目次
第1 事前の選挙運動の禁止
1 会長選挙規程の定め
2 政策提言団体の活動の位置づけ
3 日弁連選挙管理委員会の説明
4 事前の選挙運動に該当するかもしれない事例
5 公職選挙の場合の取扱い
第2 選挙運動用ウェブサイトに対する規制
1 選挙運動用ウェブサイトに対する規制の概要
2 日弁連選挙管理委員会の説明内容
3 候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス
第3 発送する文書に対する規制
1 文書による選挙運動の量的制限
2 支持者間文書の取扱い
3 日弁連選挙管理委員会の説明内容
4 その他
第4 公開質問状に対する規制
第5 会長選挙規程55条ないし58条の条文
1 55条(選挙事務所)
2 56条(文書による選挙運動)
3 56条の2(ウェブサイトによる選挙運動)
4 56条の3(電子メールによる選挙運動)
5 57条(弁護士会等の選挙運動の禁止)
6 58条(禁止事項)
第6 選挙違反に対する警告書を日弁連ウェブサイトへ掲載する適否を判断する際の指針
第7 公職選挙における,言論による選挙運動
1 誰でもできる選挙運動
2 候補者だけができる選挙運動
第8 放送法4条1項の政治的公平の意義
第9 関連記事その他
第1 事前の選挙運動の禁止
1 会長選挙規程の定め
(1)ア 選挙運動用ウェブサイトの開設を含む選挙運動の期間は,立候補の届出が受理された時(つまり,公示日)から投票日の前日までであり(会長選挙規程53条),候補者及びその他の会員が選挙運動の期間外に選挙運動をすること(つまり,事前運動)は禁止されています(会長選挙規程58条1号)。
イ 日弁連会長選挙が再投票となった場合,最初の投票日から再投票の公示日までの間については,選挙運動をすることができません。
2 政策提言団体の活動の位置づけ
(1) 日弁連会長選挙の前年に設立される政策提言団体への賛同を呼びかける行為は,当該団体の単なる広報宣伝活動であって,特定の候補者への賛同を呼びかけているわけではないから,選挙運動には該当しないということになっていると思います。
(2) 政策提言団体の広報宣伝活動において,代表世話人が次期日弁連会長選挙に立候補する予定であるなどと書いてあることはありません。
(3) 日弁連会長選挙の場合,選挙事務所は2箇所以内に制限されている(会長選挙規程55条1項)関係で,政策提言団体は,日弁連会長選挙がある年の前年12月までに,東京及び大阪の2箇所に事務所を設置することが多いです。
3 日弁連選挙管理委員会の説明
(1) 日弁連委員会ニュース(2019年12月1日発行分)の選管ニュースには以下の記載があります。
① 日弁連人権擁護大会の会場前にて「~の会賛同のお願い」と題する文書を不特定多数の会員に配布し、その文中に「次期日弁連会長候補者として代表世話人の一人であるAを推薦しました。」との記述があった例があります。これは単なる「~の会」の広報宣伝活動とは受け取り難く、実質的選挙運動にあたる疑いがある(会規第58条第1号)として、警告が発せられました。
② 支持者や支援者向けのニュースであると銘打っても、文書内容が選挙運動にあたるものであれば、実態として支持者以外に配布されれば選挙違反になる可能性があります。
③ 選挙運動の期間は「立候補の届出が受理された時から投票日の前日」と厳格に定められています(会規第53条)。この期間外の選挙運動は認められておらず、前述の事例のとおり立候補届出前に「立候補者」、「立候補予定者」などの文言を用いることはできません。
(2) 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには以下の記載があります。
■立候補届出前に「選挙準備事務所」の設立が報道された事例
このような報道を受けて、日弁連事務局が調査に入った事例(会規第55条違反の疑い)や、事実上の「立候補表明」との報道が相次いだ際に当該会員、各弁護士会に自粛を求めた事例(会規第53条違反の疑い)などがあります。
4 事前の選挙運動に該当するかもしれない事例
(1) 吉峯康博弁護士ブログの「日弁連会長選挙(2年に1回)とは?」(平成19年12月21日投稿)には,「『事前活動』は極めて大切です。2年に1回、会員の声・意見等にその土地に出向き直接耳を傾ける大切な機会です。私は22年間『事前活動』にも関与してきました。」と書いてあります。
