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裁判所の予算・庁舎・調達

裁判所の令和6年度予算-概算要求,当初予算,補正予算及び決算の突合(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 対象,基準日及び資料の対象期間2 結論3 この記事が扱わない範囲第2 4つの数字を並べる1 総額2 項別に見ると像が変わる3 決算による検算第3 補正予算で積んだ金は,その年度には使われていない1 「裁判手続等のデジタル化等」169億円2 目レベルで見た繰越3 繰越の可否を分けるのは繰越明許費の指定である4 3つの金額を混同しない第4 満額で計上されたことと,使われたことは別である1 (項)裁判費の目別執行率2 満額の目は令和7年度から崩れる3 低執行は「どの目」を決めるが「いつ」を決めていない第5 流用の理由は決算報告書に書かれている第6 歳入は予算の1.85倍である第7 定員1 総数と事務官の増員2 定員法の説明と予算の説明第8 同じ表を自分で作る手順第9 未確認事項第10 出典・参考資料1 法令2 予算書,決算書及び概算要求書3 国会会議録4 関連記事
第1 この記事の対象と結論
1 対象,基準日及び資料の対象期間

本記事は,裁判所所管の令和6年度予算について,概算要求額,当初予算額,補正後予算額及び決算額という4つの数字を同じ表に並べ,金額がどこで動いたかを確認するものである。
調査の基準日は令和8年9月6日であり,資料の対象期間は令和2年度から令和8年度までである。
中心に置くのは令和6年度であり,前後の年度は比較のために用いる。
金額は,特記しない限り千円単位である。
本記事の数値は,裁判所ウェブサイトに掲載された公式PDFと,財務省「予算書・決算書データベース」のCSVから取得したものであり,条文はe-Gov法令検索の本文によっている。
記事の作成にはAIを用いている。

2 結論

令和6年度の概算要求等額は340,893,828千円であり,当初予算額は330,979,009千円である。
要求等額に対する当初予算額の割合は97.09%となる。
しかし,この2つだけを比べて「約3%削られた」と書くと,二重に不正確になる。

第1に,その年度の予算は当初予算では終わらない。
令和6年度は補正予算第1号で23,470,369千円が追加され,補正後予算額は354,449,378千円になった。
これに前年度からの繰越13,238,876千円が加わり,予算現額は367,688,254千円である。

第2に,実際に支出された額は332,296,053千円である。
概算要求等額と比べれば97.48%,補正後予算と比べれば93.75%,予算現額と比べれば90.37%になる。
分母をどこに置くかで数字の印象は逆転する。

そして,本記事が最も強調したいのは次の点である。
要求どおり満額で計上された経費が,そのまま使われているとは限らない。
(項)裁判費のうち保証金は,令和6年度も1円も支出されていない。

3 この記事が扱わない範囲

裁判所の予算がどのような手続で決まるか,財政法19条の附記(二重予算)が令和2年度から令和8年度まで0件であること,及び8月末という送付期限の根拠については,裁判所の予算は誰が決めているのか――二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったことで扱っている。
本記事は,その手続を前提として,令和6年度の金額が実際にどう動いたかだけを追う。

したがって,要求額と予算額の差についても,本記事では「内閣が減額した」とは書かない。
財政法19条の附記が0件である以上,公表資料から減額の事実を確認することはできず,他方で最高裁判所が納得していたことも確認できないからである。
本記事では,この差を単に「差」と呼ぶ。

第2 4つの数字を並べる
1 総額

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裁判所の令和4年度予算-概算要求,当初予算,補正予算及び決算の突合(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 対象,調査の基準日及び資料の対象期間
2 四つの数字は別のものである
3 結論

第2 四系列の全体像

1 総額の比較
2 決算は三つに分かれる
3 二つの等式で拾い落としを検算する

第3 概算要求から当初予算へ

1 項別の充足率
2 主要経費別の充足率
3 落ちたのは三件だけである

第4 当初予算から補正予算へ

1 補正は二本あり,裁判所所管は第二号だけである
2 補正第二号の中身
3 補正で付いた金は年度内に使われていない

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裁判所の令和5年度予算-概算要求,当初予算,補正予算及び決算の突合(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 対象,基準日及び資料の対象期間2 四つの系列3 この記事で新たに示すこと第2 決算はどの欄でできているか1 金額の欄2 執行率92.89%第3 (項)別の執行率1 執行率は項によって割れる2 裁判所予備経費は全額が不用である第4 補正予算で積んだ35億円は,その年度に1円も使われていない1 令和5年度の補正は第1号だけである2 繰越の区分で確定する3 繰越明許費が年度をまたいで連鎖している4 退職手当が32億円繰り越された理由第5 (目)別に見ると実務に近い数字が出る1 翌年度繰越がある目は六つだけである2 不用額の大きい目3 刑事補償金は,4年続けて大きく余った後に一転している4 委員手当は,予算額が動かないまま不用率だけが振れる5 (目)別の不用理由は公表されていない第6 この記事の数値をどこから取ったか第7 未確認事項第8 出典・参考資料1 法令2 裁判所が公表する予算・決算資料3 財務省が公表する予算書・決算書4 関連記事
第1 この記事の対象と結論
1 対象,基準日及び資料の対象期間

この記事は,裁判所所管の一般会計について,令和5年度の①概算要求,②当初予算,③補正予算及び④決算の四つを並べ,どこで金額が動き,最終的にいくらが使われずに終わったのかを整理するものである。
対象期間は令和5年度(令和5年4月1日から令和6年3月31日まで)であり,経年の比較に必要な範囲で令和2年度から令和6年度までの決算を用いる。
調査の基準日は令和8年9月6日であり,数値は同日から翌7日までに取得した。
本記事は,公表資料をAIで機械的に集計し,その結果を整理したものである。

金額は原則として千円単位で示し,決算の欄については財務省の原表に合わせて円単位で示す。
(項)別及び(目)別の数値は,裁判所ウェブサイトの「決算の概要」には掲載されていないため,財務省の歳出決算報告書によった。

裁判所の予算がどのような手続で決まるのか,内閣が最高裁判所の要求を減額したときにどうなるのか(二重予算),そして令和2年度から令和8年度まで財政法19条の附記が0件であることについては,別の記事で詳しく扱っている。
本記事は手続論には立ち入らず,令和5年度に実際に動いた金額を追うことに絞る。
手続の全体像は裁判所の予算は誰が決めているのか――二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったことを参照されたい。

2 四つの系列

令和5年度の裁判所所管の金額は,次のとおり動いた。

系列金額(千円)概算要求等額に対する割合① 概算要求等額329,816,061-② 当初予算額322,216,78097.70%③ 補正後の改予算額326,876,43799.11%④ 決算(支出済歳出額)309,396,12293.81%

①の概算要求等額は,要求本体321,123,794千円に「重要政策推進枠」の要望額8,692,267千円を加えたものである。
要望額は要求本体の枠外に置かれるものであるから,両者を区別せずに一つの「要求額」として扱うと,充足率が実際より低く見える。

②と①の差は7,599,281千円である。
もっとも,この差を「内閣が最高裁判所の要求を削った」と書くことはできない。
理由は前記の別記事で述べたとおりであり,本記事では差があるという事実の記述にとどめる。

3 この記事で新たに示すこと

要求と当初予算だけを並べると,令和5年度は要求の97.70%が付いた年ということになる。
しかし決算まで見ると,実際の支出は要求の93.81%にとどまる。
そして,使える予算333,066,464千円のうち,13,238,876千円が翌年度に繰り越され,10,431,466千円が使われずに終わっている。

とりわけ,補正予算で(項)裁判費に積まれた3,555,186千円は,その年度に1円も執行されていない。
この金額は,決算に記載された財政法14条の3第1項の繰越明許費の額と1円単位で一致する。

第2 決算はどの欄でできているか
1 金額の欄

決算の金額の欄は,次の九つである。

区分金額(円)歳出予算額(=補正後の改予算額)326,876,437,000前年度繰越額6,190,027,235予備費使用額0流用等増△減額0予算決定後移替増△減額0歳出予算現額333,066,464,235支出済歳出額309,396,122,470翌年度繰越額13,238,876,033不用額10,431,465,732

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裁判所の令和8年度予算-概算要求,暫定予算,当初予算及び補正予算の突合(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論1 対象,調査の基準日及び資料の範囲2 結論第2 四つの数字1 令和8年度に作られた予算書2 四つの数字3 「要求額」という欄は三か所にあり,意味が違う第3 概算要求と当初予算の突合1 項別の突合2 差が集中している項(1) 差の約9割は(項)裁判費にある(2) (項)下級裁判所は要求を上回っている(3) (項)裁判所施設費は要望を含めるかで20ポイント動く(4) (項)裁判所予備経費は裁判所法83条2項による3 要望枠の扱い第4 暫定予算1 期間は11日間である2 目別の配分は日割りではない第5 補正予算1 裁判所所管は計上されていない2 補正の中身3 補正に載らない年は珍しくない第6 「削られた」と書けない理由1 前年度補正が要求の中身を先に措置している(1) (目)裁判庁費でみた場合(2) 政策区分でみた場合2 二つの読み方(1) 一体で措置したという読み方(2) 当初予算の額を抑えたという読み方(3) どちらとも決められない3 財政法19条の「減額」第7 確認できていないこと第8 関連する記事1 同じ型で各年度を扱った記事2 資料の読み方を扱った記事出典1 法令2 予算書及び予算参考書類3 最高裁判所が公表した資料4 国会会議録

第1 この記事の対象と結論

1 対象,調査の基準日及び資料の範囲

本記事は,令和8年度の一般会計のうち裁判所所管について,概算要求,暫定予算,当初予算及び補正予算の四つを同じ土俵で並べ,どこに差が生じているかを確認するものである。
調査の基準日は令和8年9月7日であり,同日に財務省の予算書・決算書データベース及び裁判所ウェブサイトで確認できた資料に基づく。
金額は,特に断らない限り千円単位である。

決算は対象外である。
財政法39条は歳入歳出決算を翌年度の11月30日までに会計検査院へ送付すべきものとし,同40条1項は会計検査院の検査を経た決算を翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。
この常例によれば令和8年度の決算が国会に提出されるのは令和10年の常会であるが,同項は「常例とする」と定めるにとどまり,提出時期を条文から確定することはできない。
いずれにせよ令和8年度は基準日の時点で年度の途中であり,執行額を確認できない。

なお本記事は,生成AIを用いて公表資料を突合し,その結果を整理したものである。

2 結論

令和8年度の裁判所所管について,公表資料から次の四点が確認できる。
①概算要求は要求359,169,102千円であり,「重要政策の推進」のための要望5,839,315千円を加えた要求・要望額は365,008,417千円である。
②当初予算は349,473,805千円であり,要求に対して97.3%,要求・要望額に対して95.7%,令和7年度当初予算に対して104.3%である。
③令和8年度には暫定予算があり,その期間は令和8年4月1日から4月11日までの11日間である。
裁判所所管は21,727,136千円である。
④令和8年度補正予算(第1号)に,裁判所所管は計上されていない。

