交通事故

略式手続における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布

・ 平成30年
罰金4万1214人(うち,100万円は41人,50万円以上は6979人,30万円以上は1万5245人,20万円以上は8659人,10万円以上は1万264人,5万円以上は16人,3万円以上は0人,1万円以上は1人),略式不能等は9人
・ 平成29年
罰金4万3480人(うち,100万円は54人,50万円以上は7140人,30万円以上は1万5958人,20万円以上は9326人,10万円以上は1万966人,5万円以上は35人,3万円以上は1人),略式不能等は13人
・ 平成28年
罰金4万5019人(うち,100万円は43人,50万円以上は7034人,30万円以上は1万6365人,20万円以上は9642人,10万円以上は1万1910人,5万円以上は23人,3万円以上は2人),略式不能等は10人
・ 平成27年
罰金4万6224人(うち,100万円は56人,50万円以上は7057人,30万円以上は1万6658人,20万円以上は1万123人,10万円以上は1万2305人,5万円以上は24人,3万円以上は1人,1万円以上は0人,1万円未満は0人),略式不能等は15人
・ 平成26年
罰金4万7913人(うち,100万円は61人,50万円以上は7119人,30万円以上は1万6959人,20万円以上は1万584人,10万円以上は1万3178人,5万円以上は11人,3万円以上は0人,1万円以上は1人,1万円未満は0人),略式不能等は11人
・ 平成25年
罰金5万392人(うち,100万円は54人,50万円以上は7531人,30万円以上は1万7717人,20万円以上は1万969人,10万円以上は1万4104人,5万円以上は16人,3万年以上は0人,1万円以上は0人,1万円未満は1人),略式不能等は11人
・ 平成24年
罰金5万2248人(うち,100万円は60人,50万円以上は7575人,30万円以上は1万8359人,20万円以上は1万1494人,10万円以上は1万4742人,5万円以上は14人,3万円以上は2人,1万円以上は2人,1万円未満は0人),略式不能等は9人
・ 平成23年
罰金5万3485人(うち,100万円は54人,50万円以上は7607人,30万円以上は1万8468人,20万円以上は1万1964人,10万円以上は1万5363人,5万円以上は24人,3万円以上は2人,1万円以上は3人,1万円未満は0人),略式不能等は16人

* 毎年2月1日発行の法曹時報の図表145→図表140がデータの出典です。

略式手続における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布

・ 平成30年
罰金844人(うち,100万円は59人,50万円以上は476人,30万円以上は171人,20万円以上は110人,10万円以上は28人),略式不能等は3人
・ 平成29年
罰金932人(うち,100万円は58人,50万円以上は550人,30万円以上は185人,20万円以上は109人,10万円以上は30人),略式不能等は2人
・ 平成28年
罰金920人(うち,100万円は71人,50万円以上は511人,30万円以上は183人,20万円以上は120人,10万円以上は35人),略式不能等は3人
・ 平成27年
罰金1055人(うち,100万円は52人,50万円以上は596人,30万円以上は229人,20万円以上は144人,10万円以上は28人,5万円以上は1人),略式不能等は5人
・ 平成26年
罰金1080人(うち,100万円は74人,50万円以上は599人,30万円以上は232人,20万円以上は135人,10万円以上は38人),略式不能等は2人
・ 平成25年
罰金1204人(うち,100万円は92人,50万円以上は668人,30万円以上は255人,20万円以上は151人,10万円以上は35人),略式不能等は1人
・ 平成24年
罰金1192人(うち,100万円は76人,50万円以上は632人,30万円以上は302人,20万円以上は151人,10万円以上は31人),略式不能等は3人
・ 平成23年
罰金1357人(うち,100万円は97人,50万円以上は738人,30万円以上は326人,20万円以上は167人,10万円以上は29人),略式不能等は4人

* 毎年2月1日発行の法曹時報の図表145→図表140がデータの出典です。

通常第一審における過失運転致傷罪(従前の自動車過失運転致傷罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

・ 平成30年
懲役・禁錮2744人(うち,全部執行猶予は2584人であり,執行猶予率は98.6%),罰金は121人,無罪は2人,その他は53人
・ 平成29年
懲役・禁錮2836人(うち,全部執行猶予は2646人であり,執行猶予率は98.7%),罰金は154人,無罪は3人,その他は57人
・ 平成28年
懲役・禁錮2717人(うち,執行猶予は2654人であり,執行猶予率は97.8%),罰金は117人,無罪は8人,その他は65人
・ 平成27年
懲役・禁錮2821人(うち,執行猶予は2735人であり,執行猶予率は97.0%),罰金は169人,無罪は6人,その他は56人
・ 平成26年
懲役・禁錮3015人(うち,執行猶予は2880人であり,執行猶予率は95.5%),罰金は145人,無罪は11人,その他は61人
・ 平成25年
懲役・禁錮3030人(うち,執行猶予は2883人であり,執行猶予率は95.2%),罰金は134人,無罪は9人,その他は71人
・ 平成24年
懲役・禁錮3264人(うち,執行猶予は3071人であり,執行猶予率は94.1%),罰金は141人,無罪は4人,その他は78人
・ 平成23年
懲役・禁錮3339人(うち,執行猶予は3138人であり,執行猶予率は94.0%),罰金は178人,無罪は4人,その他は93人

*0 毎年2月1日発行の法曹時報の図表144→図表139がデータの出典です。
*1 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
*2 「その他」は,控訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等です。

通常第一審における過失運転致死罪(従前の自動車過失運転致死罪を含む。)の量刑分布(地裁及び簡裁)

