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企業法務・民事実務

PHP2Shell(CVE-2026-109618・109619)とは―公式発表で確かめられること,深刻度9.2と「インターネットの7割」の意味及び国内のサイト停止(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 対象と基準日2 結論第2 PHP2Shellとは1 PHPとは2 二つの脆弱性3 影響を受ける環境第3 発見から公開までの経過1 発見と報告2 予告と公開3 公開前の情報流出と攻撃第4 よくある疑問を公式資料で確かめる1 深刻度は最高の10点か2 インターネットの7割に影響するのか3 PHPでは毎年のことか4 AIが攻撃したのか5 設定を変えれば防げるか第5 悪用の状況第6 各国政府と日本国内の対応1 米国と英国2 日本政府3 国内のサイト停止第7 ウェブサイトの運営者が確かめること第8 関連記事第9 出典1 PHPの公式資料2 政府機関等の資料3 発見者・セキュリティ企業の資料4 報道
第1 本記事の対象と結論
1 対象と基準日

本記事は,令和8年10月21日にPHPの開発チームが修正版を公開した二つの重大な脆弱性(CVE-2026-109618及びCVE-2026-109619。発見者等が「PHP2Shell」又は「php2shell」と呼んでいるもの)について,公式発表から確認できる事実と,深刻度や影響の範囲についての疑問を分けて整理するものである。
基準日は令和8年10月22日であり,その後に公式発表が更新されることがある。
PHP,米国・英国の政府機関,JPCERT/CC及びIPAの公表資料は原文で確認し,国内のサイト停止と政府関係者の発言は報道によった。

ウェブサイトの管理者が行う更新手順,バックアップ及び更新後の確認は,PHPの緊急セキュリティ更新とWordPress保守―法律・税理士事務所の確認,バックアップ,互換性試験及び復旧手順で扱っている。

2 結論

①二つの脆弱性は,PHP本体の中で,リクエストの処理が途中で打ち切られた後の後始末に関する欠陥であり,認証を受けていない第三者による遠隔コード実行につながり得る。
②公式の深刻度はCVSS v4.0で9.2であり,最高点の10ではない。
③PHPが使われているウェブサイトの割合が約7割であることは統計で確認できるが,発見者の発表の題名にある,インターネットの7割に影響するという趣旨の表現を,その全部が同じ程度に乗っ取られ得るという意味に読むのは言い過ぎである。
④修正版の公開前に情報が流出し,攻撃の通信も観測されたが,被害の範囲は資料によって評価が分かれており,基準日の時点で確定していない。
⑤対策の中心は修正版への更新であり,PHP公式は完全な代替策はないとしている。

第2 PHP2Shellとは
1 PHPとは

PHPは,ウェブサーバーの側で動き,データベースから情報を取り出して画面を組み立てるためのプログラミング言語である。
WordPress等の広く使われるシステムもPHPで動いている。
W3Techsの統計(令和8年10月22日)によれば,サーバー側の言語が判明しているウェブサイトのうち69.3%がPHPを使っている。

2 二つの脆弱性

PHP公式の発表と,PHPの開発リポジトリに掲載された二つのアドバイザリによれば,脆弱性の要点は次のとおりである。

①CVE-2026-109618(アドバイザリの題名は「RCE via OOM corruption」)は,メモリー不足の処理によって,内部のリクエストデータが初期化の途中の状態でPHPの処理が中断され,その後の終了処理が無効なデータを有効なものとして扱ってしまうおそれに関するものである。
②CVE-2026-109619(題名は「RCE via stale global state」)は,あるリクエストに属する内部の状態が,その記憶領域の解放後も残り,同じワーカーが処理する後続のリクエストが,通常の初期化の前にその古い状態を使ってしまうおそれに関するものである。

いずれもCVSS v4.0で9.2(Critical)と評価され,影響を受ける版は8.2.35,8.3.36,8.4.27及び8.5.12より前の各版である。
CVE-2026-109619のアドバイザリは,確認された影響として,遠隔コード実行のほかに,メモリーの内容の開示を挙げている。
発見者の一つであるWizは,開示されたメモリーにパスワード,認証用のトークン,APIキー及び証明書が含まれ得ると説明している。

3 影響を受ける環境

PHP公式は,PHP-FPM,Apacheのmod_php,php-cgi,FrankenPHP及びLiteSpeedを含め,ウェブのリクエストを処理する全てのPHPの環境が危険にさらされているとしている。
そのうえで,危険が最も高いのはmod_phpであり,アプリケーションのコードが動く前の段階で,認証のないリクエストによって攻撃が成立することが実証されたとしている。
CVE-2026-109618のアドバイザリは,mod_phpについて,入力とメモリーの上限を既定値のままにした環境でHTTP経由の遠隔コード実行を検証したと述べる一方,PHP-FPMについては完全な攻撃が実証されていないこと,LiteSpeedの接続方式(LSAPI)についてはアプリケーションに依存した攻撃が成立する可能性が高いが検証されていないことを書いている。
これに対し,CVE-2026-109619のアドバイザリは,セッションの処理を使った遠隔コード実行をmod_phpとPHP-FPMの双方で検証したとしている。

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ESTA・ETAの申請代行サイトで高額請求されたら―申請状況,解約・返金とカード会社への相談(AI作成)

目次

第1 渡航手続の確認と返金交渉を同時に進める1 申請済みの場合2 申請が確認できない場合第2 公式サイトと最新料金の調べ方1 米国のESTA2 英国のETA第3 代行業者への解約・返金申入れ1 保存する資料2 申入れの理由を具体化する第4 カード会社・消費生活相談窓口への相談第5 海外旅行の公的情報をまとめて確認する
第1 渡航手続の確認と返金交渉を同時に進める

ESTAやETAを公式サイトで申し込んだつもりが,民間の申請代行サイトから高額な料金を請求された場合は,実際の申請状況を公式窓口で確認することが先決である。
返金交渉が続いていても,渡航に必要な手続が完了しているとは限らない。
申請の有無,登録情報及び審査状況の確認と,代行業者への解約・返金の申入れを分けて進める必要がある。

国民生活センターは,公式サイトと勘違いした例だけでなく,申請されたか分からない例や,キャンセルできない例も紹介している。
高額な代行料を支払ったという一つの事情から,申請が無効である,又は全額返金を請求できると一律に判断することはできない。
出典:国民生活センター・電子渡航認証等の申請代行サイトに関する注意喚起

1 申請済みの場合

公式の照会画面等で申請状況を確認できた場合は,旅券番号,氏名その他の登録情報が正しいかを確認する。
代行料の説明や同意に問題がなかったかという契約上の争点と,認証手続の有効性は別の問題となる。
承認されている場合でも,それだけで入国が保証されるわけではない。

2 申請が確認できない場合

代行業者には,申請番号,提出日時及び手続状況を尋ねる。
出発が迫っている場合は,必要な手続と処理期間を公式窓口や航空会社に確認し,返金の回答を待つだけで時間を失わないようにする。
重複申請や再申請の要否も,業者の説明だけで判断しない。

第2 公式サイトと最新料金の調べ方
1 米国のESTA

米国の公式申請先は esta.cbp.dhs.gov である。
米国連邦取引委員会(FTC)の案内は,公式サイトに似せたサイトへの注意を促すとともに,公式サイトで申請状況を照会する方法を案内している。
検索結果の広告表示や,サイトの名称に「公式」を連想させる言葉があることだけで判断せず,接続先のドメインを確認する。

令和8年10月22日に確認したFTCの説明では,公式料金は申請処理料10.27米ドルと,承認された場合の追加30米ドルで構成される。
処理料は承認の有無にかかわらず返金されないと説明されているが,これは政府に納める処理料についての説明であり,民間業者への代行料の返金可否を決めるものではない。
料金や申請方法は変更されるため,実際の申請時には公式サイトの最新表示を確認する必要がある。
出典:FTC・How to avoid scams while applying for ESTA

2 英国のETA

英国政府の公式案内は GOV.UKのETA案内 である。
令和8年10月22日に確認した同ページは,料金を20ポンドとし,他のサイトでは追加料金が生じる場合があること,政府サービスを模倣するサイトを避けることを案内している。
既にETAがあるか,有効期限がいつかを確認するための公式照会先も,同ページからたどることができる。

「ETA」という略称が同じでも,国によって制度,申請先及び料金は異なる。

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海外サブスクの解約と返金―継続課金を止める手順,証拠の残し方と相談先(AI作成)

目次

第1 身に覚えのない継続課金に気付いたとき1 自分の申込みによる請求かを確認する2 サービスの利用停止と契約の解約を区別する第2 解約できないときに残す資料第3 事業者への申入れ方1 今後の自動更新を止める申入れ2 既に支払った代金の返金を求める申入れ3 日本法による取消し等を一律に断定しない第4 カード会社と消費生活相談窓口への相談第5 相談に持参する時系列メモ
第1 身に覚えのない継続課金に気付いたとき

海外のサービスから毎月請求されていると気付いたときは,契約先と請求内容を確認し,今後の更新を止める手続と,既に支払った代金の返金申入れを分けて進める必要がある。
まず,利用したサイト,申込完了メール,アカウントの契約画面及びカード利用明細を保存し,契約先の解約窓口とカード会社に連絡する。

国民生活センターは,安価な試用だと思って申し込んだ後に月額料金が発生する海外サブスクリプションの相談事例を公表している。
少額の初回決済だけで契約内容を判断せず,自動更新の有無,次回請求日及び解約条件まで確かめることが出発点となる。
出典:国民生活センター・海外サブスクリプション契約の注意喚起

1 自分の申込みによる請求かを確認する

最初に,請求日,金額,通貨,明細上の事業者名及び利用したメールアドレスを照合する。
家族の利用,別のアカウント,アプリストア経由の契約も考えられるため,明細の表示だけで請求先を決めつけない。
申込み自体に心当たりがないときは,不正利用の疑いとしてカード会社にその旨を伝える。

2 サービスの利用停止と契約の解約を区別する

アプリを削除したこと,サイトにアクセスしなくなったこと及びカードを変更したことだけで,事業者との契約が解約されたとは判断できない。
契約画面や規約に従って自動更新の停止又は解約を申し入れ,処理完了画面と確認メールを保存する。
解約後も利用できる契約では,利用終了日と次回更新が停止したことをそれぞれ確認する。

第2 解約できないときに残す資料

解約ボタンが見つからない場合や,操作してもエラーになる場合は,その画面と日時を記録する。
問い合わせフォームを送信した場合も,送信内容,受付番号,自動返信及びその後の回答を一組で残す。
個人情報が写る画面は,第三者への相談時に必要な範囲で提示し,公開の掲示板等には載せない。

次の資料があれば,いつ,何を,どの条件で申し込んだのかを説明しやすい。

- 申込みに至った広告,サイトのURL及び価格表示
- 試用期間,自動更新,請求周期及び解約期限の表示
- 最終確認画面,申込完了メール及び当時の利用規約
- 各回の請求日・金額・通貨が分かる利用明細
- 解約操作の記録,連絡履歴及び解約完了の通知

契約時の表示は後から変わることがある。
現在の画面だけで当時の説明を再現しようとせず,保存済みのメールや画像を優先して整理する。

第3 事業者への申入れ方
1 今後の自動更新を止める申入れ

事業者には,契約を特定できるメールアドレスや注文番号を示して,自動更新の停止又は解約を求める。

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運動会・社内行事の写真をホームページやSNSに載せてよいか―肖像権,個人情報と同意の範囲(AI作成)

目次

第1 撮影への了解とインターネット公開への了解を分ける第2 肖像権・プライバシーは個人情報保護法とは別に確認する1 無断撮影・公表がすべて一律に違法となるわけではない2 会場にいたことから公開への包括的同意を推測しない第3 個人情報と個人データの違い1 会社行事の写真に直接答えた個人情報保護委員会のQ&A2 データの管理方法と公開先を確認する第4 撮影者の著作権も確認する第5 公開前の同意確認をどう設計するか1 媒体・期間・用途を分けて示す2 子どもや写り込みにも対応する第6 公開後の削除・変更の申し出に対応する
第1 撮影への了解とインターネット公開への了解を分ける

運動会や社内行事の写真を広報に使うときは,写っている本人に関する権利と,写真そのものの著作権を分けて確認する。撮影者が写真を提供したことや,参加者がカメラに向かって笑顔を見せたことだけで,どの媒体にも無期限に掲載できると扱うべきではない。

会社内の掲示,参加者限定の共有,会社ホームページ及び一般公開のSNSでは,閲覧者と拡散の範囲が異なる。何のために,誰に,いつまで見せるかを具体化することが,掲載判断の出発点である。

本記事は,令和8年10月22日を基準とする,日本の民間事業者による一般的な行事写真の取扱いの整理である。行政機関等の取扱いや,医療・介護,学校等の個別分野では,適用される規律・指針を別に確認する必要がある。

第2 肖像権・プライバシーは個人情報保護法とは別に確認する
1 無断撮影・公表がすべて一律に違法となるわけではない

最高裁平成17年11月10日判決(平成15年(受)第281号・民集59巻9号2428頁)は,みだりに容ぼう等を撮影されず,写真を公表されない人格的利益を認めた。無断撮影の違法性については,地位,活動,場所,目的,態様,必要性等を総合し,社会生活上受忍すべき限度を超えるかを判断するとした。公開判決・本文4~5頁

これは刑事事件の法廷内での撮影等を扱った判決であり,運動会の集合写真を直接判断したものではない。行事の広報では,写真の大きさ,人物の扱われ方,説明文,公開範囲及び本人の了解の内容を,具体的な掲載画面に即して検討することになる。

2 会場にいたことから公開への包括的同意を推測しない

公開の場所で開催される行事であっても,個人を大きく写した写真を広告として使う場合と,会場全体の様子を伝える場合とでは,検討すべき事情が異なる。「屋外だから自由」「集合写真だから同意は不要」という一律の基準では判断できない。

同意を取得する場合も,行事の記録としての撮影と,採用広告や商品広告への転用を分ける。後から用途・媒体・対象者の範囲を広げる場合には,もとの説明と了解でその利用まで含まれているかを確認する必要がある。

第3 個人情報と個人データの違い
1 会社行事の写真に直接答えた個人情報保護委員会のQ&A

個人情報保護委員会のQ7-11は,会社行事の写真を社内で展示する場面を扱う。本人を判別できる写真は個人情報である一方,一般的には個人情報データベース等を構成する「個人データ」ではないとして,個人情報保護法27条1項との関係を説明している。ただし,利用目的の通知・公表は必要であり,肖像権やプライバシーへの配慮も求めている。個人情報保護委員会Q&A・Q7-11

この回答は,「社内展示だからどの写真でも自由」「ホームページやSNSでも同じ」という意味ではない。また,写真を名簿と対応させるなどして,個人を検索できるよう体系的に管理する場合には,個人データ該当性を具体的に確認する必要がある。

2 データの管理方法と公開先を確認する

個人データに該当する写真を第三者に提供するときは,法27条の本人同意原則と例外等を確認する。個人データに当たらない場合も,目的に応じた取扱いと,肖像・プライバシーの検討が残る。個人情報保護委員会の通則ガイドライン

なお,医療・介護関係のQ4-15にも,利用者の行事写真の掲載等に関する回答がある。しかし,適用分野と前提があるため,その回答だけからすべての企業行事の写真について同じ法的結論を出すことは避けるべきである。医療・介護関係のQ4-15

第4 撮影者の著作権も確認する

参加者本人が掲載に同意していても,他人が撮った写真の利用権限がなければ別の問題が生じる。撮影を外注した場合には,納品を受けたことと,写真の著作権を譲り受けたことを区別する。

文化庁の写真撮影に関する契約書作成支援システムは,撮影依頼に当たっての権利処理等を示している。主催者は,掲載媒体,利用期間,広告への転用,切抜きや加工,氏名表示及び再利用の範囲を,撮影者との契約・許諾に照らして確認するとよい。文化庁・写真撮影の契約上の注意事項

被写体の肖像に関する了解と,撮影者等の著作権上の許諾は,片方を得れば他方も当然に満たすという関係ではない。自由利用マークについての文化庁の説明も,写真中の人物への配慮を別に示している。ただし,同説明は自由利用マークを付ける場面のものであり,すべての写真掲載に関する一律の法定手続を示すものではない。文化庁・他人の肖像や著作物についての注意

第5 公開前の同意確認をどう設計するか
1 媒体・期間・用途を分けて示す

次は,行事運営のための実務上の提案である。法令がすべての主催者に同じ書式を義務付けるものではない。

開催案内には,撮影の目的,予定する掲載先,掲載期間及び問い合わせ先を示す。外部公開を予定する場合は,社内だけの記録利用と区別して,掲載を希望しない人が意思を伝えられる方法を用意する。申し出た人を不利益に扱わずに撮影・参加を調整できる運用が望ましい。

同意を得る際は,少なくとも次の情報を対応させて残す。

- 対象の写真又は対象となる撮影・行事
- 行事報告,採用広報,商品広告などの利用目的

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イベント中止のキャンセル料は誰が負担するか―参加費の返金,委託費と興行中止保険(AI作成)

目次

第1 イベントを中止すると,どの費用が残るのか第2 会場代・設営費・出演料は契約ごとに確認する1 最初にキャンセル条項を読む2 「業務委託」という名称だけでは清算方法は決まらない第3 主催者に落ち度がなくても参加費の返金が問題になる1 損害賠償と解除による返還は別である2 別日への振替えは参加者の選択と結び付ける第4 興行中止保険で何を補えるか1 商品名よりも対象事故・対象費用を確認する2 返金義務と保険金支払義務は連動するとは限らない第5 中止決定から清算までに残す資料
第1 イベントを中止すると,どの費用が残るのか

台風や強風のためにイベントを中止するときは,安全に開催できるかという判断と,中止後に誰が費用を負担するかという判断を分ける必要がある。中止がやむを得なかったことだけで,会場代,業務委託料,参加費の返金及び保険金の結論がすべて決まるわけではない。

主催者は,まず支払先と受領した金銭を整理する。少なくとも,次の三つを別の表で管理すると,返金と保険金を混同しにくい。

- 会場,設営会社,出演者などに対して支払う金銭
- 参加者から受け取った参加費・チケット代金
- 保険会社に請求する中止費用等の保険金

本記事は,日本国内の一般的なイベントについて,令和8年10月22日までに確認した法令,公開判決及び保険会社の公開説明をもとに整理するものである。具体的な負担額は,各契約の内容と中止原因によって変わる。

第2 会場代・設営費・出演料は契約ごとに確認する
1 最初にキャンセル条項を読む

契約書だけでなく,申込画面,利用規約,見積書,発注書及びメールに,中止・延期の場合の条件がないかを確認する。「主催者都合の解約」と「悪天候による開催不能」が同じ扱いか,中止決定の時点で料率が変わるか,延期時に既払金を充当できるかが重要である。

法務省のイベント等の中止に関する説明も,まず契約条項によってキャンセル料や返金の扱いを確認することを示している。ただし,同説明は新型コロナウイルス感染症に関連したものであり,現在のすべてのイベントについて同じ結論を示すものではない。法務省の説明

条項があれば必ずそのまま有効になるとも限らない。契約への組入れ,条項の意味及び強行法規との関係を確認する。主催者と業者との事業者間契約に,消費者契約の規律をそのまま当てはめることも避けるべきである。

2 「業務委託」という名称だけでは清算方法は決まらない

民法641条は,請負人が仕事を完成しない間は,注文者が「いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と定める。これは,注文者が自由に中止すれば無償で解約できるという規定ではない。

一方,委任の解除には民法651条の規律があり,準委任には同法656条による準用がある。イベント運営の委託が,仕事の完成を目的とする請負か,事務処理を目的とする準委任か,複数の契約が組み合わされたものかを確認する必要がある。既に実施した業務の報酬・必要費と,解除による損害賠償も分けて検討する。民法

民法536条1項は,双方に帰責事由がない履行不能の場合に,反対給付の履行を拒むことができると定める。しかし,会場自体は使用できるのに主催者が別の理由で開催を取りやめた場合まで,当然に同じ扱いになるものではない。どの債務が,どの原因によって履行できなくなったのかを契約ごとに特定することが出発点である。

第3 主催者に落ち度がなくても参加費の返金が問題になる
1 損害賠償と解除による返還は別である

大阪地裁令和7年11月7日判決(令和5年(ワ)第3112号)は,強風によって中止されたランタンイベントのチケット代金を扱った。裁判所は,中止を安全確保のためのやむを得ない判断として,主催者の帰責性を否定した。他方,特定日に開催する債務は履行不能になったとして,解除に基づく代金相当額の原状回復義務を認めた。

また,この事件の不返金条項について,強風による中止はその対象に当たらないと判断した。「中止が合理的なら返金しなくてよい」という結論にはならないことを示す事例である。公開判決・本文19~25頁

これは,あらゆる不返金条項を無効とした判決でも,主催者に参加者のすべての損失の賠償を命じた判決でもない。返金の可否と,交通費・宿泊費などの追加損害を賠償する義務の有無は,請求根拠を分けて考える必要がある。民法415条,542条及び545条の関係も,その区別を踏まえて確認する。

2 別日への振替えは参加者の選択と結び付ける

同判決は,主催者が別イベントへの振替えを申し出たことだけで,もとの特定日に開催する債務の履行不能が解消するとはしなかった。延期・振替えで対応する場合は,参加者がその条件に合意したかを記録しておくべきである。

「中止」「延期」「別イベントへの振替え」を案内上も区別し,対象者,返金又は振替えの選択方法,申出先及び期限を分かりやすく示す方法が考えられる。これは紛争を減らすための運用上の提案であり,すべての契約に同一の手順を義務付けるものではない。

第4 興行中止保険で何を補えるか
1 商品名よりも対象事故・対象費用を確認する

三井住友海上の公開説明では,契約上特定した偶然な事故によってイベントが中止等の影響を受けた場合に,費用又は喪失利益を補償するとしている。悪天候等の例が示されているが,個別契約で何を対象にしたかの確認が必要である。同社の補償内容

確認する資料は,見積書やパンフレットだけでなく,保険証券,適用約款及び特約である。担当者は,次の点を保険会社・代理店に照会し,回答を残しておくとよい。

- 雨,強風,猛暑,感染症,出演者の不参加など,どの原因が対象か

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フィジカルAI・ロボットの導入契約―実証実験,検収,追加変更と保守の確認事項(AI作成)

目次

第1 ロボットの導入契約は実機と現場を結び付けて作る第2 購入・開発・利用・保守を一枚の範囲表へ整理する1 誰が何を納め,何を継続するのか2 AIモデルの不確実性とシステムの約束を混同しない第3 実証実験で成功した条件を検収基準へつなぐ1 成功率は条件と分母をセットにする2 検収合格と運用開始を分ける場合第4 検収拒絶と追加要望を扱った裁判例1 仕様と完成の認定が結論を左右した事例2 追加作業をしただけでは費用請求が認められない場合第5 更新・ログ・事故対応を契約の終了まで定める1 更新の承認と戻し方2 ログを保有する者と取得できる者3 責任制限と保険だけで調査手順を置き換えない第6 契約書に落とすときの設計例第7 関連記事と一次資料
第1 ロボットの導入契約は実機と現場を結び付けて作る

フィジカルAIや倉庫ロボットの導入では,「デモで動いた」「AIの精度が高い」という説明だけでは,納入後に何ができれば合格なのか決まらない。
対象の荷物,通路,照明,人の立入り,通信,連続稼働及び異常時の停止・復旧まで,利用する現場の条件と結び付けて合意する必要がある。
実証実験の成功と,本番の契約上の完成・検収,さらに運用中の安全確保は,分けて設計すべきである。

本記事は,企業が工場・倉庫等へロボットを導入する契約を対象とし,令和8年10月22日までに確認した公式資料と裁判例を基に,契約審査で確認する事項を示す。
以下の確認表と条項の設計例は,特定の契約にそのまま使える公的なひな型ではない。
既存のAIサービス一般の責任論に加え,機体・制御ソフト・クラウド・現場設備の境界で生じる問題を中心に扱う。

第2 購入・開発・利用・保守を一枚の範囲表へ整理する
1 誰が何を納め,何を継続するのか

契約書の表題が「売買」「サービス利用」「共同実証」のどれであっても,その表題だけで全ての義務は決まらない。
機体の納入,現場での調整,個別開発,クラウド利用,教育,点検及び更新が,どの会社のどの契約に含まれるかを一覧にする。

対象合意する事項機体・付属設備型式,台数,センサー,充電設備,安全装置,設置・調整の担当ソフト・モデル使用する版,機体との組合せ,利用許諾,設定変更の権限現場への適合対象の荷姿,通路・床面,人との分離,既存設備との接続継続サービス通信・クラウド,監視,問い合わせ,障害対応,更新・保守の期間導入企業の協力試験用の現場・荷物・データ,担当者,立会いと判断期限

販売代理店が窓口でも,事故解析や更新停止を実行する会社が別である場合がある。
契約上の通知先だけでなく,現場で止められる者,更新を戻せる者,ログを出せる者まで確認すべきである。
一社との契約が終わったとき,機体・クラウド・保守の残りの契約だけで運用を続けられるかも確認する。

2 AIモデルの不確実性とシステムの約束を混同しない

経済産業省の「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」は,AIモデルそのものの開発では,完成義務や性能保証の設定が容易でない点を指摘する一方,モデルを含むAIシステムの開発では,出力の不確実性を考慮した設計や,一定の担保責任が合理的な場合もあると説明している(本文32頁,PDF33頁)。
「AIを使うので全て保証しない」と一括する説明では,搬送能力,停止機能,接続仕様又は保守対応について何を約束したのかが曖昧になる。

実現できるかを調べる実証段階と,実現可能と判断した範囲を納める段階では,成果物,報酬及び終了条件を分けて合意する。
全工程を一律に請負又は準委任と呼ぶより,各工程で引き受ける作業と結果を具体化することが重要である。

クラウドを組み込む場合は,標準機能で対応する部分,設定で対応する部分及び個別開発する部分を分け,処理量,通信条件,外部連携,利用プラン及び更新時の改修負担を範囲表に対応させる。
これは契約設計上の提案であり,特定製品の現在の性能を示すものではない。
システム開発を扱う東京地裁令和4年6月17日判決(平成29年(ワ)第39859号・平成30年(ワ)第9239号,判例秘書の判例番号 L07732123)では,採用した基盤の技術的な制約と個別開発の進め方が問題になった。
この判決はロボット事故について判断したものではないが,導入提案と実際の構成・検証条件を照合する必要性を考える参考となる。

第3 実証実験で成功した条件を検収基準へつなぐ
1 成功率は条件と分母をセットにする

「搬送成功率99%」だけでは,荷物の種類,試行回数,途中で人が助けた回数又は再試行の扱いが分からない。
通常の運転に加え,荷詰まり,障害物,人の接近,通信断,充電不足及び再起動を,安全に実施できる試験計画で評価する。
試験のために人を危険へさらすことを合意する趣旨ではなく,隔離,模擬条件及び専門担当者の管理が前提となる。

