適用を受けている者又はその保護者は、都道府県知事に対し、同項の規定の適用を受けている者について、同項の対象者ではなくなったことの確認を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による確認の求めがあったときは、当該請求に係る第二項の規定の適用を受けている者について、同項の規定の適用に係る感染症の患者若しくは無症状病原体保有者でないかどうか、又は同項に規定する期間を経過しているかどうかの確認をしなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該患者又は無症状病原体保有者の居住地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、当該協議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。
6 前項ただし書に規定する場合において、都道府県知事は、速やかに、その通知をした内容について当該協議会に報告しなければならない。
   
(入院)
第十九条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告をする場合には、当該勧告に係る患者又はその保護者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
4 第一項及び前項の規定に係る入院の期間は、七十二時間を超えてはならない。
5 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、第一項又は第三項の規定により入院している患者を、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
6 第一項又は第三項の規定に係る入院の期間と前項の規定に係る入院の期間とを合算した期間は、七十二時間を超えてはならない。
7 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は第三項の規定による入院の措置をしたときは、遅滞なく、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会に報告しなければならない。
   
第二十条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者であって前条の規定により入院しているものに対し十日以内の期間を定めて特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該入院に係る患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、十日以内の期間を定めて、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、十日以内の期間を定めて、当該勧告に係る患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わないときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。
3 都道府県知事は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、前二項の規定により入院している患者を、前二項の規定により入院したときから起算して十日以内の期間を定めて、当該患者が入院している病院又は診療所以外の病院又は診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院させることができる。
4 都道府県知事は、前三項の規定に係る入院の期間の経過後、当該入院に係る患者について入院を継続する必要があると認めるときは、十日以内の期間を定めて、入院の期間を延長することができる。当該延長に係る入院の期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。
5 都道府県知事は、第一項の規定による勧告又は前項の規定による入院の期間を延長しようとするときは、あらかじめ、当該患者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所について置かれた第二十四条第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。
6 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をしようとする場合には、当該患者又はその保護者に、適切な説明を行い、その理解を得るよう努めるとともに、都道府県知事が指定する職員に対して意見を述べる機会を与えなければならない。この場合においては、当該患者又はその保護者に対し、あらかじめ、意見を述べるべき日時、場所及びその勧告の原因となる事実を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた当該患者又はその保護者は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
8 第六項の規定による意見を聴取した者は、聴取書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならない。
   
(移送)
第二十一条 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前二条の規定により入院する患者を、当該入院に係る病院又は診療所に移送しなければならない。
   
(退院)
第二十二条 都道府県知事は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、当該入院している患者を退院させなければならない。
2 病院又は診療所の管理者は、第十九条又は第二十条の規定により入院している患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、都道府県知事に、その旨を通知しなければならない。
3 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、都道府県知事に対し、当該患者の退院を求めることができる。
4 都道府県知事は、前項の規定による退院の求めがあったときは、当該患者について、当該入院に係る一類感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
   
(最小限度の措置)
第二十二条の二 第十六条の三から第二十一条までの規定により実施される措置は、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。
   
(書面による通知)
第二十三条 第十六条の三第五項及び第六項の規定は、都道府県知事が第十七条第一項の規定による健康診断の勧告、同条第二項の規定による健康診断の措置、第十九条第一項及び第二十条第一項の規定による入院の勧告、第十九条第三項及び第五項並びに第二十条第二項及び第三項の規定による入院の措置並びに同条第四項の規定による入院の期間の延長をする場合について準用する。
   
(感染症の診査に関する協議会)
第二十四条 各保健所に感染症の診査に関する協議会(以下この条において「協議会」という。)を置く。
2 前項の規定にかかわらず、二以上の保健所を設置する都道府県において、特に必要があると認めるときは、二以上の保健所について一の協議会を置くことができる。
3 協議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 都道府県知事の諮問に応じ、第十八条第一項の規定による通知、第二十条第一項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による勧告及び第二十条第四項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による入院の期間の延長並びに第三十七条の二第一項の規定による申請に基づく費用の負担に関し必要な事項を審議すること。
二 第十八条第六項及び第十九条第七項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による報告に関し、意見を述べること。
4 協議会は、委員三人以上で組織する。
5 委員は、感染症指定医療機関の医師、感染症の患者の医療に関し学識経験を有する者(感染症指定医療機関の医師を除く。)、法律に関し学識経験を有する者並びに医療及び法律以外の学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。ただし、その過半数は、医師のうちから任命しなければならない。
6 この法律に規定するもののほか、協議会に関し必要な事項は、条例で定める。
   
(都道府県知事に対する苦情の申出)
第二十四条の二 第十九条若しくは第二十条の規定により入院している患者又はその保護者は、当該患者が受けた処遇について、文書又は口頭により、都道府県知事に対し、苦情の申出をすることができる。
2 前項に規定する患者又はその保護者が口頭で同項の苦情の申出をしようとするときは、都道府県知事は、その指定する職員にその内容を聴取させることができる。
3 都道府県知事は、苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知しなければならない。
   
(審査請求の特例)
第二十五条 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えるもの又はその保護者は、同条第二項又は第三項に規定する入院の措置について文書又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求(再審査請求及び再々審査請求を含む。以下この条において同じ。)をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の審査請求があったときは、当該審査請求があった日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る入院している患者が同条第二項又は第三項の規定により入院した日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
4 第二十条第二項若しくは第三項の規定により入院している患者であって当該入院の期間が三十日を超えないもの又はその保護者が、都道府県知事に審査請求をし、かつ、当該入院している患者の入院の期間が三十日を超えたときは、都道府県知事は、直ちに、事件を厚生労働大臣に移送し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
5 前項の規定により事件が移送されたときは、はじめから、厚生労働大臣に審査請求があったものとみなして、第三項の規定を適用する。
6 厚生労働大臣は、第二項の裁決又は第三項の裁決(入院の期間が三十日を超える患者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
7 第十九条第三項又は第五項の規定による入院の措置に係る審査請求については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。
   
第五章 消毒その他の措置
(検体の収去等)
第二十六条の三 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者に対し、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を提出すべきことを命ずることができる。
2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者に対し、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を提出すべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を無償で収去させることができる。
4 厚生労働大臣は、第二項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第七号又は第十号に掲げる者から検査のため必要な最小限度において、当該各号に定める検体又は感染症の病原体を無償で収去させることができる。
5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体について検査を実施しなければならない。
6 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
7 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。
8 都道府県知事は、第一項の規定により検体若しくは感染症の病原体の提出の命令をし、第三項の規定により当該職員に検体若しくは感染症の病原体の収去の措置を実施させ、又は第五項の規定により検体若しくは感染症の病原体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。
   
(検体の採取等)
第二十六条の四 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、第十五条第三項第四号に掲げる者に対し、同号に定める検体を提出し、又は当該職員による当該検体の採取に応ずべきことを命ずることができる。
2 厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、第十五条第三項第四号に掲げる者に対し、同号に定める検体を提出し、又は当該職員による当該検体の採取に応ずべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、第一項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第四号に規定する動物又はその死体から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
4 厚生労働大臣は、第二項の規定による命令を受けた者が当該命令に従わないときは、当該職員に当該命令に係る第十五条第三項第四号に規定する動物又はその死体から検査のため必要な最小限度において、同号に定める検体を採取させることができる。
5 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受け、若しくは当該職員が採取した検体又は第三項の規定により当該職員に採取させた検体について検査を実施しなければならない。
6 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果その他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
7 厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により提出を受けた検体若しくは感染症の病原体又は第三項の規定により当該職員に収去させた検体若しくは感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。
8 都道府県知事は、第一項の規定により検体若しくは感染症の病原体の提出の命令をし、第三項の規定により当該職員に検体若しくは感染症の病原体の収去の措置を実施させ、又は第五項の規定により検体若しくは感染症の病原体の検査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事又は厚生労働大臣に対し、感染症試験研究等機関の職員の派遣その他の必要な協力を求めることができる。
   
(感染症の病原体に汚染された場所の消毒)
第二十七条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者に対し、消毒すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に消毒させることができる。
   
(ねずみ族、昆虫等の駆除)
第二十八条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域の管理をする者又はその代理をする者に対し、当該ねずみ族、昆虫等を駆除すべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等が存在する区域を指定し、当該区域を管轄する市町村に当該ねずみ族、昆虫等を駆除するよう指示し、又は当該都道府県の職員に当該ねずみ族、昆虫等を駆除させることができる。
   
(物件に係る措置)
第二十九条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、その所持者に対し、当該物件の移動を制限し、若しくは禁止し、消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する命令によっては一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止することが困難であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件について、市町村に消毒するよう指示し、又は当該都道府県の職員に消毒、廃棄その他当該感染症の発生を予防し、若しくはそのまん延を防止するために必要な措置をとらせることができる。
   
(死体の移動制限等)
第三十条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動を制限し、又は禁止することができる。
2 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、火葬しなければならない。ただし、十分な消毒を行い、都道府県知事の許可を受けたときは、埋葬することができる。
3 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、二十四時間以内に火葬し、又は埋葬することができる。
   
(生活の用に供される水の使用制限等)
第三十一条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症又は三類感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある生活の用に供される水について、その管理者に対し、期間を定めて、その使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命ずることができる。
2 市町村は、都道府県知事が前項の規定により生活の用に供される水の使用又は給水を制限し、又は禁止すべきことを命じたときは、同項に規定する期間中、都道府県知事の指示に従い、当該生活の用に供される水の使用者に対し、生活の用に供される水を供給しなければならない。
   
(建物に係る措置)
第三十二条 都道府県知事は、一類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、厚生労働省令で定めるところにより、期間を定めて、当該建物への立入りを制限し、又は禁止することができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する措置によっても一類感染症のまん延を防止できない場合であって、緊急の必要があると認められるときに限り、政令で定める基準に従い、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある建物について封鎖その他当該感染症のまん延の防止のために必要な措置を講ずることができる。
   
(交通の制限又は遮断)
第三十三条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。
   
(質問及び調査)
第三十五条 都道府県知事は、第二十六条の三から第三十三条までに規定する措置を実施するため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した者の死体がある場所若しくはあった場所、当該感染症を人に感染させるおそれがある動物がいる場所若しくはいた場所、当該感染症により死亡した動物の死体がある場所若しくはあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所若しくは汚染された疑いがある場所に立ち入り、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者若しくは当該感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 都道府県知事は、第三十二条又は第三十三条に規定する措置を実施し、又は当該職員に実施させる場合には、適当な場所に当該措置を実施する旨及びその理由その他厚生労働省令で定める事項を掲示しなければならない。
5 第一項から第三項までの規定は、市町村長が第二十七条第二項、第二十八条第二項、第二十九条第二項又は第三十一条第二項に規定する措置を実施するため必要があると認める場合について準用する。
6 第二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
   
第六章 医療
(入院患者の医療)
第三十七条 都道府県は、都道府県知事が第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十六条の規定により入院の勧告又は入院の措置を実施した場合において、当該入院に係る患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)又はその保護者から申請があったときは、当該患者が感染症指定医療機関において受ける次に掲げる医療に要する費用を負担する。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 医学的処置、手術及びその他の治療
四 病院への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
2 都道府県は、前項に規定する患者若しくはその配偶者又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者が前項の費用の全部又は一部を負担することができると認められるときは、同項の規定にかかわらず、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。
3 第一項の申請は、当該患者の居住地を管轄する保健所長を経由して都道府県知事に対してしなければならない。
   
(感染症指定医療機関)
第三十八条 (1項及び2項の準用はなし。)
3 感染症指定医療機関は、厚生労働大臣の定めるところにより、前二条の規定により都道府県が費用を負担する感染症の患者及び新感染症の所見がある者の医療を担当しなければならない。
4 特定感染症指定医療機関は、第三十七条第一項各号に掲げる医療のうち新感染症の所見がある者並びに一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働大臣が行う指導に従わなければならない。
5 第一種感染症指定医療機関は、第三十七条第一項各号に掲げる医療のうち一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
6 第二種感染症指定医療機関は、第三十七条第一項各号に掲げる医療のうち二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が行う指導に従わなければならない。
(7項及び8項の準用はなし。)
9 感染症指定医療機関が、第三項から第七項までの規定に違反したとき、その他前二条に規定する医療を行うについて不適当であると認められるに至ったときは、特定感染症指定医療機関については厚生労働大臣、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関及び結核指定医療機関については都道府県知事は、その指定を取り消すことができる。
   
(他の法律による医療に関する給付との調整)
第三十九条 第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定により費用の負担を受ける感染症の患者(新感染症の所見がある者を除く。)が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定による負担をすることを要しない。
   
(診療報酬の請求、審査及び支払)
第四十条 感染症指定医療機関は、診療報酬のうち、第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定により都道府県が負担する費用を、都道府県に請求するものとする。
2 都道府県は、前項の費用を当該感染症指定医療機関に支払わなければならない。
3 都道府県知事は、感染症指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、かつ、感染症指定医療機関が第一項の規定によって請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
4 感染症指定医療機関は、都道府県知事が行う前項の規定による決定に従わなければならない。
5 都道府県知事は、第三項の規定により診療報酬の額を決定するに当たっては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
6 都道府県は、感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生労働省令で定める者に委託することができる。
7 第三項の規定による診療報酬の額の決定については、審査請求をすることができない。
   
(診療報酬の基準)
第四十一条 感染症指定医療機関が行う第三十七条第一項各号に掲げる医療又は第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療に関する診療報酬は、健康保険の診療報酬の例によるものとする。
2 前項に規定する診療報酬の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。
   
(緊急時等の医療に係る特例)
第四十二条 都道府県は、第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)若しくは第四十六条の規定により感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所に入院した患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)が、当該病院若しくは診療所から第三十七条第一項各号に掲げる医療を受けた場合又はその区域内に居住する結核患者(第二十六条において読み替えて準用する第十九条又は第二十条の規定により入院した患者を除く。以下この項において同じ。)が、緊急その他やむを得ない理由により、結核指定医療機関以外の病院若しくは診療所(第六条第十六項の政令で定めるものを含む。)若しくは薬局から第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療を受けた場合においては、その医療に要した費用につき、当該患者又はその保護者の申請により、第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の規定によって負担する額の例により算定した額の療養費を支給することができる。第十九条若しくは第二十条若しくは第四十六条の規定により感染症指定医療機関に入院した患者が感染症指定医療機関から第三十七条第一項各号に掲げる医療を受けた場合又はその区域内に居住する結核患者が結核指定医療機関から第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療を受けた場合において、当該医療が緊急その他やむを得ない理由により第三十七条第一項又は第三十七条の二第一項の申請をしないで行われたものであるときも、同様とする。
2 第三十七条第三項の規定は、前項の申請について準用する。
3 第一項の療養費は、当該患者が当該医療を受けた当時それが必要であったと認められる場合に限り、支給するものとする。
   
