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相続手続・相続財産調査

証券口座の残高増加をどう検証するか-入出金・運用損益・為替・税を分ける財産分与・相続実務(AI作成)

目次第1 証券口座の残高増加について最初に確認すること1 期首残高と期末残高の差額は運用益とは限らない2 残高増加から直ちに推認できない事項第2 残高増加を構成要素に分ける1 基本となる考え方2 収益と資金移動を区別する3 総資産と純資産を区別する第3 最初に収集する資料1 基準日の残高資料2 取引及び入出金を示す資料3 口座外の資料第4 取引を復元する手順1 対象範囲と基準を固定する2 キャッシュフロー台帳を作る3 取引の連続性を確認する第5 収益率を使う場合の注意点1 入出金がなければ年率換算できる2 時間加重収益率3 金額加重収益率第6 財産分与における使い方1 基準時残高と評価時を区別する2 特有財産の原資を追跡する第7 相続及び使途不明金調査における使い方1 死亡日前後の取引を分ける2 説明できない差額を直ちに責任額としない第8 実務チェックリスト1 資料取得時2 計算及び評価時第9 出典1 運用成果の測定2 裁判所及び税務資料
第1 証券口座の残高増加について最初に確認すること
1 期首残高と期末残高の差額は運用益とは限らない

証券口座の残高が短期間に大きく増えていても,その増加額の全部が値上がり益又は運用成果であるとは限らない。
給与等からの追加入金,他の証券口座からの移管,配当等の再投資,借入金による買付け及び為替変動が残高を増加させる一方,出金,手数料及び税金は残高を減少させる。

したがって,財産分与,相続,使途不明金又は資産形成の経過を検討するときは,期首残高と期末残高だけでなく,その間の外部入出金及び取引を日付ごとに復元する必要がある。

2 残高増加から直ちに推認できない事項

現在残高だけから,①本人が高い運用能力を有していたこと,②夫婦共同財産から拠出された金額,③婚前財産又は相続財産が維持されている範囲,④第三者による使込み又は資産隠匿,⑤税引後の実現利益を確定することはできない。

口座残高は調査の出発点であり,法的評価又は責任の結論ではない。
残高の増減と,入出金の権限,資金の出所,取引時の意思能力及び対価の帰属は,それぞれ別に確認する必要がある。

第2 残高増加を構成要素に分ける
1 基本となる考え方

検証の基本は,期末純資産額を,①期首純資産額,②外部からの純入金額,③運用損益に分けることである。
概念上は,「期末純資産額-期首純資産額-外部純入金額」が,その期間の運用損益に対応する。

もっとも,この単純式を正確に使うためには,評価日時,外貨換算レート,未収配当,未払手数料,信用取引その他の負債及び口座間移管を同じ基準でそろえなければならない。
口座間の振替を外部入金と誤認すると,運用損益も財産の出所も二重に計上される。

2 収益と資金移動を区別する

運用損益には,売却済みの実現損益だけでなく,保有中の株式・投資信託等の評価損益,受領した配当・分配金及び為替差損益が含まれ得る。
どの範囲を収益に含めたかを明示しなければ,異なる資料の数字を比較することはできない。

外部入出金には,預金口座からの入金,預金口座への出金,現物株式等の入出庫及び他社口座との移管を含める。
入出庫された有価証券は,移管日の時価と取得価額のいずれを使ったかを区別し,資産総額の復元と税務上の取得費の検討を混同しないようにする。

3 総資産と純資産を区別する

信用取引,証券担保ローンその他の借入れがある場合,保有有価証券の時価合計である総資産と,負債を差し引いた純資産は一致しない。
運用規模を示す総資産の増加を,そのまま本人に帰属する財産の増加と扱ってはならない。

外貨建て資産についても,外貨ベースの価格上昇と円換算時の為替変動を分ける。
円換算額を比較するときは,基準日及び換算レートの出所を記録する。

第3 最初に収集する資料
1 基準日の残高資料

期首及び期末について,残高証明書,取引残高報告書,月次又は年次の口座報告書を収集する。
財産分与では別居日等,相続では死亡日等が基準日となり得るため,必要な日付の資料が存在するかを早期に確認する。

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証券口座の相続-共同相続人の一人だけで取引履歴を取得できるか(AI作成)

目次第1 結論1 共同相続人の一人による請求2 情報の取得と証券の処分は別である第2 単独請求を認める法的な考え方1 相続による契約上の地位の承継2 最高裁平成21年1月22日判決3 証券会社への適用は判例の射程を踏まえて判断する4 帳簿の保存義務と開示請求権は同じではない第3 どの資料をどこへ請求するか1 口座開設先を調べる資料2 残高証明書と取引履歴3 請求期間と対象口座を特定する第4 証券会社に対する実際の請求手続1 一般に準備する書類2 公表されている証券会社の取扱例3 相続手続依頼書とは分けて請求する第5 請求が制限され得る場面1 保存期間を経過した記録2 生前に口座契約が終了していた場合3 第三者の情報及び権利濫用4 相続資格に争いがある場合第6 個人情報保護法及び守秘義務との関係1 死亡した本人だけの情報2 生存する個人の情報が含まれる場合第7 取得した取引履歴の使い方1 相続財産及び取得費の確認2 資産移動に疑問がある場合3 関連する本ブログの記事第8 請求前の確認事項出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公的機関の資料4 証券会社の公開資料5 参考文献
第1 結論
1 共同相続人の一人による請求

被相続人が証券会社に有していた口座については,共同相続人の一人が,被相続人の死亡及び自らが相続人であることを証明し,他の共同相続人全員の同意を得ずに,顧客勘定元帳その他の取引履歴を請求できるのが原則であると考えられる。
もっとも,最高裁判所が直接判断したのは預金口座の取引経過であり,証券会社に対する請求について同じ結論を示した最高裁判例は,令和8年9月10日現在,裁判所ウェブサイトでは確認できない。
そのため,法的な根拠と証券会社の公開手続を併せて確認し,会社ごとの書式,対象期間,手数料及び本人確認方法に従って請求する必要がある。

2 情報の取得と証券の処分は別である

取引履歴又は残高証明書を取得することと,被相続人名義の株式,投資信託,債券又は預り金を移管し,売却し,又は払い出すことは別の手続である。
共同相続された株式等は遺産分割前には準共有となるものが多く,共同相続人の一人が資料を単独で取得できるとしても,その者だけで口座内の資産全部を処分できるわけではない。
相続放棄又は限定承認を検討している場合も,財産調査と処分を区別する必要がある。

第2 単独請求を認める法的な考え方
1 相続による契約上の地位の承継

民法896条は,相続人が相続開始時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することを原則とし,同法898条は,相続人が数人あるときは相続財産が共同相続人の共有に属すると定めている。
所有権以外の財産権を数人で有する場合には共有に関する規定が準用され(民法264条),保存行為は各共有者が単独ですることができる(同法252条5項)。
被相続人が証券会社との取引契約に基づいて有していた報告請求の地位も共同相続人に承継され,取引状況を把握するための資料請求は,その地位を保存する行為として単独行使できると考える余地がある。

2 最高裁平成21年1月22日判決

最高裁平成21年1月22日第一小法廷判決(平成19年(受)第1919号預金取引記録開示請求事件,民集63巻1号228頁)は,預金契約に含まれる委任事務又は準委任事務の処理状況を把握するため,金融機関は預金者に取引経過を開示する義務を負うとした。
同判決は,預金者の死亡後,共同相続人の一人が,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,他の共同相続人全員の同意なしに取引経過開示請求権を単独で行使できると判示した。
また,開示の相手方が共同相続人にとどまる限り,預金者のプライバシー又は金融機関の守秘義務の問題が生ずる余地はないとしつつ,請求の態様,対象又は範囲によっては権利濫用となり得ることも付言した。

3 証券会社への適用は判例の射程を踏まえて判断する

証券取引口座の契約関係にも,売買等の受託,保管,振替及び金銭の受払いに関する事務処理と,その結果を顧客へ報告する関係が含まれる。
そのため,取引状況の把握に必要な資料を相続人の一人が請求する場面では,前記最高裁判決の考え方が証券会社にも及ぶと解することができる。
もっとも,証券取引口座の契約内容及び金融商品の種類は預金契約と同一ではなく,証券会社に対する単独請求を直接認めた最高裁判例も確認できないため,本記事では「原則として単独請求できると考えられる」と整理する。

