弁護士業界

遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例

目次
第1 総論
1 遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許される場合
2 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をすることが許される場合の取扱い
3 東弁リブラの連載記載
第2 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒処分例(21例)
第3 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消した,日弁連の裁決例(1例)
第4 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒を取り消した,日弁連の裁決例(2例)
第5 日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に元破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないこと
1 遺言執行者と破産管財人の比較
2 日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に元破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないこと
3 解説「弁護士職務基本規程」の記載

第1 総論
1 遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許される場合

(1) 解説「弁護士職務基本規程」(平成17年4月発行)54頁では,遺言執行者の職務内容に裁量の余地があるかどうかで分け,裁量の余地がない場合,執行終了後は遺留分減殺請求における受遺者の代理人になれるとされていました。
(2) 単位弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消した,平成18年1月18日付の日弁連裁決(自由と正義2006年4月号85頁及び86頁)により,相続人間に深刻な争いがあり話し合いによっては解決することが困難な状況がある場合,遺言執行者が特定の相続人の代理人になることは許されなくなりました。
(3)ア 現在の懲戒実務からすれば,遺言執行行為が終了した後に遺言執行者が特定の相続人の代理人をすることが許されるのは,具体的事案に即して実質的に判断したときに,遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく,遺言執行者と懲戒請求者を含む各相続人との間に実質的にみて利益相反の関係が認められないような特段の事情がある場合に限られると思います(平成27年10月20日付の日弁連裁決(自由と正義2015年12月号99頁及び100頁)。なお,先例として,平成22年5月11日付の日弁連裁決(自由と正義2010年7月号140頁及び141頁))。
イ 解説「弁護士職務基本規程」(第3版)99頁にも同趣旨の記載があります。
2 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をすることが許される場合の取扱い
(1) 遺言執行者代理人をした後に特定の相続人の代理人をしたことに基づく懲戒処分の実例は確認できていません。
(2) 東弁リブラ2008年3月号の「弁護士倫理・ここが問題 第3回 弁護士が遺言執行者となる場合の問題点(その1)」には「現実に,自分では遺言執行者にならず,遺言執行者の代理人になるようにしているという考えの弁護士もかなりいて,遺言執行実務の現場は困惑しているようです。」と書いてあります。
3 東弁リブラの連載記載
   東弁リブラ2008年4月号の「弁護士倫理・ここが問題 第3回 弁護士が遺言執行者となる場合の問題点(その2)」には以下の記載があります。
① そもそも受遺者でもなれる遺言執行者に,相続人への中立義務を課すのは疑問であるという有力な意見があります。
② 日弁連自身が,弁護士職務基本規程の解説で,執行終了後は,遺言執行者の職務内容が裁量の余地がない場合には,受遺者の代理人になれる,との見解を発表しているのに,その点を全く検討せずに,単位会の決定を覆して,懲戒までしているのは,行き過ぎではないかという意見もあります。

第2 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒処分例(21例)
1 平成19年10月30日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2008年2月号155頁)
   被懲戒者は、2002年2月14日、懲戒請求者から、同人の父Aを被相続人とする兄弟4名(内1名は代襲者)の相続事件について相談を受けた。Aは特定財産についての相続人の指定の他、長男Bの相続廃除を内容とする過言書を残していたため、懲戒請求者は被懲戒者に対し、遺産の調査と、Bに対しては相続放棄を求める内容での遺産分割協議を依頼し、同月28日に着手金50万円を、同日から同年5月21日までの間に出張旅費・日当として合計金22万5280円を支払った。
   被懲戒者は、同月22日、懲戒請求者に被懲戒者を候補者とする遺言執行者選任申立をさせ、同年7月5日に遺言執行者に選任され、一方、同年6月27日に開かれたAの遺言書の検認期日には懲戒請求者の代理人として出頭し、同年9月4日には、遺言執行者としてBの推定相続人廃除の申立(後日却下)を行った。
   その後、懲戒請求者から、2003年1月18日付手紙により、遺言執行者の辞任及び着手金の返還を求められ、被懲戒者は、同年3月27日、遺言執行者の辞任の許可の申立を行ったが、同年10月30日却下された。また、被懲戒者は、2005年6月6日、遺言執行者として、遺産分割調停を申し立てた。
   特定の相続人から依頼を受けた代理人弁護士は、当該相続人の利益をはかるべく行動する職務上の義務があり、一方、遺言執行者は特定の相続人の立場に偏することなく中立的立場で職務を遂行することが期待されており、両者の立場を同時に兼併することは利益相反であり、廃止前の弁護士倫理第26条第2号に反する。
   また、懲戒請求者に対し、上記の両者の立場の兼併について説明義務を尽くさず、その不利益を理解させないまま受任したことは不適切である。
   被懲戒者の上記行為は、弁謹士法第56条第1項の弁護士として品位を失うべき非行に該当する。

2 平成20年4月7日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2008年7月号150頁)
   被懲戒者は、亡Aの相続に関し、Aの妻Bの代理人として2003年2月4日遺言の検認手続に出頭し、同月6日Bの依頼を受け、自らを候補者とする遺言執行者選任の申立てを行った。他方、いずれもAの他の相続人であって、Aの二女である懲戒請求者C及びその子でAの養子である懲戒請求者Dを申立人とし、Bを含む他の相続人を相手方とする遺留分減殺調停が同年3月27日に申し立てられていたが、被懲戒者は、同年5月14日に遺言執行者に選任された上で、B及び他の相続人Eの代理人として、同月27日の遺留分減殺調停期日に出頭し、2004年11月10日に当該調停が不成立に終わるまで、Bらの代理人として出頭し続けた。さらに被懲戒者は、上記調停係属中の同年5月31日、Bの委任を受けて他の相続人を相手方とする遺産分割の調停を申し立てるなどした。
   被懲戒者が遺言執行者に選任された遺言書には、Aの相続人の一人を相続から廃除する旨の記載があり、被懲戒者には、遺言執行者として、推定相続人の廃除の請求手続をする義務があったが、その手続はなされておらず、遺言執行者としての職務が終了していない事項に直接関係する紛争が相続人間で生じた場合に、特定の相続人から当該紛争に関し事件を受任することは、遺言執行者の解任事由ともなり得るのであるから、遺言執行者にはこれを回避すべき職務上の義務があり、その一環として、いずれの相続人に対する関係においても信頼関係上の距離感をもった中立的立場を保持すべき義務がある。
それにもかかわらず、被懲戒者がBらから遺留分減殺調停等の事件を受任したのは、遺言執行者としての職務の中立性を害するものであり、被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項の品位を失うべき非行に該当する。

3 平成21年5月7日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2009年8月号205頁)→平成22年5月11日付の日弁連の裁決により取り消されたもの
(1) 被懲戒者は、1998年11月27日、Aの公正証書遺言の作成に関わり、遺言執行者に指定されていたが、2001年11月26日、Aは死亡した。被懲戒者は、相続人の1人であるBに対し共同事務所に所属する弁護士Cを紹介し、C弁護士は、懲戒請求者が申し立てた遺留分減殺請求調停において、Bを含む相手方当事者とされた相続人全員の代理人として訴訟活動を行った。
(2) 上記調停は不調となったが、相続人間の紛争が解決しないうちに、被懲戒者は、2004年12月16日、遺言執行者に就任する意思を示し、遺言執行を行った。
(3) 上記被懲戒者の行為のうち(1)のC弁護士を紹介した行為は、遺言執行者に就任する以前であったとしても、遺言執行者に指定された弁護士としての職務の公正中立さを害するものであり、(2)の行為は、遺言執行者としての職務の遂行につき、中立性ないし誠実・公正さを疑われるものであるから、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 平成22年2月2日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2010年5月号129頁)→自由と正義2010年5月号131頁掲載の事案も同じ。
(1) 被懲戒者は、妻である同じ事務所の弁護士Aと共に、2004年8月ころ、Bの成年後見開始申立てについて、Bの子である懲戒請求者Cから依頼され、これを受任したが、報酬等の説明をせず、委任契約書も作成しなかった。
(2) 被懲戒者は、2001年5月ころ、B、C及びCの子Dらから、賃貸していた土地の更新料等についての契約締結交渉の委任を受け、交渉は概ね合意に達したが、Dらは合意書等に必要な署名押印をしなかった。被懲戒者は、Cらに対し、実際の作業期間が比較的短かったこと、被懲戒者らの事務所の報酬基準のみなし成功報酬規定の適用が疑問視されること等を併せて考えると、不当に高額と評価される着手金及びみなし成功報酬を請求した。
   また、被懲戒者は、2005年8月6日、Bが死亡したため、公正証書遺言の指定に従い、Bの遺言執行者に就任し、通言執行を行ったが、その途中でBの新たな自筆証書遺言の存在が明らかになり、後にこれを基にDからCらに対して提起された所有権移転登記手続請求訴訟の第一審判決でCらは敗訴判決を受けた。被懲戒者は、これらの事情やCらが被懲戒者の計算した金額を了解したとは認められないこと等から考えると不当に高額と評価される金額の遺言執行手数料を請求した。
(3) 被懲戒者は、Bの遺言執行者であったにもかかわらず、Bの相続人間の遺産をめぐる前記所有権移転登記手続請求訴訟について、Cらの訴訟代理人であるAと共にCらとの打合せに参加し、報酬についてCと交渉する等、代理人と同様の立場で関与した。
(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は、弁護士職務基本規程第29条及び第30条に違反し、上記(2)の各行為は、同規程第24条に違反し、上記(3)の行為は、遺言執行の公正さを疑わしめる行為であり、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当し、懲戒請求が取り下げられている事情を考慮しても懲戒に処するのが相当である。

5 平成22年11月4日発効の,東京弁護士会の「業務停止2月」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2011年2月号121頁)
   被懲戒者は、2007年4月17日、遺言執行者に選任されたが、相続財産の目録の作成及び相続人に対する交付をせず、さらに、2009年7月10日、法定相続人Aの代理人として、法定相続人Bに対し、相続財産である土地に関し訴訟を提起した。
   被懲戒者の上記行為は、通言執行者としての義務に著しく反するとともに、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

6 平成23年3月23日発効の,茨城県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2011年7月号136頁)
   被懲戒者は、2005年1月14日、Aの遺言執行者に選任された。Aの相続人である懲戒請求者は、2007年10月29日、Aの相続人Bを相手方とする遺留分減殺請求調停を申し立てた。被懲戒者は、Bの代理人となり、同調停に出席し、代理人としての活動を行った。
   被懲戒者の上記行為は、遺言執行者の職務の中立、公正性に対する信頼を害するおそれがある行為であり、弁護士法第56条第1項に定める弁謹士としての品位を失うべき非行に該当する。

7 平成24年5月10日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2012年8月号115頁)
   被懲戒者は、2008年4月21日に遺言執行者に選任され、同年8月11日に相続財産である不動産について遺言執行を終えたが、その間、相続財産である建物について、相続人Aらの代理人として、他の相続人である懲戒請求者に対し、同年6月19日に占有移転禁止の仮処分の申立てを、同年7月8日に同仮処分決定に基づく保全執行を行い、さらに遺言執行を終えた後である2009年1月15日に明渡し等を求める本案訴訟を提起した。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第28条第3号、第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

8 平成24年7月3日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2012年10月号113頁)
   被懲戒者は、2010年5月頃、A及び懲戒請求者を相続人とする相続に関し、Aの代理人として、相続財産の調査を行い、懲戒請求者の代理人との間で懲戒請求者によるAに対する遺留分減殺請求についての協議を行った。
   しかし、被懲戒者は、2011年5月26日、家庭裁判所に対し、被相続人の自筆遺言証書について自己を遺言執行者に自薦する内容の遺言執行者の選任を申し立て、同年6月3日、遺言執行者に選任された。また、被懲戒者は、家庭裁判所から遺言執行者の辞任を求められたことから同年9月21日に遺言執行者の辞任許可の審判を申し立てたものの、辞任許可がなされる以前である同月22日に、Aの代理人として相続財産の調査等を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条、第6条及び第28条第3号に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

9 平成25年2月8日発効の,長野県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年5月号112頁)
   被懲戒者は、2007年8月24日、Aに全財産を相続させる旨のBの遺言の遺言執行者に就任したところ、その後、懲戒請求者から遺留分減殺請求を受けた。そこで、被懲戒者は、A及び懲戒請求者に対し、相続及び遺留分減殺請求によりA及び懲戒請求者が共有することとなった土地並びに建物を売却して代金を分配することを提案したが、最終的に懲戒請求者の同意が得られなかった。その後、被懲戒者は、Aから依頼を受け、2008年10月17日、上記土地について懲戒請求者を被告とする共有物分割請求訴訟を提起した。被懲戒者は、懲戒請求者の訴訟代理人から遺言執行者がAの代理人となることについての疑義を指摘され、同年12月1日にAの訴訟代理人を辞任したが、その後も上記訴訟は被懲戒者の主宰する法律事務所の勤務弁護士により追行された。被懲戒者は、2009年8月20日、上記訴訟の判決に基づき、Aの代理人として競売の申立てを行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

10 平成25年3月5日発効の,大阪弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年6月号128頁及び129頁)
(1) 被懲戒者は、2004年1月中頃、被相続人Aの遺言執行者に就任した。その後、相続人B及びCは、2005年3月9日、相続人Dに対し、遺留分減殺請求を行ったが、Dは、同月18日に死亡し、懲戒請求者らがDの相続人としての地位を相続した。B及びCは、同年5月9日、懲戒請求者らを相手方として遺産分割調停を申し立てた。被懲戒者は、懲戒請求者らから相談を受け、同じ法律事務所の他の所属弁護士に当該調停事件を受任させ、当該弁護士と共に相談を受けて事件処理に関与した。
(2) 被懲戒者は、上記調停事件が不成立となったためBが2007年4月6日に提起した懲戒請求者らを被告とする遺留分減殺請求訴訟について、遺産の評価額という具体的な利害対立が生じていたにもかかわらず、懲戒請求者らの訴訟代理人に就任し、当該訴訟を遂行した。
(3) 被懲戒者は、上記調停事件及び上記訴訟事件の弁護士費用をAの遺産から直接支出し、受領した。
(4) 被懲戒者の上記(1)及び(3)の行為は弁護士職務基本規程第5条及び第6条に、上記(2)の行為は弁護士職務基本規程第28条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

11 平成25年3月11日発効の,岡山弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年6月号129頁)
   被懲戒者は、懲戒請求者の父Aの通言執行者であったところ、Aの遺産をめぐる懲戒請求者と懲戒請求者の母Bらの間の争いについて、Bら側の代理人として訴訟活動を行っていた。被懲戒者は、Bの死亡により、2008年,4月21日、Bの通言執行者に就任し、A及びBの遺言執行者として職務を行うとともに、A及びBの遺産をめく.る懲戒請求者と他の相続人との争いにおいて他の相続人の代理人として訴訟を追行する等、相続人の一方の代理人となってその職務を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

12 平成25年7月12日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2013年10月号132頁)
(1) 被懲戒者は、2004年9月5日に死亡したAの遺言執行者であったところ、Aの遺産である土地を相続したBと上記土地上に建物を所有するAの相続人である懲戒請求者との間の建物収去土地明渡請求訴訟事件につき、2006年10月6日、Bの代理人に就任し、2007年9月25日に訴えを取り下げるまで訴訟を追行した。
(2) 被懲戒者は、Aの遺言執行者であったところ、Aが亡き妻から相続していた遺産に関する共有物分割等の審判事件につき、Bの代理人として、2006年10月3日の期日に出頭し、2007年9月14日に審判の申立てを取り下げるまで活動した。
(3) 被懲戒者の上記各行為は、いずれも弁護士職務基本規程第28条第3号に違反し、遺言執行者の中立性、公正性を損なうものであり、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

13 平成26年1月22日発効の,福岡県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2014年4月号106頁)
(1) 被懲戒者は、2010年11月2日に死亡したAの遺言執行者に就任したが、Aの相続人であるB及びBの代理人である懲戒請求者弁護士cらから、相続財産目録の交付を再三求められたにもかかわらず、相続財産目録を交付せず、遺言執行の状況の報告を行わなかった。
(2) 被懲戒者は、Aの遺言執行者であるにもかかわらず、BがAの相続人であるDを被告として2011年9月28日付けで提起した遺言書真否確認等請求訴訟において、Dの代理人として答弁書を提出した。
(3) 被懲戒者は、Aの遺言執行者であるにもかかわらず、BがAの相続人であるEを被告として2011年9月28日付けで提起した養子縁組無効確認請求訴訟において、Eの代理人として答弁書を提出した。
(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は民法第1011条等に違反し、上記(2)及び(3)の行為は弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

14 平成26年5月8日発効の,愛知県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2014年8月号99頁)→平成27年10月20日付の日弁連の裁決により取り消されたもの
(1) 被懲戒者は、Aの公正証書遺言により遺言執行者に指定されていたところ、相続開始後にAの子である受遺者Bの代理人として、Aの子である懲戒請求者の代理人に対し、2011年12月7日付けの書面で、懲戒請求者のBに対する遺留分減殺請求に関し提案を行った。その後、被懲戒者は、懲戒請求者の代理人から遺言執行者に就任するか否かを尋ねられたのに対し、2012年2月10日付けの書面により遺言執行者に就任することを受諾する旨通知した。
(2) 被懲戒者は、遺言執行者就任後、懲戒請求者に対し財産目録を交付しなかった。
(3) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第28条第3号に、上記(2)の行為は民法第1011条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