・ 平成30年
懲役・禁錮1352人(うち,全部執行猶予は1277人であり,執行猶予率は95.5%),罰金は8人,無罪は4人,その他は7人
・ 平成29年
懲役・禁錮1339人(うち,全部執行猶予は1261人であり,執行猶予率は95.0%),罰金は11人,無罪は4人,その他は5人
・ 平成28年
懲役・禁錮1468人(うち,執行猶予は1390人であり,執行猶予率は95.4%),罰金は14人,無罪は5人,その他は7人
・ 平成27年
懲役・禁錮1439人(うち,執行猶予は1351人であり,執行猶予率は94.3%),罰金は26人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成26年
懲役・禁錮1496人(うち,執行猶予は1395人であり,執行猶予率は94.1%),罰金は20人,無罪は5人,その他は13人
・ 平成25年
懲役・禁錮1611人(うち,執行猶予は1447人であり,執行猶予率は91.2%),罰金は11人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成24年
懲役・禁錮1658人(うち,執行猶予は1496人であり,執行猶予率は92.2%),罰金は14人,無罪は3人,その他は13人
・ 平成23年
懲役・禁錮1726人(うち,執行猶予は1568人であり,執行猶予率は92.3%),罰金は11人,無罪は7人,その他は19人

*0 毎年2月1日発行の法曹時報の図表144→図表139がデータの出典です。
*1 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
*2 「その他」は,公訴棄却,正式裁判請求の取下げ,移送等です。

通常第一審における危険運転致傷罪の量刑分布(地裁)

・ 平成30年
懲役総数292人(うち,10年以下は0人,5年以下は5人,3年は21人,2年以上は68人,1年以上は160人,6月以上は38人であり,全部執行猶予率は92.3%),無罪が0人,その他が4人
・ 平成29年
懲役総数341人(うち,10年以下は2人,5年以下は6人,3年は20人,2年以上は61人,1年以上は208人,6月以上は44人であり,全部執行猶予率は92.5%),無罪が2人,その他が3人
・ 平成28年
懲役総数338人(うち,10年以下は2人,5年以下が4人,3年が16人,2年以上が84人,1年以上が206人,6月以上が26人であり,執行猶予率は91.9%),無罪が0人,その他が1人
・ 平成27年
懲役総数327人(うち,10年以下は2人,5年以下が9人,3年が14人,2年以上が93人,1年以上が181人,6月以上が28人であり,執行猶予率は86.7%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成26年
懲役総数233人(うち,10年以下は1人,5年以下が6人,3年が21人,2年以上が63人,1年以上が130人,6月以上が12人であり,執行猶予率は81.4%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成25年
懲役総数163人(うち,10年以下は4人,5年以下が7人,3年が19人,2年以上が55人,1年以上が77人,6月以上が1人であり,執行猶予率は79.6%),無罪が0人,その他が2人
・ 平成24年
懲役総数169人(うち,10年以下は1人,5年以下が7人,3年が16人,2年以上が54人,1年以上が88人,6月以上が3人であり,執行猶予率は73.9%),無罪が0人,その他が1人
・ 平成23年
懲役総数168人(うち,10年以下は2人,5年以下が7人,3年が13人,2年以上が54人,1年以上が92人であり,執行猶予率は82.4%),無罪が0人,その他が2人

*0 毎年2月1日発行の法曹時報の図表143→図表138がデータの出典です。
*1 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
*2 「その他」は,公訴棄却,移送等です。
*3 平成26年5月20日,自動車運転死傷行為処罰法の制定により,危険運転致死傷罪の成立範囲が広がりましたから,従前は自動車運転過失致傷罪で起訴されていたものの一部が危険運転致傷罪で起訴されるようになりました。

通常第一審における危険運転致死罪の量刑分布(地裁)

・ 平成30年
懲役総数17人(うち,20年以下は4人,10年以下は8人,5年以下は4人,3年は1人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成29年
懲役総数31人(うち,20年以下は4人,10年以下は18人,5年以下は6人,3年は3人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成28年
懲役総数37人(うち,30年以下は2人,20年以下は2人,10年以下は20人,5年以下は11人,3年は2人,執行猶予率は50%),無罪は0人,その他は1人
・ 平成27年
懲役総数32人(うち,30年以下は1人,20年以下は6人,10年以下は15人,5年以下は8人,3年は2人,執行猶予率は50%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成26年
懲役総数17人(うち,20年以下は1人,10年以下は11人,5年以下は4人,3年は1人,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成25年
懲役総数32人(うち,20年以下は3人,10年以下は19人,5年以下は5人,3年は5人,2年以上は0人であり,執行猶予率は20%),無罪は0人,その他は0人
・ 平成24年
懲役総数23人(うち,20年以下は4人,10年以下は16人,5年以下は3人,3年以下は0人),無罪は0人,その他は0人
・ 平成23年
懲役総数17人(うち,20年以下は2人,10年以下は8人,5年以下は4人,3年は1人,2年以上は2人であり,執行猶予率は0%),無罪は0人,その他は0人

*0 毎年2月1日発行の法曹時報の図表143→図表138がデータの出典です。
*1 執行猶予率は,執行猶予言渡人員を懲役・禁固3年以下の有罪人員で除して100を乗ずることで算出しました。
*2 「その他」は,公訴棄却,移送等です。
*3 平成26年5月20日,自動車運転死傷行為処罰法の制定により,危険運転致死傷罪の成立範囲が広がりましたから,従前は自動車運転過失致死罪で起訴されていたものの一部が危険運転致死罪で起訴されるようになりました。

刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

1 総論
・ 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所

2 刑事裁判係属中の刑事記録に関する記事
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)

3 確定した刑事記録に関する記事
・ 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法

4 不起訴となった刑事記録に関する記事
・ 検番等の入手方法等
・ 不起訴事件記録の開示範囲の拡大
・ 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法

* 「実況見分調書作成時の留意点」も参照してください。

取扱者カード交付要領(大阪府警察)→交通事故の報告等をした際に交付されるもの

取扱者カード交付要領(大阪府警察)は以下のとおりです。大阪府警察に対し,遺失の届出,被害の届出,交通事故の報告,警察相談又は行方不明者の届出をしたときに交付されるカードの様式等を定めています。