(2) 平成20年5月30日から平成29年3月3日までの間,日弁連会員がインターネットで選挙運動をすることが禁止されていましたところ,吉峯康博弁護士ブログには,選挙運動の期間かどうかを問わず,宇都宮健児弁護士を応援する記事がたくさん投稿されていた気がします(例えば,「チェンジ 日弁連も?なぜ、私は、日弁連会長に宇都宮健児を推すのか?」(平成21年12月25日投稿))。
(3) 北奥法律事務所HPの「次期日弁連会長(たぶん)にボロ負けした若僧が、18年後に一矢報いた?話~第1話~」(2019年6月7日付)には,「先日、次回の日弁連会長選挙に立候補を予定されている山岸良太弁護士が、選挙運動の一環として岩手弁護士会の会員を対象に行った懇談会に参加してきました。」と書いてあります。
5 公職選挙の場合の取扱い
(1) 政治活動とは,政治上の目的を持って行われる一切の活動から,選挙運動にわたる行為を除いたものをいいます(千葉県浦安市HPの「選挙運動と政治活動」参照)。
(2)ア 公職選挙法239条1号の罪の構成要件である同法129条にいう選挙運動とは,特定の選挙の施行が予測せられ或は確定的となった場合,特定の人がその選挙に立候補することが確定して居るときは固より,その立候補が予測せられるときにおいても,その選挙につきその人に当選を得しめるため投票を得若しくは得しめる目的を以て,直接または間接に必要かつ有利な周施,勧誘若しくは誘導その他諸般の行為をなすことをいいます(最高裁昭和38年10月22日決定)。
イ 選挙運動・政治活動Q&A(周南市選挙管理委員会が令和2年3月に作成した文書)には以下の記載があります。
【Q1】
事前運動とは具体的にどのようなものを指すのか。
【A1】
選挙運動期間外の選挙運動(個々面接や電話による投票依頼など)は事前運動となり、後援会などの政治活動であっても、実態として氏名普及宣伝が主たる目的と認められる行為は、事前運動となり得る。例えば、告示日直前に不特定多数に立候補予定者の氏名が記載された政治活動用ビラや名刺を頒布することや、各戸に訪問することなどは事前運動に該当する恐れがある。その行為が行われた時期、方法、内容、数量等の態様により総合的に判断することになる。
2021年12月22日 の18時30分から、及川智志先生,小林元治先生、髙中正彦先生の3名を招いて意見交換会が開催されるとのことです。弁護士であれば傍聴できるとのことですので、ご興味のある方はぜひ。https://t.co/WR98grPCDp
— 教皇ノースライム (@noooooooorth) December 17, 2021
第2 選挙運動用ウェブサイトに対する規制1 選挙運動用ウェブサイトに対する規制の概要
・ 日弁連の会長選挙施行細則43条の3に基づき,①候補者は複数の選挙運動用ウェブサイトを開設してはいけませんし(2項),②選挙運動用ウェブサイトのアドレスは会長選挙が実施される年の西暦及び自己の氏名を含むものでなければなりませんし(2項),③日弁連,裁判所,法務省その他の公的機関ウェブサイトへのリンクしか設定できませんし(4項),④投票日の前日までしか更新できませんし(5項),⑤投票日の午後12時までに閉鎖しなければなりません(6項)。
2 日弁連選挙管理委員会の説明内容
・ 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには,「ウェブサイトによる選挙運動」として以下の記載があります。
Q4 候補者が利用できるウェブサイトは。
A4 候補者は、選挙運動用フェブサイトのみ利用できます。
Q5 選挙運動用ウェブサイトは、投票日も掲載したままにしておくことが認められているが、投票日の翌日以降も掲載したままにしておいてよいか。
A5 投票日の翌日以降も掲載したままにすることはできません。再投票や再選挙が行われる場合は、その選挙運動期間開始から改めて公開することができます。
Q6 候補者以外の会員が、会員個人のウェブサイトに、選挙運動用ウェブサイトをリンク先として表示することはできるか。
A6 できます。
Q7 選挙運動用ウェブサイトとして,FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使用することや、Youtubeやニコニコ動画などの動画共有サービスや、ニコニコ動画の生放送等動画中継サイトを利用することはできるか。
A7 いずれも私設のウェブサイトに当たらないため、できません。SNSユーザー間でやりとりするメッセージ機能も、同様です。
Q8 選挙運動用ウェブサイトに動画を掲載することはできるか。動画に、候補者以外の者が登場しても良いか
A8 動画の掲載は、できます。候補者以外の者が登場する動画についても、候補者の責任において掲載することができます。ただし、YouTubeなどの動画共有サービスを掲載することはできません(限定公開設定等の場合も含みます。)。
