交通事故

取扱者カード交付要領(大阪府警察)→交通事故の報告等をした際に交付されるもの

取扱者カード交付要領(大阪府警察)は以下のとおりです。大阪府警察に対し,遺失の届出,被害の届出,交通事故の報告,警察相談又は行方不明者の届出をしたときに交付されるカードの様式等を定めています。

取扱者カード交付要領

第1 趣旨
   この要領は、府民等からの届出等を受理した際の、届出人等に対する取扱者カード(以下「カー
ド」という。)の交付に関し必要な事項を定めるものとする。
第2 カードの交付の目的
   カードの交付は、届出等を受理した者が届出人等に対して自己の所属及び姓、事後の問合せ先等を記載したカードを交付することにより、当該届出等を受理した者の責任の明確化及び行政サービスの向上を図ることを目的とする。
第3 カードの交付
   職員は、次に掲げる届出等を受理したとき(面接して受理したときに限る。)は、それぞれに定
めるカードに所定の事項を記入した上、届出人等に交付するものとする。ただし、当該届出等が粗
野又は乱暴な言動により不穏に行われた場合、カードを交付することにより今後の正常な業務が阻
害され、又は自己に危害が及ぶことが予想される場合等特別な事情があると認めるときは、カード
を交付しないことができる。
(1) 遺失の届出別記様式の(その1)
(2) 被害の届出別記様式の(その2)
(3) 交通事故の報告別記様式の(その3)
(4) 警察相談(警察署地域課員(大阪水上警察署及び関西空港警察署にあっては、地域交通課
員(交通係員を除く。) )が、交番、駐在所等において口頭によって受理した警察相談のうち、
現場等で措置を講じ、かつ、完結したものを除く。) 別記様式の(その4)
(5) 行方不明者の届出別記様式の(その5)
第4 カードの備付け等
   所属長は、必要なカードを届出等の受理の窓口、交番等に備え付けるとともに、庁外においても
カードを交付することができるよう、必要に応じて職員にカードを配布し、携帯させるものとする。
第5 留意事項
1 カードの交付の目的を考盧し、届出人等が受領を拒否したときは、無理にカードを交付する必
要はない。
2 カードは警察証明事務取扱要領(昭和41年1月18日例規(務・会・庶・交総)第5号)により発行する警察証明等ではないので、カードを交付する際(警察相談を受理したときに交付する場合を除く。) 、証明書としては使えない旨を説明すること。

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通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

目次
第1 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
・ 平成30年
懲役・禁錮1352人(うち,全部執行猶予は1277人であり,執行猶予率は95.5%),罰金は8人,無罪は4人,その他は7人
・ 平成29年
懲役・禁錮1339人(うち,全部執行猶予は1261人であり,執行猶予率は95.0%),罰金は11人,無罪は4人,その他は5人
・ 平成28年
懲役・禁錮1468人(うち,執行猶予は1390人であり,執行猶予率は95.4%),罰金は14人,無罪は5人,その他は7人
・ 平成27年
懲役・禁錮1439人(うち,執行猶予は1351人であり,執行猶予率は94.3%),罰金は26人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成26年
懲役・禁錮1496人(うち,執行猶予は1395人であり,執行猶予率は94.1%),罰金は20人,無罪は5人,その他は13人
・ 平成25年
懲役・禁錮1611人(うち,執行猶予は1447人であり,執行猶予率は91.2%),罰金は11人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成24年
懲役・禁錮1658人(うち,執行猶予は1496人であり,執行猶予率は92.2%),罰金は14人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成23年
懲役・禁錮1726人(うち,執行猶予は1568人であり,執行猶予率は92.3%),罰金は11人,無罪は7人,その他は19人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表144→図表139がデータの出典です。
2(1) 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
(2) 「その他」は,公訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等です。
3(1) 過失運転致死罪につき,平成30年の場合,正式裁判(通常第一審と同じです。)の対象人員が1359人であり,略式手続の対象人員が847人です(合計で2206人)から,約38%が略式手続の対象人員となっています。
(2) 裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断49頁及び50頁には「致死事件においては、示談成立・遺族の宥恕が公判請求・略式処理の分水嶺となる、かなり重要な考慮事情となっていると思われ、その意味で積極的に宥恕等を得るとの起訴前弁護活動が重要であることが指摘できよう。」と書いてあります。
4 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)

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略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布

目次
第1 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
第2 関連記事その他

第1 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
・ 平成30年
罰金844人(うち,100万円は59人,50万円以上は476人,30万円以上は171人,20万円以上は110人,10万円以上は28人),略式不能等は3人
・ 平成29年
罰金932人(うち,100万円は58人,50万円以上は550人,30万円以上は185人,20万円以上は109人,10万円以上は30人),略式不能等は2人
・ 平成28年
罰金920人(うち,100万円は71人,50万円以上は511人,30万円以上は183人,20万円以上は120人,10万円以上は35人),略式不能等は3人
・ 平成27年
罰金1055人(うち,100万円は52人,50万円以上は596人,30万円以上は229人,20万円以上は144人,10万円以上は28人,5万円以上は1人),略式不能等は5人
・ 平成26年
罰金1080人(うち,100万円は74人,50万円以上は599人,30万円以上は232人,20万円以上は135人,10万円以上は38人),略式不能等は2人
・ 平成25年
罰金1204人(うち,100万円は92人,50万円以上は668人,30万円以上は255人,20万円以上は151人,10万円以上は35人),略式不能等は1人
・ 平成24年
罰金1192人(うち,100万円は76人,50万円以上は632人,30万円以上は302人,20万円以上は151人,10万円以上は31人),略式不能等は3人
・ 平成23年
罰金1357人(うち,100万円は97人,50万円以上は738人,30万円以上は326人,20万円以上は167人,10万円以上は29人),略式不能等は4人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表145→図表140がデータの出典です。
2(1) 過失運転致死罪につき,平成30年の場合,正式裁判(通常第一審と同じです。)の対象人員が1359人であり,略式手続の対象人員が847人です(合計で2206人)から,約38%が略式手続の対象人員となっています。
(2) 裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断49頁及び50頁には「致死事件においては、示談成立・遺族の宥恕が公判請求・略式処理の分水嶺となる、かなり重要な考慮事情となっていると思われ、その意味で積極的に宥恕等を得るとの起訴前弁護活動が重要であることが指摘できよう。」と書いてあります。
3 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

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略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

目次
第1 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布
第2 関連記事その他

・ 平成30年
罰金4万1214人(うち,100万円は41人,50万円以上は6979人,30万円以上は1万5245人,20万円以上は8659人,10万円以上は1万264人,5万円以上は16人,3万円以上は0人,1万円以上は1人),略式不能等は9人
・ 平成29年
罰金4万3480人(うち,100万円は54人,50万円以上は7140人,30万円以上は1万5958人,20万円以上は9326人,10万円以上は1万966人,5万円以上は35人,3万円以上は1人),略式不能等は13人
・ 平成28年
罰金4万5019人(うち,100万円は43人,50万円以上は7034人,30万円以上は1万6365人,20万円以上は9642人,10万円以上は1万1910人,5万円以上は23人,3万円以上は2人),略式不能等は10人
・ 平成27年
罰金4万6224人(うち,100万円は56人,50万円以上は7057人,30万円以上は1万6658人,20万円以上は1万123人,10万円以上は1万2305人,5万円以上は24人,3万円以上は1人,1万円以上は0人,1万円未満は0人),略式不能等は15人
・ 平成26年
罰金4万7913人(うち,100万円は61人,50万円以上は7119人,30万円以上は1万6959人,20万円以上は1万584人,10万円以上は1万3178人,5万円以上は11人,3万円以上は0人,1万円以上は1人,1万円未満は0人),略式不能等は11人
・ 平成25年
罰金5万392人(うち,100万円は54人,50万円以上は7531人,30万円以上は1万7717人,20万円以上は1万969人,10万円以上は1万4104人,5万円以上は16人,3万年以上は0人,1万円以上は0人,1万円未満は1人),略式不能等は11人
・ 平成24年
罰金5万2248人(うち,100万円は60人,50万円以上は7575人,30万円以上は1万8359人,20万円以上は1万1494人,10万円以上は1万4742人,5万円以上は14人,3万円以上は2人,1万円以上は2人,1万円未満は0人),略式不能等は9人
・ 平成23年
罰金5万3485人(うち,100万円は54人,50万円以上は7607人,30万円以上は1万8468人,20万円以上は1万1964人,10万円以上は1万5363人,5万円以上は24人,3万円以上は2人,1万円以上は3人,1万円未満は0人),略式不能等は16人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表145→図表140がデータの出典です。
2 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
④ 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
⑤ 略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布
⑥ 略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

目次
第1 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)
・ 平成30年
懲役・禁錮2744人(うち,全部執行猶予は2584人であり,執行猶予率は98.6%),罰金は121人,無罪は2人,その他は53人
・ 平成29年
懲役・禁錮2836人(うち,全部執行猶予は2646人であり,執行猶予率は98.7%),罰金は154人,無罪は3人,その他は57人
・ 平成28年
懲役・禁錮2717人(うち,執行猶予は2654人であり,執行猶予率は97.8%),罰金は117人,無罪は8人,その他は65人
・ 平成27年
懲役・禁錮2821人(うち,執行猶予は2735人であり,執行猶予率は97.0%),罰金は169人,無罪は6人,その他は56人
・ 平成26年
懲役・禁錮3015人(うち,執行猶予は2880人であり,執行猶予率は95.5%),罰金は145人,無罪は11人,その他は61人
・ 平成25年
懲役・禁錮3030人(うち,執行猶予は2883人であり,執行猶予率は95.2%),罰金は134人,無罪は9人,その他は71人
・ 平成24年
懲役・禁錮3264人(うち,執行猶予は3071人であり,執行猶予率は94.1%),罰金は141人,無罪は4人,その他は78人
・ 平成23年
懲役・禁錮3339人(うち,執行猶予は3138人であり,執行猶予率は94.0%),罰金は178人,無罪は4人,その他は93人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表144→図表139がデータの出典です。
2 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
3 「その他」は,控訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等です。
4 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
③ 通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

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通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)

目次
第1 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
・ 平成30年
懲役総数17人(うち,20年以下は4人,10年以下は8人,5年以下は4人,3年は1人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成29年
懲役総数31人(うち,20年以下は4人,10年以下は18人,5年以下は6人,3年は3人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成28年
懲役総数37人(うち,30年以下は2人,20年以下は2人,10年以下は20人,5年以下は11人,3年は2人,執行猶予率は50%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成27年
懲役総数32人(うち,30年以下は1人,20年以下は6人,10年以下は15人,5年以下は8人,3年は2人,執行猶予率は50%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成26年
懲役総数17人(うち,20年以下は1人,10年以下は11人,5年以下は4人,3年は1人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成25年
懲役総数32人(うち,20年以下は3人,10年以下は19人,5年以下は5人,3年は5人,2年以上は0人であり,執行猶予率は20%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成24年
懲役総数23人(うち,20年以下は4人,10年以下は16人,5年以下は3人,3年以下は0人),無罪は0人,その他は0人
・ 平成23年
懲役総数17人(うち,20年以下は2人,10年以下は8人,5年以下は4人,3年は1人,2年以上は2人であり,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は0人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表143→図表138がデータの出典です。
2 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
3 「その他」は,公訴棄却,移送等です。
4 平成26年5月20日,自動車運転死傷行為処罰法の制定により,危険運転致死傷罪の成立範囲が広がりましたから,従前は自動車運転過失致死罪で起訴されていたものの一部が危険運転致死罪で起訴されるようになりました。
5 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)
② 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)

