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裁判所

平賀書簡事件とは―長沼ナイキ訴訟への札幌地裁所長の書簡,札幌地裁の厳重注意,最高裁の注意処分及び訴追委員会の判断(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象と基準日2 結論第2 時系列第3 長沼ナイキ訴訟と執行停止決定1 事件の係属2 昭和44年8月22日の執行停止決定3 執行停止決定のその後第4 平賀書簡と平田メモ1 決定告知日の延期をめぐる協議2 8月14日の書簡3 8月4日の平田メモ4 福島裁判長による書簡の開示第5 札幌地裁の臨時裁判官会議と厳重注意1 9月13日の臨時裁判官会議2 テレビ放映・新聞掲載と決議内容の発表第6 最高裁判所の注意処分と所信1 注意処分と東京高裁への異動2 最高裁の所信3 注意処分の根拠と「干渉」についての説明4 石田長官の記者会見についての書籍の記述第7 国会と法曹界の受け止め1 昭和44年10月9日の衆議院法務委員会2 飯守重任鹿児島地裁所長の寄稿3 大津事件との対比をめぐる議論第8 裁判官訴追委員会の判断1 訴追請求2 昭和45年10月19日の決定第9 福島裁判官に対する注意処分とその後1 国による忌避の申立て2 札幌高裁の注意処分3 辞意の表明と撤回4 札幌地裁の注意処分5 法律時報への寄稿第10 日弁連の決議と「司法の危機」1 日弁連臨時総会の決議2 札幌弁護士会の裁判官アンケート3 青年法律家協会をめぐる問題への広がり第11 長沼ナイキ訴訟の結末1 札幌高裁昭和51年8月5日判決2 最高裁昭和57年9月9日判決第12 関連記事第13 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 国会会議録4 公的資料5 文献6 調査範囲
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象と基準日

本記事は,昭和44年に札幌地裁の平賀健太所長が長沼ナイキ訴訟の担当裁判長に書簡を届けた,いわゆる平賀書簡事件の経過と,その後の処分及び影響を時系列で整理する。
事実関係は,国会会議録,裁判所ウェブサイトに掲載された決定・判決,裁判官訴追委員会の公表資料及び日本弁護士連合会の決議で確認できる範囲で記載した。
書籍の記述は,出典を示して補足的に紹介した。
法令は,令和8年9月27日現在の条文をe-Gov法令検索で確認した。

2 結論

①昭和44年8月14日,平賀健太札幌地裁所長は,長沼ナイキ訴訟の執行停止申立事件を担当していた福島重雄裁判長の官舎に,事件についての自らの見解を記した書簡を届けた(平賀書簡)。
②これに先立つ8月4日には,事件の合議体に加わっていない平田浩判事にも,平賀所長からメモが渡されていた(平田メモ)。
③札幌地裁は8月22日に保安林解除処分の効力を停止する決定をし,9月13日の臨時裁判官会議で平賀所長に対する厳重注意を決定した。
④最高裁は,9月20日の臨時裁判官会議の決定に基づいて平賀所長を注意し,同日東京高裁判事に異動させ,書簡の交付は「節度を越えるもの」であるとする所信を公表した。
⑤もっとも,最高裁の事務当局は,国会で,平賀書簡は裁判に干渉したものとは考えないと説明した。
⑥裁判官訴追委員会は,昭和45年10月19日,平賀裁判官を不訴追とし,書簡の写しを東京の裁判官らに送るなどした福島裁判官を訴追猶予とした。
⑦札幌高裁は同月28日に福島裁判官を注意し,札幌地裁の裁判官会議も同年11月7日に福島裁判官を注意した。
⑧日弁連は,同年12月19日の臨時総会で,訴追委員会の決定と,札幌高裁の注意処分及びこれを支持する最高裁の態度を批判する決議をした。
⑨本案の長沼ナイキ訴訟は,札幌高裁昭和51年8月5日判決で訴えが却下され,最高裁昭和57年9月9日判決で上告が棄却された。

第2 時系列
年月日出来事昭和44年7月7日農林大臣が長沼町の国有保安林の指定解除を告示し,同日,住民らの取消訴訟及び執行停止申立事件が札幌地裁に係属昭和44年8月4日平賀所長が平田判事にメモを渡す(平田メモ)昭和44年8月10日所長官舎での協議で,8月10日から16日までの週には執行停止事件の決定を告知しないことで話がまとまる昭和44年8月14日平賀所長が書簡を福島裁判長の官舎に届ける(平賀書簡)昭和44年8月22日札幌地裁が保安林解除処分の効力を停止する決定昭和44年8月27日札幌地裁本庁の裁判官9名が臨時裁判官会議の招集を求める方向で相談昭和44年9月13日札幌地裁の臨時裁判官会議が平賀所長に対する厳重注意を決定昭和44年9月14日・15日書簡がテレビで放映され,翌朝の新聞に全文が掲載され,札幌地裁が決議内容を発表昭和44年9月20日最高裁が平賀所長を注意し,東京高裁判事に補する昭和44年10月9日衆議院法務委員会で最高裁が経過を説明昭和44年10月23日福島裁判官に対する訴追請求(新聞報道による)昭和45年1月23日札幌高裁が執行停止決定を取り消し,申立てを却下昭和45年5月7日札幌地裁が国による福島裁判長の忌避申立てを却下(同年7月10日に札幌高裁が抗告を棄却)昭和45年10月19日訴追委員会が平賀裁判官を不訴追,福島裁判官を訴追猶予とする昭和45年10月28日札幌高裁が裁判官会議の議決に基づき福島裁判官を注意昭和45年11月7日札幌地裁の裁判官会議が福島裁判官を注意昭和45年12月19日日弁連臨時総会が訴追委員会の決定等を批判する決議昭和51年8月5日札幌高裁が本案の一審判決を取り消し,訴えを却下昭和57年9月9日最高裁が上告を棄却
第3 長沼ナイキ訴訟と執行停止決定
1 事件の係属

昭和44年10月9日の衆議院法務委員会で,矢口洪一最高裁判所長官代理者は,事件の経過を次のように説明した。
農林大臣は,昭和44年7月7日,北海道夕張郡長沼町の馬追山付近にある約35ヘクタールの国有保安林について,高射教育訓練施設とするために保安林の指定を解除する告示をした。
これに対し,長沼町の住民173名が,農林大臣を被告として解除処分の取消しを求める本案訴訟を起こすとともに,処分の執行停止を申し立て,これらの事件は同日札幌地裁に係属した。
事件は札幌地裁の民事第一部に係属し,担当の裁判官は福島重雄裁判長,木谷明裁判官及び石川善則裁判官であった。
国は7月22日に意見書を提出し,住民側は8月1日に反論書を提出した。
矢口洪一最高裁判所長官代理者は,担当の裁判部で執行停止事件の決定をする段取りになったのは8月10日前後であったと説明した。

2 昭和44年8月22日の執行停止決定

札幌地方裁判所昭和44年8月22日決定(昭和44年(行ク)第11号)は,主文で,農林省告示第1023号による保安林解除処分の「効力を停止する。」とした。
同決定は,自衛隊の憲法適合性について,「少なくとも、自衛のために必要かつ相当な限度内にとどまるものであれば、いかなる軍事力も憲法の右条項にいう『戦力』にあたらないとすることには疑問があり」とした。

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ロッキード事件の嘱託証人尋問と最高裁判所の「不起訴宣明」―昭和51年の裁判官会議から最大判平成7年2月22日まで(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象と基準日2 結論第2 嘱託証人尋問に至る経緯1 刑事訴訟法226条に基づく証人尋問の請求2 検事総長と東京地方検察庁検事正の宣明3 ファーガソン判事の命令第3 最高裁判所の対応1 昭和51年7月14日の裁判官会議と職員の派遣2 検事総長の第二次宣明3 昭和51年7月24日の裁判官会議と宣明書4 米国の裁判所による解除と調書の送付第4 宣明書の法的性格1 最高裁判所刑事局長の答弁2 国会での疑問と法務省の答弁3 控訴審判決の判断第5 最高裁判所大法廷平成7年2月22日判決1 判決の概要2 宣明の経緯についての判示3 証拠能力を否定した理由4 大野正男裁判官の補足意見5 判決後の国会の質疑第6 平成28年改正による刑事免責制度1 刑事訴訟法157条の2・157条の32 昭和51年の措置との対比第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 国会会議録4 文献5 調査範囲
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象と基準日

本記事は,ロッキード事件の捜査で行われた米国在住の証人に対する嘱託証人尋問について,昭和51年に最高裁判所が裁判官会議の決議に基づいて「最高裁判所宣明書」を出した経緯と,最高裁判所大法廷平成7年2月22日判決がその嘱託証人尋問調書の証拠能力を否定するまでを整理する。
経緯は,国会会議録の答弁,同判決及びその控訴審である東京高等裁判所昭和62年7月29日判決の判文,並びに東京高等裁判所平成17年2月9日判決の別紙に掲載された最高裁判所裁判官会議の議事録(開示部分)によって確認した。
山本祐司『最高裁物語(下巻)』の記述は,帰属を明示して補足に用いた。
法令は,令和8年9月27日現在の条文をe-Gov法令検索で確認した。

2 結論

①東京地方検察庁の検察官は,昭和51年5月22日,刑事訴訟法226条に基づく証人尋問を東京地方裁判所の裁判官に請求し,その裁判官が米国の裁判所に証人尋問を嘱託した。
②検事総長と東京地方検察庁検事正は,証人らを刑事訴訟法248条により起訴猶予とする旨の宣明書を発したが,米国の連邦地方裁判所の判事は,日本国の最高裁判所のオーダー又はルールが提出されるまで証言調書を伝達してはならないと命じた。
③最高裁判所は,昭和51年7月14日の裁判官会議でこの命令の真意を調査することとし,事務総局刑事局第二課長と刑事局付の2名を米国に出張させた。
④最高裁判所は,同月24日の裁判官会議で,検事総長の確約が将来にわたり検察官によって遵守され,証人らが公訴を提起されることはないことを宣明する書面を米国の連邦地方裁判所に送付することを決定した。
⑤当時の最高裁判所刑事局長は,国会で,この宣明書を裁判所法12条に基づく司法行政上の措置と説明し,受訴裁判所の裁判を拘束するものではないと答弁した。
⑥控訴審の東京高等裁判所昭和62年7月29日判決は,最高裁判所の宣明は事実認識を明らかにしたにすぎないもので,裁判所法12条による司法行政権の行使として許容される範疇の行為であるとした。
⑦最高裁判所大法廷平成7年2月22日判決は,検事総長らの宣明によっていわゆる刑事免責が付与されたものと解した上で,刑事訴訟法は刑事免責の制度を採用していないとして嘱託証人尋問調書の証拠能力を否定したが,これを除いても犯罪事実を認定できるとして被告人2名の上告を棄却した。
⑧その後,平成28年法律第54号による刑事訴訟法の改正で,裁判所の決定により証言等を証人に不利益な証拠とすることができないこととする刑事免責の制度(157条の2・157条の3)が設けられた。

第2 嘱託証人尋問に至る経緯
1 刑事訴訟法226条に基づく証人尋問の請求

昭和51年10月15日に衆議院ロッキード問題に関する調査特別委員会で行われた法務大臣の中間報告によれば,同年3月24日に法務省と米国司法省との間で,関係資料を捜査,調査及び裁判のみに使用し,秘密保持を厳守すること,相互に司法共助の実現に最善の努力をすること等を内容とする司法取り決めが締結された。
同報告によれば,東京地方検察庁は,米国在住の関係人の任意の取調べを試みたが,関係人がこれを拒否したため,「五月二十二日刑事訴訟法二百二十六条に基づく起訴前の証人尋問を東京地方裁判所裁判官に請求し、同裁判官の嘱託決定を得て、検事二名を米国に派遣するなど右嘱託尋問の実現に鋭意努力をしました。」とされている。
刑事訴訟法226条は,「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と定める。
同法228条1項は,この請求を受けた裁判官は,証人の尋問に関し,「裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」と定めている。

最高裁判所大法廷平成7年2月22日判決によれば,この請求は,被告人B外2名に対する贈賄及び氏名不詳者数名に対する収賄等を被疑事実とし,当時米国に在住していた証人らに対する証人尋問を,国際司法共助として同国の管轄司法機関に嘱託するよう求めるものであった。
嘱託先は,同判決では「カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所」,最高裁判所の裁判官会議の議事録では「中部カリフォルニア合衆国連邦地方裁判所」と表記されている。
国会の質疑では,証人はコーチャン,クラッター及びエリオットの3名とされている。

2 検事総長と東京地方検察庁検事正の宣明

東京高等裁判所昭和62年7月29日判決によれば,証人らが嘱託証人尋問の際も自己負罪拒否特権を行使して証言を拒否することが予想されたため,検事総長は昭和51年5月20日に,東京地方検察庁検事正は同月22日に,それぞれ宣明書を発した。
検事総長の宣明書は,「右各証人の証言内容及びこれに基づき将来入手する資料中に、仮に、日本国の法規に抵触するものがあるとしても、証言した事項については、右証人三名を日本国刑事訴訟法二四八条によって起訴を猶予するよう東京地方検察庁検事正に指示している。この意思決定は、当職の後継者を拘束するものである。」という趣旨のものであった。
東京地方検察庁検事正の宣明書も,同じ証人3名を同条によって起訴猶予とし,「この意思決定は、当職の後継者を拘束するものである。」という趣旨のものであった。
同判決によれば,東京地方裁判所の裁判官は,嘱託書に,検察官が起訴を猶予する意思がある旨を証人に告げた上で尋問されたいと希望しているので,「貴国国内法において許容される範囲内で右希望に添う措置をとるよう要請する。」旨を付記した。

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裁判所ウェブサイトの裁判例のURL―令和7年9月のリニューアル,旧形式リンクの読み替え方及び判決書原本との記載の違い(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象と基準日2 結論第2 令和7年9月のリニューアル1 裁判所の告知2 リニューアルから1年後の状況第3 新しいURLの形式1 詳細画面2 全文PDF3 旧形式との対応第4 検索画面の使い方1 六つのカテゴリー2 事件番号と裁判年月日3 全文検索4 掲載された判決等の加工第5 判決書原本との記載の違いに関する報告書1 報告書の概要2 調査の結果3 利用上の注意第6 関連記事第7 出典・参考資料1 裁判所の公表資料2 裁判例3 調査範囲
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象と基準日

本記事は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索に掲載された判決・決定について,令和7年9月24日のウェブサイトのリニューアル後のURLの形式,リニューアル前の形式のリンクを新しい形式に読み替える方法,検索画面の使い方及び掲載された判決等の記載に関する注意点を整理するものである。
URLの応答は,令和8年9月27日に,ログインしない状態の通常のアクセスで確認した。
裁判所の公表資料は,同日に裁判所ウェブサイトで確認した。

2 結論

①裁判所ウェブサイトは令和7年9月24日にリニューアルされ,裁判所は,トップページ以外の一部のURLが変更になり,一定期間は主なページについて旧URLから新URLへ自動的に転送されると告知した。
②令和8年9月27日現在,裁判例の詳細画面は https://www.courts.go.jp/hanrei/(番号)/detail2/index.html,全文PDFは https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-(番号).pdf の形式である。
③リニューアル前の形式の詳細画面(/app/hanrei_jp/detail2?id=(番号))と全文PDF(/app/files/hanrei_jp/(下3桁)/(6桁の番号)_hanrei.pdf)は,同日に確認したところ,いずれも表示されなかった(HTTPステータス404)。
④旧形式の全文PDFのリンクは,6桁の番号から先頭の0を除いた番号を新形式に当てはめることで,同じ裁判例の全文PDFに読み替えることができた。
⑤ただし,読み替える前に,その番号がリンクを張った文章で紹介している裁判例と一致しているかを,新形式の詳細画面の裁判年月日・法廷名・事件番号で確かめる必要がある。
⑥最高裁判所事務総局は,令和7年7月,裁判所ウェブサイト及び最高裁判所民事・刑事判例集に掲載された判決等と判決書原本との記載の違いに関する報告書を公表しており,古い年代の判決等を一字一句引用するときは,この点にも注意を要する。

第2 令和7年9月のリニューアル
1 裁判所の告知

令和7年9月24日に裁判所ウェブサイトのお知らせ一覧に掲載された「裁判所ウェブサイトをリニューアルしました」のページは,ウェブサイトをリニューアルしたと告知している。
同ページによれば,今回のリニューアルでは,「裁判所ウェブサイト」,「知的財産高等裁判所ウェブサイト」及び「裁判員制度ウェブサイト」の三つのサイトが統合され,トップページのURLに変更はないものの,知的財産高等裁判所ウェブサイト及び裁判員制度ウェブサイトのURLが変更になったほか,裁判所ウェブサイトについてもトップページ以外の一部URLが変更になった。
同ページは,リニューアル後一定期間は,主なページについては,旧URLにアクセスした場合にも自動的に新URLのページに転送されるため閲覧は可能であるが,ブラウザの「お気に入り」等に登録されている場合には新URLへの登録変更をお願いするとしている。

2 リニューアルから1年後の状況

令和8年9月27日に確認したところ,旧形式の検索画面のURL(/app/hanrei_jp/search1)は,新形式の検索画面(/hanrei/search1/index.html)へ転送された。
これに対し,旧形式の詳細画面及び全文PDFのURLは転送されず,404となった。
知的財産高等裁判所の旧サイトのドメイン(www.ip.courts.go.jp)上の旧形式の全文PDFは,www.courts.go.jp/ip/ 以下の同じ形式のURLに転送されたが,転送先は404であった。
ブログや書面等に旧形式のリンクを残している場合は,リンク切れになっていることになる。

第3 新しいURLの形式
1 詳細画面

裁判例の詳細画面は,https://www.courts.go.jp/hanrei/(番号)/detail2/index.html の形式で表示される。
本記事の確認範囲では,同じ番号について,検索結果の種類に応じて detail2 から detail8 までの詳細画面が用意されており,例えば,最高裁判例として表示されるものは detail2,下級裁裁判例は detail4,行政事件裁判例は detail5,労働事件裁判例は detail6,知的財産裁判例は detail7,知財高裁裁判例は detail8 のリンクになっていた。
また,detail3 は,高等裁判所判例集の形式の詳細画面であった。
下級裁判所の裁判例の番号で detail2 を開いた場合にも,裁判年月日と法廷名等を表示する詳細画面が表示された。
詳細画面には,事件番号,事件名,裁判年月日,法廷名,裁判種別,結果,判例集等の巻・号・頁,原審裁判所名,判示事項,裁判要旨,参照法条及び全文へのリンク等が表示される(表示項目は判例の種類によって異なる。)。

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民事訴訟の当事者が死亡したとき―訴訟手続の中断・受継,訴訟代理人がいる場合,中断中の判決と控訴期間(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象と基準日2 結論第2 当事者の死亡と訴訟手続の中断1 中断と受継の条文2 中断は法律上当然に生じる3 相続の対象にならない権利と人事訴訟第3 訴訟代理人がいる場合1 中断しない2 訴訟代理人は承継人の代理人になる3 中断しない理由と例外4 上訴には特別の委任が要る第4 受継の手続1 相続の放棄をすることができる間は受け継げない2 受継の申立てと裁判所の調査3 相続放棄と受継決定の当否4 判決の送達後に中断した場合第5 中断中の判決と控訴期間1 中断中は期間が止まる2 判決の言渡しは中断中でもできる3 中断を見落としてされた判決4 死亡を知ったときに確かめること第6 関連記事第7 出典・参考資料1 裁判例2 法令3 調査範囲
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象と基準日

本記事は,民事訴訟の係属中に原告又は被告が死亡した場合に,訴訟手続がどうなるかを整理する。
具体的には,訴訟手続の中断と受継,訴訟代理人がいる場合の扱い,相続の放棄との関係,中断中の判決と控訴期間,中断を見落としてされた判決の是正方法を扱う。
法令は,令和8年9月27日現在の条文をe-Gov法令検索で確認した。
裁判例は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索で書誌を確認し,判例秘書で判決の全文を読んだものに限って紹介している。

2 結論

①訴訟代理人がいない当事者が死亡すると,訴訟手続は法律上当然に中断し,相続人等が訴訟手続を受け継ぐ(民事訴訟法124条1項1号)。
②訴訟代理人がいる間は,当事者が死亡しても訴訟手続は中断せず(同条2項),訴訟代理人は,その審級では相続人等の訴訟代理人として訴訟を続ける。
③相続人は,相続の放棄をすることができる間は,訴訟手続を受け継ぐことができない(同条3項)。
④受継の申立ては相手方もすることができ,裁判所は,申立てに理由があるかを職権で調べる。
⑤中断中は,控訴期間を含む期間の進行が止まり,受継の通知又は続行の時から新たに全期間が進行する(同法132条2項)。
⑥判決の言渡しは中断中でもすることができる(同条1項)が,中断を見落として口頭弁論期日を開き,弁論を終結して判決を言い渡すことは法令違反であり,最高裁判所は,旧民事訴訟法の下で,上告審でそのような判決を破棄している。
⑦離婚訴訟のような人事訴訟では,当事者の死亡によって訴訟そのものが終了する場合がある(人事訴訟法27条)。

第2 当事者の死亡と訴訟手続の中断
1 中断と受継の条文

民事訴訟法124条1項は,各号の事由があるときは訴訟手続は中断し,各号に定める者が訴訟手続を受け継がなければならないと定める。
当事者の死亡について,同項1号は,受け継ぐべき者を「相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人その他法令により訴訟を続行すべき者」としている。
中断の間に口頭弁論期日を開いて手続を進めることは,法令違反となる(第5の3)。

2 中断は法律上当然に生じる

中断は,裁判所の決定を待たずに生じる。
最高裁判所第三小法廷平成19年3月27日判決(第7の1①)は,外国国家の代表権の消滅による中断について,「訴訟手続の中断は,中断事由の存在によって法律上当然に生ずるもの」であると述べている。
そのため,裁判所や相手方が死亡を知らないまま手続が進むと,後で手続のやり直しが必要になることがある(第5の3)。

3 相続の対象にならない権利と人事訴訟

相続人は,相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するが,被相続人の一身に専属したものは承継しない(民法896条)。
訴訟の対象が相続される権利義務であれば,相続人が訴訟手続を受け継ぐことになる。

人事訴訟については,人事訴訟法27条1項が,人事訴訟の係属中に原告が死亡した場合には,特別の定めがある場合を除き,当該人事訴訟は当然に終了すると定める。
同条2項は,離婚,嫡出否認(父を被告とする場合を除く。)又は離縁を目的とする人事訴訟の係属中に被告が死亡した場合にも,当該人事訴訟は当然に終了すると定める。
人事訴訟の係属中に当事者が死亡したときは,受継を考える前に,同法の規定で訴訟が終了していないかを確かめる必要がある。

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民事裁判で公開されない手続と公開停止―弁論準備手続の傍聴,裁判所外の尋問,当事者尋問等の公開停止及び記録の閲覧制限(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象と基準日2 結論第2 公開が求められる範囲1 憲法82条と民事訴訟法2 公開が求められるのは純然たる訴訟事件の裁判第3 口頭弁論の公開停止1 憲法82条2項と裁判所法70条2 公開を禁止した口頭弁論の記録第4 当事者尋問等の公開停止1 人事訴訟法22条2 特許法105条の7等3 秘密保持命令との違い第5 口頭弁論以外の手続1 弁論準備手続2 書面による準備手続3 和解4 裁判所外の証拠調べと受命裁判官等による尋問5 文書提出命令のインカメラ手続6 決定で完結すべき事件第6 家事事件と非訟事件第7 公開の法廷で行う尋問での保護の措置第8 記録の閲覧制限との違い第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 調査範囲
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象と基準日

本記事は,民事裁判のうち,公開の法廷で行われない手続と,公開の法廷で行う審理を例外的に公開しない制度(公開停止)を整理する。
依頼者から「裁判は誰でも傍聴できるのか」「家族や会社の担当者は期日に同席できるのか」「私生活上の秘密や営業秘密を公開の法廷で話さなければならないのか」と尋ねられたときに確認すべき条文と判例をまとめている。
法令は,令和8年9月27日現在の条文をe-Gov法令検索で確認した。
裁判例は,裁判所ウェブサイトに掲載された判決・決定の全文で確認したものに限って紹介している。

2 結論

①憲法82条1項は,裁判の対審及び判決を公開法廷で行うと定め,民事訴訟法は,訴訟について裁判所で口頭弁論をしなければならないとし(87条1項本文),口頭弁論の公開の規定に違反したことを上告の理由としている(312条2項5号)。
②最高裁判所の大法廷は,憲法82条にいう裁判は,当事者の主張する実体的権利義務の存否を終局的に確定することを目的とする純然たる訴訟事件についての裁判のみを指すとしている。
③口頭弁論の対審は,裁判官の全員一致で公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には公開しないで行うことができるが,判決を言い渡すときは再び公衆を入廷させなければならない。
④人事訴訟,特許権・実用新案権・育成者権の侵害に係る訴訟並びに不正競争防止法及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律の不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟には,私生活上の重大な秘密又は営業秘密に係る事項の尋問を公開しないで行う制度(当事者尋問等の公開停止)がある。
⑤弁論準備手続は,当事者双方が立ち会うことができる期日で行われ,第三者の傍聴は裁判所が許した場合に限られるが,当事者が申し出た者は,手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認められる場合を除いて傍聴を許される。
⑥書面による準備手続は当事者の出頭なしに書面の提出等で争点等を整理する手続であり,裁判所外の証拠調べや受命裁判官等による尋問は裁判所外で行われ,文書提出命令のインカメラ手続で提示された文書は何人も開示を求めることができない。
⑦決定で完結すべき事件では,口頭弁論をするか否かを裁判所が定め,家事事件と非訟事件の手続は法律上公開しないとされている。
⑧期日を公開しないことと訴訟記録の閲覧を制限することは別の制度であり,公開の法廷で審理された事件でも,秘密保護のための閲覧等の制限により,秘密が記載された部分の閲覧等を請求できる者が当事者に限られることがある。

第2 公開が求められる範囲
1 憲法82条と民事訴訟法

憲法82条1項は,「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」と定める。
民事訴訟法は,当事者は訴訟について裁判所において口頭弁論をしなければならないとし(87条1項本文),口頭弁論の公開の規定に違反したことを上告の理由の一つとしている(312条2項5号)。
このため,公開が問題となる中心は口頭弁論と判決の言渡しである。

最高裁判所大法廷平成元年3月8日判決(レペタ事件)は,憲法82条1項の趣旨を「裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある」とした。
同判決は,同項が「各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものでないことはもとより」,傍聴人がメモを取ることを権利として保障するものでもないとしている。
同判決は,裁判の公開を,傍聴人の個別の権利としてではなく,制度として保障されるものと位置付けている。

2 公開が求められるのは純然たる訴訟事件の裁判

最高裁判所大法廷昭和35年7月6日決定は,憲法は「純然たる訴訟事件の裁判については、前記のごとき公開の原則の下における対審及び判決によるべき旨を定めたのであつて」と述べ,純然たる訴訟事件についてされた調停に代わる裁判を憲法82条及び32条に照らし違憲とした。

最高裁判所大法廷昭和40年6月30日決定は,「法律上の実体的権利義務自体につき争があり、これを確定するには、公開の法廷における対審及び判決によるべきものと解する」とした上で,夫婦の同居に関する審判は「本質的に非訟事件の裁判であつて、公開の法廷における対審及び判決によつて為すことを要しない」とした。
同決定は,審判の前提となる同居義務等自体については,公開の法廷における対審及び判決を求める途が閉ざされているわけではないことも理由に挙げている。

最高裁判所大法廷昭和41年3月2日決定は,遺産の分割に関する処分の審判について同じ判断をした上で,前提となる相続権,相続財産等の権利関係は,「その存否を終局的に確定するには、訴訟事項として対審公開の判決手続によらなければならない」とした。

最高裁判所大法廷昭和45年6月24日決定は,破産宣告決定及びこれに対する抗告事件についての抗告棄却決定は,口頭弁論を経ないでされても憲法82条に違反しないとした。