4 帳簿の保存義務と開示請求権は同じではない

金融商品取引法46条の2は,金融商品取引業者に帳簿書類の作成及び保存を義務付けている。
金融商品取引業等に関する内閣府令157条及び164条は,顧客勘定元帳を帳簿書類の一つとして掲げ,その記載事項と保存期間を定めている。
これらの規定は,証券会社が記録を作成し保存する根拠であるが,それだけで相続人に対する私法上の開示請求権を直接定めたものではないため,契約上の地位の承継及び各社の手続と区別して理解する必要がある。

第3 どの資料をどこへ請求するか
1 口座開設先を調べる資料

被相続人が利用していた証券会社が分からない場合,証券保管振替機構に登録済加入者情報の開示を請求できる。
同機構の公開案内は,法定相続人が複数いる場合でも,そのうち一人から請求できるとしている。
ただし,この開示で分かるのは開示時点の口座開設先であり,銘柄,保有数量,残高及び取引履歴は含まれないため,判明した各証券会社へ改めて照会する必要がある。

2 残高証明書と取引履歴

残高証明書は,死亡日その他の基準日に被相続人口座に存在した資産を把握する資料である。
これに対し,顧客勘定元帳,取引明細又は取引履歴は,売買,入出庫,入出金,配当,分配金,償還及び手数料等の経過を確認する資料であり,残高証明書だけでは分からない取得価額又は資金移動を調べる際に必要となる。
書類名,記載範囲及び交付形式は証券会社によって異なるため,「取引履歴一式」とだけ書かず,必要な資料名と項目を確認するのが適切である。

3 請求期間と対象口座を特定する

請求書には,被相続人の氏名,生年月日,住所,支店名及び口座番号のほか,対象期間,金融商品の種類並びに必要な取引項目を具体的に記載する。
例えば,死亡日前後の資産移動を調べるのか,被相続人の取得費を調べるのかによって,必要な期間と資料は異なる。
複数の口座区分がある場合は,特定口座,一般口座,NISA口座,外国証券口座,信用取引口座及び預り金のいずれを対象とするかも確認する必要がある。

第4 証券会社に対する実際の請求手続
1 一般に準備する書類

一般に,①被相続人の死亡を確認できる戸籍又は除籍,②請求者が法定相続人であることを確認できる戸籍又は法定相続情報一覧図,③請求者の本人確認書類,④証券会社所定の請求書が必要となる。
印鑑登録証明書,実印による押印又は追加の相続関係書類を求める会社もある。
弁護士が代理して請求する場合は,照会,資料請求及び受領の権限を明記した委任状と,代理人の本人確認資料等も準備する。

2 公表されている証券会社の取扱例

野村證券の公開資料は,「相続人等」の一人が,被相続人の死亡及び請求者の相続関係を示す書類等を提出して,顧客勘定元帳その他の口座情報を請求する書式を案内している。
楽天証券の相続手続案内は,確認書類の審査後,申請者に閲覧専用のログイン情報を案内し,被相続人口座の取引情報や顧客勘定元帳を確認する方法を示している。
SBI証券も,相続窓口を通じた残高証明書及び顧客勘定元帳の請求を案内しているが,公開ページだけでは共同相続人の一人による請求条件の全てを確認できないため,個別に問い合わせる必要がある。

3 相続手続依頼書とは分けて請求する

証券の移管又は換価に用いる相続手続依頼書は,遺産の取得者を確定して資産を処理するための書類であり,情報取得だけを目的とする請求書とは役割が異なる。
証券会社から相続人全員の署名又は遺産分割協議書を求められた場合は,それが取引履歴の交付条件なのか,資産の移管・払出しの条件なのかを確認する必要がある。
取引履歴だけを求めていることを明示すると,二つの手続が混同されるのを避けやすい。

第5 請求が制限され得る場面

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生命保険契約照会制度-死亡・認知判断能力低下・災害時の利用方法と注意点(AI作成)

目次

第1 生命保険契約照会制度の結論1 制度の役割2 令和8年9月10日現在の重要な運用状況第2 照会できる三つの場面1 死亡した場合2 認知判断能力が低下した場合3 災害で死亡又は行方不明になった場合第3 誰が申請できるか1 死亡照会の申請者2 認知判断能力低下時の申請者3 申請者の人数第4 調査対象となる契約と対象外の契約1 調査対象2 対象外の契約等3 本制度だけでは分からないこと第5 申請前に確認すべき手掛かり1 自宅及び取引履歴を確認する2 推測できる会社へ直接問い合わせる第6 申請方法,必要書類及び費用1 基準日現在の書面申請2 死亡照会の主な必要書類3 認知判断能力低下時の主な必要書類4 回答までの期間5 WEB申請が再開された場合第7 回答を受けた後の対応1 各生命保険会社へ連絡する2 請求権者と相続財産を区別する3 保険金請求権の消滅時効4 税務上の扱いを別に確認する第8 利用実績と利用料改定1 申請件数2 数値から分かることと分からないこと第9 令和8年7月公表のシステム事案第10 実務上のチェックリスト第11 出典1 法令2 生命保険協会の利用規約3 生命保険協会の運用案内・公表資料4 行政機関の解説5 独立行政法人・専門機関等の解説6 関連記事
第1 生命保険契約照会制度の結論
1 制度の役割

生命保険契約照会制度は,家族の死亡又は認知判断能力の低下などにより生命保険契約の手掛かりが失われた場合に,一般社団法人生命保険協会が会員会社へ一括照会し,対象者が契約者又は被保険者となっている契約の有無を回答する制度である。
東日本大震災後に設けられた災害地域生保契約照会制度を平時にも拡張し,令和3年7月1日に開始された。
本稿は令和8年9月10日を調査基準日とし,同日現在の申請要件及び運用状況,令和3年度から令和6年度までの利用実績並びに個別契約で別途確認すべき時効及び税務を扱う。

この制度は,生命保険協会が利用規約に基づいて会員会社へ照会する業界の仕組みである。
契約があるとの回答を受けても,保険金額,受取人,契約の効力又は請求権の有無まで確定するわけではなく,その後に各生命保険会社へ連絡する必要がある。

2 令和8年9月10日現在の重要な運用状況

生命保険協会は,システム上の不備について安全性を確認するため,令和8年7月27日から生命保険契約照会制度のWEB申請を停止している。
令和8年9月10日現在,平時の照会は書面申請を利用することになり,利用料は照会対象者1名につき7000円である。

書面申請は申込みが集中し,通常より時間を要すると案内されている。
WEB申請が再開された場合の利用料は照会対象者1名につき6000円であるが,再開時期を含む最新状況は,生命保険協会の案内で確認する必要がある。

第2 照会できる三つの場面
1 死亡した場合

家族が死亡し,生命保険会社が分からない場合に利用できる。
対象者が契約者又は被保険者である契約の有無が照会され,申請者が死亡保険金等を請求できる可能性があるときは,その旨も回答対象となる。

遺品から保険証券その他の手掛かりが見付かる場合や,契約先と考えられる生命保険会社が分かる場合は,まずその会社へ直接問い合わせるのが原則である。
本制度は契約先が分からない場合の一括照会を補う仕組みであり,既知の契約先への個別照会に代わるものではない。

2 認知判断能力が低下した場合

医師の診断により認知判断能力の低下が認められ,生命保険契約の有無が分からない場合に利用できる。
単に高齢であることや,家族が財産状況を把握したいという事情だけでは足りない。

法定代理人又は任意後見人のほか,一定の条件の下で三親等内の親族や代理人が申請できる。
後見人等がいない者による申請では,生命保険協会の利用規約上,緊急の資金需要があること,より先順位の推定相続人に結果を伝える意思があること,対象者の財産を管理する意思があることなどについて同意が求められる。

3 災害で死亡又は行方不明になった場合

災害救助法が適用された地域で家族等が被災して死亡又は行方不明となり,家屋等の流失又は焼失等により生命保険契約に関する請求が困難となった場合は,災害地域生保契約照会制度を利用できる。
この場合は電話で申し込み,利用料は無料である。

