目次
1 宅建業者の報酬
2 宅建業者の査定書
2の2 宅建業者の重要事項説明書に関するメモ書き
2の3 契約不適合責任に関するメモ書き
2の4 売主の説明義務に関するメモ書き
2の5 職業的専門家の説明義務に関するメモ書き
3 賃貸マンションに関するメモ書き
3の2 分譲マンションに関するメモ書き
3の3 宅建業者による勧誘に関する規制等
3の4 地区計画,建築協定及び紳士協定
3の5 開発行為に関するメモ書き
3の6 市街地再開発事業及び土地区画整理事業に関するメモ書き
4の1 固定資産税に関するメモ書き
4の2 固定資産評価証明書の閲覧
5 家賃保証
6 住宅セーフティネット制度
7 引越しに関するメモ書き
7の2 オフィスに関するメモ書き
7の3 公衆浴場に関するメモ書き
8 立退料に関するメモ書き
8の2 抵当権に基づく妨害排除請求
8の3 競売不動産価格維持のための保全処分
9 住宅ローンに関するメモ書き
10 表題登記及び所有権保存登記に関するメモ書き
11 旧住所登記と新住所登記
12 安心R住宅制度
12の2 S造,RC造,SRC造及び木造
13 サブリース
13の2 スルガ銀行・シェアハウス事件の被害者救済スキーム
14 廃棄物処理法に関するメモ書き
14の2 家電リサイクル等に関するメモ書き
15 農地法に関するメモ書き
15の2 市街化調整区域に関するメモ書き
16 私力の行使及び刃物携帯の禁止
17 耐震基準等に関するメモ書き
18 排水管に関するメモ書き
18の2 下水道に関するメモ書き
19 空き家に関するメモ書き
20 関連記事その他
1 宅建業者の報酬
(1) 賃貸借の仲介(媒介又は代理)で不動産会社が賃借人から受け取ることができる報酬額は原則として賃料の0.5月分(税抜)だけであって,特に賃借人の承諾がある場合に限り,1月分(税抜)となります(不動産ジャパンHPの「4.仲介・管理を依頼する会社を選ぶ」参照)。
(2) 契約時に「0.5ヵ月分しか支払わない」と伝えた場合,仲介会社が値引きに応じるケースがほとんどらしいです(TERASS HPの「「仲介手数料は原則0.5ヵ月分」判決 家を借りるときの“法律と業界知識”」参照)。
(3) 大阪府HPに「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(建設省告示)」が載っています。
(4) 無免許者が宅地建物取引業を営むために宅地建物取引業者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,公序良俗に反し,無効です(最高裁令和3年6月29日判決)。
2 宅建業者の査定書
(1) 宅建業者の査定書の根拠として,宅建業法34条の2第1項2号及び同条2項に言及されることがあります。
(2) 媒介契約について定める宅建業法34条の2第2項は,「宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額(山中注:当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額)について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。」と定めています。
(3) 国土交通省HPの「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について」に載ってある「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には「4 媒介価額に関する意見の根拠の明示義務について」の「(1) 意見の根拠について」として以下の記載があります。
意見の根拠としては、価格査定マニュアル(財団法人不動産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアル又はこれに準じた価格査定マニュアル)や、同種の取引事例等他に合理的な説明がつくものであることとする。
なお、その他次の点にも留意することとする。
① 依頼者に示すべき根拠は、宅地建物取引業者の意見を説明するものであるので、必ずしも依頼者の納得を得ることは要さないが、合理的なものでなければならないこと。
② 根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよいが、書面を用いるときは、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書でないことを明記するとともに、みだりに他の目的に利用することのないよう依頼者に要請すること。
③ 根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できないものであること。
(4) 東京地裁平成21年3月24日判決は「不動産取引の媒介業者は媒介価格よりも若干高い額の売出価格を設定する義務を負担しているとはいえない。」と判示しています(三井住友トラスト不動産HPの「宅地建物の売却の媒介における「媒介価額」とは何か」参照)。
2の2 宅建業者の重要事項説明に関するメモ書き
(1) 四日市の弁護士による企業法務HPに「重要事項説明書について」が載っています。
(2) 国土交通省HPに「「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました」(令和3年10月8日付)が載っています。
(3)ア みずほ中央法律事務所HPの「【売買契約に関する責任の種類(瑕疵担保・債務不履行・不法行為)】」には「調査や説明義務違反による責任は,売主だけでなく仲介業者も負うことがありあす。」と書いてあります。
イ 東京地裁平成28年3月11日判決(判例秘書に掲載)は以下の判示をしています。
不動産仲介業者は,直接の委託関係はなくても,これら業者の介入に信頼して取引をなすに至った第三者一般に対しても,信義誠実を旨とし,格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があると解されるところ,仲介者が負うべき義務は,宅地建物取引業法第35条に定める事項はもちろん,信義則上,買主が売買契約を締結するかどうかを決定づけるような重大な事項について調査し,知り得た事実について説明すべきであるが,宅地建物取引業者は,高度の専門知識や鑑定能力を有するものとは限らないことからすると,売買契約当時,その目的物に瑕疵が存在することを疑わせるような特段の事情がない限りは,瑕疵の存否について積極的に調査するまでの義務はないと解するべきである。
2の3 契約不適合責任に関するメモ書き
(1)ア 数量不適合,権利不適合及び抵当権等が存在した場合における売主の担保責任は,権利行使可能認識時から5年で消滅時効にかかります(月刊不動産HPの「Vol.20 売主の担保責任」参照)。
イ 国土交通省HPに「「物件状況等報告書」記入上のご注意【土地建物・土地用】」が載っています。
(2)ア 契約不適合責任免除の特約が有効と判断されるかどうかのポイントは以下のとおりみたいです(不動産DOJOの「売主に重過失があれば契約不適合責任免責を無効にできるか? 」参照)。
① 売主により事前調査がされているか。
② 調査することが容易であったか
