第1 事件アクセスキーでできること
mintsの事件アクセスキーは,事件の当事者として関連付けられていない第三者が,裁判所へファイルを提出するために使う半角英数字12桁の情報である。
裁判所の公開FAQは,調査嘱託や文書送付嘱託等で,嘱託先が書面を提出する場面を利用例として挙げている(操作マニュアル86頁〔PDF89頁〕,公開FAQのPDF10頁~11頁)。
この機能を使っても,第三者が当事者の提出ファイルを閲覧・ダウンロード・印刷できるようにはならない。
反対に,第三者の提出ファイルは,裁判所があらかじめ内容を確認し,事件に関連付けられた当事者が閲覧・ダウンロードできる状態にする運用が想定されている(公式FAQの第三者提出に関する回答)。
本記事は,令和8年8月30日に確認した操作マニュアル2.3版(令和8年7月15日改訂)の86頁~91頁〔PDF89頁~94頁〕を中心に,登録から提出完了の確認までを説明するものである。
公開FAQのPDFは令和8年4月時点の回答一覧であり,その後の修正・追加を含まないため,第三者の登録・閲覧権限等は公式チャットボットの対応する回答と併せて参照している。
マニュアル全体の参照先を探す場合は,mintsマニュアルの目的別索引を参照されたい。
第2 第三者の利用者登録とキーの受領
1 利用者登録は必要だが,登録時の本人確認は不要とされる
公式FAQは,第三者ユーザにも利用者登録(サインアップ)が必要で,登録方法は当事者ユーザと同様である一方,登録時の本人確認は不要であると説明している(公開FAQのPDF11頁)。
本人確認が不要という説明は,アカウント登録,メールアドレスの確認及び二要素認証まで省略できるという意味ではない。
初めて利用する場合は,提出を求めた裁判所に第三者として利用することを伝え,登録用の招待メールと事件アクセスキーの受領方法を確認する。
招待メールを受領した後の登録操作は,次の順序で進める(操作マニュアル8頁~13頁〔PDF11頁~16頁〕)。
① mints公式トップページの「サインイン」から「今すぐサインアップ」を開く。
② 招待メールを受け取ったメールアドレスを入力し,確認コードによる確認を行う。
③ 画面の案内に従い,利用者情報,パスワード及び電話番号による二要素認証を設定する。
④ アカウント登録完了のメールとホーム画面を確認する。
会社等の第三者ユーザの事務担当者については,サインアップ後に法人商号等,法人番号,法人等連絡先及び法人等所在地を入力する説明がある(操作マニュアル13頁〔PDF16頁〕)。
一般的な登録案内は裁判所のmints概要ページにも掲載されているが,当事者向けの本人確認書類の案内を第三者へそのまま当てはめないようにする。
2 登録用の招待メールと招待キーは別のものである
登録用の招待メールはアカウントを作るための案内であり,招待キーは当事者として個別事件に関連付くための情報である。
事件アクセスキーとの違いは,文字列の長さではなく,用途と入力メニューにある(操作マニュアル84頁〔PDF87頁〕,86頁〔PDF89頁〕)。
| 比較事項 | 招待キー | 事件アクセスキー |
|---|---|---|
| 主な目的 | 当事者ユーザを個別事件に関連付ける | 関連付けられていない第三者がファイルを提出する |
| 文字列 | 半角英数字12桁 | 半角英数字12桁 |
| 入力メニュー | 招待キー入力 | 事件アクセスキー入力 |
| 当事者提出ファイルの閲覧 | 事件への関連付け後に閲覧へ進む | このキーによる第三者機能では閲覧できない |
既にアカウントを持っている場合は,キーの交付だけを理由に新しいアカウントを作るのではなく,使用するアカウントを裁判所の案内で確認する。
被告代理人が当事者として関連付く操作は,mintsで被告訴訟代理人が招待キーを使う方法で扱っている。
第3 事件アクセスキーの入力と提出区分
1 「事件アクセスキー入力」から提出画面を開く
サインイン後,左側の「事件アクセスキー入力」を開き,メール又は書面で受領したキーを入力して「送信」を押す。
