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mintsのシステム送達と期限管理―応訴・通知メール・電子判決書・控訴期間

第1 本記事の位置付け

本記事は,システム送達を受ける旨の個別届出・包括届出及び担当訴訟代理人,送達の効力発生時期,被告側の応訴,通知メール並びに控訴期間の管理を扱う分割記事である。代理人ではなく被告本人が紙の訴状を受け取った後の対応は,mintsで被告になった本人の対応を参照されたい。

mintsの全体像と論点別の入口は,mintsに関する弁護士向けQ&Aにまとめている。

画面上のクリック,入力,アップロード,ダウンロードその他の操作手順は,mints操作マニュアル~当事者ユーザ編~の解説を参照されたい。

証拠の提出方法,証拠説明書の作成及び証拠原本の取扱いは,mints後の証拠説明書を参照されたい。

第2 送達と応訴

1 訴状等の送達方法

電子申立てされた訴状は,電磁的訴訟記録になる。送達方法は2つある(準備の手引17頁)。

(1) 出力書面による送達

原告が,記録一覧画面のデータをダウンロード・印刷して出力書面を作る。これを裁判所に提出する。被告にあらかじめ代理人が就く場合等を除き,訴状の送達はこの方法が多い(改正民訴規則第58条第1項。準備の手引17頁)。

(2) システム送達

被告にあらかじめ代理人が就く場合や,包括届出がある場合に選択されうる。被告が訴状の送達を受ける前に「システム送達を受ける旨の届出」をしている場合は,出力書面によらず,システム送達をすることができる(改正民訴法第109条の2第1項ただし書,改正民訴規則第58条第2項)。届出がある場合は,閲覧・ダウンロードが可能となる措置がとられた旨が,届け出られた電子メールアドレスに通知される(改正民訴法第109条の2第2項・第3項,改正民訴規則第45条の2)。届出義務者が届出をしていない場合の特例は,後記3のとおりである。

なお,委任を受けた訴訟代理人(改正民訴法第54条第1項ただし書の訴訟代理人を除く。)等,同法第132条の11第1項各号に掲げる者は,システム送達を受ける旨の届出をしなければならない(同条第2項)。

2 個別届出・包括届出・担当訴訟代理人

(1) 個別届出と包括届出

システム送達を受ける旨の届出には,特定の事件ごとに提出する個別届出と,改正民訴法が適用される全事件を対象とする包括届出がある。個別届出は,事件番号等を記載した書式をPDF化し,mintsの記録外領域から提出する。新規申立てフォームで「システム送達を受ける旨の届出」のトグルをオンにした入力者については,別途の個別届出書を提出する必要はない。

共同受任事件では,入力者による届出だけで他の共同訴訟代理人も届出済みとなるわけではない。各共同訴訟代理人は,事件への関連付け後,自己の個別届出を提出する。

包括届出は,mintsのアカウント設定で「システム送達包括届出設定」を「あり」とした上で,包括届出書を「添付ファイル(本人・資格確認資料以外)」から提出する。事件ごとに提出する書面ではなく,提出者が当事者として関連付けられる改正民訴法適用事件について,一括してシステム送達を受ける旨を届け出るものである。

(2) 共同受任事件の担当訴訟代理人

一つの手続で訴訟代理人が10人を超える場合は,特別の事情がある場合を除き,電子提出・閲覧等及びシステム送達を担当する訴訟代理人を10人以下に定め,裁判所に届け出なければならない(改正民訴規則第52条の13)。電子申立てフォームに当事者情報CSVを添付した入力者については,担当訴訟代理人届出書にその入力者の氏名及び当事者IDを記載すれば,入力者の個別届出を兼ねる。

担当訴訟代理人を定めることと,各共同訴訟代理人がシステム送達を受ける旨を届け出ることは別の問題である。上記の入力者に関する取扱いを除き,他の共同訴訟代理人は自己の個別届出を提出する必要がある。

