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裁判所

横浜地裁の事務分配(令和8年度)―民事の担当部・本庁と支部の回付・刑事事件(AI作成)

目次

第1 どの資料を確認するか第2 横浜地裁本庁の民事事件はどの部に配分されるか第3 本庁と支部の取扱い・相模原支部からの回付第4 刑事事件の分配と代理順序第5 担当裁判官・提出窓口・期日の確かめ方第6 出典と関連記事
第1 どの資料を確認するか

横浜地裁で手続をする際は,申立書を提出する庁・窓口,受理後に事件を担当する部,個別の期日・法廷を順に確認すると整理しやすい。
横浜地裁の令和8年度事務分配規程は,部・支部ごとの取扱い,事件の分配,裁判官の配置と代理順序などを定めている。
この記事は令和8年4月20日現在の規程を読むための案内である。

規程の附則による当初の施行日は令和8年1月1日で,同年3月26日付規程第7号の第2項は4月20日に施行された。
規程の年度,改正規定の施行日,担当裁判官一覧の更新時点はそれぞれ区別する必要がある。

第2 横浜地裁本庁の民事事件はどの部に配分されるか

規程は本庁に第1から第9までの民事部を置き,民事事件を通常事件と特殊事件に分けている。
特殊事件に当たるかは,事件の呼び名に加え,請求の内容と別表第1の(2)の定義で確認する。

主な特殊事件の配分先は,次のとおりである。
① 第1民事部は行政・知的財産に関する特殊事件を担当する。
② 第3民事部は規程で定める保全・緊急保護,倒産,執行,調停・民事非訟,情報流通プラットフォーム対処法の所定の申立事件を担当する。
③ 医療に関する事件は,第4民事部と第5民事部に受理順で交互に配分する。
④ 交通に関する事件は第6民事部に配分する。
控訴・抗告事件はこの扱いから外れる。
⑤ 労働審判は本庁で取り扱い,第7民事部に配分する。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・死亡等を理由とする損害賠償請求のうち別表第1の(2)9(2)に当たる事件は,第1・第3・第6民事部を除く各部に受理順で配分する。
⑥ 建築に関する事件は原則として第9民事部に配分する。
事務分配調整委員会は,一部を第2・第4・第5・第8民事部に配分するなどの調整ができる。
⑦ 消費者裁判手続特例法3条の共通義務確認請求事件は,第2・第8・第9民事部に受理順で配分する。

例えば,医療に関する事件には,別表所定の医療行為の過失を理由とする損害賠償請求や,その被害を理由とする債務不存在確認請求が含まれる。
建築代金の請求には,工事の瑕疵・債務不履行,工事の追加・変更など,別表所定の争点がある場合に当たる類型がある。

通常事件は,例外を除き,事件の種類ごとに受理順と別表第1の(3)の割合で配分する。
第19条3項では,所定の医療事件1件を通常の第一審訴訟事件4件分,所定の交通事件1件を2件分,建築事件と共通義務確認請求事件をそれぞれ3件分として配分を調整する。
これは配分計算の換算である。
実際の受付件数や審理期間を知るには,それぞれ別の資料が必要になる。

第3 本庁と支部の取扱い・相模原支部からの回付

横浜地裁には川崎・相模原・横須賀・小田原の各支部がある。
労働審判の提出先は横浜地裁本庁の第7民事部で,行政事件も本庁で取り扱う。

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大川原化工機事件の担当裁判官が分かる文書はなぜ不開示か――裁判所の存否応答拒否(AI作成)

目次

第1 何が不開示になったのか第2 裁判所が文書の存否を答えない仕組み1 司法行政文書と事件記録2 存否応答拒否と個人識別情報第3 最初の不開示と令和6年の答申1 申出と原判断2 匿名の答申と事件を結び付ける資料3 委員会が原判断を妥当とした理由第4 令和7年の再申出と令和8年の諮問1 再申出から審議まで2 報道機関の取材への対応をどう評価したか第5 保釈請求や担当裁判官が公開資料で分かることとの関係第6 関連PDFで分かること1 裁判所の開示手続をたどる資料2 国賠判決・検察の対応をたどる資料第7 類例と関連記事第8 出典
第1 何が不開示になったのか

大川原化工機事件で,逮捕状,勾留状,勾留延長及び保釈請求の各手続を担当した裁判官の氏名が分かる文書について,東京地裁は,文書があるかどうかを明らかにしないで不開示とした。
東京地裁が答えなかったのは,開示を申し出た文書の存否そのものである。
文書の存否を答えると明らかになるとされたのは,特定の被告人に対して逮捕状が請求された事実や,勾留,勾留延長及び保釈の各請求がされた事実の有無である。 東京地裁の不開示通知書,最高裁判所事務総長の理由説明書

本記事では,令和3年から令和8年までの開示申出,苦情申出,諮問及び答申の資料に基づき,裁判所が文書の存否を答えない仕組みと,事件に関する公開資料との関係を整理する(令和8年11月6日時点)。

第2 裁判所が文書の存否を答えない仕組み
1 司法行政文書と事件記録

裁判所の司法行政文書の開示は,最高裁判所の取扱要綱に基づいて行われる。
行政機関情報公開法は裁判所に直接適用されないが,要綱記第2は,同法5条の不開示情報に相当する情報を不開示の基準としている。
事件記録のように裁判事務に関して保有している文書は,原則として司法行政文書の開示の対象にならず,事件記録の閲覧・謄写はそれぞれの法律が定める手続による。 取扱要綱1~2頁,裁判所の手続案内

2 存否応答拒否と個人識別情報

要綱記第5は,開示の申出があった司法行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは,その存否を明らかにしないで開示しないことができると定めている。
行政機関に対する開示請求については,情報公開法8条が同じ構造の規定を置いている。
本件の申出は,事件を特定した上で各雑事件の担当裁判官が分かる文書を求めたものであったため,存否を答えることによって被告人に関するどの事実が分かるかが問題になった。 取扱要綱記第5,行政機関情報公開法5条1号・8条,令和5年度(情)答申第37号の第6

文書の一部を伏せて開示する部分開示は要綱記第3に,公益上特に必要がある場合の開示は記第4に定められている。
存否応答拒否の通知からは,申出文書を裁判所が保有しているかどうかは分からない。 取扱要綱記第3~5

第3 最初の不開示と令和6年の答申
1 申出と原判断

令和3年12月9日付けの開示申出は,令和4年に2回補正された。
東京地裁所長は,令和5年5月25日,対象文書の存否を答えることは,公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがある情報(情報公開法5条1号後段に相当)を開示することとなるとして,その存否を明らかにしないで不開示とした。
「既済事件一覧表」は,申出の対象文書の例として申出書に挙げられたものである。 東京地裁の令和5年5月25日付け不開示通知書

2 匿名の答申と事件を結び付ける資料

令和5年7月24日付けの諮問は,令和5年度(情)諮問第22号である。
同年7月31日付けの諮問番号通知には,対象となった外為法違反被告事件の2つの起訴日が示されている。
令和6年1月31日付けの答申書の写しの送付状は,同じ諮問に対して同月24日に令和5年度(情)答申第37号がされたことを示している。
裁判所のウェブサイトに掲載された答申は罪名と起訴日を匿名化しているため,事件との対応はこの通知と送付状で確認できる。 諮問番号通知・理由説明書,答申書の写しの送付状と答申書,裁判所のウェブサイトの答申

3 委員会が原判断を妥当とした理由

最高裁判所事務総長の理由説明は,存否を答えると被告人に対する身柄拘束の事実の有無という機微な情報が明らかになるとして,情報公開法5条1号後段に相当するとした。
委員会は,存否を答えることは当該被告人の逮捕状の請求,勾留,勾留延長及び保釈の各請求に関する事実の有無を明らかにすることと同様の結果を生じさせるとして,同号に規定する個人識別情報に相当すると判断し,原判断を妥当とした。 答申第4及び第6

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最高裁判所のDX推進担当募集―年収例820万~950万円,応募資格と12月2日の郵送締切(AI作成)

目次

第1 募集の概要と応募方法第2 仕事内容と応募資格1 必須の4要件2 歓迎要件と応募できない場合第3 年収例・任期・働き方1 この年収でDX推進の実務を担う人材を採用できるか第4 書類選考と二次までの口述試験第5 過去の公募との違い第6 関連記事第7 出典
第1 募集の概要と応募方法

最高裁判所は令和8年11月5日,令和9年4月採用予定のDX推進担当を1人募集すると公表した。
任期付常勤の国家公務員で,勤務先は最高裁判所と東京高等裁判所である。
郵送で応募する場合は令和8年12月2日消印有効で,年収の公表例は約820万~950万円である。

最高裁判所の募集要項が示す応募受付期間は,令和8年11月5日から12月2日までである。
郵送する場合は,先に最高裁判所事務総局人事局総務課職員任用第一係へ電話で連絡し,12月2日までに履歴書を郵送する(同日消印有効)。
履歴書には連絡先の電話番号とメールアドレスを記入し,6か月以内に撮影した写真を貼り,上部余白に「【常勤】DX推進担当」と朱書きする。
電話番号と受付時間,郵送先は最高裁判所の募集要項(第12項・第13項)で確認できる。

民間の人材紹介サービスから応募する場合は,各サイト所定の方法による。
エン株式会社の公募発表は,エン転職,ミドルの転職,AMBIを応募受付サイトとして挙げ,全体の応募受付期間を12月2日までとしている。
令和8年11月6日の確認時点では,ミドルの転職とAMBIの個別求人の掲載期間は11月18日までと表示されていた。
郵送の締切と,各サイトでの掲載・受付の状況はそれぞれ確認したい。

第2 仕事内容と応募資格

仕事の柱は,業務自動化・補助ツールの開発と運用保守,そしてDXの視点から業務の進め方を見直すBPRの支援である。
短期的に優先される業務は,Microsoft 365やローコード・RPAツールを使って現場で必要とされるツールを開発し,導入後の運用・保守まで担うことである。
既存ツールの改修と標準化,職員による内製開発への技術支援も含まれる。
BPRの支援では,現場の課題をもとに,業務の廃止・簡素化も含めて仕事の進め方を再設計し,改善策を実装する。

1 必須の4要件

① Power Appsなどのローコードツールや,UiPath,Power Automate,WinActorなどのRPAツールを用いた実装経験があること。
② 課題を論理的に分析し,関係者の潜在的なニーズを引き出して,施策に具体化し実行できること。
③ 大学卒業または同等の教養があり,文章作成と関係機関との調整ができること。
④ 任期付職員として,原則として令和9年4月1日から3年間勤務できること(採用時期は事情に応じて調整できる。)。

採用担当者のインタビューでは,司法に関する知識・実務経験は問わないと説明している。
募集要項は,SIerやITコンサルティング会社で業務改善に携わった人,事業会社や大規模組織の情報システム・DX推進部門で社内業務のBPRやツール導入を経験した人を想定例に挙げ,それ以外の人も歓迎するとしている。

2 歓迎要件と応募できない場合

歓迎要件の例には,IT構築やツール導入などの実行まで顧客に伴走し,多人数が関わる業務改善プロジェクトを企画・計画した経験,大規模組織でのBPR,アジャイル開発,生成AI等を使った業務改善,PMPやMicrosoftの認定資格などがある。
これらは募集要項の必須4要件と別に示されている。
所定の資格がなくても,同等以上の実務経験や所定水準に相当する知識・経験・実績があれば歓迎される。

募集要項第5項⑶は,日本国籍を有しない人,国家公務員法第38条の規定に該当する人,平成11年改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている人(心神耗弱を原因とするもの以外)は応募できないとしている。

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判例集・裁判集のデジタル化と裁判例検索―令和8年の改修契約から分かること(AI作成)

目次

第1 判例集・裁判集のデジタル化に対応する改修第2 契約書に書かれていること第3 公式サイトの掲載範囲と省略・置換第4 判例を特定する情報とURLは分けて控える第5 よくある疑問1 すべての裁判例を無料で読めるようになるのか2 契約の期限が過ぎていれば,新機能は公開済みなのか3 民間の判例データベースは不要になるのか第6 出典
第1 判例集・裁判集のデジタル化に対応する改修

裁判所の公式サイトで判例を探す人にとって,どの資料が掲載され,どのような情報を手掛かりに調べられるかは重要である。
最高裁判所とキャップジェミニ株式会社との令和8年6月30日付契約は,裁判例検索の機能を判例集・裁判集のデジタル化に対応させることを目的として明記している。
契約の存在から確認できる目的と,現在の公式資料が説明する掲載範囲を整理する。

第2 契約書に書かれていること

契約書PDFの9頁にある仕様書は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索機能の改修を業務の目的としている。
同じ契約には,検察審査会の議決要旨を掲載する機能の追加も含まれる。
契約金額は両方の改修を合わせて税込605万円であり,判例集・裁判集への対応だけの金額ではない。

契約上の作業期間は令和8年10月30日までとされ,結合テスト仕様書,操作マニュアル及び作業完了報告書が成果物として定められている。
一方,別紙の設計・開発部分には黒塗りがあり,検索画面の詳細,収録年代,データ形式などを契約書だけで確定することはできない。
根拠は,令和8年6月30日付契約書の2頁,9頁及び18頁~20頁である。

「判例集・裁判集のデジタル化に対応させること」という目的の記載は,紙の判例集・裁判集の全巻がすでに公開されたことや,全資料について全文検索ができることを証明するものではない。
機能の公開状況や収録範囲は,契約とは別に,公式の案内と実際に提供される資料を確認する必要がある。

第3 公式サイトの掲載範囲と省略・置換

裁判所の裁判例情報の説明は,裁判例検索の掲載対象や,掲載文書の取扱いを説明している。
同ページによれば,「最高裁判所」の区分には,最近の主な最高裁判所の判決等のほか,最高裁判所民事判例集・刑事判例集及び最高裁判所裁判集民事・刑事に登載された判決等が掲載されている。
もっとも,裁判所ウェブサイトには,すべての裁判例が掲載されているわけではない。
検索で見つからないことと,その裁判例が存在しないことは区別する必要がある。

また,掲載文書では,固有名詞等が記号に置き換えられたり,JIS第1・第2水準にない文字が近い文字に変換されたり,画像等が省略されたりする場合がある。
原文の表記や別紙の有無が問題になる場合は,ウェブ掲載文書の性質を踏まえて調べる必要がある。
今回の改修契約から,こうした掲載上の取扱いがすべてなくなると推測することはできない。

第4 判例を特定する情報とURLは分けて控える

判例を後で再確認できるようにするには,URLだけでなく,裁判所,裁判年月日,事件番号,判例集の巻・号・頁など,判例を特定できる情報を併せて控えておくとよい。
サイトのURLや検索画面が変わった場合でも,調べ直す手掛かりになるからである。
これは資料管理上の提案であり,今回の契約が特定の検索項目や入力方法を保証しているという意味ではない。

令和7年の裁判所ウェブサイトのリニューアルに伴うURL変更と,今回のデジタル化対応の改修は,時期と内容が異なる。
旧形式のリンクを調べ直す方法については,裁判例のURL変更と読み替え方を参照されたい。

第5 よくある疑問
1 すべての裁判例を無料で読めるようになるのか

(続きを読む...)判例集・裁判集のデジタル化と裁判例検索―令和8年の改修契約から分かること(AI作成)

検察審査会の議決要旨のウェブ掲載―法改正と令和8年の機能改修契約(AI作成)

目次

第1 議決要旨をウェブサイトに掲載するための改修契約第2 605万円の契約に含まれる2つの改修第3 検察審査会法40条の改正との関係第4 議決要旨と議決書全文・事件記録は区別する第5 掲載情報を調べる際の注意点と関連資料第6 出典
第1 議決要旨をウェブサイトに掲載するための改修契約

検察審査会の議決の要旨を,裁判所ウェブサイトに掲載するための機能改修が契約されている。
最高裁判所とキャップジェミニ株式会社との令和8年6月30日付契約に添付された仕様書は,議決要旨の掲載機能を追加することを業務の目的の一つに挙げている。
これにより,掲載機能の整備が具体的な調達の対象になったことが分かる。

ただし,機能の整備を発注したことと,実際に公開を開始したことは別である。
契約書から分かる内容と,法律が定める公表の仕組みを分けて整理する。

第2 605万円の契約に含まれる2つの改修

契約金額は消費税を含めて605万円である。
契約書PDFの9頁にある仕様書は,検察審査会の議決要旨の掲載機能と,判例集・裁判集のデジタル化に対応する裁判例検索の機能改修を,同じ業務の対象としている。
したがって,605万円を議決要旨の掲載だけの費用と説明することはできない。

仕様書が定める作業期間の終期は,令和8年10月30日である。
別紙には要件定義,設計・開発,結合テスト,操作マニュアルの作成,リリース作業等に関する記載があるが,黒塗りされた部分もあり,利用者向け画面の詳細までは読み取れない。
この期限だけから,機能の公開日や検収完了日を特定することもできない。
以上の契約内容は,令和8年6月30日付契約書の2頁,9頁及び15頁~20頁による。

第3 検察審査会法40条の改正との関係

令和7年法律第39号による検察審査会法40条の改正は,議決要旨の公表方法に関係している。
改正規定は,7日間,法務省令で定める方法により,不特定多数の者が議決の要旨を閲覧できる状態に置くことを定める。
これとともに,事務局での書面の掲示又は事務局に設置した電子計算機の画面による閲覧の仕組みも定めている。

この条文は,単に事務局の掲示を電子画面へ置き換える部分と,不特定多数の者が閲覧できる状態に置く部分とを分けて読む必要がある。
今回の契約では,裁判所ウェブサイトへの掲載機能が整備対象になっている。
もっとも,法律の条文自体は具体的な方法を法務省令に委ねており,契約書だけで法令の施行日や適用対象が決まるわけではない。

同法の施行日は,令和9年3月31日までの間において政令で定める日とされている(附則1条本文)。
e-Gov法令検索では,令和8年11月4日時点で,改正後の40条は未施行の規定として掲載されている。

改正法附則9条2項は,改正後の40条を施行日以後にされた議決に適用し,施行日前にされた議決については従前の例によるとしている。
そのため,新しい仕組みが整備されることから,過去の議決要旨がすべて遡ってウェブ公開されると考えることはできない。
条文と経過措置は,情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律の第4条並びに附則1条及び9条2項を参照されたい。

第4 議決要旨と議決書全文・事件記録は区別する

掲載機能の対象として仕様書に書かれているのは,議決の要旨である。
要旨の掲載機能が設けられることは,議決書全文,会議録,審査事件の記録が一括して公開されることを意味しない。

(続きを読む...)検察審査会の議決要旨のウェブ掲載―法改正と令和8年の機能改修契約(AI作成)

訴状却下命令・訴え却下判決・請求棄却の違い―補正と不服申立ての確認事項(AI作成)

目次

第1 最初に裁判書の主文・理由・形式を確認する1 三つの判断を分ける2 本記事の基準と使い方第2 訴状の必要的記載事項と請求の証明を分ける1 何を求める訴えかを特定する2 証拠が足りないことと訴状の不備は同じではない第3 補正命令と訴状却下命令1 補正を求められた箇所と期間を特定する2 手数料不納付には別の手続がある第4 訴え却下判決と請求棄却判決1 補正不能の不適法な訴え2 本案の請求を認めない判断第5 不服申立てと再提訴を検討するときの確認表1 即時抗告と控訴の期間を混同しない2 相談・受任時に資料をそろえる第6 出典・関連記事1 法令2 関連記事
第1 最初に裁判書の主文・理由・形式を確認する
1 三つの判断を分ける

訴状に問題があると指摘されたときは,何を書き直すべきかだけでなく,問題となっているのが訴状の記載,訴えの適法性,請求権の有無のどれかを確認する。
「却下された」「認められなかった」という説明だけで,不服申立ての種類や期間を決めてはいけない。

判断主な対象裁判の形式・確認条文訴状却下訴状の必要的記載事項の不備が補正されない場合裁判長の命令。民事訴訟法134条2項,137条訴え却下訴えが不適法である場合判決。本記事では,補正不能の不適法な訴えを口頭弁論なしで却下できる140条を中心に扱う請求棄却本案を判断した結果,原告の請求を認めない場合判決。請求権の存否の判断と,入口の適法性の判断を区別する

この表は代表的な判断を比較したもので,すべての却下をこの三つだけで説明するものではない。
手数料不納付による訴状却下には137条の2,呼出しに必要な費用の予納がない場合の訴え却下には141条の別の規定がある。

2 本記事の基準と使い方

本記事は,令和8年11月4日に確認した現行民事訴訟法を基準に,通常の民事訴訟で判断を取り違えないための確認事項を整理する。
具体的な事件では,適用される経過措置や特別法も確かめ,裁判書の主文,理由,告知・送達の記録を照合する。

電子化後の提出操作は,mintsの訴状訂正・補正の方法で扱っている。
本記事では,提出操作の前に必要となる,補正対象と裁判の種類の見極めを扱う。

第2 訴状の必要的記載事項と請求の証明を分ける
1 何を求める訴えかを特定する

民事訴訟法134条2項は,訴状に当事者及び法定代理人,請求の趣旨及び原因を記載することを求めている。
まず,誰が誰に対し,どのような判決を,どの請求について求めているのかを確認する。

例えば,金銭請求であれば,請求額と請求の対象となる取引等を照合する。
同じ相手との取引が複数あるときは,日付,対象,支払期等を整理し,どの取引に基づく請求なのかが曖昧になっていないかを点検する。
これらは請求の特定を確認するための実務上の整理であり,あらゆる事件に同じ記載項目を要求するものではない。

2 証拠が足りないことと訴状の不備は同じではない

請求が特定されていても,その請求を基礎付ける事実の主張や証明が足りず,本案で認められないことはある。
反対に,資料が多数添付されていても,何を請求しているのかが分からなければ,請求の趣旨及び原因の記載の問題は残る。

したがって,137条による訴状審査の対象と,本案での主張・立証の十分さを区別する。
134条2項の記載事項の欠缺を問題とするのか,特定された請求を認めるだけの主張・立証がないとするのかを,指摘された箇所に即して整理する必要がある。

第3 補正命令と訴状却下命令
1 補正を求められた箇所と期間を特定する

民事訴訟法137条1項は,訴状が134条2項に違反する場合,裁判長が相当の期間を定めて不備の補正を命じなければならないとする。
原告が補正しないときは,同条2項により,裁判長は命令で訴状を却下しなければならない。

対応するときは,補正命令の対象となった文言,命じられた内容,期間,実際に提出した補正書面を一つずつ対応させる。

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ガバメントAI「源内」の回答は行政文書か―個人利用・組織共有と情報公開(AI作成)

目次

第1 源内の回答がすべて同じ扱いになるわけではない第2 行政文書の法律上の定義第3 源内基準が説明している個人利用と組織共有1 職員個人の利用にとどまる場合2 業務のために共有した場合第4 学習に使わないこととログの保有は別である第5 行政文書に当たることと全部開示は別である第6 組織が決めておきたいこと第7 一次資料
第1 源内の回答がすべて同じ扱いになるわけではない

行政機関の職員が生成AIを使った場合,その回答は情報公開請求の対象になるのか。
結論は,AIが生成したという理由だけで一律に決まるものではない。
誰が何のために作成・取得し,どのように共有・利用され,行政機関が保有しているかを確かめる必要がある。

本記事は,令和8年10月20日制定の源内基準と,行政機関の保有する情報の公開に関する法律を基に,行政文書への該当性と開示の可否を分けて説明するものである。
国会や裁判所の文書公開制度を,この法律だけで説明するものではない。

第2 行政文書の法律上の定義

行政機関情報公開法2条2項は,職員が職務上作成・取得した文書等のうち,組織的に用いるものとして行政機関が保有するものを行政文書とし,電磁的記録も対象に含めている。
同項には除外規定もあるため,職員の端末に何かが存在するという一点だけで,対象文書であると断定することはできない。
AIの出力についても,この要件に即して具体的な状態を検討することになる。

例えば,職員が個人的な試行のために受け取った回答と,担当課内で検討資料として共有した回答とでは,組織的利用の判断に関わる事情が異なる。
正式な決裁を終えたかどうかだけに着目し,検討段階の資料を一律に対象外とするのも適切ではない。

第3 源内基準が説明している個人利用と組織共有
1 職員個人の利用にとどまる場合

源内基準の1-6(印刷20頁・PDF22頁)は,職員が個人として管理し,個人の利用にとどまる回答等について,通常は組織的に用いるものに当たらず,行政文書には該当しないという整理を示している。
ここで大切なのは,個人としての管理と利用にとどまるという条件である。
AIが作ったから行政文書ではない,という説明ではない。

2 業務のために共有した場合

同じ箇所は,業務上の必要から回答等を同僚に共有し,共有フォルダーやチャンネル等に保存して利用する場合には,行政文書となり得ることも示している。
チャット画面の外に出したかどうかだけでなく,共有先,利用目的,組織としての取扱いを確認する必要がある。

源内基準は,デジタル庁が提供する源内の利用・運用に関する説明である。
行政文書の法的な範囲を独自に変更するものではなく,他のシステムについても,まず法律上の要件から判断する必要がある。

第4 学習に使わないこととログの保有は別である

源内基準には,入力・出力をモデルの学習に利用しないことに関する説明がある。
他方,同基準の3-4(印刷29頁以下)には,認証,利用者,機能,利用日時,モデル,入力・出力等に関するログを,必要な範囲で収集・保存する取扱いも示されている。
したがって,学習に利用しないという説明から,入力・出力の記録自体が存在しないと推定することはできない。

もっとも,保存されるログがあるということと,特定の請求対象に対応する記録が現に残っていることも別である。
具体的な請求を検討する際には,利用時期,対象業務,記録の種類,保存先,保存期間,保有する機関を絞ることが有用である。
これは請求対象を特定するための実務上の提案であり,すべてのプロンプトやログが必ず行政文書となり,永久に保存されるという意味ではない。

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裁判のディスカバリーとは―日本の文書提出命令・早期開示構想との違い(AI作成)