原則として,対象者の配偶者,親,子若しくは兄弟姉妹,又はこれらの法定代理人若しくは任意代理人が申請でき,特段の事情がある場合は生命保険協会がその他の者からの照会を受け付ける。
通常は書類の提出を要せず,生命保険協会は原則として受付日から14営業日以内に書面で回答するとしている。

第3 誰が申請できるか

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被相続人の死亡後もスマホを法定相続人が使い続ける方法(AI作成)

目次

第1 使い続けるために分けて考える三つの対象

1 端末・回線・アカウント
2 最初に相続放棄の可能性を確認する

第2 スマホ本体を取得する方法

1 被相続人所有の端末
2 共同相続人がいる場合

第3 携帯電話回線と電話番号を承継する方法

1 携帯電話会社の承継手続
2 主要事業者の手続の違い

第4 相続放棄とスマホの取扱い

1 三か月の熟慮期間
2 継続使用と法定単純承認

第5 端末ロックとデータの処理

1 iPhone

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同居の配偶者が死亡した後1週間に相続人がすること-手続・生活・遺産保全の全チェックリスト(AI作成)

目次

第1 一週間の考え方と優先順位1 本記事の対象2 一週間で優先する六つの仕事3 一週間で結論を出さない方がよい事項第2 当日から死亡診断書等の受領まで1 死亡確認前と死亡確認後を分ける2 病院・施設等で受け取り,確認する物3 本人の意思を直ちに確認する場面(1)臓器・組織提供及び献体(2)葬送,宗教及び連絡の希望4 同居家族の生命と生活を先に守る第3 死亡届,火葬許可及び証明書1 死亡届の7日という法定期限2 届出先と添付書類3 火葬許可と24時間の規律4 提出後に残す記録第4 遺体の搬送,葬儀,連絡及び費用1 搬送と安置を先に決める2 葬儀契約は明細と総額で確認する3 支払と証拠を分けて残す4 訃報と個人情報を管理する第5 遺言,遺産,負債及び証拠の保全1 最初は動かさずに記録する(1)家の中と持出品(2)郵便物と取引の手掛かり2 相続放棄の可能性があれば避ける行為3 遺言書は探すが,封印された物を開けない4 銀行口座と当面の生活費(1)カード,暗証番号及びオンラインバンキングを使わない(2)遺産分割前の預貯金払戻し制度第6 住まい,家族,勤務先及び公的給付1 住まいを失わず,契約を止め過ぎない(1)持家,賃貸住宅及び公営住宅(2)住宅ローン,保険,公共料金及び防犯2 子ども,要介護者及びペット3 勤務先と事業関係4 健康保険,年金,生命保険及び固有の給付第7 スマートフォン,デジタル契約及び郵便物1 端末を初期化せず,電源と状態を保つ2 メール・SNS・クラウド・暗号資産を一斉解約しない3 郵便物は現住所で管理する第8 事情があるときだけ直ちに分岐する事項1 事故,犯罪,医療,労災又は第三者の関与2 個人事業,会社経営又は専門資格3 多額の負債,相続人間の対立又は家に危険物がある場合4 国外,外国籍又は家族関係が複雑な場合第9 一週間の実行チェックリストと後日の期限1 当日から翌日2 2日目から3日目3 4日目から7日目4 一週間後に管理する主な期限第10 出典・参考資料1 法令2 裁判所・法務省の手続案内3 行政機関・制度実施主体の案内4 制度実施団体・事業者の案内
第1 一週間の考え方と優先順位
1 本記事の対象

本記事は,令和8年9月8日現在,日本国内で同居の配偶者が死亡し,生存配偶者が相続人となる通常の場面を対象とする。
死亡直後から7日目までに全員が行う事項と,該当するときだけ行う事項を分け,法定期限,生活上の必要及び証拠・財産の保全を一つの時系列に整理する。

「死亡後1週間以内」の法定期限として最も重要なのは,原則として死亡の事実を知った日から7日以内の死亡届である。
健康保険,年金,相続放棄,税務,相続登記等には別の期限又は個別の手続があるため,一週間ですべてを終える必要はないが,窓口と必要資料を確認し,後日の期限を記録するところまでは進めておくとよい。

2 一週間で優先する六つの仕事

一週間の優先順位は,①死亡確認と死亡診断書又は死体検案書の受領,②死亡届と火葬許可,③遺体の搬送・安置と葬儀,④同居家族の生活維持,⑤遺言・財産・証拠の保全,⑥期限一覧と連絡先の作成,の順で考えると整理しやすい。
一人で抱えず,手続担当,葬儀担当,連絡担当及び記録担当を分け,同じ情報を共有できる一冊のノート又は表を作るのが実用的である。

記録には,日時,相手方,電話番号,担当者名,話した内容,提出物,受領物,支払額,支払者及び次の期限を残す。
死亡診断書等,請求書,領収書,名刺及び画面は,原本の所在を決めた上で写し又は写真も保存する。

3 一週間で結論を出さない方がよい事項

遺産分割,相続放棄の最終判断,不動産・自動車・株式の名義変更,故人の契約の一斉解約及び大量の遺品処分は,通常,一週間以内に完了させる事項ではない。
資産,負債,遺言及び他の相続人を確認しないまま財産を動かすと,後に相続放棄や遺産分割で問題となり得るため,最初の一週間は「処分」よりも「保全と一覧化」を優先する。

第2 当日から死亡診断書等の受領まで
1 死亡確認前と死亡確認後を分ける

反応や呼吸がなく,医師による死亡確認が済んでいない場合は,直ちに119番へ連絡し,通信指令員の指示に従う。
在宅療養中で主治医又は訪問看護の緊急連絡方法が決まっている場合でも,状況が判断できなければ救急へ連絡し,自己判断で遺体を動かさない。

病院,施設又は在宅で医師が死亡を確認した後は,死亡診断書又は死体検案書が作成される。
厚生労働省は,生前に診療していた傷病に関連する死亡と認められる場合に死亡診断書,それ以外の場合に死体検案書を交付するという区別を示しているが,いずれも死亡を医学的・法律的に証明する文書であり,効力に違いはない。

事故,自殺の疑い,死因不明,発見まで時間が経過した場合その他の異状が考えられるときは,医師又は警察の手続が優先する。
現場,衣類,薬,容器,端末,写真,防犯カメラ及び関係者との通信を片付けたり消去したりせず,警察や医師の指示を受ける。

2 病院・施設等で受け取り,確認する物

死亡診断書又は死体検案書は,氏名,生年月日,死亡日時,死亡場所及び作成医師の記載を確認し,死亡届へ提出する前に全面の鮮明な写しを複数確保する。
提出後の原本確保,記載事項証明書及び誤記訂正については,弁護士のための死亡診断書の実務で詳しく説明している。

診察券,預り品,現金,鍵,眼鏡,補聴器,義歯,携帯電話及び充電器等を受け取るときは,受領品をその場で照合する。
入院費,施設利用料,遺体搬送費その他の請求については,請求書と明細を分けて受け取り,誰が何を立て替えたかを記録する。

3 本人の意思を直ちに確認する場面
(1)臓器・組織提供及び献体

臓器・組織提供又は献体に関する意思表示カード,運転免許証,マイナンバーカード,登録証,大学への申込書等がある場合は,直ちに医療機関へ申し出る。
実施できる時間と条件が限られるため,後で検討する事項として先送りせず,本人の意思が不明な場合を含め,医療機関の担当者から説明を受ける。

(2)葬送,宗教及び連絡の希望

エンディングノート,葬儀の生前契約,墓地・納骨堂の契約,菩提寺,宗教上の希望,連絡してほしい人及び連絡を控えてほしい人を確認する。
本人の希望は重要であるが,法的拘束力の有無,費用負担及び家族間の合意は別問題であるため,見つけた資料を保全して関係者と共有する。

4 同居家族の生命と生活を先に守る

乳幼児,未成年者,要介護者,障害者,服薬中の家族及びペットについて,その日の食事,薬,通院,送迎,介護,預け先及び連絡先を確保する。
故人だけが担っていた世話,支払又は連絡を紙に書き出し,少なくとも一週間を乗り切る担当者を決める。

生存配偶者自身も,睡眠不足や強い動揺の中で運転,契約又は多額の支払をしないよう,可能であれば信頼できる人に同席を頼む。
急な胸痛,呼吸困難,自傷のおそれその他の緊急症状があれば,手続よりも救急又は医療機関への相談を優先する。