(3) 最新の届出書式

令和8年8月29日確認時点で,裁判所は,①「システム送達を受ける旨の届出」②「同(包括届出)」及び③「電子情報処理組織の使用を担当する訴訟代理人の届出」を公開している。書式及び注意書きは更新されることがあるため,提出時には裁判所「民事訴訟手続のデジタル化に関する資料」から最新版を確認する必要がある。

3 誰が閲覧するとシステム送達の効力が生じるか

システム送達を受ける旨の届出がある場合は,①送達を受けるべき者が送達対象データを閲覧した時,②その者がデータを使用する電子計算機のファイルに記録した時(mints上のダウンロード),③閲覧又は記録ができる措置をとった旨の通知が発せられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に効力が生じる(改正民訴法第109条の2,第109条の3第1項)。

最高裁判所事務総局民事局の準備の手引では,本人アカウントに関連付けられた補助者が送達対象を閲覧又はダウンロードした場合も,親ユーザについてその時に送達の効力が生じると説明されている。これに対し,共同受任した別の訴訟代理人は単なる補助者ではなく,各自の個別届出が問題となる。通知メールは,事件に関連付けられた当事者及び補助者の全員に送信されるが,メールの受信自体ではなく,法定の閲覧・記録又は1週間の経過が効力発生事由である(準備の手引9頁・13頁,Q&A11頁)。

これに対し,電子申立て等の義務を負う者が届出をしていない場合でもシステム送達は可能であり,裁判所は通知を発することを要しない。この場合は,①閲覧した時,②使用する電子計算機のファイルに記録した時,③閲覧又は記録ができる措置がとられた日から1週間を経過した時のいずれか早い時に効力が生じる(改正民訴法第109条の4)。したがって,「通知メールを受信していないから送達の効力は生じない」と考えることはできない。

ただし,送達を受けるべき者がその責めに帰することができない事由により閲覧又は記録をすることができない期間は,この1週間に算入されない(改正民訴法第109条の3第2項)。問題となるのは閲覧又は記録をすることができなかったかどうかであり,単にメールを見落としたことや,通知メールが迷惑メールフォルダに入ったことだけで当然にこの特則が適用されるものではない。長期間にわたりmintsへサインインできない事情が見込まれる場合は,重要書面の送達前に裁判所へ相談する必要がある(準備の手引19頁)。

通知先として届け出た連絡先を変更又は解約するときは,速やかに新たな連絡先を届け出る。補助者が閲覧又はダウンロードした場合も送達の効力が生じるため,担当者間で閲覧時刻,対象ファイル及び期限計算の引継ぎを記録しておくのが安全である。

相手方が訴え取下書の送達を受けた場合の2週間のみなし同意と取下げの効力発生時期は,mintsで訴えを取り下げる方法で説明している。

4 被告代理人の応訴

(1) 招待キーによる事件へのアクセス

被告代理人は,招待キーを使って事件にアクセスする。招待キーは12桁の半角英数字である。裁判所が,被告への送達書類に招待キーを同封する。又はFAX・電子メールで交付する(以上,準備の手引20頁・21頁)。
招待キーには有効期限がある。招待メールに記載して交付されたものは発行日から7日間,書面に記載して交付されたものは発行日から50日間である。
一度使用したキーは再使用できない。有効期限が迫っている場合は,速やかに関連付けの操作をしたい(Q&A12頁)。

(2) 委任状及び答弁書等の提出

被告代理人は,mintsにサインインし,招待キー入力画面で入力する。これで事件情報への関連付けが完了する。
その後,記録一覧のアップロード画面から,委任状とシステム送達を受ける旨の届出(いずれもPDF)をアップロードする。続いて答弁書・証拠をアップロードする(準備の手引20頁)。
手順の詳細は,mintsで被告訴訟代理人が招待キーを使う方法で説明している。

(3) システム直送とアクセスキーの区別

被告代理人がアップロードすると,原告代理人に通知される。この通知をもってシステム直送となる(Q&A8頁,準備の手引20頁)。
なお,被告代理人が事件に関連付くための「招待キー」とは別に,文書送付嘱託の嘱託先(金融機関・医療機関等)のような第三者が一時的にファイルをアップロードするための「事件アクセスキー」(いずれも半角英数字12桁)がある。前者は「招待キー入力」画面で,後者は「事件アクセスキー入力」画面で入力するもので,目的が異なる。

