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企業法務・民事実務

総付景品の上限見直し――決まったことと,まだ決まっていないこと(AI作成)

第1 総付景品の上限は既に変わったのか第2 現在の200円・20%という上限第3 閣議決定で決まった検討の内容1 何を調べ,公表するのか2 令和9年の結論と施行日の違い3 閣議決定だけで上限変更や廃止が生じるのか第4 業界団体が示した二つの300円案第5 見直しをめぐる意見と判断材料1 定額と割合で異なる論点2 執行件数や利用率から分かる範囲第6 今後の企画で確認する公表資料第7 出典1 法令・告示2 行政機関の解説・運用資料3 閣議決定・会議記録・行政説明資料4 業界団体の提案資料
第1 総付景品の上限は既に変わったのか

令和8年8月31日現在,消費者庁が掲載する総付景品の一般的な数値上限は,取引価額が1000円未満の場合は200円,1000円以上の場合は取引価額の20%である(総付景品告示1項)。

令和8年7月21日に閣議決定された規制改革実施計画163頁~164頁は,上限の引上げについて調査・検討を進める方針と日程を定めたものである。
新しい金額・割合や具体的な施行日を定めたものではなく,本記事で確認した公表資料の範囲でも,これらを定めた改正告示は確認できない。

項目
決まったこと
まだ確定していないこと

検討対象
200円の定額部分と20%の定率部分の双方
改定後の金額・割合

日程
令和8年度に検討開始,令和9年に結論,結論後速やかに措置
改正告示の具体的な施行日

将来の点検
措置後の再点検の実施・時期を検討する
再点検までの年数,規制を廃止するかどうか

本記事は,日本の一般的な総付景品規制と今回の見直しの現在地を扱い,個別企画の適法性やすべての業種別規制を判定するものではない。
景品表示法全体の仕組みは,本ブログの「景品表示法の仕組み―景品規制・不当表示・ステマ規制・法執行(AI作成)」を参照されたい。

第2 現在の200円・20%という上限

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「1個買うと1個無料」は適法か―景品・値引き・セット販売の違い(AI作成)

第1 「1個買うと1個無料」は一律に禁止されない第2 同じ商品を追加する「増量値引き」の条件1 「1個購入して1個追加」への当てはめ2 同じ値段なら同一商品といえるか3 購入数を超える追加や抽選は別に扱う第3 無料引換券・割引券とセット販売1 後日の無料引換券と金額割引券は区別する2 セット販売は「購入特典」と何が違うか第4 景品に当たる場合の上限と価額1 一般の総付景品は200円又は取引価額の20%が上限2 仕入値ではなく通常の購入価格で比較する第5 「無料」「半額」の広告表示は別に判断する第6 出典1 法令・告示2 行政機関の通達・価格表示の解説3 消費者庁のQ&A
第1 「1個買うと1個無料」は一律に禁止されない

「1個買うと1個無料」は,景品表示法が一律に禁止する販売方法ではない。
同じ対価で同じ商品を追加する場合には,正常な商慣習に照らして値引きと認められ,景品規制の対象外となることがある。
ただし,商品の同一性,追加数量,提供方法などによって結論が変わり,景品に当たらなくても「無料」などの広告表示の適否は別に問題となる。

本記事は,令和8年8月31日現在の日本の景品表示法について,一般的な小売販売を中心に説明するものである。
特定企業のキャンペーンの適法性を判定するものではない。

景品類とは,顧客を誘引するため,事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して相手方に提供する経済上の利益で,内閣総理大臣が指定するものをいう(景品表示法2条3項)。
もっとも,景品類の指定告示1項は,正常な商慣習に照らして値引きと認められる利益を景品類から除外している。

区分
判断の中心
景品規制との関係

値引き・増量値引き
対価を下げるものか,同じ対価で同一商品を追加するものか
正常な商慣習に照らして値引きと認められれば,景品類に含まれない

セット販売
複数の商品を組み合わせて販売することが明らかか
原則として取引に付随する提供ではない。ただし,景品と認識される提供方法などは別である

景品の提供

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定年後再雇用の更新時に勤務日数・賃金を引き下げられるか(AI作成)

第1 条件変更を断っただけで契約終了になるわけではない第2 契約途中の変更・更新拒絶・変更への同意を分ける1 契約途中では勤務表だけを変えても足りない2 更新時には労働契約法19条の要件を確認する3 署名があっても同意の経緯を確認する第3 結論が分かれた西田通商事件と東光高岳事件1 西田通商事件――週5日から週3日への変更と雇止め無効2 東光高岳事件――更新期待を認めた上で更新拒絶を有効とした例3 二つの判決から確認できる比較の視点第4 65歳までの雇用確保と同一労働同一賃金との関係1 65歳までの雇用確保は旧賃金の当然の保障とは異なる2 本人の前年との比較と通常の労働者との比較は別である第5 労働者が更新前に行う確認と記録1 旧条件での更新希望と就労意思を伝える2 手元の資料を先にそろえ,説明を求める3 就労を拒まれた期間の賃金と時効を確認する第6 会社側の提案準備と,交渉・手続へ進む判断第7 出典・参考資料1 法令・告示2 裁判例3 所管行政機関のQ&A・改正案内4 法律事務所の事件紹介
第1 条件変更を断っただけで契約終了になるわけではない

定年後再雇用の契約更新時に,会社が勤務日数や賃金を引き下げる条件を提案することは,一律に禁止されていない。
しかし,労働者がその提案に同意しなかったという理由だけで,会社が従前の条件による更新を自由に拒絶できるわけではない。
変更の合意が成立するかという問題と,労働契約法19条によって雇止めが制限されるかという問題を分けて考える必要がある。

週5日勤務を週3日に減らし,月給を日数に比例して減らす場合も,日給・時給が変わらないことだけでは結論は決まらない。
西田通商事件では,このような変更を拒否した労働者の雇止めが無効とされた一方,東光高岳事件では,事情の異なる条件変更の提案について更新拒絶が有効とされている。

本記事は,令和8年8月31日現在の法令と確認できた裁判例に基づき,民間企業の定年後の有期再雇用契約を更新する場面を扱う。
定年直後に初めて再雇用契約を結ぶ場面や,勤務日数の最低保証がない変動シフトについては前提が異なるため,まず契約上の日数・時間・賃金を確認する。

第2 契約途中の変更・更新拒絶・変更への同意を分ける
1 契約途中では勤務表だけを変えても足りない

労働契約法8条は,労使の合意による労働条件の変更を認めている。
契約上,週5日勤務と月給が定められている場合に,会社が勤務表を週3日に書き換えただけで,契約上の日数と賃金も当然に変更されたことにはならない。

同意のない就業規則による不利益変更は,同法9条の原則と10条の例外に従って判断する。
10条では,変更後の就業規則の周知に加え,不利益の程度,変更の必要性,内容の相当性,労働組合等との交渉状況その他の事情に照らした合理性が問題となる。
就業規則の変更によっては変更しないと個別に合意した条件には,同条ただし書の検討も残る。

また,同法12条により,就業規則の基準に達しない条件を定めた個別契約は,その部分について無効となり,就業規則の基準による。
したがって,会社と本人が合意したかだけでなく,適用される再雇用規程・賃金規程との関係も確認する。

2 更新時には労働契約法19条の要件を確認する

更新時に新条件で合意できなかった場合は,労働者の旧条件による更新申込みを会社が拒絶してよいかが問題となる。
労働契約法19条による保護を検討する順序は,次のとおりである。

①反復更新の実態から雇止めを無期契約の解雇と社会通念上同視できる場合(1号),又は更新への期待に合理的な理由がある場合(2号)に当たるか。
②労働者が,契約満了日までに更新を申し込み,又は満了後遅滞なく有期契約の締結を申し込んだか。
③会社の拒絶が,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないか。

これらの要件を満たすと,会社は「従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」とされる。
更新期待があるだけで旧条件の更新が決まるわけではないが,新条件を提示しただけで同条の適用を避けられるわけでもない。
更新期待・不更新条項・無期転換の一般的な説明は,有期労働契約の期間・更新・雇止め・無期転換ルールを参照されたい。

3 署名があっても同意の経緯を確認する

最高裁平成28年2月19日第二小法廷判決(平成25年(受)第2595号,山梨県民信用組合事件)は,不利益変更への同意について,労働者の自由意思に基づくと認めるに足りる客観的に合理的な理由があるかを慎重に判断すべきであるとした。
不利益の内容・程度,同意に至る経緯,事前の情報提供や説明等が問題となる。

これは退職金の変更に関する破棄差戻し判決であり,再雇用契約への署名を一律に無効としたものではない。
再雇用の更新でも,署名の有無に加え,変更後の勤務日数・年収・賞与が説明されたか,検討の機会があったか,異議や留保をどのように伝えたかを確認することが考えられる。

第3 結論が分かれた西田通商事件と東光高岳事件
1 西田通商事件――週5日から週3日への変更と雇止め無効

横浜地裁令和6年6月27日判決(令和4年(ワ)第1403号,労働判例1346号17頁)は,定年後の再雇用者に対し,週5日・基本賃金月額20万0998円から,週3日・月額12万0599円への変更が提案された事案である。
労働者は旧条件での更新を求めたが,会社は契約を更新しなかった。
裁判所HP未掲載であり,判例秘書で判決本文を確認した。

裁判所は,再雇用に関する規程,契約内容,更新の経過等から,雇用継続への合理的期待を認めた。
契約書に,更新時には個別合意の上で労働条件を変更することがあると記載されていても,合意できなければ当然に契約が終了するとは扱わなかった。

日給・時間給に換算した賃金単価は変わらなかったが,裁判所は,月額約12万円で家計を維持することや,空いた曜日に別の仕事を確保することの難しさを考慮した。
会社の業績悪化についても,雇止め後に別の労働者を再雇用し,役員報酬を増額した事情や,本人が売上げに直結しない業務にも従事していた事情を検討し,提示条件を不合理と判断した。

結論として,雇止めを無効とし,旧条件による契約の更新を認め,労働者の地位確認及び未払賃金の請求を認容した。
ただし,鈴悠法律事務所の事件紹介には控訴後和解と記載されており,本判決の判断がそのまま確定したと扱うことはできない。

2 東光高岳事件――更新期待を認めた上で更新拒絶を有効とした例

東京高裁令和6年10月17日判決(令和6年(ネ)第2731号,労働判例1323号5頁)は,定年後再雇用の契約満了と吸収合併が重なり,存続会社の制度に合わせた条件変更が提案された事案である。
提案には,週4日から週5日に勤務を増やしながら基本賃金を約15%減らす案と,週4日勤務のまま賃金を月額換算で約51%減らす案があり,業務内容を修正した案も提示された。
裁判所HP未掲載であり,判例秘書及び掲載誌の判決本文を確認した。

高裁は,労働契約法19条2号の更新期待は,同一条件での更新への期待に限らず,条件変更を伴う更新への期待も含むとした。
その上で,65歳までの継続雇用を原則とする規程等から更新期待を認め,労働者の旧条件による更新申込みを会社が拒絶したと判断した。

もっとも,高裁は,従前と同一の条件で更新されるとの期待に合理的理由があるとは認め難いとした。
被吸収会社の経営悪化,存続会社の再雇用者との条件統一の必要性,他の再雇用者の同意,担当事業からの撤退予定,事前説明と複数案の提示等を検討し,存続会社自体の業績が堅調であることや大幅な減額も考慮した上で,更新拒絶を有効として控訴を棄却した。

原審の東京地裁令和6年4月25日判決(令和4年(ワ)第6348号,労働判例1318号27頁。裁判所HP未掲載。判例秘書により確認)は,19条2号の更新期待を同一条件によるものに限定していたが,高裁はこの限定を採用していない。
また,高裁判決は約51%の減額を一般的に許容したものでも,低い条件の契約が本人の同意なしに成立するとしたものでもない。

3 二つの判決から確認できる比較の視点

本記事では,両判決の分岐を,次の資料を比較する際の視点として整理する。
いずれも個別の事情を組み合わせた判断であり,一つの事情があれば必ず有効・無効になるという基準ではない。

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昼休みの電話番・来客対応は労働時間になるか―休憩と残業代の判断・立証(AI作成)