目次

第1 ディスカバリーと日本の証拠収集を比べる視点1 本記事で扱う範囲2 情報を知ることと裁判所に証拠を出すこと第2 米国の連邦民事訴訟におけるディスカバリー1 関連性と比例性による範囲の限定2 文書・電子情報を指定する方法3 裁判所への提出と秘密の保護第3 日本の文書提出命令と当事者照会1 文書提出命令の役割2 当事者照会は資料の一括開示と異なる第4 日弁連の早期開示命令構想が目指したもの1 2022年提案の内容2 米国制度の単純な移植と説明しない3 立法提案とその後の検討を区別する第5 具体例から考える資料の指定1 製品の欠陥を疑う場合2 社内調査報告書の内容を争う場合第6 よくある疑問1 米国なら社内資料をすべて取得できるのか2 ディスカバリーで取得した資料は全部裁判所へ出すのか3 早期開示構想と文書提出命令の違いはどこか第7 関連記事第8 出典・参考資料
第1 ディスカバリーと日本の証拠収集を比べる視点
1 本記事で扱う範囲

ディスカバリーとは,訴訟で必要となる情報を相手方等から取得するための手続をいう。
本記事は,米国の連邦民事訴訟規則に基づく制度を取り上げ,日本の文書提出命令及び日弁連の早期開示命令構想との違いを整理する。
確認の基準日は2026年11月3日である。

米国の州裁判所の手続や国際仲裁には,それぞれ別の規律がある。
海外の裁判では資料を全部出さなければならないという説明を,日本の訴訟やすべての外国手続へそのまま当てはめることはできない。

2 情報を知ることと裁判所に証拠を出すこと

比較の出発点は,当事者が相手方の資料を調べる段階と,裁判所へ証拠を提出する段階を分けることである。
資料の内容を知った結果,主張を修正し,和解の条件を検討し,又は証拠として提出する資料を選ぶこともある。

この違いを踏まえると,情報取得の対象範囲,資料の指定方法,秘密の保護及び不履行への対応を比べやすくなる。
早期開示による和解促進等は制度設計上期待される効果であり,個別事件で必ず実現する結果ではない。

第2 米国の連邦民事訴訟におけるディスカバリー
1 関連性と比例性による範囲の限定

連邦民事訴訟規則26条b項1号は,特権により保護されない事項について,請求又は防御との関連性と,事件の必要性に見合った範囲であることを求めている。
比例性は,争点の重要性,請求額,関連情報への当事者の相対的なアクセス,当事者の資力,争点の解決における当該ディスカバリーの重要性,及び提案されたディスカバリーの負担又は費用が見込まれる利益を上回るかを考慮して判断される。

取得対象の情報について,それ自体が審理で証拠として採用できることは必要とされていない。
もっとも,関連していればどれだけ広い請求でも許されるわけではなく,比例性も満たす必要がある。

2 文書・電子情報を指定する方法

規則34条は,相手当事者の占有・保管・管理下にある文書や電子情報等について,閲覧・複写等を求める仕組みを定めている。
対象は個別項目又はカテゴリーとして指定できるが,合理的な具体性を備えて記載する必要がある。

例えば,問題となる取引,対象期間,担当部署及び資料の種類を組み合わせて範囲を示す方法が考えられる。
これは指定方法を説明するための例であり,その指定だけで開示請求の適法性が確定するわけではない。

3 裁判所への提出と秘密の保護

規則5条d項1号Aによれば,文書提出要求とその応答など同号が列挙する資料は,手続で使用する場合又は裁判所が命じた場合を除き,原則として裁判所に提出しない。
当事者間で資料を取得することと,裁判所に資料を提出することが区別されている。

規則26条c項は,誠実な協議又はその試みについての証明と正当な理由等の要件の下で,開示の禁止,範囲や条件の限定,費用の配分,営業秘密等の保護に関する命令を認めている。
秘密性や探索負担は,請求の可否と範囲を検討する際の重要な論点である。

第3 日本の文書提出命令と当事者照会

(続きを読む...)裁判のディスカバリーとは―日本の文書提出命令・早期開示構想との違い(AI作成)

Wayback Machineは裁判の証拠になるか―過去のウェブページの保存日時・信用性と提出時の確認事項(AI作成)

目次

第1 過去のページと立証したい事実第2 日本の裁判例が検討した保存日時と信用性第3 保存日時・掲載日・閲覧日時を区別する第4 証拠として残すときの確認事項第5 見つからない場合と公的機関の資料第6 著作権と事件外の公開第7 よくある質問1 保存日時とページ内の日付が違えば偽物なのか2 画面を印刷すれば十分なのか3 Internet Archiveから証明書類を得られるか第8 関連記事と出典
第1 過去のページと立証したい事実

Wayback Machineに保存されたウェブページは,過去の掲載内容を調べる手掛かりとなり,日本の裁判でも具体的な記録の信用性を検討した例がある。
ただし,保存画面が存在することと,争点となる事実が証明されることは分けて考える必要がある。
本記事では,知財高裁令和元年10月24日判決とInternet Archiveの公式案内を基に,記録を確認する際の注意点を整理する。

例えば,過去の商品説明を確認したい場合,現在のページの印刷だけでは,購入時にどの説明が掲載されていたかは分からない。
他方,過去の保存画面を見つけても,購入者が実際にその画面を見たことや,その記載どおりの契約が成立したことまで当然に分かるわけではない。
まず,「いつ,どのURLに,どの内容が掲載されていたか」と,「誰がその内容を認識し,どのような行為をしたか」を分けて証拠を整理することが有用である。

第2 日本の裁判例が検討した保存日時と信用性

知財高裁令和元年10月24日判決(平成30年(行ケ)第10178号,特許取消決定取消請求事件)は,ゲームのキャンペーンを紹介するページについて,特許出願前に公衆に利用可能となっていたかを検討した。
判決は,Wayback MachineのURL中の数字部分等から,平成25年4月27日10時37分28秒(UTC),日本標準時では同日19時37分28秒に収集・保存されたと認定している(判決45頁~47頁)。

原告は,別の保存画面(日本経済新聞電子版)では,URL中の日付と画面上の日付が食い違い,表示された日経平均株価も当日・翌日の値と一致しないこと,画像のURLのみが保存される場合には後から画像が差し替わる可能性があること,利用規約が記録内容の正確性を保証していないこと等を挙げ,記録の信用性を争った。
これに対して裁判所は,UTCと日本標準時の差を説明し,リンク先の数値には別時点の収集内容が表示されることがあると検討した。
その上で,一般論として保存記録の内容が改変されることがあり得るとしても,当該キャンペーンの記載については,保存時の内容が改変されたことを疑わせる具体的な事情は認められないとして,原告の主張を退けた(判決47頁~49頁)。

この判決から読み取れるのは,記録の仕組みと当該証拠の内容を具体的に検討したということである。
あらゆる保存画面の正確性を保証した判決,又は一般の契約・名誉毀損事件における立証の成否を一律に決めた判決として紹介するのは適切でない。

第3 保存日時・掲載日・閲覧日時を区別する

記録を整理する際には,①元ページに記された公開日・更新日,②アーカイブの収集・保存日時,③自分が記録を閲覧・出力した日時を別々に記載することを勧める。
保存日時は,それ自体が元ページの最初の公開日時を意味するものではない。
また,UTCの日時を日本時間として読めば,日付まで取り違える場合がある。

ページ本体と,画像や外部へのリンク先は,常に同じ時点の内容として一体保存されるとは限らない。
公式案内は,不完全な保存サイトでリンクをたどると近い日付の保存ページへ移動し,保存がない場合には現在のウェブへ移動することがあると説明している。
重要な画像やリンク先については,そのURLと保存日時も個別に確認したい。

第4 証拠として残すときの確認事項

以下は,記録の出所と確認過程を説明しやすくするための実務上の整理案である。
すべての事件に一律に要求される提出要件を列挙したものではない。

①元ページのURLと,保存日時を含むアーカイブの完全URLを両方残す。

②画面の本文だけでなく,ページの題名,表示された日時,必要な前後関係も保存し,切り抜いた箇所だけで意味が変わらないようにする。

③取得者,閲覧・出力日時,取得方法を記録し,PDFや画面画像等の取得時ファイルを保持する。
注釈やマスキングを加える場合は,取得時のファイルとは別の作業用コピーを作ることが望ましい。

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公売で不動産を買う前に―競売との違い,引渡命令がないこと,担保責任と未納管理費(AI作成)

目次

第1 公売を検討するときの出発点1 対象と基準日2 結論第2 公売の手続の流れ1 公売の方法2 公告から代金納付まで第3 競売との違い第4 占有者がいるときは買受人が明渡しを求める1 国は引渡し義務を負わない2 民事執行法83条の引渡命令との違い3 買受け後の現実の手順第5 担保責任は「種類又は品質」とそれ以外を分けて読む第6 落札額とは別に負担が残るもの1 買受人に承継される債務2 賃借権,借地権及び敷金3 担保権4 登記名義が実体と異なるとき5 消費税の適格請求書第7 代金を納付できないとき,売却決定等が取り消されるとき第8 滞納者・利害関係人の立場から1 不服申立ての期限2 見積価額が低いという主張3 分割納付の誓約中の公売第9 買受け前の確認表第10 関連記事第11 出典1 法令2 国税庁3 国税不服審判所の公表裁決事例要旨4 裁判例
第1 公売を検討するときの出発点
1 対象と基準日

本記事は,税務署長等が滞納国税を徴収するために差押財産を売却する国税の公売について,買受けを検討する人と,差押えを受けた滞納者及び利害関係人が確認すべき点を説明する。
令和8年11月2日に確認した国税徴収法その他の関係法令,国税庁公売情報ホームページ(https://www.koubai.nta.go.jp/ )及び国税不服審判所の公表裁決事例要旨並びに判例秘書で確認した裁判例を基にしている。
地方税の公売は,本記事の対象としない。
裁判所が行う不動産競売の手続は,不動産競売の手続の流れと期間―申立て,差押え,現況調査・評価,期間入札,売却許可,代金納付,引渡命令及び配当で説明している。

2 結論

①公売は,通常の売買ではなく,差押財産を強制的に売却する手続である。
②国税庁の案内によれば,国は,国が占有している動産等を除き,公売財産の引渡し義務を負わない。
占有者への明渡請求は,買受人が行う。
③民事執行法83条の引渡命令は,執行裁判所が代金を納付した競売の買受人の申立てにより発する制度である。
国税徴収法の公売には,これに当たる手続が置かれていない。
④種類又は品質に関する不適合について,国及び公売財産の所有者は担保責任等を負わないと,国税庁は案内している。
買受人が国に代金の返還を求めた事案で請求を退けた裁判例もある。
⑤マンションの未納管理費等は,公売公告に記載のない遅延損害金を含めて買受人が承継した裁判例がある。
買受人に対抗できる賃借権及び借地権も,落札額とは別の負担になり得る。
⑥滞納者や利害関係人の不服申立てには短い期限があり,分割納付の誓約中の公売公告が不当として取り消された裁決もある。

第2 公売の手続の流れ
1 公売の方法

国税徴収法94条は,税務署長が差押財産等を換価するときは公売に付さなければならないとし,公売は入札又は競り売りの方法により行うと定める。
国税庁のよくある質問(Q&A)によれば,インターネットで参加できる公売には,公売情報ホームページ上で入札の方法により行うものと,民間のオークションサイト上で競り売りの方法により行うものの2種類がある。
後者のインターネット公売は,「KSI官公庁オークション」で手続を行う。

国税庁のメールマガジン第257号(令和8年11月2日)によれば,令和8年度第3回インターネット公売の買受申込期間は,令和8年11月17日午後1時から11月19日午後1時までであり,事前に参加申込みをしていない者は買受申込みに参加できない。

2 公告から代金納付まで

公売の手続は,次の順序で進む。

①公売公告:公売の日の少なくとも10日前までに,公売財産,方法,日時,売却決定の日時,公売保証金,代金納付期限等を公告する(国税徴収法95条1項)。
②見積価額の公告:不動産は,公売の日から3日前の日までに見積価額を公告する(同法99条1項1号)。
公売財産上に賃借権又は地上権があるときは,その存続期限,借賃又は地代その他の内容も公告する(同条4項)。
③公売保証金:見積価額の100分の10以上の額で定められる(同法100条1項本文)。

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死刑確定者の民事訴訟への出廷と司法書士との面会―最高裁令和8年10月30日2判決(AI作成)

目次

第1 2判決の対象と結論第2 民事訴訟への出廷を許可しなかった事件1 出廷許可の申出と原審の判断2 最高裁が示した判断枠組み3 47回の不許可と証人尋問が予定されていた2期日への当てはめ第3 司法書士との面会に職員を立ち会わせた事件1 61回の面会と原審の判断2 職員立会いの原則と例外3 本件司法書士の代理人資格を重視した判断4 職員の言動に関する結論第4 2判決の共通点と相違点1 共通するのは裁量審査と具体的な必要性である2 出廷と面会では当てはめの対象が異なる第5 実務で確認しておきたい事項1 出廷の必要性を期日と訴訟行為に結び付ける2 面会相手の資格と打合せ対象を具体化する第6 2判決からは決まらないこと第7 関連記事第8 出典と確認範囲
第1 2判決の対象と結論

最高裁第二小法廷は,令和8年10月30日,死刑確定者による民事訴訟への出廷と,司法書士との職員立会いのない面会について,それぞれ国家賠償法(以下「国賠法」という。)上の違法性を判断した。
いずれも,原告の上告を棄却するとともに,原審が国の責任を認めた部分を破棄し,差し戻さずに自判して,その部分についても請求を認めない結論とした。
自判の形は,出廷事件では原審で追加された請求の棄却,面会事件では請求を棄却した第1審判決に対する原告の控訴の棄却である。

出廷事件は令和7年(受)第172号・第173号,面会事件は同年(受)第39号・第40号である。
前者は拘置所の外に出て期日に出頭すること,後者は拘置所内での面会に職員を立ち会わせないことが問題であり,同じ措置を扱った判決ではない。

両判決は,刑事施設の長の裁量を前提に,原告が求めた出頭又は職員立会いのない面会が特に必要であるというべき事情があるかを検討した。
ただし,死刑確定者の出廷又は立会いのない面会が,どのような場合にも認められないとしたものではない。
本記事は,裁判所公表の2件の判決全文を基礎に,それぞれの判断とその射程を整理する。

第2 民事訴訟への出廷を許可しなかった事件
1 出廷許可の申出と原審の判断

出廷事件の第1審原告は,名古屋拘置所に収容されている死刑確定者であり,平成29年1月から令和2年7月まで,自ら提起した民事訴訟の口頭弁論期日への出頭許可を合計47回求めたが,いずれも許可されなかった。
その後,原告が司法書士との面会に関する措置等の違法を主張して提起した別の国賠訴訟の控訴審で,司法書士と拘置所職員の証人尋問が予定され,原告は,令和5年12月の2つの期日についても出頭許可を求めたが,許可されなかった。

後の2期日では,原告本人が証人に質問することが予定され,控訴審裁判所から拘置所長に再検討を求める事務連絡も送られた。
原審は,先の47回の不許可について違法性を否定した一方,後の2回については,別の国賠訴訟の控訴審裁判所が証人尋問の必要を明示して出頭を要請するなどしたのに,拘置所長が出頭させない方針を貫いたため期日を取り消さざるを得なくなったとして,裁量権の逸脱・濫用があり,憲法32条にも違反して国賠法上違法となると判断した。
以上の経過は,出廷事件判決1頁~3頁による。

2 最高裁が示した判断枠組み

最高裁は,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設法」という。)には死刑確定者が自ら提起した民事訴訟の期日に出頭できる場合を定めた規定はないとした上で,出頭を許可するかは,刑事施設内の実情に通じた施設の長の裁量に委ねられるとした。
死刑確定者が憲法32条の趣旨に鑑みて期日に出頭して訴訟を追行することにつき利益を有するということができるとしても,死刑確定者の拘置の趣旨・目的に照らし,出頭が制約されることは予定されていると説明した。

裁量判断では,具体的な出頭の必要性と拘置への影響等を考慮する。
その上で,死刑確定者については,その置かれた特殊な状況に鑑み,施設外に連れ出すと拘置に重大な影響が生ずる可能性が類型的に高く,護送の際の警備にも格別の配慮を要することを踏まえ,不許可が裁量権の逸脱・濫用となるのは,当該期日への出頭が特に必要といえる場合に限られるとした。
判断枠組みは,同判決3頁~4頁に示されている。

3 47回の不許可と証人尋問が予定されていた2期日への当てはめ

最高裁は,後の2期日について,証人への質問は,原告本人が出頭しなくても訴訟代理人が行うことができ,裁判官が行うことも可能であると指摘した。
証人尋問が予定されていた訴訟は,司法書士との面会について職員の立会いを許さなかった措置及び面会の際の職員の言動等の違法を主張する国賠訴訟であり,その事案の内容及び性質に照らしても,原告本人による質問が訴訟代理人等によるものでは代替し得ないものであったというべき事情はうかがわれないとした。
そのほかに,当該期日に出頭することが必要であったというべき事情も見当たらないとした。

もっとも,原告は当該訴訟で訴訟代理人を選任していなかった(同判決2頁)。
判決は,この事実を当てはめの中で取り上げておらず,訴訟代理人が質問できること及び裁判官が質問し得ることを,原告本人の質問に代わり得る方法として挙げている。

最高裁は,その控訴審裁判所が不許可の後に出頭の可否の再検討を求めたことを考慮しても,出頭が特に必要であったということはできないとして,後の2回の不許可は裁量権の逸脱・濫用に当たらず,国賠法上違法ではないと判断した(同判決4頁~5頁)。

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民事訴訟法220条4号ホはなぜ刑事関係文書を除外するのか―立法理由・国会審議・最高裁判例(AI作成)

目次

第1 結論第2 民事訴訟法220条4号ホの位置付け第3 平成13年改正で4号ホが設けられた経緯第4 国会審議で説明された立法理由第5 立法時に示された反対論第6 平成16年の再検討第7 最高裁判例による調整1 刑訴法47条による提出拒否の審査2 4号ホの対象範囲3 取調べ録音録画媒体第8 令和8年研究会報告書の二つの論点第9 実務で確認する事項第10 出典
第1 結論

民事訴訟法220条4号ホは,「刑事事件に係る訴訟に関する書類」,少年保護事件の記録及びこれらの事件で押収されている文書を,同号による一般的な文書提出義務から除外している。

この除外が設けられた主な理由は,刑事関係文書には,強制捜査によって集められた情報,被疑者・被告人・被害者その他の関係人の名誉や私生活に深く関わる情報,捜査・公判の適正を損なうおそれのある情報が含まれ,裁判所が弊害の有無を個別に判断することも容易でないため,開示の可否を刑事手続上の開示制度に係る規律に委ねるという点にある。

もっとも,4号ホは,刑事関係文書を民事訴訟から常に遮断する規定ではない。
民訴法220条1号から3号までの提出義務,刑訴法47条ただし書による開示判断,文書送付嘱託等が問題となる余地がある。
最高裁判例は,文書が引用文書や法律関係文書に当たる場合に,保管者の裁量を尊重しつつ,民事訴訟における必要性と,開示による名誉・プライバシー侵害や捜査・公判への影響等の諸般の事情に照らして,提出拒否が裁量権の逸脱又は濫用に当たるかを審査している。

令和8年の研究会報告書には,4号ホを削除すべきであるとの一部の委員の意見があったことと,秘密保持命令等の対象として,私生活上の秘密や営業秘密のほかに対象とすべき秘密情報があるかは引き続き検討が必要であるとし,その例に刑事関係文書等を挙げたことが,別々の箇所に記載されている。
前者は民事訴訟へ証拠を入れる段階,後者は入った証拠の閲覧・利用を制限する段階の問題である。

第2 民事訴訟法220条4号ホの位置付け

民訴法220条は,文書所持者が提出を拒めない場合を定めている。

1号は当事者が訴訟で引用し自ら所持する文書,2号は挙証者が引渡し又は閲覧を求めることができる文書,3号は挙証者の利益のために作成された文書又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成された文書である。
4号は,これら以外の文書について一般的な提出義務を定めつつ,イからホまでの除外事由を置いている。

したがって,4号ホに該当すると,同号による一般的な提出義務は認められない。
しかし,1号から3号までの提出義務まで当然に消えるわけではない。
実務では,対象文書が法律関係文書等に当たるか,刑訴法47条による提出拒否が許されるか,民事訴訟で取り調べる必要性と開示の弊害をどのように評価するかが問題になる。

また,刑事関係文書を「民事訴訟へ提出させること」と,提出後の訴訟記録を第三者が閲覧すること,当事者が訴訟外で利用することは,それぞれ別の問題である。

第3 平成13年改正で4号ホが設けられた経緯

平成8年に成立した新民事訴訟法は,文書提出義務を一般義務化したが,公文書についての一般義務化は見送られ,附則第27条により,行政情報公開制度の検討と並行して検討することとされた。

平成10年1月の法制審議会民事訴訟法部会の文書提出命令制度小委員会では,刑事記録を除外する案について,情報公開法の要綱案との関係,刑事訴訟法等の規律との関係,1号から3号までや文書送付嘱託への影響,民事の裁判官が判断することの適否等が議論された。

その後の法律案の再提出を経て,平成13年法律第96号による改正で,公務秘密文書に関する規律とともに,刑事事件に係る訴訟関係書類,少年保護事件の記録及び押収文書を4号の一般的提出義務から除外する規定が設けられた。

第4 国会審議で説明された立法理由

平成13年の国会審議で政府側(法務大臣,法務省民事局長及び刑事局長)が説明した理由は,おおむね次のとおりである。

第一に,刑事関係書類は,国家刑罰権の実現を目的として,強制処分を含む強力な権限を行使し,関係者の名誉やプライバシーに深く立ち入って作成されるのが通常であるとされた。

第二に,刑事訴訟法等が手続の段階に応じて開示の要件,方法等について独自の規律を置いており,その範囲を超えて民事訴訟で提出を命じると弊害が生ずるとされた。

第三に,個別判断の仕組みを採らない理由として,民事裁判所は,申立てのあった文書だけをインカメラ手続で閲読しても,捜査記録全体を見ない以上,開示による弊害の有無を的確に判断することは困難であることが挙げられた。
また,監督官庁や捜査当局は,捜査の秘密やプライバシーとの関係で詳細な事情を述べられない場合があり,そのときは裁判所が適正に判断できないとも説明された。

第四に,行政情報公開法でも刑事記録を一律に対象から除外しており,弊害を避けるべき要請の点では変わらないとして,同法との整合性も根拠に挙げられた。

このような理由から,政府側は,刑事関係書類の開示・不開示を刑事訴訟法等の規律に委ねる趣旨で4号の一般的提出義務から除外すると説明した。
同時に,1号から3号までの解釈や文書送付嘱託には影響を与えないとも説明している。

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裁判上の和解が履行されないとき―強制執行・解除と訴訟が復活しない理由(AI作成)

目次

第1 和解が不履行でも終了した訴訟は原則として復活しない第2 最初に和解調書と不履行の内容を確認する1 何を、いつまでに履行する条項か2 期限の利益喪失条項があるか3 履行したことを示す資料第3 和解調書に基づく強制執行1 金銭給付2 建物明渡しその他の非金銭給付第4 解除を検討するときの注意点1 解除できるかは和解後の契約内容による2 解除しても訴訟終了の効力は戻らない第5 再度の訴訟が必要になる場合第6 不履行に備える和解条項1 分割払い2 履行確認3 清算条項4 保証又は担保第7 不履行発生後の確認手順第8 根拠資料と関連記事
第1 和解が不履行でも終了した訴訟は原則として復活しない

裁判上の和解が成立すると、その内容は和解調書に記録され、確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法267条)。相手方が約束どおりに支払わない、明け渡さない、物を引き渡さないという事態が起きても、それだけで和解前の訴訟が再開するわけではありません。

最高裁昭和43年2月15日判決は、裁判上の和解を前提とする私法上の契約を債務不履行により解除しても、和解による訴訟終了の効力には影響しないと判断しました。したがって、不履行後の対応は、和解調書に基づく強制執行、和解後に生じた請求についての新たな訴訟、又は解除後の法律関係に基づく請求を区別して検討します。

第2 最初に和解調書と不履行の内容を確認する
1 何を、いつまでに履行する条項か

金銭の支払、建物の明渡し、物の引渡し、製造販売の停止、書類の交付など、義務の内容を特定します。期限、条件、相手方の先履行又は同時履行が定められている場合は、その成否も確認します。

2 期限の利益喪失条項があるか

分割払いでは、1回の遅滞で当然に残額全額が支払期日を迎えるとは限りません。何回又はいくらの遅滞で期限の利益を失うか、催告が必要か、残額、条件付き免除及び遅延損害金の関係を読みます。

3 履行したことを示す資料

振込記録、受領証、鍵の引渡書、写真、廃棄証明書、配達記録などを確保します。不履行と考えていても、支払先口座の誤り、受領拒絶、相殺の主張又は条件未成就が問題になることがあります。

第3 和解調書に基づく強制執行
1 金銭給付

和解調書で金銭債務と期限が特定されている場合は、預金、給与、売掛金、不動産などに対する強制執行を検討します。実際の手続では、執行文の要否、送達証明、確定した残額及び対象財産を確認します。

期限の利益喪失が条件付きで定められているときは、条件成就の証明が問題になることがあります。和解成立時に、将来の執行で何を提出すればよいかまで確認しておく必要があります。

2 建物明渡しその他の非金銭給付

建物明渡しの強制執行は、執行官が行います。目的物、明渡義務者及び期限が調書上明確でなければ、執行段階で問題になります。残置物がある場合も、債権者が当然に自由処分できるわけではありません。

行為義務又は不作為義務については、直接強制、代替執行又は間接強制のどの方法が使えるかが義務の性質によって異なります。和解条項を作る時点で、違反した場合の実現方法を検討します。

第4 解除を検討するときの注意点
1 解除できるかは和解後の契約内容による

民法541条以下は、債務不履行による解除を定めています。ただし、催告が必要か、無催告解除ができるか、違反が軽微でないか、債権者側に帰責事由がないかなど、解除の要件を個別に確認しなければなりません。

裁判上の和解の条項には、元の権利関係を確認する部分、債務を変更する部分、免除を条件付きで定める部分などが混在することがあります。和解全体を一つの契約として解除できるのか、一部の給付関係だけが対象になるのかも、条項の解釈によって異なります。