もっとも,②の差を「概算要求が削られた」と評価することはできない。
令和7年度補正予算(第1号)が,令和8年度の概算要求に含まれていた事項を先に措置しているからである。
(目)裁判庁費についていえば,令和7年度補正の追加12,508,863千円と令和8年度当初予算26,200,292千円を合わせると38,709,155千円になり,令和8年度の要求39,402,151千円の98.2%に達する。

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裁判所の令和2年度予算-概算要求,当初予算,補正予算及び決算の突合(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 対象,基準日及び資料2 結論-4つの数字と,分母によって変わる割合3 この記事が扱わない範囲第2 4つの数字を並べる1 総額2 項別に見る3 検算第3 最終予算が当初予算を下回った年1 補正は3回あるが,裁判所所管は2回2 補正第3号は差引で減額である3 海外派遣の停止が数字に出ている4 9兆円の予備費が使われた年に,裁判所には配分がない第4 満額で計上されても,使われるとは限らない1 裁判費の13目で要求と予算が違うのは1目だけである2 執行率は0.0%から99.99%まで割れる3 この形は令和7年度から崩れる第5 要求の組み方-本体を絞って要望枠で取りに行く1 要求本体は前年度予算を下回っている2 要望枠の3事業3 要望枠が乗ったことが見える箇所第6 デジタル化の予算は当初予算ではなく補正で付いた第7 検察審査会は止まっていた1 要求と予算が一致したまま4分の1が不用になった2 目別の執行率3 「法定の回数を割った」とは書けない第8 事故繰越-司法修習の遅れ1 繰越の法的根拠別の内訳2 事故繰越は6目すべてが司法修習関係である第9 不用額の理由は国が決算に書いている1 決算に記載された4項の理由2 検察審査費の理由は歳出決算報告書にある第10 手続の時系列1 令和2年度の各段階の日付2 決算が国会で議決されるまでに2年6か月かかっている3 「概算要求」の公表日と送付期限は別の日である4 令和3年度予算書の「前年度予算額」欄の正体第11 実務に使える数字1 日当の積算単価は上限額に比例しない2 無罪事件の費用補償の内訳3 指定弁護士の手当には幅がある4 補正予算まで見ないと年度の姿が分からない第12 定員-裁判官は振替で,職員は17人の減である第13 未確認事項第14 出典・参考資料1 法令2 最高裁判所規則3 概算要求書及び各目明細書4 予算書,決算及び統計5 官報及び閣議了解6 国会会議録7 議案情報8 関連記事第1 この記事の対象と結論1 対象,基準日及び資料

対象は日本の一般会計のうち裁判所所管であり,対象年度は令和2年度である。
比較のため令和元年度及び令和6年度から令和8年度までを補助的に用いる。
金額は,特記しない限り千円単位である。
「決算」は支出済歳出額を指す。

本記事の調査の基準日は令和8年9月6日であり,法令の適用時点も同日である。
条文はいずれも同日にe-Gov法令検索で確認した本文による。
令和2年度の予算及び決算は確定した過去の記録であるから,本記事の金額は同日以降に変動しない。

本記事の金額は,裁判所ウェブサイトの令和2年度予算の頁に掲載された概算要求書及び各目明細書,裁判所の決算の頁に掲載された決算の概要,財務省の予算書・決算書データベースの令和2年度予算書・決算書関連情報が公表する予算書,決算及び科目別内訳のCSV並びにインターネット版官報を直接取得して算出したものである。

2 結論-4つの数字と,分母によって変わる割合

令和2年度の裁判所所管について,概算要求から決算までを並べると次のようになる。
概算要求等額は329,283,576千円,当初予算は326,624,181千円,補正後の最終予算は326,294,809千円,決算(支出済歳出額)は312,451,170千円である。

「要求のどれだけが認められたか」という問いには,一つの答えがない。
当初予算を概算要求等額で割ると99.19%になる。
決算を概算要求等額で割ると94.89%,最終予算で割ると95.76%,前年度からの繰越を含む予算現額で割ると94.12%になる。
どの分母を選ぶかで印象が変わるため,割合を示すときは分母を先に決めておく必要がある。

前年度との比較で見ると,別の顔が出る。
概算要求等額は前年度予算より3,709,268千円多いのに対し,当初予算の増は1,049,873千円にとどまる。
増額要求のうち認められたのは28.3%である。

3 この記事が扱わない範囲

裁判所の予算が内閣に送付される手続,財政法19条の附記,二重予算の仕組み,8月末という期限の根拠及び附記が0件であることの読み方は,別の記事で詳しく扱っている。
本記事はそれらを繰り返さず,令和2年度の金額そのものを追う。
手続の側については裁判所の予算は誰が決めているのかを参照されたい。

なお,本記事でも「削られた」「査定された」という表現は用いない。
内閣が最高裁判所の歳出見積を減額したのであれば歳入歳出予算にその詳細が附記されるところ,令和2年度の当初予算書及び補正予算書にその附記は1件もないからである。
もっとも,補正予算(第1号)には裁判所所管の計上そのものがない。
裁判所が一行も現れない予算書に裁判所の附記が無いことは,減額が無かったことを示さない。
附記の有無を語れるのは,裁判所所管の計上がある当初予算書と補正予算(第2号)及び(第3号)である。
本記事は,要求額と予算額の差を差として記述するにとどめる。

第2 4つの数字を並べる1 総額系列金額(千円)概算要求等額329,283,576当初予算326,624,181最終予算(補正第3号後)326,294,809(予算現額)331,960,372決算(支出済歳出額)312,451,170

概算要求等額の内訳は,概算要求本体321,099,826千円に「新しい日本のための優先課題推進枠」の要望8,183,750千円を加えたものである。
前年度からの繰越額は5,665,563千円,翌年度への繰越額は10,944,695千円,不用額は8,564,506千円である。

分母を変えると,割合は次のように動く。

比較割合当初予算÷概算要求等額99.19%決算÷概算要求等額94.89%決算÷最終予算95.76%決算÷予算現額94.12%2 項別に見る項要求本体当初予算最終予算決算決算÷最終最高裁判所80,347,70780,917,36278,977,11375,069,73795.05%下級裁判所206,932,648208,654,957207,217,212204,135,51898.51%検察審査費302,934302,934302,934228,88775.56%裁判費20,241,12919,716,45421,133,38018,022,41185.28%裁判所施設費13,267,40817,024,47418,656,17014,994,61580.37%裁判所予備経費8,0008,0008,00000.00%合計321,099,826326,624,181326,294,809312,451,17095.76%

要求の列を「要求本体」としているのは,要望枠を項別に配分できないからである。
要望一覧は「暮らしの安全・安心」「防災・減災」「裁判手続等のIT化の推進」という事業単位で記載されており,項への割付けは記載されていない。
このうち裁判所施設費については,要求本体13,267,408千円に要望「防災・減災」4,462,683千円を加えると17,730,091千円となり,概算要求の概要の「裁判所施設の整備」17,730百万円と一致するから,対応を確認できる。
他の2事業については同様の確認ができていない。

要求本体を下回った項は,裁判費だけである。
検察審査費と裁判所予備経費は,要求額と当初予算額が1円も違わない。

項別の決算額を合計すると312,451,168千円となり,表示値312,451,170千円と2千円ずれる。
決算の「計数は単位未満を切り捨てた」という注記によるものである。

3 検算

財務省の決算の科目別内訳から裁判所所管の79行を合算すると,次の2つの恒等式がいずれも1円の差なく成立する。

歳出予算額326,294,809,000円に前年度繰越額5,665,563,000円を加え,予備費使用額,流用等増減額及び予算決定後移替増減額がいずれも0円であるから,歳出予算現額は331,960,372,000円となる。

歳出予算現額を構成する9つの欄と,この2本の恒等式そのものは,決算はどの欄でできているかで扱っている。
本記事は,令和2年度の裁判所所管について値が閉じることの確認にとどめる。

流用等増減額の0円は,(目)の段階の4組8件が相殺された結果である。

減った目増えた目金額(円)決算報告書に記載された理由(項)最高裁判所(目)国家公務員共済組合負担金(目)公務災害補償費22,813,000障害補償年金等に不足を生じたため(項)最高裁判所(目)職員旅費(目)赴任旅費40,652,000赴任旅費の支給額が増加したため(項)下級裁判所(目)職員基本給(目)児童手当4,950,000支給対象児童が増加したため(項)裁判費(目)委員等旅費(目)特別送達料3,452,000召喚状等の送達件数が増加したため

4組とも同じ項の中で閉じており,増減の合計は0円である。
令和2年度の裁判所所管には項の間の移用がない。

上の表の理由は,歳出決算報告書の備考欄から引いた。
理由がどの冊に載るかは,決算に書かれている「理由」の探し方で扱っている。

支出済歳出額312,451,170,774円に翌年度繰越額10,944,695,125円と不用額8,564,506,101円を加えると,同じく331,960,372,000円となる。

歳出予算額326,294,809,000円は,補正予算(第3号)各目明細書の改予算額と一致する。
支出済歳出額312,451,170,774円は,裁判所ウェブサイトが公表する令和2年度決算の312,451,170千円(千円未満切捨て)と一致する。

第3 最終予算が当初予算を下回った年1 補正は3回あるが,裁判所所管は2回

令和2年度の一般会計には補正予算が第1号から第3号まである。
もっとも,裁判所所管に計上があるのは第2号と第3号だけである。

補正予算(第1号)の予算書281頁には,「裁判所」「最高裁判所」「下級裁判所」「衆議院」「参議院」「会計検査院」のいずれの語も現れない。
同じ予算書で「法務省」は25頁に現れるから,抽出の漏れではない。
同号の歳出の科目別内訳は884行あるが,そのうち裁判所所管の行は0行であり,内閣及び13の府省庁だけで構成されている。

補正予算(第2号)各目明細書の「令和2年度成立予算額」欄は326,624,181千円で,当初予算額と一致する。
この欄はそれ以前の補正を反映した額であるから,第2号より前に裁判所所管の補正がなかったことは,この一致からも確認できる。

2 補正第3号は差引で減額である補正国会増減(千円)補正後(千円)第2号第201回+1,259,066327,883,247第3号第204回△1,588,438326,294,809

第3号は,追加2,118,249千円に対し修正減少3,706,687千円で,差引1,588,438千円の減である。
その結果,最終予算326,294,809千円は当初予算326,624,181千円を329,372千円下回った。
補正で予算が増えるのではなく減った年である。

減額の中心は人件費の不用減である。
最高裁判所では退職手当771,447千円,国家公務員共済組合負担金1,014,522千円が減額されている。
下級裁判所では職員基本給493,583千円,職員諸手当968,536千円が減額されている。