(報告の請求及び検査)
第四十三条 都道府県知事(特定感染症指定医療機関にあっては、厚生労働大臣又は都道府県知事とする。次項において同じ。)は、第三十七条第一項及び第三十七条の二第一項に規定する費用の負担を適正なものとするため必要があると認めるときは、感染症指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員に感染症指定医療機関についてその管理者の同意を得て実地に診療録その他の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。
2 感染症指定医療機関が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、都道府県知事は、当該感染症指定医療機関に対する診療報酬の支払を一時差し止めるよう指示し、又は差し止めることができる。
   
(厚生労働省令への委任)
第四十四条 この法律に規定するもののほか、第三十七条第一項及び第三十七条の二第一項の申請の手続、第四十条の診療報酬の請求並びに支払及びその事務の委託の手続その他この章で規定する費用の負担に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
   
第七章 新型インフルエンザ等感染症
(新型インフルエンザ等感染症の発生及び実施する措置等に関する情報の公表)
第四十四条の二 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等感染症が発生したと認めたときは、速やかに、その旨及び発生した地域を公表するとともに、当該感染症について、第十六条の規定による情報の公表を行うほか、病原体であるウイルスの血清亜型及び検査方法、症状、診断及び治療並びに感染の防止の方法、この法律の規定により実施する措置その他の当該感染症の発生の予防又はそのまん延の防止に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により逐次公表しなければならない。
2 前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。
   
(感染を防止するための協力)
第四十四条の三 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し、当該感染症の潜伏期間を考慮して定めた期間内において、当該者の体温その他の健康状態について報告を求めることができる。
2 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により報告を求めた者に対し、同項の規定により定めた期間内において、当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることができる。
3 前二項の規定により報告又は協力を求められた者は、これに応ずるよう努めなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の規定により協力を求めるときは、必要に応じ、食事の提供、日用品の支給その他日常生活を営むために必要なサービスの提供又は物品の支給(次項において「食事の提供等」という。)に努めなければならない。
5 都道府県知事は、前項の規定により、必要な食事の提供等を行った場合は、当該食事の提供等を受けた者又はその保護者から、当該食事の提供等に要した実費を徴収することができる。
   
(新型インフルエンザ等感染症に係る経過の報告)
第四十四条の五 都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症に関し、この法律又はこの法律に基づく政令の規定による事務を行った場合は、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
2 前項の規定は、市町村長が、新型インフルエンザ等感染症に関し、第三十五条第五項において準用する同条第一項に規定する措置を当該職員に実施させた場合について準用する。
   
(市町村の支弁すべき費用)
第五十七条 市町村は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第二十七条第二項の規定により市町村が行う消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
二 第二十八条第二項の規定により市町村が行うねずみ族、昆虫等の駆除(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
三 第二十九条第二項の規定により市町村が行う消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
四 第三十一条第二項の規定により市町村が行う生活の用に供される水の供給(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
   
(都道府県の支弁すべき費用)
第五十八条 都道府県は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第十四条、第十四条の二、第十五条(第二項及び第五項を除く。)、第十五条の二から第十六条まで、第十六条の三第一項、第三項若しくは第七項から第十項まで又は第四十四条の七第一項、第三項若しくは第五項から第八項までの規定により実施される事務に要する費用
二 第十七条又は第四十五条の規定による健康診断に要する費用
三 第十八条第四項、第二十二条第四項(第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十八条第四項の規定による確認に要する費用
四 第二十一条(第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十七条の規定による移送に要する費用
四の二 第二十六条の三第一項若しくは第三項の規定による検体若しくは感染症の病原体の受理若しくは収去(これらが第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)又は第二十六条の三第五項から第八項まで(これらの規定を第五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により実施される事務に要する費用
四の三 第二十六条の四第一項若しくは第三項の規定による検体の受理若しくは採取(これらが第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)又は第二十六条の四第五項から第八項まで(これらの規定を第五十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により実施される事務に要する費用
五 第二十七条第二項の規定による消毒(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
六 第二十八条第二項の規定によるねずみ族、昆虫等の駆除(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
七 第二十九条第二項の規定による措置(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
八 第三十二条第二項の規定による建物に係る措置(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
九 第三十三条の規定による交通の制限又は遮断(第五十条第一項の規定により実施される場合を含む。)に要する費用
十 第三十七条第一項の規定により負担する費用
(11号の準用はなし。)
十二 第四十二条第一項の規定による療養費の支給に要する費用
   
(都道府県の負担)
第五十九条 都道府県は、第五十七条第一号から第四号までの費用に対して、政令で定めるところにより、その三分の二を負担する。
   
(国の負担)
第六十一条(1項の準用はなし。)
2 国は、第五十八条第十号の費用及び同条第十二号の費用(第三十七条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める医療に係るものを除く。)に対して、政令で定めるところにより、その四分の三を負担する。
3 国は、第五十八条第一号から第九号まで及び第十四号並びに第五十九条の費用に対して、政令で定めるところにより、その二分の一を負担する。
   
(費用の徴収)
第六十三条 市町村長は、第二十七条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者がいる場所又はいた場所、当該感染症に係る死体がある場所又はあった場所その他当該感染症の病原体に汚染された場所又は汚染された疑いがある場所を消毒させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該患者若しくはその保護者又はその場所の管理をする者若しくはその代理をする者から消毒に要した実費を徴収することができる。
2 市町村長は、第二十八条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがあるねずみ族、昆虫等を駆除させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該ねずみ族、昆虫等が存在する区域の管理をする者又はその代理をする者からねずみ族、昆虫等の駆除に要した実費を徴収することができる。
3 市町村長は、第二十九条第二項の規定により、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある飲食物、衣類、寝具その他の物件を消毒させた場合(第五十条第一項の規定により実施された場合を含む。)は、当該飲食物、衣類、寝具その他の物件の所持者から消毒に要した実費を徴収することができる。
4 前三項の規定は、都道府県知事が、第二十七条第二項に規定する消毒、第二十八条第二項に規定するねずみ族、昆虫等の駆除又は第二十九条第二項に規定する消毒の措置を当該職員に実施させた場合について準用する。
   
第十三章 雑則
(厚生労働大臣の指示)
第六十三条の二 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、この法律(第八章を除く。)又はこの法律に基づく政令の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示をすることができる。
   
(保健所を設置する市又は特別区)
第六十四条 保健所を設置する市又は特別区にあっては、第三章から前章までの規定(第十四条第一項及び第五項、第十四条の二第一項及び第七項、第三十八条第一項、第二項、第五項、第六項、第八項及び第九項(同条第二項、第八項及び第九項の規定にあっては、結核指定医療機関に係る部分を除く。)、第四十条第三項から第五項まで、第四十三条(結核指定医療機関に係る部分を除く。)、第五十三条の二第三項、第五十三条の七第一項、第五十六条の二十七第七項並びに第六十条を除く。)及び前条中「都道府県知事」とあるのは「市長」又は「区長」と、「都道府県」とあるのは「市」又は「区」とする。
2 特別区にあっては、第三十一条第二項及び第五十七条(第四号の規定に係る部分に限る。)中「市町村」とあるのは、「都」とする。
   
(不服申立て)
第六十五条 この法律に規定する事務のうち保健所を設置する市又は特別区の長が行う処分(地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(次項及び次条において「第一号法定受託事務」という。)に係るものに限る。)についての審査請求の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。
2 保健所を設置する市又は特別区の長が第六十四条の規定によりその処理することとされた事務のうち第一号法定受託事務に係る処分をする権限をその補助機関である職員又はその管理に属する行政機関の長に委任した場合において、委任を受けた職員又は行政機関の長がその委任に基づいてした処分につき、地方自治法第二百五十五条の二第二項の再審査請求の裁決があったときは、当該裁決に不服がある者は、同法第二百五十二条の十七の四第五項から第七項までの規定の例により、厚生労働大臣に対して再々審査請求をすることができる。
   
(権限の委任)
第六十五条の三 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
   
(経過措置)
第六十六条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
   
*0 罰則について定める感染症法第14章は,新型コロナウイルス感染症について政令で準用することはできない(感染症法7条1項参照)ものの,令和2年3月27日以降,新型コロナウイルス感染症の病原体は四種病原体等に指定されました(感染症法施行令3条3号)から,感染症法第14章の適用があります。
   
*1 黒文字表記は,新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年1月28日政令第11号)及び新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年1月31日政令第22号)に基づき,令和2年2月1日から準用されている条文です。

*2 赤文字表記は,新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年2月13日政令第30号)に基づき,令和2年2月14日から準用されている条文です。
   新たに準用される感染症法の主な条文は,無症状病原体保有者についても患者とみなすという条文です。

*3 新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令(令和2年3月26日政令第60号)に基づき,令和2年3月27日から準用されている条文です。
   新たに準用される感染症法の主な条文は以下のとおりです。
① 生活の用に供される水の使用制限等(31条)
② 建物に係る措置(32条)
③ 交通の制限又は遮断(33条)
④ 新型インフルエンザ等感染症の発生及び実施する措置等に関する情報の公表(44条の2)
⑤ 感染を防止するための協力(44条の3)
⑥ 建物に係る措置等の規定の準用(44条の4)

*4 新型コロナウイルス感染症に準用される感染症法施行令の条文は以下のとおりです。
(建物に係る措置の基準)
第八条 法第三十二条第二項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 一類感染症の建物の外部へのまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する建物の構造及び設備の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこと。
二 法第三十二条第二項に規定する緊急の必要がなくなったときに、できる限り原状回復に支障をきたさない方法で行うこと。

(交通の制限又は遮断の基準)
第九条 法第三十三条の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 一類感染症の広範囲の地域にわたるまん延を防止することができるよう、当該一類感染症の発生の状況、当該措置を実施する場所の交通の状況その他の事情を考慮して適切な方法で行うこと。
二 法第三十三条に規定する緊急の必要がなくなったときは、定められた期間内であっても、速やかに当該措置を解除すること。
三 当該措置の対象となる者の人権を尊重しつつ行うこと。

(都道府県の負担)
第二十五条 法第五十九条の規定による都道府県の負担は、各年度において法第五十七条第一号から第四号までの規定により市町村が支弁した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の収入の額を控除した額につき、厚生労働大臣が定める基準に従って行う。
2 前項の規定により控除しなければならない額が、その年度において市町村が支弁した費用の額を超過したときは、その超過額は、後年度における支弁額から控除する。

(国の負担)
第二十七条 法第六十一条第二項の規定による国の負担並びに法第五十八条第一号から第九号まで及び第十四号の費用に係る法第六十一条第三項の規定による国の負担は、各年度において法第五十八条の規定により都道府県が支弁した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の収入の額を控除した額につき、厚生労働大臣が定める基準に従って行う。
2 法第五十九条の費用に係る規定による法第六十一条第三項の規定による国の負担は、各年度において都道府県が負担した費用の額から、その年度におけるその費用のための寄附金その他の収入の額を控除した額につき、厚生労働大臣が定める基準に従って行う。
3 第二十五条第二項の規定は、第一項の場合に準用する。

*5 新型コロナウイルス感染症に準用される感染症法施行規則の条文は以下のとおりです。
(医師の届出)
第三条 法第十二条第一項に規定する厚生労働省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 診断した患者及び当該感染症について同項による届出が既になされていることを知っている場合
二 診断した結核の無症状病原体保有者について結核医療を必要としないと認められる場合
第四条 法第十二条第一項第一号に掲げる者(新感染症(法第五十三条第一項の規定により一類感染症とみなされるものを除く。次項において同じ。)にかかっていると疑われる者を除く。)について、同項の規定により医師が届け出なければならない事項は、次のとおりとする。
一 当該者の職業及び住所
二 当該者が成年に達していない場合にあっては、その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)の氏名及び住所(保護者が法人であるときは、その名称及び主たる事務所の所在地)
三 感染症の名称及び当該者の症状
四 診断方法
五 当該者の所在地
六 初診年月日及び診断年月日
七 病原体に感染したと推定される年月日(感染症の患者にあっては、発病したと推定される年月日を含む。)
八 病原体に感染した原因、感染経路、病原体に感染した地域(以下「感染原因等」という。)又はこれらとして推定されるもの
九 診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の名称及び所在地)及び氏名
十 その他感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要と認める事項
(2項以下は省略)

(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第八条 都道府県知事は、次に掲げる場合に、法第十五条第一項の規定を実施するものとする。
一 一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者が発生し、又は発生した疑いがある場合
二 五類感染症の発生の状況に異状が認められる場合
三 国内で発生していない感染症であって国外でまん延しているものが発生するおそれがある場合
四 動物が人に感染させるおそれがある感染症が発生し、又は発生するおそれがある場合
五 その他都道府県知事が必要と認める場合
2 都道府県知事は、法第十五条第一項の規定を実施するときは、採取した検体、検査結果を記載した書類その他の感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするために必要な物件の提出を求めるものとする。
3 法第十五条第一項に規定する感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者その他の関係者は、同項の規定の迅速かつ的確な実施を確保するため、動物又はその死体が感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると認めたときは、速やかに、その旨を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に報告しなければならない。この場合において、前項に規定する物件があるときは、添付しなければならない。
4 都道府県知事は、前項前段の規定による報告の内容が、感染原因等、感染症のまん延の状況その他の事情を考慮して重要と認めるときは、厚生労働大臣に報告するものとする。この場合においては、同項後段の規定を準用する。

第四章 就業制限その他の措置
(検体の採取を行う場合の通知事項)
第十条 法第十六条の三第五項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 検体の提出若しくは採取の勧告をし、又は検体の採取の措置を実施する理由
二 検体の提出又は採取の勧告をする場合にあっては、検体を提出し、又は検体の採取に応じさせるべき期限
三 検体の採取の措置を実施する場合にあっては、検体の採取を行う日時、場所及びその方法
四 検体の提出又は採取の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に検体の採取の措置を実施することがある旨
五 その他必要と認める事項
2 法第十六条の三第六項に規定する厚生労働省令で定める事項は、前項各号に規定する事項とする。

