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税務・労働法・社会保険・フリーランス法における労働者性の判定(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

1 同じ人でも制度ごとに結論が異なる

「業務委託契約を締結したから労働者ではない」「請求書を発行しているから事業者である」「給与所得として源泉徴収したから労働者である」という理解は,いずれも正確ではない。
税務上の給与所得者,労働基準法・労働契約法上の労働者,労働組合法上の労働者,健康保険・厚生年金保険上の被用者,雇用保険上の被保険者及びフリーランス法上の特定受託事業者は,異なる制度目的と要件によって判定されるからである。

したがって,同じ人が,労働基準法上は労働者に当たらなくても労働組合法上は労働者に当たることがあり,労働組合法上の労働者でありながらフリーランス法上の特定受託事業者にも当たることがある。
税務上の給与所得,社会保険上の被保険者資格及び労働法上の労働者性についても,一つの判定結果を他の制度へそのまま移すことはできない。

2 調査の基準時と用語

本記事は,令和8年8月24日現在の法令,裁判例及び行政資料に基づく。
本記事で「社会保険」という場合は主として健康保険及び厚生年金保険を指し,必要な範囲で雇用保険及び労災保険にも触れる。

民法623条の雇用,632条の請負,643条の委任及び656条の準委任は契約上の権利義務を定める類型である。
もっとも,契約書を「請負」「準委任」「業務委託」等と名付けても,強行法規である労働関係法令の適用を契約名だけで排除することはできない。

第2 制度横断の判定地図

1 各制度が問うもの

各制度の中核となる問いは,次のとおりである。
同じ事実を用いる場面が多い一方,保護又は課税の目的が異なるため,判定基準の重み付けも同一ではない。

制度中核となる問い主な肯定方向の事情制度固有の注意点
労働基準法・労働契約法・労災保険他人の指揮監督下で労務を提供し,その対償として賃金を受ける者か仕事を断りにくい,具体的指示,時間・場所の拘束,代替不能,時間給等使用従属性を中心に実態を総合判断する
労働組合法団体交渉による保護を及ぼすべき労務供給者か事業組織への組入れ,一方的な契約条件,労務対価性,依頼への対応労働基準法上の労働者より広い
所得税雇用又はこれに類する原因に基づく労務の対価か,独立した事業から生じた所得か指揮命令,時間・場所の拘束,継続的労務,労務それ自体への対価給与所得,事業所得又は雑所得を課税目的に即して区分する
健康保険・厚生年金保険適用事業所に実質的に使用され,経常的労務の対価を受ける者か継続的・実質的な労務提供と経常的報酬法人代表者・役員も該当し得る
雇用保険事業主との間に実質的な雇用関係があるか指揮監督,時間・場所の拘束,賃金性,専属性雇用関係のほか所定労働時間等の固有要件がある
フリーランス法従業員を使用しない個人等に対する事業者間の業務委託か発注事業者と受注事業者の取引当該関係で労基法上の労働者なら同法は適用されない

2 判定を一つのチェック数で決めない

判断要素は,該当する項目の数を単純に足し算するためのチェックリストではない。
例えば,作業時間が決められていても,安全管理又は顧客施設の利用時間という業務の性質から必要な制約にすぎない場合があり,反対に,契約上は仕事を断れるとされていても,拒否すると次の発注がなくなる運用であれば実質的な諾否の自由は乏しい。

契約書,請求書,開業届,確定申告,源泉徴収,社会保険の届出及び就業規則の適用は重要な資料になり得る。
しかし,これらは当事者の選択又は事務処理によって作られる外形であるため,実際の指示,拒否時の不利益,報酬計算,費用負担及び代替実績と食い違うときは,実態を優先して評価する必要がある。

第3 労働基準法・労働契約法・労災保険法

1 条文と使用従属性

労働基準法9条は,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者を労働者と定め,同法11条は賃金を労働の対償として使用者が労働者に支払うものと定める。
労働契約法2条1項も,使用者に使用されて労働し,賃金を支払われる者を労働者と定めており,労働基準法の判断枠組みが基本的に妥当する。

