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親族・相続

相続放棄をしても受け取れる権利―保険金・年金・退職金の区別(AI作成)

第1 受け取れる権利と判断の基準
第2 生命保険金

1 受取人固有の死亡保険金
2 入院給付金・返戻金等との違い

第3 死亡退職金
第4 未支給年金

1 国民年金・厚生年金
2 旧三共済・農林共済
3 故人口座への入金

第5 遺族年金・死亡一時金・労災給付

1 給付ごとの受給要件
2 死亡一時金と子の年金

第6 埋葬料・葬祭費・香典等
第7 慰謝料・祭祀財産・特定遺贈

1 遺族固有の慰謝料
2 祭祀財産
3 特定遺贈

第8 税金の取扱い
第9 受領前の確認と期限
第10 出典

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遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の郵送請求―必要書類と手順(AI作成)

第1 どちらの証明書を請求するか

1 2種類の違いと郵送請求の基本

2 請求できる人と代理請求

第2 遺言書保管事実証明書の必要書類

1 基本となる添付書類

2 通知書などがある場合の省略

第3 遺言書情報証明書の必要書類

1 初回の請求と法定相続情報一覧図

2 関係遺言書保管通知と指定者通知の違い

3 数次相続・法人・法定代理人の追加書類

第4 請求書の作成から発送まで

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亡くなった家族の入通院先を調べる方法―遺族のレセプト開示とカルテの取得(AI作成)

第1 受診先が分からないときの調査順序

第2 当時加入していた医療保険を特定する

第3 遺族としてレセプトの開示を依頼する

1 請求できる遺族と必要書類

2 対象の指定,費用及び所要期間

第4 保存期間の「5年」をどう確認するか

第5 判明した病院・薬局から受診歴をたどる

1 病院・診療所の診療記録

2 薬局の記録

3 介護の記録

第6 資料が出ない場合の確認と次の手段

1 出ない理由と請求制度を確認する

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被相続人のスマホに関して,死亡直後に遺族がすべきこと(AI作成)

第1 死亡直後は端末の保管と携帯会社への連絡を並行する
第2 初期化と推測入力を避け,端末の状態を記録する
1 端末と関連資料の保管
2 ロック解除とデータ消去の違い

第3 回線の解約・承継と別契約の請求を分ける
1 携帯会社別の手続の入口
2 SMS認証,サブスク及び端末代金の確認

第4 Apple・Googleのデータ請求は端末解除とは別である
1 Appleの故人アカウント管理連絡先等
2 Googleのデータ請求と閉鎖の順序

第5 相続放棄を考えている場合とアクセス権限の注意点
1 財産調査,処分及び放棄後の保管
2 パスワードが分かっても利用権限は別に確認する

第6 スマホが開かない場合の調査と相談
1 郵便物・通帳・カード明細から調べる
2 専門的な調査へ進む条件

第7 出典
1 法令

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法定相続情報一覧図の作成方法―戸籍謄本の読み方と相続人の確認(AI作成)

第1 戸籍を読み終えてから提出用の一覧図を作る第2 戸籍謄本の種類と読む欄を区別する1 現在戸籍・除籍・改製原戸籍の違い2 本籍・筆頭者・戸籍事項・身分事項の読み分け第3 出生から死亡までの戸籍をつなぐ方法1 新しい戸籍から一つ前の戸籍へ戻る2 三つの戸籍を照合する架空の作業例3 死亡日・届出日・旧字体を照合する第4 戸籍から相続関係を確認する1 配偶者・子・親・兄弟姉妹の順序2 代襲相続と数次相続は死亡の先後で分ける3 兄弟姉妹相続では父母双方の関係を追う4 相続放棄と廃除の記載を混同しない第5 確認した情報を一覧図へ転記する1 書く情報と転記元を対応させる2 続柄は被相続人を基準にし,住所は利用先を考えて選ぶ3 代襲の線と複数枚のつながりを確認する第6 必要書類をそろえ,不足や読めない部分を解消する1 申出用の書類と広域交付の範囲2 未取得・判読不能・廃棄を区別する第7 申出前の点検と他の相続手続の期限1 戸籍から図へ,図から戸籍へ照合する2 相続放棄と相続登記は別に期限を管理する第8 出典・参考資料1 法令2 法務省・法務局の手続案内と記載例3 裁判所の手続案内4 自治体の戸籍解説・実務資料

第1 戸籍を読み終えてから提出用の一覧図を作る

法定相続情報一覧図は,亡くなった人と,戸籍の記載から確認できる相続人との関係をまとめる書面である。
相続人等が一覧図を作成して戸籍等とともに申し出ると,登記官が記載内容を照合し,認証文を付した写しを交付するのであり,戸籍の束を持参すれば法務局が図を作成してくれる制度ではない(不動産登記規則247条)。

作業は,①被相続人の出生から死亡までの戸籍をつなぐ,②各人の身分事項から相続関係を確認する,③証明書に基づいて一覧図へ転記する,という順序で進める。
本記事は,令和8年8月30日現在の法令・公表資料を前提に,現在の相続法が適用される相続について,戸籍の読解と転記の方法を説明するものである。

本記事では,調査中の親族関係,取得済みの戸籍及び未確認事項を書き込む作業メモを,法務局へ提出する一覧図とは分けることを基本形とする。
法定相続分の計算,遺産分割の合意内容及び調査上の疑問は作業メモに置き,提出用の一覧図には,法定の記載事項と法務局の記載例に沿った情報を記載する。

一覧図は,誰が最終的にどの財産を取得するかまで証明するものではなく,遺産分割協議書や相続放棄を証する書類が別途必要となる場合がある。
従来どおり戸籍の束で相続手続を行う方法も利用できるため,提出先が少ない場合には,一覧図を取得する手間も含めて選ぶことになる(法務省民事局「法定相続情報証明制度について」平成30年4月1日改訂,2頁・PDF3頁)。

遺言の有無や内容も,一覧図の記載だけでは確認できない。
公正証書遺言の存在を調べる場合は,「公正証書遺言の保存期間と検索方法」を参照されたい。

第2 戸籍謄本の種類と読む欄を区別する

1 現在戸籍・除籍・改製原戸籍の違い

戸籍謄本は戸籍に記載された全員についての証明であり,電算化された戸籍では戸籍全部事項証明書という名称が用いられる。
これに対し,戸籍抄本・個人事項証明書は一部の人についての証明であるため,被相続人の家族関係全体を調べる資料と,相続人本人の現在の身分を確認する資料とを使い分ける。

「除籍」には,婚姻や死亡等によって一人がその戸籍から除かれるという意味と,全員が除かれた戸籍という意味がある。
「除籍」の表示だけで死亡したと判断せず,その原因が婚姻,転籍,死亡等のいずれであるかを身分事項から確認する。

改製原戸籍は,戸籍の様式変更や電算化による改製前の戸籍である。

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保管証書遺言とは―令和8年民法等改正で新設された第4の遺言方式,成立要件及び施行時期(AI作成)

第1 保管証書遺言の位置付けと本記事の範囲

1 新設された第4の遺言方式であること
2 本記事の基準日及び対象範囲

第2 保管証書遺言の法的根拠及び新設の経緯

1 根拠法令
2 法制審議会における審議経過
3 制度創設の背景となった課題

第3 保管証書遺言の成立要件

1 二段階の方式(民法968条の2)
2 電磁的記録による作成と署名に代わる措置
3 遺言書保管官の意義
4 口がきけない者の特則(民法968条の3)

第4 作成手続の具体的な流れ

1 保管申請とオンライン利用
2 本人確認とウェブ会議の利用
3 財産目録の口述省略

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自筆証書遺言書保管制度―法務局の保管手続と検認不要のメリット(AI作成)

第1 自筆証書遺言書保管制度の対象及び最大のメリット

1 本記事の対象及び結論
2 制度の目的及び根拠法令
3 検認が不要になる仕組み

第2 遺言者本人による保管の申請

1 保管の申請ができる遺言書保管所
2 保管の申請の要件―本人出頭の原則
3 保管する遺言書の様式
4 保管後に遺言者ができること

第3 遺言者の死亡後に相続人等ができる手続

1 遺言書情報証明書の交付請求
2 遺言書保管事実証明書の交付請求
3 閲覧請求及び非表示措置の申出

第4 手数料
第5 通知制度

1 関係遺言書保管通知
2 指定者通知

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遺言執行者が指定されている場合の相続人の注意点――処分禁止,通知請求権及び解任手続(AI作成)