Q9 ポスターやはがきを、選挙運動用ウェブサイトに掲載することはできるか。
A9 できます。
Q10 選挙運動用ウェブサイトのURLを記載した二次元コードを、ポスターやはがきに記載することはできるか。
A10 できます。
Q11 既存の個人や団体のウェブサイトを、公示後も引き続き、選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできるか。
A11 できません。選挙運動用ウェブサイトは、選挙運動期間内に限り開設されるものでなければいけません。
→(山中注)「◯◯を考える会」等のHPを,会長選の公示後,選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできないということです。
Q12 選挙運動用ウェブサイト上で、会員の意見を候補者に伝えることは可能か。
A12 候補者だけが読める形であれば、意見の送信は可能です。例えば、候補者を宛先とするメールのフォームが立ち上がるようにしておき、閲覧者から候補者に対して意見を送れるようにすることが考えられます。掲示板のように、他の閲覧者にも見えるような形をとることはできません。
Q13 候補者以外の会員が、FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用することは可能か。
A13 可能です。
3 候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス
(1) 候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレスは,日弁連の会員専用HPに掲載されます(日弁連の会長選挙施行細則43条の3第7項)。
(2)ア 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の場合,候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス(届出順です。)は以下のとおりであって,2020及び自己の氏名が含まれていました。
武内更一候補:takeuchikouichi2020.com
及川智志候補:oikawasatoshi2020.com
荒 中候補:2020aratadashi.com
山岸良太候補:2020yamagishi-ryota.jp
川上明彦候補:kawakami-akihiko2020.com
イ 令和4年度同5年度日弁連会長選挙の場合,候補者の選挙運動用ウェブサイトのアドレス(届出順です。)は以下のとおりであって,2022及び自己の氏名が含まれていました。
及川智志候補:oikawasatoshi2022.com
小林元治候補:2022kobayashimotoji.com
髙中正彦候補:2022takanakamasahiko.jp
第3 発送する文書に対する規制
1 文書による選挙運動の量的制限
(1) 文書による選挙運動は,郵便はがきの発送及びポスターの掲示に限られていましたが,令和3年6月11日の改正により,ファクシミリによる文書の送信が解禁されました(日弁連の会長選挙規程56条1項)。
(2) 郵便はがき及びファクシミリの通数の合計は有権者数の3倍以内に制限されていますし(日弁連の会長選挙規程56条2項),ファクシミリ送信を希望しない会員は送信の停止を求めることができます(日弁連の会長選挙規程56条5項)。
(3) 選挙運動用電子メールについては,本文と添付ファイルを合わせて1通当たり2MB以下にする必要があります(日弁連の会長選挙施行規則43条の3第1項)。
2 支持者間文書の取扱い
・ 文書による選挙運動に関する基準(令和元年11月の「日弁連会長選挙に関する質問と回答一覧表」24頁及び25頁に含まれている,令和元年7月11日付の日弁連選挙管理委員会の文書)には,「発送する文書について」として以下の記載があります。
(1) 支援者及び運動員同志の間で,並びにこれらの者と候補者の間で発送する文書は,選挙運動に当たらないとする。ただし,次の場合はこの限りでない。
イ 支援者又は運動員を限定せずに文書を発送する場合
ロ 「支援者間文書」等の表示をしていても実態が異なる場合及び実態と異なることが推測される場合
(2) 候補者,支援者及び運動員から,不特定多数の会員等に対して発送する文書は,それが選挙に関わるものである限り,形状及び内容を問わず選挙運動とみなす。