労災保険法上の労働者も,原則として労働基準法9条の労働者と同義に解される。
もっとも,労働者に該当しない個人事業主等にも労災保険の特別加入制度があるため,特別加入の有無と労働者性を混同してはならない。

2 昭和60年報告の判断要素

昭和60年労働基準法研究会報告は,労務提供の形態と報酬の労務対償性からなる「使用従属性」を中心に据える。
労務提供の形態では,①仕事の依頼等に対する諾否の自由,②業務遂行上の指揮監督,③勤務場所・勤務時間の拘束及び④本人に代わって他人が労務を提供できるかという代替性を検討する。

報酬については,時間給又は日給,欠勤控除,残業手当等が労務対償性を補強する。
さらに,機械・器具及び経費の負担,報酬額,損害責任等に現れる事業者性,特定の相手方への専属性,源泉徴収,労働・社会保険,服務規律及び福利厚生等を補強要素として考慮する。

3 最高裁判例が示す事実評価

最高裁平成8年11月28日第一小法廷判決・平成7年(行ツ)第28号・横浜南労基署長(旭紙業)事件は,自己所有トラックで運送に従事した運転手について,業務遂行方法の指示が限定され,時間的拘束も一般従業員より緩く,車両及び経費を自己負担していたこと等から労働者性を否定した。
指示が全く存在しなかったからではなく,運送という業務上通常必要な指示を超える指揮監督が乏しく,自己の計算と危険による事業者性が強かった事案である。

最高裁平成17年6月3日第二小法廷判決・平成14年(行ヒ)第96号・関西医科大学研修医事件は,臨床研修医が指導医の指示の下で医療行為等に従事し,病院のための労務提供という側面を有していたことから労働者性を肯定した。
「奨学金」という支払名目又は教育を受ける立場であることは,実際の労務提供を理由とする労働者性を否定しなかった。

最高裁平成19年6月28日第一小法廷判決・平成17年(行ヒ)第145号・藤沢労基署長事件は,一人親方の大工について,具体的な工法及び作業手順を自ら選び,休む自由があり,道具を自己所有し,出来高報酬を受けていたこと等から労働者性を否定した。
仕様及び寸法の指示,作業可能時間の制約並びに専属的に見える就労があっても,その理由と実質を検討した事例である。

4 令和8年の見直しは未確定である

厚生労働省の「労働基準法における『労働者』に関する研究会」は,令和8年7月17日の第6回会合まで開催されている。
これまでの議論の整理(案)は,プラットフォーム事業,アルゴリズム及びGPSによる管理,事業組織への組入れ,契約条件の一方的決定並びに推定規定等を検討しているが,70頁の「案」であり,現行法を変更する最終報告又は新しい確定基準ではない。

第4 労働組合法

1 労働基準法より広い概念である

労働組合法3条は,職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者を労働者と定める。
同法は団体交渉を通じて交渉力の不均衡を是正する制度であるため,罰則を伴う最低労働条件を適用する労働基準法より労働者の範囲が広い。

平成23年労使関係法研究会報告書は,基本的判断要素として,①事業組織への組入れ,②契約内容の一方的・定型的決定及び③報酬の労務対価性を挙げる。
補充的判断要素は,④業務の依頼に応ずべき関係及び⑤広い意味での指揮監督下の労務提供と一定の時間的・場所的拘束であり,消極的判断要素は⑥顕著な事業者性である。

2 個人事業者の外観があっても肯定される

最高裁平成23年4月12日第三小法廷判決・平成21年(行ヒ)第226号・新国立劇場運営財団事件は,出演基本契約を締結した合唱団員について,年間を通じた事業組織への組入れ,出演条件,報酬,出演依頼及び指揮監督等を総合して労働者性を肯定した。
最高裁平成24年2月21日第三小法廷判決・平成22年(行ヒ)第104号・ビクターサービスエンジニアリング事件も,業務委託契約を締結した個人代行店について,会社の事業遂行に不可欠な労働力として組み入れられ,報酬に労務対価性があること等を重視した。