2 解除しても訴訟終了の効力は戻らない

最高裁昭和43年2月15日判決が明らかにしたのは、私法上の契約を解除しても、裁判上の和解によって訴訟が終了したという訴訟法上の効果には影響しないという点です。この判決は、あらゆる和解契約が必ず解除できることや、解除後に元の請求がそのまま認められることまで判断したものではありません。

第5 再度の訴訟が必要になる場合

和解調書だけでは執行できない義務、和解後に成立した損害賠償請求、解除後の原状回復又は新たな給付請求については、別の訴訟が必要になることがあります。

その場合も、元の訴訟を単純に再開するのではなく、新しい訴えの請求原因、和解条項の効力、既判力又はこれに準じる効力、請求放棄及び清算条項の範囲を検討します。和解調書の文言と異なる内容を容易に認めることはできないため、元の請求と新しい請求の関係を整理する必要があります。

第6 不履行に備える和解条項
1 分割払い

各支払日と金額、振込先、振込手数料、期限の利益喪失事由、残額、遅延損害金及び条件付き免除を一続きで確認します。条件付き免除を使う場合は、何を履行すれば、どの債務が、いつ消滅するかを明記します。

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裁判所の和解案は断れるか―裁判官の心証開示・和解勧試・修正案の出し方(AI作成)

目次

第1 裁判所の和解案を断ることはできる第2 裁判所の和解案は判決予告とは限らない1 和解案に反映される要素2 裁判官の説明は途中段階のことがある3 司法委員が関与する場合第3 和解案を受けるか判断するための6項目1 判決になった場合の幅2 証拠上の不確実性3 控訴・上告まで含めた時間と費用4 実際に履行されるか5 金銭以外の利益6 清算条項と将来請求第4 受け入れられないときの伝え方1 受け入れられない部分を特定する2 法的・証拠上の理由を簡潔に示す3 対案を同時に示す4 即答せず検討時間を求める第5 修正案を作るときの注意点第6 和解協議での発言と証拠の扱い第7 本人と代理人が期日前後に確認する事項第8 根拠資料と関連記事
第1 裁判所の和解案を断ることはできる

民事訴訟法89条1項は、裁判所が訴訟のどの段階でも和解を試みることができると定めています。しかし、裁判上の和解は、当事者が合意し、その内容が和解調書に記録されて初めて成立します。裁判所から和解案が示されても、当事者は受諾を義務付けられません。

もっとも、単に「納得できない」と答えるだけでは、裁判所にも相手方にも、どこを直せば合意できるのかが伝わりません。結論としては、和解案を断ることはできますが、争点ごとの見通し、判決までの時間と費用、相手方の履行可能性及び修正可能な条項を分けて説明することが重要です。

裁判所の案を断ったという事実だけで、判決上不利に扱われると決まっているわけではありません。判決は、口頭弁論に現れた主張と証拠を踏まえてされます。他方で、和解協議を通じて争点や証拠上の弱点が見えることはあるため、提案の理由は丁寧に確認する必要があります。

第2 裁判所の和解案は判決予告とは限らない
1 和解案に反映される要素

裁判所の和解案には、法律上の勝敗見通しだけでなく、立証の不確実性、控訴の可能性、支払時期、分割払い、事業や生活への影響、紛争の早期終了といった事情が反映されることがあります。

そのため、提示額が判決認容額の予告であるとは限りません。裁判官が暫定的な心証を説明したのか、双方の隔たりを埋めるための調整案を示したのか、支払能力を考慮したのかを区別して聞く必要があります。

2 裁判官の説明は途中段階のことがある

証拠調べ前の和解協議では、まだ証人尋問や本人尋問をしていません。準備書面や書証の評価も、反論や追加立証によって変わり得ます。裁判所の説明を重要な判断材料としつつも、確定した判断と同一視しないことが大切です。

裁判所ウェブサイトの裁判官の仕事紹介でも、裁判官が当事者の話を聞き、必要に応じて和解案を示す実務が紹介されています。ただし、これは実務の説明資料であり、個別事件における裁判所の判断を示す一次資料ではありません。

3 司法委員が関与する場合

簡易裁判所では、司法委員が和解の補助をすることがあります。司法委員は、民間の良識や社会経験を活用して、裁判官を補助する非常勤の裁判所職員です。司法委員の説明と裁判官の見解がどのような関係にあるのかが不明なときは、裁判所に確認します。

第3 和解案を受けるか判断するための6項目
1 判決になった場合の幅

勝訴・敗訴の二択ではなく、請求の一部だけが認められる場合、遅延損害金や費用負担が変わる場合、反訴や相殺が認められる場合を含めて検討します。

2 証拠上の不確実性

契約書、メール、録音、会計資料及び証人の供述のどれが主要な争点を支えるのかを整理します。立証責任を負う側が証拠不足である場合、その危険は和解判断に大きく影響します。

3 控訴・上告まで含めた時間と費用

第一審判決が出ても紛争が終わらないことがあります。控訴審までの期間、弁護士費用、社内対応時間及び証人の負担も比較します。

4 実際に履行されるか

判決又は和解調書を得ても、相手方に差押え可能な財産がなければ回収できないことがあります。分割払いを認める代わりに、期限の利益喪失、残額一括払い、遅延損害金、保証又は担保を置くべきかを検討します。

5 金銭以外の利益

謝罪、製品の廃棄、契約関係の終了、建物の明渡し、競業や表示の停止、秘密情報の返還などは、判決で得られる範囲と和解で合意できる範囲が異なることがあります。

6 清算条項と将来請求

和解金額だけでなく、清算条項がどの紛争を終わらせるかを確認します。「本件に関し」という限定があるか、将来損害や別契約上の請求を留保するか、請求放棄条項と矛盾しないかが重要です。

第4 受け入れられないときの伝え方
1 受け入れられない部分を特定する

金額、支払時期、分割回数、明渡期限、秘密保持、清算範囲などを分けます。案全体を拒絶する必要があるのか、一部を修正すれば合意できるのかを明らかにします。

(続きを読む...)裁判所の和解案は断れるか―裁判官の心証開示・和解勧試・修正案の出し方(AI作成)

融資実行前の公正証書で差押えできるか―諾成的消費貸借と追加証書(AI作成)

目次

第1 契約の成立と執行証書の効力を分ける第2 書面による消費貸借は交付前にも成立する第3 分割貸付に関する行政先例第4 現在の公証実務の案内第5 分割実行では交付済み額と予定額を管理する第6 公証役場への相談前に用意する資料第7 電子公正証書でも請求の範囲を先に確認する第8 出典
第1 契約の成立と執行証書の効力を分ける

融資の前に契約を公正証書にしておけば,後日返済が滞ったときに,その証書だけで直ちに差押えができるとは限らない。書面による消費貸借契約が成立することと,その公正証書が返還請求の強制執行に使えることは,分けて確認する必要がある。

一部だけを先に貸し付け,残額は工事の進捗等に応じて交付する契約では,契約書の貸付予定総額と,公正証書作成時に実際に交付された額を混同しないことが重要である。

本記事は貸金返還請求についての公正証書を扱い,未交付額の取扱いと,実行後の証書整備を整理する。

第2 書面による消費貸借は交付前にも成立する

民法587条の2第1項は,書面でする消費貸借について,一方が金銭等の引渡しを約し,相手方が受け取った物と同種・同品質・同数量の物の返還を約することで効力を生ずると定めている。同条4項は,契約内容を記録した電磁的記録についても書面による場合と同様に扱う。

現行法上,「まだ金銭を渡していないから,書面で合意しても消費貸借契約は一切成立しない」と説明するのは正確ではない。他方,契約が成立することから,未交付の金額について直ちに貸金返還の強制執行ができるという結論が当然に導かれるわけでもない。

民事執行法22条5号は,一定額の金銭の支払等を目的とする請求について作成された公正証書で,債務者が直ちに強制執行に服する旨を陳述したものを債務名義としている。契約の成立要件と,この執行証書の要件とは,検討の対象が異なる。

第3 分割貸付に関する行政先例

法務省民事局の『公証人法関係 解説・先例集(三訂版)先例編』(平成18年3月)には,昭和32年6月6日民事甲1067号通達に係る分割貸付の照会・回答が収録されている。

照会の事案は,船舶建造資金の貸付総額1000万円のうち,最初の250万円を契約時に交付し,残りの750万円を起工・進水・竣工の各時点に分けて交付するというものであった。将来の交付予定額についても,当初の公正証書により執行できるかが問題になっている。

収録された回答は,既に金銭の授受がある部分は執行証書となり得るが,未授受の部分については,公正証書作成当時に返還請求権が現存しないとして,両者を分けた。また,後の貸付について,執行認諾を伴う追加の公正証書を作成する取扱いを示している。

ただし,この回答は昭和32年のものである。そこで用いられた消費貸借の成立に関する説明を,民法587条の2のある現行法へそのまま移してはならない。現在の契約成立と執行実務は,それぞれ現在の資料で確かめる必要がある。

第4 現在の公証実務の案内

日本公証人連合会の「金銭消費貸借」Q2は,諾成的消費貸借の公正証書について,貸金返還請求権の執行力は認められないとの実務上の見解を示し,金銭を受け取った後に公正証書を作成するよう案内している。

これは公証実務の団体が示す案内として参照すべき資料である。同案内にある裁判所の見解についての説明を,特定の最高裁判決の判示と同じものとして紹介することはしない。

実務上は,融資前の公正証書だけで実行後の返還請求まで処理できると見込まず,貸付の時期と証書の作成時期を公証役場へ伝え,金銭交付後にどの証書を整えるかをあらかじめ相談することが適切である。

第5 分割実行では交付済み額と予定額を管理する

分割貸付では,貸付予定総額,各回の予定日・予定額,各回の実際の交付日・交付額,既存の証書が扱う範囲を別々に整理するとよい。予定が変更されたときは,実際の入出金と証書の対象を照合する。

例えば,総額1000万円の契約で初回250万円だけを交付した段階と,追加の250万円を交付した段階とでは,交付済み額が異なる。これは整理のための例であり,総額の記載や執行認諾文言があるだけで,未交付額も同様に執行できることを意味しない。

振込記録や受領書は,交付の事実・日付・金額を確かめるために保管する。他方,それらを持参すれば,当初の証書の未交付部分が当然に執行証書へ変わると考えてはならない。追加証書の要否と記載内容は,実行済みの貸付と当初の証書を公証人に示して確認する。

第6 公証役場への相談前に用意する資料

相談時には,契約案又は既存の公正証書,貸付日程表,交付済み額の資料,返済条件をまとめる。貸主・借主,元本,返済期日,分割返済の各回,利息・遅延損害金及び保証の有無が,資料間で一致しているかも確かめる。

まだ交付していない金額を,既に受領した金額として記載する案は避ける。予定日と実行日を区別し,実行の変更・中止があったときに,どの記載を見直すかを確認しておく。

代理人による手続を予定する場合も,借入れの合意,公正証書の作成及び強制執行認諾について,誰のどの権限を確認する必要があるかを公証役場へ相談する。契約書・委任状・受領資料を一体で点検することが,後の食い違いを防ぐために役立つ。

第7 電子公正証書でも請求の範囲を先に確認する

電子公正証書を利用する場合にも,作成媒体と,どの請求について執行できるかという問題を分けて考える。正本に相当する書面等,執行文及び送達に関する手続を整える前提として,対象の返還請求が執行証書でカバーされているかを確認する。

裁判所の債権執行の案内は,公証人が作成した電子の債務名義について,記録事項記載書面,執行文及び送達証明に関する提出方法を示している。具体的な申立資料は,電子公正証書を債務名義として強制執行する方法を参照されたい。

和解金等の債務名義化については,裁判外の和解契約書・合意書の作り方も参考になる。ただし,貸付の交付時期が問題となる場面を,既存債務の支払合意と同一に扱わない。

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裁判官の研究会の講師名・講演録は開示されるか―情報公開・個人情報保護審査委員会の答申4件(令和3年度~令和8年度)(AI作成)

目次

第1 本記事の概要第2 裁判所の司法行政文書の開示と答申1 取扱要綱による開示と苦情2 不開示の判断の枠組み第3 答申4件の一覧第4 外部講師の肩書・氏名1 個人識別情報に当たるとされた2 「事業を営む個人」との主張は退けられた3 著書名と講義の動画第5 話題事項とテーマの詳細1 話題事項の提出理由2 見出しの行は開示すべきとされた例第6 講演録とレジュメ1 講師の担当事件に触れた部分2 講師への意見照会3 一覧文書との違い第7 有料の判例情報サービスの論考は開示手続の対象外第8 開示を求める側の実務上の留意点第9 出典
第1 本記事の概要

本記事は,最高裁判所,司法研修所及び東京地方裁判所で裁判官を対象に行われた研究会・勉強会について,講師の氏名,話題事項,講演録及び講義の動画がどこまで開示されるかを,最高裁判所の情報公開・個人情報保護審査委員会の答申4件から整理するものである。
基準日は令和8年10月25日である。

扱う答申は,令和8年度(最情)答申第9号(労働基本・実務研究会),令和7年度(情)答申第108号(東京地方裁判所の「労働問題の研究者とのクロストーク」),令和7年度(最情)答申第51号(行政基礎研究会・行政実務研究会)及び令和3年度(最情)答申第2号(生活保護基準引下げの事案を含む研究会)である。
外部講師の氏名は,いずれの答申でも行政機関情報公開法5条1号の個人識別情報に相当するとして,不開示が妥当とされた。
話題事項の提出理由や,講演録のうち講師の担当事件に触れた部分も,同条6号の支障を理由に不開示が妥当とされた。
他方で,話題事項の見出しの行は開示すべきとした答申(令和7年度(情)答申第108号)もある。

裁判官研修の全体像は裁判官研修実施計画で,答申の調べ方は情報公開の答申を調査・引用する方法―公表答申書,頁番号,判断主体及び射程の確認で説明している。

第2 裁判所の司法行政文書の開示と答申
1 取扱要綱による開示と苦情

裁判所の司法行政文書の開示は,「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱」(以下「取扱要綱」という。)に基づいて行われている。
令和8年度(最情)答申第9号によれば,取扱要綱記第2に定める開示の申出に対する判断について,取扱要綱記第11の1に定める苦情が申し出られると,取扱要綱記第11の3に定める諮問がされる。
この諮問に対して判断を示すのが,情報公開・個人情報保護審査委員会の答申である。

2 不開示の判断の枠組み

答申は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「行政機関情報公開法」という。)5条の各号に定める不開示情報に「相当する」かどうかという形で判断している。
本記事の答申で問題になったのは,個人識別情報(5条1号),法人等の正当な利益を害するおそれがある情報(5条2号イ)及び事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報(5条6号)である。

第3 答申4件の一覧
答申答申日対象となった研究会等委員会の結論令和8年度(最情)答申第9号令和8年4月30日最高裁判所又は司法研修所で平成31年4月から令和6年3月までに行われた労働事件等に関する勉強会・研究会一部不開示の原判断は妥当令和7年度(情)答申第108号令和8年3月9日東京地方裁判所で令和2年4月から令和6年3月までに行われた労働事件等に関する勉強会・研究会原判断は妥当だが,話題事項の見出しの行は開示すべき令和7年度(最情)答申第51号令和8年1月16日司法研修所の行政基礎研究会及び行政実務研究会(令和6年9月24日から同月26日まで)一部不開示は妥当,全部不開示は結論において妥当令和3年度(最情)答申第2号令和3年5月20日平成26年度行政基礎研究会Ⅰ及び同年度行政実務研究会の講演録・レジュメ苦情の対象部分を不開示とした原判断は妥当
第4 外部講師の肩書・氏名
1 個人識別情報に当たるとされた

令和8年度(最情)答申第9号は,外部講師の肩書及び氏名について,「これらの情報は法5条1号に規定する個人識別情報に相当し、同号ただし書イからハまでに掲げる情報に該当する事情は認められない。」とした。
令和7年度(情)答申第108号と令和7年度(最情)答申第51号も,講師の肩書及び氏名について同じ判断をしている。

2 「事業を営む個人」との主張は退けられた

令和8年度(最情)答申第9号の苦情申出人は,講師は著名な労働法又は労働問題等の研究者で,著作物の執筆や講演活動を事業として行っているから,講師の肩書及び氏名は「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に当たると主張した。
最高裁判所事務総長は,外部講師は機関に所属する研究者等であって「事業を営む個人」に当たらないと説明した。
委員会は,「見分結果を踏まえても本件不開示部分1及び4が「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するとは認められない。」とした。

令和7年度(情)答申第108号でも同じ主張が退けられている。
同答申では,クロストークは100名を超える裁判官が参加できるから5条1号ただし書イに当たるとの主張もあったが,事務総長は,限られた者を対象として開催された非公開のものであると説明し,委員会も,ただし書イからハまでに掲げる情報に該当する事情は認められないとした。

3 著書名と講義の動画

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税理士が顧客資料の提出を求められたとき―守秘義務,文書提出命令及び部分提出(AI作成)

目次

第1 まず依頼の種類と文書所持者を確認する1 相手方の要請と裁判所の手続を分ける2 顧客と税理士のどちらが所持しているか第2 守秘義務と文書提出義務を順に検討する1 税理士法38条と国税庁の解釈2 民事訴訟法197条の職種と秘密の類型第3 文書提出義務の根拠を特定する1 220条各号を一括して扱わない2 証明する事実と必要な範囲を対応させる第4 顧客の許諾と第三者の秘密を切り分ける1 許諾の対象と範囲を記録する2 顧客の利益と税理士自身の秘密を区別する第5 部分提出と秘密保護の手続を検討する1 全部提出と全部拒否の二択にしない2 イン・カメラ手続と提出後の閲覧を区別する第6 税理士と訴訟代理人が共有する確認事項1 受領時から提出までの記録2 決定への対応と役割分担第7 関連する解説と根拠資料1 関連記事2 法令と国税庁資料
第1 まず依頼の種類と文書所持者を確認する

税理士が顧客の帳簿,申告資料又は相談記録の提出を求められたときは,依頼者の秘密を守ることと,裁判所の適法な命令に対応することの双方を検討する必要がある。
「税理士の守秘義務がある」という説明だけでも,「裁判に関係する資料である」という説明だけでも,提出の可否は決まらない。

本記事は,民事訴訟で税理士が文書所持者として提出を求められる場面を対象とする。
税務調査,捜査機関の捜索・差押え及び弁護士会照会は,それぞれの根拠法と手続を別に確認する必要がある。

1 相手方の要請と裁判所の手続を分ける

相手方本人又は代理人弁護士からの任意の提出要請,裁判所による文書送付嘱託,文書提出命令の申立て及び提出を命ずる決定は,別のものである。
申立書が届いた段階で,提出を命ずる決定が出たと扱ってはならない。

受付時には,差出人,事件番号,裁判所,書面の名称,提出を求められた文書,対象期間,回答又は不服申立てに関する期限を確認する。
書面の添付資料を含めて保存し,電話での説明だけで対象を広げない。

2 顧客と税理士のどちらが所持しているか

顧客が自ら保管する帳簿と,税理士が保管する相談記録や受領資料は,所持者が異なる。
原本,写し及び電子データの所在を確認し,顧客が訴訟で述べたことと,税理士に提出義務が生じることを分けて検討する。

例えば,民事訴訟法220条1号は,当事者が訴訟で引用し,自ら所持する文書を対象とする。
顧客が資料の内容を引用したという事情だけで,第三者である税理士の所持文書について,同号の提出義務が当然に成立するわけではない。

第2 守秘義務と文書提出義務を順に検討する
1 税理士法38条と国税庁の解釈

税理士法38条は,正当な理由なく,税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし,又は窃用することを禁じている。
税理士でなくなった後も同様である。

国税庁の税理士法基本通達38-1は,この「正当な理由」を,本人の許諾又は法令に基づく義務があることと説明している。
これは国税庁が示す法令解釈であり,個々の資料について文書提出義務があるかを判断する条文に代わるものではない。

したがって,まず民事訴訟法に基づく提出義務と提出範囲を検討し,その結論と守秘義務の関係を確認する。
裁判所から書面が届いたというだけで,関連する顧客資料一式を任意に開示する扱いにはしない。

2 民事訴訟法197条の職種と秘密の類型

民事訴訟法197条1項2号は,医師,弁護士等の列挙された職種について,職務上知り得た黙秘すべき事実に関する証言拒絶を定めている。
税理士は,同号の職種として列挙されていない。

他方,同項3号は,技術又は職業の秘密に関する事項について証言拒絶を定めている。
税理士が所持する資料についても,この類型に該当する具体的な秘密があるかを検討する必要がある。
税理士法上の秘密であることと,民事訴訟法上の提出拒否の要件を満たすことを,同一視しないことが大切である。

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清算条項で別件の請求も消えるか―大阪地裁令和8年6月11日判決と和解の対象範囲(AI作成)

目次

第1 清算条項は訴訟の請求だけを終わらせるとは限らない第2 大阪地裁判決の事案と結論1 先行する訴訟と和解2 裁判所が重視したこと3 この判決だけでは分からないこと第3 「本件に関し」を付ければ十分か1 対象を示す言葉自体も具体化する2 既知の別件請求は留保を協議する第4 将来損害と別件請求は分けて検討する第5 和解前に確認する事項第6 根拠資料
第1 清算条項は訴訟の請求だけを終わらせるとは限らない

和解書の末尾に「本和解条項に定めるほか何らの債権債務がない」と記載するときは,訴訟で争っていた請求以外に残したい権利がないかを確認する必要がある。
大阪地裁令和8年6月11日判決は,別の訴訟で成立した裁判上の和解の清算条項を理由として,和解前の行為に基づく損害賠償請求を棄却した。

ただし,この判決から,あらゆる清算条項が未知の損害や将来の請求まで一律に消滅させるとはいえない。
問題となった条項の文言,従前の紛争,和解当時に認識していた事実を併せて読む必要がある。
本記事は,令和8年10月24日までに確認できた裁判所公表判決を基に,和解の対象範囲を検討する。

第2 大阪地裁判決の事案と結論
1 先行する訴訟と和解

配信事業者である会社と相手方との間では,商品に関する事件と名誉毀損に関する事件が先行していた。
令和7年10月30日に成立した裁判上の和解では,会社及びその代表者による解決金15万円の連帯支払などが定められ,接触禁止や謝罪に関する条項とともに清算条項が置かれた。

判決が引用した清算条項には,「本件に関し」といった対象を限定する文言がなかった。
会社はその後,相手方が配信を録画・保存し,訴訟資料として使用した行為や,会社関係者へのダイレクトメッセージの送信などを理由に,384万円の損害賠償を請求した。
問題とされた行為は先行和解より前に行われ,会社は和解当時,録画やメッセージの存在を認識していた。

2 裁判所が重視したこと

裁判所は,清算条項の文言と先行和解に至る経緯を検討し,当事者間に和解成立時に存在した債権債務を清算する趣旨であると判断した。
清算の対象を先行訴訟の訴訟物だけに限定すべき特段の事情も認めなかった。

その結果,会社の主張する損害賠償請求権が仮に成立していたとしても,清算条項により消滅したとして請求を棄却した。
録画やメッセージの送信がそれぞれ不法行為となるかを最終的に判断した上での棄却ではない。
原判決は,大阪地裁令和8年6月11日判決・令和8年(ワ)第1987号の5~6頁である。

3 この判決だけでは分からないこと

この判決は,訴訟用の録画が常に適法であると判断したものではない。
また,和解後に新たに発生する不法行為,和解の当事者でない者の権利,和解時に予測できなかった後遺障害などが,どのような条項でも当然に清算されるとしたものでもない。

裁判所の公表資料からは,この判決の確定や上訴の結果までは確認できない。
第一審判決の具体的な条項解釈として読むことが適切である。

第3 「本件に関し」を付ければ十分か
1 対象を示す言葉自体も具体化する

清算の範囲を限定したいときは,「本件」の内容を特定する必要がある。
事件番号だけで示すのか,特定の日の事故なのか,特定の契約に基づく一定期間の取引なのかによって,残る請求の範囲が変わり得る。
「本件に関し」という言葉を加えれば,それだけで常に希望どおりの限定ができるわけではない。

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大使館への未払代金は請求できるか―契約相手・主権免除・差押えの確認点(AI作成)

目次

第1 まず確認すること第2 外国国家との商業的取引は裁判権免除の例外になる第3 最高裁平成18年7月21日判決が示したこと第4 日本法を選ぶ条項と,裁判・執行への同意は別に確認する第5 請求・訴訟を進めるときの資料と送達第6 勝訴しても公館口座を当然に差し押さえられるわけではない第7 よくある質問1 外交官が注文したなら,その外交官に請求できるか2 国営企業との取引にも同じ説明が当てはまるか3 大使館向けの免税取引なら,民事上の免除もあるか第8 関連資料
第1 まず確認すること

大使館に物品を納めたり,清掃や修繕をしたりしたのに,代金が支払われない場合がある。
相手が外国国家でも,商業的取引に当たる代金請求について,日本の裁判権からの免除が認められないことがある。
ただし,契約相手の特定,日本で訴えられるか,判決を得た後に回収できるかは,それぞれ確認が必要である。

本稿は,日本の業者が外国国家に物品・役務を提供した場合を中心に説明する。
「大使館からの注文」という呼び方だけでは,債務者や適用される免除の制度は決まらない。

- 契約の相手方は外国国家,外交官個人,別法人のいずれか。
- 注文者は誰のために,どの権限で契約したのか。
- 物品販売・業務委託か,指揮命令を受けて働く労働契約か。
- 準拠法,裁判管轄,仲裁及び免除に関する合意はあるか。
- 納品・検収,請求額,支払期限及び対象財産を証明できるか。

たとえば,受付職員からのメール,大使館の名称入り請求書及び公館口座からの一部入金は,契約関係を調べる資料になる。
それだけで注文者の代理権や外国国家の支払義務が当然に確定するわけではない。

第2 外国国家との商業的取引は裁判権免除の例外になる

外国国家等は,原則として日本の裁判権から免除される。
他方,対外国民事裁判権法8条1項は,商業的取引に関する裁判手続について,免除を認めないとしている。

同項は,商業的取引として,物品の売買,役務の調達,金銭の貸付けその他の商業的・工業的な取引を定め,労働契約を除いている。
公館のために行う通常の物品調達や外注業務も,この規定を検討する対象になる。