第1 この記事の対象と全体像
第2 処分禁止の内容と違反行為の効力

1 遺言執行者の就任と任務開始
2 相続人による処分等の禁止
3 違反行為の無効と善意の第三者保護
4 相続人の債権者による権利行使への影響

第3 相続人が遺言執行者から受けられる通知と説明

1 任務開始の通知
2 相続財産目録の作成及び交付
3 通知が来ないときの催告

第4 遺言執行者がいても相続人ができること

1 特定財産承継遺言の対抗要件具備
2 遺産分割前の預貯金の払戻し制度との関係
3 遺留分侵害額請求は遺言執行者に対してする請求ではない

第5 遺言執行者に問題があるときの手続

1 処分制限は放置によって当然には外れない
2 解任請求の要件と管轄
3 解任手続の進み方と保全処分

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遺族厚生年金の生計維持要件——収入,別居,内縁及びDV別居の限界事例(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 生計維持要件の基本構造

1 根拠条文
2 生計同一要件と収入要件への分解
3 形式的な基準を修正する例外条項

第3 収入が基準額を超えている場合の限界事例

1 収入要件の4類型
2 死亡当時までの収入変動が考慮された事例

第4 同居していない場合の限界事例

1 同居していなくても生計同一と認められる場合
2 高齢の夫婦が別々の施設に入所した事例
3 複数の扶養者がいる場合

第5 DVを理由に別居している場合の限界事例

1 判断枠組みの見直し
2 別居から約13年後に死亡した事案

第6 内縁関係が絡む場合の限界事例

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遺留分侵害額請求の期限と手続―内容証明・交渉・調停・訴訟・必要書類(AI作成)

第1 この記事の対象と最初に行うこと

1 令和元年7月1日以後に開始した相続が対象である

2 請求額の確定より先に期限を確認する

3 内容証明から訴訟までの標準的な順序

第2 1年と10年の期限

1 知った時から1年

2 相続開始から10年

3 発送日ではなく到達時が問題となる

4 権利行使後の金銭債権も別に管理する

第3 内容証明郵便による権利行使

1 内容証明と配達証明の役割は異なる

2 通知書で特定する事項

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成年後見制度利用支援事業とは―後見人報酬・申立費用の自治体助成を比較する(AI作成)

第1 成年後見制度利用支援事業とは

1 制度の内容――申立費用と後見人等の報酬を市区町村が助成する
2 高齢者向けと障害者向けで法律上の位置づけが異なる

(1) 高齢者向け――介護保険法の任意事業
(2) 障害者向け――障害者総合支援法上の地域生活支援事業

第2 助成を受けられるのはどのような場合か

1 資力要件
2 対象となる申立人の範囲
3 後見人等が親族である場合の扱い

第3 実際にいくら助成されるか――7市の実例

1 報酬助成の上限額
2 申立費用の助成対象
3 申請期限に注意する

第4 自治体によってどれだけ違うか――全国調査からみる実態

1 助成制度自体がない自治体も存在する

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要介護認定の結果に納得できない場合の資料収集と争い方―認定調査票・主治医意見書・一次判定・二次判定の読み方(AI作成)

目次

第1 最初に確認すること

1 結論

2 結果だけでなく資料の流れを確認する理由

3 期間制限

第2 認定調査から処分までの資料の流れ

1 法定の手続

2 一次判定は最終結論ではない

3 処分時点と現在時点を分ける

第3 最初に集める資料

1 行政側の資料

2 大阪市の情報提供手続

3 本人側で作る資料

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遺留分侵害額請求の計算方法と請求を受けた側の対応―期限の許与・分割払い・遅延損害金(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと2 旧法と変わった点と変わらなかった点3 既存記事との役割分担第2 遺留分を算定するための財産1 条文と算式2 相続人に対する贈与が10年に限られたこと3 負担付贈与と不相当な対価第3 遺留分を請求できる人と割合1 遺留分を請求できる人2 総体的遺留分と個別的遺留分3 相続人の組合せごとの遺留分割合4 複数の子・直系尊属、代襲相続及び養子5 相続放棄、相続欠格及び廃除6 相続開始前の遺留分放棄第4 遺留分侵害額1 民法1046条2項の算定式2 寄与分が反映されないこと3 承継債務を加算すること第5 遺留分侵害額請求を受けた側の確認事項1 回答前に保存する資料2 請求額を検証する順序3 受遺者・受贈者の負担限度と負担順序4 遺留分権利者承継債務を弁済した場合5 裁判所による期限の許与6 分割払いの合意と事実上の分割払い第6 遅延損害金と期間制限1 権利行使と履行請求を区別する2 遅延損害金の利率3 民法1048条の期間と発生後の金銭債権の時効4 請求を受けた側の回答順序第7 現物で解決する場合の課税1 代物弁済と譲渡所得2 相続税の更正の請求と修正申告第8 新法の解釈を示した裁判例がほとんどないこと第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担

1 令和元年7月1日以後に開始した相続を扱うこと

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、法務省が公表する原則的な施行期日である2019年7月1日から施行された。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日以後であれば、金銭の支払を求める遺留分侵害額請求として処理する。

判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
逆に、判決が令和6年や令和7年であっても、相続開始が施行日より前であれば旧法の遺留分減殺請求として処理される。

2 旧法と変わった点と変わらなかった点

改正の中心は、権利の性質が物権的効果から金銭債権へ変わったことである。
民法1046条1項は「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者…又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」と定める。
その結果、旧法で最も誤りが生じやすかった減殺率の分母の選択という問題は、計算の手順から消えた。

もっとも、変わらなかった部分も多い。
基礎財産の算式(1043条1項)は旧1029条とほぼ同文であり、負担の順序(1047条1項各号)も旧1033条から1035条までと同じ構造である。
遺留分の放棄に関する1049条は旧1043条と同文で、第2項の「共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない」という規律も維持されている。
実質的に変わったのは、後述する贈与の加算期間、負担の限度の条文化、価額弁償に代わる期限の許与の4点に整理できる。

3 既存記事との役割分担

旧法の計算方法そのものは旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シートで扱っている。
減殺の順序は旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後、遺産の評価時点は旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で扱っている。
この記事は新法の金額の算定過程に絞り、旧法との違いが実務にどう表れるかを併せて示す。
1年・10年の期限,内容証明による通知,交渉,調停,訴訟及び必要書類は,遺留分侵害額請求の期限と手続―内容証明・交渉・調停・訴訟・必要書類で扱っている。

第2 遺留分を算定するための財産

1 条文と算式

民法1043条1項は「遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする」と定める。

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旧法の遺留分減殺請求の計算方法―基礎財産・侵害額・減殺率と判例タイムズ1345号の計算シート(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと2 この記事が扱う範囲3 既存記事との役割分担第2 算定式と計算シート1 最高裁が示した算定式2 東京地方裁判所プラクティス委員会が提案した計算シート3 計算シートが選択した説第3 遺留分算定の基礎となる財産1 式と入力欄の対応2 生前贈与を加算する範囲3 金銭の贈与を相続開始時の貨幣価値に引き直すこと4 相続債務の控除第4 個別的遺留分額1 総体的遺留分率に法定相続分を乗じること2 計算シートの模擬事案が前提とする法定相続分第5 遺留分侵害額1 計算シートの算定順序2 未処理遺産を分配する基準第6 減殺額と減殺率1 減殺の対象となるのは遺留分超過受遺額であること2 受遺額からみた減殺率3 判決が用いた分母には幅があること4 持分を分数にするときの乗算第7 計算シートの用語が判決の別紙に現れること1 判決文に現れる計算シート由来の用語2 計算過程を検算する際の着眼点第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的資料4 文献

第1 この記事の対象と既存記事との役割分担

1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)の附則第2条は「この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。」と定める。
遺留分に関する改正規定は同法附則第1条ただし書の各号に掲げられておらず、原則的な施行期日によることになる。
法務省は原則的な施行期日を2019年7月1日と公表しており、同法の公布日は平成30年7月13日である。
したがって、被相続人の死亡日が令和元年7月1日より前であれば、金銭債権化された遺留分侵害額請求ではなく、物権的効果を生ずる遺留分減殺請求として処理する。