東京都労働委員会令和4年11月25日命令・令和2年(不)第24号・Uber Japanほか事件は,配達パートナーの労働者性を肯定した。
他方,セブン-イレブン・ジャパン事件では,中央労働委員会が加盟者の自己資本,損益帰属,従業員利用,経営裁量及び顕著な事業者性を重視して労働者性を否定し,最高裁令和5年7月12日決定・令和5年(行ヒ)第115号により否定判断が確定したため,プラットフォーム又はフランチャイズという取引形式だけで結論を一般化することはできない。

第5 所得税上の給与所得と事業所得

1 給与所得の基準

所得税法28条は俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得を給与所得とし,同法27条は農業,製造業,卸売業,小売業,サービス業その他の事業から生ずる所得を事業所得とする。
同法35条の雑所得を含め,所得区分は納税者の呼称又は申告の選択だけで決めるものではない。

最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決・昭和52年(行ツ)第12号・民集35巻3号672頁は,事業所得を,自己の計算と危険において独立して営まれ,営利性・有償性を有し,反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生ずる所得とした。
これに対し,給与所得は,雇用契約又はこれに類する原因に基づき,使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価であり,空間的・時間的拘束,継続的又は断続的な労務提供及び労務の対価性が重視される。

2 労働法と重なるが同一ではない

税務と労働法は,指揮命令,時間・場所の拘束,代替性,費用及び危険の負担並びに報酬の計算方法という基礎事実を共通して用いる。
もっとも,所得を分類する税法と最低労働条件を保障する労働基準法では制度目的及び法文が異なるため,給与所得であることから労働基準法上の労働者性が当然に導かれるわけではない。

典型例は役員報酬である。
会社役員に対する定期同額給与等は税務上の給与になり得る一方,代表取締役が会社の指揮命令下で働く労働基準法上の労働者であるとは通常いえない。

3 消費税の判定要素と具体例

消費税法基本通達1-1-1は,個人事業者と給与所得者の区分について,①他人に代替させられるか,②作業時間を指定されるなど指揮監督を受けるか,③不可抗力で成果物が滅失しても既に遂行した役務について報酬を請求できるか及び④材料又は用具を供与されているかを総合勘案するとする。
この通達も,四項目の多数決又は一項目だけによる判定を示したものではない。

最高裁昭和56年判決では弁護士の顧問料が事業所得とされた一方,最高裁平成13年7月13日第二小法廷判決・平成12年(行ツ)第13号・裁判集民事202号673頁では,りんご生産組合の作業員に対する支払が給与所得とされた。
また,国税庁は,個人医師が事業者から受ける産業医報酬を原則として給与収入とする一方,医療法人が勤務医を派遣して受ける委託料と区別しており,弁護士又は医師という資格名だけで所得区分は決まらない。

第6 健康保険・厚生年金保険及び雇用保険

1 健康保険・厚生年金保険の「使用される者」

健康保険法3条1項及び厚生年金保険法9条は,適用事業所に使用される者を被保険者とする。
形式的な雇用契約に限られず,事業所との間に実質的な使用関係があり,経常的に労務を提供し,その対価として経常的報酬を受ける者が含まれる。

厚生労働省の制度資料は,健康保険・厚生年金保険の「使用される者」が労働基準法上の労働者より広く,法人代表者等を含み得るという概念整理を示す。
岡山地裁昭和37年5月23日判決・昭和35年(行)第3号及び広島高裁岡山支部昭和38年9月23日判決・昭和37年(ネ)第99号・岡山製パン事件も,法人代表者であっても法人に労務を提供し,その対価として報酬を受ける実質があれば「使用される者」となり得ることを示した。