③ 売主は買主に対して真摯な対応をしているか
イ 東京地裁平成16年10月28日判決(判例秘書に掲載)は,隣人と共有共用の配水管及び浄化槽が地中に埋設されていた土地の売買において,瑕疵担保責任を限定する特約を排除して売主の瑕疵担保責任が肯定された事例です。
ウ みずほ中央法律事務所HPに「【瑕疵担保責任免除特約の有効性】」が載っています。
(3) 売買契約の当事者間において目的物がどのような品質・性能を有することが予定されていたかについては,売買契約締結当時の取引観念をしんしゃくして判断されます(最高裁平成22年6月1日判決)。
2の4 売主の説明義務に関するメモ書き
(1) 石川県宅建業協会HPに「売主・媒介業者から見た不動産売買における契約不適合責任等の留意点と予防策」が載っています。
(2) 東京地裁平成28年3月11日判決は(判例秘書に掲載)は以下の判示をしています。
不動産売買における売主は,その売買の当時,購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがあり,その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識していた場合には,売主は,売買契約に付随する信義則上の義務として,購入希望者に対して当該事項について説明すべき義務があるというべきである。
2の5 職業的専門家の説明義務に関するメモ書き
・ 最高裁令和2年3月6日判決の裁判官草野耕一の意見には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
職業的専門家は社会にとって有用な存在であり,その有用性は社会の複雑化と社会生活を営む上で必要とされる情報の高度化が進むほど高まるものである。そうである以上,専門的知見を依頼者以外の者に対して提供することを怠ったことを理由として職業的専門家が法的責任を負うことは特段の事情がない限り否定されてしかるべきである。
なぜなら,職業的専門家が同人からの知見の提供を求めている者に遭遇した場合において,たとえその者が依頼者でなくとも当該職業的専門家は知見の提供をしなければならないという義務が肯定されるとすれば,知見を求める人々の側においてはわざわざ報酬を支払って依頼者となろうとする必要性が消失し,その結果として,職業的専門家の側においては安定した生活基盤の形成が困難となってしまうからである。
のみならず,職業的専門家が依頼者に提供する役務の質を向上させるためには職業的専門家と依頼者の間において高度な信頼関係が形成されることが必要であるところ,それを達成するためには職業的専門家は依頼事項に関して依頼者の同意を得ずに依頼者以外の者に対して助言することはないという行動原理が尊重されなければならず,この点からも職業的専門家が依頼者以外の者に対して知見の提供を怠ったことを理由として法的責任を負うことは否定されてしかるべきである。
3 賃貸マンションに関するメモ書き
(1)ア 賃貸マンションの経営側の視点については,土地活用のいろはHPの「土地活用でアパート経営をするべき人と失敗しない為の全知識」が参考になります。土地活用について,4つのタイプと17種類の活用方法に関する表が非常にまとまっています。
イ データとしては,株式会社LIFULL(ライフル)HPの「不動産投資」(例えば,全国の不動産投資物件を掲載している「収益物件を検索する」,賃貸用住宅の空室率を掲載している「見える賃貸住宅」)が参考になります。
(2) 健美家HPの「ワンルームに住む平均年齢91歳夫婦の滞納事件。強制執行はできるか?できないか。」には,「夫婦は娘の遺影だけを抱え、着の身着のままで部屋を後にした。残念ながら滞納額も残置物の処分費用も、家主負担しかない。」と書いてあります。
(3) 適法な転貸借関係が存在する場合,賃貸人が賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除するには,特段の事情のない限り,転借人に通知等をして賃料の代払の機会を与えなければならないものではありません(最高裁平成6年7月18日判決)。
(4)ア 家屋賃貸借契約において、一箇月分の賃料の遅滞を理由に催告なしで契約を解除することができる旨を定めた特約条項は、賃料の遅滞を理由に当該契約を解除するにあたり、催告をしなくても不合理とは認められない事情が存する場合には、催告なしで解除権を行使することが許される旨を定めた約定として有効となります(最高裁昭和43年11月21日判決)。
イ 賃貸住宅に係る賃料債務等の保証委託及び連帯保証に関する契約書中の、賃料等の不払があるときに連帯保証人が無催告にて賃貸借契約を解除することができる旨を定める条項の消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項に当たります(最高裁令和4年12月12日判決)。
(5) 令和3年6月15日,賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく賃貸住宅管理業の登録制度が開始しました。
3の2 分譲マンションに関するメモ書き
(1) 東弁リブラ2017年12月号の「マンション管理の諸問題」は,以下のテーマを扱っています。
① マンション管理の現代的課題と弁護士の関与
② マンション第三者管理について
③ マンションの被災と復興のための制度
(2) 国立国会図書館HPのレファレンス平成29年6月号に「マンション老朽化への対応に向けた課題」が載っています。
(3) オウチーノニュースに「年代別のマンショントレンド ― 設備、仕様の変化をプロが解説」が載っています。
(4)ア 管理人は超~つらいよHPに「マンション管理人とは?何者なんでしょうか?」が載っています。
イ 現代ビジネスHPに「いま日本中で急増している「マンション管理人失踪」という異常事態」(平成29年7月10日付)が載っています。
(5) マンション建替事業の施行者がマンションの建替え等の円滑化に関する法律76条3項に基づく補償金の供託義務を負う場合において、上記補償金の支払請求権に対する差押えの競合が生じたときは、上記施行者は同項及び民事執行法156条2項を根拠法条とする混合供託をしなければなりません(最高裁令和4年10月6日判決)。
3の3 宅建業者による勧誘に関する規制等
(1) 平成23年10月1日,宅建業者が,契約の締結の勧誘をするに際し,以下の行為をすることが禁止されるようになりました(国土交通省HPの「国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等)」参照)。
① 勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称,勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに,勧誘を行う行為(宅建業法施行規則16条の12第1号のハ)
② 相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為(宅建業法施行規則16条の12第1号の二)
③ 迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問する行為(宅建業法施行規則16条の12第1号のホ)