(続きを読む...)民事裁判で公開されない手続と公開停止―弁論準備手続の傍聴,裁判所外の尋問,当事者尋問等の公開停止及び記録の閲覧制限(AI作成)

電子署名法3条の推定とは―民事訴訟法228条4項との関係,立会人型電子署名のQ&A及び立証の実務(AI作成)

目次第1 本記事の対象と基準日1 対象2 基準日と資料第2 条文の構造1 電子署名法3条の文言2 「電子署名」の定義3 民事訴訟法228条4項との対応第3 3条の推定が働くための要件1 3条Q&Aが示す2つの要件2 固有性の要件3 本人の意思に基づくこと第4 立会人型の電子契約サービスの位置付け1 どのようなサービスか2 2条の電子署名に当たるための条件3 3条の電子署名に当たるための条件4 「符号及び物件」の適正な管理第5 訴訟で成立の真正が争われたときの立証1 利用者と作成名義人の同一性2 身元確認の水準とサービスの選択3 推定以外の立証手段4 実務上の留意点第6 認定認証業務との関係第7 出典1 法令2 公的資料3 文献
第1 本記事の対象と基準日
1 対象

本記事は,電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下「電子署名法」という。)3条が定める電磁的記録の真正な成立の推定について,条文の構造,民事訴訟法228条4項との関係,いわゆる立会人型(事業者署名型)の電子契約サービスに関する政府のQ&A,及び訴訟で成立の真正が争われたときの立証の考え方を整理するものである。
紙の契約書では,本人の署名又は押印があれば文書が真正に成立したものと推定されるが,電子契約では,どのような電子署名があれば同じような推定が働くのかが問題になる。

2 基準日と資料

本記事の調査基準日は令和8年9月26日であり,法令の条文はe-Gov法令検索で同日に確認した。
電子契約サービスについては,総務省・法務省・経済産業省が令和2年9月4日に公表し,デジタル庁・法務省が令和6年1月9日に一部改定した「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」(以下「3条Q&A」という。)の原文による。
電子署名法3条の推定の成否を判断した裁判例については,本記事では調査の対象としていない。

第2 条文の構造
1 電子署名法3条の文言

電子署名法3条は,「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と定めている。
推定の対象は,公務員が職務上作成したものを除く電磁的記録であり,推定が働くための前提は,本人による電子署名であって,本人だけが行うことができることとなるものが行われていることである。

2 「電子署名」の定義

電子署名法2条1項は,「電子署名」を,電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって,「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。」及び「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。」の2つの要件のいずれにも該当するものと定義している。
3条の電子署名は,この2条1項の電子署名に当たることを前提に,さらに「本人だけが行うことができることとなるもの」に限定されている。
電子署名法1条は,同法の目的として,電子署名に関し,電磁的記録の真正な成立の推定,特定認証業務に関する認定の制度その他必要な事項を定めることを掲げている。

3 民事訴訟法228条4項との対応

民事訴訟法228条1項は,「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。」と定め,同条4項は,「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と定めている。
電子署名法の法律案を内閣法制局第四部長として審査した山本庸幸元内閣法制局長官は,回想録の中で,同法3条を民事訴訟法228条4項のいわばデジタル版として置いたと説明している(山本庸幸『元内閣法制局長官・元最高裁判所判事回想録』(弘文堂,令和6年)265頁~266頁)。
押印された私文書について,印影が本人の印章によるものであれば本人の意思に基づく押印と事実上推定され,その上で228条4項の推定が働くという「二段の推定」については,二段の推定とはで扱っている。

第3 3条の推定が働くための要件
1 3条Q&Aが示す2つの要件

3条Q&A問1は,電子署名法3条の規定が適用されるためには,次の2つの要件が満たされる必要があるとしている。
①電子文書に電子署名法3条に規定する電子署名が付されていること。
②その電子署名が本人(電子文書の作成名義人)の意思に基づき行われたものであること。

2 固有性の要件

3条Q&A問1は,3条の電子署名が2条の電子署名よりも要件を加重されているのは,3条が電子文書の成立の真正を推定するという効果を生じさせるものだからであると説明している。
その上で,この効果を生じさせるためには,「暗号化等の措置を行うための符号について、他人が容易に同一のものを作成することができないと認められることが必要であり」,これを「固有性の要件」と呼んでいる。
同問は,例えば,十分な暗号強度を有し他人が容易に同一の鍵を作成できないものである場合には,①の要件を満たすとしている。

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最高裁判所判事の裁判以外の職務―裁判官会議,長官所長会同,憲法週間の視察,外国出張,判例委員会及び宮中行事(AI作成)

目次第1 本記事の概要1 対象とする職務2 資料と基準日第2 裁判官会議と司法行政1 法的根拠2 開催の頻度と所要時間3 議題の中心4 原案が了承されやすい構造5 席次第3 長官所長会同1 出席者と日程2 判事の関与3 懇親会と裁判官会同第4 憲法週間の視察1 割振りの方法2 視察先で行うこと3 経費と行程4 視察後の報告第5 外国出張1 頻度と用務2 支援体制3 報告と配偶者の同行第6 判例委員会その他の委員会1 判例委員会2 図書館委員会と最高裁判所図書館3 その他の委員会第7 長官代行と皇室会議1 長官代行2 皇室会議3 長官が欠けた期間第8 宮中行事1 認証式と就任の挨拶2 年間の行事と出席の範囲3 天皇へのお話と午餐第9 日常の執務と庁内の行事1 一日の流れ2 裁判官室の体制3 庁内の会食4 就任と退官の行事第10 処遇と経費の規律第11 三つの回想から分かること1 司法行政への関与の実際2 時期による違い3 資料の限界第12 出典・参考資料1 法令2 文献3 国会会議録第13 関連記事
第1 本記事の概要
1 対象とする職務

最高裁判所判事の職務の中心は,上告事件,上告受理申立て事件及び抗告事件の審理である。
他方,裁判所法12条1項により,最高裁判所が行う司法行政事務は裁判官会議の議によるものとされているため,判事は,裁判官会議の構成員として司法行政にも関与する。
このほか,判事は,長官所長会同への出席,下級裁判所の視察,外国出張,各種委員会の委員,宮中行事への出席など,裁判以外の職務も担っている。

本記事は,最高裁判所判事を務めた3人の著作又は講演録を突き合わせ,こうした裁判以外の職務の実際を整理するものである。
持ち回り審議,期日審議,判例集登載等の審理の方式は「宇賀克也『管見 最高裁判所』から分かる最高裁判所の審理」で扱ったので,本記事では必要な範囲でのみ触れる。

2 資料と基準日

本記事が用いる資料は,次の3点である。
いずれの著者も,在任中は第三小法廷に所属していた。

資料著者の出身在任期間藤田宙靖『最高裁回想録―学者判事の七年半』(有斐閣,2012年)行政法学者平成14年9月30日から平成22年4月5日まで田原睦夫「最高裁生活を振り返って」金融法務事情1978号6頁~36頁(平成25年)弁護士平成18年11月1日から平成25年4月22日まで宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)行政法学者平成31年3月20日から令和7年7月20日まで

在任期間は,藤田宙靖『最高裁回想録―学者判事の七年半』(有斐閣,2012年)3頁,田原睦夫「最高裁生活を振り返って」金融法務事情1978号(平成25年)6頁及び宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)2頁の記載による。
田原氏の講演録は,平成25年7月13日に行われた講演を基に加筆・修正したものであり,本文は6頁~32頁,別表は33頁~36頁に掲載されている(田原・前掲6頁)。
以下,各資料は「藤田・前掲」「田原・前掲」「宇賀・前掲」と略し,頁は各資料に印刷された頁で示す。

これらは,いずれも一人の判事が在任中に見聞きしたことの回想である。
在任時期が異なるため,同じ事項でも運用が変わっている部分があり,本記事ではその都度時期を示して並べる。
法令の規定は令和8年9月26日にe-Gov法令検索で確認したが,回想に記載された運用は,最高裁判所の公表資料で一つ一つ裏付けたものではない。

第2 裁判官会議と司法行政
1 法的根拠

裁判所法12条1項は,「最高裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、最高裁判所長官が、これを総括する。」と定め,同条2項は,裁判官会議が全員の裁判官で組織され,長官がその議長となることを定めている。
同法13条は,最高裁判所の庶務を掌らせるために事務総局を置き,同法53条2項は,最高裁判所事務総長が長官の監督を受けて事務総局の事務を掌理することを定める。
したがって,法律上の決定主体は15人の裁判官から成る裁判官会議であり,事務総局はそれを補佐する組織である。
裁判官会議の規程,議事録及び事前検討の仕組みは「最高裁判所裁判官会議」で,事務総長の地位は「最高裁判所事務総長とは」で説明している。

2 開催の頻度と所要時間

藤田氏の在任当時,裁判官会議は原則として毎週水曜日の午前10時30分から,裁判官棟4階の会議室で開かれ,事務総長,秘書課長及び議題を担当する局長が同席していた(藤田・前掲31頁)。
会議の時間は通常30分から1時間程度で,議題がないとして取りやめになることもあったという(藤田・前掲33頁)。

宇賀氏の在任当時も,裁判官会議は原則として毎週1回開かれ,議題がないために開かれないことが年に数回あった(宇賀・前掲100頁)。
事務総長と秘書課長は必ず出席し,人事案件がほぼ毎回議題となるため,人事局長も常に出席して説明していたとされる(宇賀・前掲100頁~101頁)。
案件が多いと1時間ほど,議題以外の出張報告等が続くと1時間半以上かかることもあった(宇賀・前掲102頁)。

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宇賀克也『管見 最高裁判所』から分かる最高裁判所の審理―事件の分配,持ち回り審議,期日審議,口頭弁論及び判例集登載(AI作成)

目次第1 本書の概要と本記事の範囲1 書誌と著者2 本書の構成3 本記事の範囲と出典の区別第2 事件の分配と調査官1 小法廷への機械的な分配2 最高裁判所調査官第3 審議の方式1 持ち回り審議2 軽審議3 期日審議4 案文審議第4 個別意見1 個別意見の種類と表示義務2 起案・審議・記載の順序3 共同で執筆する個別意見第5 上告受理と不受理(要点)1 受理の判断要素2 不受理決定の意味第6 大法廷1 回付の要件と違憲判断の要件2 在任中の大法廷事件と「小法廷の壁」第7 口頭弁論と判決の言渡し1 口頭弁論を開くかどうか2 口頭弁論期日の運営3 判決の言渡しと口頭弁論の配信第8 判例集・裁判集と判例委員会1 登載の決定と判例委員会2 判例集登載と裁判集登載の差3 判決の公開と民事裁判情報のデータベース化第9 最高裁判事の構成と国民審査1 出身別の構成の慣行2 国民審査の課題と著者の提言第10 第2部の個別意見38件1 第2部の構成と意見の種別2 38件の一覧第11 出典第12 関連記事
第1 本書の概要と本記事の範囲
1 書誌と著者
(1) 書誌

宇賀克也『管見 最高裁判所』は,有斐閣が2026年に刊行した書籍であり,はしがきの日付は2026年3月,奥付の発行日は同年5月30日(初版第1刷)である。
著者は,最高裁判所の情報はキャリア裁判官の方が多く持っているという自覚などから,書名を「管見」としたと説明している(宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)2頁)。

(2) 著者

著者は,宇賀克也最高裁判所判事(当時。令和7年7月定年退官)である。
本書によれば,著者は,平成31年2月22日の閣議決定を経て,約41年間勤務した東京大学を同年3月19日に退職し,翌20日の認証を受けて最高裁判所判事に就任した(宇賀・前掲2頁)。
その後,令和7年7月20日に定年退官しており,在任期間は6年4か月である(宇賀・前掲2頁)。
在任中は第三小法廷に所属し,在任期間の後半の約3年間は同小法廷で最も早く着任した最先任裁判官を務めた(宇賀・前掲10頁,78頁)。

2 本書の構成
(1) 第1部「管見最高裁判所」

第1部(1頁~116頁)は,就任前後の経緯(第1章),最高裁判所における審議(第2章),最高裁判所を構成する人と組織(第3章)及び裁判以外の活動(第4章)を扱い,本記事が主に取り上げるのは第2章と第3章の前半である。
著者は,裁判は公権力の行使であって説明責任を伴うという考えを示した上で,評議の秘密に触れない範囲で,在任中に見聞きした最高裁判所の運用を記述している(宇賀・前掲3頁~6頁)。

(2) 第2部「個別意見」

第2部(117頁~370頁)は,著者が最高裁判所判事として付した個別意見38件を,憲法,行政法,民事実体法,労働法,民事訴訟法関係及び刑事法の分野に分けて収録している。
各項目は,事案の概要,決定・判決の要旨,個別意見の本文及び著者による解説の順に構成されている(宇賀・前掲118頁以下)。
著者は,判例集登載判例について担当調査官が書く解説は調査官の受け止めであって,個別意見を書いた裁判官の真意と一致する保証はないから,意見を書いた本人が趣旨を敷衍する方が有意義であると考えたことを,第2部を設けた理由として挙げている(宇賀・前掲5頁~6頁)。

3 本記事の範囲と出典の区別

本記事は,本書第1部のうち最高裁判所の審理に関する部分を手続の順に整理し,第2部の個別意見38件を一覧にしたものであり,生成AIを用いて作成した。
第1部の記述の多くは,著者が主として第三小法廷で経験した運用であって公表資料で裏付けられるものではないため,本記事では出所が本書であることを示し,著者の意見や提言は運用の説明と区別して記載する。
条文は令和8年9月25日にe-Gov法令検索で確認した現行の条文により,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で書誌を確認したものに限って記載した。
最高裁判所規則である民事訴訟規則及び最高裁判所裁判事務処理規則はe-Gov法令検索に収録されていないため,これらの条項は本書の記載によるものとして示す。
本記事で示す本書の頁は,いずれも本書に印字された頁である。

第2 事件の分配と調査官
1 小法廷への機械的な分配
(1) 受付順の分配と分配比

本書によれば,著者の在任中の新受件数は毎年1万件を超えており,令和6年は民事・行政事件7838件,刑事事件3855件の合計1万1693件であった(宇賀・前掲12頁~13頁)。

事件は,専門分野によらず,最高裁判所での受付順に第一,第二,第三小法廷へと機械的に分配される(宇賀・前掲14頁)。

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上告不受理決定は原判決を正しいと認めたことになるか―受理の判断要素,軽審議及び反対意見付きの不受理(AI作成)

目次第1 本記事の概要1 結論2 資料と基準日第2 上告受理申立て制度の仕組み1 上告と上告受理申立ての違い2 申立ての期間と理由書3 上告審の調査範囲第3 最高裁判所の審理の流れ1 約95%は持ち回り審議で処理される2 第三小法廷の軽審議3 期日審議第4 受理・不受理の判断要素1 条文上の要件2 宇賀氏が挙げる七つの判断要素3 判断の機が熟していないことを理由とする不受理4 経験則違反・採証法則違反による受理第5 不受理決定の意味と読み方1 不受理決定は原審判断を是認したものではない2 不受理決定に反対意見を付けることをめぐる議論3 反対意見付きの不受理の件数と令和3年の表記変更第6 受理決定と論旨の排除・職権調査1 受理決定での論旨の一部排除2 申立て理由に書かれていない誤りは取り上げられない3 職権調査事項は申立て理由に拘束されない4 条約違反の主張の扱い第7 口頭弁論期日の指定の意味1 口頭弁論が開かれる場合2 棄却見込みでも弁論を開く運用3 期日指定後の和解・取下げ第8 代理人・当事者の実務上の留意点1 理由書では七つの判断要素に即して重要性を示す2 拾ってほしい誤りはすべて論旨にする3 依頼者への説明第9 出典1 法令2 裁判例3 文献第10 関連記事
第1 本記事の概要
1 結論

上告不受理決定は,最高裁判所が原判決の判断を正しいと認めたことを意味するものではない。
不受理決定は,上告受理の申立ての理由に「法令の解釈に関する重要な事項」を含むとは認められないとして,最高裁判所が事件に介入しないことを示すものにとどまる。
宇賀克也最高裁判所判事(当時。令和7年7月定年退官)も,著書で,原審の判断に問題があると考えつつ介入するほどではないとして不受理とされることや,判断の機が熟していないことを理由に不受理とされることがあると説明している(宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)35頁~36頁)。

本記事は,上告受理の申立てをした当事者,申立てを受けた相手方及びその代理人を読者として想定し,①上告受理申立て制度の条文上の仕組み,②最高裁判所の内部での審理の流れ,③受理・不受理の判断要素,④不受理決定の意味と反対意見付きの不受理,⑤受理決定での論旨の排除と職権調査,⑥口頭弁論期日の指定の意味,⑦依頼者への説明を含む実務上の留意点を順に説明する。
本記事は,AIを用いて作成したものである。

2 資料と基準日

条文は,令和8年9月25日にe-Gov法令検索で確認した民事訴訟法及び裁判所法の現行条文による。
裁判例は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索で書誌を確認し,判決文は同サイト掲載の全文PDFから引用した。

最高裁判所の内部の運用については,宇賀氏の前掲書に依拠する。
同氏は,平成31年3月に最高裁判所判事に就任し,令和7年7月に定年退官するまで第三小法廷に所属していた(宇賀・前掲2頁,10頁)。
内部の運用は公的資料では裏付けられないため,本記事では,本書に依拠する部分を「宇賀氏は……と述べている」などの形で示し,条文や判決文から確認できる事項と区別する。
本書が説明する運用は,著者の在任期間中のもの,特に第三小法廷のものであり,他の小法廷や現在の運用が同じであるとは限らない。

第2 上告受理申立て制度の仕組み
1 上告と上告受理申立ての違い
(1) 上告の理由は憲法違反と絶対的上告理由に限られる

高等裁判所の判決に対して最高裁判所に不服を申し立てる方法には,上告と上告受理の申立ての二つがある。
民事訴訟法312条1項は,「上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。」と定める。
同条2項は,判決裁判所の構成の違法,代理権の欠缺,判決の理由不備・理由の食違い等の事由(いわゆる絶対的上告理由)を掲げる。
最高裁判所への上告では,単なる法令違反は上告の理由にならない。

(2) 上告受理は最高裁判所の裁量による

法令違反を最高裁判所に主張する手段が上告受理の申立てである。
民事訴訟法318条1項は,「上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。」と定める。
同条2項は,上告受理の申立てにおいては「第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。」と定めており,憲法違反等は上告で,法令違反は上告受理の申立てで主張するという役割分担になっている。
条文は「受理することができる」と定めており,受理するかどうかは最高裁判所の判断に委ねられている。
宇賀氏も,受理のハードルは高く,大半の申立ては不受理になると述べている(宇賀・前掲32頁)。

2 申立ての期間と理由書
(1) 申立ては2週間の不変期間内にする

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配当を受けた債権者に不当利得返還請求はできるか―抵当権者と一般債権者で結論が分かれる最高裁判例と配当異議(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論の要旨第2 配当の手続と配当異議の条文1 配当表の作成2 配当異議の申出3 配当異議の訴えと1週間の期間4 担保不動産競売への準用第3 抵当権者は不当利得返還請求ができる―最高裁平成3年3月22日判決1 判示2 理由第4 一般債権者は不当利得返還請求ができない―最高裁平成10年3月26日判決1 判示2 理由3 二つの判決の比較第5 配当異議の手続で注意すべき点1 配当表に記載されていない者―最高裁平成6年7月14日判決2 訴え提起の証明―最高裁平成6年12月6日判決3 受益者の返還義務の範囲第6 当事者ごとの確認事項1 抵当権者2 一般債権者3 配当表に記載されなかった債権者4 配当を受けた債権者第7 関連記事第8 出典1 法令2 裁判例
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象
(1) 問題となる場面

不動産の競売手続では,配当期日に配当表が作成され,これに基づいて各債権者に配当が実施される。
ところが,実際には債権を持っていない者や,優先権がないのに優先して扱われた者が配当を受けてしまうことがある。
配当期日に異議を述べなかった債権者が,配当が終わった後に,配当を受けた者に対して自分が受け取るはずだった分の返還を求めて不当利得返還請求をすることができるかが問題となる。
本記事は,この問題について,抵当権者と一般債権者とで結論が分かれた二つの最高裁判所の判決を中心に,配当異議の手続とあわせて整理する。

(2) 本記事の資料と基準日

調査基準日は令和8年9月25日である。
条文はe-Gov法令検索の現行条文により,裁判例は裁判所ウェブサイトに全文が掲載された最高裁判所の判決により確認した。
強制執行や配当要求と消滅時効の関係は,強制執行・財産開示手続と時効の完成猶予・更新―差押えの了知不要,申立ての取下げ及び配当要求で扱っている。

2 結論の要旨

①配当表に記載された債権又は配当の額に不服のある債権者及び債務者は,配当期日において配当異議の申出をすることができる(民事執行法89条1項)。
配当異議の申出をした債権者は配当異議の訴えを提起しなければならず,配当期日から1週間以内に訴えを提起したことを執行裁判所に証明しないと,配当異議の申出は取り下げたものとみなされる(同法90条1項・6項)。
②抵当権者は,配当期日に配当異議の申出をしなかった場合でも,債権又は優先権を有しないのに配当を受けた債権者に対して,その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった金銭相当額の返還を請求することができる(最高裁平成3年3月22日判決)。
③これに対し,配当期日に配当異議の申出をしなかった一般債権者は,配当を受けた他の債権者に対して,自己が配当を受けることができなかった額に相当する金員の不当利得返還請求をすることができない(最高裁平成10年3月26日判決)。
④平成10年判決は平成3年判決に言及していないが,両判決の理由付けを対比すると,抵当権者が抵当不動産の代金から優先弁済を受ける権利を有するのに対し,一般債権者は特定の執行の目的物について優先弁済を受けるべき実体的権利を有しておらず,他の債権者が配当を受けたというだけでは民法703条の「損失」が生じたとはいえないことが,結論の違いにつながっていると考えられる。
⑤配当表に債権者として記載されなかった者は,配当異議の訴えを提起する原告適格を有しないとされている(最高裁平成6年7月14日判決)。
⑥配当異議の訴えを提起したことの証明は,配当異議の申出をした者が自らの責任において,法定の期間内に執行裁判所に対してする必要がある(最高裁平成6年12月6日判決)。

第2 配当の手続と配当異議の条文
1 配当表の作成

民事執行法85条1項は,執行裁判所は,配当期日において,同法87条1項各号に掲げる各債権者について,その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額,執行費用の額並びに配当の順位及び額を定めると規定している。
同条2項は,「執行裁判所は、前項本文の規定により配当の順位及び額を定める場合には、民法、商法その他の法律の定めるところによらなければならない。」と定め,同条5項は,これらの事項が定められたときは,裁判所書記官が配当期日において配当表を作成しなければならないとしている。
同法84条1項は,「執行裁判所は、代金の納付があつた場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて配当を実施しなければならない。」と定めている。

2 配当異議の申出

民事執行法89条1項は,「配当表に記載された各債権者の債権又は配当の額について不服のある債権者及び債務者は、配当期日において、異議の申出(以下「配当異議の申出」という。)をすることができる。」と定めている。
同条2項は,「執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。」と定めている。
配当異議の申出がなければ,その部分は配当表のとおりに配当が実施されることになる。

3 配当異議の訴えと1週間の期間

(続きを読む...)配当を受けた債権者に不当利得返還請求はできるか―抵当権者と一般債権者で結論が分かれる最高裁判例と配当異議(AI作成)

訴訟告知の使い方―参加的効力の範囲,告知の方式と敗訴後の求償・損害賠償への備え(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 訴訟告知の要件と方式1 誰が誰に告知できるか2 告知書の記載3 告知の時期第3 告知の効力―参加的効力1 条文2 既判力とは異なる効力3 効力が及ぶ理由中の判断の範囲4 法律上の利害関係がなければ効力は生じない5 効力が及ばない場合(46条各号)6 既判力と参加的効力の比較第4 効力はどちらの向きに働くか第5 訴訟告知を検討する場面1 敗訴すると第三者へ請求することになる場合2 共同被告との関係3 告知だけでは相手に対する債務名義にならない第6 法律が訴訟告知を義務付けている場面第7 訴訟告知を受けた側の対応第8 告知書を出す前の確認事項第9 本記事で扱わなかった事項第10 関連記事第11 出典
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象

本記事は,民事訴訟の当事者が,訴訟の係属中に第三者へ訴訟告知をするのはどのような場合か,告知をするとどのような効力が生じるかを扱う。
典型は,敗訴した場合に第三者へ求償又は損害賠償を請求することになる当事者が,後の訴訟で同じ事実を一から争われないようにするために告知をする場面である。

調査基準日は令和8年9月25日である。
条文はe-Gov法令検索の現行条文を,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で全文を確認した最高裁判例を用いた。
前の訴訟の判決を後の訴訟でどう使うか(既判力,裁判上の自白及び証拠価値)は別件判決・先行訴訟の準備書面は後訴でどう使われるかで,補助参加の具体例は遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言の取扱い及び公証人の補助参加で扱っている。

2 結論

①訴訟告知は,当事者が,訴訟の係属中に,その訴訟に参加することができる第三者に対してするものであり,理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してする(民事訴訟法53条1項・3項)。
②告知を受けた者が参加しなかった場合も,参加することができた時に参加したものとみなされ,補助参加人に対する裁判の効力を受ける(同法53条4項,46条)。
③この効力は既判力ではなく,判決の確定後に,補助参加人(告知を受けた者)が被参加人(告知をした者)に対して,その判決が不当であると主張することを禁ずる効力である。
判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の判断にも及ぶ(最高裁昭和45年10月22日判決)。
④もっとも,効力が及ぶ理由中の判断は,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などに限られ,傍論には及ばない。
また,告知を受けた者が訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合でなければ,効力は生じない(最高裁平成14年1月22日判決)。
⑤既判力は当事者等の間に生じるもので(同法115条1項),同じ原告から訴えられた共同被告どうしの間には当然には生じない。
後で求償や損害賠償を請求する相手との関係は,前の訴訟の段階で手当てを考える必要がある。
⑥債権者代位訴訟,詐害行為取消訴訟及び株主代表訴訟では,法律が訴訟告知を義務付けている(民法423条の6,424条の7第2項,会社法849条4項)。

第2 訴訟告知の要件と方式
1 誰が誰に告知できるか

民事訴訟法53条1項は,「当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。」と定める。
告知をするのは訴訟の当事者であり,告知を受けるのは,その訴訟に参加することができる第三者である。
訴訟告知を受けた者は,更に訴訟告知をすることができる(同条2項)。

「参加することができる第三者」の中心は,補助参加をすることができる者である。
補助参加は,「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」が,当事者の一方を補助するためにする参加である(同法42条)。
最高裁平成14年1月22日判決は,ここにいう法律上の利害関係を有する場合とは,「当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合」をいうとしている(同判決は最高裁平成13年1月30日決定を参照している。)。
単に事実上又は経済上の影響を受けるというだけでは足りない。

2 告知書の記載

訴訟告知は,その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない(民事訴訟法53条3項)。
「理由」には,告知を受ける者がなぜその訴訟に参加することができるのか,すなわち,その訴訟の判決が告知を受ける者のどの法的地位に影響するのかを具体的に書く。

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請求の追加・変更で裁判上の自白はどうなるか―主要事実・間接事実・不利益要件・自白の撤回(AI作成)

目次第1 結論第2 裁判上の自白の対象と効果第3 請求の追加・変更で事実の役割が変わる第4 先行自白と不利益要件第5 自白の撤回が許される場合第6 実務上の主張整理第7 出典と調査範囲

第1 結論

ある事実を認めた時点では請求原因と直接関係しない間接事実であっても、その後に請求が追加又は変更されると、新しい請求の主要事実になることがある。この場合、以前の陳述が新しい請求との関係でも裁判上の自白として拘束力を持つかが問題となる。

結論を出すには、①いつ、どの手続で、どの文言を陳述したか、②陳述時と請求追加後の各訴訟物・要件事実、③相手方がその陳述を援用したか、④裁判上の自白に「陳述時に自己に不利益であること」を必要とするか、⑤相手方が証明不要との信頼を形成したか、⑥撤回原因があるかを順に確認する。

