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裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影

目次
第1 結論及び現在の一般来庁者向け案内
第2 広報ハンドブック(令和2年3月版)の説明
第3 法廷・裁判期日の撮影との区別
第4 一次資料及び関連記事

第1 結論及び現在の一般来庁者向け案内
1 裁判所の敷地,玄関,廊下その他の庁舎内で,一般来庁者が自由に写真撮影,録音又は録画をできるとは限りません。各裁判所のウェブサイト,現地の掲示及び職員の指示を確認し,必要がある場合は事前に総務課等へ問い合わせる必要があります。
2 東京地方裁判所の「個人での裁判傍聴」は,庁舎内廊下だけでなく,庁舎外の前庭を含む裁判所敷地内では写真撮影・録音等はできないと案内しています。横浜地方裁判所の「傍聴のルール」も,法廷内に限らず裁判所内での写真撮影・録音は一切禁止と案内しています。
3 他方,報道取材,広報行事又は空き法廷の撮影等について,目的,日時,場所,対象及び機材を限定して許可される場合があります。ただし,これは一般来庁者に自由な撮影権があることを意味しません。
4 以下に引用する最高裁判所広報課の広報ハンドブックは,令和2年3月時点の裁判所内部の広報実務を説明する資料です。現在の一般来庁者向けルールそのものではなく,現行の訴訟規則,各裁判所の現在の案内及び個別の許可判断と区別して読む必要があります。
5 裁判所・法廷での撮影等の全体像は,裁判所・法廷で写真撮影,録音又は録画はできるか(AI作成)で整理しています。

第2 広報ハンドブック(令和2年3月版)の説明
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)50頁には,「6-3 庁舎内(敷地内)写真撮影」として以下の記載があります。
    法廷内カメラ取材のほかにも,裁判所構内における様々なカメラ取材の申込みを受けることがある。具体的な取材申込みごとに,庁舎管理権者であり,広報の責任者である所長がその許否を決めることになる。その際には,裁判所の執務に支障を生じないかどうか,一般来庁者のプライバシーを害さないかどうか,裁判所の中立性,公平性に反しないかどうか,さらに,取材した映像の使用目的,これまでのその庁の取材慣行などを考慮することになろう。また,状況に応じて,上級庁に相談することが必要な場合もあろう。
    なお,庁舎内(敷地内)写真撮影の対応場面例としては,次のようなものがある。

1 著名事件の裁判期日におけるカメラ取材
    著名事件の判決や公判の場合,法廷内カメラ取材以外にもカメラ取材が申し込まれる。事件当事者の登庁場面等は,撮影される側の承諾を条件にして,門から庁舎に入るまでの場面につき許可する例がある。また,庁によっては,玄関先に一定のスペースがあり,一般来庁者等への影響がないと見込まれる場合などには,放送記者の立ちレポを許可する例もある(立ちレポ=立ちレポートの略。テレビ報道で記者が裁判所庁舎等を背景に立ち,裁判の内容や審理の様子を報告するもの。大事件の判決があったときなど,広報担当に立ちレポの許可申請が出てくる。玄関先や裁判所のプレート前辺りで許可される例がある。記者によるレポートのみを認めるのが通常で,スタジオ等との掛け合いや,その場でパネル等を使用してのレポートは認めていないのが大半であろう。)。
    これに対し,例えば,裁判所構内で事件関係者や一般来庁者に対するインタビュー取材をすることや,一方当事者等が裁判所構内で報告集会のような活動を行うのをカメラ取材することは許可していないのが通常である(そもそも構内で一方当事者等による集会等を行わせること自体が,裁判所の中立性,公平性に反するもので不適当である。)。

2 裁判期日以外のカメラの取材
    事件関係者,事件とは関係のない各種団体や個人が,裁判所に対して何らかの要望や申入れのため,あるいは抗議のために来庁することがあり,このような場面のカメラ取材が申請されることもある。この場合,裁判のための報道ではないことから,便宜供与の必要性は低く,また,撮影される人たちの宣伝にもなることから,その許否については慎重に検討する必要がある。
    同様に,原告が訴えを提起する場面のカメラ取材を求められることもある。一方当事者の行為であること,被告はこの訴え提起について知り得る立場にない状況にあることを考えると,裁判所の中立性,公平性の観点からは,このカメラ取材を認めることは相当でないというべきであろう。

3 事故現場等のカメラ取材
    裁判所構内で事故やトラブル等が発生したような場合,その現場のカメラ取材を求められることがあるが,現場では突発的な出来事等に対処する必要があり,さらに捜査への影響や関係者のプライバシーへの配慮といった観点から,カメラ撮影を許可することは多くないものと思われる。

4 テレビ報道番組等のためのカメラ取材
    一口にテレビ番組と言っても報道特集番組から教養番組,娯楽番組まで様々であり,また,申し込まれる撮影対象も裁判所建物の外観から執務室内までいろいろであるから,個々の取材ごとに検討しなくてはならない。

5 空き法廷のカメラ取材
    報道機関等から資料映像等として,空き法廷のカメラ取材を求められることがあるが,このような場合,取材目的等を考慮した上,許否を検討することになる。
    なお,撮影を許可する場合でも,裁判所の事務に支障のない時間帯に行うほか,使用目的以外に使用しないこと及び職員が立ち会う等の条件を付する必要がある。教育目的で人物の入らない状態を撮影するなど一定の場合には,撮影の許否等について,上級庁に相談する必要はないであろう。

(注) カメラ取材については,庁舎内におけるもののほか,執行官の執行現場等においても求められることがある。民事執行法上,執行官の取り扱う事務は非公開であることから,一般的に,執行場所で執行行為中の場面のカメラ取材には応じるべきではないであろうが,個別の取材依頼ごとに,前記の観点等も踏まえ,執行裁判所ともよく調整して対応する必要がある。

第3 法廷・裁判期日の撮影との区別
1 上記ハンドブックが扱う庁舎内又は敷地内の撮影は,主として庁舎管理及び司法行政上の判断の問題です。これに対し,裁判期日の撮影等は,民事訴訟規則77条,刑事訴訟規則215条その他の手続規定及び裁判長又は裁判所の判断の問題となります。
2 現行民事訴訟規則77条は,令和8年5月21日から,民事訴訟に関する手続の期日における写真撮影,速記,録音,録画又は放送について許可を必要としています。ウェブ会議での期日も,庁舎外から参加しているという理由だけで自由に録音・録画できるものではありません。
3 庁舎管理上の撮影許可を得ても,裁判期日の撮影許可を得たことにはなりません。反対に,法廷内カメラ取材が許可されても,廊下,玄関,敷地又は一般来庁者を自由に撮影できることにはなりません。
4 撮影を希望する場合は,場所,日時,目的,対象人物,機材,音声の有無,公開方法及び一般来庁者の映込み対策を具体化し,所管部署及び必要な許可を事前に確認します。

第4 一次資料及び関連記事
1 一次資料等
・ 東京地方裁判所「個人での裁判傍聴」
・ 横浜地方裁判所「傍聴のルール」
・ 民事訴訟規則(裁判所公表)
・ 刑事訴訟規則(裁判所公表)
2 関連記事
・ 裁判所・法廷で写真撮影,録音又は録画はできるか(AI作成)
・ 裁判所の報道対応の基礎
・ 裁判所の報道発表等
・ 裁判所の取材対応
・ 法廷内写真撮影
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと
・ 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
・ 寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領