公館の活動に役立つという目的だけから,すべてを主権的行為と決めることはできない。
もっとも,具体的な取引の性質,国家間取引に関する8条2項や,当事者の明示の別段の合意に関する同条3項,条約等に基づく特権免除を害さないとする3条も確認する。

常駐して公館の指揮命令を受け,賃金を得て働く関係であれば,契約書に業務委託と書かれていても,労働契約の問題となり得る。
この場合は8条の説明をそのまま当てはめず,9条を検討する。

詳しくは,大使館職員の未払賃金・解雇と主権免除:https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/10/19/taishikan-roudou-keiyaku-shuken-menjo/を参照されたい。

第3 最高裁平成18年7月21日判決が示したこと

最高裁平成18年7月21日判決(平成15年(受)第1231号,民集60巻6号2542頁)は,外国国家による私人との私法的・業務管理的な行為について,その行為の性質を重視して裁判権免除を判断した。
事件は,外国政府のためのコンピューター売買代金を準消費貸借債務に改めたとされる取引に関するものであった。

最高裁は,私法的・業務管理的な行為であっても,裁判権の行使が主権の侵害につながるおそれがあるなどの特段の事情があれば別としたが,その判断を広く認めたものではない。
また,日本の裁判所で紛争を解決する旨の書面による合意と免除の放棄との関係も示している。

この判決は請求を認めて回収まで完了させた判決ではなく,原判決を破棄して差し戻したものである。

(続きを読む...)大使館への未払代金は請求できるか―契約相手・主権免除・差押えの確認点(AI作成)

大使館の家賃滞納と明渡し―賃貸人が確認する主権免除と公館の不可侵(AI作成)

目次

第1 賃貸人が最初に調べる4項目第2 日本国内の不動産については11条を検討する第3 公館の不可侵は所有者が賃貸人でも問題になる第4 鍵の交換や荷物の搬出を先に進めない第5 賃料の支払と建物の返還を分けて交渉する第6 送達と金銭執行にも特則がある第7 弁護士への相談時に用意する資料第8 よくある質問1 大使館は外国の領土なのか2 外交官個人が借主の場合も11条だけで判断するか3 すでに退去した建物なら,自由に処理できるか第9 関連資料
第1 賃貸人が最初に調べる4項目

外国国家に日本国内の建物を貸し,大使館として使われている場合でも,賃料の支払を求める裁判が常に免除されるわけではない。
ただし,裁判で請求を判断してもらうことと,建物へ立ち入って明渡しを実現することは別に考える必要がある。
公館の不可侵は,建物を誰が所有しているかだけでは決まらない。

- 借主の正式名称と,署名した者の立場・権限。
- 貸室が大使館,外交官個人の住居,領事館等のどれに当たるか。
- 賃料・更新・解除・原状回復・紛争解決についての契約条項。
- 未払賃料の月別明細と,実際の使用・占有状況。

「大使館に貸した」という説明でも,国家が借主の場合と,外交官個人が私的に借りた場合がある。
また,大使館と領事館では条約上の制度が異なるため,施設名と実際の機能を確認する。

第2 日本国内の不動産については11条を検討する

対外国民事裁判権法11条1項は,日本国内の不動産に関する外国等の権利・利益,占有・使用及びこれらから生ずる義務について,裁判権免除の例外を定めている。
したがって,外国国家が借りて使用する国内不動産の未払賃料を請求するときは,まずこの規定を検討する。

飛澤知行編著『逐条解説 対外国民事裁判権法―わが国の主権免除法制について』56~57頁も,在本邦公館として用いる不動産の賃料が支払われない場合を挙げ,11条1項の適用を説明している。
同書は,不動産を占有する外国等に明渡しを求める裁判も,1号の具体例に挙げている。

これは,賃貸人の主張する賃料額や解除の有効性が,免除の例外に該当するだけで認められるという意味ではない。
契約の成立,弁済の有無,解除の要件等は,本案の問題として別に判断される。

また,同法3条は,条約又は確立した国際法規に基づく特権・免除を害さないとしている。
11条の適用と,次の公館の不可侵を一緒に確認することが必要である。

第3 公館の不可侵は所有者が賃貸人でも問題になる

外交関係に関するウィーン条約1条(i)は,所有者のいかんを問わず,使節団の目的のために使用される建物等を公館として定義している。
そのため,日本人の賃貸人が建物を所有しているという理由だけで,公館の不可侵がなくなるわけではない。

同条約22条1項は,公館を不可侵とし,接受国の官吏は使節団の長の同意がなければ立ち入ることができないと定めている。
同条2項は接受国の保護義務を,3項は公館,備品等及び輸送手段に関する捜索・徴発・差押え・強制執行からの免除を定めている。

賃料請求や明渡請求を裁判所に判断してもらえるかという問題から,執行官が公館へ立ち入り,直ちに明渡しを実現できるという結論を出すことはできない。
公館としての使用状況,条約及び個別の同意の有無・対象を踏まえた検討が必要である。

第4 鍵の交換や荷物の搬出を先に進めない

未払が続いても,貸主側だけの判断で鍵を交換したり,室内の物を搬出したりして明渡しを実現する方針は避け,弁護士に相談することが適切である。
公館の不可侵,館内の文書・財産の保護及び通常の賃貸借関係の問題が重なるからである。

(続きを読む...)大使館の家賃滞納と明渡し―賃貸人が確認する主権免除と公館の不可侵(AI作成)

国選弁護人だと保釈されにくいのか―保釈率27.4%と70.7%を因果関係と読めない理由(AI作成)

目次

第1 結論―統計の差だけでは弁護人の効果を比較できない第2 令和6年の国選弁護人の有無別統計第3 「国選なし」は「私選あり」と同じではない第4 因果関係を示さない四つの理由1 事件構成が異なる2 資力及び選任条件が異なる3 保釈請求の有無が分からない4 個別の弁護活動及び判断理由が分からない第5 国選弁護人選任率は罪名によっても異なる第6 国選弁護人と私選弁護人の役割第7 個別の保釈請求で確認すべき事項第8 統計の限界と適切な使い方第9 一次資料及び関連記事1 一次資料2 関連記事
第1 結論―統計の差だけでは弁護人の効果を比較できない

令和6年の地方裁判所通常第一審では,国選弁護人が選任された区分の保釈率は27.4%,国選弁護人が選任されなかった区分の保釈率は70.7%である。

しかし,この差から「私選弁護人なら70.7%の割合で保釈される」「国選弁護人は私選弁護人より能力が低い」と結論付けることはできない。
表の「国選弁護人が選任されなかった人員」は「私選弁護人が選任された勾留被告人」と同じ集団ではなく,事件の内容,資力,勾留の有無,保釈請求の有無等の条件もそろっていないからである。

裁判所の刑事事件Q&Aも,国選弁護人と私選弁護人とで弁護人としての役割に違いはないと説明している。
統計上の関連と,制度上の役割又は個々の弁護活動の評価は分けて考える必要がある。

第2 令和6年の国選弁護人の有無別統計

令和8年9月の開示文書の表7によれば,令和6年の人員は次のとおりである。

区分終局人員勾留人員勾留率保釈人員保釈率国選弁護人が選任された人員4万410人3万124人74.5%8254人27.4%国選弁護人が選任されなかった人員7148人3823人53.5%2702人70.7%

表7の保釈率の分母は勾留人員である。
したがって,27.4%は8254人を3万124人で割った値であり,70.7%は2702人を3823人で割った値である。
保釈請求をした被告人又は保釈請求件数を分母にした許可率ではない。

第3 「国選なし」は「私選あり」と同じではない

表7の区分は,「国選弁護人が選任された人員」と「国選弁護人が選任されなかった人員」である。
後者を,注記等による裏付けなく「私選弁護人が選任された人員」と読み替えることはできない。

また,二つの集団は,国選か私選かだけが異なる比較実験ではない。
国選弁護人の選任には,手続段階,事件類型,法定刑,資力,弁護人の有無その他の制度上・事実上の条件が関係する。
終局人員のうち勾留された割合自体も,国選あり74.5%,国選なし53.5%と異なる。

このように入口の集団が異なる以上,その後の保釈率の差を弁護人の選任形態だけの効果と説明することはできない。

第4 因果関係を示さない四つの理由
1 事件構成が異なる

罪名,事件の重大性,共犯関係,認否,証拠関係等の構成が二つの集団で同じとは限らない。
重い事件又は身柄拘束の必要性が問題となりやすい事件が一方に多ければ,弁護活動とは別に保釈率へ影響する。

2 資力及び選任条件が異なる

国選弁護人制度は,資力や私選弁護人の選任状況等と関係する。
表7は,資力,保証金の調達可能性,家族・監督者による支援等を調整していない。

3 保釈請求の有無が分からない

表7の保釈率の分母は勾留人員であり,保釈請求をした人ではない。
各区分で,何人が保釈を請求したか,何回請求したか,どの時期に請求したかは表から分からない。

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罪名別の勾留率・保釈率―窃盗・詐欺・覚醒剤・交通事件・入管法違反の令和6年統計(AI作成)

目次

第1 罪名別の勾留率・保釈率を読む前提第2 令和6年の主要罪名別比較第3 窃盗・詐欺・強盗・恐喝第4 交通事件―勾留率と保釈率を別々に読む第5 覚醒剤事犯―勾留率98.6%,保釈率29.4%第6 入管法違反―保釈率2.2%の限界第7 刑事訴訟法上は罪名だけで決まらない第8 統計利用上の限界第9 一次資料及び関連記事1 一次資料2 関連記事
第1 罪名別の勾留率・保釈率を読む前提

令和8年9月の開示文書の表2は,地方裁判所の通常第一審で終局した人員を罪名別に分け,勾留人員と保釈人員を示している。
令和6年の全体では,終局人員4万7558人,勾留人員3万3947人,保釈人員1万956人であり,勾留率は71.4%,保釈率は32.3%である。

この表の勾留率は終局人員を分母とし,保釈率は勾留人員を分母とする。
保釈率は,保釈請求をした人のうち許可された割合ではない。
罪名別の数字を比較するときも,この分母の違いを維持する必要がある。

第2 令和6年の主要罪名別比較

表2から,終局人員,勾留率及び保釈率を抜き出すと次のとおりである。

罪名終局人員勾留率保釈率傷害1778人88.5%36.8%業務上過失致死傷(注)3948人6.4%68.9%窃盗・常習累犯窃盗1万2172人84.8%21.0%強盗・強盗致死傷433人97.2%8.8%詐欺3308人83.6%31.8%恐喝286人95.8%48.9%覚醒剤取締法違反4876人98.6%29.4%道路交通法違反5659人21.2%45.6%出入国管理及び難民認定法違反2176人98.2%2.2%

(注)表2の罪名欄の表記であり,同表の注記によれば,平成19年以降は自動車運転過失致死傷を,平成26年以降は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条の過失運転致死傷を含む。

表の差は大きいが,罪名だけが原因で差が生じたことを示すものではない。
罪名ごとに,身柄事件となる事案の構成,証拠関係,共犯者の有無,住居・在留・就労状況,保釈請求の有無等が異なり得るからである。

第3 窃盗・詐欺・強盗・恐喝

令和6年の保釈率は,窃盗・常習累犯窃盗が21.0%,詐欺が31.8%,強盗・強盗致死傷が8.8%,恐喝が48.9%である。
同じ財産犯又は経済的被害を伴う犯罪であっても,表の割合はそろわない。

しかし,例えば「詐欺なら31.8%の確率で保釈される」「恐喝の方が強盗より保釈されやすい」と個別事件に当てはめることはできない。
表2は,起訴事実の内容,被害額,組織性,共犯関係,被害弁償,前科,認否,保釈請求の内容又は保釈条件を調整していないからである。

個別事件では,罪証隠滅又は逃亡のおそれを基礎付ける事情と,関係者への接触禁止,住居・監督体制その他の条件で危険を抑えられるかを具体的に検討する必要がある。

第4 交通事件―勾留率と保釈率を別々に読む

業務上過失致死傷(過失運転致死傷を含む。)の勾留率は6.4%,保釈率は68.9%であり,道路交通法違反の勾留率は21.2%,保釈率は45.6%である。

ここで,保釈率の分母になるのは,そもそも勾留された人だけである。
業務上過失致死傷では終局人員の多くが勾留されていないため,保釈率68.9%を終局人員全体の68.9%が保釈されたという意味に読んではならない。

交通事件でも,酒気帯び・無免許・ひき逃げの有無,前科,事故後の行動,住居・就労,認否等によって個別事情は異なる。
罪名欄の大分類だけから身柄見通しを断定することはできない。

第5 覚醒剤事犯―勾留率98.6%,保釈率29.4%

表8は,覚醒剤事犯とそれ以外の事件を分けている。
令和6年の覚醒剤事犯は,終局人員4876人,勾留人員4806人,勾留率98.6%,保釈人員1414人,保釈率29.4%であり,全通常第一審事件に占める割合は10.3%である。

これに対し,覚醒剤事犯以外の事件は,終局人員4万2682人,勾留率68.3%,保釈率32.7%である。

「覚醒剤事犯でも勾留人員の約3割が保釈された」という表現はできる。

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保釈はいつ認められるか―初公判前74.9%と自白・否認別統計の正しい読み方(AI作成)

目次

第1 保釈は起訴後いつ認められるのか第2 令和6年の保釈時期―全体・自白・否認別第3 74.9%と24.2%は分母が違う第4 「否認すると保釈されない」とはいえない第5 第1回公判前であることと最高裁判例第6 保釈請求から実際の釈放までに確認する事項第7 この統計から個別事件の結果を予測できない理由第8 一次資料及び関連記事1 一次資料2 関連記事
第1 保釈は起訴後いつ認められるのか

令和6年に地方裁判所の通常第一審で保釈された1万956人のうち,8209人(74.9%)は第1回公判期日前に保釈されている。
ただし,この74.9%は「勾留された被告人全体のうち初公判前に保釈された割合」ではなく,「最終的に保釈された被告人のうち初公判前に保釈された割合」である。

刑事訴訟法88条は,勾留されている被告人について,被告人本人,弁護人等が保釈を請求できると定めている。
したがって,保釈は起訴後,第1回公判期日前にも請求できる。
反対に,起訴前の被疑者勾留については刑事訴訟法上の保釈制度はない。

実際にいつ判断され,いつ釈放されるかは,請求の時期,検察官の意見,裁判所の審理,保釈保証金の納付,不服申立ての有無等によって異なる。
統計上の割合を,個別事件の所要日数又は保釈の見込みに置き換えることはできない。

第2 令和6年の保釈時期―全体・自白・否認別

令和8年9月の開示文書の表6は,地方裁判所の通常第一審で終局した事件について,勾留人員,保釈人員及び保釈の時期を自白・否認別に集計している。
令和6年欄は次のとおりである。

区分勾留人員保釈人員保釈率全体3万3947人1万956人32.3%自白2万9105人9913人34.1%否認3596人984人27.4%

保釈された人員を,釈放の日と第1回公判期日との前後で分けると,次のとおりである。

区分第1回公判前第1回公判と同日第1回公判後全体8209人・74.9%111人・1.0%2578人・23.5%自白7779人・78.5%98人・1.0%2036人・20.5%否認430人・43.7%13人・1.3%541人・55.0%

表6の時期別割合の分母は,各区分の保釈人員である。
全体の74.9%は8209人を1万956人で割った値であり,自白の78.5%は7779人を9913人で,否認の43.7%は430人を984人で割った値である。

なお,表6の自白・否認は終局段階の区分である。
起訴時の認否がその後一度も変わらなかったことまで示す統計ではない。

第3 74.9%と24.2%は分母が違う

初公判前に保釈された8209人を,保釈人員1万956人ではなく,勾留人員3万3947人で割ると24.2%になる。
この24.2%は,開示文書に印字された割合ではなく,本記事が表6の人数から計算した値である。

したがって,次の二つは別の質問に答える数字である。

①74.9%:保釈された人のうち,第1回公判前に保釈された人の割合
②24.2%:勾留された人のうち,第1回公判前に保釈された人の割合(本記事による計算)

また,令和6年の保釈率32.3%の分母は勾留人員であって,保釈請求をした人又は保釈請求件数ではない。
32.3%の残りを「保釈請求の却下率」と説明することもできない。

第4 「否認すると保釈されない」とはいえない

表6では,否認区分の保釈率は27.4%であり,自白区分の34.1%より低い。
また,保釈された否認区分984人のうち,第1回公判後の保釈が541人(55.0%)を占める。

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書記官事務のデジタル化で何が変わるか―3つの検討視点と定型・非定型事務(AI作成)

目次

第1 書記官事務のデジタル化で見直すもの第2 書記官事務を検討する3つの視点1 よい裁判をするために必要・有益な事務か2 書記官でなければできない事務か3 書記官が行うことが相当な事務か第3 定型的な事務と非定型的な事務の違い1 システムを利用した定型的な事務2 審理運営に密接に関わる非定型的な事務第4 裁判官との協働と首席書記官の役割1 システムに合わせて従来の作業を移すだけでは足りない2 実践結果を共有し,継続して見直す第5 令和8年5月以降の制度・通達との関係1 検討資料と,実施された通達を読み分ける2 mintsの義務化はいつからか第6 書記官事務のデジタル化に関する疑問1 デジタル化すると書記官の仕事はなくなるのか2 事務官と書記官の違いは何か第7 出典・関連資料1 業務整理の検討資料2 現在の職務・制度・通達
第1 書記官事務のデジタル化で見直すもの

書記官事務のデジタル化は,紙の記録や従来の作業を,そのままシステムに置き換えるだけの問題ではない。
どの事務が裁判に必要か,誰が担当するのが適切か,裁判官と書記官がどう協働するかを,事務の目的から考え直す問題でもある。

当ブログで公開している令和6年度の開示資料は,検討の視点を3つ示した上で,事務を「システムを利用した定型的な事務」と「審理運営に密接に関わる非定型的な事務」に大別している。
本記事では,この整理の意味と,令和8年5月以降の制度・通達との関係を説明する。【資料1・PDF実頁2,4~6】

ここでいう令和6年度は掲載ファイル名の表示による。
資料に記された導入予定や整備目標は,当時の検討経過として読み,現在の実施状況とは区別する。

第2 書記官事務を検討する3つの視点
1 よい裁判をするために必要・有益な事務か

第1の視点は,その事務が,よい裁判のために必要又は有益かという点である。
資料は,合理性や効率性も含めて検討することを求めている。

従来から続いている作業でも,目的と効果を説明できるかを確かめる必要がある。
例えば,記録の確認や情報共有という目的が同じでも,電子記録を利用できる場面で,紙の取扱いと同じ工程を重ねる必要があるかは別に検討することになる。
この例は,資料の検討視点を実務に当てはめた説明であり,個々の作業の廃止を定めたものではない。

2 書記官でなければできない事務か

第2の視点は,その事務に,書記官の法的素養や,事件手続・実務慣行に関する知識と経験が必要かという点である。
システムの操作を伴うというだけで,書記官の専門性が不要になるとはいえない。

裁判所の公式説明でも,書記官は,調書作成等のほか,裁判官と連携して訴状の補正や期日の準備を促すなど,訴訟の進行を支える役割を担っている。
操作の手順と,その操作を行うための手続上の判断を分けて考えることが必要である。【資料1・PDF実頁2,4/資料2】

3 書記官が行うことが相当な事務か

第3の視点は,裁判官と書記官の役割を踏まえ,その事務を誰が行うのが相当かという点である。
書記官にできる作業であることと,書記官が担当するのが適切であることは,同じではない。

裁判官と書記官が,必要な情報,準備の内容,担当する範囲を話し合うことが重要になる。
協働を進めることによって,裁判内容の判断主体まで入れ替わるわけではない。【資料1・PDF実頁2,4~5】

第3 定型的な事務と非定型的な事務の違い
1 システムを利用した定型的な事務

資料は,受付,送達,通知,手数料,記録等の事務を,システムを利用した定型的な事務の例として挙げている。
これらについては,システムの機能を踏まえ,事務処理の流れや取扱いを整理し,共通の手順や執務要領につなげる方向が示されている。

ただし,「定型的」であることは,すべてを自動処理できることや,手続上の点検が不要になることを意味しない。

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刑事判決書の電子交付は8400円?―閲覧・謄写,紙の謄本との違い(AI作成)

目次

第1 8400円は何の費用か第2 紙の謄本,証明付きの提供,閲覧・謄写の違い1 取得方法ごとの根拠と費用2 閲覧・謄写と証明付きの提供は別の手続第3 電子データの提供が高額な理由第4 施行時期と適用対象の確認1 施行時期2 経過措置と段階的な対象拡大第5 判決書の取得前に確認する事項第6 よくある疑問1 判決のPDFを見るだけでも8400円か2 電子データでの提供が始まれば紙は選べなくなるのか3 第三者も8400円を払えば取得できるのか第7 関連記事第8 出典
第1 8400円は何の費用か

令和7年法律第39号による改正後の刑事訴訟法46条2項は,裁判書が電磁的記録である場合等に,その内容と同一であることの証明がされた書面又は電磁的記録の提供を請求する制度を設けている。
同法による改正後の刑事訴訟法施行法10条2項は,その費用を,当分の間,書面については用紙1枚につき60円,電磁的記録については1件につき8400円と定めている。

したがって,8400円は,同一であることの証明がされた電子データとして裁判書の提供を受ける場合の費用である。
刑事記録の閲覧,裁判所のウェブサイトに掲載された判決の閲覧又はオンラインでの証拠開示について,一律に8400円がかかる制度ではない。

また,46条2項と施行法10条2項を定める改正規定は,刑事手続の電子化に関する主要規定と同じく,令和9年3月31日までの間において政令で定める日から施行される。
令和8年10月23日現在,その施行日を定める政令は,e-Gov法令検索では確認できない。
適用時期と対象事件については,第4で説明する。

第2 紙の謄本,証明付きの提供,閲覧・謄写の違い
1 取得方法ごとの根拠と費用

刑事判決書の内容を手元に置く方法は,次のように根拠と費用が異なる。

取得方法根拠費用・注意点紙の裁判書の謄本・抄本の交付刑事訴訟法46条(改正後は46条1項)刑事訴訟法施行法10条1項により用紙1枚につき60円電磁的記録である裁判書について,同一であることの証明がされた書面の提供改正後の刑事訴訟法46条2項改正後の施行法10条2項により用紙1枚につき60円電磁的記録である裁判書について,同一であることの証明がされた電磁的記録の提供改正後の刑事訴訟法46条2項改正後の施行法10条2項により1件につき8400円弁護人による訴訟記録の閲覧・謄写刑事訴訟法40条,改正後の40条の246条2項の提供請求とは別の制度であり,8400円の対象ではない。方法によっては裁判長の許可を要する

例えば,証明付きの書面で10枚の提供を受ける場合,用紙代の計算は1枚60円として600円となる。
これは上の表の単価だけを計算した例であり,郵送等の付随費用や具体的な請求方法まで定めたものではない。

2 閲覧・謄写と証明付きの提供は別の手続

弁護人による閲覧・謄写について,改正後の刑事訴訟法40条2項は,証拠物の謄写,電磁的記録を複写する方法による謄写及び書類等を電磁的記録として記録する方法による謄写に,裁判長の許可を要するとしている。
また,改正後の40条の2は,裁判所のファイルに記録された訴訟に関する書類又は証拠物を,裁判長の許可を受けて,裁判所の規則で定める電磁的方法により閲覧・謄写する制度である。

閲覧・謄写によって判決書の内容を確認・保存できても,それは同一であることの証明がされた裁判書の提供とは異なる。
『自由と正義』令和8年10月号の野上小夜子論稿も,同一事項の証明がされた判決書が必要な場合は,閲覧・謄写ではなく裁判書の提供請求が必要になると説明している(同号24頁)。
証明付きの裁判書の提供を求める46条2項と,閲覧・謄写を定める40条・40条の2を同じ手続として扱うと,費用と許可の要否を取り違えることになる。

起訴後の被告人側による記録入手の全体像は,刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)で説明している。

第3 電子データの提供が高額な理由

令和7年4月1日の衆議院法務委員会で,森本宏法務省刑事局長は,裁判書等の電子データを提供する場合には,セキュリティー確保の観点から,請求者が持参した記録媒体を検察庁や裁判所の電子機器に接続することはできないと答弁している。
その上で,無限定な拡散を防止するセキュリティー措置を講じることができる記録媒体を提供する側で用意する必要があり,8400円は,1件当たりの人件費と記録媒体の購入費用を含む物件費を積算して定めたと説明している。

同じ答弁では,記録媒体にコピーガード等の機能が必要であることが電磁的記録の費用が高い理由として挙げられ,請求者は利用目的や費用を考慮して,電子データと書面のどちらの提供を請求するかを自由に選択できるとされている。
また,例えば100枚であれば書面では6000円となるため,その程度以上の分量であれば,データで受け取る方が使いやすいと考える者もいるのではないかとの見通しも述べられている。

ただし,これらは法案審議時の政府の説明である。
具体的に使用される媒体の種類,保存・印刷の可否及び請求の手順は,法律の条文から確定することはできない。
実際に請求するときは,裁判書を保管する裁判所等の案内を確認する必要がある。

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名古屋高裁の裁判官会議議事録の読み方―令和8年6月26日の委員会改廃と事件分配(AI作成)

目次

第1 資料の対象と日付1 会議日と議事録作成日2 付議・承認・報告を区別する第2 委員会規程の改正と廃止1 常置委員会の構成員の追加2 判例委員会規程・広報委員会規程の廃止第3 民事事件の分配に関する変更1 第一審事件裁判書の頁数による区分2 改正後民事訴訟法が適用されない事件3 親権行使者の指定抗告事件の緊急処理区分第4 実務での確認方法と資料の限界1 当該時点の規程と個別事件の記録を分ける2 公開版の黒塗り部分から推測しない第5 出典・関連記事1 一次資料2 関連記事

名古屋高裁の令和8年6月26日の裁判官会議では,常置委員会規程の改正,判例委員会・広報委員会の規程の廃止,裁判官の配置等の変更が扱われた。添付資料には,民事控訴事件の分配基準を第一審事件裁判書の頁数で区分する変更も収録されている。

会議で決めた事項と,既に実施した事項の承認・報告を分け,それぞれの施行日を確認することが重要である。以下は,公開された議事録・添付資料の記載から読み取れる範囲を整理したものである。