キーをメールで受領した場合は,ホーム画面の「重要なお知らせ」から該当メッセージを開く方法も案内されている(操作マニュアル86頁~87頁〔PDF89頁~90頁〕)。
本記事では,ファイルを選ぶ前に,提出画面の事件番号等を提出依頼の書面やメールと照合することを勧める。
2 「その他」「記録外」の形式と合計200MBの上限
第三者用のアップロード画面には,「その他」と「記録外」のタブがある。
マニュアルに示されているファイル形式とPDFの用紙サイズは,次のとおりである(操作マニュアル87頁~88頁〔PDF90頁~91頁〕)。
| 提出区分 | ファイル形式 | PDFの用紙サイズ |
|---|---|---|
| その他 | PDF,mp3,mp4,jpeg,png | A3,A4又はその混在 |
| 記録外 | PDF,mp3,mp4,jpeg,png,Word(docx),Excel(xlsx),PowerPoint(pptx) | 制限なし |
ただし,公開FAQは,旧法適用事件の「記録」に提出できる形式をPDFに限っている。
旧法事件では上表を一律に適用せず,対象事件と裁判所の案内を確認する(公開FAQのPDF7頁)。
1回にアップロードできる容量は,合計200MBまでである。
1ファイルごとの上限ではなく,同じ回に提出するファイル全体の上限として確認する。
用紙サイズやパスワード等の点検は,mints提出用PDFの作り方も参照されたい。
3 ファイル形式だけを理由に「記録外」を選ばない
公式FAQは,「その他」を含む「記録」と「記録外」の違いを,訴訟記録として取り扱われるかどうかの違いとして説明している(公式FAQの記録・記録外に関する回答)。
したがって,Wordファイルをそのまま送れるというだけで「記録外」を選び,求められた書面提出を済ませたと判断するのは適切ではない。
本記事では,回答書,添付資料又は編集用データの提出区分が案内から分からないときは,担当書記官へ確認してから提出することを勧める。
マニュアルの操作例で「記録外」が選ばれていることは,第三者の提出物を常に記録外へ入れるという指定ではない(操作マニュアル89頁〔PDF92頁〕)。
第4 ファイルの追加から提出完了の確認まで
1 「追加」したファイルのすべてが提出される
「ファイル選択」で対象ファイルを選び,内容をプレビューで確認してから「追加」を押す。
画面下部のファイル情報一覧に入ったファイルが提出対象となるため,一覧上のファイル名,種類及び過不足を確認する(操作マニュアル87頁~89頁〔PDF90頁~92頁〕)。
複数ファイルの表示順はOSやブラウザによって変わることがある。
順序が意図と異なるときは,ファイル選択機能を使うか,1ファイルずつ追加する方法が案内されている(操作マニュアル88頁〔PDF91頁〕)。
「提出」を押すと,チェックしたものだけではなく,「追加」したファイルのすべてがアップロードされる。
誤って追加したものは,提出前にチェックを入れ,「選択したファイルを削除」で一覧から除く。
チェックが残っていると「提出」を押せないため,不要ファイルを除いた後はチェックを外して進む(操作マニュアル89頁〔PDF92頁〕)。
ここでの削除は提出前の一覧から除く操作であり,提出済みファイルの撤回や差替えではない。
2 ポップアップの後にウイルススキャンと完了通知がある
「提出」を押し,確認画面で「OK」を選ぶと,ファイルをアップロードした旨のポップアップが表示される。
その後にウイルススキャンが行われ,正常に処理が完了するとホーム画面に通知される(操作マニュアル90頁〔PDF93頁〕)。
スキャンは数分かかることがあると説明されているが,所要時間が保証されているわけではない。
本記事では,ポップアップだけで確認を終えず,ホーム画面の完了通知まで確認し,提出ファイルの控えと提出日時・対象事件・通知を対応付けて保存することを勧める。
第5 当事者への公開範囲
1 裁判所が内容を確認して閲覧可能にする運用が想定されている
公式FAQによれば,第三者の提出ファイルは,その事件に関連付けられた当事者が閲覧・ダウンロードできる。
ただし,運用上は,裁判所があらかじめ内容を確認してから当事者が閲覧・ダウンロードできる状態にすることが想定されている(公開FAQのPDF11頁,公式FAQの対応する回答)。