(3) 候補者,支援者及び運動員が不特定多数の会員に対して発送以外の方法で配布する文書は,それが選挙に関わるものである限り,形状及び内容を問わず選挙運動とみなす。
3 日弁連選挙管理委員会の説明内容
(1) 違反となる可能性がある事例
・ 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには,違反となる可能性がある事例として,以下の記載があります。
■支持者間文書を、支持者以外に広めるよう依頼した事例
支持者間文書である『A選対ニュース』に、「この選対ニュースをできるだけ多くの方々に拡げてください」と記載されていた事例に対し、警告書が発せられました。支持者や支持者向けのニュースであると銘打っていても、文書の内容が選挙運動に当たるものであり、実態としても支持者以外に配布されれば選挙違反になる可能性があります。
なお、「選挙運動」は、候補者の陣営に加わり、積極的に運動に参加している方でなくても行っているとみなされる場合がありますので注意してください。
■候補者のウェブサイトを紙に印刷して不特定の会員に配布した事例
規定どおりに設置された選挙運動用ウェブサイトであっても、プリントアウトして配布した場合には文書による選挙運動に該当します。文書による選挙運動は、郵便はがき・ファクシミリの送信及びポスターの掲示に限られます。
■候補者の選挙運動用電子メールを知り合いの会員に転送した事例
候補者からの選挙運動用電子メールを受信した会員が、知り合いの会員に転送して、「よろしく頼む」と言うことは、電子メールによる選挙運動に該当します。電子メールによる選挙運動は候補者以外には認められていません。候補者でない会員が、「A候補者のウェブサイトを見ていただきたい」と他の会員にメールを送ることも電子メールによる選挙運動に該当するおそれがあります。
(2) 文書による選挙運動に関するQ&A
・ 日弁連委員会ニュース(2021年12月1日発行分)の選管ニュースには,「文書による選挙運動」として,以下の記載があります。
Q1 郵便はがきやファクシミリを送信するにあたり、どのような手続が必要か。
A1 あらかじめ、選挙管理委員会に対して発送通数等を申告します。その際、見本を添付します。
Q2 ファクシミリの送信枚数に、制限はあるか。
A2 一通当たりA4用紙1頁とします。
Q3 ファクシミリの停止を求めたい場合は、どうすれば良いか。
A3 ファクシミリに記載された候補者又は文書責任者に対し、送信停止を求めることができます。
4 その他
・ 私は,日弁連会長選挙において,いずれかの候補者の支援者又は運動員になったことはありませんが,「支持者間連絡文書」と題する文書がFAXされてくることがあります。
第4 公開質問状に対する規制
1 候補者は,会員から送付された公開質問状に対し,口頭,文書,ウェブサイト上のいずれの方法によって回答することもできます。
2 質問者が候補者の回答を文書や電子メールで配布することは,選挙運動違反に該当するおそれがあるため不可ですが,ウェブサイトで発信することはできます。
職務基本規程改正に関する公開質問に対する回答をいただきましたので、noteで公開いたします。
リプで私の個人的感想を記します。
公聴会等でこのテーマについて議論されることを期待します。https://t.co/hNOmglnqlV— 古家野 彰平 (@shoheikoyanolaw) January 17, 2022
2020年の会長選挙の時の公開質問とその回答を公開しました。問題の所在が分かると思います。
【参考資料】2020年日弁連会長選挙の候補者に対する職務基本規程に関する公開質問とその回答|brinri #note https://t.co/5efLDBNZbE
— 古家野 彰平 (@shoheikoyanolaw) December 25, 2021
第5 会長選挙規程55条ないし58条の条文
1 55条(選挙事務所)① 候補者は、選挙運動の期間中、委員会の承認を得て二箇所以内の選挙事務所を設けることができる。② 候補者は、選挙の公正を疑わしめるような場所その他弁護士の名誉と品位を害するおそれのある場所に選挙事務所を設置してはならない。③ 委員会は、前二項の規定に違反して選挙事務所の設置があると認めるときは、直ちに当該選挙事務所の閉鎖を命ずるものとする。2 56条(文書による選挙運動)① 文書による選挙運動は、郵便はがきの発送、ファクシミリによる文書の送信及びポスターの掲示に限るものとする。
