個人型確定拠出年金(iDeCo)

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目次
1 総論
2 国民年金基金と共通するメリット
3 国民年金基金にはないメリット
4 掛金の取扱い
5 必要な費用
6 確定拠出年金の受給方法
7 昭和63年改正前の証券投資税制
8 投資助言・代理業
9 関連記事その他

1 総論
(1) 個人型確定拠出年金(愛称は「iDeCo」です。)は,確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。
(2)ア 平成29年1月から,基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が加入できるようになりました。
イ 令和5年5月以降,国民年金への任意加入をしている第1号被保険者は,65歳までの間,個人型確定拠出年金に任意加入できるようになります(auカブコム証券HP「iDeCoが新しくなる!加入年齢が65歳まで延長に」(2020年9月18日付)参照)。
(3) 個人型確定拠出年金に加入する場合,金融機関,保険会社等の運営管理機関経由で加入手続をします。
(4) 公式の説明として以下のHPがあります。
① iDeCo公式サイト「iDecoってなに?」
② 厚生労働省HP「iDecoの概要」


2 国民年金基金と共通するメリット
・ 個人型確定拠出年金の場合,国民年金基金と同様に以下のメリットがあります。
① 毎月の掛金が所得控除の対象になります。
② 年金として受け取る場合,公的年金等控除の対象となります(一時金として受け取る場合,退職所得控除の対象となります。)。

3 国民年金基金にはないメリット
(1) 個人型確定拠出年金の場合,国民年金基金と異なり以下のメリットがあります。
① 個人単位の運用であるため,新規加入者であることを理由に不利に取り扱われることはありません。
② 自分以外の加入者の運用失敗等に起因する繰越不足金の問題はありません。
③ 自分の運用次第で年金受取金額を増やすことができますし,インフレリスクに対応することができます。
④ 10年以上加入した後に60歳になれば,一時金としてまとめて引き出すことができます(年金として分割払いで受け取ることもできます。)。
(2) 自分の運用次第では年金受取金額が掛金全額を下回ることがあります。
   ただし,国民年金基金の平成31年4月改定の基本ポートフォリオは,グローバル債券が52%であり,グローバル株式が48%です(国民年金基金HP「資産運用状況」参照)から,国民年金基金も結構,ハイリスクハイリターンな運用をしていると思います。
(3) 通算拠出期間が3年を超えるか,又は個人別管理資産が25万円を超えた場合,それだけで60歳未満で脱退一時金を請求することはできなくなります(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(4) マネーの達人HP「国民年金基金の合併の背景にある「古参が得で新参が損」という構造」(平成28年8月3日付)には以下の記載があります。
   現在は平成の初めの頃のように、高い予定利率は期待できない時代ですから、新参にとっては好むと好まざるとにかかわらず、国民年金基金より個人型の確定拠出年金の方が老後資金作りの有力な選択肢になると思うのです。


 掛金の取扱い
(1)ア 国民年金基金の掛金の場合,国民健康保険料と同様に社会保険料控除として,生計を同一にする配偶者やその他親族の分の掛金も所得控除の対象となります(国税庁HPの「No.1130 社会保険料控除」参照)。
イ 個人型確定拠出年金の掛金の場合,小規模企業共済等掛金控除として,自分の分の掛金しか所得控除の対象となりません(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(2) 個人型確定拠出年金の掛金の変更は,国民年金基金の掛金と同様に,年に1回,可能です(iDeCo公式サイト「加入者の方へ」参照)。
(3) 日本弁護士国民年金基金HP「個人型確定拠出年金」に以下の記載があります。
   個人型確定拠出年金に、2002年(平成14年)1月4日から加入できることとなりました。確定拠出年金には、労使合意に基づく企業拠出による「企業型」と、加入者個人の拠出による「個人型」があります。60歳未満の自由業・自営業者等は、月額6万8000円(年額81万6000円)から国民年金基金等の掛け金を控除して残額がある場合、この残額を拠出限度額として、個人型に加入することができます。


5 必要な費用
(1) 確定拠出年金に係る手数料は以下の5種類です(りそな銀行HPの「いくらかかる? なぜかかる? 確定拠出年金の手数料」参照)。
① 加入時・移管時手数料
② 口座管理手数料
③ 給付事務手数料
④ 還付事務手数料
⑤ 信託報酬
(2) iDecoナビの「商品によって手数料が違うけど、何を参考にすればよいの?」に,信託報酬ランキングが載っています。

6 確定拠出年金の受給方法
(1) 企業年金連合会HP「確定拠出年金統計資料(2002年3月末~2018年3月末)」が載っています。
    リンク先の4頁及び11頁によれば,2018年3月末時点における5万8742人の老齢給付金の受給者のうち,2万2141人が年金方式を選択し,5万6444人が一時金方式を選択していますから,併給者を含めた場合,約96%の人が一時金方式を選択していることになります。
(2) 確定拠出年金を受給する場合,以下の3点を気にした方がいいみたいです(ZUU online「確定拠出年金の「ベスト」な受け取り方 年金、一時払いどっち?」参照)。
① 退職金を年金で受け取る場合,想定運用利回りは実勢金利よりどれぐらいいいか。
② 確定拠出年金内で運用を続けた場合,税制面及び運用商品の手数料等でどのようなメリットがあるか。
③ 退職所得控除を最も無駄なく利用するためにはどうしたらいいか。
(3)ア 退職所得の金額は,原則として以下のとおり計算式されます(国税庁HPのタックスアンサーの「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」参照)。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
イ 他の所得と分離して,退職所得の金額に所得税率を掛けることで所得税及び特別復興所得税が算出されます(国税庁HPの「退職金と税」参照)。