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通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)

目次
第1 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
第2 関連記事その他

第1 通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)
・ 平成30年
懲役総数292人(うち,10年以下は0人,5年以下は5人,3年は21人,2年以上は68人,1年以上は160人,6月以上は38人であり,全部執行猶予率は92.3%),無罪が0人,その他が4人
・ 平成29年
懲役総数341人(うち,10年以下は2人,5年以下は6人,3年は20人,2年以上は61人,1年以上は208人,6月以上は44人であり,全部執行猶予率は92.5%),無罪が2人,その他が3人
・ 平成28年
懲役総数338人(うち,10年以下は2人,5年以下が4人,3年が16人,2年以上が84人,1年以上が206人,6月以上が26人であり,執行猶予率は91.9%),無罪が0人,その他が1人
・ 平成27年
懲役総数327人(うち,10年以下は2人,5年以下が9人,3年が14人,2年以上が93人,1年以上が181人,6月以上が28人であり,執行猶予率は86.7%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成26年
懲役総数233人(うち,10年以下は1人,5年以下が6人,3年が21人,2年以上が63人,1年以上が130人,6月以上が12人であり,執行猶予率は81.4%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成25年
懲役総数163人(うち,10年以下は4人,5年以下が7人,3年が19人,2年以上が55人,1年以上が77人,6月以上が1人であり,執行猶予率は79.6%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成24年
懲役総数169人(うち,10年以下は1人,5年以下が7人,3年が16人,2年以上が54人,1年以上が88人,6月以上が3人であり,執行猶予率は73.9%),無罪が0人,その他が1人
・ 平成23年
懲役総数168人(うち,10年以下は2人,5年以下が7人,3年が13人,2年以上が54人,1年以上が92人であり,執行猶予率は82.4%),無罪が0人,その他が2人

第2 関連記事その他
1 毎年2月1日発行の法曹時報の図表143→図表138がデータの出典です。
2 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
3 「その他」は,公訴棄却,移送等です。
4(1) 平成26年5月20日,自動車運転死傷行為処罰法の制定により,危険運転致死傷罪の成立範囲が広がりましたから,従前は自動車運転過失致傷罪で起訴されていたものの一部が危険運転致傷罪で起訴されるようになりました。
(2) 法務省HPの「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会 第1回会議(令和6年2月21日)」に「危険運転致傷罪等の改正の経緯」が載っています。
5 本記事を含む量刑分布データは以下のとおりです。
① 通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)

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刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)

目次
1 検察庁での記録の閲覧・謄写
2 検察官の開示証拠の目的外利用の禁止
3 弁護人が被告人に検察庁の開示証拠を交付する場合の注意点
4 裁判所提出記録の閲覧・謄写
5 被害者特定事項に関する配慮
6 民事訴訟等で起訴事件の刑事記録を利用したい場合
7 判決書謄本交付請求及び調書判決
8 関連記事その他

1 検察庁での記録の閲覧・謄写
(1) 弁護人は,第1回の公判期日前に,検察官が取調べを請求する予定の証拠書類及び証拠物を閲覧する機会を与えられます(刑訴法299条,刑訴規則178条の6第1項1号参照)。
    そのため,加害者は,依頼している弁護人に依頼すれば,起訴事件の刑事記録を入手できます。
(2)ア 弁護人として大阪地検本庁で公判提出予定記録の閲覧をする場合,午前であれば11時40分までに,18階の窓口に,証拠書類閲覧・謄写申請書及び弁護人選任届等の写しを持参する必要があります。
    ただし,事前に予約をする必要はありません。
イ 弁護人として神戸地検本庁で公判提出予定記録の閲覧をする場合,神戸地検5階の会議室で閲覧することとなります。

2 検察官の開示証拠の目的外利用の禁止
(1) 平成17年11月1日施行の刑訴法に基づき,被告人又は被告人であった者が,検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠(=開示証拠)に係る複製等を,刑事裁判以外の目的で,人に交付し,又は提示し,若しくはインターネットに載せることは禁止されています(刑訴法281条の4)。
    被告人又は被告人であった者がこれに違反した場合,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(刑訴法281条の5第1項)。
(2) 東京地裁は,平成26年3月2日,法廷で警備職員にかみついた公務執行妨害事件の証拠を動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載した男性に対し,開示証拠の目的外使用の罪により,懲役6月,執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました(ストーン・リバーブログの「やったな!証拠の目的外使用で逮捕・有罪!」参照)。
(3) 平成30年弁護士懲戒事件議決例集(第21集)89頁には以下の記載があります。
    審査請求人らが本件民事訴訟において,弁護士法23条の2,刑事確定訴訟記録法,民事訴訟における文書送付嘱託といった証拠収集手続を講じることなく,本件刑事訴訟の弁護人から送付を受けた記録中の文書をそのまま書証の申出として提出したことは,慎重であるべき刑事事件の記録の取扱いとしても,民事訴訟の代理人の活動としても,軽率に過ぎる。審査請求人のこのような記録の取扱いは極めて不注意であって,事件記録の保管等に関する注意義務(弁護士職務基本規程18条)及び事件処理の報告及び協議を定めた弁護士職務基本規程36条にも反すると評価せざるを得ない。

確認書(千葉県が弁護人に対し,公判請求予定証拠の謄写に際して提出を求めているもの)を添付しています。 pic.twitter.com/gaBGQG0eIV

— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) July 25, 2021

3 弁護人が被告人に検察庁の開示証拠を交付する場合の注意点
(1) 弁護士は,開示証拠の複製等を被告人に交付等するときは,被告人に対し,複製等に含まれる秘密及びプライバシーに関する情報の取扱いに配慮するように注意を与えなければなりません(開示証拠の複製等の交付等に関する規程(平成18年3月3日会規第74号)(平成18年4月1日施行)3条1項)。

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刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)

目次
0 はじめに
1 第1回公判期日前の,最高検察庁の通達に基づく刑事記録の閲覧・謄写
2 第1回公判期日後の,犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写等
3 裁判所HPでの説明
4 関連記事その他

0 はじめに
・ 以下の記載は,被害者又はその代理人弁護士が,加害者の刑事裁判係属中に,起訴事件の刑事記録を入手する場合に関する取扱いです。

1 第1回公判期日前の,最高検察庁の通達に基づく刑事記録の閲覧・謄写
(1) 第1回公判期日前の,最高検察庁の通達に基づく刑事記録の閲覧・謄写は,加害者の刑事裁判に対して被害者参加の申出をした被害者(刑事訴訟法316条の33以下)(以下「被害者参加人」といいます。)についてだけ認められています。
(2) 被害者参加人は,原則として,検察官請求証拠の閲覧が認められているものの,謄写までは認められていません。
    しかし,被害者参加人から委託を受けた弁護士が検察官請求証拠の謄写を求めた場合,謄写を求める理由や対象となる証拠の内容等に鑑みて,謄写の必要性が認められ,かつ,謄写に伴う弊害が認められないときであれば,被告人の身上調書,戸籍謄本,前科調書等を除く検察官請求証拠の謄写まで認められています。
(3)ア 「犯罪被害者等の権利利益の尊重について」(平成26年10月21日付の次長検事通達)4項には,以下の記載があります。
    対象被害者等から、検察官が証拠調べ請求をすることとしている証拠の開示を求められたときは、事案の内容、捜査·公判に支障を及ぼすおそれや関係者の名誉·プライバシーを害するおそれの有無·程度等を考慮して相当でないと認める場合を除き、当該証拠の閲覧を認めるなど、弾力的な運用に努められたい。なお、対象被害者等に証拠を開示するに当たっては、これにより知り得た事項をみだりに使用することのないよう注意を喚起するなど、適切な情報管理に配意されたい。
イ 「「犯罪被害者等の権利利益の尊重について(依命通達)」の発出について」(平成26年10月21日付の最高検察庁総務部長及び公判部長の通達)第3・3項(2)イには,以下の記載があります。
    被害者参加人が適切かつ効果的に訴訟行為を行うためには,あらかじめ,証拠関係を十分把握する必要があるし,被害者等が被害者参加の申出をするか否かを判断するに当たっても,証拠関係を十分に把握することが必要な場合もあると考えられる。そして,検察官手持ち証拠のうち,検察官が当該被告事件について証拠調べ請求をすることとしている証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については,検察官が当該被告事件の罪体及び情状の立証に必要であると判断した証拠であるので,上記いずれの観点からも一般に開示の必要性が高いと考えられる一方,検察官証拠請求は,検察官が後に公判廷で明らかにすることを予定している証拠であるので,一般に開示による弊害も少ないと考えられる。そこで,本依命通達3の(2)後段は,対象被害者等から,検察官請求証拠の開示を求められたときは,原則としてその閲覧を認めるなど,弾力的な運用に努めることを求めるものである。
    同後段は,対象被害者等から証拠の開示を求められた場合に,検察官請求証拠については原則としてその閲覧を認めることとする点にその趣旨があるのであって,それ以外の検察官手持ち証拠の開示を一律に禁止する趣旨ではない。したがって,例えば,刑事訴訟法第316条の15第1項又は第316条の20第1項の規定により検察官が被告人又は弁護人に開示した証拠についても,開示の必要性及び開示に伴う弊害の有無・程度を考慮して相当と認められるときは,これを開示することとしても差し支えない。
    また,同後段は,閲覧の方法により開示することを原則としている。これは,証拠の謄写まで認めることとすると,種々の弊害が生じるおそれが大きくなることを考慮してのことである。したがって,同後段は,証拠の謄写を一律に禁止するものではなく,例えば,被害者参加人から委託を受けた弁護士から証拠の謄写を求められた場合において,謄写を求める理由や対象となる証拠の内容等に鑑みて,謄写の必要性が認められ,かつ,謄写に伴う弊害が認められないときは,証拠の謄写を認めて差し支えない。

自分としては、被害者側で受任したら
第1回公判前に検察庁で謄写
判決が出たら確定前に裁判所で謄写(民事訴訟目的であることを明示)
が一番いいのかなと思ってる。確定記録の謄写だと検察庁に戻るまで待たされちゃうので。

— ふたつのいす (@eruear946) February 9, 2022

2 第1回公判期日後の,犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写等
(1)   犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写
ア 犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写は,被害者参加人に限らず,被害者一般に認められています。

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刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

目次
1 総論
2 刑事裁判係属中の刑事記録に関する記事
3 確定した刑事記録に関する記事
4 不起訴となった刑事記録に関する記事
5 その他の記事
6 自動車運送事業者が提出する自動車事故報告書
7 関連資料その他

1 総論
・ 検番等の入手方法等
・ 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所

2 刑事裁判係属中の刑事記録に関する記事
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)

3 確定した刑事記録に関する記事
・ 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法

4 不起訴となった刑事記録に関する記事
・ 不起訴事件記録の開示範囲の拡大
・ 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法
→ 被害者代理人として入手する場合と,加害者代理人として入手する場合の両方について説明しています。