(検査及び報告)
第十条の二 第八条第五項第一号及び第二号の規定は、法第十六条の三第七項の検査について準用する。
2 法第十六条の三第八項に規定する報告は、検査の結果の判明後速やかに行うものとする。
3 法第十六条の三第八項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 患者の氏名、性別、年齢及び住所
二 当該患者を診断した医師の住所(病院又は診療所で診療に従事している医師にあっては、当該病院又は診療所の所在地)を管轄する保健所名及び当該保健所所在地の都道府県名

(厚生労働大臣が検体の採取を行う場合の通知事項)
第十条の三 第十条の規定は、法第十六条の三第十一項において同条第五項及び第六項の規定を準用する場合について準用する。

(就業制限)
第十一条 法第十八条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 当該届出の内容のうち第四条第一項第三号、第四号及び第六号に掲げる事項に係る内容
二 法第十八条第二項に規定する就業制限及びその期間に関する事項
三 法第十八条第二項の規定に違反した場合に、法第七十七条第四号の規定により罰金に処される旨
四 法第十八条第三項の規定により確認を求めることができる旨
五 その他必要と認める事項
2 法第十八条第二項の厚生労働省令で定める業務は、次に掲げる感染症の区分に応じ、当該各号に定める業務とする。
一 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病及びラッサ熱 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び他者の身体に直接接触する業務
二 結核 接客業その他の多数の者に接触する業務
三 ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。以下単に「重症急性呼吸器症候群」という。)、新型インフルエンザ等感染症、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。以下単に「中東呼吸器症候群」という。)、痘とうそう、特定鳥インフルエンザ及びペスト 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び接客業その他の多数の者に接触する業務
四 法第六条第二項から第四項までに掲げる感染症のうち、前三号に掲げるもの以外の感染症 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務
3 法第十八条第二項の厚生労働省令で定める期間は、次に掲げる感染症の区分に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 結核、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群及び特定鳥インフルエンザ その病原体を保有しなくなるまでの期間又はその症状が消失するまでの期間
二 前号に掲げるもの以外の感染症 その病原体を保有しなくなるまでの期間

(入院患者の移送)
第十二条 法第二十一条に規定する移送は、当該移送を行う患者に係る感染症がまん延しないよう配慮して行わなければならない。

(健康診断の勧告を行う場合等の通知事項)
第十三条 法第二十三条において準用する法第十六条の三第五項に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 健康診断の勧告をし、又は健康診断の措置を実施する理由
二 健康診断の勧告をする場合にあっては、健康診断を受け、又は受けさせるべき期限
三 健康診断の措置を実施する場合にあっては、健康診断を行う日時、場所及びその方法
四 健康診断の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に健康診断の措置を実施することがある旨
五 入院の勧告、入院の措置又は入院の期間の延長をする理由
六 入院の勧告又は入院の措置をする場合にあっては、入院すべき期限及び医療機関
七 入院すべき期間又は入院の措置の延長をする期間
八 入院の勧告をする場合にあっては、当該勧告に従わない場合に入院の措置をすることがある旨
九 法第二十二条第一項に規定する退院に関する事項
十 法第二十二条第三項の規定により退院を求めることができる旨
十一 法第二十五条に規定する審査請求の特例に関する事項
十二 その他必要と認める事項
2 前項の規定は、法第二十六条において法第二十三条の規定を準用する場合について準用する。

第五章 消毒その他の措置
(検体の収去等の方法)
第十三条の二 第十条の二第一項の規定は、法第二十六条の三第五項及び第二十六条の四第五項の検査について準用する。
2 第十条の二第二項及び第三項の規定は、法第二十六条の三第六項及び法第二十六条の四第六項の報告について準用する。

(消毒の方法)
第十四条 法第二十七条第一項及び第二項に規定する消毒は、次に掲げる基準に従い、消毒薬を用いて行うものとする。
一 対象となる場所の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、十分な消毒が行えるような方法により行うこと。
二 消毒を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(ねずみ族及び昆虫等の駆除の方法)
第十五条 法第二十八条第一項及び第二項に規定する駆除は、次に掲げる基準に従い行うものとする。
一 対象となる区域の状況、ねずみ族又は昆虫等の性質その他の事情を勘案し、十分な駆除が行えるような方法により行うこと。
二 駆除を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(物件に係る措置の方法)
第十六条 法第二十九条第一項及び第二項に規定する物件の移動の制限及び禁止、消毒、廃棄その他必要な措置(以下この条及び第十九条において「物件措置」という。)は、次に掲げる基準に従い行うものとする。
一 対象とする物件の状況、感染症の病原体の性質、次に掲げる措置の基準その他の事情を勘案し、当該物件措置の目的を十分に達成できるような方法により行うこと。
イ 消毒にあっては、消毒薬、熱水消毒、煮沸消毒等により行うこと。
ロ 廃棄にあっては、消毒、ハに規定する滅菌その他の感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な処理をした後に行うこと。
ハ 物件措置としての滅菌(次号において「滅菌」という。)にあっては、高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌、火炎滅菌、化学滅菌、ろ過滅菌等により行うこと。
二 消毒及び滅菌にあっては、消毒又は滅菌を行う者の安全並びに対象となる場所の周囲の地域の住民の健康及び環境への影響に留意すること。

(建物に係る措置の方法及び期間)
第十七条 法第三十二条第一項に規定する建物への立入りの制限又は禁止は、対象となる建物の状況、感染症の病原体の性質その他の事情を勘案し、適切と認められる方法により行うものとする。

(質問及び調査に携わる職員の身分を示す証明書)
第十八条 法第三十五条第二項に規定する身分を示す証明書は、別記様式第二による。

第六章 医療
(入院患者の医療に係る費用負担の申請)
第二十条 法第三十七条に規定する申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を提出して行うものとする。
一 患者の住所、氏名、生年月日、性別及び個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)
二 申請者が患者の保護者の場合にあっては、当該保護者の住所、氏名(保護者が法人であるときは、当該法人の主たる事務所の所在地及び名称)及び個人番号並びに患者との関係
三 患者が法第三十九条に規定する者に該当する場合にあっては、その旨
2 前項の申請書には、次に掲げるものを添付しなければならない。ただし、第二号に掲げる書類については、都道府県知事は、当該書類により証明すべき事実を公簿等によって確認することができるときは、当該書類を省略させることができる。
一 法第二十三条(法第二十六条において準用する場合を含む。)において準用する法第十六条の三第五項の規定による通知の写し
二 当該患者並びにその配偶者及び民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者の当該費用の負担能力を把握するために都道府県知事が必要と認める書類

(都道府県知事の指導)
第二十一条 都道府県知事は、感染症指定医療機関であって大学の付属病院その他教育又は研究を主たる目的とするものに対し、法第三十八条第五項、第六項又は第七項に規定する指導を行うに当たっては、これらの教育又は研究に不当に関与しないよう配慮するものとする。

(診療報酬の請求及び支払)
第二十二条 都道府県知事が法第四十条第三項の規定により医療費の審査を行うこととしている場合においては、感染症指定医療機関は、療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号)又は介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する省令(平成十二年厚生省令第二十号)の定めるところにより、当該感染症指定医療機関が行った医療に係る診療報酬を請求するものとする。
2 前項の場合において、都道府県は、当該感染症指定医療機関に対し、都道府県知事が当該指定医療機関の所在する都道府県の社会保険診療報酬支払基金事務所に設けられた審査委員会、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める特別審査委員会、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会、同法第四十五条第六項に規定する厚生労働大臣が指定する法人に設置される診療報酬の審査に関する組織又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百七十九条に規定する介護給付費等審査委員会の意見を聴いて、決定した額に基づいて、その診療報酬を支払うものとする。

(療養費支給の申請)
第二十三条 法第四十二条に規定する申請は、当該医療を受けた後一月以内に、第二十条第一項各号又は第二十条の三第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申請書を提出して行うものとする。
一 支給を受けようとする療養費の額
二 法第四十二条第一項後段に規定する場合に係るものにあっては、緊急その他やむを得ない理由
2 前項の申請書には、第二十条第二項各号又は第二十条の三第二項各号に掲げるもののほか、当該医療に要した費用を証明する書類を添付しなければならない。

第七章 新型インフルエンザ等感染症
(健康状態についての報告)
第二十三条の三 都道府県知事は、法第四十四条の三第一項の規定により報告を求める場合には、その名あて人又はその保護者に対し、求める報告の内容、報告を求める期間及びこれらの理由を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで健康状態について報告を求めるべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、できる限り速やかに、同項の書面を交付しなければならない。

(感染の防止に必要な協力)
第二十三条の四 都道府県知事は、法第四十四条の三第二項の規定により協力を求める場合には、その名あて人又はその保護者に対し、求める協力の内容、協力を求める期間及びこれらの理由を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで感染の防止に必要な協力を求めるべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、できる限り速やかに、同項の書面を交付しなければならない。

(経過の報告)
第二十三条の五 法第四十四条の五第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する報告は、厚生労働大臣の求めに応じて行うものとする。

(権限の委任)
第三十二条 法第六十五条の三第一項の規定により、次に掲げる厚生労働大臣の権限は地方厚生局長に委任する。ただし、厚生労働大臣が当該権限を自ら行うことを妨げない。
一 法第四十三条第一項に規定する厚生労働大臣の権限

国内感染期において緊急事態宣言がされた場合の政府行動計画(新型インフルエンザの場合)

   新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」といいます。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定に基づき,同法は新型コロナウィルス感染症についても適用されます。
   そして,国内感染期において適用される,新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)61頁ないし71頁は以下のとおりであります(緊急事態宣言がされている場合の措置については赤文字表記とし,注番号については,特措法の条番号に変えています。)ところ,いわゆるロックダウン(都市封鎖)と比べると,かなり制限は緩いのであって,例えば,外出自粛要請の対象から,生活の維持に必要な場合の外出は除外されています(特措法45条1項)。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)

国内感染期
・ 国内のいずれかの都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態。
・ 感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。
・ 国内でも、都道府県によって状況が異なる可能性がある。
(地域未発生期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生していない状態。
(地域発生早期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追うことができる状態。
(地域感染期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追うことができなくなった状態(感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。)。
目的:
1) 医療体制を維持する。
2) 健康被害を最小限に抑える。
3) 国民生活及び国民経済への影響を最小限に抑える。
対策の考え方:
1) 感染拡大を止めることは困難であり、対策の主眼を、早期の積極的な感染拡大防止から被害軽減に切り替える。
2) 地域ごとに発生の状況は異なり、実施すべき対策が異なることから、都道府県ごとに実施すべき対策の判断を行う。
3) 状況に応じた医療体制や感染対策、ワクチン接種、社会・経済活動の状況等について周知し、個人一人一人がとるべき行動について分かりやすく説明するため、積極的な情報提供を行う。
4) 流行のピーク時の入院患者や重症者の数をなるべく少なくして医療体制への負荷を軽減する。
5) 医療体制の維持に全力を尽くし、必要な患者が適切な医療を受けられるようにし健康被害を最小限にとどめる。
6) 欠勤者の増大が予測されるが、国民生活・国民経済の影響を最小限に抑えるため必要なライフライン等の事業活動を継続する。また、その他の社会活動をできる限り継続する。
7) 受診患者数を減少させ、入院患者数や重症者数を抑え、医療体制への負荷を軽減するため、住民接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合は、できるだけ速やかに実施する。
8) 状況の進展に応じて、必要性の低下した対策の縮小・中止を図る。

(1) 実施体制
(1)-1 基本的対処方針の変更
   国は、基本的対処方針等諮問委員会の意見を聴いて、その時点での基本的対処方針を変更し、国内感染期に入った旨及び国内感染期の対処方針を公示する。(内閣官房、厚生労働省、その他全省庁)
(1)-2 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 市町村は、緊急事態宣言がなされた場合、速やかに市町村対策本部を設置する(特措法34条)。
② 地方公共団体が新型インフルエンザ等のまん延により緊急事態措置を行うことができなくなった場合においては、特措法の規定に基づく他の地方公共団体による代行、応援等の措置の活用を行う(特措法38条及び39条)。

(2) サーベイランス・情報収集
(2)-1 国際的な情報収集
   国は、海外での新型インフルエンザ等の発生状況、各国の対応について、引き続き国際機関・諸外国等を通じて必要な情報を収集する。(厚生労働省、外務省)
(2)-2 サーベイランス
   国は、全国での患者数が数百人程度に増加した段階では、新型インフルエンザ等患者等の全数把握については、都道府県ごとの対応とする。また、学校等における集団発生の把握の強化については通常のサーベイランスに戻す。(厚生労働省、文部科学省)
(地域未発生期、地域発生早期の地域(都道府県)における対応)
① 国は、引き続き、新型インフルエンザ等患者の全数把握を実施する。
(厚生労働省)
(地域感染期の地域(都道府県)における対応)
① 国は、新型インフルエンザ等患者の全数把握は中止し、通常のサーベイランスを継続する。(厚生労働省)
② 国は、引き続き、国内の発生状況をリアルタイムで把握し、都道府県等に対して、発生状況を迅速に情報提供する。都道府県等は、国と連携し、必要な対策を実施する。(厚生労働省)
(2)-3 調査研究
   国は、引き続き、感染経路や感染力、潜伏期等の情報を収集・分析するほか、新型インフルエンザ迅速診断キットの有効性や、特に重症者の症状・治療法と転帰等、対策に必要な調査研究と分析を速やかに行い、その成果を対策に反映させる。(厚生労働省)

(3) 情報提供・共有
(3)-1 情報提供
① 国は、引き続き、国民に対し、利用可能なあらゆる媒体・機関を活用し、国内外の発生状況と具体的な対策等を、対策の決定プロセス、対策の理由、対策の実施主体とともに詳細に分かりやすく、できる限りリアルタイムで情報提供する。(関係省庁)
② 国は、引き続き、特に個人一人一人がとるべき行動を理解しやすいよう、都道府県の流行状況に応じた医療体制を周知し、学校・保育施設等や職場での感染対策についての情報を適切に提供する。また、社会活動の状況についても、情報提供する。(厚生労働省、関係省庁)
③ 国は、引き続き、国民からコールセンター等に寄せられる問い合わせや地方公共団体や関係機関等から寄せられる情報の内容も踏まえて、国民や関係機関がどのような情報を必要としているかを把握し、次の情報提供に反映する。(厚生労働省)
(3)-2 情報共有
   国は、地方公共団体や関係機関等との、インターネット等を活用したリアルタイムかつ双方向の情報共有を継続し、対策の方針を伝達するとともに、都道府県単位での流行や対策の状況を的確に把握する。(内閣官房、厚生労働省)
(3)-3 コールセンター等の継続
① 国は、国のコールセンター等を継続する。(厚生労働省)
② 国は、都道府県・市町村に対し、状況の変化に応じたQ&Aの改定版を配布し、コールセンター等の継続を要請する。(厚生労働省)