判定の基準は相続開始日であって、判決の年でも権利行使の年でもない。
現に、判決日が令和6年や令和7年であっても、相続開始日が施行日前であるために旧法が適用される事案は珍しくない。

2 この記事が扱う範囲

この記事は、旧法の遺留分減殺請求において、基礎財産、個別的遺留分額、遺留分侵害額及び減殺率という四つの数値を、どの順序でどのように出すかという算定過程そのものを扱う。
個別の財産をどう評価するか、争点整理をどう進めるかといった問題は扱わない。

3 既存記事との役割分担

減殺の順序、すなわち遺贈・死因贈与・生前贈与のどれから先に減殺するかという問題は、旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後で扱っている。
遺産をいつの時点の価額で評価するかは旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時で、減殺の結果生じた共有関係をどう解消するかは改正前の遺留分減殺請求によって共有となった不動産の解消方法で扱っている。
この記事は、それらの前提となる金額の算出に絞る。
令和元年7月1日以後に開始した相続については権利の性質が金銭債権に変わっており、その計算方法は遺留分侵害額請求の計算方法―旧法の減殺請求と何が変わったかで扱っている。

第2 算定式と計算シート

1 最高裁が示した算定式

最高裁判所第三小法廷平成8年11月26日判決(民集第50巻10号2747頁)は、遺留分侵害額の算定について、被相続人が相続開始の時に有していた財産全体の価額に贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して基礎財産額を確定し、これに遺留分の割合と法定相続分の割合を乗じ、遺留分権利者が特別受益を得ているときはその価額を控除し、相続によって得た財産があるときはその額を控除して、負担すべき相続債務があるときはその額を加算するという順序を示している。
旧法の計算は、この四段階を順に踏むことに尽きる。

2 東京地方裁判所プラクティス委員会が提案した計算シート

この算定式を表計算ソフトに落とし込んだものが、東京地方裁判所プラクティス委員会第三小委員会「遺留分減殺請求訴訟における遺留分算定について——計算シートによるモデル訴状の提案」判例タイムズ1345号34頁~51頁である。

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令和8年成年後見制度改正で弁護士の後見業務は採算が悪化するか(AI作成)

目次

第1 結論と記事の対象

1 結論

2 この記事が扱う範囲

第2 1件当たりの継続収益を低下させる改正

1 必要な権限がなければ補助を開始しない仕組み

2 毎年の必要性確認と補助人の交代

3 任意後見監督人を選任しない場合

第3 報酬算定は令和8年改正だけでは説明できない

1 改正民法876条の19

2 令和7年4月に始まった報告書式の変更

3 報酬は二方向へ動き得る

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旧法の遺留分減殺請求の順序―遺贈・死因贈与・生前贈与と通知の先後(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 令和元年7月1日より前に開始した相続を扱うこと
2 負担順序と通知順序は別の問題であること
3 既存記事との役割分担

第2 旧法が定める客観的な減殺順序

1 遺贈を生前贈与より先に減殺すること
2 複数の遺贈は目的価額に応じて減殺すること
3 相続人に対する遺贈の目的価額
4 複数の生前贈与は後の贈与から減殺すること

第3 明文だけでは決まらない三つの論点

1 同時の贈与
2 贈与の先後を判断する基準時
3 死因贈与の位置付け

第4 相手方へ通知する時間的順序

1 客観的減殺額の範囲内では通知順を選べること
2 通知順によって負担を付け替えることはできないこと
3 複数の相手方へ早期に通知する実務上の理由

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旧法事案の遺留分減殺請求における遺産の評価基準時

目次

第1 結論
第2 旧法事案となる相続開始日
第3 遺留分算定の基礎財産は相続開始時に評価する

1 旧民法1029条及び1044条
2 大審院大正7年12月25日判決
3 金銭の生前贈与は相続開始時の貨幣価値に換算する
4 評価時点と財産の状態は分けて考える

第4 旧民法1041条の価額弁償は別の時点で評価する

1 相続開始時評価と価額弁償時評価は目的が異なる
2 現実の弁償時と事実審口頭弁論終結時
3 金銭判決には二段階の意思表示が必要である

第5 減殺請求前に目的物が処分された場合

1 最高裁平成10年3月10日判決
2 処分の時期及び内容を先に確定する

第6 遺産分割及び税務上の評価との区別

1 遺産分割の評価基準時とは異なる
2 相続税評価額がそのまま民法上の時価になるとは限らない

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有料老人ホームの前払金―返還額,死亡時の相続及び施設への確認方法(AI作成)

第1 前払金を調べるときの結論と順序

1 最初に確認すべき五つの資料
2 「5年未満なら一部返金」という表示だけでは金額が決まらない

第2 前払金の返還計算

1 入居後3か月以内に終了した場合
2 入居後3か月を超え,想定居住期間内に終了した場合
3 初期償却は常に無効ではない

第3 死亡時の返還金と相続

1 入居者が前払金を負担した場合
2 返還金受取人の指定がある場合
3 相続人が複数いる場合

第4 前払金に関する裁判例の到達点

1 受取人指定より実質的な負担者を重視した裁判例
2 非返還部分を有効とした裁判例
3 住替え時の再度の初期償却を無効とした裁判例

第5 施設へ資料と支払状況を確認する方法

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夫婦が子を1人ずつ監護する場合の婚姻費用|子の分属と双方負担の個別計算(AI作成)

第1 子が夫婦双方に分属する場合の結論

1 直接対応する婚姻費用算定表はない

2 標準算定方式へ戻って一度だけ配分する

第2 個別計算に用いる基礎収入と生活費指数

1 最初に夫婦それぞれの基礎収入を求める

2 子の生活費指数は監護世帯ごとに置く

3 二つの世帯の全員を一つの分母に入れる

第3 一般式と支払方向

1 記号と一般式

2 同じ年齢区分の子を1人ずつ監護する場合

3 双方の子の年齢区分が異なる場合

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婚姻費用算定表の結果がおかしいとき|収入・表・年齢・特別事情の確認順序(AI作成)

第1 この記事の対象と確認順序

1 「高すぎる・低すぎる」と感じる原因を分ける

2 算定表の基本的な見方との役割分担

第2 比較している金額をそろえる

1 表の月額,合意額,審判額及び実際の支払額は別である

2 令和8年の2万円及び8万円は算定表の金額ではない

第3 表と子の人数・年齢を確認する

1 婚姻費用は表10から表19までを使う

2 15歳以上の区分と固定額の変更を区別する

第4 収入の入れ方と資料の時点を確認する

1 縦軸と横軸,給与と自営の欄を確認する

(続きを読む...)婚姻費用算定表の結果がおかしいとき|収入・表・年齢・特別事情の確認順序(AI作成)

養育費算定表に入れる給与年収|手取り・額面・源泉徴収票,賞与・副業・転職時の扱い(AI作成)

第1 養育費算定表に入れる給与年収の結論と本記事の範囲

1 通常は源泉徴収票の「支払金額」を使う

2 手取り額と「給与所得控除後の金額」は使わない

第2 源泉徴収票の支払金額に含まれる給与

1 賞与,残業代,歩合給及び課税手当

2 支払金額は一暦年の記録である

3 非課税通勤手当等を機械的に加算しない

第3 給与明細から現在年収を計算する場合

1 源泉徴収票だけでは現在収入を示せない場面

2 給与明細を年換算する確認順序

3 給与明細を何か月確認するかは一律ではない

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養育費算定表で子供3人はいくらか|表6~9の選び方と一人当たり額の計算(AI作成)

第1 子供3人という人数だけでは養育費は決まらない

1 算定表が示すのは収入と年齢に応じた標準額である

2 表6~9の帯は一人分ではなく3人分の合計である

第2 表6・表7・表8・表9の選び方

1 15歳以上の子供の人数で4表から選ぶ

2 令和元年版の表と指数を一組で用いる

第3 父母の収入から3人分の総額を読む方法

1 義務者の年収は縦軸,権利者の年収は横軸に当てはめる

2 交差する帯から3人分の合計額を定める

第4 3人分の総額から一人当たり額を計算する方法

1 総額に各人の生活費指数の割合を掛ける

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遺言無効確認請求訴訟の確認の利益―生前提訴・特別縁故者・後の遺言・登記後の扱い(AI作成)

