日弁連会長選挙

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目次
第1 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(昭和時代)
第2 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
第3 当選要件,再投票及び再選挙
第4 事前の選挙運動の禁止
第5 弁護士会の会長選挙における選挙運動費用は事業所得の必要経費にならないと思われること
第6 日弁連会長選挙の選挙権
第7 弁護士会連合会別の日弁連副会長
第8 関連記事

第1 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(昭和時代)
1 昭和49年度までは,日本弁護士連合会(略称は「日弁連」です。)の会長は,他の役員(副会長,理事及び監事)と同様に,日弁連代議員会で選出されていました。
2 昭和50年度から,日弁連会長は,日弁連会員の直接選挙によって選出されるようになりました(日弁連会則61条1項)。
3 昭和55年度から,日弁連の執行力を強化して会務の継続性を確立するため,日弁連会長の任期が2年となりました(日弁連会則62条)。
4 昭和59年度から,任期中に会長が欠けた場合の補欠の会長の任期を,残任期間ではなく,就任してから1年を経過した後の最初の3月末日までとし,残任期間が6か月未満のときは補欠選挙を行わないとする,会長任期2年制の趣旨に基づく会長補欠選挙についての会則改正が行われました(日弁連会則63条)。
5 昭和時代の改正経緯の詳細については,「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」を参照してください。

第2 日弁連会長の選挙制度の改正経緯(平成19年度以降の分)
1 平成19年5月25日の定期総会における改正(会長選挙規程52条及び56条3項)
① 選挙公報の発送期限の変更
・ 改正前の発送期限は投票日の15日前でしたが,改正後は投票日の12日前となりました。
② 選挙公報の日弁連会員専用サイトへの掲載
③ 選挙郵便はがきへの証印の廃止
・ ポスターへの証印制度は維持されました。
2 平成20年5月30日の定期総会における改正(会長選挙規程56条2項,56条の2及び58条)
① 選挙郵便はがきの枚数の変更
・ 改正前は選挙権を有する会員数の5倍以下でしたが,改正後は選挙権を有する会員数の3倍以下となりました。
② 日弁連会員専用サイトを利用した選挙運動の解禁
・ 平成27年5月29日定期総会決議に基づき,日弁連会員専用サイトを利用した選挙運動は廃止されました。
③ 候補者及び会員のウェブサイトによる選挙運動の禁止
・ 平成27年5月29日定期総会決議及び平成29年3月3日臨時総会決議により全面的に解禁されました。
3 平成23年5月27日の定期総会における改正
    選挙管理委員会の委員数の変更(会長選挙規程7条1項の改正前は14人でしたが,改正後は14人以上25人以内となりました。)等がありました。
4 平成27年5月29日の定期総会における改正(会長選挙規程56条の2,56条の3及び58条)
(1) 以下の改正がありました。
① 候補者私設のウェブサイトによる選挙運動の解禁
 公職選挙法の一部を改正する法律(平成25年4月26日法律第10号)に基づき,公職選挙においてインターネット選挙運動が解禁されたことを考慮して,改正されました。
・ 選挙運動期間中に限り開設できることとされました(この点に関する規制は現在でも同じです。)。
・ 閲覧者による書き込み,及び他のウェブサイトへのリンクは禁止されたままでしたが,平成29年3月3日臨時総会決議により解禁されました。
② 候補者の電子メールによる選挙運動の解禁
・ 候補者が当該会員に事前に選挙運動用メール送信の可否を問い合わせ,了解した者にのみ送信できるものとされていました。
(2) 候補者以外の弁護士がHPやブログで日弁連会長選挙を取り上げることができないことについては批判が出ていました河野真樹の弁護士観察日記ブログ「おかしなネット日弁連会長選挙」参照)。
5 平成29年3月3日の臨時総会における改正(会長選挙規程27条の2,38条,50条,51条,53条,56条の2,56条の3及び58条)
(1) 以下の改正がありました。
① 候補者の死亡又は被選挙権の喪失に伴う投票日の延期