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フィジカルAI・倉庫ロボットが事故を起こしたら―製造物責任,安全配慮義務と更新後の事故(AI作成)

目次

第1 倉庫ロボットの事故では何を分けて調べるか第2 被害と原因に応じて責任を整理する1 メーカーの製造物責任と,機械だけが壊れた場合2 導入企業の安全配慮と,取引先作業員の被害第3 復旧作業中の事故を「作業員のルール違反」だけで終わらせない1 自動搬送機械の裁判例2 ロボットの復旧手順へ置き換えて確認すること第4 ソフト更新と自己診断AIの誤助言では調べる時点が変わる1 引渡し後の更新で停止距離に不具合が生じた場合2 AIの助言に従って安全機能を無効にした場合第5 事故直後に確保する資料第6 主な出典と相談時に整理すること
第1 倉庫ロボットの事故では何を分けて調べるか

倉庫で荷物を運ぶ自律走行ロボット(AMR)が従業員に衝突した場合,「AIが判断した」「メーカーの製品を使った」という説明だけで責任の所在は決まらない。
機体・制御ソフトの安全性,導入企業が管理する通路・作業方法,異常時の復旧手順,事故前の更新内容を分けて調べる必要がある。
メーカーに製造物責任が成立する場合でも,導入企業の責任が当然になくなるわけではない。

本記事は,令和8年10月22日までに確認した公表資料と裁判例を基に,企業が工場・倉庫の管理された空間で使用するロボットの民事責任を扱う。
公道の自動運転車,家庭用ロボット,刑事責任及び労災給付の全体を説明する記事ではない。
経済産業省の「AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き」第1.0版の想定事例6は,工場・倉庫で使用するAMRを対象とする架空事例であり,裁判所の判断ではない。
同手引き自体も,その議論をあらゆるロボットへ一般化せず,機体の特性,利用環境及び利用企業の性質によって評価が変わると説明する(本文53頁~68頁,PDF55頁~70頁)。

AI一般の契約責任・不法行為責任と利用形態の分類については,既存記事「AI利活用に伴う民事責任-補助/支援型AI・依拠/代替型AI・AIエージェントで誰が責任を負うか(AI作成)」を参照されたい。
https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/09/07/ai-minji-sekinin-shien-daitai-agent/

第2 被害と原因に応じて責任を整理する
1 メーカーの製造物責任と,機械だけが壊れた場合

製造物責任法では,製造物の欠陥,生命・身体又は財産の侵害,損害及び因果関係が問題となる。
事故が起きたことと,機体が通常有すべき安全性を欠いていたことは同じではない。
反対に,「学習した結果の動作だから」という説明だけで,安全性を欠く設計や警告不足が免責されるものでもない。

消費者庁の公式Q&Aは,ソフトウェア自体は無体物であるが,ソフトウェアを組み込んだ製造物の不具合による損害では,製造物責任が問題となり得ると説明している。
ロボットの外部にあるサーバーが推論を行う構成でも,それだけで結論は決まらず,製品として提供された機能との一体性を調べる必要がある。
経済産業省の手引きは,AMRと一体のシステムとして提供される自己診断AIについて,外部機器で推論する場合も製造物責任の適用が否定されないとの考え方を示す(本文66頁~67頁)。

製造物責任法3条ただし書は,損害が当該製造物についてのみ生じた場合を同条の対象から除く。
人の負傷,他の商品への延焼,ロボット自体の修理費,操業停止による損失は,損害項目を分け,契約責任を含めて請求根拠を検討すべきである。
機械本体だけの故障だから一切請求できない,という意味ではない。

消費者庁「製造物責任法の概要Q&A」Q5・Q7・Q19
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html

2 導入企業の安全配慮と,取引先作業員の被害

雇用する従業員が負傷した場合,導入企業には労働契約に伴う安全配慮義務が問題となる。
労働契約法5条は,「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定める。
必要な対策の内容は,作業内容,場所,機械の性能限界等によって具体化する。

通路の交差,荷物のはみ出し,センサーの遮蔽,清掃・点検不足,復旧時の立入りなどは,機体の問題と併せて確認すべき事項である。
メーカーの説明を受けた担当者だけが限界を知り,現場の作業員には伝わっていない状態では,適切な運用を実現しにくい。

(続きを読む...)フィジカルAI・倉庫ロボットが事故を起こしたら―製造物責任,安全配慮義務と更新後の事故(AI作成)

海外AI・クラウド利用料の消費税-契約相手,リバースチャージ,インボイス及び前払クレジット(AI作成)

目次

第1 対象と確認する順序第2 契約相手と役務を特定する1 海外ブランドと国外事業者を同一視しない2 クラウド利用と個別開発を分ける3 法人が購入しても事業者向け役務とは限らない第3 リバースチャージの申告要否を分ける1 役務の区分を決めてから利用者側の条件を見る2 契約担当者と経理担当者が確認すること第4 インボイスと控除の特例を混同しない1 リバースチャージと消費者向け役務では保存要件が異なる2 一定割合控除の経過措置と少額特例を分ける3 プラットフォーム経由の請求も提供者を確認する第5 前払クレジットは購入・利用・失効・返金を分ける1 支払時点と役務提供時点は同じとは限らない2 クレジット残高と最低支払義務を分けて管理する第6 契約から申告までの資料共有第7 関連記事第8 根拠資料
第1 対象と確認する順序

海外の生成AIやクラウドを仕事で使っていても,利用料の消費税を一律に処理することはできない。
契約上の提供者,役務の内容,利用者の課税方式及び保存する証憑を順に確認する必要がある。
海外への送金であることや,請求書に日本の消費税額が表示されていないことだけで,国外取引又は控除不能と決めない。

本記事は,日本に住所等を有する事業者が海外の電子サービスを利用する場面を中心に,令和8年10月22日に確認した国税庁資料に基づいて整理する。
海外拠点だけで使用する場合,著作権の譲渡・貸付け,個別開発の委託,源泉所得税及び法人税の損金算入は,それぞれの前提を別途確認する。
国税庁が示す課税関係と,本記事が提案する契約審査・社内管理の方法は,各節で区別する。

第2 契約相手と役務を特定する
1 海外ブランドと国外事業者を同一視しない

国税庁の国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について(国内事業者の皆さまへ)は,電気通信利用役務の内外判定を,原則として役務を受ける者の住所等で行うと説明する。
法人では本店又は主たる事務所の所在地が基準となり,提供者側のサーバーや事務所が国外にあることだけでは国外取引にならない。
国外事業所等に係る事業者向け役務には例外もあるため,本記事の国内利用の整理を海外支店へそのまま当てはめない。

契約審査では,ブランド名とは別に,契約上の提供者,請求書発行者,代金の受領者及び国内代理店の役割を一枚に整理することを提案する。
国内企業が自ら販売しているのか,国外事業者の契約・決済を代行しているのかで,確認すべき取引が異なる。
代理店経由という事情だけで国内企業からの仕入れと扱わず,利用規約,注文書及び請求書を照合する。

2 クラウド利用と個別開発を分ける

同資料及び国税庁の国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A問2-1は,クラウド上のソフトウェア・データベースの利用やデータ保存場所の提供を,電気通信利用役務の例に挙げる。
一方,国外事業者へソフトウェアの制作を依頼し,インターネットで成果物を受け取る場合などは,通信が他の取引に付随するものとして区別している。

AIという名称やAPIという接続方法だけで課税区分を決めない。
通常のサービス利用,専用機能の開発,導入支援,著作権等の取引が一契約に含まれる場合は,対価と提供内容を項目別に確認することが実務上有用である。

3 法人が購入しても事業者向け役務とは限らない

国税庁No.6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」は,役務の性質又は取引条件等から,受け手が通常事業者に限られるものを,事業者向け電気通信利用役務としている。
購入者が法人であることや,業務に利用していることだけでこの区分になるわけではない。

前記Q&A問3-1・問4は,個別交渉による当事者固有のクラウド契約を例示する一方,ウェブサイトで事業者向けと表示していても,消費者の申込みを事実上制限できないサービスを区別している。
したがって,同じ提供者でも,一般向けプランと個別契約を別に確認する必要がある。
本記事では,特定のAI提供者やプランを一括して事業者向け又は消費者向けと判定しない。

第3 リバースチャージの申告要否を分ける
1 役務の区分を決めてから利用者側の条件を見る

No.6118によれば,国外事業者から受ける事業者向け電気通信利用役務は,原則として国内の受け手が特定課税仕入れとして申告・納税するリバースチャージ方式の対象となる。

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PHPの緊急セキュリティ更新とWordPress保守―法律・税理士事務所の確認,バックアップ,互換性試験及び復旧手順(AI作成)

目次

第1 結論第2 緊急通知の真偽と影響範囲の確認1 提供者の公式情報へ遡ること2 系列,ポイントリリース及びサポート期間を分けること3 確認済み事項,提供者の説明,推測及び不明点を分けること第3 更新前に作る構成表1 少なくとも記録する項目2 担当範囲を明らかにすること
3 保守会社への照会文例第4 WordPressサイトヘルスの読み方1 「致命的な問題」は侵害確定を意味しないこと2 自動更新を別の管理手段が制御している場合3 おすすめ項目を一括で消そうとしないこと第5 バックアップと復旧可能性1 ファイルとデータベースの双方が必要であること2 バックアップの存在と復旧できることは別であること第6 安全な更新順序1 変更を分けること2 検証環境と本番環境の違いを記録すること3 自動更新と手動更新の役割を決めること第7 更新後の検証1 管理画面だけで完了としないこと2 異常がないことの証拠を限定すること第8 法律・税理士事務所の業務継続と事故対応第9 令和8年10月21日のPHP緊急セキュリティ更新1 公式発表で確定した影響版と修正版2 二つの脆弱性の概要3 直ちに行う確認と更新4 直ちに更新できない場合の限定的措置5 メール通知の評価第10 確認用チェックリスト第11 出典
第1 結論

PHPの重大な脆弱性に関する通知を受けたときは,メールに書かれた対象バージョン又は危険度をそのまま事実として扱わず,PHP公式発表,利用中の正確な版,レンタルサーバーの提供状況及びWordPressの構成を対応させて判断する必要がある。

緊急性が高くても,確認せずにPHPの系列だけを切り替えると,テーマ,プラグイン又は独自コードとの互換性問題により,公開画面,管理画面,問合せフォーム,メール送信,予約,検索又は定期処理が停止することがある。他方,互換性を理由に更新を無期限に延期すれば,既知の脆弱性を残すことになる。

実務上は,①公式情報と現在値の確認,②ファイル及びデータベースの一体的なバックアップ,③復旧経路と責任者の確保,④影響の大きい変更を分けた実施,⑤管理画面と匿名の公開画面の双方による検証,⑥ログ,版及び判断理由の記録,という順序で進めるのが安全である。

第2 緊急通知の真偽と影響範囲の確認
1 提供者の公式情報へ遡ること

緊急通知を受けた場合,差出人の名称,リンク先のドメイン,公表日時及び原典を確認する。PHP本体の脆弱性であればPHP公式サイト,WordPress本体であればWordPress公式サイト,テーマ又はプラグインであれば配布元の公式情報を優先する。

保守事業者又は販売事業者のメールは,注意を促す契機として有用である。しかし,営業上の案内,危険性の一般化及び個別サイトの事実認定を含むことがあるため,公式発表の内容,個別環境の測定値及び事業者の推測を分けて読む必要がある。

2 系列,ポイントリリース及びサポート期間を分けること

「PHP 8.3を利用している」という情報だけでは足りない。同じ8.3系列でもポイントリリースが異なれば,修正の有無が異なることがある。管理画面に表示された完全な版番号,確認日時及びサーバー名を記録する。

PHP公式サイトは,各リリース系列について,通常の不具合とセキュリティ問題を修正する積極的サポート期間,重大なセキュリティ問題だけを修正する期間及びサポート終了後を分けている。サポート対象系列であることは,その時点の全ポイントリリースに未修正の脆弱性がないことを意味しない。反対に,事前通知だけから特定の系列を影響対象と断定することもできない。

3 確認済み事項,提供者の説明,推測及び不明点を分けること

緊急対応記録では,次の区分を用いるとよい。

①確認済み事項―公式発表,管理画面の完全な版番号,バックアップの完了表示,更新後の試験結果等
②提供者の説明―保守事業者,レンタルサーバー又はプラグイン作者が公表した対象範囲及び対応予定
③推測―攻撃の開始時刻,個別サイトが既に狙われているか,障害原因等についての仮説
④不明点―影響版,修正版,悪用の有無,ホスティング側の配備時刻等,まだ確認できない事項

第3 更新前に作る構成表
1 少なくとも記録する項目

更新前に,次の構成を一つの表へまとめる。

①PHPの完全な版番号,実行方式及び変更画面
②WordPress本体の版
③有効なテーマ,子テーマ及び独自変更
④有効・無効を含むプラグインと版
⑤WPCodeその他のコードスニペット,mu-plugin及びサーバー側の追加設定
⑥データベースの種類及び版
⑦キャッシュ,CDN,WAF,DNS及びメール送信の経路
⑧バックアップ先,保存世代,最終成功時刻及び復旧担当者

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本人希望の転勤・勤務地変更と手当―会社命令型との区別,社宅・赴任旅費及び就業規則の改定(AI作成)

目次

第1 本人希望の転勤を処理する判断順序第2 会社命令型と本人希望型を区別する1 異動の名称ではなく実質で分類する2 本人に希望勤務地への異動請求権が当然に生じるわけではない第3 現行規程に区別がなければ個別除外は慎重に行う1 就業規則の文言・目的・運用を確認する2 就業規則より不利な個別合意には労働契約法12条がある第4 将来に向けた本人希望型制度は別建てできる1 申請制度と会社命令制度を別章又は別規程にする2 就業規則の変更手続と既存社員への適用を分ける第5 管理職だけを会社命令型の対象とする場合1 「管理職」を客観的に定義する2 管理職限定だけで全ての差が正当化されるわけではない3 差別的取扱いとキャリア機会を点検する第6 手当・旅費・社宅に差を設ける基準1 給付の目的を分解する2 労働法上の支給義務と税務上の取扱いを分ける第7 会社都合と本人都合が混在する場合第8 規程と書式の条項例1 定義条項2 申請と決定3 労働条件の確認4 費用と手当第9 運用に必要な書類第10 制度改定の確認事項第11 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料
第1 本人希望の転勤を処理する判断順序

本人が勤務地の変更を希望した場合でも,申出だけで転勤が成立するわけではない。

労働契約,就業規則及び労働協約を確認した上で,会社が人員配置上の必要性,受入部署,職務内容及び労働条件を検討し,異動を決定する必要がある。

その際は,次の順序で整理すると,異動の可否と手当の有無を混同しにくい。

①現在の就業規則・赴任旅費規程・社宅規程が,本人希望の転勤を適用対象から外しているかを確認する。

②異動の主たる目的が会社の業務上の必要にあるのか,本人の生活上又はキャリア上の希望にあるのか,双方にあるのかを記録する。

③現行規程を適用する事案か,将来に向けて別制度を設けるべき事案かを分ける。

④異動の決定と,赴任旅費,社宅,支度金,単身赴任手当等の給付決定を別々に行う。

⑤労働条件の変更,税務,社会保険,給与控除及び差別的取扱いの問題を個別に確認する。

本記事は,本人の申出を契機として同一使用者内で勤務地を変更する場面を対象とする。

使用者が一方的に命じる転勤の有効性は,配転命令(転勤命令)の有効性―就業規則の根拠,職種・勤務地の限定合意と東亜ペイント事件の判断枠組み(AI作成)で扱っている。

第2 会社命令型と本人希望型を区別する
1 異動の名称ではなく実質で分類する

「転勤希望制度」「自己都合転勤」「社内公募」等の名称だけで法的性質は決まらない。

申出の端緒,会社側の配置上の必要性,候補者の選定,異動を断った場合の取扱い及び費用負担を総合して分類する。

類型主な特徴記録すべき事項会社命令型会社の業務上の必要に基づき,対象者と勤務地を会社が選ぶ必要性,人選理由,発令日,赴任日,負担軽減措置本人希望型本人が生活上又はキャリア上の理由で申し出て,会社が受入れの可否を判断する申出理由,受入条件,撤回期限,労働条件への同意社内公募型募集条件を示して応募を受け,選考後に会社が異動を決定する募集要項,選考基準,合否,異動条件混合型本人の希望と会社の業務上の必要が併存する各目的の比重,会社が求めた条件,費用ごとの負担理由

会社が本人の希望を受け入れた後に正式な異動命令を出したというだけで,全ての費用が当然に会社命令型になるわけではない。

反対に,会社が欠員補充や育成のために積極的に異動を求めながら,申請書に本人が署名したことだけを理由に本人希望型とすることも適切ではない。

2 本人に希望勤務地への異動請求権が当然に生じるわけではない

一般に,労働契約又は社内制度に特別の定めがなければ,労働者が希望した勤務地へ異動させることを会社に当然に請求できるわけではない。

会社は,欠員,受入部署の業務,必要な技能,賃金・等級,通勤可能性及び他の従業員との公平を検討して,申出を承認しないことができる。

ただし,配偶者の転勤,子の養育,家族の介護,治療その他の事情を申告した労働者については,適用される法令,休業・短時間勤務等の制度及び社内規程を確認し,申出を検討した経過を残すことが望ましい。

第3 現行規程に区別がなければ個別除外は慎重に行う
1 就業規則の文言・目的・運用を確認する

赴任旅費規程や社宅規程が「会社の命による転勤」だけを対象と明記している場合は,その要件への該当性を検討する。

これに対し,規程が単に「転勤した社員」「転居を伴う人事異動」等を対象とし,本人希望型を除く文言を置いていない場合は,本人の希望が契機であったことだけを理由に全ての手当を外すことは慎重に考える必要がある。

規程の対象は,条文だけでなく,制定目的,関係条項,従来の説明及び運用を踏まえて解釈される。

会社が想定していなかった類型であっても,現行文言がその類型を含むなら,今回だけ適用外とするのではなく,現行規程を適用した上で将来の制度を改めることを検討する。

2 就業規則より不利な個別合意には労働契約法12条がある

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弁護士・税理士事務所が採用AIを導入するときの実務-書類選考,AI面接,Web経歴確認及び人による再審査(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論第2 採用AIが行う処理を分ける1 採用管理システムとAIの役割を分ける2 書類選考の一次評価3 面接の文字起こし・要約・評価4 Web上の経歴確認第3 公正採用と応募者情報の法的な出発点1 AIを使っても公正採用の基準は変わらない2 職業安定法5条の53 個人情報保護法と外部AIサービス4 令和8年改正個人情報保護法は施行前として扱う第4 評価基準を四つに分ける1 必須条件2 重み付けできる評価項目3 収集又は推論を禁止する事項4 人へ戻す条件第5 書類選考で確認すること1 スコアより項目別の根拠を見る2 低得点者及び除外候補を抜き取り確認する3 上書き理由を学習材料にする前に点検する第6 AI面接,録音・録画及び文字起こし1 応募者への説明と記録の範囲2 内容評価と非言語情報の推論を分ける3 外部事業者が行うときの職業紹介該当性第7 Web経歴確認で守る線引き1 確認対象を職務上の事実へ限定する2 情報源と本人同定を記録する3 説明・訂正の機会を置く第8 導入検証と評価基準の更新1 最初はシャドー運用にする2 時間と品質を分けて測る3 拡大条件と再試験条件を決める第9 ベンダー契約で確認する事項第10 トヨタテクニカルディベロップメントの事例から学べること1 公表ページで確認できる事項2 導入事例の限界第11 弁護士・税理士事務所の導入チェックリスト1 導入前2 検証中3 本運用中第12 関連記事,一次資料及び判例の確認状況1 関連記事2 一次資料と事例資料を分ける3 判例秘書の確認状況第13 出典・参考資料
第1 この記事の対象と結論

本記事は,弁護士・税理士事務所が,応募書類の評価,面接の録音・文字起こし・要約,候補者のWeb上の経歴確認その他の採用業務にAIを導入するときの実務を整理するものである。
基準日は令和8年10月20日である。

結論として,採用AIの導入で最初に行うべきことは,応募者を一つの総合点へ変換することではない。
職務に必要な条件を,①満たさなければ次へ進めない必須条件,②比較のために重み付けできる評価項目,③収集又は推論を禁止する事項,④人へ戻して個別確認する条件に分ける必要がある。

その上で,採用管理システムを応募書類・面接記録・採否理由の記録層とし,AIをその都度評価を実行する補助層として分け,AIの出力だけで最終的な不採用を決めない運用にする。
導入前には人による従来判断とAIの結果を並べるシャドー運用を行い,低得点者又は自動除外候補からも一定数を抽出して,人が見れば通過させた候補者を落としていないかを確認する必要がある。

第2 採用AIが行う処理を分ける
1 採用管理システムとAIの役割を分ける

採用管理システムには,応募書類,連絡履歴,面接記録,評価理由,採否及び保存・削除の状態を記録する。
AIには,その保存情報のうち許可された項目だけを渡し,職務要件との照合,要約又は評価案の作成をさせる。

AIの会話履歴又は評価画面だけを採用記録の原本にすると,モデル,プロンプト又はサービスを変更したときに,どの資料を基に誰が採否を決めたかを再現しにくい。
AI出力を採用管理システムへ戻す場合も,原資料,人が確定した評価,AIの補助評価及び人による上書き理由を区別して保存する必要がある。

2 書類選考の一次評価

履歴書又は職務経歴書と募集職種の要件を照合し,確認すべき候補者又は項目を並べる処理は,採用担当者の確認順を付けるために利用できる。
もっとも,総合点が低いことだけで不採用とせず,点数の根拠となった原文,欠落した情報及び判断不能の項目へ戻れるようにする。

3 面接の文字起こし・要約・評価

面接の録音・録画,文字起こし,要約及び評価は,別々の処理である。
発言を文字へ変換する処理と,発言内容から採否又は人物特性を評価する処理を一括して「議事録作成」と呼ぶと,応募者への説明,保存期間,人による確認及び外部事業者の役割が曖昧になる。

4 Web上の経歴確認

氏名,勤務先,資格,執筆,講演,SNSその他の公開情報を検索する機能は,公開されている情報であれば自由に採用判断へ使えるという意味ではない。
職務上の必要性,情報源の正確性,同姓同名の識別,取得目的,保存範囲,候補者による説明・訂正の機会及び後記の禁止事項を先に決める必要がある。

第3 公正採用と応募者情報の法的な出発点
1 AIを使っても公正採用の基準は変わらない

厚生労働省は,採用選考の基本として,応募者に広く門戸を開き,本人の適性・能力に基づく採用基準を用いることを示している。
同省の公正採用選考に関するFAQは,AIを含むどのような選考方法であっても,この基本的な考え方に反しないよう注意する必要があるとしている。

AIが既存社員の経歴又は過去の採用結果を学習して高評価者との類似を測ると,過去の採用担当者の好み,職場の構成又は不適切な質問に由来する偏りまで再現することがある。
「過去の合格者に似ている」ことを職務遂行能力の根拠とせず,募集する職務に必要な行動及び成果へ評価項目を結び付ける必要がある。

2 職業安定法5条の5

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詐害的事業譲渡と残存債権者の請求―会社法23条の2の要件・期間と倒産手続(AI作成)

目次

第1 事業だけ移されても譲受会社へ請求できる場合がある第2 残存債権者と請求先を特定する第3 債権者への不利益と両会社の認識を調べる1 譲渡会社が残存債権者を害することを知っていたか2 譲受会社が効力発生時に何を知っていたか第4 請求できる額には限度がある第5 2年と10年の期間を別々に管理する第6 倒産手続開始後と他の請求を区別する第7 早期に集める資料と相談の準備第8 関連記事第9 出典と判断の範囲
第1 事業だけ移されても譲受会社へ請求できる場合がある

会社の事業・資産が別会社へ移り,自分の債権だけが旧会社に残された場合には,会社法23条の2による譲受会社への請求を検討する。
同条は,所定の要件を満たす残存債権者に,承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求する道を認めている。
事業譲渡や債務の除外があっただけで成立する請求ではなく,債権者への不利益と両会社の認識を調べる必要がある。

本記事は,令和8年10月20日に確認した会社法を中心に,会社間の事業譲渡における請求の確認順序を説明する。
商号を続用した責任,民法上の詐害行為取消し及び倒産手続での否認は,それぞれの制度として区別する。

第2 残存債権者と請求先を特定する

会社法23条の2の残存債権者とは,譲受会社に承継されない債務の債権者をいう。
まず,元の契約相手,債権の発生原因・金額・弁済期,事業譲渡契約による債務の扱いを確認する。
譲渡会社に請求する問題と,同条により譲受会社へ請求する問題を分けることが必要である。

契約書に債務不承継と書かれていることは,譲受会社に対する同条の請求を当然に排除する理由にはならない。
反対に,自分が譲渡契約の債務一覧に載っていないという事情だけで,詐害性や認識まで証明されたことにもならない。

会社名や店舗名が似ている場合も,登記履歴と契約資料により両法人を区別する。
同じ商号の会社への表示訂正と,別法人を相手方とする責任追及は異なる。

第3 債権者への不利益と両会社の認識を調べる
1 譲渡会社が残存債権者を害することを知っていたか

同条1項本文は,譲渡会社が残存債権者を害することを知って事業を譲渡した場合を対象とする。
譲渡対象資産だけでなく,対価が旧会社に実際に入ったか,その後どこへ支払われたか,旧会社にどの資産・負債・弁済原資が残ったかを調べる。

事業を低額で移した,対価を関係者へ流したという事情は調査の端緒となる。
もっとも,帳簿価額と売却額の差や役員の共通性だけで,直ちに全要件を満たすと決め付けてはならない。
価格の根拠,債務の選別,資金移動を客観資料で確認する必要がある。

2 譲受会社が効力発生時に何を知っていたか

同項ただし書は,譲受会社が事業譲渡の効力発生時に残存債権者を害することを知らなかったときは,この責任を負わないと定める。
譲渡会社の認識と譲受会社の認識を一つにまとめず,それぞれの担当者,入手資料,説明を受けた日を時系列で確認する。

契約後に届いた督促状だけから,契約交渉時や効力発生時に同じ情報を知っていたと断定しない。
財務調査の資料,債権者一覧,送金指図,取締役会等の資料,交渉メールが,いつ誰に共有されたかを対応させることが実務上有用である。

第4 請求できる額には限度がある

同条1項の請求は,譲受会社が承継した財産の価額を限度とする。
元の債権額と承継財産の価額は別に確認し,旧会社の負債全額を当然に譲受会社へ移せる制度として説明してはならない。

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事業譲渡で屋号・ブランドを続用すると旧債務を負うか―商号続用責任と判例(AI作成)