15 平成26年6月17日発効の,沖縄弁護士会の「業務停止1月」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2014年9月号102頁及び103頁)
(1) 被懲戒者は、Aの成年後見人であったが、Aの死亡後、2011年5月17日に行われたA名義の遺言書の検認期日において、遺言書を預かった時期及び遺言書授受の相手方につき、その認識する事実とは異なる内容虚偽の事実を裁判所に申告した。
(2) 被懲戒者は、Aの死亡後、Aの法定相続人である懲戒請求者から、Aの成年後見人であった期間中のAの財産変動状況及び売却した不動産の売却価格につき報告を求められたにもかかわらず、これに何ら回答を行わなかった。
(3) 被懲戒者は、上記遺言の遺言執行者であったところ、上記遮言の効力を裁判で争う意向を示していたAの法定相続人である懲戒請求者らに対し、2011年9月7日付けの書面を送付し、懲戒請求者らが上記遺言の効力を訴訟で争った場合、懲戒請求者らが敗訴することがほとんど確実である旨を合理的な根拠もなく断定的に伝え、また、訴訟における弁護士費用を過大に伝えるなどし、懲戒請求者らが訴訟提起することを断念させようとした。
(4) 被懲戒者は、上記過言によってAの遺産全部の遺贈を受ける受遺者Bと懲戒請求者らとの間で、上記遺言の法的有効性をめぐって深刻な利害衝突のおそれがあったにもかかわらず、Bと相談の上、Aの遺産の一部を懲戒請求者らにも分配する案の立案に関与し、上記2011年9月7日付け書面にてこれを懲戒請求者らに提案し、もってBの利益に偏して遺言執行者としての職務を行った。
(5) 被懲戒者の上記各行為は、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

16 平成26年10月18日発効の,福島県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2015年1月号116頁)
   被懲戒者は、Aの夫である亡Bの遺産に関し、懲戒請求音を被告の一人として、相続人Cが提起した過産の返還及び確認を求める訴訟並びに相続人Aが提起した遺留分減殺請求訴訟において、A及びCの訴訟代理人としてそれぞれ職務を行った。被懲戒者は、Aの死亡後、Aの遺言執行者に就任したが、相続人間の紛争が話合いによって解決することが困難な状況にあることを認識しながら、亡Aの相続人の一人である懲戒請求者の代理人に対し、2012年2月17日及び同年3月3日、それぞれ相続人Cの代理人と明記した書面を送付した。また、被懲戒者は、懲戒請求者が原告の一人となりCに対して提起した遺言無効確認等請求訴訟において、Cの代理人として、同年8月23日、移送申立てを行い、2013年1月10日に裁判所に辞任届を提出するまで職務を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

17 平成28年3月21日発効の,長崎県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2016年7月号90頁)
   被懲戒者は、亡Aの遺言執行者として、2013年8月1日までに遺言執行の任務を終了したが、紛争の危険性に関する被懲戒者の認識の程度、遺産の額の多寡、Aの子である懲戒請求者のそれまでの対応等からみて、懲戒請求者とAの妻であるBとの間にAの遺産分割に関して深刻な争いがあり、話合いによる解決が困難な状況であることを認識しながら、同年9月13日、Bの代理人として、懲戒請求者らを相手方とする遺産分割調停を申し立て、同年12月10日から2014年11月4日までの間、合計7回の調停期日において、調停手続を続けた。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

18 平成28年3月29日発効の,岡山弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2016年7月号91頁)
   被懲戒者は、2012年3月3日に死亡したAの遺言執行者に就任したが、預貯金債権に関する遺言執行が完了していなかったにもかかわらず、相続人であるBの代理人として、取引履歴、領収書等を収集し、整理して、相続人である懲戒請求者に説明したり、2013年2月18日付け書面にて、懲戒請求者に対し、相続財産である不動産を処分して売却代金を分配することを提案し、また、Bらの訴訟代理人として、懲戒請求者に対し、2014年12月9日、上記不動産に関する共有物分割訴訟を提起した。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に照らし、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

19 平成28年9月2日発効の,第二東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2017年1月号106頁及び107頁)
   被懲戒者は、2012年7月には亡Aの遺言執行者に就任したが、亡Aの遺言は内容自体に相続人間の紛争、利益対立を十分に予想させるものであり、当事者間に深刻な争いがあり話合いによって解決することが困難な状況があったにもかかわらず、遺産分割調停申立事件において亡Aの相続人Bの代理人に就任し、懲戒請求者C及び懲戒請求者Dを含む他の相続人らを相手方として行動した。被懲戒者は、亡Aの遺言執行者でありながら、同年9月6日、亡Aから株式会社Eの全株式の遺贈を受けたFの代理人として、懲戒請求者C及び懲戒請求者Dが取締役を務めるE社取締役会宛てに株主総会招集の請求の通知書を発送し、FがE社の代表取締役に就任した後である2013年5月7日に、E社の代表取締役Fの代理人として、懲戒請求者Cの代理人弁護士に対し部屋の明渡し等に関する通知書を発送し、法律的な主張を含む交渉を行った。また、被懲戒者は、亡Aの遺言執行者でありながら、Bの代理人として、亡Aが所有していた不動産の地代等の精算に係る懲戒請求者Dを被告とする2件の訴訟事件において、訴訟活動を行った。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条及び第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

20 平成29年2月10日発効の,東京弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2017年6月号124頁)
   被懲戒者は、2014年6月6日、亡Aの遺言執行者に選任されたが、同年8月以降、亡Aの相続人である懲戒請求者が求めた適留分減殺請求に関する価額弁償の額をめぐる紛争において、亡Aの相続人である妻B,娘C及び受遺者である亡Aの孫Dの代理人として、また、亡A名義の貸金庫の開披後に発見されたB及びC名義の預金債権についての遺留分に関する紛争において、B,C及びDの代理人兼遺言執行者として、懲戒請求者の代理人弁護士と交渉した。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

21 平成30年9月18日発効の,富山県弁護士会の「戒告」における「処分の理由の要旨」(自由と正義2019年1月号78頁)
   被懲戒者は、Aが全財産を次男Bに相続させる旨の自筆証書遺言書を作成した際、上記遺言において遺言執行者に指名され、Aが2010年8月27日に死亡した後、過言執行者に就任したところ、Aの長男である懲戒請求者Cから遺留分減殺請求の通知を受け、また、懲戒請求者CとBとの間で懲戒請求者C名義の金融資産がAの通産であるか否かが紛争となっているにもかかわらず、2016年5月11日、Bを被懲戒者の事務所の勤務弁護士Dと共に代理して、懲戒請求者Cに対する上記金融資産がAの遺産であるかを主要な争点とする損害賠償請求訴訟を提起し、被懲戒者が辞任した後もD弁護士に上記訴訟を担当させた。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第5条、第6条及び第28条第3号に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

第3 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒しない旨の決定を取り消した,日弁連の裁決例(1例)
1 平成18年1月18日付の日弁連裁決(戒告)における「処分の理由の要旨」(自由と正義2006年4月号85頁及び86頁)→平成16年9月30日発効の,東京弁護士会の不処分決定を取り消したものです。
   被懲戒者は、5人の相続人のうちの1人であるAからの紹介で被相続人甲の公正証書遺言の作成業務を行い、自らが通言執行者となった。
甲の死亡後、遺言の成立、遺産の内容と範囲、遺留分の侵害等について、相続人間で深刻な争いが生じ、相続人のうちの3人である異議申出人らが、Aを含む他の2人の相続人を被告として通言無効確認請求訴訟を提起した。
   遺言執行者は、特定の相続人の立場に偏することなく、中立的立場でその任務を遂行することが期待されているのであり、相続人間に深刻な争いがあり話し合いによっては解決することが困難な状況がある場合は、遺言執行業務が終了していると否とにかかわらず、特定の相続人の代理人となって訴訟活動をすることは慎まなければならないというべきであるが、被懲戒者は、Aら2人の被告訴訟代理人となり、甲から前聞いていた事実を挙げて異議申出人に反対尋問をするなどの訴訟活動を行った。
   このような被懲戒者の行為は、旧弁護士倫理第26条第2号の「受任している事件と利害相反する事件」とはいえないとしても、遺言執行者としての職務の公正さを疑わしめ、遺言執行者に対する信頼を害するおそれがあり、ひいては弁護士の職務の公正さを疑わしめるおそれがあるというべきであり、旧弁護士倫理第4条及び第5条に反し、弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

第4 遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する単位弁護士会の懲戒を取り消した,日弁連の裁決例(2例)
1 平成22年5月11日付の裁決における「裁決の理由の要旨」(自由と正義2010年7月号140頁及び141頁)→平成21年5月7日発効の,東京弁護士会の戒告を取り消したものです。
(1) 1998年11月27日、遺言者は、公正証書遺言を作成した。本件公正証書遺言は、遺言執行に際し、遺言執行者に裁量の余地のないものであった。また、同通言では審査請求人が遺言執行者に指定されていた。さらに、遺言者は、2000年2月8日、自筆証書遺言を作成した。
(2) 2001年11月21日、遺言者は死亡した。
審査請求人は、そのころ、審査請求人の事務所を訪れた相続人Aに、同事務所のB弁護士を紹介した。
(3) 2002年1月21日、B弁護士がAの代理人となり本件自筆証書遺言の検認申立がなされ、同年3月1日、検認手続が行われた。
(4) 同年7月31日、相続人Cから遺留分減殺請求調停の申立てがなされ、B弁護士がAの代理人となった。同事件は、2003年5月21日、取下げにより終了した。
(5) 同年2月6日、懲戒請求者から、相続人D、Aらを相手方として遺留分減殺請求調停の申立てがなされ、B弁護士が、D、Aらの代理人となった。同事件は、同年lO月29日、不成立により終了した。
(6) 審査請求人は、懲戒請求者から、2004年12月9日に到達した書面にて、過言執行者への就職承諾の催告を受け、催告期間の経過により同月19日に就職を承諾したとみなされるに至った(民法第1008条)。
   審査請求人は、遺言執行者に就職した当時、前記2件の遺留分減殺請求調停事件が取下げ又は不成立により終了してから相当期間経過しており、遺留分に関する紛争は既に終了したものと考えていた。
(7) 原弁護士会は、審査請求人がAの依頼に応じてB弁護士を紹介し、B弁護士が、Aらの代理人となって事件を担当したことは、弁護士としての職務の公正中立さを害するものであって、弁護士法第56条に規定する懲戒事由に該当するというべきであるとする。
   しかしながら、①遺言書の検認手続は、遺言執行手続とは利益相反の関係にはならないと解せられること、②遺言者が死亡したころに審査請求人がAにB弁護士を紹介したことは認められるが、審査請求人がB弁護士にAらの代理人となるよう自ら依頼したことを認定するに足りる証拠はないこと、③遺言執行者として指定された者は、就職承諾前は、遺言執行者としての権利義務を有しておらず、その行為に遺言執行者に求められるほどの公正さが要求されるわけではないと解せられること、からして審査請求人に、懲戒に付すべきほどの職務の公正さを害する非行が存したとまではいえないというべきである。
(8) また、原弁護士会は、B弁護士がAらの代理人として調停事件を担当した後、審査請求人が遺言執行者に就職することは、職務執行の中立性ないし誠実・公正さを疑われることになるとする。
   しかしながら、審査請求人が、遺言執行者に就職したのは2004年12月19日のことであり、その時点では、前記遺留分減殺請求調停事件が不成立により終了してから相当の期間が経過していることなどからして、審査請求人が遺言執行者に就職したことについて懲戒に付すべきほどの非行性を認めることはできないというべきである。
   さらに、原弁護士会は、遺言執行者である弁護士の事務所に所属する弁護士について弁護士職務基本規程第57条を類推適用するのが相当であるとする。
   しかしながら、遺言執行者と遺留分減殺請求調停事件の申立人である相続人との間に同規程第57条にいう利益相反の関係が存するかについては、具体的事案に即して実質的に判断すべきところ、本件公正証書遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地はなく、本件では審査請求人である遺言執行者と懲戒請求者を含む各相続人との間に実質的にみて利益相反の関係は認められないと解せられる。
(9) 以上のとおりであり、懲戒請求者に、職務の中立性、公平性につき不信感を抱かせた点で、審査請求人に懲戒請求者に対する配慮に欠けるところがあったとはいえ、懲戒処分に付するほどの、職務の公正さに反する行為を認めることはできない。
(10) よって、原弁護士会のなした懲戒処分(戒告)を取り消し、審査請求人を懲戒しない。

2 平成27年10月20日付の裁決における「裁決の理由の要旨」(自由と正義2015年12月号99頁及び100頁)→平成26年5月8日発効の,愛知県弁護士会の戒告を取り消したものです。
(1) 審査請求人に係る本件懲戒請求事件につき、愛知県弁護士会(以下「原弁護士会」という。)は、審査請求人が、被相続人Aの相続人であるBの代理人でありながら、遺言執行者に就任したことは弁護士職務基本規程第28条第3号に違反し、遺言執行者就任後において財産目録の作成・提供をしなかったことは民法第1011条に規定する相続財産の目録の作成・交付義務に違反するものであって、弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行があるといわざるを得ないとして、戒告の処分とした。
(2) 相続人間の相続を巡る紛争において、遺言執行者たる弁護士が一部の相続人の代理人となることは許されず、たとえ遺言執行行為が終了した後であっても、遺言執行者としての職務の公正さを疑わしめ、遺言執行者に対する信頼を害するおそれがあり、ひいては弁護士の職務の公正さを疑わしめるおそれがあるため、懲戒処分を免れない場合もある。しかしながら、具体的事案に即して実質的に判断したときに、遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく、遺言執行者と懲戒請求者を含む各相続人との間に実質的にみて利益相反の関係が認められないような特段の事情がある場合には、非行に当たらないと解すべきである。
   本件についてみるに、被相続人Aの遺言の趣旨は、全財産をBに相続させるというものであるところ、相続財産の範囲につき相続人間に争いがあったことはうかがわれない本件にあっては、遺言執行者たる審査請求人には裁量の余地はないというべきである。また、審査請求人が遺言執行者への就任を受諾した時点で、審査請求人は、遺言に基づく相続は全て完了していたと理解しており、現に何らの執行行為も行っていないのであるから、遺言執行者として行った職務の公正さが疑われる余地はない。さらに、審査請求人がc弁護士から遺言執行者に就任するよう迫られていると理解したのも無理からぬところがある。
   以上の点を考慮すると、本件で審査請求人が相続人Bの代理人でありながら遺言執行者に就任した点は、実質的にみて利益相反の関係は生じさせておらず、また行った職務の公正さを疑わしめる点もないというべきである。
(3) 民法第1011条は、過言執行者に対して相続財産目録を作成して相続人に交付する義務を定めているが、遺言執行の対象とならない相続財産についても目録を作成すべきであるかは定かでなく、これを肯定する裁判例も見当たらない。むしろ、遺言執行者には、遺言執行する余地のない相続財産についても目録を作成して相続人に交付すべき義務はないと解する余地があるというべきである。
   本件において、審査請求人が遺言執行者への就任を受諾した当時、審査請求人は、遺言内容は審査請求人による遺言執行行為を経ずに既に全て実現されており、審査請求人が遺言執行者として執行すべき未実現の相続財産はないと理解しており、その理解に誤りがあったことをうかがわせる証拠はない。そうであれば、相続財産目録を作成してこれを相続人に交付する必要がないとした審査請求人の判断には相応の根拠があり、少なくとも財産目録を作成して交付しなかったとの一事をもって、弁護士の品位を失うべき非行に当たると評価することはできない。
(4) 以上のとおり、審査請求人には弁護士の品位を失うべき非行があったと認めることはできず、審査請求は理由があるので、審査請求人を戒告に付した原弁護士会の処分は取り消すことが相当である。

第5 破産管財人が元破産者の訴訟代理人に就任した場合の取扱い
1 遺言執行者と破産管財人の比較
(1) 遺言執行者は,必ずしも相続人の利益のためにのみ行為すべき責務を負うわけではありません(最高裁昭和30年5月10日判決)し,受遺者としての相続人であっても就任できます。
(2) 破産管財人は,総債権者の利益のために職務を行いますし,職務の公正を保ち得ない事由がある弁護士が破産管財人に就任することはできません(弁護士職務基本規程81条)。
2 日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に元破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないこと
(1) 私が懲戒請求者Xの代理人として関与した,兵庫県弁護士会副会長経験のある20期台の弁護士についていえば,Xが破産債権者として提出した免責意見(個別の免責不許可事由の主張があるもの)について免責不許可事由の調査結果を全く報告しませんでしたし,大阪高裁の即時抗告棄却決定により免責許可決定が確定した後にXが提起した,非免責債権に関する損害賠償請求訴訟において元破産者の訴訟代理人に就任し,そのこと自体が元破産者との共同不法行為であるということで損害賠償請求が追加された後も元破産者の訴訟代理人であり続けました。
   しかし,兵庫県弁護士会懲戒委員会では,破産者が経済的余裕を有しなかった状態を前にして,他の弁護士を紹介するのでなく自ら受任する途を選択したという動機に特に悪意は見受けられないと評価できること等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当するとまでは言えないとされましたし,日弁連懲戒委員会では,全員一致で定型文により異議申出が棄却されました。
   そのため,日弁連懲戒委員会の運用上,破産管財人が免責許可決定が確定した後に破産者の訴訟代理人に就任することは懲戒事由に該当しないと思います(「弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)」参照)。

3 解説「弁護士職務基本規程」の記載
   解説「弁護士職務基本規程」(第3版)103頁には以下の記載があります。
   いずれの考え(山中注:利益相反の問題と考えるか,職務の公正さを保ちうるか否かの問題と考えるか)によるかについては,これまで十分な議論がなされているとはいえないが,破産管財人だけではなく,広く官公署から委嘱される職務について適用されるという点では,利益相反の問題とせずに,職務基本規程5条,6条あるいは81条の問題とする考えが相当ではないかと考える。

弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)

