その他役所関係

(AI作成)内閣法制局ご説明資料に基づくAI推進法の解説

◯本ブログ記事は,①人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案(仮称)内閣法制局ご説明資料(令和7年1月の内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の文書),及び②人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案(仮称)ご指摘事項とその対応について(令和7年1月20日付の内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の文書)に基づき,AIで作成したものです。
    なお,人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年6月4日法律第53号)(以下「AI法」といいます。)につき,国会での修正はありませんでした(衆議院HPの「閣法 第217回国会 29 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案」参照)。

目次
はじめに:AI推進法の施行と弁護士実務

第1 本法案の全体像と法的位置づけ

1.AI技術の特性と新法の必要性

2.法律の目的(第1条関係)

第2 最重要概念:「人工知能関連技術」の定義(第2条関係)

1.条文(案)の構造

2.定義のポイントと実務上の含意

第3 法案の核心:「基本理念」(第3条関係)の法的含意

1.基本理念の全体像

2.第4項:「適正な実施」の確保(リスク対応)

3.第5項:国際協調と「主導的な役割」

第4 各主体の「責務」規定(第4条~第8条関係)

1.「活用事業者」の定義(第7条関係)

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検視,解剖,調査及び検査並びに病理解剖等

目次
第1 司法検視及び行政検視
1 司法検視
2 行政検視
3 犯罪行為により死亡したと認められる死体,及び変死体
第2 死亡診断書又は死体検案書の記載事項証明書の取得方法
1 戸籍の届書類の記載事項証明書
2 利害関係人による証明書の取得
3 戸籍の届書類の保存期間
4 法務省の資料
第3 司法解剖,行政解剖及び監察医制度
1 司法解剖
2 司法解剖としての死体解剖の謝金
3 行政解剖
4 監察医制度
第4 調査及び検査
1 警察による取扱死体の調査
2 解剖の要否に関する判断の実情
3 その他
第5 司法解剖,調査法解剖及びその他の解剖の実施件数
第6 病理解剖
1 病理解剖及び病理医
2 病理解剖が必要な具体例
3 医事関係訴訟に関する統計
第7 解剖学の雑メモ
第8 孤独死の後始末
第9 埋葬等の取扱い
1 原則
2 例外
第10 検視規則

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国内感染期において緊急事態宣言がされた場合の政府行動計画(新型インフルエンザの場合)

   新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」といいます。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定に基づき,同法は新型コロナウィルス感染症についても適用されます。
   そして,国内感染期において適用される,新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)61頁ないし71頁は以下のとおりであります(緊急事態宣言がされている場合の措置については赤文字表記とし,注番号については,特措法の条番号に変えています。)ところ,いわゆるロックダウン(都市封鎖)と比べると,かなり制限は緩いのであって,例えば,外出自粛要請の対象から,生活の維持に必要な場合の外出は除外されています(特措法45条1項)。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画(平成29年9月12日変更)

国内感染期
・ 国内のいずれかの都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった状態。
・ 感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。
・ 国内でも、都道府県によって状況が異なる可能性がある。
(地域未発生期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生していない状態。
(地域発生早期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者が発生しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追うことができる状態。
(地域感染期)
   各都道府県で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追うことができなくなった状態(感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。)。
目的:
1) 医療体制を維持する。
2) 健康被害を最小限に抑える。
3) 国民生活及び国民経済への影響を最小限に抑える。
対策の考え方:
1) 感染拡大を止めることは困難であり、対策の主眼を、早期の積極的な感染拡大防止から被害軽減に切り替える。
2) 地域ごとに発生の状況は異なり、実施すべき対策が異なることから、都道府県ごとに実施すべき対策の判断を行う。
3) 状況に応じた医療体制や感染対策、ワクチン接種、社会・経済活動の状況等について周知し、個人一人一人がとるべき行動について分かりやすく説明するため、積極的な情報提供を行う。
4) 流行のピーク時の入院患者や重症者の数をなるべく少なくして医療体制への負荷を軽減する。
5) 医療体制の維持に全力を尽くし、必要な患者が適切な医療を受けられるようにし健康被害を最小限にとどめる。
6) 欠勤者の増大が予測されるが、国民生活・国民経済の影響を最小限に抑えるため必要なライフライン等の事業活動を継続する。また、その他の社会活動をできる限り継続する。
7) 受診患者数を減少させ、入院患者数や重症者数を抑え、医療体制への負荷を軽減するため、住民接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合は、できるだけ速やかに実施する。
8) 状況の進展に応じて、必要性の低下した対策の縮小・中止を図る。

(1) 実施体制

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国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)法務区分

目次
1 総論
2 平成28年度の日程
3 過去の実施状況
4 裁判官任官希望者に対する健康診断及び採用面接の各実施日は不開示情報であること
5 関連記事その他

1 総論
(1) 平成25年度以降,国家公務員採用総合職試験(院卒者試験)法務区分という,司法試験合格者を対象とした国家公務員試験が,9月から10月にかけて実施されています。
(2) 総合職試験(院卒者・大卒程度)に関する官庁訪問及び採用予定数は,人事院HPの「総合職試験(院卒者・大卒程度)」に掲載されています。

2 平成28年度の日程
① 法科大学院生対象中央省庁合同業務説明会
8月30日(火)午前10時~午後4時
→ 法科大学院修了生及び法科大学院最終学年生が参加できました。
② 受付期間
     9月6日午前9時~9月13日(火)(インターネット申込みだけ)
③ 第1次試験日
    9月25日(日)
④ 第1次試験合格発表日
   10月4日午前9時
⑤ 第2次試験日
   10月6日(木)又は10月7日(金)
⑥ 最終合格発表日
   10月14日(金)午前9時
⑦ 官庁訪問開始日
   10月17日(月)
⑧ 内定解禁

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一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧

目次
第1 最高裁大法廷平成23年3月23日判決が出た後の,一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧
1 衆議院に関するもの(議員定数は480人→475人→465人)
2 参議院に関するもの(議員定数は242人→248人)
第2 関連記事その他

第1 最高裁大法廷平成23年3月23日判決が出た後の,一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧
1 衆議院に関するもの(議員定数は480人→475人→465人)
① 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第95号)
→ 野田首相が党首討論で衆議院の解散を表明した平成24年11月14日の翌日に衆議院で可決し,同月16日(解散日)に参議院で可決・成立した法律です。
   小選挙区の一人別枠方式の規定が削除されたほか,衆議院小選挙区定数に関する「0増5減」が実施されることとなりました。
② 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成25年6月28日法律第68号)(改正後の議員定数は475人)
→ 17都県42選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,衆議院小選挙区定数に関する「0増5減」が実施された結果,小選挙区選出議員の定数が300人から295人となりました。
③ 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律(平成28年5月27日法律第49号)
→ 衆議院小選挙区定数に関する「0増6減」及び比例代表定数の4人削減が実施されることとなりました。
④ 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成29年6月16日法律第58号)(改正後の議員定数は465人)
→ 19都道府県97選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,衆議院小選挙区定数に関する「0増6減」が実施された結果,小選挙区選出議員の定数が295人から289人となりました。
   また,比例代表選出議員の定数が180人から176人となりました。

2 参議院に関するもの(議員定数は242人→248人)
①   公職選挙法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第94号)
→ 参議院(選挙区)定数に関する「4増4減」が実施されました。
② 公職選挙法の一部を改正する法律(平成27年 8月5日法律第60号)
→ 参議院(選挙区)定数に関する「10増10減」,鳥取・島根及び徳島・高知の合区等が実施されました。
③ 公職選挙法の一部を改正する法律(平成30年 7月25日法律第75号)(改正後の議員定数は248人)
→ 参議院選挙区選出議員の定数を148人(現行146人)とした上で,埼玉県選挙区の改選定数を4人(現行3人)としたり,参議院比例代表選出議員の定数を100人(現行96人)としたり,特定枠制度が導入されたりしました(総務省HPの「参議院議員選挙制度にける公職選挙法改正の概要」参照)。

平成30年12月,総務省から参議院法制局に対し,公職選挙法の改正漏れについて確認の連絡を行った際の電子メール(参議院法制局とのやり取り)を添付しています。 pic.twitter.com/WqBUp4aluc

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) June 3, 2021

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日本国憲法下の衆議院の解散一覧

目次
第1 日本国憲法下の衆議院の解散一覧
26 令和 6年10月 9日の解散
25 令和 3年10月14日の解散
24 平成29年 9月28日の解散(主な通称は「国難突破解散」)
23 平成26年11月21日の解散(主な通称は「アベノミクス解散」)
22 平成24年11月16日の解散(主な通称は「近いうち解散」)
21 平成21年 7月21日の解散(主な通称は「政権選択解散」)
20 平成17年 8月 8日の解散(主な通称は「郵政解散」)
19 平成15年10月10日の解散(主な通称は「マニフェスト解散」,「構造改革解散」)
18 平成12年 6月 2日の解散(主な通称は「神の国解散」,「ミレニアム解散」)
17 平成 8年 9月27日の解散(主な通称は「小選挙区解散」)
16 平成 5年 6月18日の解散(主な通称は「嘘つき解散」,「政治改革解散」)
15 平成 2年 1月24日の解散(主な通称は「消費税解散」)
14 昭和61年 6月 2日の解散(主な通称は「死んだふり解散」,「寝たふり解散」)
13 昭和58年11月28日の解散(主な通称は「田中判決解散」)
12 昭和55年 5月19日の解散(主な通称は「ハプニング解散」)
11 昭和54年 9月 7日の解散(主な通称は「増税解散」,「一般消費税解散」)
10 昭和47年11月13日の解散(主な通称は「日中解散」)
9  昭和44年12月 2日の解散(主な通称は「沖縄解散」)
8  昭和41年12月27日の解散(主な通称は「黒い霧解散」)
7  昭和38年10月23日の解散(主な通称は「所得倍増解散」,「ムード解散」,「予告解散」)
6  昭和35年10月24日の解散(主な通称は「安保解散」)
5  昭和33年 4月25日の解散(主な通称は「話し合い解散」)
4  昭和30年 1月24日の解散(主な通称は「天の声解散」)
3  昭和28年 3月14日の解散(主な通称は「バカヤロー解散」)
2  昭和27年 8月28日の解散(主な通称は「抜き打ち解散」)
1  昭和23年12月23日の解散(主な通称は「馴れ合い解散」)
第2 関連記事その他

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衆議院の解散に関する内閣答弁書

目次
1 衆議院の解散に関する内閣答弁書
2 関連記事その他

1 衆議院の解散に関する内閣答弁書
① 衆議院議員飯田忠雄君提出内閣の衆議院解散権に関する質問に対する答弁書(昭和54年2月16日付)
 衆議院の解散は、憲法第七条の規定により天皇の国事に関する行為とされているが、実質的に衆議院の解散を決定する権限を有するのは、天皇の国事に関する行為について助言と承認を行う職務を有する内閣である。
 憲法第六十九条は、同条に規定する場合には、内閣は、「衆議院が解散されない限り」、総辞職をしなければならないことを規定するにとどまるものと理解している。
 なお、衆議院の解散が憲法第七条の規定によつて行われるものであることは、既に先例として確立しているところであると考えている。
 右答弁する。
② 衆議院議員飯田忠雄君提出内閣の衆議院解散権に関する再質問に対する答弁書(昭和54年3月23日付)
一及び二について
(一) 内閣が実質的に衆議院の解散を決定する権限を有することの法的根拠は、憲法第七条の規定である。
(二) 衆議院の解散は、それ自体としては高度の政治的性質を有する行為であり、したがつて、国政に関するものであることは疑いのないところであるが、天皇は、内閣の助言と承認により衆議院を解散することとされており、ここにいう内閣の助言と承認とは、天皇が行う衆議院の解散について内閣が実質的にこれを決定することを意味すると解されるから、憲法第七条の規定がその法的根拠であると考えられる。
(三) 天皇が行う衆議院の解散は、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が実質的に決定したとこうに従つて形式的・名目的に行うものであるから、右に述べたように解しても、憲法第四条第一項の規定と矛盾するものではない。
(四) (一)に述べたことにより、御指摘の内閣の職務の範囲の逸脱という問題は起こらないと考える。
三について
 衆議院の解散権についての政府の見解は、一及び二についてにおいて述べたとおりであり、衆議院の解散の詔書に対し、多数の議員が万歳をもつてこたえたことをもつて、衆議院の解散の議決があつたものと解することはできないと考える。
四について
 御指摘の質問第五号の質問一、三及び六については、一及び二についてにおいて述べたことによつて承知されたい。
 右答弁する。
③ 参議院議員飯田忠雄君提出衆議院解散詔書の効力に関する質問に対する答弁書(昭和61年4月11日付)
 衆議院の解散は、憲法第七条の規定により、天皇の国事に関する行為として行われるものである。 
 天皇の行う衆議院の解散は、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が実質的に決定したところに従つて形式的・名目的に行うものであるから、天皇が国政に関する権能を行使したことにはならず、したがつて、憲法第四条第一項に違反するものではない。
④ 衆議院議員柿澤未途君提出内閣総理大臣の衆議院解散権に関する質問に対する答弁書(平成23年5月17日付)
一について
お尋ねの衆議院解散権は、内閣が、国政上の重大な局面等において主権者たる国民の意思を確かめる必要があるというような場合に、国民に訴えて、その判定を求めることを狙いとし、また、立法府と行政府の均衡を保つ見地から、憲法が行政府に与えた国政上の重要な権能であり、現行の公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)等の規定の下で内閣が衆議院の解散を決定することは否定されるものではないと考える。
二について
憲法第五十四条の規定により、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行うこととなる。なお、内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はない。
三について

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閣議

目次
1 総論
2 閣議の運営
3 閣議の種類
4 閣議における意思決定
5 法令上規定がない場合でも特に重要な事項
6 開示対象の閣議関係資料
7 青枠及びこより綴じの廃止
8 閣議書
9 閣議の説明をしている公式HP
10 閣僚懇談会
11 内閣総理大臣の記者会見に関する質問に対する答弁書
12 閣議等の議事の記録の作成及び公表
13 関連記事その他
1 総論
(1) 内閣は,行政権の行使について,全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負います(憲法66条3項,内閣法1条2項)。
(2) 内閣は,国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣によって,組織されています(憲法66条1項,内閣法2条1項)。
(3)ア 閣議は,内閣総理大臣及び国務大臣により構成され,内閣官房副長官3人(うち,政務担当が2人,事務担当が1人)及び内閣法制局長官が陪席します。
イ 国務大臣は原則として14人である(内閣法2条2項本文)ものの,復興庁が廃止されるまでは,最大で19人です(内閣法附則3項)。
(4)ア 内閣は,閣議によって職権を行います(内閣法4条1項)。
イ 内閣総理大臣は,閣議にかけて決定した方針に基づいて,行政各部を指揮監督します(内閣法6条)し,行政各部の処分又は命令を中止させることができます(内閣法8条)。
ウ 内閣総理大臣は,少なくとも,内閣の明示の意思に反しない限り,行政各部に対し,随時,その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導,助言等の指示を与える権限を有します(最高裁大法廷平成7年2月22日判決)。
2 閣議の運営
(1) 閣議は,内閣総理大臣が議長として主宰し(内閣法4条2項),内閣官房長官が議事進行を行います。
(2) 内閣官房副長官(政務担当)が閣議案件の内容を説明します。
(3) 内閣官房副長官(事務担当)及び内閣法制局長官が,閣議運営を補助し,必要に応じて行政・法令に関する補足説明を行います。
(4) 閣議案件の決裁(閣議書への署名)等が終わった後,閣僚懇談会が開催されます。
3 閣議の種類
(1) 閣議には以下のものがあります。
① 定例閣議

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各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書

目次
1 閣議承認の閣議書
2 内閣官房内閣総務官室の分掌事務
3 関連記事その他

* 首相官邸HPの「閣議」を参照しています。

1 閣議承認の閣議書
(1) 各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書を以下のとおり掲載しています。
* 「各府省幹部職員の任免に関する閣議書(令和7年1月28日付)→外務省」といったファイル名にしています。

・ 令和 8年 2月13日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 8年 2月10日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 8年 1月20日付の閣議書
→ 警察庁が対象でした。
・ 令和 8年 1月8日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 7年12月26日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 7年12月19日付の閣議書
→ 宮内庁が対象でした。
・ 令和 7年12月12日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 7年12月9日付の閣議書
→ 外務省が対象でした。
・ 令和 7年12月5日付の閣議書
→ 防衛省が対象でした。
・ 令和 7年12月2日付の閣議書

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在日外国人への社会保障法令の適用

目次
1 昭和57年1月1日以降,在日外国人も国民年金に加入できるようになったこと
2 昭和56年の国民年金法改正当時の国会答弁
3 外国人と生活保護法
4 関連記事その他