5 その他の記事
・ 実況見分調書作成時の留意点
・ 交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点
・ 検察庁における交通事故事件に関する記録閲覧等の概況
・ 刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯

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検番等の入手方法等

目次
第1 検番等の調べ方
1 代理人弁護士が調べる方法
2 被害者本人が自分で調べる方法
第2 大阪弁護士会の23条照会を利用する場合の提出書類
1 利用手続
2 必要な費用
第3 弁護士会照会の照会書の記載方法
第4 検番に関する事件事務規程の定め
第5 関連記事

第1 検番等の調べ方
1 代理人弁護士が調べる方法
(1)ア 被害者代理人である弁護士が大阪地検で実況見分調書等の刑事記録を入手する場合,交通事故証明書に記載されている警察署交通課又は高速道路交通警察隊(略称は「高速隊」です。)に対し,弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づく照会)を利用して送致日,送致番号(警察署の管理番号),罪名,送致検察庁及び検番(検察庁の事件受付番号)を調査します。
    ただし,代理人弁護士が弁護士会照会を使って検番等の調査をする場合,3週間ぐらいかかります。
イ 送致日及び送致番号は検番と対応していますし,罪名及び送致検察庁は推測できる結果,検番だけで調査できることがあります。
(2) 大阪府下の高速道路上の事故の場合,弁護士会照会の宛先は「〒552-0023 大阪市港区港晴2丁目11番12号 阪神高速道路株式会社内 大阪府警察本部高速道路交通警察隊」(組織の略称は「大阪府高速隊本部」です。)となります(大阪府警察HPの「高速道路交通警察隊」参照)。
2 被害者本人が自分で調べる方法
(1)ア 被害者本人が本人確認書類(例えば,運転免許証)を持参して交通事故証明書に書いてある警察署交通課又は高速隊を平日に訪問すれば,弁護士会照会を利用しなくてもその場で検番等を教えてもらえます。
イ 交通事故証明書には「事件照会番号」が書いてありますから,交通事故証明書のペーパーを持参するか,スマホの画面で見せた方が手続は早くなります。
(2)ア 大阪府下の高速道路上の事故の場合,大阪府高速隊本部に行くか,交通事故捜査を担当している高速隊の分駐所に行けばいいです。
イ 交通事故捜査を担当している大阪府高速隊の分駐所は以下の3箇所です(大阪府警察組織規程9条4項のほか,大阪府高速道路交通警察隊運用細則2条,3条及び別表第6「交通事故捜査担当区」(PDF1頁及び18頁)参照)。
① 近畿吹田分駐所(大阪府茨木市大字小坪井)
② 阪神四ツ橋分駐所(大阪市西区西区南堀江1丁目)
③ 阪神泉大津分駐所(大阪府泉大津市新港町)
(3) 被害者本人が警察署に電話をしても本人確認ができませんから,検番等を教えてもらうことはできません。

第2 大阪弁護士会の弁護士会照会を利用する場合の提出書類
1 利用手続
(1) 大阪弁護士会館6階の総務部総合管理課23条照会係に対し,照会申出書1部,照会書3部及び回答書1部並びにレターパックプラス(赤色のもの)2部提出すればいいです。

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都道府県公安委員会に対する苦情申出制度

目次
1 総論
2 都道府県公安委員会における苦情申出制度の運用状況
3 関連記事その他

1 総論
(1) 警察職員が,職務執行において違法,不当な行為をしたり,なすべきことをしなかったりしたことによって,何らかの不利益を受けた場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます(警察法79条)。
   そのため,例えば,実況見分における警察官の対応について違法不当な行為があった場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます。
(2) 交通違反について,後日否認を申し出る場合,取り締まった警察署等に申し出る必要があります。

2 都道府県公安委員会における苦情申出制度の運用状況
(1) 都道府県公安委員会における苦情申出制度の運用状況については,警察庁作成の以下の資料を参照してください。
(令和時代)
令和 元年,令和 2年,令和 3年,令和 4年,
令和 5年,令和 6年,
(平成時代)
平成23年,平成24年,平成25年,平成26年,
平成27年,平成28年,平成29年,平成30年,
(2) 「苦情申出制度の運用状況について(令和5年3月27日付の警察庁長官官房首席監察官の事務連絡)」といったファイル名で掲載しています。

この通知にもあるように、交通違反をした時の切符の押印または拇印は任意で、違反者の義務ではありません。 pic.twitter.com/Q8DZ5GRpTg

— 河野太郎 (@konotarogomame) October 25, 2022

3 関連記事その他
(1) 大阪府公安委員会に対する苦情申出については,大阪府警察HPの「苦情申出制度のご案内」を参照して下さい。
(2) 京都府警察HPに「公安委員会に対する苦情等の申出に係る事務の取扱いに関する訓令」が載っています。
(3) 以下の記事も参照して下さい。
・ 交通違反に対する不服申立方法
・ 警察庁作成の訟務統計
・ 交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点

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(AI作成)人身傷害保険の死亡保険金請求権は相続財産であると判示した最高裁令和7年10月30日判決の解説

最高裁令和7年10月30日判決につき,「交通事故事件に精通している元裁判官」という役割設定による,交通事故の被害者側弁護士向けのAI解説を掲載しています。

元裁判官の視点から、ご依頼のありました最高裁令和7年10月30日判決について、交通事故実務、特に被害者側弁護士としての実務に与える影響を中心に、懇切丁寧に解説いたします。

この判決は、人身傷害保険の死亡保険金請求権の法的性質、特に相続放棄があった場合の請求権の帰属と、近親者固有の慰謝料との関係について、最高裁が初めて明確な判断を示した、極めて重要なリーディングケースです。実務上、保険会社との交渉において強力な武器となる反面、依頼者への説明において注意すべき「落とし穴」も示唆しています。

1. 事案の核心と争点
まず、本件の特殊性と保険会社の主張(争点)を正確に把握することが肝要です。

事案:

被保険者Aが自損事故で死亡。
Aの子ら(第1順位の法定相続人)が全員「相続放棄」。
その結果、Aの母B(第3順位)が単独で相続。
母Bが保険会社に対し、人身傷害保険の死亡保険金を請求。(その後Bが死亡し、被上告人らが訴訟承継)

保険会社(上告人)の主張(争点):

【争点1:請求権の帰属】

約款(本件条項1)には「被保険者が死亡した場合はその法定相続人とする」と書いてある。これは相続とは別の「受取人指定」に類似するものだ。

したがって、請求権は相続財産には属さず、第1順位の法定相続人である「子ら」に原始的に帰属する。

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自賠責保険の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)

目次
第1部 自賠責保険の支払基準
第2部 支払基準の改正経緯等
第3部 関連記事その他

第1部 自賠責保険の支払基準
・ 令和元年12月12日金融庁告示・国土交通省告示第3号による改正後の,自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)は以下のとおりです(改正部分は赤文字表記です。また,自賠責保険の支払基準の根拠は自賠法16条の3です。)。
・ 平成14年4月から令和2年3月までに発生した交通事故の場合,休業損害は1日につき5700円であり,通院慰謝料は1日につき4200円となります。

第1 総則
1 自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払は、自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)第2条並びに別表第1及び別表第2に定める保険金額を限度としてこの基準によるものとする。
2 保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める額とする。ただし、複数の自動車による事故について保険金等を支払う場合は、それぞれの保険契約に係る保険金額を合算した額を限度とする。

第2 傷害による損害
   傷害による損害は、積極損害(治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害及び慰謝料とする。
1 積極損害
(1) 治療関係費
① 応急手当費
    応急手当に直接かかる必要かつ妥当な実費とする。
② 診察料
    初診料、再診料又は往診料にかかる必要かつ妥当な実費とする。
③ 入院料
    入院料は、原則としてその地域における普通病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。ただし、被害者の傷害の態様等から医師が必要と認めた場合は、上記以外の病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。
④ 投薬料、手術料、処置料等
    治療のために必要かつ妥当な実費とする。
⑤ 通院費、転院費、入院費又は退院費
    通院、転院、入院又は退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費とする。
⑥ 看護料
ア  入院中の看護料
     原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に1日につき4,200円とする。

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交通死亡事故の損害額に関するメモ書き

目次
1 葬式費用
2 年金の逸失利益性
3 家事労働者の逸失利益
4 不法行為後の事情変更
5 扶養利益
6 死亡慰謝料
7 定期金賠償
8 損害賠償制度は一般予防を目的とするものではないこと
9 過失相殺に関するメモ書き
10 関連記事その他

1 葬式費用
(1) 被害者の遺族が支出した葬式費用は,社会通念上特に不相当なものでないかぎり,加害者側の賠償すべき損害となります(最高裁昭和43年10月3日判決)。
(2) 不法行為により死亡した者のため,祭祀を主宰すべき立場にある遺族が,墓碑を建設し,仏壇を購入したときは,そのために支出した費用は,社会通念上相当と認められる限度において,不法行為により通常生ずべき損害と認めるべきとされています(最高裁昭和44年2月28日判決)。

2 年金の逸失利益性
(1) 退職年金を受給していた者が不法行為によって死亡した場合には,相続人は,加害者に対し,退職年金の受給者が生存していればその平均余命期間に受給することができた退職年金の現在額を同人の損害として,その賠償を求めることができます(最高裁大法廷平成5年3月24日判決)。
(2) 障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合には,その相続人は,加害者に対し,被害者の得べかりし右各障害年金額を逸失利益として請求することができます(最高裁平成11年10月22日判決)。
(3) 不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろう遺族厚生年金は,不法行為による損害としての逸失利益に当たりません(最高裁平成12年11月14日判決)。
(4)  不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろういわゆる軍人恩給としての扶助料は、不法行為による損害としての逸失利益に当たりません(最高裁平成12年11月14日判決)。

3 家事労働者の逸失利益
(1) 事故により死亡した女子の妻として専ら家事に従事する期間における逸失利益については,その算定が困難であるときは,平均的労働不能年令に達するまで女子雇用労働者の平均的賃金に相当する収益を挙げるものとして算定されます(最高裁昭和49年7月19日判決)。
(2) 就労前の年少女子の得べかりし利益の喪失による損害賠償額をいわゆる賃金センサスの女子労働者の平均給与額を基準として算定する場合には,賃金センサスの平均給与額に男女間の格差があるからといって,家事労働分を加算すべきものではありません(最高裁昭和62年1月19日判決)。
(3)ア 判例タイムズ927号(1997年3月15日発行)に「交通事故賠償の諸問題 主婦の逸失利益」が載っています(寄稿者は14期の塩崎勤裁判官)。
イ 交通事故相談NEWS50号(2023年3月1日発行)の「家事労働の評価について」には,「標準となる家事労働」として以下の記載があります。
    裁判所は、裁判例においてほとんど家事労働の内容を明示していないが、一件のみ、基礎収入算出の検討要素として「被害者の年齢、家族構成、家事労働の内容(子の養育の有無を含む。)等の具体的事情」を挙げ、これらを踏まえて適宜の修正を加えて(基礎収入を)算出するのが相当であるとする裁判例がある。この考え方から、裁判所は、核家族(親及び子のみで構成される世帯)において、未成年の子を養育している専業主婦を標準としていると思われる。