第3 死亡届,火葬許可及び証明書
1 死亡届の7日という法定期限

戸籍法86条1項により,死亡の届出は,届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければならない。
同居していた生存配偶者は同居の親族に当たり,戸籍法87条1項の第一順位の届出義務者となるが,同条は,順位にかかわらず届出をすることができるとも定めている。

届出人の資格,提出を他人に託す場合及び例外的な届出人については,死亡届の届出人で詳しく説明している。
葬儀社が書類提出を補助する場合でも,届出人欄に誰がどの資格で記載するかを確認し,控えを残す。

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弁護士が代理人として被相続人の銀行口座の相続手続をする方法(AI作成)

目次第1 結論1 弁護士への委任と預金を処分できる根拠は別である2 標準的な手順第2 受任時に確定する事項1 依頼者の地位と利益相反2 委任状で特定する事項3 遺言,相続放棄及び債務の確認第3 被相続人の銀行口座を探す方法1 個別資料から取引銀行を特定する2 相続時預貯金口座照会を利用する3 死亡通知による取引制限に備える第4 相続関係と提出書類を整える方法1 戸籍と法定相続情報一覧図2 銀行ごとに変わる共通書類3 原本管理第5 残高と取引履歴を確認する方法1 死亡日残高と現在残高を分ける2 共同相続人1人による取引履歴の請求3 取得範囲を目的に合わせる第6 払戻しの法的根拠を選ぶ方法1 選択肢の一覧2 相続人全員による共同請求と遺産分割協議3 遺言執行者による手続4 遺産分割前の単独払戻し第7 銀行へ提出して払戻しを受ける方法1 提出前照会をする2 銀行別提出セットを作る3 払戻金と完了書類を管理する第8 例外的な事案で追加確認する事項1 未成年者,判断能力及び海外居住者2 相続放棄,行方不明者及び相続人不存在3 借入金,貸金庫及び金融商品第9 代理人弁護士の実務チェックリスト第10 出典1 法令2 裁判例3 公的機関及び金融機関の資料
第1 結論

本記事は,2026年9月6日現在の日本法及び公開資料に基づき,国内の個人名義の預貯金について,相続人,受遺者又は遺言執行者等から委任を受けた弁護士が行う口座探索,残高・取引履歴の取得,解約,払戻し及び完了管理を扱う。
証券口座の移管・換価及び相続税の申告計算は対象外とし,各銀行の書式,手数料,証明書の有効期間及び取扱いは,提出時に改めて確認する必要がある。

1 弁護士への委任と預金を処分できる根拠は別である

弁護士が相続人等の代理人として被相続人名義の銀行口座を調査し,相続手続書類を提出することは可能である。
もっとも,委任状は弁護士が本人に代わって行動できる範囲を示す書面であり,依頼者が預金全額を単独で取得できることを証明する書面ではない。

銀行口座の相続手続では,①弁護士が誰を代理し,何を委任されたかという代理権,②相続人全員の共同請求,遺産分割協議,遺言,遺言執行者の権限,調停調書又は審判書,民法909条の2による単独払戻し等の預金を処分できる根拠,③銀行所定の相続届,本人確認書類,印鑑登録証明書等の受付要件を分けて確認する必要がある。
弁護士が1人の共同相続人から委任を受けただけの場合,その弁護士が相続人全員を代理したことにはならず,原則として預金全額の解約及び払戻しを単独で行うことはできない。

2 標準的な手順

標準的な手順は,①依頼者の地位と委任範囲を確定する,②遺言,相続人,債務及び相続放棄の方針を確認する,③口座を探索する,④各銀行へ死亡の事実を連絡して専用書式と必要書類一覧を取り寄せる,⑤法定相続情報一覧図等を整える,⑥死亡日残高及び必要な取引履歴を取得する,⑦相続人全員の共同請求,遺産分割協議,遺言執行,裁判手続又は遺産分割前の払戻しの中から根拠を選ぶ,⑧銀行ごとに一式を提出する,⑨払戻金,返却原本及び手続完了書類を管理して依頼者へ報告する,という順序である。

各銀行の必要書類及び有効期限は同じではない。
例えば,三菱UFJ銀行は遺言書及び遺産分割協議書の有無等によって必要書類をAからDに分け,三井住友銀行は遺言書も遺産分割協議書もない場合に原則として相続人全員の署名・実印及び印鑑登録証明書を求め,みずほ銀行は代理人による手続について委任状,代理人の実印及び印鑑登録証明書を案内している。
したがって,共通書類だけを先に完成させるのではなく,対象銀行の相続担当部署から当該事案用の案内を取得してから署名,押印及び証明書の取得を進めるのが安全である。

第2 受任時に確定する事項
1 依頼者の地位と利益相反

最初に,依頼者が相続人,受遺者,遺言執行者,相続財産清算人その他のいずれであるかを確定する。
共同相続人の1人からの依頼であるか,相続人全員からの共同依頼であるかによって,取得できる資料及び行える払戻しの範囲が異なるためである。

相続人全員から依頼を受ける場合でも,預金の帰属,生前又は死後の出金,特別受益,寄与分,遺言の有効性又は分割割合に争いがないかを確認する。
対立が現実化したときは,同じ弁護士が複数の相続人を代理し続けられるかを改めて検討する必要がある。

2 委任状で特定する事項

銀行所定の委任状があるときはその書式を用い,委任事項を抽象的な「相続手続一切」にとどめない方がよい。
委任状又は別紙では,必要に応じて,①死亡の届出及び相続手続の開始,②口座の有無,取引店,預貯金の種類及び口座番号の照会,③死亡日その他の基準日の残高証明書及び取引履歴の申請・受領,④相続手続書類の作成・提出・補正,⑤預貯金契約の解約及び払戻請求,⑥払戻金の受領及び振込先口座,⑦原本還付及び完了書類の受領,⑧銀行からの連絡の受領を特定する。

ゆうちょ銀行の相続用委任状の記載例も,書類の提出,完了後の書類等の受領,払戻金の受領,不備返却書類の受領及び電話連絡を別々の委任事項としている。
これは,窓口へ書類を持参する権限と,預金を解約して払戻金を受け取る権限とが同じではないことを示す実務例である。

3 遺言,相続放棄及び債務の確認

預金の全額払戻しを進める前に,公正証書遺言,法務局保管の自筆証書遺言及び家庭内保管の遺言書の有無を確認する。
自筆証書遺言については,法務局保管制度を利用したもの等を除き,家庭裁判所の検認を要する場合がある。

借入金,保証債務,未払税金その他の債務が不明であり,相続放棄又は限定承認を検討する余地があるときは,預金の払戻し及び費消を先行させない。
資産調査と相続放棄の熟慮期間の管理は並行して行い,期限が迫るときは期間伸長の申立ても検討する。

第3 被相続人の銀行口座を探す方法
1 個別資料から取引銀行を特定する

まず,通帳,キャッシュカード,銀行からの郵便物,電子メール,確定申告書,給与・年金の振込記録,公共料金・クレジットカード・家賃等の引落資料及び他口座の振込履歴から,金融機関名と取引店を特定する。
口座番号が分からなくても,金融機関と本人特定情報を示して名寄せ及び残高証明の可否を問い合わせる余地がある。

死亡後に被相続人のキャッシュカード,暗証番号又はインターネットバンキングの認証情報を使用して出金することは避けるべきである。
権限及び取得額をめぐる紛争を生じさせるだけでなく,死亡時残高と死亡後取引の証拠関係を不明確にするため,正式な相続手続又は法定の払戻制度を用いるのが原則である。

2 相続時預貯金口座照会を利用する

令和7年度から開始された相続時預貯金口座照会では,相続人又は包括受遺者が,受付金融機関を通じて預金保険機構へ申込み,被相続人が生前にマイナンバーを付番し,制度の適用対象となる金融機関が管理する預貯金口座について,金融機関名,店舗名,預貯金の種類及び口座番号等の通知を受けることができる。
他の共同相続人の同意は不要であり,代理人が申し込む場合は,相続人本人と代理人の本人確認書類に加え,委任状その他の代理権確認資料を提出する。