(2) 消費者トラブルネット!HPに「威迫(脅迫)で勧誘する宅建業者に対する行政処分申出書の記載例」が載っています。
(3) 宅地建物取引業者に対する知事の免許の付与ないし更新が宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない場合であっても,知事の右行為は,右業者の不正な行為により損害を被った取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たるものではありません(最高裁平成元年11月24日判決)。
3の4 地区計画,建築協定及び紳士協定
(1)ア 都市計画は都市全体の計画を定めるものであるのに対し,地区計画は地区レベルの計画を定めるものです。
イ 地区計画は以下の二つからなります(国土交通省HPの「地区のルールを決める話」参照)。
① 地区計画の方針
・ 地区の目標,将来像を示すものです。
② 地区整備計画
・ 生活道路の配置,建築物の建て方のルール等を具体的に定めるものです。
ウ 届出に係る行為が地区計画に適合していない場合,設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告されますし,適合していない事項が建築基準法68条の2に基づき条例化されている部分である場合,建築確認の審査が通りませんし(横浜市HPの「地区計画の区域内における行為の届出制度」参照)。
エ 地区計画に適合していない場合,開発行為(建築物の建築等を目的とする土地の区画形質の変更)に対する開発許可もおりません(都市計画法33条1項5号イ)。
(2)ア 建築協定(建築基準法69条ないし77条)は,住民が自主的に建築物に関する協定内容を定め,それに賛成する者全員が合意して締結するものです。
イ 建築協定書を市町村に提出し,市町村長が認可すれば,建築協定を締結した土地が売却等され,別の人が権利を取得たい場合でも,建築協定の内容が引き継がれることになります(横浜市HPの「建築協定とは」参照)。
(3) 紳士協定は,あくまでも住民同士の申し合わせ事項に過ぎないため,内容について遵守すべき拘束力はなく,強制力はありません(イクラ不動産HPの「地区計画・建築協定・紳士協定の違いについてわかりやすくまとめた」参照)。
3の5 開発行為に関するメモ書き
(1) 「土地の区画形質の変更」は,宅地造成だけでなく,道路の新設などを伴う土地区画の変更,農地から宅地への変更などを含む広い概念です(みずほ不動産販売HPの「土地の区画形質の変更」参照)。
(2) 対象の土地が農地である場合,農地転用と開発行為のいずれもが許可見込みとなることを関連部署に確認した上で,同時に申請して同時に許可を受けなければなりません(農地転用手続代行HPの「農地転用許可と開発行為許可の関係と費用」参照)。
(3) 開発行為はあくまでも「土地の区画形質の変更」であって,建物については考慮しないところ,開発許可を取得してから開発工事を完了した後に建築確認を申請することになります(わかった不動産HPの「開発許可を取得するときには、建築確認を受けなくてもよいか?」参照)。
3の6 市街地再開発事業及び土地区画整理事業に関するメモ書き
1 ①都市再開発法に基づく市街地再開発事業は,細分化された土地を共同利用し,地区を高層ビルや高層マンションに建て替える事業であるのに対し,②土地区画整理法に基づく土地区画整理事業は,バラバラになっている土地を整理して,きれいな区画をした市街地を平面的に作り直すという事業です。
2 市街地再開発事業には,土地の買収をしない権利変換方式による第1種市街地再開発事業,及び買収方式による第2種市街地再開発事業があります。
3 地価の高い都市の中心市街地には狭小な敷地に様々な権利者が存在しており,土地の持分を減らす土地区画整理事業を押し進めるのは困難でしたから,昭和36年に防災建築街区造成法及び市街地改造法が制定され,昭和44年にこれらを一つにまとめて都市再開発法が制定されました(イクラ不動産HPの「市街地再開発事業とはなにかわかりやすくまとめた」参照)。
4 令和6年2月15日時点で,公益社団法人街づくり区画整理協会は以下の図書を出版しています(同協会HPの「出版図書」参照)。
① 土地区画整理必携(令和5年度版)
② 土地区画整理事業実務標準(改訂版)-第6版-
③ 土地区画整理法逐条解釈(第10版)
④ 土地区画整理事業調査設計費積算資料(改訂版補正6刷)
⑤ 土地区画整理事業実務問答集(第4版)
⑥ 土地区画整理事業移転補償実務マニュアル(第9版)
⑦ 区画整理土地評価基準(案)(改訂版)
⑧ 土地区画整理事業・市街地再開発事業一体的施行実務ガイドマニュアル
4の1 固定資産税に関するメモ書き
(1) 総論
・ 固定資産税がかかる固定資産としては以下のものがあります(総務省HPの「固定資産税」参照)。
① 土地
・ 田,畑,住宅地,池沼(ちしょう),鉱泉地(例えば,温泉),牧場,原野等の土地です。
② 家屋
・ 住宅,お店,工場(発電所及び変電所を含む),倉庫等の建物のことです。
③ 償却資産
・ 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産のことであって,例えば,会社等が所有する構築物(例えば,広告塔及びフェンス),飛行機,船,車両,運搬具(例えば,鉄道及びトロッコ),備品(例えば,パソコン及び工具)があります。
(2) 固定資産税の計算
ア 固定資産評価額は固定資産評価基準により算出されますところ,土地及び建物については3年ごとに評価替えが行われ,償却資産については毎年評価替えが行われます。
イ(ア) 固定資産評価にもとづき,賦課期日(毎年1月1日)の資産価格を決定し,これが課税標準額となります。
(イ) 200㎡以下の住宅用地の場合,課税標準額が固定資産評価の6分の1となり,200㎡を超える住宅用地の場合,超えた部分の課税標準額が固定資産評価の3分の1となります。
ウ(ア) 固定資産課税標準額に1.4%の税率をかけたものが固定資産税額となります。
(イ) 令和4年6月31日までの間に新築された住宅が一般住宅又は長期優良住宅に該当する場合,固定資産税の税率が半分になります。
(3) パソコン等にかかる固定資産税
・ パソコン等の課税標準額の合計が150万円以上となった場合,1.4%の固定資産税が毎年,発生することになります(創業融資に強い新宿税理士事務所HPの「パソコン(PC)を買っただけで固定資産税がかかる!新宿の税理士が解説」参照)。
(4) その他
・ 真実は不動産の所有者でない者が,登記簿上その所有者として登記されているために,右不動産に対する固定資産税を課せられ,これを納付した場合には,右所有名義人は,真の所有者に対し,不当利得として,右納付税額に相当する金員の返還を請求することができます(最高裁昭和47年1月25日判決)。
・ 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回る場合には,上記価格の決定は違法となります(最高裁平成15年6月26日判決)。