第1 遺言無効確認請求が許される理由

第2 確認の利益が問題となる場面

1 遺言者の生前に提訴する場合
2 生前贈与によって原告の取得分がないとの反論
3 特別縁故者となる可能性がある者
4 後の遺言がある場合
5 遺言に基づく登記が既にされた場合

第3 遺産確認の訴えとの違い

第4 提訴前の確認事項

第5 関連記事

第6 出典

遺言無効確認請求訴訟を提起するためには、遺言が無効であるという主張だけでなく、その確認を判決によって求める法律上の利益が必要である。

確認の利益は、原告の現在の権利又は法律上の地位に現実の不安・危険があり、その除去のために当該確認判決が有効かつ適切であるかという観点から判断される。

第1 遺言無効確認請求が許される理由

最高裁昭和47年2月15日判決(昭和43年(オ)第627号)は、遺言無効確認の訴えを、遺言が有効であれば生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求める訴えと理解し、法律上の利益がある場合には適法となる旨を判示した。

したがって、訴状では、単に過去の遺言行為の無効を述べるだけでなく、当該遺言が有効であれば生ずる具体的な法律関係と、それによって原告に生じている不安・危険を示す必要がある。

第2 確認の利益が問題となる場面
1 遺言者の生前に提訴する場合

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遺言無効確認請求訴訟では誰を被告にするか―相続人・受遺者・遺言執行者と必要的共同訴訟(AI作成)

第1 基本的な考え方
第2 相続人及び受遺者
第3 遺言執行者
第4 遺言執行後の登記を争う場合
第5 相続人全員を被告にする必要があるか
第6 被告を決める前の確認事項
第7 関連記事
第8 出典

遺言無効確認請求訴訟では、遺言によって利益を受ける相続人若しくは受遺者又は遺言執行者が被告の候補となる。

もっとも、誰を被告にすべきかは、遺言の内容、執行の進行状況及び遺言無効確認以外に求める請求から逆算して決める必要がある。
第1 基本的な考え方
被告とすべき者は、当該遺言の有効性について原告と対立し、確認判決によって原告の法律上の不安・危険を除去できる者である。

そのため、遺言書に名前がある者を機械的に全員被告とするのではなく、誰が遺言の有効性を主張し、誰に遺言による権利又は権限が帰属しているかを確認する必要がある。
第2 相続人及び受遺者
遺言によって法定相続分を超える財産を取得する相続人又は遺贈を受ける者は、遺言の有効性について直接の利害を有するため、通常、被告の候補となる。

ただし、確認判決だけで紛争が終わらず、既にされた登記の抹消又は金銭の返還を求める必要がある場合は、その給付義務を負う者を相手方とする必要がある。
第3 遺言執行者
民法1012条は、遺言執行者が遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定めている。

最高裁昭和31年9月18日判決(昭和29年(オ)第875号)は、相続人が遺言執行者を被告として遺言の無効を主張し、相続財産について自己が持分権を有することの確認を求めることができる旨を判示した。

したがって、遺言執行が終わっておらず、遺言執行者の権限と原告の権利が対立する場合、遺言執行者は被告の候補となる。
第4 遺言執行後の登記を争う場合
最高裁昭和51年7月19日判決(昭和51年(オ)第17号)は、遺贈の目的不動産について受遺者名義の所有権移転登記等が既にされた場合、抹消登記手続請求の相手方は遺言執行者ではなく受遺者であるとした。

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遺言無効確認請求訴訟は何年かかるか―審理期間の資料・長期化要因・併合事件(AI作成)

第1 結論
第2 審理期間に関する過去の研究
第3 訴訟が長期化する主な要因

1 遺言能力に関する資料の収集
2 証人尋問及び事実関係の対立
3 当事者が多い事件
4 控訴及び上告受理申立て

第4 併合されることがある請求
第5 期間を見積もる際の確認事項
第6 関連記事
第7 出典

遺言無効確認請求訴訟の審理期間は、遺言書の種類、争点、証拠の量、証人尋問の有無及び併合する請求によって大きく異なる。

本記事で確認した公開資料の範囲では、遺言無効確認請求事件だけを対象とする最新の公的な平均審理期間は確認できなかった。

過去の研究では1年以上2年未満が最も多いとされているものの、これは平成18年に公表された研究に基づく数字であり、現在の事件についての平均又は見通しとしてそのまま用いることはできない。
第1 結論
遺言無効確認請求訴訟が何年かかるかは、一律には答えられない。

もっとも、提訴前の資料収集、当事者及び請求の整理並びに証人候補者の検討を早期に行うことは、無用な長期化を避けるために重要である。

また、第一審判決までの期間だけでなく、控訴の可能性及び判決後に必要となる登記、金銭返還又は遺産分割の手続まで含めて見通しを立てる必要がある。
第2 審理期間に関する過去の研究
遺言無効確認請求訴訟に関するリンク集で引用した石田明彦ほか「遺言無効確認請求事件の研究(下)」判例タイムズ1195号86頁は、当時の事件について、審理期間は1年以上2年未満が最も多く、次いで6か月以上1年未満が多かったとしている。

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婚姻費用をすぐに受け取る方法|調停前の処分と審判前の保全処分の違い(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 調停中に生活費を確保する3つの方法
第3 調停前の処分

1 要件と性質
2 内容として婚姻費用の仮払を命じ得ること
3 効果と不服申立て

第4 審判前の保全処分の要件

1 審判又は調停の申立てと疎明
2 急迫の危険の具体例

第5 調停の申立てだけで審判前の保全処分を申し立てられるか
第6 審判前の保全処分の効果,執行及び不服申立て
第7 両制度の使い分け
第8 確認順序
出典

1 法令
2 文献

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婚姻費用はいつまで続くか|終期条項の法的性質と同居再開を仮装した支払回避(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 理論上の終期は婚姻の解消
第3 実務における終期条項の定め方とその法的性質
第4 別居状態の解消を仮装した支払回避への対応
第5 未成熟子の監護費用部分を含む場合の調整
第6 養育費の終期との異同
第7 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い

婚姻費用の分担を審判・調停又は当事者間の合意で取り決める場合,その支払義務はいつまで続くのかを扱う。

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共同親権・共同監護の場合の養育費―監護日数・直接負担と算定表の限界(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 親権・監護者・監護の分掌という三つの異なる概念
第3 監護の分掌を定めても,養育費の算定方法は変わらない
第4 養育費算定表は「主たる監護+金銭分担」が前提―共同監護への不適合
第5 監護日数が均等でも,養育費がゼロになるわけではない
第6 直接負担・現物負担という言葉の実際

6-1 確立した専門用語ではない
6-2 支払方法としての直接払い

第7 裁判例の現状―算定表の限界を示す空白
第8 確認順序
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,父母双方が親権者となる場合(共同親権),又は監護の時間・日数を父母で分担する場合(共同監護)に,養育費がどのように扱われるかを扱う。
養育費算定表そのものの基本的な読み方は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で,法定養育費及び養育費債権の先取特権は,法定養育費と養育費債権の先取特権(AI作成)で,共同養育計画書等の取決めの文書は,養育費の取り決め方―共同養育計画書・合意書・公正証書・調停調書の違い(AI作成)で,それぞれ説明している。
本記事は,これらを前提とした上で,監護の日数・態様が父母双方に分かれる場合に固有の論点に絞って説明する。

先に結論を述べると,共同親権の選択それ自体は,養育費の額を自動的に左右するものではない。
また,「監護日数の割合に応じて養育費を機械的に減額する全国統一の算式」は,日本には存在しない。
この2点を正確に理解することが,本記事全体の出発点となる。

第2 親権・監護者・監護の分掌という三つの異なる概念

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養育費算定表の上限を超える高額所得者の計算方法―年収2000万円超の裁判例と実務(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 養育費算定表の上限額
第3 婚姻費用と異なり,養育費に上限があるとされる理由
第4 上限説と,これに批判的な見解
第5 上限を超える場合の実務―特別の事情による加算
第6 上限があっても無制限ではない―大阪高等裁判所の裁判例
第7 確認順序
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,義務者(養育費を支払う側)又は権利者の収入が,標準的な養育費算定表が想定する上限額を超えている場合に,養育費をどのように計算するかを扱う。
婚姻費用(別居中の夫婦間の生活費)について同様の場面を扱う内容は,高額所得者の婚姻費用(AI作成)で説明されている。
本記事は,同記事を踏まえた上で,養育費に固有の考え方に絞って掘り下げる。