単に「一度認めたから撤回できない」とも、「当時は間接事実だったから自由に撤回できる」とも即断できない。事実の同一性、陳述の訴訟上の意味及び相手方の手続的信頼を具体的に分析する必要がある。

第2 裁判上の自白の対象と効果

民事訴訟法179条は、裁判所において当事者が自白した事実は証明を要しないと定めている。一般に、裁判上の自白が成立すると、相手方はその事実を証明する必要がなくなり、裁判所も当事者間に争いのない主要事実として扱う。

対象は具体的な事実である。法律関係の存否、法的評価、証拠の信用性に関する意見又は単なる抽象的評価は、それ自体として自白の対象にならない。陳述を切り取らず、準備書面の前後、認否の対象となった相手方の主張、期日調書及び釈明応答を併せて読む。

また、主要事実についての自白と、間接事実又は補助事実を認める陳述は区別される。間接事実についての陳述は証拠評価を拘束しないのが原則であるが、後に訴訟構造が変われば、同一の具体的事実が新請求の要件事実になることがある。

第3 請求の追加・変更で事実の役割が変わる
1 陳述時の位置付け

まず、従前の請求について訴訟物と要件事実を特定し、問題の事実が主要事実、間接事実又は背景事情のいずれであったかを確認する。答弁書で「認める」と記載されていても、何を認めたのかが抽象的であれば、自白の対象となる具体的事実を特定できない場合がある。

2 請求追加後の位置付け

次に、追加された請求の法律要件を分解し、以前に認めた事実がどの要件を基礎付けるかを示す。例えば、当初は契約上の請求だけが審理されていたところ、後に不法行為請求が追加されると、行為主体、故意・過失又は因果関係に関する事実の重要性が変わり得る。

3 事実の同一性

以前の陳述と相手方が新請求で援用する事実が本当に同一かを確認する。「関与した」「了承した」「受領した」などの表現は、時期、対象、行為態様及び認識内容を欠くことがある。新請求の要件事実として必要な具体性を備えなければ、以前の抽象的陳述をそのまま自白とすることはできない。

4 請求追加の時点

請求追加前に陳述が撤回されたか、相手方が援用する前か後か、裁判所が争いのない事実として整理したかを時系列で確認する。請求追加と同時に認否を整理し直す機会が与えられたかも重要である。

第4 先行自白と不利益要件

相手方が主張する前に、自らある事実を陳述し、後に相手方がこれを援用する場合は先行自白が問題となる。裁判上の自白を「相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述」と捉える見解では、後の援用によって自白が成立し得る。

他方、裁判上の自白を「相手方の主張する不利益事実を争わない旨の陳述」と捉える見解では、陳述時に自己に不利益な事実として認識されず、争う対象にもなっていなかった場合に、自白の成立を否定する余地がある。

請求の追加によって初めて不利益性が生じた場合、前者は事実の同一性と相手方の援用を重視し、後者は陳述時の争点と不利益性の認識を重視することになる。どちらの立場でも、相手方が証明活動を省略したか、争点整理で争いのない事実として扱われたかは、撤回制限の根拠を考える上で重要である。

裁判所公開裁判例の中には、抽象的な「保育への関与」が過失を基礎付ける具体性を欠く間接事実にとどまり、撤回前に相手方が援用していなかったことから、自白の成立を否定した下級審判決がある。これは事案判断であり、請求追加により事実の法的役割が変わる全場面を一律に解決するものではない。

第5 自白の撤回が許される場合

司法研修所の教材は、要件事実について成立した自白の撤回が許される場合として、①相手方の同意があるとき、②自白の内容が真実に反し、かつ錯誤によってされたとき、③刑事上罰すべき他人の行為によって自白したときを挙げている。

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執行事件の地裁本庁・拠点支部への集約-不動産執行,債権執行等の状況と理由(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 不動産執行だけを扱うものではない2 結論の要点第2 「本庁集約」の法的な意味1 法定管轄の変更とは限らない2 本庁だけでなく拠点支部への集約もある第3 執行事件の種類によって取扱庁が異なる1 裁判所が扱う主要な手続2 執行官が扱う現地執行第4 現在確認できる集約の五つの型1 主要四手続を本庁へ集約する型2 不動産執行だけを集約する型3 不動産執行と債権執行を集約する型4 本庁ではなく拠点支部へ集約する型5 裁判所取扱事件を原則として全部集約する型第5 近年も集約先は変わっている1 令和7年及び令和8年の変更例2 基準日を明示して申立先を確認する必要がある第6 裁判所が明示した集約理由1 専門部による迅速かつ効率的な処理2 改善効果の説明とその限界第7 集約の実質的な背景1 事件量と人的資源の配分2 専門知識と事務処理経験の蓄積3 経費削減や支部廃止を本音と断定できない第8 司法アクセス上の不利益1 記録閲覧,書面提出及び移動の負担2 地域に残る手続とデジタル化3 大阪地裁堺・岸和田両支部についての検討第9 申立先を確認する実務上の手順1 手続名を特定して公式表を確認する2 BITだけでは債権執行等の取扱いを確認できない3 関連する裁判所組織の記事第10 出典・参考資料1 規則及び司法行政資料2 裁判所の取扱庁及び変更告知3 統計資料4 職能団体・労働組合等の資料
第1 この記事の対象と結論
1 不動産執行だけを扱うものではない

民事執行には,不動産に対する強制執行・担保権実行だけでなく,預貯金・給与等を対象とする債権執行,自動車執行,財産開示手続,第三者からの情報取得手続,動産執行,建物明渡し等の執行がある。本記事は,令和8年9月24日現在の裁判所の公式ウェブサイト,司法行政資料,司法統計及び弁護士会の正式な決議を基礎として,これらの執行事件が地方裁判所の本庁又は拠点となる支部へ集約されている状況と,その理由を整理するものである。
集約の範囲は全国一律ではない。管轄区域が同じように支部の区域であっても,不動産執行だけを本庁で扱う地域,不動産執行と債権執行を集約する地域,財産開示手続及び第三者からの情報取得手続まで集約する地域,これらを本庁ではなく別の拠点支部へ集約する地域がある。

2 結論の要点

裁判所が明示している集約理由は,専門部による迅速かつ効率的な処理である。札幌地方裁判所委員会では,不動産競売事件及び債権執行事件を支部から本庁へ集約した理由として,専門部で迅速かつ効率的に処理することが説明され,集約後に売却率が改善し,処理期間も短縮したと報告されている。
これを全国の支部運営に関する司法行政資料と併せて読むと,集約の実質的な背景は,少数又は変動の大きい事件を各支部へ分散させるより,裁判官,書記官及び執行部門の知識・経験を本庁又は拠点支部へ集中し,担当体制を安定させることにあると考えられる。ただし,これは公開資料から導く分析であり,裁判所が秘密の目的を公表したという意味ではない。また,経費削減や支部廃止が主目的であると裏付ける一次資料は確認できない。

第2 「本庁集約」の法的な意味
1 法定管轄の変更とは限らない

地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則3条1項は,地方裁判所がその支部で取り扱う事務を自ら処理し,又は管内の他の支部で処理させることができる旨を定めている。したがって,支部区域内の事件を本庁又は別の支部で扱う集約は,法律による裁判所の管轄区域そのものの変更ではなく,同じ地方裁判所内部における事務分配として実施されることがある。
このため,申立人が民事執行法の管轄規定だけを読んでも,実際の提出先を確定できない場合がある。対象となる所在地の地方裁判所ウェブサイトにある「管轄区域表」,「民事執行事件の取扱い」又は最新のお知らせを,手続の種類ごとに確認する必要がある。

2 本庁だけでなく拠点支部への集約もある

集約先は必ずしも地方裁判所本庁ではない。広島地方裁判所尾道支部の区域では,不動産執行,債権執行,財産開示及び第三者からの情報取得を福山支部が扱い,熊本地方裁判所人吉支部の区域では不動産執行を八代支部が扱う。神戸地方裁判所豊岡支部で扱っていた不動産競売事件等も,令和8年4月1日から姫路支部へ集約された。
したがって,「本庁集約」という語は実務上便利な略称ではあるが,正確には「本庁又は拠点支部への集約」と捉えるべきである。地域単位ではなく,地方裁判所の管内全体で専門処理体制を組み替える現象だからである。

第3 執行事件の種類によって取扱庁が異なる
1 裁判所が扱う主要な手続

裁判所の民事執行案内は,金銭執行として不動産執行,動産執行,債権執行,自動車執行等を挙げるほか,財産開示手続及び第三者からの情報取得手続を案内している。不動産競売では物件の評価,現況調査,売却手続及び配当が連続する一方,債権執行では差押命令の発令,第三債務者への送達,取立て又は配当等が中心となるため,同じ「執行事件」であっても必要な事務は異なる。
財産開示手続は,債務者を裁判所へ呼び出して財産を陳述させる手続である。第三者からの情報取得手続は,登記所,金融機関等又は市町村等から一定の財産情報を取得する手続であり,取扱庁の表では債権執行と別項目にされることが多い。

2 執行官が扱う現地執行

動産執行,建物明渡し,土地明渡し等は,執行官への申立てによって現地で実施される。裁判所の管轄区域表では,裁判所が受け付ける不動産執行や債権執行等と,執行官が取り扱う事件とが区別されている。
裁判所部門の事件を本庁へ集約しても,執行官取扱事件を地域に残す例がある。令和8年10月1日から実施される青森地方裁判所及び福島地方裁判所相馬支部の集約告知も,執行官に申し立てる動産執行事件等を集約対象から除外している。この例外は,目的物の所在地で行う現地執行には,書面審査中心の事件とは異なる地理的制約があることを示している。

第4 現在確認できる集約の五つの型
1 主要四手続を本庁へ集約する型

北海道の一部の支部区域では,不動産執行,債権執行,財産開示及び第三者からの情報取得を札幌地方裁判所本庁等で扱い,その他の民事執行事件を区域の支部で扱う。千葉地方裁判所八日市場支部の区域でも,この四手続を本庁が扱い,その他の民事執行事件は八日市場支部が扱う。
この型では,裁判所内部の審査・管理を要する代表的な手続がまとめて集約される一方,すべての執行事件が本庁へ移るわけではない。「債権執行も集約されたか」だけでなく,財産開示及び第三者情報取得の欄も別に確認する必要がある。

2 不動産執行だけを集約する型

千葉地方裁判所佐倉支部,一宮支部,木更津支部,館山支部及び佐原支部の各区域では,不動産執行を本庁が扱う一方,その他の民事執行事件は各支部が扱う。熊本地方裁判所人吉支部の区域も,不動産執行は八代支部へ集約されるが,その他の民事執行事件は人吉支部で扱う。
不動産競売は,評価人,執行官,登記,売却及び配当を含む一連の処理が必要である。専門的な担当体制をまとめる効果が大きいことが,不動産執行のみを集約する地域が存在する理由の一つと考えられる。

3 不動産執行と債権執行を集約する型

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争点整理後に新しい主張・証拠が出た場合―民事訴訟法157条・167条と却下申立て(AI作成)

目次

第1 結論
第2 時機に後れた攻撃防御方法の三要件
第3 「時機に後れた提出」を時系列で示す
第4 故意又は重大な過失
第5 訴訟完結の遅延を具体化する
第6 理由説明要求と提出期限徒過の説明
第7 却下申立ての書き方
第8 新主張・証拠を提出する側の対応
第9 実務チェックリスト
第10 関連記事
第11 出典と調査範囲

第1 結論

争点整理後又は口頭弁論終結に近い時期に,新しい主張・証拠が出たというだけで,当然に却下されるわけではない。民事訴訟法157条1項による却下には,①時機に後れて提出したこと,②提出者に故意又は重大な過失があること,③その提出により訴訟の完結が遅延することが必要である。

相手方としては,「もっと早く出せたはずだ」と抽象的に述べるのではなく,入手時期,従前の釈明・争点整理,提出予告,必要となる反論・反証,再尋問又は追加鑑定及び予定していた審理終結への影響を一つの時系列で示す。

準備的口頭弁論又は弁論準備手続の終結後であれば,同法167条・174条により,整理手続終了前に提出できなかった理由の説明を求めることができる。説明の拒絶又は不合理な説明は,却下を自動的に生じさせるものではないが,時機後れ又は重大な過失を認定する資料となり得る。

第2 時機に後れた攻撃防御方法の三要件

民事訴訟法157条1項は,当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法について,それにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたとき,裁判所が申立て又は職権で却下できると定める。

三要件は累積的に検討する。提出が遅く見えても,新たな証拠調べを要せず予定期日に弁論を終結できるなら,遅延要件を欠くことがある。反対に,法律構成だけの追加でも,相手方の防御のため審理続行が必要なら,攻撃防御方法として問題となり得る。

第3 「時機に後れた提出」を時系列で示す

次の時点を表にする。

主張又は証拠の基礎事実を知った時期
資料を入手できた時期
裁判所又は相手方が関連事項を指摘した時期

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訴訟中に目的物・権利を譲り受けた者への訴訟引受け―民事訴訟法50条と訴訟状態承認義務(AI作成)

目次

第1 結論
第2 民事訴訟法50条・51条の手続
第3 誰が「承継人」に当たるか
第4 紛争の主体たる地位を三段階で確認する
第5 訴訟状態承認義務(承継効)
第6 承継効の例外を検討する場合
第7 申立て前に固定する事実と証拠
第8 申立てを受けた側の反論
第9 関連記事
第10 出典と調査範囲

第1 結論

訴訟の係属中に,目的物,権利又は義務に関係する地位が第三者へ移った場合,従前の当事者との訴訟をそのまま続けても,判決による実効的解決ができないことがある。民事訴訟法50条・51条は,一定の場合に,その第三者を訴訟へ引き受けさせる仕組みを置いている。

ただし,「紛争を一回で解決できるから」という理由だけで承継人とすることはできない。①従前の当事者を適切な当事者にしていた実体法上の地位,②その地位を第三者へ移した事実,③その地位が第三者を新たな請求の適切な当事者にする理由を順に示す必要がある。

引受け後の第三者が従前の訴訟状態にどこまで拘束されるかは,「訴訟状態承認義務」又は「承継効」の問題である。相手方が従前訴訟で得た地位の保護と,前主に与えられた主張立証機会によって承継人の手続保障を代替できるかを中心に,承継原因発生時を基準として検討する。

第2 民事訴訟法50条・51条の手続

民事訴訟法50条1項は,訴訟係属中に第三者が訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したとき,当事者の申立てにより,裁判所が決定で第三者に訴訟を引き受けさせることができると定める。裁判所は,当事者と第三者を審尋しなければならない(同条2項)。

同法51条は,義務承継人による参加と,訴訟係属中に第三者が訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合の訴訟引受けについて,47条から50条までの規定を準用する。誰が申立人となり得るか,権利承継か義務承継か,引受決定後に従前当事者が残るかという手続は,具体的な申立ての種類と準用条文を確認する。

訴訟引受けは,当事者表示を単に書き換える手続ではない。引受決定を求める申立書では,係属事件,従前の請求,承継原因,承継した地位及び第三者に対する請求内容を特定する。

第3 誰が「承継人」に当たるか

「訴訟の目的である権利又は義務」を,従前の訴訟物と完全に同一の権利義務だけに限定すると,訴訟中の処分によって相手方が従前訴訟で得た地位を失う場合がある。他方,紛争に関係する第三者を広く承継人にすると,第三者の手続保障を害する。

そこで,形式的な訴訟物の同一性だけでなく,従前当事者が紛争の適切な主体であった実体法上の地位が第三者へ移り,その第三者が同じ紛争について適切な相手方となったかを検討する。例えば,建物所有者に対する建物収去・土地明渡請求の係属中に第三者が建物を取得して占有した場合,第三者への請求が建物退去・土地明渡しとなり,給付内容が完全には一致しないことがある。それでも,建物所有・占有を通じて土地明渡義務を現実に左右する地位が移ったかが問題になる。

第4 紛争の主体たる地位を三段階で確認する

申立てでは,次の三段階を一文ずつ示すと,抽象的な「紛争主体の承継」で終わりにくい。

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訴訟資料に著作物を利用する場合の著作権―複製・mints提出・引用・事件外共有を分ける(AI作成)

目次
第1 結論―一つの資料を五つの行為に分ける
第2 著作物・権利者・入手経路を確認する
第3 裁判手続のための複製
第4 mints提出と公衆送信等
第5 引用として利用する場合
第6 鑑定書・意見書と画像
第7 事件外共有・広報・研修への転用
第8 提出前チェックリスト
第9 関連記事
第10 出典と調査範囲

第1 結論―一つの資料を五つの行為に分ける

訴状、準備書面、証拠説明書、鑑定書又は意見書に他人の論文、写真、図面、ウェブ画面等を使う場合、「裁判だから自由に使える」と一括してはいけない。少なくとも、①資料を取得する、②紙又はPDFへ複製する、③裁判所・相手方へ提出又は送信する、④法廷で表示する、⑤事件外で依頼者・関係者・研修参加者等へ共有する、という行為を分ける。

著作権法41条の2は裁判手続に必要な利用を認める重要な規定であるが、必要な限度と著作権者の利益を不当に害しないことが条件である。違法に入手した資料の取得を適法化したり、事件外の公表・二次利用を当然に許したりする規定ではない。

第2 著作物・権利者・入手経路を確認する
確認事項具体例
著作物性論文本文、写真、図表、設計図、地図、ソフト画面の創作的表現
保護されない部分単なる事実、法令、裁判所の判決そのもの、ありふれた短文
権利者著作者、勤務先、出版社、写真提供者、共同著作者
利用行為複製、公衆送信、上映・口述、譲渡、翻案
入手経路正規購入、契約DB、依頼者提供、公開ウェブ、第三者からの流出
契約条件データベース利用規約、ライセンス、秘密保持、個人情報

著作権法上利用できる場合でも、契約上の利用制限、営業秘密、個人情報、プライバシー、訴訟記録の閲覧等制限は別に検討する。

第3 裁判手続のための複製

著作権法41条の2第1項は、裁判手続のために必要と認められる場合、必要と認められる限度で著作物を複製できる旨を定める。ただし、著作物の種類・用途、複製部数・態様等に照らして著作権者の利益を不当に害する場合は除かれる。

「必要」は、争点との関連性だけでなく、全文が必要か該当頁で足りるか、カラー高精細画像が必要か、提出部数が適切かという範囲にも及ぶ。証明対象、立証趣旨、必要部分を先に書き出すと、過剰な複製を避けやすい。

裁判手続のための複製は、資料を適法に取得する権利まで与えるものではない。ID・パスワードの不正使用、アクセス制御の回避、秘密情報の不正取得等は別問題である。

第4 mints提出と公衆送信等

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行政処分の執行停止―重大な損害,緊急の必要,疎明資料及び裁判例(AI作成)

目次

第1 執行停止は何を止める手続か
第2 執行不停止の原則と三つの停止対象
第3 申立ての要件
第4 「重大な損害」の判断要素
第5 申立人自身の損害と第三者の不利益
第6 損害類型ごとの疎明資料
第7 東京高裁平成19年7月19日決定
第8 公共の福祉と本案に理由がないとみえるとき
第9 他の仮の救済との違い
第10 受任直後の実務チェックリスト
第11 調査範囲,出典及び関連記事

第1 執行停止は何を止める手続か

行政処分を取り消す訴訟を提起しても,それだけで処分の効力や執行は止まらない。処分が実行されると本案判決までに事業停止,資格喪失,信用毀損又は契約解約等が進む事件では,取消訴訟と同時に行政事件訴訟法25条の執行停止を申し立てる。

執行停止は本案の最終判断ではなく,取消訴訟の係属中に処分の効力,執行又は手続の続行を暫定的に止める制度である。したがって,処分書を受け取った後は,出訴期間だけでなく,処分がいつからどのように実行されるかを直ちに確認する。

第2 執行不停止の原則と三つの停止対象

行政事件訴訟法25条1項は,処分の取消しの訴えの提起が,処分の効力,処分の執行又は手続の続行を妨げないと定める。これが執行不停止の原則である。

同条2項の停止対象は,①処分の効力,②処分の執行,③手続の続行である。効力停止は,他の方法による停止では目的を達成できない場合に限られる。申立書では,何がいつ進むため,どの停止対象を選ぶのかを特定する。

第3 申立ての要件

執行停止には,適法な取消訴訟が係属していることを前提として,処分,処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があることを要する。

他方,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき,又は本案について理由がないとみえるときは,執行停止をすることができない。実務上は,①本案訴訟の適法性,②重大な損害,③緊急の必要,④公共の福祉,⑤本案の見通しを分けて主張・疎明する。

第4 「重大な損害」の判断要素

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抵当権者は転貸賃料を差し押さえられるか―民法371条・物上代位・最高裁平成12年4月14日決定(AI作成)

抵当不動産が賃貸され,さらに転貸されている場合,抵当権者が当然に転貸賃料まで差し押さえられるわけではない。所有者の賃料債権と,賃借人が取得する転貸賃料債権を分け,例外的に所有者と同視できる事情があるかを確認する必要がある。

本記事では,民法304条・371条・372条と最高裁平成12年4月14日決定を軸に,差押えの可否と調査事項を整理する。

目次
第1 まず三つの当事者と二つの賃料を分ける
第2 所有者の賃料債権への物上代位
第3 転貸賃料は原則として対象外である
第4 所有者と同視できる例外
第5 平成15年改正後の条文関係
第6 不履行前に発生した賃料
第7 差押えまでの実務チェック
第8 出典・関連記事

第1 まず三つの当事者と二つの賃料を分ける

転貸借があるときは,少なくとも次の関係を図にする。

抵当不動産の所有者兼原賃貸人
原賃借人兼転貸人
転借人

所有者が原賃借人に対して有する原賃料債権と,原賃借人が転借人に対して有する転貸賃料債権は,債権者も発生原因も異なる。抵当権者がどちらを差し押さえようとしているかを最初に固定する。

第2 所有者の賃料債権への物上代位

民法372条は抵当権に304条を準用し,同条1項ただし書は,払渡し又は引渡し前に差し押さえることを求める。賃料債権への物上代位は,所有者が受ける賃料について抵当権を実行する方法であり,差押命令を得る必要がある。

現行民法371条は,被担保債権について不履行があったとき,抵当権の効力がその後に生じた抵当不動産の果実に及ぶと定める。371条を実体的根拠とみるか,372条が準用する304条を物上代位の実体的根拠とみるかで,不履行前の賃料等の説明が変わり得る。

第3 転貸賃料は原則として対象外である

最高裁平成12年4月14日第二小法廷決定(平成11年(許)第23号・民集54巻4号1552頁)は,抵当権者は,抵当不動産の賃借人を所有者と同視することが相当な場合を除き,賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使できないとした。

原則否定の理由として,賃借人は抵当不動産をもって物的責任を負う所有者ではなく,自己の転貸賃料債権を所有者の被担保債権の弁済に供する立場にないこと,正常な転貸借における転貸人の利益を不当に害し得ること,民法304条1項の「債務者」という文言が挙げられる。

したがって,原賃料が低く転貸賃料が高いという差額だけで,直ちに転貸賃料全額を差し押さえられるとはいえない。

第4 所有者と同視できる例外

前記最高裁決定は,賃借人を所有者と同視することが相当な場合には,例外的に転貸賃料債権への物上代位を認める余地を示した。決定文は,所有者の取得すべき賃料を減少させ,又は抵当権の行使を妨げるため,法人格を濫用し,又は賃貸借を仮装して転貸借関係を作出した場合等を挙げる。

実務上は,次の事情を時系列で確認する。

(続きを読む...)抵当権者は転貸賃料を差し押さえられるか―民法371条・物上代位・最高裁平成12年4月14日決定(AI作成)

AIで証拠説明書を作成・監査する方法―原資料・援用箇所・立証趣旨・頁の四点照合(AI作成)

目次

第1 AIで証拠説明書を作るときの基本方針
第2 原資料・援用箇所・立証趣旨・頁を四点照合する
第3 作成前に証拠台帳を作る
第4 各欄を原資料に基づいて記載する

1 号証
2 標目
3 原本・写し・電磁的記録の区別
4 作成年月日及び作成者
5 立証趣旨

第5 準備書面の援用箇所から逆算する
第6 引用頁を二つの資料で照合する
第7 内部確認表と提出用書面を分ける
第8 完成ファイルを開き直して確認する
第9 提出直前と提出後に確認する
第10 AIを使っても人が判断すべき事項
第11 出典・参考資料

AIは,書証の候補を整理し,証拠説明書の下書きを作り,号証・標目・頁の不一致を探す作業に利用できる。
しかし,提出する書証の採否,立証すべき事実の選択及び完成版の確認は,事件記録と原資料を確認できる人が行う必要がある。

本記事は,AIを利用して民事訴訟の証拠説明書を作成・監査するときの一般的な手順を扱う。
調査の基準日は令和8年9月23日であり,同日に施行されている民事訴訟法及び民事訴訟規則並びに同日までに公表された裁判所資料を確認した。

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同名会社・商号変更がある民事訴訟の当事者確定―自白の撤回・法人格濫用・別訴併合(AI作成)

第1 結論―名称より先に法人そのものを特定する
第2 同名会社・商号変更を見分ける資料
第3 表示の訂正と別法人への請求は異なる
第4 法人格濫用による責任追及
第5 裁判上の自白を撤回できる場合
第6 訴訟中に別法人を追加したい場合
第7 実務チェックリスト
第8 法令・裁判例

第1 結論―名称より先に法人そのものを特定する

同じ商号の会社が複数存在する場合や、契約後に商号・本店・代表者が変わった場合には、現在の商号だけで被告を決めてはならない。訴えを提起する前に、契約時から提訴時までの法人の同一性を、法人番号、会社法人等番号、設立年月日、本店及び商号の履歴によって確認する必要がある。

訴状では、当事者欄だけでなく、請求の趣旨、請求原因、契約日、契約書上の表示、振込先及び履行主体が同じ法人を指すように記載する。名称の誤記を直す場合と、別の法人へ請求相手を変更する場合とでは、手続が異なる。

第2 同名会社・商号変更を見分ける資料

国税庁法人番号公表サイトで確認できる13桁の法人番号は、商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地と法人を照合するために有用である。ただし、訴訟上の代表権や過去の登記履歴を証明するものではない。

株式会社については、現在事項証明書だけで判断せず、必要に応じて履歴事項全部証明書及び閉鎖事項証明書を取得する。12桁の会社法人等番号、設立年月日、組織変更、合併、会社分割、本店移転、商号変更及び代表者の就退任を時系列にする。

登記だけでなく、契約書、注文書、請求書、領収書、振込口座名義、電子メールのドメイン、店舗の占有、ウェブサイト及び顧客向け通知も照合する。事業を行っていた会社と、代金を受領した会社が異なる場合には、その理由を確認する。

第3 表示の訂正と別法人への請求は異なる

民事訴訟法133条2項1号は、訴状に当事者の表示を記載することを求めている。表記の一部に誤りがあっても、訴状全体から当初から意図された法人が一つに定まるときは、表示の訂正として扱う余地がある。

最高裁平成19年3月27日第三小法廷判決は、訴状の原告欄に「中華民国」と表示されていた事件で、訴状の表示のほか、訴訟代理権を授与した者や当事者の主張の経過等の事実も踏まえて、原告として確定されるべき者を国家としての中国とした。このように、当事者の確定では、訴状の表示を出発点としつつ、その記載全体と関係する事実が考慮されることがある。同判決の内容は、光華寮訴訟とは―中国政府の承認,原告の確定及び訴訟手続の中断・受継で整理している。

これと異なり、本人の知らないうちに、偽造の委任状によって訴訟がされる場合もある。大審院昭和10年10月28日判決(昭和7年(オ)第2872号、大審院民事判例集14巻20号1785頁)の判決要旨は、偽造の委任状による訴訟代理人が訴えを提起し、裁判所が本人に対して言い渡した判決が確定したときは、本人は再審の訴えを提起できるとしている。本人が関与しないまま判決が確定した場合の救済は、訴訟行為の追完(民事訴訟法97条)の「追完の期間も過ぎた場合」で整理している。