目次
第1 本件事案の概要,及び日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決

1 本件事案の概要
2 日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
第2 本件事案における懲戒請求事由の要旨等
1 本件事案における懲戒請求事由の要旨
2 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子
3 対象弁護士が関与した裁判例は判例秘書に掲載されていること
第3 本件事案における「異議申出の理由」の骨子
1 懲戒請求事由①が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
2 懲戒請求事由②が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
3 懲戒請求事由③が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
第4 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯等
1 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯
2 私は,とある高検の検事長を経験した弁護士と接触をしたことはないこと
第5 私が情報公開請求を開始した経緯
第6 私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている理由
第7 最高裁平成23年7月15日判決の個別意見の説示内容
1 裁判官竹内行夫の補足意見の説示内容
2 裁判官須藤正彦の補足意見の説示内容
3 裁判官千葉勝美の補足意見の説示内容
第8 表現の自由に関する弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと等
1 「表現の不自由展・その後」の展示中止
2 展示中止に関する東京弁護士会の会長声明
3 「表現の不自由展・その後」の展示物
4 証人の出自を侮辱する内容の発言をしたことに基づく東京弁護士会の懲戒処分例
5 弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと
6 弁護士会の懲戒処分が違法となる場合
第9 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位等
1 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位
2 公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項
3 最高裁平成17年6月16日判決が判示するところの,名誉毀損の違法性が阻却される場合
4 日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえなかったこと
5 弁護士懲戒事件議決例集
第10 本件事案における「異議申出の理由」の全文
第11 終わりに

第1 本件事案の概要,及び日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
1 本件事案の概要
   兵庫県弁護士会副会長を経験したことがある20期代のベテラン弁護士が破産管財人をした際,①不動産の任意売却で買主から取得した763万円以上の消費税について確定申告をしなかったり,②私が破産債権者代理人として免責意見を提出しているにもかかわらず,全く理由を記載せずに「免責不許可事由はない」とする免責に関する意見書を提出したり,③免責許可決定が出た後,私が破産者を被告として,非免責債権について損害賠償請求訴訟を提起した際に,破産者の訴訟代理人をしたりしたことについて,私が代理人として懲戒請求をしたというものです。
2 日弁連懲戒委員会の定型文の棄却裁決
(1) 弁護士懲戒事件議決例集の匿名化基準,及び情報公開請求における法務省の不開示基準等を参照しながらマスキングをした,本件事案に関する日弁連懲戒委員会の棄却の議決書(令和元年9月9日付)を以下のとおり掲載しています。



(2)ア 掲載している画像データと重複するものの,本件事案に関する日弁連懲戒委員会の議決書(令和元年9月9日付)の本文は以下のとおりです。
   異議申出人の対象弁護士に対する本件懲戒請求の理由及び対象弁護士の答弁の要旨は,いずれも兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書に記載のとおりであり,同弁護士会は同議決書記載の認定と判断に基づき,対象弁護士を懲戒しないこととした。
   本件異議の申出の理由は,要するに,前記認定と判断は誤りであり,同弁護士会の決定には不服であるというにある。
   当委員会が,異議申出人から当委員会に新たに提出された証拠も含め審査した結果,同議決書の認定と判断に誤りはなく,同弁護士会の決定は相当である。
   よって,本件異議の申出は理由がないので棄却するを相当とし,主文のとおり議決する。
イ 異議申出人は日常生活で通称名を使用しているために氏名に関する黒塗り部分が長くなっているものの,日本国籍の日本人です。
ウ 懲戒請求者は取消訴訟を提起することができません(「弁護士の懲戒処分と取消訴訟」参照)から,対象弁護士の不処分は日弁連の定型文の棄却裁決によって確定しました。
(3) 平成22年12月22日発効の日弁連裁決(自由と正義2011年2月号128頁及び129頁)の場合,懲戒委員会委員15人中7人の反対意見も掲載されています。
   そのため,日弁連懲戒委員会の場合,反対意見を表明できると思いますが,本件事案に関してはそのような反対意見は記載されていませんから,全員一致の判断であったと思います。
(4) 懲戒請求事件に関する日弁連会長の判断は,日弁連懲戒委員会の議決に拘束されますから,対象弁護士を懲戒しないという判断には全く関与していないと思っています。
(5) 令和元年6月3日付の審査開始通知書(日弁連)も掲載しています。

第2 本件事案における懲戒請求事由の要旨等
1 本件事案における懲戒請求事由の要旨
(1) 本件事案の概要と重複するところがありますが,本件事案に関する懲戒請求事由の要旨は以下のとおりです(平成31年3月18日付の兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書4頁参照)。
① 対象弁護士は,会社破産事件において破産管財人として破産財団に属する不動産の任意売却を行ったことについて,消費税の確定申告をしなかったが,これは消費税法に違反する行為であり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
② 対象弁護士は,個人破産事件において,破産管財人として,債権者である懲戒請求者の意見を全く無視して,免責不許可事由はない旨の意見書を提出したが,これは破産法第250条第1項(破産管財人の調査及び結果報告義務)等に違反する行為であり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
③ 対象弁護士は破産者の破産管財人をした後,懲戒請求者が元破産者を被告として提起した損害賠償請求訴訟において元破産者の訴訟代理人に就任し,同人の訴訟代理人として活動した。対象弁護士は,懲戒請求者の免責意見を無視した免責に関する意見書を提出した等の不正不備を隠匿する等の目的で元破産者の訴訟代理人に就任した可能性が高く,また,対象弁護士は,破産管財人でなければ知り得なかった事実を,元破産者のために利用する等の目的で元破産者の訴訟代理人に就任した可能性も高い。
   そのため,対象弁護士の元破産者訴訟代理人としての訴訟活動は,破産管財人として中立,公正に職務を遂行していたことに重大な疑念を生じさせるものであり,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
(2) 平成25年2月13日付の日弁連の裁決(自由と正義2013年4月号115頁及び116頁)の以下の判断内容を考慮して,懲戒請求事由3を記載しました。
   成年後見人の職にあった者が一部相続人の代理人となり活動した場合に、非行に該当するか否かについて問題とされる場合は、①成年後見中の行為について、善管注意義務違反や後見報告書の内容の不正不備が存し、一部相続人からの受任が、それを隠匿する等の目的である場合、②相続人間で争いとなった内容について、成年後見人でなければ知り得なかった事実を、依頼相続人のために利用するような場合である。


2 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子等
(1) 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書の認定の骨子
① 懲戒請求事由1について

   破産管財人の業務の相当性,正当性は裁判所の判断事項であること,裁判所が対象弁護士による消費税の申告の有無を問題にして対象弁護士に指示・指導をした事実は特に認められなかったこと等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当しない。
② 懲戒請求事由2について
   破産裁判所・抗告裁判所ともに,結論的に免責不許可事由はないと判断しており,対象弁護士の意見と同じ判断結果となっていること等からすれば,対象弁護士の「免責に関する意見書」は,内容的にも不当な意見の提出にはあたらないし,必要な調査を怠ったとは言えないので,この点でも,弁護士の品位を失うべき非行に該当する余地はない。
 懲戒請求事由3について
   対象弁護士が破産者から損害賠償請求訴訟の訴訟代理人を引き受けたのは,弁護士職務基本規程5条に照らして,安易な受任であったといわざるを得ないものの,破産者が経済的余裕を有しなかった状態を前にして,他の弁護士を紹介するのでなく自ら受任する途を選択したという動機に特に悪意は見受けられないと評価できること等からすれば,弁護士の品位を失うべき非行に該当するとまでは言えない。
(2) 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書に対するコメント
ア 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書における事実認定は全体として,対象弁護士に不利な客観的事実をかなり省略する一方で,懲戒請求者に不利な事実は結論とほぼ関係がなくても記載しています。
   例えば,対象弁護士は,破産裁判所に対し,破産手続開始に至った事情は「申立書記載のとおり」としか記載しませんでした(除斥期間経過につき懲戒請求事由とはしていません。)が,決議書では言及してもらえませんでした。
   これに対して結論とほぼ関係がない懲戒請求者の罰金前科について,略式命令が認定した「罪となるべき事実」(4行だけです。)すら把握せず,破産者が提出した「被害届」に書いてあることをそのまま決議書に記載されており,発生日及び罪名すら間違えられました。
イ 破産管財人が破産法人所有の課税資産の譲渡等(例えば,不動産の任意売却)を行った場合,消費税の納税義務を負うと解されています(名古屋高裁金沢支部平成20年6月16日判決(高裁判決は11頁までであって,12頁以下は福井地裁判決です。))。
ウ 「A運転車両とB運転車両との交通事故に関して, A運転車両の同乗者からBを被告とする損害賠償請求事件を受任して訴訟を提起した審査請求人が,訴訟とは別に,A運転車両の自賠責保険会社に対する自賠責保険金請求を行い, 自賠責保険金を受領しながら,その旨を裁判所やBに告知せずに,受領済みの自賠責保険金を含む金額の和解を成立させた行為は,弁護士職務基本規程37条(法令等の調査)違反に該当するとされた事例」につき,大阪地裁平成29年2月10日判決では,弁護士の言動と相当因果関係のある懲戒請求者の財産的損害はないと判断されていますが,平成29年4月10日付の日弁連懲戒委員会の議決書では,損害そのものの不存在を認定したわけではないということで,業務停止3月の判断が維持されました(弁護士懲戒事件議決例集(第20集)22頁及び23頁参照)。
エ 相続人でもなれる遺言執行者を弁護士がしている場合,遺言執行の公正さを疑わしめる行為があれば直ちに懲戒対象となります「遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例」参照)。
オ 解説「弁護士職務基本規程」(第3版)103頁には以下の記載があります。
   いずれの考え(山中注:利益相反の問題と考えるか,職務の公正さを保ちうるか否かの問題と考えるか)によるかについては,これまで十分な議論がなされているとはいえないが,破産管財人だけではなく,広く官公署から委嘱される職務について適用されるという点では,利益相反の問題とせずに,職務基本規程5条,6条あるいは81条の問題とする考えが相当ではないかと考える。

3 対象弁護士が関与した裁判例は判例秘書に掲載されていること
(1) 「懲戒請求者が元破産者を被告として提起した損害賠償請求訴訟」に関する大阪地裁判決,大阪高裁判決及び最高裁決定(いわゆる三行半です。)は判例秘書に掲載されています。
(2) 大阪高裁判決の内容がどのようなものであったかについては,平成30年度(最情)答申第65号の別紙記載の開示請求文書を参照してください。

第3 本件事案における「異議申出の理由」の骨子
1 懲戒請求事由1が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 対象弁護士は,任意売却の買主から受領した763万円以上の消費税(以下「本件消費税」といいます。)について確定申告をしていない。
(2) 本件消費税のように,破産手続開始決定後に破産管財人が財団帰属の財産を売却した場合の消費税は第3順位の財団債権であり,その他の財団債権は第4順位の財団債権である。
   そして,対象弁護士は,破産会社の破産管財人として,平成27年5月27日付の財団債権弁済報告書によれば,第3順位の財団債権について454万5300円を支払い(全額弁済),同年6月17日付の財団債権弁済報告書によれば,第4順位の財団債権について2631万8073円を支払っている(配当率は90.68%) ことから,相応の報酬を支払って税理士に依頼して本件消費税に関する確定申告を行い,本件消費税を支払うことは十分に可能であった。
2 懲戒請求事由2が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子
(1) 異議申出人が提出した,平成26年6月25日付の免責意見は,免責不許可事由に該当する事情を個別具体的に記載し, 関係資料を添付した極めて詳細なものであった。
   そのため,対象弁護士としては,弁護士職務基本規程5条に基づき,破産管財人として,具体的にどのような理由により免責不許可事由に該当しないかを個別具体的に記載した免責に関する意見書を破産裁判所に提出することは当然の職務であったといえる。
   それにもかかわらず,対象弁護士は,破産裁判所に対し,平成27年5月7日,「免責不許可事由はない。」という記載しかない免責に関する意見書を提出したし,改めて免責意見を出して欲しいという破産裁判所の指示を無視して ,追加の免責意見を提出することはなかった 。




(2) 日弁連人権擁護委員会は,有罪の言渡しをした確定判決が誤判である可能性があるといった条件を満たす場合,人権侵犯事件として取り扱っていることとのバランスからしても,結論として免責不許可事由はないと判断した破産裁判所及び抗告裁判所の判断を絶対視するのは不当である。



3 懲戒請求事由3が懲戒事由に該当することの補充主張の骨子

(1) 破産管財人の職にあった者が,破産債権者から提起された訴訟において破産者の代理人になることは,その段階においても破産債権者は存在しており,形式的に見て破産者と破産債権者間の利益相反に該当することは明らかであるから,それだけで直ちに中立性・公正さが害されるのであって,その行為の適否は遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になる場合と同列に論じるべきものといえる。
(2)ア 本件では,実質的に見て利益相反の関係が認められるし,破産管財人の職務の公正さを疑われるような事情があることは明らかである。
イ 破産管財人の公正さや中立性に対する疑念を生じさせるものであって, 弁護士職務基本規程5条に違反するとした懲戒事例として,例えば,平成20年3月31日発効の兵庫県弁護士会の戒告処分が存在する。
(3) 異議申出人が破産者(兵庫県○○市在住)を追及したのは,①破産者には様々な免責不許可事由があったこと,②平成24年7月17日に異議申出人から100万円を借りて返さなかったこと,③100万円を借りた後の平成24年7月25日に静岡県○○市の○○ゴルフ倶楽部で一緒にゴルフをする一方で,伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長に法律相談をするなどした上で,異議申出人が暴力団関係者として恐喝罪及び恐喝未遂罪を犯したという内容の虚偽告訴を兵庫県灘警察署(神戸市灘区)にすることで, 名古屋市○○在住の異議申出人を,被害届提出の翌日である平成24年8月21日午前8時33分,姫路駅の近くで逮捕させ,接見禁止付で勾留させ,異議申出人の自宅の捜索差押えまで実施させたこと等に基づくものであって,その追及理由は極めて正当なものである。
   そして,対象弁護士は異議申出人の免責意見その他の主張についてまともに対応することがなかったことをも考慮すれば,異議申出人による追及についての相談を破産者から受けたから対象弁護士が破産者の代理人に就任したという事情は,破産管財人の職務の公正さに甚大な疑念を生じさせるものであることは明らかであって,対象弁護士に有利な事情として斟酌すべきものでは全くないといえる。
(4) 対象弁護士が破産者の訴訟代理人をしていることに関する損害賠償請求を追加した,平成28年8月22日付の訴えの変更申立書が提出された後も,対象弁護士は破産者の訴訟代理人であり続けた。
   そのため,対象弁護士は,懲戒請求者から問題視された後も破産者の代理人を継続することによって破産管財人の職務の公正さにより甚大な疑問を生じさせたのであって,その公正さを事後的に回復するための措置すら採らなかった。

第4 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯等
1 私が異議申出人の事件に関与するようになった経緯
(1) 
 とある高検の検事長を経験した弁護士に法律相談をした,兵庫県某市在住の破産者(本件暴行事件の被害者とされた人物)が提出した被害届(罪名は暴行罪及び強要罪)に基づき,その翌日である平成24年8月21日,兵庫県灘警察署が名古屋市在住の異議申出人を姫路駅の近くで午前8時33分に逮捕し,接見禁止付で勾留された後,私は,知り合いの弁護士の紹介により異議申出人の事件に弁護人として関与するようになりました。
(2) 本件暴行事件については,異議申出人の自宅に関する捜索差押えまで実施された後,暴行罪により,平成24年9月7日に罰金20万円の略式命令となりました。
   その後,神戸簡裁平成25年7月10日判決は罰金20万円の有罪判決でしたし,大阪高裁平成25年11月27日判決(裁判長は29期の川合昌幸 元広島高裁長官です。)で控訴を棄却されました(情状立証として虚偽告訴を立証するために行った証拠調べの請求(控訴提起後の証拠及び原審検察官が証拠調べに同意しなかった証拠がメインです。)を含む,控訴審におけるすべての証拠調べ請求を理由なく却下された上で,「虚偽告訴がされたことをうかがわせる証拠はない」という趣旨の判断をされました。)し,最高裁平成26年2月27日決定で上告を棄却されました。
(3)ア とある高検の検事長を経験した弁護士と親戚関係のある弁護士が,本件事案の破産者が経営していた会社の破産申立てをしたものの,破産手続の途中で辞任しました。
   そのため,本件事案の破産者の破産申立ては,会社の破産申立てとは別の弁護士が担当していました。
イ 本件事案の破産者について損害賠償請求訴訟を提起した際,破産申立てを担当した弁護士が訴訟代理人に付くのかしら?と思っていましたが,対象弁護士が訴訟代理人に付いたので驚きました。
(4) 私は,利益相反を理由に知り合いの弁護士から紹介されて,平成24年8月23日,兵庫県灘警察署に勾留されていた異議申出人に接見し,その直後に弁護人となって以来ずっと,本件事案を含む異議申出人の事件に弁護人又は代理人として関与しつづけてきました。
   そのため,平成18年10月に59期として弁護士登録をした私の弁護士人生にとってもっとも大きな事件です。
2 私は,とある高検の検事長を経験した弁護士と接触をしたことはないこと
   とある高検の検事長を経験した弁護士は平成24年8月頃に破産者の法律相談に応じた後,何らかの働きかけをしたのかも知れない(ただし,この点に関する直接の証拠は一切ありません。)ものの,破産者の代理人として名前が出てきたことはありませんし,私はその弁護士と一切,接触をしたことはありません。

第5 私が情報公開請求を開始した経緯
   私は,異議申出人に対する兵庫県灘警察署及び神戸地検の捜査に疑問を感じたことが直接の原因となって,平成25年2月下旬から情報公開請求を開始しました。
   そのため,名古屋市在住の異議申出人が,静岡県のJR掛川駅構内のそば屋で発生した暴行事件(そば屋のレジの隣の席で発生した事件ですが,発生当時,お店が警察を呼ぶことはありませんでしたし,事件発生後も異議申出人は破産者と一緒にゴルフもしていました。)について,新64期の生田大輔裁判官によって接見禁止付で勾留されていなければ,私が情報公開請求をすることはなかったわけです。

第6 私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている理由
1 私は,異議申出人の刑事事件及び民事事件に関して裁判所から理不尽な判断(平成30年度(最情)答申第65号の別紙記載の開示請求文書参照)を下され続けた結果,行政機関ほどにはマスコミで批判的に報道されることがない裁判所の実情を自ら知りたいと思うとともに,広く世間に知ってもらいたいという思うようになったことが,私が自ら取得した情報公開文書をインターネットで公表し続けている大きな理由です(ただし,時の経過に従い,他にも理由は出てきています。)。
2 異議申出人が当事者となった事件を除き,私は裁判所からここまで理不尽な判断を受けたことはないです。

