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親族が遺体・遺骨の引取りを拒む・条件を付ける・連絡がつかないとき-成年後見人の対応と意向照会書(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 対象と基準日

本記事は,成年被後見人が危篤となり,又は死亡したときに,相続人となる親族が,遺体や遺骨の引取りを拒み,引取りに条件を付け,又は連絡がつかないという場面で,成年後見人が何をどの順序で行うかを整理するものである。
基準日は令和8年9月18日であり,法令は同日にe-Gov法令検索で確認した現行条文による。
元後見人の死後事務の権限の全体像は成年被後見人が死亡した後に元後見人ができること-民法873条の2の死後事務と事務管理で,墓地埋葬法・葬祭扶助・遺骨の帰属・葬儀費用の負担は葬儀・火葬の実施で扱っている。
本記事はこれらと重複する説明を最小限にとどめ,親族が「動かない」「条件を付ける」「つかまらない」という場面に絞る。

2 結論

①親族が「引き取らない」と言っていることは,それだけでは,後見人が火葬や納骨をすることに反対する意思表示とは限らない。
②「DNA鑑定をしなければ引き取らない」といった条件には,後見人は応じる権限を持たない。法律上の親族関係は戸籍と裁判手続で決まり,鑑定結果だけで当然に変わるものではない。
③相続人と連絡がつかないことは,民法873条の2に基づく死後事務の妨げにならない。
④最も効果があるのは,本人の危篤の段階で,火葬への異議の有無,遺骨の引取りの有無,引き取らない場合の納骨の方法を分けて書面で尋ね,回答がないときの方針まで伝えておくことである。

第2 三つの場面の区別

1 引取りを拒む場合

親族が「自分は引き取らない」「関わりたくない」と言う場面である。
遠方に住んでいる,本人と長く疎遠だった,費用の負担を避けたいなど,理由はさまざまである。
この場面で問題になるのは,親族の言葉が「自分は動かない」という意味なのか,「火葬も納骨もするな」という意味なのかである。

2 条件を付ける場合

親族が「本当に血がつながっているか分からないので,DNA鑑定をしてくれなければ引き取らない」「こちらの指定する葬儀をしなければ引き取らない」などと,引取りに条件を付ける場面である。
条件の中身が,後見人の権限の中で実現できるものか,そもそも権限の外にあるものかを見分ける必要がある。
また,条件付きの拒否には,火葬そのものを止めてほしいという意思が含まれていることがあるので,その点を確かめる必要がある。

3 連絡がつかない場合

相続人の所在は分かっているが電話に出ない,郵便を送っても返事がない,死亡の連絡をしても応答がないという場面である。
「反対されている」のではなく「連絡が取れない」のであれば,扱いは大きく異なる。

第3 民法873条の2の「相続人の意思に反することが明らかなとき」

1 条文

民法873条の2は,「成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」と定める。
3号は「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)」である。
したがって,火葬や納骨に関する契約を結ぶには家庭裁判所の許可(以下「3号許可」という。)が必要であり,かつ,相続人の意思に反することが明らかなときはできない。

2 相続人の同意は要件ではない

条文が除外しているのは「相続人の意思に反することが明らかなとき」であって,相続人の同意を得ることを要件にしているわけではない。
大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター編「【全訂版】成年後見人の実務2023」(大阪弁護士協同組合,2023年)128頁~129頁は,相続人の意思を確認することは求められていないから,相続人はいるがすぐに連絡が取れないなどの場合であれば死後事務を行うことは可能であるとしている(前記の元後見人の記事で紹介している)。
そのため,連絡がつかないことは,死後事務の妨げにはならない。

3 「引き取らない」と「火葬に反対する」は違う

親族が「引き取らない」と言うとき,その意味は,多くの場合,自分で遺体を引き取り,火葬や葬儀を手配し,遺骨を持ち帰ることはしないという意思である。
これは,後見人が3号許可を得て火葬や納骨をすることに反対する意思とは別のものである。
本記事では,引取りの拒否だけでは「相続人の意思に反することが明らか」には当たらず,3号許可による火葬・納骨の妨げにならないと考える。
むしろ,相続人が自ら動かないからこそ,後見人が死後事務を行う「必要があるとき」に当たりやすい。