取扱者カード交付要領

第1 趣旨
   この要領は、府民等からの届出等を受理した際の、届出人等に対する取扱者カード(以下「カー
ド」という。)の交付に関し必要な事項を定めるものとする。
第2 カードの交付の目的
   カードの交付は、届出等を受理した者が届出人等に対して自己の所属及び姓、事後の問合せ先等を記載したカードを交付することにより、当該届出等を受理した者の責任の明確化及び行政サービスの向上を図ることを目的とする。
第3 カードの交付
   職員は、次に掲げる届出等を受理したとき(面接して受理したときに限る。)は、それぞれに定
めるカードに所定の事項を記入した上、届出人等に交付するものとする。ただし、当該届出等が粗
野又は乱暴な言動により不穏に行われた場合、カードを交付することにより今後の正常な業務が阻
害され、又は自己に危害が及ぶことが予想される場合等特別な事情があると認めるときは、カード
を交付しないことができる。
(1) 遺失の届出別記様式の(その1)
(2) 被害の届出別記様式の(その2)
(3) 交通事故の報告別記様式の(その3)
(4) 警察相談(警察署地域課員(大阪水上警察署及び関西空港警察署にあっては、地域交通課
員(交通係員を除く。) )が、交番、駐在所等において口頭によって受理した警察相談のうち、
現場等で措置を講じ、かつ、完結したものを除く。) 別記様式の(その4)
(5) 行方不明者の届出別記様式の(その5)
第4 カードの備付け等
   所属長は、必要なカードを届出等の受理の窓口、交番等に備え付けるとともに、庁外においても
カードを交付することができるよう、必要に応じて職員にカードを配布し、携帯させるものとする。
第5 留意事項
1 カードの交付の目的を考盧し、届出人等が受領を拒否したときは、無理にカードを交付する必
要はない。
2 カードは警察証明事務取扱要領(昭和41年1月18日例規(務・会・庶・交総)第5号)により発行する警察証明等ではないので、カードを交付する際(警察相談を受理したときに交付する場合を除く。) 、証明書としては使えない旨を説明すること。



昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書(交通事故損害賠償に関するもの)

◯判例タイムズ943号(平成9年9月10日発行)5頁及び6頁に掲載されている,昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書は以下のとおりです(第1の(1)ないし(4),第2の(1)ないし(6)とあるのは,原文どおりです。)。

覚書

   社団法人日本損害保険協会(以下甲という。)と日本弁護士連合会の要請を受けた財団法人日弁連交通事故相談センター(以下乙という。)とは、甲の社員である各損害保険会社(以下各社員会社という。)が家庭用自動車保険(以下新保険という。)を新たに発売するに際して、今後の任意自動車対人賠償責任保険の運用について、交通事故損害賠償をめぐる紛争当事者の正当な権利を擁護し、社会正義を実現する目的で、下記条項を相互に確認する。
第一 甲は下記1ないし4の甲または各社員会社の行う諸施策について提案し、乙はこれに同意した。
(1) 裁判所の認定基準に準ずる任意自動車対人賠償責任保険支払い基準を作成し、もって対人事故に係る保険金または損害賠償額の支払いの適正化を期する。
(2) 損害賠償額の算定、被害者との折衝等の業務を担当する職員に対しては、被害者の権利を侵すことのないように十分な指導、監督を行い、職員の資質の向上、能力の向上に万全を期する。
(3) 交通事故損害賠償をめぐる紛争について、和解のあっ旋を目的とする中立の機関を設置する。設置の場所その他の細目について甲は乙と協議する。
(4) 新保険について、対人事故に係る被保険者の負担すべき法律上の損害賠償責任の総額が確定していない場合でも、被保険者または被害者の申し出があったときは、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することが明らかである金額について、保険金または損害賠償額の内払いを行ない、被保険者および被害者の交通事故による経済的負担を軽減する。
第二 乙は下記1ないし6を提案し、甲および各社員会社はこれに同意した。
(1) 被害者の保険会社に対する直接請求権を新保険の約款上明記する。
(2) 各社員会社は、新保険について「保険会社による示談代行」など弁護士法違反の疑いがある宣伝、広告活動を行わない。
(3) 各社員会社は、新保険の約款賠償責任条項第五条による被害者との折衝等の業務については、弁護士との緊密な連携のもとに、公正かつ妥当な処理を行う。
(4) 各社員会社は、新保険の約款賠償責任条項第五条の業務については、必ず、会社の常勤の職員に担当させるものとし、代理店その他部外者に委嘱しない。また、担当職員の給与は、歩合制その他取扱件数に応じた報酬制度によっては支給しない。
(5) 各社員会社は、保険士その他非弁護士の交通事故への介入を防止するため、次の措置をとる。
① 被害者の親族以外の者が被害者の代理人として反復して損害賠償の請求を行った場合には、甲は各地域ごとに各社員会社の資料を整理して乙または乙の支部に通知する。
② 各社員会社は、上記の請求には原則として応じない。
(6) 各社員会社は、交通事故損害賠償をめぐる紛争当事者が事件について弁護士に相談し、または委任する機会を増大させるように配慮する。
   その方法および内容については,甲と乙が協議のうえ決定する。
第三 本覚書に記載された事項に関連する事項、その他任意自動車対人賠償責任保険に関する一切の問題を対象として、甲と乙とは、今後、定期および随時に協議を行うものとする。
   上記のとおり確認の証として、本覚書製本二通を作成し、甲・乙双方記名調印のうえ、各々その一通を保有し,各社員会社はそれぞれ副本一通を保有する。
昭和四十八年九月一日
甲  社団法人 日本損害保険協会
乙  財団法人 日弁連交通事故相談センター

*1 赤字部分の記載に基づき,任意保険会社は,交通事故の被害者に対し,治療費等の内払いを実施しています。
*2 「交通事故損害賠償をめぐる紛争について、和解のあっ旋を目的とする中立の機関を設置する」という点については,昭和48年9月1日付の「確認メモ」があり,裁定委員会(仮称)の設置が予定されていました。
   しかし,この点について日弁連の理事会で決着がつかなかった結果,日弁連交通事故相談センターは,昭和49年3月15日の理事会で,裁定委員会(仮称)の設置見合わせを決定しました。
*3 「裁判所の認定基準に準ずる任意自動車対人賠償責任保険支払い基準」については,日弁連交通事故相談センターと日本損害保険協会との定期的協議が実施されなくなったことから,約2年毎の改定作業にも日弁連交通事故相談センターの意図を反映することができず,「裁判所の認定基準に準ずる」内容とはなりえなくなっていました。
   そして,規制緩和問題等も出てきたことから,平成9年3月25日付の日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの確認書によって廃止されることとなりました。