2 役員及び個人事業主の資格確認

厚生労働省令和8年3月18日保保発0318第1号・年管管発0318第1号「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」は,法人経営への参画を内容とする経常的な労務の提供と,その対価としての経常的な報酬を確認することを求める。
名目的な役員就任,実質的な労務提供の欠如又は報酬が労務の対価でない事情があれば,資格は否定され得る。

実際の被保険者資格には,この人的な使用関係だけでなく,事業所の適用,年齢,所定労働時間及び所定労働日数等の制度固有要件が必要である。
したがって,「労働基準法上の労働者でないから厚生年金に入れない」「役員報酬を受けるから必ず被保険者である」という双方の推論を避けるべきである。

3 雇用保険は実質的な雇用関係を問う

雇用保険では,事業主との間に実質的な雇用関係があり,適用除外に当たらないかを判定する。
業務執行権を有する取締役は原則として被保険者とならないが,従業員としての身分を併有し,指揮監督,賃金,勤務実態等から労働者的性格が強い兼務役員では例外があり得る。

令和8年8月現在,短時間労働者は,原則として1週間の所定労働時間が20時間以上であり,かつ,31日以上引き続き雇用されることが見込まれる場合に雇用保険の対象となる。
ただし,この数値要件を満たすことだけで,独立事業者との契約が雇用関係へ変わるものではない。

第7 フリーランス法

1 事業者間取引を規律する法律である

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律は,従業員を使用しない個人又は代表者一人で従業員を使用しない法人等が,事業者から業務委託を受ける取引を規律する。
同法は,取引条件の明示,報酬支払,禁止行為,募集情報,育児介護への配慮,ハラスメント対策及び中途解除の予告等を定めるが,新しい「労働者」の類型を作る法律ではない。

公正取引委員会のQ&Aによれば,「従業員を使用する」とは,1週間の所定労働時間が20時間以上で,かつ,継続して31日以上雇用されることが見込まれる労働基準法上の労働者を雇用することをいう。
この要件を満たす派遣労働者の受入れも含まれる一方,同居の親族のみを使用する場合は含まれず,別の会社に雇用されている者も副業として他社から業務委託を受ける関係では特定受託事業者となり得る。

2 同一関係では労基法と排他的で労組法とは重複し得る

契約上は業務委託であっても,実態から当該発注者との関係で労働基準法上の労働者と判断される者には,その関係についてフリーランス法ではなく労働関係法令が適用される。
他方,労働組合法上の労働者は,団体交渉による保護という別の目的から広く捉えられるため,フリーランス法上の特定受託事業者と両立し得る。

したがって,発注者は,フリーランス法に沿った発注書を交付したという理由だけで労働基準法上の責任を免れない。
受注者も,フリーランス法による保護を受けることと,労働組合を通じて団体交渉を求めることが論理的に両立し得る。

3 現行ガイドラインと執行状況

フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインは令和8年1月1日に改定され,独占禁止法,中小受託取引適正化法,フリーランス法及び労働関係法令の適用関係を示している。
公正取引委員会が令和8年6月10日に公表した令和7年度の運用状況は,新規着手1,626件,処理1,597件,措置1,552件であり,措置の内訳は勧告10件及び指導1,542件であった。

これらはフリーランス法の取引規制に関する執行件数であり,労働者性が肯定又は否定された件数ではない。
執行件数の多さから,労働基準法上の労働者の範囲が拡大したと読むことはできない。

第8 横断判定で集める証拠

1 契約名称より先に事実表を作る

具体的案件では,まず全制度に共通する事実表を一つ作り,その同じ事実を各制度の目的及び要件へ個別に当てはめるべきである。
最初に確認する事項は次のとおりである。

① 誰が仕事の受注又は拒否を決め,拒否するとどのような不利益があるか。
② 誰が作業方法,順序,時間,場所,服装,接客方法及び休暇を決めるか。
③ 本人に代わって第三者に仕事をさせることが契約上及び実際上可能か。
④ 報酬が時間,日数,労務量又は完成成果のいずれに連動するか。
⑤ やり直し,滅失,事故,売掛金,材料,工具,交通費及び保険等の危険と費用を誰が負担するか。
⑥ 複数顧客との取引,価格交渉,広告,従業員使用及び利益又は損失という独立事業の実態があるか。
⑦ 相手方の組織,ブランド,業務フロー,評価,制裁及びアプリの仕組みにどの程度組み込まれているか。
⑧ 契約条件を個別交渉できるか,一方的かつ定型的に変更されるか。
⑨ 税務,労働保険,社会保険,服務規律及び福利厚生上の取扱いが実態と一致しているか。