1 昭和57年1月1日以降,在日外国人も国民年金に加入できるようになったこと
(1) 昭和36年4月1日にスタートした国民年金制度には当初,日本国民だけを対象とするという国籍条項(国民年金法7条1項)がありました(ただし,軍人を除く在日アメリカ人は日米友好通商航海条約(昭和28年4月2日署名)3条に基づき,例外的に国民年金制度に任意加入できました。)。
 しかし,難民条約(1951年7月28日署名。1951年1月1日以前の原因に基づく難民を対象とした条約。)及び難民議定書(1967年1月31日署名。難民条約の適用対象を1951年1月1日以後の原因に基づく難民に拡大したもの。)に日本国が加入するに際して,難民条約24条1項は,難民に対し,社会保障に関して自国民に与える待遇と同一の待遇を与えることを定めていましたから,国籍条項の維持は難民条約及び難民議定書に抵触することとなりました。
 そのため,日本政府は,①難民条約24条1項等について留保するか,②社会保障法令を難民についてだけ適用できるように改正するか,又は③社会保障法令を外国人全般に適用できるように改正するかといった選択が検討した結果,社会保障法令を外国人全般に適用できるように改正することとなりました。
  その結果,昭和57年1月1日以降,在日外国人も国民年金に加入できるようになったものの,無年金状態を解消するための経過措置等は定められませんでした。
(2) 難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律(昭和56年6月12日法律第86合)2条ないし5条によって改正された社会保障法令は,国民年金法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法及び児童手当法です。
(3)ア 国民年金制度が開始した昭和34年11月1日以前に後遺障害の症状が固定した在日外国人に対して障害福祉年金(昭和61年4月1日以降の,20歳前の傷病による障害基礎年金に相当するもの)を支給しないことは憲法25条及び14条1項に違反しません(第一次塩見訴訟に関する最高裁平成元年3月2日判決)。
イ 難民条約及び難民議定書が日本国について発効した昭和57年1月1日以降も,昭和34年11月1日以前に後遺障害の症状が固定した在日外国人に対して障害福祉年金を支給しないことは憲法25条及び14条1項に違反しません(第二次塩見訴訟に関する最高裁平成13年3月13日判決(判例秘書に掲載))。

2 昭和56年の国民年金法改正当時の国会答弁
(1) 村山達雄厚生大臣は,昭和56年5月27日の法務委員会外務委員会社会労働委員会連合審査会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 今回の条約の加盟に伴う内外人平等、具体的には国籍要件の撤廃ということに伴ういま御指摘のような制度についての厚生行政の基本的な考え方でございますが、これはやはり、今度の加入に伴いまして外国人についても適用範囲を拡大するという考え方に立っているわけでございます。もう一つは、日本人と平等の取り扱いをする、こういう趣旨でございまして、まさにその限りにおきましては、今度の提案は十分なる条件を満たしておると私は考えております。
 ただ、おっしゃるように、制度創設当時、たとえば国民年金につきまして強制的な経過措置を設けたじゃないか、これは制度発足のときでございますから、二十五年間掛けなくちゃならぬという基本法がございます。二十五年掛けられない者はどうするんだ、こういう問題は基本的にあるわけでございますから、これはやむを得ざる措置といたしまして、それは経過年金を設けたわけでございます。これはいつの場合でも、制度をつくるときには、その基本的な要件、それからそれを満たされない人たちについて経過措置も設けることは当然であろうと思うのでございます。
 今度の場合は、内外国籍要件撤廃によって加入者がふえるということでございます。ですから、経過年金を設くべし、こういうようなことになりますれば、これは永久に続くわけでございます。どんどん入ってくる、これが一つの問題点でございましょう。
② それから、今度はもし外国に長くおった日本人がやってきた。これは日本人は適用にならないわけですね、御承知のように。
 そうなれば外国人だけ適用するのか。これはやはり内外の差別撤廃という趣旨から見るとおかしい。
③ それからまた、第三番目には、やはり保険会計でございますから、当然保険数理に立ちまして年金計算をしているわけでございます。通常でございますと、二十五年掛ける者を基本にいたしまして、保険数理に基づいて、そして負担と給付の関係が整合性を持っているわけでございます。
 したがって、そうでない者について年金を設けるということ、これは定額にいたしまして、やはり何といっても国庫の三分の一の補助という問題等がございまして、やはり保険数理の上からいって保険財政は相当苦しいものになるんじゃないか。
④ まあ、いろいろな点がございまして、私は、これは今度の措置によりまして、内外人を平等という原則のもとに適用範囲を拡大するんだ、また、それで難民条約で定めている趣旨は達成できる、かように考えているわけでございます。
(2) 大和田潔厚生省保険局長は,昭和56年5月27日の法務委員会外務委員会社会労働委員会連合審査会において以下の答弁をしています。
  国民健康保険でございますが、御承知のように、国民健康保険につきましては市町村が条例でもって外国人の適用を行う。その前に、日韓協定によりますところの永住許可を受けた者につきましても強制適用であるということは御承知のとおりでございますが、こういった市町村の条例、これは財政事情その他の問題もございます、まだ適用していないところもあるわけでございますが、これにつきましては行政指導を強化いたしまして、外国人にすべて適用できるような方向で強化をしてまいる、こういうふうに考えているわけでございます。

3 外国人と生活保護法
(1) 最高裁平成26年7月18日判決(判例秘書に掲載)は以下の判示をしています(ナンバリングを①,②,③に変えています。)。

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人事院規則14-7(政治的行為),及び名古屋家裁裁判官の反天皇制に関する行為

目次
第1 人事院規則14-7(政治的行為)
第2 名古屋家裁裁判官の反天皇制に関する行為
1 平成31年3月13日付の産経新聞の記事
2 夏祭起太郎名義の2つのエッセー
第3 関連記事その他

第1 人事院規則14-7(政治的行為)
   裁判官には適用されないものの,国家公務員法102条(政治的行為の制限)の委任によって制定された人事院規則14-7(政治的行為)は以下のとおりです。

(適用の範囲)
1 法及び規則中政治的行為の禁止又は制限に関する規定は、臨時的任用として勤務する者、条件付任用期間の者、休暇、休職又は停職中の者及びその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。ただし、顧問、参与、委員その他人事院の指定するこれらと同様な諮問的な非常勤の職員(法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)が他の法令に規定する禁止又は制限に触れることなしにする行為には適用しない。
2 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、すべて、職員が、公然又は内密に、職員以外の者と共同して行う場合においても、禁止又は制限される。
3 法又は規則によつて職員が自ら行うことを禁止又は制限される政治的行為は、すべて、職員が自ら選んだ又は自己の管理に属する代理人、使用人その他の者を通じて間接に行う場合においても、禁止又は制限される。
4 法又は規則によつて禁止又は制限される職員の政治的行為は、第六項第十六号に定めるものを除いては、職員が勤務時間外において行う場合においても、適用される。
(政治的目的の定義)
5 法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつてなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法第百二条第一項の規定に違反するものではない。
一 規則一四―五に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。
二 最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査に際し、特定の裁判官を支持し又はこれに反対すること。
三 特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。
四 特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。
五 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。
六 国の機関又は公の機関において決定した政策(法令、規則又は条例に包含されたものを含む。)の実施を妨害すること。
七 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)に基く地方公共団体の条例の制定若しくは改廃又は事務監査の請求に関する署名を成立させ又は成立させないこと。
八 地方自治法に基く地方公共団体の議会の解散又は法律に基く公務員の解職の請求に関する署名を成立させ若しくは成立させず又はこれらの請求に基く解散若しくは解職に賛成し若しくは反対すること。
(政治的行為の定義)
6 法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。
一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。
二 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと。
三 政治的目的をもつて、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。

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議員宿舎及び議員会館に関する文書

目次
第1 議員宿舎に関する文書
1 共通
2 赤坂議員宿舎
3 青山議員宿舎
第2 議員会館に関する文書
1 衆議院
2 参議院

第1 議員宿舎に関する文書
1 共通
・ 解散後の議員宿舎の使用について(令和8年1月23日付の衆議院事務局管理部管理課の文書)
・ 解散後の議員宿舎の使用について(令和6年10月9日付の衆議院事務局管理部管理課の文書)
・ 解散後の議員宿舎の使用について(令和3年10月14日付の衆議院事務局管理部管理課の文書)
2 赤坂議員宿舎
・ 赤坂議員宿舎退舎に当たってのお願い(令和3年10月の衆議院事務局管理部管理課の文書)
・ 赤坂議員宿舎に関する配布資料(令和3年10月の衆議院事務局管理部管理課の文書)
3 青山議員宿舎
・ 青山宿舎退舎に当たってのお願い(令和3年10月の衆議院事務局管理部管理課の文書)
・ 青山議員宿舎に関する配布資料(令和3年10月の衆議院事務局管理部管理課の文書)

第2 議員会館に関する文書
1 衆議院
・ 解散後の議員会館の使用について(令和8年1月23日付の衆議院事務局管理部管理課の文書)
・ 解散後の議員会館の使用について(令和6年10月9日付の衆議院事務局管理部議員会館課の文書)
・ 解散後の議員会館の使用について(令和3年10月14日付の衆議院事務局管理部議員会館課の文書)
・ 解散後の議員会館の使用に関するQ&A(令和3年10月の衆議院事務局管理部議員会館課の文書)
・ 衆議院議員会館案内(令和3年11月の,衆議院事務局管理部議員会館課サービスセンターの文書)
・ 衆議院ガイドブック(令和3年版)(令和4年11月22日更新)
→ 衆議院HPの「○会議録等刊行物の閲覧及び購入」には「衆議院ガイドブック(議院の機構、機能を初め各種手続等にわたる全般的な事項をとりまとめたもの)」と書いてあります。また,なぜか表紙及び目次がない文書となっています。

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貨物軽自動車運送事業(軽貨物運送業)

目次
第1 総論
第2 バイクを利用した軽貨物運送業(バイク便)
1 軽二輪及び小型二輪
2 原付一種及び原付二種
3 特定信書便におけるバイク便の利用
4 その他
第3 バイクの排気量ごとの取扱いの違い
1 高速道路,車検及び大型二輪免許
2 道路交通法及び道路運送車両法でいうところのバイク
3 標識交付証明書,軽自動車届出済証及び車検証
4 自賠責保険
5 バイクの免許
第4 軽トラックを利用した軽貨物運送業(軽トラック便)
第5 車検証に関するメモ書き
第6 ナンバープレートに関するメモ書き
1 登録自動車のナンバープレート
2 軽自動車のナンバープレート
3 トラック緑ナンバー
4 1ナンバー,3ナンバー,4ナンバー及び5ナンバー
第7 バイクの名義変更
第8 自動車の廃車が確認できる書類
第9 貨物自動車の逸失利益に関する最高裁判例
第10 バイク事故特有の過失割合が書いてある書籍
第11 関連記事その他

第1 総論
1 「貨物自動車運送事業」としては,①一般貨物自動車運送事業(許可制),②特定貨物自動車運送事業(許可制)及び③貨物軽自動車運送事業(届出制)をいう。
2 貨物軽自動車運送事業とは,他人の需要に応じ,有償で,自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいい(貨物自動車運送事業法2条4号),運輸支局への届出が必要になります(貨物自動車運送事業法36条)。
3 略称は軽貨物運送業でありますところ,開業タイプとしては,個人開業型及びフランチャイズ型があります(J-Net21の「軽貨物運送」参照)。

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警察庁作成の訟務統計

目次
1 警察庁作成の訟務統計
2 大阪府警察に対する不服申立て及び行政事件訴訟の統計
3 関連記事その他

1 警察庁作成の訟務統計
(令和時代)
令和 元年,令和 2年,令和 3年,令和 4年,令和 5年,
令和 6年,
(平成時代)
平成21年,平成22年,平成23年,平成24年,平成25年
平成26年,平成27年,平成28年,平成29年,平成30年

* 「令和4年訟務統計(令和5年2月28日付の警察庁長官官房首席監察官の事務連絡)」といったファイル名で掲載しています。

令和2年訟務統計(警察庁長官官房人事課が作成した文書)1/2を添付しています。 pic.twitter.com/m9cW3T9coM

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) March 7, 2021

2 大阪府警察に対する不服申立て及び行政事件訴訟の統計
(令和時代)
令和元年,令和2年,令和3年,令和4年,令和5年,
令和6年,令和7年,
(平成時代)
平成25年ないし平成29年,平成30年

* 「令和4年中の不服申立て受理・処理結果,及び行政事件訴訟発生・終結結果(大阪府警察)」といったファイル名で掲載しています。

3 関連記事その他
1 警察庁HPに「警察庁の施策を示す通達(交通局)」が載っています。

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刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯

目次
1 戦前は検事局が保管していたこと
2 刑事訴訟法の制定及びその後の状況
3 刑事確定訴訟記録法の制定
4 関連記事その他

1 戦前は検事局が保管していたこと
   昭和22年5月3日に裁判所法が施行されるまで,各裁判所に検事局が付置されていました(裁判所構成法6条1項)。
   そのため,刑事裁判が確定した場合,その執行に当たる検事局が裁判所の「付置」機関として刑事確定訴訟記録を保管することは当然のことでした。

2 刑事訴訟法の制定及びその後の状況
(1)ア 裁判所法及び検察庁法施行により,検察庁が裁判所から分離しましたから,検察庁が裁判終結後の記録をわざわざ裁判所から送付を受けたうえで,保存することについて合理的理由があるかが問題となりました。
   昭和23年2月15日設置の法務庁は,刑事記録は従前通り検察庁が保管すべきと主張したのに対し,最高裁判所は,裁判所が作成した刑事記録は裁判所が保管するのが当然であると主張しました。
結局,両者の主張の一致を見るに至りませんでしたから,制定当時の刑事訴訟法(昭和23年7月10日法律第131号)53条4項は,「訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。」と定め,将来の「別の法律」に対立する議論の決着をゆだねることとしました。
イ 刑事記録については,刑事訴訟法施行後も民刑訴訟記録保存規程(大正7年6月3日司法省法務局庶第7号訓令)を基準として,検察庁が保管することとなりました。
(2)   昭和45年11月,検務関係文書等保存事務暫定要領(法務省刑事局長通達)が制定され,禁固以上の刑の判決原本については永久保存とされました。
   「暫定要領」とされたのは,刑事訴訟法53条4項に基づく法律が制定されるまでの暫定措置という意味合いがあったからです。
(3)ア 辻辰三郎法務省刑事局長は,昭和46年9月3日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
① 刑事の確定訴訟記録の保管につきましては、ただいま御指摘のとおり、刑事訴訟法では第五十三条の第四項におきまして、法律で別に定めることになっておるわけでございます。
   ところで、この法律は現在まだできておりません。なぜできてないかという問題になるわけでございますが、これは現行刑訴法になりまして、手続構造が旧法とはたいへん変わってきたわけでございます。
   確定記録の保管庁が裁判所であるか検察庁であるかという点につきましていろいろな意見、いろいろな説がございます。そういう点でまずこの説を調整をしなければならないという点が第一点でございます。
② それから第二点は、この現行刑訴ができましてから各種の確定訴訟記録につきまして、どういう記録はどれくらいの保存期間を設けるべきかどうかというような各記録ごとの保存期間というものが法施行当時すぐにきめられるということは、きめられたかもしれませんが、やはり多少の運用の実績を見てからきめるのが相当であろうということで、この保存期間を少し運用実績を見てからやろうという配慮もあったわけでございまして、そういう事情で現在までこの点の法律が制定されていないわけでございます。
③ そこで、現在どうなっておるかということになりますと、確定記録は大部分は検察庁において保管をいたしておりますけれども、一部の高等裁判所あるいは最高裁判所もそれに当たるかと思うのでございますが、一部の裁判所におきましては判決原本というようなものは裁判所で御保管になっておるという実情もございます。
   しかしながら、大部分の確定訴訟記録は、現状におきましては検察庁が保管をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、この法律ができ上がるまで保存事務の適正を期するという観点から、施行当時から最近まではずっと昔の通達によりましてまかなってまいったわけでございますが、本年に至りましてとりあえず暫定措置といたしまして、検察庁に保管しております訴訟記録につきましては新たな取り扱い要領を定めまして、法律ができますまでの適正な保存事務を行なっていこうということにいたしておるわけでございます。
イ 筧榮一法務省刑事局長は,昭和60年4月10日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
    昭和二十四年でございますか、現行の刑事訴訟法制定当時、訴訟記録の保管事務につきまして検討はされたわけでございますが、裁判所、検察庁その他、これを保管すべき機関について、従来のいきさつ等もあってまだ意見の調整を図る必要があるということ、あるいは各種訴訟記録の保存期間については相当期間の運用実績を検討した上で法定することが妥当であるというような事情から、当時法律制定には至らなかったわけでございます。
    その後法務省といたしましても、訴訟記録の保管に関する立法につきまして検討を重ねてまいったところでございますが、保管機関をどこにするか、その方法をどうするか、記録あるいは原本双方についていろいろ問題があろうかと思います。あるいは保存期間をどの程度にするかというような多岐にわたる問題がございまして、これらについて慎重に検討する必要があるということで現在までまだ制定には至っておらないというのが現状でございます。

3 刑事確定訴訟記録法の制定

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景品表示法に関するメモ書き

目次
1 総論
2 景品規制
3 表示規制
4 公正競争規約
5 ステルスマーケティング
6 関連記事その他

1 総論
・ 景品表示法の正式名称は,不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年5月15日法律第134号)です。
・ 景品表示法の所管省庁につき,平成21年8月31日までは公正取引委員会でしたが,平成21年9月1日以降は同日に設置された消費者庁です。
・ 措置命令について定める景表法7条2項は憲法21条1項及び22条1項に違反しません(最高裁令和4年3月8日判決)。
・ 消費者庁HPの「告示」に不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件(昭和37年6月30日公正取引委員会告示第3号)のほか,景品関係及び表示関係の告示が載っています。

