目次第1 本記事の対象と基準日1 青切符の要点2 本記事が扱う範囲と基準日第2 青切符の仕組みと対象者1 交通反則通告制度の根拠2 対象は16歳以上の運転者3 反則者に当たらず赤切符等の刑事手続になる場合第3 自転車の反則行為と反則金の額1 反則金の額の決まり方2 主な反則行為と反則金の一覧3 主な違反の中身第4 指導警告と取締りの基本的な考え方1 原則は指導警告2 検挙の対象となる「悪質・危険な違反」3 導入後1か月の運用状況第5 青切符を受けた後の手続1 告知と仮納付2 通告と10日以内の納付3 納付しない場合と違反を争う場合4 運転免許と自転車運転者講習への影響第6 自動車が自転車の右側を通過するときの新しい規定1 道路交通法18条3項・4項の内容2 警察庁が示す目安と違反の扱い第7 民事の損害賠償・示談との関係1 反則金の納付と民事責任の関係2 事故を起こした場合は青切符ではなくなること3 過失割合での違反の位置付け4 自転車同士の事故の過失相殺(別冊判例タイムズ39号と赤い本の第一次試案)5 電動キックボード・モペットの事故の過失相殺と保険6 示談と未成年者の事故第8 自転車保険の加入義務(大阪府・兵庫県)1 大阪府の条例2 兵庫県の条例3 加入状況の確認第9 出典1 法令・条例2 裁判例3 所管行政機関の解説・運用資料4 統計5 文献
第1 本記事の対象と基準日
1 青切符の要点
令和8年4月1日から,16歳以上の者が自転車で信号無視や一時不停止等の反則行為をした場合,交通反則通告制度(いわゆる青切符)による処理が行われるようになった。
根拠は,道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)による改正後の道路交通法125条以下である。
自転車の反則金は,反則行為の種別に応じて3,000円から12,000円までであり,最も高いのは携帯電話使用等(保持)の12,000円である。
もっとも,自転車の違反に対しては,導入後も指導警告が原則とされ,検挙の対象は交通事故の原因となるような悪質・危険な違反である。
酒酔い運転・酒気帯び運転,妨害運転,違反によって交通事故を起こした場合等は,青切符ではなく赤切符等の刑事手続で処理される。
反則金を納付した効果は,その違反について公訴を提起されないことにとどまり,被害者に対する民事上の損害賠償責任とは別の問題である。
民事の過失割合では,二人乗り,無灯火,並進,傘差しによる片手運転等が自転車の著しい過失として修正要素になり得る。
自転車同士の事故については,赤い本に過失相殺基準の第一次試案が収録されているが,確定した基準ではない。
大阪府と兵庫県は,条例で自転車損害賠償保険等への加入を義務付けている。
2 本記事が扱う範囲と基準日
本記事は,自転車の交通反則通告制度について,対象年齢,反則行為と反則金の額,指導警告との関係,告知後の手続,自動車が自転車の右側を通過する際の新しい規定,民事の損害賠償との関係及び大阪府・兵庫県の自転車保険の加入義務を整理するものである。
法令は令和8年9月16日現在のe-Gov法令検索の本文により,警察庁の資料は同日に同庁ウェブサイトで確認した版による。
導入後の運用件数は,同日までに警察庁が報道発表資料として公表したものに限っている。
特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)の反則行為,自転車の酒気帯び運転の罰則の詳細及び自動車の違反点数は扱わない。
電動キックボードやモペットの事故の過失相殺と保険については,第7の5で赤い本の記述に触れる。
第7の4で赤い本に収録された自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)等を紹介するが,個別の事故の過失相殺率を示すものではない。
第2 青切符の仕組みと対象者
1 交通反則通告制度の根拠
(1) 反則行為と反則金を定める規定
道路交通法125条1項は,反則行為を,同法の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであって車両等の運転者がしたものと定義している。
自転車は同法上の軽車両であり,反則行為の種別と反則金の額は道路交通法施行令45条及び別表第六で定められている。
(2) 反則金を納付した効果
同法128条2項は,「前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。」と定める。
警察庁の自転車ルールブックは,これを,反則金を納付すれば刑事手続に移行せず,いわゆる前科もつかない制度と説明している(7頁,11頁)。
従前,自転車の交通違反を検挙した場合は赤切符等による刑事手続だけで処理されていたから,手続の選択肢が一つ増えたことになる(同9頁~10頁)。
2 対象は16歳以上の運転者
(1) 16歳未満の者は対象外
(続きを読む...)自転車の青切符とは-対象年齢,反則金一覧,赤切符になる場合及び過失割合・自転車保険との関係(AI作成)