「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)

「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)を以下のとおり掲載しています。
○文中にあるとおり,交通事故における任意保険会社の示談提示額は自賠責保険基準の支払額を下回ることは禁止されています。

国土交通省自動車交通局保障課長から社団法人日本損害保険協会会長・外国損害保険協会会長・全国自動車共済協同組合連合会会長・全国労働者共済生活協同組合再共済連合会理事長・全国トラック交通共済協同組合連合会会長・全国共済農業協同組合連合会代表理事会長・自動車保険料率算定会理事長あて

通知

自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について

平成一三年六月に政府再保険の廃止及び被害者保護の充実を内容とする自動車損害賠償保障法(昭和三〇年法律第九七号。以下「法」という。)が改正され、また同年一二月に関係政省令が制定・改正され、それぞれ平成一四年四月一日から実施されることになったが、これらの改正等に伴う事務の実施については、次の実施細目のとおり取り扱うこととし、平成一四年四月一日から実施することとしたので、傘下会員、傘下組合等に周知願います。

なお、新法の経過措置規定により従前のとおり取り扱うこととしているものがあることを念のため申し添えます。

実施細目
1 政府再保険の廃止等
(1) 政府再保険の廃止
政府による再保険は、契約の始期が平成一四年四月一日以降のものから廃止する。従って、契約の始期が同日以降のものについては従前の手続きは必要としない。
(2) 追加保険料の廃止
追加保険料(追加共済掛金)の支払義務は、契約の始期にかかわらず、平成一四年四月一日以降に死亡した事案から廃止する。

2 支払基準(法第一六条の三関係)
法第一六条の三第一項の規定による支払基準として、別添のとおり「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成一三年金融庁・国土交通省告示第一号。以下「支払基準」という。)を定めたので、平成一四年四月一日以降に発生した事故からこれに従つて支払うものとし、現行の自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準は廃止する。ただし、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例による。

3 情報提供
書面の交付及び書面等による説明については、次のとおり行うものとし、平成一四年四月一日から実施するものとする。
なお、処理中の事案については、保険金(共済金)等の請求が平成一四年四月一日以降の場合は法第一六条の四及び法第一六条の五の規定を適用し、保険金等の請求は同年三月三一日以前であるが支払を行った日又は支払わないことを請求者に通知した日は同年四月一日以降の場合は法第一六条の四第二項又は第三項及び第四項並びに法第一六条の五の規定を適用することとする。
また、次の(一)から(四)までについては、被害者に対する情報提供を念頭においているが、被保険者(被共済者)に対する情報提供については、被害者のプライバシーに配慮しつつ必要な事項を行うものとする。
(1) 保険金(共済金)等の支払請求があった時(法第一六条の四第一項及び自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払の適正化のための措置に関する命令(平成一三年内閣府・国土交通省令第二号。以下「支払適正化措置省令」という。)第二条関係)
1) 非一括払の場合
支払基準の概要、保険金(共済金)等の支払の手続の概要及び指定紛争処理機関の概要を記載した書面を交付すること。
2) 一括払の場合
被害者と初期に接触した時点で次の事項を記載した書面を交付すること。
(i) 一括払制度の概要
(ii) 被害者は自賠責保険(共済)に直接請求できること
(iii) 一括払額は自賠責保険(共済)支払限度額内では自賠責保険(共済)の支払基準による積算額を下回らないこと
(iv) 自賠責保険(共済)支払基準の概要
(v) 指定紛争処理機関等紛争処理の仕組みの概要
(vi) 自賠責保険(共済)の請求から支払までの手続の概要等
(2) 保険金(共済金)等の支払いを行った時(第一六条の四第二項及び支払適正化措置省令第三条関係)
1) 非一括払の場合
事故の年月日、死亡、後遺障害、死亡に至るまでの傷害及び傷害ごとの支払金額を記載した書面を交付すること。
後遺障害の等級及び当該判断理由、減額を行った場合の減額割合及び当該判断理由並びにこれらに対する異議申立ての手続を記載した書面を交付すること。また、以下に掲げる事案については当該判断の理由を具体的に記載すること。
(i) 後遺障害のうち併合、加重及び相当の事案、外貌醜状の事案、並びに九級以上の神経系統の機能又は精神の障害及び胸腹部臓器の機能障害の事案
(ii) 重大な過失により減額を行った事案のうち、死亡事案及び傷害の程度等により被害者から事故状況の説明を受けることができなかった傷害事案
(iii) (ii)以外の重大な過失により減額を行った傷害事案のうち、異議申立により詳細に審査を行った事案
(iv) 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難なため、減額を行った事案
2) 一括払の場合
示談額提示の時点において、自賠責保険(共済)支払限度額内の事案については、示談提示額は自賠責保険(共済)支払基準に従って積算した額より低い額ではないこと及び自賠責保険(共済)支払基準の概要を(1)で交付した書面等を活用して説明すること。
認定結果の連絡時等において、後遺障害の等級及び当該判断理由、減額を行った場合の減額割合及び当該判断理由並びにこれらに対する異議申立ての手続を記載した書面を交付すること。
また、以下に掲げる事案については、当該判断の理由を具体的に記載すること。
(i) 後遺障害のうち併合、加重及び相当の事案、外貌醜状の事案、並びに九級以上の神経系統の機能又は精神の障害及び胸腹部臓器の機能障害の事案
(ii) 重大な過失により減額を行った事案のうち、死亡事案及び傷害の程度等により被害者から事故状況の説明を受けることができなかった傷害事案
(iii) (ii)以外の重大な過失により減額を行った傷害事案のうち、異議申立により詳細に審査を行った事案
(iv) 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難なため、減額を行った事案
(3) 保険金(共済金)等を支払わないこととした時(法第一六条の四第三項及び支払適正化措置省令第四条関係)
1) 非一括払の場合
事故状況の概要、被保険者(被共済者)に損害賠償の責任がない場合(無責事案、他人性がない事案、自損事故事案及び請求時効が完成している事案)の判断理由、事故により損害が発生していない場合(運行起因性のない事案、因果関係がない事案及び後遺障害非該当の事案)の判断理由及び保険会社(組合)がてん補の責を免れる場合(保険契約者(共済契約者)又は被保険者(被共済者)が悪意の事案)の判断理由を具体的に説明した書面を交付すること。
また、当該書面には、これらに対する異議申立ての手続を記載すること。
2) 一括払の場合
一括社が自賠社と連携して非一括払の場合と同様に行うこと。
(4) (2)又は(3)による交付又は説明等を行った後詳細な説明を求められた時(法第一六条の五第一項及び支払適正化措置省令第七条関係)
1) 非一括払の場合
(i) 損害の細目及びその積算根拠については、詳細を記載した書面を交付すること。この場合、法第一五条の規定に基づく被保険者(被共済者)からの請求又は法第一六条の規定に基づく被害者からの請求が競合している事案については、それぞれの請求者に支払われた額の詳細について記載する必要はなく、説明を求めた者に支払われたものについてその詳細を記載することとし、他の者に支払われたものについては、その額のみを記載すること。ただし、自賠責保険(共済)支払限度額を超える事案については、当該限度額を超えている旨の記載をもって足りることとする。
(ii) 後遺障害等級の判断理由の詳細については、「後遺障害等級認定票」、「後遺障害事案整理票」、「面接調査票」等を交付すること。
(iii) 減額を行った場合の減額割合の判断理由の詳細及び損害賠償責任が発生していないと判断した場合の判断理由の詳細については、「事故発生状況図」、減額適用上の過失割合、減額理由等を説明した書面を交付すること。
(iv) 事故により損害が発生していないと判断した場合の判断理由の詳細については、「因果関係事案整理票」等を交付すること。
(v) 保険会社等がてん補の責を免れる場合の判断理由の詳細については、事案に応じて具体的に説明した書面を交付すること。
なお、(i)から(v)に掲げる書面を既に交付している場合は、その旨を説明することとする。
2) 一括払の場合
自賠社において非一括払の場合と同様に行うこと。ただし、一括社が対応する場合は自賠社と連携して行うこと。
(5) (1)から(4)までに記載された事項以外についても、プライバシーの保護に配慮しつつ、できる限り情報提供するものとする。