第1 昼休みの電話番は,対応義務の実態で判断する第2 昼休み全体の待機と単発の対応を分ける1 電話が鳴らなくても待機義務が続く場合2 自由な休憩中に一度だけ対応した場合3 当番表がなくても実際の指示と運用を確認する第3 大星ビル管理事件の判断と昼休みへの射程1 実作業のない仮眠時間も労働時間とした理由2 契約上の手当と法定割増賃金は別に判断した第4 休憩不足と残業代を別々に計算する1 実労働時間が8時間を超えると必要な休憩も変わる2 勤務時間帯と実際の休憩による四つの設例3 25%割増の対象と既払額を確認する第5 当番の実態と時間をどの資料で示すか1 従業員は手元の資料から指示・時間・控除を具体化する2 会社は自動控除と実際の当番を照合する3 追加調査へ進む条件と調査を広げない基準第6 時効の確認と昼当番の運用改善1 賃金の時効と記録保存期間を混同しない2 会社は対応を引き継ぎ,勤務途中に休憩を確保する第7 出典1 法令2 裁判例3 所管行政機関の解説・Q&A・運用資料
第1 昼休みの電話番は,対応義務の実態で判断する

昼休み中に電話や来客への対応を求められ,労働から離れることが保障されていない場合は,実際に対応していない待機時間も労働時間となる。
厚生労働省も,昼当番として電話・来客対応をする時間は勤務時間に含まれ,昼休みが費やされた場合には別途休憩を与える必要があると説明している(昼当番に関するQ&A)。

ただし,本来自由に休める時間に単発の対応をした場合と,昼休み全体にわたり応答を求められた場合とでは,計上する時間の範囲が異なる。
①労働時間に含める範囲,②法定休憩の不足,③通常賃金及び割増賃金の不足を分けて確認する必要がある。

本記事は,令和8年8月31日現在の法令等を基に,民間事業場の通常の日中勤務を扱うものである。
公務員,管理監督者等の適用除外,変形労働時間制等に固有の問題は対象とせず,計算例は1日8時間・1週40時間制を前提とする。

第2 昼休み全体の待機と単発の対応を分ける
1 電話が鳴らなくても待機義務が続く場合

12時から13時まで電話当番を命じられ,電話が鳴れば直ちに応答しなければならない場合,通話が5分で終わったからといって,残り55分を当然に休憩とすることはできない。
食事ができたことや,その日に来客がなかったことだけでは,対応義務が解除されていたとはいえない。

厚生労働省の「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」問6も,電話・来客への対応が要求される場合には,実際の対応がない時間も労働時間に該当すると説明している。
客が途切れたときに休んでよいという運用でも,来店があれば即座に業務へ戻る必要があるなら,労働から離れることを保障した休憩ではないとされている(同資料20頁~21頁〔PDF27頁~28頁〕)。

2 自由な休憩中に一度だけ対応した場合

同じ問6は,外出等が自由で,電話・来客対応を義務付けられていなかった時間を休憩としている。
そのような休憩中に顧客対応を余儀なくされた場合には,その対応に要した時間を労働時間として扱うと説明している。

したがって,対応の前後に自由な休憩へ戻れたのか,対応後も電話のそばで待つよう求められたのかを区別する必要がある。
「1件電話を受けた」という事実だけから,昼休み全部又は通話時間だけのいずれかに決めることはできない。

なお,この参考事例集は,脳・心臓疾患及び精神障害の労災認定に用いる業務参考資料である。
休憩の実態を整理する参考にはなるが,それ自体が民事の賃金請求について裁判所を拘束する基準というわけではない。

3 当番表がなくても実際の指示と運用を確認する

労働時間適正把握ガイドラインは,明示又は黙示の指示による業務を労働時間とし,即時の業務対応を求められ,労働から離れることが保障されない待機も含めている(1頁~2頁)。
書面の当番表がなくても,受付に残るよう求められたことや,電話に出ないと注意されたことなど,実際の運用が問題となる。

反対に,別の担当者が応答し,本人は対応不要で自由に休めたのであれば,自分の判断で事務所に残ったというだけで労働時間にはならない。
外出の可否,応答しなかった場合の扱い,交代要員の有無及び上司の認識を組み合わせて確認するのが相当である。

第3 大星ビル管理事件の判断と昼休みへの射程
1 実作業のない仮眠時間も労働時間とした理由

最高裁判所第一小法廷平成14年2月28日判決(平成9年(オ)第608号・第609号,民集56巻2号361頁。大星ビル管理事件)は,ビル管理会社の従業員の仮眠時間を扱ったものである。
最高裁は,実作業をしていないことだけで使用者の指揮命令下から離れたとはいえず,労働からの解放が保障されているかによって判断するとした。

同事件では,仮眠室での待機と警報・電話等への即時対応が義務付けられ,実質的にその義務がないといえる事情もなかったため,仮眠時間全体の労働時間性が認められた(判決7頁~8頁)。
昼休みそのものの判決ではないが,対応のない時間にも役務提供の義務が続くかという判断の参考になる。

判決は,実作業の必要が生じることが皆無に等しいなど,実質的な義務付けがない場合も検討している。
ただし,ある日にたまたま電話が鳴らなかったことと,実質的に対応義務がなかったこととは別である。

2 契約上の手当と法定割増賃金は別に判断した

同判決は,労働基準法上の労働時間であることから,当然に労働契約所定の賃金請求権が生じるわけではなく,賃金についての合意内容を確認するとした。
一方で,明確な支払規定がないというだけで無給と解釈することも相当ではないと述べている(判決9頁)。

同事件では,月給や泊り勤務手当等を踏まえ,契約の定めだけに基づく追加の時間外勤務手当等の請求は認められなかったが,労働基準法13条・37条による法定割増賃金の支払義務は別に判断された。
昼当番についても,労働時間に当たるかを確定した後,雇用契約,賃金規程及び既払額を確認する必要がある。
月給制又は当番手当の支給があるという理由だけで,法定割増賃金の不足がないと判断することはできない。

主文は原判決を破棄して東京高裁へ差し戻すものであり,最高裁が請求額をそのまま全額認めたものではない(判決9頁~13頁)。

第4 休憩不足と残業代を別々に計算する
1 実労働時間が8時間を超えると必要な休憩も変わる

労働基準法34条1項・3項は,実労働時間に応じた休憩を勤務の途中に与え,自由に利用させることを求めている。
最低時間は次のとおりであり,終業後に休ませることを勤務途中の休憩の代わりにはできない。

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社員が私傷病休職を開始する際に使用者が注意すべき事項(AI作成)

第1 最初に確認する休職の根拠と就業の可否第2 就業規則と休職開始日の確認1 会社の規程と本人の適用条件2 年休・欠勤・休職の日付を分ける第3 診断書と具体的な仕事を照合する1 医師に伝える仕事と尋ねる事項2 他の業務への配置可能性3 本人が受診等に応じない場合4 医療情報の取得と共有の範囲第4 業務上の傷病の可能性を確認する第5 休職通知で伝える事項第6 給与・傷病手当金・社会保険料1 無給扱いと休業手当を区別する2 傷病手当金の申請と時効3 社会保険料と立替金の精算第7 休職中の連絡と復職の準備第8 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 法令に基づく指針4 公的な解説・行政資料5 実務書
第1 最初に確認する休職の根拠と就業の可否

社員から療養を要する診断書が提出されたときは,休職の必要性と,会社の制度上いつから休職にするかを分けて確認することが重要である。

本記事では,民間企業の使用者が休職開始時に確認する事項を,①就業規則,②具体的な就労能力,③業務上の傷病の可能性,④休職通知,⑤金銭負担,⑥連絡と復職の準備の順に整理する。

令和8年8月31日現在,労働施策総合推進法27条の3に基づく治療と就業の両立支援措置は,同年4月1日から事業主の努力義務となっている。

同時に適用された厚生労働省の治療と就業の両立支援指針は,長期休業の開始前に,賃金を含む制度,休業可能期間及び復帰手順を本人に説明する流れを示している。

この努力義務は,希望どおりの有給休職を一律に認める義務ではない。

他方,労働契約法5条の安全配慮義務は別に問題となるため,努力義務だから個別の健康上の危険に対応しなくてよいということにもならない。

本人から診断書や休職の申出がない場合でも,過重な業務が続き,体調悪化や欠勤等を会社が把握しているときは,申出を待つだけで対応を終えてはならない。

最高裁平成26年3月24日第二小法廷判決(平成23年(受)第1259号・東芝事件)は,過重な業務が続き体調悪化が認められる状況では,精神的健康に関する情報の積極的な申告を期待し難いことを前提に,業務軽減等の配慮をする必要があると述べている。

本記事では,勤務時間,担当業務,欠勤及び本人の具体的な訴えを記録し,医師への相談や業務負担の軽減等の必要性を検討する手順を勧める。

もっとも,安全確保のために対応を始めることと,就業規則に基づく無給の休職を発令することは,別々に根拠を確認する必要がある。

第2 就業規則と休職開始日の確認
1 会社の規程と本人の適用条件

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)16頁は,休職の定義,期間の制限及び復職等について労働基準法に定めはないと説明している。

したがって,同モデルの空欄を埋めた期間が法律上の標準になるわけではなく,まず自社の就業規則,雇用契約及び適用対象を確認する。

労働契約法7条は,合理的な労働条件を定めた就業規則を周知していた場合の契約内容への取込みを定めている。

実務上は,休職事由,必要な欠勤日数,勤続期間による違い,申請又は命令の手続,休職期間及び再休職時の通算規定を確認し,今回の事実がどの条項に該当するかを記録しておくのが適切である。

休職制度の不備が見つかった場合でも,今回の事案に対応するために休職期間を短縮したり,再休職の通算条件や復職要件を不利益に変更したりして,そのまま適用できるわけではない。

労働契約法9条及び10条により,合意のない就業規則による不利益変更は原則として認められず,例外的に変更が認められるには,変更後の規則の周知に加え,不利益の程度,変更の必要性,内容の相当性及び交渉の状況等に照らした合理性が必要となる。

現在適用される規程とその周知状況を確認する作業と,将来に向けて制度を整備する作業を分け,就業規則の変更では変更しないとした個別合意の有無も確認する必要がある。

東京高裁平成7年8月30日判決(平成6年(ネ)第2275号・富国生命事件)は,復職後に約3か月通常勤務をしていた社員について,未治癒で症状が再燃する可能性があるだけでは当該規則の休職事由に当たらないとして,会社の控訴を棄却した。

この判決は当該就業規則と勤務状況についての判断であり,病気なら休職させられるとも,本人が働きたいと言えば必ず就業させるとも述べていない。

なお,同事件では会社が業務外の傷病として扱う一方,労働者側は業務起因性を問題としていたのであり,業務外の傷病であることが争われていない事案として紹介するのは適切でない。

2 年休・欠勤・休職の日付を分ける

診断書の作成日,療養を要するとされた期間の初日,実際の欠勤開始日及び就業規則上の休職開始日は,同じとは限らない。

本記事では,年休の申出と残日数,欠勤期間の算定方法,休職への移行条件を別々に確認し,開始日と満了予定日を計算する手順を勧める。

労働基準法39条5項は,原則として労働者の請求する時季に年休を与える仕組みを定めている。

病気による欠勤を自動的に年休へ振り替えたり,年休を全て消化した日を当然の休職開始日としたりせず,本人の申出と適用規程を確認することが必要である。

第3 診断書と具体的な仕事を照合する

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共有持分買取業者の目的とトラブル対応―共有物分割と建物買取請求権(AI作成)

第1 業者からの要求は内容ごとに分けて判断する第2 共有持分買取業者の目的と取得できる権利1 持分だけの売却と業者の回収方法2 使用と管理を自由に決められるか第3 共有物分割請求を受けた場合の選択肢1 現物分割,価格賠償及び競売2 住み続けるための価格と支払能力3 相続した不動産では手続を分ける第4 令和8年8月28日最高裁判決と借地上建物の持分1 建物持分に14条の買取請求権は成立しない2 土地所有者の不利益と共有物分割3 補足意見が示した射程第5 借地上建物を売買する前の承諾確認1 通常売買は譲渡前の手続を検討する2 競売・公売には別の申立期限がある第6 強引な勧誘と売買・訴訟の違法性1 勧誘規制とクーリング・オフ2 弁護士法73条と権利の実行第7 通知を受けた共有者と売却予定者の初動1 まず手元の書面と登記を照合する2 価格調査と専門家への相談を絞る第8 出典1 法令2 裁判例3 公的機関の資料4 文献
第1 業者からの要求は内容ごとに分けて判断する

他の共有者が持分を業者に売却しても,残った共有者が直ちに自分の持分を売り,又は業者の持分を買い取る義務を負うわけではない。
ただし,持分を取得した業者も共有者としての権利を持つため,使用の対価や共有物分割の請求まで一括して拒めるわけではない。
届いた書面が,任意の売買の提案なのか,使用料の請求なのか,裁判所からの訴状なのかを分けて確認する必要がある。