第7 最高裁平成23年7月15日判決(49期の橋下徹弁護士(元大阪府知事・元大阪市長)が最高裁で逆転勝訴した事件に関するものです。)の個別意見の説示内容
1 裁判官竹内行夫の補足意見の説示内容
① 弁護士法58条1項は,「何人も」懲戒の事由があると思料するときはその事由を添えて懲戒請求ができるとして,広く一般の人に対して懲戒請求権を認めている。これは,弁護士に対する懲戒については,その権限を自治団体である弁護士会及び日本弁護士連合会に付与し国家機関の関与を排除していることとの関連で,そのような自治的な制度の下において,懲戒権の適正な発動と公正な運用を確保するために,懲戒権発動の端緒となる申立てとして公益上重要な機能を有する懲戒請求を,資格等を問わず広く一般の人に認めているものであると解される。これは自治的な公共的制度である弁護士懲戒制度の根幹に関わることであり,安易に制限されるようなことがあってはならないことはいうまでもない。
② 国家機関の関与を排除した自治的な制度としての弁護士懲戒制度が,公正かつ適正に運用されることを担保して国民からの信頼性を維持して行くためには,懲戒請求を広く一般の「何人」にも認めた弁護士法58条1項の趣旨が改めて銘記されることが必要であると考える。
2 裁判官須藤正彦の補足意見の説示内容
① 肝腎なことは,懲戒請求が広く認められるのは,弁護士に「品位を失うべき非行」等の懲戒事由がある場合に,弁護士会により懲戒権限が,いわば「疎にして漏らす」ことなく行使されるようにするためであるということである(綱紀審査会制度(弁護士法71条)もほぼ同様の考え方に基づく。)。
② ある弁護士につき品位を失うべき非行などの懲戒事由が認められるのに弁護士会が懲戒権限を正しく行使しないというような場合,弁護士会の懲戒制度の運用は不当であり,これについても世論などによって厳しく批判されてしかるべきであろう(所属弁護士会の懲戒しないとの結論に不服な懲戒請求者は,日弁連綱紀委員会に異議を申し出て,その審査を受けることができ(弁護士法64条),更にそこでその結論が維持されたことで不服な場合は,非法曹のみによって構成される綱紀審査会に審査請求をすることができる(同法64条の3)。)
③ 弁護士は裁判手続に関わって司法作用についての業務を行うなど,その職務の多くが公共性を帯有し,また,弁護士会も社会公共的役割を担うことが求められている公的団体であるところ,主権者たる国民が,弁護士,弁護士会を信認して弁護士自治を負託し,その業務の独占を認め(弁護士法72条),自律的懲戒権限を付与しているものである以上,弁護士,弁護士会は,その活動について不断に批判を受け,それに対し説明をし続けなければならない立場にあるともいえよう。懲戒制度の運用に関連していえば,前記のとおり,弁護士会による懲戒権限の適正な行使のために広く何人にも懲戒請求が認められ,そのことでそれは国民の監視を受けるのだから,弁護士,弁護士会は,時に感情的,あるいは,無理解と思われる弁護活動批判ないしはその延長としての懲戒請求ないしはその勧奨行為があった場合でも,それに対して,一つ一つ丹念に説得し,予断や偏見を解きほぐすように努めることが求められているといえよう。
3 裁判官千葉勝美の補足意見の説示内容
① 刑事事件の弁護活動といえども,あらゆる批判から自由であるべき領域ではなく(今日の社会において,およそ批判を許さない聖域というものは考え難いところである。),公の批判にさらされるべきものである。その際の批判等に不適切なもの,的外れなものがあったとしても,それが違法なものとして名誉毀損等に当たる場合であれば格別,そこまでのものでない限り,その当否は,本来社会一般の評価に委ねるべきであり,その都度司法が乗り出して,不法行為の成否を探り,損害賠償を命ずるか否かをチェックする等の対応をすべきではない。
② 弁護団としては,社会的な高い地位を有し,また,社会的な耳目を集め,多くの論評の対象象になる著名事件の刑事弁護を担当していることから生ずる避けられない事態等ともいうべきものであり,一種の精神的圧迫感があったであろうことは想像に難くないが,甘受するしかないのではなかろうか。


令和元年9月9日付の日弁連懲戒委員会の議決書

第8 表現の自由に関する弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと等
1 「表現の不自由展・その後」の展示中止
(1) 愛知県内で8月1日から開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会会長大村秀章愛知県知事は,同月3日,同芸術祭の企画展「表現の不自由展・その後」の展示を,同日をもって中止すると発表しました。
   この企画展では,従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や,昭和天皇の写真を含む肖像群が燃える映像作品など,過去に展示を拒否される,公開中止となるなどした作品を展示していました(「表現の不自由展・その後」の中止に対する愛知県弁護士会の会長声明(2019年9月3日付)参照)。
(2) NHKクローズアップ現代に「「表現の不自由展・その後」中止の波紋」(2019年9月5日)が載っています。
2 展示中止に関する東京弁護士会の会長声明
(1) 「「表現の不自由展・その後」展示中止を受け、表現の自由に対する攻撃に抗議し、表現の自由の価値を確認する会長声明」東京弁護士会の会長声明(2019年8月29日付)には以下の記載があります。
   憲法21条で保障される表現の自由は、自己の人格を形成・発展させる自己実現の価値を有するとともに、国民が政治的意思決定に関与する自己統治の価値をも有する、極めて重要な基本的人権である。政治的表現が芸術という形をとって行われることも多く、芸術を含む多種多様な表現活動の自由が保障されることは、民主主義社会にとって必要不可欠である。 
   我々は、思想信条のいかんを問わず、表現の自由が保障される社会を守っていくことが重要であるという価値観を共有したい。
   よって、当会は、正当な言論等によらずに展示中止を求める不当な行為や、公権力が表現内容に異議を述べてその中止を求めることに対して、強く抗議するとともに、多種多様な表現活動の自由が保障され、ひいては民主主義社会が維持・発展するよう努力する決意を表明する。
(2) 同趣旨の会長声明として以下のものがあります。
① 「表現の不自由展・その後」展示中止に関する京都弁護士会の会長声明(2019年8月21日付)
② 「表現の不自由展・その後」の中止に対する愛知県弁護士会の会長声明(2019年9月3日付)
③ 「表現の不自由展・その後」の中止に関する仙台弁護士会の会長声明(2019年9月19日付)
3 「表現の不自由展・その後」の展示物
(1) 産経新聞HPの「不自由展、作品に「不快」批判 天皇肖像燃やす表現 来場者「悪意に満ちていた」 愛知の芸術祭、企画展中止」(2019年8月10日付)に以下の記載があります。
① 問題の動画は、先の大戦を連想させる映像や音声が流れる中、コラージュ画に使われた昭和天皇の肖像を大写しにして、ガスバーナーで燃やしていく-という内容。燃え残りの灰を足で踏みつぶすシーンもある。
② 国内最大規模の国際芸術祭で、4回目を迎えたあいちトリエンナーレ(10月14日まで)には、愛知県を中心に多額の公金が投入されている。今回は県が約6億円、名古屋市が約2億円を負担。文化庁の補助金対象事業にも採択され、約7800万円が補助予定額となっているが、国は県の交付申請を改めて精査する意向を示している。
(2) 北口雅章弁護士ブログの
「京都弁護士会に告ぐ。あまりに「軽薄」ではないか。」(2019年8月26日付)に以下の記載があります。
   (山中注:「表現の不自由展・その後」の展示物の中には,)典型的には,昭和天皇の御真影・写真を「バーナー焼き」で「焼毀(しょうき)」するとともに,その燃え殻を靴で踏みつける「足蹴」行為を動画で「表現」するといった「政治的プロパガンダ」であり,このような展示物は,「日本国民の統合の象徴」(天皇)を「暴力」的表現をもって「侮辱」「冒瀆」するもので,「芸術」の名に値しないことは明らかである。
4 証人の出自を侮辱する内容の発言をしたことに基づく東京弁護士会の懲戒処分例
(1) 平成26年12月26日発効の東京弁護士会の「戒告」(自由と正義2015年4月号122頁)における「処分の理由の要旨」は以下のとおりです。
   被懲戒者は、2012年5月28日、公開の法廷において、相手方当事者である懲戒請求者に対する尋問が終了して代理人席に着席した際、証言台にいた懲戒請求者に向かって、出自を侮辱する内容の発言をした。
   被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
イ 弁護士懲戒事件議決例集(第17集)130頁には以下の記載があります。
    (1)当該発言(山中注:懲戒請求者の出自を侮辱する内容の発言のこと。)は公開の法廷でなされた「中国人,バカ」という民族差別的発言であること, (2)対象弁護士は,右陪席裁判官から同発言を現認したと指摘され,裁判長から撤回を求められて初めてこれを撤回したこと,(3)対象弁護士は,その場で同発言を撤回したものの謝罪は行わず,休廷となって廊下に出た後,暫く経ってから初めて謝罪したこと,(4)対象弁護士は,原弁護士会綱紀委員会第1部会及び当部会の審査過程において,当該発言について「表現の自由」などと強弁していることに鑑みると,対象弁護士が当該発言について真撃に自発的な撤回をしたと評価することはできない。
5 弁護士会の懲戒基準を私が理解することはできないこと
(1) 東京弁護士会は,公開の法廷で「中国人,バカ」と発言したものの,その後に撤回及び謝罪をしたり,表現の自由を主張したりした弁護士を懲戒する一方,公共の施設において昭和天皇を侮辱し,その名誉を毀損し続けた「表現の不自由展・その後」の展示については表現の自由に基づいて保護すべきと会長声明をもって主張していますところ,二つの行為の整合性を私は理解することができません。
(2) 侮辱罪(刑法231条)の法定刑は拘留又は科料であって,刑法典で規定されている犯罪において法定刑が最も軽いです。
    そのため,証言台にいた中国人の証人に向かって「中国人,バカ」と発言する行為の方が,本件事案における対象弁護士の行為よりも悪質であると弁護士会が判断した基準を私は理解することはできません。
6 弁護士会の懲戒処分が違法となる場合
    弁護士に対する所属弁護士会及び日弁連による懲戒の制度は,弁護士会の自主性や自律性を重んじ,弁護士会の弁護士に対する指導監督作用の一環として設けられたものであります。
    また,懲戒の可否,程度等の判断においては,懲戒事由の内容,被害の有無や程度,これに対する社会的評価,被処分者に与える影響,弁護士の使命の重要性,職務の社会性等の諸般の事情を総合的に考慮することが必要です。
    そのため,ある事実関係が「品位を失うべき非行」といった弁護士に対する懲戒事由に該当するかどうか,また,該当するとした場合に懲戒するか否か,懲戒するとしてどのような処分を選択するかについては,弁護士会の合理的な裁量にゆだねられているものと解され,弁護士会の裁量権の行使としての懲戒処分は,全く事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り,違法となります(最高裁平成18年9月14日判決)。

第9 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位等
1 弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の地位
   懲戒委員会は弁護士自治の根幹をなす弁護士会の懲戒権の行使について重要な役割を担っています,その活動は公正に行われることが強く要請されます。
   そこで,弁護士法は,懲戒委員会の委員長及び委員を「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員」としています(弁護士法66条の2第4項)。
   したがって,委員長及び委員は,刑法の適用上公務員として扱われることとなり(刑法7条),委員の職務に関して賄賂の収受,供与,約束等がなされたときは,収賄罪(同法197条)及び贈賄罪(同法198条)が成立します。
   また,委員会で用いられている文書の殴棄は,公用文書段棄罪(同法258条)に該当しますし,その他,虚偽公文書作成罪(同法156条),公務員職権濫用罪(同法193条)等の適用があります(弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版)118頁及び167頁参照)。
2 公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項
(1) 名誉毀損罪について,公共の利害に関する場合の特例を定める刑法230条の2第3項は,「前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」と定めています。
   そのため,弁護士会の懲戒委員会の委員長及び委員の職務に関する事実については,それが真実である限り,名誉毀損罪が成立することはないと思います。
(2) 条解刑法(第3版)687頁には以下の記載があります。
   公務員を選定・罷免することは国民固有の権利であり,公務員は全体の奉仕者であるから(憲15),そのあらゆる行動が国民の監視下に置かれるべきであるとする思想に基づき,摘示に係る事実が直接には公共の利害に関しない場合でも,何らかの意味で公務員の適性検討の資料を提供するという意味で公共の利害に関係するし,悪意による摘示であっても結果的に同一目的に資するとすることが本項の設けられている根拠と考えられている。
3 最高裁平成17年6月16日判決が判示するところの,名誉毀損の違法性が阻却される場合
(1) 薬害エイズ関係の報道による名誉毀損事件に関する最高裁平成17年6月16日判決によれば,以下のとおりです。
① 事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和41年6月23日判決最高裁昭和58年10月20日判決参照)。

② ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁平成元年12月21日判決最高裁平成9年9月9日判決参照)。
(2) 同じ日付で出された上告棄却決定としての最高裁平成17年6月16日決定(原判決は別です。)には,名誉毀損の成立を否定すべきとする裁判官島田仁郎の詳細な反対意見が付されています。
4 日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえなかったこと
(1) 私は,平成17年4月以降の「自由と正義」の懲戒公告,及び平成19年3月発行の弁護士懲戒事件議決例集(第8集)(平成12年から平成17年までの議決例を収録したもの)以降の弁護士懲戒事件議決例集につき,文字検索可能なPDFデータに変換した上で,考えられる限りの検索をして事例を集積することで,令和元年5月30日付の異議申出書を作成しました。
   しかし,冒頭に記載したとおり,日弁連懲戒委員会からは,具体的中身を伴う判断をしてもらえませんでした。
(2) 平成23年2月15日付の日弁連裁決(自由と正義2011年4月号161頁)(業務停止4月を業務停止2月に変更したもの)には,「東京弁護士会懲戒委員会議決書の事実認定に、明白かつ単純な誤記等を除き、誤りはなく、審査請求人には弁護士として品位を失うべき非行があるといわざるを得ない。」と書いてあります。
   しかし,本件事案に関する兵庫県弁護士会懲戒委員会議決書の事実認定は,異議申出人の罰金前科の罪名すら間違っていたにもかかわらず,明白な誤記とすら認定してもらえませんでした。
5 弁護士懲戒事件議決例集
(1) 弁護士懲戒事件議決例集は,毎年3月頃に日弁連から発行されている書籍であり(日弁連HP「出版物 分類:業務-相談・倫理・研修・事故」参照),日弁連懲戒委員会,綱紀委員会及び綱紀審査会の議決例が匿名処理された上で掲載されています。
   そこには,先例として価値があると判断された不処分事例(ただし,当事者を特定できる可能性がある日付であっても抹消されていません。)が掲載されていますが,本件事案のように,定型文で棄却された事案は掲載されていません。
(2) ちなみに,弁護士懲戒事件議決例集(第8集) i 頁の「序文」(当時の日弁連会長が投稿したもの)には,「弁護士自治の根幹である綱紀・懲戒制度を正しく機能させることによって,弁護士自治を維持・発展させていくことが我々の使命である。」という記載があります。

第10 本件事案における「異議申出の理由」の全文
   令和元年5月30日付の異議申出書の「第6 異議申出の理由」の全文は以下のとおりです(書面等によって確実に確認できた事実しか主張していません。)。
1 本件議決書の事実認定には重大な事実誤認があること等
(1) 重大な事実誤認があること
ア 兵庫県弁護士会懲戒委員会の議決書(以下「本件議決書」という。)5頁は,破産者の被害届(甲4)(以下,当該被害届に記載された事件を「本件暴行事件」という。)に基づき,異議申出人は, 平成24年6月29日,静岡県のJR掛川駅構内のそば屋において,破産者の頭髪を掴み,押さえつけるようにテーブルに10数回同人の額を叩きつけるなどの暴行を加えと土下座をさせたことに関して,暴行罪及び強要罪により罰金20万円の略式命令を受けたという趣旨の認定をしている。
   しかし,異議申出人は裁判所の判決に全く納得していない(甲15, 甲17及び甲21等参照)とはいえ,裁判所が認定した「罪となるべき事実」を前提としたとしても,本件暴行事件は平成24年7月2日に発生したものであるし,異議申出人が破産者を押さえつけたわけではないし,数回頭部を叩き付けたことになっているだけであるし,土下座を強要したことは犯罪事実とはなっていない(甲9,甲16及び甲87・5頁ないし7頁参照) 。
   また,強要罪の法定刑は3年以下の懲役である(刑法223条1項)から,略式命令を出すことは法律上不可能である(刑事訴訟法461条) 。
イ ところで,確実な証拠があるとはいえない事項について断定的な表現を用いて犯罪の成立を主張することは, 弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲122)。
   また,刑事訴訟法237条の規定を忘れ,起訴後も告訴の取下げができるなどと勘違いをしたこと,及び許可抗告の申立期間を正確に説明することができないことは, いずれも弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲126の1及び甲126の2) 。
   そのため,本件議決書4頁が, 暴行罪の発生日時及びその内容について何らの証拠も引用せずに有罪判決と異なる認定をしたり, 強要罪について略式命令が出たという刑事訴訟法461条の規定を忘れた認定をしたりしたことは, 重大な事実誤認であるといえる。


(2) 著しく不適切な余事記載があること

ア 破産者は伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長(甲24)に法律相談するなどしている(甲23)ところ,破産者による虚偽告訴を必死に訴えている異議申出人の主張(懲戒請求者の意見書(3)2頁及び3頁参照)を一切記載することなく本件暴行事件で異議申出人が有罪判決を受けたという要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)だけを記載することは異議申出人の名誉やプライバシーを侵害するものであるし,対象弁護士に懲戒事由があるかどうかを判断する上で無関係かつ不必要である。
イ ところで,訴訟遂行上の必要性と相当性が認められないにもかかわらず,名誉やプライバシーを侵害する表現を含む記載を主張書面で行うことは,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲124の1) 。
   また, 被害立証とは無関係かつ不必要であって,相手方の名誉を著しく毀損する内容の主張を記載した準備書面を提出して口頭弁論期日で陳述することは,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる(甲124の2)。
   そのため,本件議決書4頁が本件暴行事件について異議申出人が罰金20万円の有罪判決を受けたという趣旨の事実を記載したことは著しく不適切な余事記載であるといえる。