預金保険機構の案内では,照会対象は被相続人の死亡後10年まで,手数料は1件5,060円,結果通知までは1か月程度とされている。
もっとも,照会できるのはマイナンバーが付番された口座に限られ,残高は通知されず,金融機関の回答状況等によっては存在する口座が表示されないこともあり,結果通知は口座の存否を証明するものではない。
したがって,この制度を通帳等による探索及び個別金融機関への照会に代わる完全な名寄せ制度として扱ってはならない。

3 死亡通知による取引制限に備える

全国銀行協会は,銀行が死亡の事実を知ると口座の取引を制限し,その後に相続関係書類を提出して払戻しを受ける流れを案内している。
三井住友銀行は,死亡の連絡を受けた口座について全ての入出金を停止すると明記し,公共料金等の引落口座及び家賃等の入金口座を早めに変更するよう案内している。

死亡通知を不当に遅らせるのではなく,いつ,どの銀行へ,誰が,どの連絡手段で届け出るかを決め,それまでに年金,給与,賃料その他の入金先と,公共料金,施設費,ローンその他の支払方法を変更する。
口座凍結の対象及び時期は銀行と取引内容によって異なるため,死亡通知の前後の対応を対象銀行へ確認する必要がある。

第4 相続関係と提出書類を整える方法

(続きを読む...)弁護士が代理人として被相続人の銀行口座の相続手続をする方法(AI作成)

株式・証券口座の相続手続を弁護士が代理する方法-口座調査,必要書類,移管及び売却(AI作成)

目次

第1 弁護士代理による証券口座の相続手続の全体像1 本記事の対象2 手続は三種類の書類を分けて考える3 弁護士に委任しても相続人本人の対応が残る場合第2 証券口座と保有資産の調査1 口座の手掛かりがある場合2 証券保管振替機構による口座開設先の調査3 特別口座及び残高証明書第3 誰が取得するかを確定する書類1 共同相続された株式等は当然には人数割りされない2 遺言がない場合又は遺産分割協議による場合3 遺言又は家庭裁判所の手続による場合4 法定相続情報一覧図と原本返却第4 代理権と証券会社所定書類1 委任状に記載する権限2 相続手続依頼書と受入口座3 複数の相続人への配分と端数第5 移管後の売却と完了確認1 売却の時点と指示の記録2 相続税評価額,取得費及び売却代金は別の金額である3 手続完了を示す資料第6 先に別問題を確認すべき場合1 相続放棄又は限定承認を検討している場合2 NISA,外国証券及び非上場株式第7 弁護士へ依頼する際の確認事項1 初回に整理する情報2 手続を止めて法的判断を先に行う場面出典・参考資料1 法令・裁判例2 制度運営機関及び職能団体の運用資料3 証券会社の相続手続案内4 国税庁の解説
第1 弁護士代理による証券口座の相続手続の全体像
1 本記事の対象

本記事は,法定相続人又は遺産分割によって証券を取得する相続人から委任を受けた弁護士が,証券会社に対する口座調査,残高証明書の取得,相続手続書類の提出,証券の移管及び売却に関与する場合を対象とする。
調査の基準日は令和8年9月6日であり,証券会社の必要書類及び受付方法は変更されるため,実際の手続では各社がその時点で交付する案内を確認する必要がある。

弁護士が遺言執行者として有価証券を換価して受遺者等へ分配する場合は,権限の根拠及び利益相反の検討が異なる。
その場合は,遺言執行者が相続株式・有価証券を売却して分配する際の実務上の問題点を参照されたい。

2 手続は三種類の書類を分けて考える

証券口座の相続手続で提出する資料は,①誰が証券を取得するかを示す相続資格・取得根拠の資料,②弁護士が誰を代理し,何を行うかを示す委任状及び本人確認資料,③証券会社が事務処理のために定める相続手続依頼書,移管先口座の届出その他の所定書類に分けて考えると整理しやすい。
戸籍がそろっていても取得者が確定していなければ移管できず,遺産分割協議書があっても代理権の範囲又は所定書類が不足すれば手続は止まる。

一般的な順序は,①口座の所在を調べる,②死亡日現在の残高を確定する,③証券の取得者を確定する,④取得者名義の受入口座を準備する,⑤委任状及び証券会社所定書類を提出する,⑥証券及び預り金の移管を確認する,⑦売却する場合は具体的な売却指示と完了資料を残す,というものである。

3 弁護士に委任しても相続人本人の対応が残る場合

弁護士は,委任状の範囲内で,証券会社への照会,必要書類の取り寄せ,残高証明書の請求,書類の作成補助・提出及び進行管理を行うことができる。
もっとも,証券会社はマネー・ローンダリング対策,税務上の届出及び適合性確認等のため,受入口座の開設時に取得者本人による本人確認,申告又は操作を求めることがある。
したがって,「弁護士へ依頼すれば相続人は一度も証券会社へ対応しなくてよい」とは限らない。

第2 証券口座と保有資産の調査
1 口座の手掛かりがある場合

証券会社名の手掛かりとしては,取引残高報告書,年間取引報告書,配当金計算書,株主総会関係書類,証券会社からの郵便物,登録メールアドレスの受信記録及び預貯金口座の入出金履歴がある。
証券会社が判明しているときは,死亡の連絡だけで終えず,①口座の有無,②死亡日現在の残高証明書の発行方法,③相続関係書類の一覧,④代理人による請求の可否と必要な委任状,⑤原本の返却方法を一度に確認するのが効率的である。

共同相続人の一人だけで顧客勘定元帳その他の取引履歴を請求できるかについては,証券口座の相続-共同相続人の一人だけで取引履歴を取得できるか(AI作成)を参照されたい。

代理人による口座情報の照会については,証券会社ごとに書類が異なる。
例えば,野村證券の相続手続案内は,弁護士等の代理人が口座の有無を確認する場合について,相続人の実印を押した委任状原本及び印鑑登録証明書原本等を案内している。

2 証券保管振替機構による口座開設先の調査

証券会社が分からないときは,証券保管振替機構の登録済加入者情報の開示請求を利用できる場合がある。
同機構の令和8年8月版案内によれば,法定相続人の任意代理人も請求でき,開示時点で振替株式等の口座が開設されている証券会社・信託銀行等の一覧を確認できる。

この開示で分かるのは口座管理機関の名称であり,銘柄,取引履歴及び保有残高ではない。
開示結果を得た後,各証券会社等へ個別に残高を照会する必要がある。

また,外国株式,国債,社債及び同機構の取扱対象でない非上場株式等は,この開示の対象外である。
そのため,開示結果に該当がないことだけで,被相続人に有価証券がなかったと結論付けることはできない。

3 特別口座及び残高証明書

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亡くなった家族の入通院先を調べる方法―遺族のレセプト開示とカルテの取得(AI作成)

第1 受診先が分からないときの調査順序

第2 当時加入していた医療保険を特定する

第3 遺族としてレセプトの開示を依頼する

1 請求できる遺族と必要書類

2 対象の指定,費用及び所要期間

第4 保存期間の「5年」をどう確認するか

第5 判明した病院・薬局から受診歴をたどる

1 病院・診療所の診療記録

2 薬局の記録

3 介護の記録

第6 資料が出ない場合の確認と次の手段

1 出ない理由と請求制度を確認する

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被相続人のスマホに関して,死亡直後に遺族がすべきこと(AI作成)

第1 死亡直後は端末の保管と携帯会社への連絡を並行する
第2 初期化と推測入力を避け,端末の状態を記録する
1 端末と関連資料の保管
2 ロック解除とデータ消去の違い

第3 回線の解約・承継と別契約の請求を分ける
1 携帯会社別の手続の入口
2 SMS認証,サブスク及び端末代金の確認

第4 Apple・Googleのデータ請求は端末解除とは別である
1 Appleの故人アカウント管理連絡先等
2 Googleのデータ請求と閉鎖の順序

第5 相続放棄を考えている場合とアクセス権限の注意点
1 財産調査,処分及び放棄後の保管
2 パスワードが分かっても利用権限は別に確認する

第6 スマホが開かない場合の調査と相談
1 郵便物・通帳・カード明細から調べる
2 専門的な調査へ進む条件

第7 出典
1 法令

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法定相続情報一覧図の作成方法―戸籍謄本の読み方と相続人の確認(AI作成)