本記事は,令和8年8月31日現在の法令及び公表裁判例に基づき,不動産の持分を取得した業者への対応と,持分売却前の確認事項を扱う。
借地上建物については,最高裁令和8年8月28日第二小法廷判決(令和6年(受)第2169号)が,建物の持分に借地借家法14条の建物買取請求権は成立しないと判断したため,第4でその範囲を説明する。

第2 共有持分買取業者の目的と取得できる権利
1 持分だけの売却と業者の回収方法

共有持分とは,不動産全体の所有権に対する割合であり,建物の特定の部屋や土地の特定の区画そのものではない。
共有者は,原則として他の共有者の同意を得ずに自己の持分を売却できるが,他の共有者の持分まで自分の意思だけで移転することはできない(民法176条・206条,工藤寛太ほか共編『共有不動産をめぐるトラブル対応の手引』146頁~148頁)。

持分を取得した業者が資金を回収する方法としては,他の共有者への持分売却,残りの持分の取得後の一括売却,共有者全員による一括売却への合意,共有物分割による清算などが考えられる。
どの方法を予定しているかは業者ごとに異なるため,「持分を買った」という事実だけから特定の目的や違法性を決め付けることはできない。

もっとも,借地上建物の売買に伴う土地賃借権の譲渡には,民法612条等による別の検討が必要となる。
建物の持分を取得することと,土地所有者との土地利用関係を確保することは同じではない。

また,マンションの共用部分の持分や敷地利用権には,区分所有法15条・22条の分離処分に関する規律がある。
専有部分自体の共有持分を売る場合と,専有部分から共用部分の持分等を切り離して売る場合とを区別しなければならない。

2 使用と管理を自由に決められるか

民法249条1項は,各共有者が持分に応じて共有物の全部を使用できると定めている。
そのため,業者が持分を取得しただけで,居住する他の共有者の使用権限が当然に消滅するわけではない。

他方,同条2項は,別段の合意がある場合を除き,自己の持分を超える使用の対価を他の共有者に償還する義務を定めている。
使用料を請求された場合は,従前の無償使用の合意,使用の範囲,請求期間及び金額の算定根拠を確認することになり,これらによって請求の当否や金額が変わり得る。

共有物の形状又は効用を著しく変える変更は原則として他の共有者の同意を要し,管理に関する事項は持分の価格の過半数で決する(民法251条1項・252条1項)。
2分の1の持分だけでは過半数に達せず,過半数を有していても,共有者間の決定に基づいて使用する共有者に特別の影響を及ぼす決定には,その者の承諾が必要である(同条3項)。

第3 共有物分割請求を受けた場合の選択肢
1 現物分割,価格賠償及び競売

民法256条1項は,各共有者に原則としていつでも分割を請求できる権利を認める一方,5年を超えない期間の不分割合意を認めている。
協議が調わず,又は協議ができないときは,同法258条1項により裁判所へ分割を請求できるため,業者からの連絡を拒むだけでは共有関係は解消しない。

裁判による分割方法は,民法258条2項・3項により,次のように整理できる。

分割方法内容確認する点現物分割土地等を現物で分ける分割の物理的・経済的な実現可能性価格賠償による分割共有者に金銭債務を負担させ,他の共有者の持分を取得させる取得の相当性,評価額,支払能力等競売による分割競売して代金を分ける前二者による分割ができないか,分割で価格が著しく減少するおそれがあるか

(続きを読む...)共有持分買取業者の目的とトラブル対応―共有物分割と建物買取請求権(AI作成)

米国のチャプター11と日本の民事再生手続の徹底比較(AI作成)

第1 チャプター11と民事再生の違いが分かる比較表第2 申立ての条件と経営権1 申立ての条件と開始の時点2 DIPと裁判所・債権者による監督第3 取立ての停止と担保権1 米国のオートマティック・ステイ2 日本の中止命令と別除権3 担保価値と事業に必要な資産の確保第4 DIPファイナンスと優先順位1 米国の融資保護と既存担保に優先する融資2 日本の共益債権と開始前後の区別第5 契約の継続・終了と事業売却1 米国の契約引受けと履行拒絶2 日本の双方未履行契約と倒産解除特約3 計画前の事業売却と清算型の出口第6 取引債権の回収と届出1 従前の売掛金と開始後の取引2 債権届出と期限を逃した場合3 相殺と既払金の返還請求第7 再建計画・再生計画の可決と認可1 計画案を提出する者と期限2 米国のクラス別投票と日本の議決要件3 同じ債権構成でも結論が変わる計算例4 反対者を拘束する認可とクラムダウン第8 株主・保証人・第三者への影響1 旧株主の持分と債務者の免責2 保証人と第三者の免責第9 小規模企業向けのサブチャプターⅤ第10 期間・費用と再生に失敗した場合1 手続の終結と弁済の完了2 米国の四半期手数料3 再建できない場合の清算への移行第11 日本企業の利用と国境を越える効力1 日本での外国倒産手続の承認援助2 米国のチャプター15との違い第12 取引先が申し立てたときの確認事項第13 出典1 法令・裁判所規則・金額改定告示2 裁判例3 司法機関・行政機関による制度説明4 執筆者による実務解説
第1 チャプター11と民事再生の違いが分かる比較表

チャプター11(Chapter 11)は,米国法典第11編の第11章に基づく倒産手続である。
日本の民事再生と同様に,債務者が経営を続けながら債務を整理する仕組みを備えるが,担保権者や株主を計画に取り込む方法,新規融資の保護,債権者の議決要件に大きな違いがある。
したがって,「米国版の民事再生」と理解するだけでは,担保の実行や売掛金の回収について判断を誤るおそれがある。

本記事は,令和8年8月31日を基準日として,一般事業会社の通常のチャプター11と,日本の法人企業の民事再生を比較する。
小規模企業向けのサブチャプターⅤは第9で説明し,個人再生,金融機関等の業種別特則及びステーブルコイン発行者の特則は対象外とする。
米国法令・判決に関する日本語の訳語は仮訳である。
基本となる法令は,米国法典第11編と民事再生法であり,以下の米国法の条番号は,特に断らない限り同編の条番号を指す。

比較事項
米国の通常のチャプター11
日本の民事再生

経営権
原則として債務者が経営を継続する
原則として再生債務者が業務・財産を管理する

申立て直後の保護
原則として申立てにより自動停止が生じる
開始前は保全処分・中止命令等を用いる

担保権の実行
自動停止の対象となり,計画による変更も問題となる
別除権として手続外での行使が原則である

新規融資
超優先権や,一定の条件下で既存担保に優先する担保を付けられる

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自動車部品大手マレリの再建計画案・開示説明書を読む―債権者別の取扱いと財務予測(AI作成)

第1 2026年8月3日に提出された2つの書面
第2 債権者と株主の取扱い

1 DIP融資の現金払い・出口融資・新株への振分け
2 シニア貸付の11%と一般無担保債権の100%

第3 2026年~2028年の財務予測

1 主要数値と債務再編による会計上の利益
2 出口融資と自動車メーカーの支援という仮定
3 未収録の企業価値評価と清算分析

第4 第三者への請求権放棄と計画の補充資料

1 投票の扱いとリリースへの参加は別に読む
2 Plan Supplementと計画の発効条件

第5 出典

第1 2026年8月3日に提出された2つの書面
マレリの2026年8月3日付け再建計画案は,債権の種類に応じた現金払い,新株の交付及び既存株式の消滅などを組み合わせた案である。
一般無担保債権には100%の回収見込みが示されているが,処遇を変更する可能性が留保され,財務予測にも未確定の融資・顧客支援が織り込まれている。

対象となる書面は,米国デラウェア地区連邦倒産裁判所の事件番号25-11034 (CTG)で提出された再建計画案(Docket No. 2510)と開示説明書(Docket No. 2511)である。

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電子記録債権とは―でんさいの仕組み,譲渡・保証・支払不能(AI作成)

第1 電子記録債権とでんさいの違い

第2 発生・譲渡・支払の仕組み

1 発生記録と譲渡記録

2 決済と支払等記録

第3 譲渡後の責任,抗弁及び時効

1 譲渡人の保証責任

2 譲受人に支払を拒める範囲

3 消滅時効は原則3年

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完全子会社の取締役・監査役が親会社に対抗する方法―解任・報酬・監査権限(AI作成)

第1 親会社への対抗手段を考える前提
1 親会社への請求と子会社への請求
2 親会社の支配と子会社役員の職務

第2 解任・報酬・辞任をめぐる請求
1 解任の効力と損害賠償
2 報酬の減額と解任による損害
3 決議取消しは3か月の期限を分けて考える
4 辞任・任期満了・代表取締役の解職

第3 在任中の取締役・監査役の権限
1 取締役による異議・報告・取締役会の利用
2 監査役による調査・報告・差止め
3 会計限定監査役には使えない権限がある

第4 親会社への直接請求と会社財産の回復
1 契約・不法行為の根拠を特定する
2 法人格否認と強制執行の限界
3 子会社の損害は子会社の権利として扱う

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個人情報保護法の安全管理措置は機密性に偏っているか――情報セキュリティ3要素のバランスと報告義務の構造(AI作成)

目次

第1 情報セキュリティ3要素と個人情報保護法上の安全管理措置

1 機密性・完全性・可用性という3要素
2 個人情報保護法23条が定める安全管理措置

第2 個人情報保護委員会ガイドラインが示す具体的な措置の内容

1 安全管理措置の5類型
2 技術的安全管理措置として必須とされる4項目

第3 漏えい等報告義務における3要素の扱い

1 報告対象事態の4類型と漏えい・滅失・毀損
2 ランサムウェア事案の位置づけと共通様式の新設

第4 医療分野における先行的な対応

1 医療情報システムの安全管理に関するガイドラインが示す3要素
2 可用性・完全性に踏み込んだ対策

第5 実務上の留意点

1 安全管理措置を点検する際の視点

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弁護士国民年金基金の給付請求―老齢年金・未支給年金・遺族一時金の必要書類,電子申請及び5年時効(AI作成)

第1 給付請求の全体像

1 結論

2 最初に区別する四つの手続

第2 老齢年金の請求

1 基金から届く請求書

2 基本となる添付書類

3 電子申請の準備と利用できない場合

第3 受給者又は加入員が死亡した場合

1 まず死亡連絡をする

2 未支給年金

3 遺族一時金

4 未支給年金と遺族一時金を同時に確認する

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特別永住者とは――対象者・子孫の要件,出生後60日以内の申請及び永住者との違い

第1 特別永住者の意味
第2 対象者

1 平和条約国籍離脱者
2 平和条約国籍離脱者の子孫

第3 特別永住者となる主な経路

1 法律上当然に特別永住者となった人
2 出生その他の事由による申請
3 一定の在留資格からの申請

第4 「永住者」との主な違い
第5 確認すべき資料
第6 出典

第1 特別永住者の意味

特別永住者とは、日本の植民地統治の終了と平和条約の発効に伴って日本国籍を離脱した人及びその子孫のうち、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」により日本で永住することができる人をいう。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

特別永住者は、出入国管理及び難民認定法上の在留資格「永住者」と名称が似ているものの、制度の根拠、対象者及び手続が異なる。

第2 対象者

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弁護士国民年金基金の資格喪失と再加入―弁護士法人・企業内弁護士・海外転居時の手続(AI作成)

第1 資格喪失と再加入を判断する基準

1 弁護士であることだけでは加入資格は決まらない

2 主な場面ごとの資格喪失日と次の手続

3 資格喪失届は原則として14日以内である

第2 弁護士法人及び企業内弁護士になった場合

1 基金資格を失う起点は厚生年金の資格取得日である

2 資格喪失届に添付する資料

3 後に独立して第1号被保険者へ戻る場合

第3 海外へ転出する場合と帰国する場合

1 在外加入を続けるには三つの手続を組み合わせる

2 在外加入中の掛金と弁護士業務

3 帰国時にも在外加入をいったん喪失して国内加入を申し出る

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特別永住者の再入国許可――みなし再入国の2年,通常許可の6年及び地位喪失の注意点

第1 結論
第2 みなし再入国許可

1 利用の要件
2 2年以内の再入国

第3 通常の再入国許可
第4 期限を超えた場合の注意点
第5 出国前の確認事項
第6 出典

第1 結論
特別永住者が一時的に出国して従前の地位のまま再入国する方法には、みなし再入国許可と通常の再入国許可がある。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

みなし再入国許可の有効期間は原則として出国の日から2年であり、通常の再入国許可は許可される期間が最長6年である。

いずれも、旅券や特別永住者証明書を持って出国すれば無期限に帰国できる制度ではない。
第2 みなし再入国許可
1 利用の要件
有効な旅券及び特別永住者証明書を所持する特別永住者は、出国時に再入国の意思を表明することにより、原則として事前の再入国許可を受けずに出国できる。