養育費算定表そのものの基本的な読み方,及び法定養育費との違いは,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で,私立学校・大学・留学の費用の加算方法は,私立学校・大学・留学の学費は養育費に加算できるか―標準教育費と超過分の計算(AI作成)で,それぞれ説明している。
本記事は,これらを前提とした上で,収入額そのものが上限を超える場面に絞って説明する。

第2 養育費算定表の上限額

裁判所が公表する標準的算定方式・算定表(令和元年版)は,養育費(表1~表9)について,義務者の年収の上限を,給与所得者2,000万円,自営業者1,567万円としている。
権利者の年収の上限は,給与所得者1,000万円,自営業者763万円である。
これらの数値は,裁判所が公表する表1(養育費・子1人表〔子0~14歳〕)の実物で,縦軸(義務者の年収)及び横軸(権利者の年収)の目盛りそのものとして確認できる。

総収入がこの上限を超える場合,公租公課,職業費,特別経費のいずれの割合も上限額以下の場合と同じであるとは限らないため,算定表をそのまま外挿して用いることはできない。
表1の場合,表が示す最も高い月額帯は,義務者の年収が上限(2,000万円)かつ権利者の年収が下限に近い場合で,月額24~26万円である。

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無職・退職・休職と潜在的稼働能力(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 実収入原則とその例外
第3 潜在的稼働能力を認定するための判断枠組み
第4 収入を推認する際に考慮される要素
第5 退職から再就職までの移行期間
第6 健康上・監護上の事情をどう評価するか
第7 既に相応の努力をして稼働している場合の限界
第8 自己都合による転職・退職の扱い

1 自己研鑽等を理由とする転職は容認されにくい
2 資格取得等,正当な理由がある場合は容認され得る

第9 親族企業等で給与額に本人の意向が影響する場合
第10 強制執行を免れる目的で退職した例
第11 賃金センサスの使い方
第12 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

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養育費はいつから請求できるか―離婚後の過去分・法定養育費・調停申立ての始期(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 通常の養育費の始期―原則は請求時
第3 法定養育費という第二の始期―離婚の日から
第4 認知後の養育費―出生時か,認知の日か

4-1 通常の養育費―大阪高等裁判所平成16年決定
4-2 法定養育費―認知に準用された場合の始期

第5 離婚後の元配偶者という文脈―婚姻費用の「将来分」制約との違い
第6 離婚前の別居期間の監護費用の一括処理―離婚訴訟の附帯処分
第7 今すぐ動くべき理由
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,養育費を「いつから」請求できるか,すなわち始期の問題を扱う。
養育費の始期には,性質の異なる複数のものが併存しており,これを整理せずに一つの原則だけで理解しようとすると誤解を招きやすい。

具体的には,①協議・調停・審判によって金額が定まる通常の養育費の始期,②令和6年民法等改正で新設された法定養育費(民法766条の3)の始期,③認知によって親子関係が生じた場合に,この①②それぞれにどのような影響が生じるか,④離婚前の別居期間中の監護費用を離婚訴訟の中で一括して処理できるかという4つの論点を扱う。

養育費の適正額の算定方法及び算定表の見方は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で,法定養育費及び養育費債権の先取特権の発生要件・金額・経過措置の詳細は,法定養育費と養育費債権の先取特権(AI作成)で,それぞれ説明している。
本記事は,これらを前提とした上で,「いつから」という一点に絞って掘り下げる。
養育費がいつまで支払われるかという終期の問題は,養育費は18歳・20歳・大学卒業のいつまでか―未成熟子と支払終期(AI作成)で別に説明している。

第2 通常の養育費の始期―原則は請求時

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家庭内別居・同居中の婚姻費用(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 婚姻費用は同居中でも請求できる
第3 家庭内別居の判断・立証
第4 計算上の課題

1 住居費の二重計上問題
2 光熱費等,同居ゆえに分離しにくい費目

第5 終期の実務上の表現
第6 有責性・請求開始時期との関係
第7 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 関連記事

第1 この記事が扱う場面

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養育費で相手の年収が分からない場合―収入資料・収入推計・裁判所での確認方法(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 まず法定養育費を請求できる―相手の年収が分からなくても
第3 情報開示命令―養育費事件でも使える収入開示の求め方

1 要件と対象
2 開示しない場合・虚偽開示の場合の効果

第4 調査嘱託・文書提出命令という手段
第5 収入資料の信用性が疑わしい場合―賃金センサスによる推計
第6 勤務先も分からない場合―先取特権を使った情報取得

1 先取特権があれば債務名義なしで動ける
2 給与情報を取得できる場合とできない場合

第7 離婚後に特有の注意点
第8 今すぐ動くべき理由
出典

第1 本記事の対象範囲
本記事は,養育費を請求する場面で,相手方(義務者)の年収が分からない場合に何ができるかを扱う。
離婚後は,別居中の婚姻費用の場面と異なり,相手方との日常的な接触が乏しく,源泉徴収票等の収入資料を得にくいことが多い。

源泉徴収票,給与明細等を入手済みであり,どの金額を算定表へ入れるかだけが問題となる場合は,養育費算定表に入れる給与年収で説明している。
本記事は,資料が得られない場合の取得方法,情報開示及び収入推計を担当する。

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高額所得者の婚姻費用(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 標準算定方式の上限額
第3 上限を超える場合の算定方法の全体像
第4 上限額をそのまま採用する方法
第5 基礎収入の割合を修正する方法・貯蓄率を控除する方法

1 基礎収入の割合を修正する方法
2 貯蓄率を控除する方法

第6 同居中の生活レベル等から算定する方法
第7 収入水準に応じた使い分け
第8 婚姻費用の月額に上限があるかという論点
第9 養育費との違い
第10 確認順序
出典

1 法令
2 裁判例
3 文献
4 関連記事

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私立学校・大学・留学の学費は養育費に加算できるか―標準教育費と超過分の計算(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 算定表に含まれている教育費と含まれていない教育費
第3 超過分を義務者に負担させるための要件
第4 超過分の計算方法―複数の考え方
第5 私立学校(幼稚園・小中高)の費用
第6 大学の費用

1 大学生の生活費指数と加算の基本的な考え方
2 国立大学の学費標準額という基準
3 子ども自身の奨学金・アルバイト収入の影響
4 医科・歯科大学等の高額な専門職学部

第7 海外留学の費用
第8 進学前にしておくべきこと
出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,子が私立学校,大学又は海外留学に進学・進学予定である場合に,その学費を養育費・婚姻費用へ加算できるか,加算できるとしていくら加算するかを扱う。

対象とする論点は,①養育費の算定表(標準算定方式)が既にどの範囲の教育費を織り込んでいるか,②織り込まれていない教育費を義務者に負担させるための要件,③加算額の具体的な計算方法,④私立学校・大学・海外留学という進学先ごとの考慮要素の違いである。

養育費の額の算定方法及び生活費指数の基本的な計算は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違いで説明している。
算定表の額に違和感がある場合の一般的な確認順序は,養育費算定表がおかしい?―高すぎる・安すぎると感じたときの確認方法と増減額で扱っており,本記事はこれと重複する範囲を避け,教育費の加算という論点に絞って掘り下げる。
子が成年に達した後も養育費の対象となるかという未成熟子性・支払終期の問題は,養育費は18歳・20歳・大学卒業のいつまでか―未成熟子と支払終期で扱っており,本記事は,子が引き続き養育費の対象となることを前提に,学費の加算額を検討するものである。

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婚姻費用に私立学校・大学の学費と高額医療費を加算できるか|特別費用の分担方法(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 本記事で扱わない事項

第2 標準算定方式に既に含まれている範囲
第3 特別費用を義務者に分担させるための要件
第4 超過分の分担方法をめぐる2つの考え方
第5 私立小中高等学校・幼稚園・塾の費用