・ 家屋の評価の誤りに基づきある年度の固定資産税及び都市計画税の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間は,当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行します(最高裁令和2年3月24日判決)。
4の2 固定資産評価証明書の閲覧
(1) 平成15年4月1日以降,借地人及び借家人は,地方税法382条の3・地方税法施行令52条の15に基づき,本人確認資料のほか,賃貸借関係を証明できる書類(例えば,賃貸借契約書及び賃料の領収書等の原本)を持参すれば,固定資産評価証明書を取得できますし,固定資産課税台帳を閲覧できます(東京都主税局HPの「証明・閲覧」,大阪市HPの「法人の請求や代理人が請求される場合」参照)。
(2) 平成13年当時の固定資産税における情報開示については,「地方税における資産課税のあり方に関する調査研究中間報告書」(平成13年10月作成)が詳しいです。
5 家賃保証
(1) いわゆる家賃保証には,入居者向けのものとして①入居者の滞納保証があり,賃貸物件オーナー向けのものとして②サブリース及び③空室保証があります(一般社団法人全国賃貸経営補償機構(全賃機構)HPの「家賃保証とサブリース,空室保証の違いは?」参照)。
(2) 平成29年10月25日,家賃債務保証の業務の適正化を図るために,国土交通省の告示による家賃債務保証業者の登録制度が開始しました(国土交通省HPの「家賃債務保証業者登録制度」参照)。
(3) ライフルホームズプレスHPに「家賃債務保証業者登録制度が2017年10月スタート。その登録基準やルールは?」が載っています。
6 住宅セーフティネット制度
・ 平成29年4月に公布された住宅セーフティネット法(正式名称は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 」です。)の改正法が同年10月25日に施行され,高齢者,低額所得者,子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度など,民間賃貸住宅や空き家を活用した「新たな住宅セーフティネット制度」が本格的に始まりました(国土交通省HPの「住宅セーフティネット制度について」参照)。
7 引越しに関するメモ書き
(1) 引越ライフHPに「初めての引越しでも迷わない|引越し完了までの手順を9ステップで解説!」が載っています。
(2) おいくらHPに「おいくら買取価格相場」が載っています。
(3) 白物家電ブログに「値引きのコツ」一覧が載っています。
(4) 一人暮らしでピザ,弁当,寿司,カレー等の出前を取る場合,出前館,楽天デリバリー等が便利です。
7の2 オフィスに関するメモ書き
(1) IBOSHOに「オフィスにおいての適度な一人当たり面積とは?業種による違いも紹介」が載っています。
(2) 法律事務所開業・移転NAVIの「坪数で見る」によれば,法律事務所レイアウトイメージとして,ネット面積10坪で弁護士1名・事務員1名・面談室1室であり,ネット面積15坪で弁護士2名・事務員2名・面談室1室であり,ネット面積25坪で弁護士3名・事務員2名・面談室2室であり,ネット面積27坪で弁護士4名・事務員2名・面談室3室となっています。
(3) 全国住宅産業協会HPに「賃貸住宅における「共益費」のあり方に関する研究 報告書」が載っていますところ,同報告書によると「共益費(※)として収受している項目」,つまり,共益費の使い道で多いものは以下のとおりです(suumoの「賃貸の管理費・共益費って何に使われてるの?消費税はかかる?」参照)。
・共用電気料 78%
・共用灯保守・交換料 69%
・共用水道料 64%
・ゴミ置場清掃費 57%
・定期清掃費 56%
(4) ビルオーナーが賃料以外に請求できる費用としては,水道光熱費,清掃費,ゴミの処理費,設備使用料(例えば,付帯看板及び駐車場の使用料),消火器点検費及び空調設備の時間外使用費があります(タイズホームHPの「『ビルオーナーが賃料以外に請求できる費用について』」参照)。
(5) 大家の味方HPに不動産投資・空室対策・リフォーム・火災保険・法人保険・バイク駐車場・トランクルーム・節税・家族信託・相続対策のことが書いてあります。
7の3 公衆浴場に関するメモ書き
(1)ア 公衆浴場法2条2項後段の,「公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠くと認められる場合には、都道府県知事は公衆浴場の経営を許可しないことができる」旨の規定は,憲法22条に違反しません(最高裁平成元年3月7日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和30年1月26日判決,最高裁昭和32年6月25日判決,最高裁昭和35年2月11日判決,最高裁昭和37年1月19日判決,最高裁昭和41年6月16日判決,最高裁昭和47年5月19日判決参照)。
イ 刑事事件に関する最高裁平成元年1月20日判決も公衆浴場法2条2項は憲法22条1項に違反しないと判示しています。
(2) 衆議院議員初鹿明博君提出入れ墨がある人の公衆浴場での入浴に関する質問に対する答弁書(平成29年2月21日付)は以下のとおりです。
御質問は、入れ墨がある者(以下「対象者」という。)が入れ墨があることのみをもって、公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)第四条に規定する伝染性の疾病にかかっている者と認められる者(以下「り患者」という。)に該当するか否か、又は入れ墨があることのみをもって、対象者による公衆浴場における入浴が同法第五条第一項に規定する浴槽内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼすおそれのある行為に該当するか否かというものであると考えるところ、入れ墨があることのみをもって、対象者がり患者に該当し、又は当該入浴が当該行為に該当すると解することは困難である。
8 立退料に関するメモ書き
(1) 賃貸管理を増やすHPの「オーナーの7つのリスク 立ち退き料編」によれば,賃貸人の7つのリスクは,①空室,②値下がり,③未回収損の発生,④運営費の増加,⑤天災地変への遭遇,⑥事件に巻き込まれる,⑦高額の立退料(家賃の10か月分ぐらい。)となっています。
(2) 立退料の内訳は,住居用の場合と事業用の場合とで異なります(いえらぶCLOUDの「老朽化した建物の修繕だけど、立退料を支払う必要はあるの?」(2019年5月22日付))。
(3) ベリーベスト法律事務所の法律情報サイトであるリーガルモールに「不動産の立退きにあたって押さえておくべき8つの知識」が載っています。
8の2 抵当権に基づく妨害排除請求
(1) 第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができます(最高裁大法廷平成11年11月24日判決)。
(2) 抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても,抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり,その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができます(最高裁平成17年3月10日判決)。