これに対し、訴状全体が旧会社を被告としており、後から新会社も責任を負うと分かった場合には、単なる商号訂正ではない。別法人を被告とする訴えを提起し、その法人へ訴状を送達して防御の機会を保障する必要がある。

誤った法人について得た判決を、別法人の財産に当然に執行できるわけではない。訴訟開始時に法人の同一性を固定することは、送達、判決の効力及び強制執行の対象を一致させるために重要である。

第4 法人格濫用による責任追及

最高裁昭和48年10月26日第二小法廷判決は、旧会社が債務免脱の意図で企業の形態・内容を実質的に維持した新会社を設立した事案で、法人格の濫用を理由に、新会社が旧会社と別法人であることを債権者に主張できないとした。

この法理は、二つの会社を同一法人として表示訂正するものではない。別法人であることを前提に、設立目的、支配者、事業、従業員、店舗、資産、取引先及び債務処理の連続性から、別法人であることを盾に責任を免れる主張が許されるかを判断するものである。

したがって、訴状では、当事者の確定と法人格濫用の主張を分ける。法人格濫用を主張する場合には、会社間の関係を抽象的に述べるだけでなく、資産移転の時期・対価、営業主体の表示、債権者への説明及び旧会社に残された財産を具体化する。

第5 裁判上の自白を撤回できる場合

民事訴訟法179条により、当事者が裁判所で自白した事実については証明を要しない。答弁書や準備書面で「認める」と述べた事実を、訴訟上不利になったという理由だけで自由に撤回することはできない。

相手方の同意がある場合のほか、自白が真実に反し、かつ錯誤によってされたことを立証した場合などには撤回が問題となる。法人の同一性を誤認して認否したときは、いつ、どの資料によって誤認し、どの登記事項又は取引資料によって反真実が判明したのかを示す。

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判決要旨を弁護士が受け取るには―申出時期,便宜供与,保存及び情報公開(AI作成)

目次
第1 結論
第2 判決要旨の法的位置付け
第3 申出の時期及び申出事項
第4 静岡地裁令和7年11月27日判決
第5 保存及び司法行政文書開示の限界
第6 入手後の使い方
第7 一次資料及び関連記事

第1 結論
1 裁判所が報道機関向けの判決要旨を作成している事件では,民事事件の当事者又は刑事事件の訴訟関係人その他その事件に密接な関係を有する者が,要望により同じ要旨の交付を受けることがあります。
2 ただし,交付は司法行政上の便宜供与であり,報道機関にも当事者等にも,当然の交付請求権があるとは確認できません。作成の有無,交付先,部数,交付時期及び方法は事件ごとに異なります。
3 必要な場合は,判決言渡しの直前ではなく,作成の可能性が分かった段階で,担当部又は総務課に,立場,利用目的,希望部数,希望時期及び個人情報処理の方法を具体的に伝えるのが実務的です。
4 正式な裁判内容は判決書に記載されます。判決要旨は判決書そのものではなく,情報公開手続で後から必ず取得できる資料でもありません。

第2 判決要旨の法的位置付け
1 広報ハンドブック(令和2年3月版)は,報道機関が言渡し後の短時間で正確な記事を作るため,裁判所が要旨又は骨子を提供する便宜供与を説明しています。
2 令和7年度(情)答申第95号は,判決要旨が主として迅速かつ正確な報道のために報道機関へ交付されるものである一方,事件との特別な関係性に照らし,民事事件の当事者又は刑事事件の訴訟関係人等にも,要望を受けて便宜供与として交付されることがあると認定しました。
3 同答申は,報道機関への交付と当事者等への交付が常に連動するわけではないとも説明しています。報道機関に交付されたから当事者等にも当然に交付される,またはその逆であるとは限りません。

第3 申出の時期及び申出事項
1 申出時期
・ 言渡し直前では作成,仮名処理,部数及び裁判体との調整が間に合わないことがあります。著名事件,長時間の判決言渡し又は複雑・長大な判決が予想される場合は,判決期日が指定された後,できるだけ早く相談します。
2 申出先
・ 事件担当部と総務課のどちらが窓口かは庁により異なり得ます。まず担当書記官に,判決要旨の作成予定の有無を断定的に求めるのではなく,交付申出の窓口及び期限を確認するのが安全です。
3 明示する事項
・ 事件番号及び事件名
・ 当事者,代理人,弁護人その他の事件との関係
・ 判決要旨を必要とする理由
・ 希望部数

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刑訴法328条の弾劾証拠と公判前整理手続終了後の証拠請求(AI作成)

目次第1 刑訴法328条の位置付け1 伝聞例外ではなく証明力を争うための規定2 要証事実を先に固定する第2 自己矛盾供述に限られるという最高裁判例1 最高裁平成18年11月7日判決2 第三者の供述で他人の供述を弾劾できない3 厳格な証明が必要である4 一致供述による証明力の回復と単なる増強第3 公判前整理手続終了後の証拠請求1 刑事訴訟法316条の322 弾劾対象となる公判供述が出た後に必要性が生じる場合3 公判供述を予測できた場合の反対方向の検討第4 両条文を組み合わせた検討手順1 刑事訴訟法328条の要件2 刑事訴訟法316条の32の要件第5 弁護実務での準備1 公判前整理手続中2 公判で供述が現れた後第6 証拠等関係カードの読み方第7 関連する山中弁護士ブログの記事第8 出典
第1 刑訴法328条の位置付け
1 伝聞例外ではなく証明力を争うための規定

刑事訴訟法328条は、同法321条から324条までにより証拠とすることができない書面又は供述でも、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには証拠とすることができると定める。
弾劾証拠は、その内容が真実であることを主要事実の証明に用いるものではなく、公判供述の信用性を争う限度で用いる。

2 要証事実を先に固定する

同じ書面でも、記載内容どおりの事実があったことを証明するために用いるのか、供述者が以前は異なる供述をしていたことを示すために用いるのかで、証拠能力の検討が変わる。
証拠請求書、立証趣旨、証拠等関係カード及び尋問内容を照合し、実質的に内容の真実性を証明しようとしていないかを確認する。

第2 自己矛盾供述に限られるという最高裁判例
1 最高裁平成18年11月7日判決

最高裁平成18年11月7日第三小法廷判決(平成17年(あ)第378号、刑集60巻9号561頁)は、刑事訴訟法328条により許容される証拠を、信用性を争われている供述者自身の矛盾供述、すなわち自己矛盾供述を内容とするものに限るとした。
その証明方法も、法が定める要件を満たす供述書、供述録取書、以前の供述を聞いた者の公判供述又はこれらと同視できる証拠による必要がある。

2 第三者の供述で他人の供述を弾劾できない

A証人の公判供述とBの供述が食い違うというだけでは、Bの供述を刑事訴訟法328条によってA証人の弾劾に用いることはできない。
それを許すと、伝聞法則の要件を満たさない第三者供述を内容の真実性に近い形で利用することになり、伝聞法則を潜脱するおそれがある。

3 厳格な証明が必要である

以前の自己矛盾供述が存在したことは証拠によって認定すべき事実であり、自由な証明で足りるという扱いではない。
最高裁平成18年判決の事案では、弁護人が、証人の証言を弾劾するため、消防司令補がその証人から火災発見時の状況を聴き取って記載した「聞込み状況書」の取調べを請求した。
この書面は、聴き取りの相手に読み聞かせて署名押印を求める形式ではなく、実際にも署名押印がなかった。
最高裁は、この書面は供述を録取した書面に当たらず、これと同視し得る事情もないとして、刑事訴訟法328条が許容する証拠に当たらないとした。
弁護人が請求する場合にも、同じ限定がかかることに注意を要する。

4 一致供述による証明力の回復と単なる増強

弾劾された公判供述と一致する以前の供述を、刑事訴訟法328条の「証明力を争う」ための証拠として、証明力の回復に用いることができるかについて、最高裁判所の判例はない(法務省「平成29年司法試験論文式試験出題の趣旨」刑事系科目第2問)。
公判供述が弾劾される前に、一致供述を示して信用性を高めるだけの使い方(いわゆる増強)は、同条の「争う」という文言から離れる。

弾劾された後の回復についても、一致供述が一つ増えれば当然に証明力が回復するわけではない。
矛盾供述の方が例外であり、基本的には一致した供述をしていたことが明らかになるのであれば、証明力の回復を認める方向の理由になり得る。
反対に、公判外の供述の間でも食い違いがあり、その時々で供述を変える者であることがかえって明らかになるのであれば、証明力は回復しないという評価もあり得る。
平成29年司法試験の採点実感も、回復証拠と増強証拠を区別した上で、文言解釈にとどまらず、証明力を回復する証拠となり得るか否かの実質的な理由を示すことを求めている。

一致供述の調書が回復のための証拠として請求された場合、弁護人は、①どの弾劾に対応する証拠か、②その弾劾の理由を具体的に弱めるものか、③作成の時期と経緯、④内容の真実性を証明する証拠として実質的に使われるおそれがないかを確認して、意見を述べることになる。

下級審の裁判例では、東京高裁昭和54年2月7日判決(昭和53年(う)第1322号・判例時報940号138頁、判例タイムズ391号144頁)が、刑事訴訟法328条の弾劾証拠には、弾劾証拠により減殺された供述証拠の証明力を回復するためのものも含まれるとした。

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逮捕に伴う無令状捜索・差押え―逮捕の現場・第三者の身体・連行後の捜索(AI作成)

目次第1 逮捕に伴う無令状捜索・差押えの枠組み1 刑事訴訟法220条2 制度趣旨からの二つの説明第2 第三者の身体・所持品を捜索する場合1 刑事訴訟法102条2項の準用2 身体捜索の方法と相当性3 居合わせた第三者の身体と「必要な処分」第3 逮捕地点から移動して捜索する場合1 最高裁平成8年1月29日決定2 近い場所なら常に適法というわけではない第4 適法性を判断するチェックポイント1 時間的接着性2 場所的接着性と移動の必要性3 対象物との関連性第5 弁護活動で確保すべき資料1 初回接見で確認する事項2 客観資料第6 関連する山中弁護士ブログの記事第7 出典
第1 逮捕に伴う無令状捜索・差押えの枠組み
1 刑事訴訟法220条

刑事訴訟法220条1項2号は、通常逮捕、現行犯逮捕又は緊急逮捕をする場合に必要があるとき、逮捕の現場で差押え、捜索又は検証をすることを認め、同条3項は令状を不要としている。
もっとも、逮捕があれば場所・人・物を無限定に捜索できるわけではない。
逮捕との時間的・場所的な結び付き、対象と押収すべき物との関連性、処分の必要性及び方法の相当性を分けて検討する必要がある。

2 制度趣旨からの二つの説明

逮捕の現場には証拠物が存在する蓋然性が一般に高いとする説明と、逮捕者の安全確保や逃亡・証拠隠滅の防止という緊急の必要性を重視する説明がある。
具体的事案では、いずれかの標語だけで結論を出さず、捜索対象、距離、時間、移動理由、代替手段及び危険性を事実に即して評価する。

第2 第三者の身体・所持品を捜索する場合
1 刑事訴訟法102条2項の準用

刑事訴訟法222条1項は、逮捕に伴う捜索について同法102条を準用する。
同法102条2項は、被告人以外の者の身体、物又は住居その他の場所について、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況がある場合に限って捜索できると定める。
被疑者の隣にいただけ、同じ車に乗っていただけという抽象的な関係では足りず、対象者が証拠物を受け取った、隠した、保持していると疑わせる具体的状況を検討する必要がある。

2 身体捜索の方法と相当性

衣服の外側からの確認、ポケット内の確認、衣服を脱がせる処分では、権利侵害の程度が異なる。
押収すべき物の種類・大きさ、対象者の行動、場所の公開性、同性の捜査官の有無、遮蔽の有無、より侵害の小さい方法で目的を達成できたかを記録する。

3 居合わせた第三者の身体と「必要な処分」

逮捕に伴う無令状の捜索が許される根拠を、逮捕の現場や被逮捕者の身体・所持品に証拠が存在する蓋然性が類型的に高いことに求めると、たまたま現場に居合わせた第三者が逮捕事実に関連する証拠を持っている蓋然性は、類型的に高いとはいえない。
そこで、居合わせた第三者の身体は逮捕に伴う捜索の対象にならないとする考え方(消極説)がある。
この考え方でも、場所の捜索の実施中又はその開始の直前に、居合わせた者が捜索・差押えの目的物を身体や衣服に隠した疑いが十分に認められるときは、場所に対する捜索に付随する「必要な処分」(刑事訴訟法222条1項が準用する同法111条1項前段)として、その妨害を排除し、目的物を取り戻す限度で身体に有形力を加えることができるかが問題となる。

他方、刑事訴訟法220条1項2号は捜索の対象を文言上限定しておらず、同法222条1項は被疑者以外の者の身体を除外することなく同法102条2項を準用しているとして、居合わせた第三者の身体の捜索も許され得るとする考え方(積極説)もある。
この考え方では、前記1の「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」が要件となる。
令和7年司法試験刑事系科目第2問では、逮捕の現場に居合わせた被疑者の交際相手の上着のポケットに捜査官が手を入れて中の物を取り出した事実が置かれ、法務省の出題の趣旨及び採点実感は、いずれの考え方を採るにしても、逮捕に伴う捜索が認められる趣旨と矛盾しない論述を求めている。

第3 逮捕地点から移動して捜索する場合
1 最高裁平成8年1月29日決定

最高裁平成8年1月29日第三小法廷決定(平成5年(あ)第518号、刑集50巻1号1頁)は、逮捕現場で直ちに身体を捜索することが、被逮捕者の名誉を害し、抵抗による混乱を生じ、又は交通を妨げるおそれがあるなど不適当な場合に、速やかに、その場から最も近い適当な場所へ連行して実施する捜索を「逮捕の現場」での捜索と同視できる場合があるとした。
同決定の事案では、警察署までの距離、移動時間、被逮捕者の抵抗、現場の交通上の危険等が具体的に考慮された。

2 近い場所なら常に適法というわけではない

重要なのは移動距離だけではなく、現場で実施しなかった理由、途中により近く適切な場所がなかったか、移動後直ちに捜索したかである。

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民事訴訟の証明妨害―証拠廃棄・民訴法224条・信義則・事実認定(AI作成)

目次第1 証明妨害の意味と検討順序1 証明妨害とは2 自動的な立証責任転換ではない第2 民事訴訟法224条による処理1 文書提出命令に従わない場合2 相手方の使用を妨げる目的で文書を失わせた場合第3 民事訴訟法224条の外側にある証明妨害1 訴訟上の信義則を基礎とする考え方2 主観面は具体的事実から認定する第4 証明妨害の効果1 複数の処理を区別する2 他の証拠との総合評価第5 裁判例から見た考慮要素1 名古屋高裁金沢支部昭和51年6月16日判決2 令和7年司法試験の事例が示す着眼点第6 訴訟実務のチェックリスト1 証拠を失わせた側を追及する場合2 証拠を失わせたと主張された側の対応第7 関連する山中弁護士ブログの記事第8 出典
第1 証明妨害の意味と検討順序
1 証明妨害とは

証明妨害とは、訴訟当事者が証拠を破棄し、隠匿し、改変し、又は提出を拒むことによって、相手方の証明を不可能又は著しく困難にする行為をいう。
民事訴訟法には文書提出命令違反等について明文の効果があるが、証明妨害の問題は同法224条だけでは尽くされない。
まず同条が直接適用されるかを検討し、直接適用されない場合に民事訴訟法2条の訴訟上の信義則を基礎とする評価が可能かを検討するのが分かりやすい。

2 自動的な立証責任転換ではない

証明妨害が認められても、常に立証責任が転換し、又は相手方の主張が当然に真実となるわけではない。
問題となる証拠の重要性、代替証拠の有無、妨害行為の時期・態様、行為者の認識、他の証拠との整合性を踏まえて、どの程度の不利益な評価をするかを具体的に論じる必要がある。

第2 民事訴訟法224条による処理
1 文書提出命令に従わない場合

民事訴訟法224条1項は、当事者が文書提出命令に従わないとき、裁判所が当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができると定める。
同条3項は、相手方が文書の記載について具体的な主張をし、かつ、その文書によって証明すべき事実を他の証拠で証明することが著しく困難な場合には、その事実に関する相手方の主張まで真実と認めることができるとする。

2 相手方の使用を妨げる目的で文書を失わせた場合

同条2項は、当事者が相手方の使用を妨げる目的で、提出義務のある文書を滅失させるなど使用不能にした場合にも1項と同じ効果を認める。
したがって、提出義務、使用妨害目的、文書の滅失又は使用不能化を区別して事実を主張する必要がある。
単に保管ミスや廃棄があったというだけでは、同項の要件を当然に満たさない。

第3 民事訴訟法224条の外側にある証明妨害
1 訴訟上の信義則を基礎とする考え方

民事訴訟法2条は、当事者に対し、信義に従い誠実に民事訴訟を追行する義務を課している。
提出義務のある文書に当たらない場合や、使用妨害目的を直接認定しにくい場合でも、証拠の収集・提出を不可能又は困難にした行為を訴訟上の信義則に反する証明妨害として評価し、事実認定に反映させる考え方がある。
令和7年司法試験民事系科目第3問の出題の趣旨及び採点実感は、この法理について、客観的に相手方の立証を困難にする行為と、行為者の主観的な認識又は予見可能性を検討させている。

なぜ信義則違反と評価できるのかについて、同年の採点実感は、一例として、「妨害行為によって証明困難な状況に置かれたにもかかわらず、証明責任の法理等の適用によりそのような状況に置かれた者が不利益を受け、妨害者が利益を得るのは不公平・不公正であり、このような事態を容認することは信義に従った訴訟追行を求める民事訴訟法第2条の趣旨に沿わない」という説明を挙げている。
評価を基礎付ける要素としては、妨害行為によって相手方を証明困難な状況にしたという客観的な要素と、行為者がそのような結果を認識し又は認識し得たという主観的な要素(故意又は重過失)の双方を挙げる必要がある。
また、証明妨害は文書に限られず、物や電子データを含む証拠一般について問題となり、採点実感も、民事訴訟法224条2項に引きずられて文書の場合に限定した答案が散見されたと指摘している。

2 主観面は具体的事実から認定する

証拠廃棄の時点で紛争が既に顕在化していたか、相手方が証拠の保存又は開示を求めていたか、当該証拠が争点判断に重要であると認識できたかを確認する。
保存期間、通常の廃棄運用、廃棄指示の経緯、バックアップの有無も、故意、過失又は予見可能性を判断する重要な資料となる。

第4 証明妨害の効果
1 複数の処理を区別する

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裁判所・法廷で写真撮影,録音又は録画はできるか(AI作成)

目次

第1 結論
第2 場所と立場を分けて考える
第3 裁判所の敷地・庁舎内
第4 民事訴訟の期日
第5 刑事事件の公判廷
第6 報道機関の法廷内カメラ取材
第7 法廷内撮影に関する最高裁判例
第8 肖像・プライバシーは別に確認する
第9 撮影等を希望するときの確認事項
第10 一次資料及び関連記事

第1 結論
1 裁判所で写真撮影,録音又は録画ができるかは,①敷地・玄関・廊下等の庁舎共用部か,②民事訴訟の期日か,③刑事事件の公判廷かをまず分けて考える必要があります。
2 一般来庁者については,各裁判所の案内により,敷地又は庁舎内での写真撮影・録音等が禁止されていることがあります。東京地方裁判所は前庭を含む敷地内で撮影・録音等はできないと案内し,横浜地方裁判所も法廷内に限らず裁判所内での撮影・録音を一切禁止すると案内しています。
3 民事訴訟の期日における撮影,速記,録音,録画又は放送には,民事訴訟規則77条により裁判長等の許可が必要です。刑事事件の公判廷における撮影,録音又は放送には,刑事訴訟規則215条により裁判所の許可が必要です。
4 報道機関の冒頭カメラ撮影は,一般傍聴人が自由に撮影できることの根拠ではありません。代表取材,撮影時間,機材,位置及び対象等の条件の下で,各裁判体が許否を判断する別の運用です。

第2 場所と立場を分けて考える
1 同じ「裁判所での撮影」でも,適用される根拠及び判断主体は同じではありません。
2 敷地,玄関,廊下,待合スペースその他の庁舎共用部では,庁舎管理権者による施設管理と各庁の案内・個別運用が中心となります。
3 民事訴訟の期日及び刑事事件の公判廷では,庁舎管理に加えて,訴訟規則と裁判長又は裁判所の手続運営上の判断が問題となります。
4 報道機関向けの運用基準は,司法行政上の取材対応を整える資料です。当事者,代理人,傍聴人その他の一般来庁者に同一の撮影機会を与えるものではありません。

第3 裁判所の敷地・庁舎内
1 裁判所の庁舎等の管理に関する規程は,裁判所の用に供する建物,土地及び附帯施設を「庁舎等」とし,その管理の仕組みを定めています。撮影への対応は,執務への支障,一般来庁者のプライバシー,裁判所の中立性・公平性,撮影目的及び当該庁の運用等を踏まえて判断されます。
2 東京地方裁判所の「個人での裁判傍聴」は,法廷だけでなく,庁舎内廊下及び庁舎外の前庭を含む裁判所敷地内では写真撮影・録音等はできないと案内しています。横浜地方裁判所の「傍聴のルール」も,法廷内に限らず裁判所内での写真撮影・録音は一切禁止と案内しています。

(続きを読む...)裁判所・法廷で写真撮影,録音又は録画はできるか(AI作成)

行政庁の勧告・指示・公表に対する争い方―処分性,差止め,執行停止及び重大な損害(AI作成)

目次

第1 結論
第2 最初に行為の連鎖を特定する
第3 勧告・指示・公表の処分性
第4 最高裁平成17年7月15日判決―病院開設中止勧告
第5 取消訴訟・差止め・執行停止の選択
第6 最高裁平成24年2月9日判決―「重大な損害を生ずるおそれ」
第7 公表が予定される場合の時間軸

1 法人自身の重大な損害を具体化する

第8 本案の主張―要件解釈と裁量審査を分ける
第9 受任直後の確認事項
第10 令和7年司法試験から得られる学び
第11 調査範囲と留保
第12 関連記事
第13 出典

第1 結論

行政庁から「勧告」「指導」「指示」又は「公表」と呼ばれる行為を受けても,名称だけで抗告訴訟の対象となる処分かどうかは決まらない。
根拠法令・条例の仕組み,当該行為が生じさせる具体的な法的効果,後続行為との結び付き及び後の段階で救済を受けられるかを確認する必要がある。

また,勧告,指示及び公表が段階的に予定されているときは,それぞれを別の行為として分析する。
勧告に処分性がなくても,指示に義務を課す法的効果があり,不服従に対する公表が制度上予定されているなら,指示の処分性が認められる可能性がある。
反対に,社会的・経済的な圧力が強いだけでは,直ちに処分性が認められるわけではない。

救済手段も時間軸で変わる。
処分前なら差止め,処分後なら取消訴訟と執行停止が中心となるが,「処分が出た後でも公表前に執行停止を得られるか」が差止めの必要性を左右する。

第2 最初に行為の連鎖を特定する

受任直後は,行政庁の文書名よりも,次の連鎖を図にすることが有用である。

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民事訴訟における法的観点指摘義務―弁論主義・釈明権・事実主張を促すこととの違い(AI作成)

目次

第1 結論
第2 弁論主義・釈明権・法的観点指摘義務の区別
第3 最高裁昭和55年2月7日判決―主張のない主要事実を認定できない場合
第4 最高裁平成22年10月14日判決―不意打ちとなる法的構成を採用する場合
第5 法的観点を指摘すべき必要性が高まる事情
第6 事実主張を促すこととの違い
第7 代理人がとるべき実務対応
第8 令和7年司法試験から得られる学び
第9 確認用チェックリスト
第10 調査範囲と留保
第11 関連記事
第12 出典

第1 結論

民事訴訟では,裁判所が当事者の主張していない主要事実を判決の基礎にすることと,当事者が主張した事実に別の法的評価を与えることは,同じ問題ではない。

前者は弁論主義の第一原則との関係で問題となる。
後者は,法律の適用が原則として裁判所の職責に属するとしても,当事者にとって予測できない法的構成によって結論を出すなら,反論・反証の機会を実質的に保障するために,裁判所がその法的観点を指摘すべき場合がある。

もっとも,「法的観点指摘義務」は,裁判所が当事者に代わって請求原因や抗弁の事実を作る義務ではない。
事実の提出主体と法律評価の主体を分け,さらに,訴訟の経過から本当に不意打ちとなるかを具体的に検討する必要がある。

第2 弁論主義・釈明権・法的観点指摘義務の区別

民事訴訟法149条1項は,裁判長が訴訟関係を明瞭にするため,事実上及び法律上の事項について当事者に問いを発し,又は立証を促すことができると定めている。
これが釈明権である。

これに対し,弁論主義の第一原則(主張原則)は,裁判所が当事者の主張していない主要事実を判決の基礎にしてはならないという原則である。
条文に同じ表現の規定があるわけではなく,民事訴訟の基本原則として判例・学説上認められている。

また,民事訴訟法246条は,裁判所が当事者の申し立てていない事項について判決できないと定める。
これは処分権主義に関する規定であり,請求の範囲の問題である。
主要事実の提出に関する弁論主義とは区別しなければならない。

法的観点指摘義務は,当事者が提出した事実に裁判所が予想外の法律構成を与えようとする場面で,釈明権の適切な行使や当事者の弁論権の実質的保障が問題となるものである。
名称だけを暗記するより,①誰が提出すべき事実か,②どの法的構成が審理の対象になっていたか,③反論・反証の機会が与えられたかを分けて考える方が実務的である。

第3 最高裁昭和55年2月7日判決―主張のない主要事実を認定できない場合

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任意的訴訟担当とは―最高裁大法廷昭和45年11月11日判決と共同事業・多数債権者の訴え(AI作成)

第1 任意的訴訟担当とは第2 最高裁大法廷昭和45年11月11日判決第3 認められるための三つの確認第4 共同事業・共有者・多数債権者での使い分け第5 訴訟代理との違いと実務資料第6 出典・参考資料
第1 任意的訴訟担当とは

任意的訴訟担当とは,権利義務の主体ではない者が,本人から訴訟追行権の授与を受け,自己の名で本人の権利について訴訟を追行する仕組みである。
訴訟代理人は本人の名で訴訟行為をするのに対し,訴訟担当者は自らが当事者となる点が異なる。

民事訴訟法には任意的訴訟担当を一般的に認める明文規定はない。
しかも,同法54条1項本文は地方裁判所以上の訴訟代理人を原則として弁護士に限り,信託法10条は訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託を禁止している。
そのため,本人が自由に第三者を「名目上の原告」にできるわけではない。

第2 最高裁大法廷昭和45年11月11日判決

最高裁大法廷昭和45年11月11日判決(昭和42年(オ)第1032号,民集24巻12号1854頁,判例秘書L02510245)は,民法上の組合の業務執行組合員が,他の組合員から訴訟追行権を授与されて組合財産に関する給付訴訟を追行できるかを扱った。

判決は,弁護士代理の原則又は訴訟信託禁止の趣旨を回避・潜脱するおそれがなく,かつ,任意的訴訟担当を認める合理的必要性がある場合には,許容されることがあるとした。
その上で,業務執行組合員が組合財産について実体法上の管理権・対外的業務執行権を有し,訴訟追行権も授与されていた事案で原告適格を認めた。

この判例の意味は,「授権があれば足りる」とした点にはない。
実体法上の地位,訴訟をまとめて追行する必要性,弁護士代理原則等を潜脱しないことを組み合わせて判断した点にある。

第3 認められるための三つの確認

検討順序では,まず本人から訴訟追行権を授与されたかという前提要件を確認し,次に,授権があっても任意的訴訟担当を許容できるかを判断する。授権の存否と,非潜脱要件・合理的必要性を満たすかは別の問題であり,「委任状があるから適法」とはならない。