1 基本的な考え方と按分の実例
2 高等学校等就学支援金の扱い

第6 大学の学費

1 未成熟子として扱われる期間
2 奨学金・アルバイト収入との関係
3 義務者が私立進学を承諾していない場合の扱い

第7 医科・歯科大学の学費と扶養義務の限界
第8 高額医療費

1 標準額を超える部分の按分
2 減額事情としても主張され得ること

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養育費は18歳・20歳・大学卒業のいつまでか―未成熟子と支払終期(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 養育費は「未成熟子」に対する義務である
第3 成年年齢引下げは,養育費の終期を当然に18歳とするものではない
第4 既存の合意(令和4年4月より前)の「成年」は20歳のまま
第5 これから取り決める場合の終期の定め方

1 特段の事情がなければ20歳が一つの目安
2 大学卒業まで支払う場合の注意点

第6 心身の障害等で就労できない場合
第7 いつまでに動くべきか

1 一方的に18歳で打ち切ることはできない
2 成年到達後にまとめて請求できる場合がある

出典

第1 本記事の対象範囲

本記事は,父母が離婚した子について,養育費をいつまで支払う(受け取る)ことができるかを扱う。
令和4年4月1日に民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより,「養育費は18歳までなのか,20歳までなのか,大学卒業まで続くのか」という疑問を持つ読者が多いと考えられる。

対象とする論点は,①養育費の支払終期を決める基本的な考え方,②成年年齢引下げが既存の取決めに与える影響,③これから養育費を取り決める場合の終期の定め方,④心身の障害等により就労できない場合の扱い,⑤終期をめぐって動くべき時期の5つである。

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不貞・無断別居をした配偶者は婚姻費用を請求できるか|有責性と子の生活費(AI作成)

第1 この記事が扱う場面

1 対象とする問い
2 「有責配偶者からの離婚請求」とは別の問題である

第2 婚姻費用分担義務は有責性を要件としていない
第3 破綻自体を減額事由とする考え方とこれに対する疑問
第4 現在の実務の到達点:信義則・権利濫用による制限
第5 「無断で家を出た」ことは当然に有責性を意味しない

1 同居義務と別居の「正当な理由」
2 別居原因の実質を検討した裁判例

第6 不貞が問題となった裁判例の類型
第7 有責性が認められた場合の制限の程度

1 請求者本人の生活費部分を全部否定した例
2 権利濫用とまでは言えないが減額にとどめた例

第8 夫婦双方に責任がある場合の割合的減額
第9 未成熟子の監護費用相当部分は原則として維持される
第10 有責性の主張立証と審理の程度
第11 請求する側・請求される側の確認順序
出典

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婚姻費用が支払われない場合|履行勧告・給与差押え・令和8年の先取特権(AI作成)

第1 本記事の対象と読み方

1 対象とする場面
2 本記事で扱わない事項

第2 取決めの形式によって利用できる制度が異なる
第3 履行勧告

1 要件と申出の方法
2 効果と限界

第4 履行命令

1 要件
2 効果と限界

第5 金額を決める段階の情報開示命令と,履行がない段階の対応は別の問題

1 家事事件手続法152条の2は審判・調停の手続の中で使う制度である
2 金額が決まった後,履行がない場合の財産調査

第6 通常の強制執行(債務名義に基づく差押え)

1 基本的な仕組み

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再婚・養子縁組・新しい子がいる場合の養育費―減額の可否と再計算方法(AI作成)

第1 本記事の対象範囲
第2 再婚・養子縁組は当然に養育費を変えない

1 変更には家庭裁判所の手続を要する
2 普通養子縁組と特別養子縁組の違い

第3 義務者側に新たな家族が増える場合

1 義務者が再婚しただけの場合
2 義務者と再婚相手との間に実子が生まれた場合
3 義務者が再婚相手の連れ子と養子縁組した場合

第4 監護親の再婚相手が対象児と養子縁組した場合

1 養親が第一次的な扶養義務者になる理由
2 養親の資力不足はどう判断されるか
3 「養子縁組すれば必ずゼロ」ではない

第5 養子縁組していない場合―事実上の扶養と養育費
第6 父母双方に事情が生じた場合
第7 従前の合意額を上回る部分の扱い
第8 いつから効力を持つか,どこに相談するか

1 変更の効力発生時期は一律に決まらない
2 一方的に止めず,まず通知する

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養育費の取り決め方―共同養育計画書・合意書・公正証書・調停調書の違い(AI作成)

第1 この記事の対象と読み方1 文書の種類は「合意の有効性」ではなく「支払われないときに何ができるか」で選ぶ2 この記事で扱わない事項第2 四つの選択肢の法的性質1 私的な合意書(共同養育計画書を含む)2 執行認諾文言付き公正証書3 調停調書4 審判・離婚判決の附帯処分及び訴訟上の和解第3 法務省の共同養育計画書とは何か1 制度の目的と作成の手順2 記載する事項の全体像3 私署証書としての証拠力を高める工夫第4 先取特権が新設された後も公正証書等を作成する実益1 月額8万円という分岐点2 履行勧告とワンストップ化という分岐点第5 条項の設計―何を,どこまで具体的に決めるか1 金額,支払開始月及び終期2 毎月の支払日及び振込先3 私学費・大学費用・医療費という特別な出費4 収入変動時の再協議5 監護者変更及び連絡先変更第6 文書の選び方(まとめ)第7 弁護士・公証人に相談すべき場面出典1 法令2 裁判所及び法務省の案内

第1 この記事の対象と読み方
1 文書の種類は「合意の有効性」ではなく「支払われないときに何ができるか」で選ぶ

養育費の取決めは,口約束でも契約として有効である。
しかし,支払われなかったときに何を経由せずに強制執行へ進めるか,そして先取特権を実行するための証拠として使えるかという点で,文書の種類によって使える手段が異なる。

本記事は,令和8年に法務省が公表した共同養育計画書を中心に,私的な合意書,執行認諾文言付き公正証書,調停調書という四つの選択肢を比較し,条項として何をどこまで具体的に決めておくべきかを整理するものである。
先取特権(民法308条の2)が新設された後も公正証書等を作成する実益がどこに残るかという点は,第4で正面から扱う。

2 この記事で扱わない事項

養育費の適正額の算定方法及び算定表の見方は,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で説明している。

法定養育費及び養育費債権の先取特権の発生要件,金額の基準,経過措置は,法定養育費と養育費債権の先取特権(AI作成)で詳しく説明している。
本記事は,この要件論を前提とした上で,取決めの段階でどの文書を選ぶかという予防法務の視点に焦点を当てる。

取決めをしたにもかかわらず養育費が支払われなくなった場合の履行勧告,差押えの優遇,財産開示・情報取得のワンストップ化,消滅時効及び一部弁済の充当は,養育費を払わない場合の回収方法―履行勧告・給与差押え・先取特権・ワンストップ執行(AI作成)で説明している。
本記事と同記事は表裏の関係にあり,本記事は「これから取り決める」場面,同記事は「取決め後に支払われない」場面を扱う。

第2 四つの選択肢の法的性質

養育費の取決めの文書には,主に,私的な合意書(共同養育計画書を含む),執行認諾文言付き公正証書,調停調書,審判・離婚判決の附帯処分という四つの選択肢がある。
以下,それぞれの法的性質を条文に即して整理する。

1 私的な合意書(共同養育計画書を含む)

父母双方が署名・押印した合意書は,契約として有効であり,養育費の分担義務(民法766条)を発生させる。
もっとも,これは民事執行法22条が定める債務名義のいずれにも該当しない。
そのため,合意書に記載された金額が支払われない場合,合意書それ自体を根拠として直ちに強制執行を申し立てることはできず,別途,養育費請求調停・審判等を申し立てて債務名義を取得する必要がある。

他方で,合意書は,養育費債権の先取特権(民法308条の2)を実行するための「担保権の存在を証する文書」(民事執行法193条1項)として用いることができる。
この点の具体的な範囲は,第4で扱う。

2 執行認諾文言付き公正証書

民事執行法22条5号は,債務名義の一類型として次のとおり定める。

「金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で,債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載され,又は記録されているもの(以下「執行証書」という。)」

養育費は金銭の支払を目的とする請求であるから,この執行証書の要件を満たす公正証書(実務上「執行認諾文言付き公正証書」と呼ばれる)を作成すれば,合意された金額について,訴訟や調停を経ることなく直ちに強制執行を申し立てることができる。
作成には公証人の関与を要し,原則として父母双方(又はその代理人)が公証役場に赴く必要がある。