実務上は、出国審査の際に再入国出国記録の所定欄を確認し、みなし再入国許可による出国であることを明確にする必要がある。

旅券を取得できない事情がある場合は、通常の再入国許可及び再入国許可書の取扱いを地方出入国在留管理局に確認する必要がある。

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「朝鮮籍」とは何か――「韓国」「朝鮮」の国籍・地域表示と実体国籍の違い

第1 「朝鮮籍」の意味
第2 「韓国」と「朝鮮」の違い

1 「韓国」の表示
2 「朝鮮」の表示

第3 表示と実体国籍を分けて考える必要性
第4 実体国籍を確認するための資料
第5 相続その他の法律実務への影響
第6 出典

第1 「朝鮮籍」の意味
一般に「朝鮮籍」と呼ばれるものは、日本の在留管理上の国籍・地域欄に「朝鮮」と表示されている状態を指す。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

「朝鮮」は朝鮮半島の出身地・地域を示す表示であり、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国籍を示す表示ではない。

参議院に対する平成20年の政府答弁書も、「韓国」は国籍を表示するものとしつつ、「朝鮮」は朝鮮半島出身者及びその子孫についての地域表示であって、何らかの国籍を表示するものとして用いているものではないと説明している。
第2 「韓国」と「朝鮮」の違い
1 「韓国」の表示
在留管理上の「韓国」は、大韓民国の国籍を表示するものである。

したがって、「朝鮮」から「韓国」へ表示を変更する手続では、大韓民国の旅券、家族関係登録事項別証明書その他の国籍を示す資料が問題となる。
2 「朝鮮」の表示
「朝鮮」は、現在の国家の国籍名ではなく、歴史的に用いられてきた地域表示である。

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台湾人の国籍・地域表示――在留カード・住民票・戸籍,台湾旅券及び中華民国国籍の違い

第1 国籍と地域表示は同じものではない
第2 在留カード及び住民票の「台湾」
第3 戸籍の「台湾」
第4 台湾旅券の意味
第5 中華民国国籍及び台湾の戸籍
第6 歴史的な台湾関係者と現在の台湾出身者
第7 出典

第1 国籍と地域表示は同じものではない
台湾関係者については、①日本の在留管理上の国籍・地域表示、②住民票の記載、③戸籍の国籍・地域欄、④台湾旅券、⑤中華民国国籍及び台湾の戸籍を区別する必要がある。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

日本の行政書類に「台湾」と記載されていることは、その書類における地域表示を意味するのであって、それだけで日本政府による国家承認又は本人の実体国籍に関する全ての問題が決まるわけではない。
第2 在留カード及び住民票の「台湾」
在留カード及び特別永住者証明書の国籍・地域欄では、台湾の権限ある機関が発行した旅券等を所持する人について「台湾」と表示される取扱いがある。

住民票の国籍・地域欄も、在留カード等の記載を基礎として「台湾」と記載される場合がある。

これらは、日本の在留管理・住民記録における「国籍・地域」の表示であり、中華民国国籍の取得又は喪失そのものを決める制度ではない。
第3 戸籍の「台湾」
法務省は、戸籍の国籍・地域欄における地域名表記の取扱いを改め、令和7年5月26日以後、台湾出身者について「台湾」と記載できるようにした。

従前の戸籍で「中国」と記載されている場合も、一定の資料を添えて「台湾」への訂正を申し出る取扱いが示されている。

この改正は戸籍記載の地域名をより具体化するものであり、中華民国国籍法上の国籍を新たに付与し、又は日本の外国承認政策を変更する手続ではない。

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朝鮮人・台湾人はいつ日本国籍を失ったのか――外国人登録令,平和条約,昭和27年通達及び最高裁判例

第1 結論
第2 戦前の戸籍と日本国籍
第3 外国人登録令は国籍喪失を定めたものではない
第4 朝鮮関係者の日本国籍喪失
第5 台湾関係者の日本国籍喪失
第6 昭和27年通達の位置付け
第7 個別事案で確認すべき事項
第8 出典

第1 結論
朝鮮関係者と台湾関係者の日本国籍喪失日は同じではない。

本記事の基準日は令和8年8月29日である。

朝鮮関係者については日本国との平和条約が発効した昭和27年4月28日、台湾関係者については日本国と中華民国との間の平和条約が発効した同年8月5日が、それぞれ日本国籍喪失の基準日とされている。

もっとも、実際の個人については、戦前の戸籍上の帰属、終戦後の在留状況、婚姻・認知・養子縁組、国籍取得・喪失及び日本への帰化を確認する必要がある。
第2 戦前の戸籍と日本国籍
日本の統治下にあった朝鮮及び台湾の出身者は日本国籍を有していたが、内地の戸籍とは別の朝鮮戸籍又は台湾戸籍に編製されていた。

そのため、同じ日本国籍を有していた時期でも、戸籍上の所属、身分関係法及び戸籍事務は一様ではなかった。

戦後の国籍処理を理解するには、国籍だけでなく、どの戸籍に属していたかを確認する必要がある。
第3 外国人登録令は国籍喪失を定めたものではない
昭和22年5月2日に施行された外国人登録令は、その適用について、朝鮮人及び一定の台湾人を当分の間外国人とみなした。

しかし、この「外国人とみなす」という規定は外国人登録制度を適用するためのものであり、その施行日に日本国籍を喪失させる規定ではなかった。

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支払不能と債務超過の違い―破産法上の意味と判断方法(AI作成)

第1 支払不能と債務超過の違い

第2 支払不能の意味と判断方法

1 破産法2条11項の定義

2 支払能力に含まれる要素

3 確認資料

第3 債務超過の意味と判断方法

1 破産法16条1項の定義

2 帳簿上の債務超過と破産法上の債務超過

3 個人と法人の違い

第4 一方だけが認められる場合

1 債務超過であるが支払不能ではない場合

2 支払不能であるが債務超過ではない場合

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電子記録債権(でんさい)の決済金は銀行の相殺・商事留置権で回収できるか(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論

1 対象とする場面
2 結論
3 直接の射程外となる場面

第2 でんさい決済で二つの回収根拠が問題となる理由

1 でんさいの発生と口座間送金決済
2 商事留置権と相殺は別の法律構成であること

第3 大分地裁決定から福岡高裁判決までの経過
第4 通常のでんさいに商事留置権が成立しないとされた理由

1 商法521条と破産法66条
2 紙の取立委任手形に関する最高裁判例
3 でんさいには取立委任裏書に相当する制度がないこと
4 学説が示していた制度上の分岐

第5 決済金返還債務と貸金債権を相殺できないとされた理由

1 破産手続開始時に双方の債務が存在する必要があること
2 現実の送金前に預金債務は成立しないこと
3 債権者記録だけでは「前に生じた原因」にならないこと

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障害者手帳・障害年金の認定と労務提供能力は同じか―雇用紛争で区別すべき四つの判断層(AI作成)

第1 結論と本記事の射程

1 障害等級と労務提供能力は同じ判断ではない

2 個別判決の当否とは分けて検討する

第2 障害者手帳と障害年金が判定しているもの

1 精神障害者保健福祉手帳

2 障害年金

3 二つの認定が接続する場面

第3 雇用紛争で区別すべき四つの判断層

1 第1層―行政上の認定

2 第2層―診断・症状・治療

3 第3層―日常生活・社会生活上の機能

4 第4層―具体的職務についての労務提供能力

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動産売買先取特権に基づく転売代金債権の差押え―要件・証拠・申立て・回収手順(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と最初に確認する五つの条件

1 債務名義がなくても申立てができる
2 申立てを急ぐべき理由
3 この手続を進めるかを判断する五つの条件

第2 動産売買先取特権と物上代位の仕組み

1 売買代金を担保する法定の先取特権
2 転売代金債権を差し押さえる物上代位
3 請負代金債権は原則として別に扱われる

第3 申立てで証明すべき四つの事実

1 売主と買主との売買及び未払代金
2 買主と転売先との売買及び転売代金債権
3 二つの取引における商品の同一性

(1) 型番や製造番号がない商品の立証
(2) 転売先への直接納品
(3) 名称,数量及び金額が一致しない場合

4 担保権の存在を証する文書又は電磁的記録

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自動車部品大手マレリのチャプター11手続状況――再建計画案と取引先への影響(AI作成)

第1 マレリのチャプター11は現在どの段階か

1 事業再建の手続と対象会社
2 通知済みの期日と計画案上の日程

第2 再建計画案が示す債権と株式の扱い

1 一般無担保債権の100%回収見込み
2 資金調達と既存株式
3 債権者委員会の申立てと期間延長命令

第3 取引先が確認する債権届出と支払

1 契約相手と申立前後の債権
2 SchedulesとProof of Claim
3 一般的な届出期限と個別の通知

第4 2022年の再建及び日本の手続との関係
第5 出典

1 法令・手続規則
2 裁判所命令
3 債務者・債権者委員会の提出書面
4 米国裁判所の制度解説
5 会社発表・事件代理人の案内

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コーポレートガバナンス・コードとは|2026年版の4つの基本原則・適用対象・法的拘束力(AI作成)

目次

第1 コーポレートガバナンス・コードとは1 コードが対象とするコーポレートガバナンス2 会社法とは異なる上場制度上の原則第2 プリンシプルベースとコンプライ・オア・エクスプレイン1 細則ではなく原則を示すプリンシプルベース2 実施又は説明を求める仕組み第3 2026年版コードの構造1 4つの基本原則と26の原則2 解釈指針の役割第4 2026年版の4つの基本原則1 4つの基本原則の一覧2 基本原則1―株主の権利・平等性の確保,株主との対話3 基本原則2―株主以外のステークホルダーとの適切な協働4 基本原則3―適切な情報開示と透明性の確保5 基本原則4―取締役会等の責務第5 コードの適用対象1 市場区分ごとに異なる説明対象2 未上場会社と上場外国会社第6 コードの法的拘束力1 各原則自体には法的拘束力がない2 説明は上場規程上の義務である第7 制定・改訂の経緯と2026年版への移行1 2015年の施行から2026年改訂まで2 コーポレート・ガバナンス報告書の更新第8 出典・参考資料1 法令・取引所規則・コード2 金融庁・東京証券取引所の公表・運用資料

第1 コーポレートガバナンス・コードとは

1 コードが対象とするコーポレートガバナンス

東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(2026年7月版)は,「コーポレートガバナンス」を,上場会社が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で,透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みと説明している。
コードは,この仕組みを実効的なものとする主要な原則を示し,各社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促すものである。

コードは,不祥事の防止や経営者の監視だけを目的とするものではない。
意思決定の透明性・公正性を確保しながら,経営陣による迅速・果断な意思決定と適切なリスクテイクを支える「攻めのガバナンス」も目的としている。

2 会社法とは異なる上場制度上の原則

コーポレートガバナンス・コードは,会社法の条文ではなく,東京証券取引所が定める上場制度上の原則である。
会社法が株式会社の機関,取締役の権限・義務,株主総会その他の法的な仕組みを定めるのに対し,コードは,上場会社がそれぞれの状況に応じて実効的なガバナンスを実現するための考え方を示す。

したがって,会社法上の義務とコード上の原則は,同じものとして扱うことができない。
会社法の制定後の改正については,会社法(平成17年法律第86号)の改正経緯参照。

第2 プリンシプルベースとコンプライ・オア・エクスプレイン

1 細則ではなく原則を示すプリンシプルベース

コードは,会社が取るべき行動を細部まで一律に定めるルールベースではなく,大づかみな原則の趣旨・精神に照らして各社が自らの対応を判断するプリンシプルベース・アプローチを採用している。
同じ原則でも,業種,規模,事業特性,機関設計及び会社を取り巻く環境によって,適切な実施方法は異なり得る。

このため,コードを読むときは,文言を形式的に満たしているかだけでなく,その会社の具体的な取組みが原則の目的に適合しているかを見る必要がある。
コードは,各社に同じ組織図や手続を採用させるための仕様書ではない。

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旧借地権から現行法上の借地権へ切り替えるメリット・デメリット(AI作成)