(3) 弁護士法人白濱法律事務所HPの「抵当権に基づく妨害排除請求」には「売却のための保全処分(民事執行法第188条、同法第55条1項)を利用すれば、判決によらず簡易な手続で済む上、執行官保管の命令を受ければ抵当権者で抵当不動産を管理する必要はありません。」と書いてあります。
8の3 競売不動産価格維持のための保全処分
・ 不動産が差し押えられても,執行債務者は所有者としてそれを使用・収益することができる(民事執行法46条2項参照)ものの,債権者が差押えにより把握した交換価値は基本的に維持されなければなりませんから。競売不動産価格維持のための保全処分としては以下のものがあります(関西大学法学部名誉教授・栗田隆HPの「2006年度民事執行・保全法講義」参照)。
(競売開始決定前)
① 担保不動産競売の開始決定前の保全処分(民事執行法187条)
(競売開始決定後)
② 売却のための保全処分(民事執行法55条及び55条の2)
③ 買受の申出をした差押債権者のための保全処分(民事執行法68条の2)
(最高価買受申出人の選定後)
④ 最高価買受申出人等のための保全処分(民事執行法77条)
9 住宅ローンに関するメモ書き
(1) ナビナビHPに「住宅ローンの特典を9行の金融機関で比較!あなたにぴったりのサービスが見つかる」が載っています(取り上げられている金融機関は,auじぶん銀行,新生銀行,ARUHI(アルヒ),住信SBIネット銀行,ソニー銀行,イオン銀行,三菱UFJ銀行,みずほ銀行及び三井住友信託銀行です。)。
(2) 出産時1年間の金利優遇があるのは三菱UFJ銀行及び三井住友信託銀行だけです。
10 表題登記及び所有権保存登記に関するメモ書き
(1) 住宅用家屋として登録免許税の軽減措置を受けるために必要となる住宅用家屋証明書は,建物表題登記を行った後に市町村の役所で入手できますところ,発行にかかる手数料は1300円です(いえーる住宅研究所HPの「所有権保存登記とは|費用・必要書類、自分で申請する方法も徹底解説」参照)。
(2) 土地家屋調査士事務所ランドテックHPに「建物の表示に関する登記の所有権証明書(具体例)」が載っています。
(3)ア 自分で登記.comに「不動産登記費用の相場について教えてください。」が載っています。
イ 土地家屋調査士の費用は,①調査業務,②測量業務,③申請手続及び④書類作成業務からなります(土地家屋調査士法3条1項のほか,土地家屋調査士法人えん公式ブログの「建物表題登記の費用はどれくらいかかるの?専門家への依頼でお得に」参照)。
(4) 工事請負業者(ハウスメーカー),売主業者によっては,代金の支払いを受けなければ,表題登記に必要な工事完了引渡証明書を出さないという業者もあり,その場合には,金融機関が,建物登記が完了するまでの間(2週間程度)抵当権設定登記を申請できない状態のリスクを負うことになります(土地家屋調査士法人えん公式ブログの「新築一戸建の建物表題登記の申請できるタイミングについてまとめ」参照)。
11 旧住所登記と新住所登記
(1) 現在住んでいる物件の住所で登記する場合を「旧住所登記」,購入する物件の住所で登記する場合を「新住所登記」といいますところ,
旧住所登記の場合,メリットは「残金決済までの手続が比較的楽」であり,デメリットは①後で住所変更登記が必要になること,②住宅用家屋証明書の必要書類が多くなること,及び③銀行への住民票の提出が再度必要になることであり,
新住所登記の場合,メリットは「残金決済後の手続が比較的楽」であり,デメリットは①嘘をつくことになること,②役所からの書類が届かない可能性があること,及び③時間の余裕がないです(マイホーム登記情報館HPの「旧住所!?新住所!?マイホーム購入の際の登記の住所について徹底解説!」参照)。
(2) あべんちのマイホームブログの「新築⇒引き渡し前の住所変更【タイミングと注意点】」には,建物表題登記を住所変更前の「旧住所」で行っていい理由として以下の記載があるほか,役所からの確認書類を受領できるようにするため,氏名及び住所を表記した簡易的なポストを必ず設置しておきましょうと書いてあります。
建物表題登記には所有者の住所や氏名も記載されます。
旧住所で登記した場合でも引渡時の所有権保存登記で「新旧の移動がわかる住民票」を添付して登記することで書き換えられる仕組みだからです。
(3) ゆめ部長の真っ直ぐ不動産仲介HPの「新住所登記・旧住所登記をわかりやすく解説!」には以下の記載があります。
新築一戸建てを購入した場合、表題部は「旧住所」で登記を行い、権利部(甲区・乙区)は「新住所」で行うことが多いです。理由は、日程がカツカツになること・表題部は売却時に住所変更が必要ないことの2つです。新住所登記をしても、表題部には昔住んでいた住所が残ってしまうため、もし「○○社宅」という名称を残したくない場合は不動産屋さんに相談してみてください。
(4) 住宅ローン控除のため耐震補強工事を行う場合,入居開始までに改修工事を実施し耐震基準適合証明書を取得する必要があるりますところ,新住所登記をしてしまうとこの制度の対象外となりますから,住宅ローン控除は受けられなくなります(不動産売買の説明書HPの「新住所登記と旧住所登記のメリット・デメリットをプロがわかりやすく解説!」参照)。
12 安心R住宅制度
・ 平成29年12月1日,既存住宅の流通促進に向けて,「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し,「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できる環境の整備を図るため,国土交通省の告示による「安心R住宅」制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)が開始しました(国土交通省HPの「安心R住宅」参照)。
12の2 S造,RC造,SRC造及び木造
(1) RENOSYマガジンの「RC造、S造、SRC造、木造とは? 構造別のメリット・デメリットや選び方」には以下の記載があります。
建物の構造は、大きく分けると、S造(鉄骨造)、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、木造の4種類があります。それぞれ「えす(ぞう)」「あーるしー(ぞう)」「えすあーるしー(ぞう)」「もくぞう」とよびます。
簡単にそれぞれの特徴を以下に説明します。
・ S造:軽くて柔らかい。大空間に向いている。
・ RC造:重くて硬い。耐火性、耐久性、遮音性に優れている。
・ SRC造:SとRC両方の特徴を持つ。建設コストは髙い
・ 木造:小さい建物に向いている。小規模であればS造、RC造と比べて建設コストは安い
(2) 公益社団法人日本建築士会連合会HPの「知ってほしい建築を支える専門工事業 第3回 鉄筋工事業」に「RCとは Reinforced Concreteの略で、直訳すると「補強された
コンクリート」です。」と書いてあります。
13 サブリース
(1)ア サブリースについては,独立行政法人国民生活センターHPの「不動産サブリース問題の現状」(建築提携型サブリース及び購入勧誘型サブリースがあります。),不動産投資ユニバーシティHPの「収益物件のサブリースは全く意味がない」が参考になります。