3 海外派遣の停止が数字に出ている

最高裁判所の外国留学旅費は26,880千円の減であり,当初予算62,197千円の43.2%にあたる。
国際裁判官連合分担金は109千円の減であり,当初予算391千円の27.9%にあたる。
下級裁判所の委員手当も26,696千円が減額されている。

4 9兆円の予備費が使われた年に,裁判所には配分がない

令和2年度は,新型コロナウイルス感染症対策予備費の予算額が9,650,000,000,000円,その使用額が9,142,049,687,000円であった年である。
通常の予備費の使用額283,867,094,000円と合わせると9,425,916,781,000円であり,一般会計の歳出決算総額147,597,358,991,702円の6.4%に当たる。

この予備費から裁判所所管への配分は無い。
決算の予備費使用の一覧((9)頁から(11)頁まで)に,裁判所所管の項目は無い。
裁判所所管の予備費使用額の欄も0円である。

欄が0円であることだけでは足りない。
決算は移替額について「移替額には、新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用額1,628,854,246,000円及び流用増した額171,473,000円が含まれる」と注記しており((6)頁),予備費が移替として現れる経路があるからである。
裁判所所管の予算決定後移替増減額も0円であるから,この経路からの配分も無い。

補正で1,259,066千円が付き,別の補正で1,588,438千円が引かれた年に,予備費からの上積みは無かったことになる。

第4 満額で計上されても,使われるとは限らない1 裁判費の13目で要求と予算が違うのは1目だけである目要求額(千円)当初予算(千円)充足率決算執行率諸謝金2,152,8442,152,844100.0%88.5%裁判旅費272,942277,277101.6%46.5%執行官旅費43,63643,636100.0%74.2%委員等旅費1,499,3661,499,366100.0%73.4%証人等旅費202,356202,356100.0%70.7%裁判庁費14,381,19513,852,18596.3%86.8%特別送達料575,945575,945100.0%99.99%身柄拘束者食糧費424424100.0%10.3%少年補導委託費173,679173,679100.0%32.4%賠償償還及払戻金277,694277,694100.0%86.7%保証金10,00010,000100.0%0.0%刑事補償金641,027641,027100.0%56.7%少年補償金10,02110,021100.0%35.3%

目細のレベルまで一致している。
諸謝金の国選弁護人等報酬59,947千円,委員等旅費の国選弁護人等2,648千円及び証人等旅費の証人59,719千円は,いずれも要求額と当初予算額が同じである。

2 執行率は0.0%から99.99%まで割れる

はじめに,この表の決算執行率は支出済歳出額を歳出予算現額で割ったものであることを断っておく。
13目のうち翌年度繰越があるのは裁判庁費だけで,1,332,855千円を令和3年度へ繰り越している。
繰越は使わなかった額ではないから,裁判庁費の執行率86.8%を,繰越が0円の目の執行率と同じ意味で読むことはできない。

使われなかった額の割合(不用額÷歳出予算現額)で並べ直すと,順序が変わる。

目決算執行率翌年度繰越不用率特別送達料100.0%00.0%裁判庁費86.8%1,332,855千円4.6%諸謝金88.5%011.5%賠償償還及払戻金86.7%013.3%

執行率では諸謝金が裁判庁費を上回るが,使われなかった額の割合では裁判庁費のほうが小さい。
以下で挙げる目は,いずれも翌年度繰越が0円であるから,執行率がそのまま使われなかった程度を表す。

身柄拘束者食糧費の執行率は10.3%である。
予算424千円に対し,支出済は44千円である。
身柄同行が激減したことが表れている。

裁判旅費の執行率は46.5%である。
裁判官及び裁判所書記官が法廷外で行う検証,出張尋問等の旅費である。

破産法23条の国庫仮支弁である保証金は,支出済が0円である。
予算10,000千円が全額不用になっている。
平成30年度の支出実績も0円であり,令和2年度は新規事項として10,000千円を要求して満額認められた費目である。
制度が事実上使われていないことを,決算という一次資料で確認できる。

例外は特別送達料で,不用額は44,642円にとどまる。
執行率は99.99%である。
期日は止まっても,送達は止まらなかったことになる。
この目には流用で3,452千円が積み増されており,それでも使い切っている。

したがって,「満額で計上された」ことと「予算どおり使われた」ことは切り分けて読む必要がある。
年度をまたいで実態を比べるのであれば,要求額でも予算額でもなく決算額を並べるのが実態に近い。

3 この形は令和7年度から崩れる

令和8年度では,保証金が50.0%,裁判庁費が66.5%,執行官旅費が71.5%,裁判旅費が73.5%に減額されており,要求額と予算額が一致しない目が複数ある。
なお,満額の目の数を年度間で並べるときは,分母に(目)裁判庁費を含めるかどうかで数が動く。
令和2年度の(項)裁判費は13目で構成されている。
令和2年度で成り立っていた形を,そのまま現在の話として用いることはできない。

第5 要求の組み方-本体を絞って要望枠で取りに行く1 要求本体は前年度予算を下回っている

令和2年度の概算要求本体321,099,826千円は,前年度予算325,574,308千円を4,474,482千円下回っている。
前年度より低い額を要求していることになる。
そのうえで,増分を「新しい日本のための優先課題推進枠」の要望8,183,750千円で取りに行く組み方になっている。

2 要望枠の3事業事業要望額(千円)暮らしの安全・安心3,537,085防災・減災4,462,683裁判手続等のIT化の推進183,982合計8,183,750

裁判手続等のIT化の推進は,要望枠の2.2%にすぎない。
令和2年度の時点では,デジタル化は金額の上では小さな事業であった。

3 要望枠が乗ったことが見える箇所事項令和元年度予算要求本体当初予算予算÷要求本体最高裁判所・裁判運営の充実に必要な経費1,145,433197,1001,094,045555.07%下級裁判所・裁判運営の充実に必要な経費8,385,4447,234,6568,280,777114.46%裁判所施設費17,480,34613,267,40817,024,474128.32%

最高裁判所の「裁判運営の充実に必要な経費」は,要求本体197,100千円に対し当初予算1,094,045千円である。
前年度予算1,145,433千円とほぼ同じ水準に戻っている。
最高裁判所の概算要求書(説明資料)でこの事項に属する項目の多くに「要望」の札が付いていたことと対応する。

したがって,説明資料の「要望」の札が付いた項目について,要求額が小さいことを理由に重視されていないと読むのは適切でない。
本体に載せられないものを要望枠へ回した結果であり,予算では前年度並みに戻っている。

項別に対応を確認できる裁判所施設費で計算すると,当初予算と要求本体の差は3,757,066千円であり,要望「防災・減災」4,462,683千円の84.2%にあたる。

第6 デジタル化の予算は当初予算ではなく補正で付いた

補正予算(第2号)の内容は,次の2項目だけである。

項・目当初(千円)追加(千円)補正後(千円)下級裁判所・法廷等器具整備費577,708+152,600730,308裁判費・裁判庁費13,852,185+1,106,46614,958,651

裁判庁費の追加1,106,466千円の内訳は,消耗品費85,344千円,通信運搬費273,353千円及び雑役務費747,769千円である。
このうち繰越明許費として「司法情報システム緊急整備費」592,392千円が立っている。

当初予算の要望枠に載っていた「裁判手続等のIT化の推進」は183,982千円であった。
補正で付いた592,392千円は,その3.2倍である。
令和2年度のデジタル化の予算は,当初予算ではなく補正予算で一気に付いたことになる。
その後の経過は令和8年度概算要求に基づく,裁判手続のデジタル化の説明にある。

もっとも,補正で積んだ額がその年度に使われたかどうかは,令和2年度については分離できない。
裁判所ウェブサイトの決算のページには「補正予算の執行状況の公表について」という区分があるが,令和8年9月7日の時点で掲載されているのは令和7年度分(令和7年度決算時点)及び令和6年度分(令和6年度決算時点及び令和7年度決算時点)の3件だけである。
令和2年度については,当初分と補正分を分けた執行状況の公表資料が同ページにない。

分かるのは次のことまでである。
裁判費は補正で1,416,926千円を積んだが,決算18,022,411千円は当初予算19,716,454千円すら下回っている。
裁判費の翌年度繰越1,332,855千円は全額が裁判庁費であるが,前年度繰越245,578千円も混ざるため,補正の追加額との1円単位の対応は取れない。

補正で積んだ分が翌年度へ回るという読み方を一般化することもできない。
同じ補正第2号で152,600千円を積んだ下級裁判所の法廷等器具整備費は,決算では翌年度繰越が0円で,不用額が128,859千円である。
分かれ目は繰越明許費の指定があるかどうかであり,令和2年度補正第2号の同じ目には繰越明許費の記載がない。

第7 検察審査会は止まっていた1 要求と予算が一致したまま4分の1が不用になった

項の検察審査費は,要求額,当初予算額及び最終予算額のいずれも302,934千円で,1円も動いていない。
それにもかかわらず,決算は228,887千円で,24.4%が不用になっている。
繰越は0円であるから,差の全額が不用である。

2 目別の執行率目予算額(円)支出済(円)執行率検察審査員旅費241,725,000182,544,59775.52%庁費55,782,00044,214,23179.26%委員手当(審査補助員手当)4,329,0001,826,30042.19%職員旅費(審査業務旅費)527,0005100.10%諸謝金248,000247,50099.80%委員等旅費(審査補助員旅費)181,00045,69725.25%証人等旅費142,0008,4905.98%

職員旅費の執行率は0.10%である。
予算527,000円に対し,支出済は510円である。
この旅費は実地見分及び所在尋問への検察審査会事務官の立会いのためのものであるから,令和2年度はこれらがほとんど行われなかったことになる。

証人等旅費の執行率は5.98%である。
検察審査会議での証人尋問もほとんどなかったことになる。

審査補助員手当の執行率は42.19%である。
審査補助員は,検察審査会が,審査を行うに当たり法律に関する専門的な知見を補う必要があると認めるときに,弁護士の中から事件ごとに委嘱することができるものである(検察審査会法39条の2第1項)。
委嘱するかどうかは検察審査会の判断によるから,手当の執行が予算の4割強にとどまったことは,委嘱件数が見込みを下回ったことを示す。

3 「法定の回数を割った」とは書けない

検察審査員旅費は,概算要求書(説明資料)によれば,会議1回当たりの必要額122,145円に令和2年度の会議回数見込み1,979回を乗じて積算されている。
支出済182,544,597円を積算単価122,145円で割ると,約1,494回となる。
見込み1,979回に対して約1,494回である。
もっとも,実際の1回当たりの費用が積算単価どおりであったとは限らないから,1,494回は換算値であって実測の開催回数ではない。