(4) 予防・まん延防止
(4)-1 国内でのまん延防止対策
① 国及び都道府県等は、業界団体等を経由し、または直接住民、事業者等に対して次の要請を行う。
・ 住民、事業所、福祉施設等に対し、マスク着用・咳エチケット・手洗い・うがい、人混みを避ける、時差出勤等の基本的な感染対策等を強く勧奨する。また、事業所に対し、当該感染症の症状の認められた従業員の健康管理・受診の勧奨を要請する。(厚生労働省)
・ 事業者に対し、職場における感染対策の徹底を要請する。(関係省庁)
・ ウイルスの病原性等の状況を踏まえ、必要に応じて、学校・保育施設等における感染対策の実施に資する目安を示すとともに、学校保健安全法に基づく臨時休業(学級閉鎖・学年閉鎖・休校)を適切に行うよう学校の設置者に要請する。(文部科学省、厚生労働省)
・ 公共交通機関等に対し、利用者へのマスク着用の励行の呼びかけなど適切な感染対策を講ずるよう要請する。(厚生労働省、国土交通省)
② 国は、都道府県等や関係機関に対し、病院、高齢者施設等の基礎疾患を有する者が集まる施設や、多数の者が居住する施設等における感染対策を強化するよう引き続き要請する。(厚生労働省)
③ 国は、都道府県等と連携し、医療機関に対し、地域感染期となった場合は、患者の治療を優先することから、患者との濃厚接触者(同居者を除く。)への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を原則として見合わせるよう要請するとともに、患者の同居者に対する予防投与については、その期待される効果を評価した上で継続の有無を決定する。(厚生労働省)④ 都道府県等は、地域感染期となった場合は、患者の濃厚接触者を特定しての措置(外出自粛要請、健康観察等)は中止する。
(4)-2 水際対策
   国内発生早期の記載を参照
(4)-3 予防接種
   国は、国内発生早期の対策を継続し、ワクチンを確保し、速やかに供給するとともに、国は特定接種を、市町村は予防接種法第6条第3項に基づく新臨時接種を進める。(厚生労働省、内閣官房、関係省庁)
(4)-4 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 新型インフルエンザ等緊急事態においては、患者数の増加に伴い地域における医療体制の負荷が過大となり、適切な医療を受けられないことによる死亡者数の増加が見込まれる等の特別な状況において、都道府県は、基本的対処方針に基づき、必要に応じ、以下の措置を講じる。
・ 都道府県は、特措法第 45 条第1項に基づき、住民に対し、期間と区域を定めて、生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないことや基本的な感染対策の徹底を要請する。
・ 都道府県は、特措法第 45 条第2項に基づき、学校、保育所等に対し、期間を定めて、施設の使用制限(臨時休業や入学試験の延期等)の要請を行う。要請に応じない学校、保育所等に対し、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第 45 条第 3 項に基づき、指示を行う。
   都道府県は、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
・ 都道府県は、特措法第 24 条第9項に基づき、学校、保育所等以外の施設について、職場を含め感染対策の徹底の要請を行う。特措法第 24 条第9項の要請に応じない施設に対し、公衆衛生上の問題が生じていると判断された施設(特措法施行令第 11 条に定める施設に限る。)に対し、特措法第 45条第2項に基づき、施設の使用制限又は基本的な感染対策の徹底の要請を行う。特措法第 45 条第2項の要請に応じず、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第 45 条第3項に基づき、指示を行う。
   都道府県は、特措法第 45 条に基づき、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
② 国は、国内発生早期の対策を継続し、ワクチンを確保し、速やかに供給するとともに、特措法第 46 条に基づく住民に対する予防接種を進める。(厚生労働省、内閣官房、関係省庁)

(5) 医療
(5)-1 患者への対応等
   国は、都道府県等に対し、以下を要請する。(厚生労働省)
(地域未発生期、地域発生早期の地域(都道府県)における対応)
① 引き続き、帰国者・接触者外来における診療、患者の入院措置等を実施する。
② 必要が生じた際には、感染症法に基づく入院措置を中止し、帰国者・接触者外来を指定しての診療体制から一般の医療機関でも診療する体制とする。
(地域感染期の地域(都道府県)における対応)
① 帰国者・接触者外来、帰国者・接触者相談センター及び感染症法に基づく患者の入院措置を中止し、新型インフルエンザ等の患者の診療を行わないこととしている医療機関等を除き、原則として一般の医療機関において新型インフルエンザ等の患者の診療を行う。
② 入院治療は重症患者を対象とし、それ以外の患者に対しては在宅での療養を要請するよう、関係機関に周知する。
③ 医師が在宅で療養する患者に対する電話による診療により新型インフルエンザ等への感染の有無や慢性疾患の状況について診断ができた場合、医師が抗インフルエンザウイルス薬等の処方箋を発行し、ファクシミリ等により送付することについて、国が示す対応方針を周知する。
④ 医療機関の従業員の勤務状況及び医療資器材・医薬品の在庫状況を確認し、新型インフルエンザ等やその他の疾患に係る診療が継続されるように調整する。
(5)-2 医療機関等への情報提供
   国は、引き続き、新型インフルエンザ等の診断・治療に資する情報等を医療機関及び医療従事者に迅速に提供する。(厚生労働省)
(5)-3 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄・使用
   国は、国及び都道府県における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握を行い、また、各都道府県の抗インフルエンザウイルス薬の流通状況を調査し、患者の発生状況を踏まえ、抗インフルエンザウイルス薬が必要な地域に供給されているかどうかを確認するとともに、都道府県の要請等に応じ、国備蓄分を配分する等の調整を行う。(厚生労働省)
(5)-4 在宅で療養する患者への支援
   市町村は、国及び都道府県と連携し、関係団体の協力を得ながら、患者や医療機関等から要請があった場合には、在宅で療養する患者への支援(見回り、食事の提供、医療機関への移送)や自宅で死亡した患者への対応を行う。
(5)-5 医療機関・薬局における警戒活動
   国は、引き続き、医療機関・薬局及びその周辺において、混乱による不測の事態の防止を図るため、必要に応じた警戒活動等を行うよう都道府県警察を指導・調整する。(警察庁)
(5)-6 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
① 医療機関並びに医薬品若しくは医療機器の製造販売業者、販売業者等である指定(地方)公共機関は、業務計画で定めるところにより、医療又は医薬品若しくは医療機器の製造販売等を確保するために必要な措置を講ずる(特措法47条)。
② 都道府県等は、国と連携し、区域内の医療機関が不足した場合、患者治療のための医療機関における定員超過入院(医療法施行規則10条)等のほか、医療体制の確保、感染防止及び衛生面を考慮し、新型インフルエンザ等を発症し外来診療を受ける必要のある患者や、病状は比較的軽度であるが在宅療養を行うことが困難であり入院診療を受ける必要のある患者等に対する医療の提供を行うため、臨時の医療施設を設置し(特措法48条1項及び2項)、医療を提供する。臨時の医療施設において医療を提供した場合は、流行がピークを越えた後、その状況に応じて、患者を医療機関に移送する等により順次閉鎖する。(厚生労働省)

(6)国民生活及び国民経済の安定の確保
(6)-1 事業者の対応
   国は、全国の事業者に対し、従業員の健康管理を徹底するとともに職場における感染対策を講じるよう要請する。(関係省庁)
(6)-2 国民・事業者への呼びかけ
   国は、国民に対し、食料品、生活必需品等の購入に当たっての消費者としての適切な行動を呼びかけるとともに、事業者に対しても、食料品、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また買占め及び売惜しみが生じないよう要請する。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
(6)-3 緊急事態宣言がされている場合の措置
   緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下の対策を行う。
(6)-3-1 業務の継続等
① 指定(地方)公共機関及び特定接種の実施状況に応じ登録事業者は、事業の継続を行う。その際、国は、当該事業継続のための法令の弾力運用について、必要に応じ、周知を行う。(関係省庁)
② 国は、各事業者における事業継続の状況や新型インフルエンザ等による従業員のり患状況等を確認し、必要な対策を速やかに検討する。(関係省庁)
(6)-3-2 電気及びガス並びに水の安定供給
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-3 運送・通信・郵便の確保
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-4 サービス水準に係る国民への呼びかけ
   国は、事業者のサービス提供水準に係る状況の把握に努め、国民に対して、まん延した段階において、サービス提供水準が相当程度低下する可能性を許容すべきことを呼びかける。(内閣官房、関係省庁)
(6)-3-5 緊急物資の運送等
   国内発生早期の記載を参照
(6)-3-6 物資の売渡しの要請等(特措法55条)
① 都道府県は、対策の実施に必要な物資の確保に当たっては、あらかじめ所有者に対し物資の売渡しの要請の同意を得ることを基本とする。なお、新型インフルエンザ等緊急事態により当該物資等が使用不能となっている場合や当該物資が既に他の都道府県による収用の対象となっている場合などの正当な理由がないにもかかわらず、当該所有者等が応じないときは、必要に応じ、物資を収用する。
② 都道府県は、特定物資の確保のため緊急の必要がある場合には、必要に応じ、事業者に対し特定物資の保管を命じる。
(6)-3-7 生活関連物資等の価格の安定等
① 国、都道府県、市町村は、国民生活及び国民経済の安定のために、物価の安定及び生活関連物資等の適切な供給を図る必要があることから、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜しみが生じないよう、調査・監視をするとともに、必要に応じ、関係事業者団体等に対して供給の確保や便乗値上げの防止等の要請を行う(特措法59条)。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
② 国、都道府県、市町村は、生活関連物資等の需給・価格動向や実施した措置の内容について、国民への迅速かつ的確な情報共有に努めるとともに、必要に応じ、国民からの相談窓口・情報収集窓口の充実を図る。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
③ 国は、米穀、小麦等の供給不足が生じ、または生じるおそれがあるときは、備蓄している物資の活用を検討する。(農林水産省、関係省庁)
④ 国、都道府県、市町村は、生活関連物資等の価格の高騰又は供給不足が生じ、または生ずるおそれがあるときは、それぞれその行動計画で定めるところにより、適切な措置を講ずる。(消費者庁、農林水産省、経済産業省、関係省庁)
(6)-3-8 新型インフルエンザ等発生時の要援護者への生活支援
   国は、市町村に対し、在宅の高齢者、障害者等の要援護者への生活支援(見回り、介護、訪問診療、食事の提供等)、搬送、死亡時の対応等を行うよう要請する。(厚生労働省)
(6)-3-9 犯罪の予防・取締り
   国内発生早期の記載を参照。
(6)-3-10 埋葬・火葬の特例等(特措法56条)
① 国は、都道府県を通じ、市町村に対し、火葬場の経営者に可能な限り火葬炉を稼働させるよう、要請する。(厚生労働省)
② 国は、都道府県を通じ、市町村に対し、死亡者が増加し、火葬能力の限界を超えることが明らかになった場合には、一時的に遺体を安置する施設等を直ちに確保するよう要請する。(厚生労働省)
③ 国は、新型インフルエンザ等緊急事態において、埋葬又は火葬を円滑に行うことが困難であり、緊急の必要があると認めるときは、当該市町村長以外の市町村長による埋葬又は火葬の許可等の埋葬及び火葬の手続の特例を定める。(厚生労働省)
④ 都道府県は、遺体の埋葬及び火葬について、墓地、火葬場等に関連する情報を広域的かつ速やかに収集し、遺体の搬送の手配等を実施する。
(6)-3-11 新型インフルエンザ等の患者の権利利益の保全等(特措法57条)
   国は、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別の措置に関する法律に基づく措置の必要性を検討し、必要な場合には、行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置、期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置等の特例措置のうち当該新型インフルエンザ等緊急事態に対し適用すべきものを指定する。(内閣官房、関係省庁)
(6)-3-12 新型インフルエンザ等緊急事態に関する融資(特措法60条)
① 政府関係金融機関等は、あらかじめ業務継続体制の整備等に努め、新型インフルエンザ等緊急事態において、償還期限又は据置期間の延長、旧債の借換え、必要がある場合における利率の低減その他実情に応じ適切な措置を講ずるよう努める。
② 日本政策金融公庫等は、新型インフルエンザ等緊急事態において、影響を受ける中小企業及び農林漁業者等の経営の維持安定を支援するため、特別な融資を実施するなど実情に応じ適切な措置を講ずるよう努める。
③ 日本政策金融公庫は、新型インフルエンザ等緊急事態において、株式会社日本政策金融公庫法第 11 条第2項の主務大臣による認定が行われたときは、同項で定める指定金融機関が、当該緊急事態による被害に対処するために必要な資金の貸付け、手形の割引等の危機対応業務を迅速かつ円滑に実施できるよう、危機対応円滑化業務を実施する。
(6)-3-13 金銭債務の支払猶予等(特措法58条)
   国は、新型インフルエンザ等緊急事態において、経済の秩序が混乱するおそれがある場合には、その対応策を速やかに検討する。
(6)-3-14 通貨及び金融の安定(特措法61条)
   日本銀行は、新型インフルエンザ等緊急事態において、その業務計画で定めるところにより、我が国の中央銀行として、銀行券の発行並びに通貨及び金融の調節を行うとともに、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を通じ、信用秩序の維持に資するため必要な措置を講ずる。