2 懲戒請求事由1に関する補充主張
(1) 対象弁護士は,任意売却の買主から受領した763万円以上の消費税(以下「本件消費税」という。)について確定申告をしていない(甲42・10頁等) 。
   ところで,本件消費税のように,破産手続開始決定後に破産管財人が財団帰属の財産を売却した場合の消費税は第3順位の財団債権であり,その他の財団債権は第4順位の財団債権である(甲125)。
   そして,対象弁護士は,破産会社の破産管財人として,平成27年5月27日付の財団債権弁済報告書(甲121の1)によれば,第3順位の財団債権について454万5300円を支払い(全額弁済),同年6月17日付の財団債権弁済報告書(甲121の2)によれば,第4順位の財団債権について2631万8073円を支払っている(配当率は90.68%) ことから,相応の報酬を支払って税理士に依頼して本件消費税に関する確定申告を行い,本件消費税を支払うことは十分に可能であった。
   また,京都地裁の平成30年度管財人等協議会では,異時廃止事案であっても, 財団債権として消費税の支払ができる場合,その前提として消費税の申請をする必要があるという見解が協議員(管財人等)から示されている(甲123の2・7頁)。
   そのため,対象弁護士が本件消費税について申告義務を果たすべきであったことは明らかである。
(2) 懲戒請求者の意見書(3)1頁で主張したとおり,対象弁護士において本件消費税についてまで確定申告をしていなかったことが異議申出人代理人に判明したのは,平成27年5月○○日付の異時廃止決定(甲105の1参照)が出た後である。
   そのため,債権者集会において異議申出人代理人が本件消費税の税務申告について質問をしなかったことは,対象弁護士の有利に斟酌すべき事情では全くないといえる。
(3) 日弁連会則11条は, 「弁護士は、常に法令が適正に運用されているかどうかを注意し、いやしくも非違不正を発見したときはその是正に努めなければならない。」と定めているし,兵庫県弁護士会としても,例えば, 平成27年7月22日付の会長声明(甲131)において, 東京高裁平成27年7月9日判決に抗議していることからすれば,裁判所の判断を絶対視するのは不当である。
   また,遺言執行者の場合,相続財産目録を作成してこれを相続人に交付しなくても懲戒事由に該当しないといえるためには,そのような義務はないと解する余地があるといえる必要があること(甲130の2及び甲134)とのバランスを考慮すべきである。
   さらに,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成31年2月22日,「破産事件につき, どのような場合に不動産の任意売却で買主から消費税を受領した破産管財人が消費税の確定申告をしなくてもいいことになっているかが分かる裁判官の研修資料その他の文書」は存在しないという答申を出している(平成30年度(最情)答申第65号(甲127)。
   そのため,裁判所が,何ら合理的理由がないにもかかわらず,対象弁護士による本件消費税の申告の有無を問題にして対象弁護士に指示・指導をした事実は特に認められなかったという事情は,それほど対象弁護士の有利に糾酌すべき事情ではないといえる。
(4) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由1は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

3 懲戒請求事由2に関する補充主張
(1) 異議申出人が提出した,平成26年6月25日付の免責意見(甲36)は,免責不許可事由に該当する事情を個別具体的に記載し, 関係資料を添付した極めて詳細なものであった。
   そのため,対象弁護士としては,弁護士職務基本規程5条に基づき,破産管財人として,具体的にどのような理由により免責不許可事由に該当しないかを個別具体的に記載した免責に関する意見書を破産裁判所に提出することは当然の職務であったといえる。
   それにもかかわらず,対象弁護士は,破産裁判所に対し,平成27年5月7日,「免責不許可事由はない。」という記載しかない免責に関する意見書(甲40) を提出したし,改めて免責意見を出して欲しいという破産裁判所の指示を無視して(甲39の2) ,追加の免責意見を提出することはなかった(甲48の2参照) 。
(2) 日弁連人権擁護委員会は,有罪の言渡しをした確定判決が誤判である可能性があるといった条件を満たす場合,人権侵犯事件として取り扱っている(甲129)こととのバランスからしても,結論として免責不許可事由はないと判断した破産裁判所及び抗告裁判所の判断を絶対視するのは不当である。
(3) 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会は,平成31年2月22日,以下の司法行政文書は存在しないという答申を出している(平成30年度(最情)答申第65号)(甲127)。
① 破産事件につき, どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責に関する意見を破産管財人が提出したとしても,破産裁判所がこれを容認することになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
② 破産事件につき, どのような場合に破産債権者が主張した破産者に関する具体的な免責意見を100%無視した免責許可決定を出すことになっているかが書いてある裁判官の研修資料その他の文書
(4) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由2は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

4 懲戒請求事由3に関する補充主張
(1) 破産管財人の職にあった者が,破産債権者から提起された訴訟において破産者の代理人になることは,その段階においても破産債権者は存在しており,形式的に見て破産者と破産債権者間の利益相反に該当することは明らかであるから,それだけで直ちに中立性・公正さが害されるのであって,その行為の適否は遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になる場合と同列に論じるべきものといえる(成年後見人の事例に関する甲57及び甲132)。
(2)ア 遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になることは原則として弁護士としての品位を失うべき非行に該当する(甲128の1及び甲128の2)のであって, 例外的に許されるのは,遺言の内容からして遺言執行者に裁量の余地がなく,遺言執行者と各相続人との間に実質的に見て利益相反の関係が認められず,かつ,職務の公正さを疑われるような事情がない場合に限られている(日弁連が原弁護士会の懲戒処分を取り消した事例に関する甲130の1及び甲130の2参照) 。
   ところで,本件議決書6頁及び7頁によれば,破産管財人は,十分な財団を形成できた事案で第3順位の消費税の確定申告をしなくても, また, 破産債権者の詳細な免責意見を無視して「免責不許可事由はない」という記載しかない免責意見しか提出しなくても,弁護士としての品位を失うべき非行に該当する余地はないというのであるから,破産管財人をしていた対象弁護士の裁量は絶大であるといえる。
   また,本件議決書7頁でさえ,破産管財人であった弁護士が,破産手続終了後,破産管財人として職務上取り扱った事件を受任した場合においては,破産管財人としての職務の公正さが問題となる余地が大きいと認めているところである。
   そのため,本件では,実質的に見て利益相反の関係が認められるし,職務の公正さを疑われるような事情があることは明らかである。
イ 破産管財人の公正さや中立性に対する疑念を生じさせるものであって, 弁護士職務基本規程5条に違反するとした懲戒事例として,例えば,平成20年3月31日発効の兵庫県弁護士会の戒告処分が存在する(甲120)。
(3)ア 遺言執行者の職にあった者が特定の相続人の代理人になったことに関する懲戒事例では,職務の公正さを疑わせたことが弁護士法56条1項に該当するかどうかが判断されているのであって,必ずしも弁護士職務基本規程5条に違反するかどうかの判断はされていない(弁護士職務基本規程5条への言及がない例につき, 甲128の1及び甲128の2参照)。
イ 弁護士倫理(平成2年3月2日臨時総会決議)に関しては, 日弁連において以下の解釈が採用されていた(甲133) ことからしても, 弁護士職務基本規程の個別の条項に該当しないことを主たる理由として弁護士の品位を失うべき非行に該当しないと判断することはできないといえる。
   「所属弁護士会の秩序又は信用を害し」あるいは「職務の内外を問わずその品位を失うべき非行」といった規範的概念の解釈についてば、ある行為がこれに該当するか否かの問題ばもっぱら弁護士法五六条の問題であって、弁護士倫理をどのように制定しようとも、制定形式の差によって懲戒の構成要件に該当したりしなくなったりするものではないと考えられる。
(4) 異議申出人が破産者(兵庫県○○市在住)を追及したのは,①破産者には様々な免責不許可事由があったこと(甲36参照),②平成24年7月17日に異議申出人から100万円を借りて返さなかったこと(甲83参照),③100万円を借りた後の平成24年7月25日に静岡県○○市の○○ゴルフ倶楽部で一緒にゴルフをする(甲10の4)一方で,伯父の同郷の幼なじみである○○○○元○○高検検事長(甲23ないし甲25参照)に法律相談をするなどした上で,異議申出人が暴力団関係者として恐喝罪及び恐喝未遂罪を犯したという内容の虚偽告訴を兵庫県灘警察署(神戸市灘区)にすることで, 名古屋市○○在住の異議申出人を,被害届提出の翌日である平成24年8月21日午前8時33分,姫路駅の近くで逮捕させ,接見禁止付で勾留させ,異議申出人の自宅の捜索差押えまで実施させたこと(甲17・6頁及び7頁参照)等に基づくものであって,その追及理由は極めて正当なものである。
   そして,対象弁護士は異議申出人の免責意見その他の主張についてまともに対応することがなかったことをも考慮すれば,異議申出人による追及についての相談を破産者から受けたから対象弁護士が破産者の代理人に就任したという事情は,破産管財人の職務の公正さに甚大な疑念を生じさせるものであることは明らかであって,対象弁護士に有利な事情として斟酌すべきものでは全くないといえる。
(5) 対象弁護士が破産者の訴訟代理人をしていることに関する損害賠償請求を追加した,平成28年8月22日付の訴えの変更申立書(甲82)が提出された後も,対象弁護士は破産者の訴訟代理人であり続けた(甲91)。
   そのため,対象弁護士は,懲戒請求者から問題視された後も破産者の代理人を継続することによって破産管財人の職務の公正さにより甚大な疑問を生じさせたのであって,その公正さを事後的に回復するための措置すら採らなかった。
(6) よって,従前の主張立証をも考慮すれば,懲戒請求事由3は,弁護士としての品位を失うべき非行に該当するといえる。

5 結論
   よって,異議申出の趣旨記載のとおりの裁決を求める。

第11 終わりに
1 本ブログ記事を掲載するに当たり,異議申出人(依頼者)から書面による同意をもらっています。
2(1) 本件事案のほか,日弁連の弁護士懲戒事件議決例集に掲載されている事例その他の公表情報を除き,日弁連懲戒委員会が個別の事例で具体的にどのような判断をしているかは一切,知りません。
(2) 弁護士自治を考える会HP「弁護士懲戒請求 棄却情報 募集」からすれば,弁護士会の懲戒不相当の議決に対して疑問を持っている人がそれなりにいるのかもしれません。
3 毎月の「自由と正義」を見ていれば,どのようなことをすれば戒告となる可能性があるかを知ることができるものの,どのようなことをしても懲戒されないかを知ることはできないと感じています。
   そのため,「秘密を開示する場合の第三者の名誉及びプライバシー侵害への配慮」等を追加するといった,弁護士職務基本規程の改正が実施された場合「弁護士職務基本規程の改正に対する日弁連 職務基本規程案に関する共同アピールの賛同の呼びかけについて 特設ページ」参照),ますます弁護士会の懲戒基準を理解することができなくなりますから,絶対に止めて欲しいと思っています。
4 本ブログ記事では,対象弁護士の特定につながることは記載していないものの,「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」と定める刑法230条2項にかんがみ,将来,対象弁護士の氏名を記載するかもしれません。

2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況

目次
1 頼りがいのある司法を築く日弁連の会の代表者である山岸良太弁護士の場合
2 ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会の代表者である及川智志弁護士の場合
3 近未来の日弁連を考える会の代表者である川上明彦弁護士の場合
4 新たな時代の司法を考える会(あらし会)の代表者である荒中弁護士の場合
第2 その他
1 4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会
2 令和元年8月時点における,頼りがいのある司法を築く日弁連の会の予定
3 関連記事