そのうえで,「法定の回数を割った」と書くことはできない。
検察審査会法21条1項は,毎年3月,6月,9月及び12月にそれぞれ検察審査会議を開かなければならないと定めており,年4回である。
同法15条1項は,各群の検察審査員及び補充員のいずれかの任期が開始したときに,その都度速やかに検察審査会議を開いて検察審査会長を互選しなければならないと定めるところ,同法14条により第1群は2月1日,第2群は5月1日,第3群は8月1日,第4群は11月1日と3か月ずつずれて任期が開始するから,これも年4回である。

両者を合わせて年8回になるという合成であって,法律に「年8回」という数字が書かれているわけではない。
概算要求書(説明資料)が,15条1項及び21条1項を根拠として年8回としているものである。

検察審査会は全国で165ある。
165庁に8回を乗じた1,320回が法定の下限であり,換算値の約1,494回はこれを上回っている。
言えるのは「見込み回数1,979回に届かなかった」までである。

もっとも,開催回数が予定を下回ったこと自体は,換算値によらずに確認できる。
歳出決算報告書は,検察審査費の不用額の理由として「不用額を生じたのは、検察審査会議の開催回数が予定を下回ったこと等により、検察審査員旅費を要することが少なかったこと等のため」と記載している。
本記事の換算値は,下回った程度を測るための数字であって,下回ったという事実そのものは決算に書かれている。
なお,同法21条2項の随時招集及び41条の2の再審査があるから,8回を超える開催もあり得る。

第8 事故繰越-司法修習の遅れ1 繰越の法的根拠別の内訳種別項金額(円)財政法14条の3(繰越明許費)裁判費1,332,855,312同上裁判所施設費8,145,063,813財政法42条ただし書(事故繰越)最高裁判所1,466,776,000合計10,944,695,125

下級裁判所及び検察審査費の繰越は0円である。

2 事故繰越は6目すべてが司法修習関係である目繰越額(円)修習給付金1,110,165,000修習資金貸与金299,920,000諸謝金(講師等謝金)25,916,000司法修習生研修委託費19,654,000職員旅費(研修等旅費)6,672,000研修費4,449,000合計1,466,776,000

財政法42条ただし書は,「歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をなし避け難い事故のため年度内に支出を終らなかつたもの」について翌年度への繰越しを認めている。
令和2年度の裁判所で事故繰越になったのは司法修習だけであり,司法修習の開始が遅れたことが財政法上の「避け難い事故」として処理されたことが読める。
あらかじめ繰越しを予定する繰越明許費とは性質が異なる。

修習給付金は,予算額3,314,835千円に対し,支出済2,071,492千円,翌年度繰越1,110,165千円,不用133,178千円である。
執行率は62.5%である。
この目の内容は司法修習生研修委託費と同じ項に属する。

第9 不用額の理由は国が決算に書いている1 決算に記載された4項の理由

財務省の一般会計歳入歳出決算には,主要な不用額について理由が記載されている。
裁判所所管の4項について,記載は次のとおりである。

項不用額(円)記載された理由最高裁判所2,451,599,312定年退職者数及び応募認定退職者数が予定を下回ったこと等により、退職手当を要することが少なかったこと等のため下級裁判所3,142,083,322調停事件の処理件数及び家庭裁判所委員会の出席者数が予定を下回ったこと等により、委員手当を要することが少なかったこと等のため裁判費2,023,690,873契約価格が予定を下回ったこと、業務内容の見直しによる業務計画の変更をしたこと等により、裁判庁費を要することが少なかったこと等のため裁判所施設費865,085,919契約価格が予定を下回ったので、施設整備費を要することが少なかったこと等のため

下級裁判所の理由には,「調停事件の処理件数……が予定を下回った」と記載されている。
令和2年度に調停事件の処理件数が落ちたことを,決算という一次資料で示すことができる。

他方で,裁判費の理由には事件数の減少が記載されていない。
記載されているのは「契約価格が予定を下回った」ことと「業務内容の見直しによる業務計画の変更」であり,物件費である裁判庁費に関する説明である。
目別の執行率から期日の停止を読み取ることは本記事の整理であって,決算に記載された項レベルの理由とは別のものである。
両者は矛盾しないが,区別して読む必要がある。

2 検察審査費の理由は歳出決算報告書にある

上の表は歳入歳出決算のものであり,検察審査費の不用額74,046,675円は載っていない。
歳入歳出決算が理由を示す範囲を「1項5億円以上のもの」と自ら定めているためである。

しかし,理由が公表されていないわけではない。
歳出決算報告書の備考欄には検察審査費にも理由が付いており,その文言は検察審査会について述べた箇所で引用した。

裁判所所管で理由の記載が無いのは,裁判所予備経費8,000,000円だけである。

二つの冊で収録の範囲が違うことは,決算に書かれている「理由」の探し方で扱っている。

第10 手続の時系列1 令和2年度の各段階の日付段階日付概算要求基準の閣議了解令和元年7月31日各省各庁の概算要求額の公表令和元年9月5日政府案の閣議決定令和元年12月20日国会提出・審議開始令和2年1月20日当初予算の成立令和2年3月27日補正予算(第1号)案の閣議決定令和2年4月7日概算の変更の閣議決定令和2年4月20日補正予算(第1号)の成立令和2年4月30日補正予算(第2号)案の閣議決定令和2年5月27日補正予算(第2号)の成立令和2年6月12日補正予算(第3号)案の閣議決定令和2年12月15日補正予算(第3号)の国会提出令和3年1月18日補正予算(第3号)の成立令和3年1月28日決算の国会提出(第207回国会)令和3年12月6日参議院本会議の是認令和4年6月15日衆議院本会議の議決令和6年6月18日

補正予算(第1号)だけ,「補正予算案の閣議決定」と「概算の変更の閣議決定」が別の日になっている。
他の補正にはこの2段がない。
もっとも,同号には裁判所所管の計上がないから,令和2年度の裁判所について実害のある論点ではない。

なお,この表の日付は政府案の閣議決定日であって,最高裁判所長官が内閣に見積書類を送付した日ではない。
その送付は公表されない。

2 決算が国会で議決されるまでに2年6か月かかっている

令和2年度の決算は,令和3年12月6日に国会へ提出された。
提出先は第207回国会(臨時会)で,同国会は同日に召集され,同月21日に閉会している。
つまり決算は,会期16日の臨時会の初日に提出された。

その後の経過は,両院で分かれる。

院委員会委員会の議決本会議結果参議院決算委員会令和4年6月13日令和4年6月15日是認衆議院決算行政監視委員会令和6年6月17日令和6年6月18日議決

参議院は,提出から約6か月後の令和4年6月15日に是認している。
これに対し衆議院は,第207回国会から第212回国会まで継続審査を重ね,第213回国会の令和6年6月18日に議決した。

提出から衆議院の議決まで2年6か月である。
当初予算が年度の開始前に成立していることと対比すると,同じ年度の数字でも,入口と出口で国会の扱う速さがまったく違う。

本記事が用いた決算の数字は,令和3年12月6日に提出された決算そのものの値である。
その後の審議で数字が変わるものではない。

3 「概算要求」の公表日と送付期限は別の日である

上の表の「各省各庁の概算要求額の公表」令和元年9月5日は,財務省が各省各庁の要求額を取りまとめて公表した日である。
これは,予算決算及び会計令8条が定める送付期限である令和元年8月31日とは別の日である。
同じ「概算要求」という語で別の日を指すため,時系列に並べるときは分ける必要がある。

令和2年度予算については,この送付期限を動かす特例政令はない。
令和元年5月から9月までの官報337号の目次を「送付期限」「見積書類」「見積に関する書類」「概算要求」の4語で走査して0件であり,同じ方法を令和2年7月に当てると令和2年政令第230号を検出する。
なお,令和3年度予算についてはこの政令によって期限が動いており,その経緯は裁判所の予算は誰が決めているのかで扱っている。

4 令和3年度予算書の「前年度予算額」欄の正体

令和3年度予算書の裁判所所管の「前年度予算額」欄は327,883,247千円であり,令和2年度の当初予算額とも最終予算額とも一致しない。
これは補正予算(第2号)後の額である。

令和3年度予算が国会に提出された令和3年1月18日の時点で,令和2年度予算として成立していたのは第2号後の額であった。
補正予算(第3号)は同じ日に提出されたばかりで,成立は10日後の令和3年1月28日である。
前年度予算額欄に当てるべき値は,当初予算額でも最終予算額でもなく,提出の時点で成立していた額であると読める。
もっとも,これは令和2年度から令和3年度への1組についての観測であるから,他の年度でも同じ規則で説明できるかは確認していない。

第11 実務に使える数字1 日当の積算単価は上限額に比例しない区分規則の上限額積算単価比率証人・参考人・少年8,050円以内4,025円50.0%鑑定人・通訳人・国選弁護人・国選代理人7,650円以内4,110円53.7%司法委員・参与員10,350円以内5,730円55.4%鑑定委員6,060円以内6,060円100%

上限額は証人8,050円が鑑定人7,650円より高いのに,積算単価は証人4,025円が鑑定人4,110円より低く,大小が逆転している。
鑑定委員に至っては上限額そのものを積んでいる。
「上限額のおおむね半額」という一般則は立たない。

当事者の日当は,民事訴訟費用等に関する規則2条2項により1日3,950円の定額である。
証人の日当が「以内」の上限であるのとは,性質が異なる。
単価表の詳細は司法研修所の概算要求書単価表にもある。

2 無罪事件の費用補償の内訳

刑事補償金641,027千円の内訳は,拘禁補償507,779千円と費用補償133,248千円である。
費用補償(刑事訴訟法188条の2)133,248千円は8項目に分かれており,被告人の鉄道賃2,543千円,日当4,633千円,宿泊料61千円,私選弁護人の鉄道賃2,099千円,日当5,346千円,宿泊料25千円,報酬106,684千円及び謄写料11,857千円である。

費用補償の8割は私選弁護人の報酬である。
平成30年度の実績は,私選弁護人報酬75,294千円,謄写料8,400千円である。

3 指定弁護士の手当には幅がある

刑事訴訟法268条5項は,同条1項の指定を受けた弁護士に政令で定める額の手当を給すると定める。
これを受けた昭和24年政令第372号は,その指定により公訴を維持すべき事件の審級ごとに50万円以上315万円以下(上訴審及びその後の審級については19万円以上315万円以下)の範囲内で,裁判所が相当と認める額とする。

概算要求書(説明資料)の積算単価は1名当たり1,713,872円である。
上限315万円まで出る余地があることは,指定弁護士の職務を検討する場面で意味を持つ。

4 補正予算まで見ないと年度の姿が分からない段階金額(千円)対要求要求20,241,129100.0%当初予算19,716,45497.41%補正第2号後20,822,920102.87%補正第3号後21,133,380104.41%決算18,022,41189.04%

項の裁判費を通しで見ると,当初予算だけを見れば要求の97.41%に減っているが,補正まで見れば要求を4.41%上回っている。
そして決算では要求の89.04%にとどまる。
どの段階を見るかで,結論が3通りに分かれる。