4 保険金額(共済金額)(法施行令第二条、法施行令別表関係)
神経系統若しくは精神又は胸腹部臓器に著しい障害を残し介護を要する後遺障害の保険金額(共済金額)が、常時介護については四、〇〇〇万円に、随時介護については三、〇〇〇万円に引き上げられたが、複数の後遺障害を有する場合、自動車損害賠償法施行令(昭和三〇年政令第二八六号)別表第一内における併合及び同令別表第一と別表第二を通じての併合は行わないので注意すること。また、同令別表第一及び別表第二の障害が両方ある場合は支払基準の適用上被害者に有利なものを認定すること。

5 保険金(共済金)の支払に関する紛争処理制度(法第二三条の五~法第二三条の二一、支払適正化措置省令第一一条~第二六条関係)
保険金(共済金)等の支払いについて紛争が生じた場合の紛争処理機関として「財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構」が設置され、公正中立で専門的な知見を有する弁護士、医師等で構成する紛争処理委員が調停を行うこととなった。
この機関は、法第二三条の五の規定に基づき国土交通大臣及び内閣総理大臣の指定を受けて自賠責保険(共済)に係る保険金(共済金)の支払いに関する紛争処理(調停)を行うもので、東京と大阪において平成一四年四月から業務を行うこととしている。

6 届出事案(法第一六条の六、法施行規則第三条~第三条の二関係)
法第一六条の六に定める届出については、死亡事案若しくは後遺障害事案のうち後遺障害等級第一級から第三級までに該当するもの若しくは併合、加重若しくは相当に該当するものについて保険金(共済金)等の支払いを行ったとき又は請求があったにもかかわらず3(3)により保険金(共済金)等を支払わないこととした理由を記載した書面を交付したときに行うものとし、平成一四年四月一日から適用するものとする。
なお、政府との間で再保険契約が成立しているものについては、従来通りの取り扱いをするものとし、届出は必要としない。

7 報告及び立入検査(第二三条の二関係)
別途通知する。

8 通達の廃止
次に掲げる通達は廃止する。ただし、1)及び2)について、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例によるものとし、3)、4)及び5)について、契約の始期が平成一四年三月三一日以前の契約については、なお従前の例によるものとする。
1) 「自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準について」(昭和五〇年一月二二日付け自保第二五八号、最終改正平成一一年一二月二四日付け自保第二五六号)
2) 「自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準における被害者に重大な過失がある場合の損害額等の減額の取扱いについて」(平成一〇年二月二〇日付け自保第三一号)
3) 「自動車損害賠償責任保険契約通知書の早期提出について」(昭和四二年五月一五日付け自再第二一五号)
4) 「自動車損害賠償責任再保険事業における再保険(保険)金請求添付書類について」(昭和五〇年三月三一日付け自再第七二号)
5) 「自動車損害賠償保障法施行規則の一部改正について」(平成五年七月二九日付け自保第二〇三号)

実況見分調書作成時の留意点

1(1)   加害者が不起訴になった場合,検察庁において供述調書が開示されることはない(刑事訴訟法47条本文参照)ものの,実況見分調書は開示されます。
   そして,過失割合が争いになった場合,実況見分調書は信用性の高い証拠として非常に重視されることとなります。
   そのため,警察の実況見分にはできる限り立ち会うようにするとともに,実況見分調書の作成に立ち会った場合,担当の警察官に対して事故当時の状況を正確に説明できるようにしてください。
(2)  事故直後に加害者が自分の非を認めていたという事実は,示談や訴訟においてあまり大きな意味を持たないのであって,実況見分調書の記載の方が遙かに大事です。