目次

第1 切替えを検討する前に借地権の種類を分ける

1 旧借地権は更新後も旧法のままである
2 普通借地権と定期借地権を区別する

第2 切替えは旧契約の合意終了と新契約の設定である

1 一方的に借地権の種類を変更することはできない
2 「更新」又は「覚書」という名称だけで判断しない
3 将来の合意解約を扱った最高裁判決

第3 普通借地権へ切り替えるメリット

1 朽廃に関する旧法の規定を外せる
2 再築に関する現行法の枠組みを使える
3 建物構造によらない期間設計ができる

第4 普通借地権へ切り替えるデメリット

1 将来の更新期間が短くなる場合がある
2 旧借地権と契約履歴をいったん終わらせる
3 貸主にとって法定更新の問題は残る

第5 定期借地権への切替えで変わること

1 一般定期借地権は50年以上で設定する
2 事業用定期借地権は公正証書で設定する

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2026年改訂コーポレートガバナンス・コード|変更点・適用日・2027年7月末までの報告書対応(AI作成)

目次

第1 改訂日と報告書の更新期限1 2026年7月21日と2027年7月31日は別の期限である2 コードと上場規程上の説明義務を区別する第2 2026年版コードの構造1 補充原則を廃止し,4基本原則・26原則へ再編した2 解釈指針は説明義務の対象外である第3 2026年改訂の主な変更点1 成長の道筋と経営資源の配分2 独立社外取締役の質・数と取締役会の支援体制3 サイバーセキュリティ等を含む全社的リスク管理4 有価証券報告書の株主総会前開示第4 2027年7月末までの報告書対応1 2021年版による定期更新も一時的に認められる2 二つの記載欄を別々に点検する3 旧コードの開示内容を新しい原則へ対応させる第5 報告書更新の実務手順1 現在の記載を2026年版へ対応付ける2 エクスプレインは提出日時点の状況に合わせる3 他の開示資料との不一致を確認する4 2027年7月30日以前を社内提出目標とする第6 改訂内容を読む際の注意点第7 出典・参考資料1 上場制度上の原則及び規則改正資料2 金融庁・東京証券取引所の解説及び運用資料3 パブリックコメント

第1 改訂日と報告書の更新期限

1 2026年7月21日と2027年7月31日は別の期限である

2026年改訂コーポレートガバナンス・コードは,2026年7月21日に確定・公表されたものであり,改訂案の段階ではない。
東京証券取引所は,同日,改訂に伴う有価証券上場規程の一部改正を施行した。

これに対し,上場会社が2026年版コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書を提出する期限は,2027年7月31日である。
したがって,2026年7月21日はコード及び関連上場規程の施行日であり,2027年7月31日は改訂後のコードに基づく報告書の移行期限である。

時点上場会社との関係

2026年7月21日2026年版コードの確定・公表及び関連上場規程の改正施行
2027年3月を目途TDnetの入力欄を「コードの各原則に関する取組み」へ切り替える予定
2027年7月31日2026年版コードに基づくコーポレート・ガバナンス報告書の提出期限

2 コードと上場規程上の説明義務を区別する

コードの各原則は,それ自体が法的拘束力を有する規範ではない。
他方,東証の有価証券上場規程436条の3により,上場内国会社には,市場区分に応じて各原則を実施するか,実施しない場合にはその理由をコーポレート・ガバナンス報告書で説明することが求められる。

このコンプライ・オア・エクスプレインは,全原則の実施を一律に義務付ける仕組みではない。
会社の業種,規模,事業特性,機関設計その他の個別事情に照らして実施しない原則がある場合,その理由を具体的に説明することも予定されている。

市場区分ごとの対象範囲は,次のとおりである。

(続きを読む...)2026年改訂コーポレートガバナンス・コード|変更点・適用日・2027年7月末までの報告書対応(AI作成)

貸主から定期借家契約への切替えを打診された借家人の注意事項(AI作成)

目次

第1 結論――合意解約書だけを先に提出しない

第2 最初に現在の契約・締結日・用途を確定する

1 普通借家からの切替えか,定期借家の再契約か

2 平成12年3月1日前の居住用契約には切替制限がある

3 居住用・事業用・店舗併用住宅を区別する

第3 切替えにより変わる更新・終了のルール

1 普通建物賃貸借では貸主の更新拒絶等に正当事由を要する

2 定期建物賃貸借は更新されず,期間満了で終了する

第4 新契約案で確認すべき条項

1 契約期間と終了通知

2 借主の中途解約権

3 再契約の手続と条件

4 賃料改定条項

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貸主から定期借地契約への切替えを求められた借地人の注意事項(AI作成)

目次

第1 打診を受けても直ちに現契約は変わらない

1 承諾しない限り切替えは成立しない
2 最初に集める資料

第2 「切替え」は合意解約と新契約設定の組合せである

1 単なる契約名称の変更ではない
2 合意の有効性は形式だけでは決まらない
3 平成4年8月1日より前の借地権

第3 提案された定期借地権の種類を特定する

1 一般定期借地権と事業用定期借地権
2 建物用途と期間の実態を契約案に合わせる

第4 借地人が失う保護と得る対価を比較する

1 更新,再築及び建物買取請求の三点
2 補償額は一律の割合では決まらない
3 従前契約の金銭を精算する

第5 契約案で優先して修正する条項

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公益通報の外部窓口を顧問弁護士が担当する場合の問題点と制度設計(AI作成)

第1 顧問弁護士を外部窓口とすることの結論

1 顧問弁護士への委託は一律に禁止されていない

2 顧問弁護士だけを唯一の窓口とすることは望ましくない

3 法定要件を満たす社外法律事務所への通報は1号通報となる

第2 社外窓口を担当する弁護士の役割

1 依頼者は通常,通報者ではなく会社である

2 受付と調査・法的評価・会社代理を区別する必要がある

3 匿名性と調査可能性には緊張関係がある

第3 公益通報者保護法が求める窓口の体制

1 従事者指定と通報者特定情報の秘密保持

2 経営幹部からの独立性と事案関係者の排除

3 令和8年12月1日施行の指針が利益相反対応を明確にする

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能力不足・協調性不足による普通解雇―改善指導・配置転換・解雇回避措置と裁判例(AI作成)

第1 能力不足・協調性不足による普通解雇の判断枠組み

1 本記事の対象

2 労働契約法16条と就業規則

3 回数・期間による安全基準はない

第2 雇用契約上の能力・職務・評価基準を確定する

1 一般職と職務限定・高度専門職

2 採用時資料と変更範囲の明示

3 相対評価だけでは足りない

第3 能力不足を具体的な事実と業務影響で示す

1 評価語を事実へ置き換える

2 業務への影響を確認する

3 使用者側の原因を切り分ける

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問題社員対応の基本手順―事実確認・注意指導・改善機会・記録化から処分まで(AI作成)

目次

第1 問題社員対応の出発点

1 「問題社員」は法律上の類型ではないこと

2 最初に問題の種類と保護される事情を分けること

第2 事実確認は結論を決める前に行うこと

1 調査対象を具体的な事実に置き換えること

2 原資料を保全してから関係者を聴取すること

3 本人の説明と反証の機会を確保すること

第3 注意指導は事実・基準・改善方法を示して行うこと

1 業務上の指導と懲戒処分を区別すること

2 指導書に含める内容

3 指導の方法がハラスメントにならないようにすること

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外国人による日本の不動産購入―手続・規制・税金とOECD38国比較(AI作成)

第1 日本の不動産を外国人が購入する場合の結論

1 通常の住宅・宅地には外国人だけを対象とする一般的な取得禁止がないこと

2 国籍,居住地,法人支配及び物件区分を分けて判断すること

3 この記事の比較範囲

第2 日本で不動産を購入する手続

1 契約前に確認する取得主体,物件及び売主

2 売買契約,決済及び登記

3 取得後の外為法報告と登記後の管理

第3 土地の所在地・用途によって適用される規制

1 外国人土地法と重要土地等調査法

2 大規模土地,農地及び森林

3 本人確認と実質的支配者の把握

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労災保険の未収債権200億円超と民間委託―第三者行為災害の求償・費用徴収・返納金はどう回収されるか(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と「200億円超」の意味

1 対象資料と記事の射程
2 200億円超は4種類を含む収納未済額である
3 令和8年度からの契約

第2 回収対象となる4種類の債権

1 第三者行為災害の求償債権
2 費用徴収債権
3 返納金債権と利得償還金債権
4 労働保険料の滞納とは別である

第3 民間委託による回収の流れ

1 4種類に共通する納入督励
2 弁護士が行う債権回収
3 費用徴収債権を弁護士折衝の対象から外す理由
4 第三者行為災害に関する法務相談
5 訴訟提起は契約の対象外である

第4 接触率40%・回収率10%の読み方

1 接触率40%
2 回収率10%

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税務・労働法・社会保険・フリーランス法における労働者性の判定(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 同じ人でも制度ごとに結論が異なる
2 調査の基準時と用語

第2 制度横断の判定地図

1 各制度が問うもの
2 判定を一つのチェック数で決めない

第3 労働基準法・労働契約法・労災保険法

1 条文と使用従属性
2 昭和60年報告の判断要素
3 最高裁判例が示す事実評価
4 令和8年の見直しは未確定である

第4 労働組合法

1 労働基準法より広い概念である
2 個人事業者の外観があっても肯定される

第5 所得税上の給与所得と事業所得

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「永住者」と「定住者」の在留資格――許可要件,在留期間の更新及び相互の関係(AI作成)

第1 この記事の対象と別表第二における位置づけ

1 この記事が扱う範囲
2 活動系(別表第一)と身分系(別表第二)の区別
3 別表第二4類型の比較

第2 「永住者」の在留資格

1 永住許可(入管法22条)の法的性質
2 永住許可の要件とガイドラインによる具体化
3 在留期間の定めがないことの意味
4 永住者の在留資格が取り消される場合(令和6年改正)

第3 「定住者」の在留資格

1 定住者告示(平成2年法務省告示第132号)による類型
2 告示に定めのない類型(告示外定住)
3 在留期間の更新

第4 両者の関係――定住者から永住者へ,永住者から定住者へ

1 「定住者の在留資格で5年以上」という特則
2 永住許可取消し後の受け皿としての定住者

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「企業内転勤」の在留資格――グループ会社間異動の該当範囲と「企業内転勤2号」の新設(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 検討の対象と時点2 この記事の位置付け第2 「企業内転勤」とは何か1 入管法上の定義2 平成元年改正による新設の経緯3 他の在留資格との関係第3 上陸許可基準1 転勤直前の継続勤務要件(第1号)2 報酬要件(第2号)第4 「転勤」に該当するグループ会社間異動の範囲1 本店・支店間の異動2 親会社・子会社間の異動3 子会社間・関連会社への異動とその限界第5 本邦内で勤務先が変わる場合の取扱い第6 出向発生時の届出義務第7 在留期間の運用とその変遷第8 令和9年4月施行予定の「企業内転勤2号」第9 資格外活動・在留資格取消しのリスク第10 裁判例の状況出典・参考資料1 法令2 公的資料3 国会会議録

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

「企業内転勤」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,外国にある事業所から本邦にある事業所へ期間を定めて転勤する外国人を対象とする。

外資系企業やグループ会社が,海外の親会社・子会社・関連会社の職員を日本法人へ出向・転勤させる場面で用いられることが多い在留資格である。

本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法及び上陸基準省令の条文,出入国在留管理庁が公表する運用資料,国会審議の内容,並びに令和9年4月1日に施行が予定されている改正内容に基づき,この在留資格の該当範囲及び上陸許可基準を整理するものである。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第16節は,本記事が扱う在留資格の審査実務を最も詳細に記載した一次資料である。

当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」(令和8年4月の開示文書)で全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

2 この記事の位置付け

以下では,まず在留資格の定義と平成元年改正による新設の経緯を確認し(第2),上陸許可基準の内容を条文に即して整理する(第3)。

次に,グループ会社間の出向・転籍を計画する法務担当者が最も判断に迷う,「転勤」に該当する会社間関係の範囲を審査要領に即して具体的に整理し(第4),本邦内で勤務先が変わる場合の取扱い(第5)を確認する。

さらに,出向発生時に必要となる届出義務(第6),在留期間の運用とその変遷(第7),令和9年4月1日に施行が予定されている「企業内転勤2号」の新設(第8),資格外活動・在留資格取消しのリスク(第9)を扱った上で,この在留資格に関する裁判例の状況(第10)を紹介する。

第2 「企業内転勤」とは何か

1 入管法上の定義

入管法別表第一の二の「企業内転勤」の項の下欄は,本邦において行うことができる活動を次のとおり定めている。

「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」。

すなわち,企業内転勤の在留資格で行うことができる活動そのものは,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る活動と同一であり,両者の違いは,同一企業等の内部で海外の事業所から転勤してきた者として,本邦において期間を定めて(一定期間に限られて)勤務する点にある。

出入国在留管理庁の審査要領は,この在留資格を「企業活動の国際化に対応し,人事異動により外国の事業所から本邦の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられたもの」と説明している。