イ ドットHPの「古賀茂明「業者から紹介料を取り、アパート融資で顧客をカモる悪徳銀行」」によれば,賃貸アパート向けの融資で,一部の大手地銀が顧客を建築業者に紹介する見返りに手数料(アパート建築請負金額の0.5%~3%)を受け取っているそうです。
(2) 物件を管理会社に委託する場合の管理委託契約の形態としては,①一般管理契約(「管理受託契約」ともいいます。)及び②一括借上管理契約(=サブリース契約)があります(リプロスHPの「Q&A」,国民生活センターHPの「不動産サブリースのしくみ-管理・原契約を中心に-」参照)。
(3) 日弁連は,平成30年2月15日,サブリースを前提とするアパート等の建設勧誘の際の規制強化を求める意見書を取りまとめました。
(4) 国土交通省HPの「『サブリース住宅原賃貸借標準契約書』について」に,サブリース住宅原賃貸借標準契約書が載っています。
(5) 金融庁HPに「アパート等のサブリースに関連する注意喚起について」(平成30年10月26日付)が載っています。
(6)ア 令和2年12月15日以降,サブリースに関しては,賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく規制がなされています。
イ 国土交通省HPに「賃貸住宅管理業法ポータルサイト」が載っています。
13の2 スルガ銀行・シェアハウス事件の被害者救済スキーム
(1)ア NBL 1178号(2020年9月15日付)に「スルガ銀行・シェアハウス事件の被害者救済スキーム 全面解決への経緯報告<レポート>」(筆者はさくら共同法律事務所の河合弘之弁護士(スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団団長)です。)が載っていますところ,これによれば,令和2年3月25日,スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団はスルガ銀行との間で,以下の和解をしたそうです。
① スルガ銀行から融資を受けてシェアハウスを購入した者は当該不動産を手放す。
② スルガ銀行は全ての貸付債権を消滅させる。
イ NBL 1178号・61頁には,債務免除益課税を回避したスキームとして以下の記載があります。
スルガ銀行第二次弁護団は国税庁と多数回交渉した。その結果出た結論は、
① スルガ銀行は異常に高額な不動産を購入させるという不法行為を被害者に対してした。その損害額は融資額と当該シェアハウスの時価である。(山中注:「時価」ではなく,「時価の差額」と思います。)
② その損害賠償債務と借入金残債務を相殺する。
③ その結果残る債務(当該シェアハウス時価と同額)と当該シェアハウスを代物弁済とする。
というスキームであった。
上記スキームの①と②は「損害賠償については課税しない」という課税実務上の原則を利用したものである。③の代物弁済は等価交換だから免除益は発生しない。
国税庁は本件事件において被害者は気の毒なので課税はできない、しかし、従来の課税の実務や法令解釈は変えるわけにはいかない、ということで苦肉の策を講じてくれたのだ。
ウ 所得税法9条1項17号は,「損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの」を非課税所得としています。
(2)ア 現代ビジネスHPに「スルガ銀行「かぼちゃの馬車」事件、借金帳消しは甘すぎやしないか」(2020年4月5日付)が載っています。
イ 証券取引法42条の2第1項3号が,平成3年法律第96号による同法の改正前に締結された損失保証や特別の利益の提供を内容とする契約に基づいてその履行を請求する場合を含め,顧客等に対する損失補てんや利益追加のための財産上の利益の提供を禁止していることは,憲法29条に違反しません(最高裁平成15年4月18日判決)。
14 廃棄物処理法に関するメモ書き
(1) 総論
・ 廃棄物処理法は,正式名称を廃棄物の処理及び清掃に関する法律といい,廃棄物の排出を抑制しつつ,発生した廃棄物をリサイクル等の適正な処理を行うことで,人々の生活環境を守ることを目的に作られました(e-reverse.comの「廃棄物処理法とは|概要・罰則についてわかりやすく解説」参照)。
(2) 自分の土地への産業廃棄物の投棄は禁止されていること
・ 株式会社山本清掃HPの「自分の土地に産業廃棄物は捨てていいのか?」には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
平成9年まで、設置許可が必要な処理場は管理型で1,000㎡以上、安定型で3,000㎡以上と定められていました。
処理基準を満たす必要はあったものの、1,000㎡未満なら設置許可がない土地でも埋め立てすることは合法でした。
ところが行政の目が行き届かず、不法投棄する行為が増加したため、以下の法律によって現在は規制されています。
・法第15条:産業廃棄物の最終処分場を設置する場合、設置前に都道府県知事の許可を受けなければいけない
・法第16条:何人も、正当な理由なく廃棄物を捨ててはいけない
上記の法律によって、自分の土地でも許可が必要となり、たとえ小さな埋立地でも投棄することは違反です。また、埋めずに放置するだけの場合でも「廃棄した」と判断され、不法投棄となるため要注意です。
(3) 地中埋設物としての産業廃棄物
ア MIZUNO HPの「【話題の埋立廃棄物】意外と多い!購入した土地から“廃棄物交じり土“が出てくる」には以下の記載があります。
「土地を掘り返したら廃棄物が出てきた」と聞けば、過去に不法投棄があったのか?と考えてしまいますね。確かに、不法投棄の現場を掘り起こすという可能性もなくはないでしょう。しかし、もっと高確率で遭遇するのは法整備前には合法だった“埋立現場”です。
どういうことかと言いますと、廃棄物を埋め立てる最終処分場を設置する場合には、どんなに小さくてでも設置許可を必要とします。しかしこれは、平成9年に廃棄物処理法が改正されてからのルールです。意外と最近のことです。
実は改正前は、安定型処分場で3000㎡以上、管理型処分場で1000㎡以上が設置許可の対象でした。裏を返せば、これ以下の規模だったら、許可が要らないため、勝手に埋立が出来てしまったのです。
イ 素人さんの為の不動産学校ブログの「地中に産廃が埋設されている土地の売買(No. 2543)」には以下の記載があります。
昭和の時代は、当たり前に、田んぼにゴミやガラなどを埋めて土をかぶせてあるような土地が多く・・・。
今回は、農地ですが・・・、昭和40年代~60年代ぐらいに埋め立てがされた雑種地などは、半分以上の確率で、コンクリートガラや、アスファルト、瓦、木材、外壁材、石など、何らか埋まっている土地です。
ウ 地中埋設物の調査方法としては,地歴調査,地中レーダー調査及びボーリング調査があります(スマイティHPの「地中埋設物がある土地の売却でトラブルに?調査方法や撤去費用について解説」参照)。
(3) 廃棄物処理法に関する判例