目次

第1 会社名を変えても旧債務の責任が問題になる第2 商号・屋号・商品商標を分ける第3 最高裁平成16年2月20日判決の内容1 ゴルフクラブ名を引き継いだ事案である2 名称が営業主体を表示する機能を重視した3 特段の事情の審理のため破棄差戻しとなった第4 どの表示と証拠を確認するか第5 免責通知・債務引受広告・名板貸しと区別する第6 譲受会社と債権者が行う確認第7 関連記事第8 出典と適用範囲
第1 会社名を変えても旧債務の責任が問題になる

事業譲渡の前後で会社の商号が変わっていても,同じ屋号やブランドを使っていれば,譲受会社の旧債務に対する責任が問題になることがある。
ただし,名称が同じという一事だけで責任が決まるわけではない。
その表示が商品を識別するだけなのか,事業を営む主体を示しているのかを,実際の使われ方から確認する必要がある。

本記事は,会社間の事業譲渡について,令和8年10月20日に確認した会社法と最高裁平成16年2月20日第二小法廷判決を基に整理する。
旧会社の債権者が譲受会社へ請求する問題を扱い,名称の使用を許した名義人への請求は区別する。

第2 商号・屋号・商品商標を分ける

会社法22条1項は,譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合に,譲渡会社の事業によって生じた債務について譲受会社にも弁済責任を負わせる。
譲渡契約で旧債務を除外したことと,この対外責任が生じるかは別の問題である。

商号ではない店舗名・施設名等については,同項が当然に直接適用されるとして処理せず,商号続用責任を類推できるかを検討する。
商品の品質や出所を示す商標を引き継いだだけなのか,取引先や顧客に営業主体を示す名称としても使われていたのかが,検討の出発点となる。

第3 最高裁平成16年2月20日判決の内容
1 ゴルフクラブ名を引き継いだ事案である

最高裁平成16年2月20日第二小法廷判決(平成14年(受)第399号,民集58巻2号367頁)は,ゴルフ場の営業を譲り受けた会社が,旧会社の商号は使わず,同じゴルフクラブ名で経営を続けた事案を扱った。
会員は,旧会社へ預託した1300万円について,譲受会社への返還を求めた。
原審では,譲受会社が預託金返還債務を契約上引き受けた事実は認定されていなかった。

2 名称が営業主体を表示する機能を重視した

最高裁は,当該クラブ名がゴルフ場の営業主体を示すものとして用いられていると評価した。
そのような名称を譲受人が続用するときは,特段の事情がない限り,旧商法26条1項の類推適用により預託金返還義務を負うとした。
会員が同じ主体による営業の継続,又は主体が変わっても旧債務が引き受けられたと信じることが無理からぬものとなる点を説明している。

3 特段の事情の審理のため破棄差戻しとなった

判決は,譲受後遅滞なく会員の施設優先利用を拒否したなどの特段の事情に言及した。
その有無を更に審理させるため原判決を破棄して差し戻しており,この判決だけで当該事件の最終的な支払義務が確定したと説明してはならない。

この法理は旧商法のゴルフ場事案について示されたものである。
現在の会社法22条の類推適用や,他の業種の商品ブランドへ検討を進める場合には,表示の機能と事案の違いを具体的に示す必要がある。
単に同じロゴ・商品名が残ったという理由で,すべての旧債務を引き受けたと結論付けることはできない。

第4 どの表示と証拠を確認するか

次の表は,判決の考え方を踏まえた調査上の整理である。
各資料が一つあるだけで責任が決まるものではなく,譲渡前後の使われ方と当該債権との関係を照合する。

(続きを読む...)事業譲渡で屋号・ブランドを続用すると旧債務を負うか―商号続用責任と判例(AI作成)

電子書籍のPDF化・AI要約ソフトと著作権―自炊代行判決の射程と利用者・提供者の責任(AI作成)

目次

第1 電子書籍のPDF化は,工程と行為者を分けて考える第2 誰が,どの複製をしているのか1 PDF作成とAI入力を一つの行為にしない2 道具の供給と複製工程の運営を区別する第3 関連判例が示す判断の境界1 自炊代行事件―注文と原本送付だけでは業者の主体性は失われない2 ロクラクⅡ事件―利用者の実行指示だけでは決まらない3 機器の所有や営利性だけでも決まらない第4 実装によって確認する事項が変わる第5 利用者自身の複製でも,適法根拠を確認する1 自分一人の業務利用と私的使用は別である2 AI処理という名称だけで30条の4を適用しない3 利用規約と保護措置を別に確認する第6 提供会社の責任は請求ごとに分ける1 直接の主体であるかと,他者の侵害を助けたか2 民事の損害賠償3 差止め4 刑事幇助5 保護手段を無効化する機能の提供第7 導入前の仕様確認と,相談時の資料第8 法律・税理士事務所での運用第9 関連記事第10 出典と確認範囲
第1 電子書籍のPDF化は,工程と行為者を分けて考える

電子書籍を画面から取り込み,PDFにして生成AIで要約する場合は,画面の取得,OCR,PDFの保存,AIへの入力及び回答の利用を分けて検討する必要がある。
利用者の端末で動くソフトであっても,実際の処理が端末内で完結するとは限らず,提供会社が営利企業であることだけで利用者の複製が違法になるわけでもない。

自炊代行訴訟が直接扱ったのは,業者が書籍を裁断・スキャンして電子ファイルを納品するサービスである。
その判断をソフトの提供へ及ぼすには,対象,処理方法,個別の複製への関与及び管理の実態を比較しなければならない。

本記事は,令和8年10月25日までに確認した日本の法令と裁判所公開の判決・決定原文を基に,一般的な判断手順を示す。
以下の実装別の評価は判例を踏まえた検討であり,特定製品について裁判所が適法又は違法と判断したことを意味しない。

第2 誰が,どの複製をしているのか
1 PDF作成とAI入力を一つの行為にしない

著作権法21条は複製権を定め,同法2条1項15号は有形的な再製を複製としている。
電子書籍の表現を画像やテキストとして保存する処理では,どの段階で何が再製されるかを確認する。
法律上の評価はファイル形式の名前だけでは決まらず,対象に保護される創作的表現があるか,保存・利用の具体的態様はどうかを調べる。

例えば,端末内で画面画像を保存する工程と,画像を外部サーバーへ送ってOCRする工程では,別の複製や別の行為者が問題になり得る。
完成したPDFを別会社のAIに入力する場合も,前段で作成したPDFの評価だけで,入力先の保存や後の出力まで処理したことにはならない。

2 道具の供給と複製工程の運営を区別する

利用者が対象を用意し,自分で管理する端末上で実行・保存し,会社はプログラムを供給するだけという構成なら,利用者が道具を用いて複製していると評価する有力な事情がある。
自動的なページ送りや連続保存も,それだけで開発会社を個々の複製の主体にするものではない。

他方,会社が個別の処理を引き受け,対象データを投入し,実行・再実行,検品又は納品を自己の事業として行うなら,その関与を具体的に検討する必要がある。
利用者が対象を選び,開始を指示することだけで,会社の主体性が否定されるわけではない。
主体は常に一人とは限らず,利用者と会社の関与をそれぞれ確認する。

第3 関連判例が示す判断の境界
1 自炊代行事件―注文と原本送付だけでは業者の主体性は失われない

知財高裁平成26年10月22日判決(平成25年(ネ)第10089号)は,独立した業者が自己の管理支配下で書籍を裁断・スキャンし,検品して納品する事実等から,業者を複製主体と認めた。
利用者が書籍を選び,注文して送付した事情によって,業者自身の複製行為が失われるとはしなかった。

同判決は,業者を複製主体と認定した後に,その業者について30条1項の私的使用の要件を検討している。
したがって,営利の会社がソフトを販売しているという事実だけから,利用者自身の複製に私的使用を認めないという順序にはならない。
また,原本を廃棄して複製物の総数が増えなくても,電子ファイルの作成が複製に当たることは変わらない。

2 ロクラクⅡ事件―利用者の実行指示だけでは決まらない

最高裁平成23年1月20日第一小法廷判決(平成21年(受)第788号)は,提供者が管理支配下で放送を受信して複製機器へ入力し,利用者の指示により自動録画する場合について,提供者が複製主体となるとした。

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事業譲渡で必要となる社内手続―株主総会・取締役会の承認,省略の条件及び株主通知(AI作成)

目次

第1 事業譲渡の社内手続は四つに分けて確認する第2 重要な財産の売却と事業譲渡を区別する第3 売手・買手それぞれの株主総会承認1 承認対象は売手と買手で異なる2 特別決議と承認の期限3 契約締結・株主総会承認・効力発生の日程を分ける4 承認後に重要条件が変わったときは再決議の要否を確認する第4 株主総会承認を省略できるか1 売手の重要な一部の譲渡と5分の1基準2 買手の簡易手続では純資産額を使う3 略式手続は特別支配会社の方向を確認する4 承認省略と全手続の省略は異なる第5 取締役会等の決定と利益相反1 業務執行の決定と代表権2 利益相反の承認と議決への参加3 取締役会決議の議案に書く事項と委任の範囲第6 会議を開かずに決議する場合1 株主総会の決議省略2 取締役会の決議省略第7 株主通知と株式買取請求を日程へ入れる1 効力発生日の20日前までの通知2 簡易手続に対する2週間以内の反対通知3 反対株主の株式買取請求第8 実行前にそろえる資料と確認の順序1 会社ごとに承認判定表を作る2 契約上の同意と対外関係を別に扱う3 過去の日付の議事録だけを作らない第9 関連する実務上の論点第10 出典
第1 事業譲渡の社内手続は四つに分けて確認する

事業譲渡では,契約書に代表者が署名する前後に,会社内部の意思決定と株主保護の手続を確認する必要がある。
売手と買手では株主総会承認の対象と省略の条件が異なるため,両社を別々に判定することが出発点となる。

確認するのは,①取締役会又は取締役による業務執行の決定,②株主総会による事業譲渡等の契約の承認,③株主への通知と株式買取請求への対応,④定款・社内規程・投資契約等に基づく同意である。
一つの承認を得たことを,他の手続まで終わった根拠にしない。

本記事は,令和8年10月20日時点で確認した会社法等に基づき,通常の株式会社による通常の事業売買を対象としている。
合同会社,特例有限会社,監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社における業務執行決定の特則,倒産手続上の許可・代替許可,業法上の認可及び税務手続の詳細は扱わない。

第2 重要な財産の売却と事業譲渡を区別する

会社法467条の承認を検討するときは,まず,取引が同条の事業譲渡等に当たるかを確認する。
重要な工場や不動産を売るという事情だけで,直ちに事業の全部又は重要な一部の譲渡になるわけではない。

最高裁大法廷昭和40年9月22日判決(昭和36年(オ)第1378号,民集19巻6号1600頁)は,旧商法上の営業譲渡について,有機的一体として機能する財産の移転と営業活動の承継等を伴うものと,単なる重要な営業用財産の売買とを区別した。
これは旧商法の解釈を示した判決であり,現行会社法の5分の1基準を判示したものではない。
判決本文:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-53752.pdf

譲渡対象の資産だけでなく,契約,従業員,顧客との関係及び譲渡後に誰がどの事業活動を続けるのかを整理することが実務上の検討材料となる。
会社法467条の承認対象に当たらなくても,重要な財産の処分として取締役会決議が必要になる場合はある。

第3 売手・買手それぞれの株主総会承認
1 承認対象は売手と買手で異なる

会社法467条1項1号~3号の基本的な対象は,次のとおりである。
同条の対象に当たるかを判定した上で,第4で述べる除外・省略の条件を確認する。

当事者株主総会承認を検討する取引注意点売手事業の全部の譲渡重要な一部の譲渡に関する5分の1以下の除外を流用しない。売手事業の重要な一部の譲渡譲渡資産の帳簿価額が法定の総資産額の5分の1以下の場合等は,2号の対象から除かれる。買手他の会社の事業の全部の譲受け一部の事業の譲受けを,金額が大きいという理由だけで3号の対象にしない。

買手が一部の事業を取得する場合にも,取締役会等による業務執行の決定や,定款・契約上の承認は別に確認する。
売手に株主総会承認が必要だから買手にも同じ承認が必要である,とは限らない。

2 特別決議と承認の期限

会社法467条1項の承認は,原則として同法309条2項11号の特別決議による。
基本となる要件は,議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席と,出席株主の議決権の3分の2以上の賛成である。
定款により定足数を3分の1以上の割合に変更したり,賛成割合を加重したりすることができ,株主の人数に関する要件等が加わる場合もあるため,定款を確認する。

会社法467条1項が求める承認期限は,事業譲渡等の効力発生日の前日までである。
必ず契約締結前に承認しなければならないと一律に決め付けず,契約締結と承認,効力発生の順序を設計し,必要な承認の取得を実行条件等に反映する。
取締役会等による契約締結の決定や,利益相反取引の承認の時期は,これとは別に確認する。

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法律・税理士事務所の情報セキュリティ自社診断と「サイバーセキュリティお助け隊」の選び方―IPAの6か条・25項目,監視,駆付け及び保険(AI作成)

目次

第1 本記事の結論第2 公的な自己点検の使い方1 情報セキュリティ6か条2 25項目の自社診断3 民間の簡易診断及び監査との違い第3 サイバーセキュリティお助け隊サービスの制度1 登録制度の対象2 監視方式3 駆付け,初動支援及び保険第4 法律事務所及び税理士事務所で優先する事項1 共通する情報資産2 法律事務所3 税理士事務所第5 比較と契約のチェック項目第6 導入から運用までの手順1 導入前2 契約時3 導入後第7 法令・職業規範との関係第8 提供文書と一次資料の区別第9 出典・参考資料1 一次資料・公的資料2 二次資料
第1 本記事の結論

法律事務所及び税理士事務所が情報セキュリティ対策を見直す場合,最初から特定の製品を選ぶのではなく,守る業務と情報を洗い出し,IPAの公的な自己点検で不足を把握し,不足を補うサービスの範囲を決めるという順序が分かりやすい。
IPAの「情報セキュリティ6か条」及び「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」は,その出発点として利用できる。

「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は,相談窓口,異常監視,事案発生時の初動対応及び簡易サイバー保険等をワンパッケージにした民間サービスについて,IPAの基準への適合性を審査して登録する制度である。
もっとも,登録は,個々の事務所の全端末・クラウド・認証基盤を網羅すること,個人情報保護法,弁護士又は税理士の守秘義務その他の法令・会規への適合性,事故時の損害が全額補償されることまで保証するものではない。

したがって,導入時には,①何を監視するか,②誰がアラートを判定するか,③駆付けを含む初動支援の条件,④ログ及び証拠の保全,⑤簡易サイバー保険の補償範囲,⑥バックアップと復元試験,⑦再委託先・データ保存場所・契約終了時のデータ取扱いを,見積書だけでなく契約書及びサービス仕様書で確認する必要がある。

第2 公的な自己点検の使い方
1 情報セキュリティ6か条

IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版」は,企業規模にかかわらず実行すべき基本対策として,①ソフトウェアを最新に保つ,②ウイルス対策ソフトを導入する,③パスワードを強化する,④共有設定を見直す,⑤バックアップを取得する,⑥脅威や攻撃の手口を知るという「情報セキュリティ6か条」を示している。
これは法令の条文ではなく,中小企業等が具体的な対策を始めるための公的な実務資料である。

第5のバックアップについて,同ガイドラインは,対象,取得方法及び取得間隔を決めるだけでなく,保管場所,世代,保管期間並びに復旧計画及び復元確認まで検討するよう示している。
法律・税理士事務所では,事件記録又は申告資料がコピーされているというだけでなく,通常のクラウド認証や事務所ネットワークが使えない状況でも,期日管理表,依頼者又は顧客の連絡先,預り金又は納税関係資料及び直近の作業データを必要な時間内に取り出せるかを試す必要がある。

バックアップ,完全性及び可用性を個人情報保護法との関係で点検する方法は,「個人情報保護法の安全管理措置は機密性に偏っているか――情報セキュリティ3要素のバランスと報告義務の構造(AI作成)」を参照されたい。

2 25項目の自社診断

同ガイドラインの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」は,基本方針,電子メール,パスワード,機器・ソフトウェア,データ保管,従業者教育,取引先その他の項目を25問で点検する仕組みである。
回答は,「実施している」を4点,「一部実施している」を2点,「実施していない」を0点,「わからない」をマイナス1点として集計する。

点数は,事務所の安全性を第三者が保証する認証ではない。
とりわけ「わからない」は,単なる低得点ではなく,契約,設定,管理者又は委託先の役割を事務所が把握できていないことを示すため,優先的に調べる対象となる。

3 民間の簡易診断及び監査との違い
種類位置付け結果の使い方IPAの自社診断公的ガイドラインに基づく自己点検未実施・一部実施・不明の項目を改善計画へ移す民間事業者の簡易診断質問回答に基づく課題整理又はサービス提案質問,評価基準及び提案との利害関係を確認する外部監査・技術診断契約した範囲で第三者が証跡又はシステムを検証対象範囲,基準,検証方法,除外事項及び再試験を確認する

民間サイトの診断結果は,対策のきっかけにはなるが,個人情報保護法上の安全管理措置が十分であること又は弁護士・税理士の職業上の義務を満たすことを証明するものではない。
診断を受ける際には,依頼者又は顧客の氏名,事件・申告内容,システムの詳細構成,認証情報その他の機密情報を,必要性と送信先を確認しないまま入力しないことも重要である。

第3 サイバーセキュリティお助け隊サービスの制度
1 登録制度の対象

IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス基準2.1版」は,1類のサービスについて,相談窓口,異常の監視,事案発生時の初動対応,簡易サイバー保険その他の要求をワンパッケージで提供することを求めている。
利用者から要請があった場合の駆付け支援,契約書及び分かりやすい説明資料における保険の補償内容・支払限度額・免責金額等の明示,提供地域及び価格の上限等も基準に含まれる。

2類は,1類の要件を基礎に,より広い機能又は支援を追加する類型である。
1類か2類かという名称だけで選ばず,事務所が必要とする端末,ネットワーク,クラウド及び拠点が実際の契約範囲に含まれるかを確認する必要がある。

2 監視方式

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破産管財人が衣料品・在庫商品を一括売却するとき―関係者売却,査定・入札,季節下落及び裁判所の許可(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と結論1 簿価ではなく正味回収額で換価方法を比べる2 査定数や声掛け期間に全国一律の正解はない第2 破産管財人の権限,許可及び善管注意義務1 管理処分権と善管注意義務2 商品一括売却には裁判所の許可が必要となる3 裁判所の許可は判断過程の代わりにならない第3 価格を付ける前に確認する権利関係1 破産財団に属する商品かを仕分ける2 ブランド,画像,顧客情報を商品と混同しない第4 査定と短期の市場確認1 査定条件をそろえる2 正味回収額と時間価値を表にする3 小売販売を実施しない理由も数値化する第5 破産者関係者へ売却するときの透明性1 関係と資金を開示させる2 第三者の価格を使った後出しを避ける3 価格以外の条件を裁判所へ示す第6 衣料品・アパレル在庫に特有の確認事項1 季節,サイズ構成及び保管状態を残す2 季節経過と明渡期限を基準日に結び付ける第7 売買契約,入金及び搬出1 現状有姿の意味を具体化する2 代金と搬出の不履行に備える第8 税理士・会計担当者と共有する事項第9 裁判例から読み取れることと限界1 京都地裁平成13年11月26日判決2 東京地裁平成15年(ワ)第5711号判決第10 裁判所へ提出する説明資料のチェックリスト1 財産と価格の資料2 買主と履行の資料3 手続記録第11 出典・関連資料1 法令・裁判例2 国税庁資料3 関連記事
第1 この記事の対象と結論
1 簿価ではなく正味回収額で換価方法を比べる

婦人服その他の在庫商品は,帳簿上の価額が大きくても,型落ち,季節外れ,サイズ・色の偏り,保管状態及び搬出費用によって一括換価額が大きく下がることがある。
破産管財人が比較すべきなのは簿価と買取額だけではなく,各売却方法の見込売上額から賃料,警備・人件費,決済手数料,返品・苦情対応,搬出・廃棄費用及び値下がり見込額を控除した正味回収額である。
短期間の市場確認で関係者の提示額が独立業者の最高額を上回り,代金回収と早期明渡しの確実性も高いときは,関係者への売却を検討対象から外す必要はない。
ただし,利害関係,価格形成及び代替案を記録し,裁判所の許可を得るだけでなく,後から債権者に説明できる手続を採る必要がある。

2 査定数や声掛け期間に全国一律の正解はない

破産法は,在庫一括売却について査定を何社から取るか,入札期間を何日とするかを定めていない。
したがって,「三社査定なら常に足りる」又は「同業者全社への声掛けが必要」と形式的に決めるのではなく,商品の金額・均質性・季節性,市場参加者の数,賃料等の日額,情報管理,搬出期限及び追加探索で得られる上積みの見込みを踏まえて決める。
重要なのは,採った手続そのものに加え,なぜその範囲と期限で打ち切ったかを記録することである。

第2 破産管財人の権限,許可及び善管注意義務
1 管理処分権と善管注意義務

破産法78条1項により,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は破産管財人に専属する。
同法85条1項は,破産管財人に善良な管理者の注意をもって職務を行う義務を課している。
在庫換価では,価格だけでなく,代金回収の確実性,換価までの時間,保管費用,価値下落,権利関係及び搬出完了の確実性を含む判断過程が問題となる。

2 商品一括売却には裁判所の許可が必要となる

破産法78条2項4号は,「商品の一括売却」を裁判所の許可を要する行為として掲げている。
同条3項及び破産規則25条の100万円以下の例外は,同条2項7号から14号までの行為に限られるため,同条2項4号の商品一括売却には及ばない。
在庫をロットでまとめて処分する場合は,売却額が100万円以下であっても,同条2項4号に当たるかを確認して許可手続を進める必要がある。
これに対し,個々の商品を通常の営業として販売する場面や,同条2項7号の動産の任意売却に当たる場面とは,事実関係と条項を分けて検討する。

また,破産法78条6項は,同条2項各号の行為をしようとするときは,遅滞を生ずるおそれのある場合又は同条3項各号の場合を除き,破産者の意見を聴くことを求めている。
商品一括売却の許可と,破産者の意見聴取及びその例外は,それぞれ確認する必要がある。

3 裁判所の許可は判断過程の代わりにならない

最高裁平成18年12月21日第一小法廷判決は,破産管財人が裁判所の許可を得ていたことなどを善管注意義務違反による損害賠償責任を否定する事情として考慮したが,質権者に対する担保価値維持義務の違反自体は認めた。
同判決は在庫売却の価格を判断したものではないが,裁判所の許可が第三者の実体法上の権利や管財人の検討義務を一律に消すものではないことを示す。

第3 価格を付ける前に確認する権利関係
1 破産財団に属する商品かを仕分ける

倉庫や店舗にある物がすべて破産者所有の商品とは限らない。
委託販売品,返品予定品,預かり品,リース品,サンプル品,所有権留保付き商品及び第三者の担保権が付いた商品を,仕入帳,納品書,契約書,棚卸表,商品タグ及び取引先照会で区分する。

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株主総会の書面決議のひな形―会社法319条の提案書・同意書・議事録と登記(AI作成)

目次

第1 ひな形を使う前に確認すること1 会社法319条の決議省略と320条の報告省略を分ける2 法定の固定様式はない3 株主名簿・定款・登記事項を照合する4 取締役会設置会社では事前の取締役会決議を検討する第2 書面決議の進め方1 提案内容を確定する2 同意を要する株主を確定する3 確定した同じ提案を全対象株主に示す4 書面又は電磁的記録で全員の同意を得る5 全員の同意がそろった時を決議日として管理する6 議事録を作成し,関係書類を備え置く第3 提案書と同意書のひな形1 取締役が提案する場合の提案書2 株主から会社へ提出する同意書3 会社法320条を併用する場合の同意欄4 一人株主等で提案書兼同意書を使う場合5 株主が提案する場合6 電子メールで同意する場合第4 株主総会議事録のひな形1 記載する事項2 会社法319条の議事録の記載例3 会社法320条を併用した議事録の追記例4 登記に用いるときの注意第5 登記がある場合のチェックリスト第6 よくある質問1 株主総会の書面決議の例文は2 書面決議の様式は3 書面議決と書面決議の違いは4 取締役会で書面決議をする方法は5 株主総会議事録への押印は必要か第7 取締役会の書面決議のひな形第8 出典及び参考文献1 法令2 法務省・法務局の資料3 参考文献

株主総会の書式は第3の提案書・同意書と第4の議事録を参照されたい。
取締役会の書式は提案書兼同意書,監査役確認書,議事録から選ぶことができる。
日付と添付資料の確認は第7の4で説明する。

第1 ひな形を使う前に確認すること
1 会社法319条の決議省略と320条の報告省略を分ける

会社法319条1項は,取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合に,その事項について議決権を行使できる株主全員が書面又は電磁的記録により同意したとき,提案を可決する株主総会決議があったものとみなす制度である。
実際の株主総会を開催せずに決議が成立するため,一般に「書面決議」又は「みなし決議」と呼ばれる。
この制度の要件と効果,連絡の取れない株主がいる場合及び検討中の改正案は,株主総会の書面決議(みなし決議)とは―会社法319条の要件・手順・議事録・登記(AI作成)で説明する。

会社法320条は,取締役が株主全員に報告事項を通知し,株主全員が書面又は電磁的記録により報告を不要とすることに同意した場合に,株主総会への報告があったものとみなす制度である。
決議事項を扱う319条と報告事項を扱う320条は,要件,議事録の記載事項及び同意記録の法定備置きの有無が異なるため,提案書,同意書及び議事録では区分して記載する。
定時株主総会を実際に開催しない場合は,役員選任や剰余金処分等の決議事項について319条を,事業報告や計算書類等の報告事項について320条を,それぞれ満たす必要がある。

2 法定の固定様式はない

会社法319条1項が書面又は電磁的記録を要求しているのは株主の同意であり,提案自体の方式,提案書や同意書の名称,押印方法及び一体型か別紙型かについて全国一律の固定様式は定められていない。
もっとも,誰が,どの議案を,どの内容で提案し,どの株主が,いつ,その提案に同意したかを後から確認できなければならないため,提案も書面又は電磁的記録で固定しておくのが安全である。
署名又は記名押印は同意者と意思を確認する証拠として有用であるが,法律上当然に必要とされるものではない。
会社の定款,株主数,株主管理の方法及び登記の有無に応じて書式を調整する。

3 株主名簿・定款・登記事項を照合する

書面決議を始める前に,基準となる株主名簿,各株主の議決権数,議案について議決権を行使できない株主の有無及び種類株式の内容を確認する。
役員選任,定款変更,募集株式の発行その他の議案では,会社の機関設計,定款及び個別の法定要件も確認する。
登記事項を含む場合は,決議後に必要となる株主リスト,就任承諾書その他の添付書面を,管轄法務局又は司法書士に事前確認するのが安全である。