2 景品規制
・ 顧客誘引の手段として,取引に付随して提供する,経済上の利益が「景品類」に該当しますところ,値引き及びアフターサービス等は景品類に該当しません(消費者庁HPの「景品規制」参照)。

3 表示規制
・ 不当表示としては,①優良誤認表示(景品表示法5条1号)及び②有利誤認表示(景品表示法5条2号)があります(消費者庁HPの「表示規制の概要」参照)。
・ 消費者庁は,弁護士法人アディーレに対し,平成28年2月16日,貸金業者への過払い金返還請求の着手金無料キャンペーンを「1カ月限定」と宣伝しながら,同じサービスを5年近く続けたのは景品表示法違反(有利誤認)にあたるとして,再発防止を求める措置命令を出しました(日経新聞HPの「アディーレ法律事務所が不当表示 「1カ月限定」5年継続」参照)。
・ 医薬品等の広告は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称は「薬機法」であり,平成26年11月24日以前は「薬事法」でした。)66条ないし68条でも規制されています(厚生労働省HPの「医薬品等の広告規制について」参照)。

ベリーベストでは、弁護士は売上を作れなければ昇給しないし賞与も出ない。弁護士は開業弁護士だろうが勤務弁護士だろうが自分の食い扶持は自分で稼ぐものである。
しかも、ベリーベストは事務職員も多く広告費もかけている。経費が嵩む分、通常の事務所の弁護士よりも多く売り上げなければならない。

— 酒井将 (@sakaisusumu_vb) December 22, 2022

4 公正競争規約
・ 公正競争規約は,景品表示法31条に基づく協定又は規約のことです(消費者庁HPの「公正競争規約」参照)。
・ 不動産公正取引協議会連合会HPの「公正競争規約の紹介」に,不動産の表示に関する公正競争規約が載っています。

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原子力損害賠償の状況,中国残留邦人等への支援,被災者生活再建支援制度等

目次
1 原子力損害賠償の状況(被災地域によって支給額は異なります。)
2 帰還困難区域の住民に対する賠償の金額
3 「UNSCEAR2013報告書」の8つのポイント
4 福島の原子力発電所と地域社会
5 中国残留邦人等への支援
6 被災者生活再建支援制度に基づく給付金等
7 犯罪被害者等給付金制度等
8 交通事故における政府保障事業
9 拉致被害者等への支援
10 関弁連理事長及び東京三会会長の声明
11 関連記事その他

1 原子力損害賠償の状況(被災地域によって支給額は異なります。)
(1)ア 文部科学省HPの原子力損害賠償紛争審査会(第48回)の「資料4-1 原子力損害賠償のお支払い状況等」によれば,平成30年6月末日現在,本賠償の金額が約8兆1522億円であり,仮払補償金が約1529億円であり,合計8兆3051億円です。
   また,東京電力HPの「賠償金のお支払い状況」によれば,2019年9月13日現在,本賠償の金額が約8兆9295億円であり,仮払補償金が約1529億円であり,合計9兆824億円です。
イ ちなみに,Wikipediaの「第二次世界大戦後におけるドイツの戦後補償」には,「ドイツ連邦共和国が行った補償総額は、2009年時点で671億1800万ユーロに達する。」と書いてあります。
   七十七銀行HPに「ユーロ対円相場(仲値)一覧表 (2009年)」が載っていますところ,1ユーロ130円とした場合,ドイツの補償総額は8兆7253億4000万円となります。
(2)ア 東京電力ホールディングスHPの「賠償金のお支払い状況」に,最新の「原子力損害賠償のご請求・お支払い等」が載っています。
イ 南相馬市HPに「精神的損害Q&A」(平成29年2月作成)が載っています。
(3)ア zakzak HPの「【震災から3年 福島のリアル】賠償の差が生み出した被災生活格差 被害大きくても対象地区外れると…」には以下の記載があります。
   文部科学省によれば、原発事故の賠償金は、原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づき、東京電力が負担し、帰還困難区域は故郷喪失慰謝料が上乗せされる。
   同省の試算では、30代の夫、妻、子供2人の持ち家4人世帯が福島県内の都市部へ移住した場合、(1)帰還困難区域で1億675万円(2)居住制限区域で7197万円(3)避難指示解除準備区域で5681万円(いずれも総額)-に分かれる。
イ 帰還困難区域,居住制限区域及び避難指示解除準備区域の変遷については,福島県HPの「避難区域の変遷について-解説-」を見れば分かります。
(4)ア 東京電力ホールディングスHPに「中間指針第五次追補決定を踏まえた避難等に係る精神的損害等に対する追加の賠償基準の概要について」(2023年1月31日付)及び「中間指針 第五次追補等を踏まえた追加賠償のご案内」が載っています。
イ 福島テレビHPの「福島23市町村・子ども妊婦以外に8万円を追加支払い《東京電力・賠償方針》地域格差を懸念する声も」(2023年1月31日付)には「東京電力が1月31日に示した、原発事故に伴う追加賠償の方針。対象者は148万人、総額は3900億円に上ると見積もられている。きっかけとなったのは、2022年12月に9年ぶりに見直された国の賠償基準。今回の方針は、この基準に基づき決定された。」と書いてあります。

2 帰還困難区域の住民に対する賠償の金額
(1) 賠償水準の目安
ア 日経新聞HPの「原発事故の賠償、4人世帯で9000万円 東電が実績公表」(平成25年10月26日付)には,「文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は25日、東京電力福島第1原子力発電所の事故の賠償実績を公表した。東電が帰還困難区域の住民に支払った額は4人世帯で平均9000万円だった。」とか,「1人あたり月10万円を支払っている避難指示区域の住民への慰謝料は、避難指示を解除してから1年間払い続ける方向で大筋合意した。」と書いてあります。

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公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館

目次
1 公文書管理に関する経緯
2 公文書館に関連する法律
3 国立公文書館
4 関連記事その他
   
1 公文書管理に関する経緯
(1) 昭和46年7月1日,国立公文書館が総理府の付属機関として,東京都千代田区北の丸公園で開館しました。
(2) 平成10年7月1日,国立公文書館つくば分館が茨城県つくば市の筑波研究学園都市内に設置されました。
(3)   平成12年10月,国立公文書館法が施行されました。
(4)   平成13年4月1日,国立公文書館が独立行政法人となりました。
(5) 平成13年11月30日,国立公文書館アジア歴史資料センター(略称は「アジ歴」です。)が開設されました。
   同センターはデジタルアーカイブとしてインターネットなどを通じてアジア歴史資料を提供することを目的としていますから,閲覧室は設置していません。
(6) 平成15年12月5日,内閣官房長官決定に基づき,公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会が内閣府に設置されました。
   平成16年6月28日,第一次報告書を提出し,平成18年6月22日,第二次報告書を提出しました。
(7) 平成20年2月29日,内閣官房長官決裁に基づき,公文書管理の在り方等に関する有識者会議が内閣官房で開催されるようになりました。
   平成20年11月4日,「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」~今、国家事業として取り組む~(平成20年11月4日付の公文書管理の在り方等に関する有識者会議最終報告)が出されました。
   平成23年4月1日,公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日法律第66号)(略称は「公文書管理法」です。)が施行されました。
(8) 平成26年5月13日,内閣府特命担当大臣決定に基づき,国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議が内閣府で開催されるようになりました。
(9) 平成28年3月23日,内閣府公文書管理委員会は,「公文書管理法施行5年後見直しに関する検討報告書」(公文書管理法付則13条1項参照)を提出しました。
(10) 平成28年5月26日,衆議院議院運営委員会の小委員会が,政府建て替えを目指す国立公文書館の建設地を,国会に隣接する憲政記念館の敷地内とすることを決めました。
   
2 公文書館に関連する法律
   公文書館に関連する法律として主なものは以下の三つです。
① 公文書館法(昭和62年12月15日法律第115号)(議員立法)
   国又は地方公共団体が設置する公文書館に関する法律を定めています。
② 国立公文書館法(平成11年6月23日法律第79号)(議員立法)
   独立行政法人国立公文書館の名称,目的,業務の範囲等に関する事項を定めています。
③ 公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日法律第66号)(閣法)
   公文書等の管理に関する基本的事項(行政文書等の作成・整理,歴史公文書等の移管,適切な保存・利用等)を定めています。

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歴代の国税不服審判所長

1 八田卯一郎(はった・ういちろう) 東大
在任期間:昭和45年5月1日~昭和48年9月8日
2 海部安昌(かいふ・やすよし)
在任期間:昭和48年9月9日~昭和51年12月5日
3 岡田辰雄(おかだ・たつお)
在任期間:昭和51年12月6日~昭和57年1月17日
4 林信一(はやし・しんいち)
在任期間:昭和57年1月18日~昭和61年3月31日
(高輪1期以降)
5 小酒禮(こざか・ひろし)9期 東大
在任期間:昭和61年4月1日~平成元年5月31日
6 杉山伸顕(すぎやま・のぶあき) 12期 東大
在任期間:平成 元年6月1日~平成5年3月31日
7 佐久間重吉(さくま・じゅうきち) 14期 東大
在任期間:平成 5年4月1日~平成7年3月31日
8 小田泰機(おだ・やすき) 20期 東大
在任期間:平成 7年4月1日~平成9年3月31日
9 太田幸夫(おおた・ゆきお) 20期 早稲田大
在任期間:平成 9年4月1日~平成11年3月31日
10 島内乗統(しまうち・じょうとう) 22期 東大
在任期間:平成11年4月1日~平成14年3月30日
11 成田喜達(なりた・きたる) 25期 東大
在任期間:平成14年3月31日~平成16年4月2日
12 春日通良(かすが・みちよし) 27期 東大
在任期間:平成16年4月1日~平成18年3月31日
13 井上哲男(いのうえ・てつお) 29期 東大
在任期間:平成18年4月1日~平成20年3月31日
14 金子順一(かねこ・じゅんいち) 30期 東大
在任期間:平成20年4月1日~平成22年3月31日
15 孝橋宏(こうはし・ひろし) 33期 京大

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国税庁長官及び東京国税局長の事務引継資料(令和元年7月頃の文書)

目次
1 国税庁長官の引継資料
2 東京国税局の局長事務引継書等
3 関連記事その他

1 国税庁長官の引継資料
   令和2年4月10日付の国税庁長官の開示決定通知書によって開示された,国税庁長官の引継資料を以下のとおり掲載しています。
・ 長官官房
   総務課,人事課,会計課,企画課及び参事官,国際業務課及び相互協議室,厚生管理官,監察官室及び税務相談官
・ 課税部
   課税総括課,消費税室,審理室,個人課税課,資産課税課,法人課税課,酒税課,鑑定企画官
・ 徴収部(管理運営課及び徴収課)
・ 調査査察部(調査課及び査察課)
・ 税務大学校の概要
・ 国税不服審判所の概要

2 東京国税局の局長事務引継書等
(1) 東京国税局の局長事務引継書(令和元年7月)を掲載しています。
   中身としては,重要事項,総務部関係,課税第一部関係,課税第二部関係,徴収部関係及び査察部関係からなります。
(2) 東京国税局の局長及び総務部長 挨拶回り先名簿(令和元年7月18日現在)を掲載しています。

3 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 調査査察部調査課所掌事務規程(昭和26年1月20日国税庁訓令第1号。令和3年7月10日時点のもの)
・ 「調査課事務提要」のうち第3章第2節「7 所管指定」の部分
→ 税務署所管法人及び国税局調査課所管法人に関するものです。
・ 令和4事務年度年末年始における綱紀の厳粛な保持について(令和4年12月1日付の大阪国税局長の指示)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 歴代の国税不服審判所長
・ 令和元年7月採用の国税審判官の研修資料

国葬儀

目次
第1 総論
第2 安倍元首相の国葬儀及び叙位叙勲
1 故安倍晋三国葬儀当日における弔意表明
2 安倍元首相の叙位叙勲
3 故安倍晋三国葬儀の費用
4 その他
* 詳細につき,「故安倍晋三国葬儀」を参照してください。
第3 吉田元首相の国葬儀及び叙位叙勲
1 故吉田茂国葬儀当日における弔意表明
2 吉田元首相の叙位叙勲
3 故吉田茂国葬儀の費用
4 その他
第4 佐藤栄作元首相の国民葬,及びセキュリティポリスの設置
1 総論
2 故佐藤栄作国民葬儀当日における弔意表明
3 三木首相殴打事件
4 セキュリティポリスの設置
第5 戦前の国葬
1 国葬儀と国葬の違い
2 国葬令
3 昭和元年以降の国葬令に基づく国葬の実施例
4 戦前の国葬に関する国会答弁等
5 昭和22年12月31日に国葬令が失効したこと
第6 大喪の礼
1 総論
2 大喪の礼と政教分離
3 大喪の礼における弔意表明
第7 皇太后の葬儀
1 貞明皇后の葬儀

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故安倍晋三国葬儀

目次
第1 安倍元首相の葬儀を国葬儀の形式で行う理由等
第2 閣議決定を根拠として国葬儀を行える理由
第3 安倍元首相の叙位叙勲
第4 故安倍晋三国葬儀の準備状況
第5 故安倍晋三国葬儀の費用
第6 故安倍晋三国葬儀の実施概要及び流れ
第7 故安倍晋三国葬儀の一般献花
第8 故安倍晋三国葬儀当日における弔意表明
第9 故安倍晋三国葬儀に伴う飛行制限区域の設定
第10 故安倍晋三国葬儀に伴う交通規制その他の影響
第11 関連記事その他

* 令和4年10月8日,「国葬儀」から本記事を分離しました。

令和4年7月22日付の閣議書(故安倍晋三の葬儀の執行について)を添付しています。 pic.twitter.com/46c5FardnK

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) October 8, 2022

第1 安倍元首相の葬儀を国葬儀の形式で行う理由等
1 岸田首相は,令和4年7月14日の内閣総理大臣記者会見の冒頭発言において,安倍元首相の葬儀を国葬儀の形式で行う理由として以下のとおり発言しています。
 安倍元総理におかれては、憲政史上最長の8年8か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしいものであります。
 外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。
 こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります。あわせて、活力にあふれた日本を受け継ぎ、未来を切り拓いていくという気持ちを世界に示していきたいと考えています。

など、そのご功績は、誠に素晴らしいものであります。
外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から、幅広い哀悼・追悼の意が寄せられています。

— 岸田文雄 (@kishida230) July 14, 2022

2(1) 参議院議員辻元清美君提出安倍晋三元総理の国葬儀等についての基準に関する質問に対する答弁書(令和4年8月15日付)には以下の記載があります。

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国会制定法律の一覧へのリンク

目次
第1 国会制定法律の一覧へのリンク
第2 特別会及び臨時会
第3 関連記事その他

第1 国会制定法律の一覧へのリンク
◯衆議院HPの「制定法律の一覧」につき,昭和63年12月30日召集の第114回国会以降の制定法律へのリンクを張っています(召集日につき,衆議院HPの「国会会期一覧」参照)。衆議院の解散は赤文字で,参議院議員通常選挙は緑文字で表記しています(内閣法制局HPの「最近の法律・条約」も参照しています。)。

・ 令和4年8月3日召集・8月5日終了の,第209回国会(臨時会)の制定法律の一覧
(制定法律なし)

(令和4年7月10日第26回参議院議員通常選挙)

・ 令和4年1月17日召集・6月15日終了の,第208回国会(常会)の制定法律の一覧
   令和4年3月31日法律第1号から令和4年6月22日法律第78号まで
・ 令和3年12月6日召集・12月21日終了の,第207回国会(臨時会)の制定法律の一覧
   令和3年12月20日法律第85号から令和3年12月24日法律第88号まで
・ 令和3年11月10日召集・11月12日終了の,第206回国会(特別会)の制定法律の一覧
(制定法律なし)

(令和3年10月14日解散・同年10月31日第49回衆議院議員総選挙)

・ 令和3年10月4日召集・10月14日解散の,第205回国会(臨時会)の制定法律の一覧
(制定法律なし)
・ 令和3年1月18日召集・6月16日終了の,第204回国会(常会)の制定法律の一覧
   令和3年2月3日法律第1号から令和3年6月23日法律第84号まで
・ 令和2年10月26日召集・12月5日終了の,第203回国会(臨時会)の制定法律の一覧
   令和2年11月30日法律第65号から令和2年12月11日法律第79号まで
・ 令和2年9月16日召集・9月18日終了の,第202回国会(臨時会)の制定法律の一覧
(制定法律なし)