*1 新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)8頁及び9頁の記載
   新型インフルエンザ等による社会への影響の想定には多くの議論があるが、以下のような影響が一つの例として想定される。
・ 国民の 25%が、流行期間(約8週間)にピークを作りながら順次り患する。り患者は1週間から 10 日間程度り患し、欠勤。り患した従業員の大部分は、一定の欠勤期間後、治癒し(免疫を得て)、職場に復帰する。
・ ピーク時(約2週間)に従業員が発症して欠勤する割合は、多く見積もって5%程度と考えられるが、従業員自身のり患のほか、むしろ家族の世話、看護等(学校・保育施設等の臨時休業や、一部の福祉サービスの縮小、家庭での療養などによる)のため、出勤が困難となる者、不安により出勤しない者がいることを見込み、ピーク時(約2週間)には従業員の最大 40%程度が欠勤するケースが想定される。
*2 令和2年4月4日現在,山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信HP「5つの提言」の記載
提言1 今すぐ強力な対策を開始する
   ウイルスの特性や世界の状況を調べれば調べるほど、新型ウイルスが日本にだけ優しくしてくれる理由を見つけることが出来ません。検査数が世界の中でも特異的に少ないことを考えると、感染者の急増はすでに始まっていると考えるべきです。対策は先手必勝です。中国は都市封鎖をはじめとする強硬な対策をとりましたが、第1波の収束に2か月を要しました。アメリカの予想では、厳密な自宅待機、一斉休校、非必須の経済活動停止、厳格な旅行出張制限を続けたとして、第1波の収束に3か月かかると予測しています。
   わが国でも、特に東京や大阪など大都市では、強力な対策を今すぐに始めるべきです。一致団結して頑張り、ウイルスに打ち克ちましょう!
*3 医療法施行規則10条
 病院、診療所又は助産所の管理者は、患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させるに当たり、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。ただし、第一号から第四号までに掲げる事項については、臨時応急のため入院させ、又は入所させるときは、この限りでない。
一 病室又は妊婦、産婦若しくはじよく婦を入所させる室(以下「入所室」という。)には定員を超えて患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
二 病室又は入所室でない場所に患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。
三 精神疾患を有する者であつて、当該精神疾患に対し入院治療が必要なもの(身体疾患を有する者であつて、当該身体疾患に対し精神病室以外の病室で入院治療を受けることが必要なものを除く。)を入院させる場合には、精神病室に入院させること。
四 感染症患者を感染症病室でない病室に入院させないこと。
五 同室に入院させることにより病毒感染の危険のある患者を他の種の患者と同室に入院させないこと。
六 病毒感染の危険のある患者を入院させた室は消毒した後でなければこれに他の患者を入院させないこと。
七 病毒感染の危険ある患者の用に供した被服、寝具、食器等で病毒に汚染し又は汚染の疑あるものは、消毒した後でなければこれを他の患者の用に供しないこと。
(昭二九厚令一三・平一〇厚令九九・平一三厚労令八・平二八厚労令一一〇・一部改正)
*4 日弁連HPに掲載されている,新型インフルエンザ等対策特別措置法案に反対する会長声明(平成24年3月9日付)の記載(ただし,令和2年4月4日現在の日弁連の意見は不明です。)
① 政府の新型インフルエンザ対策行動計画(2011年9月20日)によれば、新型インフルエンザの被害想定の上限値は、受診患者数2500万人、入院患者数200万人、死亡患者数64万人という極めて大規模なものとされ、このような被害想定が、『万が一に備える』との考え方により安易に用いられれば、本法案の上記要件を充足するものとたやすく判断されてしまうおそれがある。そもそも、この被害想定は、1918年(大正7年)に発生したスペインインフルエンザからの推計であるが、当時と現在の我が国の国民の健康状態、衛生状況及び医療環境の違いは歴然としており、こうした推計に基づく被害想定が科学的根拠を有するものといえるのか疑問である。
② 特に、多数の者が利用する施設の使用制限等(45条)は、集会の自由(憲法21条1項)を制限し得る規定であるが、その要件は、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」(45条2項)という抽象的かつ曖昧なものであり、その対象も、「政令で定める多数の者が利用する施設」とされているのみで、極めて広範な施設に適用可能な規定となっている。
   他方で、一時的な集会などを制限することが感染拡大の防止にどの程度効果があるのかについては十分な科学的根拠が示されておらず、効果が乏しいとの意見もあるところであり、制限の必要性にも疑問がある。そのため、感染拡大の防止という目的達成に必要な最小限度を超えて集会の自由が制限される危険性が高い。
③ 本法案は、上記のとおり、科学的根拠に疑問がある上、人権制限を適用する要件も極めて曖昧なまま、各種人権に対する過剰な制限がなされるおそれを含むものである。
*5 42期の村田斉志最高裁判所総務局長は,令和2年4月16日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています。
 最高裁といたしましても、感染拡大防止措置を徹底しつつ裁判所として必要な機能を維持することは極めて重要であるというふうに考えております。
 そこで、緊急事態宣言の対象地域に所在する裁判所におきましては、裁判所における新型インフルエンザ等対応業務継続計画に基づきまして、令状に関する事務ですとかいわゆるDV事件に関する事務など、特に緊急性の高い事件に関する事務を継続する体制とすることにいたしまして、裁判所として必要な機能を維持できる範囲に業務を縮小いたしまして、裁判所を利用する当事者あるいは職員の移動等をできる限り回避するというようなこととしております。
 裁判所職員の勤務体制につきましては、緊急の事態であることに鑑みまして、このような業務を行う上で必要な職員のみが裁判所に来て職務をし、それ以外の職員につきましては自宅において勤務をしているというところでございます。
 裁判所としては、今後とも、日々刻々と変化する状況を注視しつつ、適切な対応を取ることができるように検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

歴代の国税不服審判所長

1 小酒禮(こざかひろし)9期 東大
在任期間:昭和61年4月1日~平成元年5月31日
2 杉山伸顕(すぎやまのぶあき) 12期 東大
在任期間:平成元年6月1日~平成5年3月31日
3 佐久間重吉(さくまじゅうきち) 14期 東大
在任期間:平成5年4月1日~平成7年3月31日
4 小田泰機(おだやすき) 20期 東大
在任期間:平成7年4月1日~平成9年3月31日
5 太田幸夫(おおたゆきお) 20期 早稲田大
在任期間:平成9年4月1日~平成11年3月31日
6 島内乗統(しまうちじょうとう) 22期 東大
在任期間:平成11年4月1日~平成14年3月30日
7 成田喜達(なりたきたる) 25期 東大
在任期間:平成14年3月31日~平成16年4月2日
8 春日通良(かすがみちよし) 27期 東大
在任期間:平成16年4月1日~平成18年3月31日
9 井上哲男(いのうえてつお) 29期 東大
在任期間:平成18年4月1日~平成20年3月31日
10 金子順一(かねこじゅんいち) 30期 東大
在任期間:平成20年4月1日~平成22年3月31日
11 孝橋宏(こうはしひろし) 33期 京大
在任期間:平成22年4月1日~平成24年3月31日
12 生野考司(いくのこうじ) 35期 東大
在任期間:平成24年4月1日~平成26年3月31日
13 畠山稔(はたけやまみのる) 36期 東大
在任期間:平成26年4月1日~平成28年3月31日
14 増田稔(ますだみのる) 39期 東大
在任期間:平成28年4月1日~平成30年3月31日
15 脇博人(わきひろと) 40期
在任期間:平成30年4月1日~令和2年3月31日
16 東亜由美(ひがしあゆみ) 42期 慶応大
在任期間:令和2年4月1日~

*1 国税不服審判所長の定年は65歳です(人事院規則11-8(職員の定年)別表)。
*2 「国税不服審判所の概要」(令和元年度の文書)を掲載しています。
*3 国税不服審判所は昭和45年5月に設立されましたから,令和2年5月で50周年を迎えます。
*4 東京国税不服審判所長については検事出身者が就任していて,大阪国税不服審判所長については裁判官出身者が就任しています。
*5 以下の資料を掲載しています。
・ 令和元年9月6日開催の,全国国税不服審判所長会議に関する文書
・ 令和元年10月11日開催の,全国国税不服審判所部長審判官会議に関する文書
・ 令和元年11月19日開催の,全国国税不服審判所管理課長会議に関する文書
*6 「令和元年7月採用の国税審判官の研修資料」も参照してしてください。

警察庁作成の訟務統計

1 警察庁作成の訟務統計を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和 元年
(平成時代)
平成21年平成22年平成23年平成24年平成25年
平成26年平成27年平成28年平成29年平成30年



2 大阪府警察に対する不服申立て及び行政事件訴訟の統計を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和 元年
(平成時代)
平成25年ないし平成29年平成30年

3 以下の記事も参照してください。
① 都道府県公安委員会に対する苦情申出制度
② 交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点

各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書

1 各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 2年 2月 7日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 2年 1月17日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 2年 1月14日付の閣議書
→ 警察庁が対象でした。
・ 令和 2年 1月10日付の閣議書
→ 内閣官房,公正取引委員会及びカジノ管理委員会が対象でした。
・ 令和 元年12月23日付の閣議書
→ 復興庁,法務省及び国土交通省が対象でした。
・ 令和 元年12月20日付の閣議書(持ち回り閣議)
→ 鈴木茂樹総務事務次官を更迭しました。
・ 令和 2年12月10日付の閣議書
→ 宮内庁が対象でした。
・ 令和 元年 7月 2日付の閣議書
→ 内閣官房,復興庁,内閣府,公取,金融庁,消費者庁,総務省,法務省,外務省,財務省,文科省,厚労省,農水省,経産省,国交省及び環境省の幹部職員人事が対象でした。
・ 平成31年 3月22日付の閣議書
→ 法務省人事が対象でした。
・ 平成31年 1月 8日付の閣議書
→ 警察庁,法務省及び防衛省が対象でした。
・ 平成30年 7月24日付の閣議書
→ 内閣官房,内閣法制局,復興庁,内閣府,警察庁,消費者庁,総務省,文科省,厚労省,農水省,経産省,国交省及び防衛省の幹部職員人事が対象でした。

2 以下の記事も参照してください。
① 閣議
② 最高裁判所長官任命の閣議書
③ 最高裁判所判事任命の閣議書

政策担当秘書関係の文書

衆議院事務局又は参議院事務局から開示された,国会議員の政策担当秘書関係の文書を以下のとおり掲載しています。

令和 元年度分
1 衆議院
① 政策担当秘書試験合格者数及び選考採用審査認定者数(令和元年度までの分)
② 令和元年度政策担当秘書選考採用審査認定に関するお知らせ
③ 平成31年度政策担当秘書資格試験・選考採用審査認定日程
④ 令和元年度政策担当秘書選考採用審査認定口述審査実施について(令和元年7月17日実施分)
⑤ 令和元年度政策担当秘書選考採用審査認定口述審査実施について(令和元年9月18日及び同月19日実施分)
⑥ 令和元年度国会議員政策担当秘書 選考採用審査認定者登録簿
2 参議院
① 政策担当秘書資格試験合格者・選考採用審査認定者数(令和元年11月1日現在)
② 令和元年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定の実施について(令和元年5月7日付)
③ 令和元年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定申請の概要(令和元年10月17日付)
④ 令和元年度政策担当秘書制度関係日程
⑤ 令和元年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定における口述審査について
⑥ 令和元年度国会議員政策担当秘書選考採用審査認定者登録簿

平成30年度分
1 衆議院
① 政策担当秘書試験合格者数及び選考採用審査認定者数
② 平成30年度政策担当秘書選考採用審査認定に関するお知らせ
③ 平成30年度政策担当秘書資格試験・選考採用審査認定日程
④ 平成30年度政策担当秘書選考採用審査認定口述審査実施について(平成30年7月11日及び同月12日実施分)
⑤ 平成30年度政策担当秘書選考採用審査認定口述審査実施について(平成30年9月19日及び同月20日実施分)
⑥ 平成30年度国会議員政策担当秘書 選考採用審査認定者登録簿
2 参議院
① 政策担当秘書資格試験合格者・選考採用審査認定者数(平成30年11月1日現在)
② 平成30年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定の実施について(平成30年5月7日付)
③ 平成30年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定申請の概要(平成30年10月18日付)
④ 平成30年度政策担当秘書制度関係日程(案)
⑤ 平成30年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定における口述審査について
⑥ 平成30年度国会議員政策担当秘書選考採用審査認定者登録簿

平成29年度分
1 衆議院
・ 平成29年度政策担当秘書関係文書(衆議院事務局開示分)1/52/53/54/55/5
2 参議院
・ 平成29年度政策担当秘書関係文書(参議院事務局開示分)

*1 衆議院事務局管理職一覧(令和2年1月1日現在)を掲載しています。
*2 参議院事務局管理職名簿(令和2年1月16日現在)を掲載しています。
*3 中身は真っ黒ですが,以下の文書を掲載しています。
① 衆議院比例代表選出議員選挙関係違反事件捜査処理について(平成7年4月1日付の次長検事の依命通達)
② 参議院比例代表選出議員選挙関係違反事件捜査処理について(平成7年4月1日付の次長検事の依命通達)
③ 「参議院比例代表選出議員選挙関係違反事件捜査処理要領について」の全部改正について(平成3年10月1日付の次長検事の依命通達)
④ 「国会議員の逮捕請求手続きについて」の全部改正について(平成3年10月1日付の次長検事の依命通達)
*4 公職選挙法違反事件の統計報告について(最高裁判所刑事局第三課裁判実績調査係の文書)を以下のとおり掲載しています。
平成29年平成30年
*5 控訴審において終局した,公職選挙法違反事件の罪名,裁判所名,事件番号,終局裁判の日を以下のとおり掲載しています。
平成25年ないし平成29年平成30年
令和元年

刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯

1 戦前は検事局が保管していたこと
   昭和22年5月3日に裁判所法が施行されるまで,各裁判所に検事局が付置されていました(裁判所構成法6条1項)。
   そのため,刑事裁判が確定した場合,その執行に当たる検事局が裁判所の「付置」期間として刑事確定訴訟記録を保管することは当然のことでした。

2 刑事訴訟法の制定及びその後の状況
(1)ア 裁判所法及び検察庁法施行により,検察庁が裁判所から分離しましたから,検察庁が裁判終結後の記録をわざわざ裁判所から送付を受けたうえで,保存することについて合理的理由があるかが問題となりました。
   昭和23年2月15日設置の法務庁は,刑事記録は従前通り検察庁が保管すべきと主張したのに対し,最高裁判所は,裁判所が作成した刑事記録は裁判所が保管するのが当然であると主張しました。
結局,両者の主張の一致を見るに至りませんでしたから,制定当時の刑事訴訟法(昭和23年7月10日法律第131号)53条4項は,「訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。」と定め,将来の「別の法律」に対立する議論の決着をゆだねることとしました。
イ 刑事記録については,刑事訴訟法施行後も民刑訴訟記録保存規程(大正7年6月3日司法省法務局庶第7号訓令)を基準として,検察庁が保管することとなりました。
(2)   昭和45年11月,検務関係文書等保存事務暫定要領(法務省刑事局長通達)が制定され,禁固以上の刑の判決原本については永久保存とされました。
   「暫定要領」とされたのは,刑事訴訟法53条4項に基づく法律が制定されるまでの暫定措置という意味合いがあったからです。
(3) これらの点に関して,辻辰三郎法務省刑事局長は,昭和46年9月3日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 刑事の確定訴訟記録の保管につきましては、ただいま御指摘のとおり、刑事訴訟法では第五十三条の第四項におきまして、法律で別に定めることになっておるわけでございます。
   ところで、この法律は現在まだできておりません。なぜできてないかという問題になるわけでございますが、これは現行刑訴法になりまして、手続構造が旧法とはたいへん変わってきたわけでございます。
   確定記録の保管庁が裁判所であるか検察庁であるかという点につきましていろいろな意見、いろいろな説がございます。そういう点でまずこの説を調整をしなければならないという点が第一点でございます。
② それから第二点は、この現行刑訴ができましてから各種の確定訴訟記録につきまして、どういう記録はどれくらいの保存期間を設けるべきかどうかというような各記録ごとの保存期間というものが法施行当時すぐにきめられるということは、きめられたかもしれませんが、やはり多少の運用の実績を見てからきめるのが相当であろうということで、この保存期間を少し運用実績を見てからやろうという配慮もあったわけでございまして、そういう事情で現在までこの点の法律が制定されていないわけでございます。
③ そこで、現在どうなっておるかということになりますと、確定記録は大部分は検察庁において保管をいたしておりますけれども、一部の高等裁判所あるいは最高裁判所もそれに当たるかと思うのでございますが、一部の裁判所におきましては判決原本というようなものは裁判所で御保管になっておるという実情もございます。
   しかしながら、大部分の確定訴訟記録は、現状におきましては検察庁が保管をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、この法律ができ上がるまで保存事務の適正を期するという観点から、施行当時から最近まではずっと昔の通達によりましてまかなってまいったわけでございますが、本年に至りましてとりあえず暫定措置といたしまして、検察庁に保管しております訴訟記録につきましては新たな取り扱い要領を定めまして、法律ができますまでの適正な保存事務を行なっていこうということにいたしておるわけでございます。