4 不法行為後の事情変更

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交通事故でも健康保険を利用できること

目次
第1 交通事故でも健康保険を利用できること
第2 関連記事その他

第1 交通事故でも健康保険を利用できること
1 交通事故でも健康保険を利用できますし,加害者の署名が入った損害賠償誓約書等は不要です。
2 第2次犯罪被害者等基本計画(平成23年3月25日閣議決定)(リンク先の22頁(PDF7頁))には以下の記載があります。
Ⅴ 重点課題に係る具体的施策
(中略)
2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)
(中略)
⑻ 医療保険の円滑な利用の確保厚生労働省において、犯罪による被害を受けた被保険者が保険診療を求めた場合については、現行制度上加害者の署名が入った損害賠償誓約書等の有無にかかわらず保険給付が行われることになっている旨、保険者に周知する。また、医療機関に対して、犯罪による被害を受けた者であっても医療保険を利用することが可能であることや、誓約書等の提出がなくても保険者は保険給付を行う義務がある旨保険者あてに通知していることについて、地方厚生局を通じて周知する。【厚生労働省】
3 犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて(平成23年8月9日付の厚生労働省保健局保険課長等の通知)には以下の記載があります。
    今般、第2次犯罪被害者等基本計画(平成23年3月25日閣議決定)に、犯罪による被害を受けた者でも医療保険を利用することが可能である旨や、加害者の署名が入った損害賠償誓約書等の有無にかかわらず医療保険給付が行われる旨を、保険者や医療機関に周知すること等が盛り込まれたことを踏まえ(別添)、上記の取扱いについて改めて周知をしますので、その趣旨を踏まえて適切に対応いただくとともに、都道府県国民健康保険主管課(部)におかれましては、管内の保険者等に対して、都道府県後期高齢者医療主管課(部)におかれましては、管内の後期高齢者医療広域連合及び市町村後期高齢者医療主管課(部)に対して、周知をお願いします。
    自動車事故による被害を受けた場合の医療保険の給付と自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)に基づく自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)による給付の関係については、自動車事故による被害の賠償は自動車損害賠償保障法では自動車の運行供用者がその責任を負うこととしており、被害者は加害者が加入する自賠責保険によってその保険金額の限度額までの保障を受けることになっています。その際、何らかの理由により、加害者の加入する自賠責保険の保険者が保険金の支払いを行う前に、被害者の加入する医療保険の保険者から保険給付が行われた場合、医療保険の保険者はその行った給付の価額の限度において、被保険者が有する損害賠償請求権を代位取得し、加害者(又は加害者の加入する自賠責保険の保険者)に対して求償することになります(健康保険法第57条第1項、船員保険法第45条第1項、国民健康保険法第64条第1項及び高齢者の医療の確保に関する法律第58条第1項)。
    一方で、加害者が不明のひき逃げ等の場合や自賠責保険の補償の範囲を超える賠償義務が発生した場合には、被害者の加入する医療保険の保険者が給付を行ったとしても、その保険者は求償する相手先がないケースや結果的に求償が困難なケースが生じ得ます。このような場合であっても、偶発的に発生する予測不能な傷病に備え、被保険者等の保護を図るという医療保険制度の目的に照らし、医療保険の保険者は、求償する相手先がないことや結果的に求償が困難であること等を理由として医療保険の給付を行わないということはできません。
    さらに、加害者が自賠責保険に加入していても、速やかに保険金の支払いが行われない場合等、被害者である被保険者に一時的に重い医療費の負担が生じる場合も考えられるため、このような場合も上記と同様の趣旨から、医療保険の保険者は、被保険者が医療保険を利用することが妨げられないようにする必要があります。これらの取扱いは、その他の犯罪の被害による傷病についての医療保険の給付でも同様です。

第2 関連記事その他
1 国民健康保険の被保険者である交通事故の被害者が,保険者から療養の給付を受けるのに先立って、自動車損害賠償保障法16条1項の規定に基づき損害賠償額の支払を受けた場合には,保険会社が支払に当たって算定した損害の内訳のいかんにかかわらず,右被保険者の第三者に対する損害賠償請求権は右支払に応じて消滅し,右保険者は,国民健康保険法64条1項の規定に基づき,療養の給付の時に残存する額を限度として損害賠償請求権を代位取得します(最高裁平成10年9月10日判決)。
2 療養の給付とは,保険証を持って医療機関等にかかった際に,現物給付(窓口負担分以外のお金を窓口で支払わなくても受けられる医療)を受けることをいいます(東京都後期高齢者医療広域連合HPの「療養の給付と療養費の違いはなんですか?」参照)。 
3 にわ法律事務所HPの「健康保険利用の際の自賠責様式の診断書及び診療報酬明細書の作成について」には「診療報酬明細書(レセプト)については、病院から健保請求用の診療報酬明細書の写しをいただくか、領収証及び診療明細書を添付すれば自賠責保険も被害者請求を受け付ける取り扱いをしています。」と書いてあります。
4 以下の記事も参照してください。
・ 自賠責保険の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)

任意保険の示談代行

目次
第1 総論
第2 自賠責保険の支払基準を下回ることはないこと
第3 示談金における主な項目
第3 任意保険の示談代行を利用できない場合
第4 ガイドラインが定めるところの,任意保険会社の初期対応等
第5 ガイドラインが定めるところの,任意保険会社の一括払い
第6 任意保険会社との示談の形式(示談書及び免責証書)
1 総論
2 示談書
3 免責証書
第7 自動車保険約款における被害者の直接請求権
第8 裁判所に訴訟を提起した場合,事前交渉提示額より下がる場合があること
第9 任意保険とは別に人身傷害補償保険からの給付があるかもしれないこと
第10 自賠責保険の被害者請求をすることを前提として,加害者との間で示談をする場合の取扱い
第11 自動車保険約款における被害者の直接請求権
第12 保険会社のインターネット上の苦情窓口
第13 関連記事その他

第1 総論
1 示談代行制度とは,任意保険会社が被保険者に対して保険金の支払責任を応限度において,任意保険会社の費用により,被保険者の同意を得て,被保険者のために折衝,示談又は調停若しくは訴訟の手続(弁護士の選任を含む。)を行う制度をいいます。
    示談代行制度は,昭和49年に発売されたFAP保険(Family Automobile Policy)の対人賠償に初めて導入されました。
2 判決等により損害賠償額が確定した場合,被害者は,加害者の任意保険会社に対して直接,損害賠償請求をすることができます。
    そのため,保険会社の社員が行う示談交渉は保険会社自身の損害賠償債務についての交渉となる点で弁護士法72条に定める「他人の法律事務」ではないという理屈により,示談代行は,非弁護士による法律事務の取扱いを禁止する弁護士法72条には違反しないとされています。
3 任意保険の示談代行制度を利用した場合であっても,対物賠償責任保険又は対人賠償責任保険を使用せずに自分で損害賠償額を支払った場合,ノンフリート等級は下がりません。
4 交通事故・損害賠償請求ネット相談室HP(LSC総合法律事務所)の「任意保険における示談代行サービスとは?」には,「通常保険会社が提示してくる損害賠償の金額は,裁判で認められる損害賠償の金額はかなり低額で,だいたい裁判基準の6割から7割程度であるといわれています。」と書いてあります。
5 最初の交通事故(第1事故)の治療中に再び交通事故(第2事故)にあった場合,第1事故の保険会社は対応を中断し、第2事故の保険会社が対応を引き継ぐことになっており、全損害額が確定した後、第2事故の保険会社が第1事故の保険会社と協議の上、寄与度割合を決定して求償していくようです(弁護士ブログの「また事故に遭っちゃったよ」参照)。

「示談で穏便に済ませたいんです」
って人、正直まだ現実を見れてない。

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「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)

目次
第1 「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)
第2 関連記事その他

第1 「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)
・ 「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)を以下のとおり掲載しています。
・ 文中にあるとおり,交通事故における任意保険会社の示談提示額は自賠責保険基準の支払額を下回ることは禁止されています。

国土交通省自動車交通局保障課長から社団法人日本損害保険協会会長・外国損害保険協会会長・全国自動車共済協同組合連合会会長・全国労働者共済生活協同組合再共済連合会理事長・全国トラック交通共済協同組合連合会会長・全国共済農業協同組合連合会代表理事会長・自動車保険料率算定会理事長あて

通知

自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について

    平成一三年六月に政府再保険の廃止及び被害者保護の充実を内容とする自動車損害賠償保障法(昭和三〇年法律第九七号。以下「法」という。)が改正され、また同年一二月に関係政省令が制定・改正され、それぞれ平成一四年四月一日から実施されることになったが、これらの改正等に伴う事務の実施については、次の実施細目のとおり取り扱うこととし、平成一四年四月一日から実施することとしたので、傘下会員、傘下組合等に周知願います。
    なお、新法の経過措置規定により従前のとおり取り扱うこととしているものがあることを念のため申し添えます。

実施細目
1 政府再保険の廃止等
(1) 政府再保険の廃止
    政府による再保険は、契約の始期が平成一四年四月一日以降のものから廃止する。従って、契約の始期が同日以降のものについては従前の手続きは必要としない。
(2) 追加保険料の廃止
    追加保険料(追加共済掛金)の支払義務は、契約の始期にかかわらず、平成一四年四月一日以降に死亡した事案から廃止する。

2 支払基準(法第一六条の三関係)
    法第一六条の三第一項の規定による支払基準として、別添のとおり「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成一三年金融庁・国土交通省告示第一号。以下「支払基準」という。)を定めたので、平成一四年四月一日以降に発生した事故からこれに従つて支払うものとし、現行の自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準は廃止する。ただし、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例による。

3 情報提供
    書面の交付及び書面等による説明については、次のとおり行うものとし、平成一四年四月一日から実施するものとする。
    なお、処理中の事案については、保険金(共済金)等の請求が平成一四年四月一日以降の場合は法第一六条の四及び法第一六条の五の規定を適用し、保険金等の請求は同年三月三一日以前であるが支払を行った日又は支払わないことを請求者に通知した日は同年四月一日以降の場合は法第一六条の四第二項又は第三項及び第四項並びに法第一六条の五の規定を適用することとする。

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人身傷害補償保険

目次
第1 総論
第2 人身傷害補償保険が適用される場合等
1 人身傷害補償保険が適用される場合
2 人身傷害補償保険の適用範囲には差があること
3 具体例
第3 人身傷害補償保険の請求時期(人傷先行型及び賠償先行型)と,最終的な回収額との関係
1 前提となる事例等
2 被害者が先に人身傷害補償保険の保険金の支払を受けた場合(人傷先行型)
3 被害者が先に加害者から損害賠償金を回収した場合(賠償先行型)
4 被害者の最終的な回収額の上限
5 弁護士費用特約との関係
第4 東京海上日動のトータルアシスト自動車保険の場合
1 東京海上日動のトータルアシスト自動車保険等の約款
2 人傷先行型及び賠償先行型ごとの,被害者の最終的な回収額
3 その他の損害保険会社の取扱い
第5 人身傷害補償保険金を支払った損害保険会社が代位取得した損害賠償請求権の消滅時効
第6 関連記事その他