4 取締役会設置会社では事前の取締役会決議を検討する

取締役会設置会社で取締役が会社法319条1項の提案をする場合に,事前の取締役会決議を要するかについては,これを要するとする見解と省略できるとする見解がある。
手続上の争いを避ける実務対応としては,提案書を株主へ送る前に,取締役会で,決議を省略すること,決議事項の内容,320条を併用するときは報告事項の内容及び決議・報告があったものとみなす予定日を決めておくのが安全である。
ただし,これはすべての会社について会社法319条が明文で要求する手続であるという意味ではない。

第2 書面決議の進め方
1 提案内容を確定する

議案名だけでなく,決議内容が一義的に分かる文章を作る。
役員選任であれば氏名,就任日及び任期の起算に関係する事実を,定款変更であれば新旧条文と効力発生日を確認する。
複数の議案について議案ごとに同意の有無を確認する場合は,各議案を独立した提案として特定し,一部同意の範囲が曖昧にならないようにする。

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政治団体の資金承継と相続税―代表者交代・寄附・遺贈と個人への移転を分ける(AI作成)

目次

第1 誰の財産が,どの行為で動いたかを先に確認する第2 代表者の交代と,個人による財産取得は別である1 団体の継続と財産帰属2 確認する取引の類型第3 人格のない政治団体への寄附・遺贈の税務1 人格のない社団等にも課税の出発点がある2 贈与税の非課税には条件がある第4 受領団体の非課税と遺贈者の所得税を分ける1 不動産等の遺贈ではみなし譲渡を確認する2 政党への遺贈を扱った東京地裁判決3 包括遺贈では納税義務の承継も問題となる第5 団体から個人への移転と解散時の残余財産第6 政治献金の控除と政治資金規正法の確認1 寄附が許されることと,所得税の控除対象になることは別である2 寄附者・受領者・時期ごとに規正法を検討する第7 相談時にそろえる資料第8 主な出典と確認範囲
第1 誰の財産が,どの行為で動いたかを先に確認する

政治家の死亡や引退に伴って政治団体の代表者が親族へ交代したとしても,そのことだけで,政治団体の資金を親族個人が相続したことにはならない。
一方,個人の財産を政治団体へ寄附・遺贈する場合や,政治団体から個人へ財産を移す場合には,別の課税関係と政治資金規正法上の問題を検討する必要がある。
「政治資金の承継」を一つの取引として扱わず,財産の帰属,移転の相手方,行為の時期及び法的原因を確定することが出発点となる。

本記事は,令和8年10月20日に確認した法令,国税庁の通達・説明,国会答弁及び裁判所公開判決に基づき,日本の政治団体の資金承継を整理する。
特定の政治家や親族の適法・違法,又は実際の納税額を,報道された承継額だけから認定するものではない。

第2 代表者の交代と,個人による財産取得は別である
1 団体の継続と財産帰属

団体の預金口座や不動産が問題となるときは,規約,意思決定の仕組み,会計,資金の出所及び実際の管理を確認する。
口座名や登記名に代表者の氏名が含まれる場合でも,その表示だけで個人の固有財産と決めることはできない。
団体に帰属する財産であることと,代表者がその管理に影響を与えられることも,同じ意味ではない。

令和7年2月12日の衆議院財務金融委員会の政府答弁(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009521720250212002.htm)は,政治団体の代表者の地位を承継する場合の課税について,一般の人格のない社団等との関係を含めて説明している。
これは政府の説明であり,個別の団体の財産帰属を認定した判決ではない。
実際の相談では,団体が同一性を保って存続しているのか,別団体へ財産を移したのか,個人が取得したのかを資料で区別する。

2 確認する取引の類型

同一団体の代表者交代では,団体の財産がそのまま存続しているかを確認する。
別の団体への寄附では,寄附者・受領者の法的属性,寄附の適法性及び収支報告を確認する。
個人からの寄附・遺贈では,受領団体側の税金だけでなく,拠出者側の所得税も確認する。
団体から個人への支払や残余財産の交付では,個人が取得した利益の性質と,政治資金規正法上の可否を確認する。

相続人であること,又は代表者になったことだけを根拠に,これらの取引を互いに置き換えて説明すべきではない。

第3 人格のない政治団体への寄附・遺贈の税務
1 人格のない社団等にも課税の出発点がある

相続税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073)66条1項は,代表者又は管理者の定めのある人格のない社団・財団への贈与又は遺贈について,その団体を個人とみなして贈与税又は相続税を課すると定める。
したがって,法人格のない団体だから,相続税・贈与税の検討が不要になるわけではない。
法人格を有する政党,法人格のない政治団体及び代表者個人を区別し,適用する規定を選ぶ必要がある。

2 贈与税の非課税には条件がある

相続税法基本通達21の3-9(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/10.htm)は,所定の法人格のない政党・政治団体が政治資金を取得した場合の取扱いを説明する。
個人からの贈与については,その団体が相続税法21条の3第1項3号の公益を目的とする事業を行う者に該当し,かつ,取得した財産を政治資金に供することが確実であるときに,課税価格に算入しないとしている。
同通達は「公益を目的とする事業を行う者に該当し、かつ、その取得した財産を政治資金に供することが確実であるとき」という条件を付けている。

(続きを読む...)政治団体の資金承継と相続税―代表者交代・寄附・遺贈と個人への移転を分ける(AI作成)

公益信託への寄附・遺贈と税金―相続税・贈与税の非課税とみなし譲渡の承認手続(AI作成)

目次

第1 公益信託に財産を拠出するときの出発点第2 家族のための信託と公益信託を区別する1 公益事務だけを目的とする受益者の定めのない信託2 財産を公益目的のために継続管理する仕組み第3 相続税・贈与税と拠出者の所得税は別に判断する1 受託者が信託財産として取得する場合の非課税2 不動産・株式等を拠出する個人側のみなし譲渡第4 みなし譲渡所得税の非課税承認1 公益信託の認可とは別の承認である2 一般特例と承認特例3 申請者・提出先・期限第5 承認後の管理と取消しも予定する第6 現物拠出と,換価後の金銭拠出を比較する第7 弁護士と税理士が共有したい資料第8 関連記事と出典
第1 公益信託に財産を拠出するときの出発点

公益目的のために財産を託す場合でも,公益信託の認可,受託者が取得する財産の相続税・贈与税,財産を拠出する個人の所得税は,それぞれ確認する必要がある。
特に,不動産や株式を現物で拠出するときは,代金を受け取らなくても,拠出者側のみなし譲渡所得税が問題となる。
公益信託の認可を受けたことだけで,この所得税の非課税承認まで得たことにはならない。

本記事は,令和8年10月20日に確認した現行法令と国税庁・内閣府の資料に基づき,日本の新公益信託への寄附・遺贈を検討する個人と,その支援をする弁護士・税理士の確認事項を説明する。
国外財産,非居住者又は外国法人が関係する場合は,国内の一般的な説明から結論を出さず,課税範囲と特例の対象を個別に確認する。

第2 家族のための信託と公益信託を区別する
1 公益事務だけを目的とする受益者の定めのない信託

公益信託に関する法律(https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000030)2条1項は,公益信託を,受益者の定めがなく,公益事務を行うことのみを目的とする信託と定義する。
同条の公益事務は,不特定かつ多数の者の利益の増進を目的とする事務である。
特定の子や配偶者へ生活費を給付するための民事信託とは,目的と法律上の構造が異なる。

同法4条は,信託契約又は遺言による設定を認め,信託管理人となるべき者と,委託者を除く帰属権利者となるべき者の指定等を必要とする。
同法6条は「公益信託は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」と定める。
遺言に公益目的と受託者を書くだけで,全ての手続が完了するわけではない。

2 財産を公益目的のために継続管理する仕組み

認可の基準には,受託者の経理的基礎と技術的能力,信託管理人の監督能力,関係者への特別の利益の禁止,不当に高額とならない報酬の支払基準及び残余財産の帰属先等が含まれる(同法8条)。
財産の拠出後も,家族が所有者と同様に自由に取り戻し,使用し,又は分配先を決められる仕組みと考えるべきではない。
家族への給付を目的とする場合は,通常の遺言や民事信託と比較し,目的に合う方法を選ぶ必要がある。

第3 相続税・贈与税と拠出者の所得税は別に判断する
1 受託者が信託財産として取得する場合の非課税

相続税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073)12条1項4号は,公益信託の受託者が遺贈により取得した財産のうち,その信託財産として取得したものを相続税の非課税財産とする。
同法21条の3第1項4号も,公益信託の受託者が贈与により取得した財産について「その信託財産として取得したものに限る。」と定め,贈与税の非課税財産としている。
受託者個人が私生活のために財産を受け取る場合まで,この規定で非課税となるわけではない。

2 不動産・株式等を拠出する個人側のみなし譲渡

所得税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)59条1項は,所定の資産移転について,移転時の価額により譲渡があったものとみなす。
現行の同項1号は,法人への贈与・遺贈だけでなく,公益信託の受託者である個人への贈与・遺贈のうち,その信託財産とするためのものも対象に含めている。
受託者が個人であるという理由だけで,みなし譲渡の検討が不要になるわけではない。

例えば,取得後に値上がりした土地を無償で拠出する場合,拠出者には売却代金が入らない一方,含み益を清算する所得税が生じ得る。
対象となる資産,居住者区分,取得費,移転時の時価及び適用できる特例を確認し,納税資金も試算する必要がある。

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自作プログラムの著作権は誰のものか―著作物性・職務著作と会社への譲渡前の確認(AI作成)

目次

第1 自分で書いたことと自分が権利者であること第2 アルゴリズムと創作的な表現を分ける第3 知財高裁平成18年12月26日判決の読み方第4 プログラムの職務著作と制作時点の契約第5 会社へ譲渡する前の三つの分岐第6 弁護士と税理士が共有する権利確認票第7 関連記事と確認範囲
第1 自分で書いたことと自分が権利者であること

プログラムを自分で書いたとしても,そのすべてが著作物になるとは限らず,著作物であっても個人が著作権を持つとは限らない。
会社への譲渡,役員と会社との取引又は退職後の再利用を検討する際は,①保護される表現があるか,②法律上の著作者は誰か,③その後に権利が移転したかを,この順に調べることが有用である。

本記事は,令和8年10月20日までに確認した著作権法と知財高裁平成18年12月26日判決を基に,弁護士・税理士が権利の棚卸しを行う際の判断事項を整理するものである。
税額の計算は,権利の存在と帰属を確認した後の問題として扱う。

第2 アルゴリズムと創作的な表現を分ける

著作権法10条1項9号はプログラムの著作物を例示するが,同条3項は,保護がプログラム言語,規約及び解法に及ばないと定める。
同じ計算式や機能を使うことと,具体的なコードの創作的な表現を利用することは別である。
新しい機能であること,制作に時間や費用をかけたこと,又はコードが長いことだけで著作物性が決まるわけではない。

具体的には,処理の選択・組合せ,記述方法及び構成にどの程度の選択の幅があり,どこに作成者の個性が表れているかを示す。
一方,数式や仕様の制約から表現がほぼ決まる部分や,ありふれた記述方法しかない部分については,その制約も資料で確認する。
短いプログラムをすべて保護の対象外としたり,公知の数式を使うプログラムをすべて保護の対象外としたりする一律の基準にはしない。

法令の確認先は,e-Gov法令検索「著作権法」である。
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048?occasion_date=20260624

第3 知財高裁平成18年12月26日判決の読み方

知財高裁平成18年12月26日判決(平成18年(ネ)第10003号)は,複数のプログラムの著作物性と権利帰属等が争われた事件である。
判決43頁は,プログラムの表現と解法等を分け,表現の選択の幅と作成者の個性を検討する基準を示す。
政府の「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック」Ver.3.0のQ25脚注4も,この判決をプログラムの著作物性に関する説明で参照している。

判決44~47頁は,本件プログラム15,5,12及び13について著作物性を認める一方,47~50頁は,本件プログラム11について,数式からの表現の選択の幅等を検討して著作物性を否定している。
公知の数式を用いるというだけで4つのプログラムの保護を否定したものではなく,プログラムごとに結論を分けた判断である。
本件プログラム11については,従前同じプログラムが存在しなかったという事情だけでは創作性を基礎付けないとされた。

さらに判決58~60頁,80頁及び83~84頁等では職務著作と権利帰属が問題となり,個人の権利を前提とする請求は認められなかった。
したがって,請求棄却という結論から,すべてのプログラムの著作物性が否定されたと読み替えない。
データベースの判例要旨と本文の各プログラムの判断が一致するかを確認する必要がある。

判決原文は全91頁であり,上記の論点について参照する頁を特定して読むことができる。
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-33985.pdf#page=43

政府Q&Aの参照箇所は本文117~118頁・脚注4(PDF実頁137~138頁)である。
この判決は,ソフトウェア解析の一般的な許可,AI学習の適法性又は所得区分を判断したものではない。
https://security-portal.cyber.go.jp/guidance/pdf/law_handbook/law_handbook_3.pdf#page=137

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ソフトウェアの解析・リバースエンジニアリングは適法か―著作権法30条の4・利用契約と実務の確認事項(AI作成)

目次

第1 解析という名称だけでは適法性は決まらない第2 調べたい機能と保護される表現を分ける第3 著作権法30条の4と解析のための実行第4 知財高裁平成22年4月27日判決の射程第5 利用規約・解析委託・外部AIへの送信第6 解析後の使用・配布と証拠の残し方第7 関連記事と確認範囲
第1 解析という名称だけでは適法性は決まらない

障害の原因調査,互換性の確認又はセキュリティ調査のためにソフトウェアを解析するときは,解析の目的,途中で行う複製・改変,解析後の利用,利用契約及び第三者への送信を分けて検討する必要がある。
「リバースエンジニアリングであるから自由に行える」という一律の扱いも,解析のためにプログラムを実行したことだけから直ちに違法とする扱いも適切ではない。

本記事は,令和8年10月20日までに確認した著作権法,政府のサイバーセキュリティ関係法令Q&A及び国内裁判例を基に,解析を依頼する企業と受託する専門家の確認事項を整理するものである。
個別製品の解析許諾又は解析ツールの性能を認定するものではない。

第2 調べたい機能と保護される表現を分ける

著作権法10条3項は,プログラムの著作物に対する保護が,その作成に用いるプログラム言語,規約及び解法に及ばないと定める。
計算方法や機能を理解することと,その機能を実現する創作的なプログラム表現を複製・翻案することは,分けて調べる必要がある。
機能が同じという事情だけで表現の侵害を認めることも,解法を調べる目的があることだけで途中の複製をすべて自由とすることもできない。

解析計画では,対象の実行ファイル・ソースコード・設定情報の版,調査する不具合又は仕様,実行環境,複製先,変更箇所及び成果物を特定する。
たとえば「障害原因を報告書にまとめる作業」と「改変したプログラムを顧客の通常業務で使わせる作業」では,検討すべき利用の範囲が異なる。

法令の確認先は,e-Gov法令検索「著作権法」である。
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048?occasion_date=20260624

第3 著作権法30条の4と解析のための実行

30条の4は,著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し,又は他人に享受させる目的がない場合に,必要と認められる限度で著作物を利用できるとする。
ただし,著作物の種類・用途と利用態様に照らして著作権者の利益を不当に害する場合は除かれる。
同条2号の情報解析は,多数の著作物その他の大量の情報を対象とする定義であり,単一のプログラムの調査を,名称だけでこの号に当てはめない。

同条3号の括弧書きはプログラムの電子計算機における実行を除くが,それだけで,調査・解析のために実行する場合にも同条全体が常に使えないという結論にはならない。
政府Q&AのQ25は,プログラムが本来の効用を発揮する形で機能を利用する場合と,調査・解析を目的に実行する場合とを分けて説明している。
実務では,実行の目的,通常業務への利用の有無,調査に必要な範囲及び権利者の利益への影響を具体化する。

解析の途中でコードや実行ファイルを複製・改変する場合は,どの行為をどの目的のために必要とするかも記録する。
著作権の制限が認められることと,著作者人格権,利用契約又は秘密保持の問題が解消することは同じではなく,50条も確認する。

政府資料は,内閣官房国家サイバー統括室「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック」Ver.3.0(令和8年10月)Q25・本文117~122頁(PDF実頁137~142頁)である。
https://security-portal.cyber.go.jp/guidance/pdf/law_handbook/law_handbook_3.pdf#page=137

第4 知財高裁平成22年4月27日判決の射程

知財高裁平成22年4月27日判決(平成21年(ネ)第10070号)は,外国為替取引の自動売買プログラムをめぐる損害賠償請求の控訴審である。
原審は大阪地裁平成21年10月15日判決(平成19年(ワ)第16747号)であり,控訴したのは請求を棄却された原告である。
政府Q&A本文121頁には被告らが控訴した旨の記載があるが,控訴審判決の当事者表示・主文に照らして,この点は区別する必要がある。

原審23~24頁は,具体的な開発経緯,解析の目的,権利者との関係等を踏まえて,損害賠償請求が権利濫用に当たると判断した。

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住宅ローンの金利上昇で返済が苦しくなったとき―5年・125%ルール,条件変更と個人再生(AI作成)

目次

第1 返済額が変わる前から確認する第2 5年ルールと125%ルールの適用を確かめる1 金利と返済額の変更日を分ける2 元金の減り方と最終返済日の残額を見る第3 住宅費と他の債務を合わせて家計を試算する1 引落額だけで返済余力を判断しない2 収入減少や大きな支出も重ねる第4 借入先との条件変更協議で確認すること1 支払期限に先立って具体的な資料を示す2 変更後の総費用と返済終了まで比べる第5 個人再生や売却も含めて生活再建を考える1 住宅ローンと他の債務を分けて検討する2 住宅を維持する負担が続けられない場合第6 相談時に持参する資料第7 公式資料と確認箇所
第1 返済額が変わる前から確認する

住宅ローンの返済が苦しくなったときは,契約上の金利と返済額の見直し時期を確認し,今後の家計を計算したうえで,借入先と弁護士に早めに相談することが重要である。
金利が上がっても毎月の引落額が変わらない商品では,負担の変化を見落とすことがある。
一方,返済額を据え置く仕組みがなく,金利変更に伴って返済額が変わる商品もある。

本記事は,令和8年10月20日に確認した銀行の公式説明,金融庁及び裁判所の公表資料を基に,個人の住宅ローン返済を点検する手順を整理したものである。
商品の例を自分の契約にそのまま当てはめず,契約書,特約,変更合意書及び最新の返済予定表で確認する必要がある。
家計表や相談資料のまとめ方は実務上の整理例であり,将来の金利を予測するものではない。

第2 5年ルールと125%ルールの適用を確かめる
1 金利と返済額の変更日を分ける

三菱UFJ銀行の公式FAQは,同行の変動金利・元利均等返済について,返済額を5年ごとに見直す仕組みと,見直し時の増額を従前の返済額の125%までとする仕組みを説明している。
金利が変わっても返済額の見直しまで引落額が同じ場合,その内訳である利息と元金への充当額が変わる。
例えば月10万円の返済額に125%の上限が適用される見直しでは,上限額は12万5000円となるが,金利そのものや生涯の総返済額の上限を意味するものではない。

同FAQでは,元金均等返済に両ルールはないと説明されている。
また,SBI新生銀行の変動金利の商品案内は,同行では両ルールを採用せず,適用利率の変更の都度返済額を変更すると説明している。
変動金利という名称だけで,5年間は返済額が変わらないと判断してはいけない。

2 元金の減り方と最終返済日の残額を見る

返済額が据え置かれている間も,金利上昇によって利息の割合が増え,元金返済が進みにくくなることがある。
三菱UFJ銀行の前記FAQは,利息が返済額を上回った部分の繰延べと,最終返済日に残る未返済残高を原則としてその日に一括返済する取扱いも説明している。
すべての契約で未払利息が生じるわけではないため,自分の残高・適用金利・残期間に基づく返済表で確認する。

借入先には,現在の元金残高,未払利息の有無,次回の返済額見直し日及び最終返済日の残額について説明を求めるとよい。
借入日や契約条件によって時期が異なるので,全国の借り手が特定の年から一斉に増額されるという見方は適切でない。

第3 住宅費と他の債務を合わせて家計を試算する
1 引落額だけで返済余力を判断しない

毎月の手取り収入から,生活費,住宅ローン,住宅の維持費,他の債務の返済を差し引き,実際に残る額を確かめる。
管理費・修繕積立金,固定資産税等の支払,修理費,教育費及び医療費も,毎月払いと年払・臨時支出に分けて把握する。
年払費用の月割りによる積立額と実際の支払額を,同じ計算で重ねて控除しないようにする。

次は家計の変化を考えるための仮定であり,金利から返済額を算出した例ではない。

項目現在返済額見直し後毎月の手取り収入38万円38万円住宅費・借金返済を除く生活費22万円22万円住宅ローン返済10万円12万円住宅維持費等の月割り負担3万円3万円他の債務の返済5万円5万円差引きマイナス2万円マイナス4万円

この例では,返済額が増える前から不足している。

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代物弁済の消費税と否認リスク―消滅債務額・担保価値・貸倒損失を分ける(AI作成)

目次

第1 代物弁済では三つの金額を分ける第2 先に確定するのは消滅する債務の範囲1 資産の評価額だけで残債務を決めない2 所有権留保車の返還を一律に代物弁済としない第3 消費税では消滅債務額が対価となる1 現金の受領がなくても資産の譲渡を検討する2 資産の時価と税込・税抜を分ける第4 否認では共同担保の減少を確かめる第5 貸倒損失は残った債権について別に判断する第6 弁護士と税理士が共有する資料第7 関連記事と根拠1 関連記事2 根拠と適用範囲
第1 代物弁済では三つの金額を分ける

会社が設備などの事業用資産を債権者へ渡して借金を返す場合,資産の時価,その資産によって消える債務の額,他の債権者のために残っていた担保余剰は,同じ金額とは限らない。
消費税,破産法上の否認,貸倒損失では,それぞれ判断する対象が異なる。

本記事は,令和8年10月19日に確認した現行法令と国税庁の公表取扱いに基づき,国内で法人が自己の事業用資産を代物弁済に供する場合を整理する。
納税義務の有無,資産の課税区分,取引日及び契約内容を確かめた上で適用する。

第2 先に確定するのは消滅する債務の範囲
1 資産の評価額だけで残債務を決めない

残債務が900万円,資産の評価額が750万円というだけでは,取引後に150万円の債務が残るとは限らない。
資産の給付によって900万円全額を消滅させる合意なのか,750万円分だけを消滅させる合意なのか,残額について別途の免除があるのかを確認する。

民法482条は,債権者との契約により,本来の給付に代わる別の給付をしたとき,その給付が弁済と同一の効力を有すると定める。
契約書には,対象債務,元本・利息等の内訳,代替給付,債務が消滅する範囲と時点を具体的に記載することが望ましい。

2 所有権留保車の返還を一律に代物弁済としない

所有権留保付きの車を売主等へ返す場合は,既存の留保所有権の実行,元の売買の解除,買主からの別個の資産譲渡のいずれに当たるかを,契約と精算内容から確認する。
車両の引渡しという外形だけで,通常の事業用資産の代物弁済と同じ消費税処理を選ぶことはできない。

売買契約,信販・保証契約,登録名義,期限の利益の喪失条件,返還合意及び精算書を照合する。
所有権留保に関する否認の結論を,元の売買の課税関係や返還時の税額へそのまま移さない。

第3 消費税では消滅債務額が対価となる
1 現金の受領がなくても資産の譲渡を検討する

国税庁No.6145は,代物弁済による資産の譲渡を,対価を得て行う資産の譲渡の例として挙げる。
現金を受け取らないことだけを理由に,消費税の対象外とすることはできない。

消費税法28条1項は,金銭以外の物・権利その他の経済的利益も対価に含める。
同庁No.6301は,代物弁済の場合の対価を,代物弁済により消滅する債務の額と説明している。

2 資産の時価と税込・税抜を分ける

前記の例でも,通常の代物弁済によって900万円全額が消滅する契約であれば,資産の評価額750万円だけを根拠として対価を750万円にすることは適切でない。
一部弁済や別途の債務免除を含む場合は,名称による形式的な分割で結論を出さず,各合意の関係と取引の実態を確認する。

消費税の課税標準となる対価には,消費税・地方消費税の相当額を含めない。
消滅債務額を把握した後も,税込・税抜の合意,資産の課税・非課税の区分,適用税率を確認する必要がある。
受領側の取得価額や仕入税額控除は,受領側の適用制度と保存書類を含む別の検討となる。

第4 否認では共同担保の減少を確かめる

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取引先が民事再生を申し立てたときの売掛金と取引継続―早期弁済・供給拒絶・貸倒処理(AI作成)

目次

第1 最初に旧売掛金と今後の取引を分ける第2 通知と伝票から債権を分類する1 申立日と開始決定日を別々に記録する2 継続的給付契約の申立て後の供給を確認する第3 旧売掛金の不払を理由とする供給停止に注意する第4 旧売掛金の早期弁済には別の許可が必要となる1 取引先企業自身の窮境を理由とする場合2 少額債権又は再生債務者の事業継続を理由とする場合第5 申立てと法人税の貸倒損失を直結させない1 計画による切捨てと全額回収不能を分ける2 取引を継続するときは「1年」の起算を点検する第6 消費税の貸倒れ控除と後日の回収を追跡する第7 弁護士と税理士へ同じ時系列・残高表を渡す第8 関連記事と根拠資料1 関連記事2 根拠資料と確認範囲
第1 最初に旧売掛金と今後の取引を分ける

取引先から民事再生を申し立てたという通知を受けたときは,既に納品した商品の売掛金と,これから納品する商品の代金を分けて確認する。
旧売掛金の回収見込み,新たな与信,契約上の供給義務及び税務上の貸倒処理は,それぞれ判断の条件と時点が異なる。
「取引を止めれば全額回収できる」「申立てがあったから全額を損金にする」と急いで決めないことが重要である。

本記事は,日本の法人が,日本の民事再生を申し立てた取引先へ商品等を供給している場面を対象とする。
令和8年10月19日に確認した民事再生法と国税庁の公表資料に基づき,弁護士・税理士と共有する確認事項を整理する。
裁判所からの通知にある債権届出期間などの期限は,出荷継続の交渉や決算処理とは別に管理する。

第2 通知と伝票から債権を分類する
1 申立日と開始決定日を別々に記録する

再生手続開始前の原因に基づく財産上の請求権は,民事再生法84条1項の再生債権に該当するかを検討する。
請求書の発行日や入金予定日だけで,旧債権か新しい債権かを決めない。
注文,契約の成立,納品,検収,代金の発生原因,申立て及び開始決定の日を時系列に並べる。

同じ取引先の未払金でも,担保の有無,共益債権又は一般優先債権への該当性により扱いが異なる。
経理の得意先別残高をそのまま一つの再生債権とせず,契約・納品ごとの一覧に分けると,法的な分類と回収後の消込みを対応させやすい。