第1に,権利主体から訴訟追行権が授与されている必要がある。
対象となる権利,請求,相手方及び審級を特定した授権書を作成し,担当者が和解・請求放棄・控訴等をどこまで行えるかも明らかにする。

第2に,担当者の実体法上の地位と訴訟追行の必要性を確認する。
共同事業の業務執行者,債券管理者など,権利の管理や回収を継続的に担う者であることは重要な事情になる。
単に本人より訴訟に詳しい,本人が出廷を面倒に感じるというだけでは足りない。

第3に,弁護士代理原則又は訴訟信託禁止の潜脱にならないことを確認する。
訴訟だけを目的に権利者と無関係の者を当事者に据えること,報酬目的で多数の他人の請求を集めること,本人と担当者の利益相反を放置することは,否定方向の事情となる。

第4 共同事業・共有者・多数債権者での使い分け

共同事業では,組合契約,業務執行者の選任,財産管理権及び対外的権限を確認する。
最高裁判決は民法上の組合の業務執行組合員を扱ったものであり,名称だけが「代表者」である者に当然に原告適格を認めたものではない。

共有物に関する訴えでは,保存行為として各共有者が単独で行える請求,共有者全員でなければならない請求,代表者による任意的訴訟担当を検討する請求を分ける。
まず実体法上,誰が請求権を行使できるかを確認すべきであり,任意的訴訟担当を最初から万能な解決策として用いない。

多数の債権者については,最高裁第一小法廷平成28年6月2日判決(平成26年(受)第949号)が,ソブリン債の管理会社について,債券保有者からの授権,債券の性質,管理会社の規制・監督,公平誠実義務及び善管注意義務等を踏まえて任意的訴訟担当を認めた。
多数人の権利行使が事実上困難で,適切な管理主体に集約する制度的必要があることが重視されている。

合理的必要性は,任意的訴訟担当を使わない場合と比較して判断する。各権利者が個別に提訴できるか,民事訴訟法30条の選定当事者を利用できるか,全員が弁護士へ委任すれば足りるか,人数・地域・費用・管理権限・利益相反の点で集約する必要があるかを比較する。権利者が数名にすぎず,一人の提訴でも目的を達成できる場合は,合理的必要性を弱める事情になり得る。

第5 訴訟代理との違いと実務資料

任意的訴訟担当が成立すると,担当者が当事者となり,判決の効力は民事訴訟法115条1項2号により担当された本人にも及ぶ。
誰が費用を負担し,和解内容を誰が承認し,回収金をどう分配するかを内部契約で定めておく必要がある。

実務では,①本人と担当者の関係を示す契約書・規約,②実体法上の管理権限を示す資料,③訴訟追行権授与書,④合理的必要性を示す人数・地域・管理実態,⑤利益相反を管理する条項を揃える。
これらが欠けると,本案に入る前に当事者適格を争われ,訴えを却下される危険がある。

令和6年司法試験公式資料による補足:授権と許容要件の区別,個別提訴・選定当事者・弁護士委任との比較及び合理的必要性に関する補足は,第3問設問1の公式整理に基づく。
民事系科目の論文式試験問題,論文式試験出題の趣旨(民事系科目)及び採点実感(民事系科目)(法務省)を確認した。

第6 出典・参考資料

①民事訴訟法54条,115条(e-Gov法令検索)
②信託法10条(e-Gov法令検索)
③最高裁大法廷昭和45年11月11日判決(昭和42年(オ)第1032号,民集24巻12号1854頁,判例秘書L02510245。
裁判所ウェブサイトで判決本文の直接掲載を確認できなかった。
)
④最高裁第一小法廷平成28年6月2日判決(平成26年(受)第949号,民集70巻5号1157頁,裁判所ウェブサイト)

別件判決・先行訴訟の準備書面は後訴でどう使われるか――既判力,裁判上の自白,証拠価値及び証拠説明書

目次第1 判決主文と判決理由中の認定の違い第2 理由中の判断に既判力が生じる範囲と相殺の例外第3 別件判決が後訴で証拠として持つ意味第4 先行訴訟の準備書面・上申書・陳述書の扱い第5 「その主張をした事実」と「主張内容が真実であること」の区別第6 裁判上の自白と単なる不利益陳述の区別第7 後訴で引用する前に確認する記録第8 証拠説明書の立証趣旨の記載例第9 先行主張と現在の主張が異なる場合の説明方法第10 まとめ第11 出典・関連記事

別件判決又は先行訴訟の準備書面を現在の訴訟で使うときは,①確定判決の主文に生じる既判力,②先行訴訟でされた主張又は判断という訴訟経過,③記載内容が真実かという証拠評価,④現在の訴訟における裁判上の自白を区別する必要がある。本記事では,判決書,準備書面,上申書及び陳述書を後訴で利用する前に確認すべき記録と,証拠説明書の立証趣旨の書き方を整理する。

第1 判決主文と判決理由中の認定の違い

判決書は,主文と理由から成る。主文は,当事者の請求について,認容,棄却又は訴えの却下等の結論を示す部分である。理由は,その結論に至った事実認定及び法律判断を示す。

民事訴訟法114条1項は,「確定判決は,主文に包含するものに限り,既判力を有する。」と定めている。したがって,前訴判決の理由中にある個々の事実認定又は法律判断が,その記載だけで一律に後訴を拘束するわけではない。

もっとも,どの権利又は法律関係について判断されたかを確定するには,主文だけでなく,請求の趣旨,請求原因及び判決理由を読み,前訴の訴訟物と基準時を特定する必要がある。「理由に書いてあるから既判力がない」と短絡することも,「前の判決が認定したから後の裁判所も従う」と短絡することもできない。

判決理由だけを不服として控訴できるかという別の問題は,全部勝訴した当事者に民事控訴の利益はあるか――判決理由だけを争える場合と争えない場合で説明している。

第2 理由中の判断に既判力が生じる範囲と相殺の例外

既判力が生じるのは,原則として,前訴の口頭弁論終結時を基準として主文に包含された訴訟物についての判断である。後訴が前訴と同じ訴訟物を対象とするとき,又は前訴の判断を先決関係として覆すことになるときは,既判力との抵触を検討する。

判決理由中の判断については,民事訴訟法114条2項が明文の例外を置いている。同項は,「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は,相殺をもって対抗した額について既判力を有する。」と定めている。

例えば,被告が反対債権を自働債権として相殺を主張し,裁判所がその成立又は不成立を判断した場合は,相殺に供された額の範囲で,その理由中判断にも既判力が生じる。相殺の抗弁に関する整理は,相殺の抗弁に関するメモ書きで説明している。

このほか,既判力の範囲外であっても,前訴で十分に争われた事項を後訴で蒸し返すことが信義則に反すると評価される場合がある。これは114条の既判力そのものとは別の問題であるため,前訴と後訴の当事者,請求,争点,審理の程度及び訴訟経過を個別に確認する。

前訴基準時前に存在した事由は,原則として後訴での主張を遮断される。もっとも,遮断効の実質的根拠を,前訴で十分な主張立証の機会を与えられながら行使しなかった自己責任に求め,前訴での主張立証がおよそ期待できなかった事実には遮断効が及ばないとする「期待可能性説」がある。

この説には,①既判力による法的安定と勝訴者の地位を害する,②民事訴訟法338条1項5号は刑事罰を科される他人の行為で主張立証を妨げられた場合にも再審制度で処理しており,単なる期待可能性欠如で既判力を縮小すると境界が曖昧になる,③後訴裁判所の審理負担が重くなるとの批判がある。採用する場合も,「知らなかった」「思い付かなかった」だけで例外とせず,資料へのアクセス,前訴の争点・進行,主張を妨げた事情及び相手方の信頼を具体的に検討する必要がある。

また,基準時後に形成権を行使したという形式だけで,基準時前から存在した解除原因等を当然に後訴へ持ち込めるとは限らない。形成権行使の時期と,その基礎となる事由が基準時前後のいずれに存在したかを分け,期待可能性説,制度的効力説及び信義則を相互に混同しない。

既判力が及ぶ人の範囲も限られる。確定判決は,当事者,当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人,口頭弁論終結後の承継人等に対して効力を有する(民事訴訟法115条1項)。同じ原告から訴えられた共同被告どうしの間には,当然には既判力は生じない。前訴の共同被告の一方が他方へ求償や損害賠償を請求する後訴で,前訴判決の理由中の認定を既判力によって持ち込むことはできないのが出発点である。

これとは別に,補助参加人に対する裁判の効力(民事訴訟法46条)がある。訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合も,参加することができた時に参加したものとみなされる(同法53条4項)。最高裁昭和45年10月22日判決は,この効力は既判力ではなく,判決の確定後補助参加人が被参加人に対してその判決が不当であると主張することを禁ずる効力であり,判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断にも及ぶとした。最高裁平成14年1月22日判決は,その理由中の判断を,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などに限り,訴訟告知を受けたが参加しなかった者に効力が及ぶのは,その者が訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られるとした。

したがって,前訴で敗訴した場合に第三者へ求償又は損害賠償を請求する見込みがあるときは,前訴の係属中にその第三者へ訴訟告知をしておくことが,後訴で前訴の判断を争わせないための基本的な手段となる。自分が相手方の訴訟に補助参加しても,それは参加した自分の側が判断を争えなくなる関係であり,自分が求償しようとする相手を拘束する手段にはならない。効力の向きは,「誰が誰に対して,前訴のどの判断を援用するか」で確認する。訴訟告知の方式,効力の範囲及び告知を検討する場面は,訴訟告知の使い方―参加的効力の範囲,告知の方式と敗訴後の求償・損害賠償への備えで整理している。公証人の補助参加を例にした説明は,遺言無効確認請求訴訟における公証人の証言の取扱い及び公証人の補助参加でも扱っている。

第3 別件判決が後訴で証拠として持つ意味

別件判決の理由中の認定に既判力がない場合でも,判決書を後訴で書証として提出することはできる。後訴の裁判所は,民事訴訟法247条により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して,自由な心証により事実を判断する。

別件判決書から直接分かるのは,まず,別の裁判所が,特定の当事者及び請求について,記載された主文及び理由の判断をしたという事実である。判決が確定していれば,確定した主文の範囲では既判力の問題が加わる。未確定判決であれば,その時点の判決が存在することは示せても,確定判決としての既判力は生じていない。

他方,判決理由に認定された基礎事実が後訴でも真実であるかは,別の問題である。前訴で用いられた証拠,争点,認否,反対尋問の有無及び当事者の範囲が後訴と異なることがある。後訴の裁判所は別件判決書の証拠価値を評価するが,理由中認定だけを切り出して現在の争点が当然に証明されたものとして扱うべきではない。

特に,別件判決が一方当事者の準備書面又は陳述書を引用している場合は,その文書が実際に提出又は取調べされたのか,単に当事者の主張として摘示されたのかを,前訴記録で区別する。

第4 先行訴訟の準備書面・上申書・陳述書の扱い

準備書面は,当事者の主張又は認否を記載する書面である。上申書は,用途が一定せず,進行に関する連絡,事情説明又は実質的な主張を含むことがある。陳述書は,作成者の体験又は認識を供述内容として記載し,書証として提出されることが多い。

前訴の準備書面又は上申書を後訴で利用するときは,前訴でその書面が提出され,期日においてどのように扱われたかを確認する。裁判所へ送ったファイルが手元にあることと,正式に提出され,主張として陳述され,又は証拠として取り調べられたことは同じではない。

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全国の地方裁判所支部における本庁集約と開廷頻度―合議・裁判員・労働審判・民事執行の比較(AI作成)

目次第1 結論1 支部があることと事件をその支部で扱うことは別である2 全国比較の要点第2 調査対象と数え方1 確認した一次資料2 判例秘書等の検索範囲第3 行政事件・合議事件・裁判員裁判・労働審判の集約1 行政事件は地裁支部で取り扱わない2 合議事件を取り扱う支部は63支部である3 裁判員裁判対象事件を取り扱う支部は10支部である4 労働審判を取り扱う支部は5支部である第4 民事執行は手続ごとに提出先が異なる1 四つの主要手続を分ける2 本庁へ集約する例3 近隣の拠点支部へ集約する例第5 全国203支部の公表開廷日割1 176支部に少なくとも一つの「毎週」表示がある2 月1回等が明示される支部3 「随時」は低頻度の証明ではない第6 公表日割から分からないこと1 担当裁判官一覧は実際の開廷表ではない2 事件数・処理速度・常駐状況は推測できない第7 弁護士が申立前に確認すべき事項1 提出先確認の順序2 期日・移動負担の確認第8 確認済み事項・推論・未確認事項1 確認済み事項2 集計者による整理3 未確認事項第9 出典・参考資料1 法令・裁判所の全国資料2 開廷日割・提出先の例
第1 結論
1 支部があることと事件をその支部で扱うことは別である

地方裁判所には50の本庁と203の支部がある。しかし,住所地がある支部の管轄区域に含まれていても,すべての事件をその支部で取り扱うわけではない。
令和8年9月22日現在の裁判所の公開一次資料を比較すると,行政事件は地裁本庁に,労働審判は50本庁と5支部に,裁判員裁判対象事件は50本庁と10支部に集約されている。合議事件を取り扱う支部も63支部に限られ,140支部では取り扱わない。

民事執行はさらに複雑である。不動産競売,債権執行,財産開示,第三者からの情報取得という手続ごとに提出先が異なり,本庁へ集約する地域もあれば,近隣の拠点支部へ集約する地域もある。
したがって,申立て前には,①法令上の土地管轄,②本庁・支部間の事務分配,③事件類型ごとの提出先及び④個別事件の担当部を順に確認する必要がある。

2 全国比較の要点
比較項目本庁・支部の取扱い実務上の確認点行政事件確認した47都道府県分の公式提出先表では本庁のみ支部管内の住所であっても本庁へ提出する合議事件203支部中63支部で取扱い単独事件を扱う支部でも合議事件を扱うとは限らない裁判員裁判10支部で取扱い取扱支部が近隣支部管内の対象事件も扱う場合がある労働審判5支部で取扱い通常訴訟の提出先と労働審判の提出先が異なり得る民事執行地域・手続ごとに異なる「執行事件」と一括せず手続名ごとに確認する開廷日割203支部中176支部に少なくとも一つの「毎週」表示公表日割は実際の開廷件数又は処理期間ではない
第2 調査対象と数え方
1 確認した一次資料

本記事は,裁判所データブック2026,裁判所ウェブサイトの都道府県別「申立書提出先一覧」47資料及び全国50地裁の担当裁判官・開廷日割ページを確認して作成した。
担当裁判官ページからは203支部について民事,刑事,執行その他の係別表示735行を抽出し,「毎週」,月数回,隔週,随時その他の表示を比較した。

この集計の単位は事件数ではなく,裁判所が公表した係別の日割表示である。同じ支部でも民事係は毎週,刑事係は月数回ということがあり得るため,支部名だけでなく係別行を確認した。

2 判例秘書等の検索範囲

本記事の全国比較は,裁判所の組織,事務分配,提出先及び公表日割を対象とし,裁判所の公開一次資料に基づく。
今回,判例秘書その他の有料判例データベースは検索していない。そのため,本庁・支部間の回付,管轄又は事務分配に関する裁判例の不存在や網羅性を主張するものではない。

本庁と支部の法的関係及び回付に関する裁判例は,地方裁判所支部及び家庭裁判所支部(AIリライト)で別に整理している。

第3 行政事件・合議事件・裁判員裁判・労働審判の集約
1 行政事件は地裁支部で取り扱わない

地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則1条2項は,地方裁判所の支部では上訴事件及び行政事件訴訟に係る事件に関する事務を除き,地方裁判所の権限に属する事務を取り扱うと定める。
裁判所の47都道府県分の申立書提出先一覧も,行政事件について本庁へ提出すると表示している。

これは,行政事件に法定管轄がないという意味ではない。法令により管轄する地方裁判所を定めた上で,その地方裁判所の本庁が事件を取り扱うという関係である。

2 合議事件を取り扱う支部は63支部である

裁判所データブック2026によれば,合議事件を取り扱う地方裁判所支部は203支部中63支部であり,残る140支部では合議事件を取り扱わない。
支部に裁判官が1人勤務していること又は単独事件の開廷日が毎週表示されていることから,合議事件もその支部で扱うと推測することはできない。

反対に,常駐裁判官だけでは合議体を構成できない支部でも,本庁等から裁判官が出張して合議事件を取り扱う場合がある。取扱いの有無は,裁判官数だけでなく各地裁の現在の事務分配を確認すべきである。

3 裁判員裁判対象事件を取り扱う支部は10支部である

裁判員裁判対象事件を取り扱う支部は,東京地裁立川支部,横浜地裁小田原支部,静岡地裁沼津支部,同浜松支部,長野地裁松本支部,大阪地裁堺支部,神戸地裁姫路支部,名古屋地裁岡崎支部,福島地裁郡山支部及び福岡地裁小倉支部の10支部である。

取扱支部は自らの通常の管轄区域だけを担当するとは限らない。例えば,別の支部管内の裁判員裁判対象事件が取扱支部へ集約されることがあるため,刑事事件でも通常事件の事務分配と裁判員裁判の事務分配を分けて確認する必要がある。

(続きを読む...)全国の地方裁判所支部における本庁集約と開廷頻度―合議・裁判員・労働審判・民事執行の比較(AI作成)

地方裁判所支部の司法アクセス―稚内支部を例に,管轄・本庁集約・開廷頻度及び利用前の確認事項(AI作成)

目次第1 地方裁判所の「支部がある」だけでは取扱いは分からない1 この記事の対象と基準日2 確認すべき五つの層第2 支部の法的な位置付けと事件配点1 裁判所法31条は地方裁判所支部の設置を予定している2 管轄区域と事件配点を区別する第3 稚内支部の管轄と窓口1 稚内市等と天塩郡では家裁出張所等の表示が異なる2 稚内支部・家裁支部・簡裁の窓口は同じ電話番号で案内されている第4 本庁へ集約される事件1 一部の民事執行事件は旭川地裁本庁が取り扱う2 合議事件と少年事件も旭川と表示されている第5 担当裁判官と開廷頻度1 稚内支部の公表日割は月1回の連続開廷である2 開廷日割から個別事件の処理期間は計算できない第6 提出・保管金・期日参加で確認する事項1 保管金の取扱いも本庁と支部に分かれる2 オンライン参加は個別事件の指定を確認する第7 利用前の確認チェックリスト1 申立て前に確認する事項2 確認できない事項の扱い第8 出典・参考資料1 法令2 裁判所の公開資料
第1 地方裁判所の「支部がある」だけでは取扱いは分からない
1 この記事の対象と基準日

この記事は,令和8年9月22日現在の裁判所ウェブサイト及び裁判所法に基づき,地方裁判所の支部を利用するときに確認すべき事項を,旭川地方・家庭裁判所稚内支部を例に整理するものである。
ここでいう「司法アクセス」は,憲法上又は国際人権法上の法的評価を示す用語ではなく,利用者が裁判所へ事件を持ち込み,提出し,期日に参加し,保管金等を処理するまでの実務上の利用可能性を表す整理用語として用いる。

地方裁判所支部の機能は,①庁舎が存在すること,②その地域が支部の管轄に属すること,③当該事件類型を支部で取り扱うこと,④裁判官が常駐又は定期的に開廷すること及び⑤提出・納付・還付等を支部で完結できることに分けて確認する必要がある。
支部の所在地だけを確認しても,合議事件,少年事件,民事執行事件その他の事件が本庁へ集約されている場合があるためである。

2 確認すべき五つの層

支部を利用する前には,少なくとも次の五つの層を別々に確認する必要がある。
①組織:地方裁判所支部,家庭裁判所支部,簡易裁判所又は家庭裁判所出張所のいずれであるか。
②土地管轄:住所地,所在地その他の管轄原因からどの裁判所が管轄するか。
③事件配点:単独事件,合議事件,少年事件,執行事件等のうち,どの事件が支部又は本庁で処理されるか。
④開廷・担当:担当裁判官と開廷の日割がどのように公表されているか。
⑤手続運用:書類提出,保管金の納付・還付,期日参加及び問い合わせをどこで行うか。

このうち,裁判所ウェブサイトに表示された開廷の日割は公表時点の一般的な日割であり,個別事件の期日を示すものではない。
また,オンライン参加の可否は事件類型と個別事件の進行によって異なるため,支部に裁判官が常駐していないことから直ちにオンライン参加が認められると考えるべきではない。

なお,本記事は広域・低密度で移動距離が長い稚内支部管内を例に確認手順を示すものである。人口規模,市街地の密度,鉄道・バス網及び支部の事件処理体制が異なる大阪地裁堺・岸和田両支部へ,稚内支部についての結論をそのまま当てはめることはできない。大阪府南部については,市町村別の交通事情,BITの実際の売却日程及び現行事務分配を別に検討する必要があり,執行事件の地裁本庁・拠点支部への集約-不動産執行,債権執行等の状況と理由(AI作成)で整理している。

第2 支部の法的な位置付けと事件配点
1 裁判所法31条は地方裁判所支部の設置を予定している

裁判所法31条は,地方裁判所の事務の一部を取り扱わせるため,その管轄区域内に支部を設けることができる旨を定める。
したがって,支部は地方裁判所とは別個の種類の裁判所ではなく,本庁とともに一つの地方裁判所を構成し,定められた事務の一部を取り扱う組織である。

裁判所法上の「事務の一部」という構造からも,支部が地方裁判所のすべての事件を本庁と同じように取り扱うとは限らない。
実際の利用に当たっては,法令上の管轄だけでなく,裁判所ウェブサイトの管轄区域表,担当裁判官一覧,窓口案内及び本庁集約のお知らせを併せて確認する必要がある。

2 管轄区域と事件配点を区別する

ある市町村が支部の管轄区域に含まれていても,その地域から生じるすべての事件を当該支部が扱うとは限らない。
例えば,旭川地裁管内の管轄区域表は,稚内支部の地域について,合議事件,少年事件及び検察審査会を旭川と表示し,一部の民事執行事件も旭川地裁本庁で取り扱うと明記している。

したがって,「住所地が稚内支部管内である」という確認と,「申立てようとする事件を稚内支部が取り扱う」という確認は別である。
事件名が似ていても,地方裁判所事件,家庭裁判所事件及び簡易裁判所事件で提出先が異なることがあるため,裁判所名まで特定する必要がある。

第3 稚内支部の管轄と窓口
1 稚内市等と天塩郡では家裁出張所等の表示が異なる

(続きを読む...)地方裁判所支部の司法アクセス―稚内支部を例に,管轄・本庁集約・開廷頻度及び利用前の確認事項(AI作成)

東京地裁医療集中部とは-担当部,発足経緯,審理運営及び鑑定制度(AI作成)

目次第1 東京地裁医療集中部の概要1 医療集中部の意味2 本記事の基準時と資料の読み方第2 現在の担当部1 民事第14部,第30部,第34部及び第35部2 担当裁判官と担当部の確認第3 発足までの経緯1 平成10年から平成13年まで2 発足の目的第4 医療集中部の審理運営1 提訴前の調査と訴状2 診療経過と争点の可視化3 証人尋問の位置付け第5 医学的知見を審理へ取り入れる方法1 医学文献と協力医の意見書2 専門委員3 鑑定とカンファレンス方式第6 和解と統計の読み方1 和解の機能2 令和7年の全国統計第7 制度を利用する際の注意点1 集中部であることと立証責任2 古い運用資料と現在情報の区別第8 主な出典及び参考資料1 裁判所及び国会図書館の資料2 判例タイムズ掲載論文
第1 東京地裁医療集中部の概要
1 医療集中部の意味

東京地裁医療集中部とは,医療行為の当否が争点となり,審理に医学的知見を要する民事事件を集中的に担当する東京地方裁判所の民事部である。独立した裁判所又は特別な訴訟類型ではなく,専門性の高い事件について知識と審理運営の経験を蓄積するための事件配点上の仕組みである。
医療集中部に配点されたこと自体は,医療機関の過失,因果関係又は患者側の請求が認められることを意味しない。責任の有無は,各事件の主張及び証拠に基づいて判断される。

2 本記事の基準時と資料の読み方

本記事は,令和8年(2026年)9月22日現在の裁判所公開資料と,判例タイムズ1495号及び1497号に掲載された令和4年(2022年)のシンポジウム記録を区別して整理するものである。
シンポジウム記録にある件数,割合及び運用は,当時の実務報告であり,現在も同一であると断定できない。現在の担当部は最新の裁判所資料で確認し,個別事件の進行は担当部の指示に従う必要がある。

第2 現在の担当部
1 民事第14部,第30部,第34部及び第35部

東京地裁が公開している霞が関庁舎のダイヤルイン一覧では,民事第14部,第30部,第34部及び第35部に「通常・医療部」と表示されている。したがって,東京地裁本庁の医療事件を集中的に担当する部は,この4か部であると確認できる。
東京地裁霞が関庁舎のダイヤルイン一覧には各部の係別電話番号も掲載されている。ただし,問い合わせ先は事件の係属部及び担当係を確認した上で選ぶ必要がある。

2 担当裁判官と担当部の確認

東京地方裁判所の民事部担当裁判官一覧は,令和8年4月24日現在のものとして,民事第14部,第30部,第34部及び第35部の担当裁判官を掲載している。同一覧自体には各部が医療集中部であるとの表示がないため,医療部であることは前記ダイヤルイン一覧と突き合わせて確認するのが安全である。
裁判官の異動,部の担当事務及び電話番号は変更され得る。提出又は照会の直前に裁判所ウェブサイトの最新版を再確認すべきである。

第3 発足までの経緯
1 平成10年から平成13年まで

国立国会図書館の調査資料によれば,平成10年(1998年)に医療関係訴訟の運営に関する司法研究が始まり,平成11年(1999年)に東京地裁の委員会が医療事件の集中処理を提案した。東京地裁は平成12年(2000年)4月から民事第14部,第30部,第34部及び第35部で試行し,平成13年(2001年)4月に医療集中部を発足させた。
判例タイムズ1495号21頁のシンポジウム記録も,1年間の試行を経て平成13年4月に4か部が発足したと説明している。発足時には,裁判長が争点整理に主体的に関与できるよう配点を調整し,4か部で早期に共通の審理運営を形成することが意識されていた。

2 発足の目的

最高裁判所医事関係訴訟委員会の答申は,東京及び大阪の地方裁判所に平成13年4月から医療関係訴訟の集中部が設けられたとし,審理上のノウハウを蓄積するとともに,地域の医療界との連絡窓口として機能することが期待されると述べている。
したがって,集中部の意義は,単に事件を同じ部へ集める点だけにない。争点整理,医学的知見の獲得,鑑定人確保及び医療界との継続的な協議を一体として改善するところにある。

第4 医療集中部の審理運営
1 提訴前の調査と訴状

判例タイムズ1497号19頁から20頁では,医療事件では,提訴前に診療録に基づく診療経過の整理,医学文献の調査,協力医への相談及び医療機関への照会を行い,具体的な注意義務違反と因果関係を絞り込む必要性が繰り返し指摘されている。
集中部は当事者の調査又は立証を代行する制度ではない。争点を特定しないまま提訴すると,争点整理に長期間を要し,専門委員を早期に選任しても,当事者が負う主張立証の不足を当然に補えるわけではない。

2 診療経過と争点の可視化

判例タイムズ1495号21頁から22頁によれば,医療集中部の審理は,基本的書証を早期に提出し,診療経過一覧表によって時系列を共有し,当事者が参加して争点整理表を作成した上で,集中証拠調べへ進むという考え方を基礎としている。
同号25頁は,令和4年当時の取組として,訴え提起後2,3か月以内に実質的な答弁を踏まえた第1回期日を開くこと,ウェブ会議前に注意義務違反の内容等を記載したアジェンダを共有し,期日後に議論の到達点と次回までの準備事項を共有することを紹介している。これらは,期日間の準備を明確にし,争点整理を口頭議論だけで終わらせないための工夫である。

3 証人尋問の位置付け

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和解のために出した試算書は後の訴訟で不利に使われるか――裁判上の自白との違いと,自分の書面を書証にするときの注意(AI作成)