・ 補充立候補届出期間経過後に,候補者の死亡又は被選挙権の喪失により候補者が一人となった場合,投票日を延期して,立候補届出の期間を改めて設けられるようになりました。
② 公聴会の実施箇所数の見直し
・ 改正前は9箇所で公聴会を実施することとなっていました(運用上は沖縄を含めた10箇所)が,改正後は7箇所で公聴会を実施することとなりました。
・ 平成30年度同31年度日弁連会長選挙の場合,公聴会の開催場所は7箇所でした。
・ 公聴会につき,テレビ会議システムを利用して質問できる副会場が設置されるようになりました。
③ 候補者による選挙運動用ウェブサイトの運用緩和
・ 会員が候補者の選挙運動用ウェブサイトに問い合わせをすることは可能となりました。
・ 掲示板のように他の閲覧者にも見えるような形をとることはできません。
④ 候補者以外の会員によるウェブサイトの利用の運用緩和
・ 候補者以外の会員は,選挙運動用ウェブサイト「以外の」ウェブサイトへ文書・図画等を掲載したり,選挙運動用ウェブサイト「以外の」ウェブサイトに選挙運動用ウェブサイトをリンク先として表示したり,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用して選挙運動をしたりできるようになりました。
・ 会員の会長選挙への関心を高め,投票率の向上を図る必要がある中,ウェブサイトにおける会員の自由な発言を妨げることは時流に反している面があることにかんがみ,解禁されました。
・ 事実と異なる情報を掲載することは禁止されており,警告等の措置の対象となります。
⑤ 候補者による選挙運動用電子メールの運用緩和
・ 選挙運動用電子メールを送るための候補者からのあらかじめのメールの確認が不要となりました。
・ 送信先の会員から停止の意思表示があった場合,選挙運動用電子メールを送信してはなりません。
(2)ア 候補者は,①複数の選挙運動用ウェブサイトを開設してはいけませんし,②日弁連,裁判所,法務省その他の公的機関ウェブサイトへのリンクしか設定できませんし,③投票日の前日までしか更新できませんし,④投票日の午後12時までに閉鎖しなければなりません(日弁連の会長選挙施行細則43条の3)。
イ フェイスブックやツイッターなどのSNS,Youtubeやニコニコ動画等の動画共有サービス,Ustreamやニコニコ動画の生放送等の動画中継サイトは,私設のウェブサイトではありませんから,選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできません。
ウ 「◯◯を考える会」等のHPを,会長選の公示後,選挙運動用ウェブサイトとして利用することはできません。

第3 当選要件,再投票及び再選挙
1 当選要件
(1) 弁護士会も日弁連の会員であり,弁護士会の会員数には大きな差があることにかんがみ,当選者となるためには,選挙の最多得票者が弁護士会の総数の3分の1を超える弁護士会(つまり,18以上の弁護士会)において,それぞれ最多票を得ていることが必要です(日弁連会則61条2項)。
(2) 詳細につき,「日弁連会長の直接選挙制度及び任期2年制の導入経緯等」を参照してください。
2 再投票及び再選挙
(1) いずれの候補も18以上の弁護士会において最多票を得ていない場合,得票の多い候補者2人について再投票を行います(日弁連会則61条の2第1項)。
(2) 再投票においてどちらの候補者も18以上の弁護士会において最多票を得ることができなかった場合,再選挙を行います(日弁連会則61条の3第1項)。
(2) 詳細につき,「日弁連会長選挙の再投票及び再選挙」を参照してください。

第4 事前の選挙運動の禁止
1 会長選挙規程の定め
(1) 選挙運動用ウェブサイトの開設を含む選挙運動の期間は,立候補の届出が受理された時(つまり,公示日)から投票日の前日までであり(会長選挙規程53条),候補者及びその他の会員が選挙運動の期間外に選挙運動をすること(つまり,事前運動)は禁止されています(会長選挙規程58条1号)。
(2) 日弁連委員会ニュース(2019年12月1日発行分)の選管ニュースには以下の記載があります。
① 日弁連人権擁護大会の会場前にて「~の会賛同のお願い」と題する文書を不特定多数の会員に配布し、その文中に「次期日弁連会長候補者として代表世話人の一人であるAを推薦しました。」との記述があった礼があります。これは単なる「~の会」の広報宣伝活動とは受け取り難く、実質的選挙運動にあたる疑いがある(会規第58条第1号)として、警告が発せられました。
② 支持者や支援者向けのニュースであると銘打っても、文書内容が選挙運動にあたるものであれば、実態として支持者以外に配布されれば選挙違反になる可能性があります。
③ 選挙運動の期間は「立候補の届出が受理された時から投票日の前日」と厳格に定められています(会規第53条)。この期間外の選挙運動は認められておらず、前述の事例のとおり立候補届出前に「立候補者」、「立候補予定者」などの文言を用いることはできません。
 政策提言団体の活動の位置づけ
(1) 日弁連会長選挙の前年に設立される政策提言団体への賛同を呼びかける行為は,当該団体の単なる広報宣伝活動であって,特定の候補者への賛同を呼びかけているわけではないから,選挙運動には該当しないということになっていると思います。
(2) 政策提言団体の広報宣伝活動において,代表世話人が次期日弁連会長選挙に立候補する予定であるなどと書いてあることはありません。