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衆参両院の議院運営委員会に提示した国会同意人事案

目次
1 衆参両院の議院運営委員会に提示した国会同意人事案
2 国会同意人事案件の審査手続
3 国会同意人事案の事前漏洩
4 関連記事その他

1 衆参両院の議院運営委員会に提示した国会同意人事案
(令和時代)
令和7年:1月28日,2月28日,4月10日,11月11日
令和6年:2月1日,3月7日,11月28日
令和5年:1月23日,2月14日,5月12日,10月25日
令和4年:1月20日,3月1日,10月6日
令和3年:1月21日,3月9日,12月7日
令和2年:1月28日,3月17日,10月29日
令和元年:5月15日,11月13日
(平成時代)
平成4年,平成5年,平成6年,平成7年
平成8年,平成9年,平成10年,平成11年
平成12年,平成13年,平成14年,平成15年
平成16年,平成17年,平成18年,平成19年
平成20年,平成21年,平成22年,平成23年
平成24年,平成25年,平成26年,平成27年
平成28年,平成29年,平成30年,平成31年
*1 ①令和元年5月15日提示から令和4年10月6日提示までの分及び②平成4年4月1日から平成31年4月30日までの提示分をまとめて掲載しています。
*2 令和時代に関しては,「衆参両院の議院運営委員会に提示した国会同意人事案(令和◯年◯月◯日提示)」といったファイル名で掲載しています。

衆参両院の議院運営委員会に提示した国会同意人事案(令和4年10月6日提示)を添付しています。 pic.twitter.com/3Xm5Q7rHru

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 3, 2022

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最高裁判所の概算要求書(説明資料)

目次
第1 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
第2 概算要求から政府予算案の成立まで
第3 検索システムに関する令和4年度概算要求及び請負契約書
1 検索システムに関する概算要求書説明資料の記載
2 検索システムの単価及び請負契約書
第4 関連記事その他

第1 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
1 裁判所HPの「裁判所の予算・決算・財務書類」に,①毎年度の一般会計歳出予算各目明細書及び②一般会計歳出概算要求書が掲載されています。
    そして,③最高裁判所の概算要求書(説明資料)は,②の説明資料です。
2 最高裁判所の概算要求書(説明資料)のバックナンバーは以下のとおりです。
(令和時代)
令和2年度1/2・2/2,令和3年度,令和4年度,
令和5年度,令和6年度,令和7年度,令和8年度,
(平成時代)
平成29年度1/3・2/3・3/3
3 令和4年度予算の場合,人件費が2698億円(84%),施設費が146億円(4%),物件費が384億円(12%)であり,合計で3228億円です。

R040414 国会答弁資料(裁判所が必要とする人員を確保できるよう,裁判所の予算獲得について努力すべきではないか,法務大臣に問う。)を添付しています。 pic.twitter.com/d8zqNDmShP

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) July 3, 2022

R050306 最高裁の不開示通知書(最高裁判所が財務省に対し,概算要求書(説明資料)を電子データで提供するようになった時期が分かる文書)を添付しています。 pic.twitter.com/ThrEEftLqV

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) March 8, 2023

第2 概算要求から政府予算案の成立まで
1 毎年7月下旬に決定される,概算要求にあたっての基本的な対処方針について(閣議了解)が財務省HPの「予算」に掲載されます。
2(1) 概算要求とは,各省各庁が毎年8月末日までに財務省に対して行う次年度の予算要求をいい(財政法17条),毎年9月上旬に「各省各庁の概算要求」が財務省HPの「予算」に掲載されます。
(2) 財政法17条1項は「衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官及び会計検査院長は、毎会計年度、その所掌に係る歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類を作製し、これを内閣における予算の統合調整に供するため、内閣に送付しなければならない。」と定めています。

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昭和天皇の崩御に伴う予算執行職員等の弁償責任に基づく債務の免除に関する政令(平成元年2月13日政令第30号)

昭和天皇の崩御に伴う予算執行職員等の弁償責任に基づく債務の免除に関する政令
内閣は、公務員等の懲戒免除等に関する法律(昭和二十七年法律第百十七号)第四条の規定に基づき、この政令を制定する。

   公務員等の懲戒免除等に関する法律第四条の規定により、次に掲げる者の同条に規定する弁償責任に基づく債務で昭和六十四年一月七日前における事由によるものは、将来に向かって免除する。

一 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号。以下「予算職員責任法」という。)第二条第一項に規定する予算執行職員

二 特別調達資金設置令(昭和二十六年政令第二百五号)第八条又は国税収納金整理資金に関する法律(昭和二十九年法律第三十六号)第十七条の規定により予算職員責任法の適用を受ける職員
三 会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十八条第一項に規定する出納官吏、同法第三十九条第二項に規定する分任出納官吏及び出納官吏代理並びに同法第四十条第二項に規定する出納員(同法第四十八条第一項の規定によりこれらの者の事務を取り扱う職員を含む。)
四 物品管理法(昭和三十一年法律第百十三号)第三十一条第一項に規定する物品管理職員及び同条第二項に規定する物品を使用する職員
五 予算職員責任法第九条第一項に規定する公庫等予算執行職員、予算職員責任法第十条第一項に規定する公庫等の現金出納職員(たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(昭和五十九年法律第七十一号)附則第九条に規定する現金出納職員を含む。)及び予算職員責任法第十一条第一項に規定する公庫等の物品管理職員
六 日本電信電話株式会社法(昭和五十九年法律第八十五号)附則第十二条第五項又は日本国有鉄道改革法等施行法(昭和六十一年法律第九十三号)第二十九条第七項に規定する現金出納職員
附 則
この政令は、平成元年二月二十四日から施行する。

任期満了により衆議院議員が失職した場合における,参議院の緊急集会の開催の可否

目次
1 総論
2 政府答弁
3 最高裁大法廷判決における反対意見
4 明治憲法下における任期満了総選挙
5 関連記事その他

1 総論
(1) 憲法54条2項は,「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」と定めています。
(2) 任期満了により衆議院議員が失職したことを受けて昭和51年12月5日,第34回衆議院議員総選挙が実施されたものの,日本国憲法下では,それ以外に任期満了により衆議院議員が失職した事例はありません。

2 政府答弁
(1) 横畠裕介内閣法制局長官は,平成30年2月6日の衆議院予算委員会において以下の答弁をしています。
   参議院の緊急集会についてでございますけれども、憲法第五十四条第二項は、「衆議院が解散されたときは、」と冒頭に規定しております関係で、任期満了により衆議院議員がいなくなったという場合にこの緊急集会が開けるのかという論点が確かにございます。
   この点につきましては、昭和五十一年に、必ずしも大災害という前提ではございませんけれども、内閣法制局において検討したことがございます。
   そのときは、1参議院の緊急集会の制度は、極めて特殊な場合の変則的、異例の措置であって、解散という予期しない事態の場合に限って、特に明文の規定をもって認めたものであり、それ自体としても抑制的に運用されるべきものであるため、消極的に解すべきであるという見解、2解散による選挙と任期満了による選挙の間に根本的な差異があるとは考えられず、解散の場合の条件よりも厳格に考えるべきであるが、真に国政上の緊急の必要があるときは、憲法第五十四条第二項の類推適用が許されるという見解の両論がありましたが、結論を得るに至っておりません。
   いずれにせよ、この問題につきましては、憲法上の国会の権能に関する重要な事柄でございますので、国会で御議論をいただくのが適当であると考えます。
(2) 参議院議員蓮舫君提出災害対策としての選挙制度の在り方等に関する質問に対する答弁書(平成28年3月18日付)には以下の記載があります。
   御指摘の「過去の検討状況及び過去の答弁等」を網羅的にお答えすることは困難であるが、旧憲法調査会法(昭和三十一年法律第百四十号)第一条の規定により内閣に置かれた憲法調査会の昭和三十四年七月二十二日及び九月二十三日に開催された第二委員会において、衆議院議員の任期満了による総選挙は、原則的には任期満了以前に行われるが、常会の会期が衆議院議員の任期満了によって終了するような場合には、総選挙は任期満了後に行われることになり、このあとの場合に何らかの緊急事態が発生したときには、衆議院解散の場合と同じく、緊急集会的制度が必要なのではないかという指摘がされたことがあると承知している。
   また、衆議院議員の任期満了による総選挙が行われた昭和五十一年には、内閣法制局において検討したことがあるが、結論を得るに至っていないものと承知している。

3 最高裁大法廷判決における反対意見
(1) 最高裁大法廷平成30年12月19日判決における山本庸幸裁判官(元 内閣法制局長官)の反対意見には以下の記載があります。
① 私は,現在の国政選挙の選挙制度において法の下の平等を貫くためには,一票の価値の較差など生じさせることなく,どの選挙区においても投票の価値を比較すれば1.0となるのが原則であると考える。その意味において,これは国政選挙における唯一かつ絶対的な基準といって差し支えない。ただし,人口の急激な移動や技術的理由などの区割りの都合によっては1~2割程度の一票の価値の較差が生ずるのはやむを得ないと考えるが,それでもその場合に許容されるのは,せいぜい2割程度の較差にとどまるべきであり,これ以上の一票の価値の較差が生ずるような選挙制度は法の下の平等の規定に反し,違憲かつ無効であると考える。
② 仮にこれらの議員(山中注:一票の価値が0.8以上の選挙区から選出された議員及び訴訟の対象とされなかった選挙区がある場合にあってはその選挙区から選出された議員)によっては院の構成ができないときは,衆議院が解散されたとき(憲法54条)に準じて,内閣が求めて参議院の緊急集会を開催し,同緊急集会においてその新しい選挙区の区割り等を定める法律を定め,これに基づいて次の衆議院議員選挙を行うべきものと解される。
(2) 選挙無効の判決により多数の衆議院議員が失職した結果,衆議院の構成ができなくなるという事態を憲法が想定しているとは思えませんから,このような事態が生じた場合,任期満了により衆議院議員が失職した場合以上に参議院の緊急集会を開催できる法的根拠はない気がします。

4 明治憲法下における任期満了総選挙
(1) 明治憲法下における衆議院議員総選挙は23回ありましたところ,そのうち,任期満了によるものは4回であり,以下の日付で実施されました(Wikipediaの衆議院議員総選挙参照)。
1902年8月10日(第7回),1908年5月15日(第10回),1912年5月15日(第11回),1942年4月30日(第21回)

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参議院議員の選挙制度の推移(最高裁大法廷平成29年9月27日判決からの抜粋)

〇最高裁大法廷平成29年9月27日判決は,参議院議員の選挙制度の推移について以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
1 参議院議員選挙法(昭和22年法律第11号)は,参議院議員の選挙について,参議院議員250人を全国選出議員100人と地方選出議員150人とに区分し,全国選出議員については,全都道府県の区域を通じて選出されるものとする一方,地方選出議員については,その選挙区及び各選挙区における議員定数を別表で定め,都道府県を単位とする選挙区において選出されるものとした。
そして,選挙区ごとの議員定数については,憲法が参議院議員につき3年ごとにその半数を改選すると定めていることに応じて,各選挙区を通じその選出議員の半数が改選されることとなるように配慮し,定数を偶数として最小2人を配分する方針の下に,各選挙区の人口に比例する形で,2人ないし8人の偶数の議員定数を配分した。昭和25年に制定された公職選挙法の定数配分規定は,上記の参議院議員選挙法の議員定数配分規定をそのまま引き継いだものであり,その後に沖縄県選挙区の議員定数2人が付加されたほかは,平成6年法律第47号による公職選挙法の改正(以下「平成6年改正」という。)まで,上記定数配分規定に変更はなかった。
なお,昭和57年法律第81号による公職選挙法の改正(以下「昭和57年改正」という。)により,参議院議員252人は各政党等の得票に比例して選出される比例代表選出議員100人と都道府県を単位とする選挙区ごとに選出される選挙区選出議員152人とに区分されることになったが,この選挙区選出議員は,従来の地方選出議員の名称が変更されたものにすぎない。
その後,平成12年法律第118号による公職選挙法の改正(以下「平成12年改正」という。)により,参議院議員の総定数が242人とされ,比例代表選出議員96人及び選挙区選出議員146人とされた。
2(1) 参議院議員選挙法制定当時,選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差(以下,各立法当時の「選挙区間の最大較差」というときは,この人口の最大較差をいう。)は2.62倍(以下,較差に関する数値は,全て概数である。)であったが,人口変動により次第に拡大を続け,平成4年に施行された参議院議員通常選挙(以下,単に「通常選挙」といい,この通常選挙を「平成4年選挙」という。)当時,選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差(以下,各選挙当時の「選挙区間の最大較差」というときは,この選挙人数の最大較差をいう。)が6.59倍に達した後,平成6年改正における7選挙区の定数を8増8減する措置により,平成2年10月実施の国勢調査結果による人口に基づく選挙区間の最大較差は4.81倍に縮小した。
その後,平成12年改正における3選挙区の定数を6減する措置及び平成18年法律第52号による公職選挙法の改正(以下「平成18年改正」という。)における4選挙区の定数を4増4減する措置の前後を通じて,平成7年から同19年までに施行された各通常選挙当時の選挙区間の最大較差は5倍前後で推移した。
(2)   しかるところ,当裁判所大法廷は,定数配分規定の合憲性に関し,最高裁昭和54年(行ツ)第65号同58年4月27日大法廷判決・民集37巻3号345頁(以下「昭和58年大法廷判決」という。)において後記3(1)の基本的な判断枠組みを示した後,平成4年選挙について,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていた旨判示したが(最高裁平成6年(行ツ)第59号同8年9月11日大法廷判決・民集50巻8号2283頁),平成6年改正後の定数配分規定の下で施行された2回の通常選挙については,上記の状態に至っていたとはいえない旨判示した(最高裁平成9年(行ツ)第104号同10年9月2日大法廷判決・民集52巻6号1373頁,最高裁平成11年(行ツ)第241号同12年9月6日大法廷判決・民集54巻7号1997頁)。
その後,平成12年改正後の定数配分規定の下で施行された2回の通常選挙及び平成18年改正後の定数配分規定の下で平成19年に施行された通常選挙のいずれについても,当裁判所大法廷は,上記の状態に至っていたか否かにつき明示的に判示することなく,結論において当該各定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨の判断を示した(最高裁平成15年(行ツ)第24号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号56頁,最高裁平成17年(行ツ)第247号同18年10月4日大法廷判決・民集60巻8号2696頁,最高裁平成20年(行ツ)第209号同21年9月30日大法廷判決・民集63巻7号1520頁)。
もっとも,上掲最高裁平成18年10月4日大法廷判決においては,投票価値の平等の重要性を考慮すると投票価値の不平等の是正について国会における不断の努力が望まれる旨の,上掲最高裁平成21年9月30日大法廷判決においては,当時の較差が投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,選挙区間における投票価値の較差の縮小を図ることが求められる状況にあり,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨の指摘がそれぞれされるなど,選挙区間の最大較差が5倍前後で常態化する中で,較差の状況について投票価値の平等の観点から実質的にはより厳格な評価がされるようになっていた。
3 平成22年7月11日,選挙区間の最大較差が5.00倍の状況において施行された通常選挙(以下「平成22年選挙」という。)につき,最高裁平成23年(行ツ)第51号同24年10月17日大法廷判決・民集66巻10号3357頁(以下「平成24年大法廷判決」という。)は,結論において同選挙当時の定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの,長年にわたる制度及び社会状況の変化を踏まえ,参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難く,都道府県が政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ること等の事情は数十年間にもわ
たり投票価値の大きな較差が継続することを正当化する理由としては十分なものとはいえなくなっており,都道府県間の人口較差の拡大が続き,総定数を増やす方法を採ることにも制約がある中で,都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の要求に応えていくことはもはや著しく困難な状況に至っているなどとし,それにもかかわらず平成18年改正後は投票価値の大きな不平等がある状態の解消に向けた法改正が行われることのないまま平成22年選挙に至ったことなどの事情を総合考慮すると,同選挙当時の最大較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった旨判示するとともに,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある旨を指摘した。
4(1) 平成24年大法廷判決の言渡し後,平成24年11月16日に公職選挙法の一部を改正する法律案が成立し(平成24年法律第94号。以下「平成24年改正法」という。),同月26日に施行された(以下,同法による改正後,平成27年法律第60号による改正前の定数配分規定を「本件旧定数配分規定」という。)。
平成24年改正法の内容は,平成25年7月に施行される通常選挙に向けた改正として選挙区選出議員について4選挙区で定数を4増4減するものであり,その附則には,同28年に施行される通常選挙に向けて,選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする旨の規定が置かれていた。
(2)   平成25年7月21日,本件旧定数配分規定の下での初めての通常選挙が施行された(以下「平成25年選挙」という。)。同選挙当時の選挙区間の最大較差は4.77倍であった。
5 平成25年9月,参議院において同28年に施行される通常選挙に向けた参議院選挙制度改革について協議を行うため,選挙制度の改革に関する検討会の下に選挙制度協議会が設置された。同協議会においては,平成26年4月に選挙制度の仕組みの見直しを内容とする具体的な改正案として座長案が示され,その後に同案の見直し案も示された。
これらの案は,基本的には,議員1人当たりの人口の少ない一定数の選挙区を隣接区と合区してその定数を削減し,人口の多い一定数の選挙区の定数を増やして選挙区間の最大較差を大幅に縮小するというものであるところ,同協議会において,同年5月以降,上記の案や参議院の各会派の提案等をめぐり検討と協議が行われた(上記各会派の提案の中には,上記の案を基礎として合区の範囲等に修正を加える提案のほか,都道府県に代えてより広域の選挙区の単位を新たに創設する提案等が含まれていた。)。
そして,同協議会において,更に同年11月以降,意見集約に向けて協議が行われたが,各会派の意見が一致しなかったことから,同年12月26日,各会派から示された提案等を併記した報告書が参議院議長に提出された。
6 このような協議が行われている状況の中で,平成25年選挙につき,最高裁平成26年(行ツ)第155号,第156号同年11月26日大法廷判決・民集68巻9号1363頁(以下「平成26年大法廷判決」という。)は,平成24年大法廷判決の判断に沿って,平成24年改正法による前記4増4減の措置は,都道府県を各選挙区の単位とする選挙制度の仕組みを維持して一部の選挙区の定数を増減するにとどまり,現に選挙区間の最大較差については上記改正の前後を通じてなお5倍前後の水準が続いていたのであるから,投票価値の不均衡について違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態を解消するには足りないものであったといわざるを得ず,したがって,平成24年改正法による上記の措置を経た後も,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった旨判示するとともに,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなどの具体的な改正案の検討と集約が着実に進められ,できるだけ速やかに,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって上記の不平等状態が解消される必要がある旨を指摘した。
7(1) 選挙制度の改革に関する検討会は,前記(5)の報告書の提出を受けて協議を行ったが,各会派が一致する結論を得られなかったことから,平成27年5月29日,各会派において法案化作業を行うこととされた。
そして,各会派における検討が進められた結果,各会派の見解は,人口の少ない選挙区について合区を導入することを内容とする①「4県2合区を含む10増10減」の改正案と②「20県10合区による12増12減」の改正案とにおおむね集約され,同年7月23日,上記各案を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案がそれぞれ国会に提出された。
上記①の改正案に係る法律案は,選挙区選出議員の選挙区及び定数について,鳥取県及び島根県,徳島県及び高知県をそれぞれ合区して定数2人の選挙区とするとともに,3選挙区の定数を2人ずつ減員し,5選挙区の定数を2人ずつ増員することなどを内容とするものであり,その附則7条には,平成31年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方を踏まえて,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,必ず結論を得るものとするとの規定が置かれていた。
(2)   平成27年7月28日,上記①の改正案に係る公職選挙法の一部を改正する法律案が成立し(平成27年法律第60号。以下「平成27年改正法」という。),同年11月5日に施行された(以下,同法による改正後の定数配分規定を「本件定数配分規定」という。)。
同法による公職選挙法の改正(以下「平成27年改正」という。)の結果,平成22年10月実施の国勢調査結果による人口に基づく選挙区間の最大較差は2.97倍となった。
8 平成28年7月10日,本件定数配分規定の下での初めての通常選挙として,本件選挙が施行された。
本件選挙当時の選挙区間の最大較差は3.08倍であった。