第1 資料の対象と日付
1 会議日と議事録作成日

名古屋高裁の裁判官会議議事録(令和8年6月26日開催分)は,全63頁の公開版である。会議は令和8年6月26日午後3時30分から大会議室で,参集又はウェブ会議によって開催され,議事録には同年7月7日付の作成日が記載されている(PDF1~4頁)。

添付資料には,会議資料,常置委員会規程の改正・改正後の規程,委員会規程の廃止,裁判官配置・裁判事務分配等の定めが含まれる。日付を引用するときは,会議日,議事録作成日,個々の変更の施行日を区別する。

2 付議・承認・報告を区別する

議事録は,付議事項,承認事項,報告事項を分けて記載している。委員会規程の改廃等の付議事項は全員異議なく可決され,裁判官配置・裁判事務分配・司法行政事務の代理順序の変更についても全員異議なく承認されたとされる。他方,事件の回付,裁判官の職務代行等は報告事項に掲げられている(PDF1~2頁)。

高等裁判所の司法行政事務については,裁判所法20条が,裁判官会議の議によりこれを行い,高等裁判所長官が総括する仕組みを定める。ただし,今回の会議資料に載った事項を,すべて6月26日に初めて効力が生じた決定と読むことはできない。添付資料には4月1日や5月21日など,それ以前の変更日も記載されている。

第2 委員会規程の改正と廃止
1 常置委員会の構成員の追加

令和8年6月26日付の名古屋高裁規程第1号は,常置委員会規程2条1項に第5号を加え,「支部の部の事務を総括する裁判官」を構成員に加えるものである。施行日は同年7月1日である(PDF15~19頁)。

改正後の規程には,長官,本庁の部の事務を総括する裁判官,本庁の民事部・刑事部から互選する裁判官,支部長等の構成が記載されている。改正箇所を確認するには,議事録の議題だけでなく,改正文と改正後の規程の双方を読む必要がある。

2 判例委員会規程・広報委員会規程の廃止

名古屋高等裁判所判例委員会規程と,名古屋高等・地方・家庭裁判所広報委員会規程については,それぞれ令和8年6月26日限りで廃止する文書が添付されている(PDF20~21頁)。常置委員会規程の改正と,廃止の効力が生じる日付は同一ではない。

これらの文書から確認できるのは,当該規程の廃止である。判例に関する事務や広報の業務そのものが終了したこと,特定の部署へ移管されたこと,人員が削減されたことまでは,この公開資料だけでは分からない。業務の継続・承継先を論じるには,別の事務分掌や後続の規程等を確認する必要がある。

第3 民事事件の分配に関する変更
1 第一審事件裁判書の頁数による区分

令和8年5月21日付の変更では,民事控訴事件の分配について,第一審事件裁判書の頁数を用いる区分が記載されている(PDF13頁及び25頁)。頁数の区分は,40頁未満,40頁以上80頁未満,80頁以上200頁未満,200頁以上である。

200頁未満の各区分では,一般民事事件・労働関係事件・行政事件を分け,200頁以上の事件については,これらの事件の種類を通じて受付順の輪番とする定めになっている。控訴状が名古屋高裁に提出された事件についての別枠の輪番や,関連事件等の例外もある。頁数だけで担当部を特定できる仕組みではない。

2 改正後民事訴訟法が適用されない事件

同じ定めには,改正後民事訴訟法が適用されない事件について,第一審事件の記録重量を用いる区分が別に残されている。重量の境界は5キログラム,15キログラム,40キログラムである(PDF13頁及び25頁)。

したがって,令和8年5月21日以降の事件だから一律に裁判書頁数で分配される,とはいえない。担当部の決まり方を調べる際には,当該事件に適用される手続法と経過措置,事件の種類,関連事件の有無等を合わせて確認する必要がある。

3 親権行使者の指定抗告事件の緊急処理区分

令和8年4月1日付の変更には,「親権行使者の指定抗告事件(要緊急処理)」という区分がある。記録上,緊急に処理する必要があることが明らかなものを分けている(PDF12頁及び26頁)。

これは事件分配に関する定めの記載である。この区分があることだけから,特定の申立てが認められることや,処理日数の保証を導くことはできない。

第4 実務での確認方法と資料の限界
1 当該時点の規程と個別事件の記録を分ける

事件分配を検討する場合は,対象となる日付,裁判所・本庁又は支部,事件の種類,適用法,関連事件等の例外の順に確認する。資料の「令和8年度」という表題だけで,年度中のすべての時点に同じ定めが適用されていたとは判断しない。

(続きを読む...)名古屋高裁の裁判官会議議事録の読み方―令和8年6月26日の委員会改廃と事件分配(AI作成)

下級裁判所の裁判官の配置定員(令和8年4月)―東京・大阪・札幌の内訳と令和7年との比較(AI作成)

目次

第1 令和8年4月の配置表が示すもの第2 東京・大阪・札幌の地裁本庁を令和7年と比較する1 職種区分を分けて読む2 基礎定員と付加定員の内訳第3 家裁・支部・簡裁を混ぜないための注意点1 家裁は地裁と別に確認する2 地家裁を合算した支部の行に注意する第4 法律実務で利用するときの確認順序第5 全国の配置枠を令和7年と比較する1 基礎定員・付加定員と職種区分別の全国集計2 50地家裁単位と簡裁50管内の増減一覧3 8高裁の内訳第6 改定理由と現在員を照合するときの限界1 公式職員数との比較でも基準と対象をそろえる2 全国の欠員と各庁の改定理由を区別する第7 令和7年の事件数と配置枠を並べて読む1 50庁の新受・未済件数2 事件数だけで繁忙度や改定の原因を決めない第8 出典と関連記事1 出典資料2 関連記事
第1 令和8年4月の配置表が示すもの

令和8年3月24日付の最高裁判所事務総長通達は,8高等裁判所の各長官に宛てて,下級裁判所の裁判官の配置表を改め,令和8年4月1日から実施するものである。
通達番号は最高裁総二A第44号から第51号までであり,公開されたPDFは116頁からなる。
本記事は,東京・大阪・札幌の具体例に加え,全国の8高裁,50地家裁単位及び簡裁50管内の合計行を令和7年4月と比較する。
個別庁の配置枠,公式の職員数及び司法統計の事件数は,資料の時点と集計範囲を分けて読む。

配置定員は,表に示された裁判官の配置枠である。
実際に在籍する裁判官の人数を示す現在員の名簿ではないため,配置定員が1人分減ったことから,実際の在籍人数が1人減ったと断定することはできない。

第2 東京・大阪・札幌の地裁本庁を令和7年と比較する
1 職種区分を分けて読む

表の「判事及び職権特例判事補」と「その他の判事補」は別の区分である。
以下の「判事等」は前者を指し,各区分の基礎定員と付加定員を合計した数を示す。
「本庁小計」は,両区分を本記事で足し合わせた数であり,支部や家庭裁判所を含む管内総数ではない。
単位は人分である。

地裁本庁年度判事等その他の判事補本庁小計東京令和7年26955324東京令和8年25865323大阪令和7年12727154大阪令和8年12528153札幌令和7年27734札幌令和8年25833

東京地裁本庁では,判事等が11人分減り,その他の判事補が10人分増えているため,本庁小計の差は1人分の減少となる。
大阪地裁本庁と札幌地裁本庁も,判事等の減少とその他の判事補の増加を合わせると,いずれも小計は1人分の減少である。
この区分別の動きから,個々の裁判官の異動や職権特例判事補の指定状況,改定の理由までは特定できない。

出典は,令和7年及び令和8年通達の別表であり,いずれも東京がPDF3頁,大阪が27頁,札幌が99頁である。
頁数は,それぞれのPDFファイルの先頭から数えた頁である。

2 基礎定員と付加定員の内訳

令和8年の東京地裁本庁の判事等258人分は,基礎定員241人分と付加定員17人分の合計である。
その他の判事補65人分は,基礎定員64人分と付加定員1人分の合計である。
大阪地裁本庁の判事等125人分は114人分と11人分,札幌地裁本庁の判事等25人分は24人分と1人分に分かれる。

平成27年3月26日付の基本通達は,付加定員を,未済事件の累積,特殊事件の係属その他の一時的な事由に基づき暫定的に配置する定員と説明している。
したがって,付加定員の増減を調べることには意味があるが,個々の庁でどの事情が改定理由となったかは,配置表の数字だけから確定できない。
基礎定員の増減だけでなく,付加定員と職種区分を併せて確認する必要がある。

第3 家裁・支部・簡裁を混ぜないための注意点
1 家裁は地裁と別に確認する

令和8年の東京家裁本庁は,判事等が基礎35人分と付加6人分の合計41人分であり,その他の判事補に付加1人分があるため,小計は42人分となる。

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保釈率の読み方―勾留率・保釈許可率との違いと令和6年の統計(AI作成)

目次

第1 勾留率・保釈率・保釈許可率を区別する1 令和6年の地裁通常第一審の人員2 保釈率から保釈請求の却下率は分からない3 集計対象と表の違い第2 初公判前の保釈は何を分母にした割合か第3 外国人の保釈率は表の対象範囲を確認する1 表4は通訳翻訳人が付いた外国人事件の人員2 表5の外国人区分は別の人員である第4 国選弁護人の有無による差をどう読むか第5 古い保証金額の分布を現在の相場にしない第6 出典と関連記事1 出典2 関連記事第7 よくある質問1 保釈率32.3%は保釈請求の許可率か2 初公判前74.9%は勾留された人全体の割合か3 「国選弁護人なし」は「私選弁護人あり」か4 表4と表5の外国人は同じ集団か

保釈率を読むときは,何人を分母にした割合かを確認する必要がある。
保釈率が3割程度であることは,保釈請求の約7割が却下されたことを意味しない。
本記事では,令和8年9月の開示文書として公開された最高裁判所の統計資料と,法務省の令和7年版犯罪白書を基に,令和6年の地方裁判所の通常第一審の数値を整理する。

第1 勾留率・保釈率・保釈許可率を区別する
1 令和6年の地裁通常第一審の人員

開示資料の表2では,令和6年の総数について,終局人員が47,558人,勾留人員が33,947人,保釈人員が10,956人とされている。
この表の勾留率は,終局人員を分母にした33,947人÷47,558人であり,71.4%である。
保釈率は,勾留人員を分母にした10,956人÷33,947人であり,32.3%である。
法務省の令和7年版犯罪白書第2編第3章第3節6も,令和6年の地裁の勾留率を71.4%,保釈率を32.3%としている。

2 保釈率から保釈請求の却下率は分からない

上記の保釈率の分母は,保釈請求をした被告人や,裁判所が処理した保釈請求の件数ではない。
したがって,32.3%を保釈請求の許可率に置き換えたり,その残りを却下率と説明したりすることはできない。
保釈許可率や保釈請求率を別途引用する場合も,請求・処理・許可のどの人員を数えたか,実人員か延べ人員か,表の計算式と注記を確認する必要がある。

3 集計対象と表の違い

本記事の中心となる数値は,地裁の通常第一審についての終局人員の統計である。
捜査段階の勾留請求の認容率や,現在勾留されている被告人全体のある時点の状態を表す数値としては扱わない。
開示資料の表1には令和6年の勾留率60.3%,保釈率32.4%という別の数値が掲載されており,表2の総数と同じ数値ではない。
本記事では,人員と算式を確認でき,犯罪白書の説明とも一致する表2及び表5を基準とし,表1の系列とは接続しない。

罪名別の数字も同じ分母で比較する必要がある。
令和6年の主要罪名について,終局人員,勾留率及び保釈率を一覧化したものは,罪名別の勾留率・保釈率―窃盗・詐欺・覚醒剤・交通事件・入管法違反の令和6年統計を参照されたい。
罪名別の割合は,個別事件の保釈見込みを示す確率ではない。

第2 初公判前の保釈は何を分母にした割合か

開示資料の表6では,令和6年の保釈人員10,956人のうち,第1回公判期日前の保釈人員が8,209人であり,保釈人員に占める割合は74.9%である。
同じ8,209人を勾留人員33,947人で割ると24.2%になる。
表6の角括弧内の割合は保釈人員を分母とし,丸括弧内の割合は勾留人員を分母としているため,両者を混同してはならない。
「保釈された人のうち初公判前に保釈された割合」と「勾留された人のうち初公判前に保釈された割合」は,別の質問に答える統計である。
また,終局した事件の集計から,個別の被告人が初公判前に保釈される確率をそのまま算出することはできない。

自白・否認別の保釈率,第1回公判前・同日・公判後の人員,74.9%と24.2%の分母の違い及び最高裁決定との関係は,保釈はいつ認められるか―初公判前74.9%と自白・否認別統計の正しい読み方で詳しく説明している。

第3 外国人の保釈率は表の対象範囲を確認する

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最高裁広報課は報道をどう把握するのか―通信社配信・新聞クリッピング・有料DBの用途と費用(AI作成)

目次

第1 最高裁広報課の報道把握を予算資料から読む1 通信社配信,新聞記事,有料DBという三つの手段2 記載されている金額は概算要求の積算である第2 時事通信・共同通信のニュース配信1 裁判所に関する報道を迅速に把握するための費用2 費用の記載から分かることの範囲第3 新聞クリッピングと著作権料1 最高裁判所分と下級裁判所分を分けた積算2 著作権料の計上と個別の利用行為の評価第4 報道機関からの照会と有料データベース1 照会事項の背景を把握するための情報源2 月額単価と所要額の違い第5 資料の読み方と,さらに具体的に確認できる文書1 資料の記載と,そこからの推測を分ける2 前年度との比較と関連資料
第1 最高裁広報課の報道把握を予算資料から読む
1 通信社配信,新聞記事,有料DBという三つの手段

最高裁判所の広報課は,裁判所に関する報道をどのように把握し,報道機関からの照会に対応するための情報を集めているのか。
令和9年度概算要求書の説明資料には,通信社からのニュース配信,新聞クリッピングに伴う著作権料,有料データベースの利用について,それぞれ目的と積算が記載されている。
裁判所が国民に向けて情報を発信する側面に加え,報道や照会に対応するために情報を取り入れる側面を知ることができる資料である。

本記事は,令和9年度の説明資料の広報課部分を基に,関連項目を整理する。
以下の「印刷頁」は資料本文の頁番号であり,PDFビューアーの頁番号より2頁少ない。
例えば,印刷61頁はPDF63頁,印刷67頁はPDF69頁に当たる。

2 記載されている金額は概算要求の積算である

本記事の金額は令和9年度の概算要求段階のものである。
予算の成立額,実際の契約額,支払額,又は個々のサービスの利用実績を示すものではない。
また,比較対象とする「前年度予算額」も決算額ではない。

歳出要求の費目は裁判所公式サイトの令和9年度歳出概算要求書でも確認できるが,具体的な利用目的や積算の説明には,本記事で参照する説明資料の記載が役立つ。

第2 時事通信・共同通信のニュース配信
1 裁判所に関する報道を迅速に把握するための費用

説明資料の印刷61・62頁には,裁判所に関する報道等を迅速に把握するため,通信社からニュースの配信を受ける費用が記載されている。
積算上の内訳は,時事通信社と共同通信社の2社である。

配信元月額単価月数所要額時事通信社737,000円12月8,844千円共同通信社1,149,500円12月13,794千円合計――22,638千円

年間の要求額の合計は2263万8000円である。
月額単価に12月を掛けた額は,それぞれ884万4000円及び1379万4000円となる。
この2項目は,説明資料に記載された前年度予算額と同額である。

2 費用の記載から分かることの範囲

この積算は,最高裁広報課が通信社の配信を利用して裁判所関係の報道を把握する仕組みを説明するものである。
個々の記事をどの職員が閲覧したか,どの記事を上司に報告したか,特定の記事にどのように対応したかまでは記載されていない。
配信に要する費用から,特定の記者や報道内容に対する働きかけの有無を判断することはできない。

第3 新聞クリッピングと著作権料
1 最高裁判所分と下級裁判所分を分けた積算

印刷61・62頁には,新聞クリッピングに伴う著作権料の積算も掲載されている。
通信社のニュース配信とは別の項目であり,最高裁判所分と下級裁判所分が区別されている。

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最高裁判決の英訳の探し方・使い方―日本語原文との照合と翻訳予算(AI作成)

目次

第1 最高裁判決・決定の英訳はどこで探せるか第2 事件番号と裁判年月日から英訳を探す第3 日本語原文との照合例第4 非公式訳・暫定訳という位置付け第5 知財判決の全訳・抄訳・要旨を区別する第6 最高裁判決の翻訳費はいくら要求されているか
第1 最高裁判決・決定の英訳はどこで探せるか

最高裁判所の判決・決定の英訳は,裁判所ウェブサイトの英語版「Judgments of the Supreme Court」で探せる。
知的財産に関する裁判例については,知的財産高等裁判所の「IP Judgments Database」も利用できる。
いずれも裁判所が掲載する資料であるが,掲載元は英訳を非公式訳と位置付けているため,日本語の裁判書原文と照合して利用する必要がある。

入口は,次のとおりである。

調べたい資料入口最高裁判所の判決・決定の英訳Judgments of the Supreme Court最高裁判例の英語版検索画面Search screen知財関係裁判例の英訳・英語要旨IP Judgments Database

以下は,令和8年10月21日に確認した掲載内容に基づく。

第2 事件番号と裁判年月日から英訳を探す

最高裁判例の英語版検索画面には,キーワード,裁判年月日,事件番号,法廷及び原審裁判所の検索項目がある。
特定の裁判例を探す場合は,まず日本語版で事件番号と裁判年月日を確認し,英語版で対応する事件を絞り込むと照合しやすい。
キーワードだけで探すと,日本語の法律用語と英訳の表現が一致しないこともあるため,見つからない場合は日付や事件番号でも確認する。

事件番号の年は,裁判がされた年と別の情報である。
例えば,令和8年1月28日の第一小法廷決定に係る令和7年(許)第18号は,英語版では「2025(Kyo)18」と表示されている。
この事件を事件番号で探す際の年は2025年であり,決定日の2026年とは区別する。

第3 日本語原文との照合例

前記の決定について,日本語版と英語版の事件を対応させると,次のようになる。

確認項目日本語版英語版事件番号令和7年(許)第18号2025(Kyo)18裁判年月日令和8年1月28日2026.01.28法廷・裁判種別最高裁判所第一小法廷・決定Decision of the First Petty Bench結果却下dismissed without prejudice

日本語版の結果詳細は,裁判例結果詳細に,裁判書全文は日本語原文のPDFに掲載されている。
対応する英語版は,2025(Kyo)18である。

実際の利用では,事件番号と日付だけでなく,事件名,法廷,裁判種別,主文及び理由の該当箇所まで確認する。
英語版には,事件の要旨に当たる「Summary」と,主文・理由に当たる「Main text」「Reasons」が区別して表示される例がある。
要旨の表現をそのまま裁判書本文の表現として引用せず,引用対象が要旨なのか,主文なのか,理由なのかを明らかにする。

この例の日本語原文の主文には,本件申立てを却下し,申立費用を申立人の負担とする旨が記載され,英語版にも対応する記載がある。
英語の訳語だけから日本法上の効果を判断することを避け,法的な意味を検討する際は日本語原文と参照条文に戻る。

第4 非公式訳・暫定訳という位置付け

最高裁判所の英語版案内と検索画面は,掲載する訳を非公式訳とし,翻訳の正確性について最高裁判所が責任を負わない旨を明示している。
前記2025(Kyo)18の個別ページにも,暫定的な翻訳であり,改訂されることがある旨が記載されている。
裁判所のサイトに掲載されていることと,英語の表現が日本語原文に代わる確定的な正文であることとは区別する必要がある。

海外の依頼者,研究者又は外国法の専門家に紹介する場合は,英語版のURLとともに,日本語版の事件番号,裁判年月日及び原文のURLを示すと,原典に戻って確認しやすい。

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裁判所書記官・事務官・家裁調査官の海外研究・留学―制度の違いと令和9年度概算要求(AI作成)

目次

第1 裁判所職員にも海外研究・留学の制度がある第2 2週間の「一般職外国司法事情研究」第3 新規6人・継続6人を積算する「一般長期在外研究」第4 「行政官長期在外研究」との違い第5 公式採用サイトに掲載された1年間の研究体験第6 応募を考える際に確認する事項と関連資料
第1 裁判所職員にも海外研究・留学の制度がある

裁判所には,裁判官以外の職員が海外の裁判制度や裁判実務を研究する制度がある。
裁判所採用サイトは,在外研究を外部経験の一つとして紹介し,ウェールズの大学で1年間,家族法を研究した職員の体験談も掲載している。

最高裁判所の「令和9年度概算要求書(説明資料)」の秘書課関係部分には,①一般職外国司法事情研究,②一般長期在外研究,③行政官長期在外研究という異なる項目がある。
期間,研究目的及び費用の積算を,項目ごとに確認する必要がある。

ここで扱う「一般職員」は,裁判官以外の職員に関する制度説明の文脈で用いられている。
採用試験における総合職・一般職という区分だけから,制度の対象や応募資格を判断することはできない。
以下の人数・金額は,特に断らない限り令和9年度の概算要求上の積算であり,実際に派遣された人数や支出済みの金額を示すものではない。

第2 2週間の「一般職外国司法事情研究」

説明資料の印刷頁36~37頁(PDF実頁38~39頁)には,「一般職外国司法事情研究」が記載されている。
研究の目的として,裁判所書記官については裁判手続や書記官の役割,裁判所事務官については外国の司法組織や裁判所運営,家庭裁判所調査官については少年事件・家事事件等に関係する外国の生活習慣や生活事情などが説明されている。

外国旅費の内訳では,2週間の研究として,北米8人,豪州1人の計9人を積算している。
要求額は,外国旅費836万8000円,通訳料59万8000円,翻訳料16万9000円である。
これらを合計すると913万5000円になるが,ここで挙げた3項目の合計であり,裁判所の海外研究に関する予算全体を示す数字ではない。

北米・豪州という区分と人数は,当該年度の要求書の積算内容である。
将来の募集でも同じ派遣先・人数になるという条件を示すものではない。

第3 新規6人・継続6人を積算する「一般長期在外研究」

説明資料の印刷頁38~40頁(PDF実頁40~42頁)には,「一般長期在外研究」が記載されている。
一般職員を相当期間,外国の裁判所や司法関係機関,大学等に派遣し,司法制度,裁判実務,司法改革等の研究を行わせる制度として説明されている。
令和9年度は,新規6人,継続6人の派遣に必要な経費を要求している。

費目令和9年度概算要求の積算外国旅費継続分948万2000円,新規分2450万7000円,計3398万9000円授業料等計914万9000円。内訳表の積算人数は5人

新規6人・継続6人という人数と,授業料等の表に現れる5人という人数は,同じ集計ではない。
外国旅費と授業料等では積算の対象が異なるため,5人を制度全体の派遣人数と読んだり,新規・継続の計12人を全員新規の留学生と読んだりしない。
この2費目の合計は4313万8000円であるが,費目を示さずに制度全体の総費用と呼ぶことも避けるべきである。

旅費表には,継続分について89日又は90日,新規分について273日又は274日の滞在費等の積算がある。
年度をまたぐ研究のうち,当該年度にどの部分の費用が計上されるかを読み取る資料であり,この表だけから全員に共通する募集上の研究期間を断定することはできない。

第4 「行政官長期在外研究」との違い

説明資料の印刷頁15~20頁(PDF実頁17~22頁)の「行政官長期在外研究」は,司法制度等の研究に従事させるため,海外の大学院の修士課程等に原則2年間を限度として派遣する制度として説明されている。
同資料は,制度が昭和41年から毎年裁判官を派遣してきたことに加え,令和3年度からは一般職員も派遣していると記載している。

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裁判所の生成AI利用と令和9年度概算要求-司法行政の「源内」と訴訟記録による検証(AI作成)

目次

第1 概算要求から分かる二つの利用場面第2 司法行政事務での「源内」利用費1 利用対象は司法行政事務を行う職員である2 所要額は千円単位で32458千円である第3 実際の訴訟記録を用いる利活用検証費1 検証の目的と対象2 安全な環境の整備を含む要求である3 過去の契約と新たな入札公告を区別する第4 概算要求から導入済みと判断しない第5 出典と関連記事1 出典2 関連記事
第1 概算要求から分かる二つの利用場面

最高裁判所の令和9年度概算要求書(説明資料)には,生成AIに関する二つの利用場面が記載されている。
一つは,司法行政事務を行う職員によるガバメントAI「源内」の利用であり,もう一つは,実際の訴訟記録を用いた民事訴訟での利活用検証である。

両者は,利用目的と予算上の項目を分けて読む必要がある。
概算要求は予算の要求段階の資料であり,要求額がそのまま予算成立額,契約額又は利用実績を示すわけではない。
また,これらの記載だけから,生成AIによる判決作成や裁判上の判断が導入されたと判断することもできない。

以下は,令和8年10月22日までに確認した公表資料に基づく整理である。
説明資料の73頁,74頁,110頁及び111頁は,リンク先PDFではそれぞれ75頁,76頁,112頁及び113頁に当たる。

第2 司法行政事務での「源内」利用費
1 利用対象は司法行政事務を行う職員である

説明資料73頁では,司法行政事務を行う職員が,デジタル庁の提供するガバメントAI「源内」を利用するための経費が説明されている。
予算上は,「裁判所の機構の維持に必要な経費」のうち「機構運営対策経費」に位置付けられている。

デジタル庁の説明によれば,源内には汎用的な生成AIの利用に加え,行政実務を支援するアプリケーションがある。
ただし,源内全体で紹介されている機能が,裁判所で全て利用できることまで確認できたわけではない。

デジタル庁が令和8年5月に公表した「ガバメントAI源内の展開状況」は,同月29日時点の実績として,最高裁を「4月中に展開済」の機関に挙げている。
同じ資料は「最高裁(残余分)」を6月以降の順次展開予定に挙げており,確認できるのは最高裁への一部展開実績である(PDF3頁・資料上2頁)。

この展開実績は,令和9年度概算要求とは別の資料で確認できる事実である。
一方,最高裁全体への展開完了,職員の実利用人数・頻度,各機能の提供範囲又は実際の事件記録を使う日常運用までは示していない。
また,令和6年のFIXER契約による検証環境との同一性や,個別契約の履行完了を示す資料でもない。