2 実況見分調書は,客観的に記載するように努め,被疑者,被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても,その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならないとされています(犯罪捜査規範105条1項)。

3(1)   警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間以下の交通事故の場合,「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,現場の見分状況書被疑者供述調書被害者供述調書等が作成されることが多いです(「交通事故事件の刑事記録」参照)。
(2) 警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間を超える交通事故の場合, 「過失運転致傷等事件に係る特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,実況見分調書及び交通事故現場見取図被疑者供述調書被害者供述調書等が作成されることが多いです。



(3) 実務上は,「現場の見分状況書」も含めて,「実況見分調書」と呼んでいます。


4(1) 現場の見分状況書には,①最初に相手を発見した地点,②危険を感じた地点,③ブレーキをかけた地点及び④衝突をした地点が図示されています。
   例えば,②ないし④が同じ地点である場合,加害者がブレーキをかけずに被害者に衝突したこととなります。
(2) 警察官が交通事故現場の実況見分を行った際,被疑者,被害者その他の関係者の指示説明の範囲をこえて,特にその供述を実況見分調書に記載する必要がある場合,関係者の署名押印を求めてきますものの,署名押印は拒絶することができます(
犯罪捜査規範105条2項前段・刑事訴訟法198条5項ただし書)。

5(1) 警察の実況見分に立ち会う際,道路標識の意味(運転免許 学科試験模擬問題集HP
「道路標識の種類と意味」参照)を復習しておいた方がいいです。
(2) 道路に引かれている黄色及び白色の線の意味,バイクのすり抜けの過失割合等については,「センターライン,車線境界線及びバイクのすり抜け」を参照して下さい。

6 「過失運転致傷等事件に係る特例書式の運用について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達) ,及び「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式の運用について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)には下記の記載があります。
   そのため,交通事故現場における加害者の態度等にかんがみ,加害者が警察に対して嘘の説明をしている可能性がある場合(例えば,先行車の進路変更に伴う交通事故において,進路変更前に方向指示器を出していなかったのに出していたと言い張る可能性がある場合),交通事故の態様に関して後日問題となるおそれが大きいなどと主張して,被害者立ち会いの下での実況見分調書の作成を警察に対して依頼した方がいいです。

立会人
  原則として当事者を立ち会わせること。ただし、当事者のいずれかが病院等に収容されたような場合は、立会可能な当事者等を立ち会わせること。
   病院等に収容された当事者が立会可能となった場合は、その段階でその者を立ち会わせて改めて実況見分を行うこと。ただし、1回目の見分により真相が究明され、後日問題となるおそれがない場合で、その見分を被疑者の立会いの下で実施しているときは、この限りでない。

7 弁護士によるマンガ交通事故相談HP「警察との関係」には,「実況見分が実施される時期は、法律の定めはないものの、概ね事故発生から1週間から1か月前後で実施されるようです。」と書いてあります。

8 「交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点」も参照してください。

被害者に関する犯罪捜査規範の条文

◯被害者に関する犯罪捜査規範の条文は以下のとおりです。

(秘密の保持等)
第九条   捜査を行うに当たつては、秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、被疑者、被害者(犯罪により害を被つた者をいう。以下同じ。)その他事件の関係者の名誉を害することのないように注意しなければならない。
2   捜査を行うに当たつては、前項の規定により秘密を厳守するほか、告訴、告発、犯罪に関する申告その他犯罪捜査の端緒又は犯罪捜査の資料を提供した者(第十一条(被害者等の保護等)第二項において「資料提供者」という。)の名誉又は信用を害することのないように注意しなければならない。

(関係者に対する配慮)
第十条   捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。

(被害者等に対する配慮)
第十条の二   捜査を行うに当たつては、被害者又はその親族(以下この節において「被害者等」という。)の心情を理解し、その人格を尊重しなければならない。
2   捜査を行うに当たつては、被害者等の取調べにふさわしい場所の利用その他の被害者等にできる限り不安又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。

(被害者等に対する通知)
第十条の三   捜査を行うに当たつては、被害者等に対し、刑事手続の概要を説明するとともに、当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない。ただし、捜査その他の警察の事務若しくは公判に支障を及ぼし、又は関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合は、この限りでない。

(被害者等の保護等) 
第十一条   警察官は、犯罪の手口、動機及び組織的背景、被疑者と被害者等との関係、被疑者の言動その他の状況から被害者等に後難が及ぶおそれがあると認められるときは、被疑者その他の関係者に、当該被害者等の氏名又はこれらを推知させるような事項を告げないようにするほか、必要に応じ、当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない。 

2   前項の規定は、資料提供者に後難が及ぶおそれがあると認められる場合について準用する。

(捜査の回避) 
第十四条   警察官は、被疑者、被害者その他事件の関係者と親族その他特別の関係にあるため、その捜査について疑念をいだかれるおそれのあるときは、上司の許可を得て、その捜査を回避しなければならない。

(親告罪の要急捜査)
第七十条   警察官は、親告罪に係る犯罪があることを知つた場合において、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。この場合においては、被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない。

(現場における負傷者の救護等)
第八十五条   警察官は、現場を臨検した場合において負傷者があるときは、救護の処置をとらなければならない。
2   前項の場合において、ひん死の重傷者があるときは、応急救護の処置をとるとともに、その者から犯人の氏名、犯行の原因、被害者の氏名、目撃者等を聴取しておかなければならない。
3   前項の重傷者が死亡したときは、その時刻を記録しておかなければならない。

