目次
1 各地の弁護士会
2 弁護士会の目的
3 東京三弁護士会
4 ひまわり基金法律事務所及び都市型公設事務所
5 強制加入団体としての弁護士会の活動範囲に関する参考裁判例
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1 各地の弁護士会
(1) 各地の弁護士会につき,日弁連HPの「弁護士会・弁護士会連合会紹介ページ」を参照して下さい。
(2) 各地の弁護士会の会長及び副会長の住所は,弁護士会の法人登記簿に載っています(弁護士法34条2項4号)。
(3) 弁護士会又は日弁連の登記については,商業登記法の規定が準用されます(弁護士会登記令15条)。
2 弁護士会の目的
(1) 弁護士会は,弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ,その品位を保持し,弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため,弁護士及び弁護士法人の指導,連絡及び監督に関する事務を行うことを目的としています(弁護士法31条1項)。
(2) 弁護士の「品位を保持」するための「指導」,「監督」としては,綱紀・懲戒,紛議調停等があります。
弁護士の「事務の改善進歩を図る」ための「指導」,「連絡」としては,弁護士向けの研修があります(第二東京弁護士会HPの「弁護士会について」参照)。
【事例】
・底地買取交渉
・着手金22万円、追加着手金なし、の規定
・報酬は、経済的利益に加え、事務処理量を勘案して協議
・買取交渉は失敗し、借地契約は法定更新
・弁護士は労力を考慮して10万円の報酬請求
・依頼者は、買取交渉が失敗したのに報酬が発生することは不服として紛議調停へ
(2/4)— すずカステラ (@suzuka63) July 9, 2022
3 東京三弁護士会
(1)ア 大正11年,東京弁護士会の会長選挙を巡って紛争が生じ,当時の東京弁護士会を脱会した385名の弁護士によって,大正12年5月,第一東京弁護士会が設立されました。
また,東京弁護士会又は第一東京弁護士会から脱退した176名の弁護士によって,大正15年3月,第二東京弁護士会が設立されました(職業史としての弁護士および弁護士団体の歴史93頁及び94頁。なお,第二東京弁護士会HPの「弁護士会について」参照)。
イ 河野真樹の弁護士観察日記HPの「なぜ東京に三つの弁護士会?」に以下の記載があります。
経緯はこういうことです。もともと一つだった東京弁護士会(東弁)では、明治12年(1879年)以降、小会派連合で多数派の桃李倶楽部が会の役員を統一候補として決定する支配体制を確立していました。これに対し、大正2年(1913年)、少壮の若手弁護士たちが立ち上がり、その後の対立期を経て、大正11年(1922年)、桃李倶楽部の長老派が推す岩田宙造に対し、少壮派の新緑会などが推した乾政彦がついに当選、これを機に長老一派が分裂に動いたのです。
長老派の働きかけで出された100人の同意で、新弁護士会を立ち上げられるとする法案は、日本弁護士協会が反対するなか成立、大正12年(1923年)、原嘉道ら384人が脱会し、第一東京弁護士会(一弁)を設立しました。その後、桃李倶楽部の東明会と新緑会の脱会組の真野毅、海野晋吉、第一東京弁護士会の知新会のメンバーが東明会の仁井田益太郎の呼びかけで、大正15年(1926年)に第二東京弁護士会(二弁)を立ち上げました。
ウ 第一東京弁護士会HPの「理念と歴史」には,「第一東京弁護士会は、1923年(大正12年)5月8日に創立され」と書いてあります。
(2) 第二東京弁護士会HPに「二弁のあゆみ」が載っています。
(3) 東京三弁護士会は,「弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設立しなければならない。」とする弁護士法32条の例外であって(弁護士法89条1項),何時でも合併又は解散することができます(弁護士法89条2項)。
(4) 東京三弁護士会の合併を訴える任意団体として,「二弁設立の趣旨を守る会」(代表は道本幸伸弁護士(二弁))があります(合併.comの「「二弁設立の趣旨を守る会」ニュース」参照)。
(5) 弁護士法人かごしま上山法律事務所ブログに「東京3会 統合の夢」(平成30年3月7日付)が載っています。
(6) 東京弁護士会のLIBRAは平成13年1月創刊であって,それ以前は毎月1回発行の「東弁新聞」(昭和50年7月創刊)でした(東弁リブラ2011年7月号の「お薦めの一冊 「東弁新聞 縮刷版」 東弁の歴史が見える」参照)。
4 ひまわり基金法律事務所及び都市型公設事務所
(1) 平成30年10月1日現在,44のひまわり基金法律事務所が運営されています(日弁連HPの「ひまわり基金法律事務所(公設事務所)の概要と紹介」参照)。
(2) 平成28年10月1日現在,全国で13の都市型公設事務所が,弁護士会又は弁護士会連合会の支援により設置,運営されています(弁護士白書2016の「3 弁護士会等の支援による公設事務所(都市型公設事務所)の設置状況」参照)。
5 強制加入団体としての弁護士会の活動範囲に関する参考裁判例
(1) 税理士会が政党など規正法上の政治団体に金員の寄付をすることは,たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する政治的要求を実現するためのものであっても,税理士法49条2項で定められた税理士会の目的の範囲外の行為であり,右寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の決議は無効です(最高裁平成8年3月19日判決(南九州税理士会事件判決))。
そのため,同じく強制加入団体である弁護士会が政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をすることはできないと思います。
(2) 司法書士会は,司法書士の品位を保持し,その業務の改善進歩を図るため,会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とするものであるが(司法書士法14条2項),その目的を遂行する上で直接又は間接に必要な範囲で,他の司法書士会との間で業務その他について提携,協力,援助等をすることもその活動範囲に含まれます(最高裁平成14年4月25日判決(群馬司法書士会事件判決))。
そのため,同じく強制加入団体である弁護士会が他の弁護士会との間で業務その他について提携,協力,援助等をすることもその活動範囲に含まれると思います。