2 保存すべき客観資料

実際の就労ログ,シフト,位置情報,入退場記録,業務マニュアル,指示チャット,拒否後の発注履歴,評価及び制裁の記録,報酬明細,請求書,価格交渉,経費及び設備の負担資料並びに第三者への再委託記録は,契約書の抽象的な一般条項より強い証拠になり得る。
アプリ又はアルゴリズムによる指示であっても,人による口頭の命令でないという理由だけで指揮監督性が否定されるものではない。

税務調査,労働基準監督署,労働委員会及び年金事務所に対し,同じ契約について相互に矛盾する説明をすると,説明の信用性だけでなく,源泉所得税,消費税,未払賃金及び保険料の遡及処理にも影響し得る。
契約書を後から整えるだけでなく,日常運用を事実表と一致させ,判定日,根拠資料及び責任者を記録する必要がある。

3 期間制限は制度ごとに確認する

労働者性が肯定されても,未払賃金,労災保険給付,不服申立て,社会保険の資格及び税務上の更正等には,それぞれ異なる期間制限及び手続がある。
契約関係の判定を待つ間に期限が進むことがあるため,具体的請求がある場合は,労働者性の検討と期間管理を並行させる必要がある。

第9 判断を誤りやすい例

1 肯定又は否定を自動的に導かない事情

次の事情は,単独では結論を決めない。
相互の整合性と実際の運用を確認する必要がある。

① 業務委託契約書,請負契約書又は準委任契約書という表題。
② 開業届,青色申告,インボイス登録又は請求書の発行。
③ 給与所得としての源泉徴収又は源泉徴収をしていないこと。
④ 健康保険,厚生年金保険,雇用保険又は労災保険の加入若しくは未加入。
⑤ 一社専属であること又は複数社から受注していること。
⑥ 時間又は場所が指定されていること。
⑦ 高額報酬,出来高払又は固定報酬であること。
⑧ 法人化,役員就任又は「パートナー」等の肩書。

2 最終的な判定手順

判定は,①契約主体及び対象となる一つの取引関係を確定し,②客観資料から共通事実を固定し,③各法の制度目的と定義へ別々に当てはめ,④税務・労務・社会保険の届出と説明の矛盾を点検し,⑤制度固有の人数,労働時間,事業所及び期間の要件を加えて行う。
業種別の裁判例は結論だけを借りず,その事件で誰が方法を決め,誰が費用及び危険を負い,どのように報酬を算定していたかを比較する必要がある。

既存記事の「『労働者性』の判断基準」は労働基準法・労働組合法の判断要素と労災保険の事例を扱い,「従業員を使用しない弁護士が企業の訴訟代理をする場合のフリーランス法」は弁護士への業務委託に即してフリーランス法を扱っている。
弁護士の被保険者資格及び労災保険特別加入については「弁護士の社会保険」を参照されたい。

第10 出典・参考資料

1 法令

民法623条,632条,643条及び656条。
労働基準法9条及び11条並びに労働契約法2条。
労働組合法3条。
所得税法27条,28条及び35条。
健康保険法3条並びに厚生年金保険法9条。
雇用保険法4条及び6条。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律2条その他本文記載の関係条文。