(現場における捜査の要点)
第九十条   現場において捜査を行うに当たつては、現場鑑識その他の科学的合理的な方法により、次に掲げる事項を明らかにするよう努め、犯行の過程を全般的に把握するようにしなければならない。
一   時の関係
イ 犯行の日時及びこれを推定し得る状況
ロ 発覚の日時及び状況
ハ 犯行当時における気象の状況
ニ その他時に関し参考となる事項
二   場所の関係
イ 現場に通ずる道路及びその状況
ロ 家屋その他現場附近にある物件及びその状況
ハ 現場の間取等の状況
ニ 現場における器具その他物品の状況
ホ 指掌紋、足跡その他のこん跡並びに遺留物件の位置及び状況
ヘ その他場所に関し参考となる事項
三   被害者の関係
イ 犯人に対する応接その他被害前の状況
ロ 被害時における抵抗、姿勢等の状況
ハ 傷害の部位及び程度、被害金品の種別及び数量等被害の程度
ニ 死体の位置及び創傷、流血その他の状況
ホ その他被害者に関し参考となる事項
四   被疑者の関係
イ 現場についての侵入及び逃走の経路
ロ 被疑者の数及び性別
ハ 犯罪の手段、方法その他犯罪実行の状況
ニ 被疑者の犯行の動機並びに被害者との面識及び現場についての知識の有無を推定し得る状況
ホ 被疑者の人相、風体、特徴、習癖その他特異な言動等
ヘ 凶器の種類、形状及び加害の方法その他加害の状況
ト その他被疑者に関し参考となる事項

 (資料を発見した時の措置)
第九十二条   遺留品、現場指掌紋等の資料を発見したときは、年月日時及び場所を記載した紙片に被害者又は第三者の署名を求め、これを添付して撮影する等証拠力の保全に努めなければならない。

 (実況見分調書記載上の注意)
第百五条   実況見分調書は、客観的に記載するように努め、被疑者、被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても、その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならない。 
2   被疑者、被害者その他の関係者の指示説明の範囲をこえて、特にその供述を実況見分調書に記載する必要がある場合には、刑訴法第百九十八条第三項 から第五項 までおよび同法第二百二十三条第二項 の規定によらなければならない。この場合において、被疑者の供述に関しては、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げ、かつ、その点を調書に明らかにしておかなければならない。 

 (微罪処分の際の処置)
第二百条   第百九十八条(微罪処分ができる場合)の規定により事件を送致しない場合には、次の各号に掲げる処置をとるものとする。
一   被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること。
二   親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を徴すること。
三   被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと。

都道府県公安委員会に対する苦情申出制度

1(1) 警察職員が,職務執行において違法,不当な行為をしたり,なすべきことをしなかったりしたことによって,何らかの不利益を受けた場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます(警察法79条)。
   そのため,例えば,実況見分における警察官の対応について違法不当な行為があった場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます。
   ただし,交通違反について,後日否認を申し出る場合,取り締まった警察署等に申し出る必要があります。
(2) 大阪府公安委員会に対する苦情申出については,大阪府警察HPの「苦情申出制度のご案内」を参照して下さい。

2(1) 都道府県公安委員会における苦情申出制度の運用状況については,警察庁作成の以下の資料を参照してください。
・ 平成30年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成29年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成28年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成27年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成26年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成25年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成24年中の苦情申出制度の運用状況について
・ 平成23年中の苦情申出制度の運用状況について
(2) 警察庁長官官房首席監察官が作成した文書です。

3 以下の記事も参照してください。
① 警察庁作成の訟務統計
② 交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点

被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録

「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(平成20年11月19日付の法務省刑事局長依命通達)によれば,被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において,閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録は,以下のとおりです(意味の同一性を失わない限度で,閲覧・謄写を請求する側の表現に変えています。)。
○通達原文では,供述調書等につき,代替性がない場合,例外的に閲覧が認められ,供述者が死亡する「など」代替性がない場合,例外的に謄写が認められると書いてあります。
   そのため,例えば,供述者は生存しているが,その連絡先が不明である場合,供述調書の閲覧は認められるが,供述調書の謄写は認められないのかもしれません。

1 客観的証拠の閲覧
   被害者参加対象事件の被害者等については,「事件の内容を知ること」等を目的とする場合であっても閲覧が可能ですから,原則として,代替性の有無にかかわらず,相当でないと認められる場合を除き,閲覧が認められます。

  具体的な証拠の取扱いについては,以下のとおりです。
(1) 実況見分調書,検証調書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,原則として,閲覧が認められます。
   ただし,立会人の特定に関する記載や立会人が写っている写真等は,立会人のプライバシーにかかわるものであり,これが公になることにより第三者の協力が得られないこととなるおそれがあることなどから,マスキング等の措置がなされることがあります。

  その他,例えば,犯罪に関する痕跡のない部屋の見取図や写真についても,関係者のプライバシーという観点から,マスキング等の措置がなされることがあります。
  また,立会人の指示説明部分については,供述調書に準ずるものとして取り扱われますし,犯行状況の再現等のために行われた実況見分や検証の調書等についても同様です。
(2) 死者の検視調書,死亡診断書,死体検案書,死体の鑑定書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,当該死者の遺族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として,閲覧が認められます。
   この場合,死体の写真については,死者の名誉やプライバシーを侵害するおそれが高いことから,原則として,マスキングの措置が講じられますが,遺族及びその代理人たる弁護士からの強い要望があり,他に特段の弊害があるとは認められない場合,閲覧が認められることがあります。

  その場合,事前に遺族等に対し,死体の写真が衝撃的でショックを受けるおそれがあることなどを十分説明し,状況に応じて再考を促すなど,十分な意思確認が行われます。
(3) 身体の鑑定書,身体検査調書,診断書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,鑑定等の対象となった被害者本人若しくはその親族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として閲覧が認められます。
(4) 精神鑑定書等については,鑑定の対象者のプライバシー性がきわめて高いことから,原則として,閲覧が認められません。
  ただし,開示に伴う弊害がなく,かつ,開示を必要とする特段の事情があると認められる場合に限り,閲覧が認められます。例えば,鑑定の対象者等又はその代理人たる弁護士の有効な同意があるような場合には,鑑定人に及ぶ影響や弊害等も踏まえ,閲覧が認められることがあります。
(5) 信号機サイクル表については,原則として閲覧が認められます。
(6) 証拠物の写真撮影報告書,鑑定書等については,証拠物の性状等の客観的な事実を示すものですから,原則として,閲覧が認められます。
(7) 関係者の飲酒の有無・アルコール濃度に関する飲酒検知管,鑑定書等については,対象者が生存していても,原則として,閲覧に応じ,又はその結果の照会に対して回答してもらえます。