② 選挙運動のために発送する郵便はがきの枚数及びファクシミリにより送信する文書(以下「ファクシミリ送信文書」という。)の通数の合計は候補者一人につき選挙権を有する会員の数の三倍以内とし、選挙運動のために掲示するポスターの規格、枚数及び掲示場所は委員会が定める。③ 前項の郵便はがき及びファクシミリ送信文書には文書責任者の、ポスターには掲示責任者の法律事務所の所在場所又は住所及び氏名を記載し、ポスターにはあらかじめ委員会の証印を受けなければならない。④ 委員会は、前二項の規定に違反して掲示されたポスターの撤去を命ずることができる。⑤ ファクシミリ送信文書には、候補者又は文書責任者に対し送信停止を求めることができる旨を表示し、会員から送信停止を求められたときは、当該会員に対してファクシミリによる文書の送信をしてはならない。3 56条の2(ウェブサイトによる選挙運動)① 候補者は、ウェブサイトを利用する方法(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百四十二条の三第一項のウェブサイト等を利用する方法のうち、候補者以外の者が文書、図画等を掲載できないものをいう。以下同じ。)により、選挙運動をすることができる。② 候補者が選挙運動のために利用するウェブサイト(以下「選挙運動用ウェブサイト」という。)は、選挙運動の期間中に限り開設される選挙運動専用のものでなければならない。ただし、投票日の前日までに掲載されたものは、投票日においても、掲載した状態に置いたままにすることができる。③ 候補者は、選挙運動用ウェブサイトを開設するときは、選挙運動用ウェブサイトに掲載したものの記録を第五十九条に規定する期間が経過した日から三年間保存しなければならない。④ 委員会は、必要があると認めるときは、候補者に対し、前項の記録の提出を求めることができる。⑤ 選挙運動用ウェブサイトには、候補者の法律事務所の所在場所若しくは住所又は選挙事務所の所在場所及び候補者又は選挙事務所の電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。以下同じ。)を表示しなければならない。⑥ 候補者以外の会員は、次に掲げる方法により選挙運動をすることができる。一 選挙運動用ウェブサイト以外のウェブサイトに文書、図画等を掲載すること。二 選挙運動用ウェブサイト以外のウェブサイトに選挙運動用ウェブサイトをリンク先として表示すること。三 ソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用すること。4 56条の3(電子メールによる選挙運動)① 候補者は、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号に規定する電子メールをいう。以下同じ。)を利用する方法により、選挙運動をすることができる。② 候補者は、選挙運動のために利用する電子メール(以下「選挙運動用電子メール」という。)の送信先である会員から、送信停止を求められたときは、当該会員に対して選挙運動用電子メールを送信してはならない。③ 選挙運動用電子メールには、次に掲げる事項を表示しなければならない。一 選挙運動用電子メールである旨二 候補者の法律事務所の所在場所若しくは住所又は選挙事務所の所在場所三 候補者に対し、選挙運動用電子メールの送信停止を求めることができる旨
四 電子メールの送信により前号に規定する求めを行う際の送信先となる電子メールアドレス5 57条(弁護士会等の選挙運動の禁止)弁護士会及び弁護士会連合会は、会合の主催その他の選挙運動をしてはならない。6 58条(禁止事項)① 候補者及びその他の会員は、選挙運動として次に掲げる行為をし、又は会員以外の者にこれをさせてはならない。一 第五十三条に規定する期間外に選挙運動をすること。二 第五十五条の規定に違反して選挙事務所を設けること。三 第五十六条の規定に違反して文書による選挙運動をすること。四 第五十六条の二又は第五十六条の三の規定に違反してウェブサイト又は電子メールを利用する方法による選挙運動をすること。五 選挙権を有する会員の自宅又は法律事務所を戸別訪問すること。六 新聞、雑誌その他の出版物に候補者に関する記事又は広告を掲載すること。七 利益を授受し、又はその約束をすること。八 供応をし、又はこれを受けること。九 電報により投票を依頼すること。十 投票のため乗り物を提供すること。十一 候補者を誹謗し、その他不正な手段で他人の当選を妨げること。十二 選挙事務所、弁護士会館、弁護士控室又は法律事務所以外の場所において会合すること。ただし、委員会の許可を得たときは、この限りでない。十三 ウェブサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス又は電子メールを利用し、事実と異なる情報を発信すること。② 候補者及びその他の会員は、選挙運動の期間中に、会員以外の者から選挙運動費用の寄附を受けてはならない。