第1 政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況
2020年に日弁連会長選挙がありますところ,2019年に設立された政策提言団体の代表者の意見交換会等への出席状況は,代表者の所属弁護士会で開催されたものを除き,以下のとおりです。
1 頼りがいのある司法を築く日弁連の会の代表者である山岸良太弁護士の場合
(2019年)
12月 6日:日弁連臨時総会後の全国懇親会(東京事務所)
12月 4日:大阪事務所開き
11月29日:近弁連大会後の懇親会(奈良)
11月27日:福井弁護士会有志との意見交換会
11月26日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
同    日:金沢弁護士会有志との意見交換会
11月25日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
11月 5日:長崎県弁護士会有志との意見交換会
11月22日:旭川弁護士会有志との意見交換会
11月21日:札幌弁護士会有志との意見交換会
11月20日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
11月18日:長野県弁護士会長野在住会有志との意見交換会
同    日:長野県弁護士会松本在住会有志との意見交換会
11月14日:広島弁護士会有志との意見交換会
11月12日:群馬弁護士会有志との意見交換会
11月 6日:大分県弁護士会有志との意見交換会
11月 5日:長崎県弁護士会有志との意見交換会
10月28日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
10月25日:九州弁護士会連合会(沖縄)での九州地区懇親会
10月23日:茨城県弁護士会有志との意見交換会
10月21日:福岡県弁護士会有志との意見交換会
10月11日:静岡県弁護士会静岡支部有志との意見交換会
10月10日:静岡県弁護士会沼津支部有志との意見交換会
10月 8日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
10月 4日:日弁連人権擁護大会後の懇親会(徳島)
10月 2日:香川県弁護士会有志との意見交換会
10月 1日:高知弁護士会有志との意見交換会
9月27日:関弁連大会後の懇親会(新潟)
9月18日:東京事務所開き
8月22日:鳥取県弁護士会(鳥取)有志との意見交換会(夕)
同   日:鳥取県弁護士会(米子)有志との意見交換会(昼)
8月21日:岡山弁護士会有志との意見交換会
8月20日:山口県弁護士会有志との意見交換会
8月19日:山口県弁護士会下関地区会有志との意見交換会
7月23日:釧路弁護士会(北見地域)有志との意見交換会
7月19日:東京三会多摩支部有志との意見交換会
7月 5日:東北弁護士会連合会定期大会(盛岡市)の懇親会
7月 3日:京都弁護士会有志との意見交換会
→ 二巡目の意見交換会が開始しました。
6月27日:福岡県弁護士会北九州部会有志との意見交換会
6月26日:福島県弁護士会郡山支部有志との意見交換会
6月19日:青森県弁護士会有志との意見交換会
6月10日:長野県弁護士会長野在住会有志との意見交換会
6月 6日:秋田弁護士会有志との意見交換会
6月 5日:岩手弁護士会有志との意見交換会
6月 4日:山形弁護士会有志との意見交換会
5月29日:三重弁護士会有志との意見交換会
5月28日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
5月27日:千葉県弁護士会有志との意見交換会
5月23日:和歌山弁護士会有志との意見交換会
5月22日:奈良弁護士会有志との意見交換会
5月21日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
5月16日:岐阜弁護士会有志との意見交換会
5月10日:福井弁護士会有志との意見交換会
5月 9日:金沢弁護士会有志との意見交換会
5月 8日:富山県弁護士会との意見交換会(夕)
同   日:富山県弁護士会高岡支部有志との意見交換会(昼)
4月26日:釧路弁護士会(帯広弁護士協会)有志との意見交換会
4月25日:旭川弁護士会有志との意見交換会
4月24日:札幌弁護士会有志との意見交換会
4月23日:釧路弁護士会(釧路)有志との意見交換会
4月22日:埼玉弁護士会有志との意見交換会
4月19日:茨城県弁護士会有志との意見交換会
4月17日:長野県弁護士会松本在住会,上伊那在住会,諏訪在住会有志との意見交換会
4月16日:函館弁護士会有志との意見交換会
4月12日:長崎県弁護士会長崎地区,諫早地区及び大村地区有志との意見交換会
4月11日:福岡県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:山口県弁護士会下関地区会有志との意見交換会(昼)
4月10日:山口県弁護士会山口地区会及び周南地区会有志との意見交換会
4月 9日:島根県弁護士会有志との意見交換会
4月 8日:香川県弁護士会有志との意見交換会
4月 3日:日本組織内弁護士協会有志との交流
3月30日:原町ひまわり基金法律事務所引継披露祝賀会
3月27日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
3月25日:宮崎県弁護士会有志との意見交換会
3月22日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
3月20日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
3月19日:大分県弁護士会有志との意見交換会
3月18日:熊本県弁護士会有志との意見交換会
3月15日:沖縄弁護士会有志との意見交換会
3月13日:愛媛弁護士会有志との意見交換会
3月 8日:徳島弁護士会有志との意見交換会
3月 7日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
3月 5日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
3月 4日:高知弁護士会有志との意見交換会
2月28日:京都弁護士会有志との意見交換会
2月27日:兵庫県弁護士会有志との意見交換会
2月20日:群馬弁護士会有志との意見交換会
2月19日:静岡県弁護士会静岡支部有志との意見交換会(夕)
同   日:静岡県弁護士会沼津支部有志との意見交換会(昼)
2月15日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
1月15日:広島弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:岡山弁護士会有志との意見交換会(昼)
1月 4日:沖縄弁護士会有志との意見交換会
(2018年)
11月24日~26日:鳥取県弁護士会及び島根県弁護士会有志との意見交換会
10月23日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
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2 ともに日弁連を変えよう!市民のための司法をつくる会の代表者である及川智志弁護士の場合
・ 意見交換会の開催状況につき,及川智志弁護士のツイート等に記載されています。
11月11日:山形県弁護士会有志との意見交換会
11月 7日:愛媛弁護士会有志との意見交換会(夕)
同    日:広島弁護士会有志との意見交換会(昼)
11月 6日:東京での意見交換会
10月30日:岐阜県弁護士会有志との意見交換会
10月10日:鳥取県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同    日:鳥取県弁護士会米子支部有志との意見交換会(昼)
10月 8日:群馬弁護士会有志との意見交換会
9月30日:長野県弁護士会有志との意見交換会(午後3時30分過ぎから)
同   日:長野県弁護士会松本在住会有志との意見交換会
9月18日:山口県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:山口県弁護士会下関地区会有志との意見交換会(昼)
9月17日:愛知県弁護士会有志との意見交換会
8月23日:金沢弁護士会有志との意見交換会(夕)
8月23日:福井弁護士会有志との意見交換会(昼)
8月22日:兵庫県弁護士会有志との意見交換会(夕)
同   日:大阪弁護士会有志との意見交換会(昼)
8月 8日:熊本県弁護士会及び長崎県弁護士会有志との意見交換会
8月 7日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
7月25日:釧路弁護士会有志との意見交換会
7月24日:札幌弁護士会有志との意見交換会
7月22日:京都弁護士会有志との意見交換会
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3 近未来の日弁連を考える会の代表者である川上明彦弁護士の場合
(2019年)
11月14日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
10月 9日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
10月 8日:西村あさひ法律事務所訪問
10月 4日:日弁連人権擁護大会後の懇親会(徳島)
8月30日:中部弁護士会連合会有志との意見交換会
8月20日:群馬弁護士会有志との意見交換会
8月 9日:釧路弁護士会帯広支部有志との意見交換会
8月 8日:釧路弁護士会有志との意見交換会
8月 6日:奈良弁護士会有志との意見交換会
7月19日:秋田弁護士会有志との意見交換会
7月 9日:広島弁護士会有志との意見交換会
6月26日:山口県弁護士会有志との意見交換会
同   日:山口県弁護士会下関地区有志との意見交換会
6月24日:京都弁護士会有志との意見交換会
6月21日:宮崎県弁護士会有志との意見交換会
6月12日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
6月11日:熊本県弁護士会有志との意見交換会
6月 7日:大分県弁護士会有志との意見交換会
5月31日:徳島弁護士会有志との意見交換会
5月30日:香川県弁護士会有志との意見交換会
5月22日:福岡県弁護士会北九州部会有志との意見交換会
5月21日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
5月17日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
5月16日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
5月15日:静岡県弁護士会沼津支部有志との意見交換会
5月13日:福岡県弁護士会有志との意見交換会
4月19日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
4月16日:岐阜県弁護士会有志との意見交換会
4月 9日:福井弁護士会有志との意見交換会
4月 8日:金沢弁護士会有志との意見交換会
4月 5日:札幌弁護士会有志との意見交換会
4月 4日:旭川弁護士会有志との意見交換会
3月29日:富山県弁護士会有志との意見交換会
3月28日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
2月27日:三重弁護士会有志との意見交換会
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 新たな時代の司法を考える会(あらし会)の代表者である荒中弁護士の場合
12月 6日:日弁連臨時総会後の全国懇談会(あらし会東京事務所)
11月28日:金沢弁護士会有志との意見交換会
11月27日:愛知県弁護士会有志との意見交換会
11月26日:富山県弁護士会有志との意見交換会
同    日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
11月22日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
11月20日:群馬弁護士会有志との意見交換会
11月19日:函館弁護士会有志との意見交換会
11月16日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
11月14日:福岡県弁護士会有志との意見交換会
11月12日:旭川弁護士会有志との意見交換会
11月11日:釧路弁護士会有志との意見交換会
11月 6日:高知弁護士会有志との意見交換会
11月 5日:香川県弁護士会有志との意見交換会
同    日:徳島弁護士会有志との意見交換会
10月29日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
10月25日:TMI総合法律事務所有志との意見交換会
10月21日:静岡県弁護士会沼津支部及び静岡支部有志との意見交換会
10月18日:法曹親和会有志との意見交換会
10月17日:あらし会東京事務所開き
10月16日:青森県弁護士会有志との意見交換会
10月11日:JILA(日本組織内弁護士協会)との意見交換会
10月 8日:青森県弁護士会弘前支部有志との意見交換会
同    日:秋田弁護士会有志との意見交換会
10月 4日:日弁連人権擁護大会後の懇親会(徳島)
9月30日:沖縄弁護士会有志との意見交換会
9月29日:長野県弁護士会有志との意見交換会
9月24日:岩手弁護士会有志との意見交換会
9月12日:埼玉県弁護士会有志との意見交換会
9月11日:シティユーワ法律事務所有志との意見交換会
9月 6日:和歌山弁護士会有志との意見交換会
同   日:滋賀弁護士会有志との意見交換会
9月 5日:京都弁護士会有志との意見交換会
9月 4日:奈良弁護士会有志との意見交換会
8月28日:旭川弁護士会有志との意見交換会
8月27日:釧路弁護士会有志との意見交換会(夜)
同   日:釧路弁護士会帯広支部有志との意見交換会(昼)
8月23日:静岡県弁護士会浜松支部有志との意見交換会
同   日:岐阜県弁護士会有志との意見交換会
8月22日:三重弁護士会有志との意見交換会
8月21日:金沢弁護士会有志との意見交換会
8月20日:愛知県弁護士会有志との意見交換会(夜)
同   日:富山県弁護士会有志との意見交換会(昼)
8月19日:新潟県弁護士会有志との意見交換会
8月 8日:山梨県弁護士会有志との意見交換会
8月 7日:群馬弁護士会高崎支部有志との意見交換会
8月 6日:神奈川県弁護士会有志との意見交換会
8月 5日:栃木県弁護士会有志との意見交換会
8月 2日:宮崎県弁護士会有志との意見交換会
8月 1日:佐賀県弁護士会有志との意見交換会
同   日:熊本県弁護士会有志との意見交換会
7月31日:兵庫県弁護士会有志との意見交換会(夜)
同   日:大分県弁護士会有志との意見交換会(昼)
7月30日:山口県弁護士会山口支部有志との意見交換会(夜)
同   日:山口県弁護士会下関支部有志との意見交換会(昼)
7月29日:広島弁護士会有志との意見交換会
同   日:福岡県弁護士会北九州部会有志との意見交換会
7月23日:島根県弁護士会有志との意見交換会
7月18日:長野県弁護士会有志との意見交換会
7月17日:函館弁護士会有志との意見交換会
7月10日:長崎県弁護士会有志との意見交換会
7月 9日:鹿児島県弁護士会有志との意見交換会
7月 5日:東北弁護士会連合会定期大会(盛岡市)の懇親会
7月 3日:茨城県弁護士会有志との意見交換会
6月26日:福島県弁護士会福島支部有志との意見交換会
6月25日:福島県弁護士会郡山支部有志との意見交換会
6月24日:札幌弁護士会有志との意見交換会
6月18日:山形県弁護士会有志との意見交換会
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第2 その他
1 4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会
(1) 10月30日夕方,東京・日比谷図書館大ホールにおいて,4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会が実施されました(Change!日弁連HPの「2019年10月30日夕方 東京・日比谷図書館大ホール」参照)。
(2) 11月30日午後1時から午後4時15分頃,大阪弁護士会館203号室及び204号室において,4つの政策提言団体の代表者が出席した意見交換会が実施されました。

2 令和元年8月時点における,頼りがいのある司法を築く日弁連の会の予定
令和元年8月時点における,頼りがいのある司法を築く日弁連の会の予定が,「変えよう!会」のツイートに流れています。

3 関連記事
① 日弁連会長選挙の前年に活動していた政策提言団体(2007年以降の分)
② 過去の日弁連会長選挙の結果(平成20年度以降)
③ 日弁連設立時から平成18年度までの日弁連会長選挙の結果
→ 神戸弁護士会から日弁連会長に就任した昭和61年度同62年度日弁連会長選挙については,単位会別の得票状況も載せています。
④ 日弁連の歴代会長及び事務総長
⑤ 日弁連役員に関する記事の一覧

 

第72期司法修習生向けの,弁護士会の就職説明会等の日程

○以下の日程につき,個別のリンクがないものはすべて,日弁連HPの「法律事務所への入所をお考えの方へのご案内」が情報源です。
司法修習中の期間よりも司法修習開始前の期間の方が,就職関係のイベントが充実している気がします。

平成30年
12月 2日(土)午後1時~午後5時
   日弁連の,司法試験シンポジウム(弁護士会館17階1701会議室)
12月15日(土)午後1時~午後4時30分

   日弁連の,就職活動セミナー(弁護士会館17階会議室)

平成31年
1月11日(金)午後5時30分~午後8時
   鹿児島県弁護士会の,採用説明会(鹿児島県弁護士会館)
1月19日(土)
① 午後1時~午後5時
   北海道弁護士会連合会の,採用説明会(札幌弁護士会館)
②   午後2時~午後4時
京都弁護士会の,採用情報説明会(京都弁護士会館 地階大ホール)
1月26日(土)
① 午後1時~午後4時
   三重弁護士会の,採用説明会(三重弁護士会館)
② 午後1時30分~午後4時
   長野県弁護士会の,採用説明会(長野県弁護士会館)
③ 午後2時30分~
   東北弁護士会連合会の,採用説明会(仙台弁護士会館)
2月 2日(土)午後1時~午後3時
   岡山弁護士会の,採用説明会(岡山弁護士会館)
2月 9日(土)午後1時15分~午後4時30分
   神奈川県弁護士会の,合同就職説明会(神奈川県弁護士会館)
2月11日(月)午後2時30分~午後5時
   群馬弁護士会の,採用説明会(ホテルメトロポリタン高崎)
2月16日(土)午後2時~
広島弁護士会の,採用説明会及び就職活動応援パーティー(広島弁護士会館)
4月 5日(金)午後6時30分~午後8時頃
愛知県弁護士会の,就職説明会(愛知県弁護士会館5階「ホール」等)

弁護士の自殺者数の推移(平成18年以降)

◯警察庁HPの「統計」のうち,「生活安全の確保に関する統計等」に掲載されている警察庁生活安全局地域課の資料によれば,弁護士の自殺者数の推移は以下のとおりです。
・ 平成30年: 7人(うち,女性1人)(平成31年3月28日付の「平成30年中における自殺の状況」末尾36頁)
・ 平成29年: 8人(うち,女性0人)(平成30年3月16日付の「平成29年中における自殺の状況」末尾37頁)
・ 平成28年:10人(うち,女性1人)(平成29年3月23日付の「平成28年中における自殺の状況 資料」末尾37頁)
・ 平成27年: 7人(うち,女性0人)(平成28年3月18日付の「平成27年中における自殺の概要資料」末尾17頁)
・ 平成26年: 9人(うち,女性0人)(平成27年3月12日付の「平成26年中における自殺の概要資料」末尾17頁)
・ 平成25年: 8人(うち,女性0人)(平成26年3月13日付の「平成25年中における自殺の概要資料」末尾17頁)
・ 平成24年:13人(うち,女性4人)(平成25年3月付の「平成24年中における自殺の概要資料」資料2末尾17頁)
・ 平成23年: 8人(うち,女性1人)(平成24年3月付の「平成23年中における自殺の概要資料」資料2末尾17頁)
・ 平成22年:13人(うち,女性0人)(平成23年3月付の「平成22年中における自殺の概要資料」末尾11頁)
・ 平成21年:10人(うち,女性3人)(平成22年5月付の「平成21年中における自殺の概要資料」末尾11頁)
・ 平成20年: 8人(うち,女性1人)(平成21年5月付の,「平成20年中における自殺の概要資料」末尾11頁)
・ 平成19年: 9人(うち,女性0人)(平成20年6月付の,「平成19年中における自殺の概要資料」末尾8頁)
・ 平成18年:13人(うち,女性0人)(平成19年6月付の,「平成18年中における自殺の概要資料」6頁)
→ 「弁護士等」の人数です。

弁護士となる資格付与のための指定研修

平成30年度「弁護士となる資格付与のための指定研修」実施計画書「別紙Ⅲ 平成30年度研修カリキュラム説明書」には以下の記載があります。

第1 集合研修Ⅰ
1 ガイダンス
・研修の目的,研修のカリキュラムについての説明
・研修に向かう姿勢,起案の作成方法についての説明
2 民事裁判手続(5時間)
・司法研修所「民事第一審手続ビデオ」を上映し,民事訴訟手続全般を教える。
・民事裁判に関し,基礎的な択一の問題を実施
3 刑事裁判手続(5時間)
・司法研修所「刑事弁護ビデオ」を上映し,逮捕からの刑事弁護手続・刑事訴訟手続全般を教える。
・刑事手続に関し,基礎的な択一の問題を実施
第2 集合研修Ⅱ
1 民事弁護概論(2時間)
・弁護士業務について
・一般民事手続の流れを相談から順を追って説明
・まず依頼者の話をどのように聞くか。
・どのような手続をとるか(訴訟以外の調停かADRか,交渉の選択) 。
・保全処分をするかどうかの選択
・訴訟の手続の流れ
・和解の持つ意味
・執行手続
・家事事件についての説明
2 要件事実(3時間)
・要件事実の役割
・訴訟代理人としての要件事実
・売買,賃貸借,代理等の請求原因

・錯誤,詐欺,時効等の抗弁

3 刑事弁護①(2時間)
・被疑者・被告人の権利・利益の擁護について
・合理的な疑いを超える証明について
・適正手続について
・弁論要旨について
・被告人の立場に立って考えることの意味
・情状弁護
・公判前整理手続

・裁判員裁判

4 刑事弁護②(3時間)
・伝聞証拠
・同意
・自白
・供述の信用性
・証人尋問
・少年法制の特徴
5 事実認定(2時間)
・民事訴訟において, どのように事実認定がされるのか。
・訴訟代理人として何を主張すべきか。
・直接事実と間接事実の拾い上げ
・二段の推定
6 立証活動(3時間)
・何を立証すべきか。
・書証による立証
・弁護士法23条の2による照会
・人証の選択
・人証との打合せ
・尋問技術
7 訴状(1)起案・講評(5時間)
・各自の起案をもとに添削,評価し,基礎的な講評を行う。
・この起案をもとに,昼休みに食事をとりながら,意見交換を行う。
第3 集合研修Ⅲ(起案・講評)
1 目的
・起案そのものではなく,起案するまでの過程を重視
・判例・文献調査の重要性
・訴訟記録に慣れる。
・多くの設問を付加することにより, より広い知識を身に付けさせる。
2 訴状(2)起案・講評(6時間)
。実際に訴状を書くことにより,要件事実を身に付けさせる。
・訴訟提起前に行っておくべきこと
・管轄裁判所の選択 ・
・保全処分の必要性の有無
・予想される被告の主張
・立証活動について
3 弁論要旨等起案・講評(6時間)
・公判前整理手続を行う事件の弁護活動
・書面,証拠物の扱いについて

・尋問すべき内容についての検討

・事例として公訴事実を争う部分と情状を論じる部分があるもの
4 準備書面起案・講評(6時間)
・民事記録を見ることに慣れる。
・両者の主張整理
・どの主張を重点に論述するか。
・間接事実をどう拾い上げるか。
・主張が足りているか。
・他の立証方法はないか。
・尋問のやり方はどうか。
5 契約書・和解条項作成・講評(6時間)
・誰からの依頼か。
・弁護士としての契約書作成に当たっての注意
・公正証書の作成と注意事項
・和解条項の作成
・債務名義とは
・債務名義と執行手続

・訴状あるいは準備書面の事案を使って契約書や和解条項を作成させる。

第4 集合研修Ⅳ(集合研修の確認・弁護士倫理等)

1 集合研修の確認(3時間分)
・集合研修及び起案内容の確認を行う。
・確認方法は,短文式での回答を求め,講師による解説を行う。
2 弁護士倫理(3時間)
・事前に事例を示し,意見を出せるようにしてもらう。
・講師を囲んだ双方向多方向方式

・弁護士自治,弁護士会活動について

第5 実務研修(18日・144時間)
1 目的
・法律事務所において弁護士としての業務を研修し,弁護士として必要な実務能力を習得する。
2 指導担当弁護士
・日弁連会長が東京三弁護士会及び大阪弁護士会の弁護士に委嘱する。
・指導担当弁護士は司法修習生の指導経験の豊富な者とする。
3 研修内容
   指導担当弁護士は,次の方針に基づき,指導を行うものとする。
① 基本方針
   原則として「生きた事件」を取り扱わせる。また,事務職員が行う事務作業についても指導する。

② 弁護士倫理

   弁護士倫理を常に念頭に置き,弁護士業務と弁護士倫理との具体的関連を指導する。
③ 民事事件及び訴訟外活動
   民事訴訟手続に加え,できる限り,民事保全,民事執行も指導する。その他,調停・和解,訴訟外活動についても指導する。
④ 刑事事件
   国選弁護事件,共助制度(他の弁護士に刑事弁護の指導をしてもらう)を活用し,研修を行うように努める。
⑤ その他
   弁護士会活動についてできる限り,見学の機会を与える。弁護士報酬の決め方も指導する。なお,指導担当弁護士と研修生は,実務研修をよりふさわしいものにするために事前に研修内容について話し合うものとする。
   また,担当者は,実務研修終了時に,研修生についての実務研修成績評価書を提出する。

日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移

1 日本弁護士国民年金基金の予定利率の推移等
(1) 2019年現在の日本弁護士国民年金基金の予定利率は1.5%でありますところ,従前の予定利率の推移は以下のとおりです。
① 平成 3年8月1日の制度発足時から平成7年3月31日までに加入又は増口した場合,5.5%
② 平成 7年4月1日から平成12年3月31日までに加入又は増口した場合,4.75%
③ 平成12年4月1日から平成14年3月31日までに加入又は増口した場合,4.0%
④ 平成14年4月1日から平成16年3月31日までに加入又は増口した場合,3.0%
⑤ 平成16年4月1日から平成26年3月31日までに加入又は増口した場合,1.75%
⑥ 平成26年4月1日以降に加入又は増口した場合,1.5%
(2) 日本弁護士国民年金基金HP平成31年4月1日以降の掛金月額表が載っていて,平成31年3月31日までに加入した人の掛金月額表は,日本弁護士国民年金基金規約別表第9の1(第71条第2項関係)に載っています。
(3) 加入時の予定利率は現在でも適用されていますから,例えば,平成7年3月31日までに加入又は増口した人の場合,現在でも5.5%の予定利率で年金を支給してもらっています。