下請法に関する手形通達

目次
1 昭和41年3月の手形通達
2 平成28年12月の手形通達
3 令和3年3月の手形通達
4 令和6年11月1日実施の指導基準
5 約束手形は廃止される予定であること
6 不渡異議申立預託金
7 全銀協の電子交換所(令和4年11月4日業務開始)
8 関連記事その他

1 昭和41年3月の手形通達
(1) 昭和40年6月10日法律法律第125号による下請法の改正により,「下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。」(割引困難な手形の交付)が親事業者の禁止事項となりました。
(2) 昭和41年3月に出た「下請代金の支払手形のサイト短縮について」 (繊維業以外の団体には同月11日付,繊維業の団体には同月31日付)において,親事業者は,下請代金の支払のために振り出す手形のサイトを原則として,繊維業については90日以内,その他の業種については 120 日以内とするとともに,下請法の趣旨を踏まえ,サイトを更に短縮するよう努力するものとされました。

2 平成28年12月の手形通達
(1) 「下請代金の支払手段について」(平成28年12月14日付の中小企業庁長官及び公正取引委員会事務総長の通達)は以下の要請をしています(1ないし3を①ないし③に変えています。)。
① 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
② 手形等により下請代金を支払う場合には、その現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。
③ 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、繊維業90日以内、その他の業種120 日以内とすることは当然として、段階的に短縮に努めることとし、将来的には60日以内とするよう努めること。
(2) 中小企業庁HPの「FAQ「下請代金の支払手段について」」には「◯「将来的に」の期間については、現在のところ5~6年程度を想定しています。」という記載がありました(「約束手形に関する論点について」(令和2年9月14日付の中小企業庁事務局の文書)参照)。

3 令和3年3月の手形通達
(1) 「下請代金の支払手段について」(令和3年3月31日付の中小企業庁長官及び公正取引委員会事務総長の通達)は以下の要請をしています(1ないし4を①ないし④に変えています。)。
① 下請代金の支払は、できる限り現金によるものとすること。
② 手形等により下請代金を支払う場合には、当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて、下請事業者の負担とすることのないよう、これを勘案した下請代金の額を親事業者と下請事業者で十分協議して決定すること。当該協議を行う際、親事業者と下請事業者の双方が、手形等の現金化にかかる割引料等のコストについて具体的に検討できるように、親事業者は、支払期日に現金により支払う場合の下請代金の額並びに支払期日に手形等により支払う場合の下請代金の額及び当該手形等の現金化にかかる割引料等のコストを示すこと。
③ 下請代金の支払に係る手形等のサイトについては、60日以内とすること。
④ 前記①から③までの要請内容については、新型コロナウイルス感染症による現下の経済状況を踏まえつつ、おおむね3年以内を目途として、可能な限り速やかに実施すること。
(2) 中小企業庁HPの「研究会」に載ってある約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書(令和3年3月15日付)では,平成28年の手形通達の改正及び約束手形の利用の廃止が提言されていました(同報告書15頁及び16頁参照)。
(3) 中小企業庁HPの「FAQ「下請代金の支払手段について」」には以下の記載があります。
Q10:新通達の記中3において「繊維業90日以内、その他の業種120日以内とすることは当然として」、「将来的には」といった記載を削除した趣旨を教えてください。

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下請法に関するメモ書き

目次
1 下請法が適用される資本金区分
2 親事業者の義務
3 親事業者の禁止事項
4 返品及びやり直しの期間制限
5 トンネル会社規制
6 中小企業庁作成の,下請適正取引等推進のためのガイドライン
7 弁護士の意見書作成業務に下請法の適用はないこと
8 建設業と下請法
9 下請振興法
10 フリーランス
11 関連記事その他

1 下請法が適用される資本金区分
(1) 製造委託及び修理委託の場合,資本金3億円超の法人事業者が資本金3億円以下の法人事業者に外注したり,資本金1000万円超3億円以下の法人事業者が資本金1000万円以下の法人事業者又は個人事業者に外注したりする場合に下請法が適用されます(下請法2条7項1号及び2号)。
(2) 情報成果物作成委託及び役務提供委託の場合,資本金5000万円超の法人事業者が資本金5000万円以下の法人事業者に外注したり,資本金1000万円超5000万円以下の法人事業者が資本金1000万円以下の法人事業者又は個人事業者に外注したりする場合に下請法が適用されます(下請法2条7項3号及び4号)。

2 親事業者の義務
(1) 親事業者は,書面の交付義務(下請法3条),書類の作成・保存義務(下請法5条),下請代金の支払期日を定める義務(下請法2条の2)及び遅延利息の支払義務(下請法4条の2)を負っています(公取HPの「親事業者の義務」参照)ところ,公取HPに「下請代金支払遅延等防止法第3条に規定する書面に係る参考例」が載っています(公取HPの「下請取引適正化推進講習動画について」に載ってある下請取引適正化講習会テキスト93頁ないし112頁からの抜粋と思います。)。
(2) 業務委託契約書の達人HPに以下の記事が載っています。
① 下請法の三条書面とは?業務委託契約書と兼ねるための12の記載事項は?
② 下請法の五条書類・五条書面とは?業務委託契約書と兼ねるための17の必須事項とは?

3 親事業者の禁止事項
(1) 親事業者の禁止事項は以下のとおりです(下請法4条)。
ア 受領拒否(1項1号)
イ 下請代金の支払遅延(1項2号)
ウ 下請代金の減額(1項3号)
エ 返品(1項4号)
オ 買いたたき(1項5号)

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質問主意書に関するメモ書き

目次
1 質問主意書に関する国会法の条文
2 質問主意書に関する衆議院議院運営委員会における合意
3 質問主意書関係事務の手引き
4 関連記事その他
1 質問主意書に関する国会法の条文
第八章 質問
第七十四条 各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
2 質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
3 議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議を申し立てたときは、議長は、討論を用いないで、議院に諮らなければならない。
4 議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。
第七十五条 議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
2 内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をすることができないときは、その理由及び答弁をすることができる期限を明示することを要する。
第七十六条 質問が、緊急を要するときは、議院の議決により口頭で質問することができる。
第七十七条及び第七十八条 削除

国会会期中、議員は質問主意書を出して政府に書面ベースで質問ができるのですが、会期末になるとどさっと質問が出てくる様子。特に衆はその傾向が顕著。
国会議員は、夏休みの宿題を8月の最終週に片づけるタイプが多いと推測。 pic.twitter.com/T6s34xicya

— 国会情報をつぶやくヒツジさん@C101(土)東ポ19a (@KokkaiSheep) December 26, 2022

2 質問主意書に関する衆議院議院運営委員会における合意
・ 衆議院議院運営委員会の合意メモ(平成16年8月6日付)
 質問主意書制度は、議会の国政に関する調査・監督機能の一つとして、議員に与えられた質問権の一形態であり、極めて重要な制度である。他方、議員には、委員会、本会議等における質疑、資料要求等の制度が認められており、質問主意書の取り扱いについては、議会制度の本質を十分に踏まえた上で、その本旨に則り適切に行う必要がある。
 今後、資料要求など協議の必要のあるものは、担当理事間で協議し、さらに必要のあるものは、議運理事会で協議する。
 質問主意書の提出は、会議終了日の前日までとする。
イ 質問主意書の取扱いについて(平成18年6月15日付の衆議院議員運営委員会の文書)
1,答弁書提出後、内容において変更が生じた場合の内閣の対応について(中間報告)
 質問主意書に対し内閣が提出する答弁書は、下記2のとおり、閣議を経る重要なものであるので、その内容に重大な変更が生じた場合には、内閣は、本院に対し変更の内容について適切に説明すべきである。
 なお,内閣が対応すべき質問及び手続等については、今回、合意を得るに至らなかったので、引き続き協議を継続するものとする。
2,質問主意書全体のあり方について

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新任判事補及び新任検事向けの記事一覧

1 新任判事補及び新任検事向け
・ 新60期以降の,新任検事辞令交付式及び判事補の採用内定の発令日
2 新任判事補向け
・ 判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 判事補採用内定者出身法科大学院等別人員
・ 新任判事補任命の閣議決定及び官報掲載の日付
・ 新任判事補の採用内定通知から辞令交付式までの日程
・ 裁判官の再任の予定年月日,及び一斉採用年月日
・ 新任判事補研修の資料
・ (AI作成)77期新任判事補研修における「令状実務の留意点」に対するAI裁判官の回答,AI弁護人の準抗告申立書及びAI裁判所の決定
3 新任検事向け
・ 司法修習生の検事採用までの日程
・ 新任検事辞令交付式に関する文書
・ 検事の研修日程
4 法曹三者共通
・ 65期以降の二回試験の日程等
・ 65期以降の二回試験の試験科目の順番
・ 司法修習生考試応試心得(65期以降)
・ 65期以降の二回試験の不合格発表及びその後の日程
・ 実務修習,集合修習及び二回試験の成績分布(51期以降)
・ 成績通知申出制度に基づく,司法修習生の成績開示

1 「(AI作成)77期新任判事補研修における「令状実務の留意点」に対するAI裁判官の回答」を追加しました。https://t.co/9rI4C8sc5p

2 「令状実務の留意点」は,少なくとも70期以降の新任判事補研修で必ず取り上げられています。https://t.co/kEzuk2d7jm

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 27, 2025

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国家公務員の懲戒に関する人事院規則及び人事院事務総長通達

目次
1 国家公務員の懲戒に関する人事院規則及び人事院事務総長通達
2 関連記事その他
 
1 国家公務員の懲戒に関する人事院規則及び人事院事務総長通達
・ 人事院規則12-0(職員の懲戒)は太字表記とし,これに対応する人事院規則12-0(職員の懲戒)の運用について(昭和32年6月1日付の人事院事務総長通達)の記載をその直後に載せています(令和2年5月27日現在の内容です。)。

(総則)
第一条 職員の懲戒は、官職の職務と責任の特殊性に基いて法附則第十三条の規定により法律又は規則をもつて別段の定をした場合を除き、この規則の定めるところによる。

(停職)
第二条 停職の期間は、一日以上一年以下とする。
第2条関係
停職の期間計算は、暦日計算による。

(減給)
第三条 減給は、一年以下の期間、俸給の月額の五分の一以下に相当する額を、給与から減ずるものとする。
第3条関係
1 減給は、休職、病気休暇等のため、俸給を減ぜられている場合でも、本来受けるべき俸給の月額(俸給の調整額を含む。)を基礎として計算した額を、給与から減ずるものとする。
2 減給は、職員が本来受けるべき俸給を変更するものではないから、俸給を計算の基礎とする手当等に影響を及ぼすものではない。
3 減給の期間は月単位で表示し、その効力発生の日の直後の俸給の支給定日(効力発生の日と俸給の支給定日とが同日の場合は、次の俸給の支給定日)から、減給期間として示された月数に応じ、各俸給の支給定日ごとに減給分を差し引くこととする。
月2回払の場合 減給の割合による額の2分の1
月1回払の場合 減給の割合による額
4 減給期間中に昇給・昇格・休職その他俸給が変更した場合にも、減給の計算については、減給発令時の俸給を基礎とする。
5 減給期間中に離職する場合には、最終の俸給の支給定日の減給の額をもって打ち切るものとする。
6 減給に際し、支給される給与(俸給の支給定日に支給されるべき給与の総額をいう。以下同じ。)がない場合には、当該支給定日に減ずる減給分は打ち切るものとする。また、支給される給与の額が当該俸給の支給定日に減ずる減給の額にみたないときは、支給される給与の額をもって、当該支給定日に減ずる減給分は打ち切るものとする。

(戒告)
第四条 戒告は、職員が法第八十二条第一項各号のいずれかに該当する場合において、その責任を確認し、及びその将来を戒めるものとする。

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社会保険に関するメモ書き

目次
1 総論
2 新規適用の手続
3 社会保険に関する書類の提出先
4 社員採用時等の取扱い
5 定時決定及び随時決定
6 従業員の社会保険料の天引き
7 退職者の社会保険料の天引き
8 健康保険に関するメモ書き
9 厚生年金保険に関するメモ書き
10 介護保険に関するメモ書き
11 令和4年10月1日の,士業への社会保険の適用拡大
12 社会保険料の計算サイト
13 国民年金法30条の4に基づく20歳前障害者に対する障害基礎年金
14 関連記事その他

1 総論
(1) 広義の社会保険には厚生年金保険,健康保険及び介護保険のほか,労災保険及び雇用保険も含まれますところ,本ブログ記事における「社会保険」という用語は,厚生年金保険,健康保険及び介護保険の総称として使っています。
(2) カオナビ人事用語集HPに「社会保険とは?【わかりやすく】種類、国保・雇用保険との違い」が載っています。

2 新規適用の手続
・ 以下の事業所は,事実発生から5日以内に,年金事務所に対し,健康保険・厚生年金保険 新規適用届を提出する必要があります(日本年金機構HPの「新規適用の手続き」参照)。
① 常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する法人事業所
② 常時5人以上の従業員が働いている事業所,工場,商店等の個人事業所

3 社会保険に関する書類の提出先
・ 協会けんぽHPに「年金と健康保険に関する書類の提出先」が載っていますところ,例えば,事業所,採用,給与・賞与,育児休業及び退職・死亡に関する書類の提出先は年金事務所となっています。

4 社員採用時等の取扱い
(1) 社員を採用した場合,5日以内に健康保険・厚生年金保険の資格取得手続を年金事務所でする必要があります。

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衆議院の解散

目次
1 総論
2 召集時解散
3 本会議が開いていない時点での解散
4 内閣不信任決議が成立した後の解散
5 解散後の議員宿舎及び議員会館の使用
6 衆議院の解散と日経平均
7 衆議院の解散後に災害が発生した場合における繰延投票
8 関連記事その他

1 総論
(1)   衆議院の解散は,内閣不信任決議が成立した場合も含めて,憲法7条に基づいて行われています。
(2) 統治行為論に基づき,衆議院解散の効力は,訴訟の前提問題としても,裁判所の審査権限の対象外です(最高裁大法廷昭和35年6月8日判決(苫米地事件上告審判決)参照)。
(3) 国会閉会中に衆議院が解散されたことはありません。

衆議院の解散に関する閣議書(令和3年10月14日付)1/2を添付しています。 pic.twitter.com/pELWPYbVe7

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 10, 2021

2 召集時解散
(1) 召集時解散は以下の4回です。
① 昭和41年12月27日の解散(第1次佐藤内閣)
② 昭和61年 6月 2日の解散(第2次中曽根内閣)
③ 平成 8年 9月27日の解散(第1次橋本内閣)
④ 平成29年 9月27日の解散(第3次安部内閣)
(2) 衆議院HPに「国会会期一覧」が載っています。召集時解散があった場合,会期は1日だけになります。