第1 総論
1(1) 人身傷害補償保険は,交通事故により記名被保険者及びその同居の家族等が損害を被った場合に保険金を支払うものです。
被害者の過失部分の損害を補償するということで,被保険者らの過失であると,加害者の過失であるとを問わず,一括して保険金が支払われます。
(2) 人身傷害補償保険の保険金は,実際の損害額を基準としているものの,自動車保険約款の基準に基づく金額であって,訴訟基準に基づく金額よりも少ないです。
    ただし,人身傷害補償保険の場合,被保険者の現実収入が少なくても,年齢別平均賃金によって休業損害や逸失利益を算定することが認められている場合がありますから,場合によっては,人身傷害補償保険の保険金が実際の損害額を上回ることがあります。
(3) 人身傷害補償保険は,損害保険市場の自由化を受けて,当時の東京海上火災保険株式会社が平成10年10月1日に発売を始めた保険商品です。
2 人身傷害補償保険は,人身損害の「被害者側が」契約しておき,被害者側に保険金が支払われるものであるという点で,人身損害の「加害者側が」契約しておき,加害者側の損害賠償責任を填補するために保険金が支払われる「賠償責任保険」とは異なります。
3 搭乗者傷害保険(定額払い)にも加入している場合,人身傷害補償保険(実損払い)とは別枠で搭乗者傷害保険が適用されます。
4(1) 被害者の過失が0%であり,加害者が対人賠償責任保険に加入している場合,被害者が受領できる損害賠償金は,被害者が人身傷害補償保険に入っている場合と入っていない場合とで異なりません。
    これに対して被害者の過失がわずかでもあったり,加害者が対人賠償責任保険に加入していなかったりした場合,被害者が受領できる損害賠償金は,被害者が人身傷害補償保険に張っている場合の方が多くなります。

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実況見分調書作成時の留意点

目次
1 総論
2 作成される実況見分調書の種類
3 再度の実況見分が実施される場合
4 実況見分調書に関する犯罪捜査規範の条文
5 関連記事その他

1 総論
(1)   加害者が不起訴になった場合,検察庁において供述調書が開示されることはない(刑事訴訟法47条本文参照)ものの,実況見分調書は開示されます。
   そして,過失割合が争いになった場合,実況見分調書は信用性の高い証拠として非常に重視されることとなります。
   そのため,警察の実況見分にはできる限り立ち会うようにするとともに,実況見分調書の作成に立ち会った場合,担当の警察官に対して事故当時の状況を正確に説明できるようにしてください。
(2) 事故直後に加害者が自分の非を認めていたという事実は,示談や訴訟においてあまり大きな意味を持たないのであって,実況見分調書の記載の方が遙かに大事です。
(3) 実況見分調書は,客観的に記載するように努め,被疑者,被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても,その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならないとされています(犯罪捜査規範105条1項)。
(4) 弁護士によるマンガ交通事故相談HPの「警察との関係」には,「実況見分が実施される時期は、法律の定めはないものの、概ね事故発生から1週間から1か月前後で実施されるようです。」と書いてあります。

2 作成される実況見分調書の種類
(1)   加療期間が約3週間以下の場合
ア 警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間以下の交通事故の場合,「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,現場の見分状況書,被疑者供述調書,被害者供述調書等が作成されることが多いです(「交通事故事件の刑事記録」参照)。
イ 現場の見分状況書には,①最初に相手を発見した地点,②危険を感じた地点,③ブレーキをかけた地点及び④衝突をした地点が図示されています。
   例えば,②ないし④が同じ地点である場合,加害者がブレーキをかけずに被害者に衝突したこととなります。
(2) 加療期間が約3週間を超える場合
・ 警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間を超える交通事故の場合, 「過失運転致傷等事件に係る特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,実況見分調書及び交通事故現場見取図,被疑者供述調書,被害者供述調書等が作成されることが多いです。
・ 被害者が処罰を望む意思を明確に示していて,かつ,警察に提出した診断書記載の加療期間が約1週間を超える場合,原則として特例書式の刑事記録が作成されます。

(3) 実務上は,「現場の見分状況書」も含めて,「実況見分調書」と呼んでいます。

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車両保険

目次
第1 車両保険の概要
第2 車両保険が適用される場合
第3 車両保険が適用されない場合
第4 車両保険における全損及び分損
第5 盗難自動車と車両保険
第6 車両全損時諸費用特約等
第7 関連記事その他

第1 車両保険の概要
1 車両保険は,自分の車の修理代等を補償する保険です。
2 車両保険の保険金の上限は,保険に入っている自分の車の時価(=市場価格)となっていますから,対人賠償責任保険又は対物賠償責任保険のように何千万円ものお金が問題となることはありません。
また,車両保険は保険金と比べて保険料が高額です。
3(1) 車両保険には免責金額があり,免責金額までの損害については,保険金は支払われません。
そのため,例えば,免責金額が5万円である場合,車の修理代に50万円かかったときに車両保険から支払われる保険金は45万円となります。
(2) 全損の場合,免責金額を設定している場合であっても,全額を補償してもらえます(保険の窓口インズウェブHPの「車両保険の免責金額とは?いくらに設定する?」参照)。
4 車両保険に加入している場合,以下の費用も支払われます。
① 修理費の一環として,事故により被保険自動車が自力で動けなくなった場合の,最寄りの修理工場等に運搬するために要したレッカー代等の費用
② 盗難にあった被保険自動車を引き取るために必要であった費用
5 物損事故における修理費用は示談成立後に支払われますところ,過失割合に争いがあるなどして示談交渉が進まない場合,車両の修理を先に進めてしまうことがあります。
その際,加害者からの賠償に先行して,被害者自身が加入している車両保険を使用して修理費用を支払うことを,車両保険金先行払(=車両先行)といいます。
この場合,被害者の保険会社は,先行払いした保険金の範囲で,加害者に対する損害賠償請求権を代位取得します(保険法25条)から,加害者からいくら回収できるかという点について,被害者は当事者ではなくなります。
6 通常の自動車保険の場合,故障が発生した場合のレッカー費用や代車・宿泊・移動費用について保険金を支払われることはあっても,故障車両自体の修理費について保険金を支払われることはありません(損保ジャパン日本興亜HPの「【自動車保険】「故障運搬時車両損害特約」の新設~走行不能時の故障損害を補償~」参照)。

第2 車両保険が適用される場合
1(1)   一般型の車両保険は通常,以下の場合に適用されます。
① 車同士の衝突,二輪自動車・原動機付自転車との衝突,火災・爆発,いたずら・落書き・窓硝子破損,飛来中・落下中の他物との衝突,台風・竜巻・洪水・高潮
② 盗難
③ 電柱・ガードレールに衝突,当て逃げ,車庫入れに失敗,転覆・墜落
(2) エコノミー型の車両保険の場合,一般型の車両保険と比べて保険料が安くなる代わりに,③の場合に車両保険が適用されなくなります。

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整骨院等に関するメモ書き

第1 総論
第2 整骨院の施術費は争われやすいこと
第3 整形外科への通院を優先すべきであること
第4 整骨院等における公的医療保険の取扱い
第5 柔道整復師の人数及び整骨院の数の推移
第6 柔道整復師が急増するようになったこと
第7 整骨院の広告は大幅に制限されていること
第8 柔道整復師が放射線を人体に照射することを業とした場合の罪責
第9 あんま,マッサージ,はり・きゅう,並びに整体院及びカイロプラクティック
第10 医業類似行為に対する取扱いについて
第11 柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任の取扱いに関する協定書
第12 関連記事その他

第1 総論
1 整骨院の法令上の名称は施術所です(柔道整復師法2条2項)。
2 整骨院は,柔道整復師国家試験に合格し,厚生労働大臣の免許を受けた柔道整復師(柔道整復師法2条1項,3条参照)が経営しています。
    しかし,柔道整復師は医師ではありませんから,整形外科の医師と異なり,外科手術,レントゲン検査,薬品の投与等の医療行為を行うことはできません(柔道整復師法16条及び医師法17条参照)。
3(1) 柔道整復師は,骨折又は脱臼の患部については,①応急手当を行う場合,又は②医師の同意がある場合を除き,施術を行うことはできません(柔道整復師法17条)。
(2)   柔道整復師が,施術につき同意を求める医師は,必ずしも,整形外科,外科等を標榜する医師に限られませんし,医師の同意は施術録に記載していれば足ります(「柔道整復師の施術について」(昭和31年7月11日医発第627号各都道府県知事あて厚生省医務・保険局長連名通知))。
(3) 保険医療機関及び保険医療養担当規則17条は,「保険医は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によつて、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。」と定めています。
4 柔道整復師の「判断書」とは,柔道整復師が患者に危害を及ぼすおそれのない範囲で疾病又は負傷の状態を把握し自らが施術できる疾病又は負傷であるか否か等を判断した結果を記載する書面をいい,医師が患者を診察し疾病又は負傷の状態を診断した結果を記載する診断書とは異なります。
5 「柔道整復師の施術について」(昭和31年7月11日医発第627号各都道府県知事あて厚生省医務・保険局長連名通知)の本文は以下のとおりです(1,2を①,②に変えました。)。
① 地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう指導すること。
② 社会保険関係療養費の請求の場合には、実際に医師から施術につき同意を得たむねが施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添附を要しないものであること。
③ 応急手当の場合は、医師の同意は必要としないものであること。
④ 柔道整復師が、施術につき同意を求める医師は、必ずしも、整形外科、外科等を標榜する医師に限らないものであること。
⑤ 以上の諸点について留意するとともに従前から柔道整復師団体と都道府県知事、健康保険組合等との料金協定等を行っている都道府県については諸般の行政運営について特に円滑に行われるよう指導すること。
6 柔道整復師が施術した事実に関する証明書として発行する施術証明書は,医師又は歯科医師が発行する診断書と同様の法的性格を有するものではないものの,柔道整復師の業務の範囲内において後療日数の予定を記載することはさしつかえありません(昭和45年7月23日付の厚生省医務局長通達)。