4 条件付きの拒否をどう読むか

「DNA鑑定をしなければ引き取らない」という言葉も,それだけでは,自分が引き取る条件を述べたにとどまり,後見人が火葬することへの反対とまでは言えないことが多いと考えられる。
他方,親族が「鑑定が済むまで火葬するな」と明言した場合は,火葬への反対の意思が明らかであると評価される可能性がある。
遺体は長く保存できないから,この場合が最も対応に困る場面である。
その場合は,①鑑定を求める親族自身が,期限を区切って自らの費用と手配で鑑定を行うよう促し,②その経過と親族の意思表示の内容を記録し,③家庭裁判所に事情を説明して相談するという順序になる。
いずれにしても,親族の言葉を「引取りの拒否」と「火葬への反対」に分けて,その言葉どおりに記録しておくことが,死亡後に迷わないための要点である。

第4 DNA鑑定などの条件に後見人は応じるべきか

1 後見人には検体採取に同意する権限がない

DNA鑑定のために本人の口腔粘膜や血液を採取することは,本人の身体への侵襲を伴う。
現行の民法には,成年後見人に医的侵襲への同意権を与える規定がない(成年後見人の医療行為の同意)。
しかも,親族のために本人の遺伝情報を取らせることは,本人の財産管理にも本人の身上の保護にも当たらない。
したがって,後見人は,本人の生前に,親族の求める鑑定に応じる必要はなく,応じる権限もないと説明してよいと考えられる。

2 法律上の親族関係は戸籍と裁判手続で決まる

兄弟姉妹であるかどうかは,共通の父母との間の法律上の親子関係によって決まる。
法律上の親子関係は,戸籍に記載されたとおりに推定されており,これを争うには親子関係不存在確認の訴え等の裁判手続が必要である。
最高裁平成26年7月17日判決(平成24年(受)第1402号,民集68巻6号547頁)は,嫡出の推定を受ける子について,夫との間に生物学上の父子関係が認められないことが「科学的証拠により明らか」であるなどの事情があっても,親子関係不存在確認の訴えをもって父子関係の存否を争うことはできないとした(裁判所HP)。
この判決は嫡出推定の及ぶ父子関係についてのものであるから,あらゆる親族関係に当てはまるわけではない。
それでも,鑑定の結果だけで戸籍上の身分関係や相続人の地位が当然に変わるわけではないことは,親族への説明として押さえておいてよい。
DNA鑑定と身分関係・相続の関係は,DNA鑑定で兄弟・親子関係と相続は変わるかで詳しく扱っている。

3 親族に渡すべきものは鑑定ではなく戸籍

親族が「本当に血縁があるのか」と疑っているのであれば,必要なのは鑑定ではなく,親族自身が自分の戸籍をたどり,共通の父母を確かめることである。
後見人の側では,本人の死亡後,管理計算の報告と財産の引継ぎのために相続人を確認する。
戸籍法10条の2第1項1号は,「自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合」に戸籍謄本等の交付請求を認めており,元後見人の引継ぎのための相続人調査はこれに基づいて行うことができるとされている(前記の元後見人の記事で紹介している)。
前記「【全訂版】成年後見人の実務2023」134頁は,生前に将来の引継ぎの相手を調べるための戸籍調査は認められていないとする一方で,医療同意や身上監護に関する親族の意向確認のための調査までは否定されていないとしている。

4 死亡後の遺体からの検体

本人の死亡後に,親族が遺体から検体を取って鑑定したいと言うことがある。
遺体や遺骨の管理は,後見人の職務ではなく,祭祀を主宰すべき者を中心とする遺族側の判断の領域に属すると考えられる。
後見人としては,その手配を引き受けることも,妨げることもせず,希望があることを病院に伝えておくにとどめるのが穏当である。
ただし,火葬までの時間は限られているので,親族が本当に鑑定を望むのであれば,死亡前に本人の検体によらない方法(親族自身の戸籍の確認等)で疑問を解消しておくよう勧めることが実際的である。