令和8年10月20日,デジタル庁は,AIエージェント機能を用いる「エージェントチャット」の順次導入を開始したことと,高度なAIエージェントを構築・実行する「源内工房」を同年12月頃までに導入する目標を公表した。
順次導入の開始や今後の目標を,全利用機関での導入完了と読み替えることはできない。

同時に公表された「源内基準」第1版は,利用を希望する司法府の職員も利用者に含めている。
もっとも,同基準の対象はデジタル庁がホストする方式であり,各機関が独自に環境を構築する方式と区別されている。
また,機密性2情報であっても,各機関の規程や利用条件に従う必要があり,一律に入力できるという意味ではない。
これらは源内の利用を理解する手掛かりとなるが,裁判所が採用する方式,各機能の提供範囲又は実際の訴訟記録の入力可否を確定する資料ではない。

2 所要額は千円単位で32458千円である

説明資料74頁の積算では,(項)最高裁判所の情報処理業務庁費・雑役務費として,560式,単価5万7960円が示されている。
積算額は3245万7600円であり,千円単位の所要額は32458千円,約3246万円である。

ここにある「560式」は積算上の数量である。

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大使館職員の未払賃金・解雇と主権免除―外国国家との労働契約(AI作成)

目次

第1 大使館で働く職員も外国国家を訴えられるか第2 労働契約に関する9条の構造1 日本国内での労務提供2 免除されない原則の6つの除外事由第3 未払賃金・地位確認・損害賠償を分ける1 実際に働いた分の未払賃金2 採用・再雇用と地位確認3 解雇等の終了の効力4 損害賠償請求第4 大阪高裁令和6年1月26日判決第5 契約・勤務資料と手続の確認事項第6 よくある質問1 大使館の現地採用職員は全員免除の対象外か2 金銭請求なら主権免除は問題にならないか3 勝訴すれば大使館の口座から回収できるか第7 出典・関連記事
第1 大使館で働く職員も外国国家を訴えられるか

日本国内で労務の全部又は一部を提供する労働契約について,使用者である外国国家が常に裁判権から免除されるわけではない。
「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律」9条1項は,このような労働契約に関する裁判手続では免除されないことを定める。
ただし,同条2項には,職務,請求内容,国籍・通常居住,書面による合意等に関する除外事由がある。

本稿は,令和8年10月19日現在の同法と,飛澤知行『逐条解説 対外国民事裁判権法―わが国の主権免除法制について』(商事法務,2009年)40~51頁を基礎に,日本の裁判所で外国国家との労働紛争を扱う際の区別を説明する。
法律の条文は,e-Gov法令検索で確認できる。
https://laws.e-gov.go.jp/law/421AC0000000024/

最初に確かめるのは,雇用契約の当事者である。
外国国家が使用者である場合,外交官が個人で雇った場合,別法人が使用者である場合では,免除を検討する根拠が異なる。
勤務場所が大使館であることだけで,被告を大使個人としたり,すべての請求が免除されると判断したりすることはできない。

制度の全体像は,主権免除(国家免除)と外国国家への民事訴訟を,外交官個人に対する請求は,外交官の民事裁判権免除を参照されたい。

第2 労働契約に関する9条の構造
1 日本国内での労務提供

9条1項は,外国等と個人との労働契約で,日本国内で労務の全部又は一部が提供され,又は提供されるべきものを対象とする。
日本で契約書に署名したかだけでなく,実際の就労場所と予定された労務提供地を確認する。
労働契約は8条の商業的取引から除かれているため,労働紛争はまず9条の要件に即して検討する。

2 免除されない原則の6つの除外事由

9条2項の各号は,同条1項を適用しない場合を定める。
各号にはそれぞれ条件があり,大使館の職員であるという名称だけで当てはめることはできない。

条項確認する事項特に区別する点1号外交官,領事官,所定の使節団職員など,外交上の免除を享有する者か現地採用職員という名称だけで決まらない。身分と条約の適用を確認する。2号外国等の安全,外交上の秘密その他の重大な利益に関する任務のために雇用されているか肩書だけでなく,実際の職務と秘密情報等への関与を確認する。3号採用又は再雇用の契約の成否に関する訴え・申立てか損害賠償を求めるものは,この号の対象から除かれる。4号解雇等の終了の効力に関する訴え・申立てか所定の国家元首等による安全保障上の利益への判断が必要であり,3号と同じ条件ではない。損害賠償請求は対象から除かれる。5号手続開始時に当該外国等の国民か日本に通常居住するときは,この号の除外事由によらない。6号当事者間に書面による別段の合意があるか日本の裁判所に管轄がないとすることが労働者保護の見地から公序に反する場合のただし書を確認する。

2号について,逐条解説は,安全や外交上の秘密等に関する任務を実際に遂行する場合と,そのような任務を遂行するとはいえない受付・運転・清掃・事務等の場合を区別している〔44~45頁〕。
職種名が同じでも職務の実態は異なり得るため,契約書,職務記述書,指揮命令の内容,担当業務の資料をそろえて判断する必要がある。

第3 未払賃金・地位確認・損害賠償を分ける
1 実際に働いた分の未払賃金

労務を提供したのに約束された賃金や退職金が支払われない場合と,採用・再雇用や解雇の効力を争う場合は同じではない。
逐条解説46頁は,単純な賃金等の不払を理由とする裁判手続に,9条2項3号・4号は適用されないと説明する。
もっとも,他の除外事由に該当しないかと,賃金債権が実際に成立するかは別途確認する。

2 採用・再雇用と地位確認

9条2項3号は,採用又は再雇用の契約の成否に関する訴え等を扱う。

(続きを読む...)大使館職員の未払賃金・解雇と主権免除―外国国家との労働契約(AI作成)

国連国家免除条約とは―発効状況と日本の対外国民事裁判権法との関係(AI作成)

目次

第1 国連国家免除条約は何を定めるか第2 発効状況と日本の受諾1 条約は発効しているか2 日本の署名と受諾第3 未発効でも日本の国内法が適用される理由1 条約と国内法は同じ文書ではない2 国家免除は債務の不存在を意味するか第4 裁判権免除と保全・執行免除第5 外交官の免除・慣習国際法との関係1 外交官や公館の保護との区別2 条約の規定はすべて慣習国際法か第6 よくある質問1 日本が受諾していれば条約は発効済みか2 条約の非締約国は日本で常に免除されるか3 条約が未発効なら外国国家を訴える規則はないか4 条約の現在の状態はどこで確認できるか第7 出典・関連記事
第1 国連国家免除条約は何を定めるか

国連国家免除条約は,外国国家とその財産について,他国の裁判所の裁判権から免除される範囲等を定める条約である。
正式名称は「国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約」であり,平成16年12月2日にニューヨークで採択された。
主権免除の原則だけでなく,免除されない裁判手続と,財産への強制措置に関する条件を分けて定めている。

本稿は,令和8年10月19日に確認した国連寄託情報,外務省資料,現行の国内法及び飛澤知行『逐条解説 対外国民事裁判権法―わが国の主権免除法制について』(商事法務,2009年)を基礎とする。
外国国家を日本で訴える手順の全体像は,主権免除(国家免除)と外国国家への民事訴訟を参照されたい。

第2 発効状況と日本の受諾
1 条約は発効しているか

令和8年10月19日の確認時,国連条約集の寄託情報は,同月19日付の状態として,この条約を未発効と表示していた。
同画面の署名国数は28,参加国数は25である。
これらは確認時点の数値であり,署名国数と批准・受諾等をした参加国数は同じ意味ではない。

30条1項は,30番目の批准書,受諾書,承認書又は加入書が国連事務総長に寄託された日から30日目の発効を定める。
したがって,「30か国が署名すれば発効する」という説明は正確ではない。
最新の状態は,国連の次の寄託情報で確認できる。
https://treaties.un.org/pages/ViewDetails.aspx?chapter=3&clang=_en&mtdsg_no=III-13&src=TREATY

2 日本の署名と受諾

外務省によれば,日本は平成19年1月11日に署名し,平成21年6月10日に国会承認を得て,平成22年5月11日に受諾書を寄託した。
日本の受諾という行為と,多数国間条約全体が発効することを区別する必要がある。
日本の受諾日だけから,同日以降この条約が発効済みであると説明することはできない。

外務省の条約案内には,和文・英文テキスト,説明書及び概要へのリンクがある。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/shomei_23.html

確認事項意味本条約・日本についての確認結果採択条約文の採択平成16年12月2日署名日本による署名平成19年1月11日国会承認日本国内の締結手続平成21年6月10日受諾書寄託日本の受諾書を寄託平成22年5月11日条約の発効30条の条件を満たしたか令和8年10月19日確認時の国連情報では未発効
第3 未発効でも日本の国内法が適用される理由
1 条約と国内法は同じ文書ではない

日本には,平成21年法律第24号「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律」がある。
この法律は,外国等を当事者とする民事裁判手続と,外国等の財産への保全処分・民事執行に関する日本の裁判権の範囲等を定める国内法である。
条約の発効条件が満たされていないことだけを理由に,国内法の適用もなくなると考えることはできない。

逐条解説6~7頁は,条約の発効前に国内法を整備する意義を説明している。
法務省の法律概要も,法律の「外国等」の定義は条約締約国に限られておらず,非締約国にも適用されると説明する。

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国家承認と政府承認の違い―国交,条約関係と日本の裁判への影響(AI作成)

目次

第1 最初に四つの問題を分ける第2 政府の承認が変わっても国家の交代とは限らない1 日中共同声明の「承認」の対象2 光華寮訴訟における国家と政府第3 光華寮訴訟で手続が中断した理由1 当事者の確定と代表権を分ける2 所有権の帰属を確定した判決ではない第4 国交の有無だけで条約関係は決まらない第5 北朝鮮映画事件が示した個別条約の確認1 条約加入国の一覧だけでは足りなかった事案2 私人の権利について別の保護経路も確認する第6 相談・訴訟で確認する資料と順序第7 主な一次資料
第1 最初に四つの問題を分ける

国家承認,政府承認,外交関係の開設及び条約上の権利義務関係は,関連するが同じ問題ではない。
外国に関係する裁判では,国名や国交の有無だけで結論を出さず,誰が当事者であり,誰がその者を代表し,どの規則によってどの権利を主張するのかを順に確認する必要がある。

本記事は,日中共同声明,光華寮訴訟の最高裁平成19年3月27日判決及び北朝鮮映画事件の最高裁平成23年12月8日判決を中心に,日本の裁判との接点を整理する。
国家成立や分離独立の要件,台湾の国際法上の地位に関する学説全体を判定するものではない。

問題確認する内容裁判で関係する場面国家承認相手の政治的集団を国家として扱うこと未承認国との個別条約の関係等政府承認ある国家を代表する政府としてどの政府を扱うか国家の訴訟上の代表権等外交関係外交関係を開設・維持しているか外交使節の派遣,外交上の連絡等個別条約の関係当事国資格に加え,その国との間で権利義務が生じるか条約を通じた私人の権利保護等
第2 政府の承認が変わっても国家の交代とは限らない
1 日中共同声明の「承認」の対象

昭和47年9月29日の日中共同声明第2項は,日本国政府が中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認する旨を定めた。
ここで文言上の対象となっているのは,中国を代表する政府である。
同声明第3項の台湾に関する中国側の立場と,それに対する日本側の説明も,第2項と分けて読む必要がある。

政府承認の変更から,国家の同一性,領域の帰属,国有財産の所有権及び個人の国籍について,一つの結論が自動的に生じると考えることはできない。
何の法的効果が問題となっているのかを特定した上で,条約,国内法,裁判例及び当該事件の事実を確認する。

2 光華寮訴訟における国家と政府

光華寮訴訟では,京都市内の建物について明渡し等を求める訴えが昭和42年に提起され,訴状の原告は「中華民国」,代表者はその駐日特命全権大使と表示されていた。
訴訟係属中に日中共同声明が発出されたため,誰が原告であり,誰が原告を代表できるのかが問題となった。

最高裁は,原告として確定されるべき者を,訴え提起当時に国名を中華民国としていた中国国家であるとした。
その上で,政府承認の変更により,従前の外交使節が有していた中国国家の日本における代表権が消滅したと判断した。
同一の国家について代表する政府と外交使節が変わる問題を,訴訟当事者となる国家そのものの交代と同一視していない。

第3 光華寮訴訟で手続が中断した理由
1 当事者の確定と代表権を分ける

同判決は,代表権の消滅が公知の事実である場合には,民事訴訟法上の通知があった場合と同視できるとして,代表権消滅の効力を認めた。
さらに,従前の外交使節から授権された訴訟代理人がいても,代表権消滅時に訴訟手続が中断するとした。

通常,訴訟代理人が選任されている場合には中断しないという規律がある。
しかし,この事件では,従前の政府が代表権の発生母体としての根拠を失い,新たに承認された政府とは利害が異なるため,従前の授権だけで代理人が訴訟を続けることは国家の利益を害するおそれがあると説明された。
この事案固有の理由を,通常の法人代表者の交代にそのまま広げてはならない。

2 所有権の帰属を確定した判決ではない

最高裁は原判決を破棄し,第1審判決を取り消して,事件を京都地方裁判所へ差し戻した。
判決が中心的に判断したのは,当事者,代表権及び手続の中断である。

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公用車の情報公開―車種・車検証・契約書の開示と警備上の不開示(AI作成)

目次

第1 公用車の情報は一律に非公開ではない1 最高裁判所長官車と法務大臣車の違い2 本記事の原資料第2 裁判所の開示申出と情報公開法を区別する1 裁判所は行政機関情報公開法の対象機関に含まれない2 通知書にある「不開示情報に相当する」の意味第3 長官車の開示例で分かる部分開示1 車検証の車両番号等2 契約書の代表者印影第4 法務大臣車に関する答申第286号1 何が争われたか2 法務省の説明と審査会の判断3 結論は5条4号であり,6号の判断はしていない第5 開示資料を調べる際に整理する項目1 文書と項目を具体的にする2 不存在と内容の不開示を分ける第6 関連記事
第1 公用車の情報は一律に非公開ではない
1 最高裁判所長官車と法務大臣車の違い

最高裁判所長官車については,令和元年の開示により,車種・取得価格・取得年月日,車検証の一部,売買契約書の一部等が明らかになった。
一方,法務大臣車の契約書・車検証をめぐる令和2年度(行情)答申第286号では,車種を特定し得る情報や装備・仕様に関する情報について,より広い範囲の不開示が妥当とされた。

両者を比べるときは,対象機関,利用者の職責,対象文書,不開示とされた具体的な項目を分けて読む必要がある。
公用車であるという理由だけで,すべて開示又はすべて不開示になるわけではない。

2 本記事の原資料

最高裁判所長官車の情報提供資料・車検証(令和元年6月21日付け通知を含む):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所長官の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf

最高裁判所長官車の売買契約書(令和元年9月18日付け開示通知を含む):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/09/最高裁判所長官の公用車に関する売買契約書(平成25年12月24日付).pdf

令和2年度(行情)答申第286号(令和2年9月29日):
https://www.soumu.go.jp/main_content/000708563.pdf

第2 裁判所の開示申出と情報公開法を区別する
1 裁判所は行政機関情報公開法の対象機関に含まれない

裁判所の公式案内は,裁判所が行政機関情報公開法の対象機関に含まれないことを明記したうえで,司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱に基づく手続を案内している。
裁判所の開示申出を,同法に基づく行政機関への開示請求と同一の手続として説明するのは正確ではない。

司法行政文書の開示手続(裁判所公式):
https://www.courts.go.jp/about/jouhoukoukai_kojinjouhouhogo/sihougyouseibunsyokaijitetuduki/index.html

2 通知書にある「不開示情報に相当する」の意味

長官車の車検証に関する開示通知書(PDF実頁3頁)は,車両番号等について,行政機関情報公開法5条4号・6号に定める不開示情報に相当すると説明している。
ここでは「同法が裁判所に直接適用された」と書き換えず,裁判所の通知書が示した基準と理由として読む。

裁判所の開示に関する取消訴訟と処分性は,別の記事で扱っている。
https://yamanaka-bengoshi.jp/2018/01/14/hukaiji/

第3 長官車の開示例で分かる部分開示
1 車検証の車両番号等

長官車の通知書は,車両番号等について,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれと,警備上の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれを示している。
開示された車検証には黒塗り部分がある一方,車名,型式,乗車定員,寸法,重量等を読める部分もある。

この開示例は,当該通知時点の当該文書についての取扱いである。

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最高裁判所長官の公用車の調達―レクサスLS600hLの購入価格・装備・入札資料(AI作成)

目次

第1 この記事で扱う公用車と資料の時点1 平成26年取得の長官車2 原資料の読み分け第2 取得価格と交換差金は異なる1 契約書別紙の金額2 下取り車と支出の範囲第3 付属品98万6572円の内訳1 別紙に記載された7項目2 契約書から分からない装備第4 入札の日程と総合評価1 公告から納入期限まで2 最安値だけで落札者を決める方式ではない第5 この調達例から確認できる範囲1 確定できる事実と評価を分ける2 関連する制度の記事
第1 この記事で扱う公用車と資料の時点
1 平成26年取得の長官車

令和元年6月21日付けの最高裁判所の情報提供資料では,最高裁判所長官の公用車として,トヨタ・レクサスLS600hL,取得年月日2014年3月24日,取得価格1543万5900円が示されている。
本記事は,この車の売買契約書と調達関係文書を読み,購入額と下取り額の関係,装備の内訳,入札の方法を整理するものである。

これらは平成25年度の調達と令和元年の開示に関する資料であり,現在の長官車の車種や価格を示すものではない。
他の最高裁判所裁判官等の車種・取得価格は,既存の総合記事にまとめている。

最高裁判所裁判官等の公用車:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/06/25/public-car/

2 原資料の読み分け

取得年月日と取得価格は情報提供資料の別紙,交換差金と付属品は売買契約書の別紙,入札の日程と評価方法は入札説明書で確認する。
契約日,取得年月日,車検証の登録年月日は,同じ意味の年月日として扱わない。

長官車の情報提供資料・車検証(PDF実頁1〜4頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所長官の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf

平成25年12月24日付け売買契約書(PDF実頁2〜8頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/09/最高裁判所長官の公用車に関する売買契約書(平成25年12月24日付).pdf

入札説明書等の調達関係文書(PDF全35頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/10/最高裁判所長官の公用車の調達関係文書(入札説明書,性能等証明書,開札経過調書等).pdf

第2 取得価格と交換差金は異なる
1 契約書別紙の金額

売買契約書の別紙(PDF実頁8頁)には,新車の価額と,交換に出すセンチュリーの価額を分けて記載したうえで,両者の差額が示されている。
取得価格1543万5900円と交換差金1500万30円を取り違えると,車の価額と契約上の差額を混同することになる。

区分金額資料上の意味新車本体1371万4286円レクサスLS600hL本体の税抜額付属品計98万6572円別紙に列挙された装備等消費税計73万5042円新車本体・付属品に係る記載額新車の合計1543万5900円情報提供資料の取得価格と一致下取り車の合計43万5870円センチュリーの価額・消費税込み交換差金1500万30円新車合計から下取り合計を控除した額
2 下取り車と支出の範囲

交換に出す車は,契約書別紙に「トヨタ センチュリー」,年式「10」,型式「E-GZG50」と記載されている。
その価額は税抜41万5115円,消費税2万755円,合計43万5870円である。

交換差金は契約書上の金額であり,支払済みであることや,その後の維持管理費を含む総支出までをこの契約書だけで証明するものではない。
入札説明書の第7の(1)(PDF実頁4頁)も,入札金額に含める諸経費から,自賠責保険料と新車のリサイクル料金を除いている。

第3 付属品98万6572円の内訳
1 別紙に記載された7項目

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裁判所の所持品検査に関する情報公開―検査方法・免除者・契約書の不開示(AI作成)

目次

第1 所持品検査について何が開示されるか第2 大阪高裁の検査案内に関する不開示答申第3 他庁や団体が公表した情報がある場合第4 民間警備業者との契約書の一部不開示第5 全国集計と各庁の公開案内の違い第6 文書の不存在と検査の法的根拠第7 開示資料を調べる際の確認事項第8 関連記事第9 出典
第1 所持品検査について何が開示されるか

裁判所の所持品検査に関する文書は,すべてが開示されるわけでも,すべてが不開示となるわけでもない。
来庁者向けに公開されている案内と,具体的な検査方法・検査除外者・警備体制を記載した文書を区別する必要がある。
本記事では,情報公開・個人情報保護審査委員会の公表答申を中心に,どの文書のどの部分について判断されたのかを整理する。

ここで扱うのは,裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱に基づく開示申出と苦情申出の事例である。
答申に行政機関情報公開法5条の規定が現れるのは,その不開示情報に相当するかが検討されているためであり,行政機関に対する同法上の開示請求・審査請求と手続を混同すべきではない。
また,答申は判決ではなく,理由説明書はそれ自体が委員会の最終判断を示す文書でもない。

入庁時の持込禁止物,検査への協力及び配慮の申出については,裁判所の所持品検査―持ち込み禁止物・検査の流れ・拒否した場合の扱い(AI作成)を参照されたい。

第2 大阪高裁の検査案内に関する不開示答申

令和元年度(情)答申第18号(令和元年12月20日)は,大阪高等・地方・簡易裁判所庁舎の入庁検査について,近畿弁護士会連合会及び大阪弁護士会に通知した平成29年12月12日付文書の一部不開示を妥当とした。
対象はこの特定の通知文書であり,あらゆる裁判所のあらゆる検査案内を不開示とする判断ではない。

委員会は,文書の見分により,不開示部分が入庁検査の実施時間帯や方法,所持品検査の使用機器及び検査除外者に関する事項であると認めた。
その上で,公にすると検査の妨害等を企てられ,危険物の持込み等により裁判所利用者等の生命・身体に危険が及ぶおそれがあり,適正な警備事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして,行政機関情報公開法5条6号の不開示情報に相当すると判断した。
この判断は公表答申書4頁~5頁に記載されている。

同答申の1頁~2頁には苦情申出人の主張が,2頁~3頁には最高裁判所事務総長の説明が記載されている。
これらを引用する場合は,誰の主張・説明なのかを示し,委員会自身の判断と区別する必要がある。

第3 他庁や団体が公表した情報がある場合

この事例で苦情申出人は,入口の観察で分かること,他の地方裁判所の委員会議事概要や概算要求書等に機器が記載されていること,対象文書が黒塗りのない状態で特定団体のホームページに掲載されていることなどを主張した。
委員会は,観察によって得られる情報からは本件庁舎の運用が推測されるにとどまり,他庁等の公表情報からも,規模や構造等が異なる本件庁舎の運用が明らかになるとはいえないとした。

団体のホームページへの掲載についても,委員会は,仮に掲載されていてもその団体自身の判断によるもので,裁判所が組織として公にしたものではないことを踏まえ,情報の流通拡大がなお警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれにつながるという最高裁判所事務総長の説明を不合理とはいえないとした。
したがって,「どこかで閲覧できる」という事情だけで,本件での不開示事由が当然に消えると判断されたわけではない。
これは本件文書についての判断であり,第三者が公表した情報は常に不開示になるという一般命題でもない。

平成31年3月12日付理由説明書及び令和元年10月4日付補充理由説明書は,この審議において最高裁判所事務総長が提出した説明資料である。
補充理由説明書には,それまで安全が脅かされる事態が発生していないからといって,今後も発生のおそれがないとはいえないとの説明がある。
この記載は事務総長の説明として扱い,正式答申における委員会の判断は4頁~5頁に戻って確認する必要がある。

第4 民間警備業者との契約書の一部不開示

平成30年度(情)答申第1号(平成30年6月15日)は,札幌高裁が所持品検査の実施に関して民間業者と締結した平成29年4月3日付契約書の一部不開示を妥当とした。
平成30年度(情)答申第2号(平成30年7月20日)は,大阪高裁が入庁検査の実施に関して民間業者と締結した契約書の一部不開示を妥当とした。

両答申とも,委員会は対象文書を見分し,不開示部分に警備業務の具体的内容や警備体制が記載されていることを認めた。

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法廷警察権とは―退廷命令・監置・過料と裁判長の措置の限界(AI作成)

目次

第1 法廷警察権とは第2 退廷命令と,法廷の外へ及ぶ範囲第3 監置・過料という制裁1 制裁の対象と上限2 その場の拘束と,制裁を科す裁判3 最高裁が示した制裁の性質第4 制裁の裁判に対する不服申立てと補償第5 裁判長の裁量の限界とレペタ判決1 傍聴人のメモを原則として尊重すること2 措置の合理性と国家賠償法上の違法性を分けること第6 起立・服装・所持品検査との関係第7 主な出典
第1 法廷警察権とは

法廷警察権とは,適正かつ迅速な裁判を実現するため,法廷の秩序を維持する権限である。
裁判所法71条は,裁判長又は開廷した一人の裁判官が秩序維持を行い,裁判所の職務の執行を妨げ,又は不当な行状をする者に対して,退廷その他必要な命令・処置を行うことができると定めている。

退廷命令,法廷等の秩序維持に関する法律による監置・過料,措置による損害についての国家賠償請求は,それぞれ根拠と手続が異なる。
本記事は,令和8年10月18日時点で施行されている条文と,以下の最高裁判例を基に,この区別を説明する。

裁判所法の現行条文:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
法廷等の秩序維持に関する法律の現行条文:https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000286

第2 退廷命令と,法廷の外へ及ぶ範囲

裁判所法71条2項は,秩序を乱す行為に対し,退廷を命じるほか,秩序維持に必要な事項を命じ,又は処置を執る権限を定めている。
同法71条の2により,必要がある場合には警察官の派出を要求でき,派出された警察官は,法廷の秩序維持について裁判長等の指揮を受ける。

最高裁第三小法廷昭和31年7月17日判決(昭和29年(あ)第2084号)は,法廷の秩序を維持するために必要な限り,裁判官が妨害行為を直接目撃し,又は聞き知ることのできる場所まで権限が及ぶとした。
時間についても,開廷中に加え,これに接着する前後を含むとした。