2 継続的給付契約の申立て後の供給を確認する

継続的給付を目的とする双務契約については,民事再生法50条2項が,申立て後,再生手続開始前にした給付に係る請求権を共益債権としている。
一定期間ごとに請求額を算定する継続的給付では,申立日を含む算定期間内の給付に係る請求権も同項の対象となる。
この特則を,すべての申立て後の単発売買や,将来受ける注文へ一律に広げない。

共益債権は,同法121条により再生手続によらず随時弁済され,再生債権に先立って弁済される。
もっとも,法的な優先性と,資金不足の相手から予定日に確実に入金されることは別である。
債権の区分に加え,支払条件,入金原資及び実際の入金を確認する。

第3 旧売掛金の不払を理由とする供給停止に注意する

民事再生法50条1項は,継続的給付を目的とする双務契約の相手方について,申立て前の給付に係る再生債権が弁済されていないことを理由に,再生手続開始後の履行を拒むことを制限している。
「旧売掛金を全額払わなければ供給しない」という対応を取る前に,契約の性質と不払の対象期間を弁護士へ伝える。

一方,この規定だけで,供給業者が将来の新規注文をすべて受けたり,契約にない追加与信をしたりする義務が生じるわけではない。
既存契約の履行義務,契約の終了,新しい注文の受諾及び新しい代金の支払条件を区別する。
前払いや現金取引への切替えも,既存の契約上の義務を確認した上で交渉する。

第4 旧売掛金の早期弁済には別の許可が必要となる
1 取引先企業自身の窮境を理由とする場合

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分娩予約をキャンセルしたら予約金は戻るか―転院・流産・無痛分娩の変更と精算(AI作成)

目次

第1 分娩予約金の返金は何で決まるか1 全額返金とも全額没収とも限らない2 最初に分ける三つの問題第2 予約金の名前より合意した内容を確認する1 分娩費用の前払金と予約確保の対価2 予約の成立,規約及び手付の呼称第3 変更・キャンセルの理由ごとの確認事項1 患者の希望,里帰り先の変更又は転居2 医師が高次医療機関への転院を勧めた場合3 患者が医療上の不安から転院を希望した場合4 流産・死産等で予定していた分娩が行われない場合5 施設側の受入不能や無痛分娩の変更第4 返金不可条項にも法律上の制限がある1 平均的な損害を超える部分は無効となる2 署名や事前説明だけで効力は決まらない第5 施設の公開規定にも違いがある第6 返金交渉では何を確認するか1 申込時の資料と変更理由を残す2 返金しない根拠の概要を求める3 既履行費用と解約料の二重控除を避ける第7 関連記事第8 出典
第1 分娩予約金の返金は何で決まるか
1 全額返金とも全額没収とも限らない

分娩予約を取り消した場合の予約金は,支払った目的,予約時の合意,変更の理由と時期,既に受けた診療等の内容によって精算が変わる。
「予約金だから戻らない」「医療上の転院だから必ず全額戻る」と,一つの事情だけで決めることはできない。

本記事は,令和8年10月19日現在の民法・消費者契約法,消費者庁の解説,分娩予約を扱う国会答弁及び医療機関の公開案内に基づき,返金を検討する順序を整理するものである。
個別の返金額を判断するときは,その施設で申し込んだ当時の規約と実際の経過を確認する必要がある。

2 最初に分ける三つの問題

①どのような内容の予約が成立したか,②予約を変更・終了できるか,③終了したときにいくら精算するかは,分けて考える必要がある。
転院を希望して予約を終わらせることができても,有効な解約負担や既に受けた診療の費用が残ることはある。

出産費用への公的な給付と,施設との契約に基づく予約金の精算も別の問題である。
給付制度については,出産無償化はいつから?2026年改正法と対象費用・出産育児一時金の変更を参照されたい。

第2 予約金の名前より合意した内容を確認する
1 分娩費用の前払金と予約確保の対価

予約金が分娩時の会計に充当される金銭なら,分娩を行わなくなった場合の精算を検討することになる。
ただし,前払金であることだけで全額返金が決まるわけではなく,別に有効な解約料が生じるか,既に提供された役務の対価が残るかを確認する。

施設側から,分娩枠や人員等を確保する独立した役務の対価だという説明がされる場合も考えられる。
その場合も,何を有償で提供する合意だったか,実際に何が提供されたかを確認する必要があり,「予約料」「事務手数料」という名称だけでは結論は出ない。

分娩が行われれば代金の一部となり,取り消したときだけ返さない仕組みであれば,解約料としての実質を持つ可能性がある。
この場合には,消費者契約法9条による制限を検討することになる。

2 予約の成立,規約及び手付の呼称
(1) 書面と予約の承諾

民法522条によれば,契約は申込みと承諾によって成立し,原則として書面の作成を要しない。
したがって,署名した申込書がないという理由だけで契約の成立を否定することはできないが,問い合わせや仮受付だけで施設の予約承諾があったとも断定できない。

(2) 予約時の規約

現在のウェブサイトに掲載されている返金規定と,予約時に説明・合意された規定が同じかも確認する。
定型約款に当たる場合は民法548条の2の規律も問題となり,後から掲載された規定を当然に過去の申込みへ適用することはできない。

(3) 手付という呼称

「手付金」という呼称だけで,患者は放棄すれば足りる,施設側は倍額を返せば足りると考えることも適切ではない。
民法557条は売買の手付についての規定であり,分娩予約では当該契約の合意と法的性質を先に検討する必要がある。

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日本版DBSとフランチャイズ学習塾―本部・加盟教室の認定,犯罪事実確認と役割分担(AI作成)

目次

第1 フランチャイズ学習塾の結論と基準日1 本部の認定だけで加盟教室を一括して扱うことはできない2 令和8年12月25日の施行に向けた準備を扱う第2 認定主体と教授者3人以上の要件1 同一事業の複数教室と別経営主体のFCを分ける2 3人は全社員数ではなく教授者の人数である第3 共同認定を検討するのはどのような場合か1 同一事業の運営全体を任せているかを確かめる2 共同認定でも措置の役割と情報の流れを定める第4 本部と加盟事業者の役割分担1 法定措置の主体と共通支援を対応させる2 本部の是正対応と講師の雇用上の措置を分ける第5 確認記録を本部へ集める設計の限界1 通常の管理委託や本人同意だけでは提供できない2 内部共有・共同認定・クラウド保存を区別する3 被害申告・相談記録の連絡まで一律に禁止しない第6 共通広告と保護者への説明1 認定済みと未認定の教室を混同させない2 認定取得と全講師の確認完了も区別する第7 契約・規程で整理しておきたい事項1 実施主体・報告範囲・是正手順を具体化する2 共通基準を各教室の行動と相談経路へ落とし込む第8 よくある質問1 本部の認定があれば,教授者2人の加盟者も対象になるか2 本部が規程・研修を支援することも禁止されるか3 本部のクラウドに保存すれば管理負担をまとめられるか第9 出典と適用範囲1 法令とこども家庭庁の公式資料2 個別の事業では契約と運営の実態を確認する
第1 フランチャイズ学習塾の結論と基準日
1 本部の認定だけで加盟教室を一括して扱うことはできない

日本版DBSに対応するフランチャイズ学習塾では,最初に,誰の事業として各教室を運営しているかを確認する必要がある。
経営主体が異なる通常のフランチャイズでは,同じブランドを使っていても,それぞれの事業者が認定を申請する。
本部の認定だけで加盟事業者の事業まで認定されたり,教授者の不足人数を本部と合算した共同認定で補ったりできるわけではない(Q&A応用編4-11)。

認定申請は任意であるが,認定を受けた事業者は,犯罪事実確認や安全確保,記録管理等の法定措置を実施する。
本部は規程・研修・運用等の共通支援を整え,加盟事業者は自己の事業の体制に合わせて実施する,という分担を基本に検討する。
本部の支援義務の有無や範囲は,法定措置とは別に,フランチャイズ契約等の内容によって判断する。

2 令和8年12月25日の施行に向けた準備を扱う

本記事は,令和8年10月19日に確認した法令,こども家庭庁の施行ガイドライン及びQ&A等に基づく。
法律の主な施行日は同年12月25日であり,認定申請も同日から可能と案内されている。
ここでは,加盟事業者が自己の経営で学習塾を運営する通常のFCを中心に,同一事業の複数教室や運営全体の委託との違いを説明する。

制度全体は,こども性暴力防止法とは―日本版DBSの対象・義務・令和8年12月25日の施行準備で説明している。

第2 認定主体と教授者3人以上の要件
1 同一事業の複数教室と別経営主体のFCを分ける

同じ学習塾事業を一つの事業者が複数の教室で行う場合は,一つの事業として認定を申請する。
この場合の教授者の人数は事業全体で判断し,各教室に3人ずつ常駐する必要はない。
その一方で,同一事業の一部の教室だけを任意に選んで認定する仕組みではない(Q&A基礎編4-5,応用編3-4・3-5)。

通常のFCで,加盟事業者がそれぞれ独立した事業を営む場合は,各経営主体が別々に認定を申請する。
本部が共通の教材・商標・研修・システムを用意していることだけで,加盟事業者の事業が本部の事業と一つになるものではない(Q&A応用編4-11)。

構造認定・人数の考え方確認する点同一事業者による同一学習塾事業の複数教室事業全体で申請し,教授者の人数を判断する同じ法人の全ての別事業を無条件に合算するものではない別経営主体の通常FC各経営主体が申請する同一ブランドや本部との合算では不足人数を補えない同一事業の運営全体の指定管理・委託事業運営者の実体と共同認定等の条件を確認する契約の名称だけで共同認定と決めない
2 3人は全社員数ではなく教授者の人数である

民間教育事業の人数要件は,児童等に技芸又は知識を教授する者が3人以上であることである(法2条5項3号ニ,施行令1条)。
講師・指導員という職名でなくても実際に教授する者は数えられるが,教授をしない事務職員を含む全社員数とは異なる。
本部の登録講師名簿に名前があるだけでなく,対象となる事業で実際に教授に従事しているかを確認する(Q&A応用編3-3~3-5)。

教授者3人未満の通常FCは,この民間教育事業の人数要件を満たさず,本部との共同認定で不足を補うこともできない(Q&A応用編4-11)。
学習塾という名称だけで対象になるわけではなく,対面指導等の他の要件も必要である。
対象事業の全体像は,こども性暴力防止法の対象となる職種と事業で説明している。

第3 共同認定を検討するのはどのような場合か

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介護事故後に家族が集める資料と施設への開示・保存依頼(AI作成)

目次

第1 事故後は資料の保存と開示を分けて進める第2 家族が先に残しておく資料1 写真,連絡内容及び生活状況2 事故前からの変化が分かる資料第3 施設等に確認する資料と確認したい事実1 施設の資料2 事故の種類に応じて追加する資料3 医療機関,消防及び自治体等が持つ資料第4 誰が開示を求めるかを確認する1 本人が存命で,家族へ委任できる場合2 本人による委任が難しい場合3 本人が死亡している場合第5 保存依頼で具体的に伝える事項1 対象と消失のおそれを特定する2 元の記録と変更経過を残してもらう3 保存期間の年数だけで待たない第6 施設への開示・保存依頼の文例1 依頼前の確認2 依頼文例3 送付と回答を記録する第7 資料が出ないときと,急いで弁護士へ相談する場面1 不存在,非開示及び未回答を分ける2 保存の回答を待てない場合第8 集めた資料は時系列と根拠を対応させる第9 出典
第1 事故後は資料の保存と開示を分けて進める

介護施設で転倒,誤嚥,誤薬その他の事故が起きたときは,まず本人の安全確保と必要な受診を優先する。
その上で家族が行う資料収集では,①手元の記録を残すこと,②施設等に記録の保存を依頼すること,③請求する人の立場を確認して閲覧・写しの交付を求めることを,並行して進めるとよい。

保存の依頼は,記録を消さずに残してほしいという申入れである。
開示の依頼は,記録の内容を閲覧し,又は写し等の提供を受けたいという申入れであり,両者は目的が異なる。
開示手続に時間がかかる場合もあるため,映像等の保存については,回答を待たずに対応の可否を確かめる必要がある。

家族であることだけから,施設が持つ全資料を当然に受け取れるわけではない。
本人からの委任,法定代理権,死亡後の遺族としての取扱いを分け,誰が何を求めるのかを明らかにすることが重要である。
本記事は,令和8年10月19日時点の日本の制度を前提に,家族が一般的に確認できる事項を整理するものである。

第2 家族が先に残しておく資料
1 写真,連絡内容及び生活状況

家族が適法に取得した本人のけがの写真,事故前後の生活状況の記録,施設から届いたメールや連絡帳,受診時の説明,領収書等を保存する。
写真は撮影日時が分かる元のファイルも残し,説明を書き込んだ画像とは分けて管理するとよい。
撮影や共有に当たっては,本人の意思とプライバシー,他の利用者や職員の権利にも配慮する。

施設から電話を受けたときは,電話の日時,相手の所属・氏名,説明された内容及び家族が質問した事項を記録する。
実際に見たこと,相手から聞いたこと,家族が推測したことを分け,後に分かった情報を事故当日の記憶へ混ぜないようにする。

2 事故前からの変化が分かる資料

事故前の歩行,食事,排泄,意思疎通,服薬及び介助の状況と,事故後に変わった点を整理する。
過去の転倒やむせ,医師等の指示,施設へ伝えていた注意事項が分かる連絡帳やメールも候補となる。

これらは,事故前にどの危険を把握できたか,事故後にどのような支障が生じたかを検討するための資料である。
本人の状態が悪化したことだけで事故との因果関係が証明されるわけではないため,医療記録等との照合が必要である。

第3 施設等に確認する資料と確認したい事実
1 施設の資料

施設へは,書類名だけでなく,確認したい場面と期間も伝えるとよい。
下表は資料の候補であり,全施設で作成されていることや,家族への交付が必ず認められることを意味しない。

資料の候補主に確認する事項利用契約書,重要事項説明書,施設サービス計画・通所介護計画引き受けたサービス,予定した介助方法,事故時の連絡・対応アセスメント,モニタリング,医師等の指示,申し送り事故前の状態,危険の把握,状態変化への対応及び情報共有介護記録,看護記録,食事・服薬等の実施記録当日及び前後の観察,実際の介助・処置とその時刻事故報告書,追加報告,再発防止に関する記録事故状況,発見後の対応,説明の根拠,原因分析とその変更当時の配置・担当が分かる資料,現場の図や写真職員と利用者の位置,担当範囲,設備・環境カメラ映像,見守り機器,ナースコール等の履歴事故前後の動き,通知・応答・訪室の経過。記録の有無も確認

事故報告書の原因欄だけでなく,その根拠となった当日の記録を確認することが重要である。
初報と追加・最終報告は作成時点や目的が異なるため,どの版を受け取ったか,提出日と併せて確認する。

2 事故の種類に応じて追加する資料

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国際売買の品質トラブルとウィーン売買条約―準拠法,見本,検査・通知と損害賠償(AI作成)

目次

第1 品質問題が起きたら最初に確認すること第2 準拠法とCISG,紛争解決条項を分ける1 日本法を選択しても条約の排除とは限らない2 日本で訴えられるかは別の問題である第3 合意した品質と見本を証拠で示す1 通常の用途,特定の用途,見本を区別する2 比較可能な状態で資料を残す第4 検査と不適合通知の期限を別々に管理する1 2年以内ならよいという意味ではない2 例外の射程と他の期間制限を確認する第5 救済方法と損害額を対応させる1 損害賠償と解除を同じ条件で扱わない2 損害の拡大を防いだ経緯も残す第6 輸入消費税と和解金は別に判断する1 外国企業との売買というだけでは税区分は決まらない2 賠償,値引き,費用補填を合意書で分ける第7 関連記事第8 根拠資料
第1 品質問題が起きたら最初に確認すること

海外から届いた商品が見本と違う場合,直ちに日本民法の契約不適合責任だけで処理してはならない。
契約に適用される法,ウィーン売買条約(CISG)の適用,裁判又は仲裁の場所を分け,検査・通知の期限と証拠保全を先に確認する。

本記事は事業者間の国際的な物品売買を主な対象とする。
消費者向け売買,役務が主となる契約,所有権の移転効果,身体損害などは,条約の適用範囲を別に確認する必要がある(CISG2条~5条)。
確認日は令和8年10月18日である。

第2 準拠法とCISG,紛争解決条項を分ける
1 日本法を選択しても条約の排除とは限らない

CISG1条1項は,異なる締約国に営業所を有する当事者間の売買のほか,国際私法の規則によって締約国法が適用される場合を定める。
後者では,相手方の営業所が非締約国にあっても条約の適用が問題となる。
実際には,契約に関係する営業所,契約時期,適用除外及び関係国の宣言・留保を確認する。

日本の裁判所で契約準拠法を判断する場合には,通則法7条の当事者の選択,選択がない場合には8条の最密接関係地法を検討する。
外国の裁判所でも同じ抵触規則が使われるとは限らない。

CISG6条は当事者による条約の適用排除等を認める。
「日本法を準拠法とする」という条項だけから当然にCISGを排除したとは扱わず,排除の合意があるかを契約全体から確かめる。
条約を排除するかどうかは,検査・通知,救済及び相手方との交渉条件を比較して決める。

2 日本で訴えられるかは別の問題である

準拠法の合意と,裁判管轄の合意は役割が異なる。
日本の裁判所の管轄については,民事訴訟法3条の2以下及び3条の7の管轄合意等を確認する。
仲裁条項がある場合には,その対象,仲裁地,機関及び手続も先に確かめる。

日本に相手方の財産がある場合も,金銭請求について差押え可能な被告財産があるか,その価額が著しく低くないかを3条の3第3号に即して検討する。
同法3条の9の特別の事情による却下と,判決後の回収可能性も別に確認し,国内資産の存在だけで解決したと考えない。

第3 合意した品質と見本を証拠で示す
1 通常の用途,特定の用途,見本を区別する

CISG35条1項は契約に定める数量・品質・種類等に適合した物品の引渡しを求める。
同条2項は,別段の合意がない場合について,通常の目的への適合,売主に知らされた特定の目的への適合,売主が示した見本又はひな形と同じ品質等を分けて定める。

特定の目的への適合には,売主の技能・判断への依存に関するただし書がある。
「業界では使える」と「買主の製造工程で使える」,「売主が示した見本と一致する」は別の確認事項である。
見本だけを提出して結論を出さず,合意の内容と,どの基準に照らして不適合とするのかを対応させる。

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仕入先・販売先を買収する前に―垂直型企業結合の競争審査と株式取得費用の税務(AI作成)

目次

第1 仕入先・販売先の買収で最初に確認すること第2 供給を止める場合と購入を止める場合1 投入物閉鎖―競争者の仕入れを難しくする場合2 顧客閉鎖―競争者の販売先を失わせる場合第3 競争者の秘密情報を買収計画に含めて点検する第4 株式の購入代金と付随費用を一括して経費にしない第5 弁護士と税理士が共有する資料第6 関連記事と資料の基準日
第1 仕入先・販売先の買収で最初に確認すること

仕入先や販売先の株式を取得すると,調達や販売の安定につながる一方,競争者が必要な商品を買えなくなる,販売先を失う,取引情報が競争相手へ流れるといった問題が生じることがある。
本稿は,内国法人が既存株式を購入する計画を想定し,垂直型企業結合の競争審査と購入費用の法人税処理を確認する手順を整理する。
令和8年10月18日に確認した公取委の運用指針と税務資料を基準とする。

株式保有は公取委の企業結合審査の対象となり得る。
届出の要否と,市場の競争を実質的に制限するかという実体判断は,別々に確認する。
売上高等の届出要件を満たすかだけで,買収後の取引条件まで適法と判断することはできない。

出典:公取委・企業結合審査の運用指針の「はじめに」,第1及び第5。

届出が必要かどうかは,独占禁止法と同法施行令が定める金額と議決権の割合で判定する。
株式取得では,取得する会社の企業結合集団の国内売上高合計額が200億円を超え,株式発行会社とその子会社の国内売上高の合計額が50億円を超える場合に,取得後の議決権の割合が20%又は50%を超えることとなるときは,あらかじめ届け出る必要がある(独占禁止法10条2項,同法施行令16条)。
事業の譲受けでは,譲受会社の国内売上高合計額が200億円を超え,事業の全部の譲受けでは譲渡会社の,重要部分等の譲受けでは対象部分の国内売上高が30億円を超える場合に届出が必要となる(同法16条2項,同法施行令21条)。
届出をした会社は,原則として,届出受理の日から30日を経過するまで株式の取得や事業の譲受けをすることができない(同法10条8項・16条3項)。

出典:独占禁止法10条2項・8項,16条2項・3項,同法施行令16条・21条。

第2 供給を止める場合と購入を止める場合
1 投入物閉鎖―競争者の仕入れを難しくする場合

買収後,グループ内の会社を優先して川下の競争者への供給を拒んだり,条件を悪化させたりする場合は,投入物閉鎖が問題になる。
確認するのは,閉鎖を行う能力と,実際にそうする誘因である。

代替仕入先の名前を挙げるだけでは足りない。
必要な仕様を満たすか,必要数量を供給できるか,切替えが容易かを確認する。
実務では,供給開始日,認証・試験の期間,契約上の制約を付けた一覧にすると,単なる生産能力と利用可能な供給を区別できる。
この一覧化は運用指針を踏まえた本稿の実務上の提案である。

供給を減らすと川上会社の利益が減っても,川下会社の販売増加等によってグループ全体の利益が増えることがある。
上流の減収だけで誘因を否定せず,利益率,供給余力,競争者の商品との代替性を確認する。

2 顧客閉鎖―競争者の販売先を失わせる場合

川下会社がグループ外の川上事業者からの購入を拒み,その事業者が販売先を十分に振り替えられなくなる場合は,顧客閉鎖が問題になる。
川下会社の市場での地位に加え,特定顧客向けの設備等があり,ほかへ販売しにくい事情も確認する。

こちらも能力と誘因を分ける。
グループ内への購入切替えで川上会社の稼働率が改善する利益と,仕入れの選択肢や品ぞろえを失う不利益を比較する。
特定の競争者が売上げを失うという事実から,市場全体の競争への影響まで直ちに結論付けず,振替先や参入等による競争圧力も検討する。

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AIを悪用した無差別サイバー攻撃とは―仕組みと企業の対策(AI作成)

目次

第1 無差別な探索と個別の攻撃を分けて考える1 自社が有名でなくても点検が必要な理由2 AIを使った攻撃とAI自体への攻撃第2 AIは無差別サイバー攻撃にどう関係するのか1 調査や解析の効率化が攻撃対象を広げる2 一般的なスキャンと対象別の解析3 AIワームと従来型ワームの違い第3 公開アプリから裏側のサーバを狙うA2B攻撃1 アプリの解析から接続先を調べる2 個別事件でAIが使われたかは別に確認する第4 企業が点検する対策1 公開範囲とAPIの権限を確かめる2 AI向け製品の導入だけで対策を終えない3 脆弱性対応を担当・期限・再確認までつなぐ第5 被害が疑われたときの調査と法務対応1 AI利用の特定を待たずに対応する2 対外説明の断定を調査の範囲に合わせる第6 よくある質問1 AIとサイバー攻撃の関係は?2 AIを使うとサイバー攻撃はなぜ広がるのか?3 AIに入力してはいけない情報は?4 AIを使わないほうがいい場合はあるか?5 AIによる攻撃と量子コンピューターによる暗号解読は同じか?第7 出典
第1 無差別な探索と個別の攻撃を分けて考える
1 自社が有名でなくても点検が必要な理由

AIを悪用したサイバー攻撃では,情報の収集や解析が効率化され,多数のシステムを調べた上で,見付かった弱点に合わせた攻撃が行われる危険がある。
「無差別に探されること」と「自社の仕様に合わせて攻撃されること」は,両立する。
会社の知名度だけを理由に,攻撃対象にならないと考えることはできない。

本記事では「無差別」を,特定の一社に限らず広く対象や弱点を探すという意味で用いる。
全ての会社が同じ手法で攻撃されたことや,AIが一連の操作を全自動で実行したことを意味しない。
以下は令和8年10月18日までに確認した公表資料に基づく説明である。

2 AIを使った攻撃とAI自体への攻撃

国家サイバー統括室のサイトに掲載されたIPA担当者のコラムは,AIの悪用により従来の攻撃の速度や量が増す問題と,AI自体が攻撃対象になる問題を分けている。
前者には詐欺メールの作成や攻撃の効率化があり,後者には外部の文章を通じてAIに不適切な指示を与える間接プロンプトインジェクションなどがある。
本記事の中心は前者であり,社内で生成AIを使っていない企業にも関係する。

第2 AIは無差別サイバー攻撃にどう関係するのか
1 調査や解析の効率化が攻撃対象を広げる

AIは,攻撃者が情報を読み解き,プログラムや通信の仕組みを調べる作業を助ける場合がある。
NICTは,AIの活用によってアプリの解析や脆弱性の発見が効率化され,攻撃がより多くのシステムに広がる可能性に注意を促している。
これは攻撃が広がる仕組みの説明であり,国内の全ての漏えい事案についてAI利用が実証されたという意味ではない。

また,広い範囲を自動で探索する攻撃と,AIの利用は同じ概念ではない。
アクセスが大量又は高速であるという事情だけで,AIが使われたと断定しないことが必要である。
IPA担当者の同コラムも,攻撃の様子だけからAIとの関わりを判別できないのが通例であると説明している。

2 一般的なスキャンと対象別の解析

JPCERT/CCの令和8年10月8日公開・23日更新の注意喚起は,さまざまな既知の脆弱性を探索するケースと,API経由で不正な操作を行うケースなどを挙げている。
同資料は,把握している情報が限定的・断片的であり,全ての事案が同じ攻撃手法によるものではないと留保している。
したがって,最近の被害を一つの原因にまとめず,自社の構成と記録に照らして点検する必要がある。

JPCERT/CCは,令和8年10月23日の更新で,Cairn,CyberStrikeAI及びARTEXなどのAIを用いたペネトレーションテスト基盤を悪用した攻撃試行を,ケースEとして追加した。
主に公開Webアプリケーションの脆弱性や管理不備を狙うもので,公開WSUSサーバーを標的とした試行も含まれると説明している。
これは,国内のすべての漏えい事案がARTEXや同じ攻撃者によるものだと認定したものではない。

AIモデル,攻撃基盤及び攻撃者の区別と,韓国向け・国内向け・ConnectWise関係の各報告の違いは,ARTEXとは―AIサイバー攻撃の仕組みと企業が確認すべき対策で扱う。

3 AIワームと従来型ワームの違い

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宗右衛門町モータープールの裁判・競売―みんなで大家さんの返還請求と配当を資料から読む(AI作成)