第1 戸籍を読み終えてから提出用の一覧図を作る第2 戸籍謄本の種類と読む欄を区別する1 現在戸籍・除籍・改製原戸籍の違い2 本籍・筆頭者・戸籍事項・身分事項の読み分け第3 出生から死亡までの戸籍をつなぐ方法1 新しい戸籍から一つ前の戸籍へ戻る2 三つの戸籍を照合する架空の作業例3 死亡日・届出日・旧字体を照合する第4 戸籍から相続関係を確認する1 配偶者・子・親・兄弟姉妹の順序2 代襲相続と数次相続は死亡の先後で分ける3 兄弟姉妹相続では父母双方の関係を追う4 相続放棄と廃除の記載を混同しない第5 確認した情報を一覧図へ転記する1 書く情報と転記元を対応させる2 続柄は被相続人を基準にし,住所は利用先を考えて選ぶ3 代襲の線と複数枚のつながりを確認する第6 必要書類をそろえ,不足や読めない部分を解消する1 申出用の書類と広域交付の範囲2 未取得・判読不能・廃棄を区別する第7 申出前の点検と他の相続手続の期限1 戸籍から図へ,図から戸籍へ照合する2 相続放棄と相続登記は別に期限を管理する第8 出典・参考資料1 法令2 法務省・法務局の手続案内と記載例3 裁判所の手続案内4 自治体の戸籍解説・実務資料

第1 戸籍を読み終えてから提出用の一覧図を作る

法定相続情報一覧図は,亡くなった人と,戸籍の記載から確認できる相続人との関係をまとめる書面である。
相続人等が一覧図を作成して戸籍等とともに申し出ると,登記官が記載内容を照合し,認証文を付した写しを交付するのであり,戸籍の束を持参すれば法務局が図を作成してくれる制度ではない(不動産登記規則247条)。

作業は,①被相続人の出生から死亡までの戸籍をつなぐ,②各人の身分事項から相続関係を確認する,③証明書に基づいて一覧図へ転記する,という順序で進める。
本記事は,令和8年8月30日現在の法令・公表資料を前提に,現在の相続法が適用される相続について,戸籍の読解と転記の方法を説明するものである。

本記事では,調査中の親族関係,取得済みの戸籍及び未確認事項を書き込む作業メモを,法務局へ提出する一覧図とは分けることを基本形とする。
法定相続分の計算,遺産分割の合意内容及び調査上の疑問は作業メモに置き,提出用の一覧図には,法定の記載事項と法務局の記載例に沿った情報を記載する。

一覧図は,誰が最終的にどの財産を取得するかまで証明するものではなく,遺産分割協議書や相続放棄を証する書類が別途必要となる場合がある。
従来どおり戸籍の束で相続手続を行う方法も利用できるため,提出先が少ない場合には,一覧図を取得する手間も含めて選ぶことになる(法務省民事局「法定相続情報証明制度について」平成30年4月1日改訂,2頁・PDF3頁)。

遺言の有無や内容も,一覧図の記載だけでは確認できない。
公正証書遺言の存在を調べる場合は,「公正証書遺言の保存期間と検索方法」を参照されたい。

公正証書遺言の検索で相続人資格を示す資料と,弁護士への委任に必要な資料の区別は,「公正証書遺言の検索を弁護士が代理する方法」で説明している。

第2 戸籍謄本の種類と読む欄を区別する

1 現在戸籍・除籍・改製原戸籍の違い

戸籍謄本は戸籍に記載された全員についての証明であり,電算化された戸籍では戸籍全部事項証明書という名称が用いられる。
これに対し,戸籍抄本・個人事項証明書は一部の人についての証明であるため,被相続人の家族関係全体を調べる資料と,相続人本人の現在の身分を確認する資料とを使い分ける。

「除籍」には,婚姻や死亡等によって一人がその戸籍から除かれるという意味と,全員が除かれた戸籍という意味がある。
「除籍」の表示だけで死亡したと判断せず,その原因が婚姻,転籍,死亡等のいずれであるかを身分事項から確認する。

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Appleアカウントの相続手続―故人アカウント管理連絡先,iCloudデータ及び端末の扱い(AI作成)

第1 この記事が扱うAppleアカウントの相続

1 対象と結論

2 一つの「相続」として扱えない理由

第2 故人アカウント管理連絡先が設定されている場合

1 アクセス申請に必要なもの

2 承認後のアカウントと3年間の期限

3 取得できるデータと対象外のデータ

第3 管理連絡先又はアクセスキーがない場合

1 日本で受け付けられる代替書類

2 Appleが示す裁判所命令の内容

3 拒否された場合の請求の絞り方

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Googleアカウントの相続手続―死亡後のデータ取得・資金請求・閉鎖(AI作成)

第1 対象範囲と結論

1 この記事の対象

2 アカウント,データ及び金銭を分けて考えること

3 パスワードは開示されないこと

第2 Googleが用意する三つの手続

1 三つの請求の違い

2 データ取得を先に検討する理由

3 処理期間,費用及び開示率

第3 申請前の確認と必要書類

1 低負担の初期確認

2 Googleフォームで求められる資料

3 データ取得と米国裁判所命令

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遺産分割と未支給年金――相続財産性,受給順位及び手続(AI作成)

第1 この記事が扱う未支給年金1 結論と対象2 未支給年金と遺族年金の違い第2 未支給年金が遺産分割の対象にならない理由1 相続ではなく法定遺族の固有の権利であること2 最高裁平成7年11月7日判決3 遺産分割協議書での扱い第3 誰が未支給年金を請求できるか1 親族の範囲と順位2 同順位者が複数いる場合3 法定の遺族がいない場合第4 生計同一をどのように判断するか1 同居だけで決まる要件ではないこと2 立証に用いる資料3 裁判例が示す判断の分かれ目(1) 別居していても生計同一が認められた例(2) 長期別居で生計同一が否定された例(3) 法律婚と事実婚が競合した例第5 死亡前入金,死亡後入金及び過払の区別1 死亡月分までの未払額2 口座への入金時点で結論が変わること第6 相続放棄及び請求者死亡1 通常の未支給年金と相続放棄2 先順位者が請求前に死亡した場合第7 請求手続,時効及び税務1 請求書及び基本資料2 本人が生前に年金請求をしていなかった場合3 消滅時効4 相続税と所得税第8 制度名によって結論が変わる例外1 旧共済年金の一部2 企業年金,確定拠出年金及び個人年金保険第9 実務上の確認順序第10 出典・参考資料1 法令2 裁判例3 行政資料4 文献第1 この記事が扱う未支給年金
1 結論と対象

通常の国民年金及び厚生年金保険について,受給権者が死亡した時点で未払となっている死亡月分までの年金は,遺産分割の対象となる相続財産ではない。国民年金法19条及び厚生年金保険法37条が,死亡時に受給権者と生計を同じくしていた一定範囲の遺族に,自己の名で請求する固有の権利を与えているためである。

したがって,法定相続人であることだけでは請求できず,反対に,相続人でなくても法定の親族範囲,生計同一及び順位を満たせば請求できることがある。遺産分割協議によって,日本年金機構に対する受給順位を入れ替えたり,生計同一でなかった相続人を請求者にしたりすることはできない。

本記事は,令和8年8月9日現在の国民年金及び厚生年金保険を中心に扱う。旧共済年金,企業年金,確定拠出年金及び個人年金保険は制度ごとに結論が異なるため,第8で別に説明する。

本記事は一般的な法制度及び手続の情報を提供するものであり,個別案件についての法律相談又は税務相談ではない。具体的な事情に即した相談は,「遺言・相続のお問い合わせ」から可能である。

2 未支給年金と遺族年金の違い

未支給年金は,死亡した受給権者に死亡月分まで支給されるべきであった年金について,支払時期又は手続の関係で未払となっている部分である。これに対し,遺族基礎年金及び遺族厚生年金は,被保険者等の死亡を支給事由として遺族に発生する別の給付であり,受給者の範囲,年齢要件,生計維持要件及び失権事由も異なる。

特に,未支給年金で必要なのは原則として「生計同一」であり,遺族年金で問題となる「生計維持」と同じではない。生計維持に関する年収850万円未満等の収入要件を,未支給年金の生計同一要件へそのまま当てはめることはできない。遺族厚生年金の生計維持要件そのもの(収入要件のライン,別居,内縁・重婚的内縁関係及びDVによる別居等の限界事例)については,「遺族厚生年金の生計維持要件——収入,別居,内縁及びDV別居の限界事例」で扱っている。

