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任意的訴訟担当とは―最高裁大法廷昭和45年11月11日判決と共同事業・多数債権者の訴え(AI作成)

第1 任意的訴訟担当とは

任意的訴訟担当とは,権利義務の主体ではない者が,本人から訴訟追行権の授与を受け,自己の名で本人の権利について訴訟を追行する仕組みである。
訴訟代理人は本人の名で訴訟行為をするのに対し,訴訟担当者は自らが当事者となる点が異なる。

民事訴訟法には任意的訴訟担当を一般的に認める明文規定はない。
しかも,同法54条1項本文は地方裁判所以上の訴訟代理人を原則として弁護士に限り,信託法10条は訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託を禁止している。
そのため,本人が自由に第三者を「名目上の原告」にできるわけではない。

第2 最高裁大法廷昭和45年11月11日判決

最高裁大法廷昭和45年11月11日判決(昭和42年(オ)第1032号,民集24巻12号1854頁,判例秘書L02510245)は,民法上の組合の業務執行組合員が,他の組合員から訴訟追行権を授与されて組合財産に関する給付訴訟を追行できるかを扱った。

判決は,弁護士代理の原則又は訴訟信託禁止の趣旨を回避・潜脱するおそれがなく,かつ,任意的訴訟担当を認める合理的必要性がある場合には,許容されることがあるとした。
その上で,業務執行組合員が組合財産について実体法上の管理権・対外的業務執行権を有し,訴訟追行権も授与されていた事案で原告適格を認めた。

この判例の意味は,「授権があれば足りる」とした点にはない。
実体法上の地位,訴訟をまとめて追行する必要性,弁護士代理原則等を潜脱しないことを組み合わせて判断した点にある。

第3 認められるための三つの確認

第1に,権利主体から訴訟追行権が授与されている必要がある。
対象となる権利,請求,相手方及び審級を特定した授権書を作成し,担当者が和解・請求放棄・控訴等をどこまで行えるかも明らかにする。

第2に,担当者の実体法上の地位と訴訟追行の必要性を確認する。
共同事業の業務執行者,債券管理者など,権利の管理や回収を継続的に担う者であることは重要な事情になる。
単に本人より訴訟に詳しい,本人が出廷を面倒に感じるというだけでは足りない。

第3に,弁護士代理原則又は訴訟信託禁止の潜脱にならないことを確認する。
訴訟だけを目的に権利者と無関係の者を当事者に据えること,報酬目的で多数の他人の請求を集めること,本人と担当者の利益相反を放置することは,否定方向の事情となる。

第4 共同事業・共有者・多数債権者での使い分け

共同事業では,組合契約,業務執行者の選任,財産管理権及び対外的権限を確認する。
最高裁判決は民法上の組合の業務執行組合員を扱ったものであり,名称だけが「代表者」である者に当然に原告適格を認めたものではない。

共有物に関する訴えでは,保存行為として各共有者が単独で行える請求,共有者全員でなければならない請求,代表者による任意的訴訟担当を検討する請求を分ける。
まず実体法上,誰が請求権を行使できるかを確認すべきであり,任意的訴訟担当を最初から万能な解決策として用いない。

多数の債権者については,最高裁第一小法廷平成28年6月2日判決(平成26年(受)第949号)が,ソブリン債の管理会社について,債券保有者からの授権,債券の性質,管理会社の規制・監督,公平誠実義務及び善管注意義務等を踏まえて任意的訴訟担当を認めた。
多数人の権利行使が事実上困難で,適切な管理主体に集約する制度的必要があることが重視されている。

第5 訴訟代理との違いと実務資料

任意的訴訟担当が成立すると,担当者が当事者となり,判決の効力は民事訴訟法115条1項2号により担当された本人にも及ぶ。
誰が費用を負担し,和解内容を誰が承認し,回収金をどう分配するかを内部契約で定めておく必要がある。

実務では,①本人と担当者の関係を示す契約書・規約,②実体法上の管理権限を示す資料,③訴訟追行権授与書,④合理的必要性を示す人数・地域・管理実態,⑤利益相反を管理する条項を揃える。
これらが欠けると,本案に入る前に当事者適格を争われ,訴えを却下される危険がある。

第6 出典・参考資料

民事訴訟法54条,115条(e-Gov法令検索)
信託法10条(e-Gov法令検索)
③最高裁大法廷昭和45年11月11日判決(昭和42年(オ)第1032号,民集24巻12号1854頁,判例秘書L02510245。
裁判所ウェブサイトで判決本文の直接掲載を確認できなかった。

最高裁第一小法廷平成28年6月2日判決(平成26年(受)第949号,民集70巻5号1157頁,裁判所ウェブサイト)