操作マニュアルには,関連付けられた当事者がいる場合のアップロード通知メールも説明されている(操作マニュアル90頁〔PDF93頁〕)。
しかし,通知の到着と閲覧可能になる時点が必ず同じであるとは確認できず,提出直後に必ず公開されるとも,公開まで一定の猶予があるとも断定できない。
2 「記録外」は「裁判所限り」を意味しない
操作マニュアルは,記録外一覧のファイルも,事件に関連付けられたすべての当事者ユーザが閲覧できると注意している。
公開FAQにも,特定の相手方又は裁判所だけを宛先にすることはできず,記録外を含む書面を関連当事者等が参照できるとの説明がある(操作マニュアル80頁〔PDF83頁〕,公開FAQのPDF8頁)。
第三者提出では前記1の裁判所確認の説明を併せて読む必要があるが,記録外という区分だけで当事者に非公開となるわけではない。
本記事では,秘密情報や個人情報を含む場合は,提出前に回答範囲,マスキングの要否,提出区分及び公開の取扱いを担当書記官と確認することを勧める。
第三者提出の通知メールの例には,提出者の氏名又は法人商号名とファイル名称が含まれている(操作マニュアル別紙2のメール20〔PDF103頁〕)。
本文のマスキングだけでなく,ファイル名にも不要な秘密情報を含めないよう確認したい。
第6 キーのエラー・誤提出への対応
1 招待キーの有効期限を事件アクセスキーへ転用しない
事件アクセスキーが見付からない旨のエラーについては,マニュアルが入力内容の確認を案内している(メッセージ59〔PDF108頁〕)。
入力メニュー,受領した文字列及び対象事件を確認しても進めないときは,交付した裁判所にキーの状態と対応方法を問い合わせる。
事件アクセスキーの一律の有効日数や再使用条件は,今回参照した公開資料では確認できていない。
公開FAQにある招待キーの「メール7日」「書面50日」という期限を,事件アクセスキーにも適用しないようにする(公開FAQのPDF12頁)。
2 ファイルエラーと提出後の訂正を分ける
第三者提出の操作説明は,エラーが出た場合,表示内容に従って原因となるファイルの形式等を修正し,再度アップロードするよう案内している(操作マニュアル91頁〔PDF94頁〕)。
一般的な切分けは,mintsにファイルをアップロードできない場合も参照できるが,当事者用の事件一覧の操作を第三者用画面へそのまま置き換えないようにする。
提出結果が分からない場合は,同じファイルを繰り返し送る前に,ホーム画面の通知と処理状況を確認したい。
提出後に別事件の資料,旧版又は秘密情報を送ったと気付いた場合は,提出日時,対象事件,ファイル名,区分及び通知内容を整理し,速やかに担当書記官へ連絡することが考えられる。
第三者自身による提出済みファイルの再取得・削除・差替えの具体的な手順は,今回参照した資料では確認できていない。
提出前の一覧からの削除と混同せず,訂正方法を裁判所に確認する。
提出期限が迫っているときも,エラーの解消だけを待つのではなく,その状況を伝えて提出方法を確認したい。
第7 出典・参考資料
以下はいずれも裁判所が公開するシステムの操作・運用説明であり,法令又は裁判例そのものではない。
本文の頁表示では,資料に印刷された頁とPDFビューア上の頁を区別している。
① 裁判所「民事裁判書類電子提出システム 操作マニュアル~当事者ユーザ編~」2.3版(令和8年7月15日改訂),8頁~13頁〔PDF11頁~16頁〕,80頁〔PDF83頁〕,84頁〔PDF87頁〕,86頁~91頁〔PDF89頁~94頁〕,別紙2のメール20〔PDF103頁〕,メッセージ59〔PDF108頁〕。
② 裁判所「令和8年4月時点チャットボット質問回答一覧」,PDF1頁,7頁,8頁,10頁~12頁。
③ 裁判所mints公式チャットボット(令和8年8月30日参照),事件アクセスキーの定義,第三者登録,第三者による当事者ファイル閲覧,当事者による第三者ファイル閲覧及び記録・記録外の相違の各回答。
④ 裁判所「民事裁判書類電子提出システム(mints)について」(令和8年8月30日参照),利用者登録及び操作資料への案内。