弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文


○弁護士職務基本規程82条2項は「第一章並びに第二十条から第二十二条まで、第二十六条、第三十三条、第三十七条第二項、第四十六条から 第四十八条まで、第五十条、第五十五条、第五十九条、第六十一条、第六十八条、第七十条、第七十三条及び 第七十四条の規定は、弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めたものとして解釈し適用しなければならない。」と定めています。
そのため,これらの条文に形式的に違反する行為があったとしても,それによって直ちに懲戒の事由と判断されるものではなく,弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行があったとき」として評価されるかどうかの判断の一要素となるに過ぎません。
○該当する条文の中身は以下のとおりです。

第一章 基本倫理 
(使命の自覚)
第一条 弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。
(自由と独立)
 第二条 弁護士は、職務の自由と独立を重んじる。
 (弁護士自治)
 第三条 弁護士は、弁護士自治の意義を自覚し、その維持発展に努める。
 (司法独立の擁護)
 第四条 弁護士は司法の独立を擁護し司法制度の健全な発展に寄与するように努める
(信義誠実)
 第五条 弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする。
 (名誉と信用)
 第六条 弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める。
 (研鑽)
 第七条 弁護士は、教養を深め、法令及び法律事務に精通するため、研鑽に努める。
 (公益活動の実践)
 第八条 弁護士は、その使命にふさわしい公益活動に参加し、実践するように努める。
(依頼者との関係における自由と独立)
第二十条 弁護士は、事件の受任及び処理に当たり、自由かつ独立の立場を保持するように努める。
(正当な利益の実現)
第二十一条 弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように 努める。
(依頼者の意思の尊重)
第二十二条 弁護士は、委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うも のとする。
2 弁護士は、依頼者が疾病その他の事情のためその意思を十分に表明できないときは、適切な方法を講じて依頼者の意思の 確認に努める。
(依頼者との紛議)
 第二十六条 弁護士は、依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め、紛議が生じたときは、所属弁護士会の 紛議調停で解決するように努める。
(法律扶助制度等の説明)
 第三十三条 弁護士は、依頼者に対し、事案に応じ、法律扶助制度、訴訟救助制度 その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、裁判を受ける権利が 保障されるように努める。
(法令等の調査)
 第三十七条 (1項は対象外)
2 弁護士は事件の処理に当たり必要かつ可能な事実関係の調査を行うように努める。
(刑事弁護の心構え)
 第四十六条 弁護士は、被疑者及び被告人の防御権が保障されていることにかんがみ、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努める。
 (接見の確保と身体拘束からの解放)
 第四十七条 弁護士は、身体の拘束を受けている被疑者及び被告人について、必要な接見の機会の確保及び身体拘束からの解放に努める。
(防御権の説明等)
 第四十八条 弁護士は、被疑者及び被告人に対し、黙秘権その他の防御権について適切な説明及び助言を行い、防御権及び弁護権に対する違法又は不当な制限に対し、 必要な対抗措置をとるように努める。
(自由と独立)
 第五十条 官公署又は公私の団体(弁護士法人を除く。以下これらを合わせて「組織」という)において職員若しくは使用人となり、 又は取締役、理事その他の役員となっている弁護士(以下「組織内弁護士」という)は、弁護士の使命及び弁護士の本質である自由と 独立を自覚し、良心に従って職務を行うように努める。
(遵守のための措置)
 第五十五条 複数の弁護士が法律事務所(弁護士法人の法律事務所である場合を除く)を共にする場合(以下この法律事務所を「共同 事務所」という)において、その共同事務所に所属する弁護士(以下「所属弁護士」という)を監督する権限のある弁護士は、所属 弁護士がこの規程を遵守するための必要な措置をとるように努める。
(事件情報の記録等)
 第五十九条 所属弁護士は、職務を行い得ない事件の受任を防止するため、他の所属弁護士と共同して、取扱い事件の依頼者、相手方及 び事件名の記録その他の措置をとるように努める。
(遵守のための措置)
 第六十一条 弁護士法人の社員である弁護士は、その弁護士法人の社員又は使用人である弁護士(以下「社員等」という)及び使用人で ある外国法事務弁護士がこの規程を遵守するための必要な措置をとるように努める。
(事件情報の記録等)
 第六十八条 弁護士法人は、その業務が制限されている事件を受任すること及びその社員等若しくは使用人である外国法事務弁護士が 職務を行い得ない事件を受任することを防止するため、その弁護士法人、社員等及び使用人である外国法事務弁護士の取扱い事件の 依頼者、相手方及び事件名の記録その他の措置をとるように努める。
(名誉の尊重)
 第七十条 弁護士は他の弁護士、弁護士法人及び外国法事務弁護士(以下弁護士等という)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。
(弁護士間の紛議)
 第七十三条 弁護士は、他の弁護士等との間の紛議については、協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努める。
(裁判の公正と適正手続)
 第七十四条 弁護士は、裁判の公正及び適正手続の実現に努める。


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