2 平成元年改正による新設の経緯

「企業内転勤」は,出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成元年法律第79号,同年12月15日公布,平成2年6月1日施行)により新設された在留資格である。

国会審議において,法務省入国管理局長であった股野景親政府委員は,「まず,『企業内転勤』という新しい在留資格を設けておりますが,これは必ずしも従来の四—一—一六—三というカテゴリーの中で考えられたものではなくて,新しくこういう発想法をもって,本邦とそれから外国との間の転勤ということについての在留資格というものを設けたという点が新しい着想でございます」と答弁しており,改正前の法4条1項16号(法務大臣が個別に在留を認める包括的カテゴリー)の単純な拡充ではなく,新たな発想に基づいて創設された資格であることが確認できる。

制度創設の当初,濫用(低賃金労働者の受入れの抜け道になるのではないか)への懸念が国会でたびたび示された。

これに対し股野局長は,「企業内転勤というものの在留資格は,その直前にございますところの技術,または人文知識・国際業務の項の活動ということと同じ内容のものとされております。そうしますと,これはすなわち,その人の技術ないし知識の程度というものがもう一定水準以上のものであるということが要件として求められているということがございますので,そこでただいま御指摘のような単純作業に属するような方たちというものはここには該当してこない」と答弁し,技術・人文知識・国際業務と同水準の要件を課すこと自体が濫用防止の歯止めになるとの説明を一貫して行った。

制度創設段階の想定では,法務省大臣官房審議官であった米澤慶治政府委員が「三年を超えない範囲内に限って日本に転勤してきて日本で活躍され」ることを前提とした基準を検討していると答弁しており,当初は3年以内の短期転勤が想定されていた点が注目される。

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「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違い――上陸許可基準の分岐点を条文で確認する(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 この記事の位置付け

第2 二つの在留資格の位置付けの違い

1 「技術・人文知識・国際業務」の制度の骨格
2 「特定技能」の制度の骨格――特定産業分野への限定
3 特定技能1号と2号の違い

第3 学歴による証明か,試験による証明か
第4 対象分野が限定されているか否か
第5 在留期間の上限と通算の考え方
第6 家族帯同の可否
第7 受入れ機関に課される支援体制の違い
第8 技能実習・育成就労との接続関係
第9 特定技能から技術・人文知識・国際業務への移行が想定されていないこと
第10 制度改正の最新動向
出典・参考資料

1 法令・省令
2 裁判例
3 公的資料

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特定技能所属機関に対する報告徴収及び立入検査――入管法19条の20の要件と技能実習制度との違い(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

第2 特定技能所属機関に対する報告徴収及び立入検査の法的根拠

1 入管法19条の20の条文
2 「報告徴収」と「立入検査」の区別
3 犯罪捜査のためのものと解してはならないという限定

第3 届出から欠格事由該当までの段階的な規律

1 特定技能所属機関の届出義務(19条の18)
2 指導及び助言(19条の19)
3 報告徴収及び立入検査を拒んだ場合の罰則(71条の4,76条の2)
4 改善命令(19条の21)
5 欠格事由への該当(特定技能基準省令2条1項4号リ)

第4 登録支援機関に対する規律との違い
第5 在留資格審査のための「実態調査」(入管法59条の2)との違い
第6 技能実習実施者に対する報告徴収及び実地検査――技能実習法に基づく別制度

1 技能実習法13条・14条の枠組み
2 罰則と両罰規定
3 特定技能の制度との対比

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「家族滞在」から「定住者」「特定活動」への在留資格変更――高等学校等卒業後の就労を目的とする運用(AI作成)

第1 「家族滞在」の子が高等学校等卒業後に働くために必要な手続
第2 在留資格「家族滞在」の内容と就労制限

1 該当する活動の範囲
2 資格外活動許可による週28時間の制限

第3 高等学校等卒業後の就労を目的とする在留資格変更

1 制度の法的な位置付け
2 「定住者」への変更の要件
3 「特定活動」への変更の要件
4 「定住者」と「特定活動」のいずれを選ぶか

第4 「特定活動」から「定住者」への在留資格変更
第5 この運用の沿革

1 平成27年の運用開始から令和6年の要件明文化まで

第6 令和8年の高等学校等就学支援金法改正との関係

1 支給対象を在留資格で区分する新要件
2 入管の在留資格変更とは別個の判断であること

第7 申請を検討する際の留意点

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申請取次者制度――「代理」と「取次ぎ」の違い及び依頼書と委任状の使い分け(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 対象とする文書と時点
2 「代理」と「取次ぎ」という二つの制度

第2 入管法が定める「代理」

1 在留資格認定証明書交付申請の代理人
2 住居地の届出及び在留カードに係る代理

第3 施行規則が定める「取次ぎ」

1 取次ぎは書類提出という事実行為にとどまる
2 弁護士及び行政書士以外の者による書類作成の制限

第4 弁護士・行政書士が申請等取次者になるための届出手続

1 承認制ではなく届出制であること
2 届出済証明書とその有効期間
3 取次ぎができる範囲と出頭が免除される範囲

第5 「依頼書」と「委任状」は別の書面である

1 審査要領が定める「依頼書」の内容

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永住許可の要件――素行・独立生計・国益(居住年数10年)の基準と令和8年8月公表の改定案(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 「永住者」と「特別永住者」の違い
第3 永住許可の法律上の要件――入管法22条2項

1 条文と3要件の全体像
2 素行要件
3 独立生計要件
4 国益要件と居住年数(原則10年在留)

第4 居住年数要件の特例
第5 永住許可に関するガイドラインの位置付けと改定履歴
第6 永住者の在留資格が取り消される場合

1 現行の取消事由
2 令和6年改正法による新設事由
3 取消しに代わる職権による在留資格の変更

第7 令和8年8月公表の改定案――何が変わろうとしているか

1 独立生計要件の見直し案
2 国益要件に追加される新要素
3 居住年数特例の厳格化
4 意見募集の期間と施行予定

第8 永住許可の判断が争われた裁判例

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「日本人の配偶者等」の在留資格――婚姻の実体という審査基準と偽装結婚のリスク(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 「日本人の配偶者等」の在留資格とは

1 入管法上の位置づけ
2 該当する3つの類型

第3 審査の中心にある「婚姻の実体」という要件

1 法律上の婚姻だけでは足りないとした最高裁判決
2 「婚姻の実体」の中身と民法752条
3 夫婦関係が冷え込んでも直ちに資格を失うわけではない

第4 審査で疑いを招きやすい事情と示すべき資料

1 年齢差・交際期間・共通言語
2 国際結婚あっせん・出会い系サイトを介した出会い
3 離婚歴がある場合
4 提出書類の全体像

第5 偽装結婚と判断された場合の法的リスク

1 在留資格の取消し
2 退去強制と刑事責任
3 永住許可への影響

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「在留資格の取消し」制度――入管法22条の4の要件・手続と企業のリスク(AI作成)

第1 この記事が扱う対象
第2 在留資格の取消しとは何か――入管法22条の4の位置づけ
第3 取消事由10通りの内容(入管法22条の4第1項)

1 上陸許可等の取得過程における不正(第1号~第4号)
2 許可された活動を行っていないこと(第5号・第6号)
3 配偶者としての活動を行っていないこと(第7号)
4 住居地届出義務違反(第8号~第10号)

第4 公表統計からみる取消事由の実際の分布
第5 取消しの手続――意見聴取から通知まで
第6 取消し後の効果――出国準備期間と退去強制事由への接続
第7 企業(雇用主・受入れ機関)に生じ得るリスク

1 虚偽書類の提出が従業員本人の在留資格を失わせる構造(第3号)
2 不法就労助長罪(入管法73条の2)は過失でも成立する
3 営利目的等不正取得助長罪(入管法74条の6)との異同
4 採用時・雇用中に確認すべき事項

第8 裁判例の現況
第9 令和6年改正――永住者に対する取消事由の新設(施行前)

1 新設される取消事由の内容
2 入管庁の説明と弁護士会・国連人種差別撤廃委員会の異論

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「高度専門職」のポイント計算と優遇措置――永住許可要件緩和の法的性質(AI作成)

第1 この記事が扱う対象1 検討の対象と時点2 この記事の位置付け第2 「高度専門職」とはどのような在留資格か1 入管法上の定義とポイント制導入の経緯2 高度専門職1号イ・ロ・ハの活動類型と他の在留資格との重複第3 高度専門職1号のポイント計算1 学歴・職歴・年収・年齢による基本項目2 研究実績・資格・地位・特別加算による加点3 年収による足切り――1号ロ・ハの300万円未満0点ルール第4 高度専門職2号への移行第5 優遇措置の内容1 複合的な在留活動の許容・在留期間5年・優先処理2 配偶者の就労・親及び家事使用人の帯同3 永住許可要件の緩和とその法的性質第6 特別高度人材制度(J-Skip)と未来創造人材制度(J-Find)1 特別高度人材制度(J-Skip)の認定要件と優遇内容2 未来創造人材制度(J-Find)――別の在留資格である点に注意第7 実務上の留意点1 ポイントを「維持」することの意味2 不許可・不交付となった場合の争い方出典・参考資料1 法令・省令2 裁判例3 公的資料

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

「高度専門職」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,学歴,職歴,年収等を点数化するポイント制により,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与すると見込まれる高度な能力を持つ外国人材を受け入れるためのものである。

本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法,高度専門職省令(平成26年法務省令第37号)及び特別高度人材の基準を定める省令(令和5年法務省令第25号)の条文,出入国在留管理庁が公表するポイント計算表・優遇措置の内容,並びに関連する裁判例の有無を確認した上で,ポイント計算の仕組みと優遇措置の内容を整理するものである。

なお,高度専門職省令は令和7年法務省令第45号により既に改正されているが,この改正の施行日は令和9年4月1日であり,本記事作成時点ではまだ施行されていない。したがって,以下で紹介する内容は,令和8年8月22日現在で効力を有する規定に基づくものであることに留意されたい。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第9節「高度専門職」は,本記事が扱うポイント計算表及び優遇措置の運用を最も詳細に記載した一次資料である。

当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」第12編第9節「高度専門職」(令和8年4月の開示文書)として全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

2 この記事の位置付け

以下では,まず「高度専門職」という在留資格の定義とポイント制導入の経緯を確認し(第2),高度専門職1号イ・ロ・ハのポイント計算表を項目ごとに整理する(第3)。

次に,1号での在留を経て移行する高度専門職2号の要件(第4),そして本記事の主題である優遇措置の内容を確認する(第5)。優遇措置のうち永住許可要件の緩和については,条文上の根拠と行政の運用指針との関係を整理する。

さらに,令和5年に導入された特別高度人材制度(J-Skip)及びこれとは別制度である未来創造人材制度(J-Find)を確認した上で(第6),ポイントの維持義務や不許可となった場合の争い方といった実務上の留意点を扱う(第7)。

第2 「高度専門職」とはどのような在留資格か

1 入管法上の定義とポイント制導入の経緯

入管法別表第一の二の「高度専門職」の項の下欄第一号は,「高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの」と定める。

(続きを読む...)「高度専門職」のポイント計算と優遇措置――永住許可要件緩和の法的性質(AI作成)

特定技能ビザの審査基準――分野別基準,技能実習からの移行,受入れ機関の基準(AI作成)

第1 「特定技能」という在留資格の位置づけ

1 制度創設の経緯と対象分野の拡大
2 特定技能1号と2号の違い

第2 対象産業分野と分野別基準の構造

1 分野該当性の判断方法
2 分野別運用方針・運用要領という基準体系
3 審査要領で確認できる分野特有の上乗せ要件の例

第3 特定技能1号の上陸基準――外国人本人に求められる要件

1 基本要件
2 技能水準・日本語能力水準の証明方法
3 通算在留期間の上限――原則5年,例外6年
4 保証金・違約金契約の不存在

第4 特定技能2号の上陸基準――1号との相違
第5 技能実習から特定技能への移行

1 技能実習2号良好修了の意義とみなし救済
2 移行に伴う実務上の留意点
3 移行支援を怠った監理団体の責任が問われた裁判例

(続きを読む...)特定技能ビザの審査基準――分野別基準,技能実習からの移行,受入れ機関の基準(AI作成)

「経営・管理」の在留資格――令和7年10月16日改正後の上陸許可基準(AI作成)