同判決は,多数の傍聴人が騒ぎ,静かに退廷することを拒んだ具体的な事情の下で,退廷命令の執行として建物の外まで退去させたことを認めている。
この判断を,裁判所庁舎のどこでも,いつでも,同じ根拠で規制できるという説明に広げることはできない。
庁舎の管理,入庁時の所持品検査,法廷内の秩序維持は,対象・場所・目的を区別して検討する必要がある。

判決原文:裁判所公開PDF実頁1~2(印刷頁1~2)。
https://www.courts.go.jp/hanrei/51334/detail2/index.html

第3 監置・過料という制裁
1 制裁の対象と上限

法廷等の秩序維持に関する法律2条1項は,裁判所が事件について手続を行う際,その面前その他直接に知ることのできる場所における一定の行為を制裁の対象とする。
秩序維持のための命令・措置に従わない場合のほか,暴言・暴行・けん騒その他不穏当な言動により,職務の執行を妨害し,又は裁判の威信を著しく害する場合が規定されている。

制裁は20日以下の監置,又は3万円以下の過料であり,両方を科すこともできる。
監置は監置場に留置するものであり,退廷を命じるだけの措置とは異なる。
また,この法律の「過料」を,刑法上の「科料」や罰金と混同しないことが大切である。

2 その場の拘束と,制裁を科す裁判

同法3条2項により,対象となる行為があったときは,裁判所はその場で直ちに,裁判所職員又は警察官に行為者を拘束させることができる。
ただし,拘束の時から24時間以内に監置に処する裁判がされなければ,直ちに拘束を解かなければならない。

制裁を科す裁判は決定で行い,対象行為が終わってから1か月を経過した後にはできない(同法4条1項・2項)。
同条3項は,必要な場合に証人尋問その他の証拠調べをすることができると定めている。

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刑事控訴審・上告審の終局区分別統計―平成12年~令和7年の破棄・棄却の推移と控訴審の破棄自判に関する最高裁判例(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と基準日第2 刑事上訴審の終局区分別統計1 統計の単位と範囲2 高等裁判所(控訴審)の推移3 最高裁判所(上告審)の推移4 統計を読むときの限界5 最高裁が破棄自判無罪とした例(平成29年3月10日判決)第3 控訴審の破棄自判と上訴に関する最高裁判例1 無罪判決に対する検察官上訴2 第1審無罪判決を控訴審が破棄して有罪とする場合3 原判決が破棄された場合の未決勾留日数第4 関連記事第5 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 統計4 その他の資料
第1 この記事の対象と基準日

この記事は,高等裁判所(控訴審)及び最高裁判所(上告審)における刑事訴訟事件の終局区分別既済人員を,司法統計年報に基づき平成12年から令和7年まで一覧にするものである。
あわせて,控訴審が原判決を破棄して自判する場合及び上訴に関する最高裁判例を整理する。

数値の基準日は令和8年9月18日であり,同日時点で裁判所ウェブサイトに掲載されている司法統計年報(刑事編)平成27年版から令和7年版まで,及び平成12年から平成27年までを集計した推移表PDFによる。
令和8年10月18日に,本記事の全ての表の数値を,司法統計年報の各年版の第3表・第6表と照合した。

この記事で示す割合は,その年に終局した被告人の総数を分母とする全国の集計値であり,個別の事件で控訴又は上告が認められる見込みを示すものではない。

第2 刑事上訴審の終局区分別統計
1 統計の単位と範囲
(1) 既済人員という単位

以下の数値は,司法統計年報(刑事編)の「刑事訴訟事件の種類及び終局区分別既済人員」の表(高等裁判所は第6表,最高裁判所は第3表)による。
単位は事件数ではなく,その年に終局した被告人の人数(既済人員)である。

(2) 高等裁判所の数値の範囲

高等裁判所の平成28年以降の数値は「控訴審」の行であり,再審を含まない。
平成27年の第6表では,控訴審の総数は6078人で後記の推移表PDFの値と一致し,再審は0人であった。

(3) 最高裁判所の数値の範囲

最高裁判所の平成28年以降の数値は「上告審」の行(第一審判決に対するもの及び第二審判決に対するもの)の合計であり,非常上告及び再審を含まない。
平成27年の第3表では,上告審の合計は1891人で後記の推移表PDFの値と一致した。
第一審判決に対するもの(跳躍上告)は,平成27年に1人(上告棄却)であり,平成28年以降は,平成30年に2人(上告棄却),令和4年に1人(上告棄却),令和6年に1人(取下げ)で,それ以外の年は0人である。

(4) 数値の出所と検算

平成12年から平成27年までの数値は,司法統計年報を基に作成した刑事訴訟事件の終局区分別既済人員の推移表(高裁及び最高裁)(平成12年から平成27年まで)を基にし,各年版の司法統計年報の第3表・第6表と照合した。
平成16年,平成19年及び平成20年の最高裁判所の総数及び上告棄却は,推移表が第一審判決に対するもの(跳躍上告)を含んでいなかったため,これを加えた司法統計年報の値によっている。
平成28年から令和7年までの数値は,裁判所ウェブサイトに掲載されている各年の司法統計年報(刑事編)のExcelファイルから転記した。
各行について,内訳の合計が総数と一致することを確認している。

2 高等裁判所(控訴審)の推移
(1) 年次別の終局区分

① 総数及び破棄自判の内訳

年総数破棄自判・有罪破棄自判・無罪破棄自判・その他令和7年5,04036390令和6年4,928385120令和5年4,639371160令和4年4,82038060令和3年5,331484150令和2年5,332470120令和元年5,828494220平成30年5,710518311平成29年6,098547250平成28年5,910623240平成27年6,078549210平成26年5,890537110平成25年6,108547110平成24年6,618554150平成23年7,005669100平成22年6,856719210平成21年7,258792200平成20年7,962998130平成19年8,4221,159170平成18年9,3441,454200平成17年9,2641,203120平成16年9,1701,250220平成15年8,8751,288120平成14年8,3471,261210平成13年7,6291,17890平成12年7,186992120平成28年~令和7年の合計53,6364,6351721平成12年~平成27年の合計122,01215,1502470

② 破棄差戻し・移送,控訴棄却,取下げ及びその他

年破棄差戻し・移送控訴棄却取下げその他令和7年133,83580317令和6年203,67181921令和5年193,41378931令和4年253,57880625令和3年143,83695725令和2年253,85094827令和元年144,28598429平成30年264,16393932平成29年154,49298237平成28年224,1471,06430平成27年194,3211,14424平成26年104,1411,15239平成25年114,3341,18124平成24年114,7451,25142平成23年64,9411,35326平成22年104,7081,36434平成21年124,8921,50834平成20年205,3101,57744平成19年125,6031,59536平成18年165,8511,95845平成17年156,0591,94134平成16年135,9681,88829平成15年105,8111,73321平成14年105,3881,64126平成13年74,9141,50516平成12年34,7471,40131平成28年~令和7年の合計19339,2709,091274平成12年~平成27年の合計18581,73324,192505

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司法記者クラブとは―司法記者の仕事,加盟社・所在地,法曹記者クラブとの違い(AI作成)

目次

第1 司法記者クラブとは1 裁判所を取材する記者の組織2 記者クラブ一般の位置付け3 裁判所の広報から見た司法記者クラブ4 資料の時点と限界第2 加盟社と人数1 最高裁判所事務総局広報課作成の名簿2 常駐社3 非常駐社第3 所在地1 最高裁判所と霞が関の2か所2 大阪司法記者クラブ第4 法曹記者クラブとの違い1 法曹記者クラブは法務省の記者クラブ2 最高裁判所との懇談会の案内第5 裁判所が司法記者クラブに行う便宜供与1 便宜供与の性格2 東京の裁判所の対応基準3 大阪の裁判所の資料に見る便宜供与4 判決要旨の交付の流れ5 開廷表の提供の取扱い第6 司法記者の仕事1 所属と担当2 座談会に見る日々の取材3 記者会見と幹事社第7 出典・関連記事1 出典2 関連記事
第1 司法記者クラブとは
1 裁判所を取材する記者の組織

司法記者クラブは,裁判所を継続的に取材する新聞社・通信社・放送局の記者が組織する記者クラブである。
最高裁判所事務総局広報課が作成した名簿は「司法記者クラブ名簿」と題し,その連絡先の欄では「司法記者会」の名称を用いている。
本記事では,この名簿その他の開示文書に基づき,司法記者クラブの加盟社,所在地,法曹記者クラブとの違い,裁判所がクラブに対して行う便宜供与及び司法記者の仕事を整理する。

2 記者クラブ一般の位置付け

日本新聞協会編集委員会の「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」(平成14年1月17日,平成18年3月9日一部改定)は,記者クラブを「取材・報道のための自主的な組織」と位置付けている。
同見解は,記者クラブを日本新聞協会加盟社とこれに準ずる報道機関から派遣された記者などで構成されるものとし,参加形態についても,常駐,非常駐,オブザーバー加盟など,各クラブの事情に応じた運用を挙げている。
また,「取材・報道のための組織である記者クラブとスペースとしての記者室は、別個のものだということです。」と述べ,組織としての記者クラブと,公的機関が設ける記者室を区別している。

3 裁判所の広報から見た司法記者クラブ

最高裁判所事務総局広報課の「広報ハンドブック」(令和2年3月版)は,「3-1 報道機関についての基礎知識」の「5 裁判所の記者クラブ」(18頁)で,裁判所を取材する記者らも記者クラブを組織しているとした上で,記者クラブを「常時裁判所関係の取材を行っている記者たちの団体という意味で最も重要な相手方」と位置付けている。
同じ頁は,記者クラブが主体となって裁判所に便宜供与を要請し,裁判所側も記者クラブを相手に各種の申入れや調整を行っているとし,「一定期間ごとの持ち回りで幹事社を決め,この幹事社が,期間中,クラブ各社のまとめ役,連絡役を果たすことが多いようである。」と説明している。
地方では,裁判所を取材する記者クラブが検察庁も併せて取材することが一般的であり,警察や県庁を取材する記者クラブが兼ねている場合もあるとされている(同頁)。

4 資料の時点と限界

本記事が用いる名簿は,平成31年2月18日現在と令和2年5月7日現在のものである。
令和8年10月18日に確認した限りでは,その後の名簿は公表されておらず,現在の加盟社・人数は確認できていない。
大阪高裁・大阪地裁・東京高裁・東京地裁の資料も,それぞれ作成・改定された時点のものであり,現在の運用と同じであるとは限らない。

第2 加盟社と人数
1 最高裁判所事務総局広報課作成の名簿

最高裁判所事務総長は,司法行政文書の開示申出に対し,平成31年2月18日付け司法記者クラブ名簿(平成31年4月26日付け最高裁秘書第2264号)と令和2年5月7日付け司法記者クラブ名簿(令和2年7月8日付け最高裁秘書第1608号)を開示した。
いずれの名簿も,常駐社と非常駐社に分けて,社名,電話番号,人数,キャップ及び記者の氏名を記載する様式である。
記者の氏名と内線番号・電話番号の一部は,行政機関情報公開法5条1号,2号イ及び6号に定める不開示情報に相当するとして開示されなかった。

区分平成31年2月18日現在令和2年5月7日現在常駐社15社・104名15社・104名非常駐社20社・39名20社・41名合計35社・143名35社・145名

令和2年5月7日現在の名簿の合計人数「145」は,手書きで記入されている。

2 常駐社

常駐社は,両時点とも同じ15社であり,各社の人数は次のとおりである。

社名平成31年2月18日令和2年5月7日朝日新聞9名9名毎日新聞10名10名読売新聞10名10名日本経済新聞8名7名産経新聞5名6名東京新聞6名4名北海道新聞3名3名共同通信社10名10名時事通信6名7名NHK10名11名日本テレビ5名5名TBS5名6名フジテレビ6名6名テレビ朝日8名8名テレビ東京3名2名
3 非常駐社

非常駐社は,両時点とも次の20社である。

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裁判所関係者の叙勲・褒章の推薦手続―最高裁判所人事局長通達と情報公開の答申(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と要点1 対象とする手続と資料2 要点第2 春秋叙勲の推薦1 最高裁判所長官は推薦者の一人2 推薦対象者3 推薦庁と推薦の流れ4 推薦の上限数,辞退歴及び事故の報告5 最高裁判所長官から内閣総理大臣への推薦文書第3 藍綬褒章と遺族追賞の推薦1 推薦対象者は調停委員と補導受託者2 推薦庁と推薦期限3 遺族追賞第4 死亡叙勲・叙位と高齢者叙勲の推薦1 死亡叙勲・叙位2 叙位の推薦先と手続文書3 高齢者叙勲第5 推薦基準の非公開と情報公開の答申1 推薦基準は大部分が不開示2 「公職の経歴」を求める基準の存否応答拒否3 内定者名簿の不開示第6 出典・関連記事1 最高裁判所の通達・文書(ブログ掲載の開示文書)2 答申・内閣府の資料3 関連記事
第1 この記事の対象と要点
1 対象とする手続と資料

本記事は,裁判官,裁判官以外の裁判所職員及び調停委員が春秋叙勲,藍綬褒章,死亡叙勲,叙位又は高齢者叙勲の候補者となるとき,裁判所の内部でどのように推薦が行われるかを整理するものである。
主な資料は,最高裁判所事務総局人事局長が平成28年4月27日付けで高等裁判所長官等に宛てた推薦の通達4本(情報公開で一部不開示のまま開示されたもの)であり,内閣府の推薦要綱等と,情報公開・個人情報保護審査委員会の答申も用いる。
基準日は令和8年10月18日である。

受章者の実際の名簿は勲章受章者名簿(裁判官,簡裁判事,一般職,弁護士及び調停委員)に,役職ごとの受章の傾向は裁判所関係者及び弁護士に対する叙勲の相場(AIリライト)にまとめている。

2 要点

① 春秋叙勲では,高等裁判所が管内の裁判所に所属し又は所属していた候補者を最高裁判所事務総局人事局長宛てに推薦し,最高裁判所長官が内閣総理大臣に推薦する。
② 裁判所内部の推薦期限は,春の叙勲が前年の10月20日,秋の叙勲がその年の4月20日であり,内閣府賞勲局への協議書類の提出期限より2か月余り早い。
③ 藍綬褒章の推薦対象は,調停委員と,家庭裁判所から少年の補導を委託された補導受託者である。
④ 死亡叙勲・叙位は死亡の事実を把握した事務局長の報告と協議から,高齢者叙勲は年齢88歳に達した者について始まる。
⑤ 推薦対象者の要件の一部,推薦障害事由及び別表は不開示であり,「公職の経歴」を求める基準の文書については存否も明らかにされていない。

第2 春秋叙勲の推薦
1 最高裁判所長官は推薦者の一人

春秋叙勲候補者推薦要綱(平成15年5月16日内閣総理大臣決定)は,最高裁判所長官を,内閣総理大臣に叙勲候補者を推薦する「各省各庁の長」の一つとしている。
推薦に当たっては,あらかじめ文書で内閣府賞勲局に協議し,その書類は,春の叙勲では前年の12月26日までに,秋の叙勲ではその年の6月30日までに提出する。

2 推薦対象者

春秋の叙勲候補者の推薦について(平成28年4月27日付け最高裁人調第295号人事局長通達,令和2年7月13日最終改正)第1は,次のいずれにも該当する者を叙勲候補者として推薦するとしている。
① 生存者
② 叙勲の発令日(春は毎年4月29日,秋は毎年11月3日)において年齢70歳以上の者
③ 昭和39年春以降の春秋の叙勲(賜杯を含む。)により勲章又は銀杯若しくは木杯(他省庁の所管する分野の功労によるものを含む。)を授与されていない者
④ 紅綬褒章及び紺綬褒章を除く各種褒章を受章した者については,受章後5年を経過した者
⑤ 不開示とされた要件

②の年齢の要件に続く部分と⑤の要件は黒塗りであり,第2の推薦障害事由も,「第1の定めにかかわらず,次のいずれかに該当する者は,叙勲候補者として推薦することができない。」という柱書を除いて不開示である。

3 推薦庁と推薦の流れ

同通達第3の1によれば,高等裁判所は,当該高等裁判所又は管内の裁判所(検察審査会を含む。)に現に所属し,又は退職時に所属していた推薦対象者を,最高裁判所事務総局人事局長宛てに推薦する。
調停委員以外の候補者については,再任用職員,臨時的任用職員,任期付採用職員,非常勤職員及び執行官としての所属は,ここでいう所属に含まれない。
判事等を退職した後に簡易裁判所判事に任命された者は,簡易裁判所判事として所属し又は所属していた簡易裁判所の所在地を管轄する高等裁判所が推薦する。

候補者が他省庁の所管する分野で功労を有するときは,その省庁等と十分協議し,裁判所から推薦することについて了解を得る(栄典協議)。

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調停委員の叙勲・褒章―瑞宝章・藍綬褒章の授与基準,推薦手続及び受章者数(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と要点1 対象とする栄典と資料2 要点第2 瑞宝章(叙勲)1 勲章の授与基準上の位置付け2 瑞宝章の等級の決め方3 推薦の流れと年齢4 受章者名簿に見る調停委員功労第3 藍綬褒章1 褒章条例と内閣府の説明2 選考の手続3 受章者名簿に見る調停委員功績4 藍綬褒章と叙勲の関係第4 裁判所の表彰との違い1 根拠,決定者及び時期2 推薦事務の事務連絡第5 委嘱年数・件数の目安の扱い第6 出典・関連記事1 法令及び内閣府の資料2 裁判所の資料3 関連記事
第1 この記事の対象と要点
1 対象とする栄典と資料

本記事は,民事調停委員及び家事調停委員(以下「調停委員」という。)が対象となる国の栄典のうち,勲章の瑞宝章と褒章の藍綬褒章について,授与の基準,推薦の流れ及び近年の受章者数を整理するものである。
根拠には,内閣府賞勲局が公表している閣議決定・閣議了解・内閣総理大臣決定,褒章条例,制度説明及び春秋叙勲・春秋褒章の受章者名簿を用い,基準日は令和8年10月18日とする。

最高裁判所長官表彰,高等裁判所長官表彰並びに地方裁判所長表彰及び家庭裁判所長表彰は,裁判所内部の表彰であり,国の栄典とは別の制度である。
裁判所内部の表彰の基準は民事・家事調停委員の表彰制度―最高裁・高裁・地家裁の基準と名簿(AIリライト)で,最高裁判所長官表彰の年度別の名簿は調停委員に対する最高裁判所長官表彰の被表彰者名簿で扱っている。

2 要点

① 勲章の授与基準(平成15年5月20日閣議決定)は,瑞宝章の対象となる公共的な業務の例として,調停委員の業務を明記している。
② 内閣府の制度説明は,藍綬褒章の対象となる公共の事務の例として,調停委員の事務を明記している。
③ 春秋叙勲候補者推薦要綱及び褒章受章者の選考手続は,内閣総理大臣に候補者を推薦する者の一つとして最高裁判所長官を掲げている。
④ 令和6年秋から令和8年春までの4回の受章者名簿では,功労概要欄に「調停委員功労」とある叙勲の受章者が毎回26人から40人,功績概要欄に「調停委員功績」とある藍綬褒章の受章者が毎回17人から28人であった。
⑤ 調停委員としての委嘱年数や取扱件数によって叙勲又は褒章が決まる数値基準は,公開資料では確認できない。

第2 瑞宝章(叙勲)
1 勲章の授与基準上の位置付け

勲章の授与基準は,旭日章を「功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者」に,瑞宝章を公務等に長年従事して成績を挙げた者に授与するという二つの系統を定めている。
同基準第一の3は,「瑞宝章は、国及び地方公共団体の公務又は次の各号に掲げる公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者を表彰する場合に授与するものとする。」と定め,その(4)として「調停委員、保護司、民生委員など国又は地方公共団体から委嘱される業務」を掲げている。
したがって,調停委員としての功労は,勲章の授与基準の文言上,瑞宝章の系統に位置付けられている。

同基準第一の4は,旭日章と瑞宝章のいずれを授与するかを主たる功労がいずれに当たるかによって決めるとしている。
また,前記の公共的な業務に長年従事した者が,その業務に継続して,又はその業務に関連して旭日章の対象となる顕著な功績を挙げた場合も,瑞宝章を授与するとしている。

2 瑞宝章の等級の決め方

同基準第二の2(1)は,瑞宝大綬章から瑞宝単光章までの6等級のうち,果たした職務の複雑度,困難度及び責任の程度等を評価して授与する勲章を決めるとしている。
特に重要と認められる職務を果たした者は瑞宝重光章以上,重要と認められる職務を果たした者は瑞宝小綬章以上,その他の職務を果たした者は瑞宝単光章以上とされている。

同基準第二の2(2)は,「瑞宝章の授与は、形式的な職務歴により等しく行うものではなく、他の模範となる成績を挙げた者に対象を限り行うものとする。」と定めている。
同(5)も,「勲章の授与に必要とされる職務従事期間は、その職務の重要度等を考慮し、適正に調整するものとする。」と定めるにとどまる。
調停委員について,委嘱年数や担当件数の具体的な基準を定めた公開の閣議決定は確認できない。

3 推薦の流れと年齢

春秋叙勲候補者推薦要綱(平成15年5月16日内閣総理大臣決定,平成28年9月16日一部改正)によれば,最高裁判所長官,内閣総理大臣,各省大臣等の「各省各庁の長」及び各都道府県知事が,国家又は公共に対する功労のある者を選考し,春又は秋の叙勲候補者として内閣総理大臣に推薦する。
推薦の対象は,「70歳以上の者」,又は55歳以上の者のうち「精神的又は肉体的に著しく労苦の多い環境において業務に精励した者」若しくは「人目に付きにくい分野にあって多年にわたり業務に精励した者」である。
推薦に当たっては,あらかじめ文書で内閣府賞勲局に協議し,その書類は,春の叙勲では前年の12月26日までに,秋の叙勲ではその年の6月30日までに提出する。

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最高裁判所長官の記者会見と談話―今崎長官の就任会見,憲法記念日会見及び生成AIに関する発言(令和6年~令和8年)(AI作成)

目次

第1 最高裁判所長官の記者会見と談話の位置付け1 本記事の対象と基準日2 談話と記者会見の違い3 裁判所ウェブサイトに掲載される長官の発信4 過去の会見録の探し方第2 令和6年8月16日の就任談話と就任記者会見1 就任談話の要点2 下級裁判所の仕事,迅速化及びデジタル化3 裁判員裁判の公判前整理手続と「過剰な丁寧さ」4 具体的な事件と憲法についての回答の差控え5 刑事裁判官としての経歴についての発言第3 令和7年の憲法記念日の談話と記者会見1 談話の要点2 質問の範囲3 多様性をめぐる裁判と公平・中立4 再審請求事件と司法研修所の研究会5 個別の案件への回答の差控え第4 令和8年の憲法記念日記者会見1 民事訴訟手続のデジタル化の全面施行2 保釈と大川原化工機事件をめぐる質問3 再審と無罪が確定した事件の検証4 憲法と憲法改正の議論第5 生成AIに関する発言の推移1 令和6年8月の就任記者会見2 令和7年の憲法記念日記者会見3 令和8年の憲法記念日記者会見4 令和8年6月の長官所長会同における挨拶5 3回の会見での発言の読み方第6 関連記事第7 出典
第1 最高裁判所長官の記者会見と談話の位置付け
1 本記事の対象と基準日

本記事は,最高裁判所長官が就任時と憲法記念日に行う記者会見及び談話について,裁判所ウェブサイトの「トピックス」に掲載された概要を基に整理するものである。
対象は,第21代の最高裁判所長官である今崎幸彦長官の就任時(令和6年8月)の談話・記者会見,令和7年及び令和8年の憲法記念日の談話・記者会見,並びに令和8年6月の長官所長会同における挨拶である。
基準日は令和8年10月17日であり,発言の引用は,いずれも裁判所ウェブサイト又はInternet Archiveの保存ページの記載による。

長官の地位と権限は最高裁判所長官の地位,権限及び選任で,任期と定年は最高裁判所長官の任期と定年で整理している。
本記事は,長官が裁判の外で何を述べてきたかを,一次資料に沿って確かめるためのものである。

2 談話と記者会見の違い

就任時と憲法記念日には,長官名義の「談話」と,記者の質問への応答を記録した「記者会見の概要」が,別々のページとして掲載される。
会見の概要の冒頭には,長官が記者会見を行い「談話を発表するとともに、以下のとおり、記者からの質問に応じました。」と書かれている。
談話は長官があらかじめ用意した文章であり,会見の概要は,記者の質問と長官の回答を【記者】【長官】の形で一問ずつ記録したものである。

したがって,長官の考えを引用するときは,談話の文章と,質問に答えた会見での発言とを区別する必要がある。
会見では,記者が個別の事件や政治日程に触れて質問することが多く,長官がどこまで答え,どこで回答を控えたかも,発言の内容の一部になる。

3 裁判所ウェブサイトに掲載される長官の発信

裁判所ウェブサイトのトピックスには,就任時と憲法記念日の談話・会見のほか,長官の「新年のことば」,毎年6月の高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同における挨拶等が掲載されている。
令和8年の「新年のことば」の内容は,令和8年最高裁判所長官「新年のことば」を読むで整理している。

令和8年6月10日の会同における挨拶は,記者会見と異なり,全国の高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長に向けて,長官が裁判所の運営の方針を述べたものである。
その内容は,第5の4で取り上げる。

このほか,皇族の薨去に際しては「謹話」が掲載されることがある。
令和6年11月15日には,三笠宮崇仁親王妃百合子殿下の薨去に際して,今崎長官の謹話が掲載された。
謹話は哀悼の意を表す儀礼的な文章であり,司法の課題についての発言は含まれていない。

節目の年には,就任時と憲法記念日以外にも記者会見が開かれることがある。
例えば,大谷直人長官は,裁判員制度の施行から10年を迎えた際に記者会見を行い,その概要が令和元年5月にトピックスへ掲載された。
最高裁判所判事の就任記者会見の概要も,同じトピックスに掲載される(今崎長官は,最高裁判所判事に就任した令和4年6月24日にも記者会見を行っている。)。
判事の就任記者会見の準備資料は,最高裁判所判事の就任記者会見の関係文書で紹介している。