3 調停調書

家事調停で養育費の合意が成立し,これが調書に記載されると,家事事件手続法268条1項により,次の効力が生じる。

「調停において当事者間に合意が成立し,これを調書に記載したときは,調停が成立したものとし,その記載は,確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては,確定した第三十九条の規定による審判)と同一の効力を有する。」

養育費の分担は家事事件手続法別表第二の事項に当たるため,調停調書は,確定した家事審判と同一の効力を持つという特則が適用される。
調停の成立には家庭裁判所への出頭を要するため,公正証書よりも手続的な負担がかかり得るが,家庭裁判所が関与した取決めであるため,後述する履行勧告の対象となる。

4 審判・離婚判決の附帯処分及び訴訟上の和解

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一度決まった婚姻費用は増額・減額できるか|事情変更・申立時期・必要資料(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と読み方
第2 増減額の法的根拠
第3 「事情変更」と認められるための3つの要件
第4 収入の増減が事情変更となるか

1 増減の程度
2 意図的な収入操作が疑われる場合

第5 退職・転職・失業した場合

1 退職と事情変更
2 退職後の収入認定

第6 子の成長・進学・教育費

1 年齢の上昇それ自体
2 進学・私立学校の学費
3 高額な医療費

第7 再婚をした場合

1 事情変更と信義則
2 予測可能性の時間的な目安
3 実子の誕生は別に扱われる

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養育費を払わない場合の回収方法―履行勧告・給与差押え・先取特権・ワンストップ執行(AI作成)

第1 この記事の対象と読み方1 回収方法は,手元にある文書の種類によって変わる2 この記事で扱わない事項第2 七つの出発点と利用できる制度第3 履行勧告・履行命令――費用をかけずに使える第一段階1 履行勧告の要件,申出先及び方法2 履行命令――過料という制裁を伴う一段階上の手段3 履行勧告・履行命令を利用できない文書類型第4 先取特権――債務名義がなくても使える担保権としての差押え1 私的合意書でも先取特権を使えるか2 口約束だけの場合に立証で直面する壁第5 給与等の差押えにおける養育費の優遇1 差押可能範囲が2分の1に拡大される特則2 期限未到来の将来分もまとめて差し押さえられる特則第6 財産開示・情報取得とワンストップ化1 相手の勤務先や取引金融機関が分からない場合2 ワンストップ化の仕組みと利用できる債権者の範囲第7 消滅時効――回収をあきらめる前に確認すべき期間制限1 毎月の養育費は個別に時効にかかる2 確定判決等によって定められた過去分の特則第8 一部だけ支払われた場合の充当1 充当の順序は誰が決めるか2 合意で充当順序を決めておく実益第9 弁護士に相談すべき場面と準備しておく資料1 自分で対応できる場面と弁護士が必要になる場面2 相談前に整理しておく事項出典1 法令2 裁判所及び法務省の案内

第1 この記事の対象と読み方
1 回収方法は,手元にある文書の種類によって変わる

養育費が支払われなくなったとき,どの回収方法を選べるかは,養育費の取決めがどのような文書として残っているかによって異なる。
口約束しかない場合,私的な合意書がある場合,執行認諾文言付きの公正証書がある場合,調停調書や審判がある場合,離婚判決の附帯処分で定められた場合,取決めをしないまま離婚して法定養育費(民法766条の3)が発生している場合では,利用できる制度の組合せが異なる。

本記事は,この「今,手元に何があるか」という起点から,履行勧告,養育費に特有の差押えの優遇,先取特権,財産開示・情報取得のワンストップ化,消滅時効及び一部弁済の充当という順序で,利用できる回収手段を整理するものである。
養育費算定表による金額の算定方法,及び法定養育費・先取特権の要件そのものの詳細は,別記事に譲る。

2 この記事で扱わない事項

養育費の適正額の算定方法,算定表の選び方及び法定養育費との違いは,養育費算定表の見方,計算方法及び法定養育費との違い(AI作成)で説明している。

法定養育費(民法766条の3)及び養育費債権の先取特権(民法308条の2)の発生要件,金額の基準,経過措置及び主張・立証上の問題は,法定養育費と養育費債権の先取特権(AI作成)で詳しく説明している。
本記事は,この要件論を前提とした上で,実際の回収手段の選び方に焦点を当てる。

債権差押命令の一般的な申立方法,第三債務者に対する陳述催告,取立て及び配当の実務は,債権差押命令の申立てと取立て・配当の実務(AIリライト)で説明しており,同記事の第9では養育費等の債権執行の特例にも触れている。
本記事は,同記事と重複する範囲をできる限り避け,養育費の回収に固有の判断順序,履行勧告,消滅時効及び弁済の充当という,同記事が扱っていない部分を中心に扱う。

強制執行を受けた側が取り得る対抗手段は,強制執行に対する債務者の対抗手段(AIリライト)で説明している。

第2 七つの出発点と利用できる制度

養育費の取決めの状態は,おおむね次の七つに分類できる。
それぞれについて,履行勧告・履行命令,先取特権に基づく差押え,通常の強制執行という三つの制度を利用できるかを整理すると,次の表のとおりとなる。

出発点履行勧告・履行命令先取特権に基づく差押え通常の強制執行

①口約束のみ利用できない理論上は排除されないが,額・支払期を示す文書がなく立証が困難利用できない(債務名義がない)
②私的合意書(公正証書化していないもの)利用できない文書による立証がしやすく,月8万円を上限に利用できる利用できない(債務名義がない)
③執行認諾文言付き公正証書利用できない利用できる利用できる(債務名義に当たる)
④調停調書利用できる利用できる利用できる(債務名義に当たる)
⑤審判利用できる利用できる利用できる(債務名義に当たる)
⑥離婚判決の附帯処分・訴訟上の和解利用できる利用できる利用できる(債務名義に当たる)
⑦法定養育費(取決めなし)利用できない(家庭裁判所の裁判で定められた義務ではないため)利用できる(民法766条の3に基づく先取特権)利用できない(債務名義がない)

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別居中の婚姻費用と住宅ローン|誰が住み,誰が返済するかで変わる計算方法(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と読み方
第2 住宅ローンの支払には「住居費」と「資産形成」という二つの性質がある

1 二つの側面
2 別居時に住んでいない側にとっては,専ら資産形成の費用になる

第3 原則:住宅ローンは婚姻費用の計算に影響しない

1 なぜ全額を差し引いてもらえないのか
2 住宅がオーバーローン(債務超過)の状態でも結論は変わらない

第4 例外:「二重負担」になっている場合だけ調整される

1 二重負担とは何か
2 調整方法の基本形――権利者の標準的住居関係費相当額を控除する
3 控除額には上限がある
4 控除の基準を義務者側の収入に置いた例もある

第5 誰が住み,誰が返済しているかで整理する9つの型
第6 有責配偶者が住宅ローンを払っている場合
第7 権利者に収入がない場合の考え方

1 権利者に現実の収入がなければ,二重負担の調整の前提を欠くことがある
2 権利者に収入がない場合,逆に義務者の負担が増える方向に働く場面もある

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養育費算定表がおかしい?―高すぎる・安すぎると感じたときの確認方法と増減額(AI作成)

第1 算定表がおかしいと感じたときの確認順序

1 初めて計算する場合と既存額を変える場合を分ける
2 算定表は標準額の出発点である
3 8項目を順番に確認する

第2 表・年齢・収入の入力を確認する

1 子の人数と年齢に対応する表を使う
2 給与所得者は手取りではなく総収入を使う
3 自営業者は申告所得をそのまま使うとは限らない
4 収入の変動と稼働能力を分けて考える

第3 算定表に含まれる費用を二重計上しない

1 標準額は費目ゼロからの足し算ではない
2 私立学校費・大学費用
3 特別医療費・障害に伴う費用
4 住宅ローン・家賃・直接払い

第4 算定表をそのまま使えない場合

1 収入が算定表の上限を超える場合
2 低所得・無収入の場合
3 父母双方が相当の日数を監護する場合

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相手が収入資料を出さない場合の婚姻費用|収入の推計・情報開示命令・必要資料(AI作成)