ア 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令2条4号にいう「不要物」とは,自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要となった物をいい,これに該当するか否かは,その物の性状,排出の状況,通常の取扱い形態,取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決することとなっています(最高裁平成11年3月10日決定)。
イ 工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たります(最高裁平成18年2月20日決定)。
ウ 一般廃棄物収集運搬行の許可を受けた業者が,一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を,一般廃棄物と装って市のし尿処理施設の受入口から投入した行為は,その混合物全量について,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たります(最高裁平成18年2月28日決定)。
エ 最高裁平成26年7月29日判決は,産業廃棄物の最終処分場の周辺住民が産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物処分業の許可処分の無効確認訴訟並びに上記各処分業の許可更新処分の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例です。
(4) 残置物の処理等に関するモデル契約条項
・ 国土交通省HPの「残置物の処理等に関するモデル契約条項」には以下の記載があります。
近時、高齢者の単身世帯が増加している中、民間賃貸住宅等においては、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が死亡した際の賃貸借契約の解除や居室内に残された動産(残置物)の処理への不安感から、高齢者の入居の申込みを賃貸人が拒否することがあります。
このような不安感を払拭し、単身の高齢者の居住の安定確保を図る観点から、単身の高齢者が死亡した際に契約関係及び残置物を円滑に処理できるように、今般、国土交通省及び法務省において、賃借人と受任者との間で締結する賃貸借契約の解除及び残置物の処理を内容とした死後事務委任契約等に係る「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しました。
モデル契約条項は、その使用が法令で義務づけられているものではありませんが、モデル契約条項を利用することにより、合理的な死後事務委任契約等が締結され、ひいては、単身の高齢者の居住の安定確保が図られることを期待し、広く普及に努めています。
(5) その他
・ 大阪市HPに「品目別収集区分一覧表(50音順)」が載っています。
14の2 家電リサイクル等に関するメモ書き
(1) 平成25年4月1日に小型家電リサイクル法が施行され,一部の家電量販店などでもパソコンの回収を行うようになりました(パソコン3R推進協会HPの「小型家電リサイクル法によるパソコンの回収」参照)。
(2) リネットジャパンHPに「パソコンのデータ消去について」及び「携帯電話・スマートフォンのデータ消去について」が載っていますところ,同社の「おまかせ安心データ消去サービス」を利用すれば,1台3300円でデータを消去してくれるみたいです。
(3) 株式会社オーミヤHPの「RoHS指令(ローズ指令)とは?誰でも分かるRoHS【2022年最新版】」には以下の記載があります。
RoHSとは「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称。
日本語で直訳すると、Restriction of the use of certain = 「使用制限」。Hazardous Substances = 「有害な物質」。In elextrical and electronic equipment = 「電気・電子機器の中の」となり、「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限」のこととなります。
翻訳からもわかる通り、日本で考えられたものではないため、日本と同等に適切な処分、リサイクルが進んでいれば、そこまで厳しい制限が必要かという物質の制限も多く見られます。
15 農地法に関するメモ書き
(1) 農地転用許可制度の合憲性
・ 農地法4条1項は,農地を農地以外のものにするには,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならないとし,農地法5条1項は,農地以外のものにするため農地について権利を設定し,移転するには,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならないとしていますところ,これらの定めは憲法29条に違反しません(最高裁平成14年4月5日判決)。
(2) 農地の売買
ア 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を付したものということはできません(最高裁昭和42年10月27日判決(判例秘書に掲載)。なお,先例として,最高裁昭和36年5月26日判決)。
イ 農地法の趣旨は,耕作者の地位の安定や農業生産の増大を図るという点にあり,これに違反することが直ちに公序良俗に反するとまではいえない上,農地法が適用されるのは農地であり,農地であるか否かはその土地の現況によって判断されるところ,農地の売買契約締結後に当該土地が非農地化した場合,農地法所定の許可なくして所有権移転の効力が生ずる可能性があります(最高裁令和4年4月18日判決。なお,先例として,最高裁昭和42年10月27日判決(判例秘書に掲載),最高裁昭和44年10月31日判決(判例秘書に掲載)及び最高裁昭和52年2月17日判決)。
(3) 地目変更
・ Earthcomの「農地転用と地目変更の違いは?それぞれの内容と関係性、方法も詳しく!」には以下の記載があります。
地目を変更するためには、地目を変更してから1ヶ月以内に地目変更登記をする必要があります。
地目変更登記は、農地転用許可を経て、必要書類を添付して法務局で地目変更の手続きを行います。
農地転用許可が済んでいなければ地目変更登記はできません。
(4) その他
・ 農林水産省HPに「農地制度」,及び「スマート農業の展開について」(2021年9月の農林水産省の文書)が載っています。
・ アンモニア製品は窒素質肥料となったり,工業用に用いられたりしています(日本肥料アンモニア協会HPの「アンモニアのご紹介」参照)。
・ JA静岡経済連HPの「田んぼのしくみ」には「田んぼの下の土壌は、『作土層(さくどそう)』『鋤床層(すきどこそう)』に分けられます。『作土層』は稲を植えるために耕された土で、その下の『鋤床層』は土をつき固めて作られた、水を通しにくい層で水を貯める働きをします。」と書いてあります。
15の2 市街化調整区域に関するメモ書き
(1) 分家住宅というのは,原則として建築物の建築が禁じられている市街化調整区域において,線引きの日前から引き続き現在に至るまで生活の本拠を構えている本家から世帯が分かれて,分家としての世帯が新たに必要とする住宅のことをいいますところ,「世帯構成員の住宅」ともいいます(福岡市HPの「分家住宅とは何か。(都市計画法第34条第12号)」参照)。
