被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録

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「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(平成20年11月19日付の法務省刑事局長依命通達)によれば,被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において,閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録は,以下のとおりです(意味の同一性を失わない限度で,閲覧・謄写を請求する側の表現に変えています。)。
○通達原文では,供述調書等につき,代替性がない場合,例外的に閲覧が認められ,供述者が死亡する「など」代替性がない場合,例外的に謄写が認められると書いてあります。
   そのため,例えば,供述者は生存しているが,その連絡先が不明である場合,供述調書の閲覧は認められるが,供述調書の謄写は認められないのかもしれません。

1 客観的証拠の閲覧
   被害者参加対象事件の被害者等については,「事件の内容を知ること」等を目的とする場合であっても閲覧が可能ですから,原則として,代替性の有無にかかわらず,相当でないと認められる場合を除き,閲覧が認められます。

  具体的な証拠の取扱いについては,以下のとおりです。
(1) 実況見分調書,検証調書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,原則として,閲覧が認められます。
   ただし,立会人の特定に関する記載や立会人が写っている写真等は,立会人のプライバシーにかかわるものであり,これが公になることにより第三者の協力が得られないこととなるおそれがあることなどから,マスキング等の措置がなされることがあります。

  その他,例えば,犯罪に関する痕跡のない部屋の見取図や写真についても,関係者のプライバシーという観点から,マスキング等の措置がなされることがあります。
  また,立会人の指示説明部分については,供述調書に準ずるものとして取り扱われますし,犯行状況の再現等のために行われた実況見分や検証の調書等についても同様です。
(2) 死者の検視調書,死亡診断書,死体検案書,死体の鑑定書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,当該死者の遺族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として,閲覧が認められます。
   この場合,死体の写真については,死者の名誉やプライバシーを侵害するおそれが高いことから,原則として,マスキングの措置が講じられますが,遺族及びその代理人たる弁護士からの強い要望があり,他に特段の弊害があるとは認められない場合,閲覧が認められることがあります。

  その場合,事前に遺族等に対し,死体の写真が衝撃的でショックを受けるおそれがあることなどを十分説明し,状況に応じて再考を促すなど,十分な意思確認が行われます。
(3) 身体の鑑定書,身体検査調書,診断書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,鑑定等の対象となった被害者本人若しくはその親族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として閲覧が認められます。
(4) 精神鑑定書等については,鑑定の対象者のプライバシー性がきわめて高いことから,原則として,閲覧が認められません。
  ただし,開示に伴う弊害がなく,かつ,開示を必要とする特段の事情があると認められる場合に限り,閲覧が認められます。例えば,鑑定の対象者等又はその代理人たる弁護士の有効な同意があるような場合には,鑑定人に及ぶ影響や弊害等も踏まえ,閲覧が認められることがあります。
(5) 信号機サイクル表については,原則として閲覧が認められます。
(6) 証拠物の写真撮影報告書,鑑定書等については,証拠物の性状等の客観的な事実を示すものですから,原則として,閲覧が認められます。
(7) 関係者の飲酒の有無・アルコール濃度に関する飲酒検知管,鑑定書等については,対象者が生存していても,原則として,閲覧に応じ,又はその結果の照会に対して回答してもらえます。

(8) その他の交通事故鑑定,速度違反,出火原因鑑定等の鑑定書については,原則として,閲覧が認められます。

2 供述調書等の閲覧
   供述調書等については,関係者の名誉・プライバシー,今後の捜査一般の円滑な遂行を害するおそれが高いため,原則として閲覧が認められていません。
  ただし,閲覧請求に係る供述調書等が代替性のないものであるときは,相当でないと認められる場合を除き,例外的に閲覧が認められることがあります。
  このように,供述調書については,原則として閲覧が認められませんが,被害者等の要望に応じて,不起訴処分をする際に,検察官において,処分理由の説明の一環として,必要と認められるときは供述内容を口頭で説明するなどの配慮が行われることがあります。

3 謄写できる部分
(1)   謄写については,当該事件が被害者参加対象事件であるか否かにかかわらず,民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使する場合に限り,必要性及び相当性が認められる部分について認められることになっていますところ,通常は閲覧できる範囲と謄写できる範囲は同じです。

(2)   供述調書等については,供述人が死亡するなど代替性がないと認められる場合を除き,謄写が認められません。

4 「交通事故事件の刑事記録の入手方法」も参照してください。

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