第1 法務省民事局とは何か
法務省民事局は,登記,戸籍,国籍,供託,公証等の民事行政と,民法,商法,民事訴訟法等の民事基本法令の立案を担当する,法務省本省の内部部局である。
個々の登記申請や証明書の交付等を行う地方の法務局・地方法務局とは,組織上の位置付けと役割が異なる。
法務省の民事局の案内(https://www.moj.go.jp/MINJI/)は,遺言書保管,相続土地国庫帰属,司法書士及び土地家屋調査士に関する事務も担当業務として挙げている。
本記事は,令和8年10月17日に確認した公式案内と法務省組織令に基づき,組織の概要と目的別の資料・窓口の選び方を説明する。
第2 仕事内容と組織
1 民事行政と法令の立案
民事局の仕事は,大きく分けると,国民の財産・身分関係に関する行政と,その基礎となる民事法制の企画・立案である。
例えば,不動産や会社の登記,戸籍,国籍,供託等の制度を扱う仕事と,民事基本法令の制定・改廃に向けた法令案を作成する仕事がある。
法務省組織令4条は民事局の所掌事務を,22条は民事局に置く課等を定めている。
法令本文は,e-Gov法令検索「法務省組織令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000248)で確認できる。
2 各課・民事法制管理官・参事官
法務省組織令22条は,総務課,民事第一課,民事第二課及び商事課の4課と,民事法制管理官1人を置くとしている。
次の表は,同令23条から27条までの主な担当を要約したものであり,全ての所掌事務や内部の係の分担を列挙したものではない。
| 課・官職 | 主な担当 |
|---|---|
| 総務課 | 民事法制の企画・立案のうち民事法制管理官の担当を除くもの,局内の総合調整,公証,法務局・地方法務局の組織・運営等 |
| 民事第一課 | 国籍,戸籍,成年後見の登記等 |
| 民事第二課 | 不動産登記等,司法書士・土地家屋調査士,相続土地国庫帰属の承認等 |
| 商事課 | 商業・法人登記,動産・債権譲渡の登記,供託,遺言書保管等 |
| 民事法制管理官 | 民事法制の基本的な企画・立案と,これに基づく関係事務の調整 |
また,同令12条は,民事局に参事官を置き,重要な法令案の作成その他の重要事項の企画・立案に参画する職務を定めている。
課の名称,官職,個々の職員の担当を区別して調べる必要がある。
第3 法務局・最高裁判所の民事局との違い
1 法務省民事局と法務局
法務省民事局は本省の内部部局であり,法務局・地方法務局は地方の実施機関である。
法務省の民事局の案内では,関係する事務の地方実施機関として,8か所の法務局と42か所の地方法務局が設置されていると説明されている。
法務局は民事行政だけを担当する機関ではない。
法務局の公式案内(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/enkaku_index.html)は,登記,戸籍,国籍,供託の民事行政事務のほか,訟務事務及び人権擁護事務も挙げている。
2 最高裁判所事務総局民事局との区別
最高裁判所事務総局にも,法務省とは別の組織として民事局がある。
資料を検索するときは,発出者が法務省民事局なのか,最高裁判所事務総局民事局なのかを確認することが重要である。
| 名称 | 所属・位置付け | 資料を探すときの着眼点 |
|---|---|---|
| 法務省民事局 | 法務省本省の内部部局 | 民事法制,登記,戸籍,国籍,供託等の制度・行政資料 |
| 法務局・地方法務局 | 法務省の地方機関 | 管轄,申請先,証明書交付,手続案内等 |
| 最高裁判所事務総局民事局 | 最高裁判所の事務総局の一部 | 最高裁判所名義の規程・通知等との区別 |
最高裁判所側の資料については,最高裁判所事務総局民事局の事務分掌を参照されたい。
同記事では,現在の規程等への案内と,平成26年4月1日時点の各係の事務分掌を区別している。
第4 局長・幹部の調べ方
法務省の幹部一覧(https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/kanbu.html)は,役職名,氏名及び読みを掲載している。
本記事作成時に確認した令和8年9月18日現在の一覧では,民事局長は松井信憲である。
歴代の局長の就任・退任時期と経歴へのリンクは,歴代の法務省民事局長(AI作成)にまとめている。
民事局の課長等を調べる場合は,法務・検察幹部名簿の民事局の節も参照できるが,同名簿は題名に示す基準日の情報であり,その後の人事異動は別に確認する必要がある。
第5 問い合わせ先と手数料
1 用件から窓口を選ぶ
問い合わせ先は,「民事局」という語だけで選ぶのではなく,制度の説明,具体的な申請,既に申請した事件の照会等の用件に分けて確認するのが適切である。
本省の代表電話と,地方の申請・手続案内の窓口は区別する。
| 用件 | 最初に確認する案内 |
|---|---|
| 民事局の担当制度や本省の組織を知りたい | 法務省の民事局ページと,当該制度の公式案内 |
| 登記の申請先・管轄・手続案内を調べたい | 法務局の公式ページ,所在地一覧及び登記手続案内の予約案内 |
| 申請済みの登記等について照会したい | 申請先の法務局等の連絡先と,申請に関する控え・受付情報 |
| 戸籍に関する具体的な手続を調べたい | 手続の内容に応じた法務省の戸籍案内と,当該市区町村等の案内 |
法務省公式ページに掲載される本省の代表電話は,03-3580-4111である。
各地の窓口は,法務局・地方法務局所在地一覧(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji10.html)から確認できる。
代表番号や所属課の名称だけで,個別の手続の管轄まで判断することはできない。
2 法務省民事局の手数料はいくらか
手数料は,利用する手続や証明書の種類,請求・受取方法によって異なる。
例えば,法務省の登記手数料表(https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/)が示す令和7年4月1日以降の登記事項証明書の基本額は,書面請求600円,オンライン請求・送付520円,オンライン請求・窓口交付490円である。
これは登記事項証明書についての例であり,全ての民事局関係手続に共通する金額ではない。
実際の請求では,証明書の種類,通数,頁数に関する注意書き等と,利用時点の公式料金表を確認する必要がある。
第6 通達・資料への案内
法務省民事局の資料は,登記,戸籍,供託等の分野ごとに公表ページをたどると探しやすい。
通達を調べるときは,題名だけでなく,発出日,文書番号,発出者,改正状況及び掲載資料の基準日を併せて確認する。
当ブログで掲載している電話番号表,事務分掌規程,登記・商業登記・供託関係の資料は,歴代の法務省民事局長の記事の資料案内から参照できる。
平成25年時点の事務分掌資料や過去の電話番号表は,それぞれの資料時点の情報として利用し,現在の係の構成,担当者又は直通番号と読み替えないことが重要である。
裁判官の行政省庁等での勤務と判検交流との関係については,行政機関等への出向裁判官―身分,勤務先,人数及び判検交流との関係(AIリライト)を参照されたい。
第7 出典
① 法務省「民事局」―所管業務と地方実施機関の説明。
https://www.moj.go.jp/MINJI/
② e-Gov法令検索「法務省組織令」―4条,12条,22条から27条まで。
https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000248
③ 法務省「法務省幹部一覧」―令和8年9月18日現在。
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/kanbu.html
④ 法務局「法務局のご案内」。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/enkaku_index.html
⑤ 法務省「登記手数料について」―令和7年4月1日以降の料金表。
https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/