目次第1 結論第2 裁判上の自白とは何か1 条文2 対象は「事実」である3 「裁判所において」された陳述であること4 争わないことによる効果も当該訴訟限りである5 場面ごとの対照第3 前の訴訟で出した書面は,後の訴訟の自白にならない1 訴訟が違えば陳述にならない2 書証として出された場合の扱い3 和解の過程の譲歩を証拠から排除する規定はない4 和解が成立した場合との違い第4 書面に書いた数字がどう読まれるか1 上限の表示2 仮定の表示3 前提が変われば上限も動く4 主張額,上限額及び和解の提示額を混ぜない第5 自分が作った書面を自ら書証にするときの注意1 全部が相手方の目に入る2 立証趣旨で前提を特定する3 書面の一部だけを引用しない4 抄本で出すかどうか5 書証の申出の仕方第6 相手方が前の訴訟の書面を出してきたとき1 文書の成立の真正2 書面の全体を読ませる3 反対の記載を探す4 相手方又は第三者が持っている書面を出させる方法第7 和解のための書面を作るときの書き方第8 指摘を受けたときの返し方第9 関連記事第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例の引用について
第1 結論

和解の協議の中で,「こちらの計算では,多めに見積もっても相手方の損害は○円にとどまる」という趣旨の試算書を出すことがある。
その事件が和解で終わらず,あるいは別の事件が後から起きたとき,この試算書が相手方の手に渡り,「相手方自身が○円を認めている」と主張される場面がある。

結論としては,次の三つを分けて考えるのが整理しやすい。

①その書面は,後の訴訟における裁判上の自白ではない。裁判上の自白は,当該訴訟の口頭弁論又は弁論準備手続における陳述であることを要するからである(民事訴訟法179条参照)。

②しかし,書証として提出されれば,裁判所の自由な心証の対象にはなる。民事訴訟法には,和解の過程における譲歩を証拠から排除する規定が置かれていない。

③したがって,実際に効いてくるのは「自白かどうか」ではなく,「その書面が何を前提とした,どういう性質の数字を示したものとして読まれるか」である。

本記事では,この三つを条文に即して整理し,和解のための書面を作るとき,自分の書面を自ら書証として提出するとき及び相手方が前の訴訟の書面を出してきたときの実務上の注意を示す。

第2 裁判上の自白とは何か
1 条文

民事訴訟法179条は,「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は,証明することを要しない。」と定めている。

同法159条1項は,「当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には,その事実を自白したものとみなす。ただし,弁論の全趣旨により,その事実を争ったものと認めるべきときは,この限りでない。」と定めている。
同条2項は,「相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は,その事実を争ったものと推定する。」としている。

自白が成立すると,その事実について証明が不要になる。
争点整理の場面では,どの事実に自白が成立しているかが,証拠調べの対象を決める。

2 対象は「事実」である

179条も159条1項も,対象を「事実」としている。
そのため,法律上の効果に関する意見,計算方法の当否についての見解及び評価の当否は,それ自体では自白の対象にならない。

遺留分侵害額,損害額,過失割合のような数字は,その内実が①算定の基礎となる事実と②その事実への法規の当てはめとに分かれる。
「○円である」という記載が,どこまで事実の陳述で,どこからが当てはめの結論かは,書面の文脈で決まる。

したがって,相手方から「その書面で○円を認めているではないか」と言われたときは,まずその数字がどの層の主張なのかを切り分ける。

3 「裁判所において」された陳述であること

179条は「裁判所において当事者が自白した事実」としている。
すなわち,当該訴訟の口頭弁論又は弁論準備手続の期日における陳述であることが前提になる。

訴訟の外で作った文書,交渉の場で相手方に渡した書面,別の事件で提出した書面は,この要件を満たさない。
これらは,講学上,裁判外の自白として,証拠資料の一つとして扱われるにとどまる。

もっとも,弁論準備手続には,民事訴訟法170条5項により,争うことを明らかにしない事実を自白したものとみなす159条等が準用される。
したがって,弁論準備手続で準備書面の事実主張を正式に陳述し,相手方がそれを争わないときは,裁判上の自白又は擬制自白が問題となり得る。

同じ期日で和解協議が行われても,協議用の試算を示しただけのことと,準備書面の事実主張を訴訟上の主張として陳述したことは区別する。

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建築訴訟の審理モデル―東京地裁民事第22部が示した6類型の主張立証と一覧表・付調停による2年審理(AI作成)

目次第1 この記事の対象と資料1 審理モデルとは2 6本の論稿第2 審理モデルのねらいと全体像1 2年で終えるためのスケジュール2 一覧表は「手段」であり,二往復で打ち止める3 専門的知見は調停で取り入れる第3 追加変更工事1 要件と典型的な争点2 追加性3 有償合意4 代金額の相当性5 追加変更工事一覧表第4 工事の瑕疵1 瑕疵の意義と主張の組み立て2 設計の瑕疵と施工の瑕疵3 審理計画と瑕疵一覧表第5 出来高1 出来高の審理の流れ2 既施工部分の証拠3 報酬額の算定方式4 中途終了の原因と着地点第6 設計・監理1 報酬請求と契約の成否2 設計・監理の債務不履行第7 第三者被害型(振動・地盤沈下による近隣被害)第8 付調停と現地調査1 付調停の時期と訴訟との並進2 現地調査第9 一覧表の書式第10 代理人の実務上の対応第11 関連記事第12 出典1 法令2 論稿3 裁判所の資料4 裁判例
第1 この記事の対象と資料
1 審理モデルとは

東京地方裁判所民事第22部は,建築訴訟を専門に扱う部である。
同部に所属し又は所属していた裁判官らが,建築訴訟の審理を効率化するため,事件の類型ごとに「審理モデル」を作り,判例タイムズに6回に分けて発表している。
最高裁判所の建築関係訴訟委員会でも,東京地裁が基本3類型の審理モデルを判例タイムズに掲載したことが報告されている(第19回議事要旨)。

本記事は,この6本の論稿を判例秘書の判例タイムズ電子復刻版で読み,代理人が訴状の作成から和解・調停までの各段階で押さえるべき点を整理するものである。
論稿の中の法解釈や手続に関する意見は,執筆した裁判官らの私見であるとされている。

2 6本の論稿

①「建築訴訟の審理モデル~追加変更工事編~」判例タイムズ1453号5頁(2018年12月)
②「建築訴訟の審理モデル~工事の瑕疵編~」判例タイムズ1454号5頁(2019年1月)
③「建築訴訟の審理モデル~出来高編~」判例タイムズ1455号5頁(2019年2月)
④「建築訴訟の審理モデル~設計・監理の報酬請求編~」判例タイムズ1489号5頁(2021年12月)
⑤「建築訴訟の審理モデル~設計・監理の債務不履行・不法行為編~」判例タイムズ1490号5頁(2022年1月)
⑥「建築訴訟の審理モデル~不法行為(第三者被害型)編~」判例タイムズ1495号5頁(2022年6月)

①から③は,民法の債権法改正(令和2年4月1日施行)の前に執筆され,改正の内容は盛り込まれていない。
「瑕疵担保責任」「民法634条」等の記述は,現行民法の契約不適合責任(民法559条,562条~564条)に読み替える必要がある。
④から⑥は,改正後の民法を前提としている。

建築訴訟で鑑定人や専門家がどう選ばれるかは,建築訴訟の鑑定人と専門家はどう選ばれるかで,統計は建築訴訟の統計(令和6年)で扱っている。

第2 審理モデルのねらいと全体像
1 2年で終えるためのスケジュール

審理モデルは,建築訴訟についても,知財訴訟や医療訴訟のように効率的な審理のやり方を確立し,「2年で終える」ことを目指すものとされている(判タ1453号6頁)。
論稿は,建築訴訟が長くかかる背景として,中小規模の裁判所では建築事件のノウハウが蓄積されにくいことと,「建築訴訟は時間がかかっても仕方がない」という意識が当事者にも裁判所にもあることを挙げている。

基本3類型(追加変更工事,工事の瑕疵,出来高)について示された進行の目安は,次のとおりである(判タ1453号7頁)。
①訴状の審査:1か月程度
②主張の整理:最長8か月程度
③調停:6か月から10か月程度
④人証調べ:5か月程度
⑤判決:2か月程度

2 一覧表は「手段」であり,二往復で打ち止める

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建築訴訟の統計(令和6年)―審理期間,終局区分,瑕疵の種別,鑑定率及び付調停率(AI作成)

目次第1 この記事の対象と資料1 使用する資料第2 新受件数,既済件数及び平均審理期間1 建築請負代金等2 建築瑕疵損害賠償3 読み方第3 終局区分1 建築請負代金等2 建築瑕疵損害賠償3 読み方第4 瑕疵の主張の有無と種別1 建築請負代金等で瑕疵が主張された割合2 建築瑕疵損害賠償の瑕疵の種別第5 鑑定率と付調停率第6 依頼者に説明するときの注意第7 関連記事第8 出典1 法令2 統計・資料
第1 この記事の対象と資料
1 使用する資料

本記事は,最高裁判所の建築関係訴訟委員会のページに掲載されている「建築関係訴訟に関する統計」4本を基に,建築訴訟の件数,審理期間,終局区分,瑕疵の主張の有無と種別,鑑定率及び付調停率を整理するものである。
統計は第21回建築関係訴訟委員会(令和6年12月19日)の掲載分であり,平成24年から令和6年までの数値を載せている(令和8年9月20日に取得)。
令和6年の数値は,9月までの速報値である。

統計の注によれば,建築関係訴訟は統計上,次の2つの類型に分けられている。
①建築請負代金等(建物建築に関する請負代金,工事代金,設計料,報酬金等を請求する事件)
②建築瑕疵損害賠償(建物建築に関する設計,監理,施工等の建築瑕疵を理由とする損害に関する事件)

基礎となる事件数は,地方裁判所の民事第一審のものである。
資料には未済件数の欄がなく,平均審理期間を瑕疵の主張の有無で分けた表もない。
資料にない割合を示すときは「本記事の計算」と明記する。

建築訴訟で鑑定人や専門家がどう選ばれるかは,建築訴訟の鑑定人と専門家はどう選ばれるかで扱っている。

第2 新受件数,既済件数及び平均審理期間
1 建築請負代金等
年新受既済平均審理期間平成24年1774件1772件14.3月平成25年1594件1610件15.2月平成26年1534件1495件15.7月平成27年1459件1518件16.3月平成28年1500件1498件16.5月平成29年1535件1453件16.1月平成30年1430件1398件16.5月令和元年1565件1416件16.6月令和2年1532件1278件17.3月令和3年1482件1565件18.7月令和4年1341件1522件19.4月令和5年1375件1474件19.6月令和6年1061件994件18.1月
2 建築瑕疵損害賠償
年新受既済平均審理期間平成24年447件450件25.5月平成25年442件443件26.2月平成26年464件422件25.2月平成27年515件446件24.8月平成28年467件533件25.2月平成29年441件456件25.5月平成30年486件439件24.6月令和元年488件449件26.1月令和2年436件378件27.6月令和3年499件489件29.3月令和4年483件517件27.0月令和5年455件485件26.8月令和6年304件331件28.1月
3 読み方

建築瑕疵損害賠償の平均審理期間は,平成24年以降,24.6月から29.3月の間で推移しており,第一審だけで2年を超えるのが通常である。
建築請負代金等の平均審理期間は,平成24年の14.3月から令和5年の19.6月へと,5か月以上長くなっている。
令和6年は9月までの速報値であり,年間の数値ではない点に注意が要る。

依頼者には,瑕疵の損害賠償請求であれば第一審だけで2年余り,請負代金の請求でも1年半程度を目安として説明するのが適切である。
請負代金の請求でも,後で見るとおり3件に1件程度は瑕疵が主張されるので,瑕疵が争われれば審理はさらに長くなりうる。

第3 終局区分
1 建築請負代金等
年判決和解取下げ既済合計平成24年674件(38.0%)726件(41.0%)291件(16.4%)1772件平成25年658件(40.9%)646件(40.1%)249件(15.5%)1610件平成26年564件(37.7%)618件(41.3%)250件(16.7%)1495件平成27年493件(32.5%)694件(45.7%)267件(17.6%)1518件平成28年522件(34.8%)651件(43.5%)264件(17.6%)1498件平成29年493件(33.9%)633件(43.6%)260件(17.9%)1453件平成30年457件(32.7%)623件(44.6%)266件(19.0%)1398件令和元年531件(37.5%)591件(41.7%)238件(16.8%)1416件令和2年452件(35.4%)515件(40.3%)248件(19.4%)1278件令和3年543件(34.7%)631件(40.3%)322件(20.6%)1565件令和4年551件(36.2%)508件(33.4%)399件(26.2%)1522件令和5年543件(36.8%)597件(40.5%)284件(19.3%)1474件令和6年392件(39.4%)392件(39.4%)169件(17.0%)994件
2 建築瑕疵損害賠償
年判決和解取下げ既済合計平成24年139件(30.9%)163件(36.2%)128件(28.4%)450件平成25年172件(38.8%)149件(33.6%)102件(23.0%)443件平成26年142件(33.6%)144件(34.1%)121件(28.7%)422件平成27年136件(30.5%)162件(36.3%)131件(29.4%)446件平成28年159件(29.8%)184件(34.5%)176件(33.0%)533件平成29年135件(29.6%)152件(33.3%)149件(32.7%)456件平成30年122件(27.8%)145件(33.0%)157件(35.8%)439件令和元年126件(28.1%)174件(38.8%)140件(31.2%)449件令和2年105件(27.8%)145件(38.4%)116件(30.7%)378件令和3年161件(32.9%)163件(33.3%)150件(30.7%)489件令和4年144件(27.9%)151件(29.2%)205件(39.7%)517件令和5年163件(33.6%)177件(36.5%)131件(27.0%)485件令和6年113件(34.1%)108件(32.6%)97件(29.3%)331件
3 読み方

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建築訴訟の鑑定人と専門家はどう選ばれるか―建築関係訴訟委員会の推薦ルート,鑑定料の考え方及び専門家選定の情報(AI作成)

目次第1 この記事の対象と資料1 この記事の対象2 使用した資料と読み方の注意第2 建築関係訴訟委員会とは1 設置の経緯と規則2 推薦の流れ第3 推薦依頼の件数と期間1 件数2 期間第4 推薦依頼書と専門分野の伝え方1 推薦依頼書の記載事項2 専門分野を具体的に伝える3 利害関係の確認第5 鑑定料の考え方1 「鑑定料の検討に当たり考慮することが考えられる要素」2 代理人の対応第6 鑑定以外の手段―専門家調停と専門委員第7 事件類型の動向第8 代理人の実務上の対応第9 関連記事第10 出典1 法令・規則2 建築関係訴訟委員会の資料
第1 この記事の対象と資料
1 この記事の対象

本記事は,建築紛争の訴訟で鑑定が必要になったとき,裁判所がどのように鑑定人を探すのか,鑑定料はどう決まるのか,調停委員や専門委員を含む建築の専門家をどう選ぶのかを,最高裁判所の建築関係訴訟委員会の公開資料から整理するものである。
施主側と施工者・設計者側のどちらの代理人にとっても,鑑定や専門家調停を申し出る前に知っておくと見通しを立てやすくなる事項である。

建築関係訴訟の件数,審理期間,終局区分,瑕疵の種別,鑑定率及び付調停率は,建築訴訟の統計(令和6年)にまとめた。
医療訴訟について同じ仕組みを扱った記事として,医療訴訟の鑑定人はどう選ばれるかがある。

2 使用した資料と読み方の注意

資料は,最高裁判所の建築関係訴訟委員会のページに掲載された,第1回(平成13年7月19日)から第21回(令和6年12月19日)までの議事要旨,分科会の議事要旨,添付資料,平成17年6月の答申,中間取りまとめ,委員会規則及び統計である(令和8年9月20日に取得)。
議事要旨の発言は委員又はオブザーバーの意見であり,委員会の結論や裁判所の運用そのものではない。
本記事では,資料に書かれた事実と,委員等の意見とを区別して書く。

期間や件数の一部は,議事要旨に添付された「鑑定人候補者推薦依頼一覧」から本記事で集計したものである。
一覧は月単位でしか日付を示していないため,集計した期間には1か月程度の誤差がある。

第2 建築関係訴訟委員会とは
1 設置の経緯と規則

建築関係訴訟委員会は,建築関係訴訟委員会規則(平成13年最高裁判所規則第6号)に基づき,平成13年に最高裁判所に置かれた委員会である。
設置の前から,最高裁判所事務総局民事局と日本建築学会との間で意見交換が行われ,平成12年6月には学会の中に司法支援建築会議が作られていた(答申)。

規則2条は,民事訴訟事件又は民事調停事件のうち争点若しくは証拠の整理又は裁判をするについて建築の専門的知識経験を必要とするものを「建築紛争事件」と定め,委員会の事務として,運営に関する共通的な事項の調査審議のほか,次の3つの候補者の選定を掲げている。
①鑑定人の候補者(2条3号)
②民事調停委員の候補者(同条4号)
③専門委員の候補者(同条5号)

規則は委員を20人以内とし(3条),鑑定人等候補者選定分科会を置いている(7条)。
令和6年12月19日現在の委員名簿には,建築系の研究者を中心に,実務家,弁護士及び法学研究者の11名が掲載されている。

2 推薦の流れ

推薦の流れは,概略図と第3回委員会(平成14年3月5日)の資料によれば,次のとおりである。
①事件を担当する地方裁判所等が,推薦依頼を最高裁判所事務総局民事局(委員会の事務局)に送る。
②事務局が,日本建築学会(司法支援建築会議)等に推薦を依頼する。
③学会の推薦は,同じ経路を逆にたどって裁判所に届く。
④裁判所が候補者に連絡し,鑑定人に選任するかを判断する。

概略図には,推薦は法的な強制によるものではなく,推薦された候補者を選任するかどうかは各裁判所の判断に委ねられることが注記されている。

(続きを読む...)建築訴訟の鑑定人と専門家はどう選ばれるか―建築関係訴訟委員会の推薦ルート,鑑定料の考え方及び専門家選定の情報(AI作成)

医療訴訟の統計(令和7年)―新受件数,審理期間,和解率,認容率及び診療科目別の推移(AI作成)

目次第1 この記事の対象と資料1 使用する資料2 迅速化検証報告書の数値との違い第2 新受件数と既済件数1 平成11年から令和7年までの推移2 件数の読み方第3 平均審理期間第4 終局区分(和解・判決・その他)第5 判決の認容率1 平成28年から令和7年までの推移2 認容率の読み方第6 診療科目別の件数1 令和7年の新受件数と既済件数2 既済件数の推移(平成29年から平成31年・令和元年まで)3 既済件数の推移(令和2年から令和4年まで)4 既済件数の推移(令和5年から令和7年まで)5 推移の読み方第7 鑑定と審理期間(迅速化検証報告書から)第8 依頼者に説明するときの注意第9 関連記事第10 出典1 統計・報告書
第1 この記事の対象と資料
1 使用する資料

本記事は,最高裁判所の医事関係訴訟委員会が第37回会議(令和8年5月27日)の資料として公表した「医事関係訴訟に関する統計」(全9頁)を基に,医療訴訟の件数,審理期間,終局の仕方,判決の認容率及び診療科目別の件数を整理するものである。
統計は平成11年から令和7年までの暦年の数値を載せており,令和7年の数値は速報値である。
本記事の数値は,同資料の各頁の表とグラフの数値を転記したものであり,資料にない差や比率を示すときは「本記事の計算」と明記する。

この統計の「医事関係訴訟事件」には,地方裁判所と簡易裁判所の事件が含まれる(同資料1頁~4頁の注)。
平成16年までの数値は各庁からの報告に基づく概数であり,診療科目別の新受件数も概数である。
統計の下の欄には必ず注が付いているので,数値を引用するときは注も併せて確かめる必要がある。

2 迅速化検証報告書の数値との違い

医療訴訟の件数と審理期間は,最高裁判所の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」にも載っている。
ただし,同報告書は事件票で「医療損害賠償」に区分された訴訟を集計しており(第11回報告書63頁注1),委員会の統計とは集計の範囲と時点が異なる。
例えば,令和6年の新受件数は,委員会の統計では664件,第11回報告書では658件であり,令和6年の平均審理期間は,委員会の統計では24.7月,同報告書では24.9月である。

どちらが正しいというものではなく,出典を示して使い分ければよい。
鑑定を実施した事件の割合や,審理期間が2年を超える事件の割合は,委員会の統計にはなく,迅速化検証報告書にだけ載っている(第7で紹介する)。

医療訴訟で鑑定人がどのように選ばれるかは,医療訴訟の鑑定人はどう選ばれるかで扱っている。

第2 新受件数と既済件数
1 平成11年から令和7年までの推移

委員会の統計(1頁~3頁)による各年の数値は,次のとおりである。
平均審理期間は既済事件のものであり,地裁民事第一審通常訴訟事件の数値は医事関係訴訟事件を含む。

年新受既済平均審理期間(医事)平均審理期間(地裁民事通常)平成11年678件569件34.5月9.2月平成12年795件691件35.6月8.8月平成13年824件722件32.6月8.5月平成14年906件869件30.9月8.3月平成15年1003件1035件27.7月8.2月平成16年1110件1004件27.3月8.3月平成17年999件1062件26.9月8.4月平成18年913件1139件25.1月7.8月平成19年944件1027件23.6月6.8月平成20年876件986件24.0月6.5月平成21年732件952件25.2月6.5月平成22年791件921件24.4月6.8月平成23年771件801件25.1月7.5月平成24年792件844件24.5月7.8月平成25年802件805件23.3月8.2月平成26年865件795件22.6月8.5月平成27年832件787件22.8月8.7月平成28年864件790件23.2月8.6月平成29年828件780件24.4月8.7月平成30年773件806件23.5月9.0月令和元年800件853件25.2月9.5月令和2年741件666件26.1月9.9月令和3年752件850件26.7月10.5月令和4年651件806件26.4月10.5月令和5年611件764件26.4月9.8月令和6年664件683件24.7月9.2月令和7年676件674件24.1月8.9月
2 件数の読み方

新受件数は平成16年の1110件が最も多く,その後は減少して,令和5年の611件が最も少ない。
令和6年は664件,令和7年は676件と,やや増えている。

令和3年から令和5年までは,既済件数が新受件数を毎年約100件から150件上回っていた(本記事の計算で,令和3年98件,令和4年155件,令和5年153件)。
令和7年は新受と既済がほぼ同じ数である。

平成16年の新受件数は,平成17年6月頃の委員会の答申では1107件とされていたが,現在の統計では1110件である。
改められているのは概数の時期だけではない。
令和7年6月30日に公表された前年の統計と比べると,新受件数は,平成29年が827件から828件に,令和元年が801件から800件に,令和2年が740件から741件に,令和3年が750件から752件に,令和5年が606件から611件に,令和6年が661件(速報値)から664件に改められている。
古い資料の数値は,最新の統計で確かめてから使う必要がある。

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医療訴訟の鑑定人はどう選ばれるか―医事関係訴訟委員会の推薦ルート,期間,費用及び鑑定人質問の実情(AI作成)

目次第1 この記事の対象と資料1 この記事の対象2 使用した資料と読み方の注意第2 医事関係訴訟委員会とは1 設置の経緯2 現在の位置付け第3 鑑定人候補者の推薦ルート1 手続の流れ2 委員会ルートを使う事案3 推薦依頼書に書かれる事項4 「推薦に当たっての希望」欄の書き方第4 件数,依頼先の学会及び所要期間1 件数の推移2 依頼先の学会3 所要期間4 推薦が難航する類型第5 医療過誤以外の事件での利用第6 鑑定事項と鑑定資料1 答えにくい鑑定事項2 複数の診療科にまたがる事案3 鑑定資料の渡し方第7 鑑定の方式と費用1 単独鑑定,複数鑑定及びカンファレンス鑑定2 鑑定料と費用負担第8 鑑定書が出た後―補充鑑定と鑑定人質問1 鑑定人質問はほとんど行われていない2 補充鑑定と鑑定人質問の条文第9 代理人の実務上の対応1 受任時と鑑定の申出前の説明2 鑑定の申出で準備しておくこと第10 関連記事第11 出典1 法令2 医事関係訴訟委員会の資料3 統計・報告書
第1 この記事の対象と資料
1 この記事の対象

本記事は,医療訴訟で鑑定が必要になったのに鑑定人が見つからないとき,裁判所がどのような経路で鑑定人候補者を探すのかを,最高裁判所の医事関係訴訟委員会の公開資料から整理するものである。
あわせて,鑑定事項の立て方,鑑定資料の渡し方,鑑定の方式と費用,鑑定書が出た後の補充鑑定と鑑定人質問について,同委員会で議論された内容を紹介する。
患者側と医療機関側のどちらの代理人にとっても,鑑定の申出の前に知っておくと見通しを立てやすくなる事項である。

鑑定事項書そのものの書き方は,民事訴訟の鑑定事項書の作り方で扱っている。
医療訴訟の件数,審理期間,和解率及び認容率は,医療訴訟の統計(令和7年)にまとめた。

2 使用した資料と読み方の注意

資料は,最高裁判所の医事関係訴訟委員会についてのページに掲載された,第1回(平成13年7月13日)から第37回(令和8年5月27日)までの議事要旨とその添付資料,平成17年6月頃の答申,委員会の規則及び統計である(令和8年9月19日に取得)。
議事要旨の「主な発言」は委員又はオブザーバーの意見であり,委員会の結論や裁判所の運用そのものではない。
本記事では,資料に書かれた事実と,委員等の意見とを区別して書く。

期間や件数の一部は,議事要旨に添付された「推薦依頼事案の経過一覧表」から本記事で集計したものである。
一覧表は月単位でしか日付を示していないため,集計した期間には1か月程度の誤差がある。
この種の数値には,本文で「本記事の集計」と明記する。

第2 医事関係訴訟委員会とは
1 設置の経緯

医事関係訴訟委員会は,医事関係訴訟委員会規則(平成13年最高裁判所規則第5号)に基づき,平成13年7月に最高裁判所に置かれた委員会である。
医学界の委員,法曹界の委員及び一般の有識者で構成され,医事関係訴訟の運営に関する一般的な問題を審議することと,鑑定人候補者を選ぶことを主な任務とする。
鑑定人候補者の選定は,委員会に置かれた鑑定人等候補者選定分科会と合同で行われ,第3回以降の会議は分科会との合同開催になっている。

委員会の答申によれば,設置前の意見交換で,医学界の側から,医師が鑑定人を引き受けない理由として次のような事情が挙げられていた。
①時間をかけて鑑定をしても裁判の結果が知らされず,鑑定が役に立ったのかが分からないこと
②法廷で,人格を非難されたと受け取られるような質問がされることがあったこと
③要約書面もなしに記録の写しをそのまま送られ,不適切な鑑定事項について鑑定を求められること

これを受けて,事件が終わったときに裁判所から鑑定人へ結果を通知する運用が定着し,委員会からも学会と鑑定人に結果を通知して礼状を送るようになった。
後で見る鑑定人質問の運用の変化も,この経緯と関係している。

2 現在の位置付け

委員会の規則は,委員を20人以内とし(3条),鑑定人等候補者選定分科会を置くことを定めている(7条)。
令和8年9月14日現在の委員名簿には,委員長を含む12名が掲載されている。

委員会ルートは,各裁判所の努力で鑑定人を見つけられない事案のための仕組みである。

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裁判所で廃棄された著名事件の記録―少年事件52件・憲法判例百選の民事事件35件と廃棄の原因(最高裁の調査報告書の別紙)(AI作成)

目次第1 本記事の概要1 資料2 用語第2 廃棄の背景1 保存期間の短縮と記録庫の狭隘2 運用要領の策定前の状況第3 廃棄された少年事件(別紙1-1)1 一覧2 廃棄に至った経緯の分類3 類型Ⅰの事件4 類型Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの要因5 保存されていた少年事件(番号53~59)第4 廃棄された憲法判例百選の民事事件(別紙2-1)1 一覧2 保存されていた3件のきっかけ第5 特別保存に付された後の廃棄と,運用要領の策定後の廃棄1 特別保存に付された後の廃棄(別紙3-1)2 運用要領の策定後の廃棄第6 弁護士の実務から見た意味第7 出典
第1 本記事の概要
1 資料