第2 未支給年金が遺産分割の対象にならない理由
1 相続ではなく法定遺族の固有の権利であること

民法896条は,被相続人の一身に専属するものを除き,相続人が被相続人の権利義務を承継すると定める。しかし,国民年金法19条及び厚生年金保険法37条は,この相続の一般原則とは別に,法定の遺族が自己の名で未支給年金を請求する仕組みを設けている。

この違いは,誰が受け取るかを決定する基準に表れる。遺産であれば相続人,遺言,法定相続分及び遺産分割が問題となるのに対し,未支給年金では親族範囲,死亡時の生計同一及び政令上の順位が問題となる。

2 最高裁平成7年11月7日判決

最高裁平成7年11月7日第三小法廷判決(平成3年(行ツ)第212号,民集49巻9号2829頁)は,国民年金法19条1項が一定の遺族に未支給年金の支給を請求する固有の権利を与えたものであり,死亡した受給権者の未支給年金請求権が相続の対象になるものではないと判示した。本判決は,未支給年金を遺産分割から外す現在の実務の出発点である。

また,本判決は,法定遺族が行政庁への請求及び支給決定を経て具体的な支給を受ける仕組みを重視し,死亡した受給権者本人が提起していた年金支給請求訴訟を遺族が当然に承継することも否定した。受給権者に未払分があったという事実だけから,相続人が当然に金銭債権を承継するわけではない。

3 遺産分割協議書での扱い

遺産分割協議書では,通常の未支給年金を遺産目録に計上し,特定の相続人が相続するという書き方を避けるのが法的構造に合う。記載が必要であれば,「未支給年金は法令上の受給権者が別途請求する」旨を確認事項として置き,遺産そのものの分配条項と区別する方法が考えられる。

もっとも,受領者が家族関係への配慮から他の親族へ金銭を渡すことや,遺産全体の合意解決の中で別の財産配分を調整することまで禁止されるわけではない。ただし,それは未支給年金の受給権を遺産分割した結果ではなく,別個の合意又は金銭移転であるため,合意内容及び税務上の扱いを分けて検討する必要がある。

第3 誰が未支給年金を請求できるか
1 親族の範囲と順位

平成26年4月1日以後に受給権者が死亡した場合,請求できるのは,死亡時に受給権者と生計を同じくしていた①配偶者,②子,③父母,④孫,⑤祖父母,⑥兄弟姉妹,⑦これら以外の三親等内の親族である。順位もこの順であり,先順位者がいるときは後順位者に請求権は生じない。

平成26年3月31日以前の死亡では,その他の三親等内の親族への拡張前の規定が適用される。古い判例又は実務書に「兄弟姉妹まで」と記載されていても,現在の死亡事案へそのまま用いることはできない。

配偶者には,法律上の婚姻届がある者だけでなく,社会通念上夫婦としての共同生活が認められる事実婚の配偶者が含まれ得る。ただし,法律婚配偶者と事実婚の配偶者が競合する場合は,法律婚の実体,経済的援助,接触状況及び共同生活の実態を具体的に確認する必要がある。

2 同順位者が複数いる場合

同順位者が2人以上いる場合,その1人による請求は全員のために全額についてしたものとみなされ,その1人への支給は全員に対してしたものとみなされる。日本年金機構への請求及び支払は代表者1人にまとめられるが,早く請求した者が全額を終局的に取得するという意味ではない。

法令は,同順位者間の最終的な内部取得割合を明記していない。堀勝洋『年金保険法〔第5版〕』355頁~356頁は頭数による均等を説くが,この点を直接判断した公開裁判例は確認できないため,代表受領者は他の同順位者を確認し,分配方法を記録しておくことが安全である。

3 法定の遺族がいない場合

親族範囲,生計同一及び順位を満たす者がいない通常の国民年金・厚生年金では,未支給年金が相続人一般へ回る仕組みはない。相続人が存在しても,法定の未支給年金受給者に該当しなければ,その相続人は請求できない。

この結論は,旧共済年金の一部又は確定拠出年金の死亡後5年経過時の扱いとは異なる。年金証書,年金コード及び支給元を確認し,単に「年金」という名称だけで判断しないことが重要である。

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昭和55年以前に開始した相続の法定相続分――時期区分と改正前民法900条の割合(AI作成)

第1 この記事が扱う相続と,適用される法の決め方1 相続分は相続開始時の法によって定まる2 適用される法の時期区分第2 昭和55年改正が設けた分水嶺1 改正法附則の経過措置2 改正された条文の内容3 e-Gov法令検索で経過措置を確認するときの限界第3 昭和23年1月1日から昭和55年12月31日までの法定相続分1 配偶者と血族相続人の割合2 同順位の相続人が数人あるときの割合3 昭和37年改正が変えたものと変えなかったもの第4 応急措置法が適用される相続の相続分第5 旧民法の遺産相続における相続分1 遺産相続人の順位2 庶子及び私生子の相続分第6 代襲相続の範囲が三段階に変わること第7 嫡出でない子の相続分と違憲決定の射程第8 地域による適用法の違い第9 相続分の計算に連動する制度1 遺留分2 寄与分3 相続税法上の相続分と配偶者の税額軽減第10 計算の手順と誤りやすい点1 計算の手順2 誤りやすい点3 計算した相続分が争われた場合出典・参考資料1 法令2 裁判例3 公文書・歴史資料4 文献

第1 この記事が扱う相続と,適用される法の決め方

1 相続分は相続開始時の法によって定まる

相続登記が長期間されないまま放置された不動産や,先代・先々代の名義のままになっている土地について遺産分割や相続登記を進めるときは,被相続人が死亡した日を基準として,その当時に施行されていた法律による法定相続分を計算しなければならない。現行の民法900条1号は,子及び配偶者が相続人であるときの相続分を各2分の1と定めているが,この割合が適用されるのは昭和56年1月1日以後に開始した相続に限られる。本記事は,昭和55年12月31日以前に開始した相続について,どの時期にどの割合が適用されるのかを,官報に掲載された公布時の条文にさかのぼって整理するものである。作成に当たっては,AIを用いて官報,国会会議録及び裁判所ウェブサイトの原資料を通読し,条文の文言と数値を原典と逐語で照合した。

この整理の出発点となる経過措置は二つある。一つは,民法及び家事審判法の一部を改正する法律(昭和55年法律第51号)附則第2項であり,「この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、第一条の規定による改正前の民法の規定を適用する」と定める。もう一つは,民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)附則第25条第1項であり,「応急措置法施行前に開始した相続に関しては、第二項の場合を除いて、なお、旧法を適用する」と定める。相続分は,相続人の範囲と同じく相続開始時に施行されていた法によって決まり,その後の改正によって遡って変わることはない。

本記事は,被相続人が日本人であり日本法が準拠法となる場合を対象とする。被相続人が外国人であるときは相続の準拠法は本国法であり,最高裁判所第二小法廷昭和37年8月10日判決は,大韓民国人について昭和31年当時に生じた遺産相続の相続人を,当時の同国の慣習によって認定している。在日韓国・朝鮮人が被相続人である事案の相続人調査については在日韓国・朝鮮人の相続人調査で扱っている。また,相続人の範囲そのもの,すなわち家督相続と遺産相続の区別,家督相続人が選定されなかった場合の処理及び家附の継子の相続権については旧民法が適用される相続の相続人の特定で扱っているため,本記事は相続人が確定した後の割合の計算に対象を絞る。

2 適用される法の時期区分

相続開始日によって適用される法は,次の5期に分かれる。境界となる日付は,いずれも各法律の施行期日に関する規定から導かれる。

相続開始日適用される法昭和22年5月2日以前旧民法(明治31年法律第9号として公布された民法第四編親族・第五編相続)。家督相続又は遺産相続昭和22年5月3日から同年12月31日まで日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律(昭和22年法律第74号)及び旧民法の遺産相続に関する規定昭和23年1月1日から昭和37年6月30日まで民法(昭和22年法律第222号による改正後のもの)昭和37年7月1日から昭和55年12月31日まで民法(昭和37年法律第40号による改正後のもの)昭和56年1月1日以後民法(昭和55年法律第51号による改正後のもの)