第三者の利用者登録,提出区分,完了通知及び当事者への公開範囲は,mintsの事件アクセスキーによる提出方法で説明している。

5 mintsから届く自動通知メールの実際

mintsを使うと,手続の節目ごとに,送信専用アドレス([email protected])から自動通知メールが届く。届く主なものは次の8種類で,いずれも冒頭に「本メールは、民事裁判書類電子提出システム(mints)からの自動送信メールです。」とあり,宛名・事件の表示・末尾にmintsトップ画面のURL(https://www.mints.courts.go.jp/user/ )と差出部署が入る。事件の表示は,立件前は受付番号(例「〇〇地方裁判所2026-0000000」),立件後は事件番号(例「〇〇地方裁判所令和8年(ワ)第〇号」)で示される。

通知メールの種類(件名冒頭)いつ届くか来たら何をするか
新規申立てが完了しました新規申立てフォームから提出した直後立件と事件への関連付けを待つ(この時点の表示は受付番号)。特段の操作は不要。
事件当事者設定完了裁判所が立件し,申立人を当事者に関連付けたとき受付番号が正式な事件番号に変わる。サインインし,記録一覧に訴状・証拠・証拠説明書をアップロードする。
ファイルのアップロードが完了しました自分がファイルをアップロードしたとき提出できたことの控え。特段の操作は不要(ファイル名は載らない)。
手数料納付情報が登録されました裁判所が手数料額を確定・登録したとき手数料納付情報一覧でペイジーの収納機関番号・納付番号・確認番号を確認し,速やかに納付する。
裁判所がファイルをアップロードしました裁判所が訴状・呼出状・決定等をアップロードしたとき(=システム送達の通知)サインインして内容を確認する。閲覧・DLしなくても,送信日から1週間の経過で送達の効力が生じる(下記の文面参照)。
ファイルが閲覧・ダウンロードされました自分・相手方・裁判所がファイルを閲覧又はDLしたとき相手方の氏名で届けば,相手方がいつ・どのファイルを見たか(送達・直送の実体)を確認できる。
ファイルが提出されました相手方がファイルを提出したときサインインして確認。改正法施行前の事件は受領書を提出する(記録外・施行後は不要。下記の文面参照)。
受領書が提出されました自分が受領書を提出したとき提出の控え。特段の操作は不要。

このうち実務上おさえておきたいのは,送達の効力に直結する「裁判所がファイルをアップロードしました」(システム送達の通知)と,受領書の要否が分岐する「ファイルが提出されました」の2つである。この2種は実際の文面を掲げておく(事件番号・氏名・ファイル名等は伏せ,本文は原文の表記のままとした)。

(1) システム送達の通知(「裁判所がファイルをアップロードしました」)

裁判所が訴状・期日呼出状・決定等の送達対象ファイルをアップロードすると届く。本文に送達の効力に関する告知が入る点が他と異なり,前記3の効力発生時期(閲覧時・ダウンロード時・通知発出日から1週間の早い時)を実際の文面で確認できる。送達対象のファイル1件ごとに1通届く。

本メールは、民事裁判書類電子提出システム(mints)からの自動送信メールです。

〔肩書〕〔氏名〕 様

〔裁判所名〕〔事件番号〕 に関するお知らせです。

裁判所がシステムにアップロードした以下のファイルについて、あなたが、閲覧・ダウンロードをすることが可能となりましたので、お知らせします。

 ファイル名  〔ファイル名(例:訴状.pdf)〕

mintsにサインインして、ファイルの内容を確認してください。

なお、本メールは、民事訴訟法第109条の2第1項本文に基づき、当該送達対象ファイルにつき、システムによる送達を行うための通知として送信するものとなります。

あなたが当該送達対象ファイルの閲覧・ダウンロードをしなくても、民事訴訟法第109条の3第1項第3号により、本メールの送信日から1週間を経過した時に、当該ファイルにつき、電磁的記録の送達の効力が生じることになりますので、ご注意ください。

mintsトップ画面

https://www.mints.courts.go.jp/user/

※ 本メールアドレスは送信専用のアドレスとなっております。

(2) 相手方が提出したときの通知(「ファイルが提出されました」)

