目次第1 制度の変遷とこの記事の対象第2 間接選挙と当初の任期2年制1 代議員会による会長選出2 昭和25年の任期短縮第3 直接選挙制の検討と昭和50年度からの適用1 機構改革委員会の検討2 地域の支持を当選要件に組み込むまで3 制度の適用と最初の投票の違い第4 昭和55年からの会長任期2年制1 第2次機構改革委員会の答申2 改正決議と実施日第5 昭和54年の推薦状制度廃止1 50人~70人の推薦署名と運用上の問題2 推薦依頼と選挙運動の関係第6 補欠会長の選任と任期1 昭和56年の会長交代2 現行会則の補欠選任と任期計算第7 現行の当選要件と国政選挙の判例1 全国の得票と単位弁護士会での支持2 国政選挙の一票の格差との区別3 山本庸幸裁判官の反対意見第8 関連記事第9 出典1 機関史・沿革資料2 会則・会規・正式意見書3 団体の構成についての公式説明4 裁判例
第1 制度の変遷とこの記事の対象
日弁連会長の直接選挙制は昭和50年度から適用され,現在につながる任期2年制は昭和55年4月1日から実施された。
両制度は昭和44年の機構改革案に盛り込まれたが,実現した時期は異なる。
この記事は,直接選挙制と任期2年制の導入経緯を中心に,推薦状制度の廃止及び補欠会長の任期を整理するものである。
沿革は日弁連等の機関史の該当頁に基づき,現行制度は令和8年10月4日現在で確認した会則及び会長選挙規程に基づく。
時期制度上の出来事決議と適用の区別設立当初代議員会による会長選出,役員任期2年直接選挙制の導入前昭和25年4月9日役員任期を1年に短縮当初の2年制を変更昭和49年2月23日直接選挙制の会則改正案を臨時総会で可決昭和50年度から適用昭和54年6月推薦状制度の廃止を総会で決定廃止決議の時期昭和54年6月23日会長任期2年制への会則改正を決議昭和55年4月1日から実施
第2 間接選挙と当初の任期2年制
1 代議員会による会長選出
日弁連設立当初から昭和49年度まで,会長は代議員会で選出されていた。
昭和50年度からの直接選挙制は,この選任方法を弁護士である会員による選挙へ改めたものである(『日本弁護士沿革史』351頁,『日弁連三十年』49頁~50頁)。
2 昭和25年の任期短縮
(1) 設立当初の2年制から1年制へ
設立当初の役員任期は2年であったが,昭和25年4月9日の会則改正で1年に短縮された(『日本弁護士沿革史』351頁)。
したがって,昭和55年からの会長任期2年制は,日弁連に初めて2年の任期を設けたものではない。
(2) 機関史が説明する短縮の理由
『日弁連二十年』は,任期短縮の理由として,会長職の負担と,任期1年の単位弁護士会会長との任期の不一致を説明している(62頁)。
後の任期延長を理解する際にも,会務の継続性だけでなく,会長の負担及び他の役員との任期の関係が検討されていたことが分かる。
第3 直接選挙制の検討と昭和50年度からの適用
1 機構改革委員会の検討
(1) 委員会の設置と審議の規模
昭和40年4月に日弁連機構改革委員会が設置された。
『日弁連三十年』は,臨時司法制度調査会の意見に対する反対運動を,機構改革に取り組む契機として説明している(46頁)。
検討は昭和45年7月まで続き,全体委員会18回,部会102回,全国会員へのアンケート2回及び11か所での公聴会が行われた(『日弁連三十年』46頁~47頁)。
これらは審議の規模を示す数字であり,直接選挙制への会員の賛成率を示す数字ではない。
(2) 直接選挙案と任期2年案の提起
昭和44年2月の建議には,会長の直接選挙制と任期2年制が含まれていた。
同月の理事会は改革大綱を承認して会則改正委員会を設置し,会則改正案は同年12月,選挙規程案は昭和45年9月に答申された(『日弁連三十年』47頁)。
機構改革委員会は昭和45年7月に機構改革大綱を最終答申した。
任期2年案もこの段階から検討されていたが,直接選挙制と同時には実施されなかった。
(続きを読む...)日弁連会長の直接選挙制と任期2年制-導入経緯・推薦状廃止・補欠選挙(AIリライト)