第12 定員-裁判官は振替で,職員は17人の減である

令和2年度の裁判所職員定員法の一部を改正する法律は,第201回国会で成立した。
その内容は,同法律案の趣旨説明及び質疑から確認できる。

区分改正前改正後増減判事2,1252,155+30判事補927897△30裁判官の合計3,0523,0520

裁判官については,判事補の定員から判事の定員へ30人を振り替えたものであり,裁判官の総数は変わっていない。
法務大臣は,第201回国会衆議院法務委員会第5号(令和2年3月18日)で,判事補の定員から判事の定員に30人の振替を行うことにより執務体制の強化を図るものであると説明している。

裁判官以外の職員は,次のとおりである。

区分増減(人)裁判所書記官+8裁判所事務官+34技能労務職員等△59差引△17

8人と34人の増に対し59人の減であるから,差引17人の減である。
最高裁判所事務総局総務局長は,第201回国会衆議院法務委員会第6号(令和2年3月31日)で,59人の減員の中に裁判所速記官の定員2人分が含まれると述べている。

この17人は,裁判所職員定員法2条の員数の差としても確認できる。
同条の員数は改正前が21,835人,改正後が21,818人である。
ただし,同条の員数は「執行官、非常勤職員、二箇月以内の期間を定めて雇用される者及び休職者を除く」ものであるから,裁判所で働く人の総数ではない。
本記事が扱う執行官旅費や委員等旅費は,この員数の外にいる人に係る経費である。

年度の途中で員数が変わっている点に注意を要する。
令和2年度の改正法(令和2年法律第20号)は令和2年4月24日に公布され,同日に施行された。
したがって令和2年4月1日から同月23日までの員数は改正前の21,835人であり,「令和2年度の員数は21,818人である」というときの値は年度当初のものではない。

現在員は,同委員会で示された令和2年1月16日の時点で,判事が定員2,125人に対し2,073人,判事補が定員927人に対し772人である。
判事補には155人の欠員がある。

金額の側では,最高裁判所の項が要求本体78,712,096千円に対し当初予算78,977,113千円であり,下級裁判所の項が要求本体206,979,930千円に対し当初予算207,217,212千円である。
定員が差引で減っている年に,人件費を含む両項の予算額は要求本体を上回っている。
定員と予算額は連動しないから,どちらか一方から他方を推すことはできない。

第13 未確認事項

補正で積んだ額のうち令和2年度中に実際に支出された額は確認できていない。
裁判所ウェブサイトの決算のページの「補正予算の執行状況の公表について」に掲載されているのは令和6年度分以降であり,令和2年度については当初分と補正分を分けた公表資料が同ページにない。

「司法情報システム緊急整備費」592,392千円の執行状況も確認できていない。
繰越明許費として計上されているため,令和2年度中に全額が支出されたとは限らない。

項の検察審査費の実際の会議開催回数は確認できていない。
本記事の約1,494回は,支出済額を積算単価で割った換算値である。

補正予算(第1号)における「概算の変更の閣議決定」(令和2年4月20日)について,財政法18条2項の意見聴取が行われたかどうかは確認できていない。
同項は「前項の決定」すなわち概算の閣議決定について意見聴取を義務付けているが,変更の閣議決定が同条1項の決定そのものであるかは条文からは決まらない。

要望枠のうち「暮らしの安全・安心」及び「裁判手続等のIT化の推進」については,項別の配分を確認できていない。

概算要求の段階で何人の増員を要求していたかは確認できていない。
本記事の定員は,成立した改正法とその審議で示された数だけであり,要求と成立を対比したものではない。

第14 出典・参考資料1 法令

財政法(昭和22年法律第34号)14条の3,18条,19条,42条
予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)8条
検察審査会法(昭和23年法律第147号)14条,15条,21条,39条の2,41条の2
刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)188条の2,268条
破産法(平成16年法律第75号)23条
裁判所職員定員法(昭和26年法律第53号)1条,2条
検察官の職務を行う弁護士に給すべき手当の額を定める政令(昭和24年政令第372号)1条
令和2年政令第230号(令和三年度予算に係る歳入歳出等の見積書類の送付期限の特例を定める政令。官報令和2年7月28日号外第155号19頁)

以上はいずれも令和8年9月6日にe-Gov法令検索で確認した本文による。

2 最高裁判所規則

民事訴訟費用等に関する規則(昭和46年最高裁判所規則第5号)2条,6条,7条,8条

最高裁判所規則はe-Gov法令検索に収録されていないため,裁判所ウェブサイトの規則集により確認した。

3 概算要求書及び各目明細書

最高裁判所「令和2年度一般会計歳出概算要求書」(129頁。紙面の標題は「令和2年度歳出概算要求書」)
最高裁判所「令和2年度概算要求の概要」
最高裁判所「新しい日本のための優先課題推進枠 要望一覧」
最高裁判所「令和2年度概算要求書(説明資料Ⅰ・Ⅱ)」(461頁及び449頁。裁判所ウェブサイト未掲載)
最高裁判所「令和2年度予算の概要」
最高裁判所「令和2年度一般会計歳出予算各目明細書」(18頁。紙面の標題は「令和2年度裁判所所管一般会計歳出予算各目明細書 第201回国会(常会)提出」)
最高裁判所「令和2年度一般会計歳出予算補正(第2号)各目明細書」
最高裁判所「令和2年度一般会計歳出予算補正(第3号)各目明細書」

以上の名称は,裁判所ウェブサイトの「令和2年度予算」の頁のリンク文言による。
紙面の標題が異なるものは括弧内に併記した。

4 予算書,決算及び統計

財務省「令和2年度 一般会計歳入決算明細書及び歳出決算報告書(科目別内訳)」(CSV)
財務省「令和2年度 一般会計歳入決算明細書及び歳出決算報告書」(862頁。裁判所所管の不用理由は78頁から82頁まで)
財務省「令和2年度 一般会計歳入歳出決算」(106頁)
財務省「令和2年度 一般会計当初予算」(1,117頁)
財務省「令和2年度 一般会計補正予算(第1号)」(281頁),同「(第2号)」(216頁),同「(第3号)」(693頁)
裁判所「令和2年度裁判所決算」
裁判所「裁判所データブック2020」別表「証人等日当等」

5 官報及び閣議了解

インターネット版官報(令和元年5月から9月まで及び令和2年7月)
「令和2年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(令和元年7月31日閣議了解)

6 国会会議録

第201回国会衆議院法務委員会第5号(令和2年3月18日)及び同第6号(令和2年3月31日)並びに同参議院法務委員会第6号(令和2年4月14日)及び同第7号(令和2年4月16日)
いずれも裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審議であり,国会会議録検索システムにより確認した。

7 議案情報

参議院議案情報「令和二年度一般会計補正予算(第3号)」(第204回国会(常会)提出番号1。提出日令和3年1月18日,参議院議決令和3年1月28日)
参議院議案情報「令和二年度一般会計歳入歳出決算、令和二年度特別会計歳入歳出決算、令和二年度国税収納金整理資金受払計算書、令和二年度政府関係機関決算書」(第207回国会提出番号1。提出日令和3年12月6日。参議院の是認及び衆議院の議決は,第208回国会及び第213回国会の同じ議案の頁による)
衆議院「国会会期一覧」(第204回及び第207回の召集日及び会期終了日)

8 関連記事

同じ型で各年度を扱った記事は次のとおりである。
突き合わせた系列は年度によって異なり,令和7年度及び令和8年度は決算を含まず,令和8年度は暫定予算を含む。

裁判所の令和3年度予算
裁判所の令和4年度予算
裁判所の令和5年度予算
裁判所の令和6年度予算
裁判所の令和7年度予算
裁判所の令和8年度予算

予算・決算の数値をどこから取るか
裁判所の予算は誰が決めているのか
決算はどの欄でできているか――9つの欄と2本の恒等式
決算に書かれている「理由」の探し方
最高裁判所の概算要求書(説明資料)
令和8年度概算要求に基づく,裁判手続のデジタル化の説明
司法修習生研修委託費
司法研修所の概算要求書単価表

裁判所の令和7年度予算-概算要求,当初予算及び補正予算の突合(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 対象,調査の基準日及び資料の対象期間2 結論第2 四つの数字は互いに別物である1 概算要求2 当初予算3 補正予算4 決算5 どこで入手できるか第3 令和7年度の四つの数字1 総額2 要望を分母に入れるかどうか3 歳出予算現額の推計4 令和7年度決算が未公表であること第4 (項)別に見ると,落ちているのは裁判費だけである1 概算要求と当初予算2 人件費の項が要求を上回る理由3 補正後の姿4 補正予算を読むときの二つの注意(1) 差引額だけを見ない(2) 修正減少は実績に合わせた落とし込みであることが多い第5 裁判手続等のデジタル化関連経費1 要求の半分しか付いていない2 補正予算で戻る第6 補正予算は,計上した年度には使われていない1 執行状況2 繰越先の年度まで追える例3 年度の実力の測り方4 令和6年度決算の執行率第7 「削られた」と書けるかどうか第8 予納郵券の廃止が,予算の(目)に現れている1 (目)の新設と改称2 民事訴訟費用等に関する法律の改正との対応3 実務上の意味第9 歳入-相続人不存在で国庫に帰属する金銭1 歳入の補正は歳出の補正より大きい2 (目)雑収とは何か3 実務上の意味第10 定員第11 未確認事項第12 出典・参考資料1 法令2 裁判所の予算・決算資料3 統計・データ第13 関連記事1 同じ型で各年度を扱った記事2 資料の読み方を扱った記事
第1 この記事の対象と結論
1 対象,調査の基準日及び資料の対象期間

この記事は,令和7年度の裁判所所管の一般会計について,概算要求,当初予算,補正予算及び決算という四つの数字を並べ,どこで金額が動いたのかを追ったものである。
調査の基準日は令和8年9月7日であり,金額の取得日は同月6日である。
資料の対象期間は,比較のために令和3年度から令和8年度までを含む。
本文の金額は,特記しない限り千円単位であり,決算の数値だけは円単位である。

裁判所の予算がどのような手続で決まるのか,財政法19条の二重予算の制度がどうなっているのかについては,別の記事である裁判所の予算は誰が決めているのか-二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったことで扱っている。
この記事は,手続そのものではなく,四つの数字の突合せに絞る。

2 結論

令和7年度の概算要求額は,要望を含めて3479億3262万4000円であった。
これに対する当初予算額は3351億9243万9000円であり,要求・要望計に対する割合は96.3%である。
ところが,同年度の補正予算(第1号)で261億9977万2000円が追加され,補正後の改予算額は3613億9221万1000円となった。
要求・要望計に対する割合は103.9%になり,逆転する。

総額だけを見ると「ほぼ要求どおり」に見えるが,内訳は均一ではない。
(項)裁判費だけが要求377億2937万8000円に対して当初予算263億6090万1000円(69.9%)と大きく落ち,最高裁判所,下級裁判所及び裁判所施設費はいずれも当初予算が要求を上回っている。
落ちているのは人件費ではなく,裁判手続のデジタル化を含む事件処理の実費である。

