目次
第1 この記事の対象と結論1 対象2 結論第2 期間の末日の考え方1 時効の完成猶予は訴えを提起した時に生じる2 期間の末日が休日に当たる場合第3 mintsで提出する場合1 ファイルに記録された時に到達する2 記録された時を残しておく3 弁護士は原則としてmintsで提出する第4 紙で提出する場合1 紙で提出できる人2 執務時間外の当直受付3 夜間ポストへの投函と知的財産高等裁判所令和6年1月30日判決4 受付日付印の性質第5 郵送とファクシミリ1 郵送は裁判所に届いた時が基準となる2 訴状はファクシミリで提出できない第6 期間の末日に備える実務第7 関連記事第8 出典
第1 この記事の対象と結論
1 対象
本記事は,消滅時効の完成日,出訴期間の末日その他の期間の末日に訴えを提起する場面で,訴状がいつ裁判所に提出されたと扱われるかを整理する。
基準日は令和8年10月17日であり,民事訴訟法,民法,民事訴訟規則,最高裁判所事務総長通達,裁判所ウェブサイトの公表資料及び裁判例を基にしている。
控訴状その他の書面にも共通する部分があるが,ここでは民事訴訟の訴えの提起を中心に扱う。
2 結論
①mintsで提出した訴状は,その内容が裁判所のファイルに記録された時に裁判所に到達したものとみなされるため,執務時間後の夜間でも,その日のうちに記録されればその日の提起となる。
②紙の訴状は,執務時間外でも当直員が受け付ける扱いがあり,夜間ポストへの投函がその日のうちにされたと証拠で認められれば,その日に訴えが提起されたと判断した裁判例がある。
③郵送では,発送した日ではなく,裁判所に届いた時が基準となる。
④訴状はファクシミリでは提出できない。
⑤訴訟代理人である弁護士は原則としてmintsで提出しなければならず,紙で提出できるのは裁判所のシステム障害等の例外の場合に限られる。
第2 期間の末日の考え方
1 時効の完成猶予は訴えを提起した時に生じる
民法147条1項は,「裁判上の請求」等の事由がある場合には,その事由が終了するまでの間は時効が完成しないと定める。
民事訴訟法147条は,「訴えが提起されたとき、又は第百四十三条第二項(第百四十四条第三項及び第百四十五条第四項において準用する場合を含む。)の書面が裁判所に提出されたときは、その時に時効の完成猶予又は法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求があったものとする。」と定めている。
また,民法141条は,日・週・月・年で定めた期間について,「期間は、その末日の終了をもって満了する。」と定める。
そのため,期間の末日に訴えを提起する場合は,その日の終了までに訴えの提起があったといえるかが問題となる。
訴えの提起は,「訴状を裁判所に提出してしなければならない。」(民事訴訟法134条1項)。
以下では,提出の方法ごとに,いつ「提出」があったと扱われるかを見ていく。
2 期間の末日が休日に当たる場合
(1) 民事訴訟法上の期間
民事訴訟法95条3項は,「期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。」と定める。
控訴期間など民事訴訟法上の期間は,この規定により休日の翌日まで延びる。
裁判所の休日は,日曜日及び土曜日,国民の祝日に関する法律に規定する休日並びに12月29日から翌年1月3日までの日である(裁判所の休日に関する法律1条1項)。
(2) 消滅時効の期間
消滅時効の期間には民法の期間の規定が適用され,民法142条は,「期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。」と定める。
民事訴訟法95条3項と異なり,「取引をしない慣習がある場合に限り」という条件が付いている。
時効期間の末日が休日に当たる場合にこの規定がどう適用されるかを判断した最高裁判所の判決は,裁判所ウェブサイトの裁判例検索では確認できなかった。
休日の翌日に延びることを前提にせず,休日より前の開庁日までに訴えを提起しておくのが安全である。
(続きを読む...)期間の末日に訴状を出す時刻―mintsの到達時刻,夜間・休日の当直受付,夜間ポスト,郵送及びファクシミリ(AI作成)