3 刑事確定訴訟記録法の制定
(1) 昭和63年1月1日施行の刑事確定訴訟記録法(昭和62年6月2日法律第64号)では,刑事確定訴訟記録の保管機関は検察庁となりました。
(2)   この点に関して10期の吉丸眞最高裁判所事務総局刑事局長は,昭和62年5月26日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 訴訟記録はもともと裁判所が訴訟上作成、保管するものであるということなどから、確定後も引き続き裁判所において保管するのが相当であるというような考え方もございます。
   しかし他方、判決の確定後には、先ほど法務省からも御説明がございましたとおり、検察庁において裁判の執行指揮その他各種の事務を行うこととなりますところ、これらの事務を適正かつ円滑に行うためには訴訟記録を必要とするという実情がございます。
   現行刑訴法の制定過程におきまして裁判所と法務省との間で見解が分かれたのは、主として今申し上げましたようなところからでございます。
② その後、確定記録は御承知のとおり法律の制定を見ないまま検察庁が保管してまいりましたが、その間の運用を見てみますと、確かに裁判の執行等のために訴訟記録は検察庁において保管する必要があるというふうに認められます。
   また、記録を保管する実際上の必要といたしましては、裁判所の方が、例えば確定後にも書記官に対する司法行政上の監督権の行使等のために必要であるというような事情はあったわけでございますが、この点につきましても、この間の運用から見ますと、裁判所と検察庁との間でその点を調整することによって格別の支障なく運用されてきたという状況もございます。
   そのようなことを考えまして、今回の立法に当たりましては特に裁判の執行その他の事務の適正円滑な実現というようなところを重く考えまして、検察庁で保管するのが相当であるというふうに考えたわけでございます。
③ 無罪判決の場合に裁判の執行等の問題が生じないということにつきましては、委員御指摘のとおりでございます。
   ただ、御承知のとおり無罪判決は比較的数が少ないということもございますし、有罪判決の場合と無罪判決の場合とによって記録の保管の主体を異にするということは実際上いろいろ問題があろうかと思います。
   例えば閲覧その他の点につきましても、統一的に検察庁において保管するということがまさるというふうに考えられるわけでございまして、無罪判決の記録につきましてはいわばそのような統一的な取り扱いという観点から有罪判決の記録に合わせたということでございます。
④ まず現在の状況(注:民事記録に関する保存に関する現在の状況)を御説明申し上げますと、現在は事件記録等保存規程で保存いたしておるわけでございますが、これは、法形式からいたしますと最高裁判所規則の一形態でございます最高裁規程に属するわけでございます。
   また、確定記録の保存に関する事務はもともと裁判所の内部的な司法事務処理に関する事項に当たると考えられます。
   そのようなことで、これが最高裁判所規則の範囲内に属することははっきりいたしておるところだと思います。
   そのような意味で、私どもといたしましては、今後も民事の記録の保存につきましては最高裁判所の規程で定めていくのが適当であると考えております。

令和元年7月採用の国税審判官の研修資料

1 令和元年7月の国税審判官の採用状況
   令和元年7月10日付で,以下のとおり国税審判官(特定任期付職員)が採用されました。
札幌支部:1人(弁護士1人)
東京支部:5人(税理士3人,公認会計士2人)
名古屋支部:2人(税理士2人)
大阪支部:2人(弁護士2人)
広島支部:2人(弁護士1人,税理士1人)
高松支部:1人(公認会計士1人)
福岡支部:1人(公認会計士1人)
合  計:14人(弁護士4人,税理士6人,公認会計士4人)

2 新任審判官研修
   令和元年7月29日(月)に財務省本庁舎4階(国税不服審判所の大会議室(南430))で実施された研修の資料は以下のとおりです。
・ 令和元事務年度「新任審判官研修」資料一覧表
・ 新任審判官(新規採用者)研修日程表
・ 新任審判官(新規採用者)研修受講者名簿
・ 新任審判官(新規採用者)研修配席図
・ 審判所の役割・組織
・ 法曹出身者から見た国税不服審判所
・ 新任審判官研修(国家公務員倫理法関係)
・ 新任審判官研修(国家公務員の倫理)(国税庁人事課)
・ 新任審判官研修(ハラスメントの防止等)(国税庁人事課)
・ 国家公務員倫理教本(平成31年3月)(国家公務員倫理審査会)
・ 義務違反防止ハンドブック-服務規律の保持のために-(平成31年3月)(人事院)
・ 国家公務員倫理カード(国家公務員倫理審査会)
・ 監察官講話~非行の根絶~
・ 国税審判官(特定任期付職員)の採用について(令和元年7月10日付け)
・ 国税審判官(特定任期付職員)の支部別採用者内訳
・ 参考資料

3 短期研修「審判実務」
   令和元年7月30日(火)から同年8月2日(金)にかけて,税務大学校和光校舎で実施された,短期研修「審判実務」の資料は以下のとおりです。
(7月30日)
・ 「審判実務」時間割表
・ 和光校舎までの交通経路等について
・ 「審判実務」研修生名簿
・ オリエンテーション資料
・ 参考資料(法規集)
・ 審判所の現状と課題等
・ 審判所長講話
→ 当時の国税不服審判所長は,40期の脇博人裁判官です。
(7月31日)
・ 審査事務の概要1/32/3及び3/3
・ 審査事務の概要(参考資料)
・ 審判所事務運営の方針
・ 審査請求の基礎知識
(8月1日)
・ 裁決書起案の留意事項
・ 裁決書起案の留意事項(参考資料)
・ 審判所における審理の実際
(8月2日)
・ 裁決書の概要
・ 事例研究(演習問題)
・ 事例研究(解説)
・ 徴収関係審判実務
・ 徴収関係事件の審理の手引(執務参考資料)




*1 国税不服審判所に関する,以下の文書を掲載しています。
・ 事務計画の策定、進行管理の実施及び実績報告等について(平成10年6月17日付の事務運営指針)(令和元年6月21日最終改正)
・ 仮マスキング済裁決書の作成について(平成28年3月24日付の国税不服審判所長の指示)
・ 本部支援事件の処理体制の整備について(平成28年6月23日付の国税不服審判所長の指示)
・ 本部照会必須事件一覧(平成31年2月末現在)
・ 「同席主張説明・審理手続の計画的遂行・口頭意見陳述の実践マニュアル」について(平成30年6月19日付の審判所情報第1号)
・ 「証拠の閲覧・写しの交付マニュアル」について(平成30年6月19日付の審判所情報第2号)
・ 証拠の開示について(平成28年7月7日付の国税不服審判所長の指示)
・ 裁決結果及び裁決要旨の公表手続について(平成23年3月29日付の事務運営指針)(平成29年最終改正)
・ 国税通則法第99条の通知の可能性のある事件の対応について(平成28年6月23日付の国税不服審判所長の通知)
・ 国税不服審判所の重要先例事件一覧表,個別管理重要事件一覧表及び本部協議事件一覧表(令和2年1月末現在)
・ 国税不服審判所の本部照会数一覧及び相互審査照会数一覧(令和2年2月末現在)
・ 国税不服審判所の情報共有事件件数(令和2年1月末現在)
・ 国税不服審判所の審査請求事件の請求,処理及び未済の状況(平成26会計年度から平成30会計年度まで)
・ 国税不服審判所の審査請求事件処理状況表(本支所別延件数)(平成30年度分)
・ 国税不服審判所の審査請求事件処理状況表(税目別延件数)(平成30年度分)
*2 「国税不服審判所の概要(令和元年度の文書)」には以下の文書が含まれています。

*3 「国税庁長官及び東京国税局長の引継資料(令和元年7月頃の文書)」も参照してください。
*4 衆議院議員緑川貴士君提出国税庁職員の新任者研修に関する質問に対する答弁書(令和2年4月14日付)には以下の記載があります。
   税務大学校和光校舎において予定されていた令和二年度の専門官基礎研修については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況等を踏まえ、当分の間、自宅等においてオンライン等の方法により実施することとしたところである。
   また、御指摘の「和光市長から新任者基礎研修の中止の要請があったと言われている」ことについては、令和二年四月二日に和光市長から、税務大学校副校長に対し、専門官基礎研修の実施について見直すべきではないかとの意見が出されたところである。

検視,解剖,調査及び検査並びに病理解剖等

目次
第1 司法検視及び行政検視
1 司法検視
2 行政検視
3 犯罪行為により死亡したと認められる死体,及び変死体
第2 死亡診断書又は死体検案書の記載事項証明書の取得方法
1 戸籍の届書類の記載事項証明書
2 利害関係人による証明書の取得
3 戸籍の届書類の保存期間
4 法務省の資料
第3 司法解剖,行政解剖及び監察医制度
1 司法解剖
2 司法解剖としての死体解剖の謝金
3 行政解剖
4 監察医制度
第4 調査及び検査
1 警察による取扱死体の調査
2 解剖の要否に関する判断の実情
3 その他
第5 病理解剖
1 病理解剖及び病理医
2 病理解剖が必要な具体例
3 医事関係訴訟に関する統計
第6 解剖学の雑メモ
第7 孤独死の後始末
第8 埋葬等の取扱い
1 原則
2 例外
第9 検視規則

第1 司法検視及び行政検視
1 司法検視
(1) 検視とは,人の死亡が犯罪に起因するものであるかどうかを判断するため,五官の作用により死体の状況を見分(外表検査)する処分をいいます。
   検視は,犯罪の有無を発見するために行われる捜査前の処分であって,捜査そのものではなく,その意味で検証とは異なります。
(2)ア 変死体(変死者又は変死の疑いのある死体をいいます(検視規則1条)。)があるときは,その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は,検視をしなければなりません(刑事訴訟法229条1項)。
イ 検察官の代わりに司法警察員が検視をすることを代行検視といいます(刑事訴訟法229条2項及び検視規則5条)。
(3) 検視を行うにあたっては,令状なくして以下の処分をすることができます。
① 変死体が存在する場所に立ち入ること。
② 変死体を検査すること。
・ 医学的に外表検査と認められる限度で,眼瞼(がんけん),肛門(こうもん)を検査するなどの身体検査をすることができます。
③ 所持品等の調査
(4) 死体について検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは,当該手続が終了した後でなければ,当該死体から臓器を摘出してはなりません(臓器の移植に関する法律7条)。
(5) 衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する内閣答弁書(平成16年6月29日付)には以下の記載があります。
   刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項に規定する検視(以下「検視」という。)は、変死者又は変死の疑いのある死体について、その死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するために、五官の作用により死体の状況を見分する処分と解される。これは、検視が、変死者又は変死の疑いのある死体が存在する場合には、その背後に犯罪が伏在していることが多いと考えられることから、それらの犯罪の発見及び捜査を的確かつ迅速に行うため、緊急に行う捜査前の処分であることによるものであり、このような検視についての解釈を変更する必要はないと考えている。
2 行政検視
(1) 行政検視とは,軽犯罪法第1条第18号その他一定の行政法規に基づく申出,届出,報告,通報等により,犯罪による疑いが全くない不自然死体,例えば,行旅病死者(行き倒れ),水死体,自殺死体,災害死体等につき,公衆衛生,感染症予防,死体の処理,身元の確認等の行政目的から,警察官等が死体を見分する手続をいいます。
   犯罪捜査とは直接の関係がなく,対象・目的において司法検視とは異なります(医師法21条,戸籍法89条及び92条,行旅病人及行旅死亡人取扱法7条1項,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律12条6項,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する規則93条1項,死体解剖保存法8条等)。
(2) 行政検視の過程で,変死者又は変死の疑いがあると認めたときには,司法検視の手続に切り替えられます。
(3) 自宅で家族が死亡した場合,かかりつけ医が24時間以内に診察をしていて死亡診断書(医師法19条ただし書)を作成できるときを除き,行政検視が実施されることがあります(小さなお葬式HP「検視の流れ|御遺体が警察に安置されたらやるべきこと」参照)。
3 犯罪行為により死亡したと認められる死体,及び変死体
(1) 犯罪行為により死亡したと認められる死体については,犯罪捜査の手続として検証又は実況見分が実施され,変死体(変死者又は変死の疑いのある死体をいいます(検視規則1条)。)については検視が実施されることとなります(「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律等の解釈について」(平成25年3月8日付の警察庁刑事局捜査第一課長の文書)2頁参照)。
(2) 変死者とは,自然死(老衰死,通常の病死等)でないいわゆる不自然死で,犯罪による死亡ではないかという疑いのある死体をいいます。
   変死の疑いのある死体とは,自然死か不自然死か不明の死体であって,不自然死の疑いがあり,かつ,犯罪によるものかどうか不明なものをいいます。
(3) 不自然死には,①犯罪死(殺人,過失致死等),②変死(犯罪による死亡ではないかという疑いのあるもの)及び③非犯罪死(水泳中の溺死,衆人環視の中での飛び降り自殺,落雷による感電死等)があります。