もっとも,その裁判費も補正予算で386億9494万円まで戻り,要求比102.6%になる。
当初予算で落ち,補正予算で戻るという往復が起きている。

そして,その補正予算は,計上した年度にはほとんど使われていない。
令和6年度補正予算の「裁判手続等のデジタル化等」169億円は,令和6年度中の支出済額が1億円で,167億円が令和7年度へ繰り越され,令和7年度に164億円が支出された。
令和7年度補正予算の210億円も,令和7年度中の支出済額は6億円で,200億円が令和8年度へ繰り越されている。
したがって,ある年度に裁判所が実際に使える金は,当初予算そのものではなく,当初予算に前年度補正からの繰越額を足した額である。

第2 四つの数字は互いに別物である
1 概算要求

正確には,財政法17条1項の見積書類である。
同項は,衆議院議長,参議院議長,最高裁判所長官及び会計検査院長が,毎会計年度,その所掌に係る「歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積に関する書類」を作製し,これを内閣における予算の統合調整に供するため内閣に送付しなければならないと定めている。
「概算要求」は法令上の用語ではなく,この見積書類の通称にすぎない。

なお,内閣総理大臣及び各省大臣の見積書類は,同条2項により財務大臣へ送付される。
1項の四者だけが内閣へ送付する点が,各省庁との違いである。

(続きを読む...)裁判所の令和7年度予算-概算要求,当初予算及び補正予算の突合(AI作成)

裁判所の令和3年度予算-概算要求,当初予算,補正予算及び決算の突合(AI作成)

第1 この記事の対象と結論1 対象,調査の基準日及び資料の対象期間2 4系列の総額3 この記事で新たに示すこと第2 令和3年度は概算要求の作り方が違う年である1 要求額は「基本的に対前年度同額」とされた2 送付期限も政令で9月30日に変更された3 令和3年度予算の時系列第3 概算要求と当初予算-(項)裁判費を目まで突き合わせる1 総額の差は4,786,906千円である2 13の目のうち11の目が1円まで一致する3 差が出た2つの目4 【要望】42億9575万2000円の行方第4 当初予算が政府案どおり成立したことの確かめ方第5 補正予算(第1号)で動いた額1 差引は33,904千円の減である2 追加6目と修正減少11目3 補正予算のCSVには符号の罠がある4 補正で積んだ額は令和3年度には使われていない第6 決算-現額,支出済,繰越及び不用1 歳出予算現額は当初予算額と一致しない2 (項)裁判費の目別執行率3 保証金は5年連続で執行実績がない4 令和3年度の不用額の理由第7 定員-要求段階の据置きと予算定員の変動は別である第8 未確認事項第9 出典・参考資料1 法令2 官報3 予算書,決算書及び概算要求書4 閣議資料5 国会会議録6 関連記事
第1 この記事の対象と結論
1 対象,調査の基準日及び資料の対象期間

裁判所の予算については,概算要求額と成立した予算額の差が語られることが多いが,その差がどの費目でどれだけ生じ,補正予算でどう動き,最終的にいくら使われたのかを,一つの年度について通しで並べた資料は見当たらない。
本記事は,裁判所所管の令和3年度予算について,概算要求,当初予算,補正予算及び決算の4系列を,(項)裁判費については目のレベルまで突き合わせたものである。
資料の読取り,計数及び突合はいずれもAIを用いて行い,金額はすべて公表資料の実数をそのまま用いた。

本記事の調査の基準日は令和8年9月6日であり,法令の適用時点も同日である。
資料の対象期間は,令和2年7月の概算要求の方針から令和3年度決算までであり,執行率の比較のために令和2年度から令和6年度までの決算を用いた。
令和7年度の決算は基準日の時点で公表されていない。

制度そのもの,すなわち裁判所の予算だけが通る手続と,財政法19条の附記(二重予算)が令和2年度から令和8年度まで0件であることの意味については,裁判所の予算は誰が決めているのか――二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったことで扱っている。
同記事の計数には令和3年度分も含まれており,令和3年度についても附記は0件である。
本記事は,そこで示した枠組みを前提として,令和3年度という一つの年度の実額を追う。

2 4系列の総額

単位は千円である。

系列金額①概算要求等額(要求本体325,859,066+要望4,295,752)330,154,818②当初予算額(成立。国会修正なし)325,367,912③改令和3年度予算額(補正第1号後。以下「改予算額」という。)325,334,008④歳出予算現額336,278,703⑤支出済歳出額319,675,693

②と①の差は4,786,906千円である。
③と②の差は33,904千円の減である。
④は③に前年度からの繰越額10,944,695,125円を加えた336,278,703,125円であり,1円まで一致する。
⑤は319,675,693,505円であり,④に対する執行率は95.06%である。
残りは翌年度繰越額8,117,773,222円と不用額8,485,236,398円であり,⑤との合計は④に1円まで戻る。

3 この記事で新たに示すこと

①(項)裁判費の13の目のうち11の目で,概算要求額と当初予算額が1円まで一致していること。
②その一致が査定の緩さを示すものではなく,令和3年度に固有の要求ルールの結果であること。
③補正予算で追加された額が,令和3年度中には支出されず,翌年度繰越額と1円まで一致すること。
④要求額と予算額が一致した目の多くが,決算では半分前後しか執行されていないこと。
⑤要求段階で定員が据え置かれたことと,予算定員が据え置かれたことは別であること。

第2 令和3年度は概算要求の作り方が違う年である
1 要求額は「基本的に対前年度同額」とされた

令和3年度の概算要求の方針は,「令和3年度予算の概算要求の具体的な方針について」(令和2年7月21日閣議 財務大臣発言要旨)という形で示されている。
その第2項は,要求期限を延ばすことに続けて,「概算要求の段階で予算額を決めることはせず、その仕組みや手続きをできる限り簡素なものとします」とする。

(続きを読む...)裁判所の令和3年度予算-概算要求,当初予算,補正予算及び決算の突合(AI作成)

裁判所の予算は誰が決めているのか――二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったこと(AIリライト)

第1 この記事が扱う範囲と結論1 対象,基準日及び資料の対象期間2 令和8年度の概算要求額と予算額3 公表資料から書けること4 公表資料からは書けないこと5 両側とも書けない理由第2 裁判所の予算だけが通る手続1 裁判所法83条2 財政法17条から21条まで3 予算決算及び会計令が定める期限と経路4 8月末という期限を定めているのは政令である5 内閣は政令でこの期限を動かせる(1) 令和3年度予算で実際に動かした例(2) 令和8年度予算については同種の政令を確認できない6 8月31日が休日に当たる年――行政機関の休日に関する法律7 裁判所の休日に関する法律及び民法142条も及ばない第3 二重予算――附記に至る道筋1 減額は閣議決定の通知の段階で明示される2 附記は最高裁判所が動いて初めて作られる3 附記に至る4段階4 唯一の実例――昭和27年度予算の営繕費第4 令和2年度から令和8年度まで,附記は0件1 どこを数えたか2 当初予算7本の結果3 補正予算も数える必要がある4 裁判所所管を計上していない3冊は判定に用いない5 対照の置き方6 数え直した結果7 この0をどう読むか(1) どの読み方をしても言えること(2) 読み方が分かれる理由――附記の引き金が条文によって違う(3) 第1の読み――附記は明細書が出たときに限られる(4) 第2の読み――19条の義務は減額があれば発生する(5) どちらとも決まらないが,実務上の見え方は変わらない8 この0から読めないこと第5 差はどこで生まれているのか――国会答弁1 時期は答弁で特定できる2 財務省の説明3 「三十九人」という数字の出どころ4 最高裁判所の説明5 同じ委員会にある正反対の評価6 令和6年度の同じ構図7 両論を併記する理由第6 予算書の金額欄の読み方1 「要求額」欄は概算要求額ではない2 「前年度予算額」欄は前年度の当初予算額ではない3 「要求額」という見出しは三か所にある第7 条文と予算資料の対応1 所管と見積書類の送付2 閣議決定,減額の通知及び附記3 予算書の体裁,提出及び補正4 配賦,移用・流用及び決算5 決算に現れる財政法33条6 決算に現れる裁判所法83条2項の予備金第8 「減額」と「差」の使い分け第9 出典・参考資料1 法令2 予算書・決算書及び概算要求書3 国会会議録4 閣議了解5 関連記事
第1 この記事が扱う範囲と結論
1 対象,基準日及び資料の対象期間

裁判所の概算要求額と,成立した予算額には差がある。
この差を「最高裁判所の要求が削られた」と書きたくなるが,裁判所の予算には各省庁とは異なる手続が用意されており,その手続を前提にすると,誰がどの段階でその差を作ったのかは公表資料からは分からない。
本記事は,裁判所法,財政法及び予算決算及び会計令の条文を確認した上で,令和2年度から令和8年度までの一般会計予算書を実際に数えた結果を整理するものである。

本記事の調査の基準日は令和8年9月6日であり,法令の適用時点も同日である。
条文はいずれも同日にe-Gov法令検索で確認した本文による。
予算書の計数の対象期間は令和2年度から令和8年度までの一般会計予算(当初及び補正)であり,決算については令和6年度分を用いた。
国会答弁は,令和4年4月14日及び令和6年4月4日の各参議院法務委員会の会議録による。

2 令和8年度の概算要求額と予算額

裁判所所管の令和8年度歳出概算要求書の総表によれば,概算要求額は359,169,102千円であり,前年度予算額335,192,439千円に対して23,976,663千円の増である。
これに「重要政策推進枠」としての要望額を加えた金額は,財務省が令和7年9月3日に公表した令和8年度一般会計概算要求・要望額の表では,裁判所所管につき概算要求額3,592億円・要望額58億円・計3,650億円と示されている。
他方,成立した令和8年度予算額は349,473,805千円である。
概算要求額との差は9,695,297千円であり,要望額を含めた要求・要望額との差は約155億円である。

「概算要求額」と「要求・要望額」は別の数字であるから,差を論じるときはどちらを指しているのかを先に決めておく必要がある。
以下では,条文上の手続を追う場面では概算要求額を,最高裁判所が公表する概算要求の概要の記載に即して述べる場面では要求・要望額を用いる。

なお,令和9年度概算要求の概要は本記事の基準日の時点で既に公表されており,要求・要望額は3,776億円(377,633百万円),令和8年度予算額349,474百万円に対して28,160百万円(8.1%)の増である。
この要求・要望額には,要望5,696百万円及び「強く豊かな日本」投資枠23,188百万円が含まれている。
令和9年度予算は基準日の時点で成立していないから,後述する附記の有無を数えることはできない。