目次

第1 対象とする裁判・資料と基準日第2 競売対象はどの土地か第3 211億円,約66億円,約46億円は何が違うか1 出資総額の表示は土地の評価額ではない2 評価書と公告の数字を対応させる3 価格差だけから出資金の返還率を計算しない第4 公告上の入札日程と,その後に必要な確認第5 駐車場の利用と物件明細書をどう読むか第6 出資金返還請求と競売の配当を分ける1 請求先と財産の所有者を分ける2 返還請求の成立と期限を確かめる3 出資者なら自動的に配当を受けられるわけではない第7 よくある質問1 宗右衛門町モータープールの「裁判」は返金判決のことか2 競売対象は旧モータープール全体か3 約46億円で売れることが決まったのか4 土地が売れれば出資金は全額戻るのか5 返還訴訟で勝てば,この競売から当然に回収できるのか6 競売になれば法人は直ちに貸倒損失を計上できるのか第8 相談時にそろえる資料第9 出典と関連記事
第1 対象とする裁判・資料と基準日

本記事は,令和8年10月18日を基準に,旧・宗右衛門町モータープールの西側に当たる土地について,大阪地方裁判所令和8年(ヌ)第123号の期間入札公告,物件明細書,現況調査報告書及び評価書を読むものである。
対象資料は,令和8年10月6日付の期間入札公告を含む全27頁のPDFであり,以下の頁数はPDFの先頭から数えた実頁である。

「宗右衛門町 モータープール 裁判」と調べるときは,土地を売却して代金を配当する競売と,出資者が営業者等へ返還を求める訴訟を分けて確認する必要がある。
競売の公告や三点セットは,出資者ごとの返還請求を認めた判決書ではない。
本記事は,特定の出資者が勝訴したこと,出資金が全額戻ること,又は既に土地が売却されたことを示すものではない。

「みんなで大家さん宗右衛門町」との関係については,募集時の商品概要に掲げられた所在地・地積と,裁判所の物件目録を照合する。
商品概要は募集時の説明を確認する資料であり,実際の資金受入額,現在の残高又は現時点の履行状況を証明するものではない。

第2 競売対象はどの土地か

物件目録に記載されているのは,大阪市中央区宗右衛門町19番1,地目は宅地,地積は2549.48㎡の土地1筆である。
旧モータープールという呼称から想像する敷地全体や,隣接する東側の土地・建物を,当然にこの売却対象へ含めてはならない。
売却対象の判断は名称や写真の印象ではなく,物件番号,地番,地積及び図面を基準とする(PDF実頁4頁・23頁)。

評価書の現況はコインパーキングであり,東側部分の仮囲いにより立入りができなかった旨も記載されている。
隣接地との一体利用や将来の建築を考える場合は,今回の売却対象に含まれない部分の権利,現況,許認可及び工事条件を別に確かめる必要がある(PDF実頁19頁)。

第3 211億円,約66億円,約46億円は何が違うか
1 出資総額の表示は土地の評価額ではない

募集時の商品概要には,出資総口数2万1100口,1口100万円,うち優先出資部分2万口,営業者による劣後出資1100口という表示がある。
これに対応する211億円は出資総額の表示であり,対象地の購入代金,裁判所の評価額又は実際に受け入れられた資金の額と同一であるとはいえない。
募集口数の表示と,実際の払込・運用・残高は分けて確認する。

2 評価書と公告の数字を対応させる

本件の評価書と公告には,次の異なる数字が現れる。

①基礎となる価格:66億1539万1000円(PDF実頁20頁・21頁)。
②競売市場修正率:0.70(占有減価と市場性修正はいずれも1.00)(PDF実頁21頁)。
③評価額及び公告上の売却基準価額:46億3077万円(PDF実頁17頁・21頁及び3頁)。
④公告上の買受可能価額:37億461万6000円(PDF実頁3頁)。

評価書は,競売による売却を前提とし,一般の取引市場の価格とは異なる要因を反映することを評価条件としている。
本件の0.70はこの評価書が採用した率であり,すべての競売物件や不動産鑑定に共通する割引率ではない(PDF実頁17頁・21頁)。

民事執行法60条は,評価に基づいて売却基準価額を定め,その額から2割を控除した額を買受可能価額とする仕組みを定めている。
買受可能価額は入札額の下限であり,その金額で必ず落札されるという意味ではない。

(続きを読む...)宗右衛門町モータープールの裁判・競売―みんなで大家さんの返還請求と配当を資料から読む(AI作成)

不動産小口化商品の分配・償還が止まったときの初動―契約,請求先,保全・配当及び税務資料(AI作成)

目次

第1 最初に確認すること第2 消える前に証拠を保存する1 契約と送金の証拠2 説明と支払停止の経緯第3 誰に,何を請求するのかを分ける1 営業者・販売会社・所有者を区別する2 請求の根拠を一つにまとめない第4 返還の時期と金額を契約から確認する1 運用予定期間と支払期限2 優先出資と元本保証3 金額の意味を混同しない第5 競売になっても,売却代金がそのまま投資家へ届くわけではない1 公告・物件明細書・現況調査報告書・評価書を読み合わせる2 宗右衛門町の資料から分かる価格の区別3 配当と投資家の回収第6 保全・執行では期限と参加資格を確認する第7 税務判断の前に権利の種類を確定する第8 相談時に持参する資料と質問第9 出典・関連記事
第1 最初に確認すること

不動産小口化商品の分配金や償還金が支払われなくなったときは,商品の呼び名だけで回収方法を決めず,契約の種類,債務者,請求できる金銭の内容,支払時期及び回収対象となる財産を順に確認する必要がある。
本稿は,令和8年10月18日を基準として,資料の保存と相談の準備,競売・保全・税務へつなぐ確認事項を説明するものである。

分配停止,行政処分,不動産への差押え及び事業者の倒産は,それぞれ別の出来事である。
一つの出来事だけから,契約の当然終了,全額返還義務,販売会社の賠償責任又は税務上の損失計上を決めることはできない。

国土交通省は,返金交渉等をうたい,別の投資商品の購入や手数料の支払を求める二次被害にも注意を促している。
回収を持ちかける連絡を受けたときは,依頼先と契約内容を確かめ,新たな送金を求められた経緯も保存することが大切である。

第2 消える前に証拠を保存する
1 契約と送金の証拠

契約成立前・成立時に交付された書面,契約約款,申込書,変更合意,出資の受領証,振込記録及び分配金の入金記録を一組にして保存する。
商品の名称・号数,契約日,契約当事者の正式名称,出資額,振込先名義及び実際の入出金日を対応させることが重要である。
複数の商品へ投資している場合は,商品ごとに分け,合計額だけで整理しない。

2 説明と支払停止の経緯

広告,募集ページ,鑑定に関する説明,想定利回り,優先・劣後の条件,運用予定期間及び償還条件の表示を,URLと保存日時が分かる形で保存する。
PDFとしての保存に加え,元の電子ファイル,メール及び添付資料も保管する。
説明会の配布資料,面談や電話の記録,分配停止・償還延期の通知,その後の説明の変更も,日付順に並べる。

現在の募集ページだけを見て,申込み当時も同じ説明だったと扱ってはならない。
事業者の説明,行政庁が認定した事実,裁判所の資料に記載された事実及び報道機関の取材内容は,出所を分けて記録する。

第3 誰に,何を請求するのかを分ける
1 営業者・販売会社・所有者を区別する

営業者,販売会社・代理人,不動産の登記名義人,賃借人及び保証人は,同じ主体とは限らない。
ブランド名やグループ名だけで請求先を選ばず,契約書の当事者表示と登記等で法人を特定する必要がある。
販売に関与した会社が,営業者の返還債務を当然に負うとはいえない。

匿名組合型では,商法536条1項により,匿名組合員の出資は営業者の財産に属する。
対象不動産へ投資したという説明があっても,そのことだけで投資家自身が不動産の共有持分や抵当権を取得したことにはならない。
任意組合型,共有持分を利用する型,信託を利用する型等は,それぞれ契約と権利関係を確認する必要がある。

2 請求の根拠を一つにまとめない

約定の分配金請求,契約終了に伴う出資価額の返還,取消し・解除等に伴う返還及び説明内容を理由とする損害賠償は,根拠も必要な事実も異なる。
同じ送金について複数の構成を検討する場合も,重複して回収できることを意味しない。

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年金受給権者現況届とは―提出が必要な人,書き方,期限と出し忘れへの対応(AI作成)

目次

第1 年金受給権者現況届とは1 生存等を確認するための届出2 届いた書類で最初に確認すること第2 年金の現況届は誰に届くか1 国内では提出が省略される人がいる2 「全員について廃止された」という意味ではない第3 年金受給権者現況届の書き方1 用紙の種類と記入欄2 個人番号と添付書類3 家族などが代筆するとき第4 提出期限と,現況届を出さない場合1 誕生月の末日までに到着させる2 未提出では支払いが一時止まる3 届かないとき・なくしたとき第5 海外に住んでいる場合1 年1回の提出と在留証明等2 電子申請と未着時の対応第6 現況届と似た書類を区別する1 生計維持確認届2 障害状態確認届(診断書)第7 本人が死亡した後に現況届が届いたとき第8 よくある質問1 年金受給権者現況届とは?2 年金の現況届を出さないとどうなる?3 年金受給権者現況届の書き方は?4 年金の現況届は誰に届きますか?5 現況届は自分で書けますか?6 年金の現況届はいつから廃止になりますか?第9 出典
第1 年金受給権者現況届とは
1 生存等を確認するための届出

年金受給権者現況届は,年金を受けている人が引き続き年金を受ける権利を有するかを確認するための届出である。
本記事は,令和8年10月18日に確認した日本年金機構の公表資料を中心に,提出が必要な人,書き方,提出期限及び提出が遅れた場合の対応を説明する。
企業年金・共済組合等から届いた現況届は,日本年金機構の様式・提出先と同じとは限らないため,最初に送付元と年金の種類を確認する。

2 届いた書類で最初に確認すること

封筒と届書の送付元,書類の正式名称,提出期限及び返送先を確認する。
同じ誕生月に届く書類でも,現況届,生計維持確認届及び障害状態確認届(診断書)は目的が異なる。
日本年金機構以外から届いた書類については,その支給元の案内に従う。

送付元・状況確認する内容日本年金機構・国内居住住基ネットによる生存確認の可否,届書の名称,誕生月末の提出期限日本年金機構・海外居住現況届と在留証明等,提出期限,郵送又は電子申請の条件企業年金基金・企業年金連合会・受託銀行その制度での提出対象,証明の要否,返送先共済組合本人の生存確認と加給年金額対象者との生計維持関係,指定された提出方法
第2 年金の現況届は誰に届くか
1 国内では提出が省略される人がいる

日本年金機構は,住民基本台帳ネットワークの情報で年金受給者の生存を確認している。
その情報で確認できない人は現況届の提出が必要となり,毎年誕生月の初め頃に用紙が送られる。
提出の必要があるか分からない場合は,ねんきんダイヤルに確認する。

現況届が届かないことだけで,年金を受ける権利がなくなったと判断する必要はない。
他方,提出が必要な人の未着や住所変更による行き違いもあり得るため,必要性が不明なまま放置せず,支給元と登録住所を確認する。

2 「全員について廃止された」という意味ではない

日本年金機構の案内では,個人番号が登録されると,現況届の提出や住所変更の届出は原則不要となる。
ただし,海外居住者の現況届や,生計維持確認届・障害状態確認届など別の届出まで一律に不要になるわけではない。
マイナンバーカードを持っているかという点と,日本年金機構に個人番号が登録されているかという点も分けて確認する。

企業年金連合会は,住基ネットによる確認等ができた人には現況届を送付せず,必要な人だけに送付すると案内している。
一方,三井住友信託銀行の企業年金向け案内には,制度によって市区町村の証明が必要となる場合が示されている。
一つの制度の提出省略を,ほかの年金にも当てはめてはならない。

第3 年金受給権者現況届の書き方
1 用紙の種類と記入欄

日本年金機構の用紙では,受給権者の住所・氏名等と,該当する場合には加給年金額等対象者の氏名等を記入する。
そのほかの欄も,届いた用紙と記入上の注意を確認して記入する。
様式には加給年金額等対象者がいる場合といない場合の区別があるため,ダウンロードするときも該当する用紙を選ぶ。

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公金受取口座とは―登録したほうがいい?デメリット・口座の選び方・確認と変更(AI作成)

目次

第1 公金受取口座とは1 本人名義の口座を給付金の受取先として登録する制度2 登録しないと給付金を受け取れないのか3 よくある疑問への短い回答第2 公金受取口座は登録したほうがいいですか?1 メリットと判断の目安2 公金受取口座は危険ですか?デメリットも確認する3 預貯金口座付番制度との違い第3 公金の受け取り口座はどこがいいですか?1 銀行名よりも名義と管理のしやすさを確認する2 公金受取口座にできない口座は?第4 登録・確認・変更・抹消はどこで行うか1 手続方法によってできることが違う2 登録結果の通知と確認3 確定申告で登録できなかった場合4 年金口座の意向確認書が届いた場合第5 変更すると年金・児童手当・還付金の口座も変わるか1 登録情報と実際の振込先は別に確認する2 未支給年金や国民年金基金を請求するとき第6 出典と確認先
第1 公金受取口座とは
1 本人名義の口座を給付金の受取先として登録する制度

公金受取口座とは,給付金等を受け取るため,国のデジタル庁にあらかじめ登録する本人名義の預貯金口座である。
登録は任意であり,1人につき1口座を登録できる。
年金,児童手当及び所得税の還付金等の受取に利用できるが,個々の給付の受給資格を与える制度ではない。

本記事は,令和8年10月30日に確認したデジタル庁の制度案内及びFAQに基づき,登録するかの判断,口座の選び方,登録・確認・変更・抹消と,給付元への届出の違いを説明する。
制度の入口は,デジタル庁「公金受取口座登録制度」(https://www.digital.go.jp/policies/account_registration)で確認できる。

2 登録しないと給付金を受け取れないのか

公金受取口座を登録しなくても,給付金等を受けることは可能である。
その場合は,従来どおり,給付申請の際に口座情報を記入・入力し,通帳等の写しを提出するなどの手続を行う。
登録の有無と,給付金ごとの申請期限・必要書類は分けて確認する必要がある。

登録すれば全ての給付金が自動的に振り込まれるわけでもない。
申請が必要かどうかは給付金や支援金ごとに運用が異なるため,支給する行政機関等の案内を確認する。
以上は,デジタル庁の制度概要FAQ Q3・Q4(https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/faq-program)による。

3 よくある疑問への短い回答
疑問回答の要点公金の受取口座とは何ですか?給付金等の受取先として国に登録する本人名義の1口座である。登録だけですべての給付の申請が済むわけではない。公金受取口座を登録しないとどうなる?未登録でも給付を受けられる。給付ごとに口座情報や必要書類を提出する。年金の意向確認書が届いた場合は,第4の4の手続を別に確認する。公金受取に一番良い口座はどこですか?本人名義で登録可能な口座の中から,入金の確認と管理がしやすいものを選ぶ。銀行名だけで一律に最適な口座が決まるわけではない。公金受取口座は危険ですか?登録だけで残高・入出金履歴を把握されたり,税金等が引き落とされたりする制度ではない。登録情報の管理と,暗証番号等を求める不審な連絡には注意が必要である。公金受取口座を登録したか分からない場合は?どの方法で登録した場合も,最新の登録情報はマイナポータルで確認する。過去に申請したことと登録完了は分けて確認する。

制度上の説明は,デジタル庁の制度概要FAQ及び手続FAQによる。
口座の選び方は,登録条件を踏まえた管理上の目安である。

第2 公金受取口座は登録したほうがいいですか?
1 メリットと判断の目安

給付金や還付金の申請で,口座情報の記入や通帳の写し等の提出を省きたい場合には,登録を検討する意味がある。
行政側の口座確認等の手続も簡略化でき,迅速な給付につながることが,デジタル庁の挙げるメリットである。
もっとも,特定の日までの入金や,通常より何日早くなるかを保証する制度ではない。

選ぶ際は,給付を受ける機会,登録内容を管理しやすいか,氏名・住所・口座の変更が予定されていないかを考えるとよい。
手続の簡略化という利点と,登録内容を最新に保つ手間を比べて判断する。
登録を希望しない場合にも給付を受ける方法があるため,不安が残るまま登録を急ぐ必要はない。

2 公金受取口座は危険ですか?デメリットも確認する

実務上の注意点は,登録できるのが1口座であること,氏名・住所等が変わったときに登録情報を変更する必要があること,口座変更と給付元への届出が同じ手続ではないことである。
口座を解約したままにせず,必要に応じて変更又は抹消の手続をとる必要がある。

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公取委の犯則調査とは―行政調査との違い,許可状・捜索・差押えと刑事告発(AI作成)

目次

第1 犯則調査とは何か第2 行政調査と犯則調査の違い第3 任意の質問と許可状による処分1 質問・検査・領置2 臨検・捜索・差押え第4 電子データも調査対象となる第5 調査・告発・起訴・判決を分ける第6 会社・担当者が最初に整理すること第7 よくある疑問1 犯則調査を受けると必ず告発されるか2 許可状がなければ,何も調べられないか3 課徴金を納めれば消費者に返金されるか第8 出典と確認時点
第1 犯則調査とは何か

公正取引委員会の犯則調査は,独占禁止法89条から91条までの罪に係る事件について,刑事責任の追及につながる証拠を調べる手続である。
通常の行政調査による立入検査とは根拠条文が異なり,裁判官の許可状に基づく捜索・差押え等が認められる。
ただし,犯則調査には任意の質問・検査・領置もあり,すべての行為に許可状が必要というわけではない。

令和8年10月7日の公取委会見は,酒類等を製造販売する4社の価格カルテルの疑いについて犯則調査を行っていると説明した。
この説明から,4社の違反,刑事告発,起訴又は有罪判決が確定したと読むことはできない。
事件の公表資料と法律上の争点は,ビール大手4社による価格カルテル疑惑で整理している。

本記事は,令和8年10月18日に確認した独占禁止法と公取委の手続説明に基づき,一般的な制度を説明する。
個別事件の対象商品,関係者,調査範囲又は今後の処分を推定するものではない。

第2 行政調査と犯則調査の違い

行政調査は,独占禁止法47条に基づく審尋,報告徴収,物件の提出命令,立入検査等を通じ,排除措置命令や課徴金納付命令等のために事実を調べる手続である。
同条4項は,これらの権限が犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと定めている。

比較する点行政調査犯則調査主な根拠独占禁止法47条同法101条・102条等主な手段審尋,報告徴収,提出命令,立入検査任意の質問・検査・領置,許可状による臨検・捜索・差押え等許可状47条の立入検査については裁判官の許可状を要しない102条の強制処分には裁判官の許可状が必要その後の判断排除措置命令・課徴金納付命令等の要件を検討する調査により犯則の心証を得たときは告発する

行政調査の立入検査も,単に自由に拒否できる任意の訪問ではない。
同法94条は,47条に基づく検査の拒否・妨害・忌避等を処罰対象としている。
「行政調査だから応じなくてよい」「立入調査という名称だから犯則調査である」といった名称だけの判断を避け,具体的な根拠と行為を確認する必要がある。

第3 任意の質問と許可状による処分
1 質問・検査・領置

独占禁止法101条は,指定を受けた公取委職員が,犯則嫌疑者や参考人に出頭を求めて質問し,所持物件等を検査し,任意に提出された物件等を領置できると定めている。
同じ犯則調査でも,任意提出した資料の領置と,許可状による差押えは区別する。
資料の提出を求められた際は,根拠,対象,提出方法及び受領の記録を整理することが実務上重要となる。

2 臨検・捜索・差押え

同法102条1項は,裁判官があらかじめ発する許可状により,臨検,捜索,差押え又は記録命令付差押えを行うことができると定めている。
許可状には,対象となる場所,身体・物件又は記録すべき電磁的記録等,有効期間などが記載される。
同法105条は,臨検,捜索又は差押えに際して,処分を受ける者への許可状の提示を求めている。

会社としては,担当職員,示された書面,対象部署・場所,開始時刻及び持ち出された資料を記録し,法務担当者や弁護士へ速やかに連絡する対応が考えられる。
これは対応を整理するための実務上の提案であり,連絡や立会いのために調査を一方的に中断させられるという説明ではない。

第4 電子データも調査対象となる

独占禁止法102条1項の記録命令付差押えは,記録を保管する者等に必要な電磁的記録を媒体へ記録させ,又は印刷させた上で,その媒体を差し押さえる処分である。

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オンライン調停を申し込む前に確認すること―費用,認証,合意の効力及び時効(AI作成)

目次

第1 オンラインで話し合えることと法的効果は別に確認する第2 認証の対象と,相手方が参加する手続を確かめる1 事業者名だけでなく対象業務を見る2 中立の担当者と自分の代理人を区別する第3 料金は総額,当事者別負担及び不成立時に分けて計算する1 表示された一つの金額だけで比較しない2 公表料金による相続紛争の計算例第4 合意の成立と強制執行できることを区別する1 認証ADRの合意も当然に執行できるわけではない2 遺産分割の代償金と養育費等の例外を混同しない第5 時効が迫っている場合は終了通知と提訴期限を管理する第6 記録保存とデータ利用は複数の文書を突き合わせる第7 申込み前にそろえておきたい回答第8 出典と確認時点
第1 オンラインで話し合えることと法的効果は別に確認する

オンライン調停は,移動の負担を抑え,離れた場所にいる当事者が第三者を介して話し合うための選択肢である。
ただし,利用するシステム,話合いを仲介する手続及び成立した合意の効力は,それぞれ確認する必要がある。
本記事は,令和8年10月18日に確認した法令,法務省の認証情報及び事業者の公表資料に基づき,民間のオンライン調停を申し込む前の確認事項を整理する。

ここで扱うのは主として,民間事業者が当事者双方との契約に基づき和解を仲介する手続である。
裁判所のウェブ会議による調停や,第三者が仲裁判断をする仲裁とは,根拠と効果が異なる。
また,オンラインであることだけから,AIが法律判断や和解案の作成を行っていると判断することはできない。

第2 認証の対象と,相手方が参加する手続を確かめる
1 事業者名だけでなく対象業務を見る

ADR法上の認証紛争解決手続は,法務大臣の認証を受けた業務として行われる民間紛争解決手続である(同法2条)。
法務省の認証事業者情報で,事業者名,認証番号,取り扱う紛争及び手続の内容を確認する。
同じ会社が提供する登録,情報整理,交渉支援などの全段階について,当然に認証ADRと同じ法的効果が生じるとは考えない。

例えば,弁護士JPオンライン調停センターは,認証番号第194号の事業者として掲載されている。
一方,公式の「スマート調停」の案内では,システムによる課題整理と,双方が希望した場合の弁護士による調停が区別されている。
利用するサービスの名称だけでなく,いつ,どの契約に基づき,認証紛争解決手続を開始するのかを確認することが大切である。

2 中立の担当者と自分の代理人を区別する

担当者の資格,選任方法及び利益相反の確認方法を調べる。
中立の立場で和解を仲介する弁護士は,自分だけの利益を実現するために助言・交渉する代理人とは役割が異なる。
相手方やその関係者との過去の相談・受任関係をどの範囲で確認するか,疑問を申し出る窓口も確かめる。

相手方が参加しない場合,どの時点で手続が終了し,既に支払った費用がどうなるかも申込み前の確認事項である。
認証を受けていることは,相手方の参加や解決の成立を保証するものではない。

第3 料金は総額,当事者別負担及び不成立時に分けて計算する
1 表示された一つの金額だけで比較しない

申立手数料,期日ごとの手数料,成立手数料を分け,税込か税別か,何人分か,何回分かを確認する。
期日の上限時間,追加期日,延期・取消し,不成立,途中終了及び合意書の交付に伴う費用も確認する。
自分が別に依頼する代理人の費用や,公正証書・裁判所の手続の費用を,同じ料金に含まれると決めつけない。

2 公表料金による相続紛争の計算例

法務省掲載の同センターの料金表では,婚姻関係紛争以外の民事上の紛争について,申立手数料3万3000円,期日手数料1回6万6000円,成立手数料は当事者1人につき4万9500円とされている(いずれも税込)。
相続向け公式案内にも,この料金体系が掲載されている。

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約定の遅延損害金はどこまで有効か―利息制限法の1.46倍,消費者契約法の年14.6%と特別法の遅延利率(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 本記事の対象2 結論第2 約定の遅延損害金の基本1 民法419条1項ただし書2 賠償額の予定(民法420条)第3 金銭消費貸借の上限(利息制限法)1 利息制限法4条1項の1.46倍2 営業的金銭消費貸借の特則(7条1項)3 違約金は賠償額の予定とみなされる第4 消費者契約の上限(消費者契約法9条1項2号)1 年14.6%の上限2 解除に伴う損害賠償の予定との区別3 他の法律との関係第5 割賦販売・訪問販売の上限1 割賦販売法6条2項2 特定商取引に関する法律10条2項第6 法律が遅延利率を定めている場合1 退職労働者の賃金(賃金の支払の確保等に関する法律6条)2 中小受託取引の代金(取適法6条)3 政府契約の代金(政府契約の支払遅延防止等に関する法律8条)第7 契約書で遅延損害金を定めるときの確認事項第8 関連記事第9 出典・参考資料1 法令2 公的資料
第1 本記事の対象と結論
1 本記事の対象

本記事は,契約で定めた遅延損害金の利率(約定の遅延損害金)がどこまで有効かを扱う。
あわせて,契約に定めがなくても法律が遅延利率を定めている場面を取り上げる。
民法の法定利率が年3%か年5%かという問題は,遅延損害金の利率は年3%か年5%か―令和2年4月1日の経過措置,商事法定利率の廃止及び3年ごとの見直しで扱っている。
本記事は,令和8年10月18日時点の法令及び告示に基づいている。

2 結論

① 金銭債務の遅延損害金は,約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による(民法419条1項ただし書)。
② 金銭消費貸借の遅延損害金の予定は,利息制限法1条の利率の1.46倍を超える部分が無効となり,営業的金銭消費貸借では年2割を超える部分が無効となる(利息制限法4条1項,7条1項)。
③ 消費者契約で消費者が支払期日までに支払わない場合の損害賠償の予定・違約金は,年14.6%を超える部分が無効となる(消費者契約法9条1項2号)。
④ 割賦販売や訪問販売で代金が支払われない場合に請求できる額は,残額とこれに対する法定利率による遅延損害金の合計額までに制限される(割賦販売法6条2項,特定商取引に関する法律10条2項)。
⑤ 退職労働者の未払賃金は年14.6%,中小受託取引の未払代金は年14.6%,政府契約の未払代金は年3.0%(令和8年4月1日から)の遅延利息が,法律に基づいて生じる。

第2 約定の遅延損害金の基本
1 民法419条1項ただし書

民法419条1項は,金銭債務の不履行による損害賠償の額は,債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定めるとしたうえで,「約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」と定めている。
例えば,貸金の利息を年10%と定めていれば,遅延損害金について別に定めていなくても,遅延損害金は年10%で請求できる。
約定利率が法定利率を下回る場合は,本文に戻って法定利率による。