第1 この記事が扱う対象第2 「経営・管理」の在留資格とは何か1 入管法上の定義2 「投資・経営」からの改称の経緯3 他の在留資格との関係第3 令和7年10月16日改正――何が変わったのか1 改正の骨格2 改正の理由として示された事情第4 現行の上陸許可基準1 事業所の存在(第1号)2 事業の規模(第2号)3 日本語能力(第3号)4 学歴又は経験(第4号)5 報酬(第5号)第5 事業所の実体をめぐる審査第6 複数の経営者・共同出資の場合の判断基準第7 事業の継続性の審査第8 既存の在留者に対する経過措置第9 改正をめぐる国会での議論第10 経営・管理該当性が争われた裁判例出典・参考資料1 法令・告示2 裁判例3 公的資料4 国会会議録第1 この記事が扱う対象

「経営・管理」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,本邦において事業の経営を行い又はその管理に従事する外国人を対象とする。この在留資格の上陸許可基準は,令和7年10月16日に大きく改正されており,改正前によく知られていた「資本金500万円以上」という要件は,改正後は存在しない。本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法及び上陸基準省令の条文(改正前後の対比を含む。),出入国在留管理庁が公表する運用資料,国会審議の内容,並びに関連する裁判例に基づき,現行の上陸許可基準の内容を整理するものである。

外国人が日本で事業所用の不動産を購入する場合の取得手続,規制及び税金は,外国人による日本の不動産購入―手続・規制・税金とOECD38か国比較を参照されたい。なお,不動産を取得したこと自体によって「経営・管理」の在留資格が認められるものではなく,本記事で説明する活動実態及び上陸許可基準を別に満たす必要がある。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第10節は,本記事が扱う在留資格の審査実務を最も詳細に記載した一次資料である。当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」(令和8年4月の開示文書)で全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

第2 「経営・管理」の在留資格とは何か1 入管法上の定義

入管法別表第一の二の「経営・管理」の項の下欄は,本邦において行うことができる活動を次のとおり定めている。「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)」。出入国在留管理庁の審査要領によれば,この活動には,①本邦で事業の経営を新たに開始してこれを行い又は管理する活動,②本邦で既に営まれている事業に参画してこれを経営し又は管理する活動,③事業の経営者(法人を含む。)に代わって経営を行い又は管理に従事する活動の3類型が含まれる。事業の経営に従事する活動には代表取締役・取締役・監査役等の役員としての活動が該当し,事業の管理に従事する活動には部長・工場長・支店長等の管理者としての活動が該当するが,いずれも名目的な地位にとどまらず,経営又は管理に実質的に参画し,又は従事するものであることが求められる。

2 「投資・経営」からの改称の経緯

現行の「経営・管理」は,平成26年の入管法改正により,それ以前の「投資・経営」という在留資格を改組して設けられたものである。審査要領によれば,「投資・経営」の在留資格は,日米友好通商航海条約第1条1項が定める内国民待遇・最恵国待遇の規定その他の条約上の待遇を担保するため,外資が参入している企業の経営・管理業務に従事する外国人の受入れを目的として平成元年の法改正で創設された経緯を持つ。「投資・経営」という名称のとおり,外国人が我が国に投資していることが対象となる前提条件であり,これ以外の事業の経営や管理に従事する外国人は対象外とされていた。平成26年改正により,この投資要件は撤廃され,外国人若しくは外国法人が投資しているか,日本人若しくは日本法人のみが投資しているかを問わず,事業の経営又は管理に従事する外国人を広く対象とする「経営・管理」に改められた。

3 他の在留資格との関係

同じ活動内容が複数の在留資格に該当し得る場合の優先関係についても,審査要領が整理を示している。企業の経営活動や管理活動が自然科学又は人文科学の知識等を要する業務と重複する場合は,「技術・人文知識・国際業務」ではなく「経営・管理」を決定する。この振り分けの詳細は,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で扱った他資格との関係の説明も参照されたい。弁護士,公認会計士等の資格を有しなければ行うことができないとされている事業の経営又は管理に従事する活動は「法律・会計業務」に該当するが,病院の経営に係る活動は,医師の資格を有する者が行う場合であっても「経営・管理」に該当する。日本法人の経営者に就任し,かつ日本法人から報酬が支払われる場合は,会議出席等の短期間の来日であっても「経営・管理」に該当し,「短期滞在」では入国できない。

第3 令和7年10月16日改正――何が変わったのか1 改正の骨格

「経営・管理」の上陸許可基準を定める上陸基準省令は,令和7年10月16日付けの改正省令(令和七年法務省令第五十号)により大きく改められた。改正前の基準では,事業の規模について,①経営・管理に従事する者以外の常勤職員を2人以上雇用していること,②資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること,③これらに準ずる規模であること,のいずれかに該当すればよいという選択制が採られていた。これに対し改正後の基準では,常勤職員の雇用と,事業の用に供される財産の総額が3,000万円以上であることの両方を満たすことが必要になった。金額要件が500万円から3,000万円へ引き上げられただけでなく,選択制からいずれの要件も満たす必要がある構造に変わった点が実務上の影響として大きい。さらに,改正前には存在しなかった日本語能力要件(経営者又は常勤職員のいずれかがCEFR B2相当の日本語能力を有すること)と,学歴又は経営管理の実務経験に関する要件(経営管理関連分野の修士・博士・専門職学位,又は3年以上の経営管理経験)が新設された。新旧の条文は,第4で号ごとに対比して示す。

2 改正の理由として示された事情

出入国在留管理庁は,改正の理由について,許可基準が諸外国の同様の制度と比べて緩やかであり,移住の手段として悪用されているとの指摘があったこと,在留審査において事業の実態がないことが判明する事案が認められていたことを挙げている。参議院法務委員会(令和8年4月14日)における内藤惣一郎・出入国在留管理庁次長の答弁によれば,改正の検討に当たり令和6年末時点で「経営・管理」の在留資格を有する41,615人を対象に調査を行ったところ,資本金の額が3,000万円以上であった者は約4%にとどまっていたことが明らかにされている。同庁は,改正に先立ち令和7年8月20日に法務大臣の私的懇談会「出入国在留管理政策懇談会」で有識者の意見を聴取し,同年8月26日から9月24日までの30日間,意見公募手続(パブリックコメント)を実施して702件の意見を受け付けた。国会審議での賛否両論の内容は,第9で扱う。

第4 現行の上陸許可基準1 事業所の存在(第1号)

上陸基準省令の「経営・管理」の項第1号は,「申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」と定めている。この要件は令和7年10月改正の前後を通じて変わっていない。事業所の実体をめぐる審査の詳細は第5で扱う。

2 事業の規模(第2号)

第2号は,「申請に係る事業の規模が次のいずれにも該当していること」として,イ「その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること」,ロ「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること」の両方への該当を求める。改正前の第2号は,イ「常勤の職員(同)が2人以上」,ロ「資本金の額又は出資の総額が500万円以上」,ハ「イ又はロに準ずる規模」のいずれかに該当すればよいとしていた。財産の総額には,事業所確保に係る経費,雇用する職員への1年間の給与等,事務機器購入費等の設備投資が含まれる。事業主体が法人である場合は,株式会社における払込済資本の額又は持分会社の出資の総額で判断し,登記事項証明書により実際の投下を確認する。個人事業の場合は,貸借対照表の資産の部の額から,事業に投下される財産が3,000万円以上であることを確認する。単なる預貯金は事業に投下される財産として扱われず,設備投資契約書や雇用契約書等により,実際に事業へ投下されることが見込まれることを確認する必要がある。

3 日本語能力(第3号)

第3号は,改正により新設された要件であり,「申請に係る事業の経営を行い,又は当該事業に従事する者(非常勤の者を除く。)のうちいずれかの者が,高度に自立して日本語を理解し,使用することができる水準以上の能力を有している者であって,かつ,申請人が当該事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する時において,本邦に居住することとしているものであること」と定める。審査要領によれば,「高度に自立して日本語を理解し,使用することができる水準以上の能力」とは,日本語教育の参照枠におけるB2相当以上の日本語能力であり,日本語能力試験(JLPT)N2以上,又はBJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上を得点した者が対象となる。次のいずれかに該当する場合は,試験による証明を要しない。①日本人,②特別永住者,③中長期在留者として20年以上本邦に在留している者,④本邦の大学を卒業し,又は本邦の高等専門学校若しくは専修学校の専門課程を修了した者(恒常的に外国語で授業を行う課程等を除く。),⑤我が国の義務教育及び高等学校を修了・卒業している者。参議院法務委員会(令和8年6月18日)における内藤惣一郎次長の答弁によれば,この日本語能力要件は,パブリックコメントの意見募集時点の改正案には含まれておらず,「近隣の住民等と日本語でコミュニケーションが取れることを担保する必要がある」等の意見を踏まえて省令案を修正する形で追加されたものである。

4 学歴又は経験(第4号)

第4号も改正により新設された要件であり,イ「経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位,修士の学位又は専門職学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有していること」,ロ「事業の経営又は管理について三年以上の経験」のいずれかへの該当を求める。経営又は管理の経験には,本邦外での経歴のほか,起業準備を目的とする「特定活動」(貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を指定されたもの)で在留していた期間も算入される。

5 報酬(第5号)

第5号は,「申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と定める。改正前の第3号後段と同内容であり,事業の経営に従事する場合(役員として経営に当たる場合)にはこの要件は適用されない。

第5 事業所の実体をめぐる審査

事業所の存在(第1号)に関する審査で実務上特に問題となるのは,名目的な事業所を排除する運用である。審査要領は,事業所は実際に事業が営まれている場所であることを要するとし,住所及び電話番号等のみを借り受け,電話にはオペレーターが対応し,郵便物を転送するなど,実際に経営又は管理を行う場所が存在しない「バーチャル・オフィス」等と称する形態は,事業所として認めないと明記している。月単位の短期間賃貸スペースや,容易に処分可能な屋台等の施設を利用する場合も,それを合理的とする特別の事情がない限り,事業所の確保の要件に適合しているとは認められない。賃貸借契約は,使用目的が事業用・店舗・事務所等の事業目的であることを明らかにし,契約者名義も当該法人等とすることが必要である。審査要領は,令和7年10月改正により事業規模要件が見直され常勤職員の雇用が必須となったことも踏まえ,「自宅兼事業所とするような形態は基本的に想定されず,独立して事業を営む事業所であることが客観的に見て明らかであることを必要とする」と述べており,改正が事業所要件の運用にも影響を及ぼしていることを示している。

もっとも,例外的な取扱いもある。独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が運営する対日投資・ビジネスサポートセンター等のインキュベーションオフィスについては,独立区画でなくても,起業支援を目的として一時的に貸与されているものであれば事業所の確保の要件に適合するものとして扱われる。地方公共団体が実施する起業支援対象者についても,自治体がインキュベーション施設の賃料等を負担している場合,その負担額(年間最大200万円)を申請人の投下額に合算して3,000万円要件の充足を判定する取扱いがある。

第6 複数の経営者・共同出資の場合の判断基準

複数の外国人が同一の事業の経営又は管理に従事する場合,審査要領は,それだけの人数の者が経営又は管理に従事することが必要とされる程度の事業規模,業務量,売上げ,従業員数等がなければならないとした上で,次の3条件を満たす場合に,それぞれの外国人について該当性を認めるとしている。①事業の規模や業務量等の状況を勘案して,それぞれの外国人が経営又は管理を主たる活動として行うことについて合理的な理由が認められること,②経営又は管理に係る業務について,それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること,③それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として相当の報酬の支払を受けることとなっていること。共同出資で会社が運営される場合についても,同じ観点から確認を行い,申請に係る事業の用に供される財産の総額が基準と乖離していないことを確認するとされている。したがって,複数の外国人を経営者として並べるだけでは足りず,それぞれの業務分担と報酬が事業の規模に見合ったものであることを個別に示す必要がある。なお,入国・在留を認める役員の人数自体には制限がないが,この観点からの慎重な審査を要するとされている。

第7 事業の継続性の審査

上陸許可基準そのものではないが,「経営・管理」の在留資格該当性の判断において,事業の継続性は独立した重要な審査対象である。審査要領は,決定する在留期間の途中で事業が立ち行かなくなるなど在留活動が途切れることが想定される場合には,該当する活動を行うものと認められないとした上で,直近期の決算状況に応じた段階的な判断枠組みを示している。直近期末に剰余金がある場合,又は剰余金も欠損金もない場合は,事業の継続性に問題はない。直近期末に欠損金があるが債務超過となっていない場合は,事業計画や資金調達の状況を踏まえ,原則として継続性を認める。直近期末が債務超過であっても直近期前期末は債務超過でなかった場合は,中小企業診断士・公認会計士・税理士による改善見通しの評価書の提出を求めた上で継続性を判断する。直近期末及び直近期前期末の双方が債務超過である場合は,原則として継続性を認め難いが,増資や他企業による救済等の具体的な予定があればこれを考慮する。この場合でも,設立5年以内の新興企業については,独自性のある技術やサービスに基づき事業を成長させようとする過程での赤字であることを踏まえ,投融資の状況や製品・サービス開発の状況を示す資料により柔軟に判断するとされている。直近期及び直近期前期の双方で売上総利益がない場合は,増資等の具体的な予定がある場合を除き,原則として継続性が認められない。