3 公表資料から書けること

令和8年度の概算要求額359,169,102千円に対し,成立した予算額は349,473,805千円であり,その差は9,695,297千円である。

財政法19条の附記は,令和2年度から令和8年度までの一般会計予算書に1件もない。
裁判所所管が計上されている当初7本・補正7本の計14本・12,733頁を数えた結果である(補正のうち3本は裁判所所管を計上していないので判定に用いない)。
すなわち,この7年度に,附記を伴う事態,つまり二重予算は生じていない。
もっとも,これは制度が一度も使われたことがないという意味ではなく,昭和27年度予算の営繕費については実際に附記に至っている(第3の4)。

ただし,附記が0件であることが「最高裁判所長官が予定経費増額要求明細書を出さなかった」ことを意味するのか,「内閣が減額しなかった」ことを意味するのかは,条文の文言だけでは決まらない(第4の7)。

4 公表資料からは書けないこと

「内閣が削減した」「最高裁判所の要求が削られた」とは書けない。
誰がどの段階で差を作ったのかは,公表資料からは分からないからである。

(続きを読む...)裁判所の予算は誰が決めているのか――二重予算制度と,令和2年度から令和8年度まで附記が0件だったこと(AIリライト)

最高裁判所庁舎の冷房運転等に関する文書

1 最高裁判所庁舎の冷房運転に関する文書(令和5年度以降)
・ 最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について(令和7年6月24日付)
・ 最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について(令和6年6月25日付の文書)
・ 最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について(令和5年6月21日付の文書)

2 最高裁判所庁舎の夏季の節電等に関する文書(令和5年度以降)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電について(令和7年6月24日付の最高裁経理局管理課の文書)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電について(令和6年7月29日付の最高裁経理局管理課の文書)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電について(令和5年6月21日付の最高裁判所経理局管理課の文書)

3 令和4年度以前の文書
・ 最高裁判所庁舎における夏季の節電及び冷房運転に関する文書(令和4年7月5日付の文書)
・ 最高裁判所庁舎における夏季の省エネルギーの取組について(令和3年6月17日付の最高裁判所経理局管理課課長補佐の事務連絡)

4 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 最高裁判所庁舎の敷地において,小型無人機等の飛行禁止区域が分かる図面(平成29年10月31日付の開示文書)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所庁舎
・ (AI作成)最高裁庁舎の令和7年6月24日付の夏季の節電方針に関するAI専門家の論評
・ 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等

PC中の古いファイルを整理していたらネットで拾った詠み人知らずの「社畜かるた」なるテキストファイルが出てきた。
約十年前の作品なのに、今見ても輝きを失っていない=日本の組織文化が変わっていない事を再認識させてくれる素敵な作品です。
折角の機会なので、皆様もお楽しみ下さい。

— 霞が関一般職 (@NonCareer55) November 3, 2021

裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影

目次
第1 裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影
第2 関連記事

第1 裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)50頁には,「6-3 庁舎内(敷地内)写真撮影」として以下の記載があります。
    法廷内カメラ取材のほかにも,裁判所構内における様々なカメラ取材の申込みを受けることがある。具体的な取材申込みごとに,庁舎管理権者であり,広報の責任者である所長がその許否を決めることになる。その際には,裁判所の執務に支障を生じないかどうか,一般来庁者のプライバシーを害さないかどうか,裁判所の中立性,公平性に反しないかどうか,さらに,取材した映像の使用目的,これまでのその庁の取材慣行などを考慮することになろう。また,状況に応じて,上級庁に相談することが必要な場合もあろう。
    なお,庁舎内(敷地内)写真撮影の対応場面例としては,次のようなものがある。

1 著名事件の裁判期日におけるカメラ取材
    著名事件の判決や公判の場合,法廷内カメラ取材以外にもカメラ取材が申し込まれる。事件当事者の登庁場面等は,撮影される側の承諾を条件にして,門から庁舎に入るまでの場面につき許可する例がある。また,庁によっては,玄関先に一定のスペースがあり,一般来庁者等への影響がないと見込まれる場合などには,放送記者の立ちレポを許可する例もある(立ちレポ=立ちレポートの略。テレビ報道で記者が裁判所庁舎等を背景に立ち,裁判の内容や審理の様子を報告するもの。大事件の判決があったときなど,広報担当に立ちレポの許可申請が出てくる。玄関先や裁判所のプレート前辺りで許可される例がある。記者によるレポートのみを認めるのが通常で,スタジオ等との掛け合いや,その場でパネル等を使用してのレポートは認めていないのが大半であろう。)。
    これに対し,例えば,裁判所構内で事件関係者や一般来庁者に対するインタビュー取材をすることや,一方当事者等が裁判所構内で報告集会のような活動を行うのをカメラ取材することは許可していないのが通常である(そもそも構内で一方当事者等による集会等を行わせること自体が,裁判所の中立性,公平性に反するもので不適当である。)。

2 裁判期日以外のカメラの取材
    事件関係者,事件とは関係のない各種団体や個人が,裁判所に対して何らかの要望や申入れのため,あるいは抗議のために来庁することがあり,このような場面のカメラ取材が申請されることもある。この場合,裁判のための報道ではないことから,便宜供与の必要性は低く,また,撮影される人たちの宣伝にもなることから,その許否については慎重に検討する必要がある。
    同様に,原告が訴えを提起する場面のカメラ取材を求められることもある。一方当事者の行為であること,被告はこの訴え提起について知り得る立場にない状況にあることを考えると,裁判所の中立性,公平性の観点からは,このカメラ取材を認めることは相当でないというべきであろう。

3 事故現場等のカメラ取材
    裁判所構内で事故やトラブル等が発生したような場合,その現場のカメラ取材を求められることがあるが,現場では突発的な出来事等に対処する必要があり,さらに捜査への影響や関係者のプライバシーへの配慮といった観点から,カメラ撮影を許可することは多くないものと思われる。

4 テレビ報道番組等のためのカメラ取材
    一口にテレビ番組と言っても報道特集番組から教養番組,娯楽番組まで様々であり,また,申し込まれる撮影対象も裁判所建物の外観から執務室内までいろいろであるから,個々の取材ごとに検討しなくてはならない。

5 空き法廷のカメラ取材
    報道機関等から資料映像等として,空き法廷のカメラ取材を求められることがあるが,このような場合,取材目的等を考慮した上,許否を検討することになる。
    なお,撮影を許可する場合でも,裁判所の事務に支障のない時間帯に行うほか,使用目的以外に使用しないこと及び職員が立ち会う等の条件を付する必要がある。教育目的で人物の入らない状態を撮影するなど一定の場合には,撮影の許否等について,上級庁に相談する必要はないであろう。

(注) カメラ取材については,庁舎内におけるもののほか,執行官の執行現場等においても求められることがある。民事執行法上,執行官の取り扱う事務は非公開であることから,一般的に,執行場所で執行行為中の場面のカメラ取材には応じるべきではないであろうが,個別の取材依頼ごとに,前記の観点等も踏まえ,執行裁判所ともよく調整して対応する必要がある。

第2 関連記事

(続きを読む...)裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影

昭和59年8月発行の,東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の落成記念特集号

目次
0 総論
1 落成式における大内恒夫 東京高裁長官の式辞
2 落成式における寺田治郎 最高裁判所長官の祝辞
3 落成式における住栄作 法務大臣の祝辞
4 落成式における石井成一 日弁連会長の祝辞
5 矢口洪一 元東京高裁長官の著書の記載
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新庁舎落成記念特集号(昭和59年8月)の表紙及び末尾

0 総論
(1) 東京高裁広報及び東京地裁広報が作成した,新庁舎落成記念特集号(昭和59年8月1日付)を掲載しています。
(2) 東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎は昭和59年4月に完成し,同年5月31日午前10時30分から18階の大会議室において落成式が挙行されました。
(3) 裁判所HPに「東京地方裁判所 庁舎総合案内図」が載っていて,Wikipediaに「東京高等地方簡易裁判所合同庁舎」が載っています。

1 落成式における大内恒夫 東京高裁長官の式辞
   本日ここに最高裁判所長官をはじめ来賓多数の御臨席を得まして、東京高等裁判所、東京地方裁判所、東京簡易裁判所及び東京第一・第二検察審査会合同庁舎の落成式を挙行する運びとなりましたことは、まことに喜びにたえないところであります。
   ここに完成いたしました新庁舎は、中央官衙整備計画の基本方針に基づき、旧最高裁判所庁舎跡地に建てられたもので、最高裁判所の設計、最高裁判所及び建設省の監理のもとに、十四にのぼる企業体が一致協力して施工にあたり、昭和五十四年七月の着工から約五年の歳月をかけて本年四月すべての工事を終わり、完成を見るに至ったものであります。地上十九階、地下三階、廷床面積約十三万六千平方メートルというこの庁舎は、わが国の裁判所の建物としては、最大の規模のものであり、法廷部門を低層階に、事務室部門を高層階に配置するなど機能的な面の整備とともに、耐震、防災等に関しても最新の設備を施した画期的なものであります。
   東京高等裁判所がこれまで執務して参りました庁舎は、昭和十年に東京民事地方裁判所庁舎として建設されたもので、戦後の日本国憲法の施行間もないころは、最高裁判所も同居していたなど数々の思い出を認めた庁舎でありましたが、歳月の経過とともに老朽狭あい化が著しく、また、東京地方裁判所等が執務しておりました庁舎は、各所に分散して不便が甚だしく、一日も早く首都の裁判所にふさわしい庁舎を新営することが強く望まれていたのであります。幸典この度、高、地、簡裁を一体とした合同庁舎が完成しましたが、これにより、これまで訴訟関係者はじめ多くの方々におかけしてきた不便が
解消されるばかりでなく、円滑な裁判の運営に資するところが多大であると信じております。
   申すまでもなく、裁判の仕事は、どんなに立派な施設を作ろうとも、またいかに制度を整えようとも、結局、その結果は、その仕事に携わる人間の努力にまつほかありません。最近、国民生活や社会事情の急激な変化とともに、裁判所に提起される各種事件はますます複雑、多様化の度を加え、司法の役割はいよいよ大となっております。私たちは、この機会に、あらためて裁判所に課せられた使命の重大性に思いをいたし、さらに清新の気をもって職務に精励し、より一層国民の信頼と期待にこたえて参りたいと思います。
   終りに、この庁舎の新営に多大の御尽力と御配恵を賜りました関係各位並びに幾多の困難を克服してよくこの工事を完成されました工事関係者各位に対し、心からの謝意と敬意を表しまして、私の式辞といたします。