第5 連絡がつかない場合

1 死後事務はできる

前記のとおり,民法873条の2は相続人の同意を要件としていない。
連絡がつかない相続人がいても,後見人は,必要があれば1号・2号の行為を行い,3号許可を得て火葬等に関する契約を結ぶことができる。
3号許可の申立先は,家事事件手続法117条2項により,後見開始の審判をした家庭裁判所である(本人の死亡地や相続開始地の家庭裁判所ではない)。

2 本人の資力で道を分ける

本人に火葬費用を支払えるだけの預貯金等があれば,3号許可を得て,本人の財産から火葬・納骨の費用を支出するのが基本である。
本人に資力がなければ,行政の受け皿を使う。
墓地,埋葬等に関する法律9条1項は,「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない」と定め,同条2項は,その費用について行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用している。
生活保護法18条2項1号は,被保護者が死亡した場合において「その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき」に,その葬祭を行う者に対して葬祭扶助を行うことができるとし,同条1項4号は葬祭扶助の範囲に「納骨その他葬祭のために必要なもの」を含めている。
兄弟姉妹は民法877条1項の扶養義務者であるが,実際に葬祭を行わないのであれば「葬祭を行う扶養義務者がないとき」に当たり得る。
いずれに当たるかは死亡地の市町村の判断によるので,本人が危篤になった段階で,福祉担当の部署に事前に相談しておくのがよい。
この二つの制度の詳細は葬儀・火葬の実施で扱っている。

3 死亡届と火葬の時間軸

戸籍法87条2項は,「死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる」と定めているから,親族と連絡がつかなくても,後見人が死亡届を出すことができる。
届出は,死亡の事実を知った日から7日以内にしなければならない(戸籍法86条1項)。
火葬には市町村長の許可が必要であり(墓地,埋葬等に関する法律5条1項),火葬は死亡後24時間を経過した後でなければ行えない(同法3条)。
届出人の詳細は死亡届の届出人,火葬許可の手続は火葬許可証で扱っている。

第6 遺骨を引き取らない場合

1 納骨まで3号許可で行える

墓地,埋葬等に関する法律2条1項の「埋葬」は死体を土中に葬ることをいい,火葬後の焼骨を墓に納めることは,同法の用語では「埋蔵」である。
したがって,民法873条の2第3号の「埋葬」に納骨がそのまま含まれるわけではない。
もっとも,前記「【全訂版】成年後見人の実務2023」126頁~135頁は,納骨は火葬・埋葬とは概念的に異なる行為であるが,これらに準ずる行為として3号許可の対象となると考えられているとし,身寄りがない場合は納骨まで含めて許可を申し立てられるとしている。
他方で,同書は,葬儀は3号許可の対象ではないとしている。
葬儀を行う場合の経路(事務管理)は,前記の元後見人の記事で扱っている。

2 合祀すると取り出せなくなることがある

親族が遺骨を引き取らない場合,後見人は,3号許可を得て,合祀墓や永代供養墓に納骨することになることが多い。
合祀では遺骨を他の人の遺骨と共同で埋蔵するため,後から特定の人の遺骨だけを取り出すことが物理的又は規則上できなくなる場合がある(永代供養とは何か)。
自治体の斎場で保管された遺骨が合同埋蔵される場合も,公開されている要綱に,合同埋蔵後に個々の遺骨を特定して返還する手続が定められていない例がある(成年後見人の死後事務と遺骨の引取り-大阪市立斎場の保管,誓約書及び合同埋蔵)。
「引き取らない」と言っていた親族が,後日になって遺骨を返してほしいと求めることもあり得る。
そのため,合祀する前に,一定の期限までに引取りの申出がなければ合祀すること,合祀した後は返還できないことを,書面で親族に伝えておくべきである。