第2 整骨院の施術費は争われやすいこと

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政府保障事業及び無保険車傷害特約

目次
1 政府保障事業
2 無保険車傷害保険
3 関連記事その他

1 政府保障事業
(1) 政府保障事業は,以下のような事故により,自賠責保険又は自賠責共済からの保険金の支払を受けられない被害者を救済するための制度です。
① ひき逃げ事故
② 泥棒運転(盗難車)による事故
③ 自賠責保険,自賠責共済が付保されていない自動車による事故
(2) 平成19年4月1日以降に発生した交通事故については,自賠責と同じ基準で重過失減額が行われています。
(3)ア 政府保障事業を利用した場合,①健康保険や労災保険等の社会保険から給付を受けるべきときは,それらの社会保険から実際には給付を受けていなくともその金額を控除した分しか支払を受けることができませんし,②自賠責保険の被害者請求よりも時間がかかります(弁護士法人心名古屋法律事務所HPの「政府保障事業について」参照)。
イ おとなの自動車保険HPの「ひき逃げされたら、私はどうなるの?」によれば,ひき逃げ事故で平均4カ月程度,無保険事故で7カ月前後の期間がかかるとのことです。
(4) 自動車損害賠償保障法72条1項後段の規定による損害のてん補額の算定に当たり,被害者の過失をしんしゃくすべき場合であって,国民健康保険法58条1項の規定による葬祭費の支給額を控除すべきときは,被害者に生じた現実の損害の額から過失割合による減額をし,その残額からこれを控除します(最高裁平成17年6月2日判決)。
(5) 令和2年度(行個)答申第49号(令和2年7月14日答申)には以下の記載があります。
ア 政府保障事業とは,交通事故において,ひき逃げされて相手の車が不明の場合や,自賠責保険(共済)をつけていない自動車(無保険車)が加害車両となった場合,負傷したり死亡したりした被害者は,基本的に自賠責保険(共済)では救済されないことから,政府に保障を請求することができる制度のことである。
イ 被害者は受付事務を行う損害保険会社に保障を請求する。被害者が受けた損害を国(国土交通省)が加害者に代わっててん補するが,請求できるのは被害者のみであり,加害者から請求はできない。
ウ 事故状況や損害額については自動車損害賠償保障法77条1項の規定に基づき交通事故の損害額調査に係る業務を保険会社等へ委託しており,保険会社等はさらに損害保険料率算出機構(本件事故当時は自動車保険料率算定会)へ調査委託している。
エ 損害保険料率算出機構にて調査を行った後,調査結果と調査書類が国土交通省に送付され,同省において,支払額の審査,決定を行う。この決定をもって,損害保険会社を通じて請求者にてん補金が支払われる。国はてん補金を被害者に支払った後,加害者に求償することとなる。
オ 実況見分調書等の事件記録は,調査の必要性に応じて損害保険料率算出機構が事故を処理した警察署,検察庁等へ照会し,事件記録の閲覧が可能であるとの回答があったものについては,検察庁等に赴き閲覧謄写することにより入手し,これを処分庁が業務上入手しているものである。本件実況見分調書の写しについては,当時における入手手続に係る規程等は確認できないが,当時の自動車保険料率算定会職員が事件を担当する検察庁において閲覧謄写し,それを処分庁が業務上入手したものであると確認している。 
(6) 以下の資料を掲載しています。
・ 自動車損害賠償保障事業委託業務実施の手引き(平成27年10月)
→ ひき逃げ事故及び無保険事故に対する政府保障事業に関する業務委託(自動車損害賠償保障法施行令22条参照)及び自動車損害賠償保障事業業務委託契約準則のマニュアルです。

交通事故の加害者が自賠責保険に加入していなかった場合でも、被害者は政府保障事業という制度で自賠責保険と同様の損害の填補を受けることができます。
ただ、
・書類を整えるだけで一苦労
・申請から入金まで相当長期化
・自賠責以上の保障は当然なし
など、被害者にはかなりの負担がかかります。

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昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書(交通事故損害賠償に関するもの)

目次
第1 昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書
第2 覚書の補足説明
第3 関連記事その他

第1 昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書
◯判例タイムズ943号(平成9年9月10日発行)5頁及び6頁に掲載されている,昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書は以下のとおりです(第1の(1)ないし(4),第2の(1)ないし(6)とあるのは,原文どおりです。)。

覚書

   社団法人日本損害保険協会(以下甲という。)と日本弁護士連合会の要請を受けた財団法人日弁連交通事故相談センター(以下乙という。)とは、甲の社員である各損害保険会社(以下各社員会社という。)が家庭用自動車保険(以下新保険という。)を新たに発売するに際して、今後の任意自動車対人賠償責任保険の運用について、交通事故損害賠償をめぐる紛争当事者の正当な権利を擁護し、社会正義を実現する目的で、下記条項を相互に確認する。
第一 甲は下記1ないし4の甲または各社員会社の行う諸施策について提案し、乙はこれに同意した。
(1) 裁判所の認定基準に準ずる任意自動車対人賠償責任保険支払い基準を作成し、もって対人事故に係る保険金または損害賠償額の支払いの適正化を期する。
(2) 損害賠償額の算定、被害者との折衝等の業務を担当する職員に対しては、被害者の権利を侵すことのないように十分な指導、監督を行い、職員の資質の向上、能力の向上に万全を期する。
(3) 交通事故損害賠償をめぐる紛争について、和解のあっ旋を目的とする中立の機関を設置する。設置の場所その他の細目について甲は乙と協議する。
(4) 新保険について、対人事故に係る被保険者の負担すべき法律上の損害賠償責任の総額が確定していない場合でも、被保険者または被害者の申し出があったときは、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することが明らかである金額について、保険金または損害賠償額の内払いを行ない、被保険者および被害者の交通事故による経済的負担を軽減する。
第二 乙は下記1ないし6を提案し、甲および各社員会社はこれに同意した。
(1) 被害者の保険会社に対する直接請求権を新保険の約款上明記する。
(2) 各社員会社は、新保険について「保険会社による示談代行」など弁護士法違反の疑いがある宣伝、広告活動を行わない。
(3) 各社員会社は、新保険の約款賠償責任条項第五条による被害者との折衝等の業務については、弁護士との緊密な連携のもとに、公正かつ妥当な処理を行う。
(4) 各社員会社は、新保険の約款賠償責任条項第五条の業務については、必ず、会社の常勤の職員に担当させるものとし、代理店その他部外者に委嘱しない。また、担当職員の給与は、歩合制その他取扱件数に応じた報酬制度によっては支給しない。
(5) 各社員会社は、保険士その他非弁護士の交通事故への介入を防止するため、次の措置をとる。
① 被害者の親族以外の者が被害者の代理人として反復して損害賠償の請求を行った場合には、甲は各地域ごとに各社員会社の資料を整理して乙または乙の支部に通知する。
② 各社員会社は、上記の請求には原則として応じない。
(6) 各社員会社は、交通事故損害賠償をめぐる紛争当事者が事件について弁護士に相談し、または委任する機会を増大させるように配慮する。
   その方法および内容については,甲と乙が協議のうえ決定する。
第三 本覚書に記載された事項に関連する事項、その他任意自動車対人賠償責任保険に関する一切の問題を対象として、甲と乙とは、今後、定期および随時に協議を行うものとする。
   上記のとおり確認の証として、本覚書製本二通を作成し、甲・乙双方記名調印のうえ、各々その一通を保有し,各社員会社はそれぞれ副本一通を保有する。
昭和四十八年九月一日
甲  社団法人 日本損害保険協会

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(AI作成)後遺障害12級相当の手関節可動域制限に伴う弊害及び代償動作の包括的解説

◯本ブログ記事は専らAIで作成したものであり,末尾にAIファクトチェック結果(「補足あり」を含めれば記載内容はすべて「真実」です。)を付けています。
◯医師と損保のための分かりやすい交通事故外傷Q&A-整形外科編-(保険毎日新聞社)に基づく追加記載についてはファクトチェックの対象外です。

目次
第1 手関節の機能解剖と可動域制限の基礎的理解

1 手関節の複合的な構造と役割

2 運動連鎖(キネティックチェーン)の視点

第2 主要運動「掌屈(屈曲)」の制限による弊害と対策

1 掌屈機能の重要性と制限による具体的弊害

2 掌屈制限に対する代償動作の選別

第3 主要運動「背屈(伸展)」の制限による弊害と対策

1 背屈機能の重要性と制限による具体的弊害

2 背屈制限に対する代償動作の選別

第4 参考運動「橈屈」の制限による弊害と対策

1 橈屈機能の重要性と制限による具体的弊害

2 橈屈制限に対する代償動作の選別

第5 参考運動「尺屈」の制限による弊害と対策

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謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所

目次
第1 謄写業者
1 大阪地家裁及び大阪地検の場合
2 京都地家裁及び京都地検の場合
3 神戸地検の場合
4 謄写申請書等の書式
第2 確定した刑事記録の保管場所
1 一般的な取扱い
2 大阪地検の取扱い
第3 検察庁HPの説明
第4 「謄写」の意義に関する裁判例
第5 関連記事

第1 謄写業者
1 大阪地家裁及び大阪地検の場合
(1)   刑事記録を謄写(コピー)する際に利用する謄写業者は以下のとおりです。
①  加害者の刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の場合(一般財団法人司法協会HPの「記録謄写(複写)」参照)
・ 大阪地裁本庁に係属している場合
〒530-8521
大阪市北区西天満2丁目1番10号
大阪高等・地方裁判所庁舎1階
司法協会大阪出張所(電話:06-6336-1290)
・ 大阪地裁堺支部に係属している場合
〒590-8511
大阪府堺市堺区南瓦町2番28号
大阪地家裁堺支部庁舎6階
司法協会堺出張所(電話:072-227-4781)
・ 大阪地裁岸和田支部に係属している場合
〒596-0042
大阪府岸和田市加守町4丁目27番2号

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搭乗者傷害保険

目次
1 総論
2 自賠責保険金等とは別枠の支払であること
3 人身傷害補償保険との違い
4 搭乗者傷害保険の内容
5 搭乗者傷害保険の医療保険金
6 関連記事

1 総論
(1) 搭乗者傷害保険に加入しているクルマに乗っている人(運転手及び同乗者)が交通事故でケガをしたり,死亡したりした場合,過失に関係なく定額の保険金が支給されます。
    そのため,例えば,運転手の過失割合が100%の場合であっても,わざと交通事故を起こしたような場合でない限り,運転手及び同乗者に対して保険金が支払われます。
(2) 搭乗者傷害保険を利用したとしても,ノンフリート等級が下がることはありません(「ノンフリート等級」参照)。

2 自賠責保険金等とは別枠の支払であること
    搭乗者傷害保険は,加害者からの損害賠償金,自賠責保険金等とは別枠で支払いを受けることができます(最高裁平成7年1月30日判決参照)。
    そのため,例えば,加害者の過失割合が100%の交通事故のため,加害者の任意保険で治療費等を全部まかなえる場合であっても,それとは別枠で被害者に対して保険金が支払われます。

3 人身傷害補償保険との違い
(1) 被保険自動車に乗車中に交通事故にあった場合において何らかの過失がある場合,搭乗者傷害保険に加えて,過失部分について人身傷害補償保険が適用されます(「人身傷害補償保険」参照)。
    そのため,搭乗者傷害保険は,人身傷害補償保険の上乗せ保険みたいな位置づけになっています。
(2) 搭乗者傷害保険の場合,定額の保険金が支払われるのに対し,人身傷害補償保険の場合,実際の損害額を基準とした保険金が支払われます。
(3) おとなの自動車保険HPの「人身傷害と搭乗者傷害の選び方」に,加入パターン別お支払い例が掲載されています。

4 搭乗者傷害保険の内容
・ 搭乗者傷害保険では,被保険自動車の事故により運転手や同乗者が死傷したときに定額の保険金が支払われますところ,その内容は以下のとおりです。
① 死亡保険金
→ 事故発生日から180日以内に死亡した場合に,保険金額100%の保険金が支払われます。
② 後遺傷害保険金
→ 事故発生日から180日以内に後遺障害が発生した場合に,後遺障害等級に応じて保険金額の4%から100%の保険金が支払われます。
③ 医療保険金