3 本会議が開いていない時点での解散
(1) 本会議が開いていない時点での解散は以下のとおりです。
① 昭和27年 8月28日の解散(第3次吉田内閣)
② 昭和55年 5月19日の解散(第2次大平内閣)

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消費者契約法及び特定商取引法等に関するメモ書き

目次
第1 消費者契約法に関するメモ書き
第2 特定商取引法に関するメモ書き
1 訪問販売等におけるクーリング・オフ
2 通信販売に関する取扱い
3 特定商取引法の申出制度
4 その他
第3 割賦販売法に関するメモ書き
1 総論
2 令和3年4月1日施行の改正割賦販売法の概要
3 割賦販売法に関する最高裁判例
第4 個人情報保護法に関するメモ書き
1 総論
2 個人情報保護法の適用範囲の拡大
3 その他
第5 マイナンバー法に関するメモ書き
第6 関連記事その他

第1 消費者契約法に関するメモ書き
1 消費者契約法は平成13年4月1日に施行されました。
2 平成19年6月に開始した消費者団体訴訟制度は,平成20年の法改正により景表法及び特定商取引法を対象とするようになり,平成25年の法改正により食品表示法も対象とするようになりました。
3 平成28年,平成30年及び令和4年には,①取り消しうる不当な勧誘行為の追加,②無効となる不当な契約条項の追加等の民事ルールの改正が行われました。
4 消費者庁HPに「逐条解説(平成31年2月)」が載っています。
5 「消費者契約法に関する最高裁判例」も参照してください。

第2 特定商取引法に関するメモ書き
1 総論
・ 特定商取引法は,事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し,消費者の利益を守ることを目的とする法律であり, 具体的には,訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に,事業者が守るべきルールと,クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています(特定商取引ガイドHPの「特定商取引とは」参照)。 
2 訪問販売等におけるクーリング・オフ

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政策担当秘書関係の文書

目次
第1 国会議員の政策担当秘書関係の文書(平成29年分以降)
第2 国会職員に関する文書
第3 関連記事

* 「国会事務局の管理職名簿」,及び「国会議員の政策担当秘書資格試験の文書」も参照して下さい。

第1 国会議員の政策担当秘書関係の文書(平成29年分以降)

・ 令和7年分
1 衆議院
① 政策担当秘書試験合格者数及び選考採用審査認定者数(令和7年度までの分)
② 令和7年度政策担当秘書選考採用審査認定に関するお知らせ(令和7年5月7日付)
③ 令和7年度政策担当秘書資格試験・選考採用審査認定日程
④ 令和7年度政策担当秘書選考採用審査認定口述審査実施について(令和7年7月実施分)
→ 令和7年9月実施分もあります。
⑤ 令和7年度国会議員政策担当秘書 選考採用審査認定者登録簿(衆議院)
2 参議院
① 政策担当秘書資格試験合格者・選考採用審査認定者数(令和7年11月1日現在)
② 令和7年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定の実施について(令和7年5月7日付のお知らせ)
③ 令和7年度参議院国会議員政策担当秘書研修の実施について(令和7年5月7日付のお知らせ)
④ 令和7年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定申請の概要(令和7年10月16日付)
⑤ 令和7年度政策担当秘書制度関係日程
⑥ 令和7年度参議院国会議員政策担当秘書選考採用審査認定における口述審査について
⑦ 令和7年度国会議員政策担当秘書選考採用審査認定者登録簿(参議院)

・ 令和6年分
1 衆議院
① 政策担当秘書試験合格者数及び選考採用審査認定者数(令和6年度までの分)
② 令和6年度政策担当秘書選考採用審査認定に関するお知らせ(令和6年5月7日付及び令和6年11月11日付)

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国会議員の政策担当秘書資格試験の文書

目次
1 国会議員の政策担当秘書資格試験の文書
令和7年分(衆議院実施分)
令和6年分(参議院実施分)
令和5年分(衆議院実施分)
令和4年分(参議院実施分)
令和3年分(衆議院実施分)
令和2年分(参議院実施分)
令和元年分(衆議院実施分)
平成30年分(参議院実施分)
平成29年分(衆議院実施分)
2 関連記事

* 「国会事務局の管理職名簿」,及び「政策担当秘書関係の文書」も参照して下さい。

令和7年分(衆議院実施分)
・ 国会議員政策担当秘書資格試験合格者の方へ-採用希望調査等について-(令和7年2月の国会議員政策担当秘書資格試験委員会の文書)
・ 第一次試験における多肢選択式試験問題集の利用等に関する契約書(令和7年5月20日付)
・ 第一次試験における論文式試験問題作成・採点等業務に関する契約書(令和7年5月20日付)
・ 令和7年度政策担当秘書資格試験の得点度数分布表(多肢選択式試験及び論文式試験)

令和6年分(参議院実施分)
・ 国会議員政策担当秘書資格試験合格者の方へ-採用希望調査等について-(令和6年2月の国会議員政策担当秘書資格試験委員会の文書)
・ 第一次試験における多肢選択式試験問題集の利用等に関する契約書(令和6年5月17日付)
・ 第一次試験における論文式試験問題作成・採点等業務に関する契約書(令和6年5月17日付)
・ 得点度数分布表(多肢選択式試験及び論文式試験)

令和5年分(衆議院実施分)
・ 国会議員政策担当秘書資格試験合格者の方へ-採用希望調査等について-(令和5年2月の国会議員政策担当秘書資格試験委員会の文書)
・ 第一次試験における多肢選択式試験問題集の利用等に関する契約書(令和5年5月19日付)

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政治家の刑事事件に関する文書

1 中身は真っ黒ですが,以下の文書を掲載しています。
① 衆議院比例代表選出議員選挙関係違反事件捜査処理について(平成7年4月1日付の次長検事の依命通達)
② 参議院比例代表選出議員選挙関係違反事件捜査処理について(平成7年4月1日付の次長検事の依命通達)
③ 「参議院比例代表選出議員選挙関係違反事件捜査処理要領について」の全部改正について(平成3年10月1日付の次長検事の依命通達)
④ 「国会議員の逮捕請求手続きについて」の全部改正について(平成3年10月1日付の次長検事の依命通達)

2(1) 公職選挙法違反事件の統計報告について(最高裁判所刑事局第三課裁判実績調査係の文書)を以下のとおり掲載しています。
平成29年,平成30年,令和 元年,令和 2年,
令和 3年,令和 4年,令和 5年,
(2) 「公職選挙法違反事件の統計報告について(令和3年3月8日付の最高裁判所刑事局第三課裁判実績調査係の文書)」といったファイル名です。

3(1) 控訴審において終局した,公職選挙法違反事件の罪名,裁判所名,事件番号,終局裁判の日を以下のとおり掲載しています。
平成25年ないし平成29年,平成30年
令和元年,令和2年,令和4年,
(2) 令和4年3月16日付の司法行政文書不開示通知書によれば,令和3年分は存在しません。

4 公職選挙法129条(選挙運動の期間)及び142条(文書図画の頒布)1項は憲法21条及び31条に違反しません(最高裁令和5年11月20日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和44年4月23日判決,最高裁昭和56年7月21日判決及び最高裁昭和57年3月23日判決参照)。

国会議員からのレク要請や資料要求は、直接担当課ではなく各省庁の国会連絡室を通すのがルール。
国会連絡室員は、議員の要求を正確に把握して担当に繋ぐのが役割だが、その力量によって我々の仕事に大きく影響する。
だから、同室には各省エース級のノンキャリアが配属されている。

— かもめの家@モテない公務員 (@kamome3home) May 28, 2022

R051016 最高裁の不開示通知書(最高裁事務総局が令和5年中に議員連盟に対する説明会で使用した資料)を添付しています。 pic.twitter.com/HfUVBIMQHS

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) October 21, 2023

天皇の生前退位に関する国会答弁

天皇の生前退位に関する国会答弁は以下のとおりです。

◯横畠裕介内閣法制局長官(28期の検事です。)の,平成29年6月1日の衆議院議院運営委員会における答弁
 天皇がその意思に基づいて退位するということについては、憲法との関係において、まず、憲法第一条が規定する象徴天皇制のもとでふさわしいものであるかどうか。第二点として、御指摘の憲法第四条第一項が「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と規定していることと抵触しないかどうか。また、三つ目として、憲法上の制度であります天皇、皇室の安定的な維持という観点から問題を生ずることがないのかといった問題があると考えております。
 すなわち、天皇の退位という行為が憲法に規定されている国事に関する行為に当たらないことは明らかでありますことから、天皇の交代という国家としての重要事項が天皇の意思によって行われるものとした場合、これを国政に関する権能の行使に当たるものではないと言えないのではないかという問題、また、仮に天皇がその意思によって退位することができるとした場合、将来においてでありますが、いわゆる退位の強制、例えば天皇に対して退位を迫るような行為が行われることや、いわゆる恣意的な退位、例えば政治的な意図を含んだ退位あるいはその表明が行われるといったことが生じないことを制度として担保することができるのかといった諸問題があると考えられます。

◯羽毛田信吾宮内庁次長の,平成13年11月21日の参議院共生社会に関する調査会における答弁
 現行の皇室典範が御指摘のように天皇の意思によります退位の制度を認めていないということはそのとおりでございます。
 そういうふうになっておりますところのゆえんのものは、一つには、退位を認めるということが、歴史上いろいろ見られましたようないわゆる上皇でありますとか法皇的な存在というもののある種弊害を生ずるというおそれがありはしないかということ、それから、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位ということの強制があり得るということです。
 いろいろ政治的な思惑の中でそういうようなことが起こるというようなことがありはしないかということ、あるいは天皇が恣意的に退位をされるというようなことになりはしないかというようなことを懸念をいたしまして、そういったことを挙げて、天皇の地位を安定させるということが望ましいという観点から退位の制度を認めないということに現行法なっておるわけでございます。
 そういった皇室典範制度の制定当時の経緯というものをやはり踏まえていかなければならないと思いますし、さらに今、先生もちょっとお挙げになりましたけれども、天皇に心身の疾患あるいは事故があるというような場合につきましては、現在も国事行為の臨時代行でありますとかあるいは摂政の制度が設けられておりますので、そういった事態の起きました場合にはそういった対応をする制度もあるということを考えますと、現在の段階で退位制度を設けるというようなことについては私ども考えていないところでございます。

◯宮尾盤宮内庁次長の,平成4年4月7日の参議院内閣委員会における答弁
 これ[注:天皇の生前退位]も現在の皇室典範制定当時いろいろな考え方があったようでございますけれども、その制定当時、退位を認めない方がいいではないか、こういうことで、制度づくりをしたときの考え方といたしましては三つほど大きな理由があるわけでございます。
 一つは、退位ということを認めますと、これは日本の歴史上いろいろなことがあったわけでございますが、例えば上皇とか法皇というような存在が出てまいりましていろいろな弊害を生ずるおそれがあるということが第一点。
 それから第二点目は、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位の強制というようなことが場合によったらあり得る可能性があるということ。
 それから第三点目は、天皇が恣意的に退位をなさるというのも、象徴たる天皇、現在の象徴天皇、こういう立場から考えまして、そういう恣意的な退位というものはいかがなものであろうかということが考えられるということ、これが第三番目の点。こういったことなどが挙げられておりまして、天皇の地位を安定させることが望ましいという見地から、退位の制度は認めないということにされたというふうに承知をいたしております。
 以上でございます。

◯宮尾盤宮内庁次長の,平成3年3月11日の衆議院予算委員会における答弁
1 今御質問の中にあったようなお考え方というものも一つの考え方であろうかと思うのでございますが、ただ、現在の皇室典範にはそういう考え方というものは全く導入されていないわけでございます。現在の皇室典範の制定当時にも、そういうようなことを含めた制度の検討というか考え方がいろいろあったようでございますが、それは現在の典範には取り込まれていない。
 その理由といたしましては、三つぐらいの考え方があったようでございます。第一点は、生前の退位でございますが、退位をするということについては、日本の歴史などを振り返ってみましても明らかなところでありますけれども、例えば上皇とか法皇というような形の存在があったわけでございまして、そういうものが天皇制というものに対していろいろな弊害を生じた過去の歴史的な経験というものが一つあるわけでございます。第二点は、この退位という制度を仮に認めたといたしますと、天皇の自由意思に基づかないでの退位ということがあり得ては非常に困ることになるわけでございます。そういうことの可能性というものを運用によっては残すという問題が出てくる。第三点は、今度は天皇御自身が理由なしに恣意的な形でおやめになるというようなことが出てきては困るということがあるわけでございます。
 そういういろいろな問題がありまして、そういう制度をつくることはいかがなものであろうかということで、現在の皇室典範ではそういう制度を採用していない、退位の制度を認めていない、こういうふうにしてあるわけでございます。
 そしてさらに、仮に天皇陛下に心身の疾患あるいは事故というようなことがある場合には、現在の皇室典範では、現在の制度といたしましては、国事行為の臨時代行に関する法律の制度がありますし、また、典範の中に摂政という制度も認められておるわけでございますから、臨時代行あるいは摂政という制度を活用することによって退位の制度というものを考える必要はないではないかというのが今私どもの基本的な考え方でございます。
2 まず、摂政の規定ですが、この第三条の方はこれは直接摂政の問題では……(沢田分科員「順序ですよね」と呼ぶ)ええ。これは第三条の方は皇位継承順位ですから特にあれはありません、十六条の関係でございますね。
 それで、ここには身体の重患または重大な事故というふうに摂政を置く場合の規定、それから御成年に達しないとき、こういうことがありますが、今お話の中にありましたように、昭和天皇は大変御高齢で天皇としてのお務めをなさったわけでございますが、御病気になる前は、確かに年齢は八十を超えたりいたしまして相当な御高齢に達しておられましたけれども、そういう点から私どもとしましてはいわゆる御負担の軽減ということを実際上は図りながら、しかし天皇としてのお務めというものは立派にお果たしになれたわけでございます。ですから、何歳以上だからそれは隠居をしなければならぬというような考え方をとる必要はないのであって、やはりその年齢にかかわらず、その地位としてのお務めが十分果たせられるならばこれは全く問題がない、ただ御負担軽減というようなものは図っていきましょう、こういうのが私どもの考え方であります。
 ただ現実に、御病気になられた昭和六十二年、それから手術をされたとき、それから昭和六十三年、病いが重くなられたこのときには、これはやはり御公務をお果たしをすることがなかなか困難であったわけでございますから臨時代行の制度を置きまして、これによって天皇としてのお務めを当時の皇太子さんにお果たしいただいた、こういうことになっておるわけでございます。ですから、こういう制度がありますから、高齢化、お年を召したからそういう退位の制度を考えたらどうかという点については、私どもは今全く必要がないのではないかと考えておるわけでございます。

*1 令和の代替わりに際しての天皇の生前退位に関する基本資料は以下のとおりです。
① 象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(ビデオ)(平成28年8月8日付)

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素因減額

目次
第1 身体的素因による減額
1 被害者の疾患の斟酌
2 頸椎後縦靱帯骨化症
3 平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴
第2 心因的素因による減額
1 被害者の心因的要因の斟酌
2 減額の理由とされる被害者の性格等
第3 被害者側の過失
1 総論
2  被害者側の過失として斟酌した事例
2  被害者側の過失として斟酌しなかった事例
第4 既存障害がある場合の新たな後遺障害認定について
第5 関連記事その他

第1 身体的素因による減額
1 被害者の疾患の斟酌
    被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において,当該疾患の態様,程度等に照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,民法722条2項の規定を類推適用して,被害者の疾患を斟酌することができます(最高裁平成4年6月25日判決参照)。
    そして,このことは,加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどうか,疾患が難病であるかどうか,疾患に罹患することにつき被害者の責めに帰すべき事由があるかどうか,加害行為により被害者が被った衝撃の強弱,損害拡大の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情によって左右されるものではありません(最高裁平成8年10月29日判決)。

2 頸椎後縦靱帯骨化症
(1)ア 頸椎後縦靱帯骨化症に罹患していたことが,被害者の治療の長期化や後遺障害の程度に大きく寄与していることが明白である事例において,民法722条2項の類推適用により,後遺障害9級10号(神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)となった被害者の疾患の寄与度は3割であるとした裁判例があります(最高裁平成8年10月29日判決の差戻控訴審である大阪高裁平成9年4月30日判決)。
イ 3に記載している最高裁平成8年10月29日判決とは別の判決です。
(2) 後縦靱帯骨化症とは,椎体骨の後縁を上下に連結し,背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨になった結果,脊髄の入っている脊柱管が狭くなり,脊髄や脊髄から分枝する神経根が押されて,感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気です。
    骨になってしまう脊椎の部位によってそれぞれ頚椎後縦靱帯骨化症,胸椎後縦靱帯骨化症,腰椎後縦靱帯骨化症と呼ばれます(難病情報センターHPの「後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)」参照)。
(3) MindsガイドラインライブラリHPに「頸椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン2011」が載っています。

3 平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴
(1) 被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても,それが疾患に当たらない場合には,特段の事情の存しない限り,被害者の当該身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり勘酌することはできません(最高裁平成8年10月29日判決)。
    なぜなら,人の体格ないし体質は,すべての人が均一同質なものということはできないものであり,極端な肥満など通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴を有する者が,転倒などにより重大な傷害を被りかねないことから日常生活において通常人に比べてより慎重な行動をとることが求められるような場合は格別,その程度に至らない身体的特徴は,個々人の個体差の範囲として当然にその存在が予定されているものというべきだからです。