第8 既存の在留者に対する経過措置

令和7年10月16日より前から「経営・管理」の在留資格で在留していた者に対しては,経過措置が設けられている。出入国在留管理庁の公表資料によれば,施行日から3年後に当たる令和10年10月16日までの間の更新申請については,改正後の基準に適合していないことのみを理由として不許可とはせず,事業の経営状況等を踏まえて許否を判断するとされている。もっとも,この経過措置は上陸基準省令自体の条項としてではなく,運用上のガイドラインとして示されたものである。参議院法務委員会(令和8年6月18日)における内藤惣一郎次長の答弁は,この点について「省令事項ではございませんが,出入国在留管理政策懇談会やパブリックコメントでいただいた御意見も踏まえて一定の配慮を行うべきと,ガイドラインにおいて対応を明らかにした」と説明している。永住許可申請及び高度専門職2号への移行については,改正後の基準への適合が前提とされており,経過措置の対象には含まれていない。

第9 改正をめぐる国会での議論

改正の是非については,国会審議において賛否両論が示されている。改正を推進する立場から,内閣総理大臣石破茂は,参議院決算委員会(令和7年6月9日)において,「民泊経営を口実に経営・管理の在留資格を取得し,我が国に移住する者が増えておるという御指摘がございます。この許可基準につきましては,今後,出入国在留管理庁において適切に見直しをいたしてまいります」と述べている。参議院外交防衛委員会(令和7年5月8日)における福原申子・出入国在留管理庁在留管理支援部長の答弁も,「経営・管理の在留資格に関する在留申請の中には,委員御指摘の民泊も含めまして,事業の実態が疑われるような事案もあるというふうに承知をしている」とし,実地調査や不許可処分等の対応を説明している。

これに対し,改正の急激さや遡及的な影響を批判する意見も示された。参議院法務委員会(令和8年4月14日)における打越さく良議員(立憲民主・無所属)は,「経営・管理の在留資格は昨年末時点で約四万一千六百人,資本金などが三千万円以上の方は全体の四%にとどまる」とした上で,「あと九六%のお店とか事業所を潰してどうするんでしょうか」と改正を批判した。同委員会(令和8年5月21日)で参考人として出席した近藤敦・名城大学法学部教授は,改正後「申請者が九六%減少したと最近報じられております」と指摘し,既存の経営者に改正後の基準を将来的に適用することは「信頼保護の原則」に反すると論じた。同参考人は,改正の根拠として政策懇談会で示された「韓国が資本金要件を500万円から3,000万円に引き上げた」という説明についても,韓国には資本金要件の異なる2つの在留資格制度(「貿易経営」と「企業投資」)が並存しており,比較対象の選定に誤りがあると指摘している。参議院法務委員会(令和8年5月14日)では,仁比聡平議員(日本共産党)が,大阪出入国在留管理局における具体的な事案(飲食店開業準備中の申請人について,建設資材や職人の不足による工事遅延のために保健所の営業許可取得が遅れたことを理由に在留期間更新が不許可とされた事案)を挙げ,運用の硬直性を問題視した。

近藤敦参考人が「報じられております」として紹介した申請件数の96%減という数値は,実際には出入国在留管理庁自身が国会で認めている。同じ参議院内閣委員会(令和8年4月14日)で,礒部哲郎・出入国在留管理庁在留管理支援部長は,「経営・管理」及び一部の「高度専門職」に係る在留資格認定証明書交付申請件数について,「令和七年五月一日から同年十月十五日までの五か月半の期間において月平均で約千七百件であったのに対し,基準改正日である令和七年十月十六日から令和八年三月三十一日までの五か月半の期間においては月平均で約七十件となっております」とし,「在留資格認定証明書交付申請件数は約九六%減となっておりまして,大幅に減少している状況にございます」と答弁した。もっとも同部長は,この数値が「通常の統計として作成しているものではな」く,「基準見直しの前後の状況を把握することを目的として概数として集計した」単純比較であると留保を付けている。

これらの国会答弁からは,出入国在留管理庁が把握している「経営・管理」の在留者数の推移も確認できる。同じ参議院内閣委員会における礒部部長の答弁によれば,「令和七年末現在,我が国において経営・管理の在留資格を持って在留する者の数は四万六千七百八十一人」であり,新規の申請件数が大幅に減少した後も,在留者総数自体は増加している。もっとも,この総数の増加が新規許可によるものか,既存在留者の更新によるものかは,同答弁からは判別できない。

第10 経営・管理該当性が争われた裁判例

「経営・管理」及びその前身である「投資・経営」の在留資格該当性が正面から争われた行政訴訟の公刊裁判例は多くないが,資格外活動該当性が争われた事案として,東京地方裁判所平成20年9月19日判決(平成19年(行ウ)第274号等)とその控訴審である東京高等裁判所平成21年1月29日判決(平成20年(行コ)第346号)がある。「投資・経営」の在留資格で在留していた外国人が,入国審査官から入管法24条4号イ(資格外活動)に該当する旨の認定を受け,異議申出も棄却された上で退去強制令書の発付を受けたことから,各処分の取消しを求めた事案である。判決は,「投資・経営」の在留資格を有する外国人が無許可の資格外活動を「専ら」行っているといえるか否かは,①本邦において開始し又は投資している事業の経営又は管理への従事の状況,②無許可で行われた資格外活動の状況・態様及びその就労等に至った経緯,③生活費の支出状況その他の諸事情を総合考慮し,本来の在留資格に係る事業の経営又は管理の遂行状況と資格外活動の状況・態様等を比較検討した上で,活動内容が本来の在留資格に対応する事業経営・管理以外の資格外活動に「実質的に変更されたもの」と認められるか否かの観点から判断するのが相当であるとした。本件では,会社への関与が事業の経営又は管理としての実質を相応に備えたものとは評価し難く,会社は実質的に休眠状態にあり,申請人が主にホステスとして稼働して生計を維持していたという事情の下で,資格外活動を専ら行っていたと認定し,請求をいずれも棄却した(控訴審も同旨)。

この判断枠組みは,名称こそ改正前の「投資・経営」についてのものであるが,事業の経営又は管理への従事が「実質」を備えているかを問う点で,現行の「経営・管理」の在留資格該当性の判断にも参考になる。もっとも,令和7年10月16日改正後の基準適合性を正面から扱った公刊の行政訴訟判決は,本記事の作成に当たって網羅的に検索した範囲では見当たらなかった。改正の施行から日が浅いことに加え,行政裁量が広範な分野であるため,不許可・不交付の多くが再申請等の形で処理され,訴訟にまで至らないまま解決している可能性があるが,この点を裏付ける統計資料までは確認できていない。

出典・参考資料1 法令・告示

①出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一の二,2条の2,7条,20条,24条(e-Gov法令検索)
②出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)「経営・管理」の項(令和7年10月16日改正後現行,e-Gov法令検索)

2 裁判例

①東京地方裁判所平成20年9月19日判決(平成19年(行ウ)第274号等,退去強制令書発付処分取消請求事件,裁判所ウェブサイト)
②東京高等裁判所平成21年1月29日判決(平成20年(行コ)第346号,退去強制令書発付処分取消請求控訴事件,裁判所ウェブサイト)

3 公的資料

①「経営・管理」の許可基準の改正等について(出入国在留管理庁,令和7年10月10日公表・同月30日更新)
②外国人経営者の在留資格基準の明確化について(出入国在留管理庁)
③出入国在留管理庁「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第10節(山中弁護士ブログ掲載版)

4 国会会議録

①第217回国会参議院外交防衛委員会第11号(令和7年5月8日)福原申子出入国在留管理庁在留管理支援部長答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
②第217回国会参議院決算委員会第9号(令和7年6月9日)石破茂内閣総理大臣答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
③第221回国会参議院法務委員会第4号(令和8年4月14日)打越さく良議員質疑(国立国会図書館国会会議録検索システム)
④第221回国会参議院法務委員会第4号(令和8年4月14日)内藤惣一郎出入国在留管理庁次長答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑤第221回国会参議院内閣委員会第3号(令和8年4月14日)礒部哲郎出入国在留管理庁在留管理支援部長答弁(在留者数,国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑥第221回国会参議院内閣委員会第3号(令和8年4月14日)礒部哲郎出入国在留管理庁在留管理支援部長答弁(申請件数の増減,国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑦第221回国会参議院法務委員会第8号(令和8年5月14日)仁比聡平議員質疑(国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑧第221回国会参議院法務委員会第10号(令和8年5月21日)近藤敦参考人(名城大学法学部教授)意見陳述(国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑨第221回国会参議院法務委員会第16号(令和8年6月18日)内藤惣一郎出入国在留管理庁次長答弁(経過措置,国立国会図書館国会会議録検索システム)
⑩第221回国会参議院法務委員会第16号(令和8年6月18日)内藤惣一郎出入国在留管理庁次長答弁(日本語能力要件の追加経緯,国立国会図書館国会会議録検索システム)

名義株の時効取得は10年・20年で成立するか―民法163条の要件と裁判例(AI作成)

第1 この記事が扱う対象と検討の順序
第2 時効取得の対象となりうるか―民法163条と株式

1 民法162条ではなく民法163条が問題となる理由
2 株券という有価証券自体の即時取得との違い
3 東京地方裁判所が示した適用肯定の判断枠組み

第3 成立要件―「自己のためにする意思」をもって「平穏かつ公然」に「行使」すること

1 会社に対する株主としての行動が中心的な判断要素となること
2 時効取得が認められた事案で認定された行使の実態
3 時効取得が否定された事案で欠けていた事実

第4 善意・無過失の10年と,悪意・過失の20年
第5 時効取得を認めた一審判決は,その後どうなったか
第6 そもそも「誰が真の株主か」を立証すること自体が高い壁になる
第7 名義株を巡る実務上の対応

1 実質株主が名義株を放置した場合のリスクと対応
2 名義人の側から時効取得を主張する場合の高いハードル
3 会社に対する関係―株主名簿の名義書換

第8 出典・参考資料

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トランプ関税による調達コスト増と契約実務――事情変更の原則・改正取適法・価格転嫁の可否(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

第2 トランプ関税が日本企業の契約関係に及ぶ二つの経路

第3 不可抗力条項による免責の可否

第4 事情変更の原則による契約改定・解除の限界

1 判例上の要件
2 適用を否定してきた最高裁判例
3 下級審で適用が認められた例外的な事例
4 トランプ関税への当てはめと予見可能性の壁

第5 下請取引における価格転嫁――改正取適法による保護

1 適用対象
2 買いたたきの禁止
3 価格協議拒否・一方的代金決定の禁止(2026年改正)
4 違反時の効果

第6 取適法の対象外となる取引・国際取引における価格交渉

第7 契約書における不可抗力条項・価格改定条項の設計

第8 実務上の初期対応順序

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「技術・人文知識・国際業務」の在留資格――上陸許可基準と専攻・業務関連性の審査実務(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点
2 この記事の位置付け

第2 「技術・人文知識・国際業務」とは何か

1 入管法上の定義
2 平成26年改正による統合の経緯
3 他の在留資格との関係

第3 上陸許可基準

1 学歴要件
2 情報処理技術者の特例
3 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務
4 報酬要件

第4 専攻科目と従事する業務内容との関連性

1 大学卒業者の場合
2 専修学校卒業者の場合

第5 特定技能・技能実習との違い

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名義株の解消方法―名義書換え,訴訟,買取り及び所在不明株主の株式売却(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 名義株の解消とは何を指すか
2 解消方法を分ける二つの軸

第2 名義書換えによる解消―名義人の協力が得られる場合

1 名義株確認書の作成
2 株主名簿の名義書換請求
3 贈与税認定を避けるための注意
4 株券発行会社での留意点

第3 訴訟による解消―名義人が争う場合

1 株主権確認訴訟の当事者と請求
2 確定判決による単独での名義書換請求
3 連絡が取れない名義人に対する訴訟

第4 買取りによる強制的な解消

1 合意による任意の買取り
2 相続人等に対する売渡請求
3 相続人等に対する売渡請求の逆用リスク
4 株式併合及び特別支配株主の株式等売渡請求

(続きを読む...)名義株の解消方法―名義書換え,訴訟,買取り及び所在不明株主の株式売却(AI作成)