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西村謄写館及びOPO謄写センター

目次
1 総論
2 謄写件数等報告書
3 堺支部及び岸和田支部での謄写業務
4 謄写料金等
5 電話番号
6 関連記事

1 総論
(1) 西村謄写館は大阪地検本庁及び大阪地検堺支部の記録の謄写業務を担当し,OPO謄写センターは大阪地検本庁の記録の謄写業務を担当しています。
   その関係で,大阪地検本庁で刑事記録を謄写する場合,OPO謄写センター及び西村謄写館のどちらで謄写するかという,閲覧・謄写に関する申出書を提出する必要があります。
(2) OPO謄写センターは18階にある公判提出予定記録の閲覧部屋の隣にあり,西村謄写館は18階のOPO謄写センターの隣にあります。
   また,大阪地検が入居している大阪中之島合同庁舎は,1階から13階までは低層階エレベーターを使用し,13階から24階までは高層階エレベーターを使用しています。
   そのため,確定記録の閲覧場所である8階からOPO謄写センター及び西村謄写館が入居している13階に行く場合,13階で乗り換える必要があります。
(3) OPO謄写センターは,検察庁職員だった人が運営しているといわれています(友新会HPの「第6回 事件記録の謄写問題が解決-地検堺支部」参照)。
(4) 西村謄写館は,令和7年8月18日,大阪市北区西天満1丁目10-1の秋田ビル1階から,大阪市北区西天満4丁目3-9の和光ビル2階に移転したものの,電話番号及びファックス番号の変更はありません。

2 謄写件数等報告書
(1) 西村謄写館の謄写件数等報告書を以下のとおり掲載しています。
平成29年度,平成30年度,令和元年度,令和2年度,
令和3年度,令和4年度,令和5年度,令和6年度,
* 「西村謄写館の謄写件数等報告書(令和3年度)」といったファイル名です。
(2) OPO謄写センターの謄写件数等報告書を以下のとおり掲載しています。
平成29年度,平成30年度,令和元年度,令和2年度,
令和3年度,令和4年度,令和5年度,令和6年度,
* 「OPO謄写センターの謄写件数等報告書(令和3年度)」といったファイル名です。

3 堺支部及び岸和田支部での謄写業務
(1) 平成21年3月までは,大阪弁護士協同組合が大阪地検堺支部の記録謄写業務を行っていたものの,同年4月以降,西村謄写館が大阪地検堺支部の記録謄写業務を行うようになりました(友新会HPの「第6回 事件記録の謄写問題が解決-地検堺支部」参照)。
(2) 岸和田支部に保管されている刑事記録の謄写を西村謄写館に依頼する場合,西村謄写館が検察庁にその都度,コピー機を持ち込んでコピーしている関係で,枚数に応じた出張料を請求されます(全国弁護士協同組合HPにある,大阪弁護士協同組合の「当組合おすすめお役立ち情報」参照)。
(3) 平成29年4月現在,西村謄写館が岸和田支部に出張するのは週に1回だけですから,岸和田支部の刑事記録を謄写する場合,特に時間がかかります(早い場合は10日から2週間,長い場合は2ヶ月ぐらいらしいです。)。
   そのため,例えば,実況見分調書だけが欲しい場合,とりあえずは,デジカメ等で接写した上でプリントアウトしたものを利用した方がいいかもしれません。

4 謄写料金等
(1) 西村謄写館の謄写料金等
ア 令和元年10月時点のコピー謄写料金(基本)一覧表を掲載しています。
イ 大阪地検本庁,堺支部,岸和田支部及び羽曳野区検を通じて,公判前であると確定記録であるとを問わず,モノクロが1枚40円,カラーが1枚70円です(消費税0%と書いてあることの意味は不明です。)。
ウ(ア) 公判前であると確定記録であるとを問わず,堺支部への出張経費等は500円以上であり,大阪府下全域への出張経費は1000円以上であり,他府県への出張経費は1500円以上です。
   ただし,案件によりケースバイケースでとのことです。
(イ) 友新会HPの「第6回 事件記録の謄写問題が解決-地検堺支部」(2009年9月2日掲載)の以下の記載との整合性はよく分かりません。
    検察庁に対し抜本的な解決をなすよう要望を続けてきましたところ、ようやく9月から、西村謄写館が堺支部にコピー機を設置できることとなりました。これで謄写の遅延の原因が解消されましたし、また、西村謄写館からは堺支部に西村さんのコピー機が設置された時点で堺支部の案件には出張料を請求しないとの回答を得ていますので、4月以来の懸案が抜本的に解決されることとなりました。
エ 確定記録の場合,150円の印紙代が別途,実費として発生します。

(2) OPO謄写センターの謄写料金等
ア 令和2年4月1日現在の謄写料金表を掲載しています。
イ 大阪地検本庁,堺支部,岸和田支部及び羽曳野区検を通じて,公判前であると確定記録であるとを問わず,税込みで,モノクロが1枚40円,カラーが1枚70円です。
ウ 大阪地検本庁の記録だけを取り扱っています。
エ 大阪市北区西天満1~6丁目とその一部周辺は,原則,平日(月~金曜日)夕方に弁護士事務所まで無料配達しています。
   また,同市中央区北浜1~4丁目及び同区今橋1~4丁目は,平日の月・水・金曜日の夕方に弁護士事務所まで無料配達しています。

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西村謄写館及びOPO謄写センターと検察庁との間の協定書等

1(1) 大阪高検及び大阪地検と協定書等を作成している謄写業者(西村謄写館及びOPO謄写センター)の謄写業務のうち,紙媒体による謄写業務には以下の3種類があります。
① 対面業務式
   使用許可に係る設置場所に乾式複写機を設置し,謄写申請人の依頼を受けて,同人の代わりに事件記録等の謄写を行う業務
② セルフ式業務
   使用許可に係る設置場所に設置されている特定の乾式複写について,謄写申請人自らが行う事件記録等の謄写に利用させる業務
→ 大阪高検及び大阪地検の場合,1枚当たり20円を超えて設定することはできない反面,白黒コピーに限定されています。
③ 出張謄写業務
   大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理する事件記録等の謄写について,謄写申請人の依頼を受けて,同人の代わりに当該事件記録等を管理する検察庁まで赴き,事件記録等の謄写を行う業務
(2) パソコン等を設置し,謄写申請人の依頼を受けて,同人の代わりにCD-R,DVD,BD-R,USBメモリ,フロッピーディスクその他の外部電磁的記録媒体に記録された情報を,別の外部電磁的記録媒体に謄写する業務は,対面式業務及び出張謄写業務に含まれる業務とされています。
   
2 西村謄写館が,大阪高検,大阪地検本庁,大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理している事件記録等の謄写業務に関して,大阪高検及び大阪地検との間で作成している以下の文書を掲載しています。
① 平成26年4月1日付の事件記録等謄写業務協定書
② 平成26年4月1日付の謄写対象物管理計画
③ 平成26年4月1日付の情報セキュリティ計画
→ 本文は全部黒塗りです。

3 OPO謄写センターが,大阪高検,大阪地検本庁,大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理している事件記録等の謄写業務に関して,大阪高検及び大阪地検との間で作成されている以下の文書を掲載しています。
① 平成26年4月1日付の事件記録等謄写業務協定書
② 平成26年4月1日付の謄写対象物管理計画
③ 平成26年4月1日付の情報セキュリティ計画
→ 本文は全部黒塗りです。

4 西村謄写館が,大阪地検堺支部が管理している事件記録等の謄写業務に関して,大阪高検及び大阪地検との間で作成している以下の文書を掲載しています。
① 平成26年9月1日付の事件記録等謄写業務協定書
② 平成26年9月1日付の謄写対象物管理計画
③ 平成26年9月1日付の情報セキュリティ計画
→ 本文は全部黒塗りです。

5 以下の記事も参照してください。
① 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所
② 西村謄写館及びOPO謄写センター
③ 交通事故事件の刑事記録の入手方法

任意保険が適用されない場合

目次
第1 任意保険一般が適用されない場合
第2 一定の任意保険が適用されない場合
第3 対人賠償責任保険が適用されない場合
1 総論
2 記名被保険者が被害者となる場合
3 自分の配偶者等が被害者となる場合
4 同僚災害の場合
第4 関連記事その他

第1 任意保険一般が適用されない場合
1 保険約款所定の免責事由によって損害が発生した場合,任意保険金は支払われません(保険法17条1項後段参照)。
2    以下のいずれかに該当する事由によって生じた損害については通常,保険約款所定の免責事由となっています。
① 戦争,外国の武力行使,革命,政権奪取,内乱,武装反乱その他これらに類似の事変又は暴動
② 地震若しくは噴火又はこれらによる津波
③ 核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物の放射性,爆発性その他有害な特性の作用又はこれらの特性に起因する事故
④ ③に規定した以外の放射線照射又は放射能汚染
⑤ ①から④までの事由に随伴して生じた事故又はこれらに伴う秩序の混乱に基づいて生じた事故(=随伴事故)
⑥ 被保険自動車を競技若しくは曲技のために使用すること,又は被保険自動車を競技若しくは曲技を行うことを目的とする場所において使用すること。

第2 一定の任意保険が適用されない場合
1 被保険者が免許取消期間中に運転をしたり,免許停止期間中に運転をしたり,酒気帯び運転をしたりしている時に交通事故が発生した場合,被害者保護のため,対人賠償責任保険及び対物賠償責任保険は適用されます。
しかし,人身傷害補償保険,搭乗者傷害保険,車両保険,弁護士費用特約といった自分のための保険は一切適用されません。
2 大阪府民共済の死亡共済金についていえば,酒気帯び運転中に交通事故にあった場合,事故による死亡共済金ではなく,病気による死亡共済金が出るにすぎません(大阪府民共済HPの「死亡共済金のお支払いについて」参照)。
3 台風,洪水又は高潮の場合の任意保険の適用は以下のとおりです。
① 対人賠償責任保険,対物賠償責任保険及び無保険車傷害保険
→ 随伴事故も含めて任意保険の適用がありません。
② 車両保険
→ 任意保険の適用があります。
③ 人身傷害補償保険,搭乗者傷害保険及び自損事故保険

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被害者に関する犯罪捜査規範の条文

◯被害者に関する犯罪捜査規範の条文は以下のとおりです。

(秘密の保持等)
第九条   捜査を行うに当たつては、秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、被疑者、被害者(犯罪により害を被つた者をいう。以下同じ。)その他事件の関係者の名誉を害することのないように注意しなければならない。
2   捜査を行うに当たつては、前項の規定により秘密を厳守するほか、告訴、告発、犯罪に関する申告その他犯罪捜査の端緒又は犯罪捜査の資料を提供した者(第十一条(被害者等の保護等)第二項において「資料提供者」という。)の名誉又は信用を害することのないように注意しなければならない。

(関係者に対する配慮)
第十条   捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。

(被害者等に対する配慮)
第十条の二   捜査を行うに当たつては、被害者又はその親族(以下この節において「被害者等」という。)の心情を理解し、その人格を尊重しなければならない。
2   捜査を行うに当たつては、被害者等の取調べにふさわしい場所の利用その他の被害者等にできる限り不安又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。

(被害者等に対する通知)
第十条の三   捜査を行うに当たつては、被害者等に対し、刑事手続の概要を説明するとともに、当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない。ただし、捜査その他の警察の事務若しくは公判に支障を及ぼし、又は関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合は、この限りでない。

(被害者等の保護等) 
第十一条   警察官は、犯罪の手口、動機及び組織的背景、被疑者と被害者等との関係、被疑者の言動その他の状況から被害者等に後難が及ぶおそれがあると認められるときは、被疑者その他の関係者に、当該被害者等の氏名又はこれらを推知させるような事項を告げないようにするほか、必要に応じ、当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない。 
2   前項の規定は、資料提供者に後難が及ぶおそれがあると認められる場合について準用する。
(捜査の回避) 
第十四条   警察官は、被疑者、被害者その他事件の関係者と親族その他特別の関係にあるため、その捜査について疑念をいだかれるおそれのあるときは、上司の許可を得て、その捜査を回避しなければならない。