3 後日に争いになったときの決着の道

遺骨の帰属について,最高裁平成元年7月18日判決(昭和63年(オ)第969号,家庭裁判月報41巻10号128頁,裁判所HP未掲載)は,遺骨の所有権が慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属したとした原審の判断を是認している。
また,大阪家庭裁判所平成28年1月22日審判(平成27年(家)第758号,判例タイムズ1431号244頁,裁判所HP未掲載)は,遺骨は相続財産にも民法897条1項の祭祀財産にも直接には当たらないが,祭祀財産に準じて扱うのが相当であるとして,同条2項を準用して遺骨の取得者を指定した。
この事案では,相続人ではなく,実際に葬儀費用や供養料を負担して遺骨を所持していた者が取得者と定められている。
遺骨をめぐる争いは,最終的にはこのような家庭裁判所の手続で決着させる道があるので,後見人が親族間の争いを引き受ける必要はない。

第7 危篤の段階でしておくこと

1 意向照会書を送る

本人の危篤の連絡を受けたら,相続人となる親族に,死亡後の扱いについての意向を書面で尋ねる。
口頭の電話だけで済ませず,送付の記録が残る方法で送り,写しを保管する。
尋ねる事項は,次のとおりに分けるのがよい。
①火葬(又は火葬に先立つ手続)に異議があるか
②遺骨を引き取るか
③遺骨を引き取らない場合,合祀墓等への納骨でよいか
④宗派,菩提寺,墓の有無その他の希望
⑤確実に連絡がつく電話番号と時間帯
あわせて,回答期限と,期限までに回答がない場合の方針(3号許可を得て火葬し,合祀墓等に納骨すること,合祀後は返還できないこと)を明記する。
親族が身分関係を疑っている場合は,後見人には鑑定に応じる権限がないこと,法律上の親族関係は戸籍で確認できることを一文で添える。

2 意向照会書の文例

次の文例は一般的な骨子であり,事案に応じて調整を要する。

〇〇様
私は,〇〇家庭裁判所の審判により,〇〇〇〇様の成年後見人に選任されている者です。
〇〇様は現在,入院先の病院で重篤な状態にあります。
万一の場合に備えて,〇〇様の相続人となる方として,次の点についてご意向をお伺いします。
①火葬について異議がおありかどうか
②ご遺骨をお引き取りになるかどうか
③お引き取りにならない場合,合祀墓等への納骨によることでよいかどうか
④宗派,菩提寺,お墓の有無その他のご希望
⑤確実にご連絡がつく電話番号と時間帯
恐れ入りますが,〇月〇日までに,同封の回答書でご回答ください。
期限までにご回答がない場合は,成年後見人として,家庭裁判所の許可を得て火葬を行い,合祀墓等に納骨する予定です。
合祀の後は,ご遺骨を個別にお返しすることができなくなりますので,ご留意ください。
なお,成年後見人には,〇〇様の身体から検体を採取してDNA鑑定を行うことに同意する権限はありません。
ご親族関係は,戸籍によってご確認いただくことができます。

3 短い期限だけを区切った通知の限界

「病院から連絡があった後,短時間のうちに連絡がなければ,こちらで手続を進めます」という通知だけを送っておく方法も考えられる。
しかし,このような通知それ自体に法的な効果があるわけではなく,期限が短すぎると,後日「連絡の猶予がなかった」という苦情の材料になりかねない。
結論は危篤の段階の意向照会で先に取っておき,死亡時の連絡は,すでに確認した方針の確認にとどめるほうが,後見人の説明として堅い。

4 家庭裁判所への事前連絡と原資の確保

前記「【全訂版】成年後見人の実務2023」131頁は,本人の死期が間近であると考えられるときは,死後事務に必要な金額を想定し,裁判所に連絡をした上で預貯金から引き出しておく扱いを紹介している(前記の元後見人の記事で紹介している)。
3号許可の書式や即日の判断の可否は家庭裁判所ごとに異なり得るので,後見開始の審判をした家庭裁判所の運用を事前に確認しておく。
年金の受取口座が死亡により凍結される場合に備えて,引継ぎのための口座を別に残しておくことも,生前に決めておく事柄である。

5 病院・葬儀社・火葬場との事前調整

病院には,死亡時の連絡先が後見人であること,霊安室で遺体を預かってもらえる期間,遺体の搬送の手配先を確認しておく。
葬儀社や火葬場からは,火葬のみの場合と合祀墓等への納骨までの費用の見積りを取っておく。
親族から葬儀の希望が出ることもあるが,葬儀は3号許可の対象ではないので,費用の出所と誰が主宰するかを先に決めてから儀礼の形を決める。