相手方がmintsにファイル(答弁書・委任状・システム送達を受ける旨の届出等)を提出すると届く。受領書の要否が,改正法の施行前後及び記録・記録外の別で分かれる旨が明記されている。

本メールは、民事裁判書類電子提出システム(mints)からの自動送信メールです。

〔肩書〕〔氏名〕 様

〔裁判所名〕〔事件番号〕 に関するお知らせです。

〔相手方の肩書・氏名〕からファイル(〔提出ファイル名〕)が提出されました。

mintsにサインインしてファイルを確認し、改正法施行前の事件においては、受領書を提出してください。

なお、記録外の場合及び改正法施行後の事件においては受領書の提出は不要です。

mintsトップ画面

https://www.mints.courts.go.jp/user/

※ 本メールアドレスは送信専用のアドレスとなっております。


第3 電子判決書と控訴期間

1 判決のシステム送達と控訴期間の進行

電子判決書は,言渡し後速やかに事件記録に記録され,mintsによるシステム送達の措置がとられる(改正民訴法第253条第2項・第255条第1項及び第2項第2号,改正民訴規則第157条第3項)。

控訴期間は,電子判決書を閲覧した時,使用する電子計算機のファイルに記録した時(mints上のダウンロード)又は通知発出日から1週間を経過した時のいずれか早い時から進行する。準備の手引では,補助者の閲覧・ダウンロードでも親ユーザについて送達の効力が生じると説明されているため,補助者の操作によって控訴期間が進行し得る。

控訴は,電子判決書等の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない(改正民訴法第285条)。もっとも,mintsには具体的な控訴期間の末日を表示する機能がない。閲覧又はダウンロードをした者は,日時を直ちに事件担当者へ報告し,担当弁護士が送達効力発生日と控訴期間末日を計算した上で,別の担当者による再確認を行う運用が安全である(以上,準備の手引5頁・9頁,Q&A12頁)。

控訴,上告及び上告受理申立ての提出先,不変期間,理由書の期限及び手数料については,mintsで控訴・上告・上告受理申立てをする方法―提出先,不変期間,手数料及び旧法事件の区分(AI作成)を参照されたい。

2 事件情報の関連付け解除と判決書等のダウンロード

事件終了後は,事件情報と当事者アカウントの関連付けが解除される。解除後の閲覧には手数料がかかる。電子判決書や和解調書は,関連付けの解除前にダウンロードしておく。
関連付けは,①判決確定日,訴状却下命令・訴え却下判決の確定日,和解に代わる決定の確定日その他の終局事由に応じた日と,②裁判所書記官が当該事件情報に最後に電磁的記録をアップロードした日から1週間が経過した日とのいずれか遅い日以降に,速やかに解除される。単に一つの送達対象がアップロードされた日から1週間が経過すれば直ちに解除されるという意味ではない。控訴を提起すると,確定日前に控訴審へ事件情報が移管され,関連付けが解除されることがある。
特に判決事件では,事件確定日の経過前に関連付けが解除されることもあるため,電子判決書,送達報告書及び記録外領域に提供された記録事項証明は,受領後速やかにダウンロードしておきたい(以上,準備の手引36頁)。

記録一覧からの取得,ZIP・結合PDF及び未印刷物一括印刷の操作は,mintsで記録をダウンロード・印刷する方法を参照されたい。

第4 出典

e-Gov法令検索「民事訴訟法」

裁判所「民事訴訟規則」

裁判所「民事訴訟手続のデジタル化に関する資料」

最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引(令和8年6月19日修正,5G)」

裁判所「mints操作マニュアル~当事者ユーザ編~」

裁判所「mints当事者ユーザ向けQ&A」