2 落成式における寺田治郎 最高裁判所長官の祝辞
   本日、ここに、東京高等裁判所、同地方裁判所、同簡易裁判所、同第及び第二検察審査会合同新庁舎の落成式が挙行されるに当たり、お祝いを申し述べる機会を得ましたことは、私の深く喜びとするところであります。
   これまで、東京高等裁判所は、昭和十年に東京民事地方裁判所として建設された庁舎を使用し、東京地方裁判所は、昭和三十七年に建設された同裁判所の刑事部庁舎を中心として、数箇所に散在する庁舎を併せて使用してまいりましたが、いずれも、年ごとに老朽と狭あいの度を加え、特に、東京地方裁判所においては、庁舎が各所に分散していたため、種々の点で不便を免れず、かねて新庁舎の建設が強く望まれていたところであります。
   この度、この念願が実を結び、司法部ゆかりの最高裁判所旧庁舎跡地に新庁舎のしゅん工を見るに至りました。この新庁舎は、皇居周辺の景観との調和にも配慮して計画され、大裁判所としての特質を考慮した最新設備を完備し、かつ、司法部の建物としてはこれまでにない規模を有する機能的な高層建築物で、正義の殿堂として長く霞が関にその威容を誇ることと信じます。新庁舎の落成について心から慶祝の意を表しますとともに、その建設に当たり御支援と御協力を賜りました関係各方面の方々に対し、深甚の敬意と謝意を表する次第であります。
   裁判所の取り扱う事件は、最近の社会情勢を反映して、従来にない複雑困難な問題を含むものが多くなってきております。
   私どもといたしましては、これまで以上に工夫と努力を重ねて事件の適正迅速な処理を図り、裁判所に寄せられた国民の期待と信頼にこたえていかなければならないと思います。

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最高裁判所庁舎

目次
1 総論
2 最高裁判所庁舎を構成する各建物の配置等
3 最高裁判所庁舎を構成する各建物に入居している部署等
4 最高裁判所庁舎の沿革
5 司法行政文書開示請求以外の方法で最高裁判所庁舎内の様子を知る方法
6 終戦直後の最高裁判所庁舎
7 関連記事その他

1 総論
(1) 裁判所HPの「裁判所施設の耐震診断結果等の公表について」掲載の「裁判所施設の耐震性に係るリスト」を見れば,最高裁判所庁舎を構成する建物の名称は,大法廷棟,小法廷棟,図書館棟,裁判官棟,裁判部棟,事務北棟及び事務西棟であることが分かります。
(2) 裁判所HPの「最高裁判所の所在地」を見れば,最高裁判所には,正門・東門,及び南門・西門があることが分かります。
(3) 裁判所HPの「司法の窓第50号(最高裁判所50周年記念号)」に「写真で見る最高裁判所の50年」が載っています。

2 最高裁判所庁舎を構成する各建物の配置等
(1) 最高裁判所の庁舎平面図と,最高裁判所庁舎の敷地において,小型無人機等の飛行禁止区域が分かる図面を照合すれば,大法廷棟,小法廷棟,図書館棟,裁判官棟,裁判部棟,事務北棟及び事務西棟の大ざっぱな位置関係は以下のとおりであると思います。ただし,裁判官棟(皇居に面しています。)及び事務西棟は南北に長い建物です。
          (国 立 劇 場)
  (西玄関)                   (東門)
      事務北棟 (北玄関) 裁判部棟  裁判       
      事務    図書館棟       官棟     (皇居)
(西門)  西棟   大 法 廷 棟 (正面玄関) (正門)
           小 法 廷 棟        (三宅坂小公園)
     (南門)                   (三宅坂交差点)
          (国 立 国 会 図 書 館)
(2)ア 鹿島建設株式会社HPの「第30回 ふたつの最高裁判所庁舎」には以下の記載があります。
① この建物は地下2階地上5階、延べ53,923m²。7つの棟(*14)で構成され、スペースウォールと呼ばれる二重壁によって結合するこれまでに例を見ない構造である。
② * 14 大法廷棟、小法廷棟、図書館棟、裁判官棟、裁判棟、司法行政北棟、司法行政西棟。これら7棟の建物の間にそれぞれ性格の違った庭が配されている。  
イ 司法行政北棟及び事務北棟,並びに司法行政西棟及び事務西棟は同じ意味です。
(3) 「司法の窓」第75号(平成22年5月発行)の裁判所めぐり「最高裁判所見学」には,最高裁判所庁舎について,「約3万7000平方メートルの敷地に建てられた地上5階,地下2階建の庁舎」と書いてあります。
(4) 最高裁判所正面玄関の写真,及び最高裁判所中庭の写真を掲載しています。

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最高裁判所の庁舎平面図の開示範囲

目次
第1部 最高裁判所の庁舎平面図の開示範囲
第2部 関連記事その他

第1部 最高裁判所の庁舎平面図の開示範囲
・   最高裁判所の庁舎平面図の一部開示について判断した,平成28年度(最情)答申第48号(平成29年3月17日答申)は以下のとおりです。

答 申 書

第1 委員会の結論
   「最高裁判所の庁舎内部の見取り図(約240ある部屋が具体的にどこにあるかが分かる図面)(職員配置図は除く。)」(以下「本件開示申出文書」という。)の開示の申出に対し,最高裁判所事務総長が平面図7枚(以下,まとめて「本件対象文書」という。)を対象文書とし,その一部を不開示とした判断(以下「原判断」という。)は,妥当である。
第2 事案の概要
   本件は,苦情申出人からの本件開示申出文書についての裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱(以下「取扱要綱」という。)記第2に定める開示の申出に対し,最高裁判所事務総長が平成28年11月30日付けで原判断を行ったところ,取扱要綱記第11の1に定める苦情が申し出られ,取扱要綱記第11の4に定める諮問がされたものである。
第3 苦情申出人の主張の要旨
1 次の事情によっても何らかの弊害が発生しているわけではないから,本件対象文書のうち,不開示部分の全部が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)5条6号に規定する不開示情報に相当するわけではない。
(1) 平成25年10月1日現在の最高裁判所職員配置図が開示されている。
(2) 日本女性法律家協会による鬼丸かおる最高裁判所判事に対する取材結果から,以下の事実がインターネットで公表されている。
ア 多くの最高裁判所裁判官は北玄関に秘書官が迎えに来ること。
イ 1フロアーに1つの小法廷の5人の裁判官室が並んでいること。
ウ 最高裁判所裁判官はだいたい5時に北玄関に車が来て帰っていること。
エ 最高裁判所裁判官の登庁時の車は北玄関に着くこと。
(3) 平成24年4月5日に発行された「最高裁回想録」によって以下の事実が明らかにされている。
ア 最高裁判所の正面玄関の真上に大応接室があること。
イ 裁判官棟の1階,裁判官室の真下に特別会議室があること。
ウ 毎週午前10時半からの裁判官会議は,皇居のお堀に面した裁判官棟4階の第一小法廷裁判官室の並びにある会議室で行われること。
エ 裁判官棟2階に予備室があること。
オ 小法廷の評議室は裁判官棟各階の裁判官室の並びにあること。
カ 裁判官室の前室として秘書官室があること。
キ 皇居のお堀沿いに裁判官室の窓がずらりと並んでいること。
ク 初めて公務員のクールビズが喧伝された年には,大会議室で開催される長官・所長会同の会場にマスコミのカメラが入ってきたこと。

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裁判所の庁舎等の管理に関する規程及びその運用

目次
1 規程及び通達
2 裁判所の庁舎等の管理に関する規程12条
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1 規程及び通達
① 裁判所の庁舎等の管理に関する規程の運用について(昭和43年6月10日付の最高裁判所事務総長通達)
→ 別紙として,「裁判所の庁舎等の管理に関する規程」(昭和43年6月10日最高裁判所規程第4号)が添付されています。
② 裁判所の庁舎等の管理に関する規程の運用について(昭和60年12月28日付の最高裁判所事務総局経理局長通達)
③ 法廷秩序維持等のための警備状況の報告について(平成4年12月24日付の最高裁判所刑事局長通達)

2 裁判所の庁舎等の管理に関する規程12条
・ 「裁判所構内における注意事項」(リンク先は那覇地家裁のものです。)の根拠条文となっている,裁判所の庁舎等の管理に関する規程12条は以下のとおりです。
    管理者は、庁舎等において次の各号の一に該当する者に対し、その行為若しくは庁舎等への立入りを禁止し、又は退去を命じなければならない。ただし、管理者が第九号又は第十号に該当する者に対し、庁舎等の管理に支障がないものと認め、その行為を許可した場合は、この限りでない。
一 銃器、凶器、爆発物その他の危険物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
二 職員に面会を強要した者
三 立入りを禁止した区域に立ち入り、又は立ち入ろうとする者
四 放歌高唱し、若しくはねり歩き、又はこれらの行為をしようとする者
五 宣伝カーを持ち込み、又は持ち込もうとする者
六 座り込み若しくは通行の妨害になるような行為をし、又はしようとする者
七 寄付を強要し、又は押売りをする者
八 裁判所の禁止に反し写真機、録音機その他これらに類する物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
九 旗、のぼり、プラカード、拡声器その他これらに類する物を持ち込み、又は持ち込もうとする者
十 はちまき、ゼツケン、腕章その他これらに類する物を着用する者
十一 前各号に掲げる者のほか、庁舎等の管理に支障がある行為をし、又はしようとする者
2 管理者は、庁舎等の管理のため必要があると認めるときは、庁舎等において、文書、図画、びらその他これらに類する物を頒布し、又は頒布しようとする者に対し、その行為若しくは庁舎等への立入りを禁止し、又は退去を命じなければならない。
3 第九条の規定は、第一項ただし書の許可をする場合に準用する。

3 関連記事
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと

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最高裁判所の庁舎見学に関する,最高裁判所作成のマニュアル

目次
1 最高裁判所の庁舎見学に関する,最高裁判所作成のマニュアル
2 国会議員事務所から見学の申し出があった場合の取扱い
3 関連記事その他

1 最高裁判所の庁舎見学に関する,最高裁判所作成のマニュアル
(1) 平成26年6月に開示された,最高裁判所の庁舎見学に関する,最高裁判所作成のマニュアルを掲載しています。
(2) 見学説明文,大法廷での説明事項,平成に入り大法廷が使用された訴訟,見学者からよく出される質問のQ&A等が載ってあります。

2 国会議員事務所から見学の申し出があった場合の取扱い
(1) 国会議員事務所から見学の申し出があった場合,国会係で対応する場合と,広報課で対応する場合に分かれるみたいです。
(2) 衆議院HPに「衆議院議員会館議員事務室一覧表」があり,参議院HPに「参議院議員会館議員事務室一覧表」があります。

3 関連記事その他
(1)ア 最高裁判所事務総局広報課による公式の説明が裁判所HPの「最高裁判所の庁舎見学」に載っています。
イ 「司法の窓」第75号(平成22年5月発行)に,裁判所めぐり「最高裁判所見学」が載っています。
(2) 裁判所HPに「最高裁判所の法廷Q&A」が載っています。
(3) 以下の資料を掲載しています。
・ 最高裁判所の平成30年度夏休み子ども見学会実施要領
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所庁舎
・ 最高裁判所の広報ハンドブック

最高裁の広報ハンドブック(令和2年3月版)からの抜粋です。