2 裁判例・労働委員会命令

最高裁平成8年11月28日第一小法廷判決・平成7年(行ツ)第28号・労働判例714号14頁・横浜南労基署長(旭紙業)事件。
最高裁平成17年6月3日第二小法廷判決・平成14年(行ヒ)第96号・民集59巻5号938頁・関西医科大学研修医事件。
最高裁平成19年6月28日第一小法廷判決・平成17年(行ヒ)第145号・裁判集民事224号701頁・藤沢労基署長事件。
最高裁昭和51年5月6日第一小法廷判決・昭和48年(行ツ)第84号・民集30巻4号437頁・CBC管弦楽団労組事件。
最高裁平成23年4月12日第三小法廷判決・平成21年(行ヒ)第226号・民集65巻3号943頁・新国立劇場運営財団事件。
⑥ 最高裁平成23年4月12日第三小法廷判決・平成21年(行ヒ)第473号・裁判集民事236号327頁・INAXメンテナンス事件。
最高裁平成24年2月21日第三小法廷判決・平成22年(行ヒ)第104号・民集66巻3号955頁・ビクターサービスエンジニアリング事件。
東京都労働委員会令和4年11月25日命令・令和2年(不)第24号・Uber Japanほか事件。
中央労働委員会平成31年2月6日命令・平成26年(不再)第49号及び同第50号・セブン-イレブン・ジャパン事件並びに東京地裁令和4年6月6日判決・令和元年(行ウ)第460号,東京高裁令和4年12月21日判決・令和4年(行コ)第184号及び最高裁令和5年7月12日決定・令和5年(行ヒ)第115号。
⑩ 最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決・昭和52年(行ツ)第12号・民集35巻3号672頁。
同判決は裁判所HP未掲載であり,民集の書誌及び国税庁税大論叢73号所収の判例研究で確認した。
⑪ 最高裁平成13年7月13日第二小法廷判決・平成12年(行ツ)第13号・裁判集民事202号673頁・りんご生産組合作業員事件。
岡山地裁昭和37年5月23日判決及び広島高裁岡山支部昭和38年9月23日判決・昭和35年(行)第3号及び昭和37年(ネ)第99号・行集13巻5号943頁及び同14巻9号1684頁・岡山製パン事件。

3 行政資料

① 厚生労働省「労働基準法研究会報告 労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日)。
② 厚生労働省「労使関係法研究会報告書」(平成23年7月)。
③ 厚生労働省「労働基準法における『労働者』に関する研究会」開催資料及び「これまでの議論の整理(案)」(令和8年7月17日)。
④ 国税庁「所得区分を巡る判例の傾向と問題点」(税大論叢73号),「消費税法基本通達」1-1-1及び「産業医の報酬」。
⑤ 厚生労働省令和8年3月18日保保発0318第1号・年管管発0318第1号「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」,厚生労働省「被用者保険の適用範囲」及び「雇用保険の被保険者に関する取扱い」。
⑥ 公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律Q&A」,内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和8年1月1日改定)及び公正取引委員会「令和7年度におけるフリーランス法の運用状況」(令和8年6月10日)。

4 文献

① 山川隆一・渡辺弘編著『労働関係訴訟Ⅰ』(最新裁判実務大系7,青林書院,平成30年)3頁~17頁。
② 日本労働法学会編『日本労働法学会誌138号 労働者概念の再検討』(法律文化社,令和7年)所収・川口美貴論文40頁,49頁~52頁,56頁及び62頁並びに土田道夫論文65頁,73頁,79頁及び83頁。
③ TH会ほか『訴訟事例から学ぶ 所得区分の判断基準』(日本法令,令和6年)130頁~135頁,144頁~146頁及び182頁~183頁。
④ TMI総合法律事務所編『ヘルスケアビジネスの法律相談』(青林書院,令和4年)261頁~263頁。
⑤ 第二東京弁護士会労働問題検討委員会『Q&A 実務家のためのフリーランス法のポイントと実務対応』(新日本法規,令和6年)13頁~19頁。
⑥ 村田浩一・稲井宏紀編著『最新版 フリーランス法と副業の実務』(青林書院,令和8年)26頁~29頁。