(2) 不動産SHOPナカジツHPの「市街化調整区域で建築許可がほしい!おさえておきたいポイントとは」には「市街化調整区域に既にある中古の住宅、つまり既存宅地を購入し、建て替え、リノベーションを行う際にも注意が必要です。既に建物が建っているからといって、建て替えを行う場合に許可を受けなければならないのです。」と書いてあります。
16 私力の行使及び刃物携帯の禁止
(1) 私力の行使
ア 私力の行使は,原則として法の禁止するところであるものの,法律に定める手続によったのでは,権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ,その必要の限度を超えない範囲内で,例外的に許されるに過ぎません(最高裁昭和40年12月7日判決)。
イ ヤフーニュースに「横浜地裁に放置駐車してレッカー移動された車が話題 私有地だとどうなる?」が載っています。
(2) 刃物携帯の禁止
ア 銃刀法22条本文は「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。」と定めています。
イ 鹿児島県警察HPの「正当な理由なく刃物を携帯するのはやめましょう」には「正当な理由なく刃物を携帯するのはやめましょう」として以下の記載があります。
銃砲刀剣類所持等取締法では,刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物について「何人も,業務その他正当な理由による場合を除いては,これを携帯してはならない」と定めています。
ただし,刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ又は折りたたみ式のナイフ等で,刃体の先端部が著しく鋭くなく,かつ,刃が鋭利でないもの等は除かれます。
【業務その他正当な理由による場合】
業務~調理人が仕事へ行くため包丁を持って行く場合など
正当な理由~社会通念上,その刃物を携帯することが当然に認められる場合であり,購入して自宅に持ち帰る場合など
イ(ア) 「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」は拘留又は科料に処せられます(軽犯罪法1条2号)。
(イ) 軽犯罪法1条2号にいう「正当な理由」があるとは,同号所定の器具を隠して携帯することが,職務上又は日常生活上の必要性から,社会通念上,相当と認められる場合をいい,これに該当するか否かは,当該器具の用途や形状・性能,隠匿携帯した者の職業や日常生活との関係,隠匿携帯の日時・場所,態様及び周囲の状況等の客観的要素と,隠匿携帯の動機,目的,認識等の主観的要素とを総合的に勘案して判断すべきである(最高裁平成21年3月26日判決)。
17 耐震基準等に関するメモ書き
(1) 昭和46年の建築基準法改正により,排煙設備,非常用の照明装置及び非常用の進入口等の設置が義務化され,昭和56年の建築基準法改正により新耐震基準が導入されました(住宅サポート建築研究所HPの「建築基準法の変遷」参照)。
(2) 非常用侵入口は,火事などの災害時に,外部から消防隊が進入するための開口部やバルコニー(足場)などの総称であって,建築基準法施行令126条の6で定められています(確認申請ナビの「『非常用進入口』とは|建築基準法における設置基準・免除方法を解説」参照)。
(3) 最高裁平成25年3月26日判決は,一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画についての建築主事による建築確認が国家賠償法1条1項の適用上違法となるとはいえないとされた事例です。
(4) 民法717条1項に基づく土地の工作物の設置又は保存の瑕疵とは,当該工作物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます(最高裁平成25年7月12日判決)。
18 排水管に関するメモ書き
(1) モノタロウHPに「6-6 配管工事トラブルクレーム:給排水衛生設備編」が載っています。
(2) 水道修理のせーフリーHPに「汚水桝とは何?仕組み・構造や排水桝との違い・掃除方法を紹介!」が載っています。
(3) HLS水道サービスHPに「排水管・下水管のつまりと溢れの原因と修理」が載っています。
18の2 下水道に関するメモ書き
(1) 合流式下水道は,汚水と雨水を一本の管渠で集水するため,汚水排除と雨水排除を早く経済的に実施できるため,古くから下水道整備を進めてきた大都市を中心に採用されてきたのであって,大阪市の場合,市域の97%が合流式下水道で整備されています(大阪市HPの「大阪市公共下水道事業 (合流式下水道改善事業)」参照)。
(2)ア 厨房から出る排水に含まれる油やゴミ(野菜くずや残飯など)を直接下水道に流してしまうと,自然環境への悪影響が考えられ,それを防止するために作られたのがグリス(油脂)トラップ(せき止め)です(アイエスジーHPの「グリストラップ(グリーストラップ)とは?」参照)。
イ 埼玉県川口市HPに「下水道に食用油やラードなどを流し続けると管が詰まります」が載っています。
19 空き家に関するメモ書き
(1) 空家等対策特別措置法は平成27年2月26日に施行されました(国土交通省HPの「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」参照)。
(2) 京都市では,令和8年1月から非居住住宅利活用促進税を導入することを検討しています(京都市情報館HPの「非居住住宅利活用促進税の導入に向けた取組について」参照)。
20 関連記事その他
(1)ア 国土交通省HPの「都市計画制度の概要」に,都市計画法制,土地利用計画制度等に関する資料が載っています。
イ 宅建業法に関する国土交通省の考え方は,国土交通省HPの「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について」に載っています。
(2) 山梨県北杜市HPに「太陽光発電システムを設置した住宅火災における消火活動の留意点について」が載っています。
(3) 二弁フロンティア2021年4月号に「建築紛争処理の実務」が載っています。
(4) 建物の借主が該建物を含む貸主所有の不動産に賦課された固定資産税等の公租公課の支払を負担するといった事実があるとしても,右負担が建物の使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特段の事情のないかぎり,当該貸借関係は使用貸借となります(最高裁昭和41年10月27日判決)。
(5) 最高裁令和5年10月16日決定は,個人として免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因と、法人の代表者として法人の業務に関し免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因との間に公訴事実の同一性が認められた事例です。
(6) 以下の記事も参照してください。
・ 家賃相場・土地価格相場等の情報
・ 借地権に関するメモ書き
・ 私道に関するメモ書き