最高裁判所事務総局は,令和5年5月,「裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査報告書」(以下「報告書」という。)を公表した。
報告書は,神戸連続児童殺傷事件の少年保護事件記録が特別保存に付されないまま廃棄されていたこと等を受け,「事件記録の保存・廃棄の在り方に関する有識者委員会」の意見を聴きながら調査した結果をまとめたものである。

本記事は,報告書の本体のうち,廃棄された事件の一覧である別紙1-1(少年事件)・別紙2-1(憲法判例百選に掲載された民事事件等)・別紙3-1(特別保存に付された後の廃棄事案)と,廃棄の経緯と原因を分析した本文20頁~30頁を整理する。
報告書の本体は,裁判所HPの「裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査報告書について」のページに掲載されている(令和8年9月19日確認)。

2 用語

当時の事件記録等保存規程9条には,保存期間満了後も保存する特別保存が2種類あった。
1項特別保存は,特別の事由により保存の必要がある記録を保存するもので,現在の「保存期間の延長」に当たる。
2項特別保存は,史料又は参考資料となるべき記録を保存するもので,令和6年1月30日に施行された事件記録等の特別保存に関する規則の「特別保存」(永久保存)に引き継がれた。
現在の制度は,令和6年全国統一運用・裁判所の特別保存制度で説明している。

第2 廃棄の背景
1 保存期間の短縮と記録庫の狭隘

報告書20頁によれば,記録庫の狭隘化が深刻になり,保存及び廃棄の事務が停滞していたことから,記録庫の狭隘解消と円滑な事務処理のための方策として,平成11年の保存規程の改正により保存期間が見直され,民事訴訟事件の事件記録の保存期間は10年から5年に短縮された。
その後,平成31年2月に東京地方裁判所の記録廃棄の問題が発覚して運用要領が策定されるまで,記録の保存に係る規律に大きな改正はなく,2項特別保存の件数も低調な状態が続いた。

令和8年5月21日以後に提起された訴えに係る事件の記録については,新しく定められた「電子情報処理組織を使用する方法により申立て等を行うことができる事件の事件記録保存規程」(令和7年最高裁判所規程第4号)により,保存期間が原則10年とされた。
詳しくはmints後の裁判記録の保存期間で説明している。

2 運用要領の策定前の状況

報告書20頁によれば,令和2年に運用要領が策定される前は,2項特別保存の事務処理要領等を明文化していた庁は約2割にとどまり,運用通達の基準を具体的かつ客観的にし,詳細な認定プロセスまで定めた庁はなかった。
2項特別保存の認定時期が定まっていない庁も相当数あった。

第3 廃棄された少年事件(別紙1-1)
1 一覧

別紙1-1は,報道機関から問合せのあった少年事件の概要を,報道機関からの問合せや保存票の記載のまま掲げている。
番号1~52は廃棄された事案,番号53~59は2項特別保存に付されていた事案である。
類型は,次の第3の2の分類による(報告書21頁~27頁)。

番号事件の概要(報告書の記載のまま)裁判所報告書の分類
1平成3年に札幌市北区内の道職員夫婦が殺害され、遺体が同市東区中沼町の原野に遺棄された事件札幌家裁本庁廃棄(類型Ⅲ)
2平成4年3月に、高知市内において、15歳の兄が妹を殺害した事件高知家裁本庁廃棄(類型Ⅲ)
3平成4年12月、札幌市内で両親を刺殺した事件札幌家裁本庁廃棄(類型Ⅲ)

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裁判の迅速化に係る検証に関する報告書と検討会―第1回から第11回までの報告書と第12クールの論点(AI作成)

目次第1 検証の仕組み1 裁判の迅速化に関する法律2 検証に関する規則と検討会第2 第1回から第11回までの報告書1 各回の概要2 統計数値の訂正第3 検証の方法の変化1 第1回から第5回まで2 第6回以降のフォローアップ型の検証第4 第11回報告書の要点第5 第12クールの検証の方針1 第74回検討会で示された方針2 日程と委員第6 報告書を読むときの注意第7 関連記事第8 出典1 法令・規則2 裁判所の資料
第1 検証の仕組み
1 裁判の迅速化に関する法律

裁判の迅速化に関する法律(平成15年法律第107号)は,平成15年7月16日に公布され,同日に施行された(附則1項)。
同法2条1項は,第一審の訴訟手続については「二年以内のできるだけ短い期間内に」終局させることを目標として,充実した手続の実施と,これを支える制度及び体制の整備を図ることを定めている。

同法8条1項は,最高裁判所が,裁判所における手続に要した期間の状況,その長期化の原因その他必要な事項の調査及び分析を通じて,裁判の迅速化に係る総合的,客観的かつ多角的な検証を行い,その結果を「二年ごとに」国民に明らかにするため公表すると定めている。
最初の公表は施行の日から2年以内に行うものとされ(附則2項),政府は,施行後10年を経過した場合に施行の状況について検討を加えるものとされていた(附則3項)。

2 検証に関する規則と検討会

最高裁判所は,裁判の迅速化に係る検証に関する規則(平成15年最高裁判所規則第26号)を定めている。
同規則1条は,検証を行うに当たり,最高裁判所事務総長が検討会を開催して,裁判官,検察官,弁護士及び学識経験のある者の意見を聴くものとし,3条は,検証結果をインターネットの利用その他の適切な方法で公表するものとしている。

この規則に基づく「裁判の迅速化に係る検証に関する検討会」は,平成15年12月22日に第1回が開かれ,令和7年10月2日の第74回まで開かれている。
裁判所ウェブサイトの説明によれば,委員は11人で,その内訳は学識経験者6人,弁護士2人,検察官1人,裁判官2人であり,合計15人の範囲で増やすことも考えているとされている。

第2 第1回から第11回までの報告書
1 各回の概要

報告書は,平成17年7月から2年ごとに,いずれも7月に公表されてきた(第11回報告書「はじめに」1頁)。
各回の公表時期,統計の対象,民事第一審訴訟全体の平均審理期間及び主な特色は次のとおりである。
「主な特色」は,各回の報告書の「はじめに」又は概要を本記事で要約したものである。

回(公表)統計の対象民事第一審の平均審理期間主な特色第1回(平成17年7月)民事は平成16年4月~12月,刑事は平成16年8.2月統計により民事・刑事の第一審の審理期間の全体像を初めて示し,長期化要因の仮説を提示第2回(平成19年7月)平成18年7.8月控訴審の分析を加え,裁判官からの聴取を基に事件類型ごとに長期化要因を考察第3回(平成21年7月)平成20年6.5月弁護士からの聴取も行い長期化要因を実証的に分析。過払金等を除いた統計の併用と遺産分割事件の検証を開始第4回(平成23年7月)平成22年6.8月長期化要因を解消するための施策を示し,裁判員裁判と上告審も検証第5回(平成25年7月)平成24年7.8月紛争の動向に影響する社会的要因と外国の実情を検証第6回(平成27年7月)平成26年8.5月統計分析を中心とするフォローアップ型の検証へ移行第7回(平成29年7月)平成28年8.6月争点整理での認識共有,合議体の活用,家事調停の運営第8回(令和元年7月)平成30年9.0月刑事事件で初めて実情調査を実施(公判前整理手続の長期化要因)第9回(令和3年7月)令和2年9.9月新型コロナウイルス感染症の影響と裁判所の対応第10回(令和5年7月)令和4年10.5月10回目の節目として迅速化検証の現在地を振り返る第11回(令和7年7月)令和6年9.2月裁判手続のデジタル化の現状と今後を章として検証

平均審理期間は各回の報告書に掲載された値であり,第1回の8.2月は平成16年4月から12月までの9か月分の値である。
第3回から第5回までの値は,過払金返還請求訴訟の急増により短く出ており,過払金等を除いた値は,平成20年8.1月,平成22年8.3月,平成24年8.9月とされている。
第11回報告書は,第9回報告書から過払金等を除く処理をやめ,全体の統計だけを分析している(第11回報告書45頁注2)。

2 統計数値の訂正

裁判所ウェブサイトの「裁判の迅速化検証」のページには,第2回から第9回までの報告書について,統計数値を訂正するお知らせが掲載されている。
過去の報告書の数値を引用するときは,訂正のお知らせの対象になっていないかを確かめる必要がある。

第3 検証の方法の変化
1 第1回から第5回まで

第1回から第5回までは,手続全体の審理期間の検証を一巡させる期間であった。
第11回報告書の「はじめに」は,この間に,長期化要因の分析(第3回),長期化要因を解消するための施策の提示(第4回),社会的要因の検証(第5回)が行われたと整理している(第11回報告書「はじめに」1頁~2頁)。

2 第6回以降のフォローアップ型の検証

施行後10年の節目には,附則3項に基づく政府の検討会が開かれ,法律の基本的な枠組みと最高裁判所による検証・公表を維持すべきであるとされた(第11回報告書「はじめに」1頁~2頁)。

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記録の保存の在り方に関する委員会(最高裁判所)の議事要旨―第1回から第5回まで,委員,求意見41件の結果及び前身の有識者委員会(AI作成)

目次第1 委員会の概要1 設置の経緯と根拠2 所掌事務と手続3 委員第2 各回の議事要旨1 第1回(令和6年3月25日)2 第2回(令和6年10月29日)3 第3回(令和6年12月20日)4 第4回(令和7年3月4日)5 第5回(令和7年4月25日)6 第6回以降第3 求意見の審議結果と新運用1年目の統計1 求意見の審議結果2 新運用1年目の統計第4 議論が規則・通達に反映された点1 一定の重大な社会事象2 執行官の記録と刑事損害賠償命令事件3 デジタル化後の記録の保存第5 前身の有識者委員会1 委員と開催状況2 意見を聴いた人3 調査で明らかになった事実4 報告書が採用しなかった意見第6 弁護士の実務から見た意味第7 出典
第1 委員会の概要
1 設置の経緯と根拠

記録の保存の在り方に関する委員会は,事件記録等の特別保存に関する規則(令和5年最高裁判所規則第9号)9条に基づいて最高裁判所に置かれた常設の委員会である。
規則は令和6年1月30日に施行された。

最高裁判所は,令和5年5月に公表した「裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査報告書」で,最高裁判所に常設の第三者委員会を置くことが相当であると表明した。
委員会のページは,その理由を,国民共有の財産である歴史的,社会的な意義を有する記録を適切に特別保存に付して後世に引き継ぐためには,裁判所が自ら判断することに加えて,国民の意見や公文書管理等の専門家の知見も取り込む必要があるからであると説明している。

本記事は,令和8年9月19日に確認した委員会のページ,第1回から第5回までの議事要旨及び委員名簿に基づき,各回の内容と,その議論が規則・通達にどう反映されたかを整理する。
あわせて,前身である「事件記録の保存・廃棄の在り方に関する有識者委員会」の議事要旨と調査報告書も取り上げる。
特別保存の制度全体は令和6年全国統一運用・裁判所の特別保存制度,大阪の裁判所に要望する手順は大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所に事件記録の特別保存・保存期間延長を要望する方法で説明している。

2 所掌事務と手続

委員会は,次の事項について意見を述べる(規則10条)。

① 特別保存の要望を受けた裁判所の長が,特別保存に付さない認定をしようとする場合の,その認定の適否(1号)
② 記録等の保存の在り方の見直しや特別保存の運用等に関する事項(2号)
③ 一定の重大な社会事象が生じた場合にこれに関連する記録等の保存に関する事項(3号)

①が主たる事務である。
規則8条は,要望を受けた裁判所の長が特別保存に付さない認定をしようとする場合には,委員会に意見を求めなければならないと定めている。
委員会は,意見を求めた裁判所の長に記録等の提出や説明を依頼し,要望者に意見書の提出を求めることができる(規則16条)。
手続は公開されない(規則17条)。
①の意見は求意見をした裁判所の長に,②・③の意見は最高裁判所長官に,意見書を送付して述べる(規則18条1項)。
庶務は最高裁判所事務総局総務局が処理する(規則15条)。

3 委員

委員会は委員6人で組織され,委員は非常勤である(規則11条)。
委員は,法律又は公文書の管理等に関して優れた識見を有する者の中から最高裁判所が任命し,任期は3年で,再任されることができる(規則12条)。

令和8年6月2日現在の委員は,次のとおりである(五十音順)。

① 佐藤彰紘(弁護士・第一東京弁護士会)
② 髙橋滋(一橋大学名誉教授)
③ 田中史生(読売新聞グループ本社社長室DX統括部長)
④ 土井真一(京都大学大学院法学研究科教授)
⑤ 中島康比古(独立行政法人国立公文書館アドバイザー)

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大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所に事件記録の特別保存・保存期間延長を要望する方法―期限,窓口,オンライン要望及び要望書の書き方(AI作成)

目次第1 本記事の概要と前提1 特別保存と保存期間延長2 本記事の基準日と資料第2 期限――保存期間が満了する年の9月末日1 大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所の期限2 他の裁判所との違い3 保存期間の目安第3 要望できる記録と要望先1 対象となる記録2 提出先3 窓口と連絡先第4 要望書の書き方1 様式の構成2 対象事件の特定3 特別保存の理由4 書面で出すかオンラインで出すか第5 保存期間延長の要望1 延長の要望ができる場合2 延長要望書の記載事項第6 要望した後の流れ1 選定委員会と最高裁判所の委員会2 結果の通知と再要望第7 大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所が特別保存にした事件1 一覧表の公開2 件数第8 弁護士が実務で使う場面第9 出典
第1 本記事の概要と前提
1 特別保存と保存期間延長

裁判所の事件記録は,事件の種類ごとに定められた保存期間が満了すると,原則として廃棄される。
その例外として,歴史的・社会的な意義を有する記録を永久に保存する「特別保存」(事件記録等の特別保存に関する規則2条4項)と,特別の事由がある間だけ保存期間を延ばす「保存期間の延長」(事件記録等保存規程9条)がある。

特別保存は,規則7条により何人も要望することができる。
保存期間の延長は,事件の当事者や関係者などからの要望に基づいて行われる。
本記事は,大阪地方裁判所及び大阪家庭裁判所に対してこれらの要望をするときの期限,窓口,要望書の書き方及び要望後の流れを,両裁判所の案内ページと様式に即して整理する。

制度全体の仕組み(七つの対象類型,三つの職権選定基準,裁判所内部の認定プロセス)は,令和6年全国統一運用・裁判所の特別保存制度で説明している。

2 本記事の基準日と資料

本記事は,令和8年9月19日に確認した大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所の案内ページ,両裁判所の特別保存要望書・保存期間延長要望書の様式,裁判所HPのオンライン要望の案内及び提出先裁判所一覧表,並びに最高裁判所の規則・規程・通達に基づく。
期限や窓口は変更されることがあるので,要望の前に各裁判所の最新の案内を確認する必要がある。

第2 期限――保存期間が満了する年の9月末日
1 大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所の期限

大阪地方裁判所及び大阪家庭裁判所の案内ページは,事務手続の都合上,特別保存の要望は,要望をしようとする事件の保存期間が満了する日が属する年の9月末日までに行うよう協力を求めている。
例えば,令和8年中に保存期間が満了する記録について要望するのであれば,令和8年9月30日が目安となる。

この期限は,各裁判所に置かれた選定委員会が原則として毎年11月から12月までの間に,その年に保存期間満了日を迎える候補事件について意見を具申する(事件記録等の特別保存に関する規則の運用通達記3の(3))ことに合わせたものと考えられる。
同通達記3の(3)イは,前年に保存期間満了日を迎えた候補事件で前年の選定委員会で取り扱われなかったものも対象としているので,期限を過ぎたことだけで直ちに要望が無意味になるわけではないが,記録が廃棄された後では要望のしようがない。
期限に余裕をもって出すのが確実である。

2 他の裁判所との違い

最高裁判所及び東京地方裁判所の案内ページや,裁判所HPのオンライン要望の案内は,同じ期限を「10月末日」としている。
大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所は,これより1か月早い。
大阪以外の裁判所に要望するときも,その裁判所の案内ページで期限を確認する。

3 保存期間の目安

期限を判断するには,対象の記録の保存期間がいつ満了するかを知る必要がある。
保存期間は,特別の定めがある場合のほか,裁判の確定その他の事由による事件完結の日から起算する(事件記録等保存規程4条2項)。
主な記録の保存期間は,次のとおりである。

記録保存期間根拠民事通常訴訟・行政訴訟等の記録(令和8年5月20日以前に訴えを提起した事件)及び人事訴訟の記録5年(判決原本50年,和解調書等30年)事件記録等保存規程別表第一民事通常訴訟・行政訴訟等の記録(令和8年5月21日以後に訴えを提起した事件。人事訴訟を除く)原則10年(電子判決書50年,和解の電子調書30年)電子情報処理組織を使用する方法により申立て等を行うことができる事件の事件記録保存規程4条・別表家事審判・家事調停事件の記録原則5年(審判原本・調停調書30年等)事件記録等保存規程別表第一少年保護事件の記録(保護処分決定等で終局)少年が26歳に達するまで事件記録等保存規程別表第一少年調査記録終局決定の日から6年(少年が26歳に達したときは満了)少年調査記録規程6条

例えば,令和3年中に判決が確定した民事通常訴訟の記録は,令和8年中に5年の保存期間が満了するので,特別保存を要望するなら令和8年9月末日が目安となる。
令和8年5月21日以後に提起された訴えに係る事件の保存期間については,mints後の裁判記録の保存期間で説明している。

(続きを読む...)大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所に事件記録の特別保存・保存期間延長を要望する方法―期限,窓口,オンライン要望及び要望書の書き方(AI作成)

民事裁判はどのくらいかかるか―事件類型別・代理人の有無別の平均審理期間と長くなる要因(令和6年)(AI作成)

目次第1 この記事の対象と資料1 使用する資料と対象期間2 平均値を依頼者への説明に使うときの前提第2 民事第一審全体の審理期間1 令和6年の平均と分布2 平均を押し下げている事件第3 代理人・人証調べ・合議で変わる期間1 代理人の付き方2 人証調べ・鑑定・合議3 訴額第4 事件類型別の審理期間第5 手続段階と期日1 第1回口頭弁論期日までの期間2 期日の回数と間隔第6 大阪地方裁判所管内の数値第7 代理人の活動で審理期間が変わる場面1 訴状と初期の書面2 期日間の投稿と書面の提出期限3 合議体と付合議の上申第8 依頼者へ見通しを説明するときの注意1 数値を選ぶ順序2 控訴審を含めた期間第9 関連記事第10 出典1 法令2 統計・データ
第1 この記事の対象と資料
1 使用する資料と対象期間

本記事は,最高裁判所事務総局「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」(令和7年7月)の統計を基に,地方裁判所の民事第一審訴訟がどのくらいの期間で終わっているかを整理するものである。
対象は令和6年に終局した事件であり,統計は令和7年4月15日現在の数値である。
同報告書は,裁判の迅速化に関する法律8条1項に基づき,最高裁判所が2年ごとに公表している検証結果である。
事件類型ごとの細かな数値は,同報告書の資料2-2-1(事件類型別平均審理期間等)及び資料2-6・2-9(地方裁判所管内別の数値)から取った。

「民事第一審訴訟」には,地方裁判所の通常訴訟のほか人事訴訟も含まれる(報告書45頁注1)。
平均審理期間は,訴えの受理から終局までの期間の平均である。
報告書の本文が「前回」と書くときは第10回報告書,すなわち令和4年の数値を指し,前年の令和5年の数値ではない。

2 平均値を依頼者への説明に使うときの前提

裁判の迅速化に関する法律2条1項は,「第一審の訴訟手続については二年以内のできるだけ短い期間内にこれを終局させ」ることを目標として掲げている。
これは目標であり,個々の事件を2年以内に終わらせる義務を裁判所に課す規定ではない。
平均審理期間は既に終わった事件の平均であり,係属中の事件がいつ終わるかを示すものでもない。

平均値は,短期間で終わる事件が多いと大きく下がる。
そのため,本記事では,全体の平均よりも,代理人の付き方・人証調べの有無・事件類型に分けた数値を重視する。

第2 民事第一審全体の審理期間
1 令和6年の平均と分布

令和6年の既済事件は13万9370件で,平均審理期間は9.2月であった(報告書47頁)。
平均審理期間は,平成20年の6.5月まで短くなった後に長期化し,令和3年・4年の10.5月を経て,令和6年は9.2月に短縮した。

審理期間の分布は,6月以内が58.1%,6月超1年以内が17.8%,1年超2年以内が16.5%,2年超が7.6%であった(報告書49頁,資料2-6)。
2年を超える割合は,前回(令和4年)の9.9%から下がっている。

2 平均を押し下げている事件

全体の平均が9.2月にとどまるのは,争いがほとんどなく短期間で終わる事件が多いためである。
例えば,建物の明渡し等の「建物」事件は4万0474件あり,平均審理期間は3.8月であった(資料2-2-1)。
判決で終局した事件のうち,被告が出頭しない欠席判決は平均3.4月で終わっている。

報告書は,第9回報告書から,過払金返還請求等の事件を統計から除く処理をやめ,全体の統計だけを分析している(報告書45頁注2)。
したがって,「民事裁判の平均は9.2月」という数値を,当事者双方が争う事件の目安として使うことはできない。

第3 代理人・人証調べ・合議で変わる期間
1 代理人の付き方

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民事訴訟で弁護士が付く割合と本人訴訟の割合―地裁・簡裁・人事訴訟・遺産分割・婚姻関係事件の推移(平成元年~令和6年)(AI作成)

目次第1 本記事の対象と資料1 資料と対象期間2 「代理事件数」と「代理割合」第2 地方裁判所の民事第一審通常訴訟1 代理事件数の推移2 令和6年の代理の状況3 建物事件の増加4 事件類型別の代理割合第3 簡易裁判所の民事第一審訴訟1 双方本人が8割を超える2 「双方本人」には司法書士が代理した事件を含む第4 人事訴訟と家事事件1 人事訴訟(離婚訴訟を含む)2 遺産分割事件(調停・審判)3 婚姻関係事件(調停・審判)第5 数字を読むときの注意1 全国の数値であること2 出典の時点による差3 平成15年以前の地裁の合計第6 関連記事第7 出典・参考資料1 統計・データ
第1 本記事の対象と資料
1 資料と対象期間

本記事は,法務省が法曹養成制度改革連絡協議会の第26回(令和8年3月3日開催)に提出した資料1-2「裁判事件数調査関係資料」に基づき,民事訴訟と家事事件で弁護士が代理人に付いている割合の推移を整理するものである。
資料1-2の代理人に関する図表は,いずれも司法統計を基に作成されたもの(令和7年6月時点)であり,平成元年から令和6年までの36年分の全国の数値を掲げている。
大阪地裁その他の裁判所ごとの数値は,この資料には含まれていない。

2 「代理事件数」と「代理割合」
(1) 代理事件数

資料1-2の「代理事件数」は,既済事件を,双方に弁護士が付いた事件(双方代理),原告側だけに付いた事件(原告代理),被告側だけに付いた事件(被告代理)及びどちらにも付いていない事件(双方本人)の4つに分けて数えたものである。
本記事では,この4区分の件数と,その合計に対する割合(本記事で計算したもの)を示す。

(2) 代理割合

資料1-2の「代理割合」は,弁護士が当事者に代理人として付いた数(双方代理の事件は2,一方だけの事件は1と数える)を,既済事件数の2倍で割ったものである。
代理割合は当事者の側ごとに数えた指標であり,「少なくとも一方に弁護士が付いた事件の割合」とは異なる。
例えば,令和6年の地裁の代理割合は約66%であるが,少なくとも一方に弁護士が付いた事件の割合は約91.5%である。

第2 地方裁判所の民事第一審通常訴訟
1 代理事件数の推移

表1は,資料1-2の図表17(地裁の民事第一審通常訴訟の代理事件数)の全年を並べたものである。
括弧内の割合は,4区分の合計に対する割合を本記事で計算したものである。
平成9年までは再審の件数を含むと注記されている。

年双方代理原告だけ代理被告だけ代理双方本人計平成元年51,660(47.4%)37,301(34.2%)3,351(3.1%)16,755(15.4%)109,067平成2年53,235(50.4%)34,367(32.6%)3,191(3.0%)14,730(14.0%)105,523平成3年51,689(49.2%)35,336(33.6%)3,035(2.9%)15,046(14.3%)105,106平成4年51,676(44.5%)40,710(35.1%)3,543(3.1%)20,101(17.3%)116,030平成5年53,336(40.7%)46,358(35.4%)4,137(3.2%)27,200(20.8%)131,031平成6年54,546(39.7%)48,761(35.5%)4,753(3.5%)29,384(21.4%)137,444平成7年57,000(40.9%)48,901(35.1%)4,690(3.4%)28,818(20.7%)139,409平成8年57,610(41.6%)48,829(35.3%)4,809(3.5%)27,236(19.7%)138,484平成9年58,270(41.7%)48,767(34.9%)4,847(3.5%)27,719(19.9%)139,603平成10年59,671(40.1%)51,148(34.4%)5,625(3.8%)32,183(21.7%)148,627平成11年59,137(40.5%)49,234(33.7%)6,115(4.2%)31,548(21.6%)146,034平成12年60,876(40.6%)48,688(32.5%)6,893(4.6%)33,478(22.3%)149,935平成13年57,002(38.4%)51,251(34.6%)7,371(5.0%)32,699(22.0%)148,323平成14年55,463(38.0%)50,922(34.9%)7,192(4.9%)32,486(22.2%)146,063平成15年55,492(37.3%)51,423(34.6%)7,124(4.8%)34,626(23.3%)148,665平成16年53,906(38.4%)49,849(35.5%)6,499(4.6%)30,170(21.5%)140,424平成17年52,963(39.8%)47,678(35.8%)5,719(4.3%)26,645(20.0%)133,005平成18年54,305(38.0%)52,258(36.6%)5,989(4.2%)30,424(21.3%)142,976平成19年56,262(32.5%)68,153(39.4%)7,308(4.2%)41,162(23.8%)172,885平成20年58,420(30.4%)77,157(40.1%)8,426(4.4%)48,230(25.1%)192,233平成21年59,812(27.9%)91,243(42.5%)9,086(4.2%)54,370(25.3%)214,511平成22年63,148(27.8%)102,983(45.3%)8,390(3.7%)52,914(23.3%)227,435平成23年63,672(30.0%)92,114(43.3%)8,721(4.1%)47,985(22.6%)212,492平成24年63,308(37.6%)65,070(38.7%)7,382(4.4%)32,469(19.3%)168,229平成25年60,700(40.5%)58,080(38.7%)5,849(3.9%)25,301(16.9%)149,930平成26年60,124(42.6%)54,430(38.6%)5,012(3.6%)21,442(15.2%)141,008平成27年62,286(44.2%)54,899(38.9%)4,689(3.3%)19,099(13.5%)140,973平成28年64,197(43.4%)55,582(37.5%)4,389(3.0%)23,855(16.1%)148,023平成29年64,686(44.3%)54,391(37.3%)4,032(2.8%)22,874(15.7%)145,983平成30年63,055(45.5%)53,490(38.6%)3,803(2.7%)18,336(13.2%)138,684令和元年61,750(46.9%)54,719(41.6%)3,896(3.0%)11,193(8.5%)131,558令和2年54,635(44.5%)54,796(44.6%)3,440(2.8%)9,892(8.1%)122,763令和3年67,397(48.5%)57,296(41.2%)4,146(3.0%)10,181(7.3%)139,020令和4年63,169(47.9%)54,904(41.7%)4,005(3.0%)9,725(7.4%)131,803令和5年58,959(42.8%)64,524(46.9%)3,953(2.9%)10,173(7.4%)137,609令和6年56,385(40.5%)67,205(48.2%)3,978(2.9%)11,802(8.5%)139,370
2 令和6年の代理の状況
(1) 9割を超える事件で少なくとも一方に弁護士が付いている