(8) その他の交通事故鑑定,速度違反,出火原因鑑定等の鑑定書については,原則として,閲覧が認められます。

2 供述調書等の閲覧
   供述調書等については,関係者の名誉・プライバシー,今後の捜査一般の円滑な遂行を害するおそれが高いため,原則として閲覧が認められていません。
  ただし,閲覧請求に係る供述調書等が代替性のないものであるときは,相当でないと認められる場合を除き,例外的に閲覧が認められることがあります。
  このように,供述調書については,原則として閲覧が認められませんが,被害者等の要望に応じて,不起訴処分をする際に,検察官において,処分理由の説明の一環として,必要と認められるときは供述内容を口頭で説明するなどの配慮が行われることがあります。

3 謄写できる部分
(1)   謄写については,当該事件が被害者参加対象事件であるか否かにかかわらず,民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使する場合に限り,必要性及び相当性が認められる部分について認められることになっていますところ,通常は閲覧できる範囲と謄写できる範囲は同じです。

(2)   供述調書等については,供述人が死亡するなど代替性がないと認められる場合を除き,謄写が認められません。

4 「交通事故事件の刑事記録の入手方法」も参照してください。

検番等の入手方法等

1 検番等の調べ方
(1) 被害者代理人である弁護士が大阪地検で起訴事件の刑事記録を入手する場合,①交通事故証明書に記載されている警察署に対し,弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づく照会)を利用して送致日,送致番号,罪名,送致検察庁及び検番(=検察庁の事件受付番号)を調査します。

(2) 交通事故証明書の「照合記録簿の種別」が「物件事故」となっている場合,実況見分調書は存在しません。
   そのため,担当の警察署に対し,交通事故直後の診断書を持参して「人身事故」に切り替えてもらう必要があります。

2 大阪弁護士会の23条照会を利用する場合の提出書類
(1) 大阪弁護士会会員が同会の弁護士会照会を利用する場合,令和元年10月1日以降,往復のレターパック料金1040円,及び弁護士会照会の手数料4400円の合計5440円が必要となります。
(2) 大阪弁護士会館6階の総務部総合管理課に対し,照会申出書1部,照会書3部及び回答書1部並びにレターパック2部提出すればいいです。
   ただし,レターパック2部は6階で販売していますから,6階で購入した後に宛名書きをすればいいです。
(3) レターパックにつき,1部は,「お届け先」のおところとして照会先の住所を,「ご依頼主」のおところとして大弁の住所(6階にゴム印が置いてあります。)を,「品名」に「23条照会書在中」(6階にゴム印が置いてあります。)と記載すればいいです。
   もう1部につき,「お届け先」のおところとして大弁の住所を,「品名」として「23条照会書在中」(弁護士山中理司)と記載し,「ご依頼主」は空欄にしておけばいいです。
(4) 弁護士の職印を付く場所は,照会申出書にしかありません。
(5) 大阪弁護士会では,交通事故事案であっても照会先が警察署でない場合,交通事故証明書には関係者のプライバシー情報が多く含まれていることにかんがみ,弁護士会照会の照会書に疎明資料は添付しないのが原則になっています(月刊大阪弁護士会2019年2月号67頁)。
(6) 「弁護士会照会」も参照してください。


3 弁護士会照会の照会書の記載方法
   弁護士会照会の照会書における「2.申出の理由」及び「3.照会事項」は以下のとおり記載します。
① 「2.申出の理由」
   申出弁護士は,別紙交通事故証明書記載の交通事故(以下「本件交通事故」という。)について,依頼者より,加害者に対する損害賠償請求の依頼を受けており,事故態様を明らかにするため,刑事記録を閲覧・謄写する必要があります。
② 「3.照会事項」

   本件交通事故に関し,下記の者について,以下の事項にご回答下さい。
(1) 検察庁へ送致済ですか。
未送致の場合は送致後にご回答ください。
また,送致予定がない場合は,その旨をご回答ください。
(2) 送致済の場合は,送致日,送致番号,罪名,送致検察庁,検番。

(氏名) 「甲野太郎」及び「乙野次郎」

4 被害者本人が検番等を教えてもらえること
(1) 被害者本人が①本人確認書類(例えば,運転免許証)及び②交通事故証明書を持参して交通事故証明書に書いてある警察署交通課を平日に訪問すれば,弁護士会照会を利用しなくても検番等を教えてもらえます。
(2) 被害者本人が警察署に電話をしても本人確認ができませんから,検番等を教えてもらうことはできません。

5 検番に関する事件事務規程の定め
○事件受理の管理について定める事件事務規程5条は以下のとおりです。条文上は「検番」ではなく,「事件番号」と書いてあります。

1 事件担当事務官は,事件を受理したときは,検察システムによりその旨を管理するとともに,次の表に掲げる区別に従い,事件番号を事件記録表紙等に記入する。
受理の事由  事件番号の記入箇所
第3条第1号 送致(付)書の所定欄
同条第2号  移送書(甲)(様式第3号)又は移送書(乙)(様式第4号)
同条第3号  家庭裁判所で添付した送付書
同条第4号  直受事件表紙(様式第5号)を付し,その所定欄
同条第5号か 認知・再起事件表紙(様式第6号)を付し,その所定欄
ら第8号まで
2 事件番号は,第3条各号の所定の事由が生じるごとに,被疑者1名につき1番号を付し,暦年ごとに改める。この場合において,第3条第2号,第3号,第6号,第7号又は第8号に掲げる事由により受理手続をするときは,その事件が処理されたときに被疑者に付されていた事件番号の数に応じた事件番号を付するものとする。
3 被疑者の数が不明である事件については,その人員を1名として番号を付し,後に被疑者の数が判明した場合において,その数が2名以上であるときは,その1名を超える人員については,第3条第5号に掲げる事由があるものとして,新たに受理手続をするものとする。

4 事件番号は,「 年検第 号」と呼称する。

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