第1 相手方が収入資料を出さなくても婚姻費用は判断できる

1 資料不提出だけで審理は止まらない

2 最初に区別する三つの収入問題

3 収入資料が揃う前でも請求できる

第2 給与・事業・年金等の必要資料

1 給与所得者

2 自営業者・法人経営者

3 年金・給付・無収入

4 資料の対象年と現在性

第3 収入を明らかにする四つの手続

1 当事者への情報開示命令

2 勤務先等への調査嘱託・報告要求

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別居中の生活費(婚姻費用)はいつから請求できるか|請求方法・必要書類・調停・審判(AI作成)

第1 別居中の婚姻費用と請求の始期

1 別居しても婚姻費用の分担義務は消えない
2 家庭裁判所の実務では明確に請求した時が中心となる
3 別居日まで遡るかは個別事情によって決まる

第2 最初に行う請求と証拠の残し方

1 本人間の請求は調停申立ての法律上の前提ではない
2 請求書面には対象,始期,金額及び支払方法を書く
3 請求を繰り返すより申立てへ移る基準を決める

第3 申立てに必要な書類と資料

1 裁判所へ提出する基本書類
2 始期,収入及び既払額を示す資料
3 相手方が収入資料を出さない場合

第4 婚姻費用分担調停の申立て

1 申立人,管轄,費用及び申立方法
2 調停では収入,始期,金額及び支払方法を話し合う
3 調停成立後は調停調書に基づく履行確保が可能となる

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養育費算定表で子供2人はいくらか―表3~5の選び方と一人当たり額の計算(AI作成)

第1 「子供2人はいくらか」に固定額で答えられない理由

1 算定表が示すのは収入と年齢に応じた標準額

2 表の月額は2人分の合計

第2 表3・表4・表5の選び方

1 2人の年齢構成で表を決める

2 現在の年齢区分は0歳~14歳と15歳以上

第3 父母の収入を表へ当てはめる方法

1 義務者は縦軸,権利者は横軸

2 裁判所の設例では2人分が月額10万円~12万円

第4 一人当たり額の計算

1 2人が同じ年齢区分なら合計額を2分の1ずつにする

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ペアローンを組んだ夫婦の離婚と財産分与――評価,連帯保証・求償の帰趨及び課税(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 検討の対象と時点2 この記事が扱わない範囲第2 ペアローンという住宅ローンの仕組み1 契約構造――二本の契約と相互連帯保証2 連帯債務型・収入合算型との違い3 団体信用生命保険の加入形態第3 財産分与の対象となる範囲及び基準1 夫婦共有財産の推定2 負担割合・持分割合・返済実態の食い違い3 基準時及び評価時点第4 不動産の評価とオーバーローンの処理1 評価の方法2 オーバーローンの場合の清算第5 分与の実行と債務関係の帰趨1 財産分与の合意・判決だけでは債務関係は解消しない2 免責的債務引受による整理と金融機関の審査第6 事前の合意・誓約書による定めの効力1 婚姻中の夫婦間契約の取消権の廃止2 財産分与に関する事前合意と家庭裁判所の裁量3 不貞等を条件とする合意の公序良俗適合性4 財産分与と慰謝料の関係第7 課税上の取扱い1 財産分与による資産移転と譲渡所得課税2 オーバーローンの場合の課税3 居住用財産の3000万円特別控除4 財産分与と贈与税5 住宅ローン控除の承継第8 手続上の留意点及び除斥期間1 財産分与請求権の期間制限2 裁判例の乏しさと和解による解決の実情3 事前に確認すべき事項出典・参考資料1 法令・通達2 裁判例3 公的資料4 ウェブ資料

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

住宅価格の高騰を背景に,夫婦のそれぞれが住宅ローンを組んで一つの不動産を取得する「ペアローン」の利用が広がっている。共同通信は,令和8年8月17日,ペアローンで購入したマンションについて夫婦が離婚し,財産分与の内容をめぐって訴訟に至った事案を伝えている(もっとも,同記事には裁判所名及び事件番号が示されておらず,本記事はこの事案を裁判例として扱うものではない。あくまで,ペアローンを組んだ夫婦の離婚がどのような法律問題を伴うかを考える手掛かりとして紹介するにとどめる)。本記事は,令和8年8月21日現在の法令及び公表資料に基づき,ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合に生じる財産分与上の論点を整理するものである。生成AIを用いて住宅金融支援機構及び金融機関の公表資料,国税庁の公表資料並びに裁判所ウェブサイト掲載の裁判例を通読し,条文及び内容を原典と照合した上で構成した。

財産分与をめぐる紛争は,令和6年法律33号による民法改正(令和8年4月1日施行)によって請求期間及び分与割合の考え方が変わったところであり,ペアローン特有の論点を検討する前提として,この改正の内容を踏まえておく必要がある。改正の詳細は第8で述べる。

2 この記事が扱わない範囲

財産分与の基準時,評価時点及び清算割合という一般的な枠組みは,離婚時の財産分与と税金で既に整理している。自社株式や事業用財産という他の財産類型に固有の論点は,それぞれ経営者の離婚と自社株式の財産分与及び個人事業主の離婚と財産分与で扱っている。本記事は,これらと重複する一般論を繰り返さず,ペアローンという住宅ローンの契約構造に固有の論点――住宅ローンの負担割合と財産分与の関係,離婚後の債務者・連帯保証人の処理,及びこれに伴う課税上の取扱い――に絞って検討する。

第2 ペアローンという住宅ローンの仕組み

1 契約構造――二本の契約と相互連帯保証

「ペアローン」とは,一つの物件について,夫婦などの二人がそれぞれ単独の債務者として別個の住宅ローン契約を結び,互いに相手方の連帯保証人になる仕組みをいう。住宅金融支援機構「【フラット35】ペアローン」は,「1つの物件に対し,ご夫婦,親子,パートナーなどがそれぞれ単独で借入申込みを行い,2つの【フラット35】を併せて利用することができる制度」と説明する。三井住友銀行の商品説明も,「1つの住宅に対して,夫婦などの2人が住宅ローンの債務者(主債務者)となり相互に連帯保証人になる仕組み」とする。すなわち,法的には二本の金銭消費貸借契約と,相互の連帯保証契約が組み合わさったものである。

2 連帯債務型・収入合算型との違い

住宅金融支援機構は,ペアローンと「連帯債務型」を明確に区別している。連帯債務型は,夫婦などが一本のローン契約について連帯して債務を負担する仕組みであり,契約が一本である点でペアローン(契約が二本)と異なる。このほか,主債務者を一人に絞り,他方は連帯保証人にとどまる「収入合算(連帯保証型)」もある。

この違いは,住宅ローン控除(租税特別措置法41条)の適用範囲にも表れる。ペアローンでは各契約者がそれぞれ独立して控除の対象となるのに対し,連帯債務型では一本のローンを各人の負担割合に応じて按分した額が各人の控除対象となる(国税庁質疑応答事例「共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算」)。収入合算型では,連帯保証人にとどまる者は自ら債務者として控除を受ける立場にない。この差異は,離婚時に「誰が何を負っているか」を確認する出発点になる。

3 団体信用生命保険の加入形態

団体信用生命保険(団信)についても,ペアローンでは契約者それぞれが個別に加入するため,一方が死亡等した場合にはその者の残高のみが保険金で弁済され,他方の債務は残る。住宅金融支援機構の説明も,「一方のお客さまに万が一のことがあった場合でも,もう一方のお客さまはご自身の債務について返済を継続する必要があります」とする。この点は,連帯債務型の一部商品で夫婦連生の団信が用意されている場合があるのとは異なり,ペアローンでは各人の債務が独立して存続することを意味する。

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婚姻費用算定表の見方,計算方法と特別事情(AI作成)

第1 この記事が扱う婚姻費用算定表

1 現行の標準は令和元年版である

2 算定表は法令でも自動計算機でもない

第2 婚姻費用の法的根拠と養育費との違い

1 民法760条が定める分担義務

2 子の年齢区分は終期を定める基準ではない

3 話合いがまとまらない場合の手続

第3 表10~19の選び方

1 子の人数と年齢に対応する10種類

2 表を選ぶ前に扶養関係を確定する

第4 年収を入れて算定表を読む方法

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