各境界日の根拠は次のとおりである。応急措置法の附則は「この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。」と定めるから,同法は憲法施行日である昭和22年5月3日から適用される。昭和22年法律第222号附則第1条は「この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。」と定める。昭和37年法律第40号附則第1項は「この法律は、昭和三十七年七月一日から施行する。」と定め,昭和55年法律第51号附則第1項は「この法律は、昭和五十六年一月一日から施行する。」と定める。なお,応急措置法の附則には失効期日を定める規定が置かれておらず,同法及び同時期の関係法律の整理に関する法律にも同法を廃止する条項は見当たらないが,新民法の施行によって相続に関する規律が引き継がれた結果,昭和23年1月1日以後に開始した相続には新民法が適用される。

第2 昭和55年改正が設けた分水嶺

1 改正法附則の経過措置

民法及び家事審判法の一部を改正する法律は,昭和55年5月17日に公布され,官報同日付本紙第15994号5頁に掲載された。その附則は7項から成り,相続分の計算に直接かかわるのは次の2項である。

1 この法律は、昭和五十六年一月一日から施行する。

2 この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、第一条の規定による改正前の民法の規定を適用する。

この経過措置は,改正後の規定を施行前に開始した相続へは一切及ぼさないという完全な不遡及を定めるものである。したがって,被相続人が昭和55年12月31日に死亡した相続と,翌日である昭和56年1月1日に死亡した相続とでは,遺産分割や相続登記を現在行うとしても,適用される相続分の割合が異なる。

(続きを読む...)昭和55年以前に開始した相続の法定相続分――時期区分と改正前民法900条の割合(AI作成)

被相続人の財産を調べる方法―相続人が被相続人の死亡後に行う財産・債務調査(AI作成)

◯山中弁護士への事件のご相談・ご依頼は「遺言・相続のお問い合わせ」から可能です。

第1 相続財産調査の目的と最初に管理する期限

1 全国一括検索だけでは調査は完結しない
2 3か月の熟慮期間を調査より先に管理する

第2 最初にそろえる権限資料と手掛かり

1 相続人と遺言を確定する
2 自宅,郵便物及び税務資料から候補表を作る

第3 財産・債務の種類ごとの調査方法

1 預貯金,貸金庫及び銀行取引

(1) 相続時預貯金口座照会で所在候補を探す
(2) 判明した金融機関へ残高と取引履歴を個別照会する

2 不動産

(1) 所有不動産記録証明で全国の登記記録を検索する
(2) 名寄帳と固定資産税資料を併用する

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国庫帰属した不動産のその後──相続土地国庫帰属法と民法959条による帰属後の管理・処分の実務(AI作成)

相続又は遺贈により取得した不要な土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日に施行され,制度の利用は年々増えている。もっとも,弁護士が依頼者に助言する際に見落とされがちなのは,土地が国庫に帰属した「その後」に何が起きるのか,という点である。本記事は,不動産が国庫に帰属した後の管理・処分の法的枠組みと実際を整理し,弁護士が手続の選択及び依頼者への説明を行う際の検討事項を示すものである。個別の事案では,土地の物理的状況及び権利関係により結論が異なる。

目次

第1 国庫帰属した不動産をめぐる二つの系統と本記事の射程

1 相続土地国庫帰属法による帰属と民法959条による帰属の区別
2 帰属後はいずれも「普通財産」として管理・処分される

第2 相続土地国庫帰属法により帰属した不動産のその後

1 帰属の時期と管理機関
2 帰属後に残る法的リスク──承認の取消しと損害賠償責任
3 帰属した不動産の管理・処分の実際と評価方法

(1) 売却実績と帰属地の性質
(2) 簡易な評価手法と段階的な価格の見直し

第3 普通財産としての管理・処分の法的枠組み

1 処分の手段と貸付・交換・譲与・信託
2 適正な対価の原則と競争入札・随意契約

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旧民法が適用される相続の相続人の特定 ― 家督相続・遺産相続の区別と新民法附則の経過措置(AI作成)

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目次

第1 旧民法が適用される相続と本記事の射程

1 相続人の特定に適用する法は相続開始時の法である
2 旧民法・応急措置法・新民法の時代区分

第2 旧民法における相続の二本立て

1 家督相続
2 遺産相続
3 二本立ての区別が相続登記に与える影響

第3 昭和22年5月3日以後の相続と現行法附則の経過措置

1 応急措置法期の相続の位置づけ
2 家督相続人が選定されなかった場合の処理
3 応急措置法施行中に開始した相続と分配請求権

第4 家附の継子の相続権

1 嫡出子と同一の権利義務を有するための要件
2 分配請求権と適用除外

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相続発生時のNISA口座の取扱い(AI作成)

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目次

第1 制度の骨格――NISA口座は名義人の死亡でどうなるか

1 NISAが非課税とするのは所得税等であり,相続税は非課税とならないこと
2 名義人の死亡によるNISA口座の廃止と,相続人のNISA口座への引継ぎ不可

第2 所得税の取扱い――みなし譲渡・非課税・取得価額

1 死亡は「払出し事由」であり,死亡日の価額で譲渡があったものとみなされること
2 死亡日までの含み益は非課税,含み損は切り捨てられること
3 相続人の取得価額は死亡日の終値となること――所得税法60条の例外

第3 相続税の取扱い――相続財産としての評価

1 相続財産としての評価方法
2 相続税評価額と所得税の取得価額との相違
3 取得費加算の特例と準確定申告の要否

第4 相続人が複数いる場合――遺産分割の要否と移管

1 上場株式・投資信託受益権は当然分割されないこと
2 移管先口座の選択と現物移管の実務

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証券口座の相続――準共有・遺産分割・移管手続と税務の実務(AI作成)

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目次

第1 証券口座内の資産の法的性質――当然分割か準共有か

1 可分債権の当然分割という原則
2 株式・投資信託受益権・個人向け国債は当然分割されない

(1) 株式
(2) 委託者指図型投資信託受益権及び外国投資信託受益権
(3) 個人向け国債

3 相続開始後に生じた元本償還金・収益分配金
4 共同相続された株式から生じた配当金支払請求権
5 預貯金に関する判例変更と到達点

第2 遺産分割前の権利行使・管理と手続選択

1 準共有物の管理・保存・変更
2 共有株式の議決権行使と権利行使者の指定
3 遺産分割前の単独払戻し(民法909条の2)の射程
4 手続選択の分岐

第3 証券会社における相続手続の実務

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日本の証券会社経由で米国株式を保有していた場合の相続手続(AI作成)

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目次

第1 はじめに

1 問題の所在――四つの法分野が交錯すること
2 本記事の対象と留保

第2 相続人の確定と相続税の納税義務者の判定

1 相続の準拠法
2 相続税の納税義務者の区分と「住所」の認定

(1) 無制限納税義務者と制限納税義務者の分岐
(2) 「住所」の認定が争われた最高裁判決とその考慮要素

第3 米国株式は相続税法上「国外財産」であること

1 財産の所在に関する規定
2 評価と邦貨換算の実務

第4 米国連邦遺産税(非居住外国人課税)の構造

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iDeCo死亡一時金の民法上・税法上の取扱い(AI作成)

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目次

第1 iDeCo死亡一時金の基本構造

1 死亡一時金が支給される仕組み
2 受給権者の範囲及び順位
3 請求期限と相続財産への転化

第2 民法上の取扱い

1 受取人固有の権利という性質
2 遺贈及び遺産分割との関係
3 遺留分及び特別受益との関係
4 相続放棄との関係

第3 税法上の取扱い

1 支給が確定した時期による3区分

(1) 死亡後3年以内に確定した場合
(2) 死亡後3年を経過して確定した場合
(3) 5年の経過により相続財産となった場合

2 退職手当金等の非課税枠
3 相続人以外の受取人及び相続放棄者の課税

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非典型財産の相続実務(AI作成)

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目次

第1 はじめに──「非典型財産」という視点

1 なぜ「非典型」を意識するのか
2 相続の一般原則と「当然分割」の可否

第2 金融商品の相続

1 可分債権の原則と預貯金の例外
2 投資信託と個人向け国債

(1) 委託者指図型投資信託の受益権
(2) 個人向け国債
(3) 未分割期間中の管理と権利行使

3 上場株式・非上場株式
4 生命保険金

(1) 受取人固有の財産という原則
(2) 特別受益の持戻しが問題となる場合
(3) 団体信用生命保険

5 強制決済型のポジション

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