日本弁護士国民年金基金の総括表(平成31年3月22日の第6回財政再計算報告書からの抜粋)

2 平成3年8月1日の制度発足時から平成7年3月31日まで(46期の弁護士登録まで)に加入した場合
25歳0月の男性及び女性:  3600円
30歳0月の男性及び女性:  5100円
35歳0月の男性及び女性:  6900円
40歳0月の男性及び女性:  9900円
45歳0月の男性及び女性:1万5300円
50歳0月の男性及び女性:2万6700円

3 平成7年4月1日から平成12年3月31日まで(51期の弁護士登録まで)に加入した場合
25歳0月の男性及び女性:  4590円
30歳0月の男性及び女性:  6210円
35歳0月の男性及び女性:  8250円
40歳0月の男性及び女性:1万1700円
45歳0月の男性及び女性:1万7460円
50歳0月の男性及び女性:3万  90円

4 平成12年4月1日から平成14年3月31日まで(54期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:  5010円
30歳0月の男性:  6720円
35歳0月の男性:  8910円
40歳0月の男性:1万2570円
45歳0月の男性:1万8750円
50歳0月の男性:3万1770円
(女性の場合)
25歳0月の女性:  5340円
30歳0月の女性:  7170円
35歳0月の女性:  9510円
40歳0月の女性:1万3440円
45歳0月の女性:2万  70円
50歳0月の女性:3万3960円

5 平成14年4月1日から平成16年3月31日まで(56期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:  7125円
30歳0月の男性:  9090円
35歳0月の男性:1万1865円
40歳0月の男性:1万6125円
45歳0月の男性:2万3310円
50歳0月の男性:3万7890円
(女性の場合)
25歳0月の女性:  7650円
30歳0月の女性:  9810円
35歳0月の女性:1万2795円
40歳0月の女性:1万7385円
45歳0月の女性:2万5140円
50歳0月の女性:4万 830円

6 平成16年4月1日から平成21年3月31日まで(61期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:1万 830円
30歳0月の男性:1万3245円
35歳0月の男性:1万6680円
40歳0月の男性:2万1870円
45歳0月の男性:3万 570円
50歳0月の男性:4万8060円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万2930円
30歳0月の女性:1万5825円
35歳0月の女性:1万9905円
40歳0月の女性:2万6070円
45歳0月の女性:3万6450円
50歳0月の女性:5万7270円

7 平成21年4月1日から平成26年3月31日まで(66期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:1万1430円
30歳0月の男性:1万3980円
35歳0月の男性:1万7610円
40歳0月の男性:2万3070円
45歳0月の男性:3万2250円
50歳0月の男性:5万 730円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万3245円
30歳0月の女性:1万6215円
35歳0月の女性:2万 400円
40歳0月の女性:2万6730円
45歳0月の女性:3万7350円
50歳0月の女性:5万8680円

8 平成26年4月1日から平成31年3月31日まで(71期の弁護士登録まで)に加入した場合
(男性の場合)
25歳0月の男性:1万2555円
30歳0月の男性:1万5255円
35歳0月の男性:1万9065円
40歳0月の男性:2万4810円
45歳0月の男性:3万4470円
50歳0月の男性:5万3820円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万4670円
30歳0月の女性:1万7820円
35歳0月の女性:2万2275円
40歳0月の女性:2万8980円
45歳0月の女性:4万 230円
50歳0月の女性:6万2790円

9 平成31年4月1日以降に加入した場合
(男性の場合)

25歳0月の男性:1万2705円
30歳0月の男性:1万5450円
35歳0月の男性:1万9305円
40歳0月の男性:2万5110円
45歳0月の男性:3万4860円
50歳0月の男性:5万4450円
(女性の場合)
25歳0月の女性:1万4790円
30歳0月の女性:1万7985円
35歳0月の女性:2万2470円
40歳0月の女性:2万9220円
45歳0月の女性:4万 560円
50歳0月の女性:6万3300円

10 日本弁護士国民年金基金の掛金月額の比較
(1) 男性の場合
・ 制度発足時と平成31年4月1日以降の掛金月額を比較した場合,25歳0月で3.53倍,30歳0月で3.03倍,35歳0月で2.80倍,40歳0月で2.54倍,45歳0月で2.28倍,50歳0月で2.04倍異なります。
(2) 女性の場合
・ 制度発足時と平成31年4月1日以降の掛金月額を比較した場合,25歳0月で4.11倍,30歳0月で3.53倍,35歳0月で3.26倍,40歳0月で2.95倍,45歳0月で2.65倍,50歳0月で2.37倍異なります。

11 関連記事
① 日本弁護士国民年金基金
② 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
③ 個人型確定拠出年金(iDeCo)
④ 弁護士の社会保険

12 掲載資料
① 国民年金基金における財政再計算に伴う掛金の計算に関する取扱いについて(平成6年12月22日付の厚生省年金局長から都道府県知事あて通知)
② 日本弁護士国民年金基金の第6回財政再計算報告書(平成31年3月22日提出)
③ 保証期間15年・年金月額3万円(年額36万円)の給付(平成21年3月31日までの基本A型参照)に必要な,日本弁護士国民年金基金の掛金の推移

保証期間15年・年金月額3万円(年額36万円)の給付(平成21年3月31日までの基本A型参照)に必要な,日本弁護士国民年金基金の掛金の推移

 

弁護士再登録時の費用

1(1) 東弁リブラ2008年4月号の「出産・育児・海外留学のときに役立つ情報」によれば,平成20年2月現在の再登録のための費用は,日弁連の登録料が6万円,東弁の元会員が東弁に再入会する場合の入会金が1万5000円(東弁に新規入会する場合は3万円),登録申請の際の印紙代が6万円で,合計13万5000円かかります。
(2) 平成26年4月1日以降,日弁連の登録料は3万円となっています。

2 大阪弁護士会の場合,弁護士任官をした人が再び弁護士登録をする場合は入会金を免除されることがあります(大阪弁護士会会則17条3項)ものの,単なる再入会の場合に入会金を減免する規定はありません。
そのため,再登録のための費用は,日弁連の登録料が3万円,大弁の入会金が3万円,登録申請の際の印紙代が6万円で,合計12万円かかります。

3 登録申請の際の印紙代6万円は,登録免許税法別表第一の三十二「人の資格の登録若しくは認定又は技能証明」(三))に基づくものです。

4 日弁連HPの「2015年4月1日以降に弁護士登録(再登録)される方へ」にあるとおり,平成27年4月1日以降に再登録請求をする場合,従前の登録時に付されていた登録番号を付与してもらうことができます(日弁連会則19条3項参照)。

大阪弁護士会の負担金会費

大阪弁護士会HPの「第71期司法修習終了予定者で大阪弁護士会への入会を希望される方へ」に掲載されている「大阪弁護士会財務課からのお願い」の「3 負担金会費の納入について」には以下の記載があります。

 入会に際し、会館負担金会費40万円(分納・分納の延納制度あり)を納入いただくことは、別途案内「大阪弁護士会へ入会される方へ」に記載させていただいておりますが、入会後、次の負担金会費を納入いただきます(大阪弁護士会各種会費規程第3条の4)。

① 国選弁護人及び国選付添人に対する報酬の5%
② 裁判所から選任された職務代行者、破産管財人、民事再生監督委員、同調査委員、同管財人、同保全管理人、会社更生管財人、同調査委員、同保全管理人、同監鰯員、会社設立検査役、特別清算における特別清算人、同検査役、会社整理における検査役、同監督員、同管理人、特別代理人、不在者財産管理人、相続財産管理人、遺言執行者、後見人、後見監霞人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監鰯人、任意後見監蟹人、財産管理者、職務代行者等(裁判所の民事調停委員、家事調停委員、鑑定委員、司法委員、参与員その他これらに準ずるものを除く。)の報酬(未成年後見制度における後見人、後見監督人、財産管理者及び職務代行者の報酬については、就任時から1年間のものに限る。)の7%
③ 大阪弁護士会総合法律相談センター規程(会規第13号)に定める法律相談業務、被害者救済業務、中小企業支援センター業務、犯罪被害者救済業務及び当番弁護士に関する業務の担当者並びに同規程により事件を受任しだ場合の法律相談料、雷手金、報酬金、手数料、鑑定料、謂師料、日当の7%
④ 大阪弁護士会総合法律相談センターから顧問の紹介を受けた場合の顧問就任時から1年間の顧問料の7%
⑤ 大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター規程(会規第30号)に定める専門法律相談業務、財産管理支援業務、介護・福祉支援業務及び精神保健支援業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料、蕾手金、報酬金、手数料(財産管理支援業務における財産管理行為開始前の面談の手数料及び証雷類等の保管委託の手数料については財産管理契約締結時から、財産管理支援業務における財産管理行為開始後の基本委任事務の手数料については財産管理行為開始時から、1年間のものに限る。)、鑑定料及び謂師料の7%
⑥ 大阪弁護士会遺言・相続センター規程(会規第55号)に基づく法律相談の相談料並びに同規程により事件を受任した場合の蓋手金、報酬金及び手数料の7%
⑦ 大阪住宅紛争審杳会の指名紛争処理委員及び専門家相談員の報酬の7%
⑧ 権利保護保険制度(日弁連リーガル・アクセス・センター)に基づく法律相談の相談料並びに同制度により事件を受任した場合(直接依頼者から事件を受任し、同制度を利用した場合を含む。)の善手金、報酬金、手数料及び日当の7%
⑨ 大阪弁護士会行政連携センター規程(会規第59号)により紹介を受けた場合の法律相談料、着手金、報酬金、手数料、鑑定料及び講師料の7%

弁護士の社会保険

目次
1 弁護士の雇用保険
2 東京都弁護士国民健康保険組合
3 労働保険及び社会保険への加入状況の調査方法
4 社会保険への事後的な加入手続
5 国民健康保険の保険料(保険税)の限度額の推移等
6 国民年金保険料の月額及び国民年金の月額
7 士業等の節税ツール
8 関連記事

1 弁護士の雇用保険
(1) 弁護士の労働者性については,東弁リブラ2005年4月号「私って労働者?-勤務弁護士の労働者性について-」が参考になります。
(2) 平成25年2月1日以降,公認会計士,税理士,弁護士,社会保険労務士,弁理士等の資格を持つ人は,法律の規定に基づき,名簿や登録簿等に登録している場合であっても,開業や事務所に勤務している事実がないことが確認でき,要件を満たしていれば,雇用保険の受給資格決定を受けることができます(厚生労働省HPの「公認会計士,税理士などの資格を持つ方の失業給付の取扱いが変更になります。」参照)。
(3) 雇用保険を受給するためには以下の条件を満たしている必要があります。
① 雇用保険の被保険者期間(=労働者として事業所に勤務していた期間)が原則として,離職日以前2年間に12ヶ月以上あること。
② 就職したいという積極的な意思と,いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり,積極的に求職活動を行っているにもかかわらず,就職できない状態(失業の状態)にあること。
(4) 平成18年度の労働保険審査会の裁決例4には,雇用保険法に関して以下の記述があるため,労働基準法の労働者に該当しなくても,雇用保険の被保険者資格を認められることがあります。
   法第4条第1項は、「この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であ」る旨規定し、また、同項の「適用事業」については、法第5条第1項において、「この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。」と規定している。また、法における「雇用関係」とは、民法第623条の規定による雇用関係のみならず、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係(以下「実質的な雇用関係」という。)をも含むものであると解される。 したがって、かかる意味での雇用関係が終了したと認められる場合に、被保険者資格を喪失したと言い得るものである。

2 東京都弁護士国民健康保険組合
(1)ア 令和元年7月現在,以下の二つの条件を満たす人は,東京都弁護士国民健康保険組合に加入できます(東京都弁護士国民健康保険組合HP「加入資格・加入手続について」参照)。
① 東京弁護士会,第一東京弁護士会,第二東京弁護士会,神奈川県弁護士会,千葉県弁護士会及び埼玉弁護士会に所属する弁護士及び外国法事務弁護士並びにその法律事務所に勤務し業務に従事する者
② 東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,茨城県の一部(取手市,土浦市,つくば市,水戸市及び神栖市),静岡県の一部(三島市,浜松市,静岡市,熱海市,富士市,駿東郡長泉町及び田方郡函南町),山梨県北杜市,群馬県高崎市,愛知県刈谷市,京都府京都市,新潟県長岡市,長野県下高井郡山ノ内町,沖縄県島尻郡与那原町,大阪府大阪市及び栃木県宇都宮市に住所を有する方
イ 神奈川県弁護士会,千葉県弁護士会及び埼玉弁護士会に所属する弁護士等が東京都弁護士国民健康保険組合に加入できるようになったのは平成元年です(関弁連50周年記念誌29頁)。
(2)ア 東京都弁護士国民健康保険組合に加入している人が弁護士法人に勤務する場合,年金事務所に対し,14日以内に健康保険被保険者適用除外申請書をすることで,協会けんぽに加入せず,引き続き東京都弁護士国民健康保険組合への加入を続けることができます(日本年金機構HPの「健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の資格取得及び配偶者等の手続き」参照)。
イ 東京都弁護士国民健康保険の保険料は所得金額と関係がありません(東京都弁護士国民健康保険組合HPの「保険料について」参照)。
   そのため,一定の所得を超えた場合,協会けんぽの健康保険料よりも健康保険料が安くなりますものの,標準報酬月額の3分の2の金額を最大で1年6月間支給してくれる傷病手当金制度(協会けんぽHPの「病気やケガで会社を休んだとき」参照)はありません。
(3) 東弁リブラ2013年7月号「弁護士会の福利厚生第6回 東京都弁護士国民健康保険組合のご案内」によれば,東京都弁護士国民健康保険組合の場合,①傷病手当金,②出産手当金及び③育児休業期間中の保険料免除措置がないと書いてあります。
(4) 既存の健保組合がその地区・組合員を拡大することは,事務量の増大という点を除けば,財政基盤の強化,危険の分散というメリットがあるものの,健保組合の新設・拡大を認めた場合,働き盛りの人たち,高収入の人たちが市町村国保を脱退する結果,市町村国保には高齢者・低所得者層だけが残ることとなり,市町村国保の財政基盤が弱くなるという意見があります(関弁連50周年記念誌29頁及び30頁参照)。

3 労働保険及び社会保険への加入状況の調査方法
(1)ア   弁護士法人である法律事務所は,社会保険の強制適用事業所に該当します(健康保険法3条3項2号,厚生年金保険法6条2項)。
イ 社会保険への加入資格については,日本年金機構HPの「社会保険の加入についてのご案内」が分かりやすいです。
(2) 厚生労働省HPの「労働保険適用事業場検索」を利用すれば,労働保険(労災保険及び雇用保険)に加入しているかどうかが分かります。
   適用事業場検索が作動しない場合,「ツール」→「インターネットオプション」→「プライバシー」→「ポップアップブロックを有効にする」のチェックを外す,により作動することがあります。
(3)ア 日本年金機構HPの「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」を利用すれば,社会保険(厚生年金保険及び健康保険)に加入しているかどうかが分かります。
イ 健康保険の給付の手続や相談等は,平成20年10月1日設立の全国健康保険協会(協会けんぽ)(従前の政府管掌健康保険(政管健保)です。)の各都道府県支部で行い,健康保険の加入や保険料の納付の手続は,日本年金機構の年金事務所で行っています(日本年金機構HPの「健康保険(協会けんぽ)の事務と手続等」参照)。

4 社会保険への事後的な加入手続
(1)   弁護士法人の場合
   弁護士法人において社会保険への加入手続をしてもらっていなかった場合であっても,勤務弁護士に労働者としての実態があるのであれば,以下のとおり事後的に社会保険に加入できます。
① 労災保険については労基署の職権による成立手続及び労災保険料の認定手続(労災保険法31条1項1号参照)を経ること
② 雇用保険についてはハローワークの職権による被保険者資格の確認(雇用保険法8条及び9条)を経ること
③ 健康保険については年金事務所の職権による確認(健康保険法39条・51条1項)を経ること
④ 厚生年金については年金事務所の職権による確認(厚生年金保険法18条2項)を経ること
(2) 個人経営の法律事務所の場合
ア   個人経営の法律事務所は,社会保険の強制適用事業所(健康保険法3条3項1号,厚生年金保険法6条1項1号)に該当しませんから,常時5人以上の従業員を使用している場合であっても,社会保険が適用されません。
   そのため,勤務弁護士に労働者としての実態があるとしても,社会保険に加入することはできません。
イ 個人経営の法律事務所は,従業員の2分の1以上の同意を得られる場合,任意適用申請をすることで社会保険適用事業所になることはできます(健康保険法31条1項及び2項,厚生年金保険法6条3項及び4項。日本年金機構HPの「任意適用申請の手続き」参照)。