第2 死亡診断書又は死体検案書の記載事項証明書の取得方法

1 戸籍の届書類の記載事項証明書
(1) 戸籍の届書類(添付書類を含む。以下同じ。)については,これを市区町村が保管している間は当該市区町村が,法務局に送付された後は当該法務局が,それぞれ届書類の記載事項証明書を発行しています(戸籍法48条2項)。
(2) 戸籍法施行規則48条2項に基づき,市区町村は毎月,管轄の法務局に戸籍の届書類を送付しています。
2 利害関係人による証明書の取得
(1)ア 利害関係人は,特別の事由がある場合,死亡届に添付された死亡診断書又は死体検案書の記載事項に関する証明書を市区町村又は法務局において取得できます(戸籍法48条2項)(佐賀地方法務局HP「戸籍の届書記載事項証明書の請求について」,及び大阪市HP「戸籍届書の記載事項証明書の交付請求」参照)。
イ 特別の事由を疎明する書類は以下のとおりです(「大阪法務局 記載事項証明書発行事務取扱要領(平成23年3月31日付)」参照)。
① 簡易生命保険の保険証書(平成19年9月SO日 (郵政民営化)前に効力を生じているもの, コピーも可)
② 年金手帳,年金請求用紙等の年金請求に使用するということが確認できるもの(コピーも可)
③ 石綿による健康被害,労働者災害補償に係る依頼書等
(2) 本籍地とは異なる,死亡地又は住所地の市区町村に死亡届が提出された場合,当該市区町村は遅滞なく本籍地に死亡届を送付します(戸籍法施行規則26条)ところ,控えとしてコピーした書類を1年間,保存しています(戸籍法施行規則48条3項)。
   そのため,この期間内であれば,当該市区町村においても死亡届に添付された死亡診断書又は死体検案書の記載事項に関する証明書を取得できます(戸籍法48条2項)。
3 戸籍の届書類の保存期間
   法務局における戸籍の届書類の保存期間は27年が原則である(戸籍法施行規則49条2項)ものの,戸籍事務がコンピュータ化されている場合,戸籍の副本データが遅滞なく法務局に送信される関係で5年です(戸籍法施行規則49条の2)。
4 法務省の資料
   戸籍制度に関する研究会(法務省)の資料としての,「システムの一元化に伴う制度の見直しの要否について」が参考になります。

第3 司法解剖,行政解剖及び監察医制度
1 司法解剖
(1) 検証,実況見分又は検視の結果,犯罪性がある,又は犯罪性が疑われる場合,犯罪の捜査をするについて必要があるときに当たるとして,検察官又は司法警察職員は,医師に鑑定を嘱託します(刑事訴訟法223条1項)。
   嘱託を受けた医師は,鑑定処分許可状(刑事訴訟法225条1項)に基づき,死体を解剖します(刑事訴訟法168条1項)ところ,これを司法解剖といいます(死体解剖保存法2条1項4号参照)。
(2) 司法解剖の場合,遺族の承諾は不要です(死体解剖保存法7条3号)。
(3) 平成31年1月29日付の法務省の連絡文書によれば,検察修習における司法修習生の解剖立会いの実施方法が書いてある文書は存在しません。
(4) 検察修習中に犯罪死体又は変死体が出てきた場合,司法修習生として司法解剖に立ち会う機会がありますところ,法律よもやま話HP「変死体と検視・司法解剖」には以下の記載があります(改行を追加しました。)。
① 当然、犯罪死でありまともな死体ではない。私の見たのは母親と子供を殺害した事件の被害者両名の司法解剖であった。
   解剖は外傷のある部分だけ行うわけではない。頭部に傷はなくても、頭蓋骨をノコギリで切り開いて脳を取り出して観察するのである。もちろん胸や腹の中の臓器は当然である。
   しかも、摘出した臓器をどんどん無造作に積み重ねていく。ひとつひとつ戻しながら見分するのではないのである。そこには「もと人間であったもの」という尊厳はない。肉屋じゃないんだから勘弁してくれ、という感じである。
   しかし、そうでもしなければ解剖は1時間や2時間じゃ終わらないのである。
② それより辛いのは死体そのものの匂い、薬品の匂いである。匂いが気分に与える影響は極めて大きい。
   私は解剖の場面をビデオに録画したものであれば平気で見ていられると思うが、匂いがあるととても辛い。私は脂汗を流して耐えていた。
③ 司法解剖の最後もひどい。臓器はどんどん摘出して積み上げているから、元通りに戻るはずがない。
   だから、だいたいの位置にとにかく入れる(というか、突っ込む)のである。子供の脳などは、柔らかいため摘出するともとの位置には戻らないそうで、何と脳はお腹に入れ、頭には別の臓器を詰めていた。
   閉じてしまえば外観上は分からない。しかし、もうそこでは死体は単なる物である。
2 司法解剖としての死体解剖の謝金
(1) 警察法37条1項・警察法施行令2条4号は,犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費は国庫が支弁するとしています。
(2) 衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する内閣答弁書(平成16年6月29日付)には以下の記載があります。
 警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費及び謝金」としては、刑事訴訟法第二百二十九条第二項に基づき司法警察員である警察官が行う検視への立会いに係る死体検案謝金、同法第二百二十三条第一項に基づき警察官が鑑定を嘱託して行われる死体の解剖に係る死体解剖謝金等が計上されており、これらは、予算科目上、医師等に対して支払う謝金として区分され、所要の予算措置が講じられている。
 警察官が刑事訴訟法の規定に基づき鑑定を嘱託する場合には、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第百九十二条第一項により、鑑定の経過及び結果が簡単であるときを除き、鑑定人から、鑑定の日時、場所、経過及び結果を記載した鑑定書の提出を求めるようにしなければならないとされており、死体の解剖を伴う鑑定については、通常、鑑定人から鑑定書が提出されているものと承知している。
なお、死体の解剖は大学における医学教育・研究の一環として必要な業務であるという側面もあり、死体解剖謝金と医師等の行為との間に必ずしも対価性があるとは考えていない。

 警察法施行令第二条第四号に掲げられている「犯罪鑑識に必要な検案解剖委託費」とは、司法警察員である警察官が行う検視に医師の立会いを求める場合又は死体の解剖を伴う鑑定を警察官が嘱託する場合に必要となる経費であり、こうした経費については警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第三十七条第一項の規定により国庫が支弁することとされている。これらの規定に基づき前述の死体検案謝金、死体解剖謝金等の予算措置が講じられているのであるから、「法令に違反している」との御指摘は当たらない。
3 行政解剖
(1) 公衆衛生,食中毒の原因調査,検疫感染症の検査,死因調査のために行う解剖を行政解剖といいます(死体解剖保存法2条1項3号,5号,6号及び7号)。
(2) 公衆衛生(監察医制度が前提です。)又は死因調査のために解剖を行う場合,遺族の承諾は不要です(死体解剖保存法7条3号)。
   しかし,食中毒の原因調査又は検疫感染症の検査のために解剖を行う場合,原則として遺族の承諾が必要です(食品衛生法59条,検疫法13条2項)。
(3) 衆議院議員細川律夫君提出検視、検案、司法解剖等に関する質問に対する内閣答弁書(平成16年6月29日付)には以下の記載があります。
   刑事訴訟法に規定する手続以外の手続により行われた解剖において、当該死体につき犯罪と関係のある異常が認められたときは、死体解剖保存法(昭和二十四年法律第二百四号)第十一条により、死体を解剖した者は、二十四時間以内に解剖をした地の警察署長に届け出なければならないこととされ、これにより捜査機関への情報提供がなされ、適正な捜査活動の開始が期待されることから、刑事訴訟法に規定する解剖とそれ以外の解剖とが制度上区別されていることによる特段の弊害はないと考えている。
4 監察医制度
(1) 政令で定める地を管轄する都道府県知事は,その地域内における伝染病,中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について,その死因を明らかにするため監察医を置き,これに検案をさせ,又は検案によっても死因の判明しない場合には解剖させることができます死体解剖保存法8条)。
(2) 監察医が設置されているのは,東京23区内,横浜市,名古屋市,大阪市及び神戸市です(監察医を置くべき地域を定める政令。なお,厚生労働省HPの「監察医制度の概要」参照)。
(3) 千葉大学付属法医学教育研究センターHP「Vol.4 監察医制度の落とし穴」には以下の記載があります(改行を追加しました。)。
① 司法解剖が行われる場合、警察本部から検視官が出動し、所轄署に対して適切な捜査指揮を行う。
全ての変死体に関して、初動捜査の一環として司法解剖が実施されている限り、綿密な死因調査の上に、充分な状況捜査がなされることが期待できるので、正しい結論が導き出される可能性が比較的高い。
② 監察医の検案による遺体の処分は、警察本部への報告も、検視官から要請される追加捜査も要さないし、また監察医の行う行政解剖実施に当たっては裁判所への令状請求も要さないので、司法解剖に比べれば格段に簡便な手続きなのである。

第4 調査及び検査
1 警察による取扱死体の調査
(1) 警察官は,犯罪行為により死亡したと認められる死体又は変死体「以外の」死体について,その死因及び身元を明らかにするため,外表の調査,死体の発見された場所の調査,関係者に対する質問等の必要な調査をしなければなりません(警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(平成24年6月22日法律第34号)4条2項)。
(2) 警察署長は,取扱死体(犯罪捜査の手続きが行われる死体を除きます。)について,その死因を明らかにするために体内の状況を調査する必要があると認めるときは,警察嘱託医を通じて,その必要な限度において,体内から体液を採取して行う出血状況の確認,体液又は尿を採取して行う薬物又は毒物に係る検査,死亡時画像診断等を行うことができます(警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律5条1項及び2項)。
(3) 警察署長は、取扱死体の組織の一部を採取した場合において、当該取扱死体の身元を明らかにするため必要があると認めるときは、警視庁又は道府県警察本部の科学捜査研究所長に当該資料を送付することにより、当該資料のDNA型鑑定を嘱託することができます(死体取扱規則(平成25年国家公安委員会規則)4条1項)。
2 解剖の要否に関する判断の実情
(1) 警察署長は,取扱死体について、国公立大学法人又は学校法人等に所属する医師その他法医学に関する専門的な知識経験を有する者の意見を聴き,死因を明らかにするため特に必要があると認めるときは,解剖を実施することができます。この場合,当該解剖は医師に行わせるものとされています(警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律6条1項)。
(2) 千葉大学付属法医学教育研究センターHP「Vol.16 停滞を続ける死因究明制度改革」には,「法医学者の意見を聴くように規定されたものの、現実には電話で「持っていってもいいか」の確認をするのみで終わっている。わが国は解剖の要否を一切警察官の判断に依っているのが実情だ。」と書いてあります。
3 その他
(1) 警察庁HPに「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律等の解釈について」(平成25年3月8日付の警察庁刑事局捜査第一課長の文書)が載っています。
(2) メディカルリサーチ株式会社HP「画像鑑定」にCTやMRIを使用した死亡時画像診断のことが書いてあります。
   ただし,入墨等がある遺体についてMRI検査をした場合,加熱による物理的変化が発生するという問題があります(遺体管理学HP「死因究明のためのAi」参照)。
(3) 行旅中に死亡して引取者がいない者を行旅死亡人といいます(行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年3月28日法律第93号)1条1項)ところ,行旅死亡人となった場合,その状況,遺留物件等が官報に公示されます(行旅病人及行旅死亡人取扱法9条)。
(4) 指掌紋(ししょうもん)の取扱については以下の文書があります。
① 指掌紋取扱規則(平成9年国家公安委員会規則第13号)
② 指掌紋取扱細則(平成18年12月26日付の警察庁訓令)
③ 十指指紋の分類に関する訓令(昭和44年9月4日付の警察庁訓令)

第5 病理解剖
1 病理解剖及び病理医
(1)   病理解剖とは,御遺族の承諾のもとで病死された患者さんの御遺体を解剖することをいい,略称は「剖検(ぼうけん)」です。また,剖検率とは,その病院で1年間に亡くなった患者さんに対する剖検数の割合をいいます(済生会滋賀県病院HP「3.剖検率」参照)。
(2) 病理解剖,組織診断及び細胞診断を行う医師として病理医がいます(日本病理学会HP「病理医」参照)。
2 病理解剖が必要な具体例
(1) 日本病理学会HP「病理解剖について」によれば,病理解剖が必要な具体例は以下のとおりです。
①  診療中の病気の経過や死因について、臨床的には説明がつかない、あるいは、病理解剖以外の方法では確実な説明がつかない場合*
②  病理解剖によって、予期されなかった合併症が明らかになると考えられる場合
③  診療行為中、あるいはその直後に予期されない死亡をされた場合**
④  治療中の方で、院内において突然死あるいは予期されない死亡**をされ、診療行為と関係がないと考えられると同時に、司法解剖の対象とならない場合***
⑤  治験、臨床研究に参加している方が亡くなられた場合
⑥  臓器移植のドナー(臓器提供者)、ならびにレシピエント(臓器移植を受けた方)が亡くなられた場合
⑦  病理解剖の結果によって、ご遺族や一般の人の不安や疑念が解消できると考えられる場合
⑧  妊産婦の方が亡くなられた場合(全例)
⑨  全ての周産期あるいは小児死亡例
⑩  職業、あるいは環境に関連する原因で亡くなられたと考えられる場合
⑪  心肺停止状態で搬送された方で、その死亡について事件性がなく、司法解剖などの対象ではない場合****
 * 死因については、臨床的な検討や死亡時画像などに基づく方法によっても判断されるが、確実な診断を得るには病理解剖を行うことが望ましい。
**医療法に定められた医療事故調査制度の対象になる死亡例が含まれる。調査制度の「予期されない死亡」の定義については、平成27年厚生労働省令第100号(平成27年5月8日付交付)を参照のこと。
*** 診療中の患者さんが治療中の疾患あるいは治療行為に関係なく突然、あるいは予期せず死亡した場合をさす。例えば就寝中に死亡していた場合などが挙げられる。
**** 司法解剖および「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」の対象となる場合(いわゆる新法解剖)は病理解剖の対象とならない。
(2) 病理解剖に必要な費用は原則として病院が負担するため,患者及びその遺族が支払う必要はないそうです。
   また,病理解剖でご遺体及びその臓器を調べた結果は,生前の症状や検査結果と総合的に判断して「病理解剖診断書」としてまとめられ,1ヶ月から数ヶ月後に主治医に報告されます。ご遺族の方も,主治医を通じて病理解剖診断書について知ることができるそうです。
3 医事関係訴訟に関する統計
(1) 以下の統計を掲載しています。
① 平成16年から平成29年までの医事関係訴訟新受件数(地裁別)
② 医事関係訴訟既済件数(診療科目別)(平成18年~平成30年3月)
(2) 最新データについては,「最高裁判所が作成している事件数データ」に掲載しています。

第6 解剖学の雑メモ
1 溺死した死体の肺には水が入っているのに対し,陸で死んだ死体の肺には空気が入っていますから,陸で死んだ死体が海で見つかった場合,その人は殺害されたと推測されます(ウェブ1丁目図書館HP「海に死体を遺棄しても必ずばれる。解剖学の前では素人の浅知恵は通用しない。」参照)。
2 外傷がない死体は,何が死因か見た目で判断するのは困難ですし,その死体を解剖するのも手間がかかります。
   しかし,死亡時画像診断(Ai)として死体をCTやMRIで画像診断をすれば,メスを入れる前に怪しい部分を発見できる場合があります。
   脳や胸部に異常が見られるとなれば,その部分だけを解剖すれば,それで死因を究明できるといわれています(ウェブ1丁目図書館HP「死亡時画像診断(Ai)導入で困るのは警察でも医師でもなく製薬会社かもしれない 」参照)。

第7 孤独死の後始末
   「仏壇・位牌の整理」をしたい人向け,お役立ち情報サイト「遺品整理&孤独死後の仕舞い」に以下のページが載っています。
・ 孤独死を発見したら最初にすること:慌てないための初期対応
・ 孤独死発見後の緊急対策:腐敗臭とハエの拡散防止
・ 孤独死の部屋の消臭方法:死臭(腐敗臭)はどうすれば消えるか?