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即位の礼及び大嘗祭に関する,平成2年4月17日の衆議院内閣委員会における質疑応答

○即位の礼及び大嘗祭に関する,平成2年4月17日の衆議院内閣委員会における質疑応答は以下のとおりです。
なお,文中の山口(那)委員は山口那津男衆議院議員(平成13年7月29日から参議院議員であり,平成21年9月30日に第3代公明党代表に就任)(34期の弁護士)であり,工藤政府委員は工藤敦夫内閣法制局長官であり,宮尾政府委員は宮尾盤宮内庁次長であり,多田説明員は内閣官房内閣参事官室首席内閣参事官兼内閣総理大臣官房総務課長です。

○山口(那)委員 私は、即位の礼、大嘗祭等についてお尋ねするものでありますが、その前提として、次の点を確認しておきたいと思います。
まず、公明党は、党の綱領で日本国憲法を守るということを規定した唯一の政党であり、象徴天皇制も是認すると同時に、国民主権及び信教の自由を初めとする基本的人権を擁護する立場に立っております。私は、日本国憲法のもとで生まれ育った者として初めて即位の礼を迎えるわけでありますが、主権を有する国民の一人として、この憲法の趣旨を最大限に尊重する立場で御答弁をお願いしたい、このように思います。
さてそこで、即位の礼に対しては、旧皇室典範及び登極令等に詳細な規定が置かれてありますが、このたびの即位の礼は、国事行為として行う範囲として、即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀、饗宴の儀、この三つに集約されました。この儀式の範囲を定めるに当たって、憲法の趣旨に沿ってどのような点を配慮したのか、具体的に述べていただきたいと思います。
○多田説明員 皇室典範の二十四条で「皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。」という規定がございまして、その即位の礼というものが具体的にどういうものを指すかということについては、各方面からいろいろな意見がございましたので、準備委員会で慎重に検討いたしまして、そして先生おっしゃったとおり憲法の趣旨に沿って、しかも皇室の伝統等を尊重してという基本路線で各儀式等を検討して整理をしていった結果、この三つは即位の礼ということで国事行為として行うことに非常にふさわしい儀式だというふうに判断をいたしまして、この三つに具体的には決定させていただいたということでございます。
○山口(那)委員 その際、旧登極令に細かな規定があるわけですが、それらのすべての儀式のうちからこの三つに絞ったということは、例えば宗教性の伴う儀式等を外したということになるのでしょうか。
○多田説明員 おっしゃるとおり、宗教の問題のほかにも現行の憲法から考えるとどうもふさわしくないという性格のものもかなりございますので、そういうものは全部外させていただいたということでございます。
○山口(那)委員 その宗教的性格のほかに、現行憲法のもとでふさわしくないとお考えになった具体的な基準を幾つか述べていただきたいと思います。
○工藤政府委員 若干申し上げますと、今首席参事官の方から政教分離原則のお話がございましたけれども、それ以外にも、まず国民主権の原則に反しないかどうかというのが一つございます。それから、憲法一条に規定してございます象徴たる天皇にふさわしいものであるかどうか、こういった基準があろうかと思います。
○山口(那)委員 次に、さきの御崩御の際の内閣総理大臣の謹話にもありますように、天皇陛下におかせられましては国民とともに歩む皇室を念願されておられる旨が表明されておりますが、即位の礼はその陛下の念願を国民に示される非常によい機会であろうと思われます。この儀式のほかに何か具体的な方策をお考えでしょうか。
○宮尾政府委員 ただいま御質問にもありましたように、天皇陛下には国民とともに歩む皇室ということを絶えず念願をされておられまして、折あるごとにそのような機会を持つように努められておるわけでございます。
それで、具体的に即位礼等に関連をして何かあるかということの御質問でございますが、今回の一連の行事の一つといたしまして、御質問の趣旨に沿うような意味合いをもちまして一般参賀というものを新しく設けることといたしております。それから、京都、関西方面への御親謁も予定されておりますので、その際、ゆかりのある京都におきまして茶会を催し、関西方面の方々とも直接お会いして祝意を受けられ、陛下としてもお会いする機会を設けるというようなことを新しく考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 そのほかに、例えばマスコミ等を通して国民に対してお言葉を述べられるような機会はお考えですか。
○宮尾政府委員 一般参賀では当然陛下も参賀においでになられた国民の方々に親しくお言葉をおかけになります。それから茶会等におきましても、これはまだ今後どうするかということでありますけれども、何らかのお言葉というものがあるのではなかろうか、こういうふうに考えられます。そしてそういうものが一般参賀なり茶会に取材にお見えになる報道関係等の方々を通じて国民に紹介をされるわけでございますので、御質問のような趣旨というものはそういう機会を設けることによって生かされておると思っております。
今、特別の形で何らかの予定がそれ以外にあるかという点については、考えておるものは特段ないわけでございます。これは一つの機会をつかまえてという御趣旨であろうかと思いますが、陛下のお気持ちというものは今後長い間の陛下のいろいろな機会における国民に対する接触の仕方、お言葉等の中で十分あらわれていくと考えておりますし、私どももそういう意味でいろいろなお手伝いをしていきたいと思っておるわけでございます。
(中略)
○山口(那)委員 次に、大嘗祭についてお尋ねします。
大嘗祭の伝統的意義についてもう一度確認をしたいと思います。いかがですか。
○宮尾政府委員 大嘗祭の伝統的な意義という御質問でございますが、これは日本書紀等にも記述がございますように、古くから大嘗、新嘗という区分は必ずしもその時代はなかったようでございますけれども、大嘗祭というものが御即位に伴って行われておる、こういう記述がございます。
それから、奈良時代に入りましては大嘗、新嘗の区別がなされまして、一番最初にその区別が行われて大嘗祭をとり行われたのは第四十代の天武天皇のときからであると言われております。
以来、御即位の都度、皇室にとりましては一世一度の非常に重要な即位儀礼という形で行われてまいりまして、そういった点は貞観儀式等にもきちんといろいろ書かれておるわけでございます。そういう意味からいたしまして、大嘗祭は皇室で長い間続いてきた伝統的儀式でありますが、これは一世一度の皇位継承儀礼であると私どもは重く考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 大嘗祭の歴史的伝統に照らして、これは天皇個人に関する儀式という性格が強いのでしょうか、それとも皇室というある意味での集団に関する儀式という色彩が強いのでしょうか。
○宮尾政府委員 これを歴史的にどういうふうに申し上げるかというのはなかなか難しい話かもしれませんが、少なくとも現在の憲法では天皇は象徴的な地位、国民統合の象徴である。そういう象徴的な地位というお立場に立っておられます。古くから皇室が国内的にどういうお立場であったのか、こういうことはいろいろ難しい、難しいといいますか、一口に言うことはできないかもしれませんが、少なくとも、抽象的に申し上げれば今の憲法に明記されているようなお立場にあったと私ども考えておるわけでございます。
そういう意味で、天皇個人のということではなくて、御主宰になるのは天皇がお一人で御みずからなされますけれども、それは皇室にとっても非常に重要な儀式でありますし、それから現行の憲法のもとにおきましても、あるいは往時のいろいろな歴史的なものをたどってみましても、日本の天皇という意味でそういう行事をとり行われることは大変国家的な意味でも重要なことであったというふうに考えておるわけでございます。
○山口(那)委員 この大嘗祭は宗教的な性格を帯びているということが指摘されておりますが、どのような点で宗教的な性格があるとお考えでしょうか。
○宮尾政府委員 政府が昨年取りまとめました見解の中にもその点は記述をしてあるわけでございますが、大嘗祭の中心的な儀式としましての大嘗宮の儀というのは、陛下御みずからその年とれました新穀を皇祖、天神地祇にお供えになり、また、御みずからも召し上がって、そして安寧と五穀豊穣を感謝する。そういう儀式の趣旨、形式等からいたしまして宗教上の儀式としての性格を有することは否定しがたい。こういうふうに言われておるわけでございます。
○山口(那)委員 その際、宗教的な儀式というその宗教というのはどのような御理解をしておられますか。
○宮尾政府委員 これは皇室の伝統的な方式によりましてとり行われてきておるものでございまして、皇室におきましてはいろいろな祭祀を日常行っておられますし、事あるごとに皇室の伝統的な方式によりまして行っておられるわけでございます。大嘗祭もそういう意味では皇室の伝統に従った儀式のやり方で行われるだろうと理解をしておるわけでございます。

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昭和天皇の崩御に伴う職員の懲戒免除等について(平成元年2月14日付の文部省教育助成局長通知)

○文部科学省HPに掲載されている,昭和天皇の崩御に伴う職員の懲戒免除等について(平成元年2月14日付の文部省教育助成局長通知)は以下のとおりです。
昭和天皇の崩御に伴う職員の懲戒免除等について

昭和天皇の崩御に伴う大赦令及び復権令が平成元年二月一三日公布され、同月二四日から施行されることに伴い、「公務員等の懲戒免除等に関する法律」(昭和二七年法律第一一七号)に基づき、「昭和天皇の崩御に伴う国家公務員等の懲戒免除に関する政令」(平成元年政令第二九号)及び「昭和天皇の崩御に伴う予算執行職員等の弁償責任に基づく債務の免除に関する政令」(平成元年政令第三〇号)が平成元年二月一三日公布され、同月二四日から施行されることとなりました。これに伴い、総務庁人事局長等よりこれらの政令に関する通知(参考一)がなされました。また、人事院事務総長から、「懲戒が免除された職員の昇給に係る勤務成績の証明に関する取扱いの特例について」の通知(参考二)がなされました。

地方公務員の懲戒免除等については、自治事務次官等から各都道府県知事・指定都市市長等に対し、「昭和天皇の崩御に伴う職員の懲戒免除及び職員の賠償責任に基づく債務の減免について」の通知等(参考三)がなされました。

ついては、貴教育委員会におかれては、特に左記事項に十分留意され、その取扱いについて遺憾のないよう願います。

おつて貴管下市町村教育委員会に対しても周知方お願いします。

一 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三一年法律第一六二号)第三七条第一項に規定する県費負担教職員の懲戒免除については、都道府県の条例で定めること。

二 国においては、大赦、政令による復権の範囲との均衡等を考慮し、国家公務員等のうち、法令の規定により、昭和六四年一月七日前の行為について、平成元年二月二四日前に減給、戒告又はこれらに相当する懲戒処分を受けた者に対しては、将来に向かつてその懲戒を免除することとしているものであること。

三 懲戒の免除は、将来に向かつてなされるものであり、懲戒処分に基づく既成の効果は、これにより変更されるものではないこと。したがつて、例えば、減給処分が免除された場合であれば、免除された日が減給期間中にあるときは、その日以後解除され、減給されない給与額に戻ることとなるが、減給期間がその日前に完了しているときは、なんらの変更を受けるものではないこと。

四 懲戒が免除された場合においても、その懲戒は将来に向かつて免除されるものであり、過去において昇給が延伸された者の給与上の取扱いについては、一切影響を与えないものであること。

また、昇給が延伸された者をその後の昇給において回復させるいわゆる昇給延伸の復元は給与制度上あり得ないものであること。この点に関しては、国家公務員については平成元年二月八日の人事管理官会議幹事会において、「過去において昇給が延伸された者をその後の昇給において回復させることは、給与制度上予定されておらず、各省庁は、既に昇給が延伸されている者についてその復元を目的として特別昇給等を行うことのないよう留意すること」という確認がなされているところである。このため、今回の懲戒免除に伴い、いわゆる昇給延伸の復元を絶対に行うことのないこと。

五 平成元年四月一日以降の最初の普通昇給に係る勤務成績の証明に関する取扱いについては、現に受ける給料月額又はこれに相当する給料月額を受けるに至つた日以降に懲戒処分を受けた職員のうち今回懲戒が免除された職員(同日以降に、免除された懲戒以外の懲戒の処分を受けた職員を除く。)は、免除された懲戒処分を受けたことを事由として勤務成績についての証明が得られないものとして取り扱うことはしないものであること。

参考〔略〕

日韓請求権協定

目次
第1 請求権問題と経済協力との関係等
1 請求権問題と経済協力との関係
2 経済協力の規模
第2 日韓請求権協定2条,及び日本の韓国に対する請求権の放棄
1 日韓請求権協定2条の条文及び合意議事録
2 日韓請求権協定2条に基づく補償の義務は発生しないと考えられたこと
3 戦前の日本人が朝鮮半島に残した財産の取扱い
4 日本は李承晩ラインに基づく拿捕損害の賠償請求権を放棄したこと
第3 大韓民国等の財産権に対する措置法,及びこれに基づく個人の請求権の消滅
1 大韓民国等の財産権に対する措置法の条文
2 大韓民国等の財産権に対する措置法に基づく権利等の消滅
3 大韓民国等の財産権に対する措置法に基づく個人の請求権の消滅
第4 日韓請求権協定,及び大韓民国等の財産権に対する措置法に関する答弁書
1 平成15年 1月28日付の答弁書
2 平成30年11月20日付の答弁書
第5 2018年10月30日の韓国大法院判決等
1 2018年10月30日の韓国大法院判決及びその個別意見の骨子
2 2018年10月30日の韓国大法院判決が支払を命じた金額等
3 日韓請求権協定は徴用工に対する補償を含むものであったこと
4 韓国大法院判決に対する被告企業のコメント
5 韓国政府が発表した徴用工訴訟の解決案
第6 日韓請求権協定3条に基づく仲裁手続が実施できなかったこと
1 日韓請求権協定3条の条文
2 日韓請求権協定3条に基づく仲裁手続
3 韓国政府が日韓請求権協定3条に基づく仲裁手続を履行しなかったこと
第7 日韓基本条約等が掲載されているHP
第8 関連記事その他

第1 請求権問題と経済協力との関係等

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日中共同声明,日中平和友好条約,光華寮訴訟,中国人の強制連行・強制労働の訴訟等

目次
1 日中共同声明
2 日中平和友好条約
3 その後の共同声明
4 光華寮訴訟
5 中国人の強制連行・強制労働の訴訟
6 国家賠償法施行以前の取扱い
7 関連記事その他

1 日中共同声明 
(1)   昭和47年9月29日に発表された,日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(いわゆる「日中共同声明」です。)5項は,「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」と定めています。
   7項は「日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。」と定めています。
(2) 田中角栄内閣総理大臣は、昭和47年10月31日の参議院本会議において以下の答弁をしています。
① 日中共同声明は、国会の承認を求めるべきだという御議論でございますが、先般の日中共同声明は、政治的にはきわめて重要な意味を持つものでございますが、法律的合意を構成する文書ではなく、憲法にいう条約ではないわけでありまして、この共同声明につき、国会の承認を求める必要はないのでございます。
② もっとも、この日中共同声明につきましては、事柄の重要性にかんがみ、その内容につきましては、国会において十分御審議をいただきたいと考えております。
(3) 大森誠一外務省条約局長は、昭和53年10月13日の衆議院外務委員会において以下の答弁をしています。
① 日中間の戦争状態の終結の問題につきましては、法律的には、わが国と中国との間の戦争状態は日華平和条約第1条により終了したとするのがわが国の立場でございます。日中国交正常化に際しまして、わが国としては、日華平和条約を当初から無効なものとします中国側の主張は認めることはできないとの基本的立場を中国側に十分説明いたしまして、日中国交正常化という大目的のために日中双方の本件に関しまする基本的立場に関連する困難な法律問題を克服しますために、共同声明の文言に双方が合意した次第でございます。
   このようなわけでございまして、日中間の戦争状態終結の問題は、日中共同声明により最終的に解決している次第でございます。
② ただいま申し上げましたような次第によりまして、この共同声明は国会の承認を要しないということでございました。
(4) 大阪高裁令和2年2月4日判決(担当裁判官は33期の江口とし子,43期の大藪和男及び47期の角田ゆみ)の判示事項の要旨は以下のとおりです。
① 第二次世界大戦中,日本国により中国から日本に強制連行され,日本各地の事業場で強制労働に従事させられたことを原因とする控訴人らの被控訴人に対する慰謝料請求を,最高裁平成19年4月27日第二小法廷判決の考え方に則り,日中共同声明5項によって裁判上訴求する権能を失ったとした原判決の判断は,相当である。
② 強制連行・強制労働という先行行為があったとしても,戦後,侵害の回復という作為義務(とりわけ,金銭支払義務)が別個に生ずるとはいえず,その不履行が別個独立の損害賠償請求権の発生根拠となることはない。
③ 昭和29年から昭和35年にかけての国会における外務省アジア局長及び内閣総理大臣の答弁は,具体的な事実を摘示したものではなく,それ自体で被害者らの社会的評価を低下させたとは認められないから,いずれも被害者らに対する名誉棄損とはならない。 