(・∀・)日弁連選挙における電話による選挙運動について(^ω^)
— 深澤諭史 (@fukazawas) January 13, 2020
驚かないでね?これ、いつのニュースだと思う?1990年?違う違う(笑)。2021年6月のニュースなんだぜ?
『FAXによる選挙運動を解禁 日弁連会長選』 – 弁護士ドットコムタイムズ https://t.co/Ih8t5LAwc0
— スラ弁(弁護士大西洋一) (@o2441) June 15, 2021
第6 選挙違反に対する警告書を日弁連ウェブサイトへ掲載する適否を判断する際の指針
・ 選挙違反に対する警告書を日弁連ウェブサイトへ掲載する適否を判断する際の指針(令和3年7月9日付の日弁連選挙管理委員会の文書)は以下のとおりです。
1 委員会は,次の場合に,選挙違反に対する警告書の全文を日弁連ウェブサイトの会員専用ページに掲載する。
その違反が悪質で,警告書の全文を広く選挙権を有する会員に周知することによって,選挙違反を抑止し,また警告書の実効性を確保することが適当であると委員会が判断した場合。
2 掲載する適否の判断は,委員会又は委員会の一任を受けた常任委員会において行う。
3 常任委員会における上記判断につき急速を要する場合は,常任委員会メーリングリスト,ファクシミリ等適宜の方法で意見交換することによって行う。
4 警告書の掲載期間は,当該選挙における当選者確定までとする。
第7 公職選挙における言論による選挙運動
1 誰でもできる選挙運動
(1)ア 選挙犯罪による公民権停止中でない限り,以下の行為については,選挙運動期間中に限り,誰でも自由に行うことができます(京都府HPの「自由にできる選挙運動 [選挙運動のルール ]」参照)。
① 幕間演説(まくまえんぜつ)
映画・演劇等の幕間,青年団・婦人会等の集会や,会社・工場等の休憩時間にそこに集まっている人を対象にして,選挙運動のための演説をすることです。
② 個々面接
・ デパート・電車・バスの中又は道路等でたまたま知人に会ったときなどに,その機会を利用して選挙運動をすることです。
・ 戸別に有権者の家等を訪ねて,選挙運動を行うこと(戸別訪問)は禁止されています。
③ 電話による選挙運動
・ 誰でも自由に行なえます。
イ 選挙運動期間というのは公示日から投票日の前日午後12時までですから,投票日の当日に選挙運動をすることはできません。
(2) 投票を電話により依頼する者及びそのための要員を確保して候補者の支援組織に派遣する者は,いずれも公職選挙法221条1項2号にいう「選挙運動者」に当たります(最高裁平成16年12月21日決定)。
2 候補者だけができる選挙運動
・ 候補者だけができる言論による選挙運動としては,演説会(公職選挙法161条ないし164条の3),街頭演説(公職選挙法164条の5ないし164条の7),連呼行為(公職選挙法140条の2)及び選挙運動放送(政見放送及び経歴放送)があります(高知市HPの「言論による選挙運動について」参照)。
第8 放送法4条1項の政治的公平の意義
1 政治的公平の解釈について(平成28年2月12日付の政府統一見解)の本文は以下のとおりです。
放送法第4条第1項において、放送事業者は、放送番組の編集に当たって、「政治的に公平であること」や「報道は事実をまげないですること」や「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」等を確保しなければならないとしている。
この「政治的に公平であること」の解釈は、従来から、「政治的問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであること」としており、その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の「番組全体を見て判断する」としてきたものである。この従来からの解釈については、何ら変更はない。
その際、「番組全体」を判断するとしても、「番組全体」は「一つ一つの番組の集合体」であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことである。
総務大臣の見解は、一つの番組のみでも、例えば、
① 選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合