第8 埋葬等の取扱い
1 原則

(1) 埋葬又は火葬(以下「埋葬等」といいます。)は,死後24時間を経過した後でなければ,することができません(墓地、埋葬等に関する法律(略称は「墓埋法」です。)3条)。
(2) 火葬を行おうとする場合,死亡届を受理した市区町村長から火葬許可証を取得する必要があります(墓埋法5条)。
(3) 墓地の管理者は,火葬許可証を受理した後でなければ,焼骨の埋蔵をさせてはなりません(墓埋法14条1項)。
(4)ア 埋葬とは,死体を土中に葬ることをいい(墓埋法2条1項),火葬とは,死体を葬るために,これを焼くことをいいます(墓埋法2条2項)。
イ 日本の場合,埋葬等の99%は火葬です(「埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン」参照)。
2 例外
(1)ア 感染症により死亡したご遺体の場合,火葬場以外の場所への移動が制限されます(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(略称は「感染症法」です。)30条1項)し,都道府県知事の許可がない限り火葬が義務づけられますし(感染症法30条2項),24時間以内に埋葬等をすることができます(感染症法30条3項)。
イ 火葬の実施までに長期間を要し,公衆衛生上の問題が生じるおそれが高まった場合,都道府県は,新型インフルエンザに感染した遺体に十分な消毒等を行った上で墓地に埋葬することを認めることについても考慮するものとされています(「埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン」参照)。
(2) 最も危険な一類感染症であっても,100度を超える温度にさらされた場合には失活します。
   その関係で,焼骨に触れることにより一類感染症に感染することはないため、墓地及び納骨堂の管理者は、一類感染症による死亡であることを理由として焼骨の埋蔵又は収蔵を拒むことはできません(平成27年9月24日付の厚生労働省健康局結核感染症課長及び生活衛生課長通知))。
3 新型コロナウィルス感染症の取扱い
   新型コロナウィルス感染症により死亡したご遺体の場合,感染症法6条8項,7条1項及び66条に基づいて定められた新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年1月28日政令第11号)3条が感染症法30条を準用していますから,感染症法30条に基づく取扱いとなります。

第9 検視規則

   検視規則(昭和33年11月27日国家公安委員会規則第3号)は以下のとおりです。

(この規則の目的)
第一条 この規則は、警察官が変死者又は変死の疑のある死体(以下「変死体」という。)を発見し、又はこれがある旨の届出を受けたときの検視に関する手続、方法その他必要な事項を定めることを目的とする。
(報告)
第二条 警察官は、変死体を発見し、又はこれがある旨の届出を受けたときは、直ちに、その変死体の所在地を管轄する警察署長にその旨を報告しなければならない。
(検察官への通知)
第三条 前条の規定により報告を受けた警察署長は、すみやかに、警察本部長(警視総監又は道府県警察本部長をいう。以下同じ。)にその旨を報告するとともに、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項の規定による検視が行われるよう、その死体の所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官に次の各号に掲げる事項を通知しなければならない。
一 変死体発見の年月日時、場所及びその状況
二 変死体発見者の氏名その他参考となるべき事項
(現場の保存)
第四条 警察官は、検視が行われるまでは、変死体及びその現場の状況を保存するように努めるとともに、事後の捜査又は身元調査に支障をきたさないようにしなければならない。
(検視の代行)
第五条 刑事訴訟法第二百二十九条第二項の規定により変死体について検視する場合においては、医師の立会を求めてこれを行い、すみやかに検察官に、その結果を報告するとともに、検視調書を作成して、撮影した写真等とともに送付しなければならない。
(検視の要領)
第六条 検視に当つては、次の各号に掲げる事項を綿密に調査しなければならない。
一 変死体の氏名、年齢、住居及び性別
二 変死体の位置、姿勢並びに創傷その他の変異及び特徴
三 着衣、携帯品及び遺留品
四 周囲の地形及び事物の状況
五 死亡の推定年月日時及び場所
六 死因(特に犯罪行為に基因するか否か。)
七 凶器その他犯罪行為に供した疑のある物件
八 自殺の疑がある死体については、自殺の原因及び方法、教唆者、ほう助者等の有無並びに遺書があるときはその真偽
九 中毒死の疑があるときは、症状、毒物の種類及び中毒するに至つた経緯
2 前項の調査に当つて必要がある場合には、立会医師の意見を徴し、家人、親族、隣人、発見者その他の関係者について必要な事項を聴取し、かつ、人相、全身の形状、特徴のある身体の部位、着衣その他特徴のある所持品の撮影及び記録並びに指紋の採取等を行わなければならない。

募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であること等に関する国会答弁

○募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であることが明らかにされた,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会における国会答弁は以下のとおりです。
○松沢成文参議院議員は日本維新の会所属であり,柴山昌彦衆議院議員は文部科学大臣(53期の弁護士でもあります。)であり,伯井美徳政府参考人は文部科学省高等教育局長です。

○松沢成文君 (中略)
   大臣、今回のこの法曹教育の改革、法科大学院含めたこの改革ですね、結果を見ると、今までの法科大学院の実績というのは、失礼ですけど、惨たんたるものだったわけですよね。最初三千人と言っていた人数も、もう半分以下になってしまっていますしね。それから、法科大学院の数だって七十六校あったのが、もう今三十八校ぐらい募集停止して、まあ募集停止というのは柔らかい言葉だけど、民間企業だったらもう事業諦めて潰れているわけですよね、法科大学院が潰れているわけです。合格率だって七、八割というのを予想していた。予想していたというか、そこまで持っていって受験者を増やしたい、あるいはより質の高い法曹を増やしたいと言っているのに、現実は二割ですよね。
   やっぱり、政治は結果責任ですから、この十五年間の法科大学院制度というのは、私は結果を見ると大失敗だったと言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣は、この十五年間の法科大学院制度やってきて、失敗だったという認識はありますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今御指摘になられた、その当初の見込みですね、平成十三年六月の司法制度改革審議会の意見書においては、平成二十二年頃には合格者数の年間三千人の達成を目指すと、これは要するに将来の需要予測ということです。そして、法科大学院修了者のうち相当程度、例えば七、八割の者が合格できるように充実した教育を行うべきということ、そして、法科大学院の設置は基準を満たしたものを認可することとして広く参入を認める仕組みとすべきことが提言をされ、そして、この特に第三点目によって、法科大学院の創設時に非常に多くの大学が言わばブームに乗るようにして設置に手を挙げ、そして政府の側も、規制緩和の流れの中で基準を満たした法科大学院については広く参入を認めて、その後、競争による自然淘汰に委ねるという姿勢を貫いてしまった結果、過大な定員規模となり、その結果、非常に合格率が低く、当初のもくろみが甘かったということになって、その後の希望者の急激な縮小ということにつながったわけですから、率直に言って、私は見込み違いによって当初予定していた姿とは大分違ったものになってしまったということを認め、そして反省をしなければいけないというように思っております。
   この間、もっと早く、例えば定員の削減とか補助金の抜本的な縮減、特に合格率の低い大学に対してですね、ということを行わなくちゃいけないんじゃないかということを私も実は政治の中でいろいろと訴えてきたんですけれども、対応が遅れることによって傷口が深くなってしまったということは、率直に言って認めざるを得ないと思います。
○松沢成文君 大臣は失敗だったとは言えないと思いますけどね、立場上。ただ、見込み違いで大きく最初の計画から狂ってしまって、その結果については反省をしているという立場ですよね。まさに、大臣一人がこの制度を背負ってやってきたわけじゃない、今文科大臣としてこの法改正をしなきゃいけない立場なんで、なかなかそこは言えないのは分かるんですが、ただ、やっぱり政治というのは結果責任ですので、これだけ惨たんたる結果であったということは、私はこれで成功だとは言えないですよね、絶対に言えないと思います。物事は成功か失敗しかないわけで、やはり結果としては失敗だったと私は言わざるを得ないと思うんですね。
   もう少し質問を進めますと、現在までに募集停止や廃止された法科大学院、三十八校ございます。この三十八校に国庫から支出された補助金や交付金の総額はいかほどでしょうか。このうち、施設に充てられたものと法科大学院の教授などの人件費に充てられたものの額はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(伯井美徳君) お答え申し上げます。
   国立大学に対する運営費交付金や私立大学の経常費補助金は、特定の教育研究組織に対する交付額を切り分けられるものではございませんので、法科大学院に対して支出した金額を正確に算出することはできませんが、予算上の積算等から先生の御指摘に沿って推計を行うと、平成十六年度の制度設立当初から平成三十一年度予算分までにおいて募集停止若しくは廃止された計三十八校の法科大学院に対する支援額は、概算で約二百六十六億円となります。内訳は、国立大学法人運営費交付金が七十二・六億、私立大学等経常費補助金特別補助が百九十三・八億の約二百六十六億となります。
   これらのうち、法科大学院の施設費や教員の人件費に充てられた額については、これ切り分けできないと説明いたしましたが、そういう意味で計算が困難となっております。
○松沢成文君 この十五年間の法科大学院の運営に税金から二百六十六億円出ている、違う、廃止された三十八校に二百六十六億円出ているんですよね。これ、結果としてもう廃止されちゃったわけだから、国費の壮大な無駄遣い、失敗に終わったと指摘されても私は仕方ないと思いますよ。私学で百九十三億、国立で七十億ちょっとですよね。
   これだけの国費が政府の政策立案の失敗で、運用の失敗で、もちろん大学側の努力不足もあると思いますが、結果として国民の税金が二百二十六億円無駄に使われたという事実に対して、大臣はどう責任感じます。
○国務大臣(柴山昌彦君) 確かに、今局長から二百六十六億円、募集停止や廃止された法科大学院に対して公費の投入があったという答弁をさせていただいたわけなんですけれども、例えば、募集停止や廃止された法科大学院の教員が、その実績や経験を生かして法学部など別の組織ですとか、あるいはほかの大学の法科大学院などで勤務をしているということもあります。また、実際に卒業した学生が、母校はなくなったけれどもその後法曹になったということもあるわけですから、必ずしもどぶにそのお金がなくなってしまっているというわけではないというようには思います。
   ただ、委員御指摘のとおり、これまで持続可能な形で法曹養成機関をつくっていくということを目指していたということを考えれば、先ほど申し上げたとおり、見込み違いであったことは非常に遺憾だというように考えておりますし、それは、私の立場としては、文部科学省としてもやはりしっかりとした政策転換の責任を負っているというように考えております。
○松沢成文君 この法科大学院制度をスタートさせた、その制度をつくったときの文科大臣というのはどなたでしたか分かりますか、今。
○政府参考人(伯井美徳君) 遠山文部科学大臣でございます。
○松沢成文君 かなり昔なんで、私もよく覚えていませんけれども、私は、やはり二百二十六億、国の税金が、今募集を停止してしまっている、ある意味でなくなってしまっている法科大学院につぎ込まれた。大臣が言うように、教授もほかの法科大学院に回ってまた継続している方もいますし、様々な要因もあるので、全てがどぶに捨てたわけじゃない、継続して生かされている部分もあるというのは分かりますが、でも、法科大学院をつくった以上、それはもう全校が全て成長していくとは思いませんよ、競争の世界もあるわけだから、しかし半分以上がなくなってしまっている。
   これ、持続可能な法曹養成制度になっていないわけですよ、このことの失敗、それから国費二百六十六億、全額じゃないけれども、その大部分は投資したけれどもそのリターンがなかったわけですね。この大失敗に対して、当時の文科大臣が私は謝罪せよとは言いませんが、私は、国民の皆さんにこの失敗についてはきちっと謝罪をする、あるいは誰かが責任を取る、それぐらいの大きな政府の失政だと私は考えているんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 繰り返しになりますけれども、やはり先ほども答弁をさせていただいたとおり、ずっと長らく法の支配をしっかりと日本全国津々浦々に広げていく、また、新しいリーガルサービスのニーズに従った形で法曹人口を増やしていくという目的、そして、それがこれまで、ともすると、やはり様々な既得権の壁に阻まれてなかなか進んでこなかったという中にあって、やはり政治主導で大胆な改革を進める必要があったということは、これは一面、私は非常に有意義だったというように思います。
   ただ、そのときの見込みがかなり違った部分があったということについては、また、その後の対応についても適切な対応が遅れてしまったということについては、真摯に反省をしなければいけないというように考えております。
○松沢成文君 ちょっと角度を変えますが、今回の法改正によって法科大学院を更に充実していこうということですよね。この改正によって、じゃ、今後は三十八校に続く募集停止をする学校、もうそれはなくなって、少なくとも、あと残っている、今残っている学校は持続可能な法科大学院として成長できる、そういうふうに大臣として明言できますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今後は法改正によって合格に要するコストや時間が短縮され、そして何よりも、法科大学院の入学者数の総数についても現状の定員規模を上限に制度的に管理をしていく、そういった質と量の改革というものを進めていくわけですから、もちろん、今後しっかりと法改正の進捗について、定数管理がどのように行われているかということを注意深く検証を続けていく必要はあるかというふうに思いますけれども、これまでのような失敗というのはもう起きないというように考えております。