* 楽天カードは,満18歳以上の人であれば,主婦,アルバイト,パート,学生でも作成できます。

5 国民健康保険の保険料(保険税)の限度額の推移等
(1)ア 昭和36年度に確立された国民健康保険の保険料(保険税)の限度額の推移は以下のとおりです。
昭和46年度~: 8万円
昭和49年度~:12万円
昭和51年度 :15万円
昭和52年度 :17万円
昭和53年度 :19万円
昭和54年度 :22万円
昭和55年度 :24万円
昭和56年度 :26万円
昭和57年度 :27万円
昭和58年度 :28万円
昭和59年度~:35万円
昭和61年度 :37万円
昭和62年度 :39万円
昭和63年度~:40万円
平成 3年度 :44万円
平成 4年度 :46万円
平成 5年度~:50万円
平成 7年度~:52万円
平成 9年度~:53万円(平成11年度までは全部,医療分)
平成12年度~:60万円(医療分が53万円,介護分が7万円)
平成15年度~:61万円(医療分が53万円,介護分が8万円)
平成18年度 :62万円(医療分が53万円,介護分が9万円)
平成19年度 :65万円(医療分が56万円,介護分が9万円)
平成20年度 :68万円(医療分が47万円,支援金分が12万円,介護分が9万円)
平成21年度 :69万円(医療分が47万円,支援金分が12万円,介護分が10万円)
平成22年度 :73万円(医療分が50万円,支援金分が13万円,介護分が10万円)
平成23年度~:77万円(医療分が51万円,支援金分が14万円,介護分が12万円)
平成26年度 :81万円(医療分が51万円,支援金分が16万円,介護分が14万円)
平成27年度 :85万円(医療分が52万円,支援金分が17万円,介護分が16万円)
平成28年度~:89万円(医療分が54万円,支援金分が19万円,介護分が16万円)
平成30年度~:93万円(医療分が58万円,支援金分が19万円,介護分が16万円)
イ 限度額の法的根拠は,国民健康保険料につき国民健康保険法76条・国民健康保険法施行令29条の7であり,国民健康保険税につき地方税法703条の4・地方税法施行令56条の88の2です。
ウ 国民健康保険につき,国民健康保険法76条1項では,保険料方式が本則であり,保険税方式が例外であるものの,市町村保険者の大多数が保険税方式を採用しています。
   ただし,大阪府内においては,9割以上の保険者が保険料方式を採用しています(大阪府HPの「国民健康保険における保険料と保険税の現状等について」参照)。
(2)ア 厚生労働省HPの「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」(平成29年11月8日付)に,平成5年度から平成27年度までの国民健康保険料(税)賦課(課税)限度額の推移が載っています。
イ 鳥取県HPに「国民健康保険制度の沿革」が載っています。
(3) 平成30年4月1日から,国民健康保険の運営主体が都道府県となりました(帯広市HPの「国民健康保険の都道府県単位化について」参照)。
(4) 大阪市HPの「大阪市国民健康保険運営協議会」に,国民健康保険制度の概要,大阪市国民健康保険事業の特徴,大阪市国民健康保険事業の特徴が載っています。

6 国民年金保険料の月額及び国民年金の月額
(1) 国民年金保険料の月額の推移
ア 国民年金保険料の月額は以下のとおり推移しています。
平成10年度~:1万3300円
平成17年度:1万3580円
平成18年度:1万3860円
平成19年度:1万4100円
平成20年度:1万4410円
平成21年度:1万4660円
平成22年度:1万5100円
平成23年度:1万5020円
平成24年度:1万4980円
平成25年度:1万5040円
平成26年度:1万5250円
平成27年度:1万5590円
平成28年度:1万6260円
平成29年度:1万6490円
平成30年度:1万6340円
平成31年度:1万6410円
イ 日本年金機構HPに「国民年金保険料の変遷」及び「国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?」が載っています。
(2) 老齢基礎年金の支給額の推移
ア 老齢基礎年金の支給額の推移は以下のとおりです。
平成16年 4月~:79万4500円
平成18年 4月~:79万2100円
平成23年 4月~:78万8900円
平成24年 4月~:78万6500円
平成25年10月~:77万8500円
平成26年 4月~:77万2800円
平成27年 4月~:78万 100円
平成29年 4月~:77万9300円
イ 次年度の老齢基礎年金の支給額は,毎年1月下旬の金曜日に厚生労働省HPで発表されています。
(3) シニアガイドHP「実際に支給されている国民年金の平均月額は5万5千円、厚生年金は14万7千円」(平成30年12月22日付)が載っています。

7 士業等の節税ツール
   弁護士社長の実務ブログ「弁護士を含めた士業の節税方法(社会保険等編)」によれば,士業等の節税ツールとして選択できる社会保険は以下のとおりとなっています。
① 国民年金基金(所得控除)
② 小規模企業共済(所得控除)
③ 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)(経費の増額)
④ 個人形確定拠出年金(iDeCo)(所得控除)

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① 日本弁護士国民年金基金
② 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
③ 個人型確定拠出年金(iDeCo)

 

出産・育児を理由とする弁護士会費の免除

第1 日弁連会費の場合
1 平成20年1月1日施行の,出産を理由とする日弁連会費の免除(出産後,1年以内の申請が必要です。)
(1)ア   女性弁護士が出産した場合,所属弁護士会を通じて日弁連に対し,会費等免除申請書に,母子手帳の表紙と予定日が分かるページの写しを添付して提出すれば,出産月の前月から4か月間,日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
イ 多胎妊娠の場合,出産の前々月から6か月間,日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
(2) 根拠条文は以下のとおりです。
① 日弁連会則95条の4第2項
② 出産時の会費免除に関する規程(平成19年12月6日会規第84号)
2 平成27年4月1日施行の,育児を理由とする日弁連会費の免除(子の出生から2年以内の申請が必要です。)
(1)ア 弁護士が子の育児をする場合,所属弁護士会を通じて日弁連に対し,会費等免除申請書に,①誓約書兼育児予定書及び②戸籍謄本又は子との関係が明らかになる住民票を添付して提出すれば,子が2歳になるまでの任意の6か月間(令和元年9月30日までに出生した子である場合)又は12ヶ月間(令和元年10月1日以降に出生した子である場合),日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
イ 令和元年10月1日以降に出生した子について出産時における会費の免除を受けていた場合,育児期間中の会費免除は10ヶ月間となります(多胎妊娠の場合は15ヶ月間です。)。
(2)ア 令和元年9月30日までに出生した子である場合,日弁連会費等の免除期間中,育児の実績を記載した書類(書式の定めなし,テンプレートあり)を毎月作成し,翌月末までに提出する必要がありますものの, 休業要件はありません。
イ 令和元年10月1日以降に出生した子である場合,日弁連会費等の免除期間中,育児実績書(書式の定めあり)を4ヶ月に1回,提出する必要がありますものの, 休業要件はありません。
(3) 根拠条文は以下のとおりです。
① 日弁連会則95条の4第3項
② 育児期間中の会費免除に関する規程(平成25年12月6日会期第98号)

第2 大阪弁護士会費の場合
1 出産を理由とする大弁会費の免除(出産後,1年以内の申請が必要です。)
(1) 女性弁護士が出産した場合,大弁企画部会員企画課に対し,会費免除申請書(出産)に,母子手帳の表紙と予定日が分かるページの写しを添付して提出すれば,出産月の前月から4か月間,大弁会費を免除してもらえます。
(2) 多胎妊娠の場合,出産の前々月から6か月間,日弁連の会費及び特別会費を免除してもらえます。
2 育児を理由とする大弁会費の猶予・免除
(1) 大弁会費の支払の猶予
   弁護士が1歳に満たない子の育児をするために休業する場合,大弁企画部会員企画課に対し,会費の納入猶予申請書に,母子手帳の表紙と予定日が分かるページの写しを添付して提出すれば,子が1歳になるまでの間,大弁会費の支払を猶予してもらえます。
(2) 大弁会費の免除(子の出生から1年6月以内の申請が必要です。)
ア 弁護士が子の育児をするために全く執務をしなかった場合,大弁企画部会員企画課に対し,全部休業を理由として,会費の免除申請書(育児休業)に,休業証明書を添付して提出すれば,猶予期間中の会費の全部を免除してもらえます。
イ 弁護士が子の育児をするために100時間を下回る時間しか執務をしなかった場合,大弁企画部会員企画課に対し,一部休業を理由として,会費の免除申請書(育児休業)に,休業証明書を添付して提出すれば,猶予期間中の会費の半分を免除してもらえます。
3 根拠条文
   ①大阪弁護士会会則161条,及び②会則第161条の運営準則(昭和52年2月7日常議員会承認)です。

第3 その他
   平成31年4月以降,市区町村に届出をすることにより,出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されるようになりました(国民年金法88条の2,並びに厚生労働省HPの「国民年金の産前産後期間の保険料免除制度」,及び日本年金機構HPの「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」参照)。

弁護士記章

1(1) 弁護士はその職務を行う場合,弁護士記章(弁護士バッジ)を帯用するか,又は身分証明書を携帯する必要があります(日弁連会則29条2項)。
(2) 日弁連HPの「弁護士の記章(バッジ)について」には「弁護士が胸につけている記章があります。この記章は、外側にひまわり、中央にはかりがデザインされています。ひまわりは自由と正義を、はかりは公正と平等を追い求めることを表しています。」と書いてあります。

2 弁護士記章については,弁護士記章規則で定められています。

3 弁護士記章は,日弁連が,弁護士名簿に登録したときに,所属弁護士会を通じて本人に交付します(弁護士記章規則3条1項)。

4 弁護士記章は,日弁連の所有であって,弁護士に貸与されるものです(弁護士記章規則2条)。

5 弁護士が登録取消しの請求をしたときや,死亡したときは,弁護士記章を日弁連に返還する必要があります(弁護士記章規則5条)。

6 弁護士が弁護士記章を紛失したときは,所属弁護士会を通じて,速やかに,日弁連に対し,紛失届を提出し,弁護士記章の再交付を申請する必要があります(弁護士記章規則7条)。

7 日弁連は,紛失届を受けた場合,直ちに弁護士名簿にその旨を記載し,かつ,官報にその旨を公告します(弁護士記章規則8条1項)。

8 日弁連は,官報公告をした後,速やかに,弁護士記章を,所属弁護士会を通じて,弁護士に再交付し,かつ,弁護士名簿にその旨を記載します(弁護士記章規則10条1項)。

9 弁護士バッジの実物の写真が日弁連のパンフレット「ひまわりはあなたのために咲いています」に載っています。

弁護士の登録関係手続に関する不服申立て方法

1 日弁連への審査請求
(1) 弁護士名簿への登録又は登録換えの請求をした者は,入会しようとする弁護士会によってその進達を拒絶されたときは,日弁連に対し,行政不服審査法による審査請求をすることができます。
請求後3ヶ月を経ても弁護士会がその進達をしないときも,進達を拒絶されたものとみなして,同様に審査請求をすることができます(弁護士法12条4項)。
日弁連はこの審査請求については資格審査会の審査に付して(日弁連会則65条2項),その議決に基づいて裁決を行います(弁護士法12条の2)。
(2) 弁護士会による登録取消しの請求があった場合,対象となった弁護士は,その通知を受けた日の翌日から起算して60日以内に,日弁連に対し,異議を申し出ることができます(弁護士法14条1項)。
日弁連は,異議の申出を受けた場合,資格審査会の議決に基き,その申出に理由があると認めるときは,弁護士会に登録取消の請求を差し戻し,その申出に理由がないと認めるときは,これを棄却します(弁護士法14条2項)。
(3) 日弁連がした処分については,行政不服審査法による不服申立てはできません(弁護士法49条の3)。

2 訴えの提起
(1) ①日弁連に対する不服申立が却下・棄却された者,又は②弁護士会から登録又は登録換えの請求の進達をされたにもかかわらず日弁連によってこれを拒絶された者は,その取消しを求めて,東京高等裁判所に対して訴えを提起できます(弁護士法16条1項)。
不服申立て後,又は進達後,日弁連において3ヶ月を経ても結論が出ないときは,同様に否定されたものとみなして,東京高等裁判所に対して訴えを提起できます(弁護士法16条2項)。
(2) 登録又は登録換えの請求の進達の拒絶に関しては,これについての日弁連の裁決に対してのみ,取消しの訴えを提起することができます(弁護士法16条3項)。

弁護士登録の取消し

1 弁護士登録の取消しは,以下の事由により発生します。
① 弁護士本人の請求によるもの(弁護士法17条2号・11条)
・ 弁護士がその業務をやめようとするときは,所属弁護士会を経由して,日弁連に対し,弁護士名簿登録取消請求書を提出する必要があります(弁護士法11条,日弁連会則22条)。
ただし,登録換えの場合と同様,懲戒の手続に付されている弁護士は,その手続が結了するまで登録取消しの請求ができません(弁護士法62条1項)。
② 客観的事実の発生によるもの(弁護士法17条1号,4号)
・ (a)禁固以上の刑に処せられた場合(弁護士法7条1号・17条4号)なり,(b)弁護士が死亡した場合(弁護士法17条4号)なりがあります。
③ 懲戒処分によるもの(弁護士法17条3号の退会命令及び除名の場合)
④ 弁護士会からの請求によるもの(弁護士法17条3号・13条)
・ 弁護士が,登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由について虚偽の申告をしていたことが判明したときは,弁護士会は,資格審査会の議決に基づき,日弁連に対し,登録取消しの請求をすることができます。
その趣旨は,弁護士会がその事実を知っていれば,本来,登録又は登録換えの請求の進達を拒絶していたであろうと思われる場合について,事後的に登録の取消し請求をすることを認める点にあります。

2 弁護士会は,所属の弁護士に弁護士名簿の登録取消の事由があると認めるときは,日本弁護士連合会に,すみやかに,その旨を報告する必要があります(弁護士法18条)。
具体的には,登録取扱規則所定の,「弁護士名簿登録取消し事由報告書」(「死亡」の場合と,「その他」の場合があります。)を提出します。

弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由,及び資格審査会

1  弁護士の登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由
(1) 弁護士会は,日弁連に対する登録又は登録換えの請求を受けても,その会の会員として,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれのある者については,その進達を拒絶することができます(弁護士法12条)。
また,日弁連は,弁護士会から登録又は登録換えの請求の進達を受けても,独自に登録又は登録換えを拒絶することができます(弁護士法15条)。
(2) 登録及び登録換えの請求の進達拒絶事由は以下のとおりです(弁護士業務ハンドブック(平成24年)12頁及び13頁参照)。
① 弁護士会の秩序又は信用を害するおそれがある者(弁護士法12条1項前段)
・ 弁護士となる資格を有する者でも,刑事事件又は懲戒処分の有無にかかわらず,著しい非行があった者,非弁護士活動をしていた者,登録請求前の勤務先や登録請求前の弁護士会において非行や紛議があった者等が,これに該当する可能性があります。
・ 禁固以上の刑に処せられたが,執行猶予期間の満了によって弁護士となる資格となる回復した者であっても,その犯罪事実が弁護士業務に関連する非行である場合,事案の性格,執行猶予期間満了後の事情等を考慮されて,直ちに登録が認められる例は少ないです。
これらの場合,弁護士会の指導監督に服することが期待できず,弁護士会の信用をも害することが予想されるからです。
・ 登録の請求の進達を求める者について,弁護士会の統制を乱すおそれがある場合,著しい非行がある場合,その者の入会によって一般会員の体面を損なうおそれがある場合その他あらゆる事由が,審査の対象となりえます(東京高裁平成3年9月4日判決)。
② 心身に故障があって,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者(弁護士法12条1項後段1号)
・ 精神的又は身体的な機能の欠陥が,依頼者又は裁判所等に対する弁護士としての職責を全うできない程度に著しい場合をいいます。
・ 適当な介添人を付するなどして身体的障害を補える場合,12条1項後段1号に該当しません(東京高裁昭和53年2月21日判決参照)。
③ 懲戒の処分によって除名等された者が,その処分を受けた日から3年を経過して請求したときに,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者(弁護士法12条1項後段2号)
・ これらの懲戒処分を受けた者は,3年を経過するまでは弁護士となる資格がない(弁護士法7条3号)ところ,その期間経過後でも処分の理由となった事案の性格,処分後の事情等によって,依然として弁護士の職務を行わせることがふさわしくない場合,進達を拒絶されます。
④ 登録又は登録換えの請求前1年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であった者で,その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠くおそれがある者(弁護士法12条2項)
・ これは,主として裁判官,検察官がその勤務地において相当な社会的知名度を得てから辞職し,直ちに弁護士を開業して,その在官当時の影響力を不当に利用したりすることがないように配慮したものであり,弁護士としての職務の公正さを保持しようとするとともに,公務員の在官中の職務の公正さを担保しようとするものです。
(3) 弁護士会は,弁護士法に基づいて,国の機関の指揮及び監督を受けることなく(同法第3章,第5章,第7章,第8章参照),弁護士等に対する指導及び監督等に関する事務を行う法人であり,弁護士会の資格審査会は,弁護士名簿登録請求の進達拒絶という公権力の行使に関わる機関として弁護士法によって設置されたものであるところ,弁護士会の会長は同会の代表者であり(同法35条1項),また,資格審査会の会長は同資格審査会の会務を総理する者であって(同法54条1項),いずれも刑法その他の罰則の適用については法令により公務に従事する職員とみなされていること(同法35条3項,54条2項)を併せ考えると,弁護士会の会長及び弁護士会の資格審査会の会長として弁護士名簿登録請求の進達拒絶に関与する行為は,国家賠償法1条1項にいう「公共団体の公権力の行使にあたる公務員」としての行為に該当すると解されています(大阪高裁平成22年5月12日判決)。
そのため,弁護士会の会長及び弁護士会の資格審査会の会長は個人として不法行為責任を負うことはないと解されています(大阪高裁平成22年5月12日判決。なお,公務員個人が不法行為責任を負わないことに関する最高裁昭和30年4月19日判決最高裁昭和53年10月20日判決参照)。

2 資格審査会
(1) ①進達の拒絶,②請求の拒絶又は③弁護士会による登録取消しの請求をする場合,当該弁護士会又は日弁連は,資格審査会の議決に基づいてする必要があります(弁護士法12条1項,13条1項,15条1項)。
この場合,速やかに本人にその旨及び理由を書面により通知されます(弁護士法12条3項,13条2項及び15条2項)。
(2) 大阪弁護士会資格審査会については,大阪弁護士会資格審査手続規程(会規第38号)で定められています。
(3) 日弁連資格審査会については,資格審査手続規程で定められています。
(4) 資格審査会の委員は,弁護士,裁判官,検察官及び学識経験のある者の中から,それぞれ日弁連又は弁護士会の会長が委嘱します(弁護士法52条3項前段)。
この場合,①裁判官又は検察官である委員はその地の高等裁判所若しくは地方裁判所又は高等検察庁検事長若しくは地方検察庁検事正の推薦に基づき,②その他の委員は総会の決議に基づき,委嘱する必要があります(弁護士法52条3項後段)。
ただし,任期が2年であること(弁護士法52条4項)とあいまって,予備委員の選任(弁護士法53条)も含めて,毎年5月の定時総会決議において,選任に関する事項は理事会又は常議員会に白紙委任されています。