2 日中平和友好条約
(1)   昭和53年8月12日に北京で署名された,日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約 (いわゆる「日中平和友好条約」です。)1条1項は「両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。 」と定め,同条2項は「両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」と定めています。
   2条は「両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。 」と定めています。
   4条は「この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。 」と定めています。
(2) 1969年3月2日,国境問題をめぐってウスリー江のダマンスキー島(中国側の呼称は珍宝島です。)で大規模な軍事衝突が発生して中ソ国境紛争が継続するなど,中ソ対立が続いており,中国はソ連を覇権主義国家として非難していました。

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国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁

目次
1 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
2 関連記事

1 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
・ 香取照幸厚生労働省年金局長は,平成27年8月28日の衆議院厚生労働委員会において以下の答弁をしています。
① まず、国民年金基金と個人型のDCの違いですが、先生お話ありましたように、非常にわかりやすく言いますと、国民年金基金は、確定給付型、いわばDBと同じように給付型の年金ですので、給付の基本的な設計が異なっているということがございます。
 ただ、機能としてはいずれも自営業者や一号被保険者の方の自助努力を支援するということで、そういう意味では目的は共通するものがあるということで、それぞれメリット、デメリットがございまして、個々人の御判断によって加入されるということになります。
 国民年金基金は、平成元年に法律が成立して平成三年から適用しておりますので、こちらの方が歴史が長いものでございますし、こちらは地域型と職能型という形で二つの形があるわけですけれども、御案内のように、国民年金基金の加入者自身は少しずつ減少傾向にある。
 これは、そもそも一号全体の数が減っている。自営業者の数が減っているということもございますし、もう一つは、お話ありましたように、一号の中で、いわゆる自営業者といいますか純粋一号といいますか、本来の制度が想定している一号の方々は、全体の一号の数の減少よりもさらに実は減少している。一号の中で、一定の所得のある方、パート労働の方とか、そういう被用者で一号になっている方もふえているということもありまして、国民年金基金の場合には、掛金の水準等々からいって一定の所得のある方が入るということになりますので、そういった自営業者の方が減っているということもあって少なくなっているというふうに思っております。
 その意味でいいますと、個人型の確定拠出年金の方が、個々人の方の制度設計、個々人の御判断で掛金が決められるということになりますと、入りやすいといいますか取り組みやすい制度ということになりますので、一号被保険者の方の対応が変わってきているということも頭に置きながら、国民年金基金と個人型の二つの制度を御用意して入っていただくということを考えております。
 数字でいいますと、今、国民年金基金が四十五万人、確定拠出に関しましては、平成二十六年度末、直近でいきますと、約二十一万人の方が入っておられる。
 いずれにしても、一号全体から比べると非常に数が少ないわけでございまして、これからその適用拡大を図っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
② 先ほどちょっと答弁漏れがございましたが、個人型のDCと国民年金基金に重複で入っておられる方は約六千名ぐらいいらっしゃるということでございます。
 どちらが有利かということで言いますと、税制上は同じ枠の中でやることになりますので、その意味では、どちらをどういうふうに組み合わせるかということはありますが、若い方が継続的にお掛けになる、若いうちから入るということを考えますと、国民年金基金はたしか一口目が七千円ぐらいから始まるんだと思うんですが、割と高い水準から上がるということになりますので、例えば、少ない金額、三千円、四千円ぐらいから始めて、自分の年齢がいったときに積み上げていって大きくしていくといったような形を考えますと、早い段階から入ってずっと続けるということであれば、入り口はやはり個人型から入るという方が恐らく取り組みやすいということになろうかと思います。
 いずれにしても、両方加入できるということから考えますと、年齢によって、自分の所得や就労形態に応じて、途中で例えば国民年金に入るとか掛金を変えていくとかできますので、その意味では、早く始めるということでいいますと、入りやすいというか、最初に取り組みやすいのは個人型ということになろうかと思います。
③ ポータビリティーという観点でいいますと、個人型は、今回の制度改正で、お話しのように企業型への移換あるいは継続というのができるようになりますが、国民年金基金はそれがありませんので、お話しのように、生涯自営業、家が代々自営業でというような方ですと国民年金基金ということになりますが、その意味では、脱サラをされたりあるいはパートで働いたりということで一号でいらっしゃる方の場合には、先々のことを考えると個人型の方が便利であるということはあろうかと思います。
 国民年金基金なんですが、お話しのように、今回の制度改正の過程でも、国民年金基金についても同様のポータビリティーを認めていただく必要があるのではないかということは私どもも議論をしましたが、実は国民年金基金は、制度をつくったときの経緯もございまして、御案内のように、付加年金というのがくっついていることになっています。この付加年金部分は国庫負担が入っているということもございまして、給付としては非常に小さい部分なんですが、制度設計上はやはりちょっと制度のたてつけが違っているということもございまして、なかなかそこは、税務当局を含め、制度の趣旨が違っているので、今の段階で一足飛びにポータビリティーを認めるということについては、なかなかそういう結論がいただけなかったということでございます。
 ただ、お話しのように、先々のことを考えますと、国民年金基金についても同様な御議論もありますし、国民年金基金の当事者といいますか事業体の方からは、例えば二号とか三号の方についても個人型同様加入できるようにするというのはないのかとか、幾つか御要望をいただいております。そういったものも含めて今後考えていかなきゃいけないと思っております。
 それから、限度額については、前回のこの委員会でも御答弁申し上げましたが、それぞれ制度をつくっていく中で税制当局と調整をしながらこういった形でなってきましたので、今現在、個人型が事実上皆さんが入られるとなった今の状況で見ますと、確かに、でこぼこしているし、移動した場合に限度額が変わってしまいますと、さまざま利益、不利益が出るということがございます。なので、今後、公的年金の二階の一元化でありますとかパートの適用拡大等々が進む中で、やはり三階についてもある程度共通のルールで限度額を考えるということをこれから早急に詰めて、これは税務当局と御相談しなければいけないことでもございますけれども、先生の御指摘のようなことも踏まえてちょっと検討してまいりたいと思っております。

昨日,衝撃を受けたのですが,日本の生産年齢人口 - 総人口の過去データと2065年までの推計値 (総務省統計局の日本の統計 https://t.co/gnP7RYzQRZ の人口の推移と将来人口) をプロットしたら,1995年から2020年はつるべ落としのように働く世代が居なくなり,2025年からは日本市場が激縮するという… pic.twitter.com/dqxdaGHujM

— Yuta Kashino (@yutakashino) May 3, 2022

2 関連記事
① 日本弁護士国民年金基金
② 個人型確定拠出年金(iDeCo)

注意喚起です。
現在、未上場株のセカンダリーマーケットの整備が進んでいます。一見すると投資機会が増えて良さそうに見えるかもしれませんが、正直オススメできません。非常に難易度の高いババ抜き会場になるかと思います。エンジェル投資をしたいなら自分の人脈経由一択です。

— Kosuke|兼業投資家 (@Kosukeitou) December 12, 2021

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国民年金保険料及び国民健康保険料の減免等に関するメモ書き

目次
第1 国民年金保険料の免除及び納付猶予申請
1 総論
2 国民年金保険料の免除申請
3 国民年金保険料の納付猶予申請
4 国民年金保険料の追納制度
第2 国民健康保険料に関するメモ書き
1 国民健康保険料の軽減及び減免の申請
2 国民健康保険料の計算サイト
第3 関連記事その他

第1 国民年金保険料の免除及び納付猶予申請
1 総論
(1) 国民年金保険料の免除及び納付猶予申請については,日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」に一通りの説明が書いてあります。
(2) 住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口で申請をする必要があります。
(3)ア 必要書類は以下のとおりです。
① 必ず必要なもの
・ 年金手帳又は基礎年金番号通知書
② 場合によって必要なもの
・ 前年(又は前々年)所得を証明する書類
→ 7月以降に申請をする場合は前年の,6月以前に申請する場合は前々年の書類が必要です。
・ 所得の申立書
→ 所得についての税の申告を行っていない場合に必要となります。
イ 平成26年10月以降,前年(又は前々年)の所得額が57万円以下であることの申立てを免除等申請書の「前年所得」欄に記入することにより,所得の状況を明らかにすることができる書類の添付を省略できるようになりました。
(4) 平成26年4月以降,保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について,さかのぼって免除又は納付猶予を申請できるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」参照)。
(5) 平成31年4月以降,次世代育成支援の観点から,国民年金第1号被保険者が出産を行った場合,住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口に届書を提出することにより,出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除されるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」参照)。
2 国民年金保険料の免除申請
(1) 本人,世帯主及び配偶者の前年所得が一定額以下の場合,国民年金保険料の免除制度に基づき,申請をすることにより全額又は一部を免除してもらえます。
(2) 国民年金保険料の免除制度は,同居している親に一定額以上の所得がある場合は利用できません。

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法科大学院派遣裁判官名簿及び法科大学院派遣検察官一覧

目次
1 法科大学院派遣裁判官名簿
2 法科大学院派遣検察官一覧
3 関連記事その他
    
1 法科大学院派遣裁判官名簿
(1) 毎年3月の第2水曜日に開催される最高裁判所裁判官会議議事録に含まれている,法科大学院派遣裁判官名簿を掲載しています。
(令和時代)
令和2年度分,令和3年度分,令和4年度分,令和5年度分,
令和6年度分,令和7年度分,
(平成時代)
平成16年度分ないし平成19年度分
平成20年度分ないし平成24年度分
平成25年度分ないし平成28年度分
平成29年度分,平成30年度分,平成31年度分,
* 「法科大学院派遣裁判官名簿(令和6年度分)」といったファイル名です。
(2) 元の文書だけだと年度が分からないことにかんがみ,平成30年度分以前及び令和6年度以降については右上に手書きで年度となる数字を書き加えています。

法科大学院推進派の人たちは、かけがえのない人生を生きる法曹志望者達が、制度改革に翻弄され、強要された大学院の学費と機会損失で苦しみ、貸与制で苦しんでいるのに深く共感してみてはどうだろうか。

— 心の貧困 (@mental_poverty) July 27, 2022

2 法科大学院派遣検察官一覧
令和元年度,令和2年度,令和3年度,令和4年度,
令和5年度,令和6年度,令和7年度,

内田先生の新刊、すごく面白いんだけど、「日弁連が猛烈に反対」「拒絶したのは、弁護士会などの実務界」「日弁連が絶対に嫌だって言ってます」日弁連や実務界が抵抗勢力のようなのはまた…
内田貴『高校生のための法学入門』(信山社、2022)159,165,195p pic.twitter.com/lXymFUvJD5

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反社会的勢力排除条項に関するメモ書き

目次
1 総論
2 従業員の採用と反社会的勢力排除
3 反社チェック
4 反社会的勢力が行う不当要求の類型
5 暴力団離脱者支援
6 警察は原則として,元暴力団員であるかどうかに関する情報を部外に提供していないこと
7 反社会的勢力排除条項の拡張は独占禁止法との関係で制限されると思われること
8 反社会的勢力排除条項がない場合,錯誤無効を主張できないこと
9 暴力団排除条項を確認する場合に気を付けるべき点
10 反社会的勢力に関する統一的な定義はないこと
11 相手方が元暴力団構成員であることを弁護士が準備書面に記載できるとは限らないこと
12 預貯金口座の凍結に関する警察庁の文書
13 関連記事その他

1 総論
(1) 反社会的勢力排除条項(略称は「反社条項」です。)は,契約を締結する際,反社会的勢力ではないことや,暴力的な要求行為等をしないことなどを相互に示して保証する条項であって,暴力団排除条項(略称は「暴排条項」です。)ともいいます(KEIYAKU-WATCHの「反社条項(暴排条項)とは? 契約書に定めるべき理由・条項の例文(ひな形)などを解説!」参照)。
(2) 大阪府暴力団排除条例5条(府民及び事業者の責務)2項は「事業者は、基本理念にのっとり、その事業に関し、暴力団との一切の関係を持たないよう努めるとともに、府が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するものとする。」と定めています。
(3) 大阪府警察HPに「暴力団排除条項の記載例」が載っています。

2 従業員の採用と反社会的勢力排除
(1) 企業法務の扉HPの「暴力団排除条例と暴力団排除条項」には「取引時の「誓約書」に倣い,従業員の採用時に従業員から暴排の「誓約書」の提出を求めるのも一計です。採用時の提出書類として、従業員から誓約書を提出してもらう事業者がほとんどですので、この誓約書に暴排の条項を入れることになるでしょう。」と書いてあります。
(2) 「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」と定める労働契約法12条からすれば,就業規則にも暴力団排除条項を入れておく必要があると思います。
(3) Legal Expressに「従業員・労働者が反社会的勢力に該当する場合、会社がとるべき対策を弁護士が解説!」が載っています。

3 反社チェック
(1) 企業法務弁護士ナビの「反社チェック6つの方法|契約後に取引先が怪しいと感じたら?」には,取引開始前にすべき反社チェックの方法として,①会社情報の確認,②インターネットによる検索,③新聞記事・Webニュース記事(帝国データバンク及び日経テレコン等)の検索,④風評の調査及び⑤外部機関(警察及び暴力追放運動推進センター)への相談が挙げられています。
(2) 反社会的勢力と認定された人は銀行口座を持つことが非常に難しいことからすれば,反社チェックの方法の一つとして,採用面接の交通費の支払等の名目で求職者の銀行口座を確認した方がいい気がします。
(3) RoboRoboコラムに「反社会的勢力の具体的な調査方法は?おすすめのツールや反社への対応方法も解説!」(2022年11月8日付)が載っています。
(4) 若手弁護士が解説する個人情報・プライバシー法律実務の最新動向ブログの「第14回:改正個人情報保護法下における反社対応の留意点」には「特定の個人が反社会的勢力に属しているという情報は、社会的身分に該当しない。また、犯罪の経歴や刑事事件に関する手続が行われたことには該当せず、要配慮個人情報には該当しないとされている(GL通則パブコメ143番、159番)。」と書いてあります。

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不公正な取引方法に関するメモ書き

目次
1 総論
2 法定5類型及び指定類型
3 一般指定及び特殊指定
4 関連記事その他

1 総論
(1) 事業者は不公正な取引方法を用いてはならない(独禁法19条)ところ,不公正な取引方法とは,独禁法2条9項のいずれかに該当する行為をいい,①同条項1号ないし5号に基づく法定5類型,及び②同条項6号に基づく指定類型があります。
(2) 不公正な取引方法がある場合,公正取引委員会は,事業者に対し,当該行為の差し止め,契約条項の削除その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができます(独占禁止法20条1項)。

2 法定5類型及び指定類型
(1)ア 平成21年の独占禁止法改正以前につき,不公正な取引方法に関しては独禁法2条9項6号に相当する規定のみが置かれ,不公正な取引方法として禁止される行為類型はいずれも「公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの」でした。
    しかし,平成21年の独占禁止法改正で不公正な取引方法の一部に課徴金制度を導入したことに伴い,一般指定の中から,課徴金対象となる5つの行為類型(①共同の供給拒絶,②差別対価,③不当廉売,④再販売価格拘束及び⑤優越的地位の濫用)を切り出して,独禁法2条9項1号ないし5号に基づく法定5類型として規定されました。
イ 公正取引委員会HPに「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(平成29年6月16日改正)及び「優越的地位の濫用~知っておきたい取引ルール~」が載っています。
(2) 独禁法2条9項6号に基づく指定類型としての「不公正な取引方法」については,すべての事業者について適用される「一般指定」と,特定の事業分野についてだけ適用される「特殊指定」があります。

3 一般指定及び特殊指定
(1)ア 「一般指定」としての「不公正な取引方法」(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号)では,15の行為類型(例えば,取引拒絶,排他条件付取引,拘束条件付取引,再販売価格維持行為,ぎまん的顧客誘引及び不当廉売)が,「公正な競争を阻害するおそれがあるもの」として指定されています。
イ 卸売業者等が小売業者に対して商品の販売に当たり顧客に商品の説明をすることを義務付けるなどの形態によって販売方法に関する制限を課することは,それが当該商品の販売のためのそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ,かつ,他の取引先に対しても同等の制限が課せられている限り,拘束条件付取引に当たりません(最高裁平成10年12月18日判決)。
(2) 「特殊指定」としては以下のものがあります。
① 大規模小売業者が行う特定の不公正な取引方法(いわゆる「大規模小売業告示」です。)
② 特定荷主が行う特定の不公正な取引方法(いわゆる「物流特殊指定」です。)
③ 新聞業における特定の不公正な取引方法(いわゆる「新聞特殊指定」です。)

4 関連記事その他
(1)ア 不公正な取引方法を禁止する独禁法19条に違反した契約の私法上の効力については,その契約が公序良俗に反するとされるような場合は格別として,同条が強行法規であるからとの理由で直ちに無効であると解すべきではありません(最高裁昭和52年6月20日判決)。
イ ビジネスローヤーズに独禁法違反行為の私法上の効力を巡る裁判例と契約書起案・審査における留意点 - BUSINESS LAWYERSが載っています。
(2) 優越的地位の濫用を含む不公正な取引方法に基づく損害賠償請求(独占禁止法25条)をするためには,独占禁止法49条に規定する排除措置命令が確定した後でなければ裁判上主張することはできない(独占禁止法26条1項)ものの,民法上の不法行為を主張する余地はあります(弁護士鈴木悠太HPの「優越的地位の濫用(独占禁止法)」参照)。
(3) 景品表示法及び下請法は独禁法の補完法となります。
(4) 以下の記事も参照してください。

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