目次
第1 結論1 日本国内から賭ければ犯罪となる2 刑法と令和7年改正法は役割が異なる第2 賭博罪1 刑法185条2 海外ライセンス・海外サーバーとの関係3 ポイント・ボーナス・無料版第3 常習賭博罪1 刑法186条1項2 森本暁史簡裁判事の事件と報じられた刑事判決第4 広告・紹介・誘導の規制1 令和7年9月25日施行の改正2 禁止対象となる表示の例3 基本法の禁止と刑事責任の区別第5 検挙と捜査1 利用者も検挙対象になる2 令和6年の検挙状況第6 借金・自己破産との関係1 ギャンブルによる借金と免責2 早期相談の必要性第7 よくある質問1 海外では合法のサイトなら利用してよいか2 少額なら犯罪にならないか3 スポーツベッティングも同じか4 オンラインカジノを紹介するだけならよいか第8 関連記事第9 出典・調査範囲1 法令2 公的資料・裁判例3 確認範囲
第1 結論
1 日本国内から賭ければ犯罪となる
オンラインカジノは,運営事業者が海外でライセンスを受けていても,日本国内から金銭等を賭けて利用すれば,刑法の賭博罪又は常習賭博罪が成立し得る。
警察庁は,海外で合法的に運営されているオンラインカジノサイトであっても,日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪であると明示している。
「海外の合法サイトだからグレーゾーンである」「利用者は処罰されない」という説明は正確でない。
2 刑法と令和7年改正法は役割が異なる
実際に賭博をした利用者の刑事責任は,主として刑法185条・186条により判断される。
これとは別に,令和7年法律第76号によるギャンブル等依存症対策基本法の改正は,令和7年9月25日から,国内にある不特定の者に対し違法オンラインギャンブル等ウェブサイト又はプログラムを提示し,又は誘導情報を発信する行為を禁止している。
改正法は広告・紹介を明確に禁止するものであるが,同法9条の2自体に新たな刑罰を定めたものではない。
行為の内容によっては,賭博罪等の幇助その他の刑事責任が別に問題となり得る。
第2 賭博罪
1 刑法185条
刑法185条は,賭博をした者を50万円以下の罰金又は科料に処すると定める。
ただし,「一時の娯楽に供する物」を賭けたにとどまる場合は例外である。
オンラインカジノでは,バカラ,スロット,ルーレット,スポーツベッティング等の名称にかかわらず,偶然の勝敗により財産上の利益を得失する仕組みで金銭等を賭ければ,賭博罪が問題となる。
2 海外ライセンス・海外サーバーとの関係
運営会社が所在国のライセンスを取得していること,サーバーが海外にあること,日本語のウェブサイトや決済手段が用意されていることは,日本国内からの利用を適法にする事情ではない。
警察庁が公表する検挙事例には,日本国内の自宅等から海外のオンラインカジノに接続して賭博をした利用者が賭博罪で検挙された例が含まれる。
3 ポイント・ボーナス・無料版
名称が「ポイント」又は「ボーナス」であっても,現金に換えられる,物品と交換できる,又は金銭を入金して取得するなど,財産的価値がある場合は,名称だけで賭博性を否定できない。
秋田地方裁判所令和8年7月23日判決は,オンラインカジノサイト内の現金に交換可能なポイントを賭けた事実を認定している。
他方,財産上の得失が一切ない無料ゲームまで当然に賭博罪になるわけではない。
もっとも,警察庁は,無料版や無料ボーナス(ポイント)であっても利用しないよう呼び掛けている。
実際の仕組み,入金,換金可能性及び賞品の有無を確認する必要がある。
第3 常習賭博罪
1 刑法186条1項
刑法186条1項は,常習として賭博をした者を3年以下の拘禁刑に処すると定める。
単純賭博罪より重い犯罪である。
常習性は,単に回数だけで決まるものではなく,賭博の種類,期間,頻度,賭け金,資金の調達方法,生活状況その他の事情から,賭博を反復する習癖が認められるかにより判断される。