(親告罪の要急捜査)
第七十条   警察官は、親告罪に係る犯罪があることを知つた場合において、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。この場合においては、被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない。

(現場における負傷者の救護等)

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被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録

○「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(平成20年11月19日付の法務省刑事局長依命通達)によれば,被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において,閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録は,以下のとおりです(意味の同一性を失わない限度で,閲覧・謄写を請求する側の表現に変えています。)。
○通達原文では,供述調書等につき,代替性がない場合,例外的に閲覧が認められ,供述者が死亡する「など」代替性がない場合,例外的に謄写が認められると書いてあります。
   そのため,例えば,供述者は生存しているが,その連絡先が不明である場合,供述調書の閲覧は認められるが,供述調書の謄写は認められないのかもしれません。

1 客観的証拠の閲覧
   被害者参加対象事件の被害者等については,「事件の内容を知ること」等を目的とする場合であっても閲覧が可能ですから,原則として,代替性の有無にかかわらず,相当でないと認められる場合を除き,閲覧が認められます。
  具体的な証拠の取扱いについては,以下のとおりです。
(1) 実況見分調書,検証調書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,原則として,閲覧が認められます。
   ただし,立会人の特定に関する記載や立会人が写っている写真等は,立会人のプライバシーにかかわるものであり,これが公になることにより第三者の協力が得られないこととなるおそれがあることなどから,マスキング等の措置がなされることがあります。
  その他,例えば,犯罪に関する痕跡のない部屋の見取図や写真についても,関係者のプライバシーという観点から,マスキング等の措置がなされることがあります。
  また,立会人の指示説明部分については,供述調書に準ずるものとして取り扱われますし,犯行状況の再現等のために行われた実況見分や検証の調書等についても同様です。
(2) 死者の検視調書,死亡診断書,死体検案書,死体の鑑定書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,当該死者の遺族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として,閲覧が認められます。
   この場合,死体の写真については,死者の名誉やプライバシーを侵害するおそれが高いことから,原則として,マスキングの措置が講じられますが,遺族及びその代理人たる弁護士からの強い要望があり,他に特段の弊害があるとは認められない場合,閲覧が認められることがあります。
  その場合,事前に遺族等に対し,死体の写真が衝撃的でショックを受けるおそれがあることなどを十分説明し,状況に応じて再考を促すなど,十分な意思確認が行われます。
(3) 身体の鑑定書,身体検査調書,診断書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,鑑定等の対象となった被害者本人若しくはその親族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として閲覧が認められます。
(4) 精神鑑定書等については,鑑定の対象者のプライバシー性がきわめて高いことから,原則として,閲覧が認められません。
  ただし,開示に伴う弊害がなく,かつ,開示を必要とする特段の事情があると認められる場合に限り,閲覧が認められます。例えば,鑑定の対象者等又はその代理人たる弁護士の有効な同意があるような場合には,鑑定人に及ぶ影響や弊害等も踏まえ,閲覧が認められることがあります。
(5) 信号機サイクル表については,原則として閲覧が認められます。
(6) 証拠物の写真撮影報告書,鑑定書等については,証拠物の性状等の客観的な事実を示すものですから,原則として,閲覧が認められます。
(7) 関係者の飲酒の有無・アルコール濃度に関する飲酒検知管,鑑定書等については,対象者が生存していても,原則として,閲覧に応じ,又はその結果の照会に対して回答してもらえます。
(8) その他の交通事故鑑定,速度違反,出火原因鑑定等の鑑定書については,原則として,閲覧が認められます。

2 供述調書等の閲覧
   供述調書等については,関係者の名誉・プライバシー,今後の捜査一般の円滑な遂行を害するおそれが高いため,原則として閲覧が認められていません。
  ただし,閲覧請求に係る供述調書等が代替性のないものであるときは,相当でないと認められる場合を除き,例外的に閲覧が認められることがあります。
  このように,供述調書については,原則として閲覧が認められませんが,被害者等の要望に応じて,不起訴処分をする際に,検察官において,処分理由の説明の一環として,必要と認められるときは供述内容を口頭で説明するなどの配慮が行われることがあります。

3 謄写できる部分
(1)   謄写については,当該事件が被害者参加対象事件であるか否かにかかわらず,民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使する場合に限り,必要性及び相当性が認められる部分について認められることになっていますところ,通常は閲覧できる範囲と謄写できる範囲は同じです。
(2)   供述調書等については,供述人が死亡するなど代替性がないと認められる場合を除き,謄写が認められません。

4 「交通事故事件の刑事記録の入手方法」も参照してください。

物損に関する示談

目次
第1 総論
第2 損害保険の調査会社
第3 車両修理費又は買換差額費
1 総論
2 車両時価額の算定方法
3 レッドブック
4 板金又は部品交換
5 塗装
6 買換諸費用
第4 評価損(格落ち損)及び修復歴車(事故車)
1 評価損
2 修復歴車(事故車)
第5 代車使用料又は休車損害及び保管料
1 代車使用料
2 休車損害
3 保管料
4 代車使用時の交通事故の取扱い
第6 積荷,着衣,携行品等の損害
第7 レッカー代
第8 慰謝料
第9 対物賠償責任保険との関係
第10 車両保険との関係
第11 関連記事その他

* 弁護士費用特約を使える場合を除き,物損単独のご依頼は一切,引き受けていません。
第1 総論
1 物損に関して示談をする場合,任意保険会社に対し,損害を受けた物品の購入金額,購入時期等を申告したり,損害を受けた物品の写真を提出したりして,物損の損害額を確定する必要があります。
   そして,任意保険会社と合意した過失割合に基づいて示談を成立させることとなります。
2 損害を受けた携行品の写真を撮る場合,①携行品全体の写真及び②品番・型番等が分かる部分の写真の両方を撮ってください。

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弁護士費用特約

目次
第1 総論
第2 弁護士費用特約を利用できる人
第3 弁護士費用特約の適用範囲
第4 自分で選んだ弁護士の弁護士費用でも支払ってもらえること等
第5 日弁連LACが関与した委任契約書を作成する場合があること
第6 弁護士費用特約を利用できない手続
1 人身傷害補償保険に請求するための弁護士費用は支払ってもらえないこと
2 相手方及び労働基準監督署からの請求に対応するための弁護士費用は支払ってもらえないこと
3 労災保険給付を請求するための弁護士費用は支払ってもらえないこと
第7 訴訟上の和解の方が判決よりも望ましい場合が多くなること
第8 交通事故以外に適用される弁護士費用保険
第9 保険金を支払わない場合における保険会社の説明等
第10 関連記事その他

損保もね、バカじゃないの。
損保担当者は、弁護士にいかないように丁寧に対応してるんだよ。
損保担当者は、平均すると一人80件前後の人身事件担当してるけど、弁護士介入案件は、8%前後。
それくらい、弁特は使われていないと損保の友人に聞いたよ。
交通事故に遭ったら、弁護士に!のCMを!

— 弁護士竜馬君 (@seigikunneisu) November 17, 2023

第1 総論
1 弁護士費用特約は任意保険の特約のことであり,交通事故にあった被害者が,①弁護士に対して法律相談をする際の法律相談費用,及び②弁護士に依頼して損害賠償請求をする際の弁護士報酬及び実費を保険会社が負担してくれるという特約です。
2(1)   弁護士費用特約に基づく保険金の額は,1回の被害事故について,被保険者1名当たり300万円を限度としています。
    また,これとは別に,法律相談費用保険金の額は,1回の被害事故について,被保険者1名当たり10万円を限度としています。
(2) 弁護士費用特約を利用できる場合,弁護士費用が300万円以下である限り,被害者が加害者に対して損害賠償請求をするとき,自らの費用負担なしで弁護士に依頼できることとなります。
(3)ア 例えば,以下の費用は弁護士費用特約の支払対象となります。
① 弁護士の着手金及び成功報酬金
② 訴訟を提起する際の印紙代及び切手代

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労災保険又は障害年金を支給される可能性がある事案における示談

目次
1 総論
2 示談の文言
3 労災保険の支給決定前の示談の取扱い
4 自賠責保険の被害者請求と労災保険等の求償との関係
5 関連記事その他

1 総論
(1) 交通事故が労働災害に該当する場合,被災者は,使用者とは別の第三者の加害行為によってケガをしたこととなりますから,第三者行為災害となります(「第三者行為災害としての交通事故」参照)。
(2) 第三者行為災害の場合,労災保険は,被災者である交通事故被害者に支払った障害補償給付等を,被災者の過失割合に応じて損害保険会社に請求します。

2 示談の文言
(1)   示談が真正に成立し,かつ,その示談内容が,受給権者の第三者に対する損害賠償請求権(保険給付と同一の事由に基づくものに限る。)の全部の填補を目的とするものである場合,放棄した損害賠償請求権について,労災保険からの支給を受けることができなくなります(最高裁昭和38年6月4日判決参照)。
    また,慰謝料「以外の」名目で加害者から損害賠償金を支払ってもらった場合,その分,労災保険からの支給が減ります(労災保険法12条の4第2項)。
    そのため,労災保険からの支給がある場合,労基署に相談した上で示談する必要があります。
(2)ア 実務上は,以下の文言にしておけば特に問題はないです。
    乙は,甲に対し,本件事故に関して,労働者災害補償保険法,厚生年金保険法及び国民年金法に基づく過去及び将来の給付金並びに乙の甲に対する既払金とは別に,解決金として,金○○万円の支払義務があることを認める。
イ 「相手方は、請求人に対し、一切の損害の賠償として既払金のほか○万円の支払義務のあることを認めるとともに、請求人と相手方との間には当該示談金の支払のほかは、何らの債権債務のないことを確認する」という示談書を作成した事案では,労基署長から既払いの労災保険給付を取り消され,労働保険審査官に対する審査請求も棄却されましたが,労働保険審査会に対する再審査請求の結果,労災保険給付が再び支給されることになりました(労働保険審査会の平成30年労第42号の裁決参照)。
(3) 高額療養費をまだ支給されていない場合,「国民健康保険からの高額療養費とは別に」といった文言を追加すればいいです。

3 労災保険の支給決定前の示談の取扱い
・ 第三者行為災害事務取扱手引61頁及び62頁によれば,労災保険の支給決定前に示談が成立している場合の取扱いは以下のとおりです。
(1) 真正な全部示談が成立している場合の取扱い
    第一当事者等と第二当事者等の間で真正な労災保険給付を含む全損害の填補を目的とする示談(以下「全部示談」という。)が行われたと判断された場合には,それ以後の労災保険給付を行わないこと。
    労災保険給付を行わない場合の要件は,次の2点である。
ア 当該示談が真正に成立していること
    なお,次のような場合には真正に成立した示談とは認められないこと。
① 当該示談の成立が錯誤,心裡留保(その真意を知り,又は知り得べかりし場合に限る。)に基づく場合
② 当該示談の成立が詐欺又は強迫に基づく場合
イ 当該示談の内容が,第一当事者等の第二当事者等に対して有する損害賠償請求権(労災保険給付と同一の事由に基づくものに限る。)の全部の填補を目的としていること

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