7 昭和63年改正前の証券投資
・ 最高裁昭和59年3月16日判決は,昭和63年12月30日法律第109号及び関連政令による改正前の証券投資税制について以下のとおり判示しています(年間の売買回数が49回以下であり,かつ,売買をした株数が20万株未満の場合,一律に非課税所得となっていました。)
    所得税法九条一項一一号イは、有価証券の譲渡による所得のうち非課税とされない所得として「継続して有価証券を売買することによる所得として政令で定めるもの」と規定し、これを受けた所得税法施行令二六条は、一項において「法第九条第一項第十一号イ(非課税所得)に規定する政令で定める所得は、有価証券の売買を行なう者の最近における有価証券の売買の回数、数量又は金額、その売買についての取引の種類及び資金の調達方法、その売買のための施設その他の状況に照らし、営利を目的とした継続的行為と認められる取引から生じた所得とする。」と規定し、二項において「前項の場合において、同項に規定する者のその年中における株式又は出資の売買が次の各号に掲げる要件に該当するときは、その他の同項に規定する取引に関する状況がどうであるかを問わず、その者の有価証券の売買による所得は、同項の規定に該当する所得とする。一 その売買の回数が五十回以上であること。二 その売買をした株数又は口数の合計が二十万以上であること。」と規定している。


8 投資助言・代理業
(1)ア 投資助言業とは,投資顧問契約を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うことをいいます(金融商品取引法2条8項11号)。
イ 代理業とは,投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介をいいます(金融商品取引法2条8項13号)。
ウ 一般社団法人日本投資顧問業協会(JIAA)HP「投資運用業および投資助言・代理業入門」が載っています。
(2)ア 投資顧問契約とは,有価証券の価値等又は金融商品の価値等に関して,口頭、文書(新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除く。)その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約をいいます(金融商品取引法2条8項11号)。
イ 投資一任契約とは,当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約をいいます(金融商品取引法2条8項12号ロ)。
(3) 投資助言業務(金融商品取引法29条の2第6項)を営むためには,投資助言・代理業に関する財務局長又は財務支局長の登録を受ける必要があります(金融商品取引法29条の2第3項・29条並びに194条の7第1項及び同条第6項)。
(4) 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の「VII. 監督上の評価項目と諸手続(投資助言・代理業)」には「② 投資助言・代理業に該当しない行為」として以下の記載があります。
イ. 不特定多数の者を対象として、不特定多数の者が随時に購入可能な方法により、有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断(以下「投資情報等」という。)を提供する行為
    例えば、以下aからcまでに掲げる方法により、投資情報等の提供を行う者については、投資助言・代理業の登録を要しない。
    ただし、例えば、不特定多数の者を対象にする場合でも、インターネット等の情報通信技術を利用することにより個別・相対性の高い投資情報等を提供する場合や、会員登録等を行わないと投資情報等を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)ような場合には登録が必要となることに十分に留意するものとする。
a. 新聞、雑誌、書籍等の販売
(注)一般の書店、売店等の店頭に陳列され、誰でも、いつでも自由に内容をみて判断して購入できる状態にある場合。一方で、直接業者等に申し込まないと購入できないレポート等の販売等に当たっては、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。
b. 投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売
(注)販売店による店頭販売や、ネットワークを経由したダウンロード販売等により、誰でも、いつでも自由にコンピュータソフトウェアの投資分析アルゴリズム・その他機能等から判断して、当該ソフトウェアを購入できる状態にある場合。一方で、当該ソフトウェアの利用に当たり、販売業者等から継続的に投資情報等に係るデータ・その他サポート等の提供を受ける必要がある場合には、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。
c. 金融商品の価値等について助言する行為
(注)有価証券以外の金融商品について、単にその価値やオプションの対価の額、指標の動向について助言し、その分析に基づく投資判断についての助言を行っていない場合、又は報酬を支払うことを約する契約を締結していない場合には、当該行為は投資助言業には該当しない。
    例えば、単に今年の日本の冬の平均気温について助言するのみでは、投資助言業には該当しない。
(5)ア 投資系YouTuberが個別銘柄を推奨した場合であっても,利用者との関係では無償であって,もっぱら広告収入を目的として助言を提供するのであれば,不特定手数の者を相手方とし,かつ,相手方からの報酬の支払がないわけですから,投資助言・代理業の登録は不要です。
    そのため,投資系YouTuberの「投資は自己責任」という発言につき,何らかの法律上の規制に基づくわけではないと思います。
イ 有償の会員制のオンラインサロンにおいて個別銘柄を推奨する場合,不特定多数の者が随時にその推奨情報を購入できるわけではありませんから,投資助言・代理業の登録が必要です。
(6) 投資助言業務に関して顧客の損失の全部又は一部を補てんすることは禁止されています(金融商品取引法41条の2第5号)。
(7) 平成19年9月30日までは,有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(昭和61年5月27日法律第74号)に基づく規制がされていました。


9 関連記事その他
(1) 弁護士法人栄光 栄光綜合法律事務所HP「iDeCo(個人型確定拠出年金制度)」が参考になります。
(2) 一般社団法人投資信託協会HP「確定拠出年金(個人型・企業型)のQ&A」には以下の記載があります。
    自営業の人はiDeCoと国民年金基金は併用が可能です。ただし、毎月拠出できる掛金の上限額はiDeCoと国民年金基金の両方を合計して月額6万8000円までとなっています。iDeCoが運用商品を自分で選び、その運用成績によって給付額が変動するのに対し、国民年金基金は自分が運用の指図をすることはなく、掛金に応じて給付額が決まっています。「自分の手で増やしたい」という人にはiDeCoが向いています。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 日本弁護士国民年金基金
・ 日本弁護士国民年金基金の年金月額を3万円とするための掛金額の推移
・ 国民年金基金及び確定拠出年金に関する国会答弁
・ 弁護士の社会保険



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