令和6年の地裁の既済事件139,370件のうち,双方に弁護士が付いた事件は56,385件(40.5%),原告側だけに付いた事件は67,205件(48.2%),被告側だけに付いた事件は3,978件(2.9%)であった。
どちらにも弁護士が付いていない事件は11,802件(8.5%)であり,少なくとも一方に弁護士が付いた事件は91.5%になる。
少なくとも一方に弁護士が付いた事件の割合は,令和元年から令和6年まで毎年91%から93%の間にある。

(2) 双方本人の減少

双方本人の割合は,平成21年の25.3%(54,370件)が最も高く,令和元年に8.5%(11,193件)へ下がった後は,7%から9%の間で推移している。
平成21年前後は過払金返還請求訴訟の多かった時期であり,資料1-2は,その多くが含まれる事件類型を「金銭のその他」と説明している。

(3) 双方代理の割合の低下

双方代理の割合は,令和3年の48.5%から令和6年の40.5%へ下がり,代わりに原告だけに弁護士が付いた事件の割合が41.2%から48.2%へ上がっている。

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強制執行・財産開示手続と時効の完成猶予・更新―差押えの了知不要,申立ての取下げ及び配当要求(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 民法148条の構造1 条文2 改正前民法との対応3 財産開示手続と第三者からの情報取得手続第3 債権執行の差押えと債務者の了知(最高裁令和元年9月19日判決)1 事案2 判示3 現行法での読み方第4 物上保証人に対する競売と債務者への通知(民法154条)1 競売開始決定正本の送達が通知に当たる(最高裁昭和50年11月21日判決)2 効力が生ずる時点(最高裁平成8年7月12日判決・平成7年9月5日判決)3 連帯保証人の債務の物上保証人に対する競売(最高裁平成8年9月27日判決)第5 申立ての取下げ1 改正前民法の下での判例(最高裁平成11年9月9日判決)2 一部の満足を得た後の取下げ(最高裁平成30年12月18日決定)3 現行法の下での取下げ第6 配当要求と時効(最高裁令和2年9月18日判決)1 事案と判示2 実務上の意味第7 時効管理の実務上の注意1 判決確定後の時効期間2 日付による例3 確認事項第8 関連記事第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象

本記事は,強制執行,担保権の実行,財産開示手続及び第三者からの情報取得手続によって消滅時効の完成が猶予され,又は更新される仕組み(民法148条)と,物上保証人に対する担保権の実行の場合の通知(民法154条)を,裁判所ウェブサイトで全文を確認できた最高裁判例に沿って整理するものである。
調査基準日は令和8年9月19日であり,条文はe-Gov法令検索で取得した現行条文によっている。

判決を得た後の回収の場面を主に想定している。
訴えの提起による完成猶予・更新は「訴えの提起と時効の完成猶予・更新―明示的一部請求,訴えの取下げ及び訴えの変更」,仮差押え・仮処分(民法149条)は「仮差押えと差押えの違い―処分禁止の効力,時効の完成猶予及び破産手続開始による失効」で扱う。
消滅時効全体の見取り図は「消滅時効に関するメモ書き」にある。

2 結論

強制執行・担保権の実行・財産開示手続・第三者からの情報取得手続を申し立てると,手続が終わるまでは時効が完成せず(完成猶予),手続が終わった時から時効が新たに進行を始める(更新)。
財産開示手続や第三者からの情報取得手続は,財産を差し押さえる手続ではないが,これらも完成猶予・更新の事由として条文に明記されている(民法148条1項4号)。

ただし,申立てを取り下げ,又は法律の規定に従わないことにより取り消されて手続が終わったときは,更新の効果は生じず,終了の時から6か月の完成猶予が残るだけである(民法148条1項括弧書・2項ただし書)。
改正前民法の下では,申立てを取り下げると(少なくとも請求債権の満足を得ないまま取り下げた場合には),時効中断の効力は初めから生じなかったことになるとされていた(改正前民法154条,最高裁平成11年9月9日判決)。

債権執行の差押えによって請求債権の時効が中断するためには,債務者が差押えを知り得る状態に置かれている必要はない(最高裁令和元年9月19日判決)。
これに対し,物上保証人の不動産に対する競売のように,時効の利益を受ける債務者以外の者に対して手続がされたときは,債務者に通知をした後でなければ完成猶予・更新の効力は生じない(民法154条)。
判例上,この通知は競売開始決定正本の債務者への送達で足り,その効力は送達の時(付郵便送達のときは到達の時)に生ずる。

マンションの管理組合が区分所有法の先取特権に基づいて配当要求をした場合,法定文書で先取特権が証明されれば,差押えに準ずるものとして時効中断の効力が生じ,債務者が配当異議を出さずに配当が実施されることまでは要しない(最高裁令和2年9月18日判決)。

第2 民法148条の構造
1 条文

民法148条1項は,「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。」と定める。
掲げられた事由は,①強制執行,②担保権の実行,③民事執行法195条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売,④民事執行法196条に規定する財産開示手続又は同法204条に規定する第三者からの情報取得手続である。

同条2項は,「前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。」と定める。
すなわち,これらの手続は,係属中は完成猶予の効果を持ち,取下げ・取消し以外の事由で終了したときに更新の効果を持つ。
訴えの提起(民法147条)と違い,権利が判決等で確定することは更新の要件とされていない。

2 改正前民法との対応

改正前民法は,「差押え、仮差押え又は仮処分」を時効の中断事由とし(改正前民法147条2号),「差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。」と定めていた(改正前民法154条)。
現行法は,差押え等を完成猶予と更新に分けた上,財産開示手続と第三者からの情報取得手続を明文で掲げ,取下げ・取消しの場合にも終了の時から6か月の完成猶予を認めた。
仮差押え・仮処分は,現行法では完成猶予だけの事由とされた(民法149条)。

施行日(令和2年4月1日)前に改正前民法147条の中断事由が生じた場合,その効力はなお従前の例による(平成29年法律第44号附則10条2項)。
以下で紹介する判例は,いずれも改正前民法の下での時効中断について判断したものである。

(続きを読む...)強制執行・財産開示手続と時効の完成猶予・更新―差押えの了知不要,申立ての取下げ及び配当要求(AI作成)

訴えの提起と時効の完成猶予・更新―明示的一部請求,訴えの取下げ及び訴えの変更(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 訴えの提起による完成猶予と更新(民法147条)1 条文の構造2 完成猶予が始まる時点3 改正前民法との対応第3 明示的一部請求と残部の時効1 最高裁昭和34年2月20日判決(先例)2 最高裁昭和43年6月27日判決(踏襲)3 一部であることを明示していない場合(最高裁昭和45年7月24日判決)4 残部についての裁判上の催告(最高裁平成25年6月6日判決)5 現行法の下での考え方第4 訴えの取下げと却下1 現行法の規律2 最高裁昭和50年11月28日判決(取下げ後も効力が存続する場合)第5 訴えの変更・別の請求権と裁判上の請求1 不法行為から不当利得への変更(最高裁平成10年12月17日判決)2 手形金請求と原因債権(最高裁昭和62年10月16日判決)3 被告として権利を主張する場合(最高裁昭和38年10月30日大法廷判決)第6 支払督促・和解・調停・倒産手続参加1 支払督促2 訴え提起前の和解と調停3 破産手続参加等第7 時効管理の実務上の注意1 提訴前に確認すること2 訴訟係属中に確認すること3 判決確定後第8 関連記事第9 出典・参考資料1 法令2 裁判例
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象

本記事は,訴えの提起その他の裁判上の請求等(民法147条)によって消滅時効の完成が猶予され,又は更新される仕組みを,裁判所ウェブサイトで全文を確認できた最高裁判例に沿って整理するものである。
調査基準日は令和8年9月19日であり,条文はe-Gov法令検索で取得した現行条文によっている。

扱うのは,①訴えの提起による完成猶予と更新の基本構造,②債権の一部だけを請求した場合(一部請求)の残部の時効,③訴えの取下げ,④訴えの変更・請求の追加,⑤支払督促・和解・調停等である。
催告(民法150条)と協議を行う旨の合意(民法151条)の詳細は「内容証明による催告と協議を行う旨の合意―6か月の完成猶予,再度の催告及び民法151条の使い方」,強制執行等による完成猶予・更新は「強制執行・財産開示手続と時効の完成猶予・更新―差押えの了知不要,申立ての取下げ及び配当要求」で扱う。
消滅時効全体の見取り図は「消滅時効に関するメモ書き」にある。

2 結論

訴えを提起すると,訴訟が続いている間は時効が完成せず(完成猶予),判決等で権利が確定すると,訴訟が終わった時から時効が新たに進行を始める(更新)。
権利が確定しないまま訴えを取り下げ,又は訴えが却下されたときでも,その時から6か月を経過するまでは時効が完成しない(民法147条1項括弧書)。

債権の一部だけを,一部であることを明示して請求した場合,裁判上の請求としての効力はその一部についてだけ生じ,残部には及ばない(最高裁昭和34年2月20日判決。最高裁昭和43年6月27日判決もこれを踏襲した)。
一部であることを明示していなければ,債権の同一性の範囲内で全部に効力が及ぶ(最高裁昭和45年7月24日判決)。
明示的一部請求の訴えは,特段の事情のない限り,残部について「裁判上の催告」としての効力を持つが,時効期間が経過した後の再度の催告にすぎない場合には時効の完成を妨げない(最高裁平成25年6月6日判決)。

したがって,残部を請求する可能性があるなら,時効期間が満了する前に請求を拡張するか,残部について別に訴えを提起しておくことが最も確実である。
施行日(令和2年4月1日)前に生じた時効の中断事由の効力は,なお改正前民法による(平成29年法律第44号附則10条2項)。

第2 訴えの提起による完成猶予と更新(民法147条)
1 条文の構造

民法147条1項は,「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。」と定める。
掲げられた事由は,①裁判上の請求,②支払督促,③民事訴訟法275条1項の和解又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停,④破産手続参加,再生手続参加又は更生手続参加の4つである。

同条2項は,「前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」と定める。
すなわち,裁判上の請求等は,手続の係属中は完成猶予の効果を持ち,権利が確定すれば更新の効果を持つ。
確定判決等によって確定した権利の時効期間は,10年より短い時効期間の定めがあるものであっても10年となる(民法169条1項)。
この点は「判決で確定した債権の消滅時効は10年―民法169条と改正前169条(定期給付債権)の違い」で扱う。

2 完成猶予が始まる時点

民事訴訟法147条は,「訴えが提起されたとき、又は第百四十三条第二項(第百四十四条第三項及び第百四十五条第四項において準用する場合を含む。)の書面が裁判所に提出されたときは、その時に時効の完成猶予又は法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求があったものとする。」と定める。
訴状が被告に送達された時ではなく,訴えを提起した時が基準である。
訴訟の途中で請求を拡張し,又は新たな請求を追加する場合は,訴えの変更の書面(民事訴訟法143条2項)を裁判所に提出した時が基準となる。

3 改正前民法との対応

改正前民法は,「請求」を時効の中断事由とし(改正前民法147条1号),「裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。」と定めていた(改正前民法149条)。

(続きを読む...)訴えの提起と時効の完成猶予・更新―明示的一部請求,訴えの取下げ及び訴えの変更(AI作成)

判決で確定した債権の消滅時効は10年―民法169条と改正前169条(定期給付債権)の違い(AI作成)

目次第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 民法169条の内容1 条文2 趣旨3 起算点と計算例4 10年に延びない場合第3 改正前民法169条・174条の2との関係1 改正前民法174条の22 改正前民法169条(定期給付債権)3 経過措置第4 「確定判決と同一の効力を有するもの」1 主なもの2 公正証書(執行証書)は含まれない3 裁判外の合意は含まれない第5 民法169条の適用範囲1 確定の時に弁済期が到来していない債権2 保証人・原因債権への影響第6 判決確定から10年が近づいたときの対応1 債権者側の手段2 債務者側の対応第7 関連記事第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象

本記事は,判決や裁判上の和解等によって確定した債権の消滅時効が何年になるかを扱う。
調査基準日は令和8年9月19日であり,条文はe-Gov法令検索で取得した現行条文と,平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)の条文で確認し,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で確認した。
消滅時効全体の見取り図は,消滅時効に関するメモ書きにまとめている。

2 結論

確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利は,本来の時効期間が10年より短くても,確定の時から10年で時効にかかる(民法169条1項,147条2項)。
例えば,5年で時効になる売買代金債権でも,判決が確定すれば,確定の日の翌日から10年間は時効が完成しない。

「確定判決と同一の効力を有するもの」には,裁判上の和解・請求の認諾の調書,民事調停・家事調停の調書,督促異議のなかった仮執行宣言付支払督促,確定した破産債権についての破産債権者表の記載等が含まれる。
これに対し,強制執行認諾文言付きの公正証書(執行証書)は,強制執行はできるが確定判決と同一の効力を有するものではないから,民法169条による10年への延長はない。

確定の時に弁済期が到来していない債権(和解で定めた将来の分割金等)には,民法169条1項は適用されない(同条2項)。
主たる債務について判決が確定して時効期間が10年に延びると,保証人の債務の時効期間も10年になるとするのが改正前民法の下での判例である。

条番号には注意を要する。
改正前民法169条は,年又はこれより短い時期によって定めた給付を目的とする債権(定期給付債権)の5年の短期消滅時効の規定であり,現行民法169条とは内容がまったく異なる。
現行民法169条に当たる規定は,改正前は民法174条の2に置かれていた。

第2 民法169条の内容
1 条文

民法169条1項は,「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。」と定める。
同条2項は,「前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。」と定める。

同条は,時効期間を10年に延ばす規定であるが,時効が新たに進行を始めること自体は,民法147条2項による。
民法147条1項は,裁判上の請求,支払督促,裁判上の和解・調停,破産手続参加等の事由がある場合,その事由が終了するまで時効は完成しないとし,同条2項は,「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」と定める。
つまり,訴えの提起によって時効の完成が猶予され(完成猶予),判決の確定によって時効が新たに進行を始め(更新),その新たな時効期間が民法169条によって10年となる。

2 趣旨

確定判決等によって権利の存在が公的に確認された後も,本来の短い時効期間(例えば5年)がそのまま適用されると,債権者は短期間のうちに再び時効の完成を防ぐ手段を講じなければならなくなる。
民法169条は,権利の存在が確定した以上,証拠の散逸を理由とする短期の時効を維持する必要は乏しいという考え方に基づき,時効期間を一律に10年としたものと考えられる。
後記第5の2の最高裁昭和53年判決も,時効期間が延長されたのに原因債権の時効完成によって債務名義の執行力が排除されることがあっては「手形債権者の通常の期待に著しく反する結果となる」と述べており,判決等による確定後の権利行使への期待を保護する趣旨がうかがわれる。

3 起算点と計算例

判決確定後の10年は,判決が確定した日の翌日から起算する。
最高裁判所第二小法廷昭和46年7月23日判決(昭和45年(オ)第622号,集民103号457頁)は,求償金請求訴訟の勝訴判決が昭和36年9月5日の経過とともに確定した事案について,求償金債権は「判決確定の日の翌日である昭和三六年九月六日から、さらに一〇年の時効期間に服することになつた」と述べている。

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裁判所の予算はいつ決まるか-概算要求基準の閣議了解から国会での成立まで(令和2年度~令和9年度の日程)(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と資料2 結論第2 年度別の日程1 概算要求まで2 政府予算案から成立まで第3 日程から外れた年度1 令和3年度予算——送付期限の延長2 令和7年度予算——国会での修正3 令和8年度予算——暫定予算第4 日程を定める法令1 財政法及び予算決算及び会計令2 詳しい解説第5 裁判所側の資料が公表される時期1 概算要求2 成立予算第6 関連記事第7 出典1 法令2 財務省3 国会会議録4 裁判所ウェブサイト
第1 この記事の対象と結論
1 対象と資料

この記事は,裁判所の予算が,概算要求から国会での成立まで,毎年どのような日程で進んでいるかを,令和2年度予算から令和9年度予算までの実際の日付で整理するものである。
日付は,財務省ウェブサイトの各年度の「予算」の頁に掲載された日付によった。
令和5年度予算の頁は財務省ウェブサイトから外れているため,国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)に保存された同頁によった。

本記事の基準日は令和8年9月19日である。
本記事は生成AIを用いて資料を照合し,資料に書かれた事実と,資料から考えられることを区別して整理したものである。

2 結論

裁判所の予算は,おおむね,夏に概算要求の基準が閣議了解され,8月31日までに最高裁判所が見積りを内閣に送付し,9月上旬に各省各庁の概算要求が公表され,12月下旬に政府予算案が閣議決定され,翌年1月に国会に提出され,3月下旬に成立するという日程で進む。

もっとも,この日程は毎年同じではない。
令和3年度予算は,送付期限が政令で9月30日に延ばされ,各省各庁の概算要求の公表は10月7日であった。
令和8年度予算は,概算要求の基準の閣議了解が8月8日,国会提出が2月20日であり,年度内に成立せず,暫定予算を経て4月7日に成立した。

第2 年度別の日程
1 概算要求まで
予算の年度概算要求の基準各省各庁の概算要求の公表令和2年度令和元年7月31日閣議了解令和元年9月5日令和3年度令和2年7月21日(「具体的な方針」についての閣議での財務大臣発言)令和2年10月7日令和4年度令和3年7月7日閣議了解令和3年9月7日令和5年度令和4年7月29日閣議了解令和4年9月5日令和6年度令和5年7月25日閣議了解令和5年9月5日令和7年度令和6年7月29日閣議了解令和6年9月4日令和8年度令和7年8月8日閣議了解令和7年9月3日令和9年度令和8年7月30日閣議了解令和8年9月4日

概算要求の基準の名称は,多くの年度で「令和○年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」である。
ただし,令和3年度は「令和3年度予算の概算要求の具体的な方針について」(閣議での財務大臣発言要旨)であり,令和8年度は「令和8年度予算の概算要求について」である。

2 政府予算案から成立まで
予算の年度政府予算案の閣議決定国会提出成立令和2年度令和元年12月20日令和2年1月20日令和2年3月27日令和3年度令和2年12月21日令和3年1月18日令和3年3月26日令和4年度令和3年12月24日令和4年1月17日令和4年3月22日令和5年度令和4年12月23日令和5年1月23日令和5年3月28日令和6年度令和5年12月22日令和6年1月26日令和6年3月28日令和7年度令和6年12月27日令和7年1月24日令和7年3月31日令和8年度令和7年12月26日令和8年2月20日令和8年4月7日

令和3年度予算の成立日は,財務省の頁に記載がないため,国会会議録(第204回国会参議院本会議,令和3年3月26日)によった。
令和6年度予算は,令和5年12月22日の閣議決定の後,令和6年1月16日に概算の変更が閣議決定されている。

第3 日程から外れた年度
1 令和3年度予算——送付期限の延長

令和三年度予算に係る歳入歳出等の見積書類の送付期限の特例を定める政令(令和2年政令第230号)は,令和3年度予算に係る財政法17条各項の見積書類の送付期限を,予算決算及び会計令8条1項及び3項の規定にかかわらず,令和2年9月30日とした。
この政令は,最高裁判所長官が内閣に送付する見積書類(財政法17条1項)と,各省大臣が財務大臣に送付する見積書類(同条2項)の両方に適用された。
各省各庁の概算要求の公表が令和2年10月7日と例年より約1か月遅くなったのは,この延長に対応したものと考えられる。

2 令和7年度予算——国会での修正

令和7年度予算は,令和7年3月4日に衆議院で修正の上可決され,同月31日に参議院で修正の上可決されて衆議院が同意し,成立した。
財務省の頁は,成立した予算を「衆議院修正+参議院修正後」のものとして掲載している。

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裁判所の予算はいくらか-国家予算に占める割合,人件費・物件費・施設費の内訳及び令和9年度概算要求(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と資料2 結論第2 国の一般会計予算に占める割合1 年度別の割合2 読み方第3 昭和23年度以降の長期推移1 資料と数値の性質2 年度別の割合3 読み方第4 人件費・物件費・施設費の内訳1 年度別の内訳2 人件費3 物件費4 施設費第5 令和9年度概算要求1 要求・要望額2 国の概算要求の中での割合第6 予算額についての見方1 弁護士会の意見2 予算編成の過程について公表されていること3 執務環境との関係第7 関連記事第8 出典1 裁判所ウェブサイト2 財務省3 その他
第1 この記事の対象と結論
1 対象と資料

この記事は,裁判所の予算の規模を,国の一般会計予算に占める割合と,人件費・物件費・施設費の内訳から,平成31年度から令和8年度までの当初予算と令和9年度の概算要求で整理するものである。
裁判所の予算額と内訳は,裁判所ウェブサイトの各年度の「予算の概要」及び「概算要求の概要」によった。
国の一般会計予算の総額と裁判所所管の金額は,財務省の予算書・決算書データベースに掲載されている各年度の一般会計予算(当初)の歳出データを千円単位で合計して求めた。

本記事の基準日は令和8年9月19日である。
本記事は生成AIを用いて資料を照合し,資料に書かれた事実と,資料から考えられることを区別して整理したものである。

2 結論

令和8年度の裁判所予算は3495億円であり,国の一般会計予算122.3兆円の約0.29%である。
この割合は,平成31年度の約0.32%から少しずつ下がっており,国の予算が増える一方で,裁判所の予算は3200億円台から3500億円弱の間で推移してきた。
補正予算を反映した後の予算で昭和23年度以降を見ると,割合は昭和30年度の0.906%が最も高く,その後はおおむね低下を続け,令和2年度には0.186%となった。

内訳では人件費が大部分を占めるが,その比率は令和4年度の84%から令和8年度の80%へ下がり,令和9年度の要求・要望額では74%である。
他方,物件費は令和4年度の384億円から令和8年度の579億円に増え,令和9年度の要求・要望額では800億円である。

第2 国の一般会計予算に占める割合
1 年度別の割合

各年度の一般会計予算(当初)について,裁判所所管の金額と一般会計の総額を比べると,次のとおりである。

年度裁判所一般会計総額割合平成31年度3256億円101.5兆円0.321%令和2年度3266億円102.7兆円0.318%令和3年度3254億円106.6兆円0.305%令和4年度3228億円107.6兆円0.300%令和5年度3222億円114.4兆円0.282%令和6年度3310億円112.6兆円0.294%令和7年度3352億円115.2兆円0.291%令和8年度3495億円122.3兆円0.286%

割合は,予算書の歳出データの千円単位の合計から計算し,小数点以下第4位を四捨五入した。
裁判所の金額は億円未満を四捨五入しており,裁判所ウェブサイトの各年度の「予算の概要」の予算額(百万円単位)と一致する。
令和7年度の一般会計総額は,衆議院及び参議院で修正された後の成立予算の金額である。

2 読み方

裁判所予算の割合が下がっているのは,裁判所予算が減ったからではなく,国の一般会計予算が裁判所予算より大きく増えたためである。
平成31年度から令和8年度までに,裁判所予算は約7%増えたのに対し,一般会計総額は約21%増えている。

一般会計総額には,国債費,地方交付税交付金及び社会保障関係費が含まれている。
そのため,この割合は,裁判所の予算が他の行政分野と比べて多いか少ないかを直接示すものではない。
国の予算の中での位置付けを示す一つの目安として読むのが適当である。

なお,日弁連委員会ニュース2022年1月1日号15頁の「もっと知ってください、裁判所予算」も,令和3年度当初予算について,裁判所予算の国家予算に占める割合を「0・305%」とし,昭和40年度は「0・761%程度」であったと述べている。
上の表の令和3年度の0.305%は,この記載と一致する。

第3 昭和23年度以降の長期推移

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裁判所の判例検索システムの予算と契約-法令・判例等検索システム,法律雑誌等検索システム及びWeb版図書情報システム(AI作成)

目次第1 この記事の対象と結論1 対象と資料2 結論第2 三つのシステムの内容1 法令・判例等検索システム2 法律雑誌等検索システム3 Web版図書情報システム第3 概算要求上の年額の推移1 年度別の要求額2 要求と要望の区別3 成立予算との関係第4 令和2年度から令和6年度までの契約1 三つの契約書2 Web版図書情報システムの初期費用3 国庫債務負担行為第5 令和7年度以降の変化1 要求の記載の変化2 確認できていないこと第6 資料の読み方1 歳出概算要求書との対応2 読むときの注意第7 関連記事第8 出典1 最高裁判所の概算要求書(説明資料)2 契約書3 裁判所ウェブサイト
第1 この記事の対象と結論
1 対象と資料

この記事は,裁判官や裁判所書記官が執務で使う有料の検索サービスについて,最高裁判所が毎年度の概算要求でいくらを要求し,どのような契約を結んでいたかを,公表資料と当ブログ掲載の資料で整理するものである。
対象は,最高裁判所の概算要求書(説明資料)で「裁判運営の改善経費」に並んでいる,法令・判例等検索システム,法律雑誌等検索システム及びWeb版図書情報システムの三つである。

使った資料は,令和2年度から令和8年度までの最高裁判所の概算要求書(説明資料),裁判所ウェブサイトに掲載されている令和4年度の一般会計歳出概算要求書,及び令和2年4月1日付けの契約書3通である。
本記事の基準日は令和8年9月19日である。
本記事は生成AIを用いて資料を照合し,資料に書かれた事実と,資料から考えられることを区別して整理したものである。

2 結論

三つのシステムは,いずれも最高裁判所が一括して契約し,全国の裁判所の職員が端末から利用する有料サービスである。
令和2年度から令和6年度までは5年間の契約が結ばれており,法令・判例等検索システムは第一法規株式会社,法律雑誌等検索システムは株式会社エル・アイ・シー,Web版図書情報システムは株式会社OPACが受注者であった。

概算要求上の年額は,令和3年度から令和6年度まで,法令・判例等検索システムが4026万円,法律雑誌等検索システムが2942万5000円で毎年同じであった。
これに対し,令和7年度の要求は4818万円弱と4356万円に増え,令和8年度の要求は4593万6000円と3960万円である。
令和7年度以降の契約の相手方及び契約期間は,本記事では確認できていない。

第2 三つのシステムの内容
1 法令・判例等検索システム

令和4年度の概算要求書(説明資料)160頁は,法令・判例等検索システムを「法令,判例及び文献情報を検索閲覧するシステム」と説明している。
同頁によれば,裁判官や書記官が各自の端末からアクセスし,裁判執務に必要な法規,判例,法律判例文献の著者名及び雑誌名等を入手するためのものであり,知的財産高等裁判所用のものが別に計上されている。

令和2年度からの契約書によれば,利用できるクライアント端末は2万6000台まで,サーバへの同時アクセス数は500台までとされていた。

2 法律雑誌等検索システム

同じ説明資料161頁は,法律雑誌等検索システムを,判例や法律雑誌に掲載された論文,評釈及び解説等を収録したデータベースであり,主要法律雑誌の判例評釈及び解説を原本性を保持したPDFデータとして収録し,判例と関連付けて検索閲覧できるものと説明している。
同頁は,これが法令・判例等検索システムにない機能であり,二つのシステムは相互に補完して利用するものと位置付けている。

令和2年度からの契約書によれば,利用できるクライアント端末は1万8000台まで,サーバへの同時アクセス数は500台までとされていた。

3 Web版図書情報システム

Web版図書情報システムは,下級裁判所の資料室や裁判官室等で管理している図書資料の情報を運営会社の蔵書検索サービスにアップロードし,職員がインターネット経由で図書の有無や配架場所を検索できるようにするものである。
管理対象の図書資料は,令和6年度までの説明資料では約230万冊,令和7年度以降の説明資料では約500万冊とされている。

第3 概算要求上の年額の推移
1 年度別の要求額

各年度の概算要求書(説明資料)の経費積算内訳に記載された単価を,知的財産高等裁判所用を合算して示すと,次のとおりである。
単価の欄は円単位であり,いずれも「一式」として計上されている。

(続きを読む...)裁判所の判例検索システムの予算と契約-法令・判例等検索システム,法律雑誌等検索システム及びWeb版図書情報システム(AI作成)