民法の法定利率は,令和2年4月1日から年3%で始まり,3年ごとに見直される(民法404条2項,3項)。
法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」によれば,令和8年4月1日から令和11年3月31日までの法定利率も年3%である。

2 賠償額の予定(民法420条)

遅延損害金の利率そのものを契約で定めた場合は,賠償額の予定に当たる。
民法420条1項は,「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。」と定め,同条3項は,違約金を賠償額の予定と推定している。

令和2年3月31日まで適用されていた民法420条1項には,「この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。」という後段があった。
この後段は,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)により削除された。
もっとも,民法には予定額の上限を数値で定めた規定はなく,遅延損害金の上限は,次の第3以下の個別の法律が定めている。

第3 金銭消費貸借の上限(利息制限法)
1 利息制限法4条1項の1.46倍

利息制限法4条1項は,「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。」と定めている。
同法1条の利率に1.46を乗じると,遅延損害金の予定の上限は次のとおりとなる。

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金属盗対策法とは―特定金属くず買受業の届出・本人確認・取引記録と古物営業法との違い(AI作成)

目次

第1 金属盗対策法の概要1 成立と施行の時期2 法律ができた背景3 法律の目的と三つの柱第2 規制の対象となる「特定金属くず」1 特定金属は現時点では銅である2 製造過程で生ずるくずと古物は除かれる3 古物との境界第3 特定金属くず買受業を営む者の義務1 営業所ごとの届出と表示2 買受けの相手方の本人確認3 本人確認記録と取引記録の3年間の保存4 盗品の疑いがあるときの申告第4 公安委員会の監督と罰則1 指示・営業停止命令・立入検査2 罰則第5 指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止と情報の周知第6 古物営業法・条例との関係と対象外の物1 古物営業法との違い2 条例との関係3 同法の対象とならない物第7 関係する事業者が確認しておきたい事項1 金属くずの買取業者2 盗難の被害に遭った事業者第8 出典1 法令2 警察庁の資料
第1 金属盗対策法の概要
1 成立と施行の時期

盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(令和7年法律第75号。以下「金属盗対策法」という。)は,令和7年6月20日に公布された。
指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止等は令和7年9月1日から,特定金属くず買受業に関する規制は令和8年6月1日から施行されている。
本記事は,令和8年10月18日にe-Gov法令検索で確認した同法,同法施行令及び同法施行規則と,警察庁の公表資料に基づいて,同法の内容を説明する。

2 法律ができた背景

警察庁の「金属盗対策に関する検討会」の報告書(令和7年1月)によれば,金属盗の認知件数は統計を取り始めた令和2年以降増加傾向にあり,令和5年の被害総額は約132億8700万円で,同年の窃盗犯全体の被害額の約2割に相当する。
同報告書は,令和5年の金属盗の被害額のうち銅の被害が約7割を占めることも示している。

同報告書は,古物に当たらない金属くずの売却について,いわゆる金属くず条例を制定している17道府県を除き規制がなく,盗品の処分(売却)が容易な状況にあると指摘していた。
その上で,被害実態からまずは少なくとも銅を規制すべきであり,1万円未満の買取りについて本人確認義務等を免除することは抜け穴となるおそれがあるため適当ではない,との方向性を示した。

3 法律の目的と三つの柱

金属盗対策法は,特定金属くず買受業について買受けの相手方の氏名等の確認を義務付ける等の措置を講ずるとともに,指定金属切断工具を隠して携帯する行為を禁止すること等により,特定金属製物品の窃取の防止に資することを目的とする(同法1条)。
内容は,①特定金属くず買受業の規制(同法第2章),②指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止(同法15条),③盗難の防止に資する情報の周知(同法16条)の三つに分けられる。

第2 規制の対象となる「特定金属くず」
1 特定金属は現時点では銅である

同法2条1号は,特定金属を「銅その他犯罪の状況、当該金属の経済的価値その他の事情に鑑み、当該金属を使用して製造された物品の窃取を防止する必要性が高い金属として政令で定めるもの」と定めている。
令和8年10月18日に確認した同法施行令には銅以外の金属を定める規定はなく,警察庁も,特定金属くずを「現時点では主として銅により構成されている金属くず」と説明している。
銅以外の金属は,政令で追加されるまでは同法の対象とならない。

2 製造過程で生ずるくずと古物は除かれる

特定金属くずは,主として特定金属により構成されている金属くずであるが,物品を製造する過程において生ずるもの及び古物営業法2条1項に規定する古物に該当するものを除く(同法2条3号)。
特定金属くず買受業は,特定金属くずの買受けを行う営業をいい,買受けの対価として金銭以外の財産上の利益を提供する場合も含む(同条4号)。

3 古物との境界

警察庁の「古物営業法等の解釈運用基準について」(令和8年5月14日)は,主として特定金属により構成されている物品について,本来の用法に従って使用することができるものは古物,使用できないものは特定金属くずに該当するとしている。
同基準は,古物に該当する場合は古物営業法に基づく相手方の確認義務等が,特定金属くずに該当する場合は金属盗対策法に基づく本人確認義務及び取引記録の作成義務が生じることに留意するよう求めている。
例えば,本来の用法に従って使用することができない状態となった室外機に係るくずは,古物ではなく特定金属くずに当たる可能性がある。

第3 特定金属くず買受業を営む者の義務
1 営業所ごとの届出と表示

特定金属くず買受業を営もうとする者は,営業所ごとに,氏名又は名称,住所,営業所の所在地等を,営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出なければならない(同法3条1項)。
届出書は,営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して,特定金属くず買受業を開始しようとする日の前日までに提出する(同法施行規則1条2項)。

(続きを読む...)金属盗対策法とは―特定金属くず買受業の届出・本人確認・取引記録と古物営業法との違い(AI作成)

重要電子計算機防護法とは―特別社会基盤事業者の届出・報告義務,警察のアクセス・無害化措置及び自衛隊法81条の3(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 令和8年10月1日に施行された部分2 結論3 能動的サイバー防御のよくある質問第2 法律の構造と施行日1 段階的な施行2 通信の秘密の尊重第3 対象となる電子計算機と事業者1 重要電子計算機の3つの類型2 特別社会基盤事業者と特定重要電子計算機第4 特別社会基盤事業者の届出・報告義務1 特定重要電子計算機の届出2 特定侵害事象等の報告3 命令,報告徴収及び罰則第5 国の情報提供と協議会1 総合整理分析情報の提供2 電子計算機・プログラムの供給者への要請3 協議会第6 警察のアクセス・無害化措置と自衛隊法81条の31 警察のサイバー危害防止措置執行官2 自衛隊法81条の3の通信防護措置3 サイバー通信情報監理委員会4 物理的な警護との違い第7 まだ施行されていない部分第8 弁護士・税理士が確認すること1 顧問先が対象かどうか2 期限と記録3 ベンダー・委託先との契約第9 関連記事第10 出典
第1 本記事の対象と結論
1 令和8年10月1日に施行された部分

重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(令和7年法律第42号。以下「防護法」という。)は,令和7年5月23日に公布され,令和8年10月1日に主要な部分が施行された。
同じ日に,同法の施行に伴って改正された警察官職務執行法6条の2と自衛隊法81条の3も施行され,警察と自衛隊がサイバー攻撃に対処するための新しい権限が動き出した。
本記事は,防護法と関係法令の条文に基づいて,企業の側に生じる届出・報告の義務と,国の対処の仕組みを説明する。
基準日は令和8年10月17日であり,条文はe-Gov法令検索で同日現在の本文を確認した。
政府の説明資料では,防護法は「サイバー対処能力強化法」と呼ばれ,同時に成立した重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和7年法律第43号。以下「整備法」という。)と一体で説明されている。
内閣官房国家サイバー統括室等の説明資料(令和8年9月)によれば,届出・報告等の対象となる基幹インフラ事業者は15分野・258事業者である。

2 結論

防護法の義務を直接負う民間事業者は,経済安全保障推進法の基幹インフラ制度で指定された特定社会基盤事業者のうち,特定重要電子計算機を使う「特別社会基盤事業者」である。
特別社会基盤事業者は,特定重要電子計算機の製品名・製造者名等を所管大臣に届け出て,サイバー攻撃による被害やその兆候を認知したときは所管大臣と内閣総理大臣に報告しなければならない。
施行の時点で既に導入している特定重要電子計算機の届出期限は,施行日から6か月以内である。
他方,国が通信情報を取得する仕組み(当事者協定・外外通信目的送信措置等)は,令和8年10月17日現在まだ施行されていない。
警察のサイバー危害防止措置執行官と自衛隊の通信防護措置は,攻撃元のサーバ等に電気通信回線を介して働きかける措置であり,原則としてサイバー通信情報監理委員会の承認を要する。

3 能動的サイバー防御のよくある質問
(1) 能動的サイバー防御(ACD)とは何ですか

能動的サイバー防御とは,重大なサイバー攻撃による被害を未然に防ぎ,拡大を防止するための取組を表す言葉である。
政府の制度説明では,官民連携の強化,通信情報の利用,アクセス・無害化措置という3つの柱で整理されている。
特定の防御製品の名称や,民間企業が自由に反撃できる制度を意味するものではない。

(2) 能動的サイバー防御の具体例は何ですか

制度上の例としては,国が得た脅威情報を基幹インフラ事業者等に提供して対策に結び付けることや,法定の要件と手続に従い,警察の執行官が攻撃に使われる計算機の有害な記録の消去等を命じ,又は自ら措置をとることが挙げられる。
これは制度の働き方の説明であり,特定の国内事案について実際に措置が行われたと認定するものではない。
自社設備の防御と,第三者のサーバーに対する公的措置も区別する必要がある。

(3) 能動的サイバー防御の対象企業はどこですか

届出・報告義務を問う場合,対象は特別社会基盤事業者とその特定重要電子計算機への該当性によって判断する。
通信・金融等の分野に属するというだけで全企業が一律に義務を負うわけではなく,指定と使用する計算機を確認する必要がある。
他方,この義務の対象範囲と,警察が重大な危害を防ぐために措置を検討する範囲は別問題である。

(4) 能動的サイバー防御はいつから施行されていますか

官民連携とアクセス・無害化措置に関する制度は,令和8年10月1日に施行された。

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破産手続開始の通知が届かず債権届出をしなかったとき―官報公告,破産法112条,申立代理人の責任と過失相殺(AI作成)

目次

第1 本記事の対象と結論1 通知が届かなくても破産手続は進む2 結論第2 破産法の仕組み1 官報公告と知れている破産債権者への通知2 債権者一覧表の提出義務3 債権届出期間と一般調査期間経過後の届出4 配当の除斥期間第3 宇都宮地裁令和3年5月13日判決1 事案2 申立代理人の報告義務3 破産管財人の注意義務は否定された4 債権者側の過失による5割の過失相殺5 判決の位置付け第4 債権者が確認すべきこと1 取引先の破産を早く知る2 代位弁済・債権譲渡で債権者が替わったとき3 通知が来ないまま期間が過ぎたとき4 税理士が確認すること第5 申立代理人が注意すべきこと1 開始決定までは債権者の変動を追う2 債権者への回答と記録3 時期ごとの確認表第6 関連記事第7 出典
第1 本記事の対象と結論
1 通知が届かなくても破産手続は進む

取引先が破産しても,債権者一覧表に載っていない債権者には,裁判所からの破産手続開始の通知が届かない。
通知が届かないまま債権届出期間や配当の除斥期間が過ぎると,その債権者は配当を受けられない。
本記事は,この場面で債権者が確認すべきことと,破産を申し立てる代理人弁護士が負う義務を,破産法の条文と宇都宮地方裁判所令和3年5月13日判決(令和2年(ワ)第264号,判例秘書の判例番号 L07650942)に基づいて整理する。
基準日は令和8年10月17日である。
同判決は裁判所ウェブサイトの裁判例検索には掲載されておらず,本文は判例秘書で確認した。

2 結論

破産手続開始の決定は官報で公告され,公告によって一切の関係人に告知があったものとみなされる(破産法10条4項)。
そのため,個別の通知が届かなかったことだけで,届出をしなかった不利益を当然に免れるわけではない。
他方,申立代理人が債権者の変動を知りながら裁判所に報告しなかった場合には,申立代理人が損害賠償責任を負うことがある。
宇都宮地裁判決は,申立代理人の責任を認めつつ,債権者側にも官報等を確認しなかった落ち度があるとして5割の過失相殺をし,破産管財人の責任は否定した。

第2 破産法の仕組み
1 官報公告と知れている破産債権者への通知

裁判所は,破産手続開始の決定をしたときは,直ちに,決定の主文,破産管財人の氏名,債権届出期間等を公告しなければならない(破産法32条1項)。
破産法の公告は官報に掲載してし,掲載があった日の翌日に効力を生ずる(同法10条1項・2項)。
同じ事項は,破産管財人,破産者及び「知れている破産債権者」に通知される(同法32条3項1号)。
裁判の公告がされたときは,一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなされる(同法10条4項)。

2 債権者一覧表の提出義務

債権者以外の者が破産手続開始の申立てをするときは,最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者一覧表を裁判所に提出しなければならない(破産法20条2項)。
宇都宮地裁判決は,この提出義務を,知れている破産債権者への通知を適正かつ迅速に行うための規定と解している(第3の2)。
個人の破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権は,破産手続開始の決定があったことを知っていた者の請求権を除き,免責許可決定の効力が及ばない(同法253条1項6号。債権者一覧表が債権者名簿とみなされる場合につき同法248条5項)。

3 債権届出期間と一般調査期間経過後の届出

破産手続に参加しようとする破産債権者は,債権届出期間内に,債権の額及び原因等を裁判所に届け出なければならない(破産法111条1項)。
破産債権者がその責めに帰することができない事由によって一般調査期間の経過又は一般調査期日の終了までに届出をすることができなかった場合には,その事由が消滅した後1か月以内に限り,届出をすることができる(同法112条1項)。
この1か月の期間は伸長も短縮もできない(同条2項)。
官報公告による告知の擬制があるため,「通知が来なかった」というだけで同条の「責めに帰することができない事由」に当たると考えるのは危険である。

4 配当の除斥期間

最後配当では,配当の公告が効力を生じた日等から起算して2週間が除斥期間となる(破産法198条1項・2項)。

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日本版DBSの確認結果・被害申告を受けた後の労務対応―接触回避・自宅待機・配置転換・解雇(AI作成)

目次

第1 接触回避と雇用上の処分を分けて進める1 確認結果と被害申告では出発点が異なる2 施行時期と契約関係を確認する第2 暫定措置は早く,事実認定は慎重に行う1 確定的な措置を決めるまでの接触を回避する2 命令の目的・範囲・期間を具体化する3 調査のための面談とこどもの聴き取りを分担する第3 自宅待機中の賃金を確認する1 業務命令による待機を当然に無給にしない2 休業手当の6割を賃金請求の上限と考えない第4 配置転換は命令できる権限から確認する1 職種・業務を限定した合意の有無を確かめる2 権限がある場合も行使の適法性を検討する第5 内定取消し・懲戒・解雇を別々に検討する1 内定取消しは募集・確認の経過まで戻って調べる2 採用後の誓約違反を採用時の経歴詐称へ置き換えない3 懲戒と解雇の相当性をそれぞれ審査する第6 判断の記録と情報管理をつなぐ1 何を根拠にどの措置を選んだかを残す2 確認記録を人事関係者全員に配らない第7 出典と判例の確認範囲1 こども家庭庁の公式資料2 法令と判例
第1 接触回避と雇用上の処分を分けて進める
1 確認結果と被害申告では出発点が異なる

日本版DBSの確認結果から特定性犯罪前科が判明した場合と,在籍するこども・保護者から従事者による被害の申出があった場合では,確認できている事実が異なる。
いずれもこどもの安全を守る対応が問題になるが,確認結果や申出だけで懲戒・解雇まで当然に有効になるわけではない。

公式の労務教材は,被害の申出があった場合,こどもとの接触を暫定的に回避した上で速やかに事実確認を行うことを説明している。
安全確保に必要な措置と,行為が認められるか,どの処分が適切かという判断を分けて進める必要がある。

2 施行時期と契約関係を確認する

本記事は,令和8年10月17日に確認した公式資料と判例に基づく,期間の定めのない労働契約を基本とする説明である。
有期契約の期間途中の解雇や雇止め等には,別の検討が必要になる。
こども性暴力防止法の主な施行日は令和8年12月25日であり,義務対象事業者か,認定を受ける事業者か,対象業務・従事者に当たるかを確認する。

派遣,業務委託,ボランティア,公務員については,契約・任用関係と権限を別に確認し,雇用の説明をそのまま当てはめない。
施行前でも,現行法や契約に基づく安全確保と労務管理は必要である。

フランチャイズでは,本部の契約上の是正対応と,加盟者が講師に行う雇用上の措置を分けて確認する必要がある。
認定主体や情報管理も含めた分担は,日本版DBSとフランチャイズ学習塾―本部・加盟教室の認定,犯罪事実確認と役割分担で説明している。

第2 暫定措置は早く,事実認定は慎重に行う
1 確定的な措置を決めるまでの接触を回避する

特定性犯罪前科が判明し,法に基づく防止措置を講じる場面では,面談や配置先の調整に時間がかかることを理由に,こどもとの接触を続けさせることは適当でないと公式教材は説明している。
対象業務以外の業務への従事や自宅待機等による接触回避を,確定的な措置の検討と並行して行う。

在籍するこどもや保護者から被害の申出があった場面でも,必要な事実確認ができるまで,接触回避を暫定的に行う。
この段階で申出の内容が事実であると決めつけ,事実の存在を前提とする懲戒等を行わない。

2 命令の目的・範囲・期間を具体化する

自宅待機は,業務上の必要性がない場合や不当な動機・目的がある場合にも自由に命じられるものではない。
調査の必要性,接触や証拠へのアクセスを避ける必要性,代替業務の可能性を確認する。

実務上は,措置の目的,開始日,連絡先,待機中に求める対応,賃金の扱い及び見直し時期を整理して伝える。
結論が出ないまま漫然と延長せず,事情の変化に応じて必要性と方法を見直す。
これらの伝達・記録項目は実務上の例であり,国が一律に定める通知様式ではない。

3 調査のための面談とこどもの聴き取りを分担する

従事者には,確認の目的と必要な範囲を踏まえて説明を求め,回答や提出資料を記録する。
被害を受けた疑いのあるこどもへの聴き取りは,誘導や繰り返しによる負担を避け,警察等の専門機関との役割分担を検討する。

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学校・保育施設で性暴力の疑いが生じたときの保護者対応―説明の範囲・保護者会・被害児童の特定防止(AI作成)

目次

第1 説明方針は安全確保と被害児童の保護から決める1 他の保護者への説明も初動の一部になる2 公式教材の推奨と一律の法的義務を区別する第2 誰に何を伝えるかを先に整理する1 被害児童側の意向と特定の危険を確認する2 確認済みの事実と調査中の事項を分ける3 犯罪事実確認記録と事案の説明を混同しない第3 保護者会と個別説明を選ぶ1 一斉説明の利点と負担を比較する2 開催しない場合も説明の経路を確保する第4 説明事項と質問への回答を準備する1 説明する事項を具体化する2 回答例は事実に合わせて作り直す3 家庭での繰り返しの聴き取りを促さない第5 説明後の相談と記録を続ける1 窓口と次の連絡方法を決める2 説明内容と判断の理由を残す3 弁護士と心理職の役割を組み合わせる第6 出典と確認範囲1 公式教材2 法令・制度の入口
第1 説明方針は安全確保と被害児童の保護から決める
1 他の保護者への説明も初動の一部になる

学校・保育施設等で従事者による性暴力の疑いが生じると,被害を受けた疑いのあるこどもとその保護者への対応に加え,他の保護者への説明が問題になる。
自分のこどもにも被害があるのではないかという不安に応えながら,被害児童の特定やうわさの拡散を防ぐ必要がある。

最初に優先するのは,こどもの安全確保,必要な医療・支援及び関係機関との連携である。
保護者会の準備や施設の評判への対応に追われて,これらを後回しにしない。
事実関係の全てが確定するまで安全措置や必要な連絡を止める対応も避ける。

2 公式教材の推奨と一律の法的義務を区別する

本記事は,令和8年10月17日に確認したこども家庭庁の公式教材を基に,事業者が説明方針を検討する際の要点を整理したものである。
こども性暴力防止法の主な施行日は令和8年12月25日であり,法の対象事業者・従事者に該当するかは別に確認する必要がある。
施行前であることを,現行の法令・契約等に基づく安全確保や対応を控える理由にはできない。

教材には保護者会を開催する創作事例と,開催せず個別に説明する創作事例がある。
これらから,全ての疑い事案で保護者会を開催する法的義務があるとも,個別説明だけで常に十分であるともいえない。
以下の説明項目・記録方法は,教材を踏まえた実務上の整理である。

第2 誰に何を伝えるかを先に整理する
1 被害児童側の意向と特定の危険を確認する

他の保護者への説明前に,可能な限り,被害を受けた疑いのあるこどもとその保護者の懸念・意向を確認する。
どのような情報の組合せで本人が推測されるか,説明によって登校・登園や生活にどのような影響が出るかを具体的に検討する。

氏名を伏せても,学年,クラス,日時,場所,活動内容,担当職員との関係等の組合せから本人が特定されることがある。
少人数の施設では特に,匿名表記だけで十分と判断しない。
説明の対象者,配布資料,口頭回答,後日の問い合わせ対応を通じて同じ配慮を続ける。

意向の確認は,必要な説明の全てについて被害児童側に決定責任を負わせることではない。
安全確保の必要性,他のこどもへの影響,関係機関への報告等との調整は,事業者が専門家と検討し,理由を記録する。

2 確認済みの事実と調査中の事項を分ける

説明資料では,確認できた事実,調査・確認を続けている事項,既に実施した安全措置を分ける。
疑われている行為を確定事実として扱わず,分からないことを安心させるために断定しない。

「現時点で他の被害の情報を把握していない」ことと,「他に被害者はいない」ことは異なる。
どの範囲をどの方法で確認したのかを踏まえて表現を選び,新たな情報が得られた場合に説明を更新できる形にする。

3 犯罪事実確認記録と事案の説明を混同しない

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こども性暴力防止法の認定制度―学習塾・スポーツクラブの認定要件・申請手続・手数料とこまもろうマーク(AI作成)

目次

第1 認定制度の結論と基準日1 民間事業者が任意に受ける認定である2 本記事の基準日と資料第2 認定の基準1 法20条1項の六つの基準2 認定を受けられない者3 法人でない団体も申請できる第3 申請の手続1 申請時期と審査期間2 こまもろうシステムでの申請と添付書類3 手数料4 事業ごとの申請と共同認定第4 認定後に行うこと1 犯罪事実確認の期限2 規程の遵守・記録の管理・帳簿と報告3 変更の届出4 適合命令と認定の取消し第5 こまもろうマークの使い方1 使える時期と種類2 付けてよいもの・付けてはいけないもの3 認定を受けていない者の表示は処罰される第6 よくある質問1 学習塾は認定を受けなければならないか2 認定を受ける判断のポイントは何か3 犯罪事実確認だけを先に行えるか第7 出典1 法令2 こども家庭庁の資料3 個別の判断で確認が必要な事項
第1 認定制度の結論と基準日
1 民間事業者が任意に受ける認定である

こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律・令和6年法律第69号)は,学習塾,スポーツクラブ,放課後児童クラブ,認可外保育施設等の民間教育保育等事業者について,学校設置者等と同等の措置を実施する体制が確保されている旨の認定を受けられる仕組みを設けている(法19条1項)。
学校や保育所等の学校設置者等が法律上当然に義務を負うのに対し,民間教育保育等事業者の認定申請は任意である(Q&A基礎編4-8)。
もっとも,認定を受けた事業者は,犯罪事実確認を含む措置を義務として行うことになり,怠れば認定の取消し等の対象となる。

認定を受けると,認定事業者マーク(こまもろうマーク)を事業の広告等に表示でき,認定事業者の情報がこども家庭庁のウェブサイトに掲載される(法22条・23条,Q&A基礎編4-1)。
こども家庭庁は,少しでも多くの認定対象事業者に認定を取得してほしいとしている(Q&A基礎編4-8)。

2 本記事の基準日と資料

本記事は,令和8年10月17日に確認した法律・施行令の条文(令和8年12月25日施行時点),こども性暴力防止法施行ガイドライン(令和8年9月改訂)及びこども性暴力防止法に関するQ&A(令和8年9月29日改訂)に基づく。
認定申請の詳しい手順は,認定対象事業者向けのマニュアルで示される予定とされているので(Q&A基礎編4-3),申請の時点でこども家庭庁の最新資料を確認する必要がある。

どの事業が認定の対象になるか,民間教育事業の5要件(修業期間6か月以上・対面・事業所等での指導・指導者3人以上等)は,こども性暴力防止法の対象となる職種と事業―学校・保育所・学習塾の一覧と事務職員・運転手・ボランティアの判断で説明している。

第2 認定の基準
1 法20条1項の六つの基準

認定は,申請された事業と業務が民間教育保育等事業と教育保育等従事者の業務に当たり,かつ,次の基準に適合すると認められる場合でなければ受けられない(法20条1項)。

①犯罪事実確認を適切に実施するための体制を備えていること
②従事者による児童対象性暴力等のおそれを早期に把握するための措置を実施していること
③児童等が容易に相談できるようにするための措置を実施していること
④防止措置,疑いがある場合の調査,被害を受けた児童等の保護・支援を定めた「児童対象性暴力等対処規程」を作成し,その内容が基準に適合すること
⑤従事者に研修を受講させていること
⑥犯罪事実確認記録等を適正に管理するための措置を講じていること

②③⑤⑥の具体的な内容と④の規程の基準は,内閣府令(施行規則)で定められ,施行ガイドラインが詳しく説明している。
認定は申請時点の体制を審査するものであるから,規程や研修を申請後に整えるという順序にはならない。

2 認定を受けられない者

認定を取り消されてから2年を経過しない者(法人の場合は一定の役員を含む。),この法律の規定により刑に処せられ,その執行を終わる等してから5年を経過しない者,役員にこれらに当たる者がいる法人は,認定を受けることができない(法20条2項)。

3 法人でない団体も申請できる

認定の申請には必ずしも法人格を要しない(Q&A基礎編4-7-2)。
ただし,認定を受けると犯罪事実確認記録等を入手できるようになるため,法人でない団体は,代表者又は管理人の定めがあり,団体としての組織を有し統一された意思の下に活動している場合に限り,団体名で申請できる(同,施行ガイドライン70頁)。

第3 申請の手続
1 申請時期と審査期間

(続きを読む...)こども性暴力防止法の認定制度―学習塾・スポーツクラブの認定要件・申請手続・手数料とこまもろうマーク(AI作成)

こども性暴力防止法の対象となる職種と事業―学校・保育所・学習塾の一覧と事務職員・運転手・ボランティアの判断(AI作成)