第8 親族から苦情が寄せられているとき

1 書面で問い,書面で答えてもらう

引取りを拒む親族が,一方で本人の処遇に強い関心を持ち,後見人や病院に苦情を寄せることもある。
このような親族は,本人に無関心なのではなく,関わり方が定まっていないことが多い。
対立相手として扱わず,意向照会と同じく,書面で問い,書面で答えてもらう関係を作ることが,後日の紛争を防ぐ。
親族とのやり取りは日時・方法・内容を記録し,家庭裁判所への報告に反映させる。
なお,親族の意向が法的にどの程度の重みを持つかは,成年後見事件における親族の意向の取扱いで扱っている。

2 虐待の訴えがあった場合

親族から「病院で虐待されている」という訴えがあったときは,放置せず,鵜呑みにもせず,内容を具体的に書面で出してもらい,病院に事実確認を求め,その結果と対応を記録する。
高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律2条5項は,同法の対象となる「養介護施設」として老人福祉施設,有料老人ホーム,介護保険施設等を列挙しているが,医療法上の病院はその列挙にない。
そのため,入院中の本人については,同法21条の通報の仕組みがそのままは使えない。
病院での虐待が疑われるときの相談・通報先は,病院での虐待と高齢者虐待防止法で扱っている。

第9 死亡後の流れと引継ぎ

1 死亡後の流れ

死亡後の流れは,おおむね次のとおりである。
①病院からの連絡を受け,死亡診断書を受け取る
②遺体の搬送と安置を手配する
③3号許可を申し立てる(火葬・納骨に関する契約と,その費用のための預貯金の払戻し)
④死亡届を出し,火葬の許可を受ける
⑤死亡後24時間を経過した後に火葬する
⑥期限までに引取りの申出がなければ,予告どおり合祀墓等に納骨する
⑦後見終了の登記と家庭裁判所への報告をする
⑧2か月以内に管理の計算をし(民法870条),相続人に引き継ぐ

2 相続財産の受領を拒まれた場合

相続人が財産の受領を拒む場合がある。
引継ぎは相続人の1人に対して行えば足りるとされているが(前記の元後見人の記事で紹介している),その1人も受け取らないときは,別の出口が必要になる。
民法494条1項1号は,弁済の提供をした場合において債権者がその受領を拒んだときは,弁済者は債権者のために弁済の目的物を供託することができると定めている。
元後見人の引継ぎでこの方法をとる場合の注意点(供託のときは既に後見人ではないため個人の氏名・住所で供託すること等)は,前記の元後見人の記事で扱っている。
相続人がいる以上,相続人のあることが明らかでない場合の相続財産清算人の選任の場面ではないことに注意する。

3 令和8年改正後

令和8年法律第45号による改正後は,後見・保佐が補助に一元化され,死後事務は民法876条の26に規定される。
改正後の条文の構造と,施行日前に開始した後見の扱いは,前記の元後見人の記事で扱っている。

第10 出典・参考資料

1 法令

民法(873条の2,494条,870条,877条,897条) e-Gov法令検索
戸籍法(10条の2,86条,87条) e-Gov法令検索
墓地,埋葬等に関する法律(2条,3条,5条,9条) e-Gov法令検索
生活保護法(18条) e-Gov法令検索
家事事件手続法(117条) e-Gov法令検索
高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(2条,21条) e-Gov法令検索

2 裁判例

最高裁平成26年7月17日判決(平成24年(受)第1402号,民集68巻6号547頁) 裁判所HP
最高裁平成元年7月18日判決(昭和63年(オ)第969号,家庭裁判月報41巻10号128頁) 裁判所HP未掲載
大阪家庭裁判所平成28年1月22日審判(平成27年(家)第758号,判例タイムズ1431号244頁) 裁判所HP未掲載

3 文献

大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター編「【全訂版】成年後見人の実務2023」(大阪弁護士協同組合,2023年)126頁~136頁

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