4 過去の会見録の探し方

令和7年の憲法記念日記者会見の概要のページと,同じ年の談話のページは,令和8年10月17日に確認したところ,いずれも内容が存在しない旨の応答(HTTP 404)を返し,トピックスの一覧にも見当たらなかった。
会見の概要は,Internet Archiveが令和7年(2025年)12月15日に保存したページで,談話は令和8年(2026年)2月10日に保存したページで,それぞれ読むことができる。

このように,長官の会見録は,一定期間を過ぎると裁判所ウェブサイトの一覧から外れることがある。

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裁判長と陪席裁判官の役割―右陪席・左陪席,評議の多数決と判事補の職権の制限(AI作成)

目次

第1 裁判長と陪席裁判官とは1 合議体を構成する裁判官2 合議事件と単独事件3 右陪席と左陪席4 誰が裁判長になるか第2 法廷での裁判長と陪席裁判官1 訴訟指揮と法廷の秩序維持2 陪席裁判官の発問と尋問3 受命裁判官として行う手続第3 評議と判決1 評議は裁判長が開き,整理する2 陪席裁判官も意見を述べ,過半数で決まる3 評議の結果と判決第4 判事補と陪席裁判官1 判事補の職権の制限2 判事補が担当する陪席の仕事3 単独事件への判事補の参与第5 裁判官が代わった場合第6 高裁の陪席裁判官第7 関連記事第8 出典1 法令・規則2 公式資料・文献
第1 裁判長と陪席裁判官とは
1 合議体を構成する裁判官

複数の裁判官で事件を審理し,裁判をするときの裁判官の集まりを,合議体という。
裁判所法は,高等裁判所(18条2項),地方裁判所(26条3項)及び家庭裁判所(31条の4第3項)の合議体の裁判官の員数を3人とし,そのうち一人を裁判長とすると定めている。
高等裁判所では,内乱罪等の訴訟(同法16条4号)に限り5人の合議体とされている(同法18条2項ただし書)。

合議体のうち裁判長以外の裁判官を,陪席裁判官という。
民事訴訟法149条2項は「陪席裁判官」,刑事訴訟法304条1項は「陪席の裁判官」という語を用いている。
本記事は,令和8年10月17日にe-Gov法令検索及び裁判所ウェブサイトで確認した法令・規則に基づいて,裁判長と陪席裁判官の役割を説明する。

2 合議事件と単独事件

高等裁判所は,裁判官の合議体で事件を取り扱う(裁判所法18条1項)。
これに対し,地方裁判所は,原則として1人の裁判官で事件を取り扱う(同法26条1項)。
地方裁判所が合議体で取り扱うのは,合議体で審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件,死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪(強盗等の一部の罪を除く。)に係る事件,簡易裁判所の判決に対する控訴事件等である(同条2項)。
家庭裁判所も,原則として1人の裁判官で事件を取り扱う(同法31条の4第1項・2項)。

地方裁判所の大規模訴訟では5人の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をすることができ(民事訴訟法269条1項),特許権等に関する訴えの控訴事件でも,東京高等裁判所は5人の合議体で審理及び裁判をする旨の決定をすることができる(同法310条の2)。

3 右陪席と左陪席

横浜地方裁判所の法廷見学の案内(裁判官席)は,合議事件のときには法壇の中央の席に裁判長が座り,裁判長から見て右側に右陪席裁判官,左側に左陪席裁判官が座ると説明している。
右と左は裁判長から見た向きなので,傍聴席から見ると左右が逆になる。
同じ案内によれば,刑事裁判の裁判員裁判のときには,右陪席裁判官及び左陪席裁判官のさらに外側に,3名ずつ裁判員が座る。

河合健司氏の講演録は,任官後に勤務した函館の刑事部では「左陪席」,その後の京都地裁の民事部では「右陪席」であったと述べている(「河合健司元仙台高裁長官講演会講演録 裁判官の実像」早稲田大学法務研究論叢第3号238頁)。
同じ講演録は,その後,東京高裁及び仙台高裁の刑事部にいずれも左陪席として勤務したと述べている(同239頁)。

4 誰が裁判長になるか

下級裁判所の合議体では,支部長又は部の事務を総括する裁判官(部総括判事)が裁判長となる(下級裁判所事務処理規則5条2項)。
これらの裁判官に差し支えがあるときは,裁判官会議の議により毎年あらかじめ定められた順序に従って,他の裁判官が裁判長となる(同条3項,6条1項)。
判事補は,裁判長となることができない(裁判所法27条2項)。
部総括判事の指名の手続や「部長」という呼び方は,部総括判事とはで説明している。

第2 法廷での裁判長と陪席裁判官
1 訴訟指揮と法廷の秩序維持

民事訴訟の口頭弁論は,裁判長が指揮する(民事訴訟法148条1項)。
刑事訴訟でも,公判期日における訴訟の指揮は,裁判長が行う(刑事訴訟法294条)。

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調停委員がおかしい・偏っていると感じたら―苦情の伝え方と変更・除斥(AI作成)

目次

第1 まず問題となっている事柄を分ける1 結論への不満と手続上の問題2 調停委員は相手の味方になりますか第2 どこへ,どのように伝えるか1 担当書記官などの裁判所職員に伝える2 口頭と書面を使い分ける第3 苦情・要望の整理と上申書の記載例1 事実,受け止め及び希望を分ける2 進行についての上申内容の例3 書面に記載する情報の扱い第4 調停委員を変更できるか―除斥・回避・忌避の違い1 担当変更の相談と除斥の申立て2 調停委員に裁判官と同じ忌避制度はない3 回避と解任も別の仕組みである第5 苦情への対応と事件の進行を分けて確認する1 納得できない条件と合意の有無を明確にする2 期日,提出期限及び裁判書の取扱いを確認する3 安全面の問題は具体的に伝える第6 よくある質問1 調停委員への苦情は誰に言えばよいか2 調停委員を変更してもらえるか3 調停委員に言われた条件には従わなければならないか第7 出典・関連記事
第1 まず問題となっている事柄を分ける

調停委員の言動や進行に問題があると感じたときは,担当の裁判所書記官などの裁判所職員に,具体的な経過と希望する対応を伝える方法がある。
ただし,不満の申出,担当の変更を求める相談,法律上の除斥の申立ては,それぞれ目的と要件が異なる。

本記事は,裁判所の民事調停・家事調停を対象として,令和8年10月17日現在の法令と公表資料から対応を整理するものである。
自治体や労働局等の調停では,担当機関と適用法令が異なる。

1 結論への不満と手続上の問題

不利な提案を受けたことと,発言の機会が与えられない,説明と異なる前提で話が進む,威圧的な言動があったなどの問題は分けて整理する。
提案の内容に納得できない場合は,どの前提事実,計算又は条件が違うのかを示すと,検討すべき点が明確になる。

気になること確認する点伝える希望の例話を聴いてもらえないどの事項を,いつ伝えようとしたか事実と資料を説明する時間を設けてほしい法律の説明に疑問がある委員個人の説明か,裁判官と評議した見解か裁判官の現時点の見解を確認したい相手との関係が気になる関係の内容と,それを知った根拠関係を確認し,担当継続の適否を検討してほしい威圧や安全上の不安がある実際の発言・行動,発生日時,具体的な危険進行方法と安全への配慮を相談したい
2 調停委員は相手の味方になりますか

調停委員は,調停委員会の一員として,当事者双方の話合いによる解決を支える立場である。
不利な提案が示されたことだけで偏りがあると決めつけず,説明の正確さ,発言の機会及び提案の根拠を確かめることが大切である。
具体的な言動や進行に問題がある場合は,その内容と希望する対応を整理して裁判所に伝える。

家事調停の基本的な仕組みは,裁判所「調停手続一般」に掲載されている。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_03/index.html

第2 どこへ,どのように伝えるか
1 担当書記官などの裁判所職員に伝える

期日で話せなかった事情や進行上の要望は,事件番号と担当部を確認した上で,担当書記官などの裁判所職員に伝える。
その際には,事件の主張を補充したいのか,調停委員の言動への対応を求めたいのか,安全面の配慮を相談したいのかを明らかにする。

令和2年4月16日の参議院法務委員会では,最高裁判所の答弁として,裁判所職員に調停委員への不満の申出があった場合には,内容に応じて裁判所内で情報を共有し,必要な指導などの対応を行っていると説明されている。
これは苦情を裁判所に伝える経路についての説明であり,申出どおりの変更や処分を保障するものではない。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120115206X00720200416/14

2 口頭と書面を使い分ける

二弁フロンティア2021年12月号「家庭裁判所から見た離婚や面会交流等の調停実務」は,当事者の不満や要望を,上申書又は書記官への口頭で伝える方法を紹介している。
法律的な見解に疑問がある場合には,裁判官の現時点の意見を確認したいと申し出る方法も説明されている。
https://niben.jp/niben/books/frontier/backnumber/202112/post-363.html

急いで知らせるべき事情はまず担当部署に連絡し,日時や発言の経過が複雑な場合は,短い書面に整理すると伝達内容を確認しやすい。
提出方法,提出先及び相手方用の写しの要否は,担当部署に確認する。

第3 苦情・要望の整理と上申書の記載例

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最高裁判所の見学は個人でもできる?予約・対象年齢・入口・撮影と傍聴との違い(AI作成)

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第1 最高裁判所の見学は個人でもできる1 一般見学の対象年齢と人数2 学校見学との違い第2 予約方法・所要時間と受付状況1 電話で申し込む2 見学時間と直近の募集状況第3 所在地・アクセスと集合する門第4 撮影・手荷物・車椅子の注意点1 撮影は当日の案内に従う2 荷物と入構時の確認第5 食堂・売店と図書館は利用できるか1 一般利用者向けの食堂・売店2 図書館の利用と庁舎見学は別の案内第6 庁舎見学と裁判の傍聴の違い第7 よくある質問1 個人でも見学できるか2 小学生や中学生も一般見学に参加できるか3 一般見学の個人申込みではどの門へ行くか4 見学中に写真を撮れるか5 最高裁判所の食堂を一般の人も使えるか第8 公式資料と関連記事
第1 最高裁判所の見学は個人でもできる

最高裁判所の庁舎見学には,学校行事として参加する学校見学コースと,学校行事以外の一般見学コースがある。
一般見学コースには個人申込みがあり,1人から9人までの少人数グループも申し込むことができる。
ただし,予約をせずに自由に庁舎内を見て回る方式ではなく,公式案内に従って申し込む必要がある。

本記事は,令和8年10月17日に確認した最高裁判所の公式案内に基づき,申込みと訪問前の確認事項をまとめたものである。
実施日,受付状況,集合場所等は変更されることがあるため,参加する時点の公式案内を確認する必要がある。

1 一般見学の対象年齢と人数

一般見学コースの対象者は高校生以上であり,中学生以下は参加できない。
個人申込みは1人から9人,団体申込みは10人から50人であり,団体・個人を合わせた見学人数の上限は80人とされている。

小学生や中学生の参加を考える場合は,学校行事としての学校見学や,対象年齢に合う別の広報行事の募集内容を確認する必要がある。
過去の夏休み見学会の実施要領から,現在の一般見学にも子どもが参加できると判断することはできない。

2 学校見学との違い

学校見学コースは,社会科見学や修学旅行など,学校団体による見学を対象とし,教職員の同伴が必要とされている。
一般見学とは申込みの枠や条件が異なるため,学校行事の場合は学校見学の案内へ進む必要がある。

第2 予約方法・所要時間と受付状況
1 電話で申し込む

一般見学は電話による申込みであり,庁舎見学専用ダイヤルは03-3264-8151である。
電話の受付時間は,祝日を除く月曜日から金曜日の午前9時から午後5時までである。
団体申込みと個人申込みでは受付開始日時が異なるため,まず公式ページの実施日・申込期間の表を確認する。

個人申込みでは,参加人数,代表者名,電話番号,車椅子の要否を尋ねられる。
団体申込みでは,これらに加えて団体名や入構手段なども確認される。
旅行会社主催のツアー等は受け付けていないと案内されている。

2 見学時間と直近の募集状況

一般見学の所要時間は50分程度とされている。
集合・受付開始時刻と見学開始時刻は同じではないため,申込み後の案内に従って集合する。

令和8年10月17日の確認時点では,同月30日の一般見学は団体・個人とも定員に達して受付を終了している。
同年11月は見学を実施せず,12月以降の実施は未定と案内されている。
この情報は確認日時点の募集状況であり,今後の開催予定は公式ページで確認する必要がある。

第3 所在地・アクセスと集合する門

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外国送達の費用はいくらか―翻訳費・現地送達費・見積り前の確認事項(AI作成)

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第1 外国送達の費用は一律ではない1 国際郵便の送料だけでは総額が決まらない2 本記事の対象第2 見積りで分ける費用の内訳第3 送達条約の費用原則と米国の具体例1 条約による送達がすべて無料という意味ではない2 米国の95米ドルは処理手数料である第4 翻訳費用は文書の範囲と言語を確定して見積もる1 要請書の使用言語と送達文書の翻訳を分ける2 中国本土では送達する文書・証拠の中国語が問題になる3 認証や翻訳の証明も別に確認する第5 見積り前にそろえる資料と費用を抑える際の注意点第6 費用・翻訳についてのよくある質問1 外国送達の費用はいくらですか2 訴状だけを翻訳すれば足りますか3 日本人が相手なら翻訳は不要ですか4 受領拒否や転居で再送達になれば追加費用がかかりますか第7 出典
第1 外国送達の費用は一律ではない
1 国際郵便の送料だけでは総額が決まらない

海外送達(外国送達)の費用は,送達先の国・地域,送達方法,翻訳する文書の種類・分量及び住所の確認状況によって異なる。
訴状等を外国で適法に送達する手続の費用であり,荷物を海外へ送るための送料だけで総額を判断することはできない。

見積りでは,翻訳費,受領国での送達実施費,住所確認や再送達に伴う費用を区別し,弁護士に依頼する場合の報酬も別に確認する必要がある。
例えば,後記の米国の95米ドルは一定の送達要請の処理手数料であり,日本での訴訟や海外送達に必要な費用の総額ではない。

2 本記事の対象

本記事は,令和8年10月17日に確認した送達条約と公式案内に基づき,日本の裁判所から外国にいる者へ民事裁判の書類を送達する場合の費用と翻訳を整理する。
外国の裁判所から日本に書類を送る場合の手続や,日本判決を外国で執行するための費用は,同じ問題ではない。

送達方法,所要期間,受領拒否,住所不明及び公示送達の全体像は,外国送達の方法,送達条約及び公示送達で説明している。
私は外国送達に関する個別の法律相談を取り扱っていない。

第2 見積りで分ける費用の内訳

費用を比較するときは,同じ範囲の作業を比較しているかを確認する必要がある。
次の各項目が常にすべて発生するわけではなく,採用する手続と必要な作業に応じて見積りを確認する。

費用の区分確認する内容増減する主な事情翻訳・翻訳確認対象文書,言語,分量,証明の要否訴状・証拠の量,専門性,修正現地での送達実施当局・実施機関の料金と支払条件国・経路,特別な方法の指定住所確認・再送達調査の範囲,再試行の料金条件住所誤記,転居,不奏功の理由書類作成・送付必要部数,作成・送付の実費書類の追加,補正,送付方法弁護士報酬等委任範囲に含む作業と別途費用訴訟代理,外国法調査,現地対応

翻訳料金を単純に1頁当たりで比較しても,原文頁・訳文頁・文字数・単語数のどれを単位にするかが違えば,同じ条件の比較にならない。
訳文の確認,修正,納期及び税の取扱いを含め,見積書に何が含まれるかを確認するのが実務上の出発点となる。

第3 送達条約の費用原則と米国の具体例
1 条約による送達がすべて無料という意味ではない

ハーグ送達条約12条は,受託国の役務について租税又は費用の支払・償還を生じさせない原則を置く一方,司法官等の利用又は特別な送達方法によって生じた費用は,申請者が支払・償還すると定めている。
この原則から,翻訳業者に依頼する費用や弁護士報酬まで無料になると考えることはできない。

条約本文はHCCHの公式ページで確認できる(3条,5条,7条,12条)。
https://www.hcch.net/en/instruments/conventions/full-text/?cid=17

2 米国の95米ドルは処理手数料である

米国司法省は,米国内の民間の個人・会社に対する送達要請を,委託先のABC Legal Servicesが実施すると案内している。
送達条約又は外交経路の嘱託による要請には,ABC Legal宛ての95米ドルの処理手数料を伴わせるとしている(令和8年10月17日確認)。

この95米ドルを,翻訳費,弁護士報酬,日本側の実費等も含めた「海外送達の総費用」と表示するのは適切でない。
同省は米国政府に対する要請等について別の取扱いも示しており,送達先と経路を特定してから費用を確認する必要がある。

公式案内の該当箇所は「I. Inbound Service Requests」の「A. Service on Private Litigants and Companies」である。

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裁判所職員総合研修所の入所試験(CE試験)―受験資格・科目・免除と年度の読み方(AI作成)

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第1 総研の入所試験は職員採用試験とは別である第2 第一部・第二部の受験資格1 職員であることと課程別の資格を分ける2 第二部の年齢・在職要件を第一部へ広げない第3 筆記試験・口述試験・勤務評定1 試験の方法と筆記科目2 六法を使えることと使用条件は別である第4 総合職採用者の筆記試験免除第5 入所年度と試験実施年の読み方1 令和8年度CE-77は令和7年に実施された2 予定人員・成績通知・入所辞退の取扱い第6 原資料と関連記事
第1 総研の入所試験は職員採用試験とは別である

裁判所職員総合研修所の入所試験は,裁判所書記官養成課程の第一部又は第二部に入所させる職員を選ぶための試験であり,CE試験とも呼ばれる。
一般の受験者が裁判所職員になるための採用試験と,採用後の職員が書記官養成課程へ進むための入所試験を区別する必要がある。

本記事は,令和8年10月17日に確認した入所試験規程と,令和8年度入所試験(CE-77)の実施要領を中心に,制度と資料の読み方を整理する。
CE-77は令和7年に試験が実施された過去の例であり,その日程・資格基準日を令和9年度以降の試験へ流用することはできない。

採用前の受験資格・試験区分・日程は,裁判所職員採用試験とは,書記官の仕事内容と任命までの全体像は,裁判所書記官とは,総研の組織・養成課程・研修期間は,裁判所職員総合研修所を参照されたい。

第2 第一部・第二部の受験資格
1 職員であることと課程別の資格を分ける

入所試験規程4条は,家庭裁判所調査官補,裁判所事務官,裁判所速記官又は裁判所技官の職にある者で,最高裁判所が別に定める資格を有する者を受験対象としている。
したがって,大学の学部名だけで受験できるわけではなく,在職する官職と,当該年度の課程別の資格を合わせて確認する必要がある。

CE-77の実施要領は,第一部について法学部等の卒業者のほか,所定の法律科目の履修,大学院での専攻・修了又は所定の採用試験による任命に関する区分を列挙している。
「法学部以外は全員第二部」と単純化せず,卒業した学部・学科,履修単位,大学院及び採用区分を実施要領へ照合することが重要である。

確認項目CE-77実施要領における取扱い第一部の主な区分法学部等の卒業者,所定単位を履修した他学部等の卒業者,法学・法律学を専攻した修士課程等の修了者,所定の総合職等の採用試験に基づき任命された者など他学部等の履修単位による区分憲法4単位,民法12単位,刑法4単位,民事訴訟法4単位又は刑事訴訟法4単位を履修し,当該学部又は学科を卒業した者第二部第一部の受験資格を有しない者で,令和8年3月31日現在の通算在職期間が月計算で1年以上,かつ同年4月1日現在の年齢が23歳以上などの要件を満たす者

この表は令和8年度CE-77の要約であり,受験資格の全文や将来年度の条件を示すものではない。
特定の学部・学科の取扱い,対象となる職の通算及び証明書類は,実施要領の原文と所属庁の人事担当へ確認する必要がある。

2 第二部の年齢・在職要件を第一部へ広げない

CE-77の第二部には,上記の年齢及び在職期間の要件が記載されている。
この要件を第一部にも一律に当てはめたり,採用後に必ず同じ年数を待つ制度と説明したりすることはできない。

実施要領にある「現在」という表現は,その日付を基準に条件を判定する趣旨である。
試験実施日,入所予定年度,在職期間の基準日及び年齢の基準日を別々に確認する必要がある。

第3 筆記試験・口述試験・勤務評定
1 試験の方法と筆記科目

入所試験規程3条は,試験方法として筆記試験,口述試験及び勤務評定を定めている。
同規程6条は口述試験を人物考査を主な目的とする試験としており,筆記の法律知識だけで全てが決まる制度ではない。

区分筆記試験の基本科目CE-77の実施例第一部憲法,民法,刑法,民事訴訟法又は刑事訴訟法大学卒業程度の論文式。各科目2時間第二部憲法,民法,刑法短期大学卒業程度の論文式。各科目2時間

第一部の民事訴訟法又は刑事訴訟法は,CE-77ではあらかじめ選択する科目とされている。
第二部の民法・刑法には実施要領で出題分野が示されており,学習範囲を第一部と同一と考えてはならない。
入所試験規程5条3項には他の科目を課す余地もあるため,実際の準備では当該年度の実施要領を確認する必要がある。

2 六法を使えることと使用条件は別である

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国を被告とする訴訟で国側は何をしているか―訟務事務入門・訟務事務の手引・訟務事務心得集から読む指定代理人,答弁書,照会への対応及び上訴(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と資料1 訟務事務と本記事の目的2 四つの資料3 資料の基準時と現行法との関係第2 訟務制度と指定代理人1 訟務制度の成り立ち2 法務大臣権限法の仕組み3 訟務局と法務局訟務部4 指定代理人の権限の限界第3 訴状が届いてから答弁書を提出するまで1 訴状の送達と行政庁への事実調査の依頼2 答弁書の型3 原告側から見た答弁書段階の留意点第4 提訴前・訴訟中の照会と国の対応1 提訴予告通知と提訴前照会2 当事者照会3 取消訴訟における釈明処分第5 期日における国側の対応1 期日に臨む姿勢2 期日経過報告書と調書の確認第6 判決後の国側の手続1 判決言渡しと確定2 上訴の求指示3 仮執行宣言付判決への対応第7 判決以外の終了と付随手続1 訴えの取下げへの同意2 訴訟上の和解3 行政処分の執行停止4 地方公共団体等の事件第8 国を相手方とする事件で原告側の代理人が確認すること第9 関連記事第10 出典1 資料2 法令(令和8年10月17日時点のe-Gov法令検索の現行条文)3 裁判例(判例秘書で本文を確認。いずれも裁判所HP未掲載)
第1 本記事の対象と資料
1 訟務事務と本記事の目的

国の利害に関係のある争訟について,国の立場から裁判所に申立てや主張・立証を行う事務を,訟務事務という(法務省大臣官房訟務部門「訟務事務入門(第6版)」PDF11頁)。
国家賠償請求訴訟,国を被告とする処分取消訴訟,国有財産や国の債権に関する訴訟では,国の代理人として,法務省の訟務部門の職員と,事件を所管する行政庁の職員が出廷する。
本記事は,法務省の訟務部門が職員向けに作成した資料から,国を相手方とする訴訟で国側が内部でどのような手続を踏んでいるかを整理し,原告側の代理人が手続を進める上で知っておくと役立つ点を説明する。

2 四つの資料

本記事が用いた資料は,次の4点である。
① 法務省大臣官房訟務部門「訟務事務入門(第6版)」(平成18年3月):初めて訟務事務に携わる職員向けの概説書であり,昭和63年3月の初版から改訂を重ねた版である。
② 法務省大臣官房訟務部門「訟務事務入門(書式編)(第3版)」(平成18年3月):①に対応する書式集である。
③ 大阪法務局訟務部「訟務事務の手引~訴訟業務を行う行政庁担当者へのアドバイス~」(平成20年3月):国の訴訟に関与する行政庁の担当者向けに,手続の流れと行政庁の準備事項を説明した資料である。
④ 「訟務事務心得集」(平成22年9月改訂):前書きによれば,各種手引から訟務官等に必要な事項を抜粋し,本省打合せ会等での指示・説明事項などを加えたものであり,全65条からなる。

③と④は多くの頁に黒塗り(不開示部分)がある。
本記事は,読み取ることのできた部分だけを用い,黒塗り部分の内容を推測していない。

3 資料の基準時と現行法との関係

いずれの資料も平成18年から平成22年までの時点のものであり,その後の法改正や組織改編は反映されていない。
資料が前提とする本省の組織は「法務省大臣官房訟務部門」であるが,平成27年4月10日に訟務局が設置され,現行の法務省組織令9条は「訟務局は、国の利害に関係のある争訟に関する事務をつかさどる。」と定めている(訟務局の沿革は歴代の法務省訟務局長を参照)。
また,民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)が令和8年5月21日に全面施行されたことにより,訴訟記録の電子化等に伴って条番号が変わった規定がある。
本記事は,法令の条文を令和8年10月17日時点のe-Gov法令検索の現行条文で確認し,資料の記載と現行法が異なる点はその旨を明記した。
資料に記載された内部の運用が現在も同じであるかは,公表資料では確認できない。

第2 訟務制度と指定代理人
1 訟務制度の成り立ち

訟務事務入門(第6版)によれば,訟務制度は,訟務事務を専門に所掌する行政機関を設け,各省庁の訟務事務を集中させて,国として統一的・一元的に処理する制度である(PDF11頁)。
昭和22年12月17日に法務庁設置法と「国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律」が制定され,昭和23年2月15日の施行により訟務制度が創設された(同頁)。
それ以前は,各省庁が所管事務に関する民事訴訟及び行政訴訟を別々に処理していた。
同書は,訟務制度の根底にある理念を,法律による行政の原理を行政部門の内部において確保し実現することにあると説明している(PDF12頁)。

2 法務大臣権限法の仕組み

国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(以下「権限法」という。)1条は,「国を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が、国を代表する。」と定めている。
同法2条1項は,法務大臣が所部の職員でその指定するものに訴訟を行わせることができると定め,同条2項は,行政庁の所管し又は監督する事務に係る訴訟について,必要があると認めるときは,当該行政庁の意見を聴いた上で,当該行政庁の職員で法務大臣の指定するものに訴訟を行わせることができると定めている。
国の訴訟で「指定代理人」と呼ばれるのは,これらの規定により指定された職員である。

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