② 国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合
といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないとの考え方を示し、その旨、回答したところである。
これは、「番組全体を見て判断する」というこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたもの。
なお、放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものであり、放送事業者が、自主的、自律的に放送法を遵守していただくものと理解している。
以上
2(1) Wikipediaの「椿事件」には「椿事件(つばきじけん)は、1993年(平成5年)に発生した全国朝日放送(愛称および現社名:テレビ朝日)による放送法違反(政治的な偏向報道)が疑われた事件である。当時、テレビ朝日の取締役報道局長であった椿貞良の日本民間放送連盟(民放連)会合での発言に端を発したことからこの名で呼ばれる。」と書いてあります。
(2) 日弁連HPに「放送法の「政治的公平性」に関する政府見解の撤回と報道の自由の保障を求める意見書」(平成28年4月14日付)が載っています。
第9 関連記事その他
1 日弁連選挙管理委員会は,選挙運動が会長選挙規程又は会長選挙施行細則に違反する疑いがあるときは,当該候補者,当該選挙責任者その他の関係人から事情を聴取し,その他選挙運動に関する調査を行うことができます(平成12年11月21日改正後の会長選挙施行細則45条)。
2(1) 選挙運動をすることができる期間を規制し事前運動を禁止することは,憲法の保障する表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であるということができるのであって,公職選挙法129条をもって憲法21条に違反するものということはできません(最高裁大法廷昭和44年4月23日判決)。
(2) 奈良地裁令和5年1月18日判決(裁判長は45期の澤田正彦)及び大阪高裁令和5年7月19日判決(担当裁判官は37期の長井秀典,38期の杉田友宏及び47期の野口卓志)は,令和3年10月の衆院選公示前に,自らへの投票を呼び掛ける文書を不特定多数の有権者(35箇所)に送ったとして,公選法違反(法定外文書頒布、事前運動)の罪に問われた日本維新の会所属の衆議院議員である前川清成(まえかわきよしげ)に対し,罰金30万円・公民権停止5年の有罪判決となりました。
3 公益社団法人東京広告協会HPに「広告法規マニュアル 選挙と広告-インターネット活用編-(2014年3月)」が載っています。
4 以下の記事も参照してください。
(日弁連会長選挙関係)
・ 日弁連会長選挙
・ 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
・ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
・ 日弁連会長選挙の公聴会
・ 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
・ 2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
(その他)
・ 日弁連の歴代会長及び事務総長
・ 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
・ 日弁連の歴代副会長の担当会務
・ 日弁連役員に関する記事の一覧
・ 弁護士会の会派
「●●候補をお願いします」という電話なら分かるんですけど,「じゃあサイ太先生は●●候補に入れるってことでいいですね」みたいに投票態度をチェックしてるようなんですよ。面倒だから,特定の候補を支援してると言っても対立陣営から普通に電話かかってくるし,本当に理解できない・・・。
— サイ太 (@uwaaaa) November 2, 2021
日本弁護士国民年金基金は,当初の加入者が今でも予定利率が5.5%であるのに対し,新規加入者が1.5%であるなど加入者間の不公平が著しいことに気づいたとか,繰越不足金が10%ぐらいあることに不安を感じるといった理由により脱退することはできません。
https://t.co/YqCNterlFX— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) January 18, 2020