第5 弁護士会の会長選挙における選挙運動費用は事業所得の必要経費にならないと思われること
1 東京高裁平成24年9月19日判決は,以下の判示をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
①   弁護士会等の活動が、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務に密接に関係しているものであり、仙台弁護士会及び日弁連の役員は、会則において、その会員である弁護士の中から選任することとされていることは、上記イで判示したとおりである。
   確かに、被控訴人が主張するように、弁護士会等の役員になることが弁護士法等によって個々の弁護士に義務付けられているとは認められないものの、いずれかの弁護士が弁護士会等の役員に選任されない限り、弁護士会等が機能しないことは明らかである。
   もっとも、弁護士が弁護士会等の役員に立候補した後、役員に選任されるため、投票権を有する者に対して自らへの投票を呼び掛ける活動は、自らの弁護士会等の運営に関する意見を実現するために行われるものであるというべきであり、弁護士会等の活動と同視することができないのはもちろんのこと、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務と密接に関係しているとも認めることはできない。
② 以上の事情を総合考慮すると、弁護士が弁護士会等の役員に立候補した際の活動に要した費用のうち、立候補するために不可欠な費用であれば、その弁護士の事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な支出に該当するが、その余の費用については、これに該当しないと解するのが相当である。
2(1) 東京高裁平成24年9月19日判決からすれば,弁護士会の会長選挙における選挙運動費用は事業所得の必要経費にならないと思います。
(2)   同判決に対する国の上告受理申立てに関しては,平成24年12月21日付の上告受理申立て理由書が提出されたものの,最高裁平成26年1月17日決定により不受理とされました(国税庁HPの「最高裁不受理事件の意義とその影響」参照)。

第6 日弁連会長選挙の選挙権
1(1) 偶数年2月上旬の金曜日に実施される日弁連会長選挙に投票するためには,選挙の公示の日の10日前までに弁護士登録をしておく必要があります(会長選挙規程17条1項)。
(2) 選挙の公示の日は,投票日の30日前です(会長選挙規程19条)。
2 平成30年度同31年度日弁連会長選挙の投票日は平成30年2月9日(金)であり,公示日は平成30年1月10日(水)でした。
   そのため,10日前の平成29年12月31日(日)までに弁護士登録をしていないと,日弁連会長選挙に投票することができませんでした。
3 令和2年度同3年度日弁連会長選挙の投票日が令和2年2月7日(金)であり,公示日は令和2年1月8日(水)でした。
    そのため,10日前の令和元年12月29日(日)までに弁護士登録をしておかないと,日弁連会長選挙に投票することができません。

第7 弁護士会連合会別の日弁連副会長
   昭和24年9月1日の日弁連設立以来の,弁護士会連合会別の日弁連副会長については,以下の記事を参照してください。
 弁護士会連合会別の,日弁連の歴代副会長(平成15年度以降)
 関東弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
 近畿弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
④ 中部弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
 中国地方弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑥ 九州弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑦ 東北弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑧ 北海道弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長
⑨ 四国弁護士会連合会管内の単位弁護士会別の,日弁連の歴代副会長

第8 関連記事
1 日弁連会長選挙関係
① 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
② 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
③ 2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
④ 日弁連会長選挙の選挙運動に対する規制
2 その他
① 日弁連の歴代会長及び事務総長
② 日弁連の歴代正副会長(昭和57年度以降)
③ 日弁連の歴代副会長の担当会務
④ 日弁連役員に関する記事の一覧
⑤ 弁護士会の会派

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