目次

第1 対象の決まり方と基準日1 事業と職種の二段階で決まる2 本記事の基準日と資料第2 義務対象となる施設・事業1 学校・認定こども園・児童福祉施設等2 大学と専修学校の専門課程は義務対象ではない第3 認定対象となる民間教育保育等事業1 認定を受けると義務対象と同等の措置を行う2 学習塾・スポーツクラブ等は民間教育事業の5要件で判断する3 オンライン指導と家庭教師の扱い4 対象とならない例第4 対象となる職種の判断基準1 支配性・継続性・閉鎖性の三要件2 職種全体が対象になるものと一部が対象になり得るもの第5 判断が分かれる職種の具体例第6 ボランティア・実習生・派遣労働者1 ボランティアと短期の従事者2 教育実習・保育実習の実習生3 派遣労働者・請負の従事者第7 よくある質問1 パート・アルバイトも対象になるか2 オンラインだけの学習塾は認定を受けられるか3 職種の判断に迷うときはどうするか第8 出典1 法令2 こども家庭庁の資料3 個別の判断で確認が必要な事項
第1 対象の決まり方と基準日
1 事業と職種の二段階で決まる

こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律・令和6年法律第69号)の対象は,①どの事業が対象となるかと,②その事業で誰の業務が対象となるかの二段階で決まる。
事業は,法律上の義務を負う学校設置者等(法2条3項)と,認定を受けた場合に同等の措置を行う民間教育保育等事業者(同条5項)に分かれる。
職種は,法律が列挙する教員等(同条4項)又は教育保育等従事者(同条6項)に当たるかを,実際の業務に即して判断する。

施行ガイドラインは,職種名だけでなく,児童等と接する業務が支配性・継続性・閉鎖性の三つの要件を満たすかによって対象を判断するとしている。
同じ「事務職員」や「運転手」でも,業務の実態によって対象になる場合とならない場合がある。

2 本記事の基準日と資料

本記事は,令和8年10月17日に確認した法律・施行令の条文(令和8年12月25日施行時点),こども性暴力防止法施行ガイドライン(令和8年9月改訂)及びこども性暴力防止法に関するQ&A(令和8年9月29日改訂)に基づく。
職種の一覧は,ガイドラインが例示するものを整理したものであり,各施設が独自の名称で任用している職員は,名称ではなく業務の内容で当てはめる必要がある。

制度全体の義務と施行前の準備は,こども性暴力防止法とは―日本版DBSの対象・義務・令和8年12月25日の施行準備で説明している。

第2 義務対象となる施設・事業
1 学校・認定こども園・児童福祉施設等

次の施設を設置する者や事業を行う者は,学校設置者等として,犯罪事実確認を含む措置を法律上義務付けられる(法2条3項,施行ガイドライン38頁の図表4)。

①学校:幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,高等専門学校及び専修学校(高等課程)
②認定こども園:幼保連携型,幼稚園型,保育所型及び地方裁量型
③児童福祉施設等:児童相談所(一時保護施設を含む。),指定障害児入所施設等,乳児院,母子生活支援施設,保育所,児童館,児童養護施設,障害児入所施設,児童心理治療施設及び児童自立支援施設
④児童福祉事業:指定障害児通所支援事業(児童発達支援,放課後等デイサービス等),乳児等通園支援事業(こども誰でも通園制度)及び家庭的保育事業等(家庭的保育事業,小規模保育事業,居宅訪問型保育事業,事業所内保育事業)
⑤登録一時保護委託者

2 大学と専修学校の専門課程は義務対象ではない

大学は法2条3項1号イで,専修学校の専門課程は同号ロで,学校設置者等から除かれている。
Q&Aは,大学や専修学校(専門課程)は義務対象事業ではないが,大学が附属学校を設置している場合は,その設置者である国立大学法人や学校法人等が附属学校について対象事業者になるとしている(Q&A基礎編10-5)。
大学が自ら児童等を対象とする教育・保育の事業を行う場合は,要件を満たせば認定を受けることができる(同)。

第3 認定対象となる民間教育保育等事業
1 認定を受けると義務対象と同等の措置を行う

次の事業を行う者は,民間教育保育等事業者として,認定を受けることができる(法2条5項,施行ガイドライン51頁の図表7)。
認定は任意であるが,認定を受けた場合は,学校設置者等と同等の措置と犯罪事実確認を行う(Q&A基礎編4-8,法26条)。

①専修学校(一般課程)・各種学校で児童等を専ら対象とする学校教育に類する教育を行う事業
②高等学校の課程に類する教育を行う事業で内閣府令が定めるもの(海技教育機構の海技士教育科海技課程(本科)等)

(続きを読む...)こども性暴力防止法の対象となる職種と事業―学校・保育所・学習塾の一覧と事務職員・運転手・ボランティアの判断(AI作成)

こども性暴力防止法の犯罪事実確認とは―対象となる性犯罪・20年と10年の期間・確認の流れと事前通知(AI作成)

目次

第1 犯罪事実確認の結論と基準日1 国が交付する確認書で性犯罪前科の有無を確かめる仕組みである2 本記事の基準日と資料第2 対象となる「特定性犯罪」1 法律が列挙する罪2 迷惑防止条例と青少年健全育成条例の罪も含まれる3 改正前の罪名や懲役刑も対象になる4 被害者がこどもである罪に限られない第3 特定性犯罪事実該当者と期間1 実刑は20年,執行猶予と罰金は10年2 刑の言渡しの効力が失われた後も確認される3 期間を過ぎると「該当しない」と記載される第4 犯罪事実確認の対象にならないもの1 不起訴・示談2 特定性犯罪以外の罪3 少年審判による保護処分4 確認できない部分は日常の措置で補う第5 犯罪事実確認の流れ(確認方法)1 手続はこまもろうシステムで行う2 事業者が入力・提出するもの3 従事者が提出するもの4 法務大臣による照合と確認書の記載事項5 交付までの期間の目安第6 該当する場合の事前通知と訂正請求1 確認書の交付前に本人へ通知される2 本人が選べる三つの対応3 2週間が過ぎると確認書が交付される4 事業者が確認書を受け取った後第7 いつまでに確認するか1 従事者の区分ごとの期限2 急な欠員の場合の「いとま特例」第8 従事者が手続に応じない場合第9 確認書の廃棄・消去と罰則1 確認書の廃棄・消去の期限2 確認書の情報に関する罰則第10 よくある質問1 こども性暴力防止法の確認方法は?2 不起訴や示談になった場合も対象になるか3 執行猶予の期間が終われば対象外になるか4 事業者は罪名まで知ることになるか5 内定前や採用面接の段階で確認できるか6 犯罪事実確認の対象となる罪や期間は今後変わるか第11 出典1 法令2 こども家庭庁の資料3 個別の判断で確認が必要な事項
第1 犯罪事実確認の結論と基準日
1 国が交付する確認書で性犯罪前科の有無を確かめる仕組みである

こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律・令和6年法律第69号)の犯罪事実確認とは,対象事業者が,こどもと接する対象業務の従事者について,こども家庭庁から交付される犯罪事実確認書により,「特定性犯罪事実該当者」に当たるか否かを確認することである(法4条1項,こども家庭庁Q&A基礎編6-1)。
事業者が交付を申請し,こども家庭庁が法務大臣に照会して,裁判の確定記録と照合した結果を確認書にする(法33条~35条)。
確認書に該当する旨が記載される場合には,事業者へ交付される前に本人へ通知され,本人は2週間以内に訂正を請求できる(法35条5項,37条1項・2項)。

この確認は,すべての企業がすべての応募者の犯罪歴を調べられる制度ではない。
対象となるのは,法律が定める学校設置者等と認定を受けた民間教育保育等事業者が,対象業務に従事させる者について行う確認に限られる。
こども家庭庁のQ&Aは,本人の承諾があっても,対象業務に従事することが決定していなければ確認はできないとし,内定前の確認を否定している(Q&A基礎編6-4)。

2 本記事の基準日と資料

本記事は,令和8年10月17日に確認した法律・施行令(令和7年政令第440号)の令和8年12月25日施行時点の条文,こども性暴力防止法施行ガイドライン(令和8年9月改訂)及びこども性暴力防止法に関するQ&A(令和8年9月29日改訂)に基づく。
法の施行日は令和8年12月25日であり,犯罪事実確認はこの日から始まる。
システムの画面や運用の細部は施行までに更新される可能性があるので,実際の申請時には,こども家庭庁の最新資料を確認する必要がある。

制度全体の対象事業者,事業者の措置及び施行前の準備は,こども性暴力防止法とは―日本版DBSの対象・義務・令和8年12月25日の施行準備で説明している。
本記事は,その中の犯罪事実確認について,対象となる罪,期間,手続及び期限を詳しく扱う。

第2 対象となる「特定性犯罪」
1 法律が列挙する罪

犯罪事実確認で照会の対象となる性犯罪の類型を「特定性犯罪」という(法2条7項)。
施行ガイドラインの説明(29頁~31頁)に従って罪名を補うと,次のとおりである。

①刑法176条(不同意わいせつ),177条(不同意性交等),179条(監護者わいせつ及び監護者性交等),180条(未遂),181条(不同意わいせつ等致死傷),182条(16歳未満の者に対する面会要求等)並びに241条1項・3項及び243条(強盗・不同意性交等及び同致死並びにその未遂)の罪
②盗犯等の防止及び処分に関する法律4条の罪(刑法241条1項の罪を犯す行為に係るもの)
③児童福祉法60条1項の罪(児童淫行)
④児童買春・児童ポルノ法4条~8条の罪(児童買春,周旋,勧誘,児童ポルノの所持・提供等,児童買春等目的の人身売買等)
⑤性的姿態撮影等処罰法2条~6条の罪(性的姿態等の撮影,影像記録の提供・保管,影像送信,影像記録)
⑥都道府県の条例で定める罪であって,政令で定めるもの

2 迷惑防止条例と青少年健全育成条例の罪も含まれる

⑥の条例の罪は,みだりに人の身体の一部に接触する行為,下着や身体ののぞき見・盗撮,みだりに卑わいな言動,児童との性交・わいせつな行為のいずれかを罰するものである(法2条7項6号)。
施行令2条は,全都道府県の迷惑防止条例と青少年健全育成条例を中心に,対象となる条例を94号にわたって列挙している。
例えば,大阪府については,大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例と大阪府青少年健全育成条例が挙げられている(施行令2条53号・54号)。

いわゆる痴漢や盗撮が刑法ではなく条例違反として処罰された場合でも,対象となり得るということである。

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廃業時のリースの経営者保証はどう整理するか―ゼロ円弁済・残せる財産・税務の注意点(AI作成)

目次

第1 会社の廃業と個人保証の整理を分けて準備する第2 リース会社を債権者一覧から落とさない1 契約・物件・保証人を結び付ける2 対象債権者との調整を早期に始める第3 ゼロ円の弁済計画はあり得るが,自動的に認められない1 弁済能力と整理条件に基づいて判断する2 過去の延滞だけで結論を出さない第4 残せる財産とリース物件を混同しない第5 保証免除の税務と,資産売却による保証履行の税務を分ける1 保証を免除された場合2 資産を売って保証債務を支払う場合第6 相談時に揃える資料第7 根拠資料
第1 会社の廃業と個人保証の整理を分けて準備する

会社が事業をやめ,リース物件を返したとしても,それだけで経営者個人の保証債務が消えるわけではない。
廃業を考える場合には,会社側のリース契約の処理と,経営者個人の保証債務の整理を並行して確認する必要がある。

リース事業協会の自主的ルールは,会員会社のリース契約に付いた経営者保証について,ガイドラインの趣旨に沿った整理を扱っている。
本記事は,令和8年10月17日に公開資料を確認したものであり,保証人が弁済しない計画の可能性と,その条件及び実務上の準備を説明する。

第2 リース会社を債権者一覧から落とさない
1 契約・物件・保証人を結び付ける

銀行借入れだけでなく,リース契約,保証契約,物件の所在,残リース料,物件返還後の精算方法及び現在の請求先を確認する。
会社名義の契約でも,経営者個人に保証債務が生じているものを,個人の債権者一覧に反映する必要がある。

物件を返還すれば残債務が当然にゼロになるとは限らない。
物件の処分価額や保険金が債権額にどう反映されるかを確かめ,同じ回収額を二重に控除したり,逆に精算に反映し忘れたりしないようにする。

廃業の準備期間に設備を使用するための支払と,物件返還後の残リース料等の処理は分けて検討する。
会社自身が負う債務と,経営者が保証人として負う債務も別である。
保証債務の整理に参加してもらうことと,会社が残リース料を優先的に全額支払うことを同一視しない。

会社の支払については,資金繰りや金融機関との調整に加え,解散後の債権申出期間中の会社法500条,特別清算開始後の同法537条による制限も確認する必要がある。
廃業を決めた会社は取引先に支払ってよいかで,手続の段階と破産へ移行した場合のリスクを説明している。

2 対象債権者との調整を早期に始める

協会の自主的ルール第6項とQ&AのQ16は,他の対象債権者から保証債務整理への協力を求められた場合の対応を扱っている。
要件を満たすか明らかでない段階でも,個別事情に応じた誠実な対応が示されているため,銀行との調整が終わってからリース会社に初めて連絡する進め方は避けたい。

会社側の計画だけで個人保証も処理できたと考えず,対象となる保証債権者の同意と,保証人に対する請求の処理を確認する必要がある。
経営者保証に関するガイドラインは,自主的な準則に基づく整理であり,反対する保証債権者を当然に多数決で拘束する制度ではない。

保証人本人の住宅ローンその他の固有債務も,会社の債務を保証したものとは分けて一覧に載せる。
保証債務だけを整理しても,残る固有債務が弁済計画の履行を妨げれば,保証人の破産を回避できないことがある。
同じ金融機関に対する債務であっても,会社の借入れに係る保証債務と,本人が借り入れた固有債務を合算して扱わない。

「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」は,固有債権者も対象債権者になり得るとし,協議の結果,その債務を弁済計画に含める場合は,資産の処分・換価で得た金銭の配分の対象に含まれると説明する。
対象に含まれない場合にも誠実な協議対応が期待されるが,協議を求めたことだけで本人の住宅ローン等が当然に免除されるものではない。
対象に含める債務,担保の扱い,配分及び同意内容を具体的に確認する必要がある。

第3 ゼロ円の弁済計画はあり得るが,自動的に認められない
1 弁済能力と整理条件に基づいて判断する

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リース契約の経営者保証を外せるか―無保証審査・既存保証の解除・事業承継(AI作成)

目次

第1 リースの個人保証も見直しの対象になる第2 新しい契約で保証を付けずに審査してもらう1 四つの検討事項を資料で示す2 保証を求める理由も確認する第3 小口リースというだけで諦めない第4 既に付いている保証の削減・解除を求める1 契約時から変わった事情を示す2 相談前に揃えるもの第5 事業承継・M&Aでは旧経営者と後継者を別々に確認する第6 よくある質問1 決算内容が良ければ必ず保証を外せるか2 会社の支払が難しい場合も解除相談で足りるか第7 根拠資料
第1 リースの個人保証も見直しの対象になる

会社のリース契約に経営者個人の保証が付いている場合には,新規契約時の無保証での審査と,既存保証の削減・解除を分けて相談することができる。
リース事業協会は,経営者保証に関するガイドラインの趣旨を踏まえ,協会の会員会社に適用する自主的ルールを設けている。
ファイナンス・リースだけでなく,オペレーティング・リースも対象とされている。

本記事は,令和8年10月17日に協会が公開している自主的ルールとQ&Aを確認したものである。
協会のルールは法律上の強制力を持つものではなく,要件に関する資料を提出すれば当然に保証を外せるという制度ではない。
まず契約先が会員会社であるか,契約と保証がルールの対象となるかを確認する必要がある。

第2 新しい契約で保証を付けずに審査してもらう
1 四つの検討事項を資料で示す

自主的ルール第4項は,法人と経営者個人の資産・経理の分離,法人と経営者間の資金のやり取りの適切性,法人だけの資産・収益力による履行可能性及び財務情報の適切な開示を検討事項としている。
会社口座と個人口座の使い分け,役員貸付金等の内容,リース料を含む資金繰り及び決算書等を,実際の取引に即して説明することが重要である。

Q&AのQ9は,これら四つを全て満たさなければ無保証の検討をしないというものではないと説明している。
一つの事項に課題がある場合も,その内容,改善状況及び他の保全方法を明らかにして相談する意味がある。
これは無保証での審査に関する説明であり,債務整理の利用条件まで全て任意になるという意味ではない。

2 保証を求める理由も確認する

無保証を希望する場合には,申込みの段階でその希望と資料を伝える。
リース会社が保証を必要と判断した場合には,何が不足し,どのような改善が見直しにつながるかを具体的に確認することが,その後の相談にも役立つ。
Q&AのQ11は説明の具体化を求め,書面による説明が望ましいとしている。

第3 小口リースというだけで諦めない

自主的ルールでいう小口リース取引は,単に契約額が小さい取引という意味ではなく,サプライヤーを通じて顧客の申込みを受け付ける取引として説明されている。
契約の販売経路と,リース会社がどのような審査をするかを確認する必要がある。

小口リースでは取引の特性に応じた取扱いがあるが,顧客から無保証を希望する旨の申出があれば,保証を求めずに契約できるか検討するものとされている。
また,Q&AのQ13に出てくる1,000万円超という数字は,1社について1人の保証人が保証している小口リース取引の残高に関する取扱いである。
全てのリース契約について1,000万円を保証の可否の境界にする規定ではない。

第4 既に付いている保証の削減・解除を求める
1 契約時から変わった事情を示す

自主的ルール第5項は,既存の保証契約の見直しも扱っている。
会社の財務状況,個人との資産・経理の分離,情報開示の改善等を示し,保証の必要性が現在もあるかを相談する。
新しい契約だけ無保証になっても,過去の契約の保証まで当然に消えるわけではないため,対象契約を一覧にする必要がある。

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信用情報機関とは―CIC・JICC・KSCの違い,開示方法・費用と何年で消えるか(AI作成)

目次

第1 信用情報機関とは何をするところか第2 CIC・JICC・KSCの違いと開示先の選び方1 3機関は同じ情報を一括保管する窓口ではない2 どこがよいかは調べたい内容によって決まる第3 信用情報を開示する方法と費用1 本人がオンラインで申し込む場合の費用2 申込み前に整理する情報と受領後の確認順序第4 信用情報は何年で消えるか1 5年・7年だけでなく情報の種類と起算点を確認する2 JICCの古い契約と債務整理後の確認第5 信用情報の訂正・削除を求めたい場合第6 免許証画像の流出では本人申告と開示を使い分ける1 本人申告は注意喚起,開示は登録内容の確認である2 全ての契約や口座開設を停止する制度ではない第7 信用情報機関についてよくある質問1 信用情報機関のJICCとCICの違いは何か2 KSCは何年で消えるか3 信用情報機関はどこがよいか4 完済したらすぐに信用情報は消えるか5 信用情報を削除すれば必ずカードを作れるか6 本人申告をすれば信用情報の開示は不要か7 相続人が開示して登録なしなら,被相続人の借金はないか第8 主な出典と公式手続の入口
第1 信用情報機関とは何をするところか

信用情報機関とは,加盟する金融会社等から登録されたローンやクレジットの契約内容,返済・支払状況等の信用情報を管理し,加盟会社の与信判断の参考となる情報を提供する機関である。
日本では,CIC,JICC及び全国銀行個人信用情報センター(KSC)が主な確認先となる。
信用情報を提供する機関と,貸付けやカード発行の可否を決める会社は区別する必要がある。

自分の登録内容を知る手続が「信用情報の開示」であり,免許証画像の流出等に伴う注意喚起を登録する「本人申告」とは目的が異なる。
誤った情報の訂正・削除について問い合わせる場合も,まず開示結果から対象の契約と登録元会社を特定することが出発点になる。
本記事は,令和8年10月17日に確認した3機関及び金融庁の公表資料に基づく。

第2 CIC・JICC・KSCの違いと開示先の選び方
1 3機関は同じ情報を一括保管する窓口ではない
機関公表資料で確認できる主な情報調べるときの注意点CIC(株式会社シー・アイ・シー)クレジットやローンの契約内容・支払状況,申込情報,利用記録等契約時の電話番号等が開示条件に関係する。CICに登録されている範囲を確認する。JICC(株式会社日本信用情報機構)契約内容,返済状況,債務整理・保証履行等の取引事実,申込情報等令和元年10月1日の前後で,契約日による登録期間の取扱いが異なる。全国銀行個人信用情報センター(KSC)ローン等の取引情報,照会記録,破産・民事再生手続開始決定の官報情報等取引情報と官報情報の登録期間を分けて読む。KSCは全国銀行協会が設置・運営している。

比較の要点は,「CICなら全てのカード,JICCなら全ての消費者金融,KSCなら全ての銀行」という固定的な振り分けで考えないことである。
確認したい会社の加盟先と,その機関に登録される情報を確かめる。
同じ会社や契約について,複数の機関の確認が必要になることもある。

2 どこがよいかは調べたい内容によって決まる

特定の契約内容を確認したい場合は,契約先が加盟する機関を確認して開示先を選ぶ。
借入先自体が分からない場合は,1機関の結果だけで借入状況全体を把握できるとは限らず,3機関への開示が必要となる場合がある。
金融庁も,借入先が不明な場合には3機関全てへの開示が必要になることがあると案内している。

したがって,「最も安い1機関を選べば十分」「銀行の借入れだから他の機関は関係しない」とは限らない。
費用だけでなく,何を確認するための開示かを先に整理するのがよい。
公式の開示案内は次節の表から確認できる。

第3 信用情報を開示する方法と費用
1 本人がオンラインで申し込む場合の費用

次の金額は,令和8年10月17日に確認した本人向けのオンライン開示の手数料である。
郵送,代理人,相続人による手続の費用・必要書類は同じとは限らないため,それぞれの公式案内を確認する。

機関本人のオンライン開示公式案内CIC500円https://www.cic.co.jp/credit-report/JICCスマホアプリからの申込み700円(税込み)https://www.jicc.co.jp/kaiji/01KSC800円(税込み。令和8年4月1日以降の改定額)https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/info/21544/

CICのインターネット開示では,インターネットを利用できるスマートフォン,CICに登録されている電話番号及び署名用電子証明書が有効な本人のマイナンバーカード等が必要である。
JICCのスマホ申込みでも,マイナンバーカードの電子証明書による本人認証が案内されている。
利用できる端末や認証方法,受付状況は変更され得るため,申込み直前に公式ページを確認する。

2 申込み前に整理する情報と受領後の確認順序

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経営者保証を整理したのにCICに異動が残るとき―特定調停後の信用情報の確認と訂正(AI作成)

目次

第1 保証整理が終わった後も確認すること1 債務の整理と信用情報の処理を分ける2 この記事の対象第2 CICの「異動」と「完了」の意味1 異動は何を示すか2 完了になれば異動も消えるか3 保有期間の起算点を確認する第3 経営者保証ガイドラインが定める取扱い1 事故情報の不登録と履行完了の登録2 特定調停を利用しただけで判断しない第4 貸金業者・リース会社について確認すること1 消費者金融という業態名だけで除外しない2 リース事業協会のガイドラインを確認する3 整理した時期と当時の版を確認する第5 異動が残っている場合の確認・訂正の進め方1 開示結果と調停資料をそろえる2 最初に登録元へ照会する3 解決しない場合はCICへの調査依頼を検討する4 訂正後は再開示で確かめる第6 住宅ローンの申込みと相談時の資料1 情報の訂正と融資の承認を分ける2 弁護士への相談時に用意するもの第7 関連記事と公式資料1 会社と保証人の手続を検討する記事2 公式資料と確認箇所
第1 保証整理が終わった後も確認すること
1 債務の整理と信用情報の処理を分ける

会社を破産させ,代表者個人の保証債務を経営者保証ガイドラインに基づく特定調停で整理しても,その後の信用情報の処理は確認する必要がある。
CICの開示報告書で終了状況が「完了」となっていても,返済状況に「異動」が残っている場合には,登録した会社,異動の原因と発生日,調停の内容及び契約終了の時期を突き合わせることが重要である。

経営者保証ガイドラインには,対象となる保証整理に関連する事故情報を登録しない取扱いがある。
したがって,「完了と表示されているから問題ない」「消費者金融やリース会社だから異動が残るのは仕方がない」と,表示や業態名だけで結論を出すべきではない。

2 この記事の対象

本記事は,令和8年10月17日に確認した公式資料に基づき,経営者保証の整理後にCICの登録内容を確認する際の一般的な手順を説明する。
対象は会社債務の個人保証を整理する場面であり,代表者自身の生活費の借入れ等の固有債務について,同じ取扱いが当然に及ぶものではない。

個別の異動情報を訂正・削除できるかは,登録原因,保証契約,適用するガイドライン,債権者との合意及び登録時期によって異なる。
信用情報の訂正ができることと,新たな住宅ローン等の審査に通ることも別の問題である。

個人事業主本人が借りた事業資金は,本人の主債務であり,会社等の債務を保証した場合の保証債務とは異なる。
中小企業の事業再生等に関するガイドラインは個人事業主も対象に含むが,そのことから,経営者保証ガイドライン8⑸の保証人についての取扱いが本人借入れの整理にも当然に及ぶわけではない。
経営者保証ガイドラインの対象となる主たる債務者の範囲に個人事業主が含まれることとも区別する。

本人借入れと保証債務が併存する場合の整理は,個人事業主の廃業と借金―経営者保証との違いと私的整理・個人再生の選び方を参照されたい。

第2 CICの「異動」と「完了」の意味
1 異動は何を示すか

CICの公式説明によれば,「異動」には,返済日から61日以上又は3か月以上の支払遅延,保証会社による返済,破産手続開始決定に係る情報等が含まれる。
異動は「債務整理」という言葉と常に同じ意味ではないため,どの事由で登録されたかを登録元に確認する必要がある。

会社が破産したことと,代表者個人が破産したことは区別する。
また,代表者が会社の保証人であることだけで,異動原因がCICの説明する保証会社による保証履行と分かるわけではない。

2 完了になれば異動も消えるか

「完了」は,支払が完了して契約が終了したことを示す終了状況の表示である。
これに対し,「異動」は過去の支払状況等に係る情報であり,CICは,延滞等が解消した後も保有期限までは異動の記録が残ると説明している。

このように表示が併存し得ることと,経営者保証ガイドラインによる整理に際して当該異動を登録・維持することが適切かどうかは,分けて検討しなければならない。
完了の表示だけを見て調査を終えず,異動の原因とガイドラインによる合意の範囲を確認する。

3 保有期間の起算点を確認する

CICのクレジット情報の保有期間は,契約期間中及び契約終了後5年間である。
異動発生日や特定調停の成立日から一律に5年を数えるのではなく,実際の契約終了の処